説明

エレベータ装置

【課題】物品の個別確認を乗りかご内で行うことにより、物品を乗りかご内に乗せる前または乗りかご内から下ろしてからの清算作業を軽減することができるエレベータ装置を提供する。
【解決手段】エレベータ装置40は、エレベータ2の乗りかご10内に設置され、乗りかご10内に搬入された物品7に添付された電子タグ15から物品の個別情報を受信する物品個別情報受信手段17と、物品個別情報受信手段17により受信された物品の個別情報を処理する情報処理手段30と、情報処理手段により処理された処理結果を、乗りかご10内に設置された表示部19に表示させる情報表示手段32と、情報処理手段により処理された処理結果を、乗りかご10内に設置された出力部20に出力させる情報出力手段31とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ装置に関し、特にエレベータの乗りかご内で電子タグを用いて物品の個別情報の処理を行うエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の個別情報を管理するために、IC(集積回路)チップとアンテナから構成されている電子タグ(ICタグ、RF−ID:Radio Frequency Identification)の利用が拡大している。
【0003】
一方、エレベータは、エレベータの利用者(お客)を昇降したり物品の昇降するために利用されている。エレベータの乗りかごに乗った利用者が携帯している電子タグにより、各人の個別情報と位置情報を検出して、特定の利用客に応じたエレベータの管制運転やセキュリティ運転を行うことが提案されている。
【特許文献1】特開2005―192030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術では、物品を販売する販売店においてエレベータを利用する利用者は、乗りかご内に購入しようとする物品を乗せて昇降するだけである。このため、例えば購入しようとする物品を乗りかご内に搬入してこれらの物品の個別情報を確認する作業は、物品を乗りかご内に乗せる前に店側の清算係の店員が行ったり、乗りかごから外に下ろしてから店側の清算係の店員が行う必要がある。
【0005】
従って、店舗の店員による物品の清算作業が生じ、利用者にとっては購入しようとする物品の清算をするために待ち時間が生じてしまう。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、物品の個別確認を乗りかご内で行うことにより、物品を乗りかご内に乗せる前または乗りかご内から下ろしてからの清算作業を軽減することができるエレベータ装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータ装置は、エレベータの乗りかご内に設置され、前記乗りかご内に搬入された物品に添付された電子タグから前記物品の個別情報を受信する物品個別情報受信手段と、前記物品個別情報受信手段により受信された前記物品の個別情報を処理する情報処理手段と、前記情報処理手段により処理された処理結果を、前記乗りかご内に設置された表示部に表示させる情報表示手段と、前記情報処理手段により処理された処理結果を、前記乗りかご内に設置された出力部に出力させる情報出力手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品の個別確認を乗りかご内で行うことにより、物品を乗りかご内に乗せる前または乗りかご内から下ろしてからの清算作業を軽減することができるエレベータ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のエレベータ装置の好ましい実施形態が設置されているショッピングセンターの店舗構成例を示す全体図である。
【0011】
図1では、エレベータ装置がショッピングセンター1に適用されており、利用者が電子タグ(以下、ICタグという。)付きの商品(物品の一例)をエレベータの乗りかご10内に載せることで、商品の個別情報(個別データ情報)の確認(ICタグタグの情報処理)を可能としている。これにより、利用者5がエレベータ2を用いて目的階に移動する間に、商品を購入する際の清算作業が行え、店舗の店員のレジスタ作業や、利用者5の支払い作業等を簡略化することができるようになっている。
【0012】
図1に示すように、ショッピングセンター1は、例えば1階床F1、2階床F2、3階床F3を有する3階建てであり、エレベータ2が1階床F1から3階床F3にわたって設置されている。1階床F1から3階床F3の各乗り場には、乗り場ドア3A,3B,3Cと、乗り場ボタン3D、3E,3Fが設けられている。傾斜 式オートロード4が、1階床F1から3階床F3にわたって設置されており、このオートロード4はエレベータ2とは別の昇降機設備である。利用者5は、ショッピングセンター1の入口Wから入って、エレベータ2またはオートロード4を利用して1階床F1、2階床F2、3階床F3に自由に移動でき、買い物が終了すると、ショッピングセンター1の出口Vから外に出ることができる。
【0013】
図1において、6はショッピングカートを示し、7は商品を示し、8は店舗の清算所を示しており、清算所8には清算器(レジスタ)8Rが置かれている。そして9はレジ係の店員を示している。清算所8の清算器8Rは、1階床F1のエレベータの乗り場と出口Vの間に配置されている。
【0014】
図2は、図1に示すショッピングセンター1の2のエレベータ2の乗りかご10の構成例を示している。
【0015】
図2において、乗りかご10の内部には、エレベータ操作盤11が設けられており、エレベータ操作盤11には、乗りかご内の表示灯(階床表示灯、方向灯)12と、戸開閉ボタン13と、行き先階ボタン14と、商品の個別情報の集計開始の指示信号を発生させる開始手段としての開始ボタン18と、表示部としてのモニタ19と、出力部としてのプリンタ20と、電子マネーカード読取器21Aを備える。
【0016】
図2に示す利用者5が、開始ボタン18を指で押すことにより、購入しようとする商品を清算する際の集計開始の指示信号を発生することができ、集計開始の指示信号は、物品個別情報受信手段であるアンテナ17により受信されるようになっている。これにより、利用者5は、利用者が清算したいタイミングで開始ボタン18を押すことで、購入しようとする商品を清算する作業を開始させることができる。
【0017】
表示部19は、情報処理手段により処理された購入しようとする商品7の集計処理結果を、乗りかご2内において利用者5に対して表示する情報表示手段であり、例えば図2の例では500円のコーヒー1個を表示している。
【0018】
プリンタ20は、情報処理手段により処理された購入しようとする商品7の集計処理結果を、乗りかご2内において利用者5に対して外部出力させる情報出力手段であり、出力用紙20Aに印刷して出力できる。
【0019】
また、利用者5が電子マネーカード(ICカード)21を用いて電子決済により、購入しようとする商品を清算する場合には、電子マネーカード読取器(ICカード読取器)21Aは、利用者5が所持している電子マネーカード21を近づけることで、電子マネーカード21の情報を受信して読み取る。
【0020】
図2に示す例では、乗りかご2内に利用者5とショッピングカート6が収容され、検知対象である複数の商品7A,7B,7Cがショッピングカート6に載せられている。検知対象である商品7A,7B,7Cには、それぞれICタグ15が添付されており、各ICタグ15は各商品の個別情報を記憶している。また、ショッピングカート6には、別のICタグ16が添付されており、ICタグ16は、例えばこのショッピングカート6を利用する利用者情報を記憶している。
【0021】
図2に示すように、乗りかご2の内部の天井には、アンテナ17が設置されており、アンテナ17は、走査範囲17B内で乗りかご2内の空間を走査することにより、検知対象である商品7A,7B,7Cの各ICタグ(ICタグ)15からの個別情報の信号を受信し、ショッピングカート6の添付されているICタグ16からの個別情報の信号を受信することができる。
【0022】
次に、図3を参照して、エレベータ装置40の構成例を説明する。
【0023】
図3に示すように、エレベータ装置40は、エレベータ制御装置ともいい、ICタグの情報処理の開始ボタン(ICタグの情報処理の開始手段の一例)18と、ICタグの受信(検知)用のアンテナ17と、電子マネーカード読取器21Aと、プリンタ20と、モニタ19と、ICタグ情報処理部50と、電子マネーカード決済器(ICカード決済器)39と、ICタグの処理情報データベース51と、レジスタ(積算器)8を備える。
【0024】
図3と図2に示すように、ICタグの情報処理の開始ボタン18と、ICタグの受信用のアンテナ17と、電子マネーカード読取器21Aと、プリンタ20と、モニタ19は、エレベータの乗りかご10内に配置されている。
【0025】
図2に示すように、アンテナ17は、エレベータの乗りかご10内に設置されており、図2に例示する乗りかご10内に搬入された商品7に添付されたICタグ15の個別情報とショッピングカート6に添付されたICタグ16の個別情報から商品の個別情報とショッピングカート6の個別情報を受信する物品個別情報受信手段である。
【0026】
図3に示すように、ICタグ情報処理部50は、ICタグ情報集計部30と、集計結果の印字出力部31と、集計結果の表示出力部32と、集計結果の外部処理出力部33と、集計結果の保存情報出力部34とを備える。ICタグ情報集計部30は、集計結果の印字出力部31と、集計結果の表示出力部32と、集計結果の外部処理出力部33と、集計結果の保存情報出力部34に対して電気的に接続されており、集計したICタグ情報を各要素に供給する。
【0027】
図3の集計結果の印字出力部31が、出力部としてのプリンタ20にICタグ15,16の各個別情報を与えることで、商品7の集計したICタグ15の個別情報および/またはショッピングカート6の集計したICタグ16の個別情報を印刷できる。集計結果の表示出力部32は、表示部としてのモニタ19に対してICタグ15,16の各個別情報を与えることで、集計したICタグ15,16の各個別情報を表示できる。集計結果の外部処理出力部33は、電子マネーカード決済器39に対してICタグ15,16の各個別情報を与えることで、利用者5は購入しようとする商品の電子決済できる。
【0028】
図3の集計結果の保存情報出力部34は、ICタグの処理情報データベース51に対して集計したICタグ15,16の各個別情報を与えることで集計したICタグ15,16の各個別情報を保存できる。このICタグの処理情報データベース51は、例えば図1に示すショッピングセンター1の清算所8に設けられている。なお、ICタグ情報処理部50は、レジスタ8Rに対して集計したICタグ15,16の各個別情報を与えることができ、店員9がレジスタ8Rを用いて積算することもできる。
【0029】
ところで、図3に示すICタグ情報処理部50のICタグ情報集計部30は、アンテナ17(物品個別情報受信手段)により受信された物品の個別情報を処理する情報処理手段である。
【0030】
また、図3の集計結果の表示出力部32は、ICタグ情報集計部30(情報処理手段)により処理された処理結果を、乗りかご10内に設置された表示部であるモニタ19に表示させる情報表示手段である。
【0031】
さらに、図3の集計結果の印字出力部31は、ICタグ情報集計部30(情報処理手段)により処理された処理結果を、乗りかご10内に設置された出力部であるプリンタ19に出力させる情報出力手段である。
【0032】
なお、図1に示すように、例えば清算所8の付近には、ICタグ15の物品の個別情報を入力および/または変更するための情報入力変更手段66を備えている。これにより、店員9は、必要に応じて、ICタグ15の物品の個別情報の入力あるいは変更を行うことができる。
【0033】
次に、図4を参照しながら、利用者5がショッピングセンター1において、物品である商品7を購入する際に、図3のエレベータ装置40が動作する例を説明する。
【0034】
図4は、ショッピングセンター1におけるエレベータ装置40の運用例を示しており、ステップS101〜ステップS119を有する。
【0035】
図4のステップS101では、図1に示す利用者5がショッピングセンター1の店舗内に入店して買い物を開始する。店舗内の1階床F1、2階床F2、3階床F3には、商品7が陳列されており、各商品7には物品の個別情報(例えば、商品名や金額等の項目)が予め入力されたICタグ15が添付されている。
【0036】
ステップS102では、利用者5は購入しようとする例えば図2に示す商品7A,7B,7Cを選びながらショッピングセンター1内を回り、図2に示すように、利用者5が購入しようとする商品7A,7B,7Cをショッピングカート6に入れる。なお、利用者5が各階床を移動する際には、エレベータ2とは別の昇降設備である傾斜式オートロード4を利用すると便利である。
【0037】
ステップS103では、利用者5が購入しようとする商品7A,7B,7Cを選び終えて買い物が終了し、利用者5が例えば図1に示す3階床F3に居たとすると、ステップS104において、エレベータ乗り場で図1に示す乗り場ボタン3Fを押して、エレベータの乗りかご10の到着を待つ。
【0038】
ステップS105では、エレベータの乗りかご10が3階床F3に到着すると、利用者5は、商品7A,7B,7Cを載せたショッピングカート6とともに一緒にエレベータ2の乗りかご10内に乗り込む。
【0039】
この後のステップS106〜ステップS111は、エレベータの乗りかご10内での動作であり、ステップS106では、利用者5は図2に示す乗りかご10内の行き先階ボタン14の1階床F1を押すことで積算階を指定する。しかも、利用者5は乗りかご10内の積算処理の開始ボタン18を押す。
【0040】
ステップS107では、図2に示すように乗りかご10内のアンテナ17が走査して、ショッピングカートに載せた商品7A,7B,7CのICタグ15の商品の個別情報と、ショッピングカート6のICタグ16の個別情報を受信(検知)する。
【0041】
受信した商品7A,7B,7CのICタグ15の商品の個別情報と、ショッピングカート6のICタグ16の個別情報は、図3に示すICタグ情報処理部50のICタグ情報集計部30に送られる。商品7A,7B,7CのICタグ15の商品の個別情報としては、商品の名称、金額、個数、合計金額などであり、図3に示すICタグ情報処理部50のICタグ情報集計部30が情報処理(集計処理)を行う。
【0042】
ステップS108では、図3に示すICタグ情報処理部50のICタグ情報集計部30商品7A,7B,7CのICタグ15の商品の個別情報を集計処理して正常に終了すると、ステップS109では、図3の集計結果の表示出力部32が、乗りかご10内のモニタ19において、集計処理した商品7A,7B,7Cの金額を表示する。
【0043】
ステップS110では、図2に示す利用者5が、電子マネーカード21を利用して電子清算する場合には、ステップS116に移り、利用者5が電子マネーカード21を乗りかご10内の電子マネーカード読取器21Aにタッチすることで清算が完了する。ステップS117では、図3に示す集計結果の印字出力部31が発券機であるプリンタ20に清算情報を送ることで、プリンタ20は商品の領収書を出力用紙20Aに印刷して発行するので、利用者5はこの出力用紙20Aを受け取る。
【0044】
ステップS118では、図1のエレベータの乗りかご10が清算階である1階床F1に到着して、利用者5はショッピングカート6とともに乗りかご10から降りる。ステップS119では、利用者5は図1に示す清算所の清算器8へ行って清算係9に商品の領収書を渡し、ステップS115において利用者5は店内から出て買い物が終了する。
【0045】
一方、ステップS110に戻って、図2の利用者5が電子マネーカードを利用しない場合には、図3に示す集計結果の印字出力部31が発券機であるプリンタ20に清算情報を送ることで、プリンタ20は商品の明細書を出力用紙20Aに印刷して発行するので、利用者5はこの出力用紙20Aを受け取る。
【0046】
ステップS112では、図1のエレベータの乗りかご10が清算階である1階床F1に到着して、利用者5はショッピングカート6とともに乗りかご10から降りる。ステップS113では、利用者5は図1に示す清算所の清算器8へ行って清算係9に商品の明細書を渡す。さらに、ステップS114では、利用者5は店員9から提示される金額を支払い、ステップS115において利用者5は店内から出て買い物が終了する。
【0047】
以上説明したように、図3に示すエレベータ装置40を利用することにより、利用者5は、商品を購入する際の清算作業(レジ作業)を簡略化することができる。しかも、本発明の実施形態の最大の特徴としては、図1に示す利用者5がエレベータの乗りかご10を使って目的階に移動する間に、利用者5が自ら操作する必要がなく、また店員(レジ係)9も清算所8のレジスタ8Rの作業をする必要がなく、利用者5が購入しようとする商品の合計金額を出して、モニタ19に表示し、プリンタ20により出力用紙に印刷できる。
【0048】
図3に示すように、集計結果の保存情報出力部34は、ICタグの処理情報データベース51に対して集計したICタグの個別情報を与えることで、ICタグの処理情報データベース51には集計したICタグの個別情報を保存できる。これにより、集計したICタグの個別情報を保存することで、商品管理や売り上げの管理等ができる。
【0049】
図1に示すように、ICタグ15の商品の個別情報を入力、または変更する情報入力変更手段66を備えることにより、入荷した商品へICタグ15を付けたり、または例えば金額の変更等の情報の変更がICタグ15に対して行える。
【0050】
図2に示すように、利用者5が、商品A,7B,7Cをショッピングカート6に入れて乗りかご10内に持ち込んだ際に、利用者5が乗りかご10内のICタグの情報処理の開始ボタン18を押すことで、アンテナ17が商品A,7B,7CのICタグ15を検知する動作または情報処理(集計処理)を開始することができる。これにより、利用者5は商品A,7B,7Cの情報処理(集計処理)を任意のタイミングで自由に行うことができる。なお、利用者5が移動手段としてのみエレベータ2を利用する場合等では、情報処理(集計処理)をしないこともできる。
【0051】
図2に示すように、乗りかご10内に設置された表示部としてのモニタ19は、商品A,7B,7Cの商品名称、金額、個数、合計金額等の処理情報(集計結果)を表示することができる。これにより、利用者5自らも商品A,7B,7Cの商品名称、金額、個数、合計金額(購入金額)等を、モニタ19を通じて目視で確認することができる。また、図1に示す店員9も、清算所(レジスタ)にある処理情報をモニタによって確認することができる。
【0052】
図2に示すように、利用者5が商品A,7B,7Cの清算(支払)をするために電子マネーカード読取器21Aが乗りかご10内に配置されている。これにより、利用者5は自ら支払作業をするための手段である電子マネーカード読取器21Aによって、店員9による清算所(レジスター)8Rでの作業が必要でなくなる。図2に示すように、利用者5が電子マネーカード(ICカード等)21を使用することにより、利用者5は乗りかご10内の電子マネーカード読取器21Aにタッチ動作をするのみで清算作業を完了でき、利用者5は商品を購入するために清算所8に並ぶ必要がなくなる。
【0053】
図2に示すように、利用者5が購入する商品A,7B,7Cの商品名称、金額、個数、合計金額(購入金額)等を出力する手段としてのプリンタ20が乗りかご10内に設置されている。これにより、利用者5は自ら商品A,7B,7Cの商品名称、金額、個数、合計金額(購入金額)等を確認して手元に保存することができる。プリンタ20で印刷された出力用紙20Aは、商品を購入する際に、清算所8での番号札としても活用することができる。支払い済みの場合は、この出力用紙20Aをレシート(領収書)等としても活用することができる。
【0054】
図2に示すように、利用者5が商品を運ぶための各ショッピングカート6には、ICタグ16が添付されている。これにより、利用者5(ショッピングカート6)と購入しようとする商品A,7B,7Cを一くくりして(セットとして)判定することができる。商品を購入する際に、店員9は清算所8での作業が効率化することができる。すなわち、ショッピングセンターでは、複数の利用者(購入者)が乗りかご内に同時に乗り込むことが予想され、この場合には各利用者がそれぞれショッピングカートに購入しようとする商品を載せているために、各ショッピングカートと商品の関連付けを行う必要がある。上述したように、各ショッピングカート6には、ICタグ16が添付されているので、ショッピングカート6のICタグ16の個別情報と、商品のICタグ15の個別情報との関連付けを行える。このように、情報処理手段であるICタグ情報処理部50が、アンテナ17により受信されたショッピングカート6のICタグ15から得られる運搬車特定情報と、ショッピングカート6に積載された商品7の個別情報とを関連付けることができる。
【0055】
また、各ショッピングカートに対して個別番号をあらかじめ付与しておいて、この個別番号と商品のICタグ15の個別情報とを関連付けすることもできる。この場合には、乗りかご内には、ショッピングカートの個別番号を入力するための入力部を設ける必要がある。
【0056】
また、アンテナ17は、エレベータの乗りかご内に載っているショッピングカートのICタグ16からの個別情報により、ショッピングカートの台数を検知することができるので、乗りかご内の積載荷重が満員にまでなくても、もうこれ以上のショッピングカートを乗りかごの床面積の大きさから載せることができない場合は、乗る場呼びに応答せずに、乗りかごを通過させるようなエレベータ運転の運用もできる。すなわち、物品運搬車であるショッピングカートには、ICタグが添付されており、アンテナはこのショッピングカートのICタグからショッピングカートの個別情報を読み取り、乗りかご内に搭乗しているショッピングカートの台数を確認して、乗りかご内の残余のスペースを判断して、他のショッピングカートが搭乗不可能な場合には、呼び出し階であっても乗り場の開閉ドアを開放しない。
【0057】
上述したエレベータ装置では、エレベータの乗りかごは、物品を載せて昇降する手段として用いられるだけではなく、エレベータの乗りかごに載せた物品の個別情報の確認を同時に行うことができる。
【0058】
また、乗りかごが目的階へ移動する時間中に、すなわち乗りかご内に物品を載せている間に、物品の個別情報の確認を完了することができるので、後の段階で個別情報の確認をする場合に比べて時間の短縮が図れる。さらに、利用者は、清算所に並ぶことなく清算(支払い)を完了できるので、待ち時間の短縮が図れる。ショッピングセンターのような店側については、店員(レジ係)の人数を削減できる。
【0059】
物品を運搬する動線として、必ずエレベータの乗りかごを使うことになるので、物品の管理が容易になり、盗難、万引き等の被害が受けにくくなる。
【0060】
本発明の実施形態のエレベータ装置は、利用者が陳列されている商品を選びながら店舗内を回って最後に乗りかごを利用して清算階に移動して、集中して一か所にある清算所(レジスター)へ並んで清算(支払い)を済ませるような形態を採用している店舗に適している。例えばこのような店舗は、大型のショッピングセンター等である。
【0061】
エレベータ装置がショッピングセンターに適用される場合には、物品は商品であり、ICタグ15を用いることにより、乗りかご内において自動清算処理機能を果たすことができる。このように乗りかご内において自動清算処理を行うために、ICタグ15に記憶されている商品の個別情報は、例えば商品の購入日付、購入品目、個別個数、個別金額、合計金額等である。
【0062】
商品の個別情報を受信する物品個別情報受信手段としてのアンテナと、商品の個別情報を表示する情報表示手段としてのモニタと、商品の個別情報を印刷する情報出力手段としてのプリンタは、乗りかご内に設置する。しかし、商品の個別情報を集計する情報集計部は、アンテナからの商品の個別情報を受信する管理部(例えばICタグの商品の個別情報を管理するサーバー等)にあれば、直接の乗りかご内に設ける必要はない。乗りかご内では、購入者には購入情報を与えれば良く、従って乗りかご内には物品個別情報受信手段と情報表示手段と情報出力手段が設けられておれば良い。
【0063】
ICタグの情報処理の開始ボタン18が乗りかご10内に設けられている。この開始ボタン18が設けられるのは、次に理由からである。乗りかご10内には複数の利用者5が乗り込むことが予想されるので、各利用者5がそれぞれ別個にアンテナ17で受信された個別情報の集計開始をする手段が必要である。この開始ボタン18は乗りかご10内に無ければならないが、例えば乗りかご10内のショッピングカートの個別番号が入力できる入力部を設けて、この入力部からショッピングカートの個別番号を入力することにより開始ボタンとすることもできる。
【0064】
(第2の実施の形態)
次に、図5と図6を参照して、本発明における第2の実施の形態について説明する。
【0065】
図5は、本発明の第2の実施の形態における別の運用例を示しており、ステップS121〜ステップS134を有する。図5に示すような運用では、倉庫や工場における物品の出荷等の物品管理が適用できる。図6は、図5に示す物品の出荷を行う倉庫(工場)の例を示している。
【0066】
図5のステップS121では、図6に示す倉庫(もしくは工場)201の2階床F22に配置されている物品207について出荷の指示を受けると、ステップS122では、作業者205は出荷しようとする物品207を選んで、物品運搬車の一例である台車206に載せる。ステップS123では、物品207の積載が終了すると、ステップS124では、作業者205がエレベータの乗り場で呼びボタンを押して、エレベータの乗りかご210の到着を待つ。
【0067】
ステップS125では、エレベータ202の乗りかご210が2階床F22に到着すると、作業者205が台車206と一緒に乗りかご210内に乗り込む。ステップS126〜ステップS132までは、乗りかご210内の操作である。ステップS126では、作業者205は荷捌きの階床ボタン214および集計(積算)の開始ボタン218を押す。
【0068】
ステップS127では、乗りかご210内のアンテナ217が走査して物品207のICタグ215の個別情報を受信(検知)して、ステップS128では、物品207のICタグ情報の処理(集計)が正常に終了する。ステップS129では、乗りかご内のモニタ219に物品207の出荷情報を表示し、物品207の出荷情報がICタグ処理情報データベースに保存される。
【0069】
ステップS131では、発券機であるプリンタ220により物品の明細書が発行されるので、作業者207はこの明細書を取る。ステップS132では、エレベータの乗りかご210が荷捌き階である1階床F21に到着すると、作業者205は台車206とともに乗りかご210内から降りる。ステップS133では、作業者205は台車206を荷捌き場へ移動させて台車206上の物品207をトラックに積載する。ステップS134では、物品を載せたトラックが倉庫(もしくは工場)201を出る。
【0070】
上述したように、図5では、ある倉庫から物品を外部に出荷するときに、エレベータの乗りかご内に物品を載せて、物品が搬出階へ移動する間に、物品の搬出管理(在庫管理)ができる。この場合の特徴としては、エレベータの乗りかご内を使って搬出階に移動することで、ゲートの代用としての運用もできる。また、搬入階から物品をエレベータの乗りかご内に載せて、入荷する場合でも、出荷する場合の出荷管理と同様に入荷管理ができる。
【0071】
上述のように、物品が倉庫もしくは工場である場合に、物品は荷物であり、この荷物の倉庫からの入出庫管理と搬送階管理を行うために、ICタグに記憶されている物品の個別情報は、例えば荷物の内容、生産者、搬入日、搬出予定日、搬入階、配送先等である。
【0072】
荷物のICタグの情報処理の開始ボタンが乗りかご内に設けられている。この開始ボタンが設けられるのは、次に理由からである。すなわち、乗りかご内には複数の作業者が乗り込むことが予想されるので、アンテナで受信された個別情報の集計開始をする手段が必要である。この開始ボタンは乗りかご内に無ければならないが、例えば乗りかご内の台車の個別番号が入力できる入力部を設けて、この入力部から台車の個別番号を入力することにより開始ボタンとすることもできる。
【0073】
本発明のエレベータ装置は、エレベータの乗りかご内に設置され、乗りかご内に搬入された物品に添付された電子タグから物品の個別情報を受信する物品個別情報受信手段と、物品個別情報受信手段により受信された物品の個別情報を処理する情報処理手段と、情報処理手段により処理された処理結果を、乗りかご内に設置された表示部に表示させる情報表示手段と、情報処理手段により処理された処理結果を、乗りかご内に設置された出力部に出力させる情報出力手段と、を具備している。これにより、物品の個別確認を乗りかご内で行うことにより、物品を乗りかご内に乗せる前または乗りかご内から下ろしてからの清算作業を軽減することができる。
【0074】
情報処理手段が、集計開始の指示信号により、乗りかご内に搬入された物品の個別情報の集計を行う。これにより、利用者や作業者が自由に物品の個別情報の集計を開始でき、利用者や作業者が単に乗りかごを移動手段として用いる場合には集計をしないようにすることができる。
【0075】
集計開始の指示信号は、物品個別情報受信手段により受信される。これにより、物品個別情報受信手段以外に、指示信号を受信するための受信手段を設ける必要がないので、構造を簡単化できる。
【0076】
情報処理手段が、物品個別情報受信手段により受信された物品を積載した物品運搬車に添付された電子タグから得られる運搬車特定情報と、物品運搬車に積載された物品の個別情報とを関連付ける。これにより、物品と物品搬送車の関連付けを確実におこなうことができる。
【0077】
情報処理手段により処理された処理結果を保存する保存手段を備える。これにより、処理結果は保存でき、物品の管理や売上の管理等が行える。
【0078】
電子タグの物品の個別情報を入力、変更する情報入力変更手段を備える。これにより、必要に応じて物品の個別情報を新たに入れたり、変更できる。
【0079】
情報処理手段により処理された処理結果を清算する清算手段を備え、清算手段は、電子マネーカードである。これにより、利用者は清算所に並ぶ必要がなくなる。
【0080】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0081】
さらに、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明のエレベータ装置の好ましい実施形態が設置されているショッピングセンターの店舗構成例を示す全体図である。
【図2】図1に示すショッピングセンターのエレベータの乗りかごの構成例を示す図である。
【図3】エレベータ装置の構成例を示す図である。
【図4】ショッピングセンターにおけるエレベータ装置の運用例を示すフロー図である。
【図5】本発明の別の運用例を示すフロー図である。
【図6】図5に示す物品の出荷を行う倉庫(工場)の例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 ショッピングセンター
2 エレベータ
5 利用者
6 ショッピングカート(物品運搬車の一例)
7 商品(物品の一例)
10 乗りかご
15,16 ICタグ(電子タグ)
17 アンテナ(物品個別情報受信手段)
18 開始ボタン(ICタグの情報処理の開始手段の一例)
19 モニタ(表示部)
20 プリンタ(出力部)
21 電子マネーカード(清算手段)
21A 電子マネーカード読取器
30 ICタグ情報(情報処理手段)
31 集計結果の印字出力部(情報出力手段)
32 集計結果の表示出力部(情報表示手段)
40 エレベータ装置
50 ICタグ情報処理部
51 ICタグ処理情報データベース(保存手段)
66 情報入力変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかご内に設置され、前記乗りかご内に搬入された物品に添付された電子タグから前記物品の個別情報を受信する物品個別情報受信手段と、
前記物品個別情報受信手段により受信された前記物品の個別情報を処理する情報処理手段と、
前記情報処理手段により処理された処理結果を、前記乗りかご内に設置された表示部に表示させる情報表示手段と、
前記情報処理手段により処理された処理結果を、前記乗りかご内に設置された出力部に出力させる情報出力手段と、
を具備したことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記情報処理手段が、集計開始の指示信号により、前記乗りかご内に搬入された前記物品の個別情報の集計を行うことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記集計開始の指示信号は、前記物品個別情報受信手段により受信されることを特徴とする請求項2に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
前記情報処理手段が、前記物品個別情報受信手段により受信された前記物品を積載した物品運搬車に添付された電子タグから得られる運搬車特定情報と、前記物品運搬車に積載された前記物品の個別情報とを関連付けることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載のエレベータ装置。
【請求項5】
前記情報処理手段により処理された処理結果を保存する保存手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のエレベータ装置。
【請求項6】
前記電子タグの前記物品の個別情報を入力、変更する情報入力変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載のエレベータ装置。
【請求項7】
前記情報処理手段により処理された処理結果を清算する清算手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のエレベータ装置。
【請求項8】
前記清算手段は、電子マネーカードであることを特徴とする請求項7に記載のエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−30757(P2010−30757A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196174(P2008−196174)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】