説明

ウシおよびブタにおける感染を処置するための組成物および方法

【課題】動物に対する処置に関係した疼痛およびストレスならびに注射部位組織損傷に対する可能性を最小限にしつつ、感染を制御および予防し得、そしてウシ呼吸器性疾患および他の感染性疾患に関係した炎症を最小にし得る、簡便に投与される安定な組成物の提供。
【解決手段】動物の微生物感染の処置のための組成物であって、該組成物は、フルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩ならびに以下の式I:


の化合物のうちの1つを含む、組成物であって、ここで、Rは、メチルまたはエチルあるいはそのハロゲン化誘導体などであり;XおよびX’の各々はNO、SOなどによって置換されたフェニルである、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年5月20日に出願された、米国特許仮出願第60/382,015の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、動物における感染を処置するための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明はウシおよびブタのような動物における感染の処置における使用のための、抗生物質、および非ステロイド性抗炎症薬物の両方を含む組成物に関する。
【0003】
本明細書中に記載される全ての参考文献は、その全体が参考として本明細書中で援用される。
【背景技術】
【0004】
ウシ呼吸器性疾患(bovine respiratory disease:BRD)は、乳牛および肉牛の両方において生じ、そして世界中にわたってウシ産業への経済的損失の主要原因の1つである。これらの経済的損失は、過度の致死率、体重増加の低減ならびに処置コストおよび予防コストに起因する。BRDはしばしば、多因子性の病因に起因して、「ウシ呼吸器性疾患複合症」といわれる。
【0005】
呼吸性疾患に起因した死亡損失のコストは、世界中で変動する。米国における死亡損失は、年間10億ドルに達すると見積もられる。欧州諸国における損失は、7500万ドルから1億2000万ドルの範囲にわたる。臨床的BRDまたは潜在性BRDを患うウシは、体重を増加せず、飼料効率を低減させており、そしてしばしば、屠殺時により低品質の生肉(carcass)を生じる。非特許文献1。屠殺時に観察される肺の病変と体重増加の低減との間の直接的な相関作用は、潜在的感染性疾患を患うウシにおいて確認される。非特許文献2。
【0006】
致死率および羅患率に関係した生産損失に加え、種々の治療的薬剤のコスト、および(これらの動物を隔離および観察するための余分な労力に加えて)これらの薬剤を投与するのに必要な労力に起因して、BRDの処置に重要なコストが関係する。
【0007】
BRDの病因は、感染性因子と結びついた、環境的ストレスおよび生理学的ストレスの相互作用に起因すると考えられている。Mannheimia(Pasteurella)haemolytica、Pasteurella multocidaおよびHaemophilus somnusは、ウシ上部気道の通常の微生物叢の一部とみなされる。環境的ストレス因子および生理学的ストレス因子が本来の抵抗性を低減しそして肺の防御機構を阻害する場合、これらの生物体は増殖し、そして下部気道にコロニーを形成する。さらに、種々のウシウイルス(例えば、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス(IBRV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、ウシ呼吸性シンシチウムウイルス(BRSV)、およびパラインフルエンザ3ウイルス(PI−3))は、肺における免疫抑制性作用を有することが公知である。
【0008】
同様に、ブタ呼吸器性疾患(swine respiratory disease:SRD)もまた、多因性の病因を有する。P.multocida、H. parasuis、Bordetella bronchiseptica、Actinobacillus pleuropneumoniae、Streptococcus suis、Salmonella cholerasuisおよびMycoplasma sp.により引き起こされる細菌性感染は、ブタにおける呼吸性疾患の原因となり、重大な経済的損失を生じる。ブタの押し込み(crowding)、交配(mixing)および移動のようなストレス、ならびに一過性ウイルス感染は、疾患の重篤度の一因となり得る。
【0009】
これらの生物体は、種々のサイトカインの放出を刺激する種々の毒素を産生することによって、肺において過度の炎症性過程を刺激し得、炎症性過程を上方制御する。M.haemolytica(これらの生物体の中で最も毒性の高いものとみなされる)はまた、白血球による貪食作用を阻害するロイコトキシンを産生し、これによってさらに下部気道にコロニー形成するその能力を増強する。この過程はしばしば、細菌性気管支肺炎を生じる。
【0010】
死および羅患率を生じる肺損傷は、侵襲性病原体に対する過度の炎症性応答に起因する。宿主組織への損傷は、好中球、肺の肺胞マクロファージおよびナチュラルキラー細胞の破壊性の感染細胞として現れる。細胞膜が損傷を受ける場合、アラキドン酸が放出される。アラキドン酸は、種々のプロスタグランジンおよび他のエイコサノイドの形成のための基質である。これらの生物学的活性基質の放出は、肺の病変を生じる炎症性応答を駆動するのに決定的である。非特許文献3。
【0011】
一般的に、BRDに対する治療法は、以下の目的を達成することに指向されるべきである。
【0012】
1.感染を制御すること;感染性過程が早期に停止される動物においては、繰り返しの処置の必要性が大いに低減される(非特許文献4を参照のこと)。適切な抗微生物化合物の選択は、関与する生物体の抗微生物の感度、気道における抗微生物薬剤のレベル、投与の容易さ、注射部位組織損傷に対する力価、ならびに処置に関係した疼痛およびストレスを最小限にする投与レジメンに基づくべきである。
【0013】
2.肺損傷を最小限にすること;炎症レベルおよびそれに続く肺損傷レベルが増加する場合、繰り返しの治療の確立が増大し、そして体重増加率が減少する。非特許文献5、非特許文献6。
【0014】
3.発熱を低減すること;感染を制御することおよび炎症を低減することは、発熱(熱病)を低減し、これによって回復の可能性を増大させる。発熱の低減を伴う、満足な状態の感覚はまた、疾患および発熱に関係した食欲不振を抑制することによって、栄養分の摂取を向上させ得る。
【非特許文献1】Perino L.J.(Howard J.L.,Smith R.A.編),Apley M.,Bovine Respiratory Disease,CURRENT VETERINARY THERAPY 4(FOOD ANIMAL PRACTICE),1999年,第4版,p.446−455
【非特許文献2】Whittem T.E.ら,J.Am.Vet.Med.Assoc.,1996年,第209巻,p.814−818
【非特許文献3】Mosier D.A.,Vet.Clin.North Am.Food Animal Prac.,1997年,第13巻,p.483−493
【非特許文献4】Apley M.D.およびFajt V.R.,Vet.Clin.North Am.Food Anim.Prac.,1998年,第14巻,p.291−313
【非特許文献5】Lekeux P.,Bovine Practitioner,1995年,29,p.71−75
【非特許文献6】Scott P.R.,J.Dairy Sci.,1993年,第76(2)巻,p.414−420
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
数年間にわたって、抗微生物治療法は、BRD治療法の中核であった。BRDの処置に対して通常利用可能な、多くの有効な微生物薬剤が存在する。NUFLOR(広域抗生物質フロルフェニコールの注射可能処方物)は、全世界ベースの主要な抗生物質の1つとして現れた。これは、M.haemolytica、P.multocidaおよびH.somnusに関係したBRDの処置および制御、ならびにこれらの細菌に関係したBRDの発症の高いリスクにあるウシにおける呼吸性疾患の予防のために必要とされる。NUFLORはまた、Fusobacterium necrophorumおよびBacteroides melaninogenicusに関係したウシ趾間フレグモーネ(腐蹄症、急性趾間壊死杆菌症、感染性足皮膚炎)の処置のために必要とされる。NUFLORは、皮下投与され得、そして筋肉内投与され得る。
【0016】
BRDの病因は、肺における重大な炎症過程の進行およびそれに続く肺病変の進行を包含し、しばしば肺の硬化へと導く。この炎症過程の程度は、その疾患が、死を生じるか、慢性的な「発育不足の動物」を生じるか、または動物の回復を無事に生じるかどうかを、決定し得る。種々の抗炎症性薬剤は、BRDに関係した発熱、肺硬化および体重損失を低減するそれら薬剤の能力に関して調査されている。
【0017】
コルチコステロイドの使用は、一般的に、重篤な免疫抑制を引き起こすそれらコルチコステロイドの能力に起因して、BRDに対する従属的な治療法として禁忌を示される。しかし、抗生物質と併せた、非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)の使用は、ウシ呼吸器性疾患の処置において有益なものであることが示されている。非ステロイド性抗炎症薬剤のフルニキシンメグルミン(flunixin meglumine)は、BRDに関係した発熱を迅速に低減するのに有効であることが実証されている。フルニキシンはまた、肺硬化を低減し、そして抗生物質を用いる再処置の必要性を低減することが、実証されている。
【0018】
フルニキシンメグルミンは、FINADYNEおよびBANAMINEの活性成分である(両方ともSchering−Plough Animal Health Corporation,Union,NJより利用可能である)。これは、BRDの補助治療のための主要なNSAIDのうちの1つとして現れた。
【0019】
フルニキシンメグルミンは、BRDの処置のための抗生物質との併用に関して精力的に研究されている。このフルニキシンメグルミンは、このBRDの指示に対して広範に使用されるが、フロルフェニコール(florfenicol)を有する同様の処方物においては併用されていない。なぜなら、フルニキシンの投与の第一経路が静脈内であり、そしてフロルフェニコールは筋肉内投与または皮下投与されるからである。さらに、フロルフェニコール処方物は、抗生物質の長期化した血中レベルを提供するように設計されており、そしてフルニキシンはそのような処方物においては適切なバイオアベイラビリティーを有することが期待されない。さらに、フロルフェニコールおよびフルニキシンがそのような処方物において適合可能であるかどうかに関する懸念が存在する。
【0020】
フルニキシンメグルミンは、オキシテトラサイクリンと併用されており、そしてフルニキシンメグルミンおよびオキシテトラサイクリンの両方を含む製品は、ヨーロッパで市販される。しかし、このような組み合わせ製品は、1日あたり1回の投与を3〜5日間必要とする。さらに、細菌性病原体(BRDに通常関係した細菌性病原体を含む)に関して、抗生物質オキシテトラサイクリンへの耐性が通常化している。
【0021】
従って、動物に対する処置に関係した疼痛およびストレスならびに注射部位組織損傷に対する可能性を最小限にしつつ、感染を制御および予防し得、そしてウシ呼吸器性疾患および他の感染性疾患に関係した炎症を最小にし得る、簡便に投与される安定な組成物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によって以下が提供される:
(1) 動物の微生物感染の処置のための組成物であって、該組成物は、フルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩ならびに以下の式I:
【化1】

の化合物のうちの1つを含み、
ここで、Rは、以下:メチルまたはエチルあるいはそのハロゲン化誘導体、ジハロゲノジューテリオメチル、1−ハロゲノ−1−ジュウーテリオエチル、1,2−ジハロゲノ−1−ジューテリオエチル、アジドメチルおよびメチルスルホニルメチルからなる群から選択されるメンバーであり;
XおよびX’の各々は、以下:NO、SO、SOR、SR、SONH、SONH、SONHR、SONHR、COR、OR、R、CN、ハロゲン、水素、フェニルならびにハロゲン、NO、R、PO、CONHR、NHR、NR、CONR、OCORまたはORによって置換されたフェニルであり、ここで、RおよびRは、以下:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルブチル、t−ブチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から独立して選択されるメンバーであり;
そしてZは、水素または16個までの炭素原子を有するヒドロカルボンカルボン酸のアシル基あるいは12個までの炭素原子を有するアミノヒドロカルボンカルボン酸のアシル基;ならびに該アシル基の薬学的に受容可能な塩である、
組成物。
(2) Rがメチルまたはエチルのハロゲン化誘導体である、項目1に記載の組成物。
(3) RがCHClまたはCHFである、項目2に記載の組成物。
(4) Zが水素であり、そしてXがSOまたはフェニルであり、そしてX’が水素である、項目3に記載の組成物。
(5) Rがメチルである、項目4に記載の組成物。
(6) 非プロトン性の極性溶媒をさらに含む、項目1に記載の組成物であって、ここで、該非プロトン性の極性溶媒は、以下:ピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトンおよびグリセロールホルマールならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
(7) 前記非プロトン性の極性溶媒が、ピロリドン溶媒であり、そして該ピロリドン溶媒がN−メチル−2−ピロリドンまたは2−ピロリドンである、項目6に記載の組成物。
(8) 前記非プロトン性の極性溶媒が、約5%〜約80%の量で存在する、項目6または7に記載の組成物。
(9) 項目6に記載の組成物であって、該組成物は、以下:
a)約10%w/v〜約50%w/vのフロルフェニコール
b)約1%w/v〜約10%w/vのフルニキシンメグルミン;
c)約25%〜約60%の非プロトン性溶媒
を含む、
組成物。
(10) 第2の溶媒をさらに含む、項目6に記載の組成物であって、ここで、該第2の溶媒は、以下:水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、200〜400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジメチル−イソソルビド、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、グリコールエーテル、ベンジルアルコールおよびその組み合わせからなる群から選択される、組成物。
(11) 安定剤をさらに含む、項目6に記載の組成物であって、該安定剤は、クエン酸である、組成物。
(12) 以下:ウシ呼吸器性疾患、ブタの呼吸器性疾患、足腐敗症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎、子宮炎、および動物の腸炎からなる群から選択される疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置を必要とする動物に、治療有効量の項目1または6に記載の組成物を皮下投与する工程を包含する、方法。
(13) 動物の微生物感染を処置するための皮下組成物であって、該組成物は、以下:
a)約300mg/mlのフロルフェニコール;
b)約16.5mg/mlのフルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩;および
c)約5%〜約80%の非プロトン性溶媒
を含む組成物であって、
ここで該皮下組成物は、約2.2mg/kgのフルニキシン用量でウシに皮下投与した場合、フルニキシンについて、約1500ng/mLのCmax、約1時間のTmaxおよび約6〜約7の曲線下の面積を示す、
組成物。
(14) 前記非プロトン性の極性溶媒が、以下:ピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトンおよびグリセロールホルマールならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目13に記載の組成物。
(15) 前記非プロトン性の極性溶媒が、ピロリドン溶媒であり、そして該ピロリドン溶媒がN−メチル−2−ピロリドンまたは2−ピロリドンである、項目14に記載の組成物。
(16) 前記非プロトン性の極性溶媒が、約5%〜約80%の量で存在する、項目13に記載の組成物。
(17) 項目13に記載の組成物であって、該組成物は、以下:
a)約10%w/v〜約50%w/vのフロルフェニコール
b)約1%w/v〜約10%w/vのフルニキシンメグルミン;
c)約25%〜約60%の非プロトン性溶媒
を含む、組成物。
(18) 第2の溶媒をさらに含む、項目13に記載の組成物であって、ここで、該第2の溶媒は、以下:水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、200〜400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジメチル−イソソルビド、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、グリコールエーテル、ベンジルアルコールおよびその組み合わせからなる群から選択される、組成物。
(19) 安定剤をさらに含む、項目13に記載の組成物であって、該安定剤は、クエン酸である、組成物。
(20) 以下:ウシ呼吸器性疾患、ブタの呼吸器性疾患、足腐敗症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎、子宮炎、および動物の腸炎からなる群から選択される疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置を必要とする動物に、治療有効量の項目13に記載の組成物を皮下投与する工程を包含する、方法。
(21) 処置により、動物の直腸温が低下する、項目12または20に記載の方法。
(22) 前記直腸温の低下が、処置の初めの24時間の間に少なくとも3°F低下する、項目21に記載の方法。
(23) 前記直腸温の低下が、処置の初めの6時間の間に少なくとも3°F低下する、項目22に記載の方法。
(24) 処置が、動物の肺の圧密スコアの減少を生じ、ここで、該肺の圧密スコアの減少が、約14のレベルである、項目12または20に記載の方法。
(25) 動物の微生物感染を処置するための皮下組成物であって、該組成物は、以下:
a)約300mg/mlのフロルフェニコール;
b)約16.5mg/mlのフルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩;
c)約5%〜約80%の非プロトン性溶媒;および
d)クエン酸;
を含む組成物であって、
ここで該皮下組成物は、約2.2mg/kgのフルニキシン用量でウシに皮下投与した場合、フルニキシンについて、約1500ng/mLのCmax、約1時間のTmaxおよび約6〜約7の曲線下の面積を示す、
組成物。
(26) 前記非プロトン性の極性溶媒が、以下:ピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトンおよびグリセロールホルマールならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目25に記載の組成物。
(27) 前記非プロトン性の極性溶媒が、ピロリドン溶媒であり、そして該ピロリドン溶媒がN−メチル−2−ピロリドンまたは2−ピロリドンである、項目26に記載の組成物。
(28) 項目25に記載の組成物であって、該組成物は、以下:
a)約10%w/v〜約50%w/vのフロルフェニコール;
b)約1%w/v〜約10%w/vのフルニキシンメグルミン;
c)約25%〜約60%の非プロトン性溶媒
を含む、組成物。
(29) 第2の溶媒をさらに含む、項目25に記載の組成物であって、ここで、該第2の溶媒は、以下:水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、200〜400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジメチル−イソソルビド、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、グリコールエーテル、ベンジルアルコールおよびその組み合わせからなる群から選択される、組成物。
(30) 以下:ウシ呼吸器性疾患、ブタの呼吸器性疾患、足腐敗症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎、子宮炎、および動物の腸炎からなる群から選択される疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置を必要とする動物に、治療有効量の項目25に記載の組成物を皮下投与する工程を包含する、方法。
(発明の要旨)
本発明は、ウシの呼吸性疾患ならびにウシおよびブタの他の感染の処置のための、改善した組成物および方法を提供することによって、前述の必要性を満たす。
【0023】
本発明は、動物における微生物感染の処置のための処方物に関し、フルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩、および以下の式Iの化合物を含む;
【0024】
【化2】

ここで、Rは、以下からなる群から選択されるメンバーである:メチルまたはエチルあるいはそのハロゲン化誘導体、ジハロゲノジューテリオメチル、1−ハロゲノ−1−ジュウーテリオエチル、1,2−ジハロゲノ−1−ジューテリオエチル、アジドメチルおよびメチルスルホニルメチル;
XおよびX’の各々は、以下からなる群から独立して選択されるメンバーである:NO、SO、SOR、SR、SONH、SONH、SONHR、SONHR、COR、OR、R、CN、ハロゲン、水素、フェニル、ならびにハロゲン、NO、R、PO、CONHR、NHR、NR、CONR、OCORまたはORによって置換されたフェニル(ここで、RおよびRは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルブチル、t−ブチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から独立して選択されるメンバーである);
そしてZは、水素、または16個までの炭素原子を有する炭化水素カルボキシレートのアシル基、または12個までの炭素原子を有するアミノ炭化水素カルボキシレートのアシル基;および前述のアシル基の薬学的に受容可能な塩である。
【0025】
好ましい実施形態において、動物における微生物感染の処置のための組成物は、以下を含む:(a)フロルフェニコール、(b)フルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩のうちの1つ;および(c)約5%〜約80%までの非プロトン性の極性溶媒。
【0026】
本発明はまた、動物における微生物性感染を処置する方法に関し、そのような処置の必要にある動物に対して、フルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩、および式Iの化合物を含む、薬学的有効量の組成物を投与する工程を包含する。
【0027】
好ましい実施形態において、微生物性感染は、ウシ呼吸器性疾患、ブタ呼吸器性疾患、腐蹄症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎、子宮炎および腸炎からなる群から選択される。
【0028】
本発明はまた、微生物性感染に対して感受性の動物においてこのような感染を予防する方法に関し、このような感染に感受性の動物に対して、フルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩および式Iの化合物を含む、予防量の組成物を皮下投与する工程を、包含する。
【0029】
好ましい実施形態において、微生物性感染は、ウシ呼吸器性疾患である。
【0030】
(発明の詳細な説明)
フルニキシンが抗生物質を有する組み合わせ処方物において皮下投与される場合、そのバイオアベイラビリティーは有意に低減される。このことは、この様式で投与される場合、静脈内経路による同時投与と比較して、より低い臨床的有効性を生じることが、予想される。
【0031】
しかし、驚くべきことに、皮下投与されたフルニキシンメグルミンの低減したバイオアベイラビリティーにもかかわらず、フッ素化クロラムフェニコールまたはチアンフェニコールのアナログ/誘導体の抗生物質を含む特定の処方物において投与される場合、抗生物質の個別皮下注射と組み合わせて静脈内投与される、同量のフルニキシンメグルミンと、同じくらい臨床的に有効であることが、見出された。
【0032】
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、他に示されない場合、以下の意味を有するように理解されるべきである。
【0033】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基またはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、ここで、これら種々の基は、以前に記載されるとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0034】
「アルキル」は脂肪族炭化水素基を意味し、これは直鎖状または分枝状であり得、その鎖内に1〜約20個の炭素原子を含む。好ましいアルキル基は、その鎖内に1〜12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、その鎖内に1〜約6個の炭素原子を含む。分枝状は、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直鎖状のアルキル鎖に結合されることを意味する。「低級アルキル」は、その鎖内に1〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、これは直鎖状または分枝状であり得る。用語「置換アルキル」は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によってアルキル基が置換され得ることを、意味する。
【0035】
「アリール」は、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含む、単環式の芳香族環系または多環式の芳香族環系を意味する。アリール基は、同じであっても異なっていてもよくそして本明細書中で定義されるとおりである、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得る。
【0036】
「アルコキシ」はアルキル−O−基を意味し、ここでアルキル基は以前に定義されるとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0037】
「アジド」とは、−N基をいう。
【0038】
「ハロ」および「ハロゲノ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、そしてフルオロおよびクロロがより好ましい。
【0039】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素または臭
素が好ましく、そしてフッ素および塩素がより好ましい。
【0040】
「ハロアルキル」および「ハロゲノアルキル」は、アルキル上の1つ以上の水素原子が上記のハロ基で置き換えられた、上記のようなアルキル基を意味する。
【0041】
「環系置換基」は、芳香族環系または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、この置換基は、例えば、環系上で利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同じであっても異なっていてもよい。
【0042】
用語「必要に応じて置換される」は、特定された基、ラジカルまたは部分での必要に応じた置換を意味する。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は、特定された量で特定された成分を含有する生成物、ならびに特定された量で特定された成分の組み合わせから直接的または間接的に生じる任意の産物を含むように、意図される。
【0044】
「有効量」は、感染もしくは疾患の特定の症状を緩和するためか、または感染もしくは疾患に対して動物を防御するために必要とされる、用量である。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「ウシ」とは、牛属の動物(例えば、ウシ)をいう。用語「ウシ科の動物」とは、ウシ科における動物をいい、これは、有蹄の中空有角の反芻動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、水牛、雄牛など)を含む。本明細書中で使用される場合、用語「ブタ」とは、イノシシ科の動物をいい、これは、ブタ、イノシシ、イボイノシシを含む。
【0046】
フルニキシンメグルミンは、BRDの処置における使用のために、世界中で通常認められている。これは、炎症性状態の処置のための獣医学的実施の主軸(mainstay)となっている。獣医師がしばしば抗生物質を用いるNSAID治療法を施す場合、フルニキシン−抗生物質の組み合わせ注射可能産物の開発が望ましい。フルニキシンメグルミンは、例えば、ISP(Wayne,NJ)より市販されるか、または当該分野で公知の方法(例えば、米国特許第3,337,570号、同第3,478,040号および同第3,839,344号に記載される方法)に従って作製され得る。
【0047】
抗生物質のクロラムフェニコールおよびチアンフェニコールのフッ素含有アナログは、クロラムフェニコールおよびチアンフェニコールに感受性の生物体ならびにクロラムフェニコールおよびチアンフェニコールに耐性の生物体の両方に対して、抗生物質活性を有することが示されている。Schafer,T.W.ら,「Novel Fluorine−Containing Analogs of Chloramphenicol and Thiamphenicol:Antibacterial and Biological Properties」CURRENT CHEMOTHERAPY AND INFECTIOUS DISEASE PROCEEDINGS OF THE 11TH ICC AND THE 19TH ICAAC AMERICAN SOCIETY OF MICROBIOLOGY 1980,444−446を参照のこと。このような化合物の例およびそれらの製造方法は、米国特許第4,235,892号に記載され、そして特許請求される。医者仲間は、ヒトを処置するのに有用である抗生物質が家畜に投与される場合に、細菌耐性のヒトへの移動について、大いに関心を持つようになった。クロラムフェニコール群の抗生物質は、現在ではヒトを処置するのには稀に使用されるので、その誘導体は獣医学的使用のために特に適切である。3−フルオロ誘導体および3−デオキシ誘導体は、特に有益なものである。
【0048】
本発明は、家畜におけるウシ呼吸器性疾患のような、感染性疾患の処置のための新規組成物を提供する。これらの組成物は、特定のクロラムフェニコール誘導体と組み合わせてフルニキシンを含む処方物である。これらの処方物の最初の試験は、単回用量の投与後、ウシにおいてフルニキシンの比較的低い血清レベルを示した。続く臨床試験において、ネガティブコントロール群ならびに別々の処方物中であるが同時にフロルフェニコールおよびフルニキシンを受ける群と比較した場合、本発明の処方物は、予期せぬ高度の有効性を示した。本発明の組成物は、フルニキシンメグルミンおよび少なくとも1つの以下の式Iの抗生物質を含む:
【0049】
【化3】

ここで、Rは、以下からなる群から選択されるメンバーである:メチルまたはエチルあるいはそのハロゲン化誘導体、ジハロゲノジューテリオメチル、1−ハロゲノ−1−ジュウーテリオエチル、1,2−ジハロゲノ−1−ジューテリオエチル、アジドメチルおよびメチルスルホニルメチル;
XおよびX’の各々は、以下からなる群から独立して選択されるメンバーである:NO、SO、SOR、SR、SONH、SONH、SONHR、SONHR、COR、OR、R、CN、ハロゲン、水素、フェニル、ならびにハロゲン、NO、R、OR、PO、CONHR、NHR、NR、CONRまたはOCORによって置換されたフェニル(ここで、RおよびRの各々は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルブチル、t−ブチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から独立して選択されるメンバーである);
そしてZは、水素、または16個までの炭素原子を有する炭化水素カルボン酸(好ましくは、炭化水素ジカルボン酸)のアシル基、または12個までの炭素原子を有するアミノ炭化水素カルボン酸のアシル基;および前述のアシル基の薬学的に受容可能な塩である。
【0050】
式Iにおける部分Rに対して企図されるハロゲン化基の中に、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基およびトリフルオロメチル基、モノクロロメチル基、ジクロロメチル基およびトリクロロメチル基、モノブロモメチル基およびジブロモメチル基ならびにヨードメチル基、ならびにモノフルオロエチル基およびジフルオロエチル基、モノクロロエチル基およびジクロロエチル基、モノブロモエチル基およびジブロモエチル基ならびにヨードエチル基が含まれ、ここで、これらハロゲン置換基は、好ましくは、カルボニル官能基に対してα位の炭素上にある。また、混成のジハロゲンアルキル基(例えば、フルオロクロロメチル基、フルオロブロモメチル基およびクロロブロモメチル基)(ここで、両方のハロゲンは、好ましくは、カルボニル基に対してα位の炭素に結合される)ならびにトリハロゲンメチル基(例えば、ジクロロフルオロメチル基およびジフルオロクロロメチル基)が、含まれる。
【0051】
また、式Iの化合物の中に、エステル誘導体(例えば、式Iの1−炭化水素カルボン酸
、ここで、Zは、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、脂肪族、環式、環式脂肪族、芳香族、アリール脂肪族またはアルキル芳香族であり得、そしてヒドロキシ、1〜5個の炭素原子を含むアルコキシ、カルボキシ、NO、NHR、NR、SR、SORまたはハロゲン(ここで、RおよびRは上記の通りである)によって置換され得る、16個までの炭素原子を有する炭化水素カルボン酸のアシル基である)が、含まれる。
【0052】
式Iの他の抗細菌活性エステル誘導体は、Zが、飽和であっても不飽和であっても直鎖であっても分枝鎖であっても環式であってもよく、芳香族基を含んでいてもよく、そしてヒドロキシル基で置換され得る、12個までの炭素原子を含むアミノ酸のアシル基であるエステル誘導体である。
【0053】
好ましいエステル誘導体としては、水溶性の薬学的に受容可能なカチオン塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩ならびにアミン(例えば、トリメチルアミン)との塩)を提供する、二塩基性炭化水素カルボキシレートから導かれるエステル誘導体(例えば、1−コハク酸エステルおよび1−パルミチン酸エステル)が、挙げられる。また、無機酸または有機酸との水溶性の薬学的に受容可能な酸付加塩(例えば、塩酸付加塩または硫酸付加塩またはコハク酸付加塩)を提供する、アミノ酸のエステル誘導体が、好ましい。
【0054】
従って、本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」としては、以下が挙げられる:本発明の二塩基性炭化水素カルボン酸エステルにおける酸性水素がカチオンで置き換えられる塩(例えば、D−(スレオ)−1−p−ニトロフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロピルヘミコハク酸ナトリウム)、ならびに酸性水素がアミンと酸付加塩を形成する塩(例えば、D−(スレオ)−1−p−ニトロフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロピルヘミコハク酸N−トリメチルアミン塩)。また、式Iの化合物のアミノ酸エステルにおいて、無機酸または有機酸とアミンとの間に形成される酸付加塩(例えば、D−(スレオ)−1−p−ニトロフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロピルグリシン酸塩酸)が、含まれる。
【0055】
式Iに含まれる二塩基性炭化水素カルボン酸エステルの薬学的に受容可能なカチオン塩の中には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム)の塩、ならびにアミン(例えば、トリアルキルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−(低級)アルキルピペラジン(例えば、N−エチルピペラジン)およびN−メチルグルカミン)が、存在する。
【0056】
好ましくは、Rはメチルのハロゲン化誘導体またはエチルのハロゲン化誘導体であり、Zは水素であり、Xはフェニル、CORまたはSOであり、Rはメチルであり、X’は水素である。最も好ましくは、RはCHClまたはCHFである。
【0057】
好ましい抗菌性化合物のひとつは、フロルフェニコール(florfenicol)(D−(トレオ)−1−p−メチルスルホニルフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノール)である。別の好ましい抗菌性化合物は、D−(トレオ)−1−p−メチルスルホニルフェニル−2−ジフルオロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノールである。これらの好ましい抗菌性化合物の製造プロセス、およびこのようなプロセスで有用な中間体は、米国特許第4,311,857号、同第4,582,918号、同第4,973,750号、同第4,876,352号、同第5,227,494号、同第4,743,700号、同第5,567,844号、同第5,105,009号、同第5,382,673号、同第5,352,832号、および同第5,663,361
号に記載されている。
【0058】
組み合わせ生成物における処方の試みは、BRDによるウシへの単回投与を可能にするフロルフェニコールの望ましい薬物速度論的プロフィルの維持に関する。300mg/mLのフロルフェニコールおよび16.5mg/mLのフルニキシン(flunixin)を含む処方物を開発し、単回用量として40mg/kgのフロルフェニコールと2.2mg/kgのフルニキシンメグルミンを投与した。得られたデータから、フロルフェニコールのバイオアベイラビリティーは変化しないことが示された(図1を参照のこと)。さらに、フルニキシン成分は、FINADYNEの臨床的様式と同等の様式で作用した。処方物を2倍量のフルニキシンおよびNUFLOR単独での同様の処方物と比較する臨床的研究において、フルニキシン治療の利点が明確であった。しかし、より多くのフルニキシン用量による増加する利点は不明確であった(図3を参照のこと)。
【0059】
臨床的研究では、臨床的応答、解熱性応答、および肺硬化の減少における増加する改善の見地から、ウシ呼吸器性疾患の処置におけるフルニキシンの十分に確立した利点を再確認した。単独での抗生物質の使用に対する優位性は明確であり、特に、診断および処置後の危険な最初の24時間における優位性は明確である(図4、5および6を参照のこと)。
【0060】
優れた利便性および使用の容易性に加えて、本発明に従って、複合生成物の1日1回の皮下投与が、動物の処置に必要な注射回数を減少させ、疾患症状のより急速な軽減を提供することにより、人道的な動物看護を促進すると考えられている。注射回数の減少により、人件費もまた、有意に減少され得る。
【0061】
本発明の処方物において、フルニキシンの濃度は、代表的には、約1〜約10重量%であり、好ましいレベルでは約1.5〜約3.5重量%であり、さらにより好ましいレベルでは、少なくとも約1.65重量%である。フロルフェニコールの濃度、または他の抗生物質の濃度は、代表的には、約10%〜約50%w/vであり、好ましいレベルでは約20%〜約40%w/vであり、さらにより好ましくは少なくとも約30%w/vである。
【0062】
本発明の処方物の残りの部分は、少なくとも1種の溶媒を含む、薬学的に受容可能なキャリアである。薬学的に受容可能なキャリアは、処方物の約40%〜約80%を構成する。
【0063】
フロルフェニコールは、一般的に、非プロトン性極性溶媒(例えば、ピロリドン溶媒、またはN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトンあるいはグリセロールホルマール)に可溶である。好ましいピロリドン溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、および2−ピロリドンである。従って、フロルフェニコールまたは類似の抗生物質を含む本発明の処方物において、このような非プロトン性極性溶媒の1種類(またはこれらの溶媒の組み合わせ)を使用することが好ましい。好ましくは、このような溶媒は、処方物の約5重量%〜約80重量%で存在する。より好ましくは、このような溶媒は、処方物の約10%〜約35%で存在する。
【0064】
他の薬学的に受容可能な溶媒が、本発明の処方物に存在し得る。適切な溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセリン、ベンジルアルコール、ジメチルイソソルビド、トリアセチン、グリコールエーテル、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。特に好ましい溶媒としては、約200〜約400の間の平均分子量を有するPEG、トリアセチン、ジメチルイソソルビド、エタノール、および水、ならびにこれらを組み合わせが挙げられる。これらの溶媒は、処方物の0%〜約75%を構成し得る。好ましくは、これらの溶媒は、約1
5%〜約60%を構成する。より好ましくは、これらの溶媒は、処方物の約40%〜約55%を構成する。
【0065】
1種以上のこのような付加溶媒を添加することで、生成物が注射針を通過できる状態となるように、処方物の粘性を減少させることが望ましくあり得る。本発明の処方物の粘性を調節するために特に有用な溶媒の例としては、水、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、およびトリアセチン、ならびにそれらを組み合わせが挙げられる。
【0066】
所望である場合、他の不活性成分が本組成物に加えられ得る。そのような成分としては、防腐剤、キレート剤、抗酸化剤、および安定剤が挙げられる。例示的な防腐剤としては、メチルp−ヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)、およびプロピルp−ヒドロキシベンゾエート(プロピルパラベン)が挙げられる。例示的なキレート剤としては、エデト酸ナトリウムが挙げられる。例示的な抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびモノチオグリセロールナトリウムが挙げられる。
【0067】
本発明の処方物における任意の活性成分の分解を防ぐために、少なくとも1種の安定剤の添加が有利であることが見出されている。クエン酸が好ましい安定剤である。
【0068】
本発明の組成物を調製するために、ビヒクルまたはビヒクルの一部を、配合容器に添加し、その後、残りの賦形剤と活性剤を添加する。混合物は、すべての個体が溶解するまで混ぜる。必要な場合には、組成物を最終容積まで合わせるために付加溶媒を添加し得る。添加物(例えば、上記で列挙したような添加物)もまた、容器中に含まれ得、処方物中に混合し得る(添加の順序は重要ではない)。
【0069】
本発明に従う組成物は、一般的にウシ(cattle)に対して、1日当たり体重1kg当たり約1mg〜約100mgの抗菌剤、および1日当たり体重1kg当たり約0.5mg〜5mgのフルニキシンメグルミンが投与される。好ましくは、本発明の組成物はウシ(bovine)に対して、体重1kg当たり約20mg〜約50mgの抗菌剤が投与される。より好ましくは、その用量は、約40mg/kgの抗菌剤である。好ましくは、本発明の組成物は、体重1kg当たり約1mg〜3mgのフルニキシンメグルミンが投与される。
【0070】
本発明に従う組成物は、一般的にブタに対して、1日当たり体重1kg当たり15mg〜約100mgの抗菌剤、および1日当たり体重1kg当たり約0.5mg〜約5mgのフルニキシンメグルミンを1回の用量として投与される。好ましくは、本発明の組成物は、ブタに対して、体重1kg当たり約20mg〜約50mgの抗菌剤、および体重1kg当たり約1mg〜約2mgのフルニキシンメグルミンが投与される。
【0071】
組成物は、1日1回の投与され得るか、または複数用量に分割され得る。多くの場合、わずか1回の投与で感染の処置には十分である。いくつかの状況では、動物を処置するために1回目の投与の後、48時間後に2回目の投与が必要である。正確な用量は、感染の段階および感染の重症度、組成物に対する被感染生物体の感受性、および処置されるべき動物種の特徴に依存しており、これらは当業者に理解される。
【0072】
本発明に従う組成物は、ウシ(cattle)および他のウシ科(bovids)、ブタ、ならびに他の大きな哺乳動物に対して特に有用である。ウシ呼吸器性疾患の処置に加えて、本発明の組成物はまた、炎症に関連する感染症(例えば、ブタ呼吸器性疾患、足腐敗症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎(感染性角結膜炎)、急性肺炎、子宮炎、および腸炎)の処置にも適している。そのような疾患の処置に対する投与計画は、上記に記載した通
りである。
【0073】
乳房炎は、複雑な疾患である。乳房炎は授乳中の雌に起こり、乳牛およびヤギにおいては特に経済的重要性を有する疾患である。いくつかの病原体因子が関与し得、その病原体因子としては、Staphylococcus aureus、E.coli、およびStreptococcusが挙げられる。乳房炎の急性型は突然発症し、乳房が肥大し、触れると熱く圧痛を有する;通常は、発症した動物は発熱を有する。早期治療を行わない場合、乳房は持続的に損傷し得、乳の生産が減少するかまたは失われる。
【0074】
現在のところ、急性乳房炎は、抗生物質、抗炎症剤、およびオキシトシンで処置される。本発明の処方物の使用は、既知の乳房炎の処置手法を向上させる。なぜなら、本発明の処方物の使用は、標準的に用いる治療法の最も有効な組み合わせの1つを合わせて単独の治療法とし、それにより都合よく処方物が投与されるからである。
【0075】
伝染性角結膜炎は、ウシ、ヒツジおよび他の動物における急性感染性疾患であり、目の組織の炎症によって特徴付けられ、鼻の疾患、流涙、および大量の眼漏に伴って起こる。発症した動物は、極度の不快感を示し得、乳の生産を失う結果となる;極端な事例では、永久的な失明が生じる。ウシにおけるMoraxella bovisによって起こるこの疾患は、特に放牧されているウシおよび飼育場のウシの間で流行しており、ウシ産業にとって大きな経済的重要性を有している。
【0076】
現在のところ、伝染性角結膜炎は、種々の抗生物質の投与により処置される。本発明の処方物の使用は、既知の伝染性角結膜炎の処置手法を向上させる。なぜなら、本発明の処方物の使用は、NSAIDと共に良好な抗生物質治療を可能にし、眼炎症を減少させるからである。
【0077】
足腐敗症(指趾間部蜂巣炎)は、指趾間部腔の急性感染症であり、世界中で肉用ウシおよび乳牛の両方に起こる感染症である。Fusobacterium necrophorumが、足腐敗症の主要な原因であるが、他の生物体(例えば、Bacteroides melaninogenicusを含む)も関与し得る。主な症状としては、疼痛、重度の歩行困難、発熱、摂食障害、および乳の生産の減少が挙げられる。
【0078】
現在のところ、足腐敗症は抗生物質治療により処置される;推奨される治療は、5日間までの処置を含み得る。足腐敗症の処置に対する本発明の処方物の使用は、既知の足腐敗症処置を向上させる。なぜなら、本発明の処方物の使用は、NSAIDと共に(より少ない投与で)フロルフェニコールの証明された効力をもたらし、足腐敗症が原因の炎症を減少させ、動物の気分をよくさせるからである。
【0079】
本発明の組成物はまた、これらの疾患が発症する危険性の高い動物におけるこれらの疾患の予防に対しても有用である。例えば、本発明の特許請求の範囲の組成物は、ウシ呼吸器性疾患の処置として推奨される量と同じ投薬量を、ウシ呼吸器性疾患が発症する危険性の高いウシに投与し得る。
【0080】
本発明は、以下の実施例においてより詳しく記載される。その実施例における多数の修正や変更は、当業者に明らかであるので、本実施例は、例示のみの実施例として意図される。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
(フロルフェニコール/フルニキシンの組み合わせ処方物)
【0082】
【化4】

N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール、およびPEG300の必要量の約90%を、配合容器に入れ、よく混合した。フロルフェニコールおよびフルニキシンメグルミンを加え、すべての固体が溶解するまで混合した。体積は残りのPEG300で調節した。
【0083】
(実施例2)
(組み合わせ生成物におけるフロルフェニコールの薬物速度論)
実施例1の処方物1A(SCH 529752)を、12頭のウシに関する予備的な薬物速度論研究において評価した。この12頭のうち、6頭はフロルフェニコール(NUFLOR)を皮下に受け、また6頭は処方物1Aを皮下に受けた。1回の用量として、40mg/kgのフロルフェニコールおよび2.2mg/kgのフルニキシンを使用した。その結果を図1に示す。本予備研究で、本発明の処方物であるフロルフェニコールの薬物速度論が、すでに市販の生成物であるNUFLORによって得られる薬物速度論と極めて類似しているという、良好な証拠が得られた。
【0084】
(実施例3)
(組み合わせ生成物におけるフルニキシンの薬物速度論)
第2の研究で、処方物1Aにおける第2の活性成分であるフルニキシンの薬物速度論プロファイルを試験した。フルニキシンの薬物速度論プロファイルは、適格な単体のフルニキシンメグルミン生成物であるFINADYNE、および組み合わせ生成物の処方物1Aとして、以下の投与をウシに対して評価した。本研究は、6頭のウシ(オス3頭、メス3頭)を使用して4段階で実施した。第1段階で、すべての動物はFINADYNEを静脈内(IV)に受けた。洗い流し期間の後、続いて3頭のウシにはFINADYNEを筋肉内(IM)に投与し、そして3頭のウシにはFINADYNEを皮下(SQ)に投与した。次の段階で、動物は交差され、FINADYNE IMまたはFINADYNE SQを受けた。最後の段階で、6頭すべてのウシは、フルニキシン/フロルフェニコール組み合わせ生成物(処方物1A)を受けた。全ての動物は、処方物または投与経路に関係なく、2.2mg/kgの用量でフルニキシンを受けた。
【0085】
フルニキシン濃度を決定するための血液サンプルを、投与から0時間、0.17時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間後に採取した。結果を以下の表1および図2で要約する。
【0086】
【表1】

研究の最後の段階で、6頭のウシには、処方物1Aを10mL/75kgの用量で皮下に(SQ)与えた(40mg/kgのフロルフェニコール、および2.2mg/kgのフルニキシンに相当する)。処方物1Aとして投与した場合のフルニキシンの速度は、FYNADYNEとして投与した場合のフルニキシンの速度と異なっている。従って、処方物1Aの臨床的な用量応答を、その後の研究で確認した(以下に記載される)。
【0087】
(実施例4)
(組み合わせ生成物におけるフルニキシンに対するウシの臨床応答)
実施例3の研究で、組み合わせ処方物(処方物1A)由来のフルニキシンのバイオアベイラビリティーが、適格な単体生成物であるFINADYNEよりも低いことが示されたので、組み合わせ処方物(処方物1Aおよび処方物1B)中で2つ異なる濃度のフルニキシンを投与した場合における、フルニキシンに対するウシの臨床応答を比較するために、臨床研究を行った。
【0088】
ウシ呼吸器性疾患の標準的な症状を示す96頭のウシを、20mL/体重(BW)150kgを単回用量とする以下の3つの処置の1つに、処置するために無作為に割り当てた:
【0089】
【表2】

上記の処方物1Aにおけるフルニキシンの2倍の濃度
3つすべての処置では、40mg/kgBWのフロルフェニコール(20mL/150kgBW)を1回、皮下投与した。処方物1Aでは、フルニキシンを2.2mg/kgBWの用量で同時送達した。処方物1Bでは、フルニキシンを4.4mg/kgBWの用量で同時送達した。研究の間中、直腸温度を何度も評価した。結果を図3に示す。すべての時点で、解熱応答は、組み合わせ処方物を受ける両方の処置群で類似であり、NUFLORよりも優れていた。組み合わせ処方物中でフルニキシンの濃度を増加させることには、
増加した利点はなかったと結論付けた。
【0090】
(実施例5)
(フルニキシンに関する用量確認研究)
実施例4の研究で示したフルニキシンの最適用量を、用量確認研究で使用した。本研究に関して、肉用ウシの飼育業者の子ウシで急性BRDの臨床的徴候を示す子ウシ、175頭を選択した。登録は、以下の臨床的徴候を示すウシに限定した。
・臨床的疾患指数値が2(中程度の疾患)または3(重度の疾患)
・異常(多呼吸、呼吸困難、咳嗽、粘液膿性鼻汁)として採点される少なくとも2つの呼吸器特徴
・104.5°F以上の発熱
上記で登録したウシを、3つの処置群の1つに無作為に割り当てた。
【0091】
【表3】

本研究の目的は、本発明の組み合わせ処方物に対する処置応答を、適格なポジティブコントロール(FINADYNEおよびNUFLOR、それぞれ適格な投与経路により与えられる)、およびネガティブコントロール(NUFLOR単独)の処置応答と相対的に比較することであった。臨床的症状、直腸温度、および全肺硬化の採点により、効力を評価した。
【0092】
登録および0日目の処置後、子ウシの直腸温度を、処置後約2時間、約6時間および約10時間の時点で測定した。次いで、1日目、2日目、3日目、および4日目に、子ウシを1日1回臨床的に採点した;直腸温度は、動物を朝観察した後に1日1回測定した。
【0093】
処置の成功を研究4日目に評価した。動物が、直腸温度として103.5°F以下、臨床的疾患指数値が1(わずかな疾患)未満、および標準的な呼吸器特性(多呼吸、呼吸困難、咳嗽、および粘液膿性鼻汁に対する異常値が2つ未満)を有した場合、処置の成功として分類した。
【0094】
最後に、4日目に、検死および肺障害/肺硬化の評価のために、子ウシを人道的に安楽死させた。肺硬化の割合は、目視および8つの肺葉のそれぞれについて評価した触診値(0%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%)に基づいて計算した。次いで、標準式(Shawら、DISEASES OF SWINE、第8版 914(ISU Press,1999)を参照のこと)を使用して、全体の肺硬化を計算した。
【0095】
本研究の結果を、図4、図5、および図6に要約する。
【0096】
処置のためのフルニキシンの添加は、フロルフェニコール単独での投与と比較して、直
腸温度をより速く低下させる結果となった(処置後2時間、6時間、および10時間の時点で、p<0.001)。フルニキシンを別々のシリンジで投与し、静脈内に与えた場合でも、処方物1Aの皮下注射の中でフルニキシンを同時投与した場合でも、応答は同様であった(図4を参照のこと)。
【0097】
処置のためのフルニキシンの添加は、数値的に肺硬化をより小さくする結果となった(p=0.08[処方物1A 対 NUFLOR]、p=0.1[NUFLOR+FINADYNE 対 NUFLOR])。フルニキシンを別々のシリンジで投与し、静脈内に与えた場合(FINADYNE)でも、処方物1Aの皮下注射の中でフルニキシンを同時投与した場合でも、応答は同様であった(図5を参照のこと)。
【0098】
図6に示したように、フルニキシンの添加で、数値的に成功の割合を改善した(p=0.1[処方物1A 対 NUFLOR]、p=0.3[NUFLOR+FINADYNE
対 NUFLOR])。
【0099】
(実施例6)
(フロルフェニコール/フルニキシンの組み合わせ処方物)
【0100】
【化5】

NMPまたはジメチルアセトアミド、クエン酸、プロピレングリコール、および各処方物に対してPEG300またはグリセロールホルマールの必要量の約90%を、配合容器に入れ、よく混合した。フロルフェニコールおよびフルニキシンメグルミンを加え、すべての固体が溶解するまで混合した。体積は残りのPEG300またはグリセロールホルマールで調節した。
【0101】
(実施例7)
(フロルフェニコール/フルニキシンの組み合わせ処方物)
【0102】
【化6】

NMPおよびポリエチレングリコール200の一部を、配合容器に入れた。フロルフェニコール、メチルp−ヒドロキシベンゾエートおよびプロピルp−ヒドロキシベンゾエートを容器に加え、溶解するまで混合した。水を加えた後にフルニキシンメグルミンを加え、固体が溶解するまで混合した。必要な場合には、適量のポリエチレングリコール200で最終体積とした。
【0103】
本発明の現時点での特定の好ましい実施形態を本明細書中に記載しているが、本発明が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載される実施形態のバリエーションおよび改変がなされ得ることに関することは、当業者にとって明白である。従って、本発明は添付の特許請求の範囲および法の適用可能な規則によって要求される範囲にのみ限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、NUFLOR(フロルフェニコール)、またはフロルフェニコールおよびフルニキシンメグラミンの両方を含む本発明の組成物の、1回の皮下注射後の、フロルフェニコールの平均血漿濃度(+/−SD) 対 時間を示すグラフである。
【図2】図2は、BANAMINE/FINADYNEフルニキシンメグルミン、または本発明のフロルフェニコール−フルニキシンメグルミン組み合わせ組成物の、非経口投与後のフルニキシンの平均血漿濃度 対 時間を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明のフロルフェニコール−フルニキシンメグルミン組み合わせ組成物の中のフルニキシンの効果を示すグラフである。
【図4】図4は、BRDを患うウシにおける解熱性応答に対する、本発明のフロルフェニコール−フルニキシンメグルミン組み合わせ組成物を用いる処置の効果を示すグラフである。
【図5】図5は、肺硬化スコアに対する、本発明のフロルフェニコール−フルニキシンメグルミン組み合わせ組成物を用いる処置の効果を示すグラフである。
【図6】図6は、臨床的な成功率に対する、本発明のフロルフェニコール−フルニキシンメグルミン組み合わせ組成物を用いる処置の効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の微生物感染の処置のための組成物であって、該組成物は、フルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩ならびに以下の式I:
【化1】

の化合物のうちの1つを含み、
ここで、Rは、以下:メチルまたはエチルあるいはそのハロゲン化誘導体、ジハロゲノジューテリオメチル、1−ハロゲノ−1−ジュウーテリオエチル、1,2−ジハロゲノ−1−ジューテリオエチル、アジドメチルおよびメチルスルホニルメチルからなる群から選択されるメンバーであり;
XおよびX’の各々は、以下:NO、SO、SOR、SR、SONH、SONH、SONHR、SONHR、COR、OR、R、CN、ハロゲン、水素、フェニルならびにハロゲン、NO、R、PO、CONHR、NHR、NR、CONR、OCORまたはORによって置換されたフェニルであり、ここで、RおよびRは、以下:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルブチル、t−ブチル、イソブチルおよびフェニルからなる群から独立して選択されるメンバーであり;
そしてZは、水素または16個までの炭素原子を有するヒドロカルボンカルボン酸のアシル基あるいは12個までの炭素原子を有するアミノヒドロカルボンカルボン酸のアシル基;ならびに該アシル基の薬学的に受容可能な塩である、
組成物。
【請求項2】
Rがメチルまたはエチルのハロゲン化誘導体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
RがCHClまたはCHFである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
Zが水素であり、そしてXがSOまたはフェニルであり、そしてX’が水素である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
がメチルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
非プロトン性の極性溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物であって、ここで、該非プロトン性の極性溶媒は、以下:ピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトンおよびグリセロールホルマールならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項7】
前記非プロトン性の極性溶媒が、ピロリドン溶媒であり、そして該ピロリドン溶媒がN−メチル−2−ピロリドンまたは2−ピロリドンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記非プロトン性の極性溶媒が、約5%〜約80%の量で存在する、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項6に記載の組成物であって、該組成物は、以下:
a)約10%w/v〜約50%w/vのフロルフェニコール
b)約1%w/v〜約10%w/vのフルニキシンメグルミン;
c)約25%〜約60%の非プロトン性溶媒
を含む、
組成物。
【請求項10】
第2の溶媒をさらに含む、請求項6に記載の組成物であって、ここで、該第2の溶媒は、以下:水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、200〜400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジメチル−イソソルビド、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、グリコールエーテル、ベンジルアルコールおよびその組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項11】
安定剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物であって、該安定剤は、クエン酸である、組成物。
【請求項12】
以下:ウシ呼吸器性疾患、ブタの呼吸器性疾患、足腐敗症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎、子宮炎、および動物の腸炎からなる群から選択される疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置を必要とする動物に、治療有効量の請求項1または6に記載の組成物を皮下投与する工程を包含する、方法。
【請求項13】
動物の微生物感染を処置するための皮下組成物であって、該組成物は、以下:
a)約300mg/mlのフロルフェニコール;
b)約16.5mg/mlのフルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩;および
c)約5%〜約80%の非プロトン性溶媒
を含む組成物であって、
ここで該皮下組成物は、約2.2mg/kgのフルニキシン用量でウシに皮下投与した場合、フルニキシンについて、約1500ng/mLのCmax、約1時間のTmaxおよび約6〜約7の曲線下の面積を示す、
組成物。
【請求項14】
前記非プロトン性の極性溶媒が、以下:ピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトンおよびグリセロールホルマールならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記非プロトン性の極性溶媒が、ピロリドン溶媒であり、そして該ピロリドン溶媒がN−メチル−2−ピロリドンまたは2−ピロリドンである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記非プロトン性の極性溶媒が、約5%〜約80%の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
請求項13に記載の組成物であって、該組成物は、以下:
a)約10%w/v〜約50%w/vのフロルフェニコール
b)約1%w/v〜約10%w/vのフルニキシンメグルミン;
c)約25%〜約60%の非プロトン性溶媒
を含む、
組成物。
【請求項18】
第2の溶媒をさらに含む、請求項13に記載の組成物であって、ここで、該第2の溶媒は、以下:水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、200〜400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジメチル−イソソルビド、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、グリコールエーテル、ベンジルアルコールおよびその組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項19】
安定剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物であって、該安定剤は、クエン酸である、組成物。
【請求項20】
以下:ウシ呼吸器性疾患、ブタの呼吸器性疾患、足腐敗症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎、子宮炎、および動物の腸炎からなる群から選択される疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置を必要とする動物に、治療有効量の請求項13に記載の組成物を皮下投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
処置により、動物の直腸温が低下する、請求項12または20に記載の方法。
【請求項22】
前記直腸温の低下が、処置の初めの24時間の間に少なくとも3°F低下する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記直腸温の低下が、処置の初めの6時間の間に少なくとも3°F低下する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
処置が、動物の肺の圧密スコアの減少を生じ、ここで、該肺の圧密スコアの減少が、約14のレベルである、請求項12または20に記載の方法。
【請求項25】
動物の微生物感染を処置するための皮下組成物であって、該組成物は、以下:
a)約300mg/mlのフロルフェニコール;
b)約16.5mg/mlのフルニキシンまたはその薬学的に受容可能な塩;
c)約5%〜約80%の非プロトン性溶媒;および
d)クエン酸;
を含む組成物であって、
ここで該皮下組成物は、約2.2mg/kgのフルニキシン用量でウシに皮下投与した場合、フルニキシンについて、約1500ng/mLのCmax、約1時間のTmaxおよび約6〜約7の曲線下の面積を示す、
組成物。
【請求項26】
前記非プロトン性の極性溶媒が、以下:ピロリドン溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、アセトンおよびグリセロールホルマールならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記非プロトン性の極性溶媒が、ピロリドン溶媒であり、そして該ピロリドン溶媒がN−メチル−2−ピロリドンまたは2−ピロリドンである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
請求項25に記載の組成物であって、該組成物は、以下:
a)約10%w/v〜約50%w/vのフロルフェニコール;
b)約1%w/v〜約10%w/vのフルニキシンメグルミン;
c)約25%〜約60%の非プロトン性溶媒
を含む、
組成物。
【請求項29】
第2の溶媒をさらに含む、請求項25に記載の組成物であって、ここで、該第2の溶媒は、以下:水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、200〜400の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジメチル−イソソルビド、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、グリコールエーテル、ベンジルアルコールおよびその組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項30】
以下:ウシ呼吸器性疾患、ブタの呼吸器性疾患、足腐敗症、急性乳房炎、伝染性角結膜炎、子宮炎、および動物の腸炎からなる群から選択される疾患を処置する方法であって、該方法は、このような処置を必要とする動物に、治療有効量の請求項25に記載の組成物を皮下投与する工程を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−213731(P2006−213731A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129711(P2006−129711)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【分割の表示】特願2004−505053(P2004−505053)の分割
【原出願日】平成15年5月19日(2003.5.19)
【出願人】(503442097)シェーリング−プラウ・リミテッド (47)
【Fターム(参考)】