インクジェット印刷装置
【課題】インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現すること。
【解決手段】記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10の内部に設けた。そのため、ダクト13内の空気が排出口15から冷却用ファン20に吸い込まれることで、記録ヘッド12周辺の空気が吸込口14からダクト13に流入するようになる。それゆえ、インク吐出時にインクミストが発生しても、記録ヘッド12周辺を漂っているインクミストを含む空気をダクト13で吸い込むことができる。すなわち、冷却用ファン20をインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【解決手段】記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10の内部に設けた。そのため、ダクト13内の空気が排出口15から冷却用ファン20に吸い込まれることで、記録ヘッド12周辺の空気が吸込口14からダクト13に流入するようになる。それゆえ、インク吐出時にインクミストが発生しても、記録ヘッド12周辺を漂っているインクミストを含む空気をダクト13で吸い込むことができる。すなわち、冷却用ファン20をインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性インクを記録媒体に吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、紫外線によって硬化するUV(ultraviolet)インクを記録媒体に吐出して印刷を行い、同時に、吐出したUVインクに紫外線を照射することで、UVインクを記録媒体上で硬化させるインクジェット印刷装置がある。
このようなインクジェット印刷装置にあっては、例えば、インク吐出時にインクミストが発生した場合には、針状電極に高電圧を印可してインクミストを分極し、分極したインクミストを静電的に吸着することで除去するものもある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−55002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、針状電極に高電圧を印可してインクミストを分極するようになっているため、高電圧を発生可能な大型の電源装置を備える必要があり、その結果、装置構成が大型で複雑なものとなってしまう。
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現可能なインクジェット印刷装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明のインクジェット印刷装置は、ヘッドユニットと相対移動する記録媒体に、当該ヘッドユニットの記録ヘッドから光硬化性インクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、前記ヘッドユニットは、前記記録媒体との対向面に前記記録ヘッドを保持するヘッド保持部と、前記記録ヘッドから吐出された光硬化性インクに当該光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射部と、前記光照射部を冷却する冷却用ファンと、を備え、前記ヘッド保持部は、前記記録媒体との対向面に吸込口が形成され且つ前記冷却用ファンが空気を吸い込む領域に排出口が形成されたダクトを備えることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、ダクト内の空気が排出口から冷却用ファンに吸い込まれることで、記録ヘッド周辺の空気が吸込口からダクトに流入するようになる。そのため、インク吐出時にインクミストが発生しても、記録ヘッド周辺を漂っているインクミストを含む空気をダクトで吸い込むことができる。すなわち、冷却用ファンをインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【0007】
また、前記ヘッド保持部の隣接位置に配され、前記光照射部の熱を吸収して拡散するフィン式のヒートシンクと、前記ヒートシンクの外周に取り付けられ、前記光硬化性インクのインクミストを吸着して空気のみを通すフィルタと、を備え、前記冷却用ファンは、前記ヒートシンクのフィン間の空気を吸い込み、前記フィルタを通して前記フィン間に空気を流入させて、前記フィン間の空気を強制的に対流させるようになっており、前記ダクトの前記排出口は、前記ヘッド保持部の前記フィルタとの対向面に形成されていることを特徴とするものでもよい。
【0008】
具体的には、前記ヒートシンクは、前記光照射部に接するベースと、前記ベースに対して垂直に立っている複数のフィンと、を備え、前記冷却用ファンは、前記ヒートシンクに対して前記フィンが立っている側に配され、前記ヒートシンクの前記フィン間の空気を吸い込むものであり、前記フィルタは、前記ベースと前記冷却用ファンとで挟まれた前記複数のフィン全体からなる外周に取り付けた構成が挙げられる。
【0009】
このような構成によれば、ダクトの排出口から排出される空気がフィルタを通るときに、空気に含まれるインクミストをフィルタに吸着させて回収できる。
さらに、前記フィルタは、前記ヒートシンクの前記排出口との対向面に接する部位に比べ、他の面に接する部位の目が細かいものであることを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、排出口との対向面からフィン間により多くの空気を流入させることができ、ダクト内の空気を排出口側から効率よく吸い込むことができる。
【0010】
また、前記ヘッド保持部は、前記吸込口の縁部分のうち、前記記録ヘッドから遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って前記記録媒体側に突き出た突出部を備えることを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、インクミストを突出部で堰き止めることができ、ダクトが吸い込む空気に含まれるインクミストの濃度を増大でき、その結果、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【0011】
さらに、前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記冷却用ファンの回転数を当該移動方向と反対側の前記冷却用ファンの回転数よりも低くする制御手段を備えたことを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、ヘッドユニットの移動により、ヘッドユニットの移動方向と反対方向側の吸込口付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニットの移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、当該反対方向側の吸込口で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【0012】
また、前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記ダクトを閉塞状態とする閉塞手段を備えたことを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、ヘッドユニットの移動により、ヘッドユニットの移動方向と反対方向側の吸込口付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニットの移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、当該反対方向側の吸込口で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】UVインクジェット印刷装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】ヘッドユニットの構成を示す構成図である。
【図3】キャリッジを破断してダクトの構成を示す構成図である。
【図4】フィルタの取り付け状態を示す構成図である。
【図5】フィルタの取り付け状態の変形例を示す構成図である。
【図6】フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図7】ヘッドユニットの変形例の構成を示す構成図である。
【図8】プレートの構成を示す構成図である。
【図9】第2実施形態のヘッドユニットの構成を示す構成図である。
【図10】第3実施形態のヘッドユニットの構成を示す構成図である。
【図11】第4実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
<構成>
図1は、UVインクジェット印刷装置1の概略構成を示す構成図である。
本実施形態のUVインクジェット印刷装置1は、図1に示すように、シリアルヘッド方式のインクジェット印刷装置であり、媒体送り機構2、ヘッド走査機構3、ヘッドユニット4およびコントローラ5を備える。
【0015】
媒体送り機構2は、ガラスやIC等の印刷対象物(記録媒体6)を上面に保持可能なステージ7、およびステージ7を予め定められた媒体搬送方向(図1の+Y方向)に搬送するフィード軸8を備える。そして、媒体送り機構2は、記録媒体6の搬送を指示する搬送指令がコントローラ5から出力されると、ステージ7に記録媒体6を保持させ、フィード軸8にステージ7を媒体搬送方向に搬送させることで、記録媒体6を当該媒体搬送方向に一定距離ずつ搬送する。ここで、記録媒体6を搬送する一定距離としては、後述する記録ヘッド12の搬送方向幅(印刷幅)が挙げられる。
【0016】
ヘッド走査機構3は、媒体送り機構2の上方に配されており、ヘッドユニット4を媒体搬送方向と直行するヘッド走査方向(図1の+X方向および−X方向)に沿って往復させるヘッドスキャン軸9を備える。そして、ヘッド走査機構3は、ヘッドユニット4の往復を指示する往復指令がコントローラ5から出力されると、記録媒体6が印刷幅搬送されるたびに、ヘッドスキャン軸9にヘッドユニット4を往復させることで、記録媒体6の上方をヘッドユニット4が往復する。なお、ヘッドユニット4の往復時にあっては、後述する記録ヘッド12のヘッド走査方向幅(ヘッド幅)ずつヘッドユニット4を移動させる。
【0017】
図2は、ヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
ヘッドユニット4は、図2に示すように、キャリッジ10、およびキャリッジ10のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配された光源ユニット11を備える。
キャリッジ10は、媒体搬送方向に向かってキャリッジ10に正対した位置を基準として、左側面が−X方向に向けられ、右側面が+X方向に向けられ、正面が媒体搬送方向と反対方向に向けられた直方体状に形成されている。
【0018】
また、キャリッジ10の下面の中央部には、媒体搬送方向に沿って伸びている2つの記録ヘッド12が並列に配されている。すなわち、キャリッジ10は、記録媒体6との対向面に記録ヘッド12を保持している。記録ヘッド12は、UVインクの液滴を下方に吐出する複数のインク吐出孔を備える。そして、記録ヘッド12は、液滴の吐出を指示する印刷指令がコントローラ5から出力されると、記録媒体6の上方でヘッドユニット4がヘッド幅移動するたびに、任意のインク吐出孔に記録媒体6の対向箇所に液滴を適宜吐出させることで、印刷指令に応じた画像を記録媒体6に印刷する。
【0019】
図3は、キャリッジを破断してダクト13の構成を示す構成図である。
記録ヘッド12を挟み、キャリッジ10のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部には、図3に示すように、キャリッジ10の下面に吸込口14が形成され且つキャリッジ10の側面に排出口15が形成されて、キャリッジ10の下面と側面とを繋ぐダクト13が配されている。すなわち、ダクト13は、記録媒体6との対向面に吸込口14を有し且つ後述するヒートシンク17の側面と対向する位置(フィルタ18との対向面)、つまり、後述する冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15を有する。ここで、吸込口14の媒体搬送方向の幅は、記録ヘッド12の媒体搬送方向の幅よりも広く形成され、また、吸込口14の開口部の大きさは、吸込口14での流速が増大するように、排出口15の開口部の大きさよりも狭く形成されている。そして、ダクト13は、インク吐出孔が液滴を吐出しているときに、ダクト13内の空気が排出口15側から吸引されることで、キャリッジ10の下方を漂うインクミストを吸込口14側から吸い込む。
【0020】
また、ダクト13の内面には、UVインクを吸着可能なフィルタまたはUVインクを吸着可能な部材が取り付けられている。
光源ユニット11は、キャリッジ10と同様に、媒体搬送方向に向かって光源ユニット11に正対した位置を基準として、左側面が−X方向に向けられ、右側面が+X方向に向けられ、正面が媒体搬送方向と反対方向に向けられた直方体状に形成されている。
【0021】
光源ユニット11の下段部、つまり、光源ユニット11の下面全体には、UVインクを硬化させる紫外線を下方に照射する複数のLED16が配されている。そして、LED16は、記録媒体6の上方におけるヘッドユニット4の往復時に、記録媒体6の上面の対向箇所に紫外線を常時照射することで、記録媒体6に吐出したUVインクを硬化する。
光源ユニット11の中段部には、LED16から発せられる熱を吸収して拡散するフィン式のヒートシンク17が配されている。ヒートシンク17は、LED16の上端に接するベース、およびベースに対して垂直に立っている複数のフィンを備える。そして、ヒートシンク17は、複数のフィンにより外形がほぼ角柱状に形成されている。
【0022】
図4は、フィルタ18の取り付け状態を示す構成図である。
ヒートシンク17の側面の外周には、図4に示すように、インクミストを吸着して空気のみを通すフィルタ18が巻き付けられている。また、ヒートシンク17は、ヒートシンク17の側面の外周よりも内周が若干大きい角筒状で且つ当該側面と対向する箇所の中央部それぞれがくり抜かれたフィルタ固定治具19を備える。そして、フィルタ18は、ヒートシンク17の側面の外周に巻き付けられた後、フィルタ固定治具19がフィルタ18ごとヒートシンク17にかぶせられることで、ヒートシンク17に固定される。すなわち、フィルタ18は、ヒートシンク17に交換可能に取り付けられる。
また、フィルタ18は、ダクト13の排出口15との対向面から空気を流入させることで、ダクト13の排出口15から排出される空気がフィルタ18を通るときに、空気に含まれるインクミストをフィルタ18に吸着させて回収する。
【0023】
図5は、フィルタ18の取り付け状態の変形例を示す構成図である。
なお、フィルタ固定治具19としては、角筒状のものに限られるものではない。例えば、図5に示すように、ヒートシンク17の4つの側面のうち、3つの側面と対向する部位のみを備え残り1つの側面と対向する部位が開放状態となっているものでもよい。
図6は、フィルタ18の特性を説明するための説明図である。
また、フィルタ18は、図6に示すように、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接する部位に比べ、他の側面に接する部位の目が細かいものとなっている。そして、フィルタ18は、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接する部位、つまり、ダクト13の排出口15との対向面からより多くの空気を流入させることで、冷却用ファン20がダクト13内の空気を排出口15側からより効率よく吸引できる。
【0024】
光源ユニット11の上段部、つまり、ヒートシンク17の上方には、ヒートシンク17のフィン間の空気を吸い込み上方に排出する冷却用ファン20が配されている。そして、冷却用ファン20は、ヒートシンク17のフィン間の空気を吸い込むことで、フィルタ18を通してフィン間に空気を流入させて、フィン間の空気を強制的に対流させ、ヒートシンク17およびLED16を冷却する。また、冷却用ファン20は、UVインクが吐出されているときに、ヒートシンク17のフィン間の空気を吸い込むことで、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接するフィルタ18を通じてダクト13内の空気をダクト13の排出口15側から吸引する。すなわち、記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10に設けることで、冷却用ファン20をインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【0025】
ここで、冷却用ファン20としては、単にLED16を冷却するためだけのものよりも大きなパワーのものを用いる。
コントローラ5は、印刷対象である画像(印刷画像)の印刷を指示する印刷操作が利用者によって行われると、搬送指令を媒体送り機構2に出力し、往復指令をヘッド走査機構3に出力し、また、印刷画像に対応した印刷指令を記録ヘッド12に出力する。
【0026】
<具体的動作>
次に、本実施形態の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、図1に示すように、記録媒体6をステージ7にセットした後、利用者がコントローラ5に印刷操作を行ったとする。すると、コントローラ5によって、搬送指令が媒体送り機構2に出力され、往復指令がヘッド走査機構3に出力される。そして、媒体送り機構2およびヘッド走査機構3によって、記録媒体6が媒体搬送方向に印刷幅分ずつ搬送され、印刷幅分搬送されるたびに、記録媒体6の上方をヘッドユニット4が一往復する。
【0027】
また、コントローラ5によって、印刷指令が記録ヘッド12に出力される。そして、記録ヘッド12によって、記録媒体6の上方をヘッドユニット4がヘッド幅ずつ移動するたびに、任意のインク吐出孔が記録媒体6の上面の対向箇所に液滴を適宜吐出することで、印刷指令に応じた画像が記録媒体6に印刷される。また、LED16によって、ヘッドユニット4が往復しているときに、記録媒体6の上面の対向箇所に紫外線が常時照射されることで、記録媒体6に吐出したUVインクが硬化される。
【0028】
その際、冷却用ファン20によって、ヒートシンク17のフィン間の空気が吸い込まれ、図2に示すように、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接するフィルタ18を通じてダクト13内の空気がダクト13の排出口15側から吸引される。すると、キャリッジ10の下方を漂うインクミストを含む空気がダクト13の吸込口14側から吸い込まれ、ダクト13の排出口15と対向するフィルタ18にインクミストが吸着される。
【0029】
すなわち、本発明者は、インクジェット印刷装置に高電圧を用いたインクミストの除去機構を適用すると、高電圧を発生可能な大型の電源装置を備える必要があり、その結果、装置構成が大型で複雑なものとなってしまうことを発見した。
これに対し、記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10に設けることで、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できることを見いだした。
【0030】
以上、本実施形態では、図2のヘッドユニット4が特許請求の範囲に記載のヘッドユニットを構成し、以下同様に、図2の記録ヘッド12が記録ヘッドを構成し、図2のキャリッジ10がヘッド保持部を構成し、図2のLED16が光照射部を構成し、図2の冷却用ファン20が冷却用ファンを構成し、図2のダクト13がダクトを構成し、図2のヒートシンク17がヒートシンクを構成し、図2のフィルタ18がフィルタを構成する。
【0031】
<作用・効果>
(1)このように、本実施形態にあっては、記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10の内部に設けた。そのため、ダクト13内の空気が排出口15から冷却用ファン20に吸い込まれることで、記録ヘッド12周辺の空気が吸込口14からダクト13に流入するようになる。それゆえ、インク吐出時にインクミストが発生しても、記録ヘッド12周辺を漂っているインクミストを含む空気をダクト13で吸い込むことができる。すなわち、冷却用ファン20をインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【0032】
図7は、ヘッドユニットの変形例の構成を示す構成図であり、図8は、中実プレート22の構成を示す構成図である。
なお、本実施形態では、キャリッジ10を一部品で形成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、図7に示すように、記録ヘッド12が配されたキャリッジ本体部21およびダクト13が形成された中実プレート22を設け、キャリッジ本体部21を挟むように中実プレート22を配することでキャリッジ10を形成してもよい。中実プレート22は、図8に示すように、中実の板状部材にダクト13を切削して形成する。
【0033】
また、ヒートシンク17のフィン間の空気を冷却用ファン20で吸い込み、ヒートシンク17を冷却することで、LED16を冷却し、また、ヒートシンク17の側面にダクト13の排出口15を形成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、ヒートシンク17を設けず、LED16間の空気を冷却用ファン20で吸い込み、LED16間に空気を流入させて、LED16を直接に冷却してもよい。なお、LED16を直接に冷却する場合には、LED16と冷却用ファン20とを繋ぐ流路、すなわち、LED16から吸い込んだ空気が流れる流路にダクト13の吸込口14を形成してもよい。
また、UVインクの吐出時に冷却用ファン20を常に動作状態とする例を示したが、これに限られるものではない。例えば、冷却用ファン20が発生する気流がUVインクの吐出曲がりに影響を及ぼす場合には、UVインクを吐出する瞬間に冷却用ファン20を停止したり冷却用ファン20の回転数を低減したりしてもよい。
【0034】
さらに、本実施形態では、本発明を適用してシリアルヘッド方式のインクジェット印刷装置を構成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、記録媒体6の全幅にわたって設けられたキャリッジ10の記録ヘッド12からインクを吐出するとともに、キャリッジ10と直行する方向に記録媒体6を搬送して、記録媒体6に印刷を行うラインヘッド方式のインクジェット印刷装置を構成することもできる。
また、紫外線の照射によって硬化するUVインクで印刷を行う例を示したが、これに限られるものではない。例えば、電子線、X線、可視光線、赤外線等の紫外線以外の光の照射によって硬化するインクであってもよい。なお、紫外線以外の光で硬化するインクを用いる場合には、LED16に代えてその光を照射する光源を用いる。
【0035】
(2)また、インクミストを吸着して空気のみを通すフィルタ18をヒートシンク17の外周に巻き付け、キャリッジ10のフィルタ18対向面にダクト13の排出口15を形成した。さらに、ヒートシンク17のフィン間の空気を冷却用ファン20で吸い込み、フィルタ18を通してフィン間に空気を流入させて、フィン間の空気を強制的に対流させるようにした。そのため、排出口15から排出される空気がフィルタ18を通るときに、空気に含まれるインクミストをフィルタ18に吸着させて回収できる。
(3)さらに、フィルタ18は、ヒートシンク17の排出口15との対向面に接する部位に比べ、他の面に接する部位の目を細かいものとした。そのため、排出口15との対向面からヒートシンク17のフィン間により多くの空気を流入させることができ、冷却用ファン20がダクト13内の空気を排出口15側から効率よく吸い込むことができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
<構成>
図9は、第2実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
この第2実施形態は、図9に示すように、ダクト13の吸込口14の縁部分のうち、記録ヘッド12から遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って記録媒体6側に突き出たプレート23を配した点が前記第1実施形態と異なる。
すなわち、プレート23は、媒体搬送方向に沿って延びている板上部材であり、上端が吸込口14の記録ヘッド12から遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って固定され、下端が記録ヘッド12側(キャリッジ10の中央側)に傾いて形成されている。
【0037】
<作用・効果>
このように、本実施形態では、記録ヘッド12から遠い側のダクト13の縁部分に当該縁部分に沿って記録媒体6側に突き出たプレート23を配した。そのため、インクミストをプレート23で堰き止めることができ、ダクト13が吸い込む空気に含まれるインクミストの濃度を増大でき、その結果、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
ちなみに、ダクト13の縁部分にプレート23を備えないものにあっては、インクミストが広い領域に拡散し、ダクト13が吸い込む空気に含まれるインクミストの濃度が低下し、その結果、インクミストの吸い込み効率が低下する可能性がある。
【0038】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
<構成>
図10は、第3実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
この第3実施形態は、図10に示すように、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20の回転数を当該移動方向と反対側の冷却用ファン20の回転数よりも低くするようにした点が前記第1実施形態と異なる。
【0039】
すなわち、媒体搬送方向に向かってヘッドユニット4に正対した位置を基準として、ヘッドユニット4が右方向に移動するときに、コントローラ5によって、右側の冷却用ファン20の回転数を予め定められた基準回転数よりも低くする。また、ヘッドユニット4が左方向に移動するときに、コントローラ5によって、左側の冷却用ファン20の回転数を基準回転数よりも低減する。その際、ヘッドユニット4の移動方向と反対側の冷却用ファン20の回転数については、予め定められた基準回転数に維持する。
以上、本実施形態では、図1の媒体送り機構2が特許請求の範囲に記載の媒体送り機構を構成し、以下同様に、図1のヘッド走査機構3がヘッド走査機構を構成し、図1のコントローラ5が制御手段を構成する。
【0040】
<作用・効果>
このように、本実施形態にあっては、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20の回転数を当該移動方向と反対側の冷却用ファン20の回転数よりも低くするようにした。そのため、ヘッドユニット4の移動により、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
ちなみに、冷却用ファン20の回転数を常に一定とするものにあっては、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れるものの、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20により、ヘッドユニット4の移動方向にもインクミストが流れる。そのため、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が低下し、その結果、インクミストの吸い込み効率が低下する可能性がある。
【0041】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
この第4実施形態は、図11に示すように、ダクト13それぞれに吸込口14を塞ぐシャッタ24を備え、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側のダクト13の吸込口14をシャッタ24で塞ぐようにした点が前記第1実施形態と異なる。
そして、媒体搬送方向に向かってヘッドユニット4に正対した位置を基準として、ヘッドユニット4が右方向に移動するときに、コントローラ5によって、左側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって開状態としつつ右側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって閉状態とする。また、ヘッドユニット4が左方向に移動するときに、コントローラ5によって、右側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって開状態としつつ左側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって閉状態とする。
【0042】
ここで、シャッタ24は、ダクト13の吸込口14よりも若干大きい平板によって吸込口14それぞれに形成され、吸込口14を閉状態とする場合は吸込口14の下面を覆い、吸込口14を開状態とする場合は記録ヘッド12から遠ざかる方向にスライドする。
以上、本実施形態では、図1の媒体送り機構2が特許請求の範囲に記載の媒体送り機構を構成し、以下同様に、図1のヘッド走査機構3がヘッド走査機構を構成し、図1のコントローラ5および図11のシャッタ24が閉塞手段を構成する。
【0043】
<作用・効果>
このように、本実施形態にあっては、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側のダクト13の吸込口14をシャッタ24で塞ぐようにした(閉塞状態とした)。そのため、ヘッドユニット4の移動により、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、当該反対方向側の吸込口14で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【0044】
ちなみに、ダクト13の吸込口14を常に開状態とするものにあっては、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れるものの、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20により、ヘッドユニット4の移動方向にもインクミストが流れる。そのため、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が低下し、その結果、インクミストの吸い込み効率が低下する可能性がある。
なお、本実施形態では、ダクト13の吸込口14を閉塞状態とすることで、ダクト13を閉塞状態とする例を示したが、これに限られるものではない。例えば、ダクト13の排出口15を塞ぐようにしてもよいし、ダクト13の中間部分を塞ぐようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1はインクジェット印刷装置、2は媒体送り機構、3はヘッド走査機構、4はヘッドユニット、5はコントローラ、6は記録媒体、7はステージ、8はフィード軸、9はヘッドスキャン軸、10はキャリッジ、11は光源ユニット、12は記録ヘッド、13はダクト、14は吸込口、15は排出口、16はLED、17はヒートシンク、18はフィルタ、19はフィルタ固定治具、20は冷却用ファン、21はキャリッジ本体部、22は中実プレート、23はプレート、24はシャッタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性インクを記録媒体に吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、紫外線によって硬化するUV(ultraviolet)インクを記録媒体に吐出して印刷を行い、同時に、吐出したUVインクに紫外線を照射することで、UVインクを記録媒体上で硬化させるインクジェット印刷装置がある。
このようなインクジェット印刷装置にあっては、例えば、インク吐出時にインクミストが発生した場合には、針状電極に高電圧を印可してインクミストを分極し、分極したインクミストを静電的に吸着することで除去するものもある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−55002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、針状電極に高電圧を印可してインクミストを分極するようになっているため、高電圧を発生可能な大型の電源装置を備える必要があり、その結果、装置構成が大型で複雑なものとなってしまう。
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現可能なインクジェット印刷装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明のインクジェット印刷装置は、ヘッドユニットと相対移動する記録媒体に、当該ヘッドユニットの記録ヘッドから光硬化性インクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、前記ヘッドユニットは、前記記録媒体との対向面に前記記録ヘッドを保持するヘッド保持部と、前記記録ヘッドから吐出された光硬化性インクに当該光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射部と、前記光照射部を冷却する冷却用ファンと、を備え、前記ヘッド保持部は、前記記録媒体との対向面に吸込口が形成され且つ前記冷却用ファンが空気を吸い込む領域に排出口が形成されたダクトを備えることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、ダクト内の空気が排出口から冷却用ファンに吸い込まれることで、記録ヘッド周辺の空気が吸込口からダクトに流入するようになる。そのため、インク吐出時にインクミストが発生しても、記録ヘッド周辺を漂っているインクミストを含む空気をダクトで吸い込むことができる。すなわち、冷却用ファンをインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【0007】
また、前記ヘッド保持部の隣接位置に配され、前記光照射部の熱を吸収して拡散するフィン式のヒートシンクと、前記ヒートシンクの外周に取り付けられ、前記光硬化性インクのインクミストを吸着して空気のみを通すフィルタと、を備え、前記冷却用ファンは、前記ヒートシンクのフィン間の空気を吸い込み、前記フィルタを通して前記フィン間に空気を流入させて、前記フィン間の空気を強制的に対流させるようになっており、前記ダクトの前記排出口は、前記ヘッド保持部の前記フィルタとの対向面に形成されていることを特徴とするものでもよい。
【0008】
具体的には、前記ヒートシンクは、前記光照射部に接するベースと、前記ベースに対して垂直に立っている複数のフィンと、を備え、前記冷却用ファンは、前記ヒートシンクに対して前記フィンが立っている側に配され、前記ヒートシンクの前記フィン間の空気を吸い込むものであり、前記フィルタは、前記ベースと前記冷却用ファンとで挟まれた前記複数のフィン全体からなる外周に取り付けた構成が挙げられる。
【0009】
このような構成によれば、ダクトの排出口から排出される空気がフィルタを通るときに、空気に含まれるインクミストをフィルタに吸着させて回収できる。
さらに、前記フィルタは、前記ヒートシンクの前記排出口との対向面に接する部位に比べ、他の面に接する部位の目が細かいものであることを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、排出口との対向面からフィン間により多くの空気を流入させることができ、ダクト内の空気を排出口側から効率よく吸い込むことができる。
【0010】
また、前記ヘッド保持部は、前記吸込口の縁部分のうち、前記記録ヘッドから遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って前記記録媒体側に突き出た突出部を備えることを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、インクミストを突出部で堰き止めることができ、ダクトが吸い込む空気に含まれるインクミストの濃度を増大でき、その結果、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【0011】
さらに、前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記冷却用ファンの回転数を当該移動方向と反対側の前記冷却用ファンの回転数よりも低くする制御手段を備えたことを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、ヘッドユニットの移動により、ヘッドユニットの移動方向と反対方向側の吸込口付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニットの移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、当該反対方向側の吸込口で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【0012】
また、前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記ダクトを閉塞状態とする閉塞手段を備えたことを特徴とするものでもよい。
このような構成によれば、ヘッドユニットの移動により、ヘッドユニットの移動方向と反対方向側の吸込口付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニットの移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、当該反対方向側の吸込口で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】UVインクジェット印刷装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】ヘッドユニットの構成を示す構成図である。
【図3】キャリッジを破断してダクトの構成を示す構成図である。
【図4】フィルタの取り付け状態を示す構成図である。
【図5】フィルタの取り付け状態の変形例を示す構成図である。
【図6】フィルタの特性を説明するための説明図である。
【図7】ヘッドユニットの変形例の構成を示す構成図である。
【図8】プレートの構成を示す構成図である。
【図9】第2実施形態のヘッドユニットの構成を示す構成図である。
【図10】第3実施形態のヘッドユニットの構成を示す構成図である。
【図11】第4実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
<構成>
図1は、UVインクジェット印刷装置1の概略構成を示す構成図である。
本実施形態のUVインクジェット印刷装置1は、図1に示すように、シリアルヘッド方式のインクジェット印刷装置であり、媒体送り機構2、ヘッド走査機構3、ヘッドユニット4およびコントローラ5を備える。
【0015】
媒体送り機構2は、ガラスやIC等の印刷対象物(記録媒体6)を上面に保持可能なステージ7、およびステージ7を予め定められた媒体搬送方向(図1の+Y方向)に搬送するフィード軸8を備える。そして、媒体送り機構2は、記録媒体6の搬送を指示する搬送指令がコントローラ5から出力されると、ステージ7に記録媒体6を保持させ、フィード軸8にステージ7を媒体搬送方向に搬送させることで、記録媒体6を当該媒体搬送方向に一定距離ずつ搬送する。ここで、記録媒体6を搬送する一定距離としては、後述する記録ヘッド12の搬送方向幅(印刷幅)が挙げられる。
【0016】
ヘッド走査機構3は、媒体送り機構2の上方に配されており、ヘッドユニット4を媒体搬送方向と直行するヘッド走査方向(図1の+X方向および−X方向)に沿って往復させるヘッドスキャン軸9を備える。そして、ヘッド走査機構3は、ヘッドユニット4の往復を指示する往復指令がコントローラ5から出力されると、記録媒体6が印刷幅搬送されるたびに、ヘッドスキャン軸9にヘッドユニット4を往復させることで、記録媒体6の上方をヘッドユニット4が往復する。なお、ヘッドユニット4の往復時にあっては、後述する記録ヘッド12のヘッド走査方向幅(ヘッド幅)ずつヘッドユニット4を移動させる。
【0017】
図2は、ヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
ヘッドユニット4は、図2に示すように、キャリッジ10、およびキャリッジ10のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配された光源ユニット11を備える。
キャリッジ10は、媒体搬送方向に向かってキャリッジ10に正対した位置を基準として、左側面が−X方向に向けられ、右側面が+X方向に向けられ、正面が媒体搬送方向と反対方向に向けられた直方体状に形成されている。
【0018】
また、キャリッジ10の下面の中央部には、媒体搬送方向に沿って伸びている2つの記録ヘッド12が並列に配されている。すなわち、キャリッジ10は、記録媒体6との対向面に記録ヘッド12を保持している。記録ヘッド12は、UVインクの液滴を下方に吐出する複数のインク吐出孔を備える。そして、記録ヘッド12は、液滴の吐出を指示する印刷指令がコントローラ5から出力されると、記録媒体6の上方でヘッドユニット4がヘッド幅移動するたびに、任意のインク吐出孔に記録媒体6の対向箇所に液滴を適宜吐出させることで、印刷指令に応じた画像を記録媒体6に印刷する。
【0019】
図3は、キャリッジを破断してダクト13の構成を示す構成図である。
記録ヘッド12を挟み、キャリッジ10のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部には、図3に示すように、キャリッジ10の下面に吸込口14が形成され且つキャリッジ10の側面に排出口15が形成されて、キャリッジ10の下面と側面とを繋ぐダクト13が配されている。すなわち、ダクト13は、記録媒体6との対向面に吸込口14を有し且つ後述するヒートシンク17の側面と対向する位置(フィルタ18との対向面)、つまり、後述する冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15を有する。ここで、吸込口14の媒体搬送方向の幅は、記録ヘッド12の媒体搬送方向の幅よりも広く形成され、また、吸込口14の開口部の大きさは、吸込口14での流速が増大するように、排出口15の開口部の大きさよりも狭く形成されている。そして、ダクト13は、インク吐出孔が液滴を吐出しているときに、ダクト13内の空気が排出口15側から吸引されることで、キャリッジ10の下方を漂うインクミストを吸込口14側から吸い込む。
【0020】
また、ダクト13の内面には、UVインクを吸着可能なフィルタまたはUVインクを吸着可能な部材が取り付けられている。
光源ユニット11は、キャリッジ10と同様に、媒体搬送方向に向かって光源ユニット11に正対した位置を基準として、左側面が−X方向に向けられ、右側面が+X方向に向けられ、正面が媒体搬送方向と反対方向に向けられた直方体状に形成されている。
【0021】
光源ユニット11の下段部、つまり、光源ユニット11の下面全体には、UVインクを硬化させる紫外線を下方に照射する複数のLED16が配されている。そして、LED16は、記録媒体6の上方におけるヘッドユニット4の往復時に、記録媒体6の上面の対向箇所に紫外線を常時照射することで、記録媒体6に吐出したUVインクを硬化する。
光源ユニット11の中段部には、LED16から発せられる熱を吸収して拡散するフィン式のヒートシンク17が配されている。ヒートシンク17は、LED16の上端に接するベース、およびベースに対して垂直に立っている複数のフィンを備える。そして、ヒートシンク17は、複数のフィンにより外形がほぼ角柱状に形成されている。
【0022】
図4は、フィルタ18の取り付け状態を示す構成図である。
ヒートシンク17の側面の外周には、図4に示すように、インクミストを吸着して空気のみを通すフィルタ18が巻き付けられている。また、ヒートシンク17は、ヒートシンク17の側面の外周よりも内周が若干大きい角筒状で且つ当該側面と対向する箇所の中央部それぞれがくり抜かれたフィルタ固定治具19を備える。そして、フィルタ18は、ヒートシンク17の側面の外周に巻き付けられた後、フィルタ固定治具19がフィルタ18ごとヒートシンク17にかぶせられることで、ヒートシンク17に固定される。すなわち、フィルタ18は、ヒートシンク17に交換可能に取り付けられる。
また、フィルタ18は、ダクト13の排出口15との対向面から空気を流入させることで、ダクト13の排出口15から排出される空気がフィルタ18を通るときに、空気に含まれるインクミストをフィルタ18に吸着させて回収する。
【0023】
図5は、フィルタ18の取り付け状態の変形例を示す構成図である。
なお、フィルタ固定治具19としては、角筒状のものに限られるものではない。例えば、図5に示すように、ヒートシンク17の4つの側面のうち、3つの側面と対向する部位のみを備え残り1つの側面と対向する部位が開放状態となっているものでもよい。
図6は、フィルタ18の特性を説明するための説明図である。
また、フィルタ18は、図6に示すように、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接する部位に比べ、他の側面に接する部位の目が細かいものとなっている。そして、フィルタ18は、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接する部位、つまり、ダクト13の排出口15との対向面からより多くの空気を流入させることで、冷却用ファン20がダクト13内の空気を排出口15側からより効率よく吸引できる。
【0024】
光源ユニット11の上段部、つまり、ヒートシンク17の上方には、ヒートシンク17のフィン間の空気を吸い込み上方に排出する冷却用ファン20が配されている。そして、冷却用ファン20は、ヒートシンク17のフィン間の空気を吸い込むことで、フィルタ18を通してフィン間に空気を流入させて、フィン間の空気を強制的に対流させ、ヒートシンク17およびLED16を冷却する。また、冷却用ファン20は、UVインクが吐出されているときに、ヒートシンク17のフィン間の空気を吸い込むことで、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接するフィルタ18を通じてダクト13内の空気をダクト13の排出口15側から吸引する。すなわち、記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10に設けることで、冷却用ファン20をインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【0025】
ここで、冷却用ファン20としては、単にLED16を冷却するためだけのものよりも大きなパワーのものを用いる。
コントローラ5は、印刷対象である画像(印刷画像)の印刷を指示する印刷操作が利用者によって行われると、搬送指令を媒体送り機構2に出力し、往復指令をヘッド走査機構3に出力し、また、印刷画像に対応した印刷指令を記録ヘッド12に出力する。
【0026】
<具体的動作>
次に、本実施形態の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、図1に示すように、記録媒体6をステージ7にセットした後、利用者がコントローラ5に印刷操作を行ったとする。すると、コントローラ5によって、搬送指令が媒体送り機構2に出力され、往復指令がヘッド走査機構3に出力される。そして、媒体送り機構2およびヘッド走査機構3によって、記録媒体6が媒体搬送方向に印刷幅分ずつ搬送され、印刷幅分搬送されるたびに、記録媒体6の上方をヘッドユニット4が一往復する。
【0027】
また、コントローラ5によって、印刷指令が記録ヘッド12に出力される。そして、記録ヘッド12によって、記録媒体6の上方をヘッドユニット4がヘッド幅ずつ移動するたびに、任意のインク吐出孔が記録媒体6の上面の対向箇所に液滴を適宜吐出することで、印刷指令に応じた画像が記録媒体6に印刷される。また、LED16によって、ヘッドユニット4が往復しているときに、記録媒体6の上面の対向箇所に紫外線が常時照射されることで、記録媒体6に吐出したUVインクが硬化される。
【0028】
その際、冷却用ファン20によって、ヒートシンク17のフィン間の空気が吸い込まれ、図2に示すように、ヒートシンク17のキャリッジ10側の側面に接するフィルタ18を通じてダクト13内の空気がダクト13の排出口15側から吸引される。すると、キャリッジ10の下方を漂うインクミストを含む空気がダクト13の吸込口14側から吸い込まれ、ダクト13の排出口15と対向するフィルタ18にインクミストが吸着される。
【0029】
すなわち、本発明者は、インクジェット印刷装置に高電圧を用いたインクミストの除去機構を適用すると、高電圧を発生可能な大型の電源装置を備える必要があり、その結果、装置構成が大型で複雑なものとなってしまうことを発見した。
これに対し、記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10に設けることで、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できることを見いだした。
【0030】
以上、本実施形態では、図2のヘッドユニット4が特許請求の範囲に記載のヘッドユニットを構成し、以下同様に、図2の記録ヘッド12が記録ヘッドを構成し、図2のキャリッジ10がヘッド保持部を構成し、図2のLED16が光照射部を構成し、図2の冷却用ファン20が冷却用ファンを構成し、図2のダクト13がダクトを構成し、図2のヒートシンク17がヒートシンクを構成し、図2のフィルタ18がフィルタを構成する。
【0031】
<作用・効果>
(1)このように、本実施形態にあっては、記録媒体6との対向面に吸込口14が形成され且つ冷却用ファン20が空気を吸い込む領域に排出口15が形成されたダクト13をキャリッジ10の内部に設けた。そのため、ダクト13内の空気が排出口15から冷却用ファン20に吸い込まれることで、記録ヘッド12周辺の空気が吸込口14からダクト13に流入するようになる。それゆえ、インク吐出時にインクミストが発生しても、記録ヘッド12周辺を漂っているインクミストを含む空気をダクト13で吸い込むことができる。すなわち、冷却用ファン20をインクミストの除去にも利用することができ、インクミストの除去機構を比較的簡単な構成で実現できる。
【0032】
図7は、ヘッドユニットの変形例の構成を示す構成図であり、図8は、中実プレート22の構成を示す構成図である。
なお、本実施形態では、キャリッジ10を一部品で形成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、図7に示すように、記録ヘッド12が配されたキャリッジ本体部21およびダクト13が形成された中実プレート22を設け、キャリッジ本体部21を挟むように中実プレート22を配することでキャリッジ10を形成してもよい。中実プレート22は、図8に示すように、中実の板状部材にダクト13を切削して形成する。
【0033】
また、ヒートシンク17のフィン間の空気を冷却用ファン20で吸い込み、ヒートシンク17を冷却することで、LED16を冷却し、また、ヒートシンク17の側面にダクト13の排出口15を形成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、ヒートシンク17を設けず、LED16間の空気を冷却用ファン20で吸い込み、LED16間に空気を流入させて、LED16を直接に冷却してもよい。なお、LED16を直接に冷却する場合には、LED16と冷却用ファン20とを繋ぐ流路、すなわち、LED16から吸い込んだ空気が流れる流路にダクト13の吸込口14を形成してもよい。
また、UVインクの吐出時に冷却用ファン20を常に動作状態とする例を示したが、これに限られるものではない。例えば、冷却用ファン20が発生する気流がUVインクの吐出曲がりに影響を及ぼす場合には、UVインクを吐出する瞬間に冷却用ファン20を停止したり冷却用ファン20の回転数を低減したりしてもよい。
【0034】
さらに、本実施形態では、本発明を適用してシリアルヘッド方式のインクジェット印刷装置を構成する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、記録媒体6の全幅にわたって設けられたキャリッジ10の記録ヘッド12からインクを吐出するとともに、キャリッジ10と直行する方向に記録媒体6を搬送して、記録媒体6に印刷を行うラインヘッド方式のインクジェット印刷装置を構成することもできる。
また、紫外線の照射によって硬化するUVインクで印刷を行う例を示したが、これに限られるものではない。例えば、電子線、X線、可視光線、赤外線等の紫外線以外の光の照射によって硬化するインクであってもよい。なお、紫外線以外の光で硬化するインクを用いる場合には、LED16に代えてその光を照射する光源を用いる。
【0035】
(2)また、インクミストを吸着して空気のみを通すフィルタ18をヒートシンク17の外周に巻き付け、キャリッジ10のフィルタ18対向面にダクト13の排出口15を形成した。さらに、ヒートシンク17のフィン間の空気を冷却用ファン20で吸い込み、フィルタ18を通してフィン間に空気を流入させて、フィン間の空気を強制的に対流させるようにした。そのため、排出口15から排出される空気がフィルタ18を通るときに、空気に含まれるインクミストをフィルタ18に吸着させて回収できる。
(3)さらに、フィルタ18は、ヒートシンク17の排出口15との対向面に接する部位に比べ、他の面に接する部位の目を細かいものとした。そのため、排出口15との対向面からヒートシンク17のフィン間により多くの空気を流入させることができ、冷却用ファン20がダクト13内の空気を排出口15側から効率よく吸い込むことができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
<構成>
図9は、第2実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
この第2実施形態は、図9に示すように、ダクト13の吸込口14の縁部分のうち、記録ヘッド12から遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って記録媒体6側に突き出たプレート23を配した点が前記第1実施形態と異なる。
すなわち、プレート23は、媒体搬送方向に沿って延びている板上部材であり、上端が吸込口14の記録ヘッド12から遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って固定され、下端が記録ヘッド12側(キャリッジ10の中央側)に傾いて形成されている。
【0037】
<作用・効果>
このように、本実施形態では、記録ヘッド12から遠い側のダクト13の縁部分に当該縁部分に沿って記録媒体6側に突き出たプレート23を配した。そのため、インクミストをプレート23で堰き止めることができ、ダクト13が吸い込む空気に含まれるインクミストの濃度を増大でき、その結果、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
ちなみに、ダクト13の縁部分にプレート23を備えないものにあっては、インクミストが広い領域に拡散し、ダクト13が吸い込む空気に含まれるインクミストの濃度が低下し、その結果、インクミストの吸い込み効率が低下する可能性がある。
【0038】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
<構成>
図10は、第3実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
この第3実施形態は、図10に示すように、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20の回転数を当該移動方向と反対側の冷却用ファン20の回転数よりも低くするようにした点が前記第1実施形態と異なる。
【0039】
すなわち、媒体搬送方向に向かってヘッドユニット4に正対した位置を基準として、ヘッドユニット4が右方向に移動するときに、コントローラ5によって、右側の冷却用ファン20の回転数を予め定められた基準回転数よりも低くする。また、ヘッドユニット4が左方向に移動するときに、コントローラ5によって、左側の冷却用ファン20の回転数を基準回転数よりも低減する。その際、ヘッドユニット4の移動方向と反対側の冷却用ファン20の回転数については、予め定められた基準回転数に維持する。
以上、本実施形態では、図1の媒体送り機構2が特許請求の範囲に記載の媒体送り機構を構成し、以下同様に、図1のヘッド走査機構3がヘッド走査機構を構成し、図1のコントローラ5が制御手段を構成する。
【0040】
<作用・効果>
このように、本実施形態にあっては、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20の回転数を当該移動方向と反対側の冷却用ファン20の回転数よりも低くするようにした。そのため、ヘッドユニット4の移動により、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
ちなみに、冷却用ファン20の回転数を常に一定とするものにあっては、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れるものの、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20により、ヘッドユニット4の移動方向にもインクミストが流れる。そのため、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が低下し、その結果、インクミストの吸い込み効率が低下する可能性がある。
【0041】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態のヘッドユニット4の構成を示す構成図である。
この第4実施形態は、図11に示すように、ダクト13それぞれに吸込口14を塞ぐシャッタ24を備え、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側のダクト13の吸込口14をシャッタ24で塞ぐようにした点が前記第1実施形態と異なる。
そして、媒体搬送方向に向かってヘッドユニット4に正対した位置を基準として、ヘッドユニット4が右方向に移動するときに、コントローラ5によって、左側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって開状態としつつ右側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって閉状態とする。また、ヘッドユニット4が左方向に移動するときに、コントローラ5によって、右側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって開状態としつつ左側のダクト13の吸込口14をシャッタ24によって閉状態とする。
【0042】
ここで、シャッタ24は、ダクト13の吸込口14よりも若干大きい平板によって吸込口14それぞれに形成され、吸込口14を閉状態とする場合は吸込口14の下面を覆い、吸込口14を開状態とする場合は記録ヘッド12から遠ざかる方向にスライドする。
以上、本実施形態では、図1の媒体送り機構2が特許請求の範囲に記載の媒体送り機構を構成し、以下同様に、図1のヘッド走査機構3がヘッド走査機構を構成し、図1のコントローラ5および図11のシャッタ24が閉塞手段を構成する。
【0043】
<作用・効果>
このように、本実施形態にあっては、ヘッドユニット4の往復時に、ヘッドユニット4の移動方向側のダクト13の吸込口14をシャッタ24で塞ぐようにした(閉塞状態とした)。そのため、ヘッドユニット4の移動により、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が増大するところ、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れて当該インクミストの濃度をより増大できる。その結果、当該反対方向側の吸込口14で、インクミストを効率よく吸い込むことができる。
【0044】
ちなみに、ダクト13の吸込口14を常に開状態とするものにあっては、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向にインクミストが流れるものの、ヘッドユニット4の移動方向側の冷却用ファン20により、ヘッドユニット4の移動方向にもインクミストが流れる。そのため、ヘッドユニット4の移動方向と反対方向側の吸込口14付近のインクミストの濃度が低下し、その結果、インクミストの吸い込み効率が低下する可能性がある。
なお、本実施形態では、ダクト13の吸込口14を閉塞状態とすることで、ダクト13を閉塞状態とする例を示したが、これに限られるものではない。例えば、ダクト13の排出口15を塞ぐようにしてもよいし、ダクト13の中間部分を塞ぐようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1はインクジェット印刷装置、2は媒体送り機構、3はヘッド走査機構、4はヘッドユニット、5はコントローラ、6は記録媒体、7はステージ、8はフィード軸、9はヘッドスキャン軸、10はキャリッジ、11は光源ユニット、12は記録ヘッド、13はダクト、14は吸込口、15は排出口、16はLED、17はヒートシンク、18はフィルタ、19はフィルタ固定治具、20は冷却用ファン、21はキャリッジ本体部、22は中実プレート、23はプレート、24はシャッタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドユニットと相対移動する記録媒体に、当該ヘッドユニットの記録ヘッドから光硬化性インクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
前記ヘッドユニットは、前記記録媒体との対向面に前記記録ヘッドを保持するヘッド保持部と、前記記録ヘッドから吐出された光硬化性インクに当該光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射部と、前記光照射部を冷却する冷却用ファンと、を備え、
前記ヘッド保持部は、前記記録媒体との対向面に吸込口が形成され且つ前記冷却用ファンが空気を吸い込む領域に排出口が形成されたダクトを備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記ヘッド保持部の隣接位置に配され、前記光照射部の熱を吸収して拡散するフィン式のヒートシンクと、前記ヒートシンクの外周に取り付けられ、前記光硬化性インクのインクミストを吸着して空気のみを通すフィルタと、を備え、
前記冷却用ファンは、前記ヒートシンクのフィン間の空気を吸い込み、前記フィルタを通して前記フィン間に空気を流入させて、前記フィン間の空気を強制的に対流させるようになっており、
前記ダクトの前記排出口は、前記ヘッド保持部の前記フィルタとの対向面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記ヒートシンクの前記排出口との対向面に接する部位に比べ、他の面に接する部位の目が細かいものであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記ヘッド保持部は、前記吸込口の縁部分のうち、前記記録ヘッドから遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って前記記録媒体側に突き出た突出部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項5】
前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、
前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、
前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、
前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記冷却用ファンの回転数を当該移動方向と反対側の前記冷却用ファンの回転数よりも低くする制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項6】
前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、
前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、
前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、
前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記ダクトを閉塞状態とする閉塞手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項1】
ヘッドユニットと相対移動する記録媒体に、当該ヘッドユニットの記録ヘッドから光硬化性インクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
前記ヘッドユニットは、前記記録媒体との対向面に前記記録ヘッドを保持するヘッド保持部と、前記記録ヘッドから吐出された光硬化性インクに当該光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射部と、前記光照射部を冷却する冷却用ファンと、を備え、
前記ヘッド保持部は、前記記録媒体との対向面に吸込口が形成され且つ前記冷却用ファンが空気を吸い込む領域に排出口が形成されたダクトを備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記ヘッド保持部の隣接位置に配され、前記光照射部の熱を吸収して拡散するフィン式のヒートシンクと、前記ヒートシンクの外周に取り付けられ、前記光硬化性インクのインクミストを吸着して空気のみを通すフィルタと、を備え、
前記冷却用ファンは、前記ヒートシンクのフィン間の空気を吸い込み、前記フィルタを通して前記フィン間に空気を流入させて、前記フィン間の空気を強制的に対流させるようになっており、
前記ダクトの前記排出口は、前記ヘッド保持部の前記フィルタとの対向面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記ヒートシンクの前記排出口との対向面に接する部位に比べ、他の面に接する部位の目が細かいものであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記ヘッド保持部は、前記吸込口の縁部分のうち、前記記録ヘッドから遠い側の縁部分に当該縁部分に沿って前記記録媒体側に突き出た突出部を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項5】
前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、
前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、
前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、
前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記冷却用ファンの回転数を当該移動方向と反対側の前記冷却用ファンの回転数よりも低くする制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項6】
前記記録媒体を媒体搬送方向に搬送する媒体送り機構と、前記媒体搬送方向と交差するヘッド走査方向に沿って前記ヘッドユニットを往復させるヘッド走査機構と、を備え、
前記光照射部および前記冷却用ファンは、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの隣接位置に配され、
前記ダクトは、前記記録ヘッドを挟み、前記ヘッド保持部のヘッド走査方向端部それぞれの側の内部に形成され、
前記ヘッドユニットの往復時に、前記ヘッドユニットの移動方向側の前記ダクトを閉塞状態とする閉塞手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−187583(P2012−187583A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117307(P2012−117307)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2008−15882(P2008−15882)の分割
【原出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2008−15882(P2008−15882)の分割
【原出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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