説明

インクジェットプリンタのヘッド及びその製造方法

【課題】 従来既存のポリマーを用いて接合する場合時に発生していたする節理現象及び干渉現象を防止でき,ノズルとインク室及びヒーターの整列が正確に行われ,素子の集積度を向上できるインクジェットプリンタのヘッド及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 インクジェットプリンタのヘッドは,インク室220内のインクを加熱するヒーター110が備えられた基板100と,インク室220と連通するノズル210を有するノズルプレート200とがガラス質の薄膜からなる中間接合層300を介在して静電力により接合されてなる。基板100とノズルプレート200とを中間接合層300を介在して仮接合した後電界を加えると,ノズルプレート200と基板100との界面でSiOが形成され,SiOの静電力によりノズルプレート200と基板100とが接合される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,インクジェットプリンタのヘッド及びその製造方法に関し,より詳しくは,バブルジェット(登録商標)方式を採用した場合に好適なインクジェットプリンタのヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に,インクジェットプリンタのインク吐出方式は,バブルジェット(登録商標)方式,PZT方式,熱転写方式,熱圧縮方式に大別される。ここで,バブルジェット(登録商標)方式は,発熱素子で液状のインクを加熱してバブルを発生させることでインクが吐出されるようにする方式である。バルブジェット方式のインクジェットプリンタのヘッドは,インク室を提供するインク室壁の一側にノズルを有するノズルプレートが配置され,インク室壁の他側には,インク室内のインクを加熱するヒーターが備えられた基板が配置されるという基本構造を有する。
【0003】上記のようなバルブジェット方式のインクジェットプリンタのヘッドの典型的な一例を,図面を参照して説明すると,以下のとおりである。
【0004】図11に示したように,一般のインクジェットプリンタのヘッドは,基板10と,ノズルプレート20と,基板10とノズルプレート20との間に位置してこれらを接合すると共にインク室30を提供するインク室壁40とを備える。
【0005】基板10には,インク室30内のインクを加熱するヒーター11と,インク室30にインクを供給するインク供給路(図示せず)とが備えられる。また,基板10には,更に,防熱層12と電極13と電極及びヒータ保護のためのパッシベーション層14とが備えられる。パッシベーション層14は,SiN:Hからなる絶縁膜14a,ヒーター保護膜14b及びSiC:Hからなる絶縁膜14cで構成される。
【0006】ノズルプレート20には,インク室30と連通するノズル21が備えられる。ノズル21は,その内側から外側にいくにつれて直径が徐々に小さくなるテーパー状に形成される。
【0007】インク室30は,基板10に感光性ポリマーを所定の高さに積層することで形成されたインク室壁40の一部分(ヒーター形成領域)をパターニングして除去することにより形成される。基板10とノズルプレート20とは,インク室壁40の役割を果たす感光性ポリマーにより接合される。
【0008】このように構成された従来のインクジェットプリンタのヘッドは,基板10のヒーター11に2〜3μs間インクが加熱されるに足りるエネルギーを印加すると,ヒーター11の表面にバブルが形成され,このバブルの体積と圧力によりインク室30内のインクがノズルプレート20のノズル21を通じて外部に噴射される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成された一般のインクジェットプリンタのヘッドは,その構造上ポリマーからなるインク室壁40が基板10とノズルプレート20との間で接着層の役割を果たしながらインクと接触するようになる。インクは,60〜70%以上の水分からなるため,インクがインク室30を取り囲んでいるポリマーのバルクとヒーター基板10−インク室壁40−ノズルプレート20との接着界面を通じて染み込むようになる。かかる現象は,ポリマーの膨張と各部品間の節理現象を引き起こし,ヘッド不良の主要要因となるため,改善が求められている。
【0010】また,従来のインクジェットプリンタのヘッドは,各インク供給路とインク室30がインクという流体で満たされているため,インク吐出し時に隣接ヒーターとインク供給路にその圧力が伝播し,バルブ形成とインク吐出し特性に影響を与える干渉現象(crosstalk)が発生するという問題もある。
【0011】更に,従来のインクジェットプリンタのヘッドは,基板10にポリマーを積層して感光及び現像した後,この基板10とノズルプレート20とを接合するという順番で製造されるが,順番にヒーター11,インク室30,ノズル21を整列させることが非常に困難である。このような理由にてそれぞれの工程で配列がずれ,ヒーター11とインク室30及びノズル21の整列がずれるようになると,インクの吐出しの方向性が悪くなり,印刷品質の劣化をもたらすため,これもまた改善が求められている。
【0012】本発明は,上記のような問題点に鑑みてなされたものであって,従来,ポリマーを用いて接合する場合に発生していた節理現象及び干渉現象を防止することができるインクジェットプリンタのヘッド及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【0013】本発明の他の目的は,ノズルとインク室及びヒーターの整列が正確に行われ,また,素子の集積度を向上させることができるインクジェットプリンタのヘッド及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための本発明によるインクジェットプリンタのヘッドは,インク室内のインクを加熱するヒーターを有する基板と;ヒーターにより加熱されたインク室内のインクが吐出されるノズルを有するノズルプレート;及び基板と前記ノズルプレートとの間に介在し,これら基板とノズルプレートとを静電力で接合する中間接合層と;を含むことを特徴とする。ヒーターを有する基板とノズルを有するノズルプレートとを静電力を用いて一体に接合することにより,従来,ポリマーを用いて接合する場合に発生していた節理現象及び干渉現象を防止することができる。
【0015】中間接合層は,融点が低く且つ成分の60%以上が非晶質酸化珪素からなるガラス薄膜で構成することができる。
【0016】また,基板には,ヒーターの放熱を防止するための防熱層と,ヒーター保護のためのパッシベーション層が備えられ,パッシベーション層は,ヒーターに蒸着される絶縁層と,絶縁層に蒸着され一側が基板と通電するように接続されたヒーター保護層を含むことができる。
【0017】本発明の他の目的を達成するためのインクジェットプリンタのヘッドの製造方法は,インク室内のインクを加熱するヒーターを有する基板を作製するステップと;ヒーターにより加熱されたインク室内のインクが吐出されるノズルを有するノズルプレートを作製するステップ;及び基板とノズルプレートとを中間接合層を介在して静電力で接合するステップと;を含むことを特徴とする。ノズルプレートを作製するステップは,ノズルプレートを湿式エッチングしてインク室を形成した後,前記インク室に連結されるノズルを乾式エッチングで形成するようにしてもよい。ノズルプレートにノズルとインク室とを共に形成することでノズルとインク室及びヒーターの整列が正確に行われ,また,素子の集積度を向上させることができる
【0018】接合ステップは,基板上のノズルプレート接合部に中間接合層を形成するステップと;中間接合層上に前記ノズルプレートを載置し,仮接合を行うステップ;及びノズルプレートが仮接合された基板を加熱して所定温度以上に加熱される時,ノズルプレートとヒーター基板とが通電するように電界を加えるステップと;を含むことを特徴とする。
【0019】なお,中間接合層は,基板上に一定の厚さのガラス薄膜を成膜した後,ガラス薄膜のヒーター形成部位をエッチングし除去することで形成してもよい。
【0020】また,前記ガラス薄膜は,スピンコート蒸着法,スパッタリング薄膜蒸着法,電子−ビーム蒸着法等により成膜することができ,約1〜5μmの厚さで成膜することが好ましい。
【0021】基板とノズルプレートとの接合時の加熱温度は,常温〜500℃であることが好ましく,電界は,0〜1000Vの直流電圧及びパルス信号から選ぶことができる。
【0022】一方,基板の作製ステップは,シリコン基板上に防熱層を形成するステップと;防熱層上にヒーター及び導電層を形成するステップ;及びヒーター及び導電層上にパッシベーション層を形成するステップと;からなる。ここで,パッシベーション層の形成は,シリコン窒化膜とシリコンカーバイド膜を一定の厚さで順次に蒸着して絶縁層を形成した後,該絶縁層の一部にシリコン基板と通じるビアホールを形成し,この上にタンタルを一定の厚さで蒸着しヒーター保護層を形成する順に行ってもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下では,本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は,本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドを示す断面図であり,図2ないし図9は,本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法に関する工程図であり,図10は,本発明によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法における基板とノズルプレートとの接合原理を示す図である。
【0024】図1に示したように,本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドは,基板100と,ノズルプレート200及びヒーター基板100とノズルプレート200とを接合する中間接合層300とを備える。
【0025】基板100には,インク室220内のインクを加熱するヒーター110が備えられる。ヒーター110は,Ta−Alを500〜5000オングストロームの厚さで蒸着することにより形成される。また,基板100には,ヒーター110から発生する熱エネルギーがヒーターの下方にある基板に伝わることを防止するための防熱層120と,ヒーター110が酸化したりインクと直接接触したりすることを防止し且つ熱と圧力によるキャビテーションを防止するためのパッシベーション層130とが形成される。防熱層120は,シリコン酸化膜(SiO)を1〜5μmの厚さで蒸着することにより形成され,防熱層120の上部にヒーター110が形成される。パッシベーション層130は,絶縁層131とヒーター保護層132とからなる。絶縁層131は,ヒーター110の上部にシリコン窒化膜(SiN:H)を0.1〜1.0μmの厚さで蒸着することにより形成され,ヒーター保護層132は,絶縁層131の上部にタンタル(Ta)を0.1〜1.0μmの厚さで蒸着することにより形成される。ここで,ヒーター保護層132は,一側が基板と接続されて通電するように形成される。一方,絶縁層131は,シリコン窒化膜の上部に0.1〜1.0μmの厚さで形成されるシリコンカーバイド膜を更に成膜することができる。シリコンカーバイド膜は,ヒーターの耐化学性及び熱伝導性を補強する役割を果たす。図面における符号140は,ヒーター110に電源を印加するための導電層である。
【0026】ノズルプレート200には,インク室220とノズル210とが互いに連通するように形成される。一方,図示した例では,インク室220がノズルプレート200に形成された例を示しているが,インク室220を基板100に形成してもよい。
【0027】中間接合層300は,基板100とノズルプレート200とを静電力で接合するためのものであって,融点が低く且つ成分の60%以上が非晶質酸化珪素からなるガラス薄膜で構成される。ガラス薄膜は,スパッタリング蒸着方法,電子−ビーム蒸着方法または液状ガラスをスピンコートする方法により基板100のノズルプレート接合部位に1〜5μmの厚さで成膜される。基板100のノズルプレート接合部位に上記のような中間接合層300としてのガラス薄膜を成膜した後,該ガラス薄膜の上にノズルプレート200を載置し仮接合した状態で基板100とノズルプレート200に電界を加えると,ノズルプレート200と中間接合層300との界面に酸化シリコンが薄く成長しながら界面を埋め,該酸化シリコンの静電力により基板とノズルプレートとが一体に接合されるようになる。
【0028】以下では,上記のように構成される本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドを製造する方法について図2ないし図9を参照して具体的に説明する。
【0029】同図に示したように,本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法は,基板100の作製ステップ(図2),中間接合層300の形成ステップ(図4,図5),ノズルプレート200の作製ステップ(図6,図7),基板100とノズルプレート200との接合ステップ(図8)を含む。
【0030】基板100の作製ステップでは,図2に示したように,先ず,基板100にシリコン酸化膜を一定の厚さで蒸着して防熱層120を形成する。その後,防熱層120の上部にタンタル−アルミニウム合金を一定の厚さで蒸着してヒーター110を形成し,次いで,ヒーター110に電源を印加するための導電層140を形成しパターニングする。ヒーター110は,スパッタリング法により形成するが,必ずしもこの方法に限定されるわけではない。
【0031】次いで,図3に示したように,基板100にヒーター110を保護するためのパッシベーション層130を形成する。本実施の形態におけるパッシベーション層130は,ヒーター110の上部にヒーター110を保護するために順次に形成された絶縁層131とヒーター保護層132とを含む。絶縁層131は,シリコン酸化膜を一定の厚さで蒸着することにより形成され,ヒーター保護層132は,タンタルを一定の厚さで蒸着することにより形成される。タンタルは,展性及び軟性が豊かで酸化し難く且つフッ化水素酸外の酸には溶けないという特性を有するため,ヒーター110を保護することができる。なお,ヒーター保護層132は,その一側が基板100に接続するように絶縁層131と防熱層120を貫通して形成されたビアホール100aに充填されることで形成される。これは,基板100とノズルプレート200との接合ステップにおける電界印加時にイオンが通電し得るようにするためである。一方,絶縁層131は,シリコン酸化膜を蒸着した後,その上にシリコンカーバイド膜を更に蒸着することで耐化学性及び熱伝導性を補強することができる。
【0032】前述した如く,基板100にパッシベーション層130を形成した後,図4に示したように,ヒーター保護層132上に一定の厚さでガラス薄膜を蒸着して中間接合層300を形成する。ガラス薄膜は,一般に使用されるスパッタリング方法または電子−ビーム蒸着法で形成することができ,また液状ガラスをスピンコートすることにより形成することもできる。ガラス薄膜は,ノズルプレート200との接合をなす接合層であって,インク漏れが生じないように気密を保持する必要があることから,表面の平坦化が求められる。スピンコート方法は,コーティングと共に平坦化が自然に行われるため,絶縁層のパターンによる勾配が克服可能になるが,スパッタリングや電子−ビーム蒸着法により成膜されたガラス薄膜は,十分な厚さを確保した後,平坦化工程を経る必要がある。したがって,ガラス薄膜の成膜は,スピンコート方法が好適である。上記のような方法により基板100にガラス薄膜を成膜した後は,図5に示したように,ガラス薄膜の必要部位,即ち,ノズルプレート接合部位を除く余の部位はパターニングし除去する。
【0033】上記過程により基板100を作製した後は,図6及び図7に示したように,ノズルプレート200を作製する。先ず,ノズルプレート200の内側にインク室220を形成した後,インク室220と連通するノズル210を形成することでノズルプレート200を作製する。ここで,インク室220は,少なくとも1種のエッチング液を用いた湿式エッチングにより10〜40μmの大きさで形成し,ノズル210は,反応性ガスとプラズマを用いた乾式エッチングにより10〜40μmの大きさで形成する。
【0034】上記のような過程によりそれぞれ作製された基板100とノズルプレート200とを,図8に示したように,中間接合層300を介在して仮接合した状態で熱と電界を印加して接合するが,以下では,これについて詳しく説明する。
【0035】図10に示したように,基板100とノズルプレート200とを仮接合した仮接合物を導電性物質からなる熱プレート400上に載置し,電極をノズルプレート200と熱プレート400に接続することで熱プレート400により加熱及び通電されるようにする。ここで,加熱温度は,陽イオンが電界により十分に移動可能であり且つ基板100上の薄膜層131,132が影響を受けない温度範囲である常温から500℃程度の範囲内から選ばれる。そして,電界は,中間接合層300の厚さと成分に応じて0〜1000Vの直流電圧またはパルス信号で印加される。
【0036】温度が上昇し,電界が加えられると,中間接合層300内の陽イオンの移動度が増加して陰極側の中間接合層300の界面側にイオンが移動し中性化され,中間接合層300内に残留した陰イオンは接触されたノズルプレート200のシリコン表面に空間電荷層を形成する。加えられた電界が全てこの空間電荷層に集中し強力な静電力が働くため,中間接合層300を構成するガラス薄膜内の酸素イオンとノズルプレートを構成するシリコンとの結合が行われる。即ち,界面にSiOが薄く成長しながらノズルプレート200と中間接合層300との境界面を埋めるようになる。
【0037】上記のように基板100とノズルプレート200とを接合した後は,図9に示したように,ノズルと信号領域を開放するために上記構造のノズルプレート200の外側でCMP(Chemical Mechanical Polishing)により加工してヘッドを完成する。
【0038】インクジェットプリンタのヘッドは,基板100とノズルプレート200とが接合され,各ヒーターチップに該当するインク室と流路,またノズルが設定されインク供給路が形成される。したがって,インクジェットプリンタのヘッドにおいて,各部品間の接合または接着は,信頼性に影響を与える大きな要因となる。本実施の形態によれば,シリコン−ガラス−シリコン接合を用いて基板100とノズルプレート200とを接合,即ち,ノズルプレートを構成するシリコンと熱膨張係数がほぼ同一のガラス薄膜を基板100に蒸着してシリコン−ガラス−シリコン接合を施してヘッドを製造するため,信頼性に優れているインクジェットプリンタのヘッドを製造することができる。
【0039】以上では,本発明の好適な実施の形態について図示し説明したが,本発明は,上述した特定の好適な実施の形態により限定されることではなく,請求の範囲で請求している本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも種々の変更実施が可能であることはもとより,そのような変更は,請求の範囲の記載範囲内にあることはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば,インクジェットプリンタのヘッドの製造時,ガラス質の薄膜を用いた静電力でヒーター基板とノズルプレートとを接合するため,既存のヘッドの製造時に使用されていたポリマー系接着層の使用を排除することができ,ポリマー系接着層により各層の間にインクが浸透して不良が発生するということを防止することができる。また,ウェハー単位の接合工程が可能となるため,単位ヘッド別接着方式より量産性を向上させることができる。
【0041】また,本発明によれば,感光性印刷(PR Photo)とエッチング工程を通じてノズルプレートにインク室とノズルとが共に設けられるため,インク室,ヒーター,ノズル間の整列が正確に行われ,ヘッドの集積度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図7】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図8】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図9】本発明の一実施の形態によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法にかかる工程図である。
【図10】本発明によるインクジェットプリンタのヘッドの製造方法におけるノズルプレートと基板との接合原理を示す図である。
【図11】従来のインクジェットプリンタのヘッドの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
100 基板
110 ヒーター
120 防熱層
130 パッシベーション層
131 絶縁層
132 ヒーター保護層
140 導電層
200 ノズルプレート
210 ノズル
220 インク室
300 中間接合層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 インク室内のインクを加熱するヒーターを有する基板と;前記ヒーターにより加熱されたインク室内のインクが吐出されるノズルを有するノズルプレートと;前記基板と前記ノズルプレートとの間に介在し,これら基板とノズルプレートとを静電力で接合する中間接合層と;を含むことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッド。
【請求項2】 前記中間接合層が,融点が低く且つ成分の60%以上が非晶質酸化珪素からなるガラス薄膜で構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタのヘッド。
【請求項3】 前記インク室が,前記ノズルプレートに形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリンタのヘッド。
【請求項4】 前記基板には,ヒーターの放熱を防止するための防熱層と,ヒーター保護のためのパッシベーション層が備えられ,前記パッシベーション層は,前記ヒーターに蒸着される絶縁層と,前記絶縁層に蒸着され一側が基板と通電するように接続されたヒーター保護層とを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタのヘッド。
【請求項5】 インク室内のインクを加熱して吐出するインクジェットプリンタのヘッドを製造する方法であって,a)前記インク室内のインクを加熱するヒーターを有する基板を作製するステップと;
b)前記ヒーターにより加熱されたインク室内のインクが吐出されるノズルを有するノズルプレートを作製するステップと;
c)前記基板と前記ノズルプレートとを中間接合層を介在して静電力で接合するステップと;を含むことを特徴とするインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項6】 前記c)ステップが,c−1)前記基板上のノズルプレート接合部に中間接合層を形成するステップと;
c−2)前記中間接合層上に前記ノズルプレートを載置し,仮接合を行うステップと;
c−3)前記ノズルプレートが仮接合された基板を加熱して所定温度以上に加熱される時,前記ノズルプレートと前記ヒーター基板とが通電するように電界を加えるステップと;を含むことを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項7】 前記c−1ステップが,前記基板上に一定の厚さのガラス薄膜を成膜した後,前記ガラス薄膜のヒーター形成部位をエッチングし除去することからなることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項8】 前記ガラス薄膜が,スピンコート蒸着法により成膜されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項9】 前記ガラス薄膜が,スパッタリング蒸着法により成膜されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項10】 前記ガラス薄膜が,電子−ビーム蒸着法により成膜されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項11】 前記ガラス薄膜が,1〜5μmの厚さで成膜されることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項12】 前記加熱温度が,常温〜500℃であり,前記電界が,0〜1000Vの直流電圧及びパルス信号のうちから選ばれたいずれか1つであることを特徴とする請求項6から11のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項13】 前記a)ステップが,a−1)シリコン基板上に防熱層を形成するステップと;
a−2)前記防熱層上にヒーター及び導電層を形成するステップと;
a−3)前記ヒーター及び導電層上にヒーター保護のためのパッシベーション層を形成するステップと;を含むことを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項14】 前記パッシベーション層が,シリコン窒化膜とシリコンカーバイド膜を一定の厚さで順次に蒸着して絶縁層を形成した後,前記絶縁層の一部にシリコン基板と通じるビアホールを形成し,前記絶縁層の上部にタンタルを一定の厚さで蒸着しヒーター保護層を形成してなることを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項15】 前記ヒーター保護層の厚さが,0.1〜1.0μmであることを特徴とする請求項14に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。
【請求項16】 前記b)ステップが,ノズルプレートを湿式エッチングしてインク室を形成した後,前記インク室に連結されるノズルを乾式エッチングで形成することを特徴とする請求項5に記載のインクジェットプリンタのヘッドの製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2003−200579(P2003−200579A)
【公開日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−359358(P2002−359358)
【出願日】平成14年12月11日(2002.12.11)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【Fターム(参考)】