説明

インタフェース装置

【課題】データ転送クロックの周波数を上げることなくデータ転送速度を向上させる。
【解決手段】従来のメモリースティックPROの4ビットパラレルインタフェースモードが1SCLKで4ビットのデータ転送を行うに対し、クロックSCLKの半周期ごとの立下りエッジおよび立上りエッジを使用することで、1SCLKで8ビットのデータ転送を可能にし、結果として、クロックSCLKの周波数を従来のメモリースティックPROと同一に保ったままで2倍のデータ転送レートを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器と、その電子機器に装着される半導体記憶装置との間のインタフェース装置に関し、例えば、デジタルスチルカメラを含む電子機器から送出されたデータを、前記電子機器に装着された半導体記憶装置へ記憶するのに好適なインタフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体記憶装置としてカード型形状に構成されたカード型半導体記憶装置が普及している。このカード型半導体記憶装置としては、メモリスティックPRO(ソニーが開発した小型メモリカードの規格の一つであり、登録商標)等が広く知られている。
このようなカード型半導体記憶装置は、例えばデジタルスチルカメラに装着されて使用される。カード型半導体記憶装置が装着されたデジタルスチルカメラでは、ユーザの操作に応じて被写体を撮像する撮像処理を実行すると、撮像処理の結果得られた画像データが前記カード型半導体記憶装置に送出される。カード型半導体記憶装置はデジタルスチルカメラから送出される画像データを受信し、これを内部の半導体メモリに記憶する。
【0003】
図1は、従来のメモリースティックPROの端子配置図である。
以下、図1について説明する。
Pin9のVCCは電源入力ピンである。
Pin1およびPin10のVSSはグランドピンである。
Pin6のINSは挿抜検出ピンであり、従来のメモリースティックPROを扱う機器側がメモリースティックの挿抜検出のために使うもので、データ通信には使われない。
Pin4、Pin3、Pin5、Pin7のDATA0〜3はデータ信号入出力ピンであり、これによりデータの入出力を行う。
なお、データ信号入出力ピンは、4ビットパラレルインタフェースモードの時にはDATA0〜3の全てをデータ信号入出力ピンとして使うが、シリアルインタフェースモードの時は、Pin4のみがSDIOのデータ信号入出力ピンとして使われ、このときDATA1〜3は使用されない。
Pin2のBSはバスステート信号入力であり、DATA0〜3で通信されるデータの区切りを示す信号である。Pin8のSCLKはクロック入力であり、BSおよびSDIOはSCLKに同期して通信される。
Pin5、Pin7は未使用のピンである。
【0004】
図2は、従来のメモリースティックPROと従来のメモリースティックPROを扱う装置本体との間のインタフェース部分の構成を示す回路図である。
以下、図2について説明する。
VSSは、Pin1、Pin10の2つのピンによりメモリースティックPROと装置本体の間で接続され、これを双方共通の0V基準電位として使用する。
VCCは、Pin9より装置本体からメモリースティックPROに供給される。電圧の範囲は2.7V〜3.6Vである。
装置本体がメモリースティックPROの挿抜検出を行うには、INS(Pin6)の電圧により検出する。
メモリースティックPROが装置本体と接続されていないときは、装置本体から見た挿抜検出ピンINSはオープンとなるためプルアップ抵抗RINSにより挿抜検出ピンINSの電位は“High”レベルになり、この“High”レベルを検出することで装置本体はメモリースティックPROが接続されていない事を検出する。
逆にメモリースティックPROが装置本体と接続されていると、装置本体から見た挿抜検出ピンINSはメモリースティックPRO内部でVSSに接続されて挿抜検出ピンINSの電位が“Low”レベルになるので、この“Low”レベルを検出することで装置本体はメモリースティックPROが接続されている事を検出する。
DフリップフロップF10RN、F10SN、F11RN、F11SN、F12RN、F12SN、F13RN、F13SN、FB1SP、F20RN、F20SN、F21RN、F21SN、F22RN、F22SN、F23RN、F23SN、FB2RNは、クロック入力の立下りエッジでデータ入力Dのデータを取り込み、データ出力Qから取り込んだデータを出力する。
DフリップフロップF20RP、FB2RPは、クロック入力の立上りエッジでデータ入力Dのデータを取り込み、データ出力Qから取り込んだデータを出力する。
符号B10R、B11R、B12R、B13R、B20R、B21R、B22R、B23R、BSI、CLKIは入力バッファ、符号B10S、B11S、B12S、B13S、B20S、B21S、B22S、B23S、BSO、CLKOは出力バッファである。
出力バッファB10S、B11S、B12S、B13S、B20S、B21S、B22S、B23Sはトライステートバッファであり、制御信号DE1、DE10、DE2およびDE20に“High”レベルを入力することによりそのバッファ出力を“High”インピーダンスに制御することができる。
装置本体側は、クロック信号を発生するためのクロック発生器を備えている。
クロック信号は伝送路SCLKを経由して装置本体からメモリースティックPROへ伝送され、BS信号は伝送路BSを経由して装置本体からメモリースティックPROへ伝送され、データ信号は伝送路DATA0、DATA1、DATA2、DATA3を経由して装置本体とメモリースティックPRO間を双方向に伝送される。
【0005】
まず、シリアルインタフェースモード時に、装置本体→メモリースティックPRO方向のデータ通信をする場合について説明する。
出力バッファB10Sは制御信号DE1に“Low”レベルを入力することにより出力イネーブル状態にセットされ、出力バッファB20Sは制御信号DE2に“High”レベルを入力することによりその出力が“High”インピーダンス状態にセットされ、DフリップフロップF10SN→DフリップフロップF20RPへのデータ伝送となる。
データ信号は、クロック発生器からDフリップフロップF10SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF10SNから出力され、出力バッファB10S→伝送路SDIO→入力バッファB20Rという経路を経て、DフリップフロップF20RPのデータ入力Dへ入力され、クロック入力の立ち上りエッジに同期して取り込まれる。
なお、シリアルインタフェースモード時は、制御信号DE10、DE20は共に“High”レベルにセットされ、伝送路DATA1〜3のデータ通信は行われない。
【0006】
次に、シリアルインタフェースモード時に、メモリースティックPRO→装置本体方向のデータ通信をする場合について説明する。
出力バッファB10Sは制御信号DE1に“High”レベルを入力することにより出力が“High”インピーダンス状態にセットされ、出力バッファB20Sは制御信号DE2に“Low”レベルを入力することにより出力イネーブル状態にセットされ、DフリップフロップF20SN→DフリップフロップF10RNへのデータ伝送となる。
データ信号は、クロック発生器→CLKO→伝送路SCLK→CLKIという経路を経てDフリップフロップF20SNのクロック入力へ入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF20SNから出力され、出力バッファB20S→伝送路SDIO→入力バッファB10Rという経路を経て、DフリップフロップF10RNのデータ入力Dへ入力され、DフリップフロップF10RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
シリアルインタフェースモード時、BS信号は、クロック発生器からDフリップフロップFB1SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップFB1SPから出力され、出力バッファBSO→伝送路BS→入力バッファBSIという経路を経て、DフリップフロップFB2RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップFB2RPのクロック入力の立ち上りエッジに同期して取り込まれる。
BS信号はデータの区切りを示す信号であるが、装置本体→メモリースティックPRO方向の片方向の通信であるため、データ通信の主導権は装置本体側が持つことになる。
データそのものは、伝送路SDIOの1ビットのみを使用して通信されるため、この通信モードをシリアルインタフェースモードと呼ぶ。
シリアルインタフェースモード時は、伝送路SCLKの最大周波数は20MHzであり、最大データ転送レートは20MBPSとなる。
【0007】
続いて、4ビットパラレルインタフェースモード時に、装置本体→メモリースティックPRO方向のデータ通信をする場合について説明する。
出力バッファB10S、B11S、B12S、B13Sは制御信号DE1、DE10に“Low”レベルを入力することにより出力イネーブル状態にセットされ、出力バッファB20S、B21S、B22S、B23Sは制御信号DE2、DE20に“High”レベルを入力することによりその出力が“High”インピーダンス状態にセットされる。
伝送路DATA0を通過するデータは、クロック発生器からDフリップフロップF10SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF10SNから出力され、出力バッファB10S→伝送路DATA0→入力バッファB20Rという経路を経て、DフリップフロップF20RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF20RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
伝送路DATA1を通過するデータは、クロック発生器からDフリップフロップF11SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF11SNから出力され、出力バッファB11S→伝送路DATA1→入力バッファB21Rという経路を経て、DフリップフロップF21RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF21RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
伝送路DATA2を通過するデータは、クロック発生器からDフリップフロップF12SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF12SNから出力され、出力バッファB12S→伝送路DATA2→入力バッファB22Rという経路を経て、DフリップフロップF22RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF22RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
伝送路DATA3を通過するデータは、クロック発生器からDフリップフロップF13SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF13SNから出力され、出力バッファB13S→伝送路DATA3→入力バッファB23Rという経路を経てDフリップフロップF23RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF23RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
【0008】
次に、4ビットパラレルインタフェースモード時に、メモリースティックPRO→装置本体方向のデータ通信をする場合について説明する。
出力バッファB10S、B11S、B12S、B13Sは制御信号DE1、DE10に“High”レベルを入力することによりその出力が“High”インピーダンス状態にセットされ、出力バッファB20S、B21S、B22S、B23Sは制御信号DE2、DE20に“Low”レベルを入力することにより出力イネーブル状態にセットされる。
伝送路DATA0を通過するデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF20SNのクロック入力へ入力されるクロックの立下りエッジに同期してDフリップフロップF20SNから出力され、出力バッファB20S→伝送路DATA0 →入力バッファB10Rという経路を経てDフリップフロップF10RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF10RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
伝送路DATA1を通過するデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF21SNのクロック入力へ入力されるクロックの立下りエッジに同期してDフリップフロップF21SNから出力され、出力バッファB21S→伝送路DATA1→入力バッファB11Rという経路を経て、DフリップフロップF11RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF11RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
伝送路DATA2を通過するデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF22SNのクロック入力へ入力されるクロックの立下りエッジに同期してDフリップフロップF22SNから出力され、出力バッファB22S→伝送路DATA2→入力バッファB12Rという経路を経て、DフリップフロップF12RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF12RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
伝送路DATA3を通過するデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF23SNのクロック入力へ入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF23SNから出力され、出力バッファB23S→伝送路DATA3→入力バッファB13Rという経路を経てDフリップフロップF13RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF13RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。
4ビットパラレルインタフェースモード時、BS信号はクロック発生器からDフリップフロップFB1SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップFB1SPから出力され、出力バッファBSO→伝送路BS→入力バッファBSIという経路を経て、DフリップフロップFB2RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップFB2RNのクロック入力の立下りエッジに同期して取り込まれる。BS信号はデータの区切りを示す信号であるが、装置本体→メモリースティックPRO方向の片方向の通信であるため、データ通信の主導権は装置本体側が持つことになる。
データそのものは、DATA0〜3の4ビットを使用して通信されるため、この通信モードを、4ビットパラレルインタフェースモードと呼ぶ。4ビットパラレルインタフェースモード時は、伝送路SCLKの最大周波数は40MHzであり、最大データ転送レートは160Mbpsとなる。
【0009】
図5および図6は、図2で説明した従来の4ビットパラレルインタフェースモードの通信を説明するタイミングチャートである。以下、図5および図6のタイミングチャートについて説明する。
通信の最小単位をパケットと呼ぶが、装置本体→メモリースティックPRO方向のデータ通信をライトパケットと呼び(図5)、メモリースティックPRO→装置本体方向のデータ通信をリードパケットと呼ぶ(図6)。
パケットはさらにBS信号によりBS0、BS1、BS2、BS3の4つのバスステートに分かれている。BS1のTPCの値により、ライトパケットかリードパケットかの判別が行われ、これによりBS2、BS3の内容が決定される。ライトパケットのBS2は、装置本体→メモリースティックPRO方向のデータ通信が行われ、メモリースティックは受信データの処理が完了するまでBS3でビジィを出力し、受信データの処理が完了するとレディを出力する。リードパケットのBS2は、メモリースティックPROがメモリースティックPRO→装置本体方向のデータ送信の準備ができるまでビジィを出力し、データ送信の準備ができたらレディを出力し、BS3でメモリースティックPRO→装置本体方向のデータ送信が行われる。BS0はデータ通信のないアイドルステートである。
図5において、バスステートがBS0→BS1に変化するときは、まず最初に制御信号DE2、DE20が“Low”レベル→“High”レベルに変化してその1クロック後に制御信号DE1、DE10が“High”レベル→“Low”レベルになる。
バスステートがBS2→BS3に変化するときはまず最初に制御信号DE1、DE10が“Low”レベル→“High”レベルになってその1クロック後に制御信号DE2、DE20が“High”レベル→“Low”レベルになる。
また、図6において、バスステートがBS0→BS1に変化するときはまず最初に制御信号DE2、DE20が“Low”レベル→“High”レベルになりその1クロック後に制御信号DE1、DE10が“High”レベル→“Low”レベルになる。バスステートがBS1→BS2に変化するときはまず最初に制御信号DE1、DE10が“Low”レベル→“High”レベルになってその1クロック後に制御信号DE2、DE20が“High”レベル→“Low”レベルになる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−242470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のメモリースティックPROの最大データ転送レートは、4ビットパラレルインタフェースモード時の160Mbpsであり、メモリースティックPROの発売当初はこれでも必要充分な転送レートであった。
しかし、メモリースティックPROの主要なユーザであるデジタルスチルカメラは高画素化がすすみ、現在では500万画素〜800万画素に達しようとしており、写真一枚当りのデータサイズはより大きくなる傾向にある。このような状況下では、メモリースティックPROの最大データ転送レートが現状の160Mbpsのままだと、写真一枚当りの記録時間が伸び、デジタルスチルカメラの連写性能を上げることが困難になってくる。
また、メモリースティックPROの最大データ容量は、現在では1GBを超えようとしており、パソコン等においても大容量のデータを短時間で転送したいという要求が出てくる。データ転送レートを上げるには、転送クロックの高速化という方法があるが、従来のメモリースティックPROの転送クロックはすでに40MHzに達しており、この転送クロックをさらに高い周波数にするには、従来のメモリースティックPROの伝送路を大幅に見直す必要があるという課題があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、転送クロックを高速化することなく大容量のデータを短時間で転送でき、さらに従来の装置本体との互換性も維持することの可能なインタフェース装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のインタフェース装置は、装置本体に装着されて、前記装置本体から送出されたデータの記憶や、記憶されているデータの読み出しが可能な半導体記憶装置が前記装置本体との間でデータ通信するためのインタフェース装置であって、前記装置本体と前記半導体記憶装置との間で同期的なデータ通信を確立するための通信クロックの半周期ごとの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを使用し、前記装置本体と前記半導体記憶装置との間でパラレルにデータの授受を行う高速転送モードに対応する高速転送手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、データ転送クロックの周波数を上げることなくデータ転送速度を向上させることができ、さらに従来の電子機器に対する互換性をも確保できるインタフェース装置を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態では、装置本体と半導体記憶装置との間で同期的なデータ通信を確立するための通信クロックの半周期ごとの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを使用し、前記装置本体と前記半導体記憶装置との間でパラレルにデータの授受を行う高速転送モードに対応する高速転送手段により前記装置本体と前記半導体記憶装置との間でデータ通信を行うことで、データ転送クロックの周波数を上げることなくデータ転送速度の向上を実現し、さらに高速転送モード対応可能情報または通常転送モード対応可能情報にもとづき前記装置本体側から前記高速転送モードまたは通常転送モードを選択可能にすることで従来の電子機器に対する互換性を確保する。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明のインタフェース装置の一実施例について図面を参照し説明する。
図3は、この実施例1に対応したメモリースティックPROと、このメモリースティックPROが装着される装置本体との間のインタフェース部分の構成を示す回路図である。装置本体は、例えば、パーソナルコンピューターやデジタルスチルカメラ、携帯電話を含むメモリースティックPROを使う側の装置である。
DフリップフロップF10RN、F10SN、F11RN、F11SN、F12RN、F12SN、F13RN、F13SN、FB1SP、F20RN、F20SN、F21RN、F21SN、F22RN、F22SN、F23RN、F23SN、FB2RNは、クロック入力の立下りエッジでデータ入力Dのデータを取り込み、取り込んだデータをQ出力端子から出力する。
DフリップフロップF10RP、F10SP、F11RP、F11SP、F12RP、F12SP、F13RP、F13SP、F20RP、F20SP、F21RP、F21SP、F22RP、F22SP、F23RP、F23SP、FB2RPは、クロック入力の立上りエッジでデータ入力Dのデータを取り込み、取り込んだデータをQ出力端子から出力する。
符号B10R、B11R、B12R、B13R、B20R、B21R、B22R、B23R、BSI、CLKIは入力バッファ、符号B10S、B11S、B12S、B13S、B20S、B21S、B22S、B23S、BSO、CLKOは出力バッファである。
出力バッファB10S、B11S、B12S、B13S、B20S、B21S、B22S、B23Sはトライステートバッファであり、制御信号DE1、DE10および制御信号DE2、DE20として“High”レベルを制御端子へ入力することによりその出力を“High”インピーダンスに制御することができる。
装置本体側は、クロック信号を発生するためのクロック発生器を備えている。
クロック信号は伝送路SCLKを経由して装置本体からメモリースティックPROへ伝送され、BS信号は伝送路BSを経由して装置本体からメモリースティックPROへ伝送され、データ信号は伝送路DATA0、DATA1、DATA2、DATA3を経由して装置本体とメモリースティックPROとの間を双方向に伝送される。
符号MUX10,11,12,13、20,21,22,23はマルチプレクサ(以下、MUXという)を示す。
【0016】
図4は、図3に示すMUXについて説明した説明図であり、同図(a)はMUXのシンボルを示し、同図(b)は論理回路図、同図(C)はMUXの真理値表である。
P、N、C、MODEはMUXの入力端子であり、Oは出力端子である。
MODEが“Low”レベルの時は、Cの値によらずOにはNが出力される。
MODEが“High”レベルの時は、Cが“High”レベルの時にOにPが出力され、Cが“Low”レベルの時にOにNが出力される。
【0017】
以下、図3および図4を参照してこの実施例1のインタフェース装置について説明する。
伝送路DATA0〜3を通過するデータそれぞれについて、転送開始の最初のデータを奇数番目のデータ、続くデータを偶数番目のデータと呼ぶことにする。すなわち、伝送路DATA0〜3を通過するデータはそれぞれ奇数番目のデータから始まり、以後偶数番目のデータ、奇数番目のデータ、偶数番目のデータ、奇数番目のデータ・・・と繰り返すものとする。
まず、装置本体→メモリースティックPRO方向のデータ通信をする場合について説明する。
出力バッファB10S、B11S、B12S、B13Sは制御信号DE1、DE10として“Low”レベルが制御端子へ入力されることにより出力イネーブル状態にセットされ、出力バッファB20S、B21S、B22S、B23Sは制御信号DE2、DE20として“High”レベルが制御端子へ入力されることにより出力が“High”インピーダンス状態にセットされる。
また、MUX10〜MUX13のMODE入力は、“High”レベルを入力することとする。
伝送路DATA0を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF10SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF10SNから出力され、このときMUX10のC入力は“Low”レベルであるためMUX10の出力OからDフリップフロップF10SNのQ出力が出力され、出力バッファB10S→伝送路DATA0→入力バッファB20Rという経路を経て、DフリップフロップF20RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF20RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF20RPへ取り込まれる。
伝送路DATA0を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF10SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF10SPから出力され、このときMUX10のC入力は“High”レベルであるためMUX10の出力OからDフリップフロップF10SPのQ出力が出力され、出力バッファB10S→伝送路DATA0→入力バッファB20Rという経路を経て、DフリップフロップF20RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF20RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF20RNへ取り込まれる。
【0018】
伝送路DATA1を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF11SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF11SNのQ出力端子から出力され、このときMUX11のC入力は“Low”レベルであるためMUX11の出力OからDフリップフロップF11SNのQ出力が出力され、出力バッファB11S→伝送路DATA1→入力バッファB21Rという経路を経て、DフリップフロップF21RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF21RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF21RPへ取り込まれる。
【0019】
伝送路DATA1を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF11SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF11SPのQ出力端子から出力され、このときMUX11のC入力は“High”レベルであるためMUX11の出力OからDフリップフロップF11SPのQ出力が出力され、出力バッファB11S→伝送路DATA1→入力バッファB21Rという経路を経て、DフリップフロップF21RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF21RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF21RNへ取り込まれる。
【0020】
伝送路DATA2を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF12SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF12SNのQ出力から出力され、このときMUX12のC入力は“Low”レベルであるためMUX12の出力OからDフリップフロップF12SNのQ出力が出力され、出力バッファB12S→伝送路DATA2→入力バッファB22Rという経路を経て、DフリップフロップF22RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF22RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF22RPへ取り込まれる。
【0021】
伝送路DATA2を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF12SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF12SPのQ出力端子から出力され、このときMUX12のC入力は“High”レベルであるためMUX12の出力OからDフリップフロップF12SPのQ出力が出力され、出力バッファB12S→伝送路DATA2→入力バッファB22R という経路を経て、DフリップフロップF22RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF22RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF22RNへ取り込まれる。
【0022】
伝送路DATA3を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF13SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF13SNのQ出力端子から出力され、このときMUX13のC入力は“Low”レベルであるためMUX13の出力OからDフリップフロップF13SNのQ出力が出力され、出力バッファB13S→伝送路DATA3→入力バッファB23Rという経路を経て、DフリップフロップF23RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF23RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF23RPへ取り込まれる。
【0023】
伝送路DATA3を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF13SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF13SPのQ出力端子から出力され、このときMUX13のC入力は“High”レベルであるためMUX13の出力OからDフリップフロップF13SPのQ出力が出力され、出力バッファB13S→伝送路DATA3→入力バッファB23Rという経路を経て、DフリップフロップF23RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF23RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF23RNへ取り込まれる。
【0024】
次に、メモリースティックPROから装置本体へのデータ通信について説明する。
出力バッファB10S、B11S、B12S、B13Sは制御信号DE1、DE10として“High”レベルが制御端子へ供給されることにより、その出力が“High”インピーダンス状態にセットされ、出力バッファB20S、B21S、B22S、B23Sは制御信号DE2、DE20として“Low”レベルが制御端子へ供給されることにより出力イネーブル状態にセットされる。また、MUX20〜MUX23のMODE入力は、“High”レベルを入力することとする。
伝送路DATA0を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF20SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF20SNから出力され、このときMUX20のC入力は“Low”レベルであるためMUX20の出力OからDフリップフロップF20SNのQ出力が出力され、出力バッファB20S→伝送路DATA0→入力バッファB10Rという経路を経て、DフリップフロップF10RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF10RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF10RPへ取り込まれる。
【0025】
伝送路DATA0を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF20SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF20SPのQ出力から出力され、このときMUX20のC入力は“High”レベルであるためMUX20の出力OからDフリップフロップF20SPのQ出力が出力され、出力バッファB20S→伝送路DATA0→入力バッファB10Rという経路を経て、DフリップフロップF10RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF10RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF10RNへ取り込まれる。
【0026】
伝送路DATA1を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF21SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF21SNのQ出力から出力され、このときMUX21のC入力は“Low”レベルであるためMUX21の出力OからDフリップフロップF21SNのQ出力が出力され、出力バッファB21S→伝送路DATA1→入力バッファB11Rという経路を経て、DフリップフロップF11RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF11RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF11RPへ取り込まれる。
【0027】
伝送路DATA1を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF21SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF21SPのQ出力から出力され、このときMUX21のC入力は“High”レベルであるためMUX21の出力OからDフリップフロップF21SPのQ出力が出力され、出力バッファB21S→伝送路DATA1→入力バッファB11Rという経路を経て、DフリップフロップF11RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF11RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF11RNへ取り込まれる。
【0028】
伝送路DATA2を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF22SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF22SNのQ出力端子から出力され、このときMUX22のC入力は“Low”レベルであるためMUX22の出力OからDフリップフロップF22SNが出力され、出力バッファB22S→伝送路DATA2→入力バッファB12Rという経路を経て、DフリップフロップF12RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF12RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF12RPへ取り込まれる。
【0029】
伝送路DATA2を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF22SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF22SPのQ出力端子から出力され、このときMUX22のC入力は“High”レベルであるためMUX22の出力OからDフリップフロップF22SPのQ出力が出力され、出力バッファB22S→伝送路DATA2→入力バッファB12Rという経路を経て、DフリップフロップF12RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF12RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF12RNへ取り込まれる。
【0030】
伝送路DATA3を通過する奇数番目のデータは、クロック発生器→出力バッファCLKO→伝送路SCLK→入力バッファCLKIという経路を経てDフリップフロップF23SNのクロック入力に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップF23SNのQ出力から出力され、このときMUX23のC入力は“Low”レベルであるためMUX23の出力OからDフリップフロップF23SNのQ出力が出力され、出力バッファB23S→伝送路DATA3→入力バッファB13Rという経路を経てDフリップフロップF13RPのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF13RPのクロック入力の立上りエッジに同期してDフリップフロップF13RPへ取り込まれる。
【0031】
伝送路DATA3を通過する偶数番目のデータは、クロック発生器からDフリップフロップF23SPのクロック入力に入力されるクロック信号の立上りエッジに同期してDフリップフロップF23SPのQ出力端子から出力され、このときMUX23のC入力は“High”レベルであるためMUX23の出力OからDフリップフロップF23SPのQ出力が出力され、出力バッファB23S→伝送路DATA3→入力バッファB13Rという経路を経て、DフリップフロップF13RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップF13RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップF13RNへ取り込まれる。
【0032】
BS信号は、クロック発生器からDフリップフロップFB1SPのクロック入力端子に入力されるクロック信号の立下りエッジに同期してDフリップフロップFB1SPのQ出力から出力され、出力バッファBSO→伝送路BS→入力バッファBSIという経路を経て、DフリップフロップFB2RNのデータ入力へ入力され、DフリップフロップFB2RNのクロック入力の立下りエッジに同期してDフリップフロップFB2RNへ取り込まれる。
BS信号はデータの区切りを示す信号であるが、装置本体→メモリースティックPRO方向の片方向の通信であるため、データ通信の主導権は装置本体側が持つことになる。すなわち、BS信号については、従来のメモリースティックPROの4ビットパラレルインタフェースモードと同一である。
【0033】
図7および図8は、図3で説明したこの実施例1のインタフェース装置の各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。以下、図7および図8のタイミングチャートについて説明する。
通信の最小単位をパケットと呼ぶが、装置本体→メモリースティックPRO方向のデータ通信をライトパケットと呼び(図7)、メモリースティックPRO→装置本体方向のデータ通信をリードパケットと呼ぶ(図8)。
パケットはさらにBS信号によりBS0、BS1、BS2、BS3の4つのバスステートに分かれている。
バスステートBS1のTPCの値により、ライトパケットかリードパケットかの判別が行われ、これによりバスステートBS2、BS3の内容が決定される。
ライトパケットのバスステートBS2は、装置本体→メモリースティックPRO方向のデータ通信が行われ、メモリースティックは受信データの処理が完了するまでバスステートBS3でビジィを出力し、受信データの処理が完了するとレディを出力する。
リードパケットのバスステートBS2は、メモリースティックPROがメモリースティックPRO→装置本体方向のデータ送信の準備ができるまでビジィを出力し、データ送信の準備ができたらレディを出力し、バスステートBS3でメモリースティックPRO→装置本体方向のデータ送信が行われる。
バスステートBS0はデータ通信のないアイドルステートである。
【0034】
図7において、バスステートがバスステートBS0からバスステートBS1に変化するときは、まず最初に制御信号DE2、DE20が“Low”レベルから“High”レベルになり、その半クロック後に、制御信号DE1、DE10が“High”レベルから“Low”レベルへ変化する。
バスステートBS2からバスステートBS3に変化するときは、まず最初に制御信号DE1、DE10が“Low”レベルから“High”レベルに変化し、その半クロック後に、制御信号DE2、DE20が“High”レベルから“Low”レベルになる。
【0035】
また、図8において、バスステートがバスステートBS0からバスステートBS1に変化するときは、まず最初に制御信号DE2、DE20が“Low”レベルから“High”レベルになり、その半クロック後、制御信号DE1、DE10が“High”レベルから“Low”レベルになる。
バスステートBS1からバスステートBS2に変化するときは、まず最初に制御信号DE1、DE10が“Low”レベルから“High”レベルになって、その半クロック後に、制御信号DE2、DE20が“High”レベルから“Low”レベルへ変化する。
【0036】
従来のメモリースティックPROの4ビットパラレルインタフェースモードでは、図5および図6に示すように、DATA0〜3および制御信号DE1、DE10、DE2、DE20は、クロックSCLKの立下りエッジのみを使用していたが、この実施例1では、図7および図8に示すようにクロックSCLKの立下りエッジだけでなく立上りエッジも使用している。
そのため、従来のメモリースティックPROの4ビットパラレルインタフェースモードでは1SCLKで4ビットのデータしか転送できなかったのに対し、この実施例1では1SCLKで8ビットのデータが転送可能となり、結果として、クロックSCLKの周波数を従来のメモリースティックPROと同一に保ったままで2倍のデータ転送レートが得られる。
例えば、SCLKが40MHzの場合、従来のメモリースティックPROの4ビットパラレルインタフェースモードの最大データ転送レートは160Mbpsであるのに対して、この実施例1ではSCLKの周波数を変えることなく320Mbpsを達成可能である。またこの場合、SCLKの周波数が変わらないので、SCLKの伝送路は従来のメモリースティックPROのものがそのまま使えることになる。
【0037】
この実施例1では、伝送路DATA0〜3を通過するデータのうち、奇数番目のデータは立下りエッジ同期のフリップフロップから出力されて立上がりエッジ同期のフリップフロップに入力され、偶数番目のデータは立上りエッジ同期のフリップフロップから出力されて立下りエッジのフリップフロップに入力される構成となっている。
しかしながら、奇数番目のデータが立上りエッジ同期のフリップフロップから出力されて立下りエッジのフリップフロップに入力され、偶数番目のデータが立下りエッジ同期のフリップフロップから出力されて立上がりエッジ同期のフリップフロップに入力される構成となっていてもよい。
【0038】
また、この実施例1では、これまで述べたような効果に加えて、従来のメモリースティックPROのインタフェースとの互換性を保持できる様にしている事を特徴とする。
以下、互換性を保持する方法について説明する。
まず、形状の互換性について説明する。
この実施例1に対応したメモリースティックPROの形状は従来のメモリースティックPROと同一の形状である。そのため装置本体側は、従来のメモリースティックPROに対応したスロットを持っていれば、従来のメモリースティックPROだけでなく本発明のメモリースティックPROも同一のスロットに挿抜可能となる。
また、装置本体側は、この実施例1のメモリースティックPROに対応したスロットを持っていれば、従来のメモリースティックPROも同一のスロットに挿抜可能となる。すなわち、形状の互換性が保たれる。
【0039】
次に電源の互換性について説明する。
VSSは従来のメモリースティックPROと同様にPin1、Pin10を使用する。
また、VCCは従来のメモリースティックPROと同様にPin9を使用する。
電源電圧は、従来のメモリースティックPROと同一の2.7V〜3.6Vであるので、電源の互換性が保持できる構造となっている。
また例えば、電源投入直後は従来のメモリースティックPROと同一の2.7V〜3.6Vで通信できるようにすることで電源の互換性を保持し、通信後にそのメモリースティックPROが別の電圧に対応している場合は、装置本体から供給する電源電圧を変更するような構成を取ることも可能である。
これにより、従来のメモリースティックPROとの電源の互換性を維持しつつ、異なる電源電圧で動作するようにする事も可能である。
【0040】
次に挿抜検出の互換性について説明する。
挿抜検出は従来のメモリースティックPROと同一のINS(Pin6)を使い、その構造と検出方法も同一であるため、挿抜検出の互換性も保持できる構造となっている。
【0041】
次に、通信の互換性について説明する。
図3は、すでに説明したとおり、本発明の実施例1に対応したメモリースティックPROと、このメモリースティックPROを扱う装置本体の間のインタフェース部分の一例について説明した回路図であるが、この構成のままで従来のメモリースティックPROとして通信することも可能である。
以下、図3について説明する。
MUX10〜13、MUX20〜23全てについてそれぞれのMODE入力に“Low”レベルを入力することにより、それぞれの出力Oにはそれぞれの入力Nが出力される。
この場合、MUX10〜13、MUX20〜23のそれぞれの入力Pは使われないことになり、結果としてDフリップフロップF10SP、F11SP、F12SP、F13SP、F20SP、F21SP、F22SP、F23SPは使われない。
また、DフリップフロップF10RP、F11RP、F12RP、F13RP、F20RP、F21RP、F22RP、F23RPも使わない事とする。
よって、図3において、DフリップフロップF10SP、F11SP、F12SP、F13SP、F20SP、F21SP、F22SP、F23SPおよびDフリップフロップF10RP、F11RP、F12RP、F13RP、F20RP、F21RP、F22RP、F23RPは使われず、かつ全てのMUXの出力Oに入力Nのみが選択されている場合は、図2の従来のメモリースティックPROと同一の構成となり、通信の互換性が保持できる。
以上により、この実施例1では、従来のメモリースティックPROのインタフェースとの互換性を保持することが可能となる。
【0042】
次に、図9に示すフローチャートを用いてデータ転送モード選択処理について説明する。
このデータ転送モード選択処理では、装置本体側が、3つのデータ転送モード(シリアル転送モード、4ビットパラレル転送モード、高速転送モード)のうちの一つを選択し、これにより装着されたメモリースティックPROとのデータ通信を実行するように構成されている。
【0043】
ステップS1において装置本体側の制御部は、挿抜検出ピンINSの電位に基づいて、メモリースティックPROが正常に挿入されているか否かを判定する。
【0044】
このステップS1で否定結果が得られる場合、装置本体側に対してメモリースティックPROが正常に装着されていないことを意味しているので、装置本体側の制御部は、メモリースティックPROが正常に装着されるのを待ち受ける。
【0045】
これに対しこのステップS1で肯定結果が得られる場合、装置本体側に対してメモリースティックPROが正常に装着されていることを意味しているので、装置本体側の制御部は続くステップS2へ移る。
【0046】
ステップS2において装置本体側の制御部は、Pin1、Pin9およびPin10を介してメモリースティックPROに対する電源供給を開始し、続くステップS3に移って、伝送路SDIO(Pin4)のみを利用するシリアル転送モードにより、メモリースティックPROとのデータ通信を開始する。
【0047】
次に、装置本体側の制御部はステップS4に移り、メモリースティックPROの図示していないレジスタ部に格納されているIF_MODEレジスタ値を、伝送路SDIO(Pin4)を介して読み出す。
【0048】
そして、装置本体側の制御部はステップS5に移り、読み出したIF_MODEレジスタ値が「001」であるか否かを判定する。
【0049】
このステップS5で肯定結果が得られた場合、例えば、装置本体側に装着されているメモリースティックPROがシリアル転送モードにのみ対応していることを意味しているので、このとき装置本体側の制御部は、ステップS6に移り、シリアル転送モードによるデータ通信を継続実行する。
【0050】
これに対してこのステップS5で否定結果が得られた場合、装置本体側の制御部はステップS7に移る。そして、装置本体側の制御部はこのステップS7において、読み出したIF_MODEレジスタ値が「011」であるか否かを判定する。
【0051】
このステップS7で肯定結果が得られた場合、例えば、装置本体側に装着されているメモリースティックPROが、シリアル転送モードと4ビットパラレル転送モードとに対応していることを意味しているので、このとき装置本体側の制御部は、ステップS8に移り、前述したライトパケットによりメモリースティックPROの前記レジスタ部に対して例えばIF_SETレジスタ値「01」を書き込む。
【0052】
このIF_SETレジスタ値「01」は、装置本体側とメモリースティックPROとの間で4ビットパラレル転送モードによりデータ通信を実行する旨を示す。
これによりメモリースティックPROは、当該書き込まれたIF_SETレジスタ値「01」に基づいて、装置本体側と4ビットパラレル転送モードによりデータ通信する旨を認識することができ、図3に示す装置本体側とメモリースティックPRO側のインタフェース部を4ビットパラレル転送モードで動作させるように制御する。
【0053】
次にステップS9へ移り、メモリースティックPROへのバスステート信号によりバスステートをバスステートBS0にセットし、続くステップS10において次のバスステートBS1から4ビットパラレル転送モードによりメモリースティックPROとのデータ通信を開始する。
【0054】
一方、ステップS7において否定結果が得られるとステップS11に移る。そして、IF_MODEレジスタ値を読み出し、その読み出したIF_MODEレジスタ値が「111」であるか否かを判定する。
【0055】
このステップS11で肯定結果が得られた場合、例えば、装置本体側に装着されているメモリースティックPROが、シリアル転送モードと4ビットパラレル転送モードと、この実施例1で説明したSCLKの両エッジを利用した高速転送モードとに対応していることを意味している。
この結果、ステップS12に移り、前述したライトパケットによりメモリースティックPROの前記レジスタ部に対して例えばIF_SETレジスタ値「10」を書き込む。
【0056】
このIF_SETレジスタ値「10」は、装置本体側とメモリースティックPROとの間で両エッジを利用した高速転送モードによりデータ通信を実行する旨を示す。これによりメモリースティックPROは、当該書き込まれたIF_SETレジスタ値「10」に基づいて、装置本体側と高速転送モードによりデータ通信する旨を認識することができ、メモリースティックPRO側のインタフェース部を高速転送モードで動作させるように制御する。
【0057】
続くステップS13では、メモリースティックPROへのバスステート信号によりバスステートをバスステートBS0にセットし、ステップS14へ移る。ステップS14では、次のバスステートBS1から両エッジを利用した高速転送モードによるデータ通信を開始する。
【0058】
なお、ステップS11で否定結果が得られた場合、メモリースティックPROへの電源供給を中止し、このデータ転送モード選択処理手順を終了する。
【0059】
以上説明したように、この実施例1によれば、従来の転送モードを確保した上で、さらに転送クロックの周波数を上げることなく、転送クロックの両エッジを利用することによる高速転送モードによるデータ通信が可能になるため、転送クロックを高速化することなく大容量のデータを短時間で転送でき、さらに従来のメモリースティックPROのインタフェースとの互換性も維持することの可能なインタフェース装置を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来のメモリースティックPROの端子配置図である。
【図2】従来のメモリースティックPROと、従来のメモリースティックPROを扱う装置本体との間のインタフェース部分の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施例1に対応したメモリースティックPROと、このメモリースティックPROが装着される装置本体との間のインタフェース部分の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施例1に対応したインタフェース部分のマルチプレクサについて説明した説明図である。
【図5】従来の4ビットパラレルインタフェースモードの通信を説明するタイミングチャートである。
【図6】従来の4ビットパラレルインタフェースモードの通信を説明するタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施例1のインタフェース装置の各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施例1のインタフェース装置の各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施例1におけるデータ転送モード選択処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
F10RN,F10SN……Dフリップフロップ(高速転送手段、シリアル転送手段、通常転送手段)、F20SN……Dフリップフロップ(高速転送手段、シリアル転送手段、通常転送手段)、F20RP……Dフリップフロップ(高速転送手段、シリアル転送手段)、F11RN,F11SN,F12RN,F12SN,F13RN,F13SN……Dフリップフロップ(高速転送手段、通常転送手段)、F20RN,F21RN,F21SN,F22RN,F22SN,F23RN,F23SP……Dフリップフロップ(高速転送手段、通常転送手段)、FB1SP,F23SN,FB2RN,10RP,F10SP,F11RP,F11SP,F12RP,F12SP,F13RP,F13SP,F20SP,F21RP,F21SP,F22RP,F22SP,F23RP,FB2RP……Dフリップフロップ(高速転送手段)、B10R,B20R……入力バッファ(高速転送手段、シリアル転送手段、通常転送手段)、B11R,B12R,B13R,B21R,B22R,B23R……入力バッファ(高速転送手段、通常転送手段)、B10S,B20S……出力バッファ(高速転送手段、シリアル転送手段、通常転送手段)、B11S,B12S,B13S,B21S,B22S,B23S……出力バッファ(高速転送手段、通常転送手段)、MUX10,MUX20……マルチプレクサ(高速転送手段、シリアル転送手段、通常転送手段),MUX11,MUX12,MUX13,MUX21,MUX22,MUX23……マルチプレクサ(高速転送手段、通常転送手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に装着されて、前記装置本体から送出されたデータの記憶や、記憶されているデータの読み出しが可能な半導体記憶装置が前記装置本体との間でデータ通信するためのインタフェース装置であって、
前記装置本体と前記半導体記憶装置との間で同期的なデータ通信を確立するための通信クロックの半周期ごとの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを使用し、前記装置本体と前記半導体記憶装置との間でパラレルにデータの授受を行う高速転送モードに対応する高速転送手段を備えたことを特徴とするインタフェース装置。
【請求項2】
前記装置本体と前記半導体記憶装置との間でシリアルにデータの授受を行うシリアル転送モードに対応するシリアル転送手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のインタフェース装置。
【請求項3】
前記高速転送モードは、前記装置本体側が前記シリアル転送モードにより取得した、前記半導体記憶装置が前記高速転送モードに対応可能であることを示す前記半導体記憶装置側に設定されている高速転送モード対応可能情報にもとづき、前記装置本体側から選択されることを請求項2記載のインタフェース装置。
【請求項4】
前記高速転送モードは、前記装置本体と前記半導体記憶装置との間で授受されるデータの順番に応じて、送信側のフリップフロップおよび受信側のフリップフロップの組について、立下りエッジ同期のフリップフロップと立上がりエッジ同期のフリップフロップとを使い分け、前記通信クロックの立下りエッジおよび立上がりエッジを使用した前記装置本体と前記半導体記憶装置との間のデータ通信を行うことを特徴とする請求項3記載のインタフェース装置。
【請求項5】
前記装置本体と前記半導体記憶装置との間で同期的なデータ通信を確立するための通信クロックの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの一方を使用し、前記装置本体と前記半導体記憶装置との間でパラレルにデータの授受を行う通常転送モードに対応する通常転送手段を備えたことを特徴とする請求項2記載のインタフェース装置。
【請求項6】
前記通常転送モードは、前記装置本体側が前記シリアル転送モードにより取得した、前記半導体記憶装置が前記シリアル転送モードに対応可能であることを示す前記半導体記憶装置側に設定されているシリアル転送モード対応可能情報にもとづき、前記装置本体側から選択されることを請求項5記載のインタフェース装置。
【請求項7】
前記通常転送モードは、前記装置本体と前記半導体記憶装置との間でデータを授受する送信側のフリップフロップおよび受信側のフリップフロップの組について、立下りエッジ同期のフリップフロップまたは立上がりエッジ同期のフリップフロップいずれか一方を使用し、前記通信クロックの立上がりエッジまたは立下りエッジの一方を使用した前記装置本体と前記半導体記憶装置との間のデータ通信を行うことを特徴とする請求項6記載のインタフェース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−92426(P2006−92426A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279386(P2004−279386)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】