説明

インターポーザ用基板の製造方法

【課題】薄いガラス基板を使用しても、割れや欠けが生じにくいインターポーザ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)第1および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、(b)前記ガラス基板の第1の表面側に、第1の固定部材を配置し、第2の表面側に、第2の固定部材を配置する工程であって、前記第1の固定部材は、前記ガラス基板の第1の表面と当接する第1の当接部分、および前記ガラス基板の第1の表面と当接しない第1の非当接部分を有し、前記第2の固定部材は、前記ガラス基板の第2の表面と当接する第2の当接部分、および前記ガラス基板の第2の表面と当接しない第2の非当接部分を有する、工程と、(c)第1の非当接部分および第2の非当接部分を通るようにして、前記ガラス基板にレーザ光を照射し、前記ガラス基板に、少なくとも一つの貫通孔を形成する工程と、を含む製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターポーザ用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザアブレーション法では、被加工対象となる基板材料に微細パターンを形成することができるため、レーザアブレーション法は、小型化や高密度実装化の必要な半導体素子製造分野において、広く利用されている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
最近では、ガラス基板のような透明基板に対しても、エキシマレーザのようなレーザ光を用いたレーザアブレーション法により、微細パターンおよびビア用の貫通孔のような構造物を形成できることが明らかになっている。
【0004】
例えば、特許文献3には、ガラス基板にレーザ光を照射することにより、複数の貫通孔(ビア)を形成して、インターポーザ用基板を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−88045号公報
【特許文献2】特開2002−126886号公報
【特許文献3】国際公開第WO2010/087483号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体素子製造の分野では、素子のさらなる微細化および高密度化が要求されており、ガラス基板で構成されるインターポーザ用基板に対しても、貫通孔(ビア)の微細化、高密度化に対するニーズは、今後益々高まっていくものと予想される。
【0007】
また、このような多数の微細な貫通孔をガラス基板に効率的に形成するには、ガラス基板の厚さが薄い方が好ましく、このため、今後は、ガラス基板の薄肉化が必要となることが考えられる。
【0008】
しかしながら、ガラス基板が薄くなればなるほど、処理工程および搬送工程などにおいて、ガラス基板を取扱う際に、ガラス基板が割れて破損したり、ガラス基板に欠けが生じたりするおそれが高くなる。すなわち、薄いガラス基板では、強度が低下し、ガラス基板のハンドリング性が難しくなるという問題が生じ得る。
【0009】
また、このようなハンドリング性の問題に対処するため、額縁状の支持部材を用いて、ガラス基板を周囲から保持することが考えられる。
【0010】
しかしながら、この対処方法においても、ガラス基板を固定するためには、額縁状の支持部材をガラス基板の端部に押し付けて、ガラス基板と支持部材を一体化させる必要がある。このため、ガラス基板の端部は、支持部材によって押し圧を受けることになる。従って、ガラス基板のハンドリングの際には、結局、ガラス基板の周囲部分、特に支持部材と当接している部分に、割れや欠けが生じる危険性が高くなってしまう。
【0011】
このように、額縁状の支持部材を用いる方法は、薄いガラス基板のハンドリング性に対する有効な対処法であるとは言い難い。
【0012】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、薄いガラス基板を使用した場合であっても、製造中に、割れや欠けが生じにくいインターポーザ基板の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、
少なくとも一つの貫通孔を有するインターポーザ用基板の製造方法であって、
(a)第1の表面および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
(b)前記ガラス基板の第1の表面側に、第1の固定部材を配置し、前記ガラス基板の第2の表面側に、第2の固定部材を配置する工程であって、
前記第1の固定部材は、前記ガラス基板の第1の表面と当接する第1の当接部分、および前記ガラス基板の第1の表面と当接しない第1の非当接部分を有し、
前記第2の固定部材は、前記ガラス基板の第2の表面と当接する第2の当接部分、および前記ガラス基板の第2の表面と当接しない第2の非当接部分を有する、工程と、
(c)前記第1の固定部材の第1の非当接部分および前記第2の固定部材の第2の非当接部分を通るようにして、前記ガラス基板にレーザ光を照射し、これにより前記ガラス基板に、少なくとも一つの貫通孔を形成する工程と、
を含む製造方法が提供される。
【0014】
ここで、本発明による製造方法では、
前記第1および第2の非当接部分は、複数の開口部分を形成し、
前記開口の各々は、前記ガラス基板上の、1または2以上の半導体素子が設置される領域に対応しても良い。
【0015】
また、本発明による製造方法において、前記第1および/または第2の固定部材は、複数の開口を有するシート状部材、網(ネット)、メッシュ部材、および複数の糸状部材を編み込んだ織物からなる群から選定された少なくとも一つを有しても良い。
【0016】
また、本発明による製造方法において、
前記第1の固定部材は、複数の線状部材で構成され、および/または
前記第2の固定部材は、複数の線状部材で構成されても良い。
【0017】
また、本発明による製造方法において、前記第1および/または第2の固定部材は、有機材料もしくは表面に絶縁層が設置された金属材料で構成されても良い。
【0018】
また、本発明による製造方法において、前記第1および第2の固定部材は、前記ガラス基板の厚さ方向から見たとき、前記ガラス基板を介して、実質的に等しい位置に配置されても良い。
【0019】
また、本発明による製造方法において、前記ガラス基板の厚さは、10μm〜200μmの範囲であっても良い。
【0020】
また、本発明による製造方法は、さらに、
(d)前記貫通孔の側壁に、導電性材料を設置する工程
を有しても良い。
【0021】
さらに、本発明による製造方法は、
(e)前記ガラス基板の第1の表面および/または第2の表面に、導電性材料のパターンを設置する工程
を有しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、薄いガラス基板を使用した場合であっても、製造中に、割れや欠けが生じにくいインターポーザ用基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ガラス基板の周囲に額縁状の支持部材が設置された状態を模式的に示した図である。
【図2】固定部材によりガラス基板を支持、固定することにより構成された一体化物を模式的に示した図である。
【図3】図2におけるA−A線での模式的な断面図である。
【図4】別の固定部材によりガラス基板を支持、固定することにより構成された一体化物を模式的に示した図である。
【図5】図4におけるB−B線での模式的な断面図である。
【図6】さらに別の固定部材によりガラス基板を支持、固定することにより構成された一体化物を模式的に示した図である。
【図7】図6におけるC−C線での模式的な断面図である。
【図8】本発明によるインターポーザ用基板の製造方法のフローの一例を概略的に示した図である。
【図9】レーザアブレーション法により、ガラス基板に貫通孔を形成する際に使用される装置構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前述のように、貫通孔の効率的形成の観点から、今後、インターポーザ用基板の薄肉化が進展することが考えられる。
【0025】
しかしながら、ガラス基板の厚さを薄くした場合、ガラス基板を取扱う際に、ガラス基板が割れて破損したり、ガラス基板に欠けが生じたりするおそれが高くなる。すなわち、薄いガラス基板では、強度が低下し、ガラス基板のハンドリング性が難しくなるという問題が生じ得る。
【0026】
このようなガラス基板のハンドリング性の問題に対処するため、額縁状の支持部材を用いて、ガラス基板を周囲から保持することが考えられる。
【0027】
図1には、ガラス基板の周囲に額縁状の支持部材を設置することにより構成された一体化物を模式的に示す。
【0028】
図1の一体化物10において、第1の表面12および第2の表面13を有するガラス基板11は、両表面側から、額縁状の支持部材15、16によって支持されている。すなわち、ガラス基板11の第1の表面12の周囲には、支持部材15が配置され、ガラス基板11の第2の表面13の周囲には、支持部材16が配置されている。
【0029】
このような支持部材15、16をガラス基板11の両表面側に配置して、ガラス基板11を両表面側から押さえ付けることにより、ガラス基板11が支持部材15、16と一体化され、一体化物10が構成される。この一体化物10により、ガラス基板11のハンドリング性が改善されることが考えられる。
【0030】
しかしながら、この一体化物10の構成では、ガラス基板11の周囲は、支持部材15、16からの押し圧を受けることになる。具体的には、図1において、ガラス基板11の支持部材15と接する位置20では、矢印A1の押し圧を受け、ガラス基板11の支持部材16と接する位置21では、矢印A2の押し圧を受けることになる。このため、支持部材15、16をガラス基板11に取り付ける際、あるいは一体化物10の取扱の際に、ガラス基板11の位置20および21において、割れや欠けが生じるおそれが高くなってしまう。
【0031】
このように、薄いガラス基板を取扱う際には、割れや欠けの問題が生じ得る。
【0032】
これに対して、本発明では、
少なくとも一つの貫通孔を有するインターポーザ用基板の製造方法であって、
(a)第1の表面および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
(b)前記ガラス基板の第1の表面側に、第1の固定部材を配置し、前記ガラス基板の第2の表面側に、第2の固定部材を配置する工程であって、
前記第1の固定部材は、前記ガラス基板の第1の表面と当接する第1の当接部分、および前記ガラス基板の第1の表面と当接しない第1の非当接部分を有し、
前記第2の固定部材は、前記ガラス基板の第2の表面と当接する第2の当接部分、および前記ガラス基板の第2の表面と当接しない第2の非当接部分を有する、工程と、
(c)前記第1の固定部材の第1の非当接部分および前記第2の固定部材の第2の非当接部分を通るようにして、前記ガラス基板にレーザ光を照射し、これにより前記ガラス基板に、少なくとも一つの貫通孔を形成する工程と、
を含む製造方法が提供される。
【0033】
本発明によるインターポーザ用基板の製造方法では、図1に示したような額縁状の固定部材を使用して、ガラス基板の端部のみを支持する方法とは異なり、ガラス基板は、第1および第2の固定部材により、両表面(上下面)側から全面にわたって支持、固定される。
【0034】
例えば、第1および/または第2の固定部材として、網状の部材を使用した場合、ガラス基板は、この網状部材と、全面にわたって複数の「線」で接するようになる。
【0035】
このような方法では、第1および第2の固定部材によりガラス基板に加わる力は、ガラス基板の全表面にわたって分散されるようになる。従って、本発明では、ガラス基板が薄い場合であっても、取扱中にガラス基板に局部的に大きな力が加わり、ガラス基板に割れや欠けが生じるおそれを有意に抑制することができる。
【0036】
また、ガラス基板は、両表面側から固定されているため、取扱中にガラス基板の位置が固定部材に対してずれることも生じにくい。
【0037】
さらに、第1および第2の固定部材は、ガラス基板と当接しない非当接部分を有する。このため、これらの非当接部分を通るようにして、ガラス基板にレーザ光を照射した場合、レーザ光の照射が第1および第2の固定部材によって妨害されることが回避され、ガラス基板内に適正に貫通孔を形成することができる。
【0038】
(本発明による固定部材の具体的構成)
以下、図面を参照して、本発明に使用され得る固定部材の態様をより詳しく説明する。
【0039】
(第1の構成)
図2および図3には、固定部材によりガラス基板を支持、固定することにより構成された一体化物を模式的に示す。図2は、一体化物100の模式的な底面図を示しており、図3は、図2のA−A線での模式的な断面図を示している。
【0040】
図2および図3に示すように、一体化物100は、ガラス基板110と、第1および第2の固定部材120、130と、周囲部材140、150とで構成される。
【0041】
ガラス基板110は、第1の表面112および第2の表面114を有する。第1の固定部材120は、ガラス基板110の第1の表面112側に設置され、第2の固定部材130は、ガラス基板110の第2の表面114側に設置される。
【0042】
ここで、図2および図3の例では、第1の固定部材120は、第1の方向(X方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第1の延伸部122Xと、第2の方向(Y方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第2の延伸部122Yと、を有するシート部材で構成されている。また、隣接する2つの第1の延伸部122Xと、隣接する2つの第2の延伸部122Yとによって囲まれた領域には、開口125が形成される。
【0043】
同様に、第2の固定部材130は、第1の方向(X方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第1の延伸部132Xと、第2の方向(Y方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第2の延伸部132Yと、を有するシート部材で構成されている。また、隣接する2つの第1の延伸部132Xと、隣接する2つの第2の延伸部132Yとによって囲まれた領域には、開口135が形成される。(ただし、図3において、第1の延伸部132Xは、角度上視認されない。)
なお、第1の延伸部122X、132X、および第2の延伸部122Y、132Yの延伸方向は、特に限られない。例えば、これらの延伸部の延伸方向は、図2のX方向およびY方向に対して非平行であっても良い。また、第1の延伸部122X、132Xと、2の延伸部122Y、132Yとは、直角以外の角度で交差しても良い。また、第1および第2の固定部材120、130間で、延伸部の延伸方向は、異なっていても良い。さらに、第1の延伸部122X、132Xを構成するそれぞれの延伸部の延伸方向は、平行である必要はない。第2の延伸部122Y、132Yについても同様である。
【0044】
第1および第2の固定部材120、130の周囲には、それぞれ、周囲部材140および150が配置されており、これらの周囲部材140、150により、固定部材120、130の位置が固定される。
【0045】
ここで、周囲部材140、150は、固定部材120、130の位置を固定するために使用されており、ガラス基板110の周囲は、周囲部材140、150によって直接押さえ付けられていないことに留意する必要がある。
【0046】
このような一体化物100では、ガラス基板110は、第1および第2の固定部材120、130、特に、第1の固定部材120の延伸部122X、122Y、ならびに第2の固定部材130の延伸部132X、132Yにより、両表面112、114側から全面にわたって支持、固定される。
【0047】
従って、第1および第2の固定部材120、130からガラス基板110に加わる力は、局部的に集中されにくくなり、ガラス基板110の表面112、114全体にわたって分散されるようになる。
【0048】
このため、図2および図3の構成では、ガラス基板110が薄い場合であっても、一体化物100の取扱中にガラス基板110に局部的に大きな力が加わり、ガラス基板110に割れや欠けが生じるおそれを抑制できる。
【0049】
また、ガラス基板110は、位置が固定された固定部材120、130によって、両表面112、114側から固定されているため、一体化物100の取扱中にガラス基板110の位置が固定部材120、130に対してずれることも生じにくい。
【0050】
さらに、第1および第2の固定部材120、130は、それぞれ、開口125、135を有する。このため、レーザアブレーション処理によって、ガラス基板110にビアを形成する際に、開口125、135を通るようにして、ガラス基板110にレーザ光を照射することにより、レーザ光の照射が第1および第2の固定部材120、130によって妨害されることを回避することができる。
【0051】
ここで、第1および第2の固定部材120、130の材質、寸法、および形状等は、特に限られず、これらは、ガラス基板110の以降の加工工程および処理工程に応じて、適宜選定される。
【0052】
例えば、第1および第2の固定部材120、130は、金属材料または有機材料で構成されても良い。第1および第2の固定部材120、130が金属材料で構成される場合、固定部材120、130は、例えば、金属板の所定の位置をエッチング処理して、複数の開口を形成することにより、構成しても良い。また、第1および第2の固定部材120、130が有機材料で構成される場合、固定部材120、130は、例えば、樹脂製またはプラスチック製のシートを所定の位置で開口加工して構成しても良い。
【0053】
ただし、将来、ガラス基板110に対して電解めっきを施工する必要がある場合、第1および第2の固定部材120、130が導電性を有することは、好ましくない場合がある。この場合には、第1および第2の固定部材120、130として、金属材料の表面に絶縁層がコーティングされた材料が使用されても良い。
【0054】
また、第1および第2の固定部材120、130の延伸部122X、122Y、132X、132Yの太さおよびピッチ、ならびに開口125、135の形状および寸法は、レーザによって形成されるビアの寸法、密度、および配置等に応じて、適宜選定される。
【0055】
例えば、各開口125、135のそれぞれは、将来、ガラス基板110上に設置されることになる1または2以上の半導体素子の領域に対応していても良い。
【0056】
(第2の構成)
次に、本発明に使用され得る固定部材の別の態様について説明する。
【0057】
図4および図5には、別の固定部材によりガラス基板を支持、固定することにより構成された一体化物を模式的に示す。図4は、一体化物200の模式的な底面図を示しており、図5は、図4のB−B線での模式的な断面図を示している。
【0058】
図4および図5に示すように、一体化物200は、ガラス基板210と、第1および第2の固定部材220、230と、周囲部材240、250とで構成される。
【0059】
ガラス基板210は、第1の表面212および第2の表面214を有する。第1の固定部材220は、ガラス基板210の第1の表面212側に設置され、第2の固定部材230は、ガラス基板210の第2の表面214側に設置される。
【0060】
この第2の構成においても、前述の第1の構成と同様に、第1の固定部材220は、第1の方向(X方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第1の延伸部222Xと、第2の方向(Y方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第2の延伸部222Yと、を有する。また、第2の固定部材230は、第1の方向(X方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第1の延伸部232Xと、第2の方向(Y方向)に沿って相互に平行に延伸する複数の第2の延伸部232Yと、を有する。第1および第2の固定部材220、230において、延伸部222X、222Y、232X、および232Y以外の部分には、それぞれ、開口225、235が形成されている。
【0061】
この第2の構成では、第1および第2の固定部材220、230が「網状部材」で構成されている点が、前述の第1の構成とは異なっている。
【0062】
なお、本願において、「網状(の)部材」とは、糸や針金などの一軸延伸素材を編むことにより構成された部材の総称を意味する。従って、「網状(の)部材」には、例えば、純粋な網(ネット)の他、メッシュ部材(網の目を有する部材)、および複数の糸状部材を編み込んで構成された織物等が含まれる。
【0063】
また、網状の第1および第2の固定部材220、230の材質は、特に限られない。第1および第2の固定部材220、230の材質は、例えば、樹脂、プラスチック、または金属であっても良い。ただし、前述のように、以降にガラス基板210に対して電解めっき等を施工する工程が存在する場合は、第1および第2の固定部材220、230として、金属部材の表面に絶縁層がコーティングされた網状部材が使用されても良い。
【0064】
このような第2の構成においても、前述の第1の構成と同様の効果が得られることは、当業者には明らかである。
【0065】
(第3の構成)
次に、本発明に使用可能な固定部材のさらに別の態様について説明する。
【0066】
図6および図7には、別の固定部材によりガラス基板を支持、固定することにより構成された一体化物を模式的に示す。図6は、一体化物300の模式的な底面図を示しており、図7は、図6のC−C線での模式的な断面図を示している。
【0067】
図6および図7に示すように、一体化物300は、ガラス基板310と、第1および第2の固定部材320、330と、を有する。
【0068】
ガラス基板310は、第1の表面312および第2の表面314を有する。第1の固定部材320は、ガラス基板310の第1の表面312側に設置され、第2の固定部材330は、ガラス基板310の第2の表面314側に設置される。
【0069】
さらに、一体化物300は、端部部材340、350を有し、第1の端部部材340は、一体化物300の底面側のY方向の端部に、X方向に沿って配置され、第2の端部部材350は、一体化物300の上面側のY方向の端部に、X方向に沿って配置される。(ただし、図6において、端部部材350は、角度上視認されない。)
ここで、第3の構成では、第1および第2の固定部材320、330は、複数の線状部材(以下、単に「線状部材」と称する)で構成される。
【0070】
「線状部材」の構成例は、特に限られない。「線状部材」は、例えば、針金およびロッドのような断面が略円形の部材であっても良い。また、「線状部材」は、例えば、断面が略矩形状の帯状の部材であっても良い。
【0071】
なお、以降の記載では、一例として、第1および第2の固定部材を構成する「線状部材」として、図6および図7に示すような、複数の帯状の部材が使用されている場合を例に説明する。ただし、その他の形態の「線状部材」を使用した場合も、同様のことが言えることは、当業者には明らかである。
【0072】
図6および図7に示すように、第1の固定部材320は、複数の帯状部材322Yで構成され、各帯状部材322Yは、第1の方向(Y方向)に沿って相互に平行に延伸する。隣接する帯状部材322Yの間には、開口325が形成される。また、第2の固定部材330は、複数の帯状部材332Yで構成され、各帯状部材332Yは、第2の方向(Y方向)に沿って相互に平行に延伸する。隣接する帯状部材332Yの間には、開口335が形成される。
【0073】
ここで、図6および図7では、各帯状部材322Y、332Yは、Y方向に沿って延伸しているが、帯状部材322Y、332Yの延伸方向は、特に限られない。例えば、これらの帯状部材322Y、332Yの延伸方向は、図6のY方向に対して非平行であっても良い。また、第1および第2の固定部材320、330間で、帯状部材322Y、332Yの延伸方向は、異なっていても良い。さらに、複数のそれぞれの帯状部材322Y(または332Y)の延伸方向は、必ずしも相互に平行である必要はない。さらに、図6および図7の例では、各帯状部材322Y(または332Y)は、相互に交差していないが、帯状部材322Y(または332Y)のうち少なくともいくつかは、交差していても良い。
【0074】
端部部材340および350は、それぞれ、第1および第2の固定部材320、330の帯状部材322Y、332Yの先端に配置されており、これらの端部部材340、350により、第1および第2の固定部材320、330は、位置が固定される。
【0075】
なお、端部部材340、350は、固定部材320、330の位置を固定するために使用されるものであり、ガラス基板310のY方向の両端部は、端部部材340、350によって直接押さえ付けられていないことに留意する必要がある。
【0076】
このような一体化物300では、ガラス基板310は、第1および第2の固定部材320、330と当接する部分において、固定部材320の帯状部材322Yおよび固定部材330の帯状部材332Yによって、両表面312、314側から支持、固定される。すなわち、この場合も、ガラス基板310は、第1および第2の固定部材320、330と、全面にわたって複数の「線」で接するようになる。
【0077】
従って、この第3の構成においても、第1および第2の固定部材320、330からガラス基板310に加わる力は、局部的に集中されにくくなり、一体化物300の取扱中にガラス基板310に局部的に大きな力が加わり、ガラス基板310に割れや欠けが生じるおそれを抑制できる。
【0078】
ただし、図6および図7に示したような、相互に平行に延伸する帯状部材322Y、332Yを有する一体化物300の構成では、前述の一体化物100、200とは異なり、帯状部材322Y、332Yは、ガラス基板310に対して、一つの方向(Y方向)に沿ってしか当接しておらず、いわばガラス基板310を複数の平行な「線」で支持した状態にある。
【0079】
このため、帯状部材322Yまたは332Yのピッチ(隣接する帯状部材同士の間隔)が広くなりすぎると、ガラス基板310が撓み、これにより、ガラス基板310に割れが生じるおそれが高くなる。また、レーザによる穴あけ加工の際、たわみがあるとレーザの焦点深度方向での集光位置にずれが生じるおそれがある。このような問題を軽減するため、レーザによる穴あけ加工が行われる領域では、帯状部材322Yまたは332Yのピッチは、隣接する帯状部材322Y同士の間、または隣接する帯状部材332Y同士の間において、ガラス基板310のたわみが0.01mm以下となるように選定することが好ましい。特に、隣接する帯状部材322Y同士の間、または隣接する帯状部材332Y同士の間において、ガラス基板310のたわみは、0.003mm以下とすることがより好ましい。
【0080】
なお、この第3の構成は、例えば、ガラス基板310として、板状に切断されたガラス基板の代わりに、連続的に供給されるロールガラスの一部を使用する場合に、特に有効である。
【0081】
すなわち、一体化物300の端部部材340、350は、一体化物300の端部において、図6のX方向に沿って延伸しており、一体化物300のY方向に沿った端部には、端部部材340、350は、存在しない。このため、この第3の構成は、例えば図6のX方向に沿って搬送されるロールガラスに対して適用できる。また、図6および図7に示したような一体化物300を構成した場合、ロールガラスの一部分を、第1および第2の固定部材320、330を用いて、適正に保持できる。
【0082】
(本発明による製造方法)
次に、図面を参照して、本発明によるインターポーザ用基板の製造方法について、詳しく説明する。
【0083】
図8には、本発明によるインターポーザ用基板の製造方法のフローの一例を概略的に示す。
【0084】
図8に示すように、本発明によるインターポーザ用基板の製造方法は、
(a)第1の表面および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程(ステップS110)と、
(b)前記ガラス基板の第1の表面側に、第1の固定部材を配置し、前記ガラス基板の第2の表面側に、第2の固定部材を配置する工程であって、
前記第1の固定部材は、前記ガラス基板の第1の表面と当接する第1の当接部分、および前記ガラス基板の第1の表面と当接しない第1の非当接部分を有し、
前記第2の固定部材は、前記ガラス基板の第2の表面と当接する第2の当接部分、および前記ガラス基板の第2の表面と当接しない第2の非当接部分を有する、工程(ステップS120)と、
(c)前記第1の固定部材の第1の非当接部分および前記第2の固定部材の第2の非当接部分を通るようにして、前記ガラス基板にレーザ光を照射し、これにより前記ガラス基板に、少なくとも一つの貫通孔を形成する工程(ステップS130)と、を有する。
【0085】
また、本発明によるインターポーザ用基板の製造方法は、必要な場合、さらに、
(d)前記貫通孔の側壁に、導電性材料を設置する工程(ステップS140)、および/または
(e)前記ガラス基板の第1の表面および/または第2の表面に、導電性材料のパターンを設置する工程(ステップS150)を有しても良い。以下、各工程について、詳しく説明する。
【0086】
(ステップS110)
まず最初に、被加工体となるガラス基板が準備される。
【0087】
ガラス基板の形状は、特に限られず、ガラス基板は、矩形状等であっても良い。また、前述のように、本発明では、ロール状のガラスを使用することもできる。
【0088】
ガラス基板の材質は、ガラスである限り、特に限られない。ガラス基板は、例えば、シリカガラス、ソーダライムガラス、アルミノボロシリケート無アルカリガラス、またはリン酸塩ガラスであっても良い。
【0089】
ガラス基板の厚さは、特に限られないが、ガラス基板の厚さが薄い程、本発明の効果が発揮できる。ガラス基板の厚さは、例えば、10μm〜200μmの範囲であっても良い。ただし、本発明は、厚いガラス基板に対しても当然に適用することができることに留意する必要がある。
【0090】
(ステップS120)
次に、ステップS110で準備したガラス基板の第1の表面に、第1の固定部材が設置され、ガラス基板の第2の表面に、第2の固定部材が設置される。
【0091】
なお、前述のように、第1および第2の固定部材の形態としては、複数のものが考えられるが、ここでは、一例として、図4および図5に示した網状の固定部材220、230を使用する場合を例に説明する。
【0092】
ガラス基板の第1の表面に、第1の固定部材(以下、「第1の網状部材」と称する)を設置する際には、第1の網状部材をガラス基板の第1の表面上に置載した後、この第1の網状部材の第1および第2の延伸部222X、222Yが張力(tension)を有するようにして(すなわち緊張させた状態で)、周囲部材240により、第1および第2の延伸部222X、222Yのそれぞれの両端を固定する。
【0093】
ガラス基板の第2の表面に、第2の固定部材(以下、「第2の網状部材」と称する)を設置する場合も同様である。
【0094】
これにより、両網状部材の間にガラス基板が固定された一体化物が構成される。この状態では、ガラス基板は、網状部材222X、222Yの延伸部と当接する位置で支持される。
【0095】
ガラス基板と網状部材の延伸部222X、222Yとの当接位置は、以降の(ステップS130)におけるガラス基板のレーザアブレーション工程において、レーザ光の照射が妨害されないような位置であれば、特に限られない。
【0096】
ただし、第1の固定部材および第2の固定部材は、ガラス基板を厚さ方向から見たとき、両固定部材の開口の位置が揃うようにして、ガラス基板の表面に配置されることが好ましい。
【0097】
また、例えば、ガラス基板の表面において、網状部材の一つの開口に対応する領域(すなわち、「最小非当接単位領域」)は、半導体素子1チップ分に対応しても良い。あるいは、ガラス基板の表面において、「最小非当接単位領域」は、複数の半導体素子チップに対応しても良い。
【0098】
例えば、網状部材の一つの開口の寸法は、1mm〜10cmの範囲であっても良い。なお、図4および図5の例では、各開口225、235は、正方形状であるが、開口の形状は、これに限られず、矩形状、三角形状、円状、楕円状、および五角形以上の多角形状等であっても良い。
【0099】
網状部材の材質は、特に限られず、用途に応じて、自由に決定できる。例えば、以降の工程において、ガラス基板が化学的に処理される場合、網状部材には、耐薬品性に優れたもの、例えば、ナイロンおよびポリエチレンテレフタレート(PET)などを使用しても良い。また、網状部材に絶縁性が必要な場合、金属部材で構成された各延伸部の表面に絶縁コーティングを施工しても良い。また、ガラス基板と網状部材との間の当接部分における傷の発生を抑制したい場合、網状部材の表面に、柔らかい材料がコーティングされても良い。さらに、網状部材のいくつかの延伸部には、ガラス基板および/または他方の網状部材との間の位置合わせを容易にするため、マーキングをしても良い。
【0100】
前述のように、ガラス基板の両側に固定部材を配置して、固定部材でガラス基板全体を覆うことにより、ガラス基板が支持、固定される。また、ガラス基板の取扱の際には、一体化物の周囲部分(周囲部材の部分)を把持することができるため、ガラス基板が薄い場合であっても、ガラス基板の取扱性が改善される。
【0101】
(ステップS130)
次に、レーザ光照射により、ガラス基板に少なくとも一つの貫通孔が形成される。
【0102】
レーザ光は、第1および第2の網状部材の開口を通るようにして、ガラス基板に照射される。このため、第1および第2の網状部材の存在により、レーザ光の照射が妨害されることが回避される。
【0103】
また、本発明による方法では、取扱中にガラス基板に割れや欠けが生じにくいため、ガラス基板の厚さを薄くすることができる。従って、レーザアブレーション法により、微細な貫通孔を迅速に形成することができる。
【0104】
貫通孔の直径は、特に限られないが、例えば、5μm〜100μmの範囲、特に5μm〜30μmの範囲であっても良い。
【0105】
レーザアブレーション法に使用されるレーザ光は、特に限られず、レーザ光は、例えば、エキシマレーザ光、YAGレーザ光、およびCOレーザ光等であっても良い。
【0106】
図9には、レーザアブレーション法により、ガラス基板に貫通孔を形成する際に使用される装置構成の一例を示す。
【0107】
図9に示すように、この装置900は、レーザ光用の光源911と、ホモジナイザー916と、複数の貫通孔を有するマスク913と、投影レンズ917と、ステージ914とを備える。この他、装置900は、レーザ光用の光源911から放射されたレーザ光921を所望の位置に誘導するための、複数のミラー915を有する。ステージ914上には、前述のステップS120の工程で形成された一体化物912が置載される。
【0108】
このような装置900の構成において、レーザ光用の光源911からレーザ光921が放射されると、このレーザ光921は、ホモジナイザー916内に誘導され、ここで均一な強度を有するレーザ光922に調節される。レーザ光922は、ミラー915等により、マスク913の方に誘導される。マスク913は、前述のように多数の貫通孔を有するため、レーザ光922の一部は、これらの貫通孔を通り、投影レンズ917まで誘導される。さらに、投影レンズ917に到達したレーザ光923は、縮小投影された状態で、一体化物912の開口部分に照射される。これにより、一体化物912のガラス基板の所定の位置に、1または2以上の貫通孔が形成される。
【0109】
なお、ガラス基板912のより広い領域わたって、複数の貫通孔を形成する場合、例えば、以上の操作の後、光源911からのレーザ光921の放射を一旦停止し、ステージ914に対して一体化物912を動かしても良い。その後、再度、光源911からレーザ光921を放射して、同様のことを行っても良い。あるいは、その他の方法で、より広い領域わたって、複数の貫通孔を形成できることは、当業者には明らかである。
【0110】
なお、図9の装置構成は、一例であって、他の装置を用いて、一体化物のガラス基板に貫通孔を形成しても良いことは、当業者には明らかであろう。
【0111】
(ステップS140)
以上の工程により、取扱中にガラス基板に割れや欠けを生じさせることなく、ガラス基板に貫通孔を形成することができる。ただし、必要な場合、ガラス基板の貫通孔の側壁には、例えば銅のような導電性材料が設置されても良い。
【0112】
この工程は、例えば、従来より一般的な、以下の方法で実施される。
【0113】
まず、一体化物を用いて、ガラス基板の貫通孔の側壁を含む所定の表面に、無電解めっき用の触媒が塗布される。次に、銅のような導電性材料の無電解めっきが行われ、触媒が塗布された領域に、無電解めっき層が成膜される。
【0114】
次に、ガラス基板の表面にレジスト層が設置され、これがパターン処理される。
【0115】
次に、レジスト層をマスクとし、また無電解めっき層を電極として、銅のような導電性材料の電解めっきが行われる。これにより、ガラス基板の貫通孔の側壁に、電解めっき層が成膜される。
【0116】
その後、必要な場合、レジスト層および不要な無電解めっき層が除去される。
【0117】
(ステップS150)
ステップS140に加えて、またはステップS130の後、ガラス基板の第1の表面および/または第2の表面には、導電性材料のパターンが設置されても良い。なお、この工程は、当業者には明らかな一般的な方法が適用できるため、ここではこれ以上説明しない。
【0118】
以上の工程により、貫通孔を有するインターポーザ用基板を製造することができる。
【実施例】
【0119】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0120】
(実施例1)
以下の方法により、多数の微細な貫通孔を有するインターポーザ用基板を作製した。
【0121】
(一体化物の作製)
まず、縦150mm、横150mm、および厚さ50μmの無アルカリガラスからなるガラス基板(旭硝子株式会社製、ENA1)を準備した。
【0122】
また、シート状の2つの固定部材を準備した。各固定部材は、縦170mm、横170mm、および厚さ100μmのステンレス鋼板に湿式エッチング処理を行い、8mm×8mmの寸法の複数の開口を、縦横2次元的に配列することにより作製した。開口のピッチは、縦横とも10mmとした。なお、開口形成処理後、ステンレス鋼板の表面全体に、ビニールコート処理を施工した。
【0123】
次に、ガラス基板の両側に、該ガラス基板が覆われるようにして固定部材を配置した。また、各固定部材の4つの端部を、それぞれの固定部材の周囲に配置した上下1組の周囲部材(塩化ビニル製)で挟み込むことにより、両固定部材を固定した。これにより、両固定部材の中でガラス基板が支持、固定された一体化物が作製された。なお、ガラス基板の厚さ方向から見たとき、両固定部材の開口位置は、揃っていた。
【0124】
(貫通孔の形成)
次に、前述の一体化物を用いて、ガラス基板に貫通孔を形成した。
【0125】
貫通孔は、前述の図9に示した構成の装置900を用いて、レーザアブレーション法により形成した。
【0126】
レーザ光源911には、ArFエキシマレーザ光源を使用した。このレーザ光の波長は、193nmである。レーザ光は、固定部材の各開口部分に照射した。
【0127】
これにより、ガラス基板に、多数の貫通孔が形成された。貫通孔の孔径は、約50μmφであり、貫通孔のピッチは、縦横とも約100μmであった。
【0128】
(インターポーザ基板の作製)
次に、ガラス基板の貫通孔内に銅めっき膜を成膜して、インターポーザ基板を作製した。
【0129】
まず、一体化物を洗浄槽に浸漬し、超音波洗浄を行った。次に、一体化物を乾燥処理した。その後、一体化物に銅の無電解めっき用触媒液を塗布してから、銅の無電解めっきを実施した。これにより、各貫通孔の側壁に、銅の無電解めっき層が設置された。
【0130】
次に、インクジェット法により、両固定部材の各開口内の所定の位置に、レジスト液を塗布した。このレジスト液を乾燥した後、マスク露光により、レジスト層をパターン処理した。
【0131】
次に、このレジスト層をマスクとして、銅の電解めっきを実施した。これにより、ガラス基板の表面および貫通孔内に、銅の電解めっき層が形成された。
【0132】
最後に、レジスト層および露出されている不要な無電解めっき層を除去することにより、インターポーザ用基板が得られた。
【0133】
一連の工程において、ガラス基板には割れや欠けは生じておらず、ガラス基板は、健全な状態であった。また、各貫通孔は、所定の寸法で、所定の位置に適正に形成されていた。また、ガラス基板に、反りは認められなかった。
【0134】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、多数の微細な貫通孔を有するインターポーザ用基板を製作した。
【0135】
ただし、実施例2では、ガラス基板として、厚さが70μmのソーダライムガラス(旭硝子株式会社製)を使用した。
【0136】
また、固定部材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のメッシュ部材を使用した。このメッシュ部材の網部分の太さは、約100μmである。また、メッシュ部材の開口の形状は、略正方形状であり、各開口の寸法は、10mm×10mmである。各固定部材の4つの端部を、それぞれの固定部材の周囲に配置した上下1組の周囲部材(塩化ビニル製)で挟み込むことにより、両固定部材を、張力が生じる状態で固定した。
【0137】
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。なお、略正方形状とは、目視レベルで正方形状であることをいう。
【0138】
インターポーザ用基板を作製する一連の工程において、ガラス基板には割れや欠けは生じておらず、ガラス基板は、健全な状態であった。また、各貫通孔は、所定の寸法で、所定の位置に適正に形成されていた。また、ガラス基板に、反りは認められなかった。
【0139】
(実施例3)
実施例1と同様の方法により、多数の微細な貫通孔を有するインターポーザ用基板を作製した。
【0140】
ただし、実施例3では、ガラス基板として、幅100mm、厚さが50μmの無アルカリガラス(旭硝子株式会社製)からなるロールガラス(直径200mm)を使用した。
【0141】
固定部材には、図6および図7に示したような、一方向に延伸する複数の線状部材を有する「非編み込み部材」を使用した。ただし、線状部材は、帯状ではなく、ロッド状とした。
【0142】
線状部材の延伸方向は、ロールガラスの巻き回し方向に対して垂直な方向(すなわち、図6のY方向)とした。線状部材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製とし、線状部材の太さは、200μmとした。また、線状部材のピッチは、20mmとした。それぞれの線状部材は、ロールガラスの巻き回し方向と平行な方向に配置した、上下1組の端部部材(塩化ビニル製)で両端を挟み込むことにより、張力が生じる状態で固定した。
【0143】
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0144】
貫通孔の形成後に、ガラス基板には割れや欠けは生じておらず、ガラス基板は、健全な状態であった。また、各貫通孔は、所定の寸法で、所定の位置に適正に形成されていた。また、ガラス基板に、反りは認められなかった。
【0145】
(インターポーザ基板の作製)
次に、実施例1と同様の方法で、インターポーザ基板を作製した。
【0146】
ただし、この実施例3では、ロール状態のまま、ガラスの洗浄および乾燥、銅の無電解めっき、ならびにレジスト層のパターン処理を実施した。
【0147】
その後、ロールガラスを150mm×150mmの寸法で切断した。さらに、実施例2で用いたポリエチレンテレフタレート(PET)製のメッシュ部材を使用して、ガラス基板を固定し、レジスト層をマスクとして、銅の電解めっきをおこなった。
【0148】
最後に、レジスト層および露出されている不要な無電解めっき層を除去することにより、インターポーザ用基板が得られた。
【0149】
一連の工程において、ガラス基板には割れや欠けは生じておらず、ガラス基板は、健全な状態であった。
【0150】
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、多数の微細な貫通孔を有するインターポーザ用基板の作製を試みた。
【0151】
ただし、この比較例1では、固定部材は使用せず、無アルカリガラスからなるガラス基板は、額縁状の支持部材で固定した。
【0152】
この方法では、ハンドリングの際に、ガラス基板の支持部材で挟んだ部分にワレが生じた。
【0153】
また、ガラス基板は、大きく撓み、撓みの最大値は、0.4mm程度となった。このため、レーザ光の焦点をガラス基板に正確に合わせることはできず、所定の位置に微細な貫通孔を形成することはできなかった。
【0154】
以上のように、本発明による方法では、薄いガラス基板の所定の位置に、所定の寸法の貫通孔を形成することができることがわかった。また、薄いガラス基板を使用した場合でも、取扱中にガラス基板に割れや欠けが生じることが回避できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、半導体デバイス等に使用され得るインターポーザ用基板の製造方法等に使用できる。
【符号の説明】
【0156】
10 一体化物
11 ガラス基板
12 第1の表面
13 第2の表面
15、16 支持部材
20、21 位置
100 一体化物
110 ガラス基板
112 第1の表面
114 第2の表面
120 第1の固定部材
122X 第1の延伸部
122Y 第2の延伸部
125 開口
130 第2の固定部材
132X 第1の延伸部
132Y 第2の延伸部
135 開口
140、150 周囲部材
200 一体化物
210 ガラス基板
212 第1の表面
214 第2の表面
220 第1の固定部材
222X 第1の延伸部
222Y 第2の延伸部
225、235 開口
230 第2の固定部材
232X 第1の延伸部
232Y 第2の延伸部
240、250 周囲部材
300 一体化物
310 ガラス基板
312 第1の表面
314 第2の表面
320 第1の固定部材
322Y 帯状部材
325、335 開口
330 第2の固定部材
332Y 帯状部材
340、350 端部部材
900 装置
911 光源
912 一体化物
913 マスク
914 ステージ
915 ミラー
916 ホモジナイザー
917 投影レンズ
921、922、923 レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの貫通孔を有するインターポーザ用基板の製造方法であって、
(a)第1の表面および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
(b)前記ガラス基板の第1の表面側に、第1の固定部材を配置し、前記ガラス基板の第2の表面側に、第2の固定部材を配置する工程であって、
前記第1の固定部材は、前記ガラス基板の第1の表面と当接する第1の当接部分、および前記ガラス基板の第1の表面と当接しない第1の非当接部分を有し、
前記第2の固定部材は、前記ガラス基板の第2の表面と当接する第2の当接部分、および前記ガラス基板の第2の表面と当接しない第2の非当接部分を有する、工程と、
(c)前記第1の固定部材の第1の非当接部分および前記第2の固定部材の第2の非当接部分を通るようにして、前記ガラス基板にレーザ光を照射し、これにより前記ガラス基板に、少なくとも一つの貫通孔を形成する工程と、
を含む製造方法。
【請求項2】
前記第1および第2の非当接部分は、複数の開口部分を形成し、
前記開口の各々は、前記ガラス基板上の、1または2以上の半導体素子が設置される領域に対応する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1および/または第2の固定部材は、複数の開口を有するシート状部材、網(ネット)、メッシュ部材、および複数の糸状部材を編み込んだ織物からなる群から選定された少なくとも一つを有する請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1の固定部材は、複数の線状部材で構成され、および/または
前記第2の固定部材は、複数の線状部材で構成される請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1および/または第2の固定部材は、有機材料もしくは表面に絶縁層が設置された金属材料で構成される請求項1乃至4のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1および第2の固定部材は、前記ガラス基板の厚さ方向から見たとき、前記ガラス基板を介して、実質的に等しい位置に配置される請求項1乃至5のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項7】
前記ガラス基板の厚さは、10μm〜200μmの範囲である請求項1乃至6のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項8】
さらに、
(d)前記貫通孔の側壁に、導電性材料を設置する工程
を有する請求項1乃至7のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項9】
さらに、
(e)前記ガラス基板の第1の表面および/または第2の表面に、導電性材料のパターンを設置する工程
を有する請求項1乃至8のいずれか一つに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−10651(P2013−10651A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143264(P2011−143264)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】