説明

インサーキットエミュレータ用アダプタおよびインサーキットエミュレータ

【課題】CPUコア用インサーキットエミュレータ(ICE)と、遊技機向け付加回路の機能をエミュレートするICE用アダプタとで構成されるICEにおいて、ブレーク中に、ICE用アダプタに搭載されている遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、その付加回路内のメモリやレジスタからデータを読み出す
【解決手段】乱数回路11やウォッチドッグタイマ12のように状態遷移回路を含む回路では、CPUコア用ICE20がブレークされているとき、状態遷移回路の状態遷移を停止させる。受信用FIFO回路13のリードポインタのように、CPUコア用ICE20がレジスタやメモリの内容を読み出すと内部状態が変化する回路では、内部状態を保存したままレジスタやメモリの内容を読み出すことができる回路を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機制御用マイクロコンピュータの遊技機向け付加回路の機能をエミュレートするインサーキットエミュレータ用アダプタと、このインサーキットエミュレータ用アダプタと遊技機制御用マイクロコンピュータのCPU(Central Processing Unit)コアの機能をエミュレートするCPUコア用インサーキットエミュレータで構成されるインサーキットエミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機制御用マイクロコンピュータは、プログラムの改ざん等の不正行為を検出するために外部の照合機によって検査可能な構成でなければならない。このため、CPUコアは、従来から遊技機制御用マイクロコンピュータに搭載されているものを用いざるを得ない。
【0003】
一方、遊技機の高機能化・高性能化に対応するために、遊技機制御用マイクロコンピュータには、ウオッチドックタイマ、乱数回路、FIFO(First In First Out)回路等の遊技機向け付加回路が搭載されるようになった。
【0004】
ここで、遊技機用のプログラムや遊技機のハードを開発する際には、遊技機制御用マイクロコンピュータの機能をエミュレートするインサーキットエミュレータ(以下、ICEという。)が用いられる。
ただし、様々な付加回路が搭載された遊技機制御用マイクロコンピュータごとにICEを開発するとICEのコストが高くなる。そこで、遊技機制御用マイクロコンピュータの機能をエミュレートするICEは、CPUコア用ICEと、遊技機向け付加回路の機能をエミュレートするICE用アダプタとで構成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遊技機制御用マイクロコンピュータ用ICEは、プログラムの実行を停止している(ブレークしている)とき、CPUコア内の回路の内部状態を保存したまま、CPUコア内の所定のメモリやレジスタからデータを読みだすことができる。
しかし、アダプタに搭載されている遊技機向け付加回路の中には、ブレーク中にデータを読み出すと回路の内部状態が変化するものが含まれている。
例えば、受信用FIFO回路は、ブレーク中にデータを読み出すとリードポインタのポインタ値が変化する。特許文献1に開示されているICEは、ブレーク中にリードポインタのポインタ値を変化させずに、受信用FIFO回路に記憶されている複数のデータのうち最初に入力されたデータのみ受信用FIFO回路から読み出すことができる。けれども、このICEは、ブレーク中に、2番目以降に入力されたデータを受信用FIFO回路から読み出すことができない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ブレーク中に、アダプタに搭載されている遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、その付加回路内の所定のメモリやレジスタからデータを読み出すことができる遊技機制御用マイクロコンピュータのためのインサーキットエミュレータ用アダプタとそれを用いたインサーキットエミュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るインサーキットエミュレータ用アダプタは、
CPUコアと遊技機向け付加回路で構成される遊技機制御用マイクロコンピュータの当該遊技機向け付加回路の機能をエミュレートするインサーキットエミュレータ用アダプタであって、
前記CPUコアの機能をエミュレートするCPUコア用インサーキットエミュレータが遊技機制御用プログラムの実行を停止していることを検出する停止検出手段と、
前記停止検出手段によって遊技機制御用プログラムの実行停止が検出されたことに応答して、前記遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、前記遊技機向け付加回路に含まれる所定のメモリとレジスタに記憶されているデータが前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって読み出されることを可能とする読出制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記停止検出手段は、前記遊技機制御用プログラムの実行を停止したときに前記CPUコア用インサーキットエミュレータから出力されるブレーク信号が入力されたことにより、遊技機制御用プログラムの実行停止を検出する。
【0010】
好ましくは、前記遊技機向け付加回路は、生成された乱数値を乱数値レジスタに設定する乱数回路と、カウンタのカウンタ値が所定の値と一致するとタイムアウト信号を発生するウォッチドッグタイマと、受信した複数のデータを記憶する記憶部と当該記憶部から出力されるデータを指定するリードポインタとを含んでおり、当該記憶部から当該各データを受信した順番で出力する受信用FIFO回路とを有し、
前記読出制御手段は、前記遊技機制御用プログラムの実行停止が検出されたことに応答して、前記乱数回路と前記ウォッチドッグタイマの状態遷移を停止させ、前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって前記乱数回路に含まれる乱数値レジスタと前記ウォッチドッグタイマに含まれるカウンタからそれぞれ乱数値とカウンタ値が読み出されることを可能とし、かつ、前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって、前記リードポインタのポインタ値を保存して前記受信用FIFO回路に含まれる記憶部から記憶されている各データが読み出されることを可能にする。
【0011】
好ましくは、前記読出制御手段は、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータに接続されるデータバスと、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータに接続されるアドレスバスと、
を有し、
前記アドレスバスを送信されるアドレスに基づいて、前記乱数回路に含まれる乱数値レジスタに記憶されている乱数値又は前記ウォッチドッグタイマに含まれるカウンタに記憶されているカウンタ値又は前記受信用FIFO回路に含まれる記憶部に記憶されている各データを前記データバスに出力させる。
【0012】
また、本発明に係るインサーキットエミュレータは、
CPUコアの機能をエミュレートするCPUコア用インサーキットエミュレータと遊技機向け付加回路の機能をエミュレートするインサーキットエミュレータ用アダプタとで構成されるインサーキットエミュレータであって、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータは、遊技機制御用プログラムの実行を停止している間、ブレーク信号を出力するブレーク信号出力手段を備え、
前記インサーキットエミュレータ用アダプタは、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータのブレーク信号出力手段によってブレーク信号が出力されていることに応答して、前記遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、前記遊技機向け付加回路に含まれる所定のメモリとレジスタに記憶されているデータが前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって読み出されることを可能とする読出制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊技機制御用マイクロコンピュータ用ICEが、ブレーク中に、アダプタに搭載されている遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、その付加回路内の所定のメモリやレジスタからデータを読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技機制御用マイクロコンピュータのためのインサーキットエミュレータの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る乱数回路の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るウォッチドッグタイマの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る受信用FIFO回路の構成の第1の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る受信用FIFO回路の構成の第2の例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る受信用FIFO回路の構成の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係る遊技機制御用マイクロコンピュータのためのインサーキットエミュレータ1は、図1に示すように、ICE用アダプタ10とCPUコア用ICE20とを含んでいる。なお、ターゲットボード30は、遊技機を構成する回路が搭載されたボードである。
CPUコア用ICE20は、図示しないコンピュータ等に接続される。インサーキットエミュレータ1は、このコンピュータ等により制御される。
【0017】
CPUコア用ICE20は、例えば、Z80命令互換のCPUコアやM6800/M6801命令互換のCPUコアの機能をエミュレートする。
ICE用アダプタ10は、乱数回路11やウォッチドッグタイマ12等の遊技機専用の回路、受信用FIFO回路13、送信用FIFO回路(図示なし)、タイマ回路(図示なし)等の遊技機に必要とされる汎用回路およびCPUソケット14を含んでいる。
【0018】
CPUコア用ICE20は、CPUコアの全ての入出力端子とブレーク信号出力端子(Break)とを有している。
CPUコアの全ての入出力端子は、CPUソケット14を介してICE用アダプタ10に接続される。これらの入出力端子は、アドレス出力端子(Address)、データ入出力端子(Data)、制御信号端子(Control)に分類される。
制御信号端子は、CPUコアの種類によって異なるが、例えば、Z80命令互換のCPUコアの場合、リードストローブ出力端子とライトストローブ出力端子を含む。以下、リードストローブ出力端子から出力される信号をRD信号、ライトストローブ出力端子から出力される信号をWR信号という。
以下では、Z80命令互換のCPUコアを例として説明する。
【0019】
ブレーク信号出力端子から出力されるブレーク信号は、CPUコア用ICE20がブレークされたこと、すなわちプログラムの実行を停止させられたことを示す。
ユーザがインサーキットエミュレータ1を制御するコンピュータからインサーキットエミュレータ1をブレークさせる旨の指示を入力すると、CPUコア用ICE20は遊技機制御用プログラムの実行を停止する。そして、CPUコア用ICE20は遊技機制御用プログラムの実行を停止している間、ブレーク信号を出力する。
【0020】
ターゲットボード30には、遊技機制御用マイクロコンピュータのためのソケットが実装されている。完成した遊技機では、このソケットに遊技機制御用マイクロコンピュータが装着される。遊技機のハードやソフトの開発中には、このソケットを介してICE用アダプタ10の入出力端子がターゲットボード30に接続される。
なお、ブレーク信号はCPUコア用ICE20とICE用アダプタ10との間の信号であり、遊技機制御用マイクロコンピュータから出力される信号ではない。このため、ブレーク信号出力端子はターゲットボード30には接続されない。
【0021】
乱数回路11、ウォッチドッグタイマ12、受信用FIFO回路13、およびその他のICE用アダプタ10に搭載されている回路は、必要に応じてアドレスバス(Address)、データバス(Data)、RD信号線とWR信号線を含む制御信号線(Control)、ブレーク信号線(Break)に接続される。
【0022】
乱数回路11は、大当たりのような入賞のタイミングを制御する等の目的で擬似乱数を生成する。
乱数回路11は、図2に示すように、カウンタ111と、乱数生成回路112と、乱数値レジスタ113と、乱数生成停止回路114と、アドレスデコード回路115と、トライステートバッファ116とを有している。
【0023】
カウンタ111と乱数生成回路112はクロックごとに回路の状態が遷移する状態遷移回路である。
カウンタ111は、周期的に乱数を更新する場合に使用される。カウンタ111のカウンタ値が予め設定された値になると、乱数生成回路112の乱数値が更新される。
乱数生成回路112は、クロックごとに乱数値を生成し、生成した乱数値を乱数値レジスタ113に設定する。
乱数生成停止回路114は、CPUコア用ICE20が遊技機制御用プログラムを実行しているとき、カウンタ111と乱数生成回路112を動作させる。一方、乱数生成停止回路114は、CPUコア用ICE20からブレーク信号が出力されているとき、カウンタ111と乱数生成回路112の状態遷移を停止させる。
【0024】
アドレスデコード回路115は、アドレスバスに出力されるアドレスが乱数値レジスタ113に割り当てられているアドレスと一致し、RD信号線にRD信号が出力されている場合に、トライステートバッファ116をオープンし、乱数値レジスタ113に設定されている乱数値をデータバスに出力する。
【0025】
従って、CPUコア用ICE20は、遊技機制御用プログラムを実行している間に、アドレスバスとRD信号線にそれぞれ乱数値レジスタ113のアドレスとRD信号を出力し、データバスに出力された乱数値を読み取ることによって、乱数値レジスタ113から乱数値を読み出すことができる。
また、CPUコア用ICE20は、ブレークされている(遊技機制御用プログラムの実行を停止している)間には、乱数回路11(カウンタ111と乱数生成回路112)の状態遷移を停止させて、乱数値レジスタ113から乱数値を読み出すことができる。
なお、アドレスデコード回路115にブレーク信号を入力してアドレスとブレーク信号をまとめてデコードすることにより、遊技機制御用プログラムを実行している間とブレークされている間とで異なるアドレスを乱数値レジスタ113に割り当てることもできる。
【0026】
静電気等のノイズの影響を受けても遊技機が暴走しないように、遊技機制御用マイクロコンピュータは、所定時間毎にリセットされ、メモリの所定の番地(例えば、0番地)からプログラムの実行を再開する。
このために、ウォッチドッグタイマ12が設けられる。ウォッチドッグタイマ12は、所定時間毎にタイムアウト信号を発生する。タイムアウト信号が発生すると、遊技機制御用マイクロコンピュータはリセットされる。
ウォッチドッグタイマ12は、図3に示すように、カウンタ121と、出力制御回路122と、ウォッチドッグタイマ停止回路123と、アドレスデコード回路124と、トライステートバッファ125とを有している。
【0027】
カウンタ121はクロックごとに回路の状態が遷移する状態遷移回路である。カウンタ121は上述した所定時間に相当するクロック数をカウントする。
出力制御回路122は、カウンタ121のカウンタ値が所定時間に相当するクロック数になると、タイムアウト信号を出力する。
ウォッチドッグタイマ停止回路123は、CPUコア用ICE20からブレーク信号が出力されていない間、カウンタ121を動作させる。一方、ウォッチドッグタイマ停止回路123は、CPUコア用ICE20からブレーク信号が出力されている間、カウンタ121を停止させる。
【0028】
アドレスデコード回路124は、アドレスバスに出力されるアドレスがカウンタ121に割り当てられているアドレスと一致し、RD信号線にRD信号が出力され、ブレーク信号が出力されている場合に、トライステートバッファ125をオープンし、カウンタ121のカウンタ値をデータバスに出力する。
【0029】
従って、CPUコア用ICE20は、ブレークされている(遊技機制御用プログラムの実行を停止している)間に、ウォッチドッグタイマ12(カウンタ121)を停止させて、アドレスバスとRD信号線にそれぞれカウンタ121のアドレスとRD信号を出力し、データバスに出力されたカウンタ値を読み取ることによって、カウンタ121からカウンタ値を読み出すことができる。
【0030】
受信用FIFO13は、受信したデータを受信した順(古い順)に出力する。
図4は、本発明の実施形態に係る受信用FIFO回路の構成の第1の例を示す。
FIFO回路13Aは、記憶部131と、リードポインタ(RDP)132と、リードポインタ(RDP)133と、リードポインタ(RDP)切換回路134と、セレクタ135と、セレクタ136と、アドレスデコード回路137と、トライステートバッファ138と、図示しないライトポインタとを有している。
【0031】
記憶部131は、0番地から3番地まで4ワード記憶することができる。入力ポートに入力したデータは、記憶部131のライトポインタの指す番地に書き込まれる。ライトポインタは、記憶部131にデータを書き込むごとに、1だけインクリメントし、3を超えると0に戻る。
【0032】
リードポインタ切換回路134は、CPUコア用ICE20が遊技機制御用プログラムを実行している間、リードポインタ132を動作させる。一方、リードポインタ切換回路134は、CPUコア用ICE20からブレーク信号が出力されると、リードポインタ132を停止させ、リードポインタ132のポインタ値をリードポインタ133にコピーしてリードポインタ133を動作させる。
【0033】
セレクタ135は、CPUコア用ICE20が遊技機制御用プログラムを実行しているときリードポインタ132を選択し、リードポインタ132の記憶している番地をセレクタ136に送る。このとき、セレクタ136は、リードポインタ132の指す番地に記憶されている記憶部131のデータを選択する。
リードポインタ132は、記憶部131からデータが読み出されるごとに、1だけインクリメントし、3を超えると0に戻る。なお、リードポインタ132の指す番地がライトポインタの指す番地を超えないように図示しない回路により制御される。
【0034】
一方、セレクタ135は、CPUコア用ICE20からブレーク信号が出力されると、リードポインタ133を選択し、リードポインタ133の記憶している番地をセレクタ136に送る。このとき、セレクタ136は、リードポインタ133の指す番地に記憶されている記憶部131のデータを選択する。
リードポインタ133は、記憶部131からデータが読み出されるごとに、1だけインクリメントし、3を超えると0に戻る。なお、リードポインタ133の指す番地がライトポインタの指す番地を超えないように図示しない回路により制御される。
【0035】
アドレスデコード回路137は、アドレスバスに出力されるアドレスがFIFO回路13Aに割り当てられているアドレスと一致し、RD信号線にRD信号が出力されている場合に、トライステートバッファ138をオープンする。これにより、記憶部131のリードポインタ132またはリードポインタ133の指す番地のデータがデータバスに出力される。
【0036】
このように、FIFO回路13Aは、CPUコア用ICE20が遊技機制御用プログラムを実行しているときリードポインタ132を使用し、CPUコア用ICE20がブレークされているとき、リードポインタ133を使用し、リードポインタ132を停止させる。このため、ブレーク中にFIFO回路13Aからデータを読み出してもリードポインタ132の内容は変化せず、保存される。
リードポインタ切換回路134は、CPUコア用ICE20がブレークされている状態から遊技機制御用プログラムの実行に戻ったとき、リードポインタ133を停止させ、再びリードポインタ132を動作させる。
【0037】
なお、記憶部131はセレクタ136と分離してレジスタで構成することもできるし、記憶部131とセレクタ136を一体化してメモリで構成することもできる。
【0038】
図5は、本発明の実施形態に係る受信用FIFO回路の構成の第2の例を示す。
受信用FIFO回路の第2の例は、FIFO回路13BとFIFO回路13Cと、FIFO切換回路139とで構成される。
FIFO回路13Bは、記憶部131と、リードポインタ132と、セレクタ136と、アドレスデコード回路137Bと、トライステートバッファ138と、図示しないライトポインタとを有している。
FIFO回路13Cは、記憶部131と、リードポインタ133と、セレクタ136と、アドレスデコード回路137Cと、トライステートバッファ138と、図示しないライトポインタとを有している。
図4と図5の同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0039】
入力ポートから入力したデータは、FIFO回路13Bの記憶部131とFIFO回路13Cの記憶部131の同一の番地に書き込まれる。従って、FIFO回路13Bの記憶部131とFIFO回路13Cの記憶部131とは同一のデータを保持している。
【0040】
FIFO切換回路139は、CPUコア用ICE20が遊技機制御用プログラムを実行している間、FIFO回路13Bからデータを出力させ、CPUコア用ICE20からブレーク信号が出力されている間、FIFO回路13Cからデータを出力させる。
すなわち、アドレスデコード回路137Bは、CPUコア用ICE20が遊技機制御用プログラムを実行している間、FIFO回路13Bのトライステートバッファ138をオープンし、リードポインタ132の指す番地のデータを記憶部131からデータバスに出力させる。一方、アドレスデコード回路137Cは、CPUコア用ICE20からブレーク信号が出力されている間、FIFO回路13Cのトライステートバッファ138をオープンし、リードポインタ133の指す番地のデータを記憶部131からデータバスに出力させる。
【0041】
CPUコア用ICE20がブレークされているとき、FIFO回路13Bは動作しない。このため、リードポインタ132の内容は変化せず、保存される。
FIFO切換回路139は、CPUコア用ICE20がブレークされている状態から遊技機制御用プログラムの実行に戻ったとき、FIFO回路13Cを停止させ、再びFIFO回路13Bを動作させる。
【0042】
図6は、本発明の実施形態に係る受信用FIFO回路の構成の第3の例を示す。
FIFO回路13Dは、記憶部131と、リードポインタ132と、セレクタ136と、アドレスデコード回路137と、トライステートバッファ138と、アドレスデコード回路140と、トライステートバッファ141と、トライステートバッファ142と、トライステートバッファ143と、トライステートバッファ144と、図示しないライトポインタとを有している。
図4と図6の同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0043】
トライステートバッファ141〜144は、それぞれ記憶部131の0番地〜3番地に記憶されているデータをアドレスバスに出力するために設けられている。トライステートバッファ141〜144には、別々のアドレスが割り当てられている。
アドレスデコード回路140は、例えば、アドレスバスに出力されるアドレスとトライステートバッファ141に割り当てられているアドレスとが一致し、RD信号線にRD信号が出力され、ブレーク信号線にブレーク信号が出力されている場合に、トライステートバッファ131をオープンする。これにより、記憶部131の0番地のデータがデータバスに出力される。アドレスデコード回路140は、トライステートバッファ142〜144も同様に動作させる。
【0044】
CPUコア用ICE20がブレークされているとき、記憶部131に記憶されているデータはトライステートバッファ141〜144を介して読み出される。このため、リードポインタ132の内容は変化せず、保存される。
【0045】
なお、上記図4〜図6に示した受信用FIFO回路の第1〜第3の例では、記憶部131が4ワードのデータを記憶できる場合を示したが、記憶部131が記憶できるデータ数は4ワードに限らず8ワードや16ワード等であって良い。また、その他のワード数であっても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、Z80命令互換のCPUコアを例として説明したが、本発明は、M6800/M6801命令互換のCPUコアやその他のCPUコアに対して適用できることは言うまでもない。
【0047】
以上説明したように、本発明によれば、乱数回路やウォッチドッグタイマのように状態遷移回路を含む回路では、CPUコア用ICEがブレークされているとき、状態遷移回路の状態遷移を止める。このため、ブレーク中に、CPUコア用ICEがその回路に含まれるレジスタやメモリの内容を読み出すときに、回路の内部状態は変化せず、保存される。
また、受信用FIFO回路のリードポインタのように、CPUコア用ICEがレジスタやメモリの内容を読み出すと内部状態が変化する回路では、内部状態を保存したままレジスタやメモリの内容を読み出すことができる回路を付加する。
従って、本発明に係る遊技機制御用マイクロコンピュータ用ICEは、ブレーク中に、アダプタに搭載されている遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、その付加回路内の所定のメモリやレジスタからデータを読み出すことができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0049】
1…インサーキットエミュレータ、10…インサーキットエミュレータ用アダプタ、11…乱数回路、12…ウォッチドッグタイマ、13…受信用FIFO回路、14…CPUソケット、20…CPUコア用インサーキットエミュレータ、30…ターゲットボード、111…カウンタ、112…乱数生成回路、113…乱数値レジスタ、114…乱数生成停止回路、115…アドレスデコード回路、116…トライステートバッファ、121…カウンタ、122…出力制御回路、123…ウォッチドッグタイマ停止回路、124…アドレスデコード回路、125…トライステートバッファ、13A、13B、13C、13D…FIFO回路、131…記憶部、132…リードポインタ、133…リードポインタ、134…リードポインタ切換回路、135…セレクタ、136…セレクタ、137、137B、137C…アドレスデコード回路、138…トライステートバッファ、139…FIFO切換回路、140…アドレスデコード回路、141、142、143、144…トライステートバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUコアと遊技機向け付加回路で構成される遊技機制御用マイクロコンピュータの当該遊技機向け付加回路の機能をエミュレートするインサーキットエミュレータ用アダプタであって、
前記CPUコアの機能をエミュレートするCPUコア用インサーキットエミュレータが遊技機制御用プログラムの実行を停止していることを検出する停止検出手段と、
前記停止検出手段によって遊技機制御用プログラムの実行停止が検出されたことに応答して、前記遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、前記遊技機向け付加回路に含まれる所定のメモリとレジスタに記憶されているデータが前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって読み出されることを可能とする読出制御手段と、
を備えることを特徴とするインサーキットエミュレータ用アダプタ。
【請求項2】
前記停止検出手段は、前記遊技機制御用プログラムの実行を停止したときに前記CPUコア用インサーキットエミュレータから出力されるブレーク信号が入力されたことにより、遊技機制御用プログラムの実行停止を検出することを特徴とする請求項1に記載のインサーキットエミュレータ用アダプタ。
【請求項3】
前記遊技機向け付加回路は、生成された乱数値を乱数値レジスタに設定する乱数回路と、カウンタのカウンタ値が所定の値と一致するとタイムアウト信号を発生するウォッチドッグタイマと、受信した複数のデータを記憶する記憶部と当該記憶部から出力されるデータを指定するリードポインタとを含んでおり、当該記憶部から当該各データを受信した順番で出力する受信用FIFO回路とを有し、
前記読出制御手段は、前記遊技機制御用プログラムの実行停止が検出されたことに応答して、前記乱数回路と前記ウォッチドッグタイマの状態遷移を停止させ、前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって前記乱数回路に含まれる乱数値レジスタと前記ウォッチドッグタイマに含まれるカウンタからそれぞれ乱数値とカウンタ値が読み出されることを可能とし、かつ、前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって、前記リードポインタのポインタ値を保存して前記受信用FIFO回路に含まれる記憶部から記憶されている各データが読み出されることを可能にする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインサーキットエミュレータ用アダプタ。
【請求項4】
前記読出制御手段は、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータに接続されるデータバスと、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータに接続されるアドレスバスと、
を有し、
前記アドレスバスを送信されるアドレスに基づいて、前記乱数回路に含まれる乱数値レジスタに記憶されている乱数値又は前記ウォッチドッグタイマに含まれるカウンタに記憶されているカウンタ値又は前記受信用FIFO回路に含まれる記憶部に記憶されている各データを前記データバスに出力させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のインサーキットエミュレータ。
【請求項5】
CPUコアの機能をエミュレートするCPUコア用インサーキットエミュレータと遊技機向け付加回路の機能をエミュレートするインサーキットエミュレータ用アダプタとで構成されるインサーキットエミュレータであって、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータは、遊技機制御用プログラムの実行を停止している間、ブレーク信号を出力するブレーク信号出力手段を備え、
前記インサーキットエミュレータ用アダプタは、
前記CPUコア用インサーキットエミュレータのブレーク信号出力手段によってブレーク信号が出力されていることに応答して、前記遊技機向け付加回路の内部状態を保存したまま、前記遊技機向け付加回路に含まれる所定のメモリとレジスタに記憶されているデータが前記CPUコア用インサーキットエミュレータによって読み出されることを可能とする読出制御手段と、
を備えることを特徴とするインサーキットエミュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−108182(P2011−108182A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265359(P2009−265359)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(591107481)株式会社エルイーテック (37)
【Fターム(参考)】