説明

インターフェース回路装置および印刷装置

【課題】インピーダンスマッチングにおける電流を低減しつつ、コストの増大および装置の大型化を抑制することを目的とする。
【解決手段】印刷装置1にCPU7と画像メモリ8とを設ける。さらに、CPU7と画像メモリ8との間で、画像データを表現する信号を入出力するインターフェース回路装置10を設ける。インターフェース回路装置10は複数のSSTL回路11ないし18によって構成する。また、画像データにおいて、互いに隣接する画素P1,P2のうち、画素P1を非反転画素、画素P2を反転画素とする。画素P1を表現する信号が入力されるSSTL回路11ないし14では、入力信号を反転させないように非反転素子21に入力信号を入力する。一方、反転画素である画素P2を表現する信号が入力されるSSTL回路15ないし18では、入力信号を反転させるように反転素子23に入力信号を入力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力信号のインピーダンスマッチングを行う場合に、コストの増大を抑制しつつ、電源の発熱を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリバスなどの高速化に伴い、実装基板の配線に対する入出力側のインピーダンスマッチングを厳密に実現する必要性が発生している。従来より、このような目的で、例えばSSTL(Stab Series Terminated Logic)と呼ばれるインターフェース回路が規定されている。
【0003】
図9は、一般的なSSTL2であるSSTL回路100の回路図である。SSTL回路100は、主に出力ドライバ101、レシーバ102および抵抗103,104,105からなり、出力ドライバ101にデータを示す電気信号が入力され、電源106から基準電圧V0が印加されている。
【0004】
また、レシーバ102には比較電圧V1が電源107によって印加されている。SSTL回路100は、入力される信号と、比較電圧V1とを比較して、その大小結果に応じて出力信号を出力する回路である。
【0005】
ここでは、基準電圧V0および比較電圧V1は「1.25(V)」、抵抗103は「22(Ω)」、抵抗104,105は「50(Ω)」、実装基板の特性インピーダンスは「50(Ω)」として設計した場合を例に説明する。
【0006】
レシーバ102のレシーブ側の入力電圧は一般的に基準電圧V0±0.8(V)程度であり、電源106からは0.8/(50/2)=32(mA)の電流IがSSTL回路100に入出力する。
【0007】
このようなSSTL回路100を一般に使用されるDIMMメモリの入出力に使用する場合を考える。一般に使用されるDIMMメモリは64(bit)以上であり、アドレスバスやその他の制御線が多数あるため、100個程度のSSTL回路100が必要になる。
【0008】
一方、SSTL回路100では、ローレベルを入出力する場合には、電源106から電流Iが供給され、ハイレベルを入出力する場合には、電源106に向けて電流Iが吸収される。したがって、すべてのSSTL回路100が同じレベルの信号を入出力する場合に、電源106の電流は最大となる。ここに示す条件で、一般に使用されるDIMMメモリでは、最大電流は、32×100=3.2(A)となり、電源106の発熱が大きな問題となっている。
【0009】
この問題を解決するために、大電流に対応できる電源回路(レギュレータ方式等)を設けることも考えられるが、コストがかかるだけでなく、装置が大型化するなどの問題があった。
【0010】
また、特許文献1には、ビット反転によって電力を低減する技術が提案されている。特許文献1に記載されている技術によれば、1ビット飛ばしに反転回路を具備することによって、隣接する2つのインピーダンスマッチング回路の出力を異なるレベル(一方がハイレベルで、他方がローレベル)とする。これによって、ハイレベルを出力する回路から電源に向けて吸収される電流を、ローレベルを出力する回路に供給することができ、電源に流れる電流を低減することができる。
【0011】
【特許文献1】特開平10−171567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、特許文献1に記載されている技術では、隣接する2つのインピーダンスマッチング回路が同じレベルの信号を出力する場合には有効であるが、隣接する信号のレベルが元々異なる場合には、信号を反転させることによって、逆に電流が増加してしまうという問題があった。
【0013】
したがって、実際には、信号のレベルを判定して、信号を反転するか反転させないかを判断する必要があり、そのための判定回路と、反転/非反転とを切り替えるための配線とが必要となる。しかし、メモリへの入出力では、切り替え用の配線を追加することは不可能である。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、インピーダンスマッチングにおける電流を低減しつつ、コストの増大および装置の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、画像データを表現する信号の入出力を行うインターフェース回路装置であって、基準電源回路との間で電気的に接続され、信号のインピーダンスマッチングを行う複数の回路と、画像データにおいて所定方向に順次走査される2つの画素について、一方のみを反転画素とし、前記反転画素を表現する入力信号を反転させて出力信号とする出力手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るインターフェース回路装置であって、前記出力手段は、前記反転画素を構成するビット数を取得する取得手段と、前記複数の回路のそれぞれに対応した複数の信号反転手段と、前記取得手段により取得された前記ビット数に応じて、前記複数の回路から前記反転画素を表現する入力信号が入力される回路を特定し、特定した前記回路に対応した信号反転手段にのみ入力信号を反転させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係るインターフェース回路装置であって、前記出力信号はメモリに対して出力されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係るインターフェース回路装置であって、前記複数の画素は、前記画像データの1ラインを表現するものであることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係るインターフェース回路装置であって、前記出力手段は、順次走査される複数の画素において、1つ飛ばしに反転画素とすることを特徴とする。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係るインターフェース回路装置であって、前記2つの画素は、前記走査方向において近接することを特徴とする。
【0021】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係るインターフェース回路装置であって、前記2つの画素は、前記走査方向に交差する方向において近接することを特徴とする。
【0022】
また、請求項8の発明は、印刷装置であって、画像データに基づいて用紙に画像を印刷する印字部と、画像データを表現する信号の入出力を行うインターフェース回路装置とを備え、前記インターフェース回路装置が、基準電源回路との間で電気的に接続され、信号のインピーダンスマッチングを行う複数の回路と、画像データにおいて所定方向に順次走査される2つの画素について、一方のみを反転画素とし、前記反転画素を表現する入力信号を反転させて出力信号とする出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1ないし8に記載の発明では、画像データにおいて所定方向に順次走査される2つの画素について、一方のみを反転画素とし、反転画素を表現する入力信号を反転させて出力信号とすることにより、判定回路および切り替え用配線を設けなくても、電流を低減させることができる。したがって、基準電源のコストを削減できるとともに、装置の大型化を抑制できる。
【0024】
請求項2に記載の発明では、取得手段により取得されたビット数に応じて、複数の回路から反転画素を表現する入力信号が入力される回路を特定し、特定した回路に対応した信号反転手段にのみ入力信号を反転させることにより、画素を表現するビット数が変更される場合であっても対応することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明では、順次走査される複数の画素において、1つ飛ばしに反転画素とすることにより、反転画素を容易に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る印刷装置1を示す図である。印刷装置1は、給紙部2、巻き取り部3、搬送部4、印字部5および制御部6を備えており、画像データ80に基づいて長尺のロール紙Pに印刷を行う。
【0028】
未使用のロール紙Pがロール状にセットされる給紙部2は、印字部5に向けて、セットされたロール紙Pを順次供給する。巻き取り部3は、印刷が終了したロール紙Pを回収してロール状に巻き取る。巻き取り部3に巻き取られたロール紙Pは、オペレータ等によって装置外に搬出される。
【0029】
搬送部4は、インフィードローラ40、アウトフィードローラ41、ニップローラ42,43および搬送ローラ44を備えている。
【0030】
インフィードローラ40は、印字部5の上流側に配置され、給紙部2から供給されたロール紙Pを印字部5に搬送する。一方、アウトフィードローラ41は、印字部5の下流側に配置され、印字部5によって印刷されたロール紙Pを巻き取り部3に向けて搬送する。
【0031】
ニップローラ42は、インフィードローラ40とともにロール紙Pを挟持し、ニップローラ43は、アウトフィードローラ41とともにロール紙Pを挟持する。搬送ローラ44は、印字部5におけるロール紙Pを搬送する。
【0032】
印字部5は、制御部6から転送される画像データ80に基づいて、インクをロール紙Pに噴射して印刷を行う。すなわち、印刷装置1は、いわゆるインクジェットプリンタとしての機能を有する。なお、ロール紙Pに印刷を行う手法は、インクジェット方式に限られるものではなく、例えば、熱転写方式、トナー方式等であってもよい。
【0033】
制御部6は、CPU7、画像メモリ8、基準電源回路9およびインターフェース回路装置10を備える。
【0034】
CPU7は、プログラムに従って動作することにより、データの演算を行い、印刷装置1の各構成を制御する。特に、CPU7は、画像データ80を画像メモリ8に記憶させる場合には、画像データ80を表現する信号を、インターフェース回路装置10を介して、画像メモリ8に出力する。また、印字部5に画像データ80を印刷させる場合には、インターフェース回路装置10を介して、画像メモリ8から画像データ80を読み出す。
【0035】
画像メモリ8は、一般的なDIMMメモリであって、CPU7とバス配線で接続されている。画像メモリ8は、印刷装置1が印刷する画像データ80を記憶するために使用される。
【0036】
基準電源回路9は、インターフェース回路装置10に対して、インピーダンスマッチングを行う際に必要となる電流を流す機能を有する。なお、SSTL回路では、ローレベルを出力する場合には、接続されている基準電源回路から電流が流れ(以下、「電流の供給」と称する)、ハイレベルを出力する場合には基準電源回路に向けて電流が流れる(以下、「電流の吸収」と称する)。そして、ハイレベルを出力するSSTL回路から「吸収」された電流は、電流の「供給」が必要なSSTL回路(ローレベルを出力する回路)に流れるため、基準電源回路には流れない(この現象を「電流の相殺」と称する)。したがって、インターフェース回路装置10において、相殺されなかった電流のみが基準電源回路9に流れることとなる。
【0037】
図2は、第1の実施の形態におけるインターフェース回路装置10を示す図である。インターフェース回路装置10は、画像メモリ8のバスのビット数に応じた個数(100個程度)のSSTL回路を備えているが、図2では、そのうちの8つのSSTL回路11ないし18のみを図示している。すなわち、インターフェース回路装置10では、8つのSSTL回路11ないし18が、1つの有効な単位ブロックとして構成されており、図2では、この1つの単位ブロックのみ図示している。なお、他の実施の形態においても8つのSSTL回路のみ図示する。
【0038】
また、インターフェース回路装置10には、基準電源回路9によって電圧Vrが印加されており、これにより、各SSTL回路11ないし18に電流が供給(あるいは吸収)される。
【0039】
信号IS1ないしIS8は、CPU7が画像メモリ8に記憶させる画像データ80を表現した信号の一部である。信号IS1ないしIS4は、画像データ80を構成する画素P1を4ビットで表現した場合の各桁を示す信号であり、信号IS5ないしIS8は、画像データ80を構成する画素P2を4ビットで表現した場合の各桁を示す信号である。
【0040】
画素P1および画素P2は、画像データ80の1ライン分を表現するラインデータにおいて、隣接する画素である。すなわち、画像データ80をライン方向に順次走査した場合に連続する画素である。
【0041】
本実施の形態では、ラインデータにおけるM番目の画素を画素P(M)とすると、画素P(N)を非反転画素とし、画素P(2N−1)を反転画素とする(N:自然数)。これは、画像データ80をライン方向に走査した場合に、順次走査される画素について、1つ飛ばしに反転画素を設定することに相当する。これにより、印刷装置1では、容易に反転画素を決定することができる。なお、詳細は後述するが、非反転画素P(N)を表現する信号は非反転素子21に入力され、反転画素P(2N−1)を表現する信号は反転素子23に入力される。
【0042】
信号OS1ないしOS8は、それぞれがSSTL回路11ないし18の出力する信号であり、画像メモリ8に向けて出力される。言い換えると、インターフェース回路装置10は、CPU7からの入力信号(信号IS1ないしIS8)を、複数のSSTL回路(SSTL回路11ないし18)によって、出力信号(信号OS1ないしOS8)に変換して、画像メモリ8に出力する装置である。
【0043】
SSTL回路11ないし18は、いわゆるSSTL2と呼ばれる規格の回路であって、それぞれが1つの信号線に対応したインターフェース回路として機能する。SSTL回路11ないし18は、信号のノイズ除去および入出力回路のインピーダンスマッチングを行う。
【0044】
SSTL回路11ないし14は、それぞれが非反転素子21およびレシーバ22を備えており、それぞれが同じ構造の回路を形成している。SSTL回路11ないし14への入力信号はそれぞれ信号IS1ないしIS4であり、画素P1を表現する信号である。また、出力信号はそれぞれ信号OS1ないしOS4であり、画像メモリ8に記憶される。
【0045】
非反転素子21は、入力信号(信号IS1ないしIS4)を反転させることなく、レシーバ22に向けて出力する、いわゆるバッファゲートである。レシーバ22は、基準電位Vrfとの比較を行い、出力信号(信号OS1ないしOS4)を生成して、画像メモリ8に出力する。
【0046】
SSTL回路11を例に説明する。SSTL回路11に信号IS1が入力されると、非反転素子21は、信号IS1の極性反転を行わずにレシーバ22に入力する。レシーバ22は、基準電位Vrfとの比較を行い、信号OS1を出力する。
【0047】
このように、SSTL回路11ないし14は、ローレベルの信号が入力されると、ローレベルの信号を出力する。一方、ハイレベルの信号が入力されると、ハイレベルの信号を出力する。したがって、SSTL回路11ないし14は非反転型のSSTL回路を構成しており、ローレベルの信号が入力されると基準電源回路9から電流が供給され、ハイレベルの信号が入力されると基準電源回路9に向けて電流が吸収される。
【0048】
SSTL回路15ないし18は、それぞれが反転素子23およびレシーバ22を備えており、それぞれが同じ構造の回路である。SSTL回路15ないし18への入力信号はそれぞれ信号IS5ないしIS8であり、画素P2を表現する信号である。また、出力信号はそれぞれ信号OS5ないしOS8であり、画像メモリ8に記憶される。
【0049】
反転素子23は、入力信号(信号IS5ないしIS8)を極性反転させて、レシーバ22に向けて出力する、いわゆるインバータである。レシーバ22は、基準電位Vrfとの比較を行い、出力信号(信号OS5ないしOS8)を生成して、画像メモリ8に出力する。
【0050】
SSTL回路15を例に説明する。SSTL回路15に信号IS5が入力されると、反転素子23はこれを極性反転してレシーバ22に入力する。レシーバ22は、基準電位Vrfとの比較を行い、信号OS5を出力する。
【0051】
このように、SSTL回路15ないし18は、ローレベルの信号が入力されると、ハイレベルの信号を出力する。一方、ハイレベルの信号が入力されると、ローレベルの信号を出力する。したがって、SSTL回路15ないし18は反転型のSSTL回路を構成しており、ローレベルの信号が入力されると基準電源回路9に向けて電流が吸収され、ハイレベルの信号が入力されると基準電源回路9から電流が供給される。
【0052】
すなわち、SSTL回路11ないし18では、出力信号である信号OS1ないしOS8がローレベルの回路に対して基準電源回路9から電流が供給され、ハイレベルの回路から電流が吸収される。
【0053】
このようなインターフェース回路装置10を設けた場合、出力信号である信号OS1ないしOS8において、ローレベルの信号とハイレベルの信号とが同数である場合に、電流の供給と吸収とが全て相殺され、基準電源回路9に流れる電流は最小となる。
【0054】
図3は、画素P1と画素P2との組合せにおけるローレベルの信号の数を示した図である。また、図4は、画素P1および画素P2の組合せにおいて、インターフェース回路装置10の信号OS1ないしOS8におけるローレベルの数を示した図である。
【0055】
図3および図4では、画素P1の値を左1列目に示し、画素P2の値を上1行目に示している。また、それらの交わる欄において、それぞれの値の組合せにおける「0(ローレベルの信号で表現される)」の数を表示している。
【0056】
さらに、図3および図4では、ハイレベルの信号の数と、ローレベルの信号の数との差が4以上ある組合せの欄をハッチングで強調している。
【0057】
すなわち、画素P1の値が「0000」であって、画素P2の値が「0000」である場合には、入力されるローレベルの信号の数は「8」である。また、ローレベルの信号が「8」ならば、ハイレベル信号の数は「0」であるので、その差は8(4以上)であるから、該当する欄はハッチングされている。
【0058】
さらに、図3および図4では、画素P2の値が、画素P1の値に対して、「±1」以内の組合せを示す欄を太線で囲んで強調している。
【0059】
通常、画像を表現する画像データ80では、隣接する画素の値は、ほぼ同じ値であるという特性がある。すなわち、像のエッジに該当する部分を例外とすれば、画像データ80では、比較的似た値の画素が並んでいる場合が多い。したがって、画像データ80において隣接する画素である画素P1,P2も、近い値で出現する可能性が高く、図3および図4において、太線で囲まれた欄の組合せは出現頻度の高い組合せと言える。
【0060】
図3を見れば、画像データ80において出現頻度の高い組合せ(太線で囲まれた欄の組合せ)のうち、ハッチングで強調された組合せは18組ある。また、その18組において、ローレベルの信号の数と、ハイレベルの信号の数との差も、最大で「8」となっている。
【0061】
したがって、画像を表現した画像データ80であっても、ローレベルの信号とハイレベルの信号は均等に出現するわけではないことが分かる。従来の装置のように、反転素子23を備えていないSSTL回路では、入力信号のレベルと出力信号のレベルとが同じである。したがって、図3に示す状況がそのまま出力信号の組合せとなる。すなわち、従来の装置では、基準電源回路に流れる電流を抑制することはできない。
【0062】
一方、図4を見れば、インターフェース回路装置10では、出現頻度の高い組合せのうち、ハッチングで強調された組合せは2組である。すなわち、基準電源回路9に比較的大きな電流(4以上)が流れる頻度が激減することが分かる。したがって、本実施の形態におけるインターフェース回路装置10は、基準電源回路9に大きな電流が流れる頻度を減少させることができ、基準電源回路9の発熱を抑制することができる。
【0063】
また、ハッチングで強調された2組において、ローレベルの信号の数と、ハイレベルの信号の数との差も、最大で「4」である。すなわち、インターフェース回路装置10を用いることにより、基準電源回路9において、通常流れる最大電流の値も低下することが分かる。これによっても、基準電源回路9の発熱を抑制することができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態における印刷装置1では、各画素を表現するためのビット数に応じて、予め有効な単位ブロックを構成するSSTL回路を決定する。すなわち、画像データ80において、互いに隣接する画素を表現する信号が入力されるSSTL回路(SSTL回路11ないし18)を1つの単位ブロックとする。
【0065】
そして、1つの単位ブロックを構成するSSTL回路11ないし18において、予め、反転画素(画素P2)を表現する信号が入力されるSSTL回路(SSTL回路15ないし18)にのみ反転素子23を設けることにより、基準電源回路9の発熱を抑制することができる。
【0066】
言い換えると、印刷装置1のインターフェース回路装置10は、画像データ80における画素の特性に着目して、予め反転素子23を配置する(ハードウェア的に固定される)。これにより、入力信号をその都度判定する判定回路と、判定結果に応じて信号の反転/非反転を切り替えるための配線とを設けることなく、基準電源回路9の発熱を抑制することができる。
【0067】
なお、本実施の形態における印刷装置1では、反転画素(P2)の値は、反転した状態で画像メモリ8に記憶される。したがって、画像データ80が読み出される際には、反転画素(P2)の値は、反転させつつ読み出される。
【0068】
また、1つの単位ブロックは、2つの画素を表現する信号を入力するために必要な数のSSTL回路から構成される。したがって、例えば、1つの画素を8ビットで表現する場合には、1つの単位ブロックには16個のSSTL回路が含まれる。すなわち、1つの単位ブロックを構成するSSTL回路の数は、1つの画素を何ビットで表現するかに応じて設定されるものであり、本実施の形態に示すように8つに限定されるものではない。
【0069】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、反転画素を表現する信号が入力されるSSTL回路にのみ、反転素子23が配置されていたが、すべてのSSTL回路が反転素子23を備えるように構成してもよい。
【0070】
図5は、このような原理に基づいて構成した第2の実施の形態における印刷装置1のインターフェース回路装置10aを示す図である。なお、第2の実施の形態における印刷装置1は、インターフェース回路装置10aを備えている以外の点では、第1の実施の形態における印刷装置1と同様の構成である。
【0071】
インターフェース回路装置10aは、それぞれが同様の構成を有する複数のSSTL回路19aないし19hを備えている。
【0072】
SSTL回路19aないし19hは、非反転素子21、レシーバ22および反転素子23を備えている。さらに、非反転素子21と反転素子23とを選択的に接続するスイッチング素子24を備えている。
【0073】
それぞれのスイッチング素子24には、CPU7から制御信号(信号CS1ないしCS8)が入力され、この制御信号に応じて、非反転素子21と反転素子23とが選択的に接続される。例えば、スイッチング素子24は、制御信号CS1がローレベルのときに、非反転素子21を回路に接続する。一方、制御信号CS1がハイレベルのときに、反転素子23を回路に接続する。
【0074】
本実施の形態におけるCPU7は、オペレータからの入力情報や、初期設定された情報等に基づいて、画像データ80の画素を表現するビット数を取得する。そして、取得したビット数に応じて、入力信号を極性反転させる反転素子23を選択して、スイッチング素子24を制御する。
【0075】
図6は、第2の実施の形態において、1つの画素が4ビットで表現される場合のインターフェース回路装置10aを示す図である。なお、図6では、スイッチング素子24によって回路に接続された素子のみ図示している。
【0076】
CPU7は、取得した1つの画素を表現するビット数(4ビット)に応じて、信号CS1ないしCS4にローレベルを、信号CS5ないしCS8にハイレベルを、それぞれセットする。
【0077】
これによって、SSTL回路19aないし19dのスイッチング素子24は、いずれも非反転素子21を回路に接続する。したがって、SSTL回路19aないし19dは、第1の実施の形態におけるSSTL回路11ないし14と等価な回路となる。
【0078】
一方、SSTL回路19eないし19hのスイッチング素子24は、いずれも反転素子23を回路に接続する。したがって、SSTL回路19eないし19hは、第1の実施の形態におけるSSTL回路15ないし18と等価な回路となる。
【0079】
したがって、本実施の形態におけるインターフェース回路装置10aを用いた場合でも、第1の実施の形態と同様に、反転画素P2を表現する信号IS5ないしIS8のみが極性反転される。したがって、1つの画素を4ビットで表現した場合に対応することができる。
【0080】
図7は、第2の実施の形態において、1つの画素が2ビットで表現される場合のインターフェース回路装置10aを示す図である。なお、図6では、スイッチング素子24によって回路に接続された素子のみ図示している。
【0081】
1つの画素を2ビットで表現した場合、隣接する2つの画素を表現する信号は4ビットとなる。したがって、この場合の1つの単位ブロックは4つのSSTL回路から構成される。
【0082】
すなわち、画素P1を表現する信号は、信号IS1,IS2であり、画素P2を表現する信号は、信号IS3,IS4である。同様に、画素P3を表現する信号は、信号IS5,IS6であり、画素P4を表現する信号は、信号IS7,IS8である。
【0083】
画像データ80のラインデータにおいて、順次走査される画素が画素P1,P2,P3,P4であるから、これを1つ飛ばしに反転画素とすれば、画素P2,P4が反転画素となる。
【0084】
CPU7は、取得した1つの画素を表現するビット数(2ビット)に応じて、反転画素を表現する信号が入力されるSSTL回路を決定して、信号CS1ないしCS8を出力する。
【0085】
ここに示す例では、非反転画素(画素P1,P3)を表現する信号が入力されるSSTL回路には、ローレベルにセットした信号CS1,CS2,CS5,CS6を出力する。一方、反転画素(画素P2,P4)を表現する信号が入力されるSSTL回路には、ハイレベルにセットした信号CS3,CS4,CS7,CS8を出力する。
【0086】
これによって、SSTL回路19a,19b,19e,19fのスイッチング素子24は、いずれも非反転素子21を回路に接続する。したがって、SSTL回路19a,19b,19e,19fは、第1の実施の形態におけるSSTL回路11ないし14と等価な回路となる。
【0087】
一方、SSTL回路19c,19d,19g,19hのスイッチング素子24は、いずれも反転素子23を回路に接続する。したがって、SSTL回路19c,19d,19g,19hは、第1の実施の形態におけるSSTL回路15ないし18と等価な回路となる。
【0088】
すなわち、1つの画素が2ビットで表現される場合であっても、隣接する2つの画素の一方を表現する信号のみを極性反転させることができる。
【0089】
以上のように、第2の実施の形態における印刷装置1では、それぞれのSSTL回路19aないし19hが対応する反転素子23を備え、CPU7がスイッチング素子24を制御することにより、1つの画素が様々なビット数で表現される場合に対応することができる。
【0090】
また、第2の実施の形態における印刷装置1のインターフェース回路装置10aでは、同じ構造のSSTL回路19aないし19hによって実現することができる。したがって、例えば、量産効果が向上する。
【0091】
<3. 第3の実施の形態>
第2の実施の形態では、スイッチング素子24をCPU7が制御して、ハードウェア的に素子の切り替えが行われる例について説明した。しかし、1つの画素を表現するビット数が、変更される場合に対応する手法は、これに限られるものではない。
【0092】
図8は、このような原理に基づいて構成した第3の実施の形態における印刷装置1のインターフェース回路装置10bを示す図である。なお、第3の実施の形態における印刷装置1は、インターフェース回路装置10bを備えている以外の点では、第2の実施の形態における印刷装置1と同様の構成である。
【0093】
インターフェース回路装置10bは、複数のSSTL回路20aないし20hを備えている。各SSTL回路20aないし20hは、第2の実施の形態におけるSSTL回路19aないし19hの非反転素子21、反転素子23およびスイッチング素子24が、論理素子25に置き換えられた構造である。
【0094】
論理素子25は、いわゆるEx.OR素子(異信号検出素子)である。論理素子25は、2つの信号が異なっている場合にハイレベルを出力し、2つの信号が同じ場合にローレベルを出力する素子である。以下に、論理素子25の動作を具体的に説明する。
【0095】
非反転画素(例えば画素P1)を表現する信号が入力される場合、SSTL回路が入力信号を反転させることのないように制御する必要がある。CPU7は、入力信号を反転させない場合には、制御信号(信号CS1ないしCS8)に、ローレベルをセットする。この場合、入力信号(IS1ないしIS8)がローレベルであれば、制御信号と入力信号とが同じなので、論理素子25からローレベルが出力される。また、入力信号がハイレベルであれば、制御信号と入力信号とが異なるので、論理素子25からはハイレベルが出力される。すなわち、論理素子25からは、入力信号が反転されることなく、そのまま出力される。
【0096】
一方、反転画素(例えば画素P2)を表現する信号が入力される場合、SSTL回路が入力信号を反転させるように制御する必要がある。CPU7は、入力信号を反転させる場合には、制御信号(信号CS1ないしCS8)に、ハイレベルをセットする。この場合、入力信号(IS1ないしIS8)がローレベルであれば、制御信号と入力信号とが異なるので、論理素子25からハイレベルが出力される。また、入力信号がハイレベルであれば、制御信号と入力信号とが同じなので、論理素子25からはローレベルが出力される。すなわち、論理素子25からは、入力信号が反転されて出力される。
【0097】
したがって、CPU7からの制御信号によって、論理素子25からの出力を制御することができるので、第3の実施の形態における印刷装置1のインターフェース回路装置10bは、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
<4. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0099】
例えば、隣接する2つの画素のうち、一方を非反転画素とし、他方を反転画素とすればよいのであって、1つ飛ばしでなくてもよい。すなわち、画素P1,P2,P3,P4が順次走査され、画素P1,P2、画素P3,P4がそれぞれ1つの単位ブロックに処理される場合において、画素P2,P3を反転画素としてもよい。
【0100】
また、隣接する2つの画素の走査方向は直線方向に限定されるものではない。したがって、例えば、曲線状に走査される場合の隣接する2つの画素であってもよい。すなわち、1つの単位ブロックに入力される信号は、画像データ80において、互いに隣接する2つの画素を表現しているものであればよく、隣接する方向は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る印刷装置を示す図である。
【図2】第1の実施の形態におけるインターフェース回路装置を示す図である。
【図3】画素P1と画素P2との組合せにおけるローレベルの信号の数を示した図である。
【図4】画素P1および画素P2の組合せにおいて、インターフェース回路装置の信号OS1ないしOS8におけるローレベルの数を示した図である。
【図5】第2の実施の形態における印刷装置のインターフェース回路装置を示す図である。
【図6】第2の実施の形態において、1つの画素が4ビットで表現される場合のインターフェース回路装置を示す図である。
【図7】第2の実施の形態において、1つの画素が2ビットで表現される場合のインターフェース回路装置を示す図である。
【図8】第3の実施の形態における印刷装置のインターフェース回路装置を示す図である。
【図9】従来のSSTL回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0102】
1 印刷装置
5 印字部
6 制御部
7 CPU
8 画像メモリ
80 画像データ
9 基準電源回路
10,10a,10b インターフェース回路装置
11,12,13,14 SSTL回路
15,16,17,18 SSTL回路
19a,19b,19c,19d,19e,19f,19g,19h SSTL回路
20a,20b,20c,20d,20e,20f,20g,20h SSTL回路
21 非反転素子
22 レシーバ
23 反転素子
24 スイッチング素子
25 論理素子
IS1ないしIS8 信号(入力信号)
OS1ないしOS8 信号(出力信号)
P ロール紙
P1 画素(非反転画素)
P2 画素(反転画素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを表現する信号の入出力を行うインターフェース回路装置であって、
基準電源回路との間で電気的に接続され、信号のインピーダンスマッチングを行う複数の回路と、
画像データにおいて所定方向に順次走査される前記画像データによって表現される画像上で近接する2つの画素について、一方のみを反転画素とし、前記反転画素を表現する入力信号を反転させて出力信号とする出力手段と、
を備えることを特徴とするインターフェース回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインターフェース回路装置であって、
前記出力手段は、
前記反転画素を構成するビット数を取得する取得手段と、
前記複数の回路のそれぞれに対応した複数の信号反転手段と、
前記取得手段により取得された前記ビット数に応じて、前記複数の回路から前記反転画素を表現する入力信号が入力される回路を特定し、特定した前記回路に対応した信号反転手段にのみ入力信号を反転させる制御手段と、
を備えることを特徴とするインターフェース回路装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインターフェース回路装置であって、
前記出力信号はメモリに対して出力されることを特徴とするインターフェース回路装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のインターフェース回路装置であって、
前記複数の画素は、前記画像データの1ラインを表現するものであることを特徴とするインターフェース回路装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のインターフェース回路装置であって、
前記出力手段は、順次走査される複数の画素において、1つ飛ばしに反転画素とすることを特徴とするインターフェース回路装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載のインターフェース回路装置であって、
前記2つの画素は、前記走査方向において近接することを特徴とするインターフェース回路装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかに記載のインターフェース回路装置であって、
前記2つの画素は、前記走査方向に交差する方向において近接することを特徴とするインターフェース回路装置。
【請求項8】
印刷装置であって、
画像データに基づいて用紙に画像を印刷する印字部と、
画像データを表現する信号の入出力を行うインターフェース回路装置と、
を備え、
前記インターフェース回路装置が、
基準電源回路との間で電気的に接続され、信号のインピーダンスマッチングを行う複数の回路と、
画像データにおいて所定方向に順次走査される前記画像データによって表現される画像上で近接する2つの画素について、一方のみを反転画素とし、前記反転画素を表現する入力信号を反転させて出力信号とする出力手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−41668(P2007−41668A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222467(P2005−222467)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】