説明

エネルギー粒子ビームを使用した基板の表面処理方法及び装置

エネルギー粒子ビーム(42)で基板(44)を処理するための方法及び装置である。基板(44)上の特徴(66)は、エネルギー粒子ビーム(42)に対して配向され、基板(44)はエネルギー粒子ビーム(42)を通して走査される。ビーム(42)の長寸法(49)に対して特徴(66)を再配向するために、基板(44)は、エネルギー粒子ビーム(42)への露光から遮蔽される間に、対称な方位軸(45)の周りで周期的に割り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年9月18日に出願した仮出願第60/973,312号の優先権を主張する。本願は、2003年8月11日に出願した仮出願第60/494,281号の優先権を主張して、2004年8月11日に出願した一部継続出願第10/915,745号である。これらの文献の記載は参照として全体がここに組み込まれる。
【0002】
本発明は一般的に材料処理に関し、特に、エネルギー粒子ビームで基板の表面を処理するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
スパッタ堆積及びイオンビーム堆積(IBD)は、薄膜材料の堆積のためのよく知られた方法である。これらの堆積工程では、基板上に、基板にわたる堆積材料の分布及び特性に影響を与える特定のトポグラフィー特徴を有する基板上への堆積が必要とされる。例えば、薄膜がフォトレジスト特徴のパターン上堆積されるリフトオフ堆積処理は、多くの重要な薄膜デバイス製造工程に使用されている。
【0004】
IBDは、低工程圧力及び方向性堆積を含む特異な工程の利点のために、リフトオフ堆積に特に適している。結果として、リフトオフ段階は、極めて鮮明であり、0.5ミクロン未満の限界寸法まで反復可能である。主にこれらの利点のために、IBDは、安定化材料の堆積に続いてリフトオフ段階が必要とされる薄膜磁気ヘッドの安定化層を堆積するための主要な方法となった。優れたリフトオフ特性に加えて、IBD膜は極めて優れた磁気特性を有する。IBD堆積膜の特性を最適化するために、基板は、異なる角度に傾斜され、傾斜によってもたらされる非均一性を平均化するために回転され得る。
【0005】
図1を参照すると、IBDシステムは一般的に、イオンの高エネルギービームを堆積される材料のターゲット14に向ける蒸着銃10を備える。スパッタされるターゲット材料のビーム16を発生させるために、イオンビーム12は、ターゲット14上の有限の限定された源領域から材料をスパッタする。基板18は、固定具20上に保持され、ビーム16が基板18に衝突するように配置される。ターゲット14は、ほぼ基板18のサイズであり、ターゲット14から数基板直径に相当する距離離れて配置される。固定具20は、基板18表面の法線が、堆積束16の方向に対して角度θ傾斜し、表面法線の周りに基板18を連続的に回転するように構成される。
【0006】
ビーム16の発散角は、ターゲット14と基板18との間の位置関係に依存する。工程チャンバにおいて隣接する成分のイオンビームスパッタリングを防止するために、イオンビーム12がターゲット14上に集束されるため、発散角への寄与が生じる。発散角への別の寄与は、堆積率低下のために制限されるターゲットと基板との距離に由来する。
【0007】
IBDシステムにおけるビーム発散は、フォトレジストパターンに特徴的な特徴等、基板表面から突出する特徴による基板表面の非対称遮蔽を引き起こす。このため、堆積材料が、特徴に対して非対称な堆積形状を有するようになり、リフトオフが可能な領域を減少させ、且つ磁気特性均一性を低下させる。
【0008】
基板は、表面法線が、典型的にターゲットの中心である、基板とスパッタターゲット上の堆積束源領域との間の直線と一致するように束方向に対して配向され、その中心線の周りで回転し得る。一方で、基板は、外側の特徴または特徴の半径方向最外側によって常に遮蔽される。特徴と基板中心線との間の半径方向距離の増加及び堆積束の発散の増加につれて、外側上の遮蔽程度が増加する。結果として得られる堆積形状は、著しく非対称である。
【0009】
堆積の間にターゲットと基板との間の直線に対して表面法線を傾斜すると、特徴の外側上の基板遮蔽を減少させることによって、堆積形状の対称性が向上する。しかしながら、以下に述べるように、基板は回転するため、特徴の外側及び内側上での基板遮蔽の性質は、特徴の方位軸に依存する。
【0010】
図2A及び2Bは、基板中心と周縁部との間の位置で、基板21から突出する特徴26の内側及び外側による基板21上の遮蔽外観を図示する。図2Aは、基板に対して第1方位角に向けられ、IBDシステムのターゲット28に対して傾斜した特徴26を示す。特徴26の外側は、距離24にわたって基板21を遮蔽する。特徴26の内側は、基板21を遮蔽しない。図2Bは、基板21に対して、第1方位角と正反対の角度位置に特徴26を配置する第2方位角に向けられた特徴26を示す。特徴26の内側は、距離22にわたって基板21を遮蔽する。該距離22は、距離24より小さい。特徴26の外側は、第2方位角では基板21を遮蔽しない。
【0011】
基板の傾斜にかかわらず、特徴26の外側での距離24にわたる基板21の遮蔽は、内側による距離22にわたる基板の遮蔽とは異なる。特に、堆積される材料の外形は、特徴26の側壁に隣接する特徴26の内側及び外側で異なる。詳細には、外側に隣接する距離24にわたる遮蔽が長いほど、内側に隣接する部分より堆積される材料のテーパーが比較的長くなる。
【0012】
基板21が第1方位角に向けられている場合、ターゲット28から事実上離れているため、特徴26の外側の遮蔽された基板の領域は、堆積率がより低い。基板21が第2方位角に向けられている場合、ターゲット28により近いため、内側の基板領域は、堆積率がより高い。従って、外側領域はターゲット28から離れているため、堆積される材料は特徴26の外側でより薄い。ターゲット28のビーム発散に由来する堆積率の非対称性及び差異は、基板21の中心からの半径方向の距離が増加するにつれて増加する。
【0013】
基板中心からの半径方向の距離が特徴26と同一である特徴30は、堆積率において特徴26と同一の非対称性及び差異を有する。一方で、特徴32がその側壁に隣接する基板21を対称に遮蔽するため、堆積される材料は、基板の中心で特徴32のまわりで対称である。その他の種類の表面処理、例えばエッチングは、特徴26及び30の周囲で同様の非対称処理外形を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、基板表面から突出する特徴に隣接する内側と外側とでの堆積材料の非対称性を除去、または少なくとも著しく低減することが可能な方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態によると、基板を処理するシステムは、エネルギー粒子ビームを放射するように構成されたソースを含む真空チャンバを備える。ソースは、長寸法を有し、ビームは長寸法の少なくとも一部分にわたって実質的に均一な束分布を有する。真空チャンバは、ビームが基板に衝突する処理区域を備える。システムはさらに、真空チャンバ内部にソースから離間されたて配置された固定具を備える。固定具は、基板を支持するように構成された第1ステージと、基板に対して第1ステージを並進させる第2ステージとを備える。第1ステージは、方位軸のまわりで基板を異なる角度方向に向けるように構成される。第2ステージは、各々の異なる角度方向を有して処理区域を通って、第1ステージが基板の方向を変更するために使用する処理区域外部の停止領域まで基板を並進させることができる。
【0016】
本発明の別の実施形態によると、基板を処理する方法は、その長寸法の少なくとも一部分にわたって実質的に均一な束分布を有するエネルギー粒子ビームを提供する段階を含む。前記方法はさらに、基板上の特徴をビームの長寸法と実質的に平行に整列する段階と、ビームに対して基板を移動する段階と、移動の少なくとも一部分の間に処理区域においてエネルギー粒子に基板を露光する段階とを含む。
【0017】
基板がエネルギー粒子ビームの長寸法に対して回転せずに移動する場合、特徴の一側上で処理が実施され得る。ここで述べるように、基板表面処理の各サイクルの後に基板が180°回転する場合、特徴の両側に隣接する基板が処理され得る。
【0018】
本発明の様々な課題及び利点は、例示的実施形態の添付図面及びその詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、上述の発明の一般的説明及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明の原理を説明するための役割を果たす。
【0020】
【図1】従来技術によるIBDシステムの図である。
【図2A】図1の従来型IBDシステムの基板上の特徴による非対称な堆積外形を示す図である。
【図2B】図1の従来型IBDシステムの基板上の特徴による非対称な堆積外形を示す図である。
【図3】本発明による基板処理装置の側面図である。
【図3A】図3の一部の詳細図である。
【図3B】ソースに対する開口部の位置を調整する性能を示す図3のシールドの斜視図である。
【図3C】開口部の幅を調整する性能を示す図3のシールドの斜視図である。
【図4A】ソース、開口部、及び基板の間の位置関係を図示する図3の基板処理装置の斜視図である。
【図4B】ソース、開口部、及び基板の間の位置関係を図示する図3の基板処理装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による処理方法の初期段階での図3の基板処理装置の斜視図である。
【図5A】処理中の基板から突出する特徴の1つの方向を図示する図5の一部の詳細図である。
【図6】処理方法の後続段階での図3の基板処理装置の斜視図である。
【図6A】処理中の開口部を通過する間に処理を施される図5Aの特徴の断面図である。
【図7】処理方法の後続段階での図6の基板処理装置の斜視図である。
【図8】処理方法の後続段階での図6の基板処理装置の斜視図である。
【図9】処理方法の後続段階での図6の基板処理装置の斜視図である。
【図9A】基板が180°回転した後、且つ処理サイクルの後半サイクルの直前の処理中の図6Aの特徴を図示する詳細図である。
【図10】処理方法の後続段階での図9の基板処理装置の斜視図である。
【図10A】再度180°回転した特徴が開口部を通過する間に処理を施される図9Aの特徴の断面図である。
【図11】処理方法の後続段階での図10の基板処理装置の斜視図である。
【図12】処理方法の後続段階での図10の基板処理装置の斜視図である。
【図13】処理方法の後続段階での図10の基板処理装置の斜視図である。
【図13A】処理中及び全サイクル後の特徴の方向を図示する図13の一部の詳細図である。
【図14】本発明の別の実施形態による基板処理装置の斜視図である。
【図14A】本発明の別の実施形態による基板処理装置の斜視図である。
【図15】本発明の別の実施形態による基板処理装置の斜視図である。
【図16】本発明の別の実施形態による基板処理装置の側面図である。
【図16A】図16の一部の拡大図である。
【図16B】図16の基板処理装置の斜視図である。
【図17】本発明の別の実施形態による基板処理装置の底面図である。
【図18】図17の一部の拡大上面図である。
【図19】本発明の別の実施形態による図18と類似の部分の上面図である。
【図20】本発明の別の実施形態による基板処理装置の斜視図である。
【図21】本発明の別の実施形態による基板処理方法の後続段階での図20と類似の斜視図である。
【図22】本発明の別の実施形態による基板処理方法の後続段階での図20と類似の斜視図である。
【図23】本発明の別の実施形態による基板処理方法の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図3及び3Aを参照すると、処理装置40は、ソース50を備え、該ソースは好ましくは長方形であるがそれに限定されるものではなく、エネルギー粒子ビーム42を放射するように構成される。ソース50からのエネルギー粒子は、基板44をエッチングする、基板44上に薄膜または薄層を堆積する、あるいは基板44を処理し得る。ソース50は開口部54の幾何学的形状と類似した幾何学的形状を有し得、基板44を処理しないソース50からのビームの使用されない部分を減少させる。ソース50は、長軸または寸法49(図4A)及び短軸または寸法51(図4A)によって特徴付けられる。ビーム42は、ソース50の長寸法49に沿った実質的に均一な光束分布を有する。
【0022】
処理装置40は、周囲環境から隔離された真空チャンバ46を備える。真空チャンバ46は、当業者によって認識されるように、真空ポンプ48によって適切な真空圧に排気してよい。処理された基板44を処理されていない基板44と交換するために、真空チャンバ46内部にアクセスするためのシール可能なポート(図示せず)が真空チャンバ46内に設けられる。
【0023】
ビーム42のソース50は、薄膜堆積、エッチング加工、反応性イオンエッチング加工、スパッタリング加工、またはその他のイオンビーム処理を実施するためのエネルギー粒子を生成することが可能な任意のイオンビーム源である。例えば、ソース50は、薄膜堆積を提供する任意の材料のスパッタリングターゲットを備えたマグネトロンであってよい。別の実施例では、基板表面のエッチングを提供する開口部54方向へとエネルギー粒子を放射するための平面または凹状グリッドイオン光学系を備えた長方形イオンビーム源50である。本発明の好ましい実施形態では、ソース50は、不活性ガスイオンビーム及びガスイオン源を提供するターゲットに隣接したプラズマを閉じ込めるマグネトロンによってスパッタリングされる堆積材料のターゲットを備えるイオンビーム堆積(IBD)源である。ここでは、このようなソース50、特に長方形のソース50について、当業者が理解するためのさらなる説明は必要としない。
【0024】
基板44及びソース50は、異なる平行面に配置される。シールド52は、開口部54が基板44の面と実質的に平行な面に配置されるように、基板44とソース50との間の中間位置に配置され得る。任意のシールド52は、ビーム42がそれに沿って均一であるソース50の長寸法49(図4A)と実質的に整列された長軸または寸法65(図4A)によって特徴付けられる長方形の穴または開口部54を備える。シールド52における開口部54は、ソース50から放射されるエネルギー粒子の一部分のみ、好ましくはエネルギー粒子の過半数が開口部54を通って伝わり、基板44の処理領域または区域38に衝突して基板44を処理するように、ビーム42を平行にする。典型的に、開口部54の長寸法65(図4A)は、基板44の直径より大きく、開口部54の短寸法64(図4A)は、基板44の直径より小さいかまたは同一である。基板44が移動しているときに、処理区域38の位置は固定されたままである。
【0025】
ここで、「垂直」、「水平」などの用語は、理論構成の枠組みを構築するために例示の目的で言及するものであり、限定を目的とするものではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々なその他の理論構成の枠組みが採用され得ることを理解されたい。例えば、基板44がソース50の上部に位置するように、ソース50と固定具55の配置を逆にしてもよい。
【0026】
引き続き図3及び3Aを参照すると、基板44は、回転ステージ56の方位軸45の周りの少なくとも1つの回転方向に基板44を回転するように構成された回転ステージ56を有する2段固定具55によって保持及び支持される。方位軸45の周りに基板44が回転することによって、ビーム42の方向に応じて基板44上の特徴66(図5A)の方向が変化する。回転ステージ56を支持する固定具55の並進ステージ58は、開口部54に対して基板44を直線的且つ双方向に(すなわち可逆的に)移動または並進させるように構成される。並進ステージ58は、基板44とソース50との間に介在するシールド52における開口部54の対向する側の束遮蔽位置に基板44を配置するのに適した動作範囲にわたって移動することができる。ステージ56及び58の移動は、基板44が回転せずにステージ58によって並進することができ、逆に、基板44が並進せずにステージ56によって回転することができるように、互いに独立している。並進ステージ58は、基板44を開口部54の長寸法65(図4A)にほぼ垂直方向に並進させる。
【0027】
本発明の別の実施形態では、並進ステージ58を、基板面に平行な面における比較的大きな曲率半径の周りに基板44及び回転ステージ56を回転させる平床ステージ(図示せず)と置き換えてもよい。平床ステージによって移動された場合に基板44がたどるカーブの半径は、開口部54の短寸法64にわたってほぼ直線的となるよう十分大きい。好ましくは、ソース50及び開口部54の中心、並びに固定具55がたどる弧は、ソース50から開口部54までの距離を超える曲率半径を有する円筒形面にある。
【0028】
図4Aを参照すると、ソース50に対する開口部54の位置は、ビーム42から基板44に衝突するエネルギー粒子(すなわち、粒子束)の入射角を決定する。ソース50は、その長寸法49にわたる中心線59を有する線源であると考えてよい。粒子束の平均入射角αは、図4Aにおいてアルファベット「m」と表示されるソース50の中心線59から縁部60、62間に定義された開口部54の中線までの距離によって与えられる除数で割られた図4Aにおいてアルファベット「n」と表示されるソース50の中心線59から任意のシールド52の面までの垂直距離によって与えられる被除数の商の逆サインとして定義される。中心線59から開口部54の中心までの距離が増加するほど平均入射角が増大する(すなわち、傾斜が大きくなる)ことは明らかである。
【0029】
図4Bを参照すると、開口部54の短寸法64(図4A)はビーム42の整列を定める。整列角度は、ソース50から開口部54の対向する縁部60、62までの範囲を定める角度円弧から定められ、平均入射角周囲の粒子束の角度分布を定義する。縁部60は。ソース50から最も遠く、縁部62はソース50に最も近い。シールド52における縁部60、62間の距離は、開口部54の短寸法64を特定する。開口部54はさらに、短寸法64と垂直な長寸法65を有する。整列角度φは、中心線59から縁部60までの距離によって与えられる除数で割られた距離nによって与えられる被除数の商の逆コサインから中心線59から縁部62までの距離によって与えられる除数で割られた距離nによって与えられる被除数の商の逆コサインを引いた差に等しい。縁部60、62間の距離の減少によって堆積粒子束の整列角度が減少し得ることは明らかである。
【0030】
図3B及び3Cを参照すると、好ましくは、シールド52は、ソース50の長寸法49(図4A)に垂直な方向に相対的に移動可能な2部材52a、52bを備え得る。図3Bに示すように、開口部54の位置は、部材52a、52bをソース50に向かう方向、またはソース50から離れる方向に移動させることによって、ソース50に対して調整することができる。この開口部54の再配置は、基板44の面に対するビーム42の平均入射角の変更に有効である。部材52a、52bの移動は、図4Aに示す配置に対して平均入射角が増加するように図示されているが、それに限定されるものではない。図3Cに示すように、開口部54の短寸法64(図4A)は、縁部60、62間の距離が変化するように部材52a、52bを互いに対して移動させることによって調整することができる。この開口部54の幅の調節は、処理領域38にわたるビーム42の整列角度の変化に有効である。部材52a、52bの移動が、短寸法64より大きな短寸法64aを提供するように図示されており(図4B)、この場合、図4Bに示す配置に対して整列角度を増加させる。しかしながら、部材52a、52bの縁部60、62が接近するように移動させると、図4Bに示す配置に対して整列角度を減少させる。
【0031】
図3、3A、4A及び4Bと同様の特徴に同様の参照符合を付した図5〜13を参照すると、基板44をエネルギー粒子のビーム42に曝露する方法は、基板44から上部方向に突出する特徴66の両側に対称な処理形状を提供することが記載されている。ビーム42は、基板44上に薄膜として増加的に堆積する堆積材料のビームとして記載されるが、本発明はそれに限定されるものではない。代わりに、ビーム42は、スパッタリング、化学反応、またはそれらの組合せによる基板44のエッチング、基板44表面からの汚染物除去、または基板44への別の種類のイオンビーム処理の実施も可能である。本方法は単一の工程サイクルまたは2つの区別可能な半サイクルを含む工程順序の点から説明されるが、堆積される薄膜を厚くするため、または所望の表面処理を達成するために繰り返しまたは反復してよい。
【0032】
特に図5及び5Aを参照すると、基板44がシールド52によってソース50から遮蔽されるホームポジションにおいて、基板44が固定具55上に取り付けられる。従って、ホームポジションではビーム42は基板44を処理しない。基板44がホームポジションに固定されている間、図5Aにおいて明らかな特徴66によって例示された特徴66の各々が、開口部54の長寸法65と一般的に平行である第1及び第2側壁68、70を備え、且つ側壁68が縁部60に最も近くなるように、固定具55の回転ステージ56は、基板33を方位軸45の周りに配置する。
【0033】
特徴66は、例えばパターン形成されたフォトレジスト層の一部であってよい。そのために、例えばスピン工程でレジストを基板44に適用し、特徴66に典型的な潜在突出画像パターンを与えるフォトマスクを通して投射される放射線に曝露させ、現像して潜在画像パターンを最終画像パターンへと変換する。基板44がビーム42で処理された後、基板44からレジストを取り除く。パターン形成されたレジストの特徴66は、処理装置40における堆積材料の層71の堆積に続くリフトオフ工程でのマスクとして使用してよい。
【0034】
エネルギー粒子のビーム42を発生させるためにソース50を稼動する。該エネルギー粒子のビーム42は、シールド52における長方形の開口部54方向に向けられる。開口部54を通るビーム42の投射は、基板44の面における処理領域38を画定する。基板44は、固定具55によって処理領域38に配置されると、エネルギー粒子のビーム42に曝露される。
【0035】
図6及び6Aを参照すると、固定具55の並進ステージ58は、シールド52より下部の面で長方形の開口部54を超えて基板44を並進させる。並進は、開口部54の長寸法65に実質的に直交する方向である。基板44は、ソース50と開口部54と同一視線上にあり、ビーム42は基板44の曝露された表面に衝突し、ビーム42におけるエネルギー粒子が表面処理を提供する。この例示的実施形態では、ビーム42中のエネルギー粒子は、基板44上に堆積された堆積材料の層71中に存在する。
【0036】
特徴66は、側壁68の基部に隣接する基板44へのビーム42の視線を遮蔽しないため、層71は、特徴66の側壁68の基部まで広がる。しかしながら、特徴66は、幅74にわたって側壁70に隣接する基板44を遮蔽する。結果として、ビーム42からのエネルギー粒子は側壁70に隣接する基板44の部分に作用せず、サイクルのこの部分の間に、幅74にわたって層71は堆積されないかまたは厚くならない。
【0037】
各特長66が装置整列角度の全範囲(図4B)にわたってビーム42に連続的に曝露されるため、縁部60、62間の短寸法64(図4A)を横切るビーム発散は、基板44上の異なる位置の特徴66の間で、側壁70に隣接する層71の形状に変化をもたらさない。さらに、長寸法49に沿ったビーム42の粒子束分布の均一性は、基板44の表面にわたる層71の形状及び厚さの均一性を促進する。
【0038】
図7及び8を参照すると、並進ステージ58の動作は、長方形の開口部54を超えた後、シールド52の下の終点で停止する。終点で、基板44は静止し、シールド52によってビーム42の基板44への到達が遮蔽される。基板44が、長方形の開口部54に向かって再び開口部54の長寸法65に実質的に直交する方向に戻るように、ステージ58の並進方向は、逆となる。ビーム42におけるエネルギー粒子が表面処理を提供するように、処理領域38にある間に、基板44の露出した表面は、再びビーム42に曝露される。別の厚さの層71が基板44上に堆積される。ホームポジションへと戻る経路にわたって、特徴66は依然として側壁68の基部に隣接する基板44へのビーム42の視線を遮蔽しないため、再度、層71が側壁68の基部まで均一に堆積されるかまたは厚くなる。しかしながら、特徴66は、幅74にわたって側壁70に隣接する基板44を遮蔽する。結果として、ビーム42からのエネルギー粒子は側壁70に隣接する基板44の部分に衝突せず、処理サイクルのこの部分の間に、幅74にわたって層71は堆積されないかまたは厚くならない。
【0039】
図9を参照すると、並進ステージ58は、シールド52によってビーム42の基板44への到達が遮蔽されるホームポジションに基板44を戻す。固定具55がこのホームポジションにおいて静止している間、側壁70が縁部60に最も近く、側壁68が縁部60から離れるように、回転ステージ56は方位軸45の周りに180°基板44を回転させる。側壁68,70は、通常、180°回転後、開口部54の長寸法65と平行に並ぶ。
【0040】
図10〜12を参照すると、側壁70の基部に隣接する基板44の領域(図6Aに示す幅74)が、側壁68の基部に隣接する基板44の領域(幅72)と同一の表面処理を受けるように、図6〜8に示す手順を繰り返す。言い換えると、幅72及び74にわたって基板44上に形成される層71の厚さは無視して、幅72及び74は等しい。基板44が開口部54の下に位置している間(図10及び12)、ビーム42からのエネルギー粒子が基板44を処理する。従って、別の厚さの層71が基板44上に堆積される。
【0041】
特徴66は側壁70の基部に隣接する基板44へのビーム42の経路を遮蔽しないため、開口部54の下での2回の通過のそれぞれを通して、層71が側壁70の基部まで厚くなる。しかしながら、特徴66は、幅72にわたって側壁68に隣接する基板44を遮蔽する。結果として、ビーム42からのエネルギー粒子は側壁68に隣接する総71の部分に作用せず、サイクルのこの部分の間に、幅72にわたって層71は堆積または厚くならない。
【0042】
基板44が並進ステージ58によって図13におけるホームポジションに戻されると、特徴66の側壁68が再度縁部60に最も近くなるように、回転ステージ56は方位軸45の周りに180°基板44を回転させる。目標とする処理結果を得るために、図5〜13の部分における手順を複数サイクル繰り返す。一例として、また説明したように、材料堆積の目標とする厚さを提供するのに十分な複数のサイクル手順を繰り返す。層71において、堆積材料の目標とする厚さに達した後、特徴66を基板44から取り除いてよい。
【0043】
本発明の別の実施形態では、側壁68、70が開口部54の長寸法65と通常平行に並び、側壁68が縁部60に最も近く、基板44が方位軸45の周りに180°回転した状態で、図6〜8に示す半サイクルを、開口部54を超えて複数回繰り返してよい。その後、側壁68、70が開口部54の長寸法65と通常平行に並び、側壁70が縁部60に最も近い状態で、図10〜12に示す半サイクルを実質的に同じ回数繰り返す。好ましくは、2つの半サイクルの順番は、ここに記載したように交互である。言い換えると、方位軸45の周りに180°回転して特徴66の方向を転換する前に、基板44は処理領域38を複数回並進する。
【0044】
処理手順の結果、特徴66が開口部54の長寸法65(図4A)に対して交互に並び、ビーム42に対して並進するため、いずれの側壁68、70も特徴66の内側または外側を構成しない。その結果として、特徴66の側壁68,70に隣接した基板44上に対称な堆積または処理外形が得られる。さらに、堆積または処理外形は、基板44の中心に対する径方向依存性を示さない。
【0045】
別の実施形態では、静的エッチングまたはビームの斜入射の下でのその他のウエハ表面処理を実施するために処理装置40を採用してもよい。この実施形態では、毎回半サイクルが終了した後にホームポジションにおいて基板44を方位軸45の周りに180°回転する段階を省略する。図5〜9に示す半サイクル、または図9〜13に示す半サイクルのいずれかを参照すると、基板44の角度方向を変更するために回転ステージ56を使用せずに、開口部54を超えて基板44は並進する。
【0046】
本発明の別の実施形態では、基板44は静止した状態で支持され、堆積束が基板44の表面にわたって走査するようにソース50及び開口部54が基板44に対して移動してもよい。
【0047】
図3〜13と同様の特徴に同様の参照符合を付した本発明の別の実施形態による図14及び14Aを参照すると、ソース50aによって放射されるビーム42は、固定具55の動作面に対して対称なエネルギー粒子の束分布を有する。シールド52は、開口部54と長寸法64及び短寸法65において同一の第2長方形の開口部54aを備える。長方形の開口部54、54aは、好ましくはソース50の中心線59に対して対称(すなわち、エネルギー粒子プルーム分布に対称)に配置されるが、本発明はそれに限定されるものではない。基板44が、並進ステージ58によって長方形の開口部54、54aを超えて並進される場合、この対称性によって、特徴66の両方の側壁68、70(図5A)に隣接する実質的に同一である表面処理(例えば堆積またはエッチング)がもたらされる。本発明のこの実施形態では、基板44から突出する特徴66の側壁68、70の基部に隣接する対称な基板処理を行うために、方位軸45の周りに180°回転させる必要はない。
【0048】
図3〜13と同様の特徴に同様の参照符合を付した本発明の別の実施形態による図15を参照すると、処理装置40の真空チャンバ46は、それぞれソース50と実質的に同一である少なくとも2つの複数のソース80、82を備えてよく、放射されるエネルギー粒子は異なる特性または同一の特性を有してよい。ソース80、82の各々は少なくとも2つの長方形の開口部84、86の一つに対応するものであり、開口部84、86の各々は開口部54と実質的に同一である。開口部84を通して見られるようなソース80の視線上にある場合のみ、基板44にソース80からのエネルギー粒子が衝突するように、処理装置40が構成され、ソース80及び開口部84が配置される。同様に、開口部86を通して見られるようなソース82の視線上にある場合のみ、基板44にソース82からのエネルギー粒子が衝突するように、処理装置40が構成され、ソース82及び開口部86が配置される。ソース80、82を、多層構造の個々の層を堆積するために使用してもよい。また、基板44をエッチングするためにソース80を使用し、基板44上に層を堆積するためにソース82を使用してもよく、または、基板44上に層を堆積するためにソース80を使用し、基板44上の層に傾斜した入射角の下でイオンビーム処理を行うためにソース82を使用してもよい。追加の層の堆積、追加のドライエッチングの実施、または基板44のイオンビーム処理のために、真空チャンバ46内部に2つより多くのソースと、関連する開口部とが存在するため、本発明による表面処理のその他の組合せが達成される。
【0049】
図3〜13と同様の特徴に同様の参照符合を付した本発明の別の実施形態による図16、16A及び16Bを参照すると、本発明の有利な特性を維持しつつ、処理装置40の真空チャンバ46からシールド52(図3、3A‐C)を除くことができる。このために、処理装置40は、ソース90(図16B)の長寸法89の少なくとも一部に沿って実質的に均一な粒子束分布を有するエネルギー粒子のビーム42を放出するよう構成されたソース90を備え、該ソースは好ましくは長方形であるがそれに限定されるものではない。ビーム42は、基板44の動作方向と平行に制限され、長寸法89の少なくとも一部に沿って実質的に均一な粒子束分布を提供するように成形される。ソース90はさらに、長寸法89に直交する短寸法91(図16B)によって特徴付けられる。当業者に理解されるように、ソース90からのエネルギー粒子は、基板44のエッチング、基板44上に材料の薄膜または薄層の堆積、または基板44の処理を行うことができる。シールド52の除去は、そのようなシールドから物理的にスパッタされる材料に由来する基板汚染の可能性を減少させるために有利である。
【0050】
エッチング等の表面処理に適した線形イオン源90は、Veeco Instruments Inc(Woodbury, New York)から市販されている線形アノード層イオン源の製品ラインを含むがそれらに限定されるものではない。前記イオン源は、100eVから1800eVのビームエネルギー及び最大30mA/直線cmのビーム電流を有する。これらの線形イオン源90のビーム42は、ビーム42の横断面の一方の寸法が他方より大きいような高アスペクト比を有する。基板44は、ビーム42を通り抜けて一次元において並進する。これらの場合、ビーム42の横断面は、基板44の一寸法より大きな一寸法を有する。結果として、ビーム42を一回以上通過すると、基板44はイオンの均一な線量を受ける。
【0051】
ここで説明したように、基板44は前後に移動し、任意で周期的に回転するため、基板44の面内において画定される処理領域または区域94にわたってソース90からのビーム42中のエネルギー粒子が基板44に衝突する。処理区域94は、移動する基板44が毎回の走査の間にビーム42に曝露される全領域に及ぶと考えられ得る。処理区域94にわたるソース90の粒子束分布がソース90の長寸法89に沿って実質的に均一となるように、ソース90の実質的に均一な部分が処理区域94にわたって配置される。長寸法89の少なくとも一部分に沿って実質的に均一な粒子束分布を有するエネルギー粒子のビーム42を放出するソース90の性能は、ビーム閉じ込め、成形及び視準のためのシール52を提供する必要性を排除する。別の方法として、図示した前後の移動とは相違して、固定具55の並進ステージ58は、基板44をソース90の長寸法89に対する円弧において並進させるように構成してもよい。
【0052】
ソース90によって放射されるビーム42中のエネルギー粒子は、全処理区域94にわたり、長寸法89を横切る基板44において、基板44に垂直な表面に対して、または基板44の面に対して測定された実質的に均一な入射角を有する。これは、ソース90が平行または実質的に平行な軌道及び小さなビーム発散を有するエネルギー粒子を放射することによって可能となる。基板22とソース90との距離は、ソース強度及びビーム発散の観点から最適化される。当業者によって理解されるように、ソース90は、平行または実質的に平行な軌道及び小さなビーム発散を提供するための視準を強化するために、平坦な光学格子または皿状の格子光学系を備えてよい。ソース90からの成形ビーム42は、処理区域94を画定する。
【0053】
特徴66及び特徴66を取り囲む基板44をビーム42におけるエネルギー粒子に曝露するために、基板44は、ここに記載した多様な方法で処理区域94を通して走査される。基板44が処理区域94の外側にある場合、基板44はビーム42に曝露されないかまたはわずかなエネルギー粒子にのみ曝露される。処理区域94外部のエネルギー粒子束の部分は、典型的に全イオン束分布の約10パーセント未満である。
【0054】
基板44は、処理区域94の連続走査の間に、その方位軸の周りの面内で回転または割り出しされ得る。さらに詳細には、特徴66が非対称(例えば長いヘッド)であるため、基板44は、基板44の動作範囲(つまり、直線往復)の端部またはその付近で方位軸45の周りに回転または割り出しされ得る。ここで説明したように、固定具55がこの方法で作動する場合、回転ステージ56は、処理区域94の連続走査の間に、処理区域94の外側の位置で基板44を方位軸45の周りに180°回転または割り出しする。基板44は処理区域94を通る直線または円弧において走査されるため、これによって、特徴66はソース90の長寸法89、ひいてはビーム42に対して基板44上に整列する。処理区域94の外側での回転によって特徴の配置が変化するため、処理が完了すると、側壁68の基部に隣接する基板44上の幅72及び同様の幅74(図6A、10A)の表面処理は、実質的に均一である。基板44が方位軸45の周りで角度が固定された並進ステージ58とともに、処理区域94を通って並進するように、回転ステージ56及び並進ステージ58の動作を制御する処理装置95が備えられる。
【0055】
また、ソース90の長寸法89に沿った実質的に均一なビーム42の粒子束分布のために、基板44の表面処理は実質的に均一である。短寸法91におけるビーム42の粒子束分布のいかなる非均一性も、処理区域94を通る基板44の移動によって平均化される。
【0056】
ソース90は、通常円弧92に沿って画定される様々な位置の間で移動してよく、基板44の動作方向に平行な方向及びソース90の短寸法91における処理区域94内のビーム42のエネルギー粒子の平均入射角の調節に有効である。そのために、ソース90の対向する端部の各々は、基板44の直線経路に対して旋回し得る対応する一対のアームの一方に支持される。該アーム96は図16に図示されている。基板処理の間、ソース90は静止している。プラズマブリッジニュートラライザー(図示せず)をソース90と連携し、ソース90とともに旋回させてもよい。
【0057】
動作範囲の端部の各々でビーム42の外側に基板44を完全に移動させるために、基板44を長距離移動させる必要があり得る。ビーム42から完全に離れるように基板44を移動させるべき距離は、ビームの方向と基板動作面との間の角度に影響され得る。
【0058】
図16、16A及び16Bと同様の特徴に同様の参照符合を付した本発明の別の実施形態による図17を参照すると、固定具100は、ソース90に対して移動する基板44を保持及び支持するように構成され、該ソース90は、プラズマブリッジニュートライザー121を備える。固定具100は、ソース90に対して軸101に沿って固定具100を直線的且つ双方向(すなわち可逆的)または前後(すなわち往復)に移動する線形アクチュエータ102から延びるアーム98の一端において支持される。線形アクチュエータ102は、アーム98と連結された駆動出力110と、移動のために駆動機構104及びアーム98がそれぞれベアリング107、108によってそこに連結された一対の固定レール105、106と、を有する駆動機構104を備え得る。ベローズ112は、真空チャンバ46と真空気密接合を提供し、線形アクチュエータ102の双方向移動に適合する。
【0059】
固定具55(図3、3A)に関して上記で説明したように、固定具100の双方向動作は、処理区域94を通る基板44を繰り返し走査するために使用することができる。この作動モードでは、線形アクチュエータ102は、ソース90の長寸法89(図16B)にほぼ直交する方向に基板44を並進する。処理区域94の外側での回転によって特徴の配置が変化するため、処理が完了すると、側壁68の基部に隣接する基板44上の幅72及び同様の幅74(図6A、10A)の表面処理は、実質的に均一である。
【0060】
図17及び18を参照すると、固定具100は、回転ステージ120の方位軸122の周りに少なくとも1つの回転方向に基板44を回転するように構成された回転ステージ120を備える。回転ステージ120は、固定具55の回転ステージ56(図3、3A)と同様の方法で作動する。基板44が処理区域94の外側にある場合、基板44の方位軸122の周りでの回転は、ビーム42の方向に対する基板44上の特徴66の配置を変更する。回転ステージ120の方位軸は、基板44の方位軸45と一致する。回転ステージ120及び線形アクチュエータ102によって駆動されるアーム98の移動は、基板44が回転せずに並進し、続いて並進せずに回転し得るように相互に独立である。
【0061】
固定具100の回転ステージ120は、線形アクチュエータ102のアーム98を備えた旋回連結124またはジンバルによって枢動可能に搭載されている。旋回連結124は、回転ステージ120つまり基板44の方位軸122を、軸101と実質的に直交する軸117に関して角度を適応させる性能を有した固定具100を提供する。回転ステージ120の方位軸122を傾斜すると、回転ステージ120の方位軸122に対するビーム42の入射角が変化する。基板44が、処理区域94の外側に基板44を配置するために短縮された距離を直線的に並進することができるため、基板44を傾斜させる性能は、線形アクチュエータ102のストロークを効果的に短縮する。回転ステージ120の軸117周りの傾斜は、ソース90の長寸法89に実質的に平行であり、基板44でのビーム42の有効な実質的均一性を維持するために作用する。
【0062】
図18と同様の特徴に同様の参照符合を付した本発明の別の実施形態による図19を参照すると、固定具100aは固定具100と類似して図示されている。固定具100aの回転ステージ120は、方位軸122と垂直な面内において回転ステージ120の動作を許容するベース130上に支持される。そのために、方位軸122がビーム42の方向に対して傾斜している場合に、固定具100には、ベース130に対してソース90に向かう方向及び離れる方向における回転ステージ120の双方向並進を許容する機構が備えられる。この付加的自由度は、図19において二方向矢印132で図式的に示されている。
【0063】
本発明の実施形態によって、多様なデータ貯蔵及び半導体構造体に含まれるような基板上の対称な特徴の処理均一性、特徴寸法制御、及び処理外形の対称性における改善が得られる。本発明の実施形態は、300mm以上のウエハなど、大表面積基板の処理に特に有利である。特に、本発明の実施形態は、対称な表面特徴の処理均一性、特徴寸法制御、及び処理外形の対称性を有するこのような基板のイオンビームエッチング(または堆積)を容易にする。
【0064】
図1〜19と同様の特徴に同様の参照符合を付した本発明の別の実施形態による図20を参照すると、三次元特徴66を備えた基板44を面内に支持し、3つの制御された動作の軸でその配置を制御、多段土台または固定具134は、処理装置40(図3)と連動して使用される。固定具134は、回転ステージ136と、傾斜ステージ138と、回転ステージ136及び傾斜ステージ138をイオン源90に対して並進し、特にイオン源90の長寸法89(図16B)に実質的に垂直な基板44を並進するように構成された並進ステージ140とを備える。ステージ136、138、140による基板44の移動は、相互に独立している。
【0065】
回転ステージ136は、ステージ136の方位軸142の周りの少なくとも1つの回転方向に基板44を回転するように構成され、該方位軸は、通常基板44の方位軸45と一致する。回転ステージ136に組み込まれた回転アクチュエータは、基板44及び方位軸142の周りに基板44を物理的に保持する回転ステージ136の一部の割り出し回転を提供するように制御される。傾斜ステージ138は、傾斜軸144の周りに回転ステージ136を傾斜させるように構成される。傾斜ステージ138に組み込まれた別の回転アクチュエータは、傾斜ステージ138及び基板44を傾斜軸144の周りに傾斜させるように制御される。
【0066】
並進ステージ140の移動は、イオン源90の長寸法89(図16B)に対して直線的且つ双方向(すなわち可逆的)であり、二方向矢印145で図式的に示されている。特に、並進ステージ140は、イオン源90の長寸法89(図16B)とほぼ直交する方向に基板44を並進する。代表的実施形態では、並進ステージ140は、一対の隣接する平行なレールガイド147、148と、レールガイド147、148に対して直線並進させるためのレールガイド147、148と連結された台車149とを備える。双方向線形アクチュエータ(図示せず)は、台車149と連結され、台車149をレールガイド147、148に対して並進させるように作動する。固定具134が基板44の位置を調整するために作動する場合、並進ステージ140の移動範囲は、ビーム42の外側にある処理区域94の対向する側の停止領域150、152に基板44が配置されるように選択される。
【0067】
方位軸142の周りの回転によって基板44を割り出すことによって、ビーム42(図3、3A)の方向に対する基板44上の特徴、例えば特徴66(図5A)の位置が変化する。以下で説明するように、走査方向に垂直な非対称性が重要である場合、角度の変化は180°とは異なり得る。
【0068】
別の実施形態では、並進ステージ140を、基板面に平行な面内において比較的曲率半径の周りに基板44及びステージ136、138を回転する平床ステージ(図示せず)と置き換えてもよい。平床ステージによって移動される場合、基板44が移動する曲率半径は、開口部54の長寸法64にわたってほぼ線形である程度に十分大きい。好ましくは、ソース50及び開口部54の中心、並びに固定具134の中心が移動する円弧は、ソース50と開口部54との間の距離を超える曲率半径を有する円筒形面内にある。
【0069】
図20〜22を参照すると、並進ステージ140は、基板44を停止領域150内の位置に移動するように作動し、傾斜ステージ138は、線形イオン源90からのビーム42の方向に対して基板44を傾斜した角度に設定するために、回転ステージ136を傾斜軸144の周りに旋回するように作動する。傾斜角は、ビーム42の入射角を設定する。傾斜軸144は、エネルギー粒子ビーム42の長寸法89に実質的に平行である。
【0070】
停止領域150、152の一方内にある間に、方位軸142の周りの回転ステージ136の初期角度が保存される。回転ステージ136及び基板44の初期角度方向は、矢印154で示されている。一回の走査を実行するために、並進ステージ140は、基板44及び特徴66をビーム42に曝露するように基板44をビーム42内及びビーム42を通って(すなわち、処理区域94を通過して)移動し、停止領域152に移動し、停止領域150に戻るように作動する。基板44が図21に示すように停止領域150に位置する間、回転ステージ136は、初期角度方向に対して固定増分角円弧を有する方位軸142の周りに基板44を割り出すように作動する。基板44の割り出しは、図20における矢印154の角度方向と比較して半時計周り方向の矢印154に反映される。傾斜角は典型的に変化せず、ビーム42を通る次の走査の間にビーム42の入射角が変化しないことを意味する。
【0071】
並進ステージ140は、さらなる走査において、再度基板44を、ビーム42を通して移動させ、停止領域150に戻すように作動する。基板44をビーム42で処理するために、連続した割り出し及び走査サイクルが行われる。例えば、図22における角度方向に対して別の角度増分だけ基板44を回転した別の走査サイクルを図22に示す。図20〜22に示すサイクルは、ビーム42を通した連続走査の間に、方位軸142の周りに基板44を割り出すために、90°の角度増分を反映する。
【0072】
この方法は、基板44上の画定された特徴66の限界寸法(すなわち形状)制御を提供するために、基板44上の円形または長方形フォトレジストあるいはハードマスク特徴66をエッチングするために使用することができる。毎回のスライド通過の間、基板44はビーム42に方向を定められる。結果として特徴66の側壁のエッチング形状は、基板44に対するビーム42の方向‐入射角及び方位角に基づいて制御することできる。基板44を反復して停止領域150に停止し、方位軸142の周りに異なる角度方向に割り出した後、異なる方向の条件でさらにエッチングするためにビーム42の下をスライドさせることができる。この方法を使用すると、特徴66の側壁の形状及び特徴66上のエッチングされた材料の再堆積を多段階処理によって制御することができる。
【0073】
複数の割り出し/走査サイクルは、本発明のさまざまな実施形態によって想定される。方位軸142の周りで選択される基板44の割り出しの数は、2つの異なる角度方向(例えば0°及び180°)、4つの異なる角度方向(0°、90°、180°、270°)、または基板の全回転360°内でのさらに多くの異なる角度方向であってよい。例えば、30°から60°の角度増分を基板44の割り出しに選択してよい。各角度方向の変更の角度増分は、典型的に360°の整数分数であり、1実施形態では、2分の1の整数分数未満である。図21の通過数1と図23の通過数3との間に示されるように、基板44が方位軸142の周りに例えば0°から180°まで割り出される場合、特徴66のビーム42への曝露は均等となり得る。
【0074】
2つの限界直角寸法を有する特徴66(すなわち“四角”特徴)では、方位軸142の周りに90°ずつ異なる方向での4回の走査が、基板44上の特徴66の処理に十分であり得る。全ての方向に限界寸法を有する特徴66(すなわち“円形”特徴)では、方位軸142の周りで多くの異なる角度方向を含む走査を使用してよい。
【0075】
線形イオン源90を使用すると、イオン源90のグリッドを安定したビーム光学のために適当な位置に維持し、スペーサを使用しないと同時に、比較的大きな基板(すなわち、300mm基板)の完全なビーム露光が可能となる。スペーサを使用しないことによって代わりにビーム42の空間均一性が向上する。
【0076】
多段固定具134及びその使用方法は、向上した特徴形状制御、低下した内側/外側効果を提供し、且つ200mm(8インチ)及び300mm(12インチ)ウエハ処理、並びにその他の寸法を有するウエハまたは基板の処理に適合する。
【0077】
イオン源90からのビームは、基板44の材料のエッチングのための均一な高平行ビームの形成に使用され得る。しかしながら、当業者は基板22上に材料を堆積するためにイオン源90を使用できることが理解される。例えば、粒子源として線形マグネトロン、またはイオンビーム源として線形イオンビーム源を使用したエッチング処理に同様に堆積を実施することができる。
【0078】
図20〜22と同様の特徴に同様の参照符合を付した本発明の別の実施形態による図23を参照すると、イオン源90をイオン源50及び開口部54を含むシールド52と置き換えてもよい。この実施形態では、並進ステージ140の移動は、シールド52の開口部54に対して直線的且つ双方向(すなわち可逆的)である。特に、並進ステージ140は、シールド52の開口部54の長寸法65(図4A)にほぼ直交する方向に基板44を並進させる。並進ステージ140の移動範囲は、開口部54の対向する側であり、シールド52の一部が基板44とソース50との間に介在する粒子束遮蔽位置に基板44が位置するように選択される。当業者であれば、基板44への長方形のビーム42における平行な粒子源が示される図23に示す実施形態を使用して、図20〜22に示す基板44をビーム42に露光する方法を実施することが可能なことも理解するであろう。
【0079】
多様な実施形態によって本発明を図示し、これらの実施形態についてかなり詳細に説明したが、これらに本願発明または添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。追加の利点及び変形は当業者に容易に見出されるであろう。本発明はその広範な側面において、特定の詳細、代表的方法、並びに図示及び記載された例示的実施例に限定されるものではない。従って、出願人の通常の発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、このような詳細からの逸脱がなされ得る。
【符号の説明】
【0080】
10 蒸着銃
12 イオンビーム
14、28 ターゲット
16、42 ビーム
18、21、44 基板
20、55、100 固定具
26、30、32、66 特徴
38、94 処理領域
40 処理装置
45 軸
46 真空チャンバ
48 真空ポンプ
49 長寸法
50、80、82、90 ソース
52 シールド
54、84、86 開口部
56、120 回転ステージ
58、140 並進ステージ
59 中心線
60、62 縁部
68、70 側壁
71 層
92 円弧
102 線形アクチュエータ
104 駆動機構
105、106 固定レール
107、108 ベアリング
110 駆動出力
112 ベローズ
121 プラズマブリッジニュートライザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長寸法を有し、該長寸法の少なくとも一部分にわたって実質的に均一な束分布にビームを分布するように構成された前記エネルギー粒子ビームを放射するソースと、
前記ソースを含有し、前記ビームが前記基板に衝突する処理区域を含む真空チャンバと、
方位軸の周りで異なる角度方向に基板を割り出すように構成され、前記基板を支持する第1ステージ及び各々の前記異なる角度方向を有して前記処理区域を通って、前記第1ステージが基板を割り出すために使用する前記処理区域外部の停止領域まで前記基板を並進させることが可能であり、前記第1ステージを前記ソースに対して並進させる第2ステージを備え、前記真空チャンバ内部に前記ソースから離間されて配置された固定具と、
を備えた基板をエネルギー粒子ビームで処理するためのシステム。
【請求項2】
前記第2ステージが、前記処理区域内で前記ソースの前記長寸法に対して直線的に前記基板を並進させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2ステージが、前記処理区域内での移動方向が前記ソースの前記長寸法に対して実質的に垂直であるような曲率半径を有する円弧において基板を並進させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基板に対するイオンビームの平均入射角を変更するために、前記ソースが、前記ソースの前記長寸法に対して実質的に垂直な円弧において前記基板に対して移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
入射角を画定するために、前記方位軸が前記エネルギー粒子ビームの方向に対して傾斜するように、前記ソースの前記長軸と整列されたピボット軸の周りで前記第1ステージを傾斜するように構成された第3ステージをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
(a)その長寸法の少なくとも一部分にわたって実質的に均一な束分布を有するエネルギー粒子ビームを提供する段階と、
(b)前記基板上の前記特徴を、前記ビームの前記長寸法に対して第1固定角度方向に向ける段階と、
(c)前記ビームに対して前記基板を並進させる段階と、
(d)前記並進の少なくとも一部分の間に、前記基板を処理区域においてエネルギー粒子ビームに露光する段階と、
を含む複数の特徴を備えた基板の処理方法。
【請求項7】
前記特徴を前記ビームの前記長寸法に対して第2固定角度方向に再配向するために、角度増分だけ方位軸の周りで前記基板を割り出す段階と、
段階(c)及び(d)を有限回数反復する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記特徴を第2固定角度方向に再配向するために前記基板を前記方位軸の周りで割り出す前及びその間に、前記処理区域の外側の位置に前記基板を並進させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記角度増分が30°、60°または90°であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記角度増分が、360°の2分の1未満である整数分数であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ビームに対して前記基板を並進させる段階が、
前記処理区域を通って直線的に前記基板を移動させる段階と、
反対方向の移動の間に、前記基板が前記処理区域において前記エネルギー粒子ビームに露光されるように、前記基板の直線的移動を逆方向にする段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記直線的移動を逆方向にする段階の前に、前記方位軸の周りで前記基板を割り出すことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビームに対して前記基板を並進させる段階が、
前記基板を回転する前に前記基板の移動を停止する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ビームに対して前記基板を並進させる段階が、
前記処理区域を通る平面的動作において移動させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記特徴を前記ビームの前記長寸法に対して複数の角度方向に再配向するために、角度増分だけ方位軸の周りで前記基板を割り出す段階と、
段階(c)及び(d)を複数の角度方向毎に反復する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記特徴の各々が第1及び第2側壁を備え、
各特徴の前記第1及び第2側壁に隣接する基板の対称処理形状を提供するために十分な回数前記基板を回転し、段階(c)及び(d)を対応して複数回反復する段階を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記基板を前記エネルギー粒子ビームに露光する段階が、
前記エネルギー粒子ビームで前記基板をエッチングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記基板を前記エネルギー粒子ビームに露光する段階が、
前記エネルギー粒子ビームで前記基板上に被膜を堆積する段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記基板の方位軸と前記エネルギー粒子ビームとの間で入射角を設定するために、前記エネルギー粒子ビームの前記長寸法と実質的に平行な軸の周りで前記基板を傾斜させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図14A】
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【図15】
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【図16】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2010−539674(P2010−539674A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525963(P2010−525963)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/076835
【国際公開番号】WO2009/039261
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(507414535)ビーコ・インスツルメンツ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】