説明

インサート射出成形品の製造方法

【課題】インサート射出成形品のポリマー成形部の薄肉部分におけるポリマー成形材料の未充填を防止し、所望する形状のポリマー成形部がインサート部材の表面に一体に形成されるインサート射出成形品製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明により提供されるインサート射出成形品製造方法では、厚肉成形キャビティ部130を構成する成形型面に設けられた射出ゲート68から剪断熱で加熱されたポリマー成形材料を射出する。厚肉成形キャビティ部130内に射出された成形材料は先ず厚肉成形キャビティ部130及びその近傍に充填され、次いで厚肉成形キャビティ部130から液状ポリマー成形材料が薄肉成形キャビティ部126,124A,124B,122Bに流動していき当該キャビティ部の充填が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート部材を含むインサート射出成形品の製造方法と該方法に用いられる射出成形型その他の射出成形品製造装置に関する。詳しくは、インサート部材と、該インサート部材の少なくとも一部の外表面を被覆するポリマー成形部であって厚肉部分と薄肉部分とを有するポリマー成形部とが一体化して成るインサート射出成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々の用途に用いられる複合部品がインサート射出成形によって製造されている。近年の射出成形技術の進展によって、種々の熱可塑性樹脂材料やエラストマー材料(以下「ポリマー成形材料」と総称する。)から形成された成形部分(以下「ポリマー成形部」という。)が複雑な形状のインサート部材の外表面に様々な厚さ、サイズ及び形状で形成されたインサート射出成形品が製造されるようになってきている。
例えば、以下の特許文献1には、複数個の突極と該突極を円筒状に支持する支持部とから成るステーターコア構成部材をインサート部材とし、その表面にポリエステル樹脂から成るポリマー成形部(被覆部)が一体成形されて成るハーメチックモーター用ステーターコアを射出成形によって製造する方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−238198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載されるような比較的複雑な形状のインサート射出成形品では、インサート部材の表面に形成されるポリマー成形部(被覆部)として、比較的厚みのある厚肉部分の他に肉厚がきわめて薄く且つ典型的には表面積も小さい薄肉部分が存在する場合がある。このような薄肉部分を有するポリマー成形部を従来の射出成形法によって形成する場合、以下のような課題があった。
即ち、インサート部材の表面に例えば厚さ1mm以下のような薄肉部分を形成する場合、型内(キャビティ内)に射出された溶融ポリマー成形材料が当該薄肉部分に対応するキャビティ部に十分に充填される前に固化してしまい、結果的に成形材料の未充填部位(即ち所望するポリマー成形部が形成されないショート部位)が生じる虞があった。
【0005】
かかる薄肉部分におけるポリマー成形材料未充填(ショート)の発生を回避する手段として、従来、成形型の薄肉部分形成部位に複数の射出ゲートを設けることが推奨されている(例えば上記特許文献1の明細書参照)。しかしながら、複数の射出ゲートを設けた場合でも、薄肉部分(特に厚みが1mm以下の微小な薄肉部分)におけるポリマー成形材料未充填(ショート)の発生防止を十分に保証するものではない。
そこで本発明は、かかる比較的複雑な形状のインサート射出成形品を製造する際の従来の課題を解決するべく創出されたものであり、その目的とするところは、薄肉部分におけるポリマー成形材料の未充填を防止し、所望する形状のポリマー成形部(被覆部)がインサート部材の表面に一体に形成されたインサート射出成形品及びその製造方法を提供することである。また、そのような製造方法に好適に使用される射出成形装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって以下に列挙する構成のインサート射出成形品製造方法が提供される。
即ち、請求項1の発明は、予め所定の形状に成形されたインサート部材と、該インサート部材の少なくとも一部の外表面を被覆するポリマー成形部とが一体化して成るインサート射出成形品の製造方法である。
本製造方法は、(1).雄型と雌型とから成る開閉可能な射出成形型のキャビティ内の所定位置に前記インサート部材を配置する工程を包含する。
また、本製造方法は、(2).前記射出成形型を閉じて、前記キャビティにおける成形型面と前記インサート部材の外表面との間又は前記キャビティにおける雄型の成形型面と雌型の成形型面との間の寸法が大きい厚肉成形キャビティ部と、該厚肉成形キャビティ部よりも前記寸法が小さい薄肉成形キャビティ部とを、前記射出成形型内に射出されたポリマー成形材料が相互に流通可能に連通した状態で形成する工程を包含する。好ましくは、厚肉成形キャビティ部と薄肉成形キャビティ部との間の連通部分は前記寸法が厚肉成形キャビティ部よりも小さく且つ薄肉成形キャビティ部よりも大きい接続成形キャビティ部を構成している。
さらにまた、本製造方法は、(3).前記厚肉成形キャビティ部を構成する成形型面に設けられた射出ゲートから該厚肉成形キャビティ部内に加熱されて流動可能な液状の熱可塑性ポリマーを主体とするポリマー成形材料を射出する工程を包含する。ここで該射出工程は、前記射出ゲート部分において前記ポリマー成形材料が剪断熱を発生させながら加熱されることにより該ゲートから射出される際には射出前よりも低い粘度且つ高い流動性が実現され、前記厚肉成形キャビティ部内に射出された該ポリマー成形材料は先ず前記厚肉成形キャビティ部及びその近傍に充填されるとともに内部で液状を保ちつつ成形型面又はインサート部材と接触した部分で固化されていき、前記射出ゲートから引き続き射出されてきた前記ポリマー成形材料によって前記内部の液状ポリマー成形材料が前記厚肉成形キャビティ部から薄肉成形キャビティ部に流動していき該薄肉成形キャビティ部が該流動してきたポリマー成形材料によって充填されるように行われる。
さらにまた、本製造方法は、(4).前記充填されたポリマー成形材料を固化させることにより、前記厚肉成形キャビティ部において形成された厚肉部分と、前記薄肉成形キャビティ部でインサート部材の少なくとも一部の外表面を被覆すると共に該インサート部材と一体化された薄肉部分とを有するポリマー成形部を成形する工程を包含する。
【0007】
上記構成の請求項1に記載のインサート射出成形品製造方法では、厚肉成形キャビティ部の型壁面に設けられた射出ゲート(典型的には複数の射出ゲート、好ましくはピンゲート)から剪断熱によって加熱され、低粘度且つ高流動性が実現された液状ポリマー成形材料を厚肉成形キャビティ部内に射出することができる。即ち、本発明の方法では、比較的キャビティ容量の大きい厚肉成形キャビティ部に前記ポリマー成形材料を射出するため、複数の射出ゲートから薄肉成形キャビティ部に直接ポリマー成形材料を射出する従来の方法と比較して、成形材料の射出速度を大きく保つことができ、単位時間あたりでより大きい剪断熱を発生させることができる。
かかる射出によって厚肉成形キャビティ部内に、十分に加熱された低粘度且つ高流動性の液状ポリマー成形材料を充填することができる。このとき、厚肉成形キャビティ部の壁面或いはインサート部材の表面に近接する領域に充填されたポリマー成形材料が先ず固化する一方、厚肉成形キャビティ部の内部(典型的には厚肉成形キャビティ部の中央付近)に供給された成形材料は流動可能な液状を依然保っていることができる。而して、かかる射出を継続することにより、前記射出ゲートから更に射出された液状ポリマー成形材料の圧によって押し出されるようにして前記内部の液状を保っている加熱状態のポリマー成形材料が滞留することなく連通部分(典型的には前記接続成形キャビティ部)を通って薄肉成形キャビティ部に移動していき、該薄肉成形キャビティ部内を充填することができる。
このため、請求項1に記載の本発明のインサート射出成形品製造方法によると、従来のように薄肉成形キャビティ部の型壁面に多数の射出ゲートを直接設けることなく、溶融状態(液状)のポリマー成形材料を滞ることなく安定的に厚肉成形キャビティ部から薄肉成形キャビティ部に隙間無く補給することができる。従って、複雑な形状のインサート部材の表面を被覆するポリマー成形部の薄肉部分にショートが発生するのを防止し、所望する良好な形状のインサート射出成形品を製造することができる。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1のインサート射出成形品製造方法において、前記ポリマー成形材料を、前記キャビティ内に配置されたインサート部材に直接接触しない方向に射出することを特徴とするものである。
かかる構成の請求項2のインサート射出成形品製造方法では、インサート部材の局部的な過熱を防止することができる。このため、請求項2のインサート射出成形品製造方法によると、請求項1の製造方法の奏する効果に加えて、インサート部材の高い形状安定性を実現し得るという効果が得られる。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2のインサート射出成形品製造方法において、直接接触しない方向に射出された前記ポリマー成形材料の射出方向を、前記厚肉成形キャビティ部内で前記射出方向とは異なる方向に変更させて前記薄肉成形キャビティ部に流動させることを特徴とするものである。
かかる構成の請求項3のインサート射出成形品製造方法では、射出された液状ポリマー成形材料の一部が薄肉成形キャビティ部に直接導入されることを防止することができる。このため、請求項3のインサート射出成形品製造方法によると、請求項2の製造方法の奏する効果に加えて、より安定的に薄肉成形キャビティ部をポリマー成形材料によって未充填部を生じさせずに充填し得るという効果が得られる。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかのインサート射出成形品製造方法において、前記熱可塑性ポリマー成形材料が結晶性熱可塑性樹脂材料を主体に構成されていることを特徴とするものである。
かかる構成の請求項4のインサート射出成形品製造方法では、溶融状態の熱可塑性ポリマー成形材料の主成分が結晶性熱可塑性樹脂材料である。かかる樹脂は加熱・溶融状態における粘度が非晶性熱可塑性樹脂の粘度よりも低い。このため、請求項4のインサート射出成形品製造方法によると、請求項1〜3のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、薄肉成形キャビティ部に供給する溶融ポリマー成形材料の流動性をより向上させ得るという効果が得られる。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4のインサート射出成形品製造方法において、前記結晶性熱可塑性樹脂材料として、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成る群から選択される少なくとも1種の樹脂材料を使用することを特徴とするものである。
かかる構成の請求項5のインサート射出成形品製造方法によると、請求項4の奏する効果に加えて、容易に入手可能であるという効果が得られる。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかのインサート射出成形品製造方法において、前記ポリマー成形材料が前記キャビティ内に射出された際の温度で溶解しない耐熱性を有する粉末状又は繊維状の物質を含むことを特徴とするものである。
かかる構成の請求項6のインサート射出成形品製造方法では、前記耐熱性のある粉末状又は繊維状物質の存在によってポリマー成形材料の流動抵抗が高まり、結果、射出ゲートを通過する際に高い剪断熱を発生させ得る。このため、請求項6のインサート射出成形品製造方法によると、請求項1〜5のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、高い剪断熱によって低粘度且つ高流動性が実現された液状ポリマー成形材料を厚肉成形キャビティ部内に容易に射出し得るという効果が得られる。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項6のインサート射出成形品製造方法において、前記ポリマー成形材料に含まれる前記物質として、粉末状又は繊維状の無機物を使用することを特徴とするものである。
かかる構成の請求項7のインサート射出成形品製造方法によると、請求項6の製造方法の奏する効果に加えて、ポリマー成形部に無機物(例えばガラス繊維)が含有されることによって、製造されたインサート射出成形品の物理的強度を向上させ得るという効果が得られる。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかのインサート射出成形品製造方法において、孔径が直径0.2mm〜2mmのピンゲートから前記ポリマー成形材料を射出することを特徴とするものである。
かかる構成の請求項8のインサート射出成形品製造方法では、前記直径範囲の小孔からなるピンゲートを採用することにより、適切な射出圧力をかけることによって効果的に剪断熱を発生させることができる。このため、請求項8のインサート射出成形品製造方法によると、請求項1〜7のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、高い剪断熱によって低粘度且つ高流動性が実現された液状ポリマー成形材料を厚肉成形キャビティ部内に、より効率良く射出し得るという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばインサート射出成形法に関する一般的な事項)は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0016】
本発明により提供されるインサート射出成形品製造方法は、上述の(1).インサート部材配置工程、(2).キャビティ形成工程(即ち型閉じ工程)、(3).ポリマー成形材料充填工程(即ち射出工程)及び(4).ポリマー成形部の成形工程(固化工程)を包含する方法であり、これらを具備する限りにおいて一般的なインサート射出成形法と同様、他の種々の工程を含み得る。典型的には、成形型を加熱する工程及び/又は冷却する工程、型を開いて製品を取り出す工程、射出装置から型への成形材料供給工程、等を包含する。
【0017】
本発明に係るインサート射出成形品製造方法を実施するために使用される装置は、射出ゲート(好ましくはピンゲート)が厚肉成形キャビティ部を構成する型面に形成されていればよく、他の構成に特に制限はない。従って、トグル式、油圧式等の型締装置と、スクリュー式、プランジャ式等の射出装置とを備えた一般的な射出成形機(例えば射出装置が型締装置の上部に配置された縦型の射出成形機)を使用することができる。
なお、本明細書において便宜上呼称する「雄型」及び「雌型」とは、内部に所望するキャビティを形成し得る射出成形型を構成する一対の型構成部材をいう用語であり、特に形状によって限定するのものではない。一般的には、固定側の型板(キャビティプレート)を含むものを雌型、可動側の型板(コアプレート)を含むものを雄型というがこの態様に限定されない。
【0018】
スプルー及びランナーを経て供給された溶融ポリマー成形材料を型内の厚肉成形キャビティ部に射出するために射出成形型の型面(即ち雌型及び/又は雄型の内面)に設けられる射出ゲートとしては、インサート成形に適する種々の形態のものが適用可能である。
小さなサイズで且つ形状が複雑な成形品を製造する場合には、いわゆるピンゲートが好ましい。孔の直径が3mm以下(例えば0.2〜2mm、より好ましくは0.6〜1.2mm)の小孔から成るピンゲートが好適である。ゲートの直径がそれよりも大きすぎると剪断熱或いは摩擦熱の発生が少なくなるため好ましくなく、逆にゲートの直径がそれよりも小さすぎるとゲートを通過する際の成形材料の流動抵抗が大きくなりすぎるので好ましくない。厚肉成形キャビティ部に設けるゲートの数は、製造するインサート射出成形品の形状・サイズによって異なるため特に限定されないが、小孔の径が同等のピンゲートを複数(例えば2〜3箇所)設けることが好ましい。
【0019】
射出ゲートは、ポリマー成形材料の射出方向がキャビティ内に配置されたインサート部材に直接接触しない方向に設定されるように設けることが好ましい。これにより、剪断熱で加熱されたポリマー成形材料から伝達される熱や掛かる圧力によってインサート部材が受ける影響(例えば熱によるゲート位置での局部的変形や膨張)を抑えることができる。さらにまた、上記直接接触しない方向に射出されたポリマー成形材料の射出方向を、厚肉成形キャビティ部内で該射出方向とは異なる方向に変更させて薄肉成形キャビティ部に流動させることが特に好ましい。例えば、ポリマー成形材料の薄肉成形キャビティ部への流動方向が上記射出方向とは異なるように、厚肉成形キャビティ部と薄肉成形キャビティ部との間の連通部分を設けるとよい。これにより、薄肉成形キャビティ部に一部のポリマー成形材料が直接導入されることによる不具合(例えば充填むら)の発生を防止することができる。
【0020】
本発明の実施に用いられるインサート部材の性状に特に制限はなく、表面の一部に厚肉部分及び薄肉部分を有するポリマー成形部(被覆部)を形成するための種々の形状、組成のものを採用することができる。典型的なインサート部材の材質として、ケイ素鋼板等の鉄鋼その他の鉄材、アルミニウム、銅その他の非鉄金属、シリカ、アルミナその他のセラミック、ガラス、プラスチック等が挙げられる。また、インサート部材の表面には、めっき処理等の表面処理を行ってもよい。
なお、インサート部材の材質に応じてポリマー成形材料の主成分たる熱可塑性ポリマー成分を適宜選択する(或いはその逆にインサート部材の材質を選択する)ことによって、一体性(剥離強度等)に優れる複合製品たるインサート射出成形品を製造することができる。
【0021】
本発明の実施に用いられるポリマー成形材料は、従来のインサート射出成形品製造方法において通常使用されている熱可塑性樹脂、ゴム、エラストマー等の熱可塑性ポリマーを主体とする材料を使用することができる。微小な薄肉部分に密に充填することが容易であるという観点からは、分子構造の規則性が高く体積が密になり易い結晶性ポリマー材料が好ましい。
かかる結晶性ポリマーの好適例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)等のエンジニアリング樹脂が挙げられる。特に、溶融状態で樹脂粘度が低く保たれ良好な流動性が得られるPP、POM、PA、PBT、PPS、PEEK等が好ましい。
また、環境に対する配慮からは塩素等のハロゲンを含まない樹脂が好ましく、リサイクル性等の観点からはPPのようなオレフィン系樹脂が好ましい。例えばハードセグメントがオレフィン系樹脂であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好ましい。
【0022】
また、ポリマー成形材料には、種々の副成分を含有させることができる。そのような副成分として好適なものに、成形型のキャビティ内に射出された際の温度で溶解しない程度の耐熱性を有する粉末状又は繊維状の物質(充填材)が挙げられる。この種の充填材としては、安定した物性を有するもの(典型的には従来から充填材として使用されているもの)であれば特に制限なく使用することができる。酸化物、炭化物、窒化物等から成る種々のセラミック粉(例えば、シリカ粉、石英粉、アルミナ粉、炭化ケイ素粉、窒化ケイ素粉、酸化チタン粉、酸化亜鉛粉、酸化マグネシウム粉)、或いはケイ酸塩(例えばケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム)、炭酸塩(例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム)、タルク、カオリン、酸性白土、長石、マイカ、ベントナイト、クレー等を主成分とする無機化合物粉(典型的には鉱物粉)、ガラス粉、スレート粉、等が挙げられる。或いは、木粉、珪藻土、カーボン粉(黒鉛、各種カーボンブラック等)、セラミックファイバー(シリカファイバー、アルミナファイバー、ジルコニアファイバー、窒化ホウ素ファイバー、窒化ケイ素ファイバー、ボロンファイバー)、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、ガラスファイバー、等が挙げられる。或いは、鉄粉等の金属粉であってもよい。
特に、セラミック、鉱物等の無機物から成る粉状又は繊維状の充填材が高い耐熱性を有し且つ成形品の物理的強度を向上させ得る観点から好ましい。例えば、粒径が1μm〜50μmのセラミック粉、鉱物粉(タルク等)、ガラスビーズ等が特に好ましい。また、繊維状無機充填材としては、直径が0.1〜50μm程度のガラスファイバー、ボロンファイバー、炭化ケイ素ファイバー、カーボンナノチューブ等が特に好ましい。
また、ポリマー成形材料には、上記のような充填材の他に、種々の補助成分を含有させることができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、難燃剤等が挙げられる。
【0023】
上述したようなポリマー成分及び副成分(充填材等)を混合してポリマー成形材料を調製するにあたっては、副成分(例えば上記粉状又は繊維状充填材)の含有量(率)は、用いる充填材の種類及び目的とするインサート射出成形品の用途に応じて異なり得る。ここで開示されるインサート射出成形品製造方法では、例えば、ポリマー成形材料全体の粉状又は繊維状充填材の含有率が5〜30質量%であり得る。
なお、種々の成分を配合したポリマー成形材料は、従来公知の種々の方法によって所望する形態に調製することができる。例えば、所定の比率で熱可塑性ポリマーと粉末状又は繊維状充填材とを配合したものを混練・押出機にて均一に混練し、ストランドに押出した後にペレット形状に造粒することができる。こうして得られたペレットを必要に応じた量で射出成形機に供給すればよい。
【0024】
本発明のインサート射出成形品製造方法では、型閉じの際にキャビティにおける成形型面とインサート部材の外表面との間又はキャビティにおける雄型の成形型面と雌型の成形型面との間のいずれかの寸法が大きい厚肉成形キャビティ部と、厚肉成形キャビティ部よりも当該寸法が小さい薄肉成形キャビティ部とが射出成形型内に射出されたポリマー成形材料が相互に流通可能に連通した状態で形成されるような型面構成の射出成形型を使用することができる。換言すれば、本発明によって、そのような構成であり、且つ、射出ゲートが厚肉成形キャビティ部に設けられた射出成形型が提供される。
ここで開示されるインサート射出成形品製造方法は、インサート部材の表面の一部にそのような厚肉成形部分と薄肉成形部分とが連続して形成される成形品の製造方法である。好ましくは、厚肉成形部分と薄肉成形部分との間に肉厚がこれらの中間程度である接続ポリマー成形部分(上記連通部分に相当するポリマー成形部分)が形成される。
【0025】
本発明のインサート射出成形品製造方法では、予め加熱され溶融状態となったポリマー成形材料を所定の射出ゲートから型(厚肉成形キャビティ部)内に射出する際、射出前よりも低い粘度且つ高い流動性が実現されるように剪断熱(或いは摩擦熱)でさらにポリマー成形材料を加熱する(即ち蓄熱する)。かかる剪断熱を発生するのに好適な時間当たりの射出量(射出速度及び射出圧力)、ならびに射出時における成形型温度及びゲートに供給される際の成形材料の温度は、使用する熱可塑性ポリマーの性質によって異なり得るが、厚肉成形キャビティ部内に射出されたポリマー成形材料が先ず厚肉成形キャビティ部及びその近傍に充填されるとともに、その内部(典型的には厚肉成形キャビティ部の中央付近)は依然液状を保ちつつ成形型面又はインサート部材と接触した部分で固化されていき、ゲートから引き続き射出されてきたポリマー成形材料によって当該内部の液状ポリマー成形材料が厚肉成形キャビティ部から薄肉成形キャビティ部に流動していくのに適するように設定する。これにより、薄肉成形キャビティ部を厚肉成形キャビティ部から流動してきたポリマー成形材料によって密に充填することができる。
具体例を挙げれば、例えばポリマー成分がPBTである場合に、直径が0.6mmのピンゲートから3m/分程度の射出速度(流量)及び130MPa程度の射出圧力で厚肉成形キャビティ部内に成形材料を射出することによって、剪断熱で加熱され低い粘度且つ高い流動性が実現された成形材料を型内に供給することができる。
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明のインサート射出成形品製造方法の好適な一実施形態を説明するが、本発明を図面に示す形態に限定することを意図したものではない。
図1及び図2には、本実施形態に係る製造方法によって得られるインサート射出成形品10の形状を示しており、具体的には回転角度センサに用いられるレゾルバー10である。即ち、図1及び図2に示すように、この射出成形品は、インサート部材に相当する金属製リングが積層されて成る環状ステータコア12を備える。この環状ステータコアの内周側には、等間隔に形成された磁極歯に相当する複数の突出部(本実施形態では10箇所)12Aが形成されている。
【0027】
このステータコア12の外表面には、ポリマー成形部(樹脂被覆部)20が形成されている。図面に示されるように、かかる被覆部20は大まかにいってステータコア12本体の一部を埋設するようにしてその環に沿って形成された環状部22と、その環状部22の一部から外方に張り出して形成された方形部(端子取付部)30と、その環状部22からステータコア本体12の環に対して上下方向に等間隔に張り出した複数の壁部外周舌片部29と、ステータコア12の上記内周側突出部(磁極歯)12Aのそれぞれにおいて先端露出部12Bを残してその周囲に形成された被覆部分26,24とから構成される。
かかる被覆部分26,24は、さらに、内周側突出部12Aの先端露出部においてステータコア本体12の環に対して上下方向に張り出した薄肉舌片部24(以下、便宜的に上下方向にそれぞれ張り出した部分を第1薄肉舌片部24A及び第2薄肉舌片部24Bと呼ぶ。)と、当該薄肉舌片部24と環状部22との間の内周側突出部12A側面に形成された薄肉側面部26とに分けられる。
また、環状部22は、詳しくは、ステータコア本体12の環に対して上下方向(図面上)に張り出した凸壁部22Aと、内周側突出部(磁極歯)12Aに挟まれた内周部分を被覆する内周壁部22Bとから構成される。
これらポリマー成形部のうち、方形部(端子取付部)30が本発明に係る厚肉部分に相当し、薄肉舌片部24(24A,24B)、内周壁部22B、及び薄肉側面部26が典型的な薄肉部分に相当する。また、環状部22の一部34がこれら薄肉部分と厚肉部分とを接続する部分に相当する。
【0028】
図に示すように、方形部30には、別のインサート部材である複数(本実施形態では計5本)の棒状の金属端子15の一部が埋設されており、金属端子15は図示しない接続線によってステータコア12と電気的に接続する。
なお、上述した構成のレゾルバー10の機能自体は、従来の回転角度センサに使用されているものと同様であり、本発明には直接関係がないためこれ以上の説明は省略する。
【0029】
次に、本実施形態に係るインサート射出成形品製造方法について説明する。図3〜図5は本実施形態に係るインサート射出成形品製造方法に用いられる射出成形型50を模式的に示した平面図及び断面図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態に係る射出成形型50は、インサート部材であるステータコア12と金属端子15が配置される固定式の下型(雌型)72と、当該下型72との型閉じによって型内に所定のキャビティを形成する可動式の上型(雄型)62とから構成される。
【0030】
下型72の上面(型合わせ面)の中央部分の凹部(キャビティ形成部)には所定のステータコア12が配置され、隣接して金属端子15が所定の入子型70とともに配置される。図3に示すように、下型72の周縁部には、上型62との正確な相対位置を設定し得るようにガイドピン53が備えられている。
図4に示すように、下型72の本体は、受け板58に載置される。受け板58と取付板56との間にはスペーサブロック57に囲まれた空間があり、その空間には第1突出板51及び第2突出板52が形成され、突出ロッド55によって昇降可能に形成されている。かかる第1突出板51には、下型72の本体を貫通して後述するキャビティに達する幾つかの突出ピン54A,54B,54Cが設けられている。これにより、射出成形完了後、突出ロッド55が上方に移動して第1及び第2突出板51,52が押し上げられると同時に突出ピン54A,54B,54Cの先端がキャビティ内に突出することにより、当該キャビティ内に形成された射出成形品をキャビティから押し出すことができる。なお、このような構成は従来のものと同様であり、詳細な説明は省略する。
【0031】
一方、下型72に対応する上型62は、図示しない可動機構に装備される取付板64に取り付けられている。上型62内には図示しない射出装置に連通するスプルー65及びランナー66A,66Bが形成されている。このランナー66Bの先端部は、後述する厚肉成形キャビティ部に開口した射出ゲート(ピンゲート)68を構成する。かかる構成により、本実施形態では図示しない射出装置から加熱されて溶融した液状の高温熱可塑性ポリマー成形材料がスプルー65及びランナー66A,66Bを経てピンゲート68から後述する厚肉成形キャビティ部130に射出される。
本実施形態においては、かかるピンゲート68(ゲートに連結するスプルー65及びランナー66A,66Bを含む)が二つ設けられており、その具体的な射出位置は、図1及び図3に符号100,101で示している。
なお、本実施形態において射出されるポリマー成形材料は、PBTを主体に構成された成形材料であり、副成分(充填材)として無機質のガラス繊維を全体の30質量%含む成形材料である。
【0032】
図5に示すように、上記構成の上型62及び下型72を型閉めした際には、型内に上述したポリマー成形部20に対応するキャビティ120が形成される。具体的には次のとおりである。
即ち、本実施形態に係る厚肉成形キャビティ部に相当する方形部成形キャビティ部130が形成される。また、本実施形態に係る薄肉成形キャビティ部に相当する第1薄肉舌片部成形キャビティ部124A、第2薄肉舌片部成形キャビティ部124B、薄肉側面部成形キャビティ部126及び内周壁部成形キャビティ部122Bが形成される。さらにまた、上記薄肉成形キャビティ部と厚肉成形キャビティ部とを連通する部分(即ち接続成形キャビティ部)に相当する環状部22の一部を成形するキャビティ部134及び凸壁部成形キャビティ部122Aが形成される。これらキャビティ部に上記組成の溶融ポリマー成形材料を射出することによってインサート部材(ステータコア12及び金属端子15)の表面を被覆するポリマー成形部20が形成される。
【0033】
本発明の方法では、上述のとおり、厚肉成形キャビティ部(方形部成形キャビティ部130)から液状成形材料を射出する。本実施形態においては、射出ゲート(ピンゲート)68の直径が約0.6mmに設定されており、これにより当該ゲート68から射出される上記成形材料に剪断熱及び摩擦熱を好適に発生させることができる。その結果、低い粘度且つ高い流動性が実現された液状ポリマー成形材料を厚肉成形キャビティ部(方形部成形キャビティ部130)に射出することができる。
特に限定するものではないが、本実施形態においては、約260℃に加熱されたポリマー成形材料をゲート68に供給し、剪断熱によってさらに約280℃程度にまで加熱された成形材料を厚肉成形キャビティ部130内に射出することができる。
【0034】
本実施形態において、射出ゲート68は、上型62の方形部成形キャビティ部130に対応する部分に形成されている。これにより、方形部成形キャビティ部130に射出された液状ポリマー成形材料は、ダイレクトに薄肉成形キャビティ部内には供給されず、先ず、厚肉成形キャビティ部130内に充填される。そして、型62,72の表面やインサート部材12,15に接する部分が固化しつつ、なお液状の成形材料は続いて射出される成形材料の圧力により、厚肉成形キャビティ部130内から連通部分134を介して薄肉成形キャビティ部方向に安定的に流動していき、各薄肉成形キャビティ部126,124A,124B,122Bを密に充填することができる。これにより、いわゆるショートの発生しない高品質なポリマー成形部20を形成することができる。
【0035】
また、本実施形態において、射出ゲート68の開口方向は、厚肉成形キャビティ部130内に射出された加熱・溶融状態の成形材料が直接的にインサート部材12,15に接触しないように設定されている。これにより、インサート部材12,15が剪断熱によって加熱された成形材料から受ける熱や圧力によってインサート部材12,15が悪影響(例えば熱による熱膨張等の変形や変質、圧力による変形や位置ずれ)を未然に防止することができる。
【0036】
上述のような射出工程(ポリマー成形材料充填工程)を行った後、典型的には型を冷却してキャビティ120内のポリマー成形材料を十分に固化させて厚肉成形キャビティ部130において形成された厚肉部分と、薄肉成形キャビティ部126,124A,124B,122Bでインサート部材12の少なくとも一部の外表面を被覆すると共に該インサート部材12と一体化された薄肉部分とを有するポリマー成形部20を成形する。その後、成形型50を開いてインサート射出成形品(レゾルバー)10を取り出す。
そして、上述した各工程を繰り返し行うことによって、所望する形状のインサート射出成形品(レゾルバー)10を多数製造することができることは、従来の射出成形法と同様である。
【0037】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記実施形態として例示したインサート射出成形品はレゾルバーであるが、これに限定されず、ポリマー成形部として厚肉部分とそれに連通する薄肉部分とを備える種々のインサート射出成形品の製造に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態で得られるインサート射出成形品(レゾルバー)を模式的に示す平面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態で用いられる射出成形型(下型)を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態で用いられる射出成形型(上型/下型)を模式的に示す図3中のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の一実施形態で用いられる射出成形型(上型/下型)の型閉じ状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 インサート射出成形品(レゾルバー)
12 インサート部材(ステータコア)
15 金属端子
20 ポリマー成形部(樹脂被覆部)
22 環状部
22A 凸壁部
22B 内周壁部
24 薄肉舌片部
24A 第1薄肉舌片部
24B 第2薄肉舌片部
26 薄肉側面部
29 壁部外周舌片部
30 方形部(端子取付部)
34 接続部分
50 成形型
62 上型(可動型/雄型)
65 スプルー
66A,B ランナー
68 射出ゲート
70 入子型
72 下型(固定型/雌型)
100,101 射出部位
120 キャビティ
122A 凸壁部成形キャビティ部
122B 内周壁部成形キャビティ部
124A 第1薄肉舌片部成形キャビティ部
124B 第2薄肉舌片部成形キャビティ部
126 薄肉側面部成形キャビティ部
130 方形部成形キャビティ部
134 接続部分(接続成形キャビティ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め所定の形状に成形されたインサート部材と、該インサート部材の少なくとも一部の外表面を被覆するポリマー成形部とが一体化して成るインサート射出成形品の製造方法であって、以下の工程:
(1).雄型と雌型とから成る開閉可能な射出成形型のキャビティ内の所定位置に前記インサート部材を配置する工程;
(2).前記射出成形型を閉じて、前記キャビティにおける成形型面と前記インサート部材の外表面との間又は前記キャビティにおける雄型の成形型面と雌型の成形型面との間の寸法が大きい厚肉成形キャビティ部と、該厚肉成形キャビティ部よりも前記寸法が小さい薄肉成形キャビティ部とを、前記射出成形型内に射出されたポリマー成形材料が相互に流通可能に連通した状態で形成する工程;
(3).前記厚肉成形キャビティ部を構成する成形型面に設けられた射出ゲートから該厚肉成形キャビティ部内に加熱されて流動可能な液状の熱可塑性ポリマーを主体とするポリマー成形材料を射出する工程、ここで該射出工程は、前記射出ゲート部分において前記ポリマー成形材料が剪断熱を発生させながら加熱されることにより該ゲートから射出される際には射出前よりも低い粘度且つ高い流動性が実現され、前記厚肉成形キャビティ部内に射出された該ポリマー成形材料は先ず前記厚肉成形キャビティ部及びその近傍に充填されるとともに内部で液状を保ちつつ成形型面又はインサート部材と接触した部分で固化されていき、前記射出ゲートから引き続き射出されてきた前記ポリマー成形材料によって前記内部の液状ポリマー成形材料が前記厚肉成形キャビティ部から薄肉成形キャビティ部に流動していき該薄肉成形キャビティ部が該流動してきたポリマー成形材料によって充填されるように行われる;および
(4).前記充填されたポリマー成形材料を固化させることにより、前記厚肉成形キャビティ部において形成された厚肉部分と、前記薄肉成形キャビティ部でインサート部材の少なくとも一部の外表面を被覆すると共に該インサート部材と一体化された薄肉部分とを有するポリマー成形部を成形する工程;
を包含する製造方法。
【請求項2】
前記ポリマー成形材料を、前記キャビティ内に配置されたインサート部材に直接接触しない方向に射出する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
直接接触しない方向に射出された前記ポリマー成形材料の射出方向を、前記厚肉成形キャビティ部内で前記射出方向とは異なる方向に変更させて前記薄肉成形キャビティ部に流動させる、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリマー成形材料は、結晶性熱可塑性樹脂材料を主体に構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記結晶性熱可塑性樹脂材料として、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド及びポリエーテルエーテルケトンから成る群から選択される少なくとも1種の樹脂材料を使用する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ポリマー成形材料は、前記キャビティ内に射出された際の温度で溶解しない耐熱性を有する粉末状又は繊維状の物質を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記ポリマー成形材料に含まれる前記物質として、粉末状又は繊維状の無機物を使用する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
孔径が直径0.2mm〜2mmのピンゲートから前記ポリマー成形材料を射出する、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−290151(P2007−290151A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117701(P2006−117701)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】