説明

ウェハ検査方法、ウェハ検査装置及び半導体処理装置

【課題】ウェハの表面の膜厚のムラや膜の欠損等の異常を高速度で検査でき、かつ安価なウェハ検査装置を提供する。
【解決手段】ウェハ10に形成された膜の検査方法において、所定の位置にウェハ10を載置し、ウェハ10に対し垂直に置かれた平板光源19で、ウェハ10の全体を含みウェハ10の幅より大きい領域を略均一に照射し、ウェハ10の領域外に位置するカメラ18で、ウェハ10の全体より大きい視野でウェハ10の表面を撮影し、ウェハ10の表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分や膜の欠損している部分と判断した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面の状態を検査するウェハ検査方法とその装置及び前記ウェハ検査装置を搭載した半導体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体生産工場では、成膜行程やエッチング工程で半導体ウェハの表面に生じる膜厚ムラ部や膜欠損部等の不具合を検出するために、エリプソメータと呼ばれるウェハの表面を検査する装置により検査を行っている。
【0003】
このエリプソメータは、レーザ照射の散乱光を用いて計測しているため高精度の計測が可能であり、さらに、成膜行程やエッチング工程においてリアルタイムにウェハの表面の検査を行うことができる。このような検査方法の一例が下記特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−110303号公報
【0005】
また、半導体製造工場では、ウェハの膜厚のムラ(膜厚ムラ部)や膜の欠損(膜欠損部)を色の変化としてとらえる方法を利用して、作業員が目視により検査する方法も実施されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、エリプソメータを用いた検査は、高精度の計測が可能であるが、装置が非常に高価であるため全ての半導体処理装置に設置することはコスト的に困難である。さらに、計測範囲が点での計測であるため、ウェハ全体を検査する場合、ウェハ全体を走査する必要があり多くの時間を要するため、全ウェハの検査を行うことは時間的にも困難である。
【0007】
また、ウェハの膜厚ムラ部や膜欠損部の検出を作業員が目視により行う検査方法では、半導体処理装置の外部から目視検査を行う場合、観測窓から目視検査を行うことになるため、検査対象のウェハから離れた位置から観測窓越しに目視検査をおこなうこととなり、検査対象のウェハが見にくいため正確な検査が行いにくいという問題がある。
【0008】
また、成膜後所定の枚数のウェハをまとめたロットごとに目視検査を行う場合、最悪の場合1ロットすべてのウェハが異常となるおそれがあり、付加価値の高い半導体製品では多額の損失をこうむるおそれがある。
【0009】
これらのことから、本発明では、ウェハの表面の膜厚のムラや膜の欠損等の異常を高速度で検査でき、かつ安価なウェハ検査方法、ウェハ検査装置及び半導体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための第1の発明(請求項1に対応)に係るウェハ検査方法は、ウェハに形成された膜の検査方法において、所定の位置に前記ウェハを載置し、前記ウェハに対し垂直に置かれた平板光源で、前記ウェハの全体より大きい領域を略均一に照射し、前記ウェハ領域外に位置するカメラで、前記ウェハの全体より大きい視野で該ウェハの表面を撮影し、前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分や膜の欠損している部分と判断することを特徴とする。
【0011】
上記の課題を解決するための第2の発明(請求項2に対応)に係るウェハ検査方法は、所定の位置に前記ウェハを載置し、前記ウェハに対し垂直に置かれた平板光源で、前記ウェハの全体より小さい領域を略均一に照射し、前記ウェハを回転させることによりウェハの全面を照射光で走査し、前記ウェハの領域外に位置するカメラで、前記ウェハの全体より大きい視野又は小さい視野で該ウェハの表面を撮影し、前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分や膜の欠損している部分と判断することを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するための第3の発明(請求項3に対応)に係るウェハ検査方法は、第1の発明又は第2の発明に係るウェハ検査装置において、鏡面状の検査対象の表面を検査することを特徴とする。
【0013】
上記の課題を解決するための第4の発明(請求項4に対応)に係るウェハ検査装置は、ウェハに形成された膜の検査装置において、所定の位置に前記ウェハを載置する載置台と、前記ウェハに対し垂直に、前記ウェハの全体より大きい領域を略均一に照射する平板光源と、前記ウェハ領域外に位置し、前記ウェハの全体より大きい視野で該ウェハの表面を撮影するカメラと、前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分や膜の欠損している部分と判断するウェハ検査装置コントローラとを備えたことを特徴とする。
【0014】
上記の課題を解決するための第5の発明(請求項5に対応)に係るウェハ検査装置は、ウェハに形成された膜の検査装置において、所定の位置に前記ウェハを載置する回転可能な載置台と、前記ウェハに対し垂直に、前記ウェハの全体より小さい領域を略均一に照射する平板光源と、前記ウェハ領域外に位置し、前記ウェハの全体より大きい視野又は小さい視野で該ウェハの表面を撮影するカメラと、前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分や膜の欠損している部分と判断するウェハ検査装置コントローラとを備えたことを特徴とする。
【0015】
上記の課題を解決するための第6の発明(請求項6に対応)に係るウェハ検査装置は、第4の発明又は第5の発明に係るウェハ検査装置において、鏡面状の検査対象の表面を検査することを特徴とする。
【0016】
上記の課題を解決するための第7の発明(請求項7に対応)に係る半導体処理装置は、第4の発明ないし第6の発明のいずれかに係るウェハ検査装置を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記の課題を解決するための第8の発明(請求項8に対応)に係る半導体処理装置は、第7の発明に係る半導体処理装置において、半導体処理装置を制御する半導体処理装置コントローラと、半導体処理装置コントローラを制御する制御装置と、前記ウェハ検査装置を制御するウェハ検査装置コントローラと、前記ウェハの向きをそろえるアライナと、前記アライナの上部に前記ウェハが載置されたことを検知する検知手段とを備え、前記半導体処理装置コントローラから前記ウェハの種類を識別するウェハ識別信号を前記制御装置に入力し、前記ウェハ識別信号を入力された前記制御装置は前記ウェハの種類に応じた閾値変更信号を前記ウェハ検査装置コントローラに入力し、前記ウェハが前記アライナの上部に載置されたとき、前記検知手段から前記ウェハの検査を開始させる検査開始信号を前記ウェハ検査装置コントローラに入力し、前記検査開始信号が入力された前記ウェハ検査装置コントローラは前記カメラが撮像した画像情報を前記ウェハ検査装置コントローラに取り込み、前記ウェハに色の変化している部分がある場合、前記制御装置に前記ウェハの表面に異常があることを知らせる表示をすることを特徴とする。
【0018】
上記の課題を解決するための第9の発明(請求項9に対応)に係る半導体処理装置は、第8の発明に係る半導体処理装置において、前記検知手段は、ウェハの有無を検知するセンサであることを特徴とする。
【0019】
上記の課題を解決するための第10の発明(請求項10に対応)に係る半導体処理装置は、第8の発明に係る半導体処理装置において、前記検知手段は、前記搬送装置の位置制御情報を検出するものであることを特徴とする。
【0020】
上記の課題を解決するための第11の発明(請求項11に対応)に係る半導体処理装置は、第8の発明ないし第10の発明のいずれかに係る半導体処理装置において、前記ウェハの表面に異常がある場合、前記制御装置から前記半導体処理装置コントローラへ強制停止信号を入力して前記半導体処理装置を停止させることを特徴とする。
【0021】
上記の課題を解決するための第12の発明(請求項12に対応)に係る半導体処理装置は、第8の発明ないし第11の発明のいずれかに係る半導体処理装置において、前記ウェハの表面に色の変化している部分がある場合、前記画像情報を前記制御装置内に保存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明に係るウェハ検査方法によれば、カメラにより一度にウェハの全体を撮像できるため、高速度でウェハの膜ムラ部又は膜欠損部を検出することができる。また、安価なカメラや照明を用いることでウェハ検査装置を低コストで実現することができる。さらに、半導体処理装置外から観察窓越しに行う目視検査と比べウェハの表面の検査の正確性が向上する。また、照明は平板状の照明を使用することにより,ウェハの表面に対して略均一に照射することが可能である。さらに,カメラをウェハの領域外に設置することにより,カメラ自身のウェハからの映り込みを防ぐことが可能となる。
【0023】
第2の発明に係るウェハ検査方法によれば、高速度でウェハの膜ムラ部又は膜欠損部を検出することができる。また、安価なカメラや照明を用いることでウェハ検査装置を低コストで実現することができる。さらに、半導体処理装置外から観察窓越しに目視検査と比べウェハの表面の検査の正確性が向上する。さらに,本検査方法では,照射領域より大きなウェハを検査する場合でも,ウェハを回転させて検査することができるため,ウェハ全体を走査可能であり,抜けなく検査を行うことが可能となる。
【0024】
第3の発明に係るウェハ検査方法によれば、鏡面状のウエハを対象とした、正確な検査を行うことができる。ここで鏡面状とは、半透明ではあるが,見る角度により,鏡のように表面に物体が写りこむ(虚像を写す)ような状態のものを含む。
【0025】
第4の発明又は第5の発明に係るウェハ検査装置によれば、第1の発明ないし第3の発明に係るウェハ検査方法の効果に加え、作業員が目視により行っていたウェハの表面の検査を自動化することができ、検査を高速化することができる。
【0026】
第6の発明に係るウェハ検査装置によれば、鏡面状のウエハを対象とした、正確な検査を行うことができる。
【0027】
第7の発明及び第9の発明に係る半導体処理装置によれば、第4の発明ないし第6の発明に係るウェハ検査装置の効果に加え、ウェハへの成膜処理工程及びエッチング工程においてリアルタイムに検査を行うことができ、検査を高速化することができる。
【0028】
第10の発明に係る半導体処理装置によれば、第8の発明に係る半導体処理装置の効果に加え、ウェハがアライナの上部に載置されたかどうか検知するウェハ検知センサが不要となるため、ウェハ検査装置を簡素化でき、低コストでウェハ検査装置を実現することができる。
【0029】
第11の発明に係る半導体処理装置によれば、第8の発明ないし第10の発明に係る半導体処理装置の効果に加え、ウェハの表面の異常を検出したと同時に半導体処理装置での成膜を強制的に停止することにより、ウェハの成膜不良率を低減することができ、生産コストの上昇を抑制することができる。
【0030】
第12の発明に係る半導体処理装置によれば、第8の発明ないし第11の発明のいずれかに係るウェハ検査装置の効果に加え、検査の終了後に保存した画像を呼び出して、異常のある部分を詳細に分析することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係るウェハ検査装置及びウェハ検査方法の実施例について図1から図8を用いて説明する。図1はウェハ検査装置の側面図、図2は実施例1に係るウェハ検査装置のブロック図、図3は実施例2に係るウェハ検査装置のブロック図、図4は実施例3に係るウェハ検査装置のブロック図、図5は実施例4に係るウェハ検査装置のブロック図、図6は本発明に係るウェハ検査装置が設置された半導体処理装置の平面図、図7は正常なウェハの表面の画像を示した図、図8は膜ムラ部のあるウェハの表面の画像を示した図である。
【実施例1】
【0032】
以下、本実施例1に係るウェハ検査装置が設置された半導体処理装置の概要について説明する。図6に示すように、ウェハ10の表面に薄膜を成膜する成膜処理やエッチング処理を施す半導体処理装置11の外側(図6中、上側)には、半導体処理装置11の内部に搬入されるウェハ10をセットする未処理ウェハカセット12が設けられている。本実施例1に係る半導体処理装置は、ウェハ10の表面に薄膜を成膜する成膜処理やエッチング処理等を施すものであり、プラズマ処理装置の一種である。
【0033】
未処理ウェハカセット12の隣(図6中、右側)には、成膜及びエッチング等の処理が施されたウェハ10をセットする処理済ウェハカセット13が設置されている。本実施例1では、処理済ウェハカセット13が課題を解決するための手段に記載する保管容器である。
【0034】
成膜処理やエッチング処理が施されたウェハ10には、光を透過し、かつ表面で光を反射する半透明な薄膜が形成されている。このような処理済のウェハ10は表面が鏡面状になっている。ここで鏡面状とは半透明ではあるが,見る角度により鏡のように表面に物体が写りこむ(虚像を映す)ということを意味している。
【0035】
また、未処理ウェハカセット12の隣(図6中、左側)には、半導体処理装置11を操作し、制御を行う制御装置14が設置されている。この制御装置14は、コンピュータにより構成されている。
【0036】
半導体処理装置11の未処理ウェハカセット12、処理済ウェハカセット13及び制御装置14等が設置されている側(図6中、上側)の小室である大気ロボット室15には、ウェハ10を搬送する大気ロボットアーム16が設置されている。大気ロボットアーム16の側方(図6中、左側)には、搬入されたウェハ10の向きを所定の向きに合わせるアライナ17が設置されている。このアライナ17の上部は回転可能となっている。本実施例1では、アライナ17が課題を解決するための手段に記載する載置台である。
【0037】
図1に示すように、アライナ17上に載置されたウェハ10の表面を撮像するカメラ18がウェハ10の表面に対し40度から50度の角度をなすように設置されている。アライナ17の側方の大気ロボット室15の壁面にカメラ18で撮影したときにウェハ10の表面の全面を均一に照らすことのできる照明19を設置する。本実施例1では、照明19が課題を解決するための手段に記載する平板照明である。
【0038】
アライナ17の側面には、アライナ17上にウェハ10が載置されたことを検出するウェハ検知センサ20が設置されている。本実施例1では、ウェハ検知センサ20が課題を解決するための手段に記載するウェハの有無を検知するセンサである。
【0039】
図6に示すように、半導体処理装置11の大気ロボット室15の隣(図6中、下側)には、真空ロボット室21がある。真空ロボット室21の内部には、大気ロボット室15からウェハ10を搬入した上で真空状態にするロードロックチャンバ22が設置されている。
【0040】
ロードロックチャンバ22の隣(図6中、下側)には、ウェハ10に成膜又はエッチング等を行う処理チャンバ23が設置されている。処理チャンバ23の内部には、ロードロックチャンバ22から処理チャンバ23へウェハ10を搬入及び搬出する真空ロボットアーム24が設置されている。
【0041】
次に、本実施例1に係るウェハ検査装置が設置される半導体処理装置の動作手順について説明する。未処理ウェハカセット12にセットされたウェハ10は、大気ロボットアーム16により大気ロボット室15の内部に搬入される。
【0042】
大気ロボット室15の内部に搬入されたウェハ10は、アライナ17の上部に載置され所定の向きに合わせられる。所定の向きに合わせられたウェハ10は、大気ロボットアーム16によりロードロックチャンバ22の内部に搬入される。
【0043】
ロードロックチャンバ22の内部に搬入されたウェハ10は、ロードロックチャンバ22の内部が真空状態になった後に真空ロボットアーム24により処理チャンバ23の内部に搬入される。処理チャンバ23の内部に搬入されたウェハ10には、成膜又はエッチング等の処理が施される。成膜又はエッチング等の処理が完了したウェハ10は、真空ロボットアーム24によりロードロックチャンバ22の内部へ搬出される。
【0044】
ロードロックチャンバ22の内部へ搬出されたウェハ10は、ロードロックチャンバ22の内部が大気圧状態になった後に大気ロボットアーム16により大気ロボット室15に搬出される。大気ロボット室15へ搬出されたウェハ10は、大気ロボットアーム16によりアライナ17の上部に載置される。
【0045】
アライナ17の上部に載置されたウェハ10は、ウェハ検査装置25により膜厚ムラ部や膜欠損部を検出する検査が行われる。検査が終了したウェハ10は、大気ロボットアーム16により処理済ウェハカセット13にセットされる。
【0046】
次に、本実施例1に係るウェハ検査装置の動作について説明する。図2に示すように、始めに、半導体処理装置11(図6参照)を制御する半導体処理装置コントローラ26から制御装置14へウェハの種類を識別するウェハ識別信号27を入力する。ウェハ識別信号27をデジタル入出力ボード28を介して入力された制御装置14は、ウェハ検査装置25を制御するウェハ検査装置コントローラ29へウェハ10の種類にしたがい膜ムラ部や膜欠損部を正しく検出するための閾値変更信号30をデジタル入出力ボード31を介して入力する。
【0047】
半導体処理装置コントローラ26からの位置制御信号32により制御された大気ロボットアーム16は、ウェハ10をアライナ17の上部に載置する。ウェハ10がアライナ17の上部に載置されると、ウェハ検知センサ20がアライナ17の上部にウェハ10が載置されたことを検出し、ウェハ検知センサ20からウェハ検査装置コントローラ29へ検査開始信号33が入力される。
【0048】
検査開始信号33が入力されたウェハ検査装置コントローラ29は、カメラ18によりウェハ10の表面を撮像した画像情報34を取り込んで二値化処理を施し、この画像情報34に映っているウェハ10の表面の色が変化している部分を検出する。図7に示すように、色の変化がない場合はウェハ10に膜ムラ部や膜欠損部がない正常な状態と判定し、図8に示すように、Aで示すような色の変化がある場合は膜ムラ部や膜欠損部がある異常な状態と判定する。
【0049】
この判定情報35をデジタル入出力ボード36を介して制御装置14に入力する。判定情報36が入力された制御装置14は、ウェハ10が正常な状態であれば正常と表示し、異常な状態があれば異常と表示する。
【0050】
本実施例1では、照明19としてウェハ10の全体を照らすことのできるものを用いたが、ウェハ10の一部を照らす照明を用いた場合であっても、アライナ17を利用してウェハ10を回転させる等し、その様子をカメラ18により撮像してウェハ10の全体を照らした画像を得ることもできる。また、ウェハ10以外であっても表面が鏡面状のものであれば検査対象として膜ムラ部や膜欠損部を検査することが可能である。
【0051】
本実施例1に係るウェハ検査装置によれば、カメラ18により一度にウェハ10の全体を撮像できるため、高速度でウェハ10の膜ムラ部又は膜欠損部を検出することができる。また、安価なカメラ18や照明19を用いることでウェハ検査装置を低コストで実現することができる。さらに、半導体処理装置11外から観察窓越しに行う目視検査と比べウェハ10の表面の検査の正確性が向上する。
【0052】
また、カメラ18でウェハ10の表面を撮像した際にウェハ10の表面の検査の妨げとなる周囲の装置の映り込みを防ぐことができるため、正確な検査を行うことができる。また、作業員が目視により行っていたウェハ10の表面の検査を自動化することができ、検査を高速化することができる。また、ウェハ10への成膜処理工程及びエッチング工程においてリアルタイムに検査を行うことができ、検査を高速化することができる。
【実施例2】
【0053】
以下、本実施例2に係るウェハ検査装置の動作について説明する。本実施例2に係るウェハ検査装置が設置される半導体処理装置には、ウェハ検知センサは設置しないが、それ以外の構成については実施例1に記載する半導体処理装置と同様である。
【0054】
図3に示すように、始めに、半導体処理装置11(図6参照)を制御する半導体処理装置コントローラ26から制御装置14へウェハの種類を識別するウェハ識別信号27を入力する。ウェハ識別信号27をデジタル入出力ボード28を介して入力された制御装置14は、ウェハ検査装置25を制御するウェハ検査装置コントローラ29へウェハ10の種類にしたがい膜ムラ部や膜欠損部を正しく検出するための閾値変更信号30をデジタル入出力ボード31を介して入力する。
【0055】
半導体処理装置コントローラ26からの位置制御信号32により制御された大気ロボットアーム16は、ウェハ10をアライナ17の上部に載置する。ウェハ10がアライナ17の上部に載置されると、半導体処理装置コントローラ26がアライナ17の上部にウェハ10が載置されたことを大気ロボットアーム16の位置制御信号37に基づいて検出し、半導体処理装置コントローラ26からウェハ検査装置コントローラ29へ検査開始信号38が入力される。
【0056】
検査開始信号38が入力されたウェハ検査装置コントローラ29は、カメラ18によりウェハ10の表面を撮像した画像情報34を取り込み、この画像情報34に映っているウェハ10の表面の色が変化している部分を検出する。図7に示すように、色の変化がない場合はウェハ10に膜ムラ部や膜欠損部がない正常な状態と判定し、図8に示すように、Aで示すような色の変化がある場合は膜ムラ部や膜欠損部がある異常な状態と判定する。
【0057】
この判定情報35をデジタル入出力ボード36を介して制御装置14に入力する。判定情報36が入力された制御装置14は、ウェハ10が正常な状態であれば正常と表示し、異常な状態があれば異常と表示する。
【0058】
本実施例2に係るウェハ検査装置によれば、実施例1に係る半導体処理装置の効果に加え、ウェハ10がアライナ17の上部に載置されたかどうか検知するウェハ検知センサ20が不要となるため、ウェハ検査装置25を簡素化でき、低コストでウェハ検査装置25を実現することができる。
【実施例3】
【0059】
以下、本実施例3に係るウェハ検査装置の動作について説明する。本実施例3に係るウェハ検査装置が設置される半導体処理装置の構成については、実施例1に記載する半導体処理装置と同様である。
【0060】
図4に示すように、始めに、半導体処理装置11(図6参照)を制御する半導体処理装置コントローラ26から制御装置14へウェハの種類を識別するウェハ識別信号27を入力する。ウェハ識別信号27をデジタル入出力ボード28を介して入力された制御装置14は、ウェハ検査装置25を制御するウェハ検査装置コントローラ29へウェハ10の種類にしたがい膜ムラ部や膜欠損部を正しく検出するための閾値変更信号30をデジタル入出力ボード31を介して入力する。
【0061】
半導体処理装置コントローラ26からの位置制御信号32により制御された大気ロボットアーム16は、ウェハ10をアライナ17の上部に載置する。ウェハ10がアライナ17の上部に載置されると、ウェハ検知センサ20がアライナ17の上部にウェハ10が載置されたことを検出し、ウェハ検知センサ20からウェハ検査装置コントローラ29へ検査開始信号33が入力される。
【0062】
検査開始信号33が入力されたウェハ検査装置コントローラ29は、カメラ18によりウェハ10の表面を撮像した画像情報34を取り込み、この画像情報34に映っているウェハ10の表面の色が変化している部分を検出する。図7に示すように、色の変化がない場合はウェハ10に膜ムラ部や膜欠損部がない正常な状態と判定し、図8に示すように、Aで示すような色の変化がある場合は膜ムラ部や膜欠損部がある異常な状態と判定する。この判定情報35をデジタル入出力ボード36を介して制御装置14に入力する。
【0063】
判定情報35が入力された制御装置14は、ウェハ10が正常な状態であれば正常と表示し、異常な状態があれば異常と表示する。このとき、異常がある場合には、制御装置14からデジタル入出力ボード39を介して半導体処理装置コントローラ26へ強制停止信号40が入力され、半導体処理装置11で行われている成膜又はエッチング等を強制的に停止する。
【0064】
本実施例3に係るウェハ検査装置によれば、実施例1に係る半導体処理装置の効果に加え、ウェハ10の表面の異常を検出したと同時に半導体処理装置11での成膜を強制的に停止することにより、ウェハ10の成膜不良率を低減することができ、生産コストの上昇を抑制することができる。
【実施例4】
【0065】
以下、本実施例4に係るウェハ検査装置の動作について説明する。本実施例4に係るウェハ検査装置が設置される半導体処理装置の構成については、実施例1に記載する半導体処理装置と同様である。
【0066】
図5に示すように、始めに、半導体処理装置11(図6参照)を制御する半導体処理装置コントローラ26から制御装置14へウェハの種類を識別するウェハ識別信号27を入力する。ウェハ識別信号27をデジタル入出力ボード28を介して入力された制御装置14は、ウェハ検査装置25を制御するウェハ検査装置コントローラ29へウェハ10の種類にしたがい膜ムラ部や膜欠損部を正しく検出するための閾値変更信号30をデジタル入出力ボード31を介して入力する。
【0067】
半導体処理装置コントローラ26からの位置制御信号32により制御された大気ロボットアーム16は、ウェハ10をアライナ17の上部に載置する。ウェハ10がアライナ17の上部に載置されると、ウェハ検知センサ20がアライナ17の上部にウェハ10が載置されたことを検出し、ウェハ検知センサ20からウェハ検査装置コントローラ29へ検査開始信号33が入力される。
【0068】
検査開始信号33が入力されたウェハ検査装置コントローラ29は、カメラ18によりウェハ10の表面を撮像した画像情報34を取り込み、この画像情報34に映っているウェハ10の表面の色が変化している部分を検出する。図7に示すように、色の変化がない場合はウェハ10に膜ムラ部や膜欠損部がない正常な状態と判定し、図8に示すように、Aで示すような色の変化がある場合は膜ムラ部や膜欠損部がある異常な状態と判定する。この判定情報35をデジタル入出力ボード36を介して制御装置14に入力する。
【0069】
判定情報36が入力された制御装置14は、ウェハ10が正常な状態であれば正常と表示し、異常な状態があれば異常と表示する。このとき、異常がある場合には、ウェハ検査装置コントローラ29から制御装置14へ画像情報41が画像キャプチャボード42を介して入力され、制御装置14の内部に保存される。
【0070】
本実施例4に係るウェハ検査装置によれば、実施例1に係る半導体処理装置の効果に加え、検査の終了後に保存した画像を呼び出して、異常のある部分を詳細に分析することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、ウェハの表面の膜厚のムラや膜の欠損等の異常を高速度で検査する場合に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】ウェハ検査装置の側面図である。
【図2】実施例1に係るウェハ検査装置のブロック図である。
【図3】実施例2に係るウェハ検査装置のブロック図である。
【図4】実施例3に係るウェハ検査装置のブロック図である。
【図5】実施例4に係るウェハ検査装置のブロック図である。
【図6】本発明に係るウェハ検査装置が設置された半導体処理装置の平面図である。
【図7】正常なウェハの表面の画像を示した図である。
【図8】膜ムラ部のあるウェハの表面の画像を示した図である。
【符号の説明】
【0073】
10 ウェハ
11 半導体処理装置
12 未処理ウェハカセット
13 処理済ウェハカセット
14 制御装置
15 大気ロボット室
16 大気ロボットアーム
17 アライナ
18 カメラ
19 照明
20 ウェハ検知センサ
21 真空ロボット室
22 ロードロックチャンバ
23 処理チャンバ
24 真空ロボットアーム
25 ウェハ検査装置
26 半導体処理装置コントローラ
27 ウェハ識別信号
28,31,36,39 デジタル入出力ボード
29 ウェハ検査装置コントローラ
30 閾値変更信号
32,37 位置制御信号
33,38 検査開始信号
34,41 画像情報
35 判定情報
40 強制停止信号
42 画像キャプチャボード
A 色変化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハに形成された膜の検査方法において、
所定の位置に前記ウェハを載置し、
前記ウェハに対し垂直に置かれた平板光源で、前記ウェハの全体より大きい領域を略均一に照射し、
前記ウェハ領域外に位置するカメラで、前記ウェハの全体より大きい視野で該ウェハの表面を撮影し、
前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分又は膜の欠損している部分と判断する
ことを特徴とするウェハ検査方法。
【請求項2】
ウェハに形成された膜の検査方法において、
所定の位置に前記ウェハを載置し、
前記ウェハに対し垂直に置かれた平板光源で、前記ウェハの全体より小さい領域を略均一に照射し、
前記ウェハを回転させることによりウェハの全面を照射光で走査し、
前記ウェハの領域外に位置するカメラで、前記ウェハの全体より大きい視野又は小さい視野で該ウェハの表面を撮影し、
前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分又は膜の欠損している部分と判断する
ことを特徴とするウェハ検査方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するウェハ検査方法において、
検査対象の表面が鏡面状である
ことを特徴とするウェハ検査方法。
【請求項4】
ウェハに形成された膜の検査装置において、
所定の位置に前記ウェハを載置する載置台と、
前記ウェハに対し垂直に、前記ウェハの全体より大きい領域を略均一に照射する平板光源と、
前記ウェハ領域外に位置し、前記ウェハの全体より大きい視野で該ウェハの表面を撮影するカメラと、
前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分又は膜の欠損している部分と判断するウェハ検査装置コントローラと
を備えた
ことを特徴とするウェハ検査装置。
【請求項5】
ウェハに形成された膜の検査装置において、
所定の位置に前記ウェハを載置する回転可能な載置台と、
前記ウェハに対し垂直に、前記ウェハの全体より小さい領域を略均一に照射する平板光源と、
前記ウェハ領域外に位置し、前記ウェハの全体より大きい視野又は小さい視野で該ウェハの表面を撮影するカメラと、
前記ウェハの表面の色が変化している部分を膜のムラがある部分又は膜の欠損している部分と判断するウェハ検査装置コントローラと
を備えた
ことを特徴とするウェハ検査装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載するウェハ検査装置において、
検査対象の表面が鏡面状である
ことを特徴とするウェハ検査装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれかに記載するウェハ検査装置を備えた
ことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載する半導体処理装置において、
半導体処理装置を制御する半導体処理装置コントローラと、
半導体処理装置コントローラを制御する制御装置と、
前記ウェハ検査装置を制御するウェハ検査装置コントローラと、
前記ウェハの向きをそろえるアライナと、
前記アライナの上部に前記ウェハが載置されたことを検知する検知手段と
を備え、
前記半導体処理装置コントローラから前記ウェハの種類を識別するウェハ識別信号を前記制御装置に入力し、
前記ウェハ識別信号を入力された前記制御装置は前記ウェハの種類に応じた閾値変更信号を前記ウェハ検査装置コントローラに入力し、
前記ウェハが前記アライナの上部に載置されたとき、前記検知手段から前記ウェハの検査を開始させる検査開始信号を前記ウェハ検査装置コントローラに入力し、
前記検査開始信号が入力された前記ウェハ検査装置コントローラは前記カメラが撮像した画像情報を前記ウェハ検査装置コントローラに取り込み、
前記ウェハに色の変化している部分がある場合、前記制御装置に前記ウェハの表面に異常があることを知らせる表示をする
ことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載する半導体処理装置において、
前記検知手段は、ウェハの有無を検知するセンサである
ことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項10】
請求項8に記載する半導体処理装置において、
前記検知手段は、前記搬送装置の位置制御情報を検出するものである
ことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれかに記載する半導体処理装置において、
前記ウェハの表面に異常がある場合、前記制御装置から前記半導体処理装置コントローラへ強制停止信号を入力して前記半導体処理装置を停止させる
ことを特徴とする半導体処理装置。
【請求項12】
請求項8ないし11のいずれかに記載する半導体処理装置において、
前記ウェハの表面に色の変化している部分がある場合、前記画像情報を前記制御装置内に保存する
ことを特徴とする半導体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−158033(P2007−158033A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351418(P2005−351418)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】