説明

ウェハリング供給装置およびウェハリング供給方法

【課題】ウェハリングの高さとウェハカセットの高さにずれがあった場合には、ウェハリングの取り出しを失敗することが考えられる。さらに、近年、特にウェハサイズの大型化と薄板化が進み、ウェハのそりが問題となってきている。ウェハのそりが大きい場合にも、ウェハリングの取り出しを失敗する可能性が高い。ウェハリングの取り出しを失敗した場合、即ち、ウェハリングが取り出せなかった場合には、実装のスループットが長くなり、さらに、取り出せなかったウェハリングは、オペレータが手動で取り除く必要が出てくる。このため作業工数も増加する。
【解決手段】前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出す前に、前記ウェハカセットリフト部を上下振動させ、その後に前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイボンダ等の部品実装装置に関わり、特にウェハリングをウェハカセットから取り出すウェハリング供給技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイボンディング装置(ダイボンダ)等の部品実装装置においては、ウェハから1個ずつペレットをピックアップし、その後直接、あるいは必要に応じて位置決めポジションを経由して、リードフレーム等の被実装部材上に搬送し、その所定位置にダイボンディングする作業が行われる。
そして、このダイボンディング等、ペレットの実装を行う部品実装装置においては、受台(ウェハリングホルダ部)を構成する引き延し装置に対して、ウェハカセットからウェハリングを供給したり排出するウェハリング供給装置が必要となる。ウェハリングとは、ペレット単位にダイシングされたウェハが貼り付けられた粘着テープが取り付けられた部品保持治具である。
例えば特許文献1には、ウェハカセットに収納されたウェハリングをダイボンディング装置に供給する場合に、ウェハリングの供給経路に、このウェハリングの搬送方向と略直交する方向に開閉する1対の矯正レールを設け、該矯正レールを、前記ウェハリングが該矯正レール間に搬入されるまでは開状態に保ち、搬入された後に閉状態となるように移動制御する。これによりウェハカセットから押し出されたウェハリングは、開状態とされる1対の矯正レール間に搬入され、その後、閉状態となる両矯正レールにより、回転方向のずれを修正するウェハ修正シュート技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−67670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ウェハカセットは、複数のウェハリングを上下方向に所定の間隔で収納するものである。ウェハリングを1つずつ取り出す場合には、ウェハカセットリフタを用いて、上方向または下方向にウェハカセットを移動させ、所定の高さに位置するウェハリングをウェハエキストラクタの開閉爪で掴んで取り出す。この場合、ウェハリングの高さとウェハカセットの高さがあっていないとうまく取り出せない。また例えば、ウェハリングのテープがウェハ修正シュートに引っかかった時には、取り出せない。また、ウェハリングがウェハカセット内で引っかかった時にも、取り出せない。
【0005】
上述のように、回転方向のずれの修正は特許文献1等によってウェハリングの取り出しが正常に行われる技術が公開されている。
しかし、特許文献1では、ウェハリングの高さとウェハカセットの高さにずれがあった場合には、ウェハリングの取り出しを失敗することが考えられる。即ち、上下方向のずれには対処できていなかった。さらに、近年、特にウェハサイズの大型化と薄板化が進み、ウェハのそりが問題となってきている。ウェハのそりが大きい場合にも、ウェハリングの取り出しを失敗する可能性が高い。
ウェハリングの取り出しを失敗した場合、即ち、ウェハリングが取り出せなかった場合には、ウェハカセットリフタを上下方向(例えば上方向)にエレベータ移動して、次のウェハリングがある位置に移動して、次のウェハリングを取り出す動作となる。この結果、実装のスループットが長くなる。さらに、取り出せなかったウェハリングは、オペレータが手動で取り除く必要が出てくる。このため作業工数も増加する。
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、ウェハリングの取り出し失敗が少ない部品実装装置並びにウェハリング供給装置およびウェハリング供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のウェハリング供給装置は、ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフタ部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置において、前記制御部は、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出す前に、前記ウェハカセットリフタ部を駆動させるか、前記ウェハ修正シュート駆動部を駆動させるか、または、前記ウェハエキストラクタ駆動部を駆動させるかの少なくともいずれか1つを駆動させ、前記ウェハカセット部、前記ウェハ修正シュート部、または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下振動させ、その後に前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御するものである。
【0007】
また、上記の課題を解決するため、本発明のウェハリング供給装置は、ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフタ部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置において、前記制御部は、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、前記ウェハカセットリフタ部を制御して前記ウェハカセット部を上下に振動させた後、再度前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御するものである。
【0008】
さらに、上記発明のウェハリング供給装置において、さらに、ウェハ修正シュート部と、該ウェハ修正シュート部を上下に振動させるウェハ修正シュート駆動部、前記ウェハエキストラクタ部を上下に振動させるウェハエキストラクタ駆動部とを備え、前記制御部は、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、さらに、前記ウェハリングホルダ部の前記開閉爪が前記ウェハリングを再度掴む直前に、前記ウェハ修正シュート駆動部を駆動させるか前記ウェハエキストラクタ駆動部を駆動させ、前記ウェハ修正シュート部または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下に振動させるものである。
【0009】
また、上記の課題を解決するため、本発明のウェハリング供給方法は、ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフタ部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置のウェハリング供給方法において、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出す前に、前記ウェハカセットリフタ部を駆動させるか、前記ウェハ修正シュート駆動部を駆動させるか、または、前記ウェハエキストラクタ駆動部を駆動させるかの少なくともいずれか1つを駆動させ、前記ウェハカセット部、前記ウェハ修正シュート部、または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下振動させ、その後に前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御するものである。
【0010】
さらにまた、上記の課題を解決するため、本発明のウェハリング供給方法は、ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフト部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置のウェハリング供給方法において、
前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、前記ウェハカセットリフト部を制御して前記ウェハカセット部を上下に振動させた後、再度前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御するものである。
【0011】
また、上記発明のウェハリング供給方法において、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、さらに、前記ウェハリングホルダ部の前記開閉爪が前記ウェハリングを再度掴む直前に、前記ウェハ修正シュート部または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下に振動させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ウェハリングの高さとウェハカセットの高さがずれていた場合でも、またウェハまたはウェハリングのそりが大きい場合でも、ウェハカセット内でウェハリングが引っ掛かっていた場合でも、稼働率の高い部品実装装置並びにウェハリング供給装置およびウェハリング供給方法が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のウェハリング供給装置が組み込まれたダイボンダの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のウェハリング供給装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明のウェハリング供給装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のウェハリング供給装置の制御部の構成の一実施例を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明のウェハ供給装置のウェハ供給の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明のウェハ供給装置のウェハ供給の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明のダイボンダの一実施例の構成を説明する。図1は、本発明のウェハリング供給装置が組み込まれたダイボンダの一実施例の構成を示すブロック図である。100はダイボンダ、101はダイボンダ100の架台フレーム、102はリードフレームを収納したマガジン(図示しない)を搬入するマガジンローダ部、103はマガジンローダ部102からリードフレーム(図示しない)を架台フレーム101上に押し出すフレームプレッシャ部、104は架台フレーム101上でリードフレームを下流方向に搬送するローダフィーダ部、105は積まれたリードフレームを上下方向に駆動するローダリフタ部、106はリードフレームから剥離された層間紙を排出する層間紙排出ボックス、107はリードフレームをダイボンディング作業域に押し出すメインフィーダ部、108はメインフィーダ部107の直線方向に導くためのガイドレール、109はリードフレームを加熱するためのステージヒータ、110はペレットが実装されたリードフレームをステージ101から下流方向に搬出するためのアンローダフィーダ部、111はダイボンディング作業時にリードフレームを固定するためのフレーム押さえ部、112はリードフレームをマガジンに搬出するマガジンアンローダ部、113は静電気を除去するための負イオンをウェハに吹きつけるイオンブロー部、114はウェハリングに付けられたバーコードを読み取るバーコードリーダ部、115はウェハリングのウェハ(図示しない)からペレットを突き上げるためのダイ突き上げユニット、116はウェハリングを保持するウェハリングホルダ部、117はウェハエキストラクタ、118はウェハ修正シュート部、119はウェハカセット部である。
【0015】
なお、図1のダイボンダおよびウェハリング供給装置は、後述の図4に示す制御部が制御する。
また、マガジンローダ部102にセットされたマガジンには、被実装部材であるリードフレームが収容されている。同様に、マガジンアンローダ部112にセットされたマガジンには、本ダイボンダによってペレットを実装されたリードフレームが収容される。また、ウェハエキストラクタ117は、ウェハカセット部119にセットされたウェハカセットからウェハリングを取り出しウェハリングホルダ部116に搬送する。ウェハカセット部119は、ウェハリングを複数段出し入れ可能に収容したウェハカセットがセットされている。
なお、図1は、ダイボンダ100を上方から見た平面図であり、X方向は上流(紙面左)−下流方向(紙面右)である。被実装部材であるリードフレームは、X方向に沿って上流から下流に搬送されながら、ダイボンディングが行われる。
図1のダイボンダは、ボンディングヘッドが、ダイ突き上げユニット115と連動して、ウェハリングホルダ部116からペレットを吸着し、リードフレーム上の所定の位置にダイボンディングを行う構成である。しかし、図1の構成には、ペレットをウェハリングから吸着し、リードフレームにダイボンディングするボンディングヘッドを図示していない。
また、図1の実施例では、リードフレームを被実装部材としたが、プリント基板でも良い。
【0016】
図2と図3は、図1のダイボンダに組み込まれた本発明のウェハリング供給装置の一実施例の構成を示すブロック図である。図2は上方から見た模式図、図3は、図2のA−A’線を切断面として、横から見た模式図である。図2および図3のウェハリング供給装置は、図1のダイボンダを構成する機器の1つである。図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。また、200はウェハリング供給装置、301はウェハエキストラクタ117の先端に設けられた開閉爪、302は開閉爪301に設けられウェハリングの有無を検出するための有無検出センサ、303はウェハカセット部119を矢印31の方向(上下方向)に上下動させるウェハカセットリフタ部、304はウェハリングホルダ部116のウェハテーブル、305はウェハリングホルダ部116のクランプ、306はウェハ修正シュート部118をX,Y,Z軸方向に微動して修正するための修正駆動部、307はウェハリング収納部、31〜33は上下動方向(Z方向)を示す矢印、34は水平移動する方向(X方向)を示す矢印である。ウェハリングホルダ部116は、少なくとも、ウェハリングを支持するウェハテーブル304とウェハリングを固定するクランプ305で構成される。
【0017】
ウェハカセット部119は、荷物用エレベータの如く、ウェハカセットリフト部303に駆動されて、上下動され、ウェハリング収納部307の1つに対して1つのウェハリングを出し入れ可能としている。なお、ウェハカセットリフタ部119には、ウェハカセットが搭載され、上下方向に所定の等間隔でウェハリングが収納可能なウェハ収容部307が設けられている。
ウェハ修正シュート部118は、図示しないガイドレールによってウェハリングを挟み込むことによりウェハリングを固定して位置決めを行う。即ち、ウェハ修正シュート部118は、修正駆動部306の駆動によって、ウェハエキストラクタ117がウェハカセットから取り出したウェハリングの、X方向、Y方向、Z方向、およびθ方向を修正する。
【0018】
ウェハカセット部119のウェハカセットからウェハリングをウェハリングホルダ部116に移動する手順を、図2と図3によって説明する。
図2および図3のウェハ供給装置200において、ウェハカセットリフト部303がウェハリングを取り出し可能な高さにエレベータ駆動されて、ウェハカセットが停止している。即ち、ウェハカセットの1つの収納部307の高さとウェハエキストラクタ117の高さが一致している。
この状態で、ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿ってウェハカセットの収納部307に収納されたウェハリング(紙面左方向)に近づき、開閉爪301がウェハカセットの収納部307内に入り込む。そして、ウェハエキストラクタ117は、ウェハカセットの収納部307内に入り込んだ時に開閉爪301を閉じ、収納部307内のウェハリングを掴んで取り出す。その後、ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿って逆方向(紙面右方向)に戻り、ウェハ修正シュート部118上にウェハリングを移動させ、開閉爪301を開く。次に、ウェハ修正シュート部118によって位置修正されたウェハリングは、ウェハエキストラクタ117によってウェハリングホルダ部116に移動する。即ち、ウェハリングが、ウェハカセットからウェハホルダまで搬送される。
その後、ダイボンダでは、ボンディングヘッドの吸着ノズルが、このウェハリングホルダ部116上に固定されたウェハリング内のウェハから、ダイ突き上げユニット115と連動してペレットを吸着し、その後、リードフレームに実装する。
【0019】
図2および図3のウェハ供給装置200において、上述のように、ウェハカセットからウェハリングを取り出す場合に、例えば、以下の(1)〜(3)のような状態が発生し、ウェハリングの取り出しを失敗する可能性が出てくる場合がある。
(1)ウェハカセットのウェハ収容部307内のウェハリングの高さと、開閉爪301の高さが合わない時には、開閉爪301がウェハリングを掴めない。
(2)開閉爪301がウェハリングを掴んでも、取り出す時にウェハリングの粘着テープがウェハ修正シュート118に引っ掛かる。
(3)そりが大きいウェハでは、ウェハ収容部307内の上下の仕切り部にウェハリングが引っ掛る。
【0020】
以下、上記(1)〜(3)を防止するための本発明のウェハリング供給装置の動作について説明する。
まず、ウェハカセットリフタ部119には、上下方向に所定の等間隔でウェハリングが収納可能なウェハカセットが搭載され、ウェハエキストラクタ117の開閉爪301がX方向に水平移動してウェハリングを掴んで取り出し可能な高さにエレベータ駆動されて停止している。この状態で、ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿ってウェハカセットのウェハリング収納部307に収納されたウェハリングに近づき、開閉爪301がウェハリング収納部307内に入り込み、ウェハリング収納部307内に入り込んだ時に開閉爪301を閉じ、ウェハリング収納部307内のウェハリングを掴んで取り出す。
その後、ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿って逆方向に少し戻る。少し戻った状態で、ウェハ供給装置200は、有無検出センサ302によって、ウェハエキストラクタ117内にウェハリングがあるか否かを検出する。
ウェハリングが検出された時には、そのまま、上述したように、ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿ってさらに逆方向に戻り、ウェハ修正シュート部118によって位置修正後、ウェハリングホルダ部116にウェハリングを移動する。
【0021】
また、ウェハリングが検出されなかった時には、ウェハカセットリフタ部303を駆動してウェハカセット部119を上下方向に振動させる。
そして、再度ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿ってウェハカセットのウェハリング収納部307に収納されたウェハリングに近づき、開閉爪301がウェハリング収納部307内に入り込み、ウェハリング収納部307内に入り込んだ時に開閉爪301を閉じ、ウェハリング収納部307内のウェハリングを掴んで取り出す。
その後、ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿って逆方向に少し戻る。少し戻った状態で、ウェハ供給装置200は、有無検出センサ302によって、ウェハエキストラクタ117内にウェハリングがあるか否かを検出する。
ウェハリングが検出された時には、そのまま、上述したように、ウェハエキストラクタ117は、A−A’線に沿ってさらに逆方向に戻り、ウェハ修正シュート部118によって位置修正後、ウェハリングホルダ部116にウェハリングを移動する。
なお、図2および図3のダイボンダのウェハリング供給装置は、後述の図4に示す制御部が制御する。
【0022】
図4は、本発明のウェハリング供給装置200の制御部の構成の一実施例を説明するためのブロック図である。400は制御部、401はCPU(Central Processing Unit)基板、410はモータコントロール基板、420はI/O(Input/Output)基板、430は操作パネル、440はハードディスクである。CPU基板401は、モータコントロール基板410、I/O基板420、操作パネル430、およびハードディスク440を制御する。
【0023】
また、モータコントロール基板410は、ウェハカセットリフタ上下動モータ411を制御し、ウェハカセット部119を駆動するウェハカセットリフタ部303を制御する。また、モータコントロール基板410は、ウェハエキストラクタモータ412を制御し、ウェハエキストラクタ117を制御する。またモータコントロール基板410は、ウェハエキスバンド上下動モータ413を制御し、ウェハリングを固定するクランプ305を制御する。
【0024】
さらに、I/O基板420は、ウェハエキストラクタ爪開閉電磁弁421を制御し、ウェハエキストラクタ117の開閉爪301を制御する。また、I/O基板420は、ウェハリング有無検出センサ422(図3のウェハリング有無検出センサ302参照)、ブザー鳴動部423、回転表示部424を制御する。即ち、I/O基板420は、ウェハリング有無検出センサ422がウェハリングの有無の検出情報を適宜取得し、所定のウェハリング供給タイミング動作時にウェハリングが無いと判定した時にはブザー鳴動部423、および回転表示部424を制御して、ブザー鳴動およびパトライト表示動作を起動させる。
【0025】
またさらに、操作パネル430は、ダイボンダ100の図示しない表示装置を制御し、表示装置にデータ入力画面やエラー表示を行うデータ入力画面、エラー表示部431を制御する。
【0026】
さらにまた、ハードディスク440は、ダイボンダ100およびウェハ供給装置200の制御プログラムを保存する制御プログラム部441と、データの保存および読み出しを行うデータの保存、読み出し部442とを制御する。
【0027】
次に、本発明のウェハ供給装置のウェハ供給動作の一実施例を、図5と図6によって説明する。図5と図6は、本発明のウェハ供給装置のウェハ供給の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。図5および図6の制御は、図4で説明した制御部400が行う。
図5において、ステップ501では、ウェットカセットリフタ303はウェハカセットを高さ(Z)方向に移動し、指定の段数(指定の高さ)に移動する。即ち、ウェハリングが収納されたウェハカセットの1つの収納部307の高さとウェハエキストラクタ117の高さが一致する位置に移動する。例えば、ウェハカセットの下面が収納部307の下面と同じ高さ若しくは少し高い位置に移動する。なお、収容部307の下面から上面までの高さは、ウェハリングの厚さより十分大きい。
ステップ502では、ウェハエキストラクタ117は、開閉爪301がウェハカセットのウェハリング収納部307内に移動し、ウェハリング収納部307内で開閉爪301がウェハリングを掴む。
ステップ503では、ウェハエキストラクタ117は、ウェハリングをウェハテーブル304に至る途中まで引き出す。
ステップ504では、有無検出センサ302は、開閉爪301内にウェハリングがあるか否かを検出する。
ステップ505では、制御部400は、ウェハリングがある場合にはステップ508に処理を移行し、ウェハリングが無い場合にはステップ551に処理を移行する。
【0028】
ステップ508では、ウェハエキストラクタ117は、ウェハリングをウェハリングホルダ部116まで移動する。
ステップ509では、ウェハリングホルダ部116は、クランプ(ウェハエキスパンド)305を下降し、ウェハリングを固定して、1つのウェハリング供給動作を終了する。
【0029】
ステップ551では、カウンタ値nを1に設定し(n=1)、ステップ506の処理に移行する。
ステップ506では、ウェハリングの再引き出し動作を行う(詳細の動作は、後述する図6のフローチャートによって説明する)。
ステップ507では、制御部400は、ウェハリングがある(No)場合にはステップ508に処理を移行し、ウェハリングが無い(Yes)場合にはステップ552に処理を移行する。
ステップ552では、カウンタ値nがkであるか否かを判定する。n=k(Yes)であるならばステップ510の処理に移行し、n≠kであるならばステップ553の処理に移行する。k値はタクトタイムとの関係を考慮して決められる。タクトタイムに与える影響が少ないようにすると、1〜3あたりにするのがよい。
ステップ553では、カウンタ値nに1を加算して(n=n+1)、ステップ506の処理に戻る。
ステップ510では、制御部400は、「ウェハリング無し」エラー発生の処理を行う。即ち、ブザー鳴動、パトライト表示、または表示装置のエラー表示を行い、ウェハリング供給動作を終了する。
【0030】
さらに図6によって、図5のステップ506の一実施例について、詳細に説明する。
図6のステップ601では、ウェハカセットリフタ303は、ウェハカセット部119を矢印31方向に所定の距離、所定の時間および所定の周期で上下振動させる。
ステップ602では、ウェハエキストラクタ117は、図5のステップ502と同様に、開閉爪301がウェハカセットのウェハリング収納部307内に移動し、ウェハリング収納部307内で開閉爪301がウェハリングを掴む。
ステップ603は、ウェハエキストラクタ117は、図5のステップ503と同様に、ウェハリングをウェハテーブル304に至る途中まで引き出す。
ステップ604では、有無検出センサ302は、図5のステップ504と同様に、、開閉爪301内にウェハリングがあるか否かを検出する。
以下、図5のステップ507に処理を移行する。
ステップ507以降の処理は、図5と同様である。
【0031】
図1乃至図6の実施例によれば、ウェハリングの取り出しの失敗回数が減少し、エラー処理の回数が減少する。このため、ウェハリング供給およびダイボンディング実装のスループットが短くなり、かつ、作業工数が低減できる。
即ち、上記実施例によれば、エラー処理の回数が減少するため、オペレータ等の作業項数を低減できる。また、ダイボンダの稼働時間の効率向上ができ、スループットも低減できるため、生産量が増加可能である。
【0032】
以上、本発明を実施例によって詳細に説明した。しかし、本発明は、上述の実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。
【0033】
例えば、上記実施例においては、ウェハリングの有無検出センサがウェハリングを検出しなかった場合には、ウェハカセット部を上下振動させた。しかし、ウェハカセット部を振動させるだけでなく、それ以外の部分、例えば、振動機構をウェハエキストラクト部、ウェハ修正シュート部、ウェハリングホルダ部の少なくともいずれかに設け、ウェハエキストラクト部、ウェハ修正シュート部、ウェハリングホルダ部の少なくともいずれかを振動させるようにしても良い。また例えば、ウェハホルダ部をX,Y,Z方向に振動させ、かつ、または、ウェハカセットを上下方向に振動させても良い。
【0034】
また例えば、ウェハエキストラクタ部が最初にウェハリングを引き出す前に、まず、ウェハカセット部、ウェハ修正シュート部、またはウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つに振動を加え、その後、ウェハエキストラクタ部の開閉爪によってウェハリングを引き出すように制御するようにしても良い。即ち、図6のステップ601の動作を、図5のステップ501とステップ502の間に挿入するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ダイボンダの他、ワイヤボンダ、フリップチップボンダ等、ウェハリングやウェハを収納するウェハカセットからウェハまたはウェハリングを取り出す工程を有する半導体製造分野で利用される。
【符号の説明】
【0036】
100:ダイボンダ、 101:架台フレーム、 102:マガジンローダ部、 103:フレームプレッシャ部、 104:ローダフィーダ部、 105:ローダリフタ部、 106:層間紙排出ボックス、 107:メインフィーダ部、 108:ガイドレール、 109:ステージヒータ、 110:アンローダフィーダ部、 111:フレーム押さえ部、 112:マガジンアンローダ部、 113:イオンブロー部、 114:バーコードリーダ部、 115:ダイ突き上げユニット、 116:ウェハリングホルダ部、 117:ウェハエキストラクタ部、 118:ウェハ修正シュート部、 119:ウェハカセット部、 200:ウェハリング供給装置、 301:開閉爪、 302:有無検出センサ、 303:ウェハカセットリフタ部、 304:ウェハテーブル、 305:クランプ、 306:修正駆動部、 307:ウェハリング収納部、 31〜33:上下動方向(Z方向)を示す矢印、 34:水平移動する方向(X方向)を示す矢印、 400:制御部、 401:CPU基板、 410:モータコントロール基板、 420:I/O基板、 430:操作パネル、 440:ハードディスク、 411:ウェハカセットリフタ上下動モータ、 412:ウェハエキストラクタモータ、 413:ウェハエキスバンド上下動モータ、 421:ウェハエキストラクタ爪開閉電磁弁、 422:ウェハリング有無検出センサ、 423:ブザー鳴動部、 424:回転表示部、 431:データ入力画面、エラー表示部、 441:制御プログラム部、 442:データの保存、読み出し部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフタ部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置において、
前記制御部は、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出す前に、前記ウェハカセットリフタ部を駆動させるか、前記ウェハ修正シュート駆動部を駆動させるか、または、前記ウェハエキストラクタ駆動部を駆動させるかの少なくともいずれか1つを駆動させ、前記ウェハカセット部、前記ウェハ修正シュート部、または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下振動させ、その後に前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御することを特徴とするウェハリング供給装置。
【請求項2】
ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフタ部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置において、
前記制御部は、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、前記ウェハカセットリフト部を制御して前記ウェハカセット部を上下に振動させた後、再度前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御することを特徴とするウェハリング供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のウェハリング供給装置において、さらに、ウェハ修正シュート部と、該ウェハ修正シュート部を上下に振動させるウェハ修正シュート駆動部、前記ウェハエキストラクタ部を上下に振動させるウェハエキストラクタ駆動部とを備え、
前記制御部は、前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、さらに、前記ウェハリングホルダ部の前記開閉爪が前記ウェハリングを再度掴む直前に、前記ウェハ修正シュート駆動部を駆動させるか前記ウェハエキストラクタ駆動部を駆動させ、前記ウェハ修正シュート部または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下に振動させることを特徴とするウェハリング供給装置。
【請求項4】
ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフタ部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置のウェハリング供給方法において、
前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出す前に、前記ウェハカセットリフタ部を駆動させるか、前記ウェハ修正シュート駆動部を駆動させるか、または、前記ウェハエキストラクタ駆動部を駆動させるかの少なくともいずれか1つを駆動させ、前記ウェハカセット部、前記ウェハ修正シュート部、または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下振動させ、その後に前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御することを特徴とするウェハリング供給方法。
【請求項5】
ウェハリングを収納するウェハリング収容部有したウェハカセット部と、該ウェハカセット部を所定の間隔で上下動するウェハカセットリフト部と、前記ウェハリング収容部に収納された前記ウェハリングを掴む開閉爪を有したウェハエキストラクタ部と、該開閉爪にウェハリングがあるか否かを検出する有無検出センサと、ウェハリングホルダ部と、制御部とを備えたウェハリング供給装置のウェハリング供給方法において、
前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、前記ウェハカセットリフト部を制御して前記ウェハカセット部を上下に振動させた後、再度前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出すように制御することを特徴とするウェハリング供給方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5記載のウェハリング供給方法において、
前記ウェハエキストラクタ部が前記ウェハカセット部からウェハリングを取り出し前記ウェハリングホルダ部に搬送する途中で、前記有無センサがウェハリングを検出しない時には、さらに、前記ウェハリングホルダ部の前記開閉爪が前記ウェハリングを再度掴む直前に、前記ウェハ修正シュート部または前記ウェハエキストラクタ部の少なくともいずれか1つを上下に振動させることを特徴とするウェハリング供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−195448(P2012−195448A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58271(P2011−58271)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】