説明

エンジンの制御装置

【課題】PTOを装備する車両において、PTO作動時の負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるように制御されるサブスロットルバルブの故障による上物の過回転を有効に防止できるようにする。
【解決手段】スロットル開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数を設定する手段(S1〜S9)、エンジン回転数がPTO作動時燃料カット回転数以上になると燃料の供給を停止する手段(S10〜S14)、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PTOを装備する車両に搭載されるエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PTO(動力取出機構)を装備する車両(クレーン車や清掃車など)に搭載されるエンジンの制御装置において、吸気通路にスロットルバルブと直列に介装されるサブスロットルバルブ、サブスロットルバルブを開閉するサブスロットルアクチュエータ、PTO作動時の負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるようにサブスロットルバルブ開度(サブスロットル開度)を調整するべくサブスロットルアクチュエータを制御する手段、を備えるものが開示される(特許文献1)。
【0003】
特許文献2においては、エンジンの許容回転数を超える過回転を防止するため、エンジン回転数が所定値N1以上になると、燃料カットを行う一方、エンジン回転数が所定値N1よりも低い所定値N2以下になると、燃料カットを解除するようにしたものが開示される。
【特許文献1】特開昭2001−280174号
【特許文献2】特開平07−119527号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなエンジンの制御装置においては、図5のようなトルク特性が想定される。図5において、細線は、PTO非作動時のトルク特性であり、スロットルバルブ開度(スロットル開度)のみに依存する。太線は、PTO作動時のトルク特性であり、スロットル開度およびサブスロットル開度に依存する。
【0005】
PTO作動時においては、アクセル操作量に応じてスロットルバルブが開かれる。この開度に対応する太線のトルク特性に基づいて、PTO作動時の負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるべくサブスロットル開度が調整される。サブスロットルバルブは、エンジン回転数がトルクとの関係から規定される所定回転数(太線の場合、エンジン回転数NPTO)を超えると、エンジン回転数の上昇を抑えるように閉じられるのである。
【0006】
サブスロットルバルブに故障が発生すると、スロットル開度に対応する太線のトルク特性に基づく制御が効かなくなり、エンジン回転数がPTO作動時の負荷変動によって大きく上昇する可能性が考えられる。特許文献2のようなエンジンの制御装置においては、図5の細線のようなトルク特性に対する最高速燃料カット回転数が設定され、エンジン回転数が最高速燃料カット回転数以上になると、燃料の供給が停止され、それ以上にエンジン回転数が上昇するのを抑えられる。PTOの出力で駆動される上物(補助装置)の許容回転数がエンジンの許容回転数よりも低い場合、特許文献2のような最高速燃料カット制御においては、サブスロットルバルブが故障すると、エンジン回転数が上物の許容回転数を超えるのを抑えられない。エンジン回転数が上物の許容回転数以上に上昇すると、上物を破損しかねないのである。
【0007】
この発明は、このような課題に着目してなされたものであり、PTOを装備する車両において、上物の過回転を抑えるための有効な手段の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、PTOを装備する車両に搭載されるエンジンの制御装置において、アクセル操作に応動して吸気通路を開閉するスロットルバルブ、吸気通路にスロットルバルブと直列に介装されるサブスロットルバルブ、サブスロットルバルブを開閉するサブスロットルアクチュエータ、スロットルバルブ開度の検出手段、エンジン回転数の検出手段、PTO作動時の負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるトルク特性に調整するべくスロットルバルブ開度とエンジン回転数とから規定されるサブスロットルバルブ開度となるようにサブスロットルアクチュエータを制御する手段、スロットルバルブ開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数を設定する手段、エンジン回転数がPTO作動時燃料カット回転数以上になると燃料の供給を停止する手段、を備えることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係るエンジンの制御装置において、スロットルバルブ開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数を設定する手段は、スロットルバルブ開度から規定されるPTO作動時基本燃料カット回転数を求める手段、PTO作動時基本燃料カット回転数をPTO作動時燃料カット回転数に設定する手段、を備えることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1の発明に係るエンジンの制御装置において、スロットルバルブ開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数を設定する手段は、スロットルバルブ開度から規定されるPTO作動時基本燃料カット回転数を求める手段、制御周期1回前のPTO作動時基本燃料カット回転数から所定値を減算する積分減衰燃料カット回転数を求める手段、PTO作動時基本燃料カット回転数と積分減衰燃料カット回転数との比較に基づいて大きい方の値をPTO作動時燃料カット回転数に設定する手段、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明においては、PTO作動時は上物側のアクセル操作量に応じたスロットルバルブ開度(スロットル開度)に調整される。サブスロットルバルブは、PTO作動時の負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるトルク特性に調整するべくスロットルバルブ開度とエンジン回転数とから規定される開度に制御される。PTO作動時燃料カット回転数がスロットル開度に応じて設定され、エンジン回転数がPTO作動時燃料カット回転数以上になると、燃料の供給が停止され、それ以上にエンジン回転数が上昇するのを抑えられる。したがって、スロットルバルブは、PTO作動時の要求出力に応じた開度に調整され、その開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数が設定されるので、サブスロットルバルブの故障により、PTO作動時の負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるトルク特性に基づく制御が効かなくなっても、エンジン回転数がPTO作動時の要求出力に応じたPTO作動時燃料カット回転数以上になると、燃料カットによりエンジン回転数の上昇が抑えられるため、PTOからのエンジン回転数が上物(補助装置)の許容回転数を超えるのを防止することが可能となる。
【0012】
第2の発明においては、PTO作動時燃料カット回転数にPTO作動時基本燃料カット回転数が設定され、PTO作動時にエンジン回転数がこの基本燃料カット回転数以上になると、燃料カットによりエンジン回転数の上昇が抑えられるため、PTOからのエンジン回転数が上物(補助装置)の許容回転数を超えるのを防止することが可能となる。
【0013】
第1の発明または第2の発明においては、PTO作動時は上物側のアクセル操作量に応じたスロットル開度に調整される。PTO作動時燃料カット回転数はスロットル開度の変化に即応して設定されるが、エンジン回転数はスロットル開度の変化に遅れて変化するため、スロットルバルブを閉側へ調整する場合においては、PTO作動時燃料カット回転数の変化にエンジン回転数の低下が遅れ、必要のない燃料カットが行われる可能性が考えられる。
【0014】
第3の発明においては、制御周期1回前のPTO作動時基本燃料カット回転数から所定値を減算する積分減衰燃料カット回転数が求められ、PTO作動時基本燃料カット回転数と積分減衰燃料カット回転数との比較に基づいて大きい方の値がPTO作動時燃料カット回転数に設定される。そのため、スロットルバルブを閉側に調整においては、PTO作動時燃料カット回転数に積分減衰燃料カット回転数が設定され、PTO作動時燃料カット回転数の変化が緩やかになり、必要のない燃料カットが行われるのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図は、PTO(動力取出機構)を備える車両(クレーン車や清掃車など)に搭載されるCNGエンジン(圧縮天然ガスを燃料に用いるガスエンジン)への適用例を説明するものである。図1において、エンジン10の吸気通路11にスロットルバルブ12およびその下流にサブスロットルバルブ13が介装され、スロットルバルブ12の上流に燃料供給装置のノズル14が配置される。
【0016】
15は燃料供給装置のインジェクタであり、空燃比が略一定の混合気を生成するべく、吸気流量に見合う燃料量をノズル14へ供給する。16は燃料カット弁であり、エンジンの運転中は開弁状態に保持され、エンジン回転数が後述の過回転防止判定回転以上になると燃料の供給を停止するべく閉弁に制御される。混合気は、エンジン10の各気筒に吸入され、点火プラグ17により、ピストン圧縮行程の所定時期に点火される。
【0017】
エンジン10の吸気通路11において、19はエンジン10の冷間始動時などにバイパス通路22を開くファーストアイドルコントロール弁であり、18はアイドル運転時のエンジン回転を目標アイドル回転に維持するべくバイパス通路21の吸気流量を調整するアイドルコントロール弁であり、20はエキゾーストブレーキ作動時にバイパス通路23を開く補助空気導入弁である。
【0018】
エンジン10の出力を調整するため、運転室にアクセルペダル(図示せず)が設けられ、スロットルバルブ12とメカニカルに連結される。アクセルペダルが踏まれると、スロットルバルブ12は、その操作量に応じた開度に調整される。
【0019】
PTO(図示せず)の出力軸に上物の駆動装置が連結される。PTOの入力軸は、エンジン10の動力伝達系に連結され、PTOの入力軸と出力軸との間に構成される動力取出経路にこれを断続する電磁式クラッチが介装される。PTOは、電磁クラッチをON-OFFするPTOスイッチ24が備えられ、PTOスイッチ24のONによりエンジン10からの動力を電磁式クラッチを介して上物の駆動装置へ伝達するようになっている。
【0020】
上物側にアクセルレバー(エンジン出力操作手段)が設けられ、スロットルバルブ12とメカニカルに連結され、アクセルレバーを操作すると、スロットルバルブ12は、その操作量に応じた開度に調整される。
【0021】
サブスロットルバルブ13は、サブスロットルアクチュエータ25(ステップモータ)により開閉される。30はエンジンコントロールユニットであり、運転状態に応じてインジェクタ15や点火プラグ17等を制御する機能のほか、サブスロットルアクチュエータ25および燃料カット弁16を制御する機能が設定される。運転状態の検出手段として、スロットルバルブ開度(スロットル開度)を検出する手段(スロットル開度センサ26)、クランク角およびエンジン回転数を検出する手段(クランク角センサ27)、が備えられる。
【0022】
スロットルバルブ12は、アクセル操作量に応じた開度に調整される。エンジンコントロールユニット30においては、PTOスイッチ24がOFF(PTO非作動)の場合、サブスロットルバルブ13は、全開状態に維持され、エンジンの出力は、スロットル開度のみに依存するトルク特性(図5の細線)に調整される。PTOスイッチ24がON(PTO作動)の場合、サブスロットルバルブ13は、PTOの負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるトルク特性(図5の太線)に調整するべく、マップA(図4、参照)に基づいて、スロットル開度とエンジン回転数とから規定される開度(サブスロットル開度)に制御されるのである。
【0023】
上物の過回転を防止するため、エンジンコントロールユニット30においては、スロットル開度をパラメータに設定されるマップTBNFCPTO-0(図3、参照)に基づいて、スロットル開度センサ26の検出信号から規定されるPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nを求める手段31、制御周期1回前のPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)n-1から所定値DINFCPTOSTP(ステップ量)を減算する積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nを求める手段32、PTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nと積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nとの比較に基づいて大きい方の値をPTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)nに設定する手段33、PTOスイッチ24のON-OFF信号からPTO作動時かどうかの判定に基づいてPTO作動時はPTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)nを過回転防止判定回転数に設定する一方、PTO非作動時はエンジン10の最高速燃料カット回転数を過回転防止判定回転数に設定する手段34、クランク角センサ27の検出信号に基づいて、エンジン回転数が過回転防止判定回転数以上になると燃料の供給を停止するべく燃料カット弁16を閉弁に制御する手段35、が備えられる。
【0024】
PTO作動時は、エンジン10の最高速燃料カット回転数でなく、PTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)nに基づいて、燃料カットが制御され、エンジン回転数がPTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)nを超えるのが抑えられるのである。
【0025】
図6においては、上物の許容回転数が高い場合、アクセルレバーの操作により、スロットルバルブ12は開度100%に調整可能となり、その範囲において、要求出力に応じたPTO作動燃料カット回転数(NFCPTO)nが設定される。上物の許容回転数が低い場合、アクセルレバー操作により、スロットルバルブは開度50%以下の調整範囲に制限され、その範囲において、要求出力に応じたPTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)nが設定される。
【0026】
このため、サブスロットルバルブ13の故障により、PTO作動時にエンジン回転数が上物の許容回転数を超えるのが抑えられる。PTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)nは、上物側の要求出力(スロットル開度)に応じた設定値に調整されるので、異なる許容回転数の異なる上物へ簡単かつ容易に適用しえるのである。
【0027】
図3は、燃料カットに係る制御ダイヤグラムであり、スロットル開度センサ26の検出信号に基づいてマップTBNFCPTO-0からスロットル開度に応じたPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nが求められる。制御周期TFCPTO毎にPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)n の前回値(NFCPTO-0)n-1から所定値DINFCPTOSTP(ステップ量)を減算する積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)n=(NFCPTO-0)n-1−DINFCPTOSTPが求められる。
【0028】
PTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nが比較器33a,33bのA端子に入力され、積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nが比較器33a,33bのB端子に入力され、A端子のPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nとB端子の積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nとの比較により、スイッチング回路33cが接点1,2を選択的に閉成する。スイッチング回路33cは、A端子のPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)n≧B端子の積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nの場合、PTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)n=A端子のPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nを出力する一方、A端子のPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)n<B端子の積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nの場合、PTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)n=B端子の積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nを出力する。
【0029】
PTOスイッチ24のON-OFF信号に基づいて、スイッチング回路34aが接点0,1を選択的に閉成する。スイッチング回路34aは、PTOスイッチ=OFFの場合、過回転防止判定回転数=接点0側の最高速燃料カット回転数を出力する一方、PTOスイッチ=ONの場合、過回転防止判定回転数=接点1側のPTO作動時燃料カット回転数(NFCPTO)nを出力する。
【0030】
比較器35aにおいては、クランク角センサ27の検出信号(エンジン回転数)がA端子に入力され、スイッチング回路34aからの過回転防止判定回転数がB端子に入力され、A端子のエンジン回転数≧B端子の過回転防止判定回転数が成立すると、燃料の供給を停止するべく燃料カット信号を出力するのである。
【0031】
図7は、PTO作動時の過回転防止判定回転数NFCPTOの変化を例示する説明図であり、アクセルレバーの操作により、スロットル開度が変化すると、スロットル開度の変化に追従して過回転防止判定回転数NFCPTOも変化する。過回転防止判定回転数NFCPTOは、スロットル開度に応じたPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nと積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nとの比較に基づいて、大きい方の値が設定される。スロットル開度が拡大する過程(A)においては、過回転防止判定回転数NFCPTO=PTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nとなり、スロットル開度の拡大に即応して過回転防止判定回転数が(NFCPTO)m-2→(NFCPTO)m-1→(NFCPTO)mと高められる一方、エンジン回転数はスロットル開度の変化に遅れて上昇するようになる。スロットル開度が縮小する過程においては、過回転防止判定回転数NFCPTO=積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nとなり、前回値から所定値DINFCPTOSTPを減算する処理により、過回転防止判定回転数が(NFCPTO)n-2→(NFCPTO)n-1→(NFCPTO)nと緩やかに低下するため、スロットル開度の変化に遅れるエンジン回転数が過回転防止判定回転数NFCPTO以上になるのが防止され、必要のない燃料カットが行われるのを避けられるのである。燃料カットは、エンジンの回転変動やトルク変動を伴うので、必要のない燃料カットを防止することにより、PTO作動時においても、違和感のない安定した運転状態が得られることになる。
【0032】
図2は、エンジンコントロールユニット30の燃料カットに係る制御内容を説明するフローチャートであり、制御周期TFCPTOで繰り返し実行される。S1においては、スロットル開度の検出値を読み込む。S2においては、エンジン回転数の検出値を読み込む。S3においては、PTOスイッチの信号を読み込む。S4においては、PTOスイッチがONかどうかを判定する。S4の判定がyesのときは、S5へ進む一方、S4の判定がnoのときは、S11において、過回転防止判定回転数にエンジンの最高速燃料カット回転数を設定する。
【0033】
S5においては、スロットル開度の検出値をパラメータに設定のマップTBNFCPTO-0からスロットル開度の検出値に対応するPTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nを求める。S6においては、PTO作動時基本燃料カット回転数の前回値(NFCPTO-0)n-1から所定値DINFCPTOSTP(ステップ量)を減算する積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nを求める。
【0034】
S7においては、PTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)n>積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nかどうかを判定する。S7の判定がyes(PTO作動時基本燃料カット回転数>積分減衰燃料カット回転数)のときは、S8において、PTO作動時燃料カット回転数にPTO作動時基本燃料カット回転(NFCPTO-0)nを設定する一方、S7の判定がno(PTO作動時基本燃料カット回転数≦積分減衰燃料カット回転数)のときは、S9において、PTO作動時燃料カット回転数に積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)nを設定する。
【0035】
S10においては、過回転防止判定回転数にPTO燃料カット回転数を設定する。S12においては、エンジン回転数の検出値≧過回転防止判定回転数かどうかを判定する。過回転防止判定回転数は、PTOスイッチ24がONの場合、PTO作動時基本燃料カット回転数(NFCPTO-0)nと積分減衰燃料カット回転数(NFCPTO-STP)との比較に基づいて大きな方の値(S8の設定値またはS9の設定値)がエンジン回転数の検出値と比較され、PTOスイッチ24がOFFの場合、エンジンの最高速燃料カット回転数(S11の設定値)がエンジン回転数の検出値と比較されるのである。S12の判定がyesのときは、S13において、燃料カット弁16を閉弁に制御する一方、S12の判定がnoのときは、S14において、燃料カット弁16を開弁に制御する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】同じく制御内容を説明するフローチャートである。
【図3】同じく制御ダイアグラムである。
【図4】同じくサブスロットルバルブの制御に係る説明図である。
【図5】同じくサブスロットルバルブの制御に係るトルク特性図である。
【図6】同じく燃料カットに係る制御例を説明するトルク特性図である。
【図7】PTO作動時の過回転防止判定回転数の変化を例示する説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10 エンジン
12 スロットルバルブ
13 サブスロットルバルブ
14 燃料供給装置のノズル
16 燃料カット弁
24 PTOスイッチ
25 サブスロットルアクチュエータ
26 スロットル開度センサ
27 クランク角センサ
30 エンジンコントロールユニット
31 PTO作動時基本燃料カット回転算出手段
32 積分減衰燃料カット回転算出手段
33 PTO作動時燃料カット回転設定手段
34 過回転防止判定回転設定手段
35 燃料カット制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTOを装備する車両に搭載されるエンジンの制御装置において、アクセル操作に応動して吸気通路を開閉するスロットルバルブ、吸気通路にスロットルバルブと直列に介装されるサブスロットルバルブ、サブスロットルバルブを開閉するサブスロットルアクチュエータ、スロットルバルブ開度の検出手段、エンジン回転数の検出手段、PTO作動時の負荷変動に伴うエンジン回転数の変化を抑えるトルク特性に調整するべくスロットルバルブ開度とエンジン回転数とから規定されるサブスロットルバルブ開度となるようにサブスロットルアクチュエータを制御する手段、スロットルバルブ開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数を設定する手段、エンジン回転数がPTO作動時燃料カット回転数以上になると燃料の供給を停止する手段、を備えることを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
スロットルバルブ開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数を設定する手段は、スロットルバルブ開度から規定されるPTO作動時基本燃料カット回転数を求める手段、PTO作動時基本燃料カット回転数をPTO作動時燃料カット回転数に設定する手段、を備えることを特徴とする請求項1の記載に係るエンジンの制御装置。
【請求項3】
スロットルバルブ開度に応じたPTO作動時燃料カット回転数を設定する手段は、スロットルバルブ開度から規定されるPTO作動時基本燃料カット回転数を求める手段、制御周期1回前のPTO作動時基本燃料カット回転数から所定値を減算する積分減衰燃料カット回転数を求める手段、PTO作動時基本燃料カット回転数と積分減衰燃料カット回転数との比較に基づいて大きい方の値をPTO作動時燃料カット回転数に設定する手段、を備えることを特徴とする請求項1の記載に係るエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−46249(P2006−46249A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230771(P2004−230771)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】