説明

エマルション濃縮物

本発明は、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)、ポリオール(D)および水の含有物を有し、濃縮物の全重量を基準として50重量%未満の水不溶性油成分(A)を含み、成分(A)、(B)、(C)および(D)を、A:B:C:D=1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)の重量比で含む、水不溶性油成分(A)、エマルション濃縮物に関する。本発明はさらに、該エマルション濃縮物の使用、ならびに水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)およびポリオール(D)を、A:B:C:D=1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)の重量比で含んでなる、調製物およびボディケアおよび身体洗浄のための紙製品、不織布製品または繊維製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準温度で流動性およびポンプ輸送性を有するエマルション濃縮物、ならびに化粧品および医薬品の調製物を製造するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エマルション様調製物の製造は通常、分散相を加熱によって液化し、および剪断エネルギーを適用して連続相に分散させなければならないので、装置に関してかなりの費用を必要とする。熱を導入せず、および剪断加工せずに連続相で希釈することができるエマルション濃縮物を製造するために種々の試みが既になされてきた。
【0003】
従って、例えば、EP0723432B1には、標準温度で流動性およびポンプ輸送性を有する流動性エマルション濃縮物であって、熱を導入せずに低攪拌エネルギーのみを適用してエマルション様調製物を与えるために、水と油成分、および必要に応じて、さらなる添加剤を用いてさらに処理することができる濃縮物が開示されている。
【0004】
WO92/07543には、アルキルポリグリコシドおよび部分グリセリドを含んでなるO/Wエマルションが記載されている。これらのエマルションの欠点は特に高温での該エマルションの低安定性である。さらに、その高粘性に起因して、これらのエマルションはポンプ輸送が不可能であるか、あるいは困難を伴ってのみポンプ輸送することが可能である。
【0005】
US2006/0013783A1には、微細化された化粧品または皮膚化学のO/Wエマルションが記載されている。
【0006】
EP0723432B1に記載のエマルション濃縮物の欠点は、高温、特に40℃を越える温度で、長期間の貯蔵の際、貯蔵安定性が低いことである。その結果、これらの条件は相の分離を引き起こす。さらに、可能な限り少ない水性分率を含むエマルション濃縮物の必要性が存在するが、それにより輸送および貯蔵の費用を減少させることができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0723432号明細書
【特許文献2】国際公開第92/07543号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0013783号明細書
【特許文献4】欧州特許第0723432号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、本発明のエマルション濃縮物がこれらの目的を達成することを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
このような状況下、本発明は、水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)、ポリオール(D)および水を有し、
a.濃縮物の全重量を基準として50重量%未満の水不溶性油成分(A)を含み、
b.成分(A)、(B)、(C)および(D)を、A:B:C:D=1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)の重量比で含む、
エマルション濃縮物を提供する。
【0010】
本発明によるエマルション濃縮物は、好ましくは、20℃で流動性およびポンプ輸送性である。
【0011】
本発明においては、流動性またはポンプ輸送性は、ブルックフィールド回転式粘度計(RVF型、スピンドル4、10rpm)を用いて測定した20℃での粘度が20Pa・s未満であるエマルション濃縮物を指称するために用いられる。
【0012】
水不溶性油成分(A)
適当な水不溶性油成分(A)は、30℃で液体である全ての脂肪物質または脂肪物質混合物、即ちまた、液体とこれに溶解させた固体脂肪物質またはパラフィンの混合物であるが、但し、該混合物は30℃で液体であるか、またはその粘度(20℃)は20Pa・s未満である(ブルックフィールド回転式粘度計 RVF型、スピンドル4、10rpmを用いて測定)。
【0013】
好ましい適当な油成分(A)は、30℃で液体である炭化水素、ジアルキルエーテル、12〜44個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、ジアルキルカーボネート、ゲルベアルコールおよびシリコーン油またはこれらの混合物である。
【0014】
本発明のある好適な実施態様においては、少なくとも60重量%の水不溶性油成分(A)は20mN/m以上および30mN/m以下の平均極性を有する。特に好ましくは、少なくとも70重量%、特に少なくとも80重量%の水不溶性油成分(A)は20mN/m以下および30mN/m以下の平均極性を有する。これらの重量%は水不溶性油成分(A)の全量を基準とする。
【0015】
水不溶性油成分(A)の極性は界面張力によって表される。界面張力は、二相間の界面の長さが1メートルの想像線上に働く力である。界面張力のための物理単位は、力/長さの関係から従来的に計算され、mN/m(ミリニュートンをメートルで割る)で通常表される。これは、界面を減少させようとする場合には正の記号を有し、逆の場合には、負の記号を有する。界面張力は、例えばASTM法 D971−99a(2004年再認可)に従って決定してよい。
【0016】
水不溶性油成分(A)のこの極性の割合が高い結果、特に安定性のエマルション濃縮物が得られた。
【0017】
水不溶性油成分(A)は、油、脂肪、ワックスおよび所望のこれらの混合物を含んでよい。
【0018】
本発明のある実施態様においては、水不溶性の成分(A)は少なくとも1つの油を含んでなる。
【0019】
用語「油」(同義語として次のものを用いる:油成分)は、30℃で液体であり、および比較的低い蒸気圧を有する水不溶性の有機化合物を指称するために用いる。該油の共通の特徴は、相当する化学的構造ではないが、類似の物理的コンシステンシーである。
【0020】
適当な油成分は、例えば、以下の特定の化合物のクラスであるが、但し、これらは30℃で液体である:従って、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール(例えばEutanol(登録商標) G)、直鎖C〜C22脂肪酸と直鎖または分枝状C〜C22脂肪アルコールとのエステル、または分枝状C〜C13カルボン酸と直鎖または分枝状C〜C22脂肪アルコールとのエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート、エルシルエルケートおよびヘキシルデシルステアレート(Eutanol(登録商標)G 16 S)など。また、適当なものは、直鎖C〜C22脂肪酸と、分枝状アルコール、特に2−エチルヘキサノールとのエステル、C〜C38アルキルヒドロキシカルボン酸と、直鎖または分枝状C〜C22脂肪アルコールとのエステル、特にジオクチルマレエート、直鎖および/または分枝状脂肪酸と、多価アルコール(例えばプロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオールなど)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C〜C10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C〜C18脂肪酸に基づく液体モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、C〜C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと、芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、C〜C12ジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルコール、または2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分枝状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、例えば1,3−ジアルキルシクロヘキサンなど、直鎖および分枝状C〜C22脂肪アルコールカーボネート、例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標) CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分枝状C〜C22アルコールとのエステル(例えばFinsolv(登録商標) TN)、アルキル基1個あたり6〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝状、対称または非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標) OE)、ポリオールによるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物(Hydagen(登録商標) HSP、Sovermol(登録商標) 750、Sovermol(登録商標) 1102)、シリコーン油(シクロメチコーン、シリコンメチコーン型等)、および/または脂肪族またはナフテン系の炭化水素、例えば鉱油、ワセリン、ペトロラタム、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサンなどである。
【0021】
適当なシリコーン油は、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンおよび環式シリコーンに加えて、室温で、液体としてまたは樹脂形態で存在し得るアミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フッ素−、グリコシド−および/またはアルキル−変性シリコーン化合物である。ジメチルシロキサン単位200〜300の平均鎖長を有するジメチコンと二酸化ケイ素または水素化シリケートの混合物であるシメチコンも適当である。
【0022】
適当な油成分はまた、例えばWO03/041676(本明細書に明示的に参照する)に記載のポリカーボネートである。
【0023】
特に適当なポリカーボネートは、INCI名水素化ダイマージリノレイル/ジメチルカーボネートコポリマーとして、Cognis Deutschland GmbH & Co. KG製の市販生成物Cosmedia(登録商標) DCとして入手可能である。
【0024】
ジアルキルエーテル、ジアルキルカーボネート、トリグリセリド混合物およびC〜C22脂肪酸とC〜C22脂肪アルコールのエステル、ポリカーボネートまたはこれらの物質の混合物は本発明に従って油成分として特に適切である。ジアルキルカーボネートおよびジアルキルエーテルは対称または非対称、分枝状または非分枝状、飽和または不飽和であり得、先行技術から十分に知られている反応によって製造されてよい。
【0025】
本発明によれば、とりわけ、好ましくは8〜40個の炭素原子を有する炭化水素を用いることも可能である。これらは分枝状または非分枝状、飽和または不飽和であり得る。これらの中でも、分枝状の飽和C8〜C40アルカンは好適である。純粋物質または物質混合物のいずれかを用いることが可能である。これらは通常、異なった異性体化合物の物質混合物である。10〜30個のアルカンを有する組成物は、好ましくは12〜20個、特に好ましくは10〜30個、好ましくは12〜20個、特に好ましくは16〜20個の炭素原子を有するアルカンを有する組成物は特に適当であり、これらの中でもアルカンの全量を基準として少なくとも10重量%の分枝状アルカンを含むアルカンの混合物である。これらは好ましくは分枝状の飽和アルカンである。1重量%の5,8−ジエチルドデカンおよび/または1重量%を越える5,8−ジエチルドデカンおよび/または1重量%を越えるジデセンを含むアルカンの混合物は特に極めて適当である。
【0026】
本発明のある実施態様においては、水不溶性油成分(A)は少なくとも1つのワックスを含んでなる。
【0027】
用語ワックス(同義語として次のものを用いる:ワックス成分)は通常、以下の特性を有する全ての天然物質または合成的に得られた物質および物質混合物を意味すると理解される:これらは、固体〜脆くて硬いコンシステンシー、粗い〜微細、透明〜不透明のものであって、30℃を超える温度で分解せずに融解する。融点をわずかにでも超えると、これらは、粘度が低くなり、糸を引くことがなくなり、コンシステンシーおよび溶解性において高い温度依存性を示す。本発明に従えば、30℃以上で融解するワックス成分またはワックス成分の混合物を用いることは可能である。
【0028】
本発明に従えば、用いることができるワックスはまた、ワックス型コンシステンシーを有する脂肪および脂肪様物質であるが、但し、これらは所要の融点を有する。これらには、とりわけ、脂肪(トリグリセリド)、および天然ワックスおよび合成ワックスまたはこれらの物質の任意の所望の混合物が含まれる。
【0029】
本発明における脂肪は、トリアシルグリセロール、すなわち、脂肪酸とグリセロールとのトリエステルを意味すると理解される。好ましくは、これらは、非分枝状未置換飽和脂肪酸基を含有する。これらはまた、混合エステル、すなわち、グリセロールと種々の脂肪酸とのトリエステルであり得る。
【0030】
部分水素化によって得られるいわゆる水素化された脂肪および油を本発明に従って用いてよい。植物性の水素化された脂肪および脂、例えば水素化ヒマシ油、ピーナッツ油、大豆油、ナタネ油、ナタネ油、綿実油、大豆油、ひまわり油、パーム油、パーム核油、アマニ油、アーモンド油、コーン油、オリーブ油、ごま油、ココアバターおよびココナッツ脂肪が好適である。
【0031】
グリセロールとC12〜C60脂肪酸、特にC12〜C36脂肪酸とのトリエステルはとりわけ適当である。これらには、水素化ヒマシ油や、たとえばCutina(登録商標) HRの名称で市販されている、グリセロールとヒドロキシステアリン酸のトリエステルが含まれる。同様に適当なものは、グリセリントリステアレート、グリセリンベヘネート(例えばSyncrowax(登録商標) HRC)、グリセリントリパルミテートまたはSyncrowax(登録商標) HGLCの名称で知られているトリグリセリド混合物であるが、但し、ワックス成分または該混合物の融点は30℃以上である。
【0032】
本発明に従えば、例えば、天然植物性ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナウバワックス、日本ロウ、エスパルト草ワックス、コルクワックス、グアルマワックス、米胚芽油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリーワックス、モンタンワックス、ヒマワリワックスなど、フルーツワックス、例えばオレンジワックス、レモンワックス、グレープフルーツワックス、ベイベリーワックスなど、および動物性ワックス、例えば蜜ロウ、セラックワックス、鯨ロウ、ウールワックスおよび尾脂などを用いることは可能である。本発明においては、水素化ワックスまたは硬化ワックスを用いることは有利であり得る。また、本発明に従って用いることができる天然ワックスとして、鉱物ワックス、例えばセレシンおよびオゾケライト、または石油化学ワックス、例えばペトロラタム、パラフィンワックス、およびマイクロワックスなどが挙げられる。ワックス成分として、化学変性ワックス、特に硬質ワックス、例えばモンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素化ホホバワックスなどを用いることも可能である。本発明に従って用いることができる合成ワックスとして、例えばワックス様ポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスが挙げられる。植物性ワックスは、本発明によれば好適である。
【0033】
ワックス成分は、飽和および/または不飽和の、分枝状および/または非分枝状のアルカンカルボン酸と飽和および/または不飽和の、分枝状および/または非分枝状のアルコールとのワックスエステルの群(但し、これは遊離OH基を有さない)、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸(例えば12−ヒドロキシステアリン酸)と、飽和および/または不飽和の、分枝状および/または非分枝状のアルコールとのエステルの群、ならびに長鎖ヒドロキシカルボン酸のラクチドの群から選択してもよい。このようなエステルの例は、C16〜C40アルキルステアレート、C20〜C40アルキルステアレート(例えばKesterwachs(登録商標) K82H)、ダイマー酸のC20〜C40ジアルキルエステル、C18〜C38アルキルヒドロキシステアロイルステアレートまたはC20〜C40アルキルエルケートである。使用し得る他の適当なワックス成分は、C30〜C50アルキル蜜蝋、トリステアリルシトレート、トリイソステアリルシトレート、ステアリルヘプタノエート、ステアリルオクタノエート、トリラウリルシトレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジ(12−ヒドロキシステアレート)、ステアリルステアレート、パルミチルステアレート、ステアリルベヘネート、セテアリルベヘネートおよびベヘニルベヘネートである。
【0034】
本発明のある好適な実施態様においては、水不溶性油成分(A)は、炭化水素、ジアルキルエーテル、ジアルキルカーボネート、トリグリセリド混合物、C〜C22脂肪酸とC〜C22脂肪アルコールのエステル、ポリカーボネートまたはこれらの物質の混合物、シリコーン油およびこれらの混合物を含んでなる。
【0035】
水不溶性油成分(A)の量は、エマルション濃縮物の全重量を基準として、50重量%未満、好ましくは45重量%未満、特に40重量%未満である。
【0036】
成分(A)の量を計算する際、親水性の非イオノゲン性乳化剤(B)および乳化剤(C)は考慮されない。
【0037】
親水性の非イオノゲン性乳化剤(B)
適当な親水性の非イオノゲン性乳化剤(B)は、好ましくは、直鎖脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸部分グリセリド、脂肪酸部分グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステルまたはアルキル(オリゴ)グリコシドへのエチレンオキシドの付加生成物であり、これらの化合物は11〜20のHLB値を有する。
【0038】
特に好適な適当な親水性の非イオノゲン性乳化剤(B)は、11〜20のHLB値を有する、直鎖状脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸部分ポリグリセリド、脂肪酸部分グリセリド、またはソルビタン脂肪酸エステルへのエチレンオキシドの付加生成物である。
【0039】
非常に特に適当な親水性の非イオノゲン性乳化剤(B)は、11〜20のHLB価を有する直鎖状脂肪アルコールへのエチレンオキシドの付加生成物である。好ましくは、適当な親水性の非イオノゲン性乳化剤(B)は、12〜22個の炭素数を有する直鎖状脂肪アルコールへの8〜30モルのエチレンオキシドの付加生成物である。
【0040】
本発明において、HLB値は、式I:
【数1】

〔式中、Lは、エチレンオキシド付加生成物中の親油性のアルキル基またはアシル基の割合(重量%)である。〕
による値を意味すると理解されるべきである。
【0041】
エマルション濃縮物は、該濃縮物の全重量を基準として1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、特に8〜12重量%の量で成分(B)を含んでよい。
【0042】
親油性共乳化剤(C)
親油性共乳化剤(C)は、水に不溶性であるか、または単に分散可能なだけであり、その低い親水性のため、水中油乳化剤の調製に単独では適さない1以上のヒドロキシル基を有する非イオノゲン性極性脂質物質である。
【0043】
親油性共乳化剤は、10未満のHLBを好ましく有する。
【0044】
12〜C50脂肪アルコールは親油性共乳化剤(C)として用いてよい。特に適当なものは、多価アルコールのC12〜C24部分エステルと組み合わせて用いることもできる、C12〜C24脂肪アルコールである。脂肪アルコールは、天然の脂肪、油およびワックス、例えばミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコールまたはミリシルアルコールから得ることができる。本発明によれば、非分枝状の飽和脂肪アルコールが好ましい。しかし、分枝または非分枝の不飽和脂肪アルコールも、それが所要の融点を有する場合には、ワックス成分として本発明に従って使用してよい。本発明に従えば、天然に存在する脂肪および油の還元中に製造される脂肪アルコールカット、例えば牛脂、ピーナッツ油、ナタネ油、綿実油、大豆油、ひまわり油、パーム核油、亜麻仁油、ヒマシ油、コーン油、ナタネ油、ごま油、ココアバターおよびヤシ油脂肪などを用いることも可能である。しかし、合成アルコール、例えば、チーグラー合成の直鎖の偶数脂肪アルコール(Alfol(登録商標))またはオキソ合成由来の部分分枝状アルコール(Dobanol(登録商標))を用いることも可能である。本発明に従って特に好適な適当なものは、例えば、Lanette(登録商標) 16(C16アルコール)、Lanette(登録商標) 14(C14アルコール)、Lanette(登録商標) O(C1618アルコール)およびLanette(登録商標) 22(C1822アルコール)の名称でCognis Deutschland GmbH によって市販されているC14〜C22脂肪アルコールである。脂肪アルコールは、トリグリセリドと比べると、より乾いた皮膚感覚を組成物に与えるため、トリグリセリドより好ましい。
【0045】
本発明に従えば、適当な共乳化剤(C)は、特に、16〜22個の炭素原子を有する植物性および動物性の脂肪酸または相当する脂肪酸のメチルエステルの工業的水素化中に得られる16〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪アルコール型のもの、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコールまたはベヘニルアルコールまたはこれらのアルコールの混合物である。
【0046】
また、C14〜C40脂肪酸またはその混合物を、親油性共乳化剤(C)として用いてもよい。これらには、例えばミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸、およびエレオステアリン酸、ならびに置換脂肪酸、例えば12−ヒドロキシステアリン酸、および脂肪酸のアミドまたはモノエタノールアミドが含まれるが、このリストは例示であって、限定的な特性のものではない。
【0047】
さらに、適当な共乳化剤(C)は、多価アルコール、特に3〜6個の炭素原子を有するポリオールおよび12〜24個の炭素原子、好ましくは14〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸の部分エステルである。このような部分エステルは、例えば、パルミチン酸および/またはステアリン酸のモノグリセリド、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸またはこれらの脂肪酸の混合物のソルビタンモノ−および/またはジエステル、トリメチロールプロパン、エリトリトールまたはペンタエリトリトールと12〜22個の炭素原子、好ましくは14〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のモノエステルである。また、モノエステルは、ポリオール1モルを脂肪酸1モルでエステル化することによって得られ、モノエステル、ジエステルおよび非エステル化ポリオールの混合物を構成する工業モノエステルを意味すると理解される。16〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪アルコールまたは3〜6個の炭素原子を有するポリオールと14〜22個の炭素原子を有する脂肪酸の部分エステルは特に極めて適当である。適当な部分エステルは、特に、例えばCutina(登録商標) PES(Cognis Deutschland GmbH & Co. KG)の商品名で市販されている、ペンタエリトリトールとC16/C18脂肪アルコールとの部分エステルである。
【0048】
用いる親油性共乳化剤(C)は、C12〜C24脂肪酸、好ましくはC12〜C22脂肪酸と多価アルコール、特にグリセロールとの部分エステルであり得る:
【0049】
本発明において適当な多価アルコールは、2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を好ましく有する。ポリオールは、さらなる官能性基、特にアミノ基を含有していても、および/または窒素で変性されていてもよい。典型的な例は次のものである:
グリセロール;
アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールなど;
1.5〜10の自己縮合度を有する工業用グレードのオリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業グレードのジグリセロール混合物など;
メチル化合物、例えば特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールなど;
短鎖アルキルグリコシド、特にアルキル基中に1〜8個の炭素原子を有するもの、例えばメチルグリコシドおよびブチルグリコシドなど;
5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトールまたはマニトールなど;
5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコースまたはスクロースなど;
アミノ糖、例えばグルカミンなど;
ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2−アミノ−1,3−プロパンジオールなど。
【0050】
適当な部分グリセリドの典型的な例は、C12〜C22脂肪酸とグリセロールとのモノ−および/またはジグリセリド、およびこれらの工業グレード混合物である。例えば、長鎖ヒドロキシ脂肪酸モノグリセリド、長鎖ヒドロキシ脂肪酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリドを挙げることができる。
【0051】
適当な部分グリセリドの典型的な例は、4〜8個の炭素原子を有するジカルボン酸とグリセロールとのモノ−および/またはジグリセリド、およびこれらの工業グレード混合物である。30℃を越える融点を有するこれらの部分グリセリドは特に適当である。例えば、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、および製造方法に由来して二級品まで少量のトリグリセリドを含有することもできるこれらの工業グレード混合物を挙げることができる。
【0052】
本発明に従えば、用いることができる親油性共乳化剤(C)は、特にモノ−およびジグリセリドおよびこれらの部分グリセリドの混合物である。本発明に従って用いることができるグリセリド混合物として、Cognis Deutschland GmbH & Co. KGによって市販されている製品Novata(登録商標) ABおよびNovata(登録商標) B(C12〜C18−モノ−、ジ−およびトリグリセリドの混合物)ならびにCutina(登録商標) MDならびにCutina(登録商標) MDまたはCutina(登録商標) GMS(グリセリルステアレート)が挙げられる。
【0053】
特定の部分グリセリドへの1〜30モル、好ましくは5〜10モルのエチレングリセリドの付加生成物は同様に適当である。
【0054】
用いることができる親油性共乳化剤(C)は、グリセロールおよび/またはソルビタンと不飽和で直鎖状または飽和で分枝状の、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸との部分エステルであるが、但し、これらは30℃を越える融点を有する。
【0055】
ソルビタンエステル
用いることができるソルビタンエステルは、例えば、以下の化合物である。30℃を越える融点を有するソルビタンエステルは特に適当である。
【0056】
ソルビタンエステルは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタルトレート、ソルビタンセスキタルトレート、ソルビタンジタルトレート、ソルビタントリタルトレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートならびにこれらの工業グレード混合物である。特定のソルビタンエステルへの1〜30モル、好ましくは5〜10モルのエチレンオキシドの付加生成物も適当である。
【0057】
ポリグリセロールエステル
用いることができるポリグリセロールエステルは、例えば、以下の化合物である。30℃を越える融点を有するポリグリセロールエステルは特に適当である。
【0058】
適当なポリグリセロールエステルの典型的な例は、ジイソステアレート/ポリヒドロキシステアレート/セバケート(Isolan GPS)、ポリグリセリル−2ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls PGPH)、ポリセロール−3ジイソステアレート(Lameform TGI)、ポリグリセリル−4イソステアレート(Isolan GI 34)、ポリグリセリル−3オレエート、ジイソステアロイルポリグリセリル−3ジイソステアレート(Isolan PDI)、ポリグリセリル−3メチルグルコースジステアレート(Tego Care 450)、ポリグリセリル−3蜜蝋(Cera Bellina)、ポリグリセリル−4カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル−3セチルエーテル(Chimexane NL)、ポリグリセリル−3ジステアレート(Cremophor GS 32)およびポリグリセリルポリリシノレエート(Admul WOL 1403)、ポリグリセリルジメレートイソステアレートおよびこれらの混合物である。さらに適当なポリエステルの例は、必要に応じて、1〜30モルのエチレンオキシドと反応させた、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールと、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとのモノ−、ジ−およびトリエステルである。
【0059】
エマルション濃縮物は、該濃縮物の全重量を基準として1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、特に8〜15重量%の量で成分(C)を含んでよい。
【0060】
ポリオール(D)
ポリオールとは、多価アルコール、即ち、分子中に少なくとも2個のアルコールヒドロキシル基を有する有機化合物を指称するために用いる用語である。本発明のある実施態様においては、ポリオールは1分子あたり2〜6個のヒドロキシル基を含有する。本発明のある実施態様においては、用いるポリオールは、低分子量多価アルコール、すなわち、2〜18個、特に2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を含有する化合物である。
【0061】
本発明のある好適な実施態様においては、用いるポリオール(D)は、1分子あたり少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、2〜18個、好ましくは2〜10個、特に2〜6個の炭素原子からなる化合物である。
【0062】
本発明のある好適な実施態様においては、用いるポリオール(D)は1分子あたり2〜6個のヒドロキシル基を有する化合物である。
【0063】
1分子あたり2〜6個のヒドロキシル基を有し、2〜6個の炭素原子からなるポリオール(D)は特に好適である。
【0064】
用いることができるポリオール(D)は、個々のポリオールまたは任意の所望のポリオールの混合物である。ある好適な実施態様においては、用いるポリオールは少なくとも2つ、特に少なくとも3つのポリオールの混合物である。
【0065】
ポリオール(D)は、さらなる官能性基、特にアミノ基を含有していても、および/または窒素で変性されていてもよい。ある好適な実施態様においては、ポリオールは、ヒドロキシル基は別として任意のさらなる官能性基を含有しない。
【0066】
本発明に従って用いるべきポリオールの典型的な例は次のものである:
グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロール;
アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および100〜1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコールなど;
1.5〜10の自己縮合度を有する工業グレードのオリゴグリセロール混合物、例えば40〜50重量%のジグリセロール含量を有する工業グレードのジグリセロール混合物など;
メチロール化合物、例えば、特に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールなど;
短鎖アルキルグリコシド、特にアルキル基中に1〜8個の炭素原子を有するもの、例えばメチルグリコシドおよびブチルグリコシドなど;
5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、エリトリトール、アラビトール、アドニトール(同義語リビトール)、キシリトール、ソルビトール、マニトールおよびズルシトール(同義語ガラクチトール)など;
5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコースまたはスクロースなど;
アミノ糖、例えばグルカミンなど;
ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2−アミノ−1,3−プロパンジオールなど。
【0067】
本発明のある好適な実施態様においては、用いるポリオール(D)はグリセロール、1,2−プロピレングリコール、ソルビトール、ブチレングリコールおよびヘキシレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0068】
エマルション濃縮物は、該濃縮物の全重量を基準として1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%、特に8〜15重量%の量で成分(D)を含んでよい。
【0069】
水性分率
本発明のある好適な実施態様においては、本発明によるエマルション濃縮物は、エマルション濃縮物の全重量を基準として35〜55重量%の水性分率を含んでなる。
【0070】
さらなる成分
本発明によるエマルションは、さらなる成分、例えば防腐剤、生体活性成分、紫外線保護フィルター、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、酸化防止剤、脱臭剤、皮膜形成剤、膨張剤、防虫剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、香油、染料などを含むことができる。具体的な添加剤の量は所望の使用に依存する。
【0071】
さらなる成分が水不溶性油成分(A)の定義に該当する場合には、これらは、成分(A)にこれらを加えることによって(A):(B):(C):(D)の比を計算する場合に考慮される。このことは全てのさらなる成分について当てはまることだが、特に、親油性の紫外線保護フィルターおよび香油に関連する。
【0072】
本発明によるエマルション濃縮物は通常、濃縮物の全量を基準として25重量%以下、特に20重量%以下の量でさらなる成分を含んでなる。
【0073】
適当な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセロールの混合物(例えばEuxyl PE 9010の商品名で市販されている)またはソルビン酸および名称Surfacine(登録商標)として既知の銀錯体およびCosmetics Ordinance の付属書6のパートAおよびBに挙げられているさらなる物質である。
【0074】
本発明のある好適な実施態様においては、防腐剤は、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、有機酸およびこれらの混合物からなる群から、必要に応じてペンタンジオールおよび/またはエチルヘキシルグリセロールと組み合わせて選択される。
【0075】
本発明のある実施態様においては、本発明によるエマルション濃縮物は、さらなる構成物質として少なくとも1つのUV光保護フィルターを含んでなる。
【0076】
本発明に従えば、適当なUV光保護ファクターは、室温で結晶質または液状であり、紫外線を吸収して、その吸収したエネルギーをより長波長の放射線、例えば熱の形態で再び放出することが可能である有機物質(光保護フィルター)である。UVフィルターは、油溶性または水溶性であり得る。典型的な油溶性UV−Bフィルターおよび/または広域スペクトルUV A/Bフィルターの例は次のとおりである:
3−ベンジリデンカンファーまたは3−ベンジリデンノルカンファー(Mexoryl SDS 20)およびその誘導体、例えばEP0693471B1に記載の3−(4−メチルベンジリデン)カンファー;
3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルサルフェート(Mexoryl SO);
3,3’−(1,4−フェニレンジメチン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸)およびその塩(Mexoryl SX)
3−(4’−スルホ)−ベンジリデンボルナン−2−オンおよびその塩(Mexoryl SL)
N−{(2および4)−[2−オキソボルン−3−イリデン)メチル}ベンジル]アクリルアミドのポリマー(Mexoryl XL)
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−yl)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(Mexoryl XL)
4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシルエステル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−オクチルエステルおよび4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;
ケイ皮酸のエステル、好ましくは2−エチルヘキシル4−メトキシケイ皮酸エステル、プロピル4−メトキシケイ皮酸エステル、イソアミル4−メトキシケイ皮酸エステル、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−フェニルケイ皮酸エステル(オクトクリレン);
サリチル酸のエステル、好ましくは2−エチルヘキシルサリチル酸エステル、4−イソプロピルベンジルサリチル酸エステル、ホモメンチルサリチル酸エステル;
ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;
ベンザルマロン酸のエステル、好ましくはジ-2-エチルヘキシル4-メトキシベンズマロン酸エステル;
トリアジン誘導体、例えば2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジンおよびEP0818450A1に記載の2,4,6−トリス[p−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)−アニリノ]−1,3,5−トリアジン(Uvinul T 150)、または4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸2−エチルヘキシルエステル)(Uvasorb(登録商標) HEB)など;
2,2(−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール (Tinosorb M);
2,4−ビス[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン (Tinosorb S);
プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンなど;
EP0694521B1に記載のケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体;
ジメチコジエチルベンザルマロネート(Parsol SLX)。
【0077】
適当な水溶性UVフィルターは以下の通りである:
2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、およびこのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルクアンモニウム塩;
2,2(−1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、モノナトリウム塩) (Neo Heliopan AP)
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩;
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)−ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸およびこれらの塩など。
【0078】
適当な典型的なUV−Aフィルターは、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標) 1789)、1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン、およびDE19712033A1に記載(BASF)のエナミン化合物ならびに安息香酸、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]、ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標) A plus)などである。
【0079】
これらUV-AおよびUV-Bフィルターは当然、混合物の状態で用いてもよい。特に好適な組み合わせは、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標) 1789)、およびケイ皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルエステルおよび/またはプロピル4−メトキシケイ皮酸プロピルエステルおよび/または4−メトキシケイ皮酸イソアミルエステルと組み合わせて2−シアノ−3,3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)からなる。このような組み合わせは、水溶性フィルター、例えば2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカアンモニウム塩などと有利に組み合わされる。
【0080】
本発明によれば、European Cosmetics Legislation(第24回Adapting Commission Directive、2000年2月29日)の付属書VIIから選択されるUV光保護フィルターは好適である。
【0081】
特定の可溶性物質に加えて、不溶性の光保護顔料、即ち、微細に分散させた金属酸化物および/または塩は、この目的に適当である。適当な金属酸化物の例は、特に、酸化亜鉛および二酸化チタン、さらに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物ならびにこれらの混合物である。用いることができる塩は、シリケート(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。酸化物および塩は、スキンケアおよび皮膚保護性のエマルションならびに装飾化粧品のための顔料の形態で使用する。粒子は、100nm未満、好ましくは5nmと50nmの間、特に15nmと30nmの間の平均直径を有しているべきである。これらは球の形状を有していてよいが、楕円の形状または球形から他の幾つかの方法で逸脱した形状を有する粒子を用いることも可能である。顔料は、表面処理、即ち親水性化または疎水性化された形態で存在してもよい。典型的な例は、被覆した二酸化チタン、例えば二酸化チタン T 805(Degussa)またはEusolex(登録商標) T、Eusolex(登録商標) T2000、Eusolex(登録商標) T Aqua、Eusolex(登録商標) AVO、Eusolex(登録商標) T ECO、Eusolex(登録商標) T OLEOおよびEusolex(登録商標) T S(Merck)などである。本発明においては、適当な疎水性被覆組成物は、主にシリコーンであり、これらの中でも特にトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンである。日焼け止め組成物においては、いわゆるミクロ顔料またはナノ顔料を用いることが好ましい。好適には、ミクロ化した酸化亜鉛を用いる。典型的な例は、酸化亜鉛、例えばzinc oxide neutral、zinc oxide NDM(Symrise)またはZ Cote(登録商標) (BASF)またはSUNZnO−ASおよびSUNZnO−NAS(Sunjun Chemical Co. Ltd.)である。さらなる適当なUV光保護フィルターは、SOEFW−Journal 122、543(1996年)およびParf.Kosm.3、11(1999年)におけるP.Finkelの概説に見出すことができる。
【0082】
上記の二群の一次光保護物質の他に、紫外線が皮膚に貫通した際に開始される光化学反応連鎖を遮断する酸化防止剤型の二次光保護剤を使用することも可能である。その典型的な例は、非常に少ない許容量(例えばpmol〜mol/kg)での、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポン酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポン酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンならびにこれらのグリコシルエステル、N−アセチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、アミルエステル、ブチルエステルおよびラウリルエステル、パルミトイルエステル、オレイルエステル、γ−リノレイルエステル、コレステリルエステルおよびグリセリルエステル)およびこれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびこれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)およびスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−チオニンスルホキシミン)、さらに(金属)キレート剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびこれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびこれらの誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよびその誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよびその誘導体(ビタミンAパルミテート)およびベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク酸、ノルジヒドログアヤレト酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、酸化スチルベン、トランス−酸化スチルベン)ならびに本発明に従う適当なこれら特定の活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。
【0083】
本発明のある実施態様においては、本発明によるエマルション濃縮物は少なくとも1つの生体活性成分をさらなる成分として含んでなる。
【0084】
生体活性成分は、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片化生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、擬似セラミド、精油、植物抽出物、例えばプルーン抽出物、バンバラナッツ抽出物およびビタミン複合体などである。
【0085】
本発明のある好適な実施態様においては、本発明による分散体は、ビタミン、アラントイン、ビサボロールおよび植物抽出物から選択される少なくとも1つの化合物を生体活性成分として含んでなる。
【0086】
本発明のある好適な実施態様においては、本発明による分散体は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、植物抽出物およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を生体活性成分として含んでなる。
【0087】
本発明のある実施態様においては、本発明によるエマルション濃縮物は、少なくとも1つの増粘剤をさらなる成分として含んでなる。
【0088】
適当な増粘剤は、例えばAerosilグレード(親水性シリカ)、多糖、特にキサンタンゴム、グアー、寒天、アルギネートおよびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびベントナイト、例えばBentone(登録商標) Gel VS−5PC (Rheox)などである。
【0089】
本発明のある実施態様においては、本発明によるエマルション濃縮物は、さらなる成分として少なくとも1つの脱臭活性成分を含んでなる。
【0090】
脱臭活性成分は、体臭を打ち消すか、隠蔽するか、または除去する。体臭は、アポクリン発汗における皮膚細菌の作用の結果として生じ、不快臭の分解生成物を形成する。従って、適当な脱臭活性成分は、とりわけ、抗菌剤、酵素抑制剤、臭気吸収剤または臭気隠蔽剤である。
【0091】
適当な防虫剤は、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオール、またはMerck KGaAによってInsect Repellent(登録商標) 3535の名称で市販されている3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオン酸エチルエステル、ならびにブチルアセチルアミノプロピオネートである。
【0092】
適当な日焼け剤はジヒドロキシアセトンである。適当なチロシン抑制剤は、メラニンの形成を妨げ、脱色素組成物に用いられ、例えば、アルブチン、フェルラ酸、コージ酸、クマル酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0093】
用いることができる染料は、認可された物質であって、化粧品に適している。その例は、Cochineal Red A(C.I.16255)、Patent Blue V(C.I. 42051)、 インジゴチン(C.I. 73015)、クロロフィリン(C.I. 75810)、キノリンイエロー(C.I. 47005)、二酸化チタン(C.I. 77891)、インダントレンブルーRS(C.I. 69800)およびマダーレーキ(C.I. 58000)である。これらの染料は通常、全混合物を基準として0.001〜0.1重量%の濃度で用いられる。
【0094】
挙げることができる適当な香油は、天然香料と合成香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物である。動物原料、例えばジャコウおよび海狸香、ならびにエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成香料も適当である。
【0095】
エマルション濃縮物のさらなる成分(例えば防腐剤、化粧品活性成分、UVフィルターなど)は、その溶解性に応じて水相によりまたは親油性相により添加されるべきである。
【0096】
本発明によるエマルション濃縮物の調製
本発明によるエマルション濃縮物の調製は、EP0723432B1に記載の方法に従って好ましく実施する。従って、それによって調製される乳化剤が100℃未満の範囲の転相温度を有するように水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)および親油性共乳化剤(C)を選択することは好適である。乳化剤(B)および共乳化剤(C)を水不溶性の成分(A)と混合し、転相温度を5℃超えるまで加熱する。次いで、大体同じ温度の水およびポリオール(D)を攪拌して添加するか、あるいは反対に、油成分、乳化剤および共乳化剤の混合物を、転相温度を5℃越えるまで加熱したポリオールを有する水中に攪拌して投入する。あるいは、乳化剤を転相温度未満で実施し、次いで転相温度を5℃越えるまでエマルションを昇温させてもよい。冷却後、次いで非常に微細なエマルション濃縮物を得る。
【0097】
エマルション濃縮物の調製は当業者に既知の従来の乳化技術に従って実施することができ、例えば高圧均質化が挙げられる。該調製は、いわゆる転相法(PIT)に従って好ましく実施する。PIT技術は先行技術に記載されている。
【0098】
本発明によるエマルション濃縮物は通常、200mPas以上、好ましくは400mPas以上の粘度を有する(ブルックフィールド回転式粘度計 RVF型、スピンドル4、10rpm、20℃を用いて測定)。
【0099】
エマルション濃縮物の使用
本発明によるエマルション濃縮物は直接、化粧品または医薬品の調製物として用いてよい。従って、本発明は、本発明によるエマルション濃縮物の化粧品また医薬品の調製物としての使用をさらに提供する。
【0100】
本発明によるエマルション濃縮物は、細かく分離され、非常に貯蔵安定性である;その結果として、これらは、その流動性のため、できるだけ簡単な手段を用いて、有用な化粧品および医薬品のエマルション、特に水中油エマルションを調製するために、ほとんど技術的装置を用いずに貯蔵および加工場所への輸送に非常に適している予備調製されたエマルションビルディングブロックとして極めて特に適当である。
【0101】
従って、本発明は、化粧品または医薬品の調製物を製造するための本発明によるエマルション濃縮物の使用をさらに提供する。
【0102】
本発明によるエマルション濃縮物は、化粧品または医薬品の水中油エマルションの調製に特に適している。本発明においては、連続的な水性相または親油性相のいずれか、またはその両方をさらに熱を導入することなくエマルション濃縮物に組み込むことが可能である。
【0103】
エマルション濃縮物を希釈する水性相は、溶解形態で、任意の所望の成分、例えば水溶性化粧品活性成分、水溶性蛋白質または蛋白質分解生成物、防腐剤、染料、香料、マグネシウム塩または他の従来の水溶性成分を含んでよい。好ましくは、水性連続相は、粘度を増加させることによってエマルションの化粧品特性を向上させる天然または合成の水溶性ポリマーを含んでなる。このようなエマルションの化粧品特性を向上させるための親水コロイドの特に有効な組み合わせは、非イオン性セルロースエーテルの混合物、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースおよび架橋アクリル酸ポリマーであり、これは、例えば、Carbopol(登録商標)の商品名で入手可能である(DE3521713A1を参照されたい)。
【0104】
エマルション濃縮物を希釈する親油性相は、所望の親油性成分、例えば親油性化粧品活性成分を含んでよい。成分(A)として適当な全ての化合物は、親油性相として適当である。
【0105】
通常、1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、特に4〜10重量%のエマルション濃縮物は、化粧品または医薬品の調製物を製造するために用いられる。
【0106】
化粧品調製物
本発明は、水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)、ポリオール(D)を、A:B:C:D=1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)の重量比で含んでなる化粧品または医薬品の調製物をさらに提供する。
【0107】
驚くべきことに、互いに関連する成分の本発明による割合によって、安定性で微細な調製物を、特に水中油エマルションにおいて得ることができることを見出した。
【0108】
本発明による調製物は、例えば、本発明によるエマルション濃縮物を適切に希釈することによって製造することができる。最も簡単な場合には、希釈は、成分の本発明による割合を変化させないように水を用いて行われる。しかしながら、当業者に既知の方法、例えば成分(A)〜(D)および必要に応じて水の単なる混合などによって、またはエマルション調製の既知の方法によって本発明による調製物を製造することも可能である。
【0109】
基材の被覆のための使用
本発明によるエマルション濃縮物ならびに本発明による化粧品または医薬品の調製物は、基材の被覆に特に適している。
【0110】
エマルション濃縮物および調製物は、ベビーケアおよび乳児衛生分野ならびにメーク落とし、特にアイメーク落としの分野、女性衛生の分野(タンポン、生理用ナプキン、パンティライナー)および身体衛生の分野(トイレットペーパー、湿潤トイレットペーパー)に用いられる紙、ワイプ、繊維製品および原綿製品への適用に特に適している。
【0111】
従って、用途は、本発明によるエマルション濃縮物の使用または紙、不織布および織布への本発明による調製物の使用をさらに提供する。当業者に知られている全ての型の紙、不織布および織布、およびこれらから製造することができる製品、例えばトイレットペーパー、ティッシュペーパー、薄葉紙、ワイプ、原綿、原綿パッド、メーク落とし、タンポン、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつ、ベビーケア用ワイプ、ベビー用洗浄ワイプ、繊維製品などは、本発明に従ってここに含まれる。
【0112】
本発明は、水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)、ポリオール(D)を、A:B:C:Dの重量比が1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)で含むボディケアおよびボディ洗浄用の紙、不織布および織布の製品を同様に提供する。
【0113】
これらの紙、不織布および織布の製品の基材の例としては次のものを挙げることができる:織物繊維から作られた支持体、例えば、天然繊維、例えばセルロース、絹、羊毛、再生セルロース(ビスコース、レーヨン)、セルロース誘導体および/または合成繊維、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミン、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル繊維またはこのような繊維の混合物、織布または不織布などから作られたもの。
【0114】
本発明による製品は、当業者に既知の方法によって製造することができる。本発明によるエマルション濃縮物または本発明による調製物の、ボディケアおよびボディ洗浄用の本発明による紙、不織布または織布への適用は、当業者に既知の方法、例えば含浸、飽和、浸漬、噴霧、剥離または被覆などによって行われる。これは、室温または高温のいずれかで行われる。
【0115】
本発明によるエマルション濃縮物または本発明による調製物は、希釈して、紙、不織布および織布の基材に適用することができるが、次いで、必要に応じて、得られる紙、不織布および織布の製品を乾燥させることができる。
【実施例】
【0116】
以下の実施例は本発明をより詳細に例示することを目的とする:
エマルション濃縮物の調製:
親水性の乳化剤(B)および親油性共乳化剤(C)を油成分(A)と共に95℃まで加熱した。次いで、同じ温度で水およびポリオール(D)を添加し、激しく混合した。20℃に冷却した後、微細なエマルションを得た。粘度は、いずれの場合にも、回転式粘度計を用いてエマルションの調製から5時間後に測定した。
【0117】
表1に本発明による実施例の組成物ならびに安定性測定の結果を示す。表2に成分(A)、(B)、(C)および(D)の比を記載する。
【0118】
本発明によるエマルション濃縮物だけが貯蔵後、安定性であった。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)、ポリオール(D)および水を有し、
a.濃縮物の全重量を基準として50重量%未満の水不溶性油成分(A)を含み、
b.成分(A)、(B)、(C)および(D)を、A:B:C:D=1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)の重量比で含む、
エマルション濃縮物。
【請求項2】
35〜55重量%の水性分率を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のエマルション濃縮物。
【請求項3】
水不溶性油成分(A)が、30℃で液体である炭化水素、ジアルキルエーテル、12〜44個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、ジアルキルカーボネート、ゲルベアルコールおよびシリコーン油またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のエマルション濃縮物。
【請求項4】
少なくとも60重量%の水不溶性油成分(A)が20mN/m以上および30mN/m以下の平均極性を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエマルション濃縮物。
【請求項5】
存在する親水性の非イオン性乳化剤(B)が直鎖脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸部分グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステルまたはアルキル(オリゴ)グリコシドへのエチレンオキシドの付加生成物であり、該化合物が11〜20のHLB値を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のエマルション濃縮物。
【請求項6】
存在する親油性共乳化剤(C)が、12〜24個の炭素原子を有する飽和脂肪アルコールまたは3〜6個の炭素原子を有するポリオールの部分エステルおよび12〜24個の炭素原子を有する脂肪酸またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のエマルション濃縮物。
【請求項7】
存在するポリオールが、2〜18個の炭素原子を含有する多価アルコールであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のエマルション濃縮物。
【請求項8】
ポリオールが2〜6個のヒドロキシル基を有することを特徴とする、請求項7に記載のエマルション濃縮物。
【請求項9】
グリセロール、1,2−プロピレングリコール、ソルビトール、ブチレングリコールおよびヘキシレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの化合物をポリオールとして用いることを特徴とする、請求項7に記載のエマルション濃縮物。
【請求項10】
化粧品または医薬品の調製物としての、請求項1〜9のいずれかに記載のエマルション濃縮物の使用。
【請求項11】
化粧品または医薬品の調製物、特に水中油エマルションを製造するための、請求項1〜9のいずれかに記載のエマルション濃縮物の使用。
【請求項12】
水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)、ポリオール(D)を、A:B:C:D=1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)の重量比で含んでなる、化粧品または医薬品の調製物。
【請求項13】
基材を被覆するための、請求項1〜9のいずれかに記載のエマルション濃縮物または請求項12に記載の調製物の使用。
【請求項14】
水不溶性油成分(A)、親水性の非イオン性乳化剤(B)、親油性共乳化剤(C)、ポリオール(D)を、A:B:C:D=1:(0.25〜0.6):(0.25〜0.6):(0.45〜0.65)の重量比で含んでなる、ボディケアおよび洗浄用の紙、不織布または織布の製品。

【公表番号】特表2010−504284(P2010−504284A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524099(P2009−524099)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006918
【国際公開番号】WO2008/019773
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】