説明

インレット供給装置

【課題】台紙から剥離したインレットをラベル用台紙の決まった位置に接着きるインレット供給装置を提供する。
【解決手段】中央に位置決め孔8を有するインレット3を、インレット用台紙6から、剥離する剥離手段15と、剥離したインレット3を受ける下側搬送ベルト16と、下側搬送ベルト16とともにインレット3を挟んで搬送する上側搬送ベルト17とを備え、上側搬送ベルト17には、搬送方向に一定間隔に配置した複数のピン貫通孔17aとこのピン貫通孔17aの周囲に形成した吸引孔17cとを備え、上側搬送ベルト17を搬送する搬送用ローラー20には、ピン貫通孔17aに対応した位置決めピン20aを備え、インレット3の剥離過程において位置決め孔8に位置決めピン20aを挿入してインレット3の搬送間隔を決定し、搬送間隔を決定したインレット3を上側搬送ベルト17に吸着して、その状態でラベル用台紙1上に接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICチップを内蔵して任意の場所に貼付することができるICラベルであって、特に中央に孔を備えたラベルの製造工程において、ICチップを備えたインレットを供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品の製造工程や流通過程などにおいて、個々の製品を識別し管理するために、ICラベルを利用することがあった。このICラベルは、ICチップとアンテナとを設けたシート状のインレットの一面に上紙を設け、他方の面に接着層を設け、上記接着層を剥離紙に接着したものである(特許文献1参照)。
上記のようなICラベルには、例えば、図7〜図9に示すような、中央に孔5を有するドーナツ状のICラベルLがある。
【0003】
このICラベルLは、図8および図9のように、剥離紙1上に、接着剤4aを介してインレット3を設け、インレット3の上には、接着剤4bを介して上紙2を貼りつけたものである。
そして、上紙2を剥離紙1から剥がすとき、この上紙2とともに、接着剤4a,4bおよびインレット3が剥がれる。つまり、上紙2、上記接着剤4a,4bおよびインレット3を剥離紙1から剥がし、接着剤4aの接着面によって、このICラベルLをそのまま、目的の製品などに貼付したり、タグ本体に貼付してICタグを形成したりしていた。
特に、このようなドーナツ状のICラベルLを用いれば、ドーナツ状のICタグを簡単に製造することができる。そして、このようなドーナツ状のICタグは、例えば、その中央孔に止め部材をはめ込んで、家畜の耳にピアス状のタグとして取り付けることができる。
【0004】
このようなICラベルLは、例えば、次のようにして製造されていた。
図9に示すようなインレット用台紙6上に、剥離可能にインレット3を接着したインレット帯7から、インレット3を剥がしとり、それを上記剥離紙1上に接着するとともに、上紙2を構成するための帯状の上紙帯を、接着剤4bによって貼り付け、剥離紙1と上紙2との間にインレット3を挟みこむようにする。その後、上紙帯の表面から、剥離紙1を切断しない深さに刃を入れて、上紙2の余分な部分を剥がしとり、ドーナツ状のラベルLを形成する。
【0005】
なお、上記インレット3とは、通信機能を有するシートで、図9に示すように、中央に位置決め孔8を有する樹脂のベース基材9上に、ICチップ10と、アンテナ11とを備えたものである。上記ICチップ10に、ラベルIDなどを記憶させ、それを外部から読み取ったり、反対に、ICチップ10に外部からデータを書き込んだりして利用する。
【特許文献1】特開2002−342728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにしたICラベルLの製造工程で、ICラベルLの最終形状に合わせて、上紙2をカットするが、このカット工程を自動的に行なうためには、上記剥離紙1上のインレット3の貼付位置が正確に管理されている必要がある。なぜなら、上記インレット3の位置がまちまちだと、上紙2をカットする際に、インレット3を傷つけてしまう危険があるからである。
【0007】
一方で、インレット3内のアンテナ11は、その占有面積を大きくすればするほど、通信エリアが広くなり、安定した情報通信ができる。そのため、インレット3に対して、できるだけアンテナ11を大きくしたい。これに対して、ICラベルLの大きさは、使用上の様々な理由により制約される。つまり、決められたインレット3の大きさの中で、アンテナを大きくするためには、上紙2を、アンテナ11に対してぎりぎりのところでカットしなければならない。そのため、インレット3の位置を正確に管理できなければならないのである。
【0008】
ところが、図9に示すインレット帯7におけるインレット3の位置は、まちまちである。そのため、インレット帯7からそのまま、剥離紙1にインレット3を貼りかえるのでは、剥離紙1上におけるインレット3の位置を正確に管理することはできない。
なお、上記インレット帯7において、インレット3の位置がまちまちになってしまう理由は、以下のような、インレット帯7の製造方法による。
【0009】
図9に示すインレット帯7は、次のようにして製造される。
例えば、ポリエチレンテレフタレートや、ガラスエポキシ等、上記ベース基材9を構成する帯状ベースの上に、蒸着やエッチング技術、印刷などによって、銅、アルミ、金などの複数のアンテナ11を、間隔をあけて形成する。さらに、各アンテナ11上にICチップ10を実装するが、上記ICチップ10およびアンテナ11を保護するために、樹脂層を形成することもある。
【0010】
その後、上記帯状ベースをインレット用台紙6の上に剥離可能に接着し、帯状ベースのみをドーナツ状にカットする。それから、ドーナツ状のインレット3以外の帯状ベースを取り除いて、インレット帯7を製造していた。
このようなインレット帯7の製造過程では、蒸着やエッチングあるいは印刷工程において温度変化がある。このような温度変化によって、帯状ベースが伸縮することがあり、そのため、上記帯状ベース内のインレット3の位置がまちまちになってしまう。従って、このような帯状ベースをそのままインレット用台紙6に接着して形成したインレット帯7においても、インレット3の位置を正確に管理することはできない。
【0011】
この発明の目的は、インレット用台紙から剥離したインレットを、決まった位置に一定の間隔でラベル用台紙に接着することができるインレット供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、ICを備え、中央に位置決め孔を有するインレットを、間隔を設けて剥離可能にして接着したインレット用台紙の搬送過程に、個々のインレットを上記インレット用台紙から剥離する剥離手段を設けるとともに、この剥離手段で剥離したインレットを受ける下側搬送ベルトを設け、この下側搬送ベルト上に設けた上側搬送ベルトとの間で上記インレットを挟んで搬送する一方、上記上側搬送ベルトには、搬送方向に一定間隔に配置した複数のピン貫通孔とこのピン貫通孔の周囲に形成した吸引孔とを備え、上側搬送ベルトを搬送する搬送用ローラーには、上側搬送ベルトのピン貫通孔の間隔に対応したピッチで円周上に配置した位置決めピンを備え、上記剥離手段によるインレットの剥離過程においてインレットに形成した位置決め孔に上記位置決めピンを挿入し、この位置決めピンを挿入する過程でインレットの搬送間隔を決定するとともに、この間隔を保ってインレットを搬送し、上側搬送ベルトを挟んでインレットとは反対側に吸引手段を設け、この吸引手段は下側搬送ベルトに対応する位置から下側搬送ベルトの終端より下流になる位置にあるインレットを、上記吸引孔を介して吸引して上側搬送ベルトに吸着するとともに、この吸引手段で吸引した状態でラベル用台紙上にインレットを接着する機能を備えた点に特徴を有する。
【0013】
第2の発明は、上記第1位の発明を前提とし、上記インレット用台紙を繰り出すインレットローラーを備え、このインレットローラーの回転速度を、上記上側搬送ベルトおよび下側搬送ベルトの搬送速度に応じて制御する機能を備えた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
第1および第2の発明によれば、ICラベルのラベル用台紙に対して、正確な位置にインレットを供給することができるようになる。そのため、上紙を貼付後の型抜き工程で、インレットを破損する心配がなくなる。
特に、アンテナぎりぎりに型を抜くことができるので、同じラベル外形に対して、大きなアンテナを作ることができる。このように、同じ大きさのICラベルでも、アンテナを大きくできる分、情報のやり取りがよりスムーズにできるようになる。
特に、第2の発明によれば、さらに確実にインレットの位置合わせができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図6に、この発明の一実施形態を示す。
図1は、この発明のインレット供給装置を利用したICラベル製造装置を模式的に示している。ここで製造されるICラベルは、図7、図8に示すドーナツ状のICラベルLである。
初めに、この装置によるICラベル製造工程を簡単に説明する。
この製造ラインでは、図9に示すインレット帯7を巻いたインレットローラー12と、上記ICラベルLの剥離紙1の供給手段と、上紙2を構成する上紙帯2’の供給手段とを備えている。上記上紙帯2’とは、ICラベルLの上紙2としてドーナツ状に型抜きする前の帯状のものである。また、上記剥離紙1が、この発明のラベル用台紙である。
【0016】
そして、上記インレット帯7のインレット用台紙6から順次インレット3を剥離し、剥離した個々のインレット3を、剥離紙1上に接着するとともに、その上に上紙帯2’を被せて接着する。その後、型抜きによってドーナツ状のICラベルLを製造するようにしている。
なお、図1において、上記インレットローラー12から、左端のラベル収納部13まで、矢印A方向をインレットの搬送方向といい、インレットローラー12側を搬送方向上流側、ラベル収納部13側を搬送方向下流側ということにする。
【0017】
図1に示すように、インレットローラー12から、インレット帯7を繰り出すため、図示しないモーターと、このモーターで駆動される巻き取りローラー14を備えている。この巻き取りローラー14で、インレット用台紙6を巻き取ることによって、上記インレット帯7がインレットローラー12から繰り出される。
また、インレットローラー12より搬送方向下流側には、インレット帯7のインレット用台紙6からインレット3を剥離するための、この発明の剥離手段15を設けている。この剥離手段15は、図2に示すように、剥離ポイント15aを鋭角に尖らせた金属などの板部材である。そして、この剥離ポイント15aよりインレット搬送方向上流側に、上記巻き取りローラー14を設けている。
【0018】
そのため、上記インレットローラー12から繰り出されたインレット帯7が、この剥離ポイント15aで、搬送方向とは反対側に折り返されることになる。また、上記インレット3は、先に説明したように、樹脂製のベース基材9で構成されているので、ある程度の剛性を備えている。そのため、上記剥離ポイント15aにおいて、インレット帯7が折り返されたとき、上記インレット3は折れ曲がらないで、図2に示すように、剥離可能に接着されたインレット用台紙6から剥がれ落ちる。つまり、曲がらないインレット3からインレット用台紙6を曲げながら剥がし取っていることになる。従って、上記剥離ポイント15aから搬送方向下流側へは、インレット用台紙6から剥離したインレット3が個別に搬送されるとともに、剥離ポイント15aから上記巻き取りローラー14側には、インレット用台紙6のみが搬送され巻き取られる。
【0019】
また、上記剥離手段15より搬送方向下流側には、剥離されたンレット3を受ける下側搬送ベルト16を設け、この下側搬送ベルト16の上方には、上記インレット3を、下側搬送ベルト16とともに挟むための上側搬送ベルト17を備えている。
そして、上側搬送ベルト17の裏側であって、下側搬送ベルト16の終端付近に対応する位置には、吸引手段18を設けている。
そして、上側搬送ベルト17は、複数の支持ローラー19と、搬送ローラー20に掛け渡されたエンドレスベルトで、図示しないモーターで回転する搬送ローラー20によって搬送される。
【0020】
上記搬送ローラー20は、図1および図3に示すように、外周面に位置決めピン20aと、ベルト支持突部20bとを設けている。どちらも、搬送ローラー20の外周面に、円周に沿って等間隔に設けられている。ただし、上記位置決めピン20aは、搬送ローラー20の幅方向中央に設けられ、上記ベルト支持突部20bは、搬送ローラー20の幅方向の両脇付近に設けられている。
上記位置決めピン20aは、搬送ローラー20の表面に位置する基底部の直径を、上記インレット3の位置決め孔8(図9参照)の直径と同等とし、その先端に向って徐々に細くなる形状をしている。
【0021】
また、上記上側搬送ベルト17は、図4に示すように、ベルト幅の中央部に、複数のピン貫通孔17aを長手方向に等間隔に設け、ベルト幅両脇付近には、それぞれ、支持孔17bを、長手方向に等間隔に設けている。
上記ピン貫通孔17aは、上記搬送ローラー20の位置決めピン20aに対応する位置に形成したものであり、上側搬送ベルト17が搬送ローラー20に接触する部分で、上記位置決めピン20aを貫通させる。また、上記支持孔17bは、搬送ローラー20のベルト支持突部20bに対応させた孔で、上側搬送ベルト17が搬送ローラー20に接触する部分で上記ベルト支持突部20bを貫通させる。
【0022】
このように、上側搬送ベルト17に設けた各孔に、搬送ローラー20の位置決めピン20aおよびベルト支持突部20bを貫通させることによって、上側搬送ベルト17が、搬送ローラー20上を滑ることがなく、上側搬送ベルト17に搬送ローラー20の駆動力を確実に伝えることができる。ただし、位置決めピン20aとピン貫通孔17aとによって、上側搬送ベルト17を搬送ローラー20上に保持できれば、上記ベルト支持突部20bおよび支持孔17bとが無くてもかまわない。
さらに、上側搬送ベルト17において、ピン貫通孔17aの周囲には、複数の吸引孔17cを形成している。これらの吸引孔17cは、ピン貫通孔17aを中心に2つの同心円上に配置されている。上記吸引孔17cは、後で説明するが、吸引手段18において吸引するインレット3の形状に対応した配置である。
【0023】
一方、下側搬送ベルト16は、複数の支持ローラー21に掛け渡されたエンドレスベルトであるが、上記支持ローラー21には、駆動源が連係されていない。
また、上記下側搬送ベルト16は、図5に示すように、ベルト幅の中央部に、複数のピン貫通孔16aを長手方向に等間隔に設け、ベルト幅両脇付近には、それぞれ、支持孔16bを、長手方向に等間隔に設けている。
上記ピン貫通孔16aは、上側搬送ベルト17のピン挿入孔17aに対応する孔であり、上記ピン挿入孔17aを貫通した搬送ローラー20の位置決めピン20aを貫通させる。また、上記支持孔16bは、上側搬送ベルト17の支持孔17bに対応させた孔であり、上記支持孔17bを貫通した搬送ローラー20のベルト支持突部20bを貫通させる。
【0024】
このように、上記搬送ローラー20の位置決めピン20aおよびベルト支持突部20bは、上側搬送ベルト17に接触する部分において、上側搬送ベルト17と下側搬送ベルト16とを同時に貫通する。従って、駆動源に接続されていない支持ローラー21で支持されている下側搬送ベルト16は、上記位置決めピン20aや、ベルト支持突部20b,20bによって、上側搬送ベルト17と一体的に搬送されるようにしている。
【0025】
上記下側搬送ベルト16、上側搬送ベルト17および搬送ローラー20を、上記のように構成することによって、上記インレット3の、搬送ベルトの幅方向の位置を一定にするとともに、搬送方向の間隔を一定にして、下側搬送ベルト16および上側搬送ベルト17の先端までインレット3を搬送する。その結果、インレット3を、剥離紙1上における幅方向の決まった位置に所定の間隔で供給できるようにしている。
ただし、先に説明したように、上記インレット帯7におけるインレット3の接着位置は、インレット用台紙6に対して幅方向、長手方向ともにばらつきがある。そのため、インレット3が、上記剥離ポイント15aから上、下側搬送ベルト17,16間に挟みこまれるまでの過程で、位置を修正するようにしている。
【0026】
次に、インレット用台紙6から剥離したインレット3の位置を修正して、正確に位置決めする手順を詳しく説明する。
図6は、上記剥離手段15の剥離ポイント15aでインレット用台紙6から剥離したインレット3を下側搬送ベルト16が受けて、インレット3が上側搬送ベルト17で挟まれるまでの拡大図である。
【0027】
先に説明したように、インレット用台紙6が、インレット搬送方向と反対側に引っ張られて巻き取られることによって、インレット3がインレット用台紙6から剥離する。インレット用台紙6からの剥離過程で、インレット3の先端は、剥離ポイント15aより下流側へ飛び出す。
このように、インレット3は、インレット用台紙6から剥離した部分が剥離ポイント15aより下流側へ飛び出すが、剥離始めでは、インレット3の搬送方向後端は、まだインレット用台紙6に接着したままである。
また、この剥離ポイント15a付近では、搬送ローラー20が、上側搬送ベルト17と接触しているので、搬送ローラー20の位置決めピン20aは、上側搬送ベルト17のピン貫通孔17aを貫通して上側搬送ベルト17から突出している。
【0028】
そこで、インレット3の後端がインレット用台紙6から剥がれて、インレット3が、下側搬送ベルト16上に落下する前に、上記搬送ローラー20の位置決めピン20aが、インレット3に向かって近づき、インレット3の位置決め孔8に引っ掛かる。
上記位置決めピン20aの先端は、インレットの位置決め孔8の直径よりも小さいので、位置決めピン20aと位置決め孔8の中心位置とが多少ずれていても、位置決めピン20aが、インレット3の位置決め孔8に挿入される。
ただし、上記インレットローラー12の回転速度を、搬送ローラー20の回転速度に応じて調整し、剥離ポイント15aから剥離して飛び出すインレット3の剥離タイミングと、搬送ローラー20の位置決めピン20aの位置とを合わせるようにすれば、確実に、位置決めピン20aが位置決め孔8に嵌るようにできる。これにより、さらに確実な位置決めができることになる。
【0029】
上記インレット3は、インレット用台紙6から完全に剥離するまでの間は、インレット用台紙6の巻き取り速度に応じて、剥離ポイント15aから前方へ押し出されるが、位置決めピン20aの先端が位置決め孔8内に挿入されたら、位置決めピン20aの移動によってインレット3が搬送される。
搬送ローラー20が回転すると、位置決めピン20aも図6に示す矢印B方向へ移動する。この位置決めピン20aは、インレット3を搬送しながら、位置決め孔8により深く挿入される。
そして、下側搬送ベルト16と上側搬送ベルト17とが接触する点において、上記位置決めピン20aは、ほぼその基底部までをインレット3の位置決め孔8に挿入し、下側搬送ベルト16のピン貫通孔16aをも貫通する。
【0030】
この時点で、インレット3の位置決め孔8が、下側搬送ベルト16のピン貫通孔16aと一致し、その状態で、インレット3が上、下側搬送ベルト17,16で挟まれる。
このようにして、剥離手段15で剥離されたインレット3は、下側搬送ベルト16上の決まった位置に載置され、上側搬送ベルト17で押さえつけられて搬送される。つまり、インレット3は、幅方向の位置も長手方向の間隔も一定した所定の位置で下流へ搬送される。
【0031】
また、図1に示すように、上記上側搬送ベルト17の裏側であって、上記下側搬送ベルト16の搬送方向終端付近から、さらに下流の部分へ連続して設けられた吸引手段18は、上側搬送ベルト17に形成した吸引孔17cを介して上側搬送ベルト17の表面側の空気を吸引する機能を備えている。従って、この吸引手段18によって、上側搬送ベルト17と下側搬送ベルト16との間に挟まれたインレット3を上側搬送ベルト17表面に吸着することができる。
このように上側搬送ベルト17に吸着されたインレット3は、上側搬送ベルト17と一体に移動するので、下側搬送ベルト16の搬送方向下流側端部から外れても、それまでと同一速度で搬送されることになる。つまり、インレット3は、上記位置決めピン20aで修正した位置を保ったまま搬送される。
【0032】
そして、上記吸引手段18の搬送方向先端部に対応する箇所には、接着剤4aを塗布したラベル用台紙である剥離紙1を供給するようにしている。
上記剥離紙1を、矢印y方向へ搬送して上記吸引手段18の終端側へ供給するためには、モーターMや、剥離紙1を支持するローラーなどを備え、その供給過程には、剥離紙1上に接着剤4aを塗布するための塗布手段22と、紫外線ランプ23とを設けている。この塗布手段22は、剥離紙1上に接着されるインレット3の間隔に合わせて、接着剤4aを等間隔に塗布するようにしているが、図1では、接着剤4aを塗布した部分を細線で示している。
【0033】
上記接着剤4aの塗布タイミングは、上記搬送ローラー20の回転速度および位置決めピン20aのピッチから算出したインレット3の供給タイミングによって制御することができる。また、インレット3の搬送位置を光学的あるいは他の方法で検出して、それに基づいて塗布タイミングを制御するようにしてもよい。
また、紫外線ランプ23は、塗布した接着剤4aの安定性を高める目的で紫外線を照射するためのものであるが、接着剤4aの種類によっては、この紫外線ランプ23が不要になることもある。
【0034】
このようにして接着剤4aを塗布した剥離紙1を、上側搬送ベルト17の表面に接触する位置に搬送するようにすれば、上記上側搬送ベルト17に吸着されたインレット3を、剥離紙1上の接着剤4aに接着させることができる。このように、インレット3は、剥離紙1に接着され、吸引手段18よりさらに下流の上側搬送ベルト17から離れた位置へ、剥離紙1とともに搬送される。
この剥離紙1には、上記位置決めピン20aで修正した所定の位置を保ったままのインレット3が供給されるので、剥離紙1の所定の位置に、一定の間隔でインレット3が接着されることになる。
すなわち、剥離紙1上にインレット3を接着させるまでの工程、この実施形態では図1の一点鎖線で示す工程100が、この発明のインレット供給装置に当たる。
【0035】
以下に、上記剥離紙1上にインレット3が供給されてから、ラベルLを完成するまでの工程を説明する。
決められた位置にインレット3が接着された剥離紙1が搬送される過程で、上紙2用の上紙帯2’を、矢印xのように搬送し、剥離紙1上に供給するため、この上紙帯2’の供給手段として、図示しないモーターと、そのモーターで駆動される駆動ローラー24とを設け、上紙帯2’の供給過程には、上記上紙帯2’上に所定の間隔を保持して接着剤4bを塗布するための塗布手段25を設けている。ここで、塗布される接着剤4bも点線で示しているが、上記接着剤4bの塗布間隔は、上記剥離紙1上のインレット3の間隔に対応している。その塗布タイミングの制御は、上記剥離紙1上に接着剤4aを塗布する場合と同様の方法で行なうことができる。
【0036】
また、上記剥離紙1の搬送経路上に押圧ローラー26を設け、その搬送方向下流側には、型抜き機27を設けている。さらに、型抜き機27の下流には、型抜き後の上記上紙帯2’における不要部分を取り除く粕取りローラー28をICラベルの搬送経路からはずした位置に設けている。
そして、上記上紙帯2’を、押圧ローラー26の下に導くとともに、上記型抜き機27を通し、上紙帯2’を粕取りローラー28へ導いている。
【0037】
そこで、上記押圧ローラー26には、インレット3が接着した剥離紙1上に上紙帯2’を重ねた帯体が通過する。この帯体は、押圧ローラー26を通過した後には、接着剤4aと接着剤4bとが一体化して、インレット3を覆い、剥離紙1と上紙帯2’とが、接着した状態となる。
このように一体化した帯体をさらに搬送し、型抜き機27にかける。この型抜き機27では、使用時のラベル形状にするために、上紙帯2’をドーナツ形状の型で抜く。このとき、型で抜かれるのは、上紙帯2’と、インレット3を挟んだ接着剤4a,4bの厚さである。
【0038】
上記のような型抜きをしたら、上記ドーナツ形状以外の部分は不要部分となるので、上記粕取りローラー28で巻き取る。この不要部分には、接着剤4aおよび接着剤4bをほとんど塗布していないので、剥離紙1から不要部分を簡単に剥がすことができる。
不要部分を取り除いたら、ICラベルLが連続して貼付された状態の剥離紙1を折り畳んで収納する。ここでは、剥離紙1に予めミシン目を形成しておき、そのミシン目に従って折り畳むようにするが、ラベルLが貼付された剥離紙1をローラーに巻き取るようにしてもよい。
以上で、ドーナツ状のICラベルLが完成する。
【0039】
上記のように、この発明のインレット供給装置である工程100では、剥離紙1上に正確に位置決めしたインレット3を供給することができる。そのため、型抜き機27では、所定の間隔で型抜き動作を繰り返すだけでよい。例えば、インレット3におけるアンテナ11のぎりぎりのところでカットする場合でも、アンテナ11を破損する心配がなく、効率よく型抜きすることができる。
なお、ここでは、ドーナツ状のICラベルLを作成する例を説明したが、ICラベルの形状は上記のものに限らない。また、インレット形状も、図9に示す形状に限らないが、この発明のインレット供給装置に適用できるインレットは、中央に、位置決め孔を備えている必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態のICラベル製造装置の模式図である。
【図2】実施形態の剥離手段部分の拡大図である。
【図3】実施形態の搬送ローラーの側面図である。
【図4】実施形態の上側搬送ベルトの平面図である。
【図5】実施形態の下側搬送ベルトの平面図である。
【図6】実施形態のインレットの位置修正動作を説明するための拡大図である。
【図7】従来のICラベルの平面図である。
【図8】図7のVIII-VIII線断面図である。
【図9】従来のインレット帯の平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 剥離紙
3 インレット
4a,4b 接着剤
6 インレット用台紙
8 位置決め孔
10 ICチップ
15 剥離手段
16 下側搬送ベルト
17 上側搬送ベルト
17a ピン貫通孔
17c 吸引孔
18 吸引手段
20 搬送ローラー
20a 位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICを備え、中央に位置決め孔を有するインレットを、間隔を設けて剥離可能にして接着したインレット用台紙の搬送過程に、個々のインレットを上記インレット用台紙から剥離する剥離手段を設けるとともに、この剥離手段で剥離したインレットを受ける下側搬送ベルトを設け、この下側搬送ベルト上に設けた上側搬送ベルトとの間で上記インレットを挟んで搬送する一方、上記上側搬送ベルトには、搬送方向に一定間隔に配置した複数のピン貫通孔とこのピン貫通孔の周囲に形成した吸引孔とを備え、上側搬送ベルトを搬送する搬送用ローラーには、上側搬送ベルトのピン貫通孔の間隔に対応したピッチで円周上に配置した位置決めピンを備え、上記剥離手段によるインレットの剥離過程においてインレットに形成した位置決め孔に上記位置決めピンを挿入し、この位置決めピンを挿入する過程でインレットの搬送間隔を決定するとともに、この間隔を保ってインレットを搬送し、上側搬送ベルトを挟んでインレットとは反対側に吸引手段を設け、この吸引手段は下側搬送ベルトに対応する位置から下側搬送ベルトの終端より下流になる位置にあるインレットを、上記吸引孔を介して吸引して上側搬送ベルトに吸着するとともに、この吸引手段で吸引した状態でラベル用台紙上にインレットを接着する機能を備えたインレット供給装置。
【請求項2】
上記インレット用台紙を繰り出すインレットローラーを備え、このインレットローラーの回転速度を、上記上側搬送ベルトおよび下側搬送ベルトの搬送速度に応じて制御する機能を備えた請求項1に記載のインレット供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−94977(P2007−94977A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286700(P2005−286700)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(391022382)日本通信紙株式会社 (9)
【Fターム(参考)】