説明

エンジン

【課題】排気ポートからマフラ取り付けボスへの熱伝導を低減することで、締結部品の緩みを抑止することが可能なマフラ取り付け構造およびマフラ取り付け構造を備えたエンジンを提供する。
【解決手段】エンジン100は、ピストン104とともに燃焼室105を構成するシリンダブロック101又はシリンダヘッド10と、燃焼室105に連通する排気ポート110と、を有し、排気ポート110の出口にマフラ115が取り付けられ、マフラ115は、第1のマフラ取り付けボス及び第2のマフラ取り付けボスに締結部品を締結させて装着され、第1のマフラ取り付けボス及び第2のマフラ取り付けボスは、シリンダブロック101又はシリンダヘッド10に形成されたフィンに接続されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関し、特に、エンジン本体にマフラを固定するためのマフラ取り付けボルトの緩みを抑止することが可能なエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンを構成するエンジン本体にマフラを取り付けるためのマフラ取り付け構造として、ボルトによりエンジン本体にマフラを固定して取り付けられたものが一般的に知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のエンジンのマフラ取り付け構造では、マフラ取り付けボスに締結部品を締結させ、上方から固定部材で固定することで、マフラがエンジン本体に取り付けられる構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−2730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載のエンジンのマフラ取り付け構造では、排気ポートに近接した位置にマフラ取り付けボスが配設されている。
【0006】
このため、排気ガスによりマフラ取り付けボスが高温になり易く、このマフラ取り付けボスの熱膨張などによりマフラ取り付けボスに締結される締結部品が緩みやすくなってしまうという技術的課題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の実状を鑑みて、燃焼室及び排気ポートからマフラ取り付けボスへの熱伝導を低減することで、締結部品の緩みを抑止することが可能なエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエンジンは、ピストンとともに燃焼室を構成するシリンダーと、上記燃焼室に連通する排気ポートと、を有し、上記排気ポートの出口にマフラが取り付けられ、上記マフラは、上記マフラ取り付けボスに締結部品を締結させて装着され、上記マフラ取り付けボスは、上記シリンダーに形成されたフィンに接続されて構成されている。
【0009】
さらに、このエンジンの上記フィンは、上記シリンダーの冷却フィンとして機能するように構成されている。
【0010】
さらに、このエンジンは、上記シリンダーに複数の上記フィンが形成され、上記マフラ取り付けボスを複数の上記フィンに掛け渡して配設されて構成されている。
【0011】
さらに、このエンジンは、上記フィンが上記マフラを取り付けるための座面として機能するように構成されている。
【0012】
さらに、このエンジンは、冷却風を送風する冷却ファンを備え、上記マフラ取り付けボスは、上記排気ポートより上記冷却風の風上側に位置する第1のマフラ取り付けボスと、上記排気ポートよりも上記冷却風の風下側に位置する第2の取り付けボスと、を有し、上記第1のマフラ取り付けボスは、上記シリンダーに直に接続され、上記第2のマフラ取り付けボスは、冷却フィンを介して上記シリンダーに接続されて構成されている。
【0013】
さらに、このエンジンは、上記シリンダーの冷却フィンとして機能する複数のフィンに掛け渡されて第1のマフラ取り付けボス及び第2のマフラ取り付けボスが配設されるとともに、冷却風を送風する冷却ファンを備え、第1のマフラ取り付けボスが上記排気ポートより上記冷却風の風上側に位置し、第2のマフラ取り付けボスが上記排気ポートよりも上記冷却風の風下側に位置し、上記第2のマフラ取り付けボスは、上記第1のマフラ取り付けボスよりも上記シリンダーから離して配設されて構成されている。
【0014】
さらに、このエンジンは、上記シリンダーがシリンダヘッドとシリンダブロックとに分離可能に構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のエンジンによれば、マフラ取り付けボスがフィンを介してシリンダーに接続されることで、燃焼室及び排気ポートからマフラ取り付けボスへの熱伝導を低減させることができる。これにより、マフラ取り付けボスに締結される締結部品の緩みを抑止することができる。
【0016】
さらに、本発明のエンジンによれば、シリンダーに複数のフィンが配設され、マフラ取り付けボスを複数のフィンに掛け渡して配設されることで、マフラ取り付けボスが複数のフィンに掛け渡されて支持され、マフラ取り付けボスの剛性を高めることが可能になる。これにより、マフラ取り付けボスの破損を防止することができる。
【0017】
さらに、本発明のエンジンによれば、フィンがマフラを取り付けるための座面として機能することで、マフラを取り付けるための座板を設けることなく取り付けることが可能になり、部品点数を減らすことができる。
【0018】
さらに、本発明のエンジンによれば、排気ポートより冷却風の風上側に位置する第1のマフラ取り付けボスが直にシリンダーに接続され、排気ポートよりも冷却風の風下側に位置する第2のマフラ取り付けボスが冷却風により冷却される冷却フィンを介してシリンダーに接続されることで、第2のマフラ取り付けボスの冷却性能が高まり、第1のマフラ取り付けボスと第2のマフラ取り付けボスとの温度差を小さくすることが可能になる。これにより、第1のマフラ取り付けボスに締結される締結部品と第2のマフラ取り付けボスに締結される締結部品との熱膨張率を均一にすることができ、締結部品の緩みを防止することができる。
【0019】
さらに、本発明のエンジンによれば、シリンダーの冷却フィンとして機能する複数のフィンに掛け渡されて第1のマフラ取り付けボス及び第2のマフラ取り付けボスが配設されているため、複数の冷却フィンの間を流れる冷却風により第1の取り付けボス及び第2の取り付けボスが冷却されるとともに、第2のマフラ取り付けボスが第1のマフラ取り付けボスよりもシリンダーから離して配設されているため、特に、温度上昇し易い第2のマフラ取り付けボスの周りを滑らかに冷却風が流れ、冷却性能が高まり、第1のマフラ取り付けボスと第2のマフラ取り付けボスとの温度差を小さくすることができる。これにより、第1のマフラ取り付けボスに締結される締結部品と第2のマフラ取り付けボスに締結される締結部品との熱膨張率を均一にすることができ、締結部品の緩みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態であるエンジンの構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態であるエンジンの構成を模式的に示す平面図である。
【図3】図2における線I−I´を模式的に示す断面図である。
【図4】図2における線II−II´を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態であるエンジンのシリンダヘッドの構成を上方側から模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるエンジンのシリンダヘッドの構成を下方側から模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施の形態であるエンジンのシリンダヘッドの構成を上方側から模式的に示す平面図である。
【図8】図7おける線III−III´を模式的に示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態であるエンジンのシリンダヘッドの構成について、図7における線III−III´を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施の形態であるエンジン100の構成を模式的に示す斜視図であり、図2は、本発明の一実施の形態であるエンジン100の構成を模式的に示す平面図であり、図3は、図2における線I−I´を模式的に示す断面図であり、図4は、図2における線II−II´を模式的に示す断面図である。
【0022】
図1乃至図4に例示されるように、本実施の形態のエンジン100は、主たる構成として、シリンダブロック101、クランクケース102、オイルケース103及びシリンダヘッド10からなる。これらは、着脱可能に構成され、ボルトなどにより連結して組み付けられている。
【0023】
なお、本実施の形態のエンジン100は、高出力を得易くするために、シリンダブロック101とシリンダヘッド10とが別体で構成され、後述する排気ポート110がシリンダヘッド10内に配されている。
【0024】
エンジン100の本体を構成するシリンダブロック101、クランクケース102、オイルケース103及びシリンダヘッド10のうち、シリンダブロック101には、ピストン104がシリンダブロック101内で往復動可能に挿嵌されている。
【0025】
このピストン104は、後述する燃焼室105内での混合気の燃焼に起因して生じる爆発力によりシリンダブロック101内での往復運動を可能にしている。そして、ピストン104には、コンロッド106が回動可能に連結されている。
【0026】
コンロッド106は、ピストン104のシリンダブロック101内での往復運動を後述するクランクシャフト107の回転運動に変換するものである。このコンロッド106の一端は、上述したように、ピストン104に回動可能に連結されている。また、コンロッド106の他端は、クランクシャフト107に接続されている。
【0027】
クランクシャフト107は、上述したように、コンロッド106を介してピストン104に接続されている。このため、ピストン104の往復運動がコンロッド106を介してクランクシャフト107の回転運動に変換され、出力軸に伝達されている。
【0028】
このクランクシャフト107は、シリンダブロック101と、シリンダブロック101の長手方向の一端側(図3における下方側)に配設されたクランクケース102とで回転可能に支持されている。
【0029】
具体的には、クランクケース102の内部には、クランク室が形成されており、このクランク室から突出したクランクシャフト107の両端をシリンダブロック101及びクランクケース102により挟んで回転可能に支持されている。
【0030】
また、クランクシャフト107には、出力軸の他に、エンジン100の本体を構成するシリンダブロック101及びシリンダヘッド10に冷却風を送るための冷却ファン108が連結されている。
【0031】
すなわち、冷却ファン108は、クランクシャフト107の回転に連動して回転し、クランクシャフト107の径方向及び軸方向に冷却風を送風している。すなわち、冷却ファン108は、エンジン100の本体を構成するシリンダブロック101、シリンダヘッド10に冷却風を送風している。
【0032】
また、クランクケース102の他端側(図1乃至図4における下方側)には、クランク室に送油するオイルを貯留するためのオイルケース103が配設されている。このオイルケース103は、四方及び下方を囲んだ函体で形成され、上方側に開口を有して形成されている。
【0033】
そして、この四方及び下方を囲んで形成されたオイルケース103の内側が油留室となる。すなわち、クランクシャフト107を回転可能に収容するクランクケース102の半円筒状の部分がクランク室と油留室との仕切り壁となる。
【0034】
一方、シリンダブロック101の他端側(図3における上方)には、シリンダヘッド10が設けられている。シリンダブロック101、ピストン104の上面及びシリンダヘッド10によって燃焼室105が形成されている。シリンダヘッド10には、図示しない気化器に連通する吸気ポート109が形成されている。
【0035】
また、シリンダヘッド10には、マフラ115に連通する排気ポート110が形成されている。そして、吸気ポート109には、この吸気ポート109を開閉する吸気バルブ111が配設されている。また、排気ポート110には、この排気ポート110を開閉する排気バルブ112が配設されている。
【0036】
吸気バルブ111は、ピストン104が上死点から下死点まで移動する吸入工程において開弁する。この吸入工程では、燃焼室105内の容積の拡大にともなって生じる負圧の作用により、吸気ポート109から燃焼室105内に混合気が吸入することとなる。
【0037】
また、排気バルブ112は、ピストン104が下死点から上死点まで移動する排気行程において開弁する。この排気行程では、燃焼室105内の容積の縮小にともなって生じる正圧の作用により、燃焼室105内で生成された排気ガスを排気ポート110からマフラ115に排出することとなる。
【0038】
これら吸気バルブ111及び排気バルブ112には、吸気ポート109及び排気ポート110を開閉するために、吸気バルブ111及び排気バルブ112を駆動する動弁機構が連設されている。この動弁機構は、いわゆるOHV型動弁機構を用いて構成されている。
【0039】
具体的には、動弁機構は、主たる構成部品として、クランクシャフトギヤ、カムシャフト、ロッカーアーム113などを有している。これらクランクシャフトギヤ及びカムシャフトは、シリンダブロック101及びクランクケース102に沿って形成される側室に設けられている。また、ロッカーアーム113は、シリンダヘッド10に形成される動弁室に設けられている。
【0040】
このクランクシャフトギヤは、側室においてクランクシャフト107と一体となって回転するように配設されている。そして、カムシャフトには、側室においてクランクシャフトギヤと噛み合い、クランクシャフト107の1/2回転でカムシャフトを回転させるカムシャフトギヤが設けられている。
【0041】
さらに、カムシャフトには、このカムシャフトと一体回転するカムが設けられている。このカムには、プッシュロッド114の一端が接触しており、カムの回転によってプッシュロッド114が長手方向に移動するようにしている。
【0042】
また、プッシュロッド114の他端は、ロッカーアーム113に接続されており、プッシュロッド114の移動にともなってロッカーアーム113は揺動することとなる。そして、ロッカーアーム113の揺動によって、それぞれ吸気バルブ111および排気バルブ112が往復移動し、これによって吸気ポート109および排気ポート110が開閉することとなる。
【0043】
このように、本実施の形態においては、排気ポート110がシリンダヘッド10に形成されており、排気ポート110で発生した排気ガスがシリンダヘッド10からマフラ115に排出されている。
【0044】
本実施の形態において、マフラ115は、排気ポート110が開口するシリンダヘッド10に取り付けられている。この際、マフラ115は、後述するマフラ取り付けボスを構成する第1のマフラ取り付けボス16及び第2のマフラ取り付けボス17に図示しない締結部品を締結させて装着されている。
【0045】
次に、本実施の形態のエンジン100に、マフラ115を取り付ける際におけるマフラ取り付け構造の主たる構成であるシリンダヘッド10について、図5乃至図8を用いて説明する。
【0046】
図5は、本発明の一実施の形態であるエンジン100のシリンダヘッド10の構成を上方側から模式的に示す斜視図であり、図6は、本発明の一実施の形態であるエンジン100のシリンダヘッド10の構成を下方側から模式的に示す斜視図であり、図7は、本発明の一実施の形態であるエンジン100のシリンダヘッド10の構成を上方側から模式的に示す平面図であり、図8は、図7おける線III−III´を模式的に示す断面図である。なお、図8中に示す矢印は、冷却ファン108により送風された冷却風の流れを示すものである。
【0047】
図5乃至図8に例示されるように、シリンダヘッド10には、上述したように、燃焼室105に連通して配置され、燃焼室105に図示しない気化器から吸引する吸気ポート109が形成されている。
【0048】
また、シリンダヘッド10には、上述したように、燃焼室105に連通して配置され、燃焼室105で発生した排気ガスをマフラ115に排出する排気ポート110が形成されている。
【0049】
そして、シリンダヘッド10には、これら吸気ポート109及び排気ポート110を覆うように配置され、吸気ポート109及び排気ポート110の近傍に冷却ファン108の冷却風を流通させる複数のフィン20が形成されている。
【0050】
これら複数のフィン20は、互いに間隔をあけて平行に配置され、同方向に起立して配設されている。すなわち、冷却ファン108の冷却風は、複数のフィン20の間を流通することで、吸気ポート109及び排気ポート110の冷却を可能にしている。
【0051】
本実施の形態において、これら複数のフィン20のうち、もっとも外側に位置するフィン20aには、排気ポート110の排気口12が形成されている。また、フィン20aには、マフラを取り付けるための締結部品を締結するマフラ取り付けボスを構成する第1のマフラ取り付けボス16の開口及び第2のマフラ取り付けボス17の開口が形成されている。
【0052】
また、フィン20aは、第1のマフラ取り付けボス16の開口、第2のマフラ取り付けボス17の開口及び排気口12を同一平面上に備え、マフラを取り付けるための座面として機能している。
【0053】
このように、もっとも外側に位置するフィン20aがマフラを取り付けるための座面として機能することで、エンジン100の本体の他の部位に別途、座面を形成する必要がなく、エンジン100の本体を形成する金型の構成を簡易化することができる。また、エンジン100の本体の他の部位に別途、座面を形成する必要がないため、部品点数を減らすことができる。
【0054】
また、第1のマフラ取り付けボス16、第2のマフラ取り付けボス17、排気ポート110の排気口12は、フィン20aの面上よりも僅かに突出した位置に配置されている。このため、マフラを取り付ける際、マフラの座面とフィン20aとの間に僅かな隙間を形成することが可能になる。これにより、第1のマフラ取り付けボス16及び第2のマフラ取り付けボス17へのマフラから発生する熱の伝達をより低減することが可能になる。
【0055】
本実施の形態の排気ポート110は、上述したように、もっとも外側に位置するフィン20aからこのフィン20aに隣接するフィン20bに掛け渡されて貫通形成されている。
【0056】
また、第1のマフラ取り付けボス16及び第2のマフラ取り付けボス17も、もっとも外側に位置するフィン20aからこのフィン20aに隣接するフィン20bに掛け渡されて構成されている。すなわち、これら排気ポート110及び第1のマフラ取り付けボス16及び第2のマフラ取り付けボス17は、フィン20a、フィン20bに掛け渡されて互いに平行に配設されている。
【0057】
このように、第1のマフラ取り付けボス16及び第2のマフラ取り付けボス17は、フィン20aとフィン20bとに掛け渡されて構成されているため、第1のマフラ取り付けボス16及び第2のマフラ取り付けボス17の剛性を高めることが可能になる。
【0058】
本実施の形態において、第1のマフラ取り付けボス16は、排気ポート110より風上側に位置している。また、第2のマフラ取り付けボス17は、排気ポート110よりも風下側に位置している。
【0059】
ここで、冷却ファン108から送風された冷却風がフィン20aとフィン20bとの間に流入すると、この冷却風は、第1のマフラ取り付けボス16の近傍を通過して、第1のマフラ取り付けボス16を冷却している。
【0060】
その後、排気ポート110の周囲を冷却風が通過することで、排気ポート110を冷却している。このとき、排気ポート110の周囲を冷却風が通過することで、排気ポート110から発生する熱により冷却風の温度が上昇する。
【0061】
そして、温度上昇した冷却風は、第2のマフラ取り付けボス17の近傍を通過して、第2のマフラ取り付けボス17を冷却している。このため、第1のマフラ取り付けボス16と第2のマフラ取り付けボス17とは、冷却ファン108の冷却風による冷却効率が異なる。
【0062】
このように、冷却効率の異なる第1のマフラ取り付けボス16と第2のマフラ取り付けボス17とに関し、第2のマフラ取り付けボス17は、第1のマフラ取り付けボス16よりもシリンダヘッド10の基部10a及び排気ポート110から離して配設されている。
【0063】
したがって、第1のマフラ取り付けボス16に比べ、第2のマフラ取り付けボス17へのシリンダヘッド10の基部10a及び排気ポート110からの熱伝導を低減し、第2のマフラ取り付けボス17の冷却性能を高めることが可能になる。このため、第2のマフラ取り付けボス17に締結される締結部材の緩みを抑えることができる。
【0064】
よって、第1のマフラ取り付けボス16と第2のマフラ取り付けボス17とは、冷却ファン108の冷却風による冷却効率が異なるが、第2のマフラ取り付けボス17は、第1のマフラ取り付けボス16よりもシリンダヘッド10の基部10aから離して配設されているため、燃焼室105及び排気ポート110から第2のマフラ取り付けボス17への熱伝導を低減しているため、第1のマフラ取り付けボス16と第2のマフラ取り付けボス17との温度差を小さくすることができる。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、燃焼室105及び排気ポート110から第2のマフラ取り付けボス17への熱伝導を低減させることが可能になるとともに、第1のマフラ取り付けボス16と第2のマフラ取り付けボス17との温度差を小さくすることが可能になり、締結部品の緩みを抑えることができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施の形態であるエンジンについて、図9を用いて説明する。図9は、本発明の他の実施の形態であるエンジンのシリンダヘッド80の構成について、図7における線III−III´を模式的に示す断面図である。
【0067】
なお、第2の実施の形態のエンジンは、上述の第1の実施の形態に対して、第1のマフラ取り付けボス86が直にシリンダヘッド80の基部80aに接続され、第2のマフラ取り付けボス87がフィン90aを介してシリンダヘッド80の基部80aに接続されている点が異なり、他の構成は、同様である。第1の実施の形態と同一又は相当する部分については、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0068】
図9に例示されるように、本実施の形態のシリンダヘッド80は、上述したように、第1のマフラ取り付けボス86が直にシリンダヘッド80の基部80aに接続され、第2のマフラ取り付けボス87がフィン90aを介してシリンダヘッド80の基部80aに接続されている。
【0069】
このため、排気ポート110より風上側に位置する第1のマフラ取り付けボス86と、風下側に位置する第2のマフラ取り付けボス87との温度差をより小さくすることが可能になる。これにより、第1のマフラ取り付けボス86に締結される締結部品と、第2のマフラ取り付けボス87に締結される締結部品との熱膨張率をより均一にすることができ、緩みを防止することができる。
【0070】
なお、本実施の形態のエンジン100は、上述したように、高出力を得易くするために、シリンダブロック101とシリンダヘッド10とを別体で構成するような高出力タイプのものである。この高出力タイプのエンジン100は、燃焼室105及び排気ポート110が高温になりやすい。したがって、エンジン100には、本発明の冷却性能が特に有効となる。
【0071】
ただし、本実施の形態のエンジン100は、シリンダブロック101とシリンダヘッド10とが別体で構成された高出力タイプに限定されず、シリンダブロック101とシリンダヘッド10とが一体で構成されたものであっても、同様の効果をあげることができる。
【0072】
また、本実施形態のエンジン100は、4サイクルエンジンにより構成されているが、マフラ115をエンジン100の本体に取り付けるためのマフラ取り付けボスが排気ポートから離間して配設され、排気ポートとマフラ取り付けボスとの間を離して配されたものであれば、4サイクルエンジンに限定されず、2サイクルエンジンであっても、同様の効果をあげることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 シリンダヘッド
12 排気口
16 第1のマフラ取り付けボス
17 第2のマフラ取り付けボス
20 フィン
80 シリンダヘッド
82 排気口
86 第1のマフラ取り付けボス
87 第2のマフラ取り付けボス
90 フィン
100 エンジン
101 シリンダブロック
102 クランクケース
103 オイルケース
104 ピストン
105 燃焼室
106 コンロッド
107 クランクシャフト
108 冷却ファン
109 吸気ポート
110 排気ポート
111 吸気バルブ
112 排気バルブ
113 ロッカーアーム
114 プッシュロッド
115 マフラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンとともに燃焼室を構成するシリンダーと、
前記燃焼室に連通する排気ポートと、を有し、
前記排気ポートの出口にマフラが取り付けられるエンジンであって、
前記マフラは、前記マフラ取り付けボスに締結部品を締結させて装着され、
前記マフラ取り付けボスは、前記シリンダーに形成されたフィンに接続されたこと、
を特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記フィンは、前記シリンダーの冷却フィンとして機能すること、
を特徴とする請求項1記載のエンジン。
【請求項3】
前記シリンダーには、複数の前記フィンが形成され、
前記マフラ取り付けボスは、複数の前記フィンに掛け渡されて配設されたこと、
を特徴とする請求項2記載のエンジン。
【請求項4】
前記フィンは、前記マフラを取り付けるための座面として機能すること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエンジン。
【請求項5】
前記エンジンは、冷却風を送風する冷却ファンを備え、
前記マフラ取り付けボスは、前記排気ポートより前記冷却風の風上側に位置する第1のマフラ取り付けボスと、前記排気ポートよりも前記冷却風の風下側に位置する第2の取り付けボスと、を有し、
前記第1のマフラ取り付けボスは、前記シリンダーに直に接続され、前記第2のマフラ取り付けボスは、前記フィンを介して前記シリンダーに接続されること、
を特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記エンジンは、冷却風を送風する冷却ファンを備え、
前記マフラ取り付けボスは、前記排気ポートより前記冷却風の風上側に位置する第1のマフラ取り付けボスと、前記排気ポートよりも前記冷却風の風下側に位置する第2の取り付けボスと、を有し、
前記第2のマフラ取り付けボスは、前記第1のマフラ取り付けボスよりも前記シリンダーから離して配設されたこと、
を特徴とする請求項3又は4記載のエンジン。
【請求項7】
前記シリンダーは、シリンダヘッドとシリンダブロックとに分離可能に構成されていること、
を特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−97619(P2012−97619A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244751(P2010−244751)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】