説明

インプリント部材の製造方法およびインプリント部材

【課題】処理工程が少なく、高精度で正確な彫刻溝を形成することができ、しかも大量生産に適したインプリント部材の製造方法とインプリント部材を提案する。
【解決手段】基材の表面に、水素を12〜30原子%含み、残部が炭素からなるアモルファス状DLC膜を被覆形成し、その後、該DLC膜の表面に直接、レーザビームを照射して、幾何学模様などからなる彫刻溝を彫刻することによってインプリント部材を製造する。このインプリント部材によれば、溝形状を合成樹脂層上に正確にかつ高精度に転写することが可能であり、低価格で大量生産に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディバイスや磁気記録ディバイス、培養ディバイスなどの産業分野において行われる超精密パターンの微細加工やそれの転写技術であるナノ加工を行う技術に関し、新規なインプリント部材の製造方法とインプリント部材を提案する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路を高精度に加工してなる半導体加工製品、光導波路や導光板などの光ディバイス、パターンメディアなどの磁気記録ディバイス、さらには再生医療における細胞の培養ディバイスの分野においては、ナノインプリント技術が注目され、この技術に関する精力的な研究が行われている。
【0003】
ナノインプリント法は、ナノメートル(nm)からミクロンメートル(μm)スケールの構造を、簡単かつ低コストで加工できる特徴がある。そのナノインプリント法としては、熱サイクル方式(熱インプリント法)と光硬化方式(光インプリント方式)がよく知られている。そのうち、前者の熱サイクル方式は、転写する樹脂材料として熱可塑性樹脂を使用し、ガラス転移温度以上に加熱して軟化させた樹脂に対して金型をプレスして加工する技術である。
【0004】
一方、後者の光硬化方式は、樹脂材料として感光性樹脂を用い、金型をプレスした状態で紫外線を照射して樹脂を硬化させることにより、金型の模様を樹脂に転写する技術である。
【0005】
このようなナノインプリント法は、最近、フォトリソグラフィの技術やエレクトロンビーム照射、イオンビーム照射などによる金型基材に対する彫刻法に代わって、設備費が安価であることから、研究開発が盛んに行われるようになってきた。
【0006】
(1)例えば、特許文献1では、シリコン支持体の表面に、CVD法によってSiC膜を被覆形成し、その後、その表面をプラズマエッチング加工によって微細加工を行い、さらに、その表面にTiやNi、Ptなどの金属薄膜を電気めっき法によって形成し、この金属薄膜を陽極酸化することにより、被加工面の水濡れ性を向上させる方法を開示している。
(2)特許文献2には、光硬化ナノインプリント用モールドとして、石英基板の凹凸表面に、PVD法によって光触媒機能を有するTiOを被覆して樹脂との剥離性を向上させる技術が開示されている。
(3)特許文献3には、熱/光ナノインプリント法で使用するスタンパー(押型)の表面に、DLC膜を被覆形成して転写制度を向上させた技術が開示されている。
(4)特許文献4には、微細加工を行ったSiO膜の表面にフッ素を注入したDLC膜を形成することによって、その表面の水濡れ性を向上させた技術が開示されている。
(5)特許文献5には、Al基材などの表面を陽極酸化させ、その陽極酸化膜面に発生する微細な空隙内に過酸化ベンゾイルやメタアクリル酸メチルモノマーを含浸させた後、これらを固化し、次いでアルカリ水溶液によって陽極酸化膜のみを溶解除去する技術が開示されている。なお、この技術によれば、Al基材の表面に、過酸化ベンゾイルとメタアクリル酸メチルモノマーからなる有機質の固形物を無定形状態に残存させることができ、これを利用する方法の採用も可能である。
(6)特許文献6には、ロール基材の表面に熱/光ナノインプリント法によって微細な凹凸をつくり、そのロールの回転によって、樹脂の表面に連続的に転写する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−47797号公報
【特許文献2】特開2007−144995号公報
【特許文献3】特開2006−32423号公報
【特許文献4】特開2007−320142号公報
【特許文献5】特開2008−229869号公報
【特許文献6】特開2007−281099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した従来技術が抱えている下記のような課題の解決を目指すものである。
(1)熱インプリント法では、熱可塑性樹脂を加熱、軟化させたのち金型プレスを行うため、金型と基板との熱膨張係数差に起因する熱歪の発生によって転写精度が低下する。
(2)光インプリント法では、紫外線を受けた感光性樹脂が硬化する際に、収縮現象が起ると共に、この該感光性樹脂と基材との膨張係数差によって転写精度が低下する。
(3)熱および光インプリント法では、微細な凹凸や模様を彫刻した金型を樹脂に押圧して転写する工程が必須である。このため金型への彫刻精度、正確性が製品の良否を左右するが、彫刻工程に長時間を要し、生産性が悪い。
(4)金型の基材として、金属、半金属としての珪素(Si)、非金属としての炭化珪素(SiC)などが使用されているが、それぞれの基材によって、また用途によって彫刻技術が異なり、これが生産性の低下を招いている。
(5)SiCのような薄膜については、これをCVDやPVD法などの方法によって生成させたものである場合、SiC薄膜に彫刻を行うと、膜中の残留応力によって、彫刻時に大きく変形したり、膜の剥離や割れが発生して金型として使用できなくなる。
(6)CVD法やPVD法、電気めっき法、陽極酸化法などの表面処理法については、これらは何れも多くの時間を要することに加え、ときには環境汚染原因となる薬液を使用するため、生産コストや環境対策コストの上昇を招く。
(7)Al基材の表面に多孔質な陽極酸化膜を形成し、その空隙部に有機物を充填した後、酸化膜のみを溶解除去する技術では、酸化膜の空隙形状、大きさなどの制御が不可能であり用途が限定されている。また、この方法は、陽極酸化処理用の薬剤をはじめ、酸化膜を溶解除去してアルカリ溶液を使用するため、環境汚染対策が必須となり、コスト高になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術が抱えている上述した課題を解決するため鋭意研究した結果、発明者らは、以下に述べるような解決手段に想到した。即ち、本発明は、平滑な無機質(金属やガラス、石英、セラミックスなど)または有機質(合成樹脂)の表面に、炭素と水素を主成分とするアモルファス状炭素水素固形物の堆積層からなるDLC膜を被覆形成し、その後、このDLC膜の表面に、直に、レーザビーム熱源を照射することによって、微細な凹凸や幾何学的模様などの工学的模様からなる彫刻溝を形成し、これによって、従来の金型(スタンパー)に相当する原型を作成し、これをインプリント部材とする方法である。
【0010】
本発明においてはまた、
(1)工学的模様を彫刻される前記DLC膜は、高周波・高電圧パルス重畳型プラズマCVD装置を使って、炭化水素系ガスから気相析出させた水素を13〜30原子%含み、残部が炭素からなるアモルファス状炭素水素固形物微粒子の堆積した膜であること、
(2)前記DLC膜は、厚さが3〜50μmであること、
(3)前記DLC膜は、残留応力値が1.0GPa以下であり、硬さがHv700〜3000程度であること、
(4)レーザビーム彫刻溝が形成される前記DLC膜の表面粗さが、Ra:0.1μm以下であること、
(5)前記DLC膜の表面を、レーザビーム照射に先立って研磨し平滑化すること、
(6)前記彫刻溝は、DLC膜の表面に、COレーザ、YAGレーザ、Arレーザ、エキシマレーザおよび半導体レーザのうちから選ばれるいずれか1種のレーザビーム熱源を照射して形成したものであること、
(7)前記基材は、金属・合金(Si含む)合成樹脂、ガラス、石英、陶磁器、焼結炭素、金属炭化物から選ばれる1種以上のものであること、
(8)前記基材は、Ra≦0.1μm、Rz≦0.5μmの表面粗さを有すること、
上記の解決手段を採用することが望ましい。
【0011】
本発明はまた、基材と、その表面に被覆形成された、アモルファス状炭素水素固形物微粒子の堆積層であるDLC膜とからなり、そのDLC膜の表面に直接、レーザビーム熱源を照射して彫刻加工して形成される工学的模様からなるレーザビーム彫刻溝を設けてなることを特徴とするインプリント部材である。
なお、上記の(1)〜(7)は、このインプリント部材についてもそのまま適用される解決手段の1つである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果が期待できる。
(1)レーザビーム熱源によって彫刻加工された工学的模様の彫刻溝は、硬くかつ耐摩耗性に優れたDLC膜の上に直接形成されたものであるため、形崩れすることなく、溝形状を長期間にわたって正確に維持し得るので、彫刻加工状態のままでインプリント用部材として用いることが可能であり、またその寿命が長い。
(2)レーザビーム彫刻溝が、DLC膜上に、レーザビーム熱源によって直接、彫刻加工されるため、従来のプロセスに比較して工程が少なく生産効率が高い。
(3)DLC膜表面に直接形成した彫刻溝は、レーザビーム熱源の照射によって得られるものであるため、加工速度が速く、溝形状の精度、正確性にも優れている。
(4)彫刻溝は、DLC膜に対し直接、レーザビームを照射することによって容易に形成され、また、照射部のDLC膜は、COやHOなどの気体となって大気中へ揮散するため、微細な溶融塊の残留もなく、正確で美しい彫刻ができる。
(5)インプリント部材表面に形成されたDLC膜は、使用後に700℃以上に加熱することで容易に分解ガス化させることができるため、産業廃棄物の発生が少なく廃棄物処理が簡単で、環境汚染が少ない。
(6)インプリント部材は、その表面が酸やアルカリ、有機溶剤に対して優れた耐食性を有するDLC膜で形成されているため、変質したり、彫刻した模様が変形するようなことがない。
(7)インプリント部材表面がDLC膜で被覆されているため、部材の化学的安定性が高く、バイオ工学や医療分野などへの応用も可能である。
(8)本発明で用いるDLC膜は、水素を13〜30原子%含有するアモルファス状炭素水素固形物微粒子からなるものであって、残留応力が1GPa以下であるから厚膜の形成も可能であり、高アスペクト比の彫刻を施してもDLC膜が変形したり、彫刻溝が形崩れするようなことがない。
(9)インプリント部材の表面に形成されるDLC膜というのは、電気伝導性の有無に拘らず容易に被覆形成することが可能であり、また、被処理体(部材)の形状がシート状、板状はもとより、角柱や円柱(ロール形状)であっても自由に積層できるため、広い産業分野において応用できる。
(10)本発明の方法によれば、工学的模様が彫刻されたDLC膜を金型(スタンパー)として使うことができ、とくにDLC膜よりも硬度の低い各種の合成樹脂シートや板の表面に、彫刻形状を直接、押印して転写することができる。
(11)本発明で用いるDLC膜は、例えば、常温で、Hv:1400程度のものを、300℃に加熱したときには、Hv:27000程度に上昇する性質があるので、高温環境下での使用にも十分な耐久性がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のインプリント処理工程(a)、(b)と本発明の処理工程(c)を比較する図である。(a)は熱可塑性樹脂を用いたインプリント法であり、(b)は感光性樹脂を用いたインプリント法であり、(c)はDLC膜に直接、レーザビーム彫刻を行った本発明に係るインプリント法である。
【図2】本発明に係るインプリント方法の作業工程図である。
【図3】(a)は、基材表面の粗さのRz値が大きい場合におけるDLC膜の断面、(b)は、Ra値、Rz値とも小さい基材表面に被覆したDLC膜の断面である。
【図4】DLC膜を被覆形成するためのプラズマCVD装置の概略図である。
【図5】レーザビーム熱源によって彫刻加工されたDLC膜表面の拡大SEM像(線状彫刻)である。
【図6】レーザビーム熱源によって彫刻加工されたDLC膜表面の拡大SEM像(ポケット型彫刻)である。
【図7】DLC膜の残留応力の測定方法を示す略線図である。
【図8】スクラッチ試験後のDLC膜面に残存するスクラッチ疵の形態によって、密着性を評価するための見本である。
【図9】DLC膜表面にレーザビーム彫刻溝を形成してなるローラーによって、合成樹脂の表面に彫刻を転写する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、熱可塑性樹脂を用いる従来のインプリント法および感光性樹脂を用いる従来のインプリント方法と、本発明に係るDLC膜表面に直接、レーザビーム照射によって彫刻する本発明方法を対比したものである。この図において、(a)の熱サイクル方式のインプリント方法の工程では、基材表面の熱可塑性樹脂層を加熱する工程、この樹脂層への金型による加圧転写工程が必要になる。一方、図1(b)の光インプリント方法では、感光性樹脂層への金型による加圧転写工程に加えて、紫外線照射処理工程を必須となる。しかも、両方法とも、別途、金型への微細彫刻加工の工程が必要となり、全工程を実施するには、極めて多くの工数と時間、また経費を必要とすることがわかる。
これに対し、(c)の本発明に係る方法は、基材表面に被覆したDLC膜の表面に対し、直接、レーザビーム照射による彫刻加工を行う工程のみからなるので、工程が極めて簡素で、経済的効果は頗る大きい。
【0015】
図2は、本発明方法を実施するための代表的な処理工程を示したものである。この例は、表面を平滑に仕上げた金属、セラミックス等からなる基材を、洗浄や脱脂などの操作によって清浄化し、その後、この清浄化した基材表面に対してDLC膜を被覆形成する。その後、DLC膜の表面に、レーザビーム熱源を用いて工学的模様からなるレーザビーム彫刻溝を直接形成することによって、インプリント部材を製造する方法を示すものである。
【0016】
以下、図2に示す処理工程に従って、具体的に説明する。
(1)インプリント部材として使用できる基材;
本発明で使用することが可能な基材は、下記のものが好適に用いられる。
(a)金属質:Cr、Mo、Ti、Ta、WあるいはSiなどの金属およびその合金、または、これらの金属、合金類に電気めっき法、CVD法、PVD法などによって所望の皮膜を被覆形成してなるもの、
(b)有機質:各種の合成樹脂、
(c)セラミックス:WC、TiC、TaC、SiC、MoC、TaCなどの炭化物、あるいは上記基材の表面に該炭化物をCVD法等の溝膜形成法により被覆したもの、
(d)その他の無機材料:焼結炭素、陶磁器、ガラス、石英などのSiOを含む無機材料、あるいはこれらの無機材料をPVD法などによって被覆したもの、
(e)上記基材の表面に溶射皮膜を被覆したもの、
【0017】
上記基材は、これらの表面を脱脂、水洗などによって、油脂類や微細な異物、粉塵などを完全に除去する。特に、金属製基材の表面は、研削、研磨後、さらに必要に応じてポリッシングや電解研磨によって、表面粗さRa≦0.1μm、Rz≦5.0μmに調整することが好ましい。それは、これらの基材表面の粗度が粗いと、その表面に被覆形成されるDLC膜に致命的な欠陥が発生するからである。
【0018】
図3は、研削あるいは研削−研磨した基材(溶射皮膜)表面に、DLCを形成した場合の断面を模式的に示したものである。図3(a)は、Ra値は低くても、Rz値が高いため、DLC膜の表面に突き出る突起35があったり、また、表面近傍近くに達する突起33が存在する状態を示したものである。このような粗い表面に被覆したDLC膜をレーザビームによって彫刻を行うと、前記突起33、35の影響を受けやすく、良好な彫刻面は得られない。一方、図3(b)は、Ra値、Rz値ともに低く、このような表面に被覆したDLC膜は下地の影響を受けない膜になることを示したものである、この図3(b)では、Rz値を示す突起33の高さが、DLC膜厚の50%未満程度である。従って、好ましくは、このような状態のDLC膜に対して、レーザビーム照射して工学的模様を彫刻する。ここで、図示の31は、金属質基材、32はRaで示される表面粗さ、33はRzで示される表面粗さ、34はDLC膜、35はDLC膜で被覆できなかったRzで表示される粗さの突起である。
【0019】
なお、金属の皮膜(Mo、Crなど)や炭化物(SiC、MoCなど)をCVD法やPVD法で被覆形成したものであっても、その基材表面の粗度が大きい場合には、被覆物の表面も必然的に粗くなるので、平滑面に仕上げておくことは重要である。この点、合成樹脂製のシートやフィルム、ガラスや石英板などは、それぞれの製造工程において、すでに平滑化処理した状態と同程度のものが多く、この場合、平滑化処理は省略できる。
【0020】
(2)DLC膜の被覆形成処理;
この工程は、上記基材表面に対しDLC膜を被覆形成する処理である。一般に、DLC膜の形成方法は、イオン蒸着法、アークイオンプレーティング法、プラズマブースタ法および高周波・高電圧パルス重畳型プラズマCVD法(以下、単に「プラズマCVD法」と呼ぶ)などの方法が知られているが、発明者らが種々実験した結果、本発明の目的に適した厚膜のDLC膜の形成には、前記「プラズマCVD法」がよいことを確認したので、以下この方法とその装置について説明する。
【0021】
図4は、本発明の目的に適したDLC膜の被覆形成方法を実施するためのプラズマCVD装置の一例を示す略線図である。図示例にかかるプラズマCVD装置は、主として、接地された反応容器41と、この反応容器41内に高電圧パルスを印加するための高電圧パルス発生電源44、被処理体(以下、「製版ロール」という)42の周囲に、炭化水素系ガスプラズマを発生させるためのプラズマ発生電源45が配設されているほか、導体43および製版ロール42に高電圧パルスおよび高周波電圧の両方を同時に印加するための重畳装置46が、高電圧パルス発生電源44とプラズマ発生電源45との間に介装配置されている。なお、導体43および製版ロール42は、高電圧導入部49を介して重畳装置46に接続されている。
【0022】
このプラズマCVD装置は、反応容器41内に成膜用の有機系ガスを導入するためのガス導入装置(図示せず)および、反応容器41を真空引きする真空装置(図示せず)が、それぞれバルブ47aおよび47bを介して反応容器41に接続される。
【0023】
このプラズマCVD装置を用いて、被処理体の表面にDLC薄膜を成膜させるには、まず、被処理体(基材)42を反応容器41内の所定位置に設置し、真空装置を稼動させて該反応容器41内の空気を排出して脱気した後、ガス導入装置によって有機系の炭化水素ガスを該反応容器41内に導入する。
【0024】
次いで、プラズマ発生用電源45からの高周波電力を被処理体42に印加する。なお、反応容器41は、アース線48によって電気的に中性状態にあるため、被処理体42は、相対的に負の電位を示すこととなる。このためプラズマ中のプラスイオンは、負に帯電した被処理体42のまわりに発生することになる。
【0025】
次いで、高電圧パルス発生装置44からの高電圧パルス(負の高電圧パルス)を被処理体42に印加すると、有機系の炭化水素ガスのプラズマ中のプラスイオンは、被処理体42の表面に誘引吸着される。このような操作によって、被処理体の表面にDLC膜が形成されるが、発明者らはこの現象につき、以下の(a)〜(d)のプロセスを経て形成されるものと推定している。
【0026】
(a)導入された炭化水素ガスのイオン化(ラジカルと呼ばれる中性な粒子も存在する)がおこり、
(b)炭化水素ガスから変化したイオンおよびラジカルは、負の電圧が印加された被処理体42の表面に衝撃的に衝突し、
(c)衝突時のエネルギーによって、結合エネルギーの小さいC−H間が切断され、その後、活性化されたCとHが重合反応を繰り返して高分子化し、炭素と水素を主成分とするアモルファス状の炭素水素固形物微粒子を気相析出し、
(d)上記(c)の反応が起こると、被処理体の表面にアモルファス状の炭素と水素を主成分とする固形物(微粒子)の堆積層(皮膜)からなるDLC膜が形成されることとなる。
【0027】
なお、上記プラズマCVD装置では、高電圧パルス発生電源44の出力電力を下記(a)〜(d)のように変化させることによって、被処理体42に対して金属等のイオン注入を実施することができる。例えば、被処理体が金属質の場合には、Ti、Si、Cr、Nb、Cなどのイオンを注入すれば、その表面に被覆形成させるDLC膜の密着性を向上させることが可能である。
【0028】
(a)イオン注入を重点的に行う場合:10〜40kV
(b)イオン注入と皮膜形成の両方を行う場合:5〜20kV
(c)皮膜形成のみを行う場合:数百V〜数kV
(d)スパッタリングなどを重点的に行う場合:数百V〜数kV]
(e)前記高電圧パルス発生源44では、パルス幅:1μmsec〜10msec、パルス数:1〜複数回のパルスを繰り返すことも可能である。
(f)プラズマ発生用電源45の高周波電力の出力周波数は、数十kHZから数GHzの範囲で変化させることができる。
【0029】
このプラズマCVD処理装置の反応容器41内に導入する成膜用有機系ガスとしては、以下の(イ)〜(ロ)に示すような炭化水素系ガスを単独または2種以上の混合ガスを用いる。
【0030】
(イ)常温(18℃)で気相状態のもの
CH、CHCH、C、CHCHCH、CHCHCHCH
(ロ)常温で液相状態のもの
CH、CCHCH、C(CH、CH(CHCH、C12
Cl
【0031】
上記の反応容器41内への導入ガスは、常温で気相状態のものは、そのままの状態で反応容器41内に導入できるが、液相状態の化合物はこれを加熱してガス化させ、そのガス(蒸気)を反応容器41内へ供給することによってDLC膜を形成することができる。
【0032】
前記DLC膜を構成する炭素と水素含有量の比率;
DLC膜は、硬く耐摩耗性に優れているものの成膜時に大きな残留応力が発生するため、柔軟性に欠ける特性がある。このため、DLC膜に局部的な微小欠陥が発生したり、また、レーザによる彫刻時に、僅かな彫刻形状差が局部的に発生したりすると、DLC膜は、残留応力によって剥離しやすくなるので、残留応力を軽減させることが重要である。
【0033】
この対策として、本発明では、DLC膜を形成する炭素と水素の割合に注目し、特に、水素含有量を全体の13〜30原子%に制御することによって、DLC膜に耐磨耗性とともに柔軟性を付与することにした。具体的には、このDLC膜中に含まれる水素含有量を13〜30原子%とし、残部を炭素含有量とした。なお、このような組成のDLC膜を形成するには、成膜用の炭化水素系ガス中に占める炭素と水素含有比が異なる化合物を混合することによって果すことができる。
【0034】
このような前記水素含有量であるDLC膜は、その表面硬さが、マイクロビッカース硬さで、Hv:700〜3000の範囲となるので、工具鋼などに形成されるDLC膜に比較すると、はるかに軟質であり、ある程度の変形にも耐える柔軟性もある。
【0035】
以上説明したような方法で基材表面に被覆形成されるDLC膜は、3〜50μmの範囲内の厚さにすることが適当である。この理由は、膜厚が3μm以下では、レーザビーム熱源によって彫刻加工したレーザビーム彫刻溝のアスペクト比を大きくすることができなくなると共に、基材表面の“うねり”や僅かな変形の影響を受け易くなるためである。また、レーザビーム熱源による彫刻加工精度の僅かな狂いやDLC膜の局部的に発生するレーザの吸収率の相違によって、レーザビーム彫刻溝がDLC膜を完全に突き切って、基材まで達するおそれがあるためである。一方、膜厚が50μmより厚く成膜するには、長時間を要して生産コストの上昇を招いたり、DLC膜の成長に伴う残留応力の増大による基材との接合力の低下の危険が考えられるからである。
【0036】
本発明では、基材が非電気伝導体の合成樹脂板やそのシートあるいはそのフィルムである場合、その基材の表面にDLC膜を直接被覆形成するには、これらを金属板などに取り付けて操作すれば、恰も金属電極と同じように、これらの合成樹脂体の表面にDLC膜を被覆形成することができる。また、図4に示したプラズマCVD装置において、パルスの波形を正のみに制御することによっても、非電気伝導体の表面にDLC膜を被覆形成することが可能である。
【0037】
なお、膜厚の大きい(例えば10μm以上)DLC膜を形成した場合、時として、その表面に微小な円形状の凸起物(例えば、Rz≦1.0μm)が複数個生成することがある。このような場合には、必要に応じて、図2に示すように、該円形状の凸起物を除去するためにバブ研磨(ポリッシング)などを行い、平滑な表面(例えば、Ra≦0.1μm)に仕上げることが好ましい。
【0038】
(3)DLC膜へのレーザビーム彫刻加工処理;
(a)レーザビーム彫刻加工の概要
この処理は、基材表面へのDLC膜の被覆形成処理を終えた後、そのDLC膜の表面に対し直接、レーザビームを直接照射することにより、工学的な模様を彫刻する工程である。
【0039】
この工程でレーザ光源として用いるのは、COレーザ、YAGレーザ、Arレーザ、半導体レーザ、エキシマレーザなどの市販のレーザ加工用光源を用いることができる。得られる工学的模様の彫刻は、予めプログラムを組んだコンピュータによる自動操作によって行うことが推奨されるが、彫刻溝の大小(幅の深さ)の相違によっては、レーザビームの集光用レンズなどを手動によって調整しても差支えない。
【0040】
該DLC膜は、レーザビーム熱源の照射よって加熱されるが、その加熱が局所的に行われるため、非照射部にまで熱が伝導することがなく、加熱部の局部においてのみ、DLC成分がCO、HOなどの気体となって輝散することになる。その結果、DLC膜面には、とくにレーザビーム彫刻溝周辺に溶融残渣物が付着残存するようなことがなく、精密で正確な彫刻溝模様を形成することができる。
【0041】
図5および図6は、本発明方法によって、レーザビーム彫刻を行ったDLC膜の外観SEM像を示したものである。図示例のレーザビームの熱源としては、下記の仕様のものを用いたが、金属やセラミックスの彫刻に適用されるものに比較すると、比較的低出力のものでよい。
【0042】
レーザ出力:50W〜1KW
パルス周波数:10000Mz〜50000Hz
進行速度:0.1〜300mm/min
【0043】
(b)本発明に係る彫刻加工に適したDLC膜の残留応力
気相状態の炭化水素ガスから析出する固相状態のDLC膜には、必然的に残留応力が発生する。大きな残留応力を内蔵するDLC膜は、膜厚が大きくなるほど残留応力も大きくなるため、最終的には残留応力が膜の密着強さより大きくなって、DLC膜が剥離するに至る。現在、DLC膜の形成方法として多くの種類の装置が開発されているが、その適用条件の一つとして、DLC膜の残留応力によって決定される限界膜厚がある。
【0044】
特に、厚膜が比較的大きいDLC膜の場合、膜が形成できたとしても、レーザビームによって彫刻加工して得られたその凹部に残留応力が集中し、DLC膜が局部的に破壊されたり、剥離することとなるので、DLC膜の残留応力の許容値を決定することは非常に重要である。
【0045】
このような理由から、発明者らは、つぎのような方法によって、DLC膜の残留応力について評価する試験を行った。DLC膜の残留応力の評価は、図5に示すように、試験片の一端を固定した短冊形の薄い石英基板(寸法:幅5mm×長さ50mm×厚さ0.5mm)の一方の面に、DLC膜を形成させ、成膜前後の石英基板の変位量(δ)を測定して、膜の残留応力を求めたものであり、具体的には、次のStoneyの式から残留応力(σ)を計算した。
【0046】

E:基板のヤング率=76.2GPa
v:基板のポアソン比=0.14
b:基板の厚さ=0.5mm
l:DLC膜が形成された基板の長さ
δ:変位量
d:DLCの膜厚
【0047】
表1は、上記の方法によって求めた各種のDLC膜の残留応力値を要約したものである。この結果から明らかなように、アークイオンプレーティング法、イオン化蒸着法などの方法で形成されたDLC膜の残留応力は10〜18GPaであるのに対して、前記プラズマCVD法で得られるDLC膜の残留応力は0.30〜0.98GPaの範囲にあり、非常に低い残留応力値であった。
【0048】
なお、この試験においてDLC膜の最大形成厚さを試みたところ、プラズマCVD法では、成膜時間は長くなるものの厚さ50μmの膜は形成できた。しかし、他の成膜では3μm厚さ以上の膜の形成は困難であった。
【0049】
【表1】

【0050】
なお、残留応力測定後の試験片について、成膜されているDLC膜の表面に対して、レーザビーム照射を行うと、本発明に係るプラズマCVD法によって被覆形成された膜は、図5および図6に示したような彫刻は可能であったが、残留応力値の大きいDLC膜では彫刻加工を行った直後に皮膜が剥離した。
【実施例】
【0051】
<実施例1>
この実施例では、DLC膜の密着性と基材との関係を明らかにする。
(1)基材の種類
本発明例の基材として、以下の6種類を用いた。
(a)Crめっき膜(ステンレス鋼板上に10μm厚に電気めっきしたもの)
(b)Si膜(厚さ1.0mm)
(c)ガラス板(厚さ1.0mm)
(d)石英板(厚さ1.0mm)
(e)エポキシ樹脂板(厚さ2mm)
比較例の基材として、下記金属板を用いた。
(f)Ni板((厚さ0.5mm)
(g)Cu板((厚さ0.5mm)
【0052】
なお、試験片としての寸法は、いずれも幅10mm×長さ30mmであり、また、DLC膜を形成する試験片は、Ra:0.05μm、Rz:0.09μm未満の表面粗さに仕上げた。
【0053】
(2)DLC膜の形成方法と膜厚
DLC膜は、図5に示すプラズマCVD装置を用い、すべての試験片に対して10μmの厚になるように形成した。
【0054】
(3)DLC膜の密着性試験方法と評価
ISO20502に規定されているスクラッチ試験を行い、DLC膜表面に発生するスクラッチ疵の発生状況を目視、または拡大鏡で観察して評価した。また、その評価に当たっては、基材表面に形成したDLC膜のスクラッチ試験結果から、図8に示すようなスクラッチ疵の発生状態の写真を記録し、その写真に基づきDLC膜の密着強さを評価するための基準を作成した。この評価基準では、評価1が最も密着性の良好なDLC膜が示すスクラッチ疵であり、明確な疵の存在が認められない程度のものである。一方、評価4は、最も密着性の悪いDLC膜のスクラッチ疵を示したもので、疵の周辺部において、多くのDLC膜の剥離が観察されるものである。評価2、3は、評価1と評価4の中間程度の密着力を示す基準であり、いずれもスクラッチ疵周辺のDLC膜の剥離程度の多少によって区別したものである。
【0055】
(4)試験結果
試験結果を表2に示した。この結果から明らかなように、比較例のNi板、Cu板(No.7、8)の表面に形成したDLC膜の密着力の評価は、すべて4を示し、スクラッチ疵の周辺に多くのDLC膜の剥離が認められた。これに対して、本発明に係る基材試験片に形成されたDLC膜(No.1〜6)は、そのほとんどが評価1であり、良好なDLC膜の密着性が得られることが確認された。
【0056】
【表2】

【0057】
<実施例2>
この実施例は、構造用炭素鋼(SS400)の表面に、電気Crめっき膜を10μmの厚さで被覆した後、その表面に水素含有量を変化させて得られるDLC膜を形成し、その水素含有量と基材の曲げ変形に対する抵抗およびその後の耐食性の変化について明らかにするものである。
【0058】
(1)供試基材およびDLC膜の性状
供試試験片として、SS400鋼(寸法 幅15mm×長さ70mm×厚さ1.2mm)の表面に、電気めっき法によってCr膜を10μm厚さに被覆したものを用いた。この試験片の全面に対して、水素含有量が5〜30原子%で残部が炭素成分であるDLC膜を、図5に示すプラズマCVD法で5μm厚さで被覆した。
【0059】
(2)試験方法およびその条件
DLC膜を形成した試験片を中心から180°の曲げ変形を与え(Uベンド形状)、曲げ部のDLC膜の表面を20倍の拡大鏡で観察し、膜面の“ひび割れ”や“剥離”“浮き上り”などの有無を調査した。また、観察後の曲げ試験片を5%HCl水溶液中に浸漬し、室温(20℃)で48時間放置し、HCl水溶液中に溶出する金属イオンの有無を目視および化学分析によって調べた。
【0060】
(4)試験結果
試験結果を表3に要約した。この結果から明らかなように、水素含有量の少ないDLC膜(No.1、2)は、180°の変形を与えると、微細なひび割れを発生し、局部的に浮き上っている状態にあることが観察され、柔軟性に乏しいことが判明した。一方、曲げ試験後の試験片を5%HCl水溶液中に浸漬すると、ひび割れや浮き上り状態のDLC膜試験体では、金属基材からFeとCrの溶出によってHCl水溶液が無色から黄色に変化した。念のため黄色化したHCl水溶液を化学分析したところ鉄とクロムの存在が確認された。
【0061】
これに対して、水素含有量が13〜30原子%であるDLC膜試験片では、180°に曲げても健全な状態を示すとともに、この曲げ試験片を5%HCl水溶液中に浸漬しても水溶液の色調は変化することはなかった。この結果から水素を13〜 原子%含むDLC膜は曲げ変形によって欠陥が発生せず、また、DLC膜自体にもピンホールなどがなく優れた環境遮断性を有していることが判明した。
【0062】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係るDLC膜へのレーザビーム照射による微細彫刻溝を形成する技術は、インプリント部材の製造技術としてだけでなく、例えば、印刷用凹版、凸版の彫刻への応用が可能である。また、機械装置の軸受やシャフト類などの摺動部にDLC膜を被覆形成した後、この膜にレーザビーム熱源によって螺旋形の溝を加工して潤滑油の通路を形成する技術としても利用できる。
さらに、本発明方法に係るDLC膜表面にレーザビーム彫刻溝を形成してなる部材は、下記の産業分野において使用されることが期待される。
【0064】
(1)電子ディスプレイ関係:表面無反射構造体、フーリエレンズ、拡散板、カラーフィルター、高輝度フロントライト、配向膜、フレネルレンズ、基板液晶
(2)光メディア関係:DVDピックアップ、分波格子、高密度磁気ディスク、シングルモールド光導波路、マルチモード光導波路、光インターコネクション、光バックブレーン
(3)ライフサイエンス関係:微生物検出チップ、細胞培養シート、指紋センサーアレイ、たんぱくチップ、マイクロフィルター、血液検査チップ、ナノピラー
(4)半導体・電子回路他:高分子電解質膜、シートモールド、滑り難い床材、高密度プリント基板、燃料電池用セパレータ、マイクロ集光太陽電池、有機半導体レーザ共振器
【0065】
また、図9は本発明に係るレーザビーム彫刻溝を形成してなるDLC膜の応用例として、このDLC膜を被覆してなるローラーによる軟質合成樹脂シート面への彫刻転写例を示したものである。
【符号の説明】
【0066】
31 基材
32 表面粗さ(Ra)
33 表面粗さ(Rz)
34 DLC膜
35 DLC膜で被覆できなかったRzで表示される粗さの凸部
41 反応容器
42 ロール(被処理体)
43 導体
44 高電圧パルス発生源
45 プラズマ発生源
46 重畳装置
47a、48b バルブ
48 アース線
49 高電圧導入端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に、炭素と水素を主成分とするアモルファス状炭素水素固形物の堆積層からなるDLC膜を被覆形成し、その後、このDLC膜の表面に、直に、レーザビーム熱源を照射することによって、微細な凹凸や幾何学的模様などの工学的模様からなる彫刻溝を形成することを特徴とするインプリント部材の製造方法。
【請求項2】
前記DLC膜は、高周波・高電圧パルス重畳型プラズマCVD装置を使って、炭化水素系ガスから気相析出させた水素を13〜30原子%含み、残部が炭素からなるアモルファス状炭素水素固形物微粒子の堆積膜であることを特徴とする請求項1に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項3】
前記DLC膜は、厚さが3〜50μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項4】
前記DLC膜は、残留応力値が1.0GPa以下であり、硬さがHv700〜3000程度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項5】
前記DLC膜の表面粗さが、Ra:0.1μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項6】
前記DLC膜の表面を、レーザビーム照射に先立って研磨し平滑化することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項7】
前記彫刻溝は、DLC膜の表面に、COレーザ、YAGレーザ、Arレーザ、エキシマレーザおよび半導体レーザのうちから選ばれるいずれか1種のレーザビーム熱源を照射して形成したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項8】
前記基材は、金属・合金(Si含む)合成樹脂、ガラス、石英、焼結炭素、陶磁器、金属炭化物から選ばれる1種以上のものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項9】
前記基材は、Ra≦0.1μm、Rz≦0.5μmの表面粗さを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載のインプリント部材の製造方法。
【請求項10】
基材と、その表面に被覆形成された、アモルファス状炭素水素固形物微粒子の堆積層であるDLC膜とからなり、そのDLC膜の表面に直接、レーザビーム熱源を照射して彫刻加工して形成される工学的模様からなるレーザビーム彫刻溝を設けてなることを特徴とするインプリント部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−240864(P2010−240864A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88836(P2009−88836)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000109875)トーカロ株式会社 (127)
【Fターム(参考)】