説明

インバータ駆動圧縮機における運転制御方法及びインバータ駆動圧縮機

【課題】モータがその能力を最大限発揮し得るようにインバータ駆動圧縮機の運転を制御する。
【解決手段】予め入力された点A(圧力の最高値PHと,該圧力においてモータに定格動力を発生させる周波数f1の座標),点B(圧力の中間PMと,該圧力においてモータに定格動力を発生させる周波数f2の座標),点C(圧力の最低値PLと,該圧力においてモータに定格動力を発生させる周波数f3の座標),及び,圧力検知手段60が検知した圧縮機本体10の吐出側圧力Pdに基づいて,次式によりモータに入力する最高周波数fmaxを求める。
吐出側圧力(Pd)が,前記中間値(PM)以上であるとき,


吐出側圧力(Pd)が,前記中間値(PM)未満であるとき,

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,三相モータを駆動源とし,インバータによって該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させて圧縮機の運転を制御するインバータ駆動圧縮機の運転制御方法,及び前記運転制御方法が行われるインバータ駆動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ駆動圧縮機1は,圧縮機本体10の駆動源として三相モータ15を備えると共に,この三相モータ15と電源間にインバータ30を配し,該インバータ30によって電源からモータ15に入力される交流電流の周波数を変化させて,モータ15の回転数を制御することができるように構成されている(図1参照)。
【0003】
このような,インバータ30によるモータの回転数制御は,一例として消費側に圧縮気体を供給する供給配管50に,圧力センサ等の圧力検知手段60を設ける等して,消費側に供給される圧縮気体の圧力Pdを検知すると共に,この圧力検知手段60が検知した圧縮気体の圧力Pdに応じて,前記インバータ30によるモータ15の回転数制御を行うことで,消費側に供給される圧縮気体の圧力Pdが常に一定となるように制御され、また、前記圧縮気体の圧力Pdに応じて吸入弁41を作動させて圧縮機本体10の吸入口10aの開閉制御を行っている。
【0004】
一例として,消費側に供給しようとする圧縮気体の圧力を目標圧力Ptとして設定すると共に,この目標圧力Ptに対して所定の高い圧力である無負荷運転開始圧力Pulを設定し,実際に消費側に供給される圧縮気体の圧力である,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdを前記目標圧力Ptと一致させるように、前記吐出側圧力Pdが目標圧力Ptを超えたことを圧力検知手段60が検知すると,モータ15に出力する交流電流の周波数を減少させてモータ15を低速運転に移行し,一方,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdが前記目標圧力Pt未満に低下すると,モータ15を高速回転させる周波数fmaxの交流電流をモータ15に出力させて,モータ15を高速運転に移行する運転制御が行われている。また、吐出側圧力が前記無負荷運転開始圧力以上になったことを圧力検知手段60が検知すると、前記吸入弁41を作動させて圧縮機本体10の吸入口10aを閉じて無負荷運転に移行し、前記吐出側圧力が前記目標圧力未満に低下したことを圧力検知手段60が検知すると、前記吸入弁41を作動させて圧縮機本体10の吸入口10aを開いて負荷運転に移行する。
【0005】
以上のように構成されたインバータ駆動圧縮機1において,圧縮機本体10はモータ15に対して負荷として作用するものであるところ,圧縮機本体10の吐出側圧力が低下して圧縮機本体10を駆動するに必要な動力が減少すると,モータ15にかかる負荷も減少する。そのため,消費側に供給すべき圧縮気体の圧力(目標圧力Pt)を低下すると,この圧力を低下した分,モータ15の出力に余裕が生じる。
【0006】
しかし従来の圧縮機にあっては,消費側に供給すべき圧縮気体の圧力Ptを低下させた場合においても,モータ15の最高回転数Nmax(従ってこの回転数を発生させる交流電流の周波数fmax)は,これを変化することなく一定に固定されていたために,目標圧力Ptの低下によって生じたモータ15の余裕分,モータ15はその能力を十分に発揮できずに使用されていた。
【0007】
そこで,モータ15の能力が最大限発揮された状態で運転を行うことができるようにするために,モータの最高回転数Nmaxを可変とし,消費側に供給される圧縮気体の設定圧力(目標圧力Pt)を低下させるに従い,モータの最高回転数Nmaxを高くすることができるようにしたインバータ駆動圧縮機が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】特開平9−209949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の特許文献1に記載の発明によれば,前述したように消費側に供給すべき圧縮気体の圧力の目標値として設定した圧力(目標圧力Pt)を低くすることによりモータ15に生じた出力の余裕分を回転数の増加に回すことで,モータ15がその能力を十分に発揮した状態で運転されるようにしたものであり,設定可能な吐出側圧力の上限値を0.83MPaとしたときに定格動力を発生するモータの回転数を100%とした場合,設定吐出側圧力を0.59MPaに低下したときのモータの回転数を20%上昇して120%の回転数で運転できるようにしている。
【0010】
しかし,前述の特許文献1に記載されている圧縮機の制御方法では,吐出側圧力設定値(P)と最高回転数比(x)との関係を,次式,
P=−0.0125x+2.08
によって直線的な変化として捉え(特許文献1の「0027」欄及び同図4),図5に示すように,吐出側圧力設定値Pの最大値PHと,この最大値PHにおいて定格出力となる回転数Nを示す点A,吐出側圧力の最小値PLと,この最小値PLにおいて定格出力となる回転数Nを示す点Cをそれぞれ求め,前記吐出側圧力の最大値PHと最小値PL間において圧縮機の吐出側圧力設定値Pを可変とした際,この設定値Pの変更に従い,モータの最高回転数(比)を,前記点A−Cを結ぶ直線(図5中の二点鎖線)に従って決定するものとしているため,モータが定格出力を越えた状態で運転されることとなる。
【0011】
すなわち,圧縮機本体10の吐出側圧力Pの変化と,定格出力を発生するモータ15の回転数Nの変化との対応関係は,実際には直線的に変化するものではなく,図5中に実線で示したように下方に向かって僅かに膨出する湾曲形状の曲線に従って変化するものとなっており,点A−Cを結ぶ直線として仮定された,図5中に二点鎖線で示す対応関係との間にはズレが生じている。
【0012】
そのため,モータの回転数を図5中に二点鎖線で示した前記A−C直線に従って制御すると,吐出側圧力設定値Pを最高値PH又は最低値PLに設定した場合を除き,モータ15は定格出力を越えて運転されることとなる。
【0013】
特に,圧縮機本体10の吐出側圧力の設定値を,吐出側圧力の最高値PHと最低値PLとの間の中間値PM付近に設定した場合には最も出力の超過が著しく,一例として図5では中間値PMとしたときに実際には回転数Nで定格出力を発生するにも拘わらず,モータはこの回転数Nによりも高い,回転数N’で運転されることとなる。
【0014】
ところで,圧縮機本体を駆動する前記モータ15は,出力に余裕を持たせて使用するのが一般的であり,所定の許容範囲(一例として定格出力に対して10%程度の超過)であれば,定格出力を越えて運転がされた場合であっても支障なく運転することができるように設計されている。
【0015】
しかし,モータ15の定格出力に対して前述の許容範囲を超えた運転がされる場合には,例えばインバータ30内に設けた保護装置等が作動して圧縮機を非常停止するように設計されており,前述の制御方法によってモータ15の最高回転数Nmaxを制御する場合,圧縮機を非常停止させてしまうおそれがある。
【0016】
そこで,このような非常停止を避けるため,モータ15が定格出力を越えて運転されることがないように,図5中に二点鎖線で示した前述の直線A−Cを,下方に平行にシフトさせて,点Bを通るA’−C’直線を求め,これに従ってモータ15の回転数を制御することも考えられる。
【0017】
しかし,このA’−C’直線に従ってモータ15の最高回転数Nmaxを制御する場合,吐出側圧力の最高値PHでは,定格出力を発生する回転数Nに比較して低い,回転数N’でモータが駆動されており,モータがその出力に必要以上に余裕を持って運転がされることとなる。
【0018】
また,吐出側圧力の最低値PLにおいても,この圧力PLにおける最高回転数Nに対して過剰に低い回転数N’で運転が行われることとなり,いずれの場合においてもモータがその性能を十分に発揮していない。
【0019】
以上のように,吐出側圧力の設定値Ptの変化と,モータの最高回転数Nmaxの変化との関係を,直線的な変化と捉えてモータの最高回転数Nmaxを決定する場合,圧縮機の吐出側圧力の設定幅を広くとればとる程,実際の最高回転数Nmaxと,設定される最高回転数Nmax’間のズレ幅が大きくなる。
【0020】
そこで,モータ15の出力軸や圧縮機本体の入力軸に設けたプーリを交換する等して,モータ15の動力を圧縮機本体10に伝達する際の増速比を可変とすることで,1台の圧縮機を,最高圧力PH〜中間圧力PMまで吐出側圧力を可変とした高圧仕様と,中間圧力PM〜最低圧力PLの範囲で吐出側圧力の設定を可変とした低圧仕様のいずれかの仕様に選択的に設定し得るようにすることも考えられ,この場合,低圧仕様では増速比を高く設定すると共に,高圧仕様では増速比を低く設定して,モータの能力が十分に発揮できるように調整する。
【0021】
このように,設定の変更により1台の圧縮機を高圧仕様又は低圧仕様のいずれかの態様で使用可能とした圧縮機でも,図6に示すように、高圧仕様の圧縮機では最高設定圧力PHと中間圧力PM間で,低圧仕様にあっては中間設定圧力PMと最低設定圧力PL間で,圧縮機の吐出側圧力と周波数とが図6中実線で示す直線的に変化するものと仮定してモータを制御するために,この仮定された直線に基づき決定された最高周波数fmax’と,吐出側圧力−最高周波数曲線(図6中二点鎖線)に従った最高周波数fmaxとの間にズレが生じて,モータが定格出力以上で運転される場合があるが,高圧,低圧いずれの仕様の場合にも,前述した最高圧力PHと最低圧力PL間で設定圧力を可変とした圧縮機に比較して変更可能な圧力範囲が1/2に狭まっていることから,想定した圧力−周波数直線と,実際の圧力−周波数曲線との間のズレを比較的小さくすることができ,これにより想定した圧力−周波数直線に基づいてモータを制御してもモータが定格値を大幅に越えることはなく,これをモータの許容出力範囲内に止めることができ,インバータ内に設けた非常停止装置が作動して圧縮機が非常停止することはない。
【0022】
しかし,上記の制御方法では,1台の圧縮機において設定可能な圧力範囲は最高設定圧力PH〜中間設定圧力PMの範囲,又は中間設定圧力PM〜最低設定圧力PLのいずれかの範囲であり,プーリ等の増速装置の設定を変更することなしに最高設定圧力PH〜最低設定圧力PLの全範囲で設定圧力を可変とした前掲の特許文献1に記載の圧縮機に比較して,吐出側圧力の設定幅が制限される。
【0023】
しかも,高圧仕様と低圧仕様とでは,制御の基準となる吐出側圧力P−最高周波数fmax直線の傾きが異なるために,高圧,低圧のいずれの設定としたかによって組み込む制御プログラムが異なり,共通化が図れない問題がある。
【0024】
なお,以上説明した従来技術では,いずれも圧縮機の吐出側圧力(目標圧力Pt)の設定変更に対応して,モータの最高回転数Nmax又はこの最高回転数Nmaxを発生する最高周波数fmaxの設定を変更する方法に関するものであり,例えば目標圧力Ptを最高設定圧力PHに設定した場合には、モータを定格出力と成す最高回転数Nmax(最高周波数fmax)は,回転数N(図5において周波数f1,図6において周波数f4)として特定され,モータ15はここで特定された回転数Nmaxを超過することがないように運転がされる。
【0025】
しかし,消費側に供給される圧縮気体の圧力,すなわち圧縮機本体10の吐出側圧力Pdは,消費側における圧縮気体の消費量等に応じて常時変化し,前述の例において吐出側圧力Pdが前記最高設定圧力PH未満である場合には,モータは回転数Nで運転しても定格出力には至らず(例えば吐出側圧力Pdが最高設定圧力PHよりも低いPMであれば,モータの回転数をN2まで上昇させて初めて定格出力となる。),その出力に余裕を持って運転がされていることとなる。このようにして生じた出力の余裕分を回転数の増加に利用することができれば,モータ15をさらに効率的に運転でき便利である。
【0026】
そこで,本発明の目的は上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,インバータ駆動圧縮機において,設定可能な圧力範囲を広くすることができると共に,このように設定可能な圧力範囲を広く設定した場合であっても,圧縮機本体の動力が定格動力を超過せず,又は定格動力を超過したとしてもこの超過を所定の許容範囲内で行えるようにするインバータ駆動圧縮機の制御方法及び前記制御方法を実現するインバータ駆動圧縮機を提供することを目的とする。
【0027】
さらに,消費側に供給される圧縮気体の圧力Pd変化に対応して,常にモータがその能力を最大限発揮することとなるインバータ駆動型圧縮機の制御方法,及び前記制御方法を実現するインバータ駆動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために,本発明の第1の運転制御方法を実現するインバータ駆動型圧縮機1は,消費側に供給すべき圧縮気体の目標圧力Ptの変更に従い,モータ15に対して入力する交流電流の最高周波数fmaxの設定を変更可能に構成したものであり,
圧縮機本体10を駆動する三相モータ15と,該三相モータ15に入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ30,前記圧縮機本体10のと出側圧力Pdを検知する圧力検知手段(圧力センサ60)を備えると共に,圧力検知手段60の検知圧力に基づいて,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdを,所定の目標圧力Ptと一致させるように前記インバータ30を制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置2を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記制御装置2が,
前記目標圧力Ptとして設定可能な最高値PH及び最低値PLを記憶すると共に,前記最高値PHと最低値PL間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数Nmaxを発生させる周波数fmaxの変化との対応関係を,複数の直線の式を組み合わせることにより所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した計算式を記憶する記憶手段と,
設定された前記目標圧力Ptに基づいて,前記計算式によりモータに入力する交流電流の最高周波数fmaxを算出すると共に,該算出された最高周波数(fmax)を上限と成す制御信号を前記インバータ30に出力する速度制御信号出力部22を備えることを特徴とする(請求項1,請求項6)。
【0029】
前記記憶手段は,前記複数の直線の式を組み合わせて成る計算式に代えて,前記最高値PHと最低値PL間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数Nmaxを発生させる周波数fmaxの変化との対応関係を所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した曲線の計算式を記憶するものとしても良い(請求項2,請求項7)。
【0030】
前記構成のインバータ駆動圧縮機1において,前記制御装置2の前記記憶手段23が,前記最高値PHと,該最高値PHにおいてモータ15を定格出力とする周波数f1,前記最低値PLと,該最低値PLにおいてモータ15を定格出力とする周波数f3,及び,前記最高値PHと最低値PLとの中間値PMと,前記中間値PMにおいてモータ15を定格出力とする周波数f2をそれぞれ記憶すると共に,
設定された前記目標圧力Ptに基づいて前記最高周波数fmaxを求める計算式であって,前記目標圧力Ptが,前記中間値PM以上であるときに適用される最高周波数fmaxの計算式
【数17】

と,前記目標圧力Ptが,前記中間値PM未満であるときに適用される最高周波数fmaxの計算式
【数18】

を前記複数の直線の式としてそれぞれ記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,設定された前記目標圧力Ptに基づいて,前記いずれかの計算式により前記最高周波数fmaxを算出する演算処理部(図示せず)を備えるものとして構成しても良い(請求項3,請求項8)。
【0031】
また,前記制御装置2の前記記憶手段23に,前記最高値PHと,該最高値PHにおいてモータ15を定格出力とする周波数f1,前記最低値PLと,該最低値PLにおいてモータ15を定格出力とする周波数f3をそれぞれ記憶すると共に,
設定された前記目標圧力Ptに基づいて,前記最高周波数fmaxを求める計算式
【数19】

を前記曲線の計算式として記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部22が,設定された前記目標圧力Ptに基づいて,前記計算式により前記最高周波数fmaxを算出する演算処理部(図示せず)を備えるものとして構成しても良い(請求項4,請求項9)。
【0032】
さらに別の構成としては,前記制御装置2の前記記憶手段23が,前記最高値PHと,該最高値PHにおいてモータ15を定格出力とする周波数f1,前記最低値PLと,該最低値PLにおいてモータ15を定格出力とする周波数f3,及び,前記最高値PHと最低値PLとの中間値PMと,前記中間値PMにおいてモータ15を定格出力とする周波数f2をそれぞれ記憶すると共に,
設定された前記目標圧力Ptに基づいて,前記最高周波数fmaxを求める計算式
【数20】

を前記曲線の計算式として記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部22が,設定された前記目標圧力Ptに基づいて,前記計算式により前記最高周波数fmaxを算出する演算処理部(図示せず)を備えるもの,として構成しても良い(請求項5,10)。
【0033】
また,本発明の第2の運転制御方法を実現するインバータ駆動型圧縮機1は,圧縮機本体10が吐出する圧縮気体の圧力Pdの変化に従い,モータ15に対して入力する交流電流の最高周波数fmaxを変更可能とするもので,
前記同様のインバータ駆動圧縮機1において,該インバータ駆動圧縮機1の前記制御装置2が,前記目標圧力Ptとして設定可能な範囲の最高値PH及び最低値PLを記憶すると共に,前記最高値PHと最低値PL間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータ15を定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を,複数の直線の式を組み合わせることにより所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した計算式を記憶する記憶手段と,
前記圧力検知手段60が検知した前記圧縮機本体10の吐出側圧力Pdに基づいて,前記計算式によりモータ15に入力する交流電流の最高周波数fmaxを算出すると共に,該算出された最高周波数を前記インバータ30に出力させる制御信号を出力する速度制御信号出力部22を備えることを特徴とする(請求項11,16)。
【0034】
前記記憶手段は,前記複数の直線の式を組み合わせて成る計算式に代えて,前記最高値PHと最低値PL間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数Nmaxを発生させる周波数fmaxの変化との対応関係を所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した曲線の計算式を記憶するものとしても良い(請求項12,請求項17)。
【0035】
さらに,前記構成の制御装置2を備えたインバータ駆動圧縮機1において,前記制御装置2の前記記憶手段23に,前記最高値PHと,該最高値PHにおいてモータを定格出力とする周波数f1,前記最低値PLと,該最低値PLにおいてモータを定格出力とする周波数f3,及び,
前記最高値PHと最低値PLとの中間値PMと,前記中間値PMにおいてモータ15を定格出力とする周波数f2をそれぞれ記憶すると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力Pdに基づいて前記最高周波数fmaxを求める計算式であって,前記吐出側圧力Pdが,前記中間値PM以上であるときに適用される最高周波数fmaxの計算式
【数21】

と,前記吐出側圧力Pdが,前記中間値PM未満であるときに適用される最高周波数fmaxの計算式
【数22】

を前記複数の直線の式としてそれぞれ記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,前記圧縮機本体の吐出側圧力Pdに基づいて,前記いずれかの計算式により前記最高周波数fmaxを算出する演算処理部(図示せず)を備えるものとして構成しても良い(請求項13,18)。
【0036】
また,前記制御装置2の前記記憶手段23が,前記最高値PHと,該最高値PHにおいてモータを定格出力とする周波数f1,前記最低値PLと,該最低値PLにおいてモータを定格出力とする周波数f3をそれぞれ記憶すると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体10の吐出側圧力Pdに基づいて,前記最高周波数fmaxを求める計算式として,
【数23】

を前記曲線の計算式として記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,前記圧縮機本体の吐出側圧力Pdに基づいて,前記計算式により前記最高周波数fmaxを算出する演算処理部(図示せず)を備えるものとしても良い(請求項14,19)。
【0037】
また,前記制御装置2の前記記憶手段23が,前記最高値PHと,該最高値PHにおいてモータ15を定格出力とする周波数f1,前記最低値PLと,該最低値PLにおいてモータ15を定格出力とする周波数f3,及び,前記最高値PHと最低値PLとの中間値PMと,前記中間値PMにおいてモータを定格出力とする周波数f2をそれぞれ記憶すると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力Pdに基づいて,前記最高周波数fmaxを求める計算式
【数24】

を前記曲線の計算式として記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部22が,前記圧縮機本体10の吐出側圧力Pdに基づいて,前記計算式により前記最高周波数fmaxを算出する演算処理部(図示せず)を備えるものとして構成しても良い(請求項15,20)。
【発明の効果】
【0038】
以上説明した本発明の構成により,目標圧力Ptの設定に従い,インバータ30が出力する最高周波数fmax,従ってモータ15の最高回転数Nmaxの設定を変更可能とした本発明のインバータ駆動圧縮機の制御方法にあっては,目標圧力Ptの設定可能範囲を広くした場合であっても,モータが定格出力を大幅に超えて運転されることがなく,圧縮機が非常停止することを防止できた。
【0039】
また,目標圧力Ptの低下に応じて,モータの出力を低下させることがないように周波数,従ってモータ回転数を増加させることができるので,モータ15の能力一杯に使用でき経済的であるとともに,消費側へ供給する空気量を増やすことができた。
【0040】
さらに,圧力設定範囲を広くできたので,高圧仕様と低圧仕様の2種類の圧縮機を1台の圧縮機にして共通化を図ることができた。
【0041】
しかも,従来の制御プログラム中における計算式を変更するという比較的簡単な構成の変更のみで,圧力設定範囲を広くすることができ,圧縮機の構造を変更する必要がない。
【0042】
圧縮機本体10の吐出側圧力Pdによって,消費側に供給される圧縮気体の圧力変化を測定し,モータ15に出力される交流電流の最高周波数fmaxを可変とした本発明のインバータ駆動圧縮機の制御方法にあっては,目標圧力Ptの設定可能範囲を広くした場合であっても,モータが定格出力を大幅に超えて運転されることがなく,圧縮機が非常停止することを防止できた。
【0043】
また、例えば消費側における圧縮気体の消費量が増加して検知された吐出側圧力Pdが急激に低下した場合であっても,周波数fmaxを増加させてモータ15を高速運転することで,圧縮気体の供給量を増大し,消費側における圧縮気体の消費量増大に即座に対応することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
次に,本発明の実施例を添付図面を参照しながら以下説明する。
【0045】
インバータ駆動圧縮機の全体構成
図1において,符号1はインバータ駆動圧縮機であり,図示の実施形態においてこのインバータ駆動圧縮機1は,圧縮機本体10と,この圧縮機本体10の駆動源であるモータ15,及び電源からの交流電流の周波数を変換して前記モータ15に出力するインバータ30を備え,前記モータ15により圧縮機本体10を駆動することにより,該圧縮機本体10の吸入口10aに連結された吸入弁41を介して圧縮機本体10のシリンダ内に被圧縮気体,図示の例では空気が導入されると共に,このシリンダ内に導入された被圧縮気体がロータの回転により圧縮され,得られた圧縮空気が圧縮機本体10の吐出口10bより吐出されるように構成されている。
【0046】
圧縮機本体10として,シリンダ内に潤滑油を注入し,被圧縮気体を圧縮して吐出する油冷式のスクリュ圧縮機を使用した本実施形態にあっては,該圧縮機本体10より前記潤滑油と共に吐出された圧縮気体が導入されるレシーバタンク17を設け,該レシーバタンク17内において圧縮気体と潤滑油とを分離すると共に,分離された圧縮気体を供給配管50を介して消費側に供給すると共に,レシーバタンク17において回収された潤滑油を給油回路を介して圧縮機本体10の給油口10cに供給する。
【0047】
容量制御装置
以上のような基本構成を備えたインバータ駆動型圧縮機1には,モータ15の回転数を制御して圧縮機本体10の回転速度を制御する速度制御手段(インバータ30)と,圧縮機本体10に対する被圧縮気体,本実施形態にあっては空気の吸入量を制御する吸入制御手段40,及び消費側に供給される圧縮気体の圧力を検知する圧力検知手段60からの検知信号に基づいて,前記速度制御手段30及び吸入制御手段40の各部の動作を制御する制御信号を出力する制御装置2から成る容量制御装置が設けられている。
【0048】
そして前述の速度制御手段30が,圧力センサ等の圧力検知手段60によって検知された前記圧縮機本体10の吐出側圧力Pd(本実施形態にあっては,前述の供給配管50内の圧力)を,予め設定された目標圧力Ptと一致させるように,モータ15の回転数,従ってこのモータ15によって駆動される圧縮機本体10の回転数を制御し,また,吸入制御装置40が,前記圧縮機本体10の吐出側圧力Pdに応じて,前記圧縮機本体10の吸入口10aに設けられた吸入弁41の開閉制御乃至は開度制御を行うことにより,圧縮機本体10に対する被圧縮気体の吸入量を制御し,このような速度制御と吸入制御とによって,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdが,目標圧力Ptに近付いて,略一定の圧力の圧縮気体を消費側に供給することができるように構成されている。
【0049】
吸入制御手段
前述の容量制御装置を構成する一方の構成要素である前述の吸入制御手段40は,図示の実施形態において,圧縮機本体10の吸入口10aに設けられた吸入弁41と,この吸入弁41の受圧室と前述のレシーバタンク17間を連通する管路42,及び前記管路42を開閉制御する電磁弁43により構成されており,後述する制御装置2からの制御信号を前記電磁弁43に入力することにより電磁弁43を開閉制御して吸入弁41を操作し,圧縮機本体10の吸入量を制御して,圧縮機本体10の吐出側圧力Pd(消費側に供給される圧縮気体の圧力)が設定された目標圧力Ptとなるように制御する。
【0050】
本実施形態にあっては,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdが,所定の目標圧力Ptに対し所定の高い圧力として設定した無負荷運転開始圧力Pul以上になると,後述の制御装置2が電磁弁43に対して制御信号を出力して前述の電磁弁43を操作し,これにより吸入弁41が圧縮機本体10の吸入口10aを閉じて無吸気の状態で運転(無負荷運転)し,その後,供給配管50内の圧力Pdが記憶手段に記憶された目標圧力Pt未満に下降すると,制御装置2が前記電磁弁43を制御して吸入弁41を開き,これにより圧縮機本体10の吸入口10aが開放されて負荷運転に移行する。
【0051】
速度制御手段
前述の吸入制御手段40と共に,消費側に供給される圧縮気体の圧力変化に伴って動作してモータ15の回転数を制御して,圧縮機本体10の運転速度を制御する速度制御手段30が設けられている。
【0052】
この速度制御手段30は,電源からの交流電流を所望の周波数に変換して前記圧縮機本体10を駆動するモータ15に出力するインバータ30により構成されており,消費側に供給される圧縮気体の圧力Pdを,圧力検知手段60によって検知し,この検知信号に従って,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdを前記目標圧力Ptと一致させるように、前記吐出側圧力Pdが目標圧力Ptを超えたことを圧力検知手段60が検知すると、後述する制御装置2からの制御信号に基づいてモータ15に出力する交流電流の周波数を減少させてモータ15を低速運転に移行すると共に,消費側に供給される圧縮気体の圧力Pdが,所定の目標圧力Pt未満に低下すると,制御装置2からの制御信号に従って,前記モータ15を高速運転と成す最高周波数fmaxの交流電流を前記モータ15に出力するように構成されている。
【0053】
制御装置
前述した吸入制御手段40及び速度制御手段30を制御する制御装置2は,所定のプログラムを記憶した電子制御装置等によって構成されるもので,該電子制御装置の中央処理部(図示せず)が,予め記憶された前記プログラムを起動して該プログラムに従い各部を制御することで,圧縮機本体10の吐出側に設けられた圧力検知手段60からの検知信号に基づいて前記吸入制御手段40に対して所定の制御信号を出力する吸入制御信号出力部21と,前記速度制御手段30に対して所定の制御信号を出力する速度制御信号出力部22が実現されている。
【0054】
吸入制御信号出力部
前述の吸入制御信号出力部21は,供給配管50内の圧力変化を検知する圧力検知手段(圧力センサ)60からの検知信号に基づいて,検知された圧力が無負荷運転開始圧力Pul以上であるとき,前記吸入制御手段40を制御して圧縮機本体10の吸入口10aを閉塞すると共に,消費側に供給される圧縮気体の圧力が,所定の目標圧力Pt未満になると,前記吸入制御手段40が圧縮機本体10の吸入口10aを開放するように,吸入制御手段40に対する制御信号を出力する。
【0055】
図1に示す吸入制御手段40の構成では,吸入制御信号出力部21は,吸入弁41の作動圧室に対してレシーバタンク17内の圧縮気体の導入開始・停止を制御する電磁弁43に対し,該電磁弁43を開閉制御する制御信号を出力して前記動作を行わせる。
【0056】
速度制御信号出力部
前述の速度制御信号出力部22は,圧力検知手段60からの検知信号に基づいて,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdが,前記目標圧力Ptを超えたとき,前述の速度制御手段であるインバータ30に対して,モータ15に出力する交流電流の周波数を減少させる制御信号を出力すると共に,消費側に供給される圧縮気体の圧力が目標圧力Pt未満になると,前記インバータ30に対し,前記モータ15を高速運転と成す最高周波数fmaxの交流電流を出力させる制御信号を出力する。
【0057】
この速度制御信号出力部22によってインバータ30が出力する最高周波数fmaxは,次のいずれかの方法によって決定される。
【0058】
目標圧力Ptの設定値に基づく最高周波数fmaxの決定
最高周波数fmaxを,目標圧力Ptによって決定する場合,予め制御装置2の記憶手段に,目標圧力Ptとして設定可能な圧力の最大値PH及び最小値PL間における圧力の変化と,この圧力の変化に対してモータに定格出力を発生させる周波数との対応関係を近似的に表した計算式を記憶させておき,圧縮機1の操作パネル等に設けられた操作キーの操作等によって目標圧力Ptが入力・設定されたとき,速度制御信号出力部22の演算処理部(図示せず)が,入力された目標圧力Ptから,前記計算式に基づいて最高周波数fmaxを算出し,この算出したfmaxを前記記憶手段23に記憶すると共に,この計算によって求めたfmaxを,前記インバータ30が出力する最高の周波数として設定して前記インバータを制御する。
【0059】
これにより,本発明のインバータ駆動圧縮機1にあっては消費側に供給する圧縮気体の圧力設定の変更(目標圧力Ptの変更)に伴い,最高周波数fmaxが変更されることとなり,目標圧力Ptを低下させる設定の変更を行った場合,この圧力低下によりモータ15に生じた余裕分,最高周波数fmaxの上昇,従ってモータの回転数の上昇を得ることができるものとなっている。
【0060】
検知圧力Pdに基づく最高周波数fmaxの決定
最高周波数fmaxを,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdの測定値に基づいて決定する場合,予め記憶手段23に,圧力Pdの取り得る最大値PH及び最小値PL間における圧力の変化と,この圧力の変化に対してモータ15に定格出力を発生させる周波数との対応関係を近似的に表した計算式を記憶させておき,消費側に圧縮気体を供給する供給配管50内の圧力を検知する圧力検知手段60からの検知信号に従って,速度制御信号出力部22の演算処理部(図示せず)が,受信した検知信号により特定される圧力Pdから,前記計算式に基づいて最高周波数fmaxを算出し,この算出したfmaxに基づいて,前記インバータ30に出力させる交流電流の最高周波数fmaxを随時変化させる(図3(b))。
【0061】
これにより,本発明のインバータ駆動圧縮機1にあっては消費側における圧縮気体の消費量が増加した場合等,検知された吐出側圧力Pdが低下した場合には,最高周波数fmaxが上昇してモータ15を高速回転させて,消費側に対する圧縮気体の供給量を増加させることが可能である。
【0062】
目標圧力Pt又は検知圧力Pdと最高回転数fmaxの対応関係
以上のように,モータ15に対して入力される交流電流の最高周波数fmaxを,目標圧力Pt又は圧縮機本体10の吐出側圧力Pdに基づいて導き出すために,目標圧力Pt又は検知圧力Pdの変化と,この圧力の変化に対してモータ15に定格出力を発生させる周波数(最高周波数fmax)との対応関係を近似的に表すものとして,本発明にあっては,以下の計算式を使用した。
【0063】
なお,以下の説明では,最高周波数fmaxを,圧力検知手段60が検知した,圧縮機本体10の吐出側圧力Pdに基づいて求める例を示したが,これに代えて目標圧力Ptにより最高周波数fmaxを求める場合には,式中の吐出側圧力Pdに代え,操作パネルの入力キー等を介して入力,設定された目標圧力Ptを代入すれば良い。
【0064】
近似的対応関係1
本実施例では,前述の対応関係を近似的に表したものの第1として,図3に示す直線A−Bを表す方程式と,直線B−Cを表す方程式の2つの方程式により,最高周波数fmaxを求めるように構成したものであり,点A,B,Cの各座標は,供給配管50内の圧力Pdの取り得る最高値PH,最低値PL及びこれらの中間値PMと,これらの各圧力においてモータ15に定格出力を発生させる周波数f1,f2,f3によってそれぞれ表される。
【0065】
本実施形態にあっては,操作パネルに設けた入力キーを操作する等して,最高値PH及びこの最高値PHにおいてモータに定格出力を発生させる周波数f1と,最低値PL及び該最低値PLにおいてモータに定格出力を発生させる周波数f3,並びに前記最高値PHと最低値PLの中間値PM,及びこの中間値PMにおいてモータに定格出力を発生させる周波数f2を入力すると,入力された各数値が前述した制御装置の記憶手段に記憶されると共に,該記憶された各圧力値と,該圧力値における最高周波数f1〜f3,及び,圧力検知手段60が検知した供給配管50内の圧力Pdが下記の「式1」又は「式2」のいずれかに代入されて,該条件において出力すべき最高周波数fmaxが求められる。
【0066】
「式1」及び「式2」のいずれを用いて最高周波数fmaxを決定するかは,圧力検知手段60が検知した圧縮気体の圧力Pdによって決まり,圧力検知手段60が検知した圧縮気体の圧力Pdが中間値PM以上である場合には,「式1」によってインバータ30が出力すべき周波数fmaxが決定され,圧力検知手段60が検知した圧縮気体の圧力Pdが,中間値PM未満である場合には,「式2」によってインバータ30が出力すべき最高周波数fmaxが決定され,運転中,消費側に供給される圧縮気体の圧力Pdを検知する圧力検知手段60からの検知信号に従って,下記のいずれかの式によりfmaxを算出する。
【0067】
【数25】

【0068】
【数26】

【0069】
上記「式1」及び「式2」によって吐出側圧力Pdの変化と最高周波数fmaxの変化との対応関係を近似的に表した線図は,図3に実線で示す通りである。
【0070】
吐出側圧力Pdの変化と最高周波数fmaxの変化の対応関係は,実際には同図3中に点A,B,Cを通る破線として示したように,下方に向かって僅かに膨出する曲線であるため,図5を参照して説明した従来技術のように消費側に供給される圧縮気体の圧力Pdが取り得る最高値PH及びこの圧力においてモータ15に定格出力を発生させる周波数f1を表す点Aと,消費側に供給される圧縮気体の圧力Pdが取り得る最低値PL及びこの圧力においてモータ15に定格出力を発生させる周波数f3を表す点Cを結んだ直線A−Cによって近似的にモータ15の回転数を制御する場合には,中間値PM付近においてモータ15が許容範囲以上に定格動力を越えるおそれがあるものとなっていたが,検知された圧力Pdが中間値PM以上の場合と,中間値PM未満の場合とで最高周波数fmaxを求める計算式を分けたことで,吐出側圧力Pdと最高周波数fmaxとの実際の対応関係を示す曲線に近似した対応関係に従ってモータ15の回転数を制御することが可能となった。
【0071】
なお,前記式1,式2によって算出される最高周波数fmaxによってモータ15を制御する場合にあっても,この最高周波数fmaxを直線的に変化するものと捉える以上,モータ15が定格出力を超過して運転される場合が生じるが,前述のように中間値PMを境に最高周波数fmaxの算出方法を分けたことから,このような超過が生じたとしても,この超過を所定の許容範囲内に留めることができ,圧縮機が非常停止することを好適に防止できる。
【0072】
また,モータ15を定格出力で運転することができるので,モータ15の能力一杯に使用でき経済的であるとともに,消費側へ供給する空気量を増やすことができる。
【0073】
さらに,圧力設定範囲を広くでき,高圧仕様と低圧仕様の2種類の圧縮機を1台の圧縮機にして共通化が図れる。
【0074】
しかも,従来の制御プログラムの最高周波数fmaxを演算する式に代えて,最高周波数fmaxを演算する上記2種類の式を追加し,検出圧力に基づいていずれかの式で演算された周波数を選択する制御プログラムを加えるだけの比較的簡単な構成の変更で,圧力設定範囲を広くすることができ,圧縮機の構造を変更する必要がない。
【0075】
なお,上記式1,式2によって求められた最高周波数fmaxが,最低設定圧力PLにおける最高周波数f3を越える場合には,前記式1,2によって求められた最高周波数fmaxに拘わらず,最低設定圧力PLにおける最高周波数f3によって運転するように構成しても良い。
【0076】
近似的対応関係2
以上のように,図3を参照して説明した式1及び式2にあっては,吐出側圧力Pdが取り得る範囲の中間値PMを境として,前記中間値PM以上の場合における最高周波数fmaxの算出と,中間値PM未満の場合における最高周波数fmaxを算出する式とを分けたことにより,比較的簡単な計算式によって吐出側圧力Pdの変化と最高周波数fmaxとの対応関係を近似的に表すことが可能であったが,これに代え,図4に示すように点Aと点Cを結ぶ双曲線を演算によって求め,この双曲線が圧力検知手段60が検知する圧力Pdの変化と,該圧力Pdの変化に対してモータ15に定格出力を発生させる周波数の変化を近似的に表すものとして,この双曲線に基づいてモータ15の回転数を制御して,モータ15が定格出力を許容範囲以上超えて運転されないようにすることもできる。
【0077】
このような双曲線を求めるために,制御装置2の記憶手段23が記憶すべき式を,「式3」に示す。
【0078】
【数27】

【0079】
以上のように,制御装置2の記憶手段23に上記「式3」として示した式を記憶させておくと共に,操作パネルに設けた操作キーを操作する等して圧力Pdの取り得る値の最高値PHと,この圧力においてモータに定格出力を発生させる周波数f1,圧力Pdの取り得る最低値PLとこの圧力においてモータ15に定格出力を発生させる周波数f3を入力することで,制御装置2の速度制御信号出力部22は圧力検知手段60が検知した圧縮気体の圧力Pdに基づいて,モータ15を定格出力で運転することとなる最高周波数fmaxを算出する。
【0080】
従って,制御装置2の速度制御信号出力部22は,前記算出された最高周波数fmaxをインバータ30に出力させるための制御信号を,該インバータ30に対して出力し,前記入力した最高周波数fmaxによってモータ15に定格出力を発生させる。
【0081】
最高周波数fmaxの入力により,モータ15は定格出力を超過して運転される場合があるとしても,この超過を前述した許容範囲内に納めることができた。
【0082】
なお,モータ15の制御を,設定された最低設定圧力PLに対応した周波数f3を越えることが無いように,上記式3に基づいて算出された最高周波数fmaxが,前記最低圧力PLにおける周波数f3を越える場合には,前記式3による算出結果に拘わらず,前記f3によってモータ15を駆動する。
【0083】
以上のように構成した本実施形態の制御方法にあっては,点Aと点C間を結ぶ『直線』を表す式に基づいてモータ15を制御していた従来の制御方法に代え,点A−C間を結び,下方に向かって僅かに膨出する湾曲形状を成す『曲線』(双曲線)を表す式に基づいて,モータ15に入力すべき最高周波数fmaxを求めると共に,この最高周波数fmaxの交流電流をモータ15に入力してモータ15の回転数を制御したことから,実際の吐出側圧力Pdと最高周波数fmaxとの関係を示す曲線と近似した曲線に基づいて最高周波数fmaxを求めることができ,モータ15の出力が定格出力を許容範囲以上に越えることを防止でき,従って,圧縮機1が非常停止等することを防止できた。
【0084】
また,モータ15の定格出力に対して圧縮機本体10の動力を増加させるように周波数,すなわちモータ15の回転数を増加させることができるので,常にモータ15の能力一杯に使用でき経済的であるとともに,消費側へ供給する空気量を増やすことができる。
【0085】
さらに,圧力設定範囲を広くでき,高圧仕様と低圧仕様の2種類の圧縮機を1台の圧縮機にして共通化が図れる。
【0086】
なお,従来の制御プログラムにおいて最高周波数fmaxを演算する式を,前述の双曲線を求める演算式に置き換えるだけの簡単な変更で,圧力設定範囲を広くすることができ,圧縮機の構造を変更する必要がない。
【0087】
近似的対応関係3
前述の第2の近似的対応関係に関する説明では,各グラフ中における点A,Cを通る双曲線を求める式により,吐出側圧力−周波数の対応関係を近似的に求め,これによりモータ15の回転数を制御するものと説明したが,さらに下記の「式4」によって点A,B,Cの全てを通る二次曲線を求める式を,前記制御装置2の記憶手段23に記憶し,これにより吐出側圧力−周波数の対応関係を近似的に求めて,モータ15の回転数を制御するものとしても良い。
【0088】
【数28】

【0089】
以上のように構成した本実施形態の制御方法によれば,点Bを通る二次曲線によって近似的に吐出側圧力Pdと最高周波数fmaxの対応関係を規定したことで,実際の吐出側圧力Pdと最高周波数はfmaxの関係を表す曲線により近似させてモータ15の回転数制御を行うことができ,モータ15の出力をより一層定格出力に近付けることができた。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】インバータ駆動圧縮機の概略説明図。
【図2】制御装置の機能ブロック図。
【図3】圧力Pdと最高回転数fmaxの第1の近似的対応関係を示す図表。
【図4】圧力Pdと最高回転数fmaxの第2及び第3の近似的対応関係を示す図表。
【図5】従来の制御で使用していた設定圧力と最高回転数の対応関係を示す図表。
【図6】従来の制御で使用していた設定圧力と最高回転数の対応関係を示す図表。
【符号の説明】
【0091】
1 インバータ駆動圧縮機
2 制御装置
21 吸入制御信号出力部
22 速度制御信号出力部
221 演算処理部
23 記憶手段
10 圧縮機本体
10a 吸入口
10b 吐出口
10c 給油口
15 モータ
17 レシーバタンク
30 速度制御手段(インバータ)
40 吸入制御手段
41 吸入弁
42 管路
43 電磁弁
50 供給配管
60 圧力検知手段(圧力センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を設定し,
前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を,複数の直線の式を組み合わせることにより所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した計算式を設定し,
前記目標値(Pt)として設定された圧力に基づいて,前記計算式により前記最高周波数(fmax)を算出することを特徴とするインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項2】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を設定し,
前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した曲線の計算式を設定し,
前記目標値(Pt)として設定された圧力に基づいて,前記計算式により前記最高周波数(fmax)を算出することを特徴とするインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項3】
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ求めると共に,
設定された前記目標圧力(Pt)が,前記中間値(PM)以上であるとき,次式
【数1】

に従って最高周波数(fmax)を決定すると共に,
前記目標圧力(Pt)が,前記中間値(PM)未満であるとき,次式
【数2】

に従って最高周波数(fmax)を決定することを特徴とする請求項1記載のインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項4】
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3)をそれぞれ求めると共に,
設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,次式
【数3】

に従って最高周波数(fmax)を決定することを特徴とする請求項2記載のインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項5】
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ求めると共に,
設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,次式
【数4】

に従って最高周波数(fmax)を決定することを特徴とする請求項2記載のインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項6】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記制御装置が,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を記憶すると共に,前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を,複数の直線の式を組み合わせることにより所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した計算式を記憶する記憶手段と,
設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,前記計算式によりモータに入力する交流電流の最高周波数(fmax)を算出すると共に,該算出された最高周波数(fmax)を上限と成す制御信号を前記インバータに出力する速度制御信号出力部を備えることを特徴とするインバータ駆動圧縮機。
【請求項7】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記制御装置が,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を記憶すると共に,前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した曲線の計算式を記憶する記憶手段と,
設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,前記計算式によりモータに入力する交流電流の最高周波数(fmax)を算出すると共に,該算出された最高周波数(fmax)を上限と成す制御信号を前記インバータに出力する速度制御信号出力部を備えることを特徴とするインバータ駆動圧縮機。
【請求項8】
前記制御装置の前記記憶手段が,
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ記憶すると共に,
設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて前記最高周波数(fmax)を求める計算式であって,前記目標圧力(Pt)が,前記中間値(PM)以上であるときに適用される最高周波数(fmax)の計算式
【数5】

と,前記目標圧力(Pt)が,前記中間値(PM)未満であるときに適用される最高周波数(fmax)の計算式
【数6】

をそれぞれ記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,前記いずれかの計算式により前記最高周波数(fmax)を算出する演算処理部を備えることを特徴とする請求項6記載のインバータ駆動圧縮機。
【請求項9】
前記制御装置の前記記憶手段が,
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3)をそれぞれ記憶すると共に,
設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,前記最高周波数(fmax)を求める計算式
【数7】

を記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,前記計算式により前記最高周波数(fmax)を算出する演算処理部を備えることを特徴とする請求項7記載のインバータ駆動圧縮機。
【請求項10】
前記制御装置の前記記憶手段が,
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ記憶すると共に,
設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,前記最高周波数(fmax)を求める計算式
【数8】

を記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,設定された前記目標圧力(Pt)に基づいて,前記計算式により前記最高周波数(fmax)を算出する演算処理部を備えることを特徴とする請求項7記載のインバータ駆動圧縮機。
【請求項11】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を設定すると共に,
前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を,複数の直線の式を組み合わせることにより所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した計算式を設定し,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記計算式によりモータに入力する交流電流の最高周波数(fmax)を算出すると共に変化させることを特徴とするインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項12】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を設定すると共に,
前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した曲線の計算式を設定し,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記計算式によりモータに入力する交流電流の最高周波数(fmax)を算出すると共に変化させることを特徴とするインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項13】
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ求めると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,
前記吐出側圧力(Pd)が,前記中間値(PM)以上であるとき,次式
【数9】

に従って最高周波数(fmax)を変化させると共に,
前記吐出側圧力(Pd)が,前記中間値(PM)未満であるとき,次式
【数10】

に従って最高周波数(fmax)を変化させることを特徴とする請求項11記載のインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項14】
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3)をそれぞれ求めると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,次式
【数11】

に従って最高周波数(fmax)を変化させることを特徴とする請求項12記載のインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項15】
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ求めると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,次式
【数12】

に従って最高周波数(fmax)を変化させることを特徴とする請求項12記載のインバータ駆動圧縮機における運転制御方法。
【請求項16】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記制御装置が,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を記憶すると共に,前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を,複数の直線の式を組み合わせることにより所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した計算式を記憶する記憶手段と,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記計算式によりモータに入力する交流電流の最高周波数(fmax)を算出すると共に,該算出された最高周波数を前記インバータに出力させる制御信号を出力する速度制御信号出力部を備えることを特徴とするインバータ駆動圧縮機。
【請求項17】
圧縮機本体を駆動する三相モータと,該三相モータに入力する交流電流の周波数を変化させるインバータ,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を検知する圧力検知手段を備えると共に,圧力検知手段の検知圧力に基づいて,圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)を,所定の目標圧力(Pt)と一致させるように前記インバータを制御して所定周波数の交流電流を出力させる制御装置を備えたインバータ駆動圧縮機において,
前記制御装置が,
前記目標圧力(Pt)として設定可能な範囲の最高値(PH)及び最低値(PL)を記憶すると共に,前記最高値(PH)と最低値(PL)間における圧力の変化と,該圧力の変化に対応して前記モータを定格出力と成す回転数を発生させる周波数の変化との対応関係を所定の許容誤差の範囲内で近似的に表した曲線の計算式を記憶する記憶手段と,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記計算式によりモータに入力する交流電流の最高周波数(fmax)を算出すると共に,該算出された最高周波数を前記インバータに出力させる制御信号を出力する速度制御信号出力部を備えることを特徴とするインバータ駆動圧縮機。
【請求項18】
前記制御装置の前記記憶手段が,
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ記憶すると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて前記最高周波数(fmax)を求める計算式であって,前記吐出側圧力(Pd)が,前記中間値(PM)以上であるときに適用される最高周波数(fmax)の計算式
【数13】

と,前記吐出側圧力(Pd)が,前記中間値(PM)未満であるときに適用される最高周波数(fmax)の計算式
【数14】

をそれぞれ記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記いずれかの計算式により前記最高周波数(fmax)を算出する演算処理部を備えることを特徴とする請求項16記載のインバータ駆動圧縮機。
【請求項19】
前記制御装置の前記記憶手段が,
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3)をそれぞれ記憶すると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記最高周波数(fmax)を求める計算式として,
【数15】

を記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記計算式により前記最高周波数(fmax)を算出する演算処理部を備えることを特徴とする請求項17記載のインバータ駆動圧縮機。
【請求項20】
前記制御装置の前記記憶手段が,
前記最高値(PH)と,該最高値(PH)においてモータを定格出力とする周波数(f1),
前記最低値(PL)と,該最低値(PL)においてモータを定格出力とする周波数(f3),及び,
前記最高値(PH)と最低値(PL)との中間値(PM)と,前記中間値(PM)においてモータを定格出力とする周波数(f2)をそれぞれ記憶すると共に,
前記圧力検知手段が検知した前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記最高周波数(fmax)を求める計算式
【数16】

を記憶すると共に,
前記速度制御信号出力部が,前記圧縮機本体の吐出側圧力(Pd)に基づいて,前記計算式により前記最高周波数(fmax)を算出する演算処理部を備えることを特徴とする請求項17記載のインバータ駆動圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−151076(P2008−151076A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341852(P2006−341852)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000241795)北越工業株式会社 (86)
【Fターム(参考)】