エネルギ吸収構造物、トリムコンポーネント、エネルギ吸収装置及びエネルギ吸収チューブの設計方法
【課題】 ほぼ一定の力レベルで衝撃中の衝撃エネルギを効率的に吸収する構造物を提供する。
【解決手段】 管状エネルギ吸収構造物は成形又は押出加工されたポリマーから形成されている。チューブ(10)は、丸みのある角部をもつ四角形の横断面を有している。チューブの壁(15a〜15d)は、好ましくは平坦部のない、連続的な不変の半径を有する、凸曲面及び凹曲面が交互に配置された波形表面(25,30)を備えた波形とされている。該波形壁は、一定の厚さを有している。波形部分は衝撃の間に累進的に変形し、それにより所定の殆ど一定の力レベルで殆ど完全な方形波力対撓みエネルギ吸収曲線をもたらす。チューブは構造物の衝撃特性を変更するためにポリマー発泡体が充填されてもよい。
【解決手段】 管状エネルギ吸収構造物は成形又は押出加工されたポリマーから形成されている。チューブ(10)は、丸みのある角部をもつ四角形の横断面を有している。チューブの壁(15a〜15d)は、好ましくは平坦部のない、連続的な不変の半径を有する、凸曲面及び凹曲面が交互に配置された波形表面(25,30)を備えた波形とされている。該波形壁は、一定の厚さを有している。波形部分は衝撃の間に累進的に変形し、それにより所定の殆ど一定の力レベルで殆ど完全な方形波力対撓みエネルギ吸収曲線をもたらす。チューブは構造物の衝撃特性を変更するためにポリマー発泡体が充填されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には、自動車のインテリア及びエクステリアコンポーネントに加えられる衝撃力のエネルギを吸収するのに用いられる構造物に関するものである。具体的には、本発明は、衝突中に累進的に変形する(progressively deformable)と共にエネルギを吸収することにより、実質的に一定の反力を発生することのできる管状のエネルギ吸収構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アメリカ合衆国の連邦政府自動車安全基準(FMVSS)は、自動車の損傷を最小にするためのバンパーや、自動車の衝突により生ずる搭乗者の障害の危険を下げるためのインテリアトリムコンポーネントの性能に対して要求事項を課している。これら要求事項に適合するため、自動車製造業者は、自動車のインテリア及びエクステリアコンポーネントと組み合わせてエネルギ吸収構造物を使用している。これらの構造物は、自動車の性能や燃料消費率に大きな影響を与えないように、簡素であり、薄型であり、しかも軽量でなければならない。自動車におけるエネルギ吸収構造物の代表的なインテリア及びエクステリアの適用例は、図11に位置Pで表されている。
【0003】
従来の衝撃エネルギ吸収構造物には、発泡構造物や、紙、繊維、プラスチック及び/又は金属の積層体から形成された波形壁を有する可撓チューブがある。このチューブは、該チューブの壁が外部衝撃力を受けて変形するときにエネルギを吸収する。かかる構造物の例は、特許文献1及び特許文献2に記載されており、それらの開示内容は参照によりここに組み込まれる。積層した又は層状化した構造物は振動緩衝を促進することができる。巻付け又は回転形成された先行技術のエネルギ吸収性の可撓チューブの一例は図1〜図3に示されている。図3は、壁断面の拡大図であり、中央に金属層3を有する内側及び外側クラフト紙層2を示している。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,092,555号明細書
【特許文献2】米国特許第5,680,886号明細書
【0005】
しかし、残念ながら、先行技術の管状構造物は、自動車に対する外部衝撃により発生したエネルギを吸収するのに最適に効率的ではなかった。これに関連して、エネルギ吸収の効率は、方形波力(又は加速度)対撓み曲線の解析により決定される。チューブにより吸収される実際のエネルギは、力を受けている面積対撓み曲線により表される。エネルギ吸収の効率は、次いで、吸収した実際のエネルギを完全に方形又は長方形の面積で割ることにより算出され、ピーク力時間対撓みとして算出される。
【0006】
理想的には、エネルギ吸収構造物は、衝突中に一定の反力、即ち、撓みに対する方形波力をもたらさねばならない。これは、管状のエネルギ吸収構造物の場合には、チューブ壁における応力が一様であり且つチューブが衝突及びエネルギ吸収の間に一様に累進的に変形(ストローク)すべきことを意味している。残念ながら、先行技術の管状構造物は、理想的なエネルギ吸収特性を実現する方法論を提供するものではなかった。
【0007】
また、自動車において又は自動車に関連して使用されるエネルギ吸収構造物は、発送及び保管のために包装が容易でなければならず、車両計器盤カバー/トリムコンポーネントと車体構造との間の低コストのスペーサとして機能しなければならず、及び/又はインテリア車両コンポーネントへのスナップ嵌めによる取付けのための取付け部材を一体的に有していなければならない。先行技術のエネルギ吸収構造物は、これらの特質の全てを組み合わせて提供することができない。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、ほぼ一定の力レベルで衝撃中の衝撃エネルギを効率的に吸収することができ、車両エクステリアに適用の際に低コストのスペーサとして機能することができ、車両インテリアに適用のために低コストのプッシュスナップ取付け部材を組み入れることができ、そして広範囲の温度及び環境条件にわたり一貫した衝撃特性をもたらすことができる管状のストローク式エネルギ吸収構造物を提供することである。
【0009】
従って、本発明のエネルギ吸収構造物は閉断面の多角形チューブであり、該チューブは、該チューブの長さに沿って延びる少なくとも1つの波形側壁を有している。側壁にある波形部分は、好ましくは平坦部がなく、平坦部が存在する場合にも1つの波形部分(単位波形)当たり2つの平坦部があるに過ぎない、連続的な一定の半径を有する。波形部分は、凸曲面と凹曲面とが交互に配置された一連の波形表面により画成されていることが好ましい。壁は、波形部分がエネルギ吸収構造物に加えられる衝撃力に応えて一様に且つ累進的に変形するような材料厚さの材料から形成されている。
【0010】
一実施形態において、エネルギ吸収構造物は、高密度ポリエチレン(HDPE)のような成形又は押出加工のポリマーから形成されたチューブである。該チューブは、4つの波形壁と丸みのある角部とを有する実質的に四角形の横断面をなしている。側壁の各々にある波形部分は、チューブの長さ方向と交差する方向に配向されている。随意であるが、チューブの内部には、エネルギ吸収構造物の衝撃特性を変更するために異なる密度の発泡体を充填(または部分的に充填)することができる。
【0011】
別の実施形態において、エネルギ吸収構造物は、波形側壁の少なくとも1つに取り付けられる(或いは一体に形成される)1つ以上の取付け部材を備えている。該取付け部材の突出した部分は、自動車インテリアのトリムピース又はエクステリア計器盤(fascia)コンポーネントへのエネルギ吸収構造物のスナップ嵌めによる取付けに適応している。
【0012】
更に別の実施形態において、エネルギ吸収構造物は、自動車の乗員室で使用されるトリムコンポーネントと組み合わせられている。チューブの第1端部はトリムコンポーネント壁の内部表面に取り付けられ、チューブの第2端部はトリムコンポーネント壁から突出して位置している。チューブの第2端部にはトリム装着クリップが取り付けられている。チューブは長方形の横断面を画成する4つの波形側壁を有している。チューブの該波形側壁の各々は、一連の相互に結合された波形部分を有している。該波形部分の各々は、側壁の全幅に亘り長手方向に対して交差する方向に配向された、一連の凸曲面と凹曲面とが交互に連続的に配置された波形表面を画成する幾何学的な波形形状を有している。該波形部分は、トリムコンポーネントの外部表面に加えられる衝撃力に応じて累進的に変形しうる。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、自動車に加えられる衝撃力からエネルギを吸収するための装置である。細長いチューブはHDPEのような成形又は押出加工のポリマーから形成されている。このチューブは、4つの波形壁と長方形の横断面とを有している。該チューブは自動車内に位置決めされて軸方向の衝撃力を受ける。波形壁は、チューブ軸心に対して交差する方向に配向された凸曲面と凹曲面とが交互に配置された一連の波形表面により画成された波形部分を有している。該波形部分は、更に、エネルギ吸収装置が波形部分の一様且つ累進的な変形により軸方向衝撃力に応じて実質的に一定の反力を生じるように選定された波形パラメータにより画成されている。選定された波形パラメータは、平坦部を含まない連続的かつ一定の半径を有する波形部分を画成する。
【0014】
選定された波形パラメータは、径方向に凸の波形表面により規定される長い方及び短い方の外側寸法L及びWを含むことが好ましく、L及びWは2.0以下のチューブアスペクト比を規定する。選定された波形パラメータは、更に、半径Rを有する凸及び凹の径方向の波形表面を含む。チューブ横断面の短い方の外側寸法W、Nを整数とすると、N*Rにより示される。また、選定された波形パラメータは、側壁上で隣接した凸曲面が、実質的に4*Rに等しい公称距離だけ隔てられているような波形表面で構成されていることが好ましい。この実施形態において、波形側壁は一様な材料厚さを有しており、また、凹曲面は、凸曲面の半径と実質的に等しい半径を有しており、それにより2*Rに等しい波形の高さが規定されている。
【0015】
本発明は、また、自動車に加えられる一定の衝撃力に応答して衝撃エネルギを効率的に吸収するチューブの設計方法をも含んでいる。この方法は、長い方の外側寸法L及び短い方の内側寸法Wにより画成される実質的に四角形の横断面と中空内部とを有するチューブを選定することから始まる。このチューブは、実質的に一定の材料厚さtの4つの波形側壁を備えており、各側壁が丸い角部を有している。先ず、チューブが設置されるべき自動車内の箇所で利用可能なスペースに基づいて寸法L及びWについての仮の最大チューブ寸法が決定される。次に、チューブが該チューブの90%以下の変形で全衝撃エネルギを吸収するように、エネルギ吸収ストローク距離を予測する。予測したストローク距離に対応する寸法L及びWの一方を選定する。実質的にアスペクト比L/Wが2.0以下にあるように寸法L及びWの他方を選定する。波形壁の各々に、好ましくは平坦区間を含まない一定の連続的な波形半径Rを有する、一連の相互に結合した横向きの凸及び凹の波形部分を設ける。波形半径Rは、短い方のチューブ寸法Wが、Nを整数として、N*Rに等しいように選定される。波形壁材料は、それが破断までに100%を超える伸びを許容できるように選定されることが好ましい。チューブのエネルギ吸収効率は、1以上の衝撃力に応答する時間の経過に伴うチューブの変形をコンピュータモデリングすることにより、最適化することができる。該コンピュータモデリングは、壁材料厚さ及び波形形状寸法についての入力値を反復することを含むことが好ましい。
【0016】
随意であるが、この設計方法は、チューブの内部の少なくとも一部分にポリマー発泡体を設けることにより、異なる大きさの衝撃力に対するチューブの応答を調節すること、及び異なる絶え間ない衝撃力レベルについて発泡体の量及びフォーム密度を調節することを含みうる。
【0017】
本発明の新規なエネルギ吸収構造物は、ほぼ一定の力レベルでの衝撃中に非常に効率的な(方形波力対撓み)エネルギ吸収を可能とすることにより車両インテリア、エクステリア及びバンパーへの適用が可能である。これらの構造物は、欧州連合(EU)下肢形態試験装置を用いて40KMHの衝撃を受けたときに150G未満の“ソフト”ピークの歩行者膝加速度("soft" peak pedestrian knee acceleration)に適合する。また、エネルギ吸収構造物は、高レベルの振動/騒音減衰も実現している。自動車への適用例の場合、本発明のエネルギ吸収構造物は、車両計器盤カバーと車両本体構造との間の低コストのスペーサとして、またインテリアトリム適用のための低コストのスナップフィット方式の取付け部材として機能することができる。本発明は、FMVSS 2.5及び5mph衝撃試験規格、EU歩行者下肢形態の40KMH試験条項、及びFMVSS201u頭部衝撃試験規格に適合しなければならない車両バンパーシステムへの特定の適用が可能である。波形壁は衝撃中に累進的に変形(ストローク)し、それにより、波形壁形状寸法、壁厚さ、及び壁材料の関数である所定の力レベルで殆ど完全な方形波力対撓みエネルギ吸収曲線をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明によるエネルギ吸収構造物の好適な実施形態は図4〜図8に示されている。基本構造は、断面が多角形、円形又は実質的に四角形の閉じたチューブである。図4〜図8の実施形態において、チューブ10は、4つの側壁15a〜15dと中空の内部20とにより定義される実質的に四角形の横断面を有している。図5及び図6に示すように、設計及び模型化のため、チューブ10は、特定のエネルギ吸収適用例で利用しうるスペースにより決定される長さEを有している。チューブの長方形横断面は、長い方の外側寸法Lと短い方の外側寸法Wとにより規定されている。従って、チューブ10のアスペクト比はL/Wにより表すことができる。
【0019】
この実施形態において、側壁15a〜15dの各々は、丸みの付いた角部31で波形にされている。図5、図7及び図8に最も良く示すように、側壁15a〜15dは好ましくは波形の形状寸法を有していて、各波は、中間に平坦部を伴わない連続的な一定半径Rを有している。このように、これらの波は、相互に結合された一連の凸曲面と凹曲面とが交互に配置された波形表面25及び30であることが好ましい。この実施形態において、波形表面25及び30は、チューブ10の長さEに交差する壁15a〜15dの表面に沿って揃って並べられている。
【0020】
図8に示すように、好適な実施形態において、チューブ10は、実質的に一定の壁厚さtと好適な波形形状とを備えることにより、エネルギ吸収の効率が最適化されている。これは、チューブ壁及びこれらの波形部分における応力の均等な分布という結果となり、延いては、衝撃力に応えて実質的に一定の反力をもたらす。従って、これらの波形部分は、チューブに加えられた衝撃力を受けて一様に且つ累進的に変形する。この好適な波形形状によると、チューブ横断面の外側寸法WはN*Rによって定義される。ここで、Nは整数である。図8に最も良く示すように、側壁15a〜15dにある連続的に並んだ径方向の凸の波形表面25は、ほぼ4*Rに等しい公称寸法だけ互いに離れている。径方向の凹の波形表面30は径方向の凸の波形表面25の半径と実質的に等しい半径を有しており、それにより2*Rに等しい公称波高さを規定している。また、図4〜図8に示すような管状エネルギ吸収構造物の試験及び模型化により、好ましいチューブアスペクト比L/Wは、実質的に1.0〜2.0の範囲にあるべきであることが示された。アスペクト比が2.0よりも大きければ、或いは特定の実施形態において1.5よりも大きければ、チューブ10は負荷の下で不安定になるかも知れない。
【0021】
チューブ10は、押出高密度ポリエチレン(HDPE)のようなポリマー、又はアルミニウムのような金属の成形もしくは押出加工により製造されるのが好ましいであろう。
【0022】
エネルギ吸収チューブ10がここに記載したように構成された場合、この構造物のエネルギ吸収効率は、図25に再現されている力−変形曲線に示されているように最適化される。チューブに加えられた力は縦軸に表されている。横軸は、負荷の作用方向にインパクターにより動かされる距離の関数としてチューブの変形を示している。従って、力を受けている面積対撓み曲線は構造物により吸収された実際のエネルギを表している。図25の曲線(a)は、本発明に基づいて設計されたチューブの衝撃エネルギ吸収特性を表すもので、好ましい方形波力応答(square wave force response)を示している。比較すると、曲線(b)は、先行技術で用いられているような典型的な発泡構造物の衝撃エネルギ吸収特性を表している。吸収されたエネルギ(曲線の下の面積)は同じであるが、曲線(a)により表されたエネルギ吸収特性は、低いピーク力及び短いストロークのために、曲線(b)により表されたものよりも優れている。
【0023】
ここに記載したようなチューブ10の最適エネルギ吸収特性は、チューブ側壁15a〜15bにある波形部分の一様且つ累進的な変形を通じて一定の反力をもたらすことによって得られる。これは、最適化された壁厚及び波形形状をもつ4つの波形側壁を長方形チューブ10に影響を与える歩行者下肢形態(pedestrian leg form)を使用するHDPEチューブの模擬ベンチテストにより、実証されている。図26のグラフは、ベンチテスト中のチューブについての予測された力対変形特性を示している。
【0024】
模擬ベンチテストの結果は図22a及び図22bに示されている。符号10aで示されたチューブの像は、時間ステップ4での波形部分の初期の累進的な変形を示している。図22aにおける対応のグラフG1は、同様に時間ステップ4での加速度対時間曲線を示している。図22bにおいて符号10bで示されたチューブの像は、時間ステップ18での波形部分の更なる累進的な変形を示している。対応するグラフG2は、同様に時間ステップ18での加速度対時間曲線を示している。予測した且つモデル化した特性データから、当業者は、本発明の波形管状構造物により優れたエネルギ吸収結果が得られることが分かるであろう。
【0025】
管状のエネルギ吸収構造物についての特定の適用例では、一定反力レベルの幅を設けることが有利であり、そうすれば同じ基本構造が異なる衝撃要件及び車両適用例の幅に対処することができるようになる。これは、高分子発泡体でチューブ10の内部20を部分的に又は完全に満たすことにより達成することができる。発泡体の量及び/又は密度を調整することにより、反力レベルを、且つ特定の場合にはチューブに与えられるエネルギ吸収の効率を変更することができる。図27のグラフは、図24に示したような代表的な波形側壁の管状構造物10の変形に対する、実際の試験した力を示している。試験した構造物は、70×60mmの長方形横断面を有する8×8mm波形のHDPEチューブであり、壁厚は1.5mmであった。発泡体充填物の試験においては、同一構造のチューブに立方フィート当たり2.0ポンドの密度でウレタンフォームを充填した。
【0026】
試験結果(図27のグラフ)は、最適化されたエネルギ吸収性能を維持しながら発泡体を添加することによりチューブの反力を変えることの有効性を示している。
【0027】
図9及び図10は、自動車への、例えば、車両トリム又は計器盤コンポーネントへの直接的な取着に特に適合した本発明のチューブ10の別の実施形態を示している。従って、この実施形態において、一対の取付け部材40が、突出部分45を一側壁15dから横断方向に離れるよう延ばして、チューブ10に取り付けられている、或いはチューブ10と一体に形成されている。突出部分45の精確な位置、大きさ及び形状は、該チューブ取付け部材40が車両構造上に位置決めされた対応の結合部位にスナップ嵌めできるように設定されている。
【0028】
図12及び図13は、本発明に基づくが、3つのみの波形側壁15b、15c及び15dを有しているチューブ10の別の実施形態を示している。閉じた断面構造を完結するために第4の実質的に平らな側壁16を使用することができる。この実施形態は、図11に示すような車両ヘッドライナー及びインテリアにおいて適用例があると考えられる。
【0029】
図14及び図15は、本発明に基づくが、2つの対峙した波形側壁15b及び15dと2つの対峙した実質的に平らな側壁16a及び16bとを有しているチューブ10の別の実施形態を示している。この実施形態は、図11に示すような車両インテリア内の限られた実装スペース箇所において適用例があると考えられる。
【0030】
図16及び図17は、本発明に基づくが、単一の波形側壁15dと3つの実質的に平らな側壁16a、16b及び16bcとを有しているチューブ10の更に別の実施形態を示している。この実施形態は、これら側壁が外観表面となる車両インテリア用に適用例があると考えられる。
【0031】
図18及び図19は、基本の波形チューブ(例えば、図4〜図7に総括的に示されている)の切断した一部分の形状をなす実施形態を示しており、これは波形シート50を構成している。他の実施形態と同様に、このシート50は、相互に結合された半径方向に交互に凸及び凹の一連の波形表面25及び30を含んでいる。該波形表面25及び30は、丸くなって閉じた端部31を有して、シート50の長手方向に対して交差する方向に配向されている。この実施形態は、図11に示すようにルーフヘッドライナーに適用例がある。
【0032】
本発明のエネルギ吸収構造物は、自動車の乗員室において使用されるトリムコンポーネントと組み合わせることができる。かかる適用例において、エネルギ吸収構造物は、該トリムコンポーネントを車両構造物に取り付けるためのスペーサとしても機能することができる。この組合せの一実施形態は図21に示されている。(図4〜図7に総括的に示されているような)波形壁を有する閉じた断面多角形のチューブ10の第1端部は、自動車のAピラー(フロントピラー)のトリムコンポーネント60の内面65に取り付けられる。(フロントガラスフレームの各側でルーフ及び/又は車両フロントガラスを支持する構造部材は一般にAピラーと呼ばれている。)チューブ10の第2端部は表面65から離れるように延びている。トリム装着クリップ70は、チューブ10の第2端部に取り付けられている。該トリム装着クリップは、車両のAピラー(図示せず)にある対応の取付部位にスナップ嵌めしている。
【0033】
従来のAピラートリムコンポーネント60及び装着クリップ70を示す図20を参照すると、本発明のエネルギ吸収チューブ10は、従来のクリップタワー75と置換されていることが分かる。図21のチューブ10は、トリムコンポーネント60を車両から適度に離間して配置するのに十分な剛性を有するように製造されている。しかしながら、従来のクリップタワーとは異なり、最適の波形形状を有する波形チューブ10は、車両乗員によるAピラーとの衝突を救済するのに必要なエネルギ吸収機能をも有している。
【0034】
図23は、本発明のエネルギ吸収構造物の別の実施形態を示している。この構造物は、概して、実質的に四角の横断面と、最適化した波形形状(図4〜図7に概して示されている)をもつ4つの波形壁とを有するチューブ10である。しかしながら、図23の実施形態において、チューブ10は長さ方向に変化するプロフィールを有している。チューブ10の軸心は部分95で変化している。加えて、チューブの横断面積は、2.0以下の同じアスペクト比を維持しながらチューブ部分100で変化している。図23の実施形態は、計器盤とバンパービームとの間に装着される衝撃吸収器として使用することができる。
【0035】
本発明の基本的な波形管状構造物は、予測可能な設計方法論を用いて多様なエネルギ吸収適用例において使用可能となるように最適化することができる。自動車に作用する一定の衝撃力に応じて効率的に衝撃エネルギを吸収可能となるようにチューブを設計する方法は、典型的には、閉じた多角形横断面を有するチューブを選定することから始まる。
【0036】
次に、設計者は、チューブが配置されるべき自動車内の箇所において利用可能なスペースに基づいて最大の仮のチューブ寸法を決めねばならない。搬送及び保管のためのチューブの包装寸法もこの設計段階で考慮しなければならない。
【0037】
設計者にとっては、好ましいチューブ横断面は、図4に示すように、幅(W)対長さ(L)の比(L/W)が2.0以下の実質的に四角形をなす。ここでLは大きい方の寸法である。管状構造物は、アスペクト比L/Wが2.0よりも大きいと、不安定座屈モードで変形する可能性がある。
【0038】
設計者は、次いで、波形部分が平坦部を少し有する(1つの波につき2つに過ぎない)か、または何ら平坦部を含まず、不変の連続的な半径を有する好適な波形形状を採用しなければならない。この波形形状は、より一様な応力の分布、衝撃及びエネルギ吸収中の各波形部分の一様な累進的変形という結果をもたらす。
【0039】
好ましい壁材料は、破断に至るまで100%以上の伸びを許容しうる十分な可塑性を有する金属、複合材、又は押出HDPEのようなポリマーである。
【0040】
次に設計者は、衝撃エネルギの全てを吸収する所定の一定力レベル(又は加速度レベル)についてのストローク寸法が、全チューブ寸法の90%以内となるように選定する。例えば、歩行者下肢衝撃試験は、40km/時間の衝撃速度及び試験に使用される13.3kg質量の下肢型により特定化される総衝撃エネルギをもつ150G未満のピーク加速度を必要とする。例えば、120G(3511LBF=15.59KN)の設計一定加速度レベルに対して、基本的な波形管状構造物が100%の衝撃エネルギを吸収するためには約53mmの変形(ストローク)しなければならない。従って、53mmよりも大きな総寸法(L)を有する管状構造物が選定されねばならない。
【0041】
一定反力又は加速度レベルは、主として、側壁にある波形部分の形状寸法及び壁厚の関数である。これは、LS−DYNA(米国 Livermore Software Technology Corporation の登録商標)のような汎用のコンピュータシミュレーションソフトウエアを使用して算出することができる。なおLS−DYNAは、三次元構造物の非線形動的応答の陽解法による有限要素解析のためのソフトウエアプログラムである。図22a及び図22bは、車両バンパーに装着されたときの本発明の基本的な波形管状エネルギ吸収装置の下肢型衝撃試験についての代表的なLS−DYNAシミュレーションを示している。出力されたシミュレーショングラフはほぼ一定の120G加速度レベル対時間を示している。
【0042】
エネルギ吸収の効率は、実際のエネルギ(力を受けている面積対撓み曲線)を、ピーク撓みを掛けたピーク力として算出された正方形又は長方形面積で割った比により決定される。効率は、波形部分の形状寸法、材料及び壁厚のキー入力値を反復するLS−DYNAのようなソフトウエアを使用することにより最適化することができる。このような反復型設計プロセスは、基本的な波形管状構造物が波形部分の形状寸法及び壁厚に対する1組以上の入力パラメータについて、ほぼ完全な一定力レベル変形をもたらすことを示すであろう。
【0043】
上述したように、ある範囲の一定力レベルをもたらすことができる波形管状エネルギ吸収構造物を設計することが有利である。これは、基本的な構造設計がある範囲の異なる衝撃要件及び異なる車両適用例を受け入れることを可能にするであろう。上述のことを遂行するため、設計方法は、基本構造物を量及び密度が可変のポリマー発泡体で充填することを含んでいる。場合によっては、発泡体密度はエネルギ吸収の効率を更に改善するよう選定されることができる。
【0044】
要約すれば、エネルギ吸収構造物の設計方法に係わる好適な実施形態は以下の諸ステップ、即ち、
a.長い方のチューブ寸法L及び短い方のチューブ寸法Wにより画定される実質的に四角形の横断面と中空内部とを有するチューブを選定するステップ;
b.チューブに、実質的に一定の材料厚さtの4つの波形側壁を、各側壁が丸い角部を有するように設けるステップ;
c.チューブが設置されるべき自動車における箇所で利用可能なスペースに基づいてL及びWについての仮の最大チューブ寸法を決定するステップ;
d.チューブが該チューブの90%以下の変形内の全衝撃エネルギを吸収するようにエネルギ吸収ストローク距離を予測するステップ;
e.予測したストローク距離に対応する寸法L及びWの一方を選定するステップ;
f.アスペクト比L/Wが2.0の以下の限界内に実質的にあるように寸法L及びWの他方を選定するステップ;
g.前記波形壁の各々に、少ない平坦部を有するかまたは平坦部を含まない一定の連続的な波形半径Rを有する、一連の相互に結合した横方向の凸曲面及び凹曲面の波形部分を与えるステップ;
h.短い方のチューブ寸法Wが、Nを整数として、N*Rに等しいように、前記波形半径Rを選定するステップ;
を含むであろう。
【0045】
この設計方法は、破断に至るまで100%を超える伸びを許容する金属、複合材、又はポリマー壁材料を選定するステップを更に含むことができる。
【0046】
好ましい設計方法によると、チューブのエネルギ吸収効率は、時間の経過に伴うチューブ変形、及び1以上の衝撃力に応答する撓みのコンピュータモデリングにより最適化される。コンピュータモデリングは、所望の力レベルでの方形波力対撓みが達成されるまで、波形半径Rを含む波形形状寸法及び壁材料厚さtについての反復値の入力を含むべきである。
【0047】
設計方法の別の実施形態においては、異なる大きさの絶え間ない衝撃力に対するチューブの応答を、該チューブの内部の少なくとも一部分に既知のフォーム密度を有するある量のポリマー発泡体を与えることにより調節することができる。その後、発泡体の量及びフォーム密度は、異なる絶え間ない衝撃力レベルに適応するよう変更される。
【0048】
以上のように、新規且つ有用な波形管状エネルギ吸収構造物について、本発明の特定の実施形態を説明したが、かかる説明は、特許請求の範囲に記載されたことを除いて、本発明の範囲に対する限定と解されるのを意図しているのではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来の回転形成された管状エネルギ吸収体の等角投影図である。
【図2】図1のエネルギ吸収体の側断面図である。
【図3】図1及び図2のエネルギ吸収体の壁部分(X)の拡大断面図である。
【図4】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の一実施形態を示す等角投影図である。
【図5】図4のエネルギ吸収構造物の側面図である。
【図6】図4のエネルギ吸収構造物の端面図である。
【図7】図4のエネルギ吸収構造物の横断面図である。
【図8】図4及び図7のエネルギ吸収構造物の実施形態の波形壁部分(B)の横断面図である。
【図9】一体取付け部材を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の一実施形態の等角投影図である。
【図10】図9のエネルギ吸収構造物の実施形態の側面図である。
【図11】本発明に基づくエネルギ吸収構造物の適用可能性のある箇所を示す、自動車の等角投影図である。
【図12】3つの波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図13】図12に示したエネルギ吸収構造物の3壁型実施形態の端面図である。
【図14】2つの波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図15】図14に示したエネルギ吸収構造物の2壁型実施形態の端面図である。
【図16】単一の波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の更に別の実施形態の等角投影図である。
【図17】図16に示したエネルギ吸収構造物の単一壁型実施形態の端面図である。
【図18】波形シート構造を形成する単一の波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図19】図18に示したエネルギ吸収構造物の波形シート型実施形態の端面図である。
【図20】代表的な自動車Aピラートリムの等角内部投影図で、射出成形した従来のクリップタワーを示している。
【図21】図20に示したような代表的な自動車Aピラートリムコンポーネントの等角内部投影図であるが、その装着クリップは本発明による波形管状エネルギ吸収構造物に取り付けられている。
【図22a】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の衝撃特性のコンピュータシミュレーションの結果(時間ステップ4での)を図解している。
【図22b】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の衝撃特性のコンピュータシミュレーションの結果(時間ステップ18での)を図解している。
【図23】可変の幾何学的プロフィールを有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図24】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の試験に供した実施形態の斜視図であり、これは、70×60mmの長方形横断面をもつ、HDPE材料で形成された8×8mmの波形チューブであり、立方フィート当たり2.0ポンドの密度でウレタンフォームを充填されている。
【図25】構造物のエネルギ吸収効率を示す力−変形曲線のグラフである。
【図26】ベンチテスト中のチューブについての予測された力対変形特性を示すグラフである。
【図27】代表的な波形側壁の管状構造物の変形に対する、実際の試験した力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
10 チューブ
15a〜15d 側壁
20 中空の内部
25 波形表面
30 波形表面
31 丸みの付いた角部
40 取付け部材
45 突出部分
50 波形シート
60 トリムコンポーネント
65 内面
70 トリム装着クリップ
E 長さ
L 長辺外側寸法
W 短辺外側寸法
t 壁厚さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には、自動車のインテリア及びエクステリアコンポーネントに加えられる衝撃力のエネルギを吸収するのに用いられる構造物に関するものである。具体的には、本発明は、衝突中に累進的に変形する(progressively deformable)と共にエネルギを吸収することにより、実質的に一定の反力を発生することのできる管状のエネルギ吸収構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アメリカ合衆国の連邦政府自動車安全基準(FMVSS)は、自動車の損傷を最小にするためのバンパーや、自動車の衝突により生ずる搭乗者の障害の危険を下げるためのインテリアトリムコンポーネントの性能に対して要求事項を課している。これら要求事項に適合するため、自動車製造業者は、自動車のインテリア及びエクステリアコンポーネントと組み合わせてエネルギ吸収構造物を使用している。これらの構造物は、自動車の性能や燃料消費率に大きな影響を与えないように、簡素であり、薄型であり、しかも軽量でなければならない。自動車におけるエネルギ吸収構造物の代表的なインテリア及びエクステリアの適用例は、図11に位置Pで表されている。
【0003】
従来の衝撃エネルギ吸収構造物には、発泡構造物や、紙、繊維、プラスチック及び/又は金属の積層体から形成された波形壁を有する可撓チューブがある。このチューブは、該チューブの壁が外部衝撃力を受けて変形するときにエネルギを吸収する。かかる構造物の例は、特許文献1及び特許文献2に記載されており、それらの開示内容は参照によりここに組み込まれる。積層した又は層状化した構造物は振動緩衝を促進することができる。巻付け又は回転形成された先行技術のエネルギ吸収性の可撓チューブの一例は図1〜図3に示されている。図3は、壁断面の拡大図であり、中央に金属層3を有する内側及び外側クラフト紙層2を示している。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,092,555号明細書
【特許文献2】米国特許第5,680,886号明細書
【0005】
しかし、残念ながら、先行技術の管状構造物は、自動車に対する外部衝撃により発生したエネルギを吸収するのに最適に効率的ではなかった。これに関連して、エネルギ吸収の効率は、方形波力(又は加速度)対撓み曲線の解析により決定される。チューブにより吸収される実際のエネルギは、力を受けている面積対撓み曲線により表される。エネルギ吸収の効率は、次いで、吸収した実際のエネルギを完全に方形又は長方形の面積で割ることにより算出され、ピーク力時間対撓みとして算出される。
【0006】
理想的には、エネルギ吸収構造物は、衝突中に一定の反力、即ち、撓みに対する方形波力をもたらさねばならない。これは、管状のエネルギ吸収構造物の場合には、チューブ壁における応力が一様であり且つチューブが衝突及びエネルギ吸収の間に一様に累進的に変形(ストローク)すべきことを意味している。残念ながら、先行技術の管状構造物は、理想的なエネルギ吸収特性を実現する方法論を提供するものではなかった。
【0007】
また、自動車において又は自動車に関連して使用されるエネルギ吸収構造物は、発送及び保管のために包装が容易でなければならず、車両計器盤カバー/トリムコンポーネントと車体構造との間の低コストのスペーサとして機能しなければならず、及び/又はインテリア車両コンポーネントへのスナップ嵌めによる取付けのための取付け部材を一体的に有していなければならない。先行技術のエネルギ吸収構造物は、これらの特質の全てを組み合わせて提供することができない。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、ほぼ一定の力レベルで衝撃中の衝撃エネルギを効率的に吸収することができ、車両エクステリアに適用の際に低コストのスペーサとして機能することができ、車両インテリアに適用のために低コストのプッシュスナップ取付け部材を組み入れることができ、そして広範囲の温度及び環境条件にわたり一貫した衝撃特性をもたらすことができる管状のストローク式エネルギ吸収構造物を提供することである。
【0009】
従って、本発明のエネルギ吸収構造物は閉断面の多角形チューブであり、該チューブは、該チューブの長さに沿って延びる少なくとも1つの波形側壁を有している。側壁にある波形部分は、好ましくは平坦部がなく、平坦部が存在する場合にも1つの波形部分(単位波形)当たり2つの平坦部があるに過ぎない、連続的な一定の半径を有する。波形部分は、凸曲面と凹曲面とが交互に配置された一連の波形表面により画成されていることが好ましい。壁は、波形部分がエネルギ吸収構造物に加えられる衝撃力に応えて一様に且つ累進的に変形するような材料厚さの材料から形成されている。
【0010】
一実施形態において、エネルギ吸収構造物は、高密度ポリエチレン(HDPE)のような成形又は押出加工のポリマーから形成されたチューブである。該チューブは、4つの波形壁と丸みのある角部とを有する実質的に四角形の横断面をなしている。側壁の各々にある波形部分は、チューブの長さ方向と交差する方向に配向されている。随意であるが、チューブの内部には、エネルギ吸収構造物の衝撃特性を変更するために異なる密度の発泡体を充填(または部分的に充填)することができる。
【0011】
別の実施形態において、エネルギ吸収構造物は、波形側壁の少なくとも1つに取り付けられる(或いは一体に形成される)1つ以上の取付け部材を備えている。該取付け部材の突出した部分は、自動車インテリアのトリムピース又はエクステリア計器盤(fascia)コンポーネントへのエネルギ吸収構造物のスナップ嵌めによる取付けに適応している。
【0012】
更に別の実施形態において、エネルギ吸収構造物は、自動車の乗員室で使用されるトリムコンポーネントと組み合わせられている。チューブの第1端部はトリムコンポーネント壁の内部表面に取り付けられ、チューブの第2端部はトリムコンポーネント壁から突出して位置している。チューブの第2端部にはトリム装着クリップが取り付けられている。チューブは長方形の横断面を画成する4つの波形側壁を有している。チューブの該波形側壁の各々は、一連の相互に結合された波形部分を有している。該波形部分の各々は、側壁の全幅に亘り長手方向に対して交差する方向に配向された、一連の凸曲面と凹曲面とが交互に連続的に配置された波形表面を画成する幾何学的な波形形状を有している。該波形部分は、トリムコンポーネントの外部表面に加えられる衝撃力に応じて累進的に変形しうる。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、自動車に加えられる衝撃力からエネルギを吸収するための装置である。細長いチューブはHDPEのような成形又は押出加工のポリマーから形成されている。このチューブは、4つの波形壁と長方形の横断面とを有している。該チューブは自動車内に位置決めされて軸方向の衝撃力を受ける。波形壁は、チューブ軸心に対して交差する方向に配向された凸曲面と凹曲面とが交互に配置された一連の波形表面により画成された波形部分を有している。該波形部分は、更に、エネルギ吸収装置が波形部分の一様且つ累進的な変形により軸方向衝撃力に応じて実質的に一定の反力を生じるように選定された波形パラメータにより画成されている。選定された波形パラメータは、平坦部を含まない連続的かつ一定の半径を有する波形部分を画成する。
【0014】
選定された波形パラメータは、径方向に凸の波形表面により規定される長い方及び短い方の外側寸法L及びWを含むことが好ましく、L及びWは2.0以下のチューブアスペクト比を規定する。選定された波形パラメータは、更に、半径Rを有する凸及び凹の径方向の波形表面を含む。チューブ横断面の短い方の外側寸法W、Nを整数とすると、N*Rにより示される。また、選定された波形パラメータは、側壁上で隣接した凸曲面が、実質的に4*Rに等しい公称距離だけ隔てられているような波形表面で構成されていることが好ましい。この実施形態において、波形側壁は一様な材料厚さを有しており、また、凹曲面は、凸曲面の半径と実質的に等しい半径を有しており、それにより2*Rに等しい波形の高さが規定されている。
【0015】
本発明は、また、自動車に加えられる一定の衝撃力に応答して衝撃エネルギを効率的に吸収するチューブの設計方法をも含んでいる。この方法は、長い方の外側寸法L及び短い方の内側寸法Wにより画成される実質的に四角形の横断面と中空内部とを有するチューブを選定することから始まる。このチューブは、実質的に一定の材料厚さtの4つの波形側壁を備えており、各側壁が丸い角部を有している。先ず、チューブが設置されるべき自動車内の箇所で利用可能なスペースに基づいて寸法L及びWについての仮の最大チューブ寸法が決定される。次に、チューブが該チューブの90%以下の変形で全衝撃エネルギを吸収するように、エネルギ吸収ストローク距離を予測する。予測したストローク距離に対応する寸法L及びWの一方を選定する。実質的にアスペクト比L/Wが2.0以下にあるように寸法L及びWの他方を選定する。波形壁の各々に、好ましくは平坦区間を含まない一定の連続的な波形半径Rを有する、一連の相互に結合した横向きの凸及び凹の波形部分を設ける。波形半径Rは、短い方のチューブ寸法Wが、Nを整数として、N*Rに等しいように選定される。波形壁材料は、それが破断までに100%を超える伸びを許容できるように選定されることが好ましい。チューブのエネルギ吸収効率は、1以上の衝撃力に応答する時間の経過に伴うチューブの変形をコンピュータモデリングすることにより、最適化することができる。該コンピュータモデリングは、壁材料厚さ及び波形形状寸法についての入力値を反復することを含むことが好ましい。
【0016】
随意であるが、この設計方法は、チューブの内部の少なくとも一部分にポリマー発泡体を設けることにより、異なる大きさの衝撃力に対するチューブの応答を調節すること、及び異なる絶え間ない衝撃力レベルについて発泡体の量及びフォーム密度を調節することを含みうる。
【0017】
本発明の新規なエネルギ吸収構造物は、ほぼ一定の力レベルでの衝撃中に非常に効率的な(方形波力対撓み)エネルギ吸収を可能とすることにより車両インテリア、エクステリア及びバンパーへの適用が可能である。これらの構造物は、欧州連合(EU)下肢形態試験装置を用いて40KMHの衝撃を受けたときに150G未満の“ソフト”ピークの歩行者膝加速度("soft" peak pedestrian knee acceleration)に適合する。また、エネルギ吸収構造物は、高レベルの振動/騒音減衰も実現している。自動車への適用例の場合、本発明のエネルギ吸収構造物は、車両計器盤カバーと車両本体構造との間の低コストのスペーサとして、またインテリアトリム適用のための低コストのスナップフィット方式の取付け部材として機能することができる。本発明は、FMVSS 2.5及び5mph衝撃試験規格、EU歩行者下肢形態の40KMH試験条項、及びFMVSS201u頭部衝撃試験規格に適合しなければならない車両バンパーシステムへの特定の適用が可能である。波形壁は衝撃中に累進的に変形(ストローク)し、それにより、波形壁形状寸法、壁厚さ、及び壁材料の関数である所定の力レベルで殆ど完全な方形波力対撓みエネルギ吸収曲線をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明によるエネルギ吸収構造物の好適な実施形態は図4〜図8に示されている。基本構造は、断面が多角形、円形又は実質的に四角形の閉じたチューブである。図4〜図8の実施形態において、チューブ10は、4つの側壁15a〜15dと中空の内部20とにより定義される実質的に四角形の横断面を有している。図5及び図6に示すように、設計及び模型化のため、チューブ10は、特定のエネルギ吸収適用例で利用しうるスペースにより決定される長さEを有している。チューブの長方形横断面は、長い方の外側寸法Lと短い方の外側寸法Wとにより規定されている。従って、チューブ10のアスペクト比はL/Wにより表すことができる。
【0019】
この実施形態において、側壁15a〜15dの各々は、丸みの付いた角部31で波形にされている。図5、図7及び図8に最も良く示すように、側壁15a〜15dは好ましくは波形の形状寸法を有していて、各波は、中間に平坦部を伴わない連続的な一定半径Rを有している。このように、これらの波は、相互に結合された一連の凸曲面と凹曲面とが交互に配置された波形表面25及び30であることが好ましい。この実施形態において、波形表面25及び30は、チューブ10の長さEに交差する壁15a〜15dの表面に沿って揃って並べられている。
【0020】
図8に示すように、好適な実施形態において、チューブ10は、実質的に一定の壁厚さtと好適な波形形状とを備えることにより、エネルギ吸収の効率が最適化されている。これは、チューブ壁及びこれらの波形部分における応力の均等な分布という結果となり、延いては、衝撃力に応えて実質的に一定の反力をもたらす。従って、これらの波形部分は、チューブに加えられた衝撃力を受けて一様に且つ累進的に変形する。この好適な波形形状によると、チューブ横断面の外側寸法WはN*Rによって定義される。ここで、Nは整数である。図8に最も良く示すように、側壁15a〜15dにある連続的に並んだ径方向の凸の波形表面25は、ほぼ4*Rに等しい公称寸法だけ互いに離れている。径方向の凹の波形表面30は径方向の凸の波形表面25の半径と実質的に等しい半径を有しており、それにより2*Rに等しい公称波高さを規定している。また、図4〜図8に示すような管状エネルギ吸収構造物の試験及び模型化により、好ましいチューブアスペクト比L/Wは、実質的に1.0〜2.0の範囲にあるべきであることが示された。アスペクト比が2.0よりも大きければ、或いは特定の実施形態において1.5よりも大きければ、チューブ10は負荷の下で不安定になるかも知れない。
【0021】
チューブ10は、押出高密度ポリエチレン(HDPE)のようなポリマー、又はアルミニウムのような金属の成形もしくは押出加工により製造されるのが好ましいであろう。
【0022】
エネルギ吸収チューブ10がここに記載したように構成された場合、この構造物のエネルギ吸収効率は、図25に再現されている力−変形曲線に示されているように最適化される。チューブに加えられた力は縦軸に表されている。横軸は、負荷の作用方向にインパクターにより動かされる距離の関数としてチューブの変形を示している。従って、力を受けている面積対撓み曲線は構造物により吸収された実際のエネルギを表している。図25の曲線(a)は、本発明に基づいて設計されたチューブの衝撃エネルギ吸収特性を表すもので、好ましい方形波力応答(square wave force response)を示している。比較すると、曲線(b)は、先行技術で用いられているような典型的な発泡構造物の衝撃エネルギ吸収特性を表している。吸収されたエネルギ(曲線の下の面積)は同じであるが、曲線(a)により表されたエネルギ吸収特性は、低いピーク力及び短いストロークのために、曲線(b)により表されたものよりも優れている。
【0023】
ここに記載したようなチューブ10の最適エネルギ吸収特性は、チューブ側壁15a〜15bにある波形部分の一様且つ累進的な変形を通じて一定の反力をもたらすことによって得られる。これは、最適化された壁厚及び波形形状をもつ4つの波形側壁を長方形チューブ10に影響を与える歩行者下肢形態(pedestrian leg form)を使用するHDPEチューブの模擬ベンチテストにより、実証されている。図26のグラフは、ベンチテスト中のチューブについての予測された力対変形特性を示している。
【0024】
模擬ベンチテストの結果は図22a及び図22bに示されている。符号10aで示されたチューブの像は、時間ステップ4での波形部分の初期の累進的な変形を示している。図22aにおける対応のグラフG1は、同様に時間ステップ4での加速度対時間曲線を示している。図22bにおいて符号10bで示されたチューブの像は、時間ステップ18での波形部分の更なる累進的な変形を示している。対応するグラフG2は、同様に時間ステップ18での加速度対時間曲線を示している。予測した且つモデル化した特性データから、当業者は、本発明の波形管状構造物により優れたエネルギ吸収結果が得られることが分かるであろう。
【0025】
管状のエネルギ吸収構造物についての特定の適用例では、一定反力レベルの幅を設けることが有利であり、そうすれば同じ基本構造が異なる衝撃要件及び車両適用例の幅に対処することができるようになる。これは、高分子発泡体でチューブ10の内部20を部分的に又は完全に満たすことにより達成することができる。発泡体の量及び/又は密度を調整することにより、反力レベルを、且つ特定の場合にはチューブに与えられるエネルギ吸収の効率を変更することができる。図27のグラフは、図24に示したような代表的な波形側壁の管状構造物10の変形に対する、実際の試験した力を示している。試験した構造物は、70×60mmの長方形横断面を有する8×8mm波形のHDPEチューブであり、壁厚は1.5mmであった。発泡体充填物の試験においては、同一構造のチューブに立方フィート当たり2.0ポンドの密度でウレタンフォームを充填した。
【0026】
試験結果(図27のグラフ)は、最適化されたエネルギ吸収性能を維持しながら発泡体を添加することによりチューブの反力を変えることの有効性を示している。
【0027】
図9及び図10は、自動車への、例えば、車両トリム又は計器盤コンポーネントへの直接的な取着に特に適合した本発明のチューブ10の別の実施形態を示している。従って、この実施形態において、一対の取付け部材40が、突出部分45を一側壁15dから横断方向に離れるよう延ばして、チューブ10に取り付けられている、或いはチューブ10と一体に形成されている。突出部分45の精確な位置、大きさ及び形状は、該チューブ取付け部材40が車両構造上に位置決めされた対応の結合部位にスナップ嵌めできるように設定されている。
【0028】
図12及び図13は、本発明に基づくが、3つのみの波形側壁15b、15c及び15dを有しているチューブ10の別の実施形態を示している。閉じた断面構造を完結するために第4の実質的に平らな側壁16を使用することができる。この実施形態は、図11に示すような車両ヘッドライナー及びインテリアにおいて適用例があると考えられる。
【0029】
図14及び図15は、本発明に基づくが、2つの対峙した波形側壁15b及び15dと2つの対峙した実質的に平らな側壁16a及び16bとを有しているチューブ10の別の実施形態を示している。この実施形態は、図11に示すような車両インテリア内の限られた実装スペース箇所において適用例があると考えられる。
【0030】
図16及び図17は、本発明に基づくが、単一の波形側壁15dと3つの実質的に平らな側壁16a、16b及び16bcとを有しているチューブ10の更に別の実施形態を示している。この実施形態は、これら側壁が外観表面となる車両インテリア用に適用例があると考えられる。
【0031】
図18及び図19は、基本の波形チューブ(例えば、図4〜図7に総括的に示されている)の切断した一部分の形状をなす実施形態を示しており、これは波形シート50を構成している。他の実施形態と同様に、このシート50は、相互に結合された半径方向に交互に凸及び凹の一連の波形表面25及び30を含んでいる。該波形表面25及び30は、丸くなって閉じた端部31を有して、シート50の長手方向に対して交差する方向に配向されている。この実施形態は、図11に示すようにルーフヘッドライナーに適用例がある。
【0032】
本発明のエネルギ吸収構造物は、自動車の乗員室において使用されるトリムコンポーネントと組み合わせることができる。かかる適用例において、エネルギ吸収構造物は、該トリムコンポーネントを車両構造物に取り付けるためのスペーサとしても機能することができる。この組合せの一実施形態は図21に示されている。(図4〜図7に総括的に示されているような)波形壁を有する閉じた断面多角形のチューブ10の第1端部は、自動車のAピラー(フロントピラー)のトリムコンポーネント60の内面65に取り付けられる。(フロントガラスフレームの各側でルーフ及び/又は車両フロントガラスを支持する構造部材は一般にAピラーと呼ばれている。)チューブ10の第2端部は表面65から離れるように延びている。トリム装着クリップ70は、チューブ10の第2端部に取り付けられている。該トリム装着クリップは、車両のAピラー(図示せず)にある対応の取付部位にスナップ嵌めしている。
【0033】
従来のAピラートリムコンポーネント60及び装着クリップ70を示す図20を参照すると、本発明のエネルギ吸収チューブ10は、従来のクリップタワー75と置換されていることが分かる。図21のチューブ10は、トリムコンポーネント60を車両から適度に離間して配置するのに十分な剛性を有するように製造されている。しかしながら、従来のクリップタワーとは異なり、最適の波形形状を有する波形チューブ10は、車両乗員によるAピラーとの衝突を救済するのに必要なエネルギ吸収機能をも有している。
【0034】
図23は、本発明のエネルギ吸収構造物の別の実施形態を示している。この構造物は、概して、実質的に四角の横断面と、最適化した波形形状(図4〜図7に概して示されている)をもつ4つの波形壁とを有するチューブ10である。しかしながら、図23の実施形態において、チューブ10は長さ方向に変化するプロフィールを有している。チューブ10の軸心は部分95で変化している。加えて、チューブの横断面積は、2.0以下の同じアスペクト比を維持しながらチューブ部分100で変化している。図23の実施形態は、計器盤とバンパービームとの間に装着される衝撃吸収器として使用することができる。
【0035】
本発明の基本的な波形管状構造物は、予測可能な設計方法論を用いて多様なエネルギ吸収適用例において使用可能となるように最適化することができる。自動車に作用する一定の衝撃力に応じて効率的に衝撃エネルギを吸収可能となるようにチューブを設計する方法は、典型的には、閉じた多角形横断面を有するチューブを選定することから始まる。
【0036】
次に、設計者は、チューブが配置されるべき自動車内の箇所において利用可能なスペースに基づいて最大の仮のチューブ寸法を決めねばならない。搬送及び保管のためのチューブの包装寸法もこの設計段階で考慮しなければならない。
【0037】
設計者にとっては、好ましいチューブ横断面は、図4に示すように、幅(W)対長さ(L)の比(L/W)が2.0以下の実質的に四角形をなす。ここでLは大きい方の寸法である。管状構造物は、アスペクト比L/Wが2.0よりも大きいと、不安定座屈モードで変形する可能性がある。
【0038】
設計者は、次いで、波形部分が平坦部を少し有する(1つの波につき2つに過ぎない)か、または何ら平坦部を含まず、不変の連続的な半径を有する好適な波形形状を採用しなければならない。この波形形状は、より一様な応力の分布、衝撃及びエネルギ吸収中の各波形部分の一様な累進的変形という結果をもたらす。
【0039】
好ましい壁材料は、破断に至るまで100%以上の伸びを許容しうる十分な可塑性を有する金属、複合材、又は押出HDPEのようなポリマーである。
【0040】
次に設計者は、衝撃エネルギの全てを吸収する所定の一定力レベル(又は加速度レベル)についてのストローク寸法が、全チューブ寸法の90%以内となるように選定する。例えば、歩行者下肢衝撃試験は、40km/時間の衝撃速度及び試験に使用される13.3kg質量の下肢型により特定化される総衝撃エネルギをもつ150G未満のピーク加速度を必要とする。例えば、120G(3511LBF=15.59KN)の設計一定加速度レベルに対して、基本的な波形管状構造物が100%の衝撃エネルギを吸収するためには約53mmの変形(ストローク)しなければならない。従って、53mmよりも大きな総寸法(L)を有する管状構造物が選定されねばならない。
【0041】
一定反力又は加速度レベルは、主として、側壁にある波形部分の形状寸法及び壁厚の関数である。これは、LS−DYNA(米国 Livermore Software Technology Corporation の登録商標)のような汎用のコンピュータシミュレーションソフトウエアを使用して算出することができる。なおLS−DYNAは、三次元構造物の非線形動的応答の陽解法による有限要素解析のためのソフトウエアプログラムである。図22a及び図22bは、車両バンパーに装着されたときの本発明の基本的な波形管状エネルギ吸収装置の下肢型衝撃試験についての代表的なLS−DYNAシミュレーションを示している。出力されたシミュレーショングラフはほぼ一定の120G加速度レベル対時間を示している。
【0042】
エネルギ吸収の効率は、実際のエネルギ(力を受けている面積対撓み曲線)を、ピーク撓みを掛けたピーク力として算出された正方形又は長方形面積で割った比により決定される。効率は、波形部分の形状寸法、材料及び壁厚のキー入力値を反復するLS−DYNAのようなソフトウエアを使用することにより最適化することができる。このような反復型設計プロセスは、基本的な波形管状構造物が波形部分の形状寸法及び壁厚に対する1組以上の入力パラメータについて、ほぼ完全な一定力レベル変形をもたらすことを示すであろう。
【0043】
上述したように、ある範囲の一定力レベルをもたらすことができる波形管状エネルギ吸収構造物を設計することが有利である。これは、基本的な構造設計がある範囲の異なる衝撃要件及び異なる車両適用例を受け入れることを可能にするであろう。上述のことを遂行するため、設計方法は、基本構造物を量及び密度が可変のポリマー発泡体で充填することを含んでいる。場合によっては、発泡体密度はエネルギ吸収の効率を更に改善するよう選定されることができる。
【0044】
要約すれば、エネルギ吸収構造物の設計方法に係わる好適な実施形態は以下の諸ステップ、即ち、
a.長い方のチューブ寸法L及び短い方のチューブ寸法Wにより画定される実質的に四角形の横断面と中空内部とを有するチューブを選定するステップ;
b.チューブに、実質的に一定の材料厚さtの4つの波形側壁を、各側壁が丸い角部を有するように設けるステップ;
c.チューブが設置されるべき自動車における箇所で利用可能なスペースに基づいてL及びWについての仮の最大チューブ寸法を決定するステップ;
d.チューブが該チューブの90%以下の変形内の全衝撃エネルギを吸収するようにエネルギ吸収ストローク距離を予測するステップ;
e.予測したストローク距離に対応する寸法L及びWの一方を選定するステップ;
f.アスペクト比L/Wが2.0の以下の限界内に実質的にあるように寸法L及びWの他方を選定するステップ;
g.前記波形壁の各々に、少ない平坦部を有するかまたは平坦部を含まない一定の連続的な波形半径Rを有する、一連の相互に結合した横方向の凸曲面及び凹曲面の波形部分を与えるステップ;
h.短い方のチューブ寸法Wが、Nを整数として、N*Rに等しいように、前記波形半径Rを選定するステップ;
を含むであろう。
【0045】
この設計方法は、破断に至るまで100%を超える伸びを許容する金属、複合材、又はポリマー壁材料を選定するステップを更に含むことができる。
【0046】
好ましい設計方法によると、チューブのエネルギ吸収効率は、時間の経過に伴うチューブ変形、及び1以上の衝撃力に応答する撓みのコンピュータモデリングにより最適化される。コンピュータモデリングは、所望の力レベルでの方形波力対撓みが達成されるまで、波形半径Rを含む波形形状寸法及び壁材料厚さtについての反復値の入力を含むべきである。
【0047】
設計方法の別の実施形態においては、異なる大きさの絶え間ない衝撃力に対するチューブの応答を、該チューブの内部の少なくとも一部分に既知のフォーム密度を有するある量のポリマー発泡体を与えることにより調節することができる。その後、発泡体の量及びフォーム密度は、異なる絶え間ない衝撃力レベルに適応するよう変更される。
【0048】
以上のように、新規且つ有用な波形管状エネルギ吸収構造物について、本発明の特定の実施形態を説明したが、かかる説明は、特許請求の範囲に記載されたことを除いて、本発明の範囲に対する限定と解されるのを意図しているのではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来の回転形成された管状エネルギ吸収体の等角投影図である。
【図2】図1のエネルギ吸収体の側断面図である。
【図3】図1及び図2のエネルギ吸収体の壁部分(X)の拡大断面図である。
【図4】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の一実施形態を示す等角投影図である。
【図5】図4のエネルギ吸収構造物の側面図である。
【図6】図4のエネルギ吸収構造物の端面図である。
【図7】図4のエネルギ吸収構造物の横断面図である。
【図8】図4及び図7のエネルギ吸収構造物の実施形態の波形壁部分(B)の横断面図である。
【図9】一体取付け部材を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の一実施形態の等角投影図である。
【図10】図9のエネルギ吸収構造物の実施形態の側面図である。
【図11】本発明に基づくエネルギ吸収構造物の適用可能性のある箇所を示す、自動車の等角投影図である。
【図12】3つの波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図13】図12に示したエネルギ吸収構造物の3壁型実施形態の端面図である。
【図14】2つの波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図15】図14に示したエネルギ吸収構造物の2壁型実施形態の端面図である。
【図16】単一の波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の更に別の実施形態の等角投影図である。
【図17】図16に示したエネルギ吸収構造物の単一壁型実施形態の端面図である。
【図18】波形シート構造を形成する単一の波形壁を有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図19】図18に示したエネルギ吸収構造物の波形シート型実施形態の端面図である。
【図20】代表的な自動車Aピラートリムの等角内部投影図で、射出成形した従来のクリップタワーを示している。
【図21】図20に示したような代表的な自動車Aピラートリムコンポーネントの等角内部投影図であるが、その装着クリップは本発明による波形管状エネルギ吸収構造物に取り付けられている。
【図22a】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の衝撃特性のコンピュータシミュレーションの結果(時間ステップ4での)を図解している。
【図22b】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の衝撃特性のコンピュータシミュレーションの結果(時間ステップ18での)を図解している。
【図23】可変の幾何学的プロフィールを有する本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の別の実施形態の等角投影図である。
【図24】本発明の波形管状エネルギ吸収構造物の試験に供した実施形態の斜視図であり、これは、70×60mmの長方形横断面をもつ、HDPE材料で形成された8×8mmの波形チューブであり、立方フィート当たり2.0ポンドの密度でウレタンフォームを充填されている。
【図25】構造物のエネルギ吸収効率を示す力−変形曲線のグラフである。
【図26】ベンチテスト中のチューブについての予測された力対変形特性を示すグラフである。
【図27】代表的な波形側壁の管状構造物の変形に対する、実際の試験した力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
10 チューブ
15a〜15d 側壁
20 中空の内部
25 波形表面
30 波形表面
31 丸みの付いた角部
40 取付け部材
45 突出部分
50 波形シート
60 トリムコンポーネント
65 内面
70 トリム装着クリップ
E 長さ
L 長辺外側寸法
W 短辺外側寸法
t 壁厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 長さ及び幅を有する少なくとも1つの波形壁を備え、
b. 該波形壁は相互に結合された複数の波形部分から構成され、前記波形部分の各々が、連続した一定の半径と、1つの波形部分当たり2つ以下の平坦部とを有しており、
c. 前記各波形部分が、前記波形壁に作用する衝撃力を受けて累進的に変形可能である、エネルギ吸収構造物。
【請求項2】
前記各波形部分は、凸曲面と凹曲面とが交互に配置された波形表面を構成しており、該波形表面は、前記波形壁の全幅に亘り、前記波形壁の長手方向に対して実質的に交差する方向に配向されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項3】
前記凸曲面と凹曲面とが交互に配置された波形表面は、前記波形壁の長手方向に沿って配向されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項4】
前記波形壁が、ポリマー、金属、またはその複合材料の1つから形成されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項5】
前記波形壁が成形材料から構成されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項6】
前記波形壁が押出加工材料から構成されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項7】
前記波形壁が高密度ポリエチレン(HDPE)から構成されている、請求項6に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項8】
a. 長さを有する閉断面の多角形チューブを備え、
b. 前記チューブは、該チューブの長手方向に延在する少なくとも1つの波形側壁を備えており、
c. 該波形側壁は相互に結合された複数の波形部分から構成され、前記波形部分の各々が、凸曲面と凹曲面とが交互に連続して配置された波形表面を画成する幾何学的波形形状を有しており、
d. 前記複数の波形部分が、前記チューブに作用する衝撃力を受けて累進的に変形可能である、エネルギ吸収構造物。
【請求項9】
前記チューブが高密度ポリエチレンから構成されている、請求項8に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項10】
前記チューブが、角の丸い略四角形の横断面を有している、請求項8に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項11】
前記チューブが、該チューブに内空間を画成する4つの波形側壁を備え、該波形側壁の各々における波形部分が、前記チューブの長手方向に対して交差する方向に配向されている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項12】
前記チューブが、前記内空間の少なくとも一部分を満たす発泡材料を更に備えている、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項13】
前記チューブが長方形の横断面を有し、前記凸曲面の波形表面における横断面の長辺外側寸法Lおよび短辺外側寸法Wによって規定されるチューブアスペクト比L/Wが2未満である、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項14】
前記チューブアスペクト比が1.0〜2.0の範囲にある、請求項13に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項15】
前記凸曲面の各波形表面が曲率半径Rを有し、前記横断面の前記短辺外側寸法Wが、Nを整数とした場合にN*Rで規定される、請求項14に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項16】
前記側壁における隣接した各凸曲面部は、実質的に4*Rに等しい距離で隔てられている、請求項15に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項17】
前記波形側壁は実質的に一様な厚さを有し、前記波形表面の前記凹曲面は、前記波形表面の前記凸曲面と実質的に等しい半径を有しており、それにより2*Rに等しい波形の高さが規定されている、請求項16に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項18】
前記波形側壁の少なくとも1つに突設された1つ以上の取付け部材をさらに備えている、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項19】
前記取付け部材の突出部分が、自動車トリムまたは計器盤コンポーネントに着脱可能である、請求項18に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項20】
前記チューブが3つの波形側壁を備えている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項21】
前記チューブが2つの波形側壁を備えている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項22】
前記チューブが単一の波形側壁を備えている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項23】
自動車の乗員室のトリムコンポーネントであって、
a. 外部表面及び内部表面を有するトリム壁と、
b. 前記トリム壁の前記内部表面に取り付けられる第1端部と、前記トリム壁の前記内部表面から突出した第2端部とを有するエネルギ吸収チューブと、
c. 前記エネルギ吸収チューブの前記第2端部に取り付けられたトリム装着クリップと、を備え、
d. 前記チューブは、閉断面を画成する複数の波形側壁を備えた断面多角形状をなしており、
e. 前記チューブの前記各波形側壁は相互に結合された複数の波形部分から構成され、前記波形部分の各々が、凸曲面と凹曲面とが交互に連続して配置された波形表面を画成する幾何学的波形形状を有しており、
f. 前記各波形部分が、前記トリムコンポーネントの前記外部表面に加えられる衝撃力を受けて累進的に変形可能である、トリムコンポーネント。
【請求項24】
前記エネルギ吸収チューブが押出成形された高密度ポリエチレンから構成されている、請求項23に記載のトリムコンポーネント。
【請求項25】
自動車に加えられる衝撃力からのエネルギを吸収するための装置であって、
a. 破断まで100%を超える伸び率を有する材料で形成された細長いチューブを備え、
b. 前記チューブが、チューブ軸心を規定する複数の波形側壁を備えた断面多角形状をなし、
c. 前記チューブが、前記衝撃力をチューブ軸方向に受けるように前記自動車内に配設され、
d. 前記複数の波形側壁が、前記チューブ軸心に対して交差する方向に配向されかつ凸曲面と凹曲面とが交互に連続して配置された波形表面を画成する複数の波形部分で構成され、
e. 前記波形部分は、前記エネルギ吸収装置が前記波形部分の一様かつ累進的な変形により軸方向の衝撃力に応じた実質的に一定の反力を生じるように選定された波形パラメータによってさらに規定されており、
f. 前記選定された波形パラメータによって、連続した一定の半径を有し、1つの波形部分当たり2つ以下の平坦部を有する波形部分が規定されている、エネルギ吸収装置。
【請求項26】
前記選定された波形パラメータが、前記凸曲面により規定される長辺外側寸法Lおよび短辺外側寸法Wを含み、前記長辺外側寸法Lおよび短辺外側寸法Wによって規定されるチューブアスペクト比L/Wが2.0未満である、請求項25に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項27】
前記選定された波形パラメータが、前記凸曲面の曲率半径Rをさらに含み、前記チューブ横断面の前記短辺外側寸法Wが、Nを整数とした場合にN*Rで規定されている、請求項26に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項28】
前記選定された波形パラメータが、前記波形側壁において相互に隣接した各凸曲面部が隔てられている距離をさらに含み、該距離が実質的に4*Rに等しい、請求項27に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項29】
前記選定された波形パラメータが、実質的に一様な前記波形側壁の厚さをさらに含む、請求項28に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項30】
前記選定された波形パラメータが、前記凸曲面の曲率半径Rと実質的に等しい前記凹曲面の曲率半径をさらに含み、それにより2*Rに等しい波形の高さが規定されている、請求項29に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項31】
前記チューブが、該チューブの第1端部から該チューブの第2端部へと変化する横断面形状を有している、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項32】
前記チューブが、該チューブの前記第1端部から該チューブの前記第2端部へと偏向した軸心を有している、請求項31に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項33】
自動車に加えられる一定の衝撃力に応じて衝撃エネルギを効率的に吸収するチューブの設計方法であって、
a.長い方のチューブ寸法L及び短い方のチューブ寸法Wにより画定される実質的に四角形の横断面と中空内部とを有するチューブを選定するステップと、
b.前記チューブに、実質的に一定の材料厚さtを有する複数の波形側壁を、該各側壁が丸い角部を介して隣接するように設けるステップと、
c.前記自動車の前記チューブ設置箇所に利用可能なスペースに基づいて前記寸法L及びWについての仮の最大チューブ寸法を決定するステップと、
d.前記チューブが、該チューブの90%以下の変形によって全衝撃エネルギを吸収できるように、エネルギ吸収ストローク距離を予測するステップと、
e.前記予測したストローク距離に応じて前記寸法L及びWの一方を選定するステップと、
f.アスペクト比L/Wが実質的に1.0〜2.0の範囲内にあるように前記寸法L及びWの他方を選定するステップと、
g.前記波形壁の各々に、平坦区間を含まない一定の連続的な波形半径Rを有する、相互に連結された横方向の凸波形及び凹波形を連続して設けるステップと、
h.短い方のチューブ寸法Wが、Nを整数として、N*Rに等しいように、前記波形半径Rを選定するステップと、
を含む方法。
【請求項34】
破断までの伸び率が100%を超える側壁材料を選定するステップを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
1以上の衝撃力に応じた時間の経過に伴うチューブ反力及び変形をコンピュータモデリングすることにより、前記チューブのエネルギ吸収効率を最適化するステップを更に含み、該コンピュータモデリングは、波形半径R及び側壁材料の厚さtについての入力値を反復することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記チューブの内部の少なくとも一部に、所定のフォーム密度を有するポリマー発泡体を設け、異なる大きさの絶え間ない衝撃力に対する前記チューブの応答を調節するステップを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記発泡体の体積及び前記フォーム密度を異なる絶え間ない衝撃力レベルに適応するよう調節するステップを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項1】
a. 長さ及び幅を有する少なくとも1つの波形壁を備え、
b. 該波形壁は相互に結合された複数の波形部分から構成され、前記波形部分の各々が、連続した一定の半径と、1つの波形部分当たり2つ以下の平坦部とを有しており、
c. 前記各波形部分が、前記波形壁に作用する衝撃力を受けて累進的に変形可能である、エネルギ吸収構造物。
【請求項2】
前記各波形部分は、凸曲面と凹曲面とが交互に配置された波形表面を構成しており、該波形表面は、前記波形壁の全幅に亘り、前記波形壁の長手方向に対して実質的に交差する方向に配向されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項3】
前記凸曲面と凹曲面とが交互に配置された波形表面は、前記波形壁の長手方向に沿って配向されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項4】
前記波形壁が、ポリマー、金属、またはその複合材料の1つから形成されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項5】
前記波形壁が成形材料から構成されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項6】
前記波形壁が押出加工材料から構成されている、請求項1に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項7】
前記波形壁が高密度ポリエチレン(HDPE)から構成されている、請求項6に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項8】
a. 長さを有する閉断面の多角形チューブを備え、
b. 前記チューブは、該チューブの長手方向に延在する少なくとも1つの波形側壁を備えており、
c. 該波形側壁は相互に結合された複数の波形部分から構成され、前記波形部分の各々が、凸曲面と凹曲面とが交互に連続して配置された波形表面を画成する幾何学的波形形状を有しており、
d. 前記複数の波形部分が、前記チューブに作用する衝撃力を受けて累進的に変形可能である、エネルギ吸収構造物。
【請求項9】
前記チューブが高密度ポリエチレンから構成されている、請求項8に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項10】
前記チューブが、角の丸い略四角形の横断面を有している、請求項8に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項11】
前記チューブが、該チューブに内空間を画成する4つの波形側壁を備え、該波形側壁の各々における波形部分が、前記チューブの長手方向に対して交差する方向に配向されている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項12】
前記チューブが、前記内空間の少なくとも一部分を満たす発泡材料を更に備えている、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項13】
前記チューブが長方形の横断面を有し、前記凸曲面の波形表面における横断面の長辺外側寸法Lおよび短辺外側寸法Wによって規定されるチューブアスペクト比L/Wが2未満である、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項14】
前記チューブアスペクト比が1.0〜2.0の範囲にある、請求項13に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項15】
前記凸曲面の各波形表面が曲率半径Rを有し、前記横断面の前記短辺外側寸法Wが、Nを整数とした場合にN*Rで規定される、請求項14に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項16】
前記側壁における隣接した各凸曲面部は、実質的に4*Rに等しい距離で隔てられている、請求項15に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項17】
前記波形側壁は実質的に一様な厚さを有し、前記波形表面の前記凹曲面は、前記波形表面の前記凸曲面と実質的に等しい半径を有しており、それにより2*Rに等しい波形の高さが規定されている、請求項16に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項18】
前記波形側壁の少なくとも1つに突設された1つ以上の取付け部材をさらに備えている、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項19】
前記取付け部材の突出部分が、自動車トリムまたは計器盤コンポーネントに着脱可能である、請求項18に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項20】
前記チューブが3つの波形側壁を備えている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項21】
前記チューブが2つの波形側壁を備えている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項22】
前記チューブが単一の波形側壁を備えている、請求項10に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項23】
自動車の乗員室のトリムコンポーネントであって、
a. 外部表面及び内部表面を有するトリム壁と、
b. 前記トリム壁の前記内部表面に取り付けられる第1端部と、前記トリム壁の前記内部表面から突出した第2端部とを有するエネルギ吸収チューブと、
c. 前記エネルギ吸収チューブの前記第2端部に取り付けられたトリム装着クリップと、を備え、
d. 前記チューブは、閉断面を画成する複数の波形側壁を備えた断面多角形状をなしており、
e. 前記チューブの前記各波形側壁は相互に結合された複数の波形部分から構成され、前記波形部分の各々が、凸曲面と凹曲面とが交互に連続して配置された波形表面を画成する幾何学的波形形状を有しており、
f. 前記各波形部分が、前記トリムコンポーネントの前記外部表面に加えられる衝撃力を受けて累進的に変形可能である、トリムコンポーネント。
【請求項24】
前記エネルギ吸収チューブが押出成形された高密度ポリエチレンから構成されている、請求項23に記載のトリムコンポーネント。
【請求項25】
自動車に加えられる衝撃力からのエネルギを吸収するための装置であって、
a. 破断まで100%を超える伸び率を有する材料で形成された細長いチューブを備え、
b. 前記チューブが、チューブ軸心を規定する複数の波形側壁を備えた断面多角形状をなし、
c. 前記チューブが、前記衝撃力をチューブ軸方向に受けるように前記自動車内に配設され、
d. 前記複数の波形側壁が、前記チューブ軸心に対して交差する方向に配向されかつ凸曲面と凹曲面とが交互に連続して配置された波形表面を画成する複数の波形部分で構成され、
e. 前記波形部分は、前記エネルギ吸収装置が前記波形部分の一様かつ累進的な変形により軸方向の衝撃力に応じた実質的に一定の反力を生じるように選定された波形パラメータによってさらに規定されており、
f. 前記選定された波形パラメータによって、連続した一定の半径を有し、1つの波形部分当たり2つ以下の平坦部を有する波形部分が規定されている、エネルギ吸収装置。
【請求項26】
前記選定された波形パラメータが、前記凸曲面により規定される長辺外側寸法Lおよび短辺外側寸法Wを含み、前記長辺外側寸法Lおよび短辺外側寸法Wによって規定されるチューブアスペクト比L/Wが2.0未満である、請求項25に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項27】
前記選定された波形パラメータが、前記凸曲面の曲率半径Rをさらに含み、前記チューブ横断面の前記短辺外側寸法Wが、Nを整数とした場合にN*Rで規定されている、請求項26に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項28】
前記選定された波形パラメータが、前記波形側壁において相互に隣接した各凸曲面部が隔てられている距離をさらに含み、該距離が実質的に4*Rに等しい、請求項27に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項29】
前記選定された波形パラメータが、実質的に一様な前記波形側壁の厚さをさらに含む、請求項28に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項30】
前記選定された波形パラメータが、前記凸曲面の曲率半径Rと実質的に等しい前記凹曲面の曲率半径をさらに含み、それにより2*Rに等しい波形の高さが規定されている、請求項29に記載のエネルギ吸収装置。
【請求項31】
前記チューブが、該チューブの第1端部から該チューブの第2端部へと変化する横断面形状を有している、請求項11に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項32】
前記チューブが、該チューブの前記第1端部から該チューブの前記第2端部へと偏向した軸心を有している、請求項31に記載のエネルギ吸収構造物。
【請求項33】
自動車に加えられる一定の衝撃力に応じて衝撃エネルギを効率的に吸収するチューブの設計方法であって、
a.長い方のチューブ寸法L及び短い方のチューブ寸法Wにより画定される実質的に四角形の横断面と中空内部とを有するチューブを選定するステップと、
b.前記チューブに、実質的に一定の材料厚さtを有する複数の波形側壁を、該各側壁が丸い角部を介して隣接するように設けるステップと、
c.前記自動車の前記チューブ設置箇所に利用可能なスペースに基づいて前記寸法L及びWについての仮の最大チューブ寸法を決定するステップと、
d.前記チューブが、該チューブの90%以下の変形によって全衝撃エネルギを吸収できるように、エネルギ吸収ストローク距離を予測するステップと、
e.前記予測したストローク距離に応じて前記寸法L及びWの一方を選定するステップと、
f.アスペクト比L/Wが実質的に1.0〜2.0の範囲内にあるように前記寸法L及びWの他方を選定するステップと、
g.前記波形壁の各々に、平坦区間を含まない一定の連続的な波形半径Rを有する、相互に連結された横方向の凸波形及び凹波形を連続して設けるステップと、
h.短い方のチューブ寸法Wが、Nを整数として、N*Rに等しいように、前記波形半径Rを選定するステップと、
を含む方法。
【請求項34】
破断までの伸び率が100%を超える側壁材料を選定するステップを更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
1以上の衝撃力に応じた時間の経過に伴うチューブ反力及び変形をコンピュータモデリングすることにより、前記チューブのエネルギ吸収効率を最適化するステップを更に含み、該コンピュータモデリングは、波形半径R及び側壁材料の厚さtについての入力値を反復することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記チューブの内部の少なくとも一部に、所定のフォーム密度を有するポリマー発泡体を設け、異なる大きさの絶え間ない衝撃力に対する前記チューブの応答を調節するステップを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記発泡体の体積及び前記フォーム密度を異なる絶え間ない衝撃力レベルに適応するよう調節するステップを更に含む、請求項36に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図25】
【図26】
【図27】
【図21】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図25】
【図26】
【図27】
【図21】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−45744(P2008−45744A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206291(P2007−206291)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(507267975)オー‐フレックス・グループ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(507267975)オー‐フレックス・グループ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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