説明

オイドラギット被覆を施した亜鉛/ペクチンビーズを使用する結腸送達

治療及び/又は診断剤を結腸に送達することが可能な薬剤送達システムを開示する。前記システムは、亜鉛又は関係するいずれかの二価カチオンにより架橋されたビーズ(前記ビーズは次いでオイドラギット(登録商標)型ポリマーにより被覆される。)を含む。前記薬剤送達システムは経口投与可能であり、活性物質を結腸又はある態様において胃腸管内の他の各所に送達することができる。前記物質は感染性疾患、炎症性疾患、癌等の各種病態を診断、治療、予防又は検査するために使用することができる。ある種の物質[例えば金属依存性酵素(例えばステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)に由来するβラクタマーゼL1)、加えてマクロライド、キノロン、フルオロキノロン又は糖ペプチド抗生物質を不活性化する物質等]は、抗生物質投与後に結腸に到達する残留抗生物質の量を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属特異性酵素等の活性物質を結腸に投与するための経口薬剤送達システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
活性物質を結腸に特異的に送達する薬剤送達システムは治療に非常に有利であることが認められている。活性成分が局所放出されるならば、多数の結腸病態を実際により効果的に治療することができよう。このような結腸疾患の例としてはクローン病、潰瘍性大腸炎、結腸直腸癌及び便秘が挙げられる。
【0003】
治療の観点から見て吸収を遅らせる必要がある場合にも結腸放出は患者に有利である。例としては、夜間喘息又は苦悶等の疾患の治療が挙げられる(Kinget R.ら(1998),Colonic Drug Targeting,Journal of Drug Targeting,6,129)。
【0004】
結腸放出は治療活性ポリペプチドを投与するためにも使用することができる。ポリペプチドは胃で分解されるので、注射により投与するのが一般的である。しかし、注射は痛みを伴うため、鎮痛剤、避妊薬、ワクチン、インスリン等の活性ポリペプチドの吸収部位として結腸を使用することに研究者の注目が集まっている。ポリペプチドの結腸吸収は消化管の他の部位よりも有効であると思われる。これは特に小腸では蛋白分解活性が比較的弱いことと、結腸上皮細胞膜にペプチダーゼ活性が結び付けられないためである。
【0005】
抗生物質は経口投与後に胃を通過した後、小腸で吸収され、全身に拡散し、投与の標的である感染発生部位を治療する。しかし、摂取された抗生物質の一部(この部分の多寡は各抗生物質の特性により異なる)は吸収されず、結腸まで進行を続けた後に便として排泄される。吸収された後に胆汁排泄により消化管内に排泄される抗生物質の一部とこれらの残留抗生物質は大腸内で一緒になる。この部分の多寡は各抗生物質の代謝及び排泄経路により異なる。最後に、ある抗生物質では、吸収された投与量の一部が腸粘膜を通して血液から消化管内腔に直接排泄される。好例としてシプロフロキサシンが知られている。従って、経口投与か非経口投与かに拘わらず、一般に結腸には活性抗生物質の残留部分が認められる。程度の差こそあれ、これは治療に使用される各種系列の大多数の抗生物質に言えることであり、唯一の顕著な例外は腸内排泄がごく僅かなアミノグリコシド系抗生物質である。他の抗生物質では、残留抗生物質活性の腸内排泄は様々な影響をもたらし、いずれも有害である。実際に、結腸は複雑で非常に高密度の細菌生態系(数百の異なる細菌種;結腸内容量1グラム当たり1011を上回る細菌)を保持しており、この生態系が活性抗生物質残留物の到達により影響を受けることになる。以下の点が挙げられる。
1.抗生物質投与後に発生する一般的な下痢の主因である細菌叢不均衡(Bartlett J.G.(2002)Clinical practice.Antibiotic associated diarrhea,New England Journal of Medicine,346,334)。この下痢は一般に重篤ではなく、自然に又は抗生物質治療の完了後に短時間で止まるが、患者に不快感を与え、抗生物質を処方した本来の疾患の不快さを増長する;
2.外来細菌定着に対する抵抗性(ないし「バリア効果」)を妨げ、食事性サルモネラ中毒等の感染の危険の可能性がある(Holmberg S.D.ら(1984)Drug resistant Salmonella from animals fed antimicrobials,New England Journal of Medicine,311,617);
3.抗生物質耐性微生物の選択。これらの微生物は各種のものが挙げられる:
a)まず、例えば偽膜性大腸炎と呼ばれる大腸炎の1形態の原因となる毒素を分泌することが可能な種であるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)等の病原性細菌が挙げられる(Bartlett J.G.(1997)Clostridium difficile infection:pathophysiology and diagnosis,Seminar in Gastrointestinal Disease,8,12);
b)比較的病原性は弱いが、複製により付随感染を生じる可能性のある微生物も挙げられる(膣カンジダ症や大腸炎耐性膀胱炎)。
c)最後に、複製と糞便排泄により環境中の抗生物質耐性の蔓延を拡大する非病原性共生薬剤耐性細菌が挙げられる。抗生物質耐性遺伝子が抗生物質耐性遺伝子5又は6個までを含むことができる移動性ないし転移性遺伝因子により保持され、異種間であっても他の細菌に容易に伝達されることは周知である。従って、これらの耐性共生細菌は病原種に薬剤耐性を生じる重要な原因となると思われる。ヒトに病原性の多数の種による薬剤多耐性へと向かう進化の不安な特徴に鑑み、この危険は現在増大しつつあると考えられている。
【0006】
従って、経口又は非経口抗生物質投与後に結腸に到達する残留抗生物質の量を減らすように作用する薬剤と薬剤送達システムが得られるならば望ましい。
【0007】
活性成分を結腸で放出することを目的として消化管の種々の生理的パラメーターを利用した多数のストラテジーが考案されている。これらのストラテジーは(1)pH変動に感受性のポリマーの使用、(2)時間依存的な薬剤放出形態、(3)腸内細菌叢の細菌により分解可能なプロドラッグ又はポリマーに基づく薬剤送達システムに集中している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】キンゲット・アール(Kinget R.)ら(1998),結腸薬剤標的化(Colonic Drug Targeting),薬剤標的化雑誌(Journal of Drug Targeting),6,129
【非特許文献2】バートレット・ジェイ・ジー(Bartlett J.G.)(2002)臨床プラクティス.抗生物質による下痢(Clinical practice.Antibiotic associated diarrhea),ニューイングランド医学雑誌(New England Journal of Medicine),346,334
【非特許文献3】ホルムバーグ・エス・ディー(Holmberg S.D.)ら(1984)抗微生物薬を投与した動物に由来する薬剤耐性サルモネラ菌(Drug resistant Salmonella from animals fed antimicrobials),ニューイングランド医学雑誌(New England Journal of Medicine),311,617
【非特許文献4】バートレット・ジェイ・ジー(Bartlett J.G.)(1997)クロストリジウム・ディフィシル感染:病態生理と診断(Clostridium difficile infection:pathophysiology and diagnosis),胃腸疾患セミナー(Seminar in Gastrointestinal Disease),8,12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
限定的な例として結腸内の残留抗生物質の量を減らす物質等の活性物質を結腸に投与することが可能な新規な薬剤送達システムが得られるならば有利であろう。本発明はこのような薬剤送達システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
予防、治療及び/又は診断剤を結腸に送達することが可能な薬剤送達システムが開示される。前記システムは金属カチオン(例えば亜鉛又は所定の任意二価カチオン)で架橋されたペクチンビーズ(このビーズは次いでオイドラギット(Eudragit)(登録商標)型ポリマーにより被覆される。)を含む。
【0011】
さらなる態様は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許請求の範囲に記載される。
【0012】
これらの薬剤送達システムは経口投与可能であり、活性物質を結腸に送達することができる。ある態様において、これらの薬剤送達システムは結腸を含む胃腸管内の各所に活性物質を送達することができる。
【0013】
1態様において、治療剤は、経口又は非経口による抗生物質の投与後に、結腸に到達する残留抗生物質の残留量を減らすことが可能な物質(例えば金属依存性酵素)である。ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)に由来するβラクタマーゼL1について適用例を例示する。しかし、金属酵素以外のβラクタマーゼ(クラスA、C又はD)も使用することができる。更に、マクロライド、キノロン及びフルオロキノロン、糖ペプチド、リポペプチド、サイクリン、オキサゾリジノン並びに他の分類の抗生物質等の他の分類の抗生物質を不活性化するために、金属依存性又は非依存性の酵素を使用することができる。これらの酵素は天然酵素の完全配列をもつものでもよいし、許容可能な活性を維持する限り、短縮型又は他の修飾型でもよい。経口又は非経口による抗生物質の投与後に結腸に到達する残留抗生物質の量を減らすことが可能な物質を送達することにより、細菌耐性の発生を制限することができる。
【0014】
他の態様において、該治療剤として、限定されないが、以下のものが挙げられる。
天然、合成又は組換えのいずれかを問わずにペプチド及び蛋白質(限定されないが、酵素、ホルモン、サイトカイン、リンホカイン、成長因子、抗体等);
核酸及び核酸に由来する成分を含む化合物(限定されないが、天然及び/又は修飾塩基を含み、場合により置換及び修飾を含むプラスミド、オリゴヌクレオチド(各種長さのオリゴリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、SiRNA又はShRNA)、並びに混合分子)並びにペプチド核酸;
天然、組換え又は合成起源の複合構造として、限定されないが、ウイルス(DNA及びRNAウイルス、動物細胞を標的とするウイルス、植物細胞を標的とするウイルス、又はバクテリオファージとしてよく知られる細菌を標的とするウイルスを含む)、細菌(胞子を含み、形態を問わない)、マイコプラズマ、酵母及び他の単細胞真核生物(胞子を含み、形態を問わない);
任意の大きさ、分類又は構造の天然、合成又は混合化学分子又はこれらの混合物;
感染性疾患(限定されないが、細菌及びウイルス起源の疾患を含む。)、炎症性疾患、癌等の病態又は理由を問わずにヒト及び動物の診断、治療又は検査に使用する化合物;
特に、結腸における受容体活性を阻害もしくは調節する能力に又は結腸における受容体活性を調節し得る他の治療剤を不活性化する能力に関して、抗感染剤、抗炎症薬、抗癌剤、免疫調節剤等による治療を補助、補完又は補正するための化合物。
【0015】
この結腸特異的送達は、予防剤、治療剤及び/又は診断剤(例えば、金属依存性酵素又は経口又は非経口による抗生物質の投与後に結腸に到達する残留抗生物質の量を減らすことが可能な他の物質)を結腸内にて分解される特定のポリマー(例えばペクチン)と製剤化することにより得られる。このペクチンは亜鉛カチオン等のカチオンによりゲル化され/架橋される。一般にイオン架橋されたペクチンビーズの形態であるこの製剤は、次いで、オイドラギット(登録商標)ポリマー等の特定のポリマーにより被覆される。
【0016】
この送達は、予防剤、治療剤及び/又は診断剤並びにペクチンの混合物をCa2+又はZn2+等の二価金属カチオンによりゲル化し/架橋することにより、腸管内の予め選択した各種送達部位に送達できるように調節することができる。
【0017】
以前の研究は、ペクチンビーズが上部胃腸管内にて分解されないように、ペクチンビーズをポリエチレンイミン(PEI)、キトサン又は他のカチオン性ポリマー等のカチオン性ポリマーにより被覆することに焦点が当てられていた。このような研究は、例えばその開示内容を参照により本明細書に組み込む米国特許出願第10/524,318号及び米国特許出願第60/651,352号に記載されている。
【0018】
本発明は、ペクチンビーズを、胃腸管(GIT)の所定レベルにて予防剤、治療剤及び/又は診断剤の望ましい放出を達成するために、オイドラギット(登録商標)ポリマー(例えば、FS30D、L30D(別称L30D−55)、NE30D、これらの混合物又は他の望ましい型のオイドラギット(登録商標)ポリマー)により被覆することに関する。
【0019】
pHや時間等の所定のパラメーターに従ってオイドラギット(登録商標)の被覆が溶解されると、該ビーズは腸管の下部に存在するペクチン分解酵素により優先的に分解される。該ペクチンが分解されると、該ビーズ内に封入された予防剤、治療剤及び/又は診断剤が放出される。
【0020】
本発明の1側面は、金属酵素の下部腸管又は結腸への送達のための、安定な金属酵素製剤を提供することである。ペクチンを架橋するために、亜鉛カチオンを使用することが、Zn2+依存性である特定の金属依存性酵素が他のカチオン種と、ペクチンビーズをゲル化させるためにこの他のカチオン種を使用したとき、相互作用し得る場合、特に好ましい。このような相互作用は、このような金属依存性酵素の活性を激変させる可能性がある。従って、この薬剤送達システムの1態様は、ペクチンビーズの架橋剤として及び他の競合するカチオンの存在に高度に感受性のZn2+依存性酵素と共に、Zn2+イオンを使用することを含む。当然のことながら、酵素が他の金属カチオンに依存性であるならば、このような他の金属カチオン(該他の金属カチオンの原子価が+1を上回る場合)を使用してペクチンを架橋することができる。
【0021】
このようなビーズを得るための方法は、インビトロ及びインビボの有効性が最適化された最高品質のビーズが提供されるように最適化され得る特定プロセス条件(例えばゲル化、洗浄及び乾燥時間)を含むことができる。従って、本発明の別の態様は、亜鉛により架橋され及びオイドラギット(登録商標)により被覆されたペクチンビーズの製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】酢酸亜鉛により架橋されたペクチンビーズにβラクタマーゼL1を封入した製剤から過剰の金属カチオンを除去するための水洗効率を、各洗浄段階後のサンプル1個当たりの導電率(mS/cm)として測定した結果を示すグラフである。
【図2】βラクタマーゼL1活性の回収に及ぼすゲル化時間、洗浄工程及び乾燥時間の影響を示すグラフである。
【図3】CENTAを基質として使用し、L1濃度(μg/ml)に対する応答(OD/分)として測定されたβラクタマーゼL1の酵素活性を示すグラフである。
【図4】本明細書に記載する方法を使用して作製されたオイドラギットが被覆されたビーズ及びオイドラギット層の近似厚みを示すビーズの横断面を示す一連の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】被覆なしのビーズ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)予備被覆の有り又は無しにてオイドラギットが被覆されたビーズからのβラクタマーゼL1の放出速度を時間(分)に対する活性(μg/mgビーズ)として測定した結果を示すグラフである。青三角は被覆なしのビーズを表し、赤丸は予備被覆なしにて40%オイドラギットL30D−55が被覆されたビーズを表し、緑四角は5%HPMCの予備被覆有りにて40%オイドラギットL30D−55が被覆されたビーズを表す。
【図6】被覆なしのビーズによる及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)による予備被覆有り又は無しにてオイドラギットが被覆されたビーズによるアモキシシリンの加水分解を時間(分)に対する残留アモキシシリン(%)として測定した結果を示すグラフである。青三角は被覆なしのビーズを表し、赤丸は予備被覆無しにて40%オイドラギットL30D−55が被覆されたビーズを表し、緑四角はHPMCによる予備被覆有りにてオイドラギットL30D−55が被覆されたビーズを表す。
【図7】オイドラギットが被覆されたβラクタマーゼL1含有ペクチンビーズの、アモキシシリンを投与した子豚における抗生物質耐性細菌の出現に及ぼす影響を、治療期間(日数)に対するアモキシシリン耐性細菌(%)として測定した結果を示すグラフである。青三角は未投与動物(n=12)を表し、赤菱形はアモキシシリンとプラセボペクチンビーズを投与した動物(n=12)を表し、緑四角はアモキシシリンとオイドラギットが被覆されたβラクタマーゼL1含有ペクチンビーズを投与した動物(n=4)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本明細書に記載する薬剤測定システムは以下の詳細な記載を参照することにより十分に理解されよう。
【0024】
I.ペクチンビーズ
該ペクチンビーズは、ペクチンと、亜鉛イオンと及び更にオイドラギット(登録商標)ポリマー被覆とから形成され、1種類以上の活性物質が封入される。
【0025】
胃環境及び腸環境におけるペクチンビーズの安定性と保護は、オイドラギット(登録商標)ポリマーの被覆により確実になる。これに対して、被覆されていないペクチンビーズは、このような環境にて不安定である傾向があり、ビーズ中の内容物を分解及び/又は不活性化から適切に保護することができない。オイドラギット(登録商標)被覆は、ビーズ中内容物が充分に長時間残り、ビーズ中内容物が無傷にて結腸に到達できることを確実にする。
【0026】
ペクチン
ペクチンは高等植物の細胞壁から単離された多糖であり、(ジャム、アイスクリーム等の凝固剤又は増粘剤として)農業食品産業及び薬品で広く使用されている。ペクチンは多分子性で多分散性である。その組成は起源、抽出条件及び環境因子により異なる。
【0027】
ペクチンは主にβ−1,4−(D)−ガラクツロン酸の線状鎖から構成され、ラムノース単位が介在している場合もある。ガラクツロン酸のカルボン酸基を部分的にエステル化すると、メチル化ペクチンが得られる。そのメチル化度により、以下の2種類のペクチンに分類される(DM:ガラクツロン酸100単位当たりのメトキシ基数)。
−メチル化度50〜80%の高度メチル化ペクチン(HM:高メトキシ)。やや水溶性であり、酸性媒体(pH<3.6)中又は糖の存在下でゲルを形成する;
−メチル化度25〜50%の低メチル化ペクチン(LM:低メトキシ)。HMペクチンよりも水溶性が高く、Ca2+イオン等の二価カチオンの存在下でゲルを形成する。実際に、Ca2+イオンはガラクツロン酸部分の遊離カルボキシル化基の間に「架橋」を形成する。形成される網状構造はGrantらにより「鶏卵箱(egg−box model)」の名称で呼ばれている(Grant G.T.ら(1973)Biological interactions between polysaccharides and divalent cations:the egg−box model,FEBS Letters,32,195)。
【0028】
アミド化ペクチンもある。ペクチンをアンモニアで処理すると、所定のカルボン酸メチル基(−COOCH)はカルボキシアミド基(−CONH)に変換される。このアミド化はペクチンに新規特性を付与し、特にpH変動に対する耐性が良好になる。アミド化ペクチンはpH変動に対する耐性が増す傾向があり、結腸送達用マトリックス錠の製造用としても検討されている(Wakerly Z.ら(1997)Studies on amidated pectins as potential carriers in colonic drug delivery,Journal of Pharmacy and Pharmacology.49,622)。
【0029】
ペクチンは高等植物や各種微生物(真菌、細菌等)に由来する酵素により分解され、微生物のうちでは特にヒト結腸微生物叢に由来する細菌が挙げられる。微生物叢により産生される酵素は多糖とグリコシダーゼとエステラーゼの混合物を含む。
【0030】
亜鉛カチオン
各種亜鉛塩からの二価亜鉛カチオンを使用してペクチンを架橋させることができる。例としては硫酸亜鉛、塩化亜鉛及び酢酸亜鉛が挙げられる。
【0031】
本発明では、腸溶被覆剤はオイドラギット(登録商標)ポリマー等のメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーが好ましい。
【0032】
オイドラギット(登録商標)ポリマー
錠剤、カプセル、顆粒、ペレット又は結晶等の薬剤充填コアの被覆は、被覆されていないコアに比較して、物理化学的安定性の向上、コンプライアンスの改善及び活性成分の治療効率の増加等の多数の利点を提供する。実際に、薬剤の有効性は含有する活性成分のみならず、製剤化方法と加工法にも左右される。
【0033】
ポリ(メト)アクリレートは被覆剤として特に適切であることが分かっている。これらのポリマーは一般に数ミリグラム程度の量で使用され、薬理的に不活性であり、即ち、変化せずに排泄される。
【0034】
オイドラギット(登録商標)はアクリル酸とメタクリル酸のエステルから誘導されるコポリマーの商品名であり、その性質は官能基により決定される。オイドラギット(登録商標)グレードにより中性、アルカリ性又は酸性基の比率が異なるため、物理化学的性質も異なる。異なるオイドラギット(登録商標)ポリマーを上手く使用し、組み合わせると、各種医薬及び技術用途で制御型薬剤放出用に理想的な溶液が得られる。オイドラギット(登録商標)は徐放錠及びペレット被覆用の機能的膜を提供する。これらのポリマーはPh.Eur.、USP/NF、DMF及びJPE等の国際薬局方に記載されている。
【0035】
オイドラギット(登録商標)ポリマーは制御型薬剤放出に以下の可能性を提供することができる。
−胃腸管標的化(胃耐性、結腸内放出)
−保護被覆(味と匂いを消し、水分から保護する)
−薬剤放出の遅延(徐放製剤)。
オイドラギット(登録商標)ポリマーは多種多様な濃度と物理的形態で入手可能であり、水溶液、水性分散液、有機溶液及び固体物質が挙げられる。
【0036】
オイドラギット(登録商標)ポリマーの医薬的性質はそれらの官能基の化学的性質により決定される。以下のように分類される。
−(塩形成により)消化液に溶解性のポリ(メト)アクリレート。
酸性又はアルカリ性基をもつEUDRAGIT(登録商標)L(メタクリル酸コポリマー)、S(メタクリル酸コポリマー)、FS及びE(塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー)は活性成分のpH依存的放出を可能にする。
用途:胃液のみに対する耐性による単純な味消しから、腸の全セクションにおける制御型薬剤放出に至る。
−消化液に不溶性のポリ(メト)アクリレート。
アルカリ性基をもつオイドラギット(登録商標)RL及びRS(アンモニオメタクリレートコポリマー)ポリマーと中性基をもつオイドラギット(登録商標)NEポリマーはpH非依存的膨潤により活性成分の時間制御型放出を可能にする。
【0037】
オイドラギットポリマーの情報については、
http://www.pharma−polymers.com/pharmapolymers/en/eudragit/entericcoatings/及び
http://www.pharma−polymers.com/pharmapolymers/en/eudragit/regulatorytoxicology/に掲載されている。
【0038】
腸溶被覆:胃耐性及び結腸内放出
腸溶性オイドラギット(登録商標)被覆は、胃における薬剤放出に対する保護を提供し、腸内における制御型放出を可能にする。胃腸管内標的薬剤放出が、薬剤が上部消化管にてやや溶けにくい場合又は薬剤が胃液により分解される可能性がある場合等の特定の用途又は治療ストラテジーついて、推奨される。第2に、この剤形は、胃にストレスを与えないので及び延長された送達により、治療剤の投与回数を著しく減らすことができ、患者に非常に優しい。放出についての主要な基準は、被覆のpH依存溶解であり、このpH依存溶解は、腸の所定セクション(pH5〜7以上)において生じ、胃(pH1〜5)においては生じない。これらの用途のために、カルボキシル基を含むアニオン性オイドラギット(登録商標)グレードが相互に混合され得る。こうすると、溶解pHが微調整され得、腸内における薬剤放出部位を規定することが可能になる。腸溶被覆のためには、オイドラギット(登録商標)L及びSグレードが適している。結腸内における制御型放出のためには、オイドラギット(登録商標)FS 30 D(アクリル酸メチルとメタクリル酸メチルとメタクリル酸を主成分とするアニオン性コポリマーの水性分散液)が特に使用される。
【0039】
腸溶性オイドラギット(登録商標)被覆を利用する利点を以下に挙げる。
−pH依存的薬剤放出
−胃液に感受性の活性成分の保護
−侵襲性活性成分から胃粘膜の保護
−薬剤効力の増加
−良好な保存安定性
−結腸/GI標的における制御型放出。
【0040】
活性物質
活性物質は、抗感染剤、例えば抗生物質、抗炎症性化合物、抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、抗ウイルス薬、有糸分裂抑制剤、ペプチド、蛋白質、酵素、核酸(RNA又はDNA)、ペプチド核酸、プラスミド、遺伝子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、干渉性RNA、リボザイム、特定結合能もしくは活性(例えば標的化学療法)をもつ小分子、診断剤、免疫抑制剤、ウイルス、細菌、他の微生物又は真核細胞とすることができる。
【0041】
活性物質は、粉末、溶液、懸濁液として薬剤送達システム中へ導入され得る又はシクロデキストリンもしくは他の適切な化合物のいずれかの溶解補助剤と複合体化され得る。
【0042】
ここに記載されている活性物質のあるものは、プロドラッグの形態にて投与され得る。プロドラッグは種々の活性成分(例えばステロイド及び非ステロイド系抗炎症薬ならびに鎮攣薬)の直腸標的送達について広く研究されてきた。これらのシステムは、直腸微生物叢により産生された酵素がプロドラッグに作用して活性形態の活性成分を放出させる能力を利用している。
【0043】
プロドラッグは細菌アゾレダクターゼの作用を利用することができ、活性物質はここに記載されている薬剤送達システムにより、結腸に標的送達され得、活性物質がプロドラッグと細菌アゾレダクターゼの反応により形成され、薬剤が結腸へ投与されることを確実にする二重メカニズムが提供される。このようなプロドラッグを形成するための代表的な化学は例えばPeppercorn M.A.ら(1972)The role of intestinal bacteria in the metabolism of salicylazosulfapyridin,The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,181,555及び64,240に記載されている。
【0044】
別のアプローチはグリコシダーゼ及び多糖等の細菌ヒドロラーゼを使用するものである(Friend D.R.(1995)Glycoside prodrugs:novel pharmacotherapy for colonic diseases,S.T.P.Pharma Sciences,5,70;Friend D.R.ら(1984)A colon−specific drug−delivery system based on drug glycosides and the glycosidases of colonic bacteria,Journal of Medicinal Chemistry,27,261;Friend D.R.ら(1985)Drug glycosides:potential prodrugs for colon−specific drug delivery,Journal of Medicinal Chemistry,28,51;及びFriend D.R.ら(1992)Drug glycosides in oral colon−specific drug delivery,Journal of Controlled Release,19,109)。かくして、プロドラッグが、例えば糖をステロイド(グルコース、ガラクトース、セロビオース、デキストラン(国際出願WO90/09168))、シクロデキストリン(Hirayama F.ら(1996)In vitro evaluation of Biphenylyl Acetic Acid−β−Cyclodextrin conjugates as colon−targeting prodrugs:drug release behavior in rat biological media,Journal of Pharmacy and Pharmacology,48,27)と連結することにより、開発されている。
【0045】
a)抗生物質を不活性化する物質
1態様において、活性物質は結腸内で抗生物質を不活性化することが可能な酵素である。抗生物質を不活性化する物質のいずれもが投与され得る。
【0046】
抗生物質がβラクタム抗生物質である場合には、βラクタマーゼを使用することができる。選択された酵素、即ちβラクタマーゼL1はステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)に由来するZn2+依存性βラクタマーゼであり、その特性が目的用途に最良のプロフィルを示したことから一連のβラクタマーゼから選択された。また、優れた安定性プロフィルをもつことも判明した。評価した各種βラクタマーゼの特性については後述する。
【0047】
上記βラクタマーゼL1酵素に加え、種々の酵素が金属依存性であるとして知られている。このような酵素を経口投与により患者に投与することが望ましい場合には、酵素が胃又は上部腸で消化されないように注意する必要がある。従って、本明細書に記載する薬剤送達システムはこのような金属依存性酵素を送達するために有利に使用することができる。ペクチンを架橋させるために使用されるカチオンは酵素が依存するカチオンから成る。
【0048】
代表的な酵素の1例は、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)に由来するZn2+依存性βラクタマーゼであるβラクタマーゼL1であり、その特性が目的用途に最良のプロフィルを示したことから一連のβラクタマーゼから選択された。また、優れた安定性プロフィルをもつことも判明した。評価した各種βラクタマーゼの特性については後述する。
【0049】
抗生物質が別の分類の抗生物質に由来する場合には、このような抗生物質を不活性化する酵素又は他の分子を使用することができる。このような1例として、マクロライド抗生物質を不活性化するためにエリスロマイシンエステラーゼを使用する。
【0050】
代表的なエリスロマイシンエステラーゼの1例はその開示内容を参照により本明細書に組み込むAndremont A.ら((1985)“Plasmid mediated susceptibility to intestinal microbial antagonisms in Escherichia coli,”Infect.Immun.49(3):751)により開示されているものである。
【0051】
抗生物質がキノロンである場合には、活性物質はキノロンを不活性化することが可能なものとすることができる。代表的な物質としては、Chen,Yら((1997)“Microbicidal models of soil metabolisms biotransformations of danofioxacin,” Journal of Industrial Microbiology and Biotechnology 19:378)により開示されているものが挙げられる。
【0052】
これらの物質の組み合わせにより患者を治療することができる。
【0053】
代表的なβラクタマーゼ酵素と各種抗生物質についてそれらの効力を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
b)結腸癌を治療する物質
結腸癌を治療するために薬剤送達システムを使用する場合には、抗腫瘍剤のいずれの型も使用することができる。抗腫瘍剤は、例えば増殖抑制剤、DNA修飾又は修復用物質、DNA合成阻害剤、DNA/RNA転写調節剤、RNAプロセシング阻害剤、蛋白質発現、合成及び安定性に作用する物質、蛋白質局在又はその生理的作用を発揮する能力に作用する物質、蛋白質−蛋白質又は蛋白質−核酸相互作用に干渉する物質、RNA干渉により作用する物質、任意化学種の受容体結合分子(小分子及び抗体を含む)、標的毒素、酵素活性化剤、酵素阻害剤、遺伝子調節剤、HSP−90阻害剤、微小管もしくは他の細胞骨格成分又は細胞接着及び運動に干渉する分子、光治療用物質並びに治療補助剤とすることができる。
【0057】
代表的な増殖抑制剤としては、N−アセチル−D−スフィンゴシン(Cセラミド)、アピゲニン、塩化ベルベリン、ジクロロメチレンジホスホン酸二ナトリウム塩、ロエエモジン、エモジン、HA14−1、N−ヘキサノイル−D−スフィンゴシン(Cセラミド)、7b−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、ハイパーフォリン及びラパマイシンが挙げられる。
【0058】
代表的なDNA修飾又は修復用物質としては、アフィディコリン、硫酸ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド一水和物、シクロホスファミド一水和物ISOPAC(登録商標)、二塩化シスジアンミン白金(II)(シスプラチン)、エスクレチン、メルファラン、メトキシアミン塩酸塩、マイトマイシンC、ミトキサントロン二塩酸塩、オキサリプラチン及びストレプトゾシンが挙げられる。
【0059】
代表的なDNA合成阻害剤としては、(±)アメトプテリン(メトトレキセート)、3−アミノ−1,2,4−ベンゾトリアジン1,4−ジオキシド、アミノプテリン、シトシンb−D−アラビノフラノシド(Ara−C)、シトシンb−D−アラビノフラノシド(Ara−C)塩酸塩、2−フルオロアデノシン−9−b−D−アラビノフラノシド(脱リン酸フルダラビン;F−ara−A)、5−フルオロ−5’−デオキシウリジン、5−フルオロウラシル、ガンシクロビル、ヒドロキシ尿素、6−メルカプトプリン及び6−チオグアニンが挙げられる。
【0060】
代表的なDNA/RNA転写調節剤としては、アクチノマイシンD、ダウノルビシン塩酸塩、5,6−ジクロロベンゾイミダゾール1−b−D−リボフラノシド、ドキシルビシン塩酸塩、ホモハリングトニン及びイダルビシン塩酸塩が挙げられる。
【0061】
代表的な酵素活性化剤及び阻害剤としては、フォルスコリン、DL−アミノグルテチミド、アピシジン、ボーマン・バーク型インヒビター、ブテイン、(S)−(+)−カンプトテシン、クルクミン、(−)−デグエリン、(−)−デプデシン、ドキシサイクリンハイクレート、エトポシド、ホルメスタン、フォストリエシンナトリウム塩、ヒスピジン、2−イミノ−1−イミダゾリジン酢酸(シクロクレアチン)、オキサムフラチン、4−フェニル酪酸、ロスコビチン、バルプロ酸ナトリウム、トリコスタチンA、チルホスチンAG34、チルホスチンAG879、尿トリプシンインヒビターフラグメント、バルプロ酸(2−プロピルペンタン酸)及びXK469が挙げられる。
【0062】
代表的な遺伝子調節剤としては、5−アザ−2’−デオキシシチジン、5−アザシチジン、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、シグリチゾン、酢酸シプロテロン、15−デオキシ−D12,14−プロスタグランジンJ、エピテストステロン、フルタミド、グリシリジン酸アンモニウム塩(グリシリジン)、4−ヒドロキシタモキシフェン、ミフェプリストン、プロカインアミド塩酸塩、ラロキシフェン塩酸塩、全トランスレチナール(ビタミンAアルデヒド)、レチノイン酸(ビタミンA酸)、9−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、レチノイン酸p−ヒドロキシアニリド、レチノール(ビタミンA)、タモキシフェン、タモキシフェンクエン酸塩、テトラデシルチオ酢酸及びトログリタゾンが挙げられる。
【0063】
代表的なHSP−90阻害剤としては、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシンとゲルダナマイシンが挙げられる。
【0064】
代表的な微小管阻害剤としては、コルヒチン、ドラスタチン15、ノコダゾール、タキサン、特にパクリタキセル、ポドフィロトキシン、リゾキシン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びビンデシン硫酸塩並びにビノレルビン(ナベルビン)二酒石酸塩が挙げられる。
【0065】
代表的な光治療用物質としては、光活性ポルフィリン環、ヒペリシン、5−メトキシプソラレン、8−メトキシプソラレン、プソラレン及びウルソデオキシコール酸が挙げられる。
【0066】
治療補助剤として使用される代表的な物質としては、アミホスチン、4−アミノ−1,8−ナフタルイミド、ブレフェルジンA、シメチジン、ホスホマイシン二ナトリウム塩、ロイプロリド(ロイプロレリン)酢酸塩、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)酢酸塩、レクチン、パパベリン塩酸塩、ピフィスリン−a、(−)−スコポラミン臭化水素酸塩及びタプシガルギンが挙げられる。
【0067】
上記物質は当分野で知られているような抗VEGF(血管内皮細胞増殖因子)剤でもよい。アバスチン(ベバシズマブ)、SU5416、SU11248及びBAY43−9006等のようにVEGFを阻害することにより機能する数種の抗体と小分子が現在臨床試験中又は承認済みである。上記物質はEGF受容体(イレッサないしゲフィチニブ、及びタルセバないしエルロチニブ)、Erb−B2受容体(ハーセプチンないしトラスツズマブ)等のEGF/Erb−Bファミリーの受容体等の成長因子受容体、他の受容体(例えばリツキシマブないしリツキサン/MabThera)、チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、細胞セリン/スレオニンキナーゼ(MAPキナーゼを含む)、及びその脱制御が腫瘍形成につながる他の各種蛋白質(例えばスモール/Rasファミリー及びラージ/ヘテロ三量体G蛋白質)に対するものでもよい。これらの分子を標的とする数種の抗体と小分子が現在(治療承認済み又は臨床試験中を含めて)種々の開発段階にある。
【0068】
現在使用中又は臨床試験中のもので最も一般的に使用されている抗腫瘍剤をいくつか挙げると、パクリタキセル、ドセタキセル、タモキシフェン、ビノレルビン、ゲムシタビン、シスプラチン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、アナストロゾール、リツキシマブ、トラスツズマブ、フルダラビン、シクロホスファミド、ゲムツズマブ、カルボプラチン、インターフェロン及びドキシルビシンが挙げられる。最も一般に使用されている抗癌剤はパクリタキセルであり、単剤でも使用されるし、5−FU、ドキシルビシン、ビノレルビン、シトキサン及びシスプラチン等の他の化学療法薬と併用される場合もある。
【0069】
上記化合物の2種類以上を組み合わせることにより併用療法を行うことができる。
【0070】
c)クローン病を治療する物質
クローン病の治療には数種類の治療アプローチがある。大半の患者はまず炎症抑制を助ける物質であるメサラミンを含有する薬剤が投与される。これらの薬剤のうちで最も一般に使用されているのがスルファサラジンである。スルファサラジンで効果が得られない患者又はこれに耐えることのできない患者にはアサコール、ジペンタム又はペンタサ等の一般に5−ASAと呼ばれる他のメサラミン含有薬剤を投与する場合がある。炎症を抑えるためにはコルチコステロイドを投与することが多い。
【0071】
クローン病を治療するためには免疫抑制剤も使用される。最も一般に処方されているのは6−メルカプトプリンと同類薬剤であるアザチオプリンである。免疫抑制剤は炎症につながる免疫反応を抑制することにより作用する。
【0072】
患者はこれらの物質の組み合わせ、例えばコルチコステロイドと免疫抑制薬との組み合わせにより治療され得る。
【0073】
米国食品医薬品局は標準治療薬(メサラミン物質、コルチコステロイド、免疫抑制剤)に反応しない中等度から重度クローン病の治療及び切開排膿瘻孔の治療用として薬剤インフリキシマブを(商品名レミケード)を承認している。インフリキシマブは抗腫瘍壊死因子α(TNF−α)抗体である。この薬剤及び他のTNF−α剤は、TNF−αが結腸の外部の血流から除去された場合に生じる可能性のある副作用を伴うことなしに、結腸からTNF−αを除去して炎症を抑えるために使用することができる。
【0074】
ジフェノキシレート、ロペラミド及びコデイン等の下痢止め薬も投与されることが多い。
【0075】
d)潰瘍性大腸炎を治療する物質
潰瘍性大腸炎を治療するために使用される物質はクローン病を治療するために使用される物質と重複する。例としては、炎症抑制を助けるために、5−アミノサリチル酸(5−ASA)を含有する薬剤であるアミノサリチレートが使用され、スルファサラジン、オルサラジン、メサラミン及びバルサラジドが挙げられる。プレドニゾン及びヒドロコルチゾン等のコルチコステロイドや、アザチオプリン及び6−メルカプトプリン(6−MP)、サイトカイン、インターロイキン並びにリンホカイン等の免疫調節剤も挙げられる。活発な重度潰瘍性大腸炎を治療するためにシクロスポリンAを6−MP又はアザチオプリンと併用する場合もある。抗TNF−α剤であるチアゾリジンジオンないしグリタゾン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾンを含む)も使用することができる。
【0076】
e)便秘/過敏性腸症候群を治療する物質
過敏性腸症候群を併発するもの等の便秘は刺激性下剤、浸透圧性下剤(例えばラクツロースやミララックス)、便軟化剤(例えばミネラルオイルやコレース)、膨張剤(例えばメタムシルやふすま)を使用して治療することが多い。便秘を伴うIBSの治療にはゼルノーム(別称テガセロド)等の薬剤を使用することができる。更に、IBSの腸痙攣に緩和にはベンチルBentyl(登録商標)やレブシンLevsin(登録商標)等の抗コリン薬が有用であることが分かっている。
【0077】
f)蛋白質及びペプチド薬剤
薬剤送達システムは、このようなシステムを使用せずに経口投与した場合には分解する可能性があり、筋肉内又は静脈内投与する必要がある蛋白質及びペプチドを経口投与するために使用することができる。
【0078】
本発明で有用な蛋白質及びペプチド薬剤を以下に挙げる。
【0079】
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)ペプチドとしては、限定されないが、ACTH,ヒト;ACTH1−10;ACTH1−13,ヒト;ACTH1−16,ヒト;ACTH1−17;ACTH1−24,ヒト;ACTH4−10;ACTH4−11;ACTH6−24;ACTH7−38,ヒト;ACTH18−39,ヒト;ACTH,ラット;ACTH12−39,ラット;β細胞トロピン(ACTH22−39);ビオチニル−ACTH1−24,ヒト;ビオチニル−ACTH7−38,ヒト;コルチコスタチン,ヒト;コルチコスタチン,ウサギ;[Met(02),DLys,Phe]ACTH4−9,ヒト;[Met(0),DLys,Phe]ACTH4−9,ヒト;N−アセチル,ACTH1−17,ヒト及びエビラチドが挙げられる。
【0080】
アドレノメデュリンペプチドとしては、限定されないが、アドレノメデュリン、アドレノメデュリン1−52,ヒト;アドレノメデュリン1−12,ヒト;アドレノメデュリン13−52,ヒト;アドレノメデュリン22−52,ヒト;プロアドレノメデュリン45−92,ヒト;プロアドレノメデュリン153−185,ヒト;アドレノメデュリン1−52,ブタ;プロアドレノメデュリン(N−20),ブタ;アドレノメデュリン1−50,ラット;アドレノメデュリン11−50,ラット;及びプロAM−N20(プロアドレノメデュリンN末端20ペプチド),ラットが挙げられる。
【0081】
アラトスタチンペプチドとしては、限定されないが、アラトスタチンI;アラトスタチンII;アラトスタチンIII;及びアラトスタチンIVが挙げられる。
【0082】
アミリンペプチドとしては、限定されないが、アセチル−アミリン8−37,ヒト;アセチル化アミリン8−37,ラット;AC187アミリンアンタゴニスト;AC253アミリンアンタゴニスト;AC625アミリンアンタゴニスト;アミリン8−37,ヒト;アミリン(IAPP),ネコ;アミリン(インスリノーマないし膵島アミロイドポリペプチド(IAPP));アミリンアミド,ヒト;アミリン1−13(糖尿病関連ペプチド1−13),ヒト;アミリン20−29(IAPP 20−29),ヒト;AC625アミリンアンタゴニスト;アミリン8−37,ヒト;アミリン(IAPP),ネコ;アミリン,ラット;アミリン8−37,ラット;ビオチニル−アミリン,ラット;及びビオチニル−アミリンアミド,ヒトが挙げられる。
【0083】
アミロイドβ蛋白質フラグメントペプチドとしては、限定されないが、アルツハイマー病β蛋白質12−28(SP17);アミロイドβ蛋白質25−35;アミロイドβ/A4蛋白質前駆体328−332;アミロイドβ/A4蛋白質前駆体(APP)319−335;アミロイドβ蛋白質1−43;アミロイドβ蛋白質1−42;アミロイドβ蛋白質1−40;アミロイドβ蛋白質10−20;アミロイドβ蛋白質22−35;アルツハイマー病β蛋白質(SP28);βアミロイドペプチド1−42,ラット;βアミロイドペプチド1−40,ラット;βアミロイド1−11;βアミロイド31−35;βアミロイド32−35;βアミロイド35−25;βアミロイド/A4蛋白質前駆体96−110;βアミロイド前駆体蛋白質657−676;βアミロイド1−38;[Gln11]−アルツハイマー病β蛋白質;[Gln11]−βアミロイド1−40;[Gln22]−βアミロイド6−40;アルツハイマー病アミロイドの非Aβ成分(NAC);P3,(Aβ17−40)アルツハイマー病アミロイドβペプチド;及びSAP(血清アミロイドP成分)194−204が挙げられる。
【0084】
アンギオテンシンペプチドとしては、限定されないが、A−779;Ala−Pro−Gly−アンギオテンシンII;[Ile,Val]−アンギオテンシンII;アンギオテンシンIII抗ペプチド;アンギオゲニンフラグメント108−122;アンギオゲニンフラグメント108−123;アンギオテンシンI変換酵素阻害剤;アンギオテンシンI,ヒト;アンギオテンシンI変換酵素基質;アンギオテンシン11−7,ヒト;アンギオペプチン;アンギオテンシンII,ヒト;アンギオテンシンII抗ペプチド;アンギオテンシンII 1−4,ヒト;アンギオテンシンII 3−8,ヒト;アンギオテンシンII 4−8,ヒト;アンギオテンシンII 5−8,ヒト;アンギオテンシンIII([Des−Asp]−アンギオテンシンII),ヒト;アンギオテンシンIII阻害剤([Ile]−アンギオテンシンIII);アンギオテンシン変換酵素阻害剤(キハダ,Neothunnus macropterus);[Asn,Val]−アンギオテンシンI,アンコウ;[Asn,Val,Asn]−アンギオテンシンI,サケ;[Asn,Val,Gly]−アンギオテンシンI,ウナギ;[Asn,Val]−アンギオテンシンI 1−7,ウナギ,アンコウ,サケ;[Asn,Val]−アンギオテンシンII;ビオチニル−アンギオテンシンI,ヒト;ビオチニル−アンギオテンシンII,ヒト;ビオチニル−Ala−Ala−Ala−アンギオテンシンII;[Des−Asp]−アンギオテンシンI,ヒト;[p−アミノフェニルアラニン]−アンギオテンシンII;レニン基質(アンギオテンシノーゲン1−13),ヒト;プレアンギオテンシノーゲン1−14(レニン基質テトラデカペプチド),ヒト;レニン基質テトラデカペプチド(アンギオテンシノーゲン1−14),ブタ;[Sar]−アンギオテンシンII,[Sar]−アンギオテンシンII 1−7,アミド;[Sar,Ala]−アンギオテンシンII;[Sar,Ile]−アンギオテンシンII;[Sar,Thr]−アンギオテンシンII;[Sar,Tyr(Me)]−アンギオテンシンII(サルメジン);[Sar,Val,Ala]−アンギオテンシンII;[Sar,Ile]−アンギオテンシンIII;合成テトラデカペプチドレニン基質(No.2);[Val]−アンギオテンシンIII;[Val]−アンギオテンシンII;[Val]−アンギオテンシンI,ヒト;[Val]−アンギオテンシンI;[Val,Asn]−アンギオテンシンI,ウシガエル;及び[Val,Ser]−アンギオテンシンI,ニワトリが挙げられる。
【0085】
抗生物質ペプチドとしては、限定されないが、Ac−SQNY;バクテネシン,ウシ;CAP37(20−44);カルボメトキシカルボニル−DPro−DPhe−OBzl;CD36ペプチドP 139−155;CD36ペプチドP 93−110;セクロピンA−メリチンハイブリッドペプチド[CA(1−7)M(2−9)NH2];セクロピンB,遊離酸;CYS(Bzl)84 CDフラグメント81−92;デフェンシン(ヒト)HNP−2;デルマセプチン;免疫刺激ペプチド,ヒト;ラクトフェリシン,ウシ(BLFC);及びマガイニンスペーサーが挙げられる。
【0086】
強い免疫応答を誘発すること、免疫応答を強化すること、及び/又は疾患及び/又は疾患原因物質に対して免疫的に有効な応答を誘導することが可能な抗原性ペプチドとしては、限定されないが、アデノウイルス;炭疽菌;百日咳菌(Bordetella pertussus);ボツリヌス菌;ウシ鼻気管炎;カタル球菌(Branhamella catarrhalis));イヌ肝炎;イヌジステンパー;クラミジア;コレラ;コクシジオイデス症;牛痘;サイトメガロウイルス;デング熱;デングトキソプラズマ症;ジフテリア;脳炎;毒素原性大腸菌;エプスタイン・バールウイルス;ウマ脳炎;ウマ伝染性貧血;ウマインフルエンザ;ウマ肺炎;ウマライノウイルス;大腸菌;ネコ白血病;フラビウイルス;グロブリン;ヘモフィルス・インフルエンザb型菌;ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae);百日咳菌(Haemophilus pertussis);ピロリ菌(Helicobacter pylon);ヘモフィルス??;肝炎??;A型肝炎ウイルス;B型肝炎ウイルス;C型肝炎ウイルス;ヘルペスウイルス;HIV;HIV−1ウイルス;HIV−2ウイルス;HTLV I;HTLV II;HTLV III;インフルエンザ?;日本脳炎;クレブシエラ種;在郷軍人病菌(Legionella pneumophila);リーシュマニア;癩病;ライム病;マラリア免疫原;麻疹;髄膜炎;髄膜炎菌;A群髄膜炎菌多糖体;C群髄膜炎菌多糖体;流行性耳下腺炎;流行性耳下腺炎ウイルス;抗酸菌;結核菌(Mycobacterium tuberculosis);ナイセリア;淋菌(Neisseria gonorrhoeae);髄膜炎菌(Neisseria meningitidis);ヒツジブルータング;ヒツジ脳炎;パピローマウイルス;パラインフルエンザ;パラミクソウイルス;百日咳毒素;ペスト;肺炎球菌;ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii);肺炎;ポリオウイルス;プロテウス種;緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa);狂犬病;呼吸器合胞体ウイルス;ロタウイルス;風疹;サルモネラ菌;住血吸虫症;赤痢;サル免疫不全ウイルス;天然痘;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus);ブドウ球菌種;肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae);化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes);連鎖球菌種;クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile);クロストリジウム種;ブタインフルエンザ;破傷風;梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum);腸チフス;ワクシニア;水痘帯状疱疹ウイルス;及びコレラ菌(vibrio cholerae)が挙げられる。
【0087】
抗微生物ペプチドとしては、限定されないが、ブフォリンI;ブフォリンII;セクロピンA;セクロピンB;セクロピンP1,ブタ;ガエグリン2(ツチガエル);ガエグリン5(ツチガエル);インドリシジン;プロテグリン−(PG)−I;マガイニン1;マガイニン2;及びT−22[Tyr5,12,Lys]−ポリ−フェムシンIIペプチドが挙げられる。
【0088】
アポトーシス関連ペプチドとしては、限定されないが、アルツハイマー病β蛋白質(SP28);カルパイン阻害剤ペプチド;カスパーゼ1阻害剤V;カスパーゼ3基質IV;カスパーゼ1阻害剤I,細胞浸透性;カスパーゼ1阻害剤VI;カスパーゼ3基質III,蛍光;カスパーゼ1基質V,蛍光;カスパーゼ3阻害剤I,細胞浸透性;カスパーゼ6 ICE阻害剤III;[Des−Ac,ビオチン]−ICE阻害剤III;IL−I B変換酵素(ICE)阻害剤II;IL−I B変換酵素(ICE)基質IV;MDL 28170;及びMG−132が挙げられる。
【0089】
心房性ナトリウム利尿ペプチドとしては、限定されないが、αANP(αchANP),ニワトリ;アナンチン;ANP1−11,ラット;ANP8−30,カエル;ANP11−30,カエル;ANP−21(fANP−21),カエル;ANP−24(fANP−24),カエル;ANP−30,カエル;ANPフラグメント5−28,ヒト,イヌ;ANP−7−23,ヒト;ANPフラグメント7−28,ヒト,イヌ;α心房性ナトリウム利尿ポリペプチド1−28,ヒト,イヌ;A71915,ラット;心房性ナトリウム利尿因子8−33,ラット;心房性ナトリウム利尿ポリペプチド3−28,ヒト;心房性ナトリウム利尿ポリペプチド4−28,ヒト,イヌ;心房性ナトリウム利尿ポリペプチド5−27,ヒト;心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP),ウナギ;アトリオペプチンI,ラット,ウサギ,マウス;アトリオペプチンII,ラット,ウサギ,マウス;アトリオペプチンIII,ラット,ウサギ,マウス;心房性ナトリウム利尿因子(rANF),ラット,アウリクリンA(ラットANF126−149);アウリクリンB(ラットANF126−150);βANP(1−28,逆平行型二量体);βrANF17−48;ビオチニル−αANP1−28,ヒト,イヌ;ビオチニル−心房性ナトリウム利尿因子(ビオチニル−rANF),ラット;カルジオジラチン1−16,ヒト;C−ANF4−23,ラット;Des−[Cys105,Cys121]−心房性ナトリウム利尿因子104−126,ラット;[Met(O)12]ANP1−28,ヒト;[Mpr,DAla]ANP7−28,アミド,ラット;プレプロANF104−116,ヒト;プレプロANF26−55(プロANF1−30),ヒト;プレプロANF56−92(プロANF31−67),ヒト;プレプロANF104−123,ヒト;[Tyr]−アトリオペプチンI,ラット,ウサギ,マウス;[Tyr]−アトリオペプチンII,ラット,ウサギ,マウス;[Tyr]−プレプロANF104−123,ヒト;ウロジラチン(CDD/ANP95−126);心室性ナトリウム利尿ペプチド(VNP),ウナギ;及び心室性ナトリウム利尿ペプチド(VNP),ニジマスが挙げられる。
【0090】
嚢細胞ペプチドとしては、限定されないが、α嚢細胞ペプチド;α嚢細胞ペプチド1−9;α嚢細胞ペプチド1−8;α嚢細胞ペプチド1−7;β嚢細胞因子;及びγ嚢細胞因子が挙げられる。
【0091】
ボンベシンペプチドとしては、限定されないが、α−s1カゼイン101−123(牛乳);ビオチニル−ボンベシン;ボンベシン8−14;ボンベシン;[Leu13−ψ(CH2NH)Leu14]−ボンベシン;[D−Phe,Des−Met14]−ボンベシン6−14エチルアミド;[DPhe12]ボンベシン;[DPhe12,Leu14]−ボンベシン;[Tyr]−ボンベシン;及び[Tyr,DPhe12]−ボンベシンが挙げられる。
【0092】
骨GLAペプチド(BGP)としては、限定されないが、骨GLA蛋白質;骨GLA蛋白質45−49;[Glu17,Gla21,24]−オステオカルシン1−49,ヒト;ミエロペプチド2(MP−2);オステオカルシン1−49,ヒト;オステオカルシン37−49,ヒト;及び[Tyr38,Phe42,46]骨GLA蛋白質38−49,ヒトが挙げられる。
【0093】
ブラジキニンペプチドとしては、限定されないが、[Ala2,6,des−Pro]−ブラジキニン;ブラジキニン;ブラジキニン(ボウフィン,ガー);ブラジキニン増強ペプチド;ブラジキニン1−3;ブラジキニン1−5;ブラジキニン1−6;ブラジキニン1−7;ブラジキニン2−7;ブラジキニン2−9;[DPhe]ブラジキニン;[Des−Arg]−ブラジキニン;[Des−Arg10]−Lys−ブラジキニン([Des−Arg10]−カリジン);[D−N−Me−Phe]−ブラジキニン;[Des−Arg,Leu]−ブラジキニン;Lys−ブラジキニン(カリジン);Lys−[Des−Arg,Leu]−ブラジキニン([Des−Arg10,Leu]−カリジン);[Lys−Hyp]−ブラジキニン;オボキニン;[Lys,Ala]−ブラジキニン;Met−Lys−ブラジキニン;ペプチドK12ブラジキニン増強ペプチド;[(pCl)Phe5,8]−ブラジキニン;T−キニン(Ile−Ser−ブラジキニン);[Thi5,8,D−Phe]−ブラジキニン;[Tyr]−ブラジキニン;[Tyr]−ブラジキニン;[Tyr]−ブラジキニン;及びカリクレインが挙げられる。
【0094】
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)としては、限定されないが、BNP32,イヌ;BNP様ペプチド,ウナギ;BNP−32,ヒト;BNP−45,マウス;BNP−26,ブタ;BNP−32,ブタ;ビオチニル−BNP−32,ブタ;BNP−32,ラット;ビオチニル−BNP−32,ラット;BNP−45(BNP51−95,5K心臓ナトリウム利尿ペプチド),ラット;及び[Tyr]−BNP1−32,ヒトが挙げられる。
【0095】
Cペプチドとしては、限定されないが、Cペプチド;及び[Tyr]−Cペプチド,ヒトが挙げられる。
【0096】
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)としては、限定されないが、C型ナトリウム利尿ペプチド,ニワトリ;C型ナトリウム利尿ペプチド−22(CNP−22),ブタ,ラット,ヒト;C型ナトリウム利尿ペプチド−53(CNP−53),ヒト;C型ナトリウム利尿ペプチド−53(CNP−53),ブタ,ラット;C型ナトリウム利尿ペプチド−53(ブタ,ラット)1−29(CNP−53 1−29);プレプロCNP1−27,ラット;プレプロCNP30−50,ブタ,ラット;バソナトリンペプチド(VNP);及び[Tyr]−C型ナトリウム利尿ペプチド22([Tyr]−CNP−22)が挙げられる。
【0097】
カルシトニンペプチドとしては、限定されないが、ビオチニル−カルシトニン,ヒト;ビオチニル−カルシトニン,ラット;ビオチニル−カルシトニン,サケ;カルシトニン,ニワトリ;カルシトニン,ウナギ;カルシトニン,ヒト;カルシトニン,ブタ;カルシトニン,ラット;カルシトニン,サケ;カルシトニン1−7,ヒト;カルシトニン8−32,サケ;カタカルシン(PDN−21)(C−プロカルシトニン);及びN−プロCT(アミノ末端プロカルシトニン開裂ペプチド),ヒトが挙げられる。
【0098】
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)としては、限定されないが、アセチル−αCGRP19−37,ヒト;αCGRP19−37,ヒト;αCGRP23−37,ヒト;ビオチニル−CGRP,ヒト;ビオチニル−CGRPII,ヒト;ビオチニル−CGRP,ラット;βCGRP,ラット;ビオチニル−βCGRP,ラット;CGRP,ラット;CGRP,ヒト;カルシトニンC末端隣接ペプチド;CGRP1−19,ヒト;CGRP20−37,ヒト;CGRP8−37,ヒト;CGRPII,ヒト;CGRP,ラット;CGRP8−37,ラット;CGRP29−37,ラット;CGRP30−37,ラット;CGRP31−37,ラット;CGRP32−37,ラット;CGRP33−37,ラット;CGRP31−37,ラット;([Cys(Acm)2,7]−CGRP;エルカトニン;[Tyr]−CGRP,ヒト;[Tyr]−CGRPII,ヒト;[Tyr]−CGRP28−37,ラット;[Tyr]−CGRP,ラット;及び[Tyr22]−CGRP22−37,ラットが挙げられる。
【0099】
CARTペプチドとしては、限定されないが、CART,ヒト;CART55−102,ヒト;CART,ラット;及びCART55−102,ラットが挙げられる。
【0100】
カソモルフィンペプチドとしては、限定されないが、β−カソモルフィン,ヒト;β−カソモルフィン1−3;β−カソモルフィン1−3,アミド;β−カソモルフィン,ウシ;β−カソモルフィン1−4,ウシ;β−カソモルフィン1−5,ウシ;β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;β−カソモルフィン1−6,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−3,アミド,ウシ;[DAla,Hyp,Tyr]−β−カソモルフィン1−5,アミド;[DAla,DPro,Tyr]−β−カソモルフィン1−5,アミド;[DAla,Tyr]−β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;[DAla2,4,Tyr]−β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;[DAla,(pCl)Phe]−β−カソモルフィン,アミド,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−4,アミド,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−5,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;[DAla,Met]−β−カソモルフィン1−5,ウシ;[DPro]−β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−6,ウシ;[DPro]−β−カソモルフィン1−4,アミド;[Des−Tyr]−β−カソモルフィン,ウシ;[DAla2,4,Tyr]−β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;[DAla,(pCl)Phe]−β−カソモルフィン,アミド,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−4,アミド,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−5,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;[DAla,Met]−β−カソモルフィン1−5,ウシ;[DPro]−β−カソモルフィン1−5,アミド,ウシ;[DAla]−β−カソモルフィン1−6,ウシ;[DPro]−β−カソモルフィン1−4,アミド;[Des−Tyr]−β−カソモルフィン,ウシ;及び[Val]−β−カソモルフィン1−4,アミド,ウシが挙げられる。
【0101】
走化性ペプチドとしては、限定されないが、デフェンシン1(ヒト)HNP−I(ヒト好中球ペプチド−1);及びN−ホルミル−Met−Leu−Pheが挙げられる。
【0102】
コレシストキニン(CCK)ペプチドとしては、限定されないが、セルレイン;コレシストキニン;コレシストキニン−パンクレオジミン;CCK−33,ヒト;コレシストキニンオクタペプチド1−4(非硫酸化)(CCK26−29,非硫酸化);コレシストキニンオクタペプチド(CCK26−33);コレシストキニンオクタペプチド(非硫酸化)(CCK26−33,非硫酸化);コレシストキニンヘプタペプチド(CCK27−33);コレシストキニンテトラペプチド(CCK30−33);CCK−33,ブタ;CR1 409,コレシストキニンアンタゴニスト;CCKフランキングペプチド(非硫酸化);N−アセチルコレシストキニン,CCK26−30,硫酸化;N−アセチルコレシストキニン,CCK26−31,硫酸化;N−アセチルコレシストキニン,CCK26−31,非硫酸化;プレプロCCKフラグメントV−9−M;及びプログルミドが挙げられる。
【0103】
コロニー刺激因子ペプチドとしては、限定されないが、コロニー刺激因子(CSF);GM−CSF;M−CSF;及びG−CSFが挙げられる。
【0104】
コルチコトロピン放出因子(CRF)ペプチドとしては、限定されないが、アストレシン;α−螺旋CRF12−41;ビオチニル−CRF,ヒツジ;ビオチニル−CRF,ヒト,ラット;CRF,ウシ;CRF,ヒト,ラット;CRF,ヒツジ;CRF,ブタ;[Cys21]−CRF,ヒト,ラット;CRFアンタゴニスト(α−螺旋CRF9−41);CRF6−33,ヒト,ラット;[DPro]−CRF,ヒト,ラット;[D−Phe12,Nle21,38]−CRF12−41,ヒト,ラット;好酸球遊走ペプチド;[Met(0)21]−CRF,ヒツジ;[Nle21,Tyr32]−CRF,ヒツジ;プレプロCRF125−151,ヒト;サウバギン,カエル;[Tyr]−CRF,ヒト,ラット;[Tyr]−CRF,ヒツジ;[Tyr]−CRF34−41,ヒツジ;[Tyr]−ウロコルチン;ウロコルチンアミド,ヒト;ウロコルチン,ラット;ウロテンシンI(ホワイトサッカー);ウロテンシンII;及びウロテンシンII(ワライガエル)が挙げられる。
【0105】
コルチスタチンペプチドとしては、限定されないが、コルチスタチン29;コルチスタチン29(1−13);[Tyr]−コルチスタチン29;プロコルチスタチン28−47;及びプロコルチスタチン51−81が挙げられる。
【0106】
サイトカインペプチドとしては、限定されないが、腫瘍壊死因子α(TNF−α);及び腫瘍壊死因子β(TNF−β)が挙げられる。インターロイキンとしては、限定されないが、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12及びIL−13が挙げられる。インターロイキンペプチドとしては、限定されないが、インターロイキン−1β165−181,ラット;及びインターロイキン−8(IL−8,CINC/gro),ラットが挙げられる。ケモカインとしては、限定されないが、RANTES、MCP−1、MIP−1α、MIP−1βが挙げられる。
【0107】
デルモルフィンペプチドとしては、限定されないが、デルモルフィン及びデルモルフィン類似体1−4が挙げられる。
【0108】
ジノルフィンペプチドとしては、限定されないが、ビッグジノルフィン(プロジノルフィン209−240),ブタ;ビオチニル−ジノルフィンA(ビオチニル−プロジノルフィン209−225);[DAla,DArg]−ジノルフィンA1−13,ブタ;[D−Ala]−ジノルフィンA,ブタ;[D−Ala]−ジノルフィンA,アミド,ブタ;[D−Ala]−ジノルフィンA1−13,アミド,ブタ;[D−Ala]−ジノルフィンA1−9,ブタ;[DArg]−ジノルフィンA1−13,ブタ;[DArg]−ジノルフィンA1−13,ブタ;[Des−Tyr]−ジノルフィンA1−8;[D−Pro10]−ジノルフィンA1−11,ブタ;ジノルフィンA,アミド,ブタ;ジノルフィンA1−6,ブタ;ジノルフィンA1−7,ブタ;ジノルフィンA1−8,ブタ;ジノルフィンA1−9,ブタ;ジノルフィンA1−10,ブタ;ジノルフィンA1−10,アミド,ブタ;ジノルフィンA1−11,ブタ;ジノルフィンA1−12,ブタ;ジノルフィンA1−13,ブタ;ジノルフィンA1−13,アミド,ブタ;DAKLI(ジノルフィンA類似体κリガンド);DAKLI−ビオチン([Arg11,13]−ジノルフィンA(1−13)−Gly−NH(CH2)5NH−ビオチン);ジノルフィンA2−17,ブタ;ジノルフィン2−17,アミド,ブタ;ジノルフィンA2−12,ブタ;ジノルフィンA3−17,アミド,ブタ;ジノルフィンA3−8,ブタ;ジノルフィンA3−13,ブタ;ジノルフィンA3−17,ブタ;ジノルフィンA7−17,ブタ;ジノルフィンA8−17,ブタ;ジノルフィンA6−17,ブタ;ジノルフィンA13−17,ブタ;ジノルフィンA(プロジノルフィン209−225),ブタ;ジノルフィンB1−9;[MeTyr,MeArg,D−Leu]−ジノルフィン1−8エチルアミド;[(nMe)Tyr]−ジノルフィンA1−13,アミド,ブタ;[Phe]−ジノルフィンA1−7,ブタ;[Phe]−ジノルフィンA1−7,アミド,ブタ;及びプロジノルフィン228−256(ジノルフィンB29)(ロイモルフィン),ブタが挙げられる。
【0109】
エンドルフィンペプチドとしては、限定されないが、α−ネオエンドルフィン,ブタ;β−ネオ−エンドルフィン;Ac−β−エンドルフィン,ラクダ,ウシ,ヒツジ;Ac−β−エンドルフィン1−27,ラクダ,ウシ,ヒツジ;Ac−β−エンドルフィン,ヒト;Ac−β−エンドルフィン1−26,ヒト;Ac−β−エンドルフィン1−27,ヒト;Ac−γ−エンドルフィン(Ac−β−リポトロピン61−77);アセチル−α−エンドルフィン;α−エンドルフィン(β−リポトロピン61−76);α−ネオエンドルフィン類似体;α−ネオエンドルフィン1−7;[Arg]−α−ネオエンドルフィン1−8;β−エンドルフィン(β−リポトロピン61−91),ラクダ,ウシ,ヒツジ;β−エンドルフィン1−27,ラクダ,ウシ,ヒツジ;β−エンドルフィン,ウマ;β−エンドルフィン(β−リポトロピン61−91),ヒト;β−エンドルフィン(1−5)+(16−31),ヒト;β−エンドルフィン1−26,ヒト;β−エンドルフィン1−27,ヒト;β−エンドルフィン6−31,ヒト;β−エンドルフィン18−31,ヒト;β−エンドルフィン,ブタ;β−エンドルフィン,ラット;β−リポトロピン1−10,ブタ;β−リポトロピン60−65;β−リポトロピン61−64;β−リポトロピン61−69;β−リポトロピン88−91;ビオチニル−β−エンドルフィン(ビオチニル−β−リポトロピン61−91);ビオシチン−β−エンドルフィン,ヒト;γ−エンドルフィン(β−リポトロピン61−77);[DAla]−α−ネオエンドルフィン1−2,アミド;[DAla]−β−リポトロピン61−69;[DAla]−γ−エンドルフィン;[Des−Tyr]−β−エンドルフィン,ヒト;[Des−Tyr]−γ−エンドルフィン(β−リポトロピン62−77);[Leu]−β−エンドルフィン,ラクダ,ウシ,ヒツジ;[Met,Lys]−α−ネオエンドルフィン1−6;[Met,Lys6,7]−α−ネオエンドルフィン1−7;及び[Met,Lys,Arg]−α−ネオエンドルフィン1−7が挙げられる。
【0110】
エンドセリンペプチドとしては、限定されないが、エンドセリン−1(ET−1);エンドセリン−1[ビオチン−Lys];エンドセリン−1(1−15),ヒト;エンドセリン−1(1−15),アミド,ヒト;Ac−エンドセリン−1(16−21),ヒト;Ac−[DTrp16]−エンドセリン−1(16−21),ヒト;[Ala3,11]−エンドセリン−1;[Dprl,Asp15]−エンドセリン−1;[Ala]−エンドセリン−3,ヒト;[Ala18]−エンドセリン−1,ヒト;[Asn18]−エンドセリン−1,ヒト;[Res−701−1]−エンドセリンB受容体アンタゴニスト;Suc−[Glu,Ala11,15]−エンドセリン−1(8−21),IRL−1620;エンドセリン−C末端ヘキサペプチド;[D−Val22]−ビッグエンドセリン−1(16−38),ヒト;エンドセリン−2(ET−2),ヒト,イヌ;エンドセリン−3(ET−3),ヒト,ラット,ブタ,ウサギ;ビオチニル−エンドセリン−3(ビオチニル−ET−3);プレプロエンドセリン−1(94−109),ブタ;BQ−518;BQ−610;BQ−788;内皮依存性弛緩アンタゴニスト;FR139317;IRL−1038;JKC−301;JKC−302;PD−145065;PD142893;サラホトキシンS6a(ヘビ,イスラエル産モルバイパー,atractaspis engaddensis);サラホトキシンS6b(ヘビ,イスラエル産モルバイパー,atractaspis engaddensis);サラホトキシンS6c(ヘビ,イスラエル産モルバイパー,atractaspis engaddensis);[Lys]−サラホトキシンS6c;サラホトキシンS6d;ビッグエンドセリン−1,ヒト;ビオチニル−ビッグエンドセリン−1,ヒト;ビッグエンドセリン−1(1−39),ブタ;ビッグエンドセリン−3(22−41),アミド,ヒト;ビッグエンドセリン−1(22−39),ラット;ビッグエンドセリン−1(1−39),ウシ;ビッグエンドセリン−1(22−39),ウシ;ビッグエンドセリン−1(19−38),ヒト;ビッグエンドセリン−1(22−38),ヒト;ビッグエンドセリン−2,ヒト;ビッグエンドセリン−2(22−37),ヒト;ビッグエンドセリン−3,ヒト;ビッグエンドセリン−1,ブタ;ビッグエンドセリン−1(22−39)(プレプロエンドセリン−1(74−91));ビッグエンドセリン−1,ラット;ビッグエンドセリン−2(1−38),ヒト;ビッグエンドセリン−2(22−38),ヒト;ビッグエンドセリン−3,ラット;ビオチニル−ビッグエンドセリン−1,ヒト;及び[Tyr123]−プレプロエンドセリン(110−130),アミド,ヒトが挙げられる。
【0111】
ETa受容体アンタゴニストペプチドとしては、限定されないが、[BQ−123];[BE18257B];[BE−18257A]/[W−7338A];[BQ−485];FR139317;PD−151242;及びTTA−386が挙げられる。
【0112】
ETb受容体アンタゴニストペプチドとしては、限定されないが、[BQ−3020];[RES−701−3];及び[IRL−1720]が挙げられる。
【0113】
エンケファリンペプチドとしては、限定されないが、アドレノルフィン,遊離酸;アミドルフィン(プロエンケファリンA(104−129)−NH2),ウシ;BAM−12P(ウシ副腎髄質ドデカペプチド);BAM−22P(ウシ副腎髄質ドコサペプチド);ベンゾイル−Phe−Ala−Arg;エンケファリン;[D−Ala,D−Leu]−エンケファリン;[D−Ala,D−Met]−エンケファリン;[DAla]−Leu−エンケファリン,アミド;[DAla,Leu,Arg]−エンケファリン;[Des−Tyr,DPen2,5]−エンケファリン;[Des−Tyr,DPen,Pen]−エンケファリン;[Des−Tyr]−Leu−エンケファリン;[D−Pen2,5]−エンケファリン;[DPen,Pen]−エンケファリン;エンケファリナーゼ基質;[D−Pen,pCI−Phe,D−Pen]−エンケファリン;Leu−エンケファリン;Leu−エンケファリン,アミド;ビオチニル−Leu−エンケファリン;[D−Ala]−Leu−エンケファリン;[D−Ser]−Leu−エンケファリン−Thr(δ受容体ペプチド)(DSLET);[D−Thr]−Leu−エンケファリン−Thr(DTLET);[Lys]−Leu−エンケファリン;[Met,Arg]−エンケファリン;[Met,Arg]−エンケファリン−Arg;[Met,Arg,Phe]−エンケファリン,アミド;Met−エンケファリン;ビオチニル−Met−エンケファリン;[D−Ala]−Met−エンケファリン;[D−Ala]−Met−エンケファリン,アミド;Met−エンケファリン−Arg−Phe;Met−エンケファリン,アミド;[Ala]−Met−エンケファリン,アミド;[DMet,Pro]−エンケファリン,アミド;[DTrp]−Met−エンケファリン,アミド,メトルフィンアミド(アドレノルフィン);ペプチドB,ウシ;3200ダルトン副腎ペプチドE,ウシ;ペプチドF,ウシ;プレプロエンケファリンB186−204,ヒト;スパイノルフィン,ウシ;及びチオルファン(D,L,3−メルカプト−2−ベンジルプロパノイル−グリシン)が挙げられる。
【0114】
エフリンB、その類似体及びアンタゴニスト。
【0115】
フィブロネクチンペプチドとしては、限定されないが、血小板第4因子(58−70),ヒト;エキスタチン(カーペットバイパー,Echis carinatus);E,P,Lセレクチン保存領域;フィブロネクチン類似体;フィブロネクチン結合蛋白質;フィブリノペプチドA,ヒト;[Tyr]−フィブリノペプチドA,ヒト;フィブリノペプチドB,ヒト;[Glu]−フィブリノペプチドB,ヒト;[Tyr15]−フィブリノペプチドB,ヒト;24−42のフィブリノーゲンβ鎖フラグメント;フィブリノーゲン結合阻害剤ペプチド;フィブロネクチン関連ペプチド(コラーゲン結合フラグメント);繊維素溶解阻害因子;FN−C/H−1(フィブロネクチンヘパリン結合フラグメント);FN−C/H−V(フィブロネクチンヘパリン結合フラグメント);ヘパリン結合ペプチド;ラミニンペンタペンタ,アミド;Leu−Asp−Val−NH2(LDV−NH2),ヒト,ウシ,ラット,ニワトリ;ネクロフィブリン,ヒト;ネクロフィブリン,ラット;及び血小板膜糖蛋白質IIBペプチド296−306が挙げられる。
【0116】
ガラニンペプチドとしては、限定されないが、ガラニン,ヒト;ガラニン1−19,ヒト;プレプロガラニン1−30,ヒト;プレプロガラニン65−88,ヒト;プレプロガラニン89−123,ヒト;ガラニン,ブタ;ガラニン1−16,ブタ,ラット;ガラニン,ラット;ビオチニル−ガラニン,ラット;プレプロガラニン28−67,ラット;ガラニン1−13−ブラジキニン2−9,アミド;M40,ガラニン1−13−Pro−Pro−(Ala−Leu)2−Ala−アミド;C7,ガラニン1−13−スパンチド−アミド;GMAP1−41,アミド;GMAP16−41,アミド;GMAP25−41,アミド;ガランチド;及びエンテロカッシニンが挙げられる。
【0117】
ガストリンペプチドとしては、限定されないが、ガストリン,ニワトリ;胃抑制ペプチド(GIP),ヒト;ガストリンI,ヒト;ビオチニル−ガストリンI,ヒト;ビッグガストリン−1,ヒト;ガストリン放出ペプチド,ヒト;ガストリン放出ペプチド1−16,ヒト;胃抑制ポリペプチド(GIP),ブタ;ガストリン放出ペプチド,ブタ;ビオチニル−ガストリン放出ペプチド,ブタ;ガストリン放出ペプチド14−27,ブタ,ヒト;リトルガストリン,ラット;ペンタガストリン;胃抑制ペプチド1−30,ブタ;胃抑制ペプチド1−30,アミド,ブタ;[Tyr]−胃抑制ペプチド23−42,ヒト;及び胃抑制ペプチド,ラットが挙げられる。
【0118】
グルカゴンペプチドとしては、限定されないが、[Des−His,Glu]−グルカゴン,エキステンジン−4,グルカゴン,ヒト;ビオチニル−グルカゴン,ヒト;グルカゴン19−29,ヒト;グルカゴン22−29,ヒト;Des−His−[Glu]−グルカゴン,アミド;グルカゴン様ペプチド1,アミド(プレプログルカゴン72−107,アミド);グルカゴン様ペプチド1(プレプログルカゴン72−108),ヒト;グルカゴン様ペプチド1(7−36)(プレプログルカゴン78−107,アミド);グルカゴン様ペプチドII,ラット;ビオチニル−グルカゴン様ペプチド−1(7−36)(ビオチニル−プレプログルカゴン78−107,アミド);グルカゴン様ペプチド2(プレプログルカゴン126−159),ヒト;オキシントモジュリン/グルカゴン37;及びバロシン(ペプチドVQY),ブタが挙げられる。
【0119】
Gn−RH関連ペプチド(GAP)としては、限定されないが、Gn−RH関連ペプチド25−53,ヒト;Gn−RH関連ペプチド1−24,ヒト;Gn−RH関連ペプチド1−13,ヒト;Gn−RH関連ペプチド1−13,ラット;ゴナドトロピン放出ペプチド,卵胞,ヒト;[Tyr]−GAP([Tyr]−Gn−RH前駆体ペプチド14−69),ヒト;及びプロオピオメラノコルチン(POMC)前駆体27−52,ブタが挙げられる。
【0120】
成長因子ペプチドとしては、限定されないが、細胞増殖因子;上皮成長因子;腫瘍増殖因子;TGF−α,ヒト;他の哺乳動物種TGF−βに由来するTGF−α;TGF−α34−43;ヒトEGF(上皮成長因子);酸性線維芽細胞増殖因子;塩基性線維芽細胞増殖因子;塩基性線維芽細胞増殖因子13−18;塩基性線維芽細胞増殖因子120−125;脳由来酸性線維芽細胞増殖因子1−11;脳由来塩基性線維芽細胞増殖因子1−24;脳由来酸性線維芽細胞増殖因子102−111;[Cys(Acm20,31)]−上皮成長因子20−31;上皮成長因子受容体ペプチド985−996;インスリン様成長因子(IGF)−I,ニワトリ;IGF−I,ラット;IGF−I,ヒト;Des(1−3)IGF−I,ヒト;R3 IGF−I,ヒト;R3 IGF−I,ヒト;long R3 IGF−I,ヒト;アジュバントペプチド類似体;食欲抑制ペプチド;Des(1−6)IGF−II,ヒト;R6 IGF−II,ヒト;IGF−I類似体;IGF I(24−41);IGF I(57−70);IGF I(30−41);IGF II;IGF II(33−40);[Tyr]−IGF II(33−40);肝細胞増殖因子;ミッドカイン;ミッドカイン60−121,ヒト;N−アセチル,TGF−α34−43,メチルエステル,ラット;神経成長因子(NGF),マウス;血小板由来成長因子;血小板由来成長因子アンタゴニスト;Erb−Bファミリー受容体リガンドが挙げられる。
【0121】
成長ホルモンペプチドとしては、限定されないが、成長ホルモン(hGH),ヒト;成長ホルモン1−43,ヒト;成長ホルモン6−13,ヒト;成長ホルモン放出因子,ヒト;成長ホルモン放出因子,ウシ;成長ホルモン放出因子,ブタ;成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ラット;成長ホルモンプロ放出因子,ヒト;ビオチニル−成長ホルモン放出因子,ヒト;成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト;[D−Ala]−成長ホルモン放出因子1−29,アミド,ヒト;[N−Ac−Tyr,D−Arg]−GRF1−29,アミド;[His,Nle27]−成長ホルモン放出因子1−32,アミド;成長ホルモン放出因子1−37,ヒト;成長ホルモン放出因子1−40,ヒト;成長ホルモン放出因子1−40,アミド,ヒト;成長ホルモン放出因子30−44,アミド,ヒト;成長ホルモン放出因子,マウス;成長ホルモン放出因子,ヒツジ;成長ホルモン放出因子,ラット;ビオチニル−成長ホルモン放出因子,ラット;GHRP−6([His,Lys]−GHRP);ヘキサレリン(成長ホルモン放出ヘキサペプチド);及び[D−Lys]−GHRP−6が挙げられる。
【0122】
GTP結合蛋白質及びそのフラグメントペプチドとしては、限定されないが、[Arg]−GTP結合蛋白質フラグメント,Gsα;GβファミリーのGTP結合蛋白質フラグメント;GγファミリーのGTP結合蛋白質フラグメント;GTP結合蛋白質フラグメント,Gα;GTP結合蛋白質フラグメント,Goαa及びb;GTP結合蛋白質フラグメント,Gsα;GTP結合蛋白質フラグメント,Gαi2,Gαi2,Gαi3;GTP結合蛋白質フラグメント,Golfα;GTP結合蛋白質フラグメント,Gzα;GTP結合蛋白質フラグメント,Gqαが挙げられる。
【0123】
グアニリンペプチドとしては、限定されないが、グアニリン,ヒト;グアニリン,ラット;及びウログアニリンが挙げられる。
【0124】
インヒビンペプチドとしては、限定されないが、インヒビン,ウシ;インヒビン,αサブユニット1−32,ヒト;[Tyr]−インヒビン,αサブユニット1−32,ヒト;精漿インヒビン様ペプチド,ヒト;[Tyr]−精漿インヒビン様ペプチド,ヒト;インヒビン,αサブユニット1−32,ブタ;及び[Tyr]−インヒビン,αサブユニット1−32,ブタが挙げられる。
【0125】
インターフェロンペプチドとしては、限定されないが、αインターフェロン種(例えばα1、α2、α2a、α2b、α2c、α2d、α3、α4、α4a、α4b、α5、α6、α74、α76、αA、αB、αC、αC1、αD、αE、αF、αG、αG、αH、αI、αJ1、αJ2、αK、αL);インターフェロンβ種(例えばβ1a);インターフェロンγ種(例えばγ1a、γ1b);インターフェロンυ;インターフェロンτ;インターフェロンω又はインターフェロンωの任意類似体が挙げられる。γインターフェロンの各種類似体はインターフェロン類似体の製造及び試験に関する教示としてその開示内容全体を本明細書に援用するPechenovら“Methods for preparation of recombinant cytokine proteins V.mutant analogues of human interferon−gamma with higher stability and activity”Protein Expr.Purif.24:173−180(2002)に記載されている。
【0126】
インスリンペプチドとしては、限定されないが、インスリン,ヒト;インスリン,ブタ;IGF−I,ヒト;インスリン様成長因子II(69−84);プロインスリン様成長因子II(68−102),ヒト;プロインスリン様成長因子II(105−128),ヒト;[AspB28]−インスリン,ヒト;[LysB28]−インスリン,ヒト;[LeuB28]−インスリン,ヒト;[ValB28]−インスリン,ヒト;[AlaB28]−インスリン,ヒト;[AspB28,ProB29]−インスリン,ヒト;[LysB28,ProB29]−インスリン,ヒト;[LeuB28,ProB29]−インスリン,ヒト;[ValB28,ProB29]−インスリン,ヒト;[AlaB28,ProB29]−インスリン,ヒト;[GlyA21]−インスリン,ヒト;[GlyA21GlnB3]−インスリン,ヒト;[AlaB28]−インスリン,ヒト;[AlaA21GlnB3]−インスリン,ヒト;[GlnB3]−インスリン,ヒト;[GlnB30]−インスリン,ヒト;[GlyA21GluB30]−インスリン,ヒト;[GlyA21Gln83GluB30]−インスリン,ヒト;[GlnB3GluB30]−インスリン,ヒト;B22−B30インスリン,ヒト;B23−B30インスリン,ヒト;B25−B30インスリン,ヒト;B26−B30インスリン,ヒト;B27−B30インスリン,ヒト;B29−B30インスリン,ヒト;ヒトインスリンのA鎖、及びヒトインスリンのB鎖が挙げられる。
【0127】
ラミニンペプチドとしては、限定されないが、ラミニン;α1(I)−CB3 435−438,ラット;及びラミニン結合阻害剤が挙げられる。
【0128】
レプチンペプチドとしては、限定されないが、レプチン93−105,ヒト;レプチン22−56,ラット;Tyr−レプチン26−39,ヒト;及びレプチン116−130,アミド,マウスが挙げられる。
【0129】
ロイコキニンペプチドとしては、限定されないが、ロイコミオサプレッシン(LMS);ロイコピロキニン(LPK);ロイコキニンI;ロイコキニンII;ロイコキニンIII;ロイコキニンIV;ロイコキニンVI;ロイコキニンVII;及びロイコキニンVIIIが挙げられる。
【0130】
黄体形成ホルモン放出ホルモンペプチドとしては、限定されないが、アンチド;Gn−RH II,ニワトリ;黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)(GnRH);ビオチニル−LH−RH;セトロレリクス(D−20761);[D−Ala]−LH−RH;[Gln]−LH−RH(ニワトリLH−RH);[DLeu,Val]LH−RH1−9,エチルアミド;[D−Lys]−LH−RH;[D−Phe,Pro,D−Phe]−LH−RH;[DPhe,DAla]LH−RH;[Des−Gly10]−LH−RH,エチルアミド;[D−Ala,Des−Gly10]−LH−RH,エチルアミド;[DTrp]−LH−RH,エチルアミド;[D−Trp,Des−Gly10]−LH−RH,エチルアミド(デスロレリン);[DSer(But),Des−Gly10]−LH−RH,エチルアミド;エチルアミド;ロイプロリド;LH−RH4−10;LH−RH7−10;LH−RH,遊離酸;LH−RH,ヤツメウナギ;LH−RH,サケ;[Lys]−LH−RH;[Trp,Leu]LH−RH,遊離酸;及び[(t−Bu)DSer,(Aza)Gly10]−LH−RHが挙げられる。
【0131】
マストパランペプチドとしては、限定されないが、マストパラン;mas7;mas8;mas17;及びマストパランXが挙げられる。
【0132】
肥満細胞脱顆粒ペプチドとしては、限定されないが、肥満細胞脱顆粒ペプチドHR−1;及び肥満細胞脱顆粒ペプチドHR−2が挙げられる。
【0133】
メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ペプチドとしては、限定されないが、[Ac−Cys,DPhe,Cys10]α−MSH4−13,アミド;α−メラニン細胞刺激ホルモン;α−MSH,遊離酸;β−MSH,ブタ;ビオチニル−α−メラニン細胞刺激ホルモン;ビオチニル−[Nle,D−Phe]α−メラニン細胞刺激ホルモン;[Des−アセチル]−α−MSH;[DPhe]−α−MSH,アミド;γ−1−MSH,アミド;[Lys]−γ−1−MSH,アミド;MSH放出阻害因子,アミド;[Nle]−α−MSH,アミド;[Nle,D−Phe]−α−MSH;N−アセチル,[Nle,DPhe]α−MSH4−10,アミド;β−MSH,ヒト;及びγ−MSHが挙げられる。
【0134】
モルフィセプチンペプチドとしては、限定されないが、モルフィセプチン(β−カソモルフィン1−4アミド);[D−Pro]−モルフィセプチン;及び[N−MePhe,D−Pro]−モルフィセプチンが挙げられる。
【0135】
モチリンペプチドとしては、限定されないが、モチリン,イヌ;モチリン,ブタ;ビオチニル−モチリン,ブタ;及び[Leu13]−モチリン,ブタが挙げられる。
【0136】
神経ペプチドとしては、限定されないが、Ac−Asp−Glu;アフリカマイマイ心臓興奮性ペプチド−1(ACEP−I)(アフリカマイマイ,Achatina fulica);脂質動員ホルモン(AKH)(イナゴ);脂質動員ホルモン(アメリカタバコガ,Heliothis zea及びタバコスズメガ,Manduca sexta);アリテシン;アブ(Tabanus atratus)脂質動員ホルモン(Taa−AKH);脂質動員ホルモンII(トノサマバッタ,Locusta migratoria);脂質動員ホルモンII(サバクトビバッタ,Schistocera gregaria);脂質動員ホルモンIII(AKH−3);脂質動員ホルモンG(AKH−G)(フタホシコオロギ,Gryllus bimaculatus);アラトトロピン(AT)(タバコスズメガ,Manduca sexta);アラトトロピン6−13(タバコスズメガ,Manduca sexta);APGWアミド(ヨーロッパモノアラガイ,Lymnaea stagnalis);ブッカリン;セレベリン;[Des−Ser]−セレベリン;コラゾニン(ワモンゴキブリ,Periplaneta americana);甲殻類心臓作用性ペプチド(CCAP);甲殻類赤色素胞;DF2(アメリカザリガニ,Procambarus clarkii);ジアゼパム結合阻害剤フラグメント,ヒト;ジアゼパム結合阻害剤フラグメント(ODN);エレドイシン関連ペプチド;FMRFアミド(軟体動物心臓興奮性神経ペプチド);Gly−Pro−Glu(GPE),ヒト;グラニュリベリンR;ヘッドアクチベーター神経ペプチド;[His]−コラゾニン;ナナフシトレハロース上昇因子II;アブ(Tabanus atratus)トレハロース低下ホルモン(Taa−HoTH);イソグバシン塩酸塩;ビキュキュリンメチオジド;ピペリジン−4−スルホン酸;プロピオメラノコルチン(POMC)の結合ペプチド,ウシ;結合ペプチド,ラット;KSAYMRFアミド(自活性線虫,P.redivivus);カッシニン;キネテンシン;レビチド;リトリン;LUQ81−91(ジャンボアメフラシ,Aplysia californica);LUQ83−91(ジャンボアメフラシ,Aplysia californica);筋作用性ペプチドI(ペリプラネチンCC−I)(神経ホルモンD);筋作用性ペプチドII(ペリプラネチンCC−2);ミオモジュリン;神経特異ペプチド;神経特異エノラーゼ404−443,ラット;神経ペプチドFF;神経ペプチドK,ブタ;NEI(プレプロMCH131−143)神経ペプチド,ラット;NGE(プレプロMCH110−128)神経ペプチド,ラット;NF1(アメリカザリガニ,Procambarus clarkii);PBAN−I(カイコ,Bombyx mori);Hez−PBAN(アメリカタバコガ,Heliothis zea);SCPB(アメフラシ由来心臓作用性ペプチド);セクレトニューリン,ラット;ウペロレイン;ウレキスタキキニンI;ウレキスタキキニンII;キセノプシン関連ペプチドI;キセノプシン関連ペプチドII;ペダルペプチド(Pep),アメフラシ;ペプチドF1,ロブスター;フィロメズシン;ハチマストパラン;プロクトリン;ラナテンシン;Ro I(ラバーグラスホッパー,Romalea microptera);Ro II(ラバーグラスホッパー,Romalea microptera);SALMFアミド1(S1);SALMFアミド2(S2);及びSCPAが挙げられる。
【0137】
神経ペプチドY(NPY)ペプチドとしては、限定されないが、[Leu31,Pro34]−神経ペプチドY,ヒト;神経ペプチドF(拡張条虫:Moniezia expansa);B1BP3226 NPYアンタゴニスト;Bis(31/31’){[Cys31,Trp32,Nva34]NPY31−36};神経ペプチドY,ヒト,ラット;神経ペプチドY 1−24アミド,ヒト;ビオチニル−神経ペプチドY;[D−Tyr27,36,D−Thr32]−NPY27−36;Des10−17(シクロ7−21)[Cys7,21,Pro34]−NPY;C2−NPY;[Leu31,Pro]神経ペプチドY,ヒト;神経ペプチドY,遊離酸,ヒト;神経ペプチドY,遊離酸,ブタ;プレプロNPY68−97,ヒト;N−アセチル−[Leu28,Leu31]NPY24−36;神経ペプチドY,ブタ;[D−Trp32]−神経ペプチドY,ブタ;[D−Trp32]NPY1−36,ヒト;[Leu17,DTrp32]神経ペプチドY,ヒト;[Leu31,Pro34]−NPY,ブタ;NPY2−36,ブタ;NPY3−36,ヒト;NPY3−36,ブタ;NPY13−36,ヒト;NPY13−36,ブタ;NPY16−36,ブタ;NPY18−36,ブタ;NPY20−36;NFY 22−36;NPY26−36;[Pro34]−NPY1−36,ヒト;[Pro34]−神経ペプチドY,ブタ;PYX−1;PYX−2;T4−[NPY(33−36)]4;及び[Tyr(OMe)21]−神経ペプチドY,ヒトが挙げられる。
【0138】
神経向性因子ペプチドとしては、限定されないが、グリア細胞由来神経向性因子(GDNF);脳由来神経向性因子(BDNF);及び毛様体神経向性因子(CNTF)が挙げられる。
【0139】
ノッチ受容体リガンドとしては、限定されないが、デルタ様1、デルタ様2,デルタ様3,デルタ様4,Jagged−1及びJagged−2蛋白質とそのフラグメントが挙げられる。
【0140】
オレキシンペプチドとしては、限定されないが、オレキシンA;オレキシンB,ヒト;オレキシンB,ラット,マウスが挙げられる。
【0141】
オピオイドペプチドとしては、限定されないが、α−カゼインフラグメント90−95;BAM−18P;カソモキニンL;カソキシンD;結晶;DALDA;デルメンケファリン(デルトルフィン)(ソバージュネコメガエル,Phyllomedusa sauvagei);[D−Ala]−デルトルフィンI;[D−Ala]−デルトルフィンII;エンドモルフィン−1;エンドモルフィン−2;キョートルフィン;[DArg]−キョートルフィン;モルフィン耐性ペプチド;モルヒネ調節ペプチド,C末端フラグメント;モルヒネ調節神経ペプチド(A−18−F−NH2);ノシセプチン[オルファニンFQ](ORL1アゴニスト);TIPP;Tyr−MIF−1;Tyr−W−MIF−1;バロルフィン;LW−ヘモルフィン−6,ヒト;Leu−バロルフィン−Arg;及びZ−Pro−D−Leuが挙げられる。
【0142】
オキシトシンペプチドとしては、限定されないが、[Asu]−オキシトシン;オキシトシン;ビオチニル−オキシトシン;[Thr,Gly]−オキシトシン;及びトシン酸([Ile]−プレッシン酸)が挙げられる。
【0143】
PACAP(下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド)ペプチドとしては、限定されないが、PACAP1−27,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP(1−27)−Gly−Lys−Arg−NH2,ヒト;[Des−Gln16]−PACAP6−27,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP38,カエル;PACAP27−NH2,ヒト,ヒツジ,ラット;ビオチニル−PACAP27−NH2,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP6−27,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP38,ヒト,ヒツジ,ラット;ビオチニル−PACAP38,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP6−38,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP27−NH2,ヒト,ヒツジ,ラット;ビオチニル−PACAP27−NH2,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP6−27,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP38,ヒト,ヒツジ,ラット;ビオチニル−PACAP38,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP6−38,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP38 16−38,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP38 31−38,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP38 31−38,ヒト,ヒツジ,ラット;PACAP関連ペプチド(PRP),ヒト;及びPACAP関連ペプチド(PRP),ラットが挙げられる。
【0144】
パンクレアスタチンペプチドとしては、限定されないが、クロモスタチン,ウシ;パンクレアスタチン(hPST−52)(クロモグラニンA250−301,アミド);パンクレアスタチン24−52(hPST−29),ヒト;クロモグラニンA286−301,アミド,ヒト;パンクレアスタチン,ブタ;ビオチニル−パンクレアスタチン,ブタ;[Nle]−パンクレアスタチン,ブタ;[Tyr,Nle]−パンクレアスタチン,ブタ;[Tyr]−パンクレアスタチン,ブタ;パラスタチン1−19(クロモグラニンA347−365),ブタ;パンクレアスタチン(クロモグラニンA264−314−アミド),ラット;ビオチニル−パンクレアスタチン(ビオチニル−クロモグラニンA264−314−アミド);[Tyr]−パンクレアスタチン,ラット;パンクレアスタチン26−51,ラット;及びパンクレアスタチン33−49,ブタが挙げられる。
【0145】
膵ポリペプチドとしては、限定されないが、膵ポリペプチド,トリ;膵ポリペプチド,ヒト;Cフラグメント膵ポリペプチド酸,ヒト;Cフラグメント膵ポリペプチドアミド,ヒト;膵ポリペプチド(ヨーロッパアカガエル,Rana temporaria);膵ポリペプチド,ラット;及び膵ポリペプチド,サケが挙げられる。
【0146】
副甲状腺ホルモンペプチドとしては、限定されないが、[Asp76]−副甲状腺ホルモン39−84,ヒト;[Asp76]−副甲状腺ホルモン53−84,ヒト;[Asn76]−副甲状腺ホルモン1−84,ヒト;[Asn76]−副甲状腺ホルモン64−84,ヒト;[Asn,Leu18]−副甲状腺ホルモン1−34,ヒト;[Cys5,28]−副甲状腺ホルモン1−34,ヒト;悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症因子1−40;[Leu]−副甲状腺ホルモン1−34,ヒト;[Lys(ビオチニル)13,Nle8,18,Tyr34]−副甲状腺ホルモン1−34アミド;[Nle8,18,Tyr34]−副甲状腺ホルモン1−34アミド;[Nle8,18,Tyr34]−副甲状腺ホルモン3−34アミド,ウシ;[Nle8,18,Tyr34]−副甲状腺ホルモン1−34,ヒト;[Nle8,18,Tyr34]−副甲状腺ホルモン1−34アミド,ヒト;[Nle8,18,Tyr34]−副甲状腺ホルモン3−34アミド,ヒト;[Nle8,18,Tyr34]−副甲状腺ホルモン7−34アミド,ウシ;[Nle8,21,Tyr34]−副甲状腺ホルモン1−34アミド,ラット;副甲状腺ホルモン44−68,ヒト;副甲状腺ホルモン1−34,ウシ;副甲状腺ホルモン3−34,ウシ;副甲状腺ホルモン1−31アミド,ヒト;副甲状腺ホルモン1−34,ヒト;副甲状腺ホルモン13−34,ヒト;副甲状腺ホルモン1−34,ラット;副甲状腺ホルモン1−38,ヒト;副甲状腺ホルモン1−44,ヒト;副甲状腺ホルモン28−48,ヒト;副甲状腺ホルモン39−68,ヒト;副甲状腺ホルモン39−84,ヒト;副甲状腺ホルモン53−84,ヒト;副甲状腺ホルモン69−84,ヒト;副甲状腺ホルモン70−84,ヒト;[Pro34]−ペプチドYY(PYY),ヒト;[Tyr]−悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症因子1−40;[Tyr]−副甲状腺ホルモン1−44,ヒト;[Tyr]−副甲状腺ホルモン1−34,ヒト;[Tyr]−副甲状腺ホルモン1−34,ヒト;[Tyr27]−副甲状腺ホルモン27−48,ヒト;[Tyr34]−副甲状腺ホルモン7−34アミド,ウシ;[Tyr43]−副甲状腺ホルモン43−68,ヒト;[Tyr52,Asn76]−副甲状腺ホルモン52−84,ヒト;及び[Tyr63]−副甲状腺ホルモン63−84,ヒトが挙げられる。
【0147】
副甲状腺ホルモン(PTH)関連ペプチドとしては、限定されないが、PTHrP([Tyr36]−PTHrP1−36アミド),ニワトリ;hHCF−(1−34)−NH2(体液性高カルシウム血症因子),ヒト;PTH関連蛋白質1−34,ヒト;ビオチニル−PTH関連蛋白質1−34,ヒト;[Tyr]−PTH関連蛋白質1−34,ヒト;[Tyr34]−PTH関連蛋白質1−34アミド,ヒト;PTH関連蛋白質1−37,ヒト;PTH関連蛋白質7−34アミド,ヒト;PTH関連蛋白質38−64アミド,ヒト;PTH関連蛋白質67−86アミド,ヒト;PTH関連蛋白質107−111,ヒト,ラット,マウス;PTH関連蛋白質107−111遊離酸;PTH関連蛋白質107−138,ヒト;及びPTH関連蛋白質109−111,ヒトが挙げられる。
【0148】
ペプチドTペプチドとしては、限定されないが、ペプチドT;[D−Ala]−ペプチドT;及び[D−Ala]−ペプチドTアミドが挙げられる。
【0149】
プロラクチン放出ペプチドとしては、限定されないが、プロラクチン放出ペプチド31,ヒト;プロラクチン放出ペプチド20,ヒト;プロラクチン放出ペプチド31,ラット;プロラクチン放出ペプチド20,ラット;プロラクチン放出ペプチド31,ウシ;及びプロラクチン放出ペプチド20,ウシが挙げられる。
【0150】
ペプチドYY(PYY)ペプチドとしては、限定されないが、PYY,ヒト;PYY3−36,ヒト;ビオチニル−PYY,ヒト;PYY,ブタ,ラット;及び[Leu31,Pro34]−PYY,ヒトが挙げられる。
【0151】
レニン基質ペプチドとしては、限定されないが、アセチル,アンギオテンシノーゲン1−14,ヒト;アンギオテンシノーゲン1−14,ブタ;レニン基質テトラデカペプチド,ラット;[Cys]−レニン基質テトラデカペプチド,ラット;[Leu]−レニン基質テトラデカペプチド,ラット;及び[Val]−レニン基質テトラデカペプチド,ラットが挙げられる。
【0152】
セクレチンペプチドとしては、限定されないが、セクレチン,イヌ;セクレチン,ニワトリ;セクレチン,ヒト;ビオチニル−セクレチン,ヒト;セクレチン,ブタ;及びセクレチン,ラットが挙げられる。
【0153】
ソマトスタチン(GIF)ペプチドとしては、限定されないが、BIM−23027;ビオチニル−ソマトスタチン;ビオチン化コルチスタチン17,ヒト;コルチスタチン14,ラット;コルチスタチン17,ヒト;[Tyr]−コルチスタチン17,ヒト;コルチスタチン29,ラット;[D−Trp]−ソマトスタチン;[DTrp,DCys14]−ソマトスタチン;[DTrp,Tyr11]−ソマトスタチン;[D−Trp11]−ソマトスタチン;NTB(ナルトリベン);[Nle]−ソマトスタチン1−28;オクトレオチド(SMS201−995);プロソマトスタチン1−32,ブタ;[Tyr]−ソマトスタチン;[Tyr]−ソマトスタチン;[Tyr]−ソマトスタチン28(1−14);[Tyr11]−ソマトスタチン;[Tyr,D−Trp]−ソマトスタチン;ソマトスタチン;ソマトスタチンアンタゴニスト;ソマトスタチン−25;ソマトスタチン−28;ソマトスタチン28(1−12);ビオチニル−ソマトスタチン−28;[Tyr]−ソマトスタチン−28;[Leu,D−Trp22,Tyr25]−ソマトスタチン−28;ビオチニル−[Leu,D−Trp22,Tyr25]−ソマトスタチン−28;ソマトスタチン−28(1−14);及びソマトスタチン類似体,RC−160が挙げられる。
【0154】
サブスタンスPペプチドとしては、限定されないが、G蛋白質アンタゴニスト−2;Ac−[Arg,Sar,Met(02)11]−サブスタンスP6−11;[Arg]−サブスタンスP;Ac−Trp−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルエステル;Ac−[Arg,Sar,Met(O2)11]−サブスタンスP6−11;[D−Ala]−サブスタンスP4−11;[Tyr,D−Phe,D−His]−サブスタンスP6−11(センジド);ビオチニル−サブスタンスP;ビオチニル−NTE[Arg]−サブスタンスP;[Tyr]−サブスタンスP;[Sar,Met(O2)11]−サブスタンスP;[D−Pro,D−Trp7,9]−サブスタンスP;[D−Pro,0−Trp7,9]−サブスタンスP4−11;サブスタンスP4−11;[DTrp2,7,9]−サブスタンスP;[(デヒドロ)Pro2,4,Pro]−サブスタンスP;[デヒドロ−Pro]−サブスタンスP4−11;[Glp,(Me)Phe,Sar]−サブスタンスP5−11;[Glp,Sar]−サブスタンスP5−11;[GIp]−サブスタンスP5−11;ヘプタ−サブスタンスP(サブスタンスP5−11);ヘキサ−サブスタンスP(サブスタンスP6−11);[MePhe,Sar]−サブスタンスP;[Nle11]−サブスタンスP;オクタ−サブスタンスP(サブスタンスP4−11);[pGlu]−ヘキサ−サブスタンスP([pGlu]−サブスタンスP6−11);[pGlu,D−Pro]−サブスタンスP6−11;[(pNC2)PheNle11]−サブスタンスP;ペンタ−サブスタンスP(サブスタンスP7−11);[Pro]−サブスタンスP;GR73632,サブスタンスP7−11;[Sar]−サブスタンスP4−11;[Sar]−サブスタンスP;セプチド([pGlu,Pro]−サブスタンスP6−11);スパンチドI;スパンチドII;サブスタンスP;サブスタンスP,タラ;サブスタンスP,マス;サブスタンスPアンタゴニスト;サブスタンスP−Gly−Lys−Arg;サブスタンスP1−4;サブスタンスP1−6;サブスタンスP1−7;サブスタンスP1−9;デカ−サブスタンスP(サブスタンスP2−11);ノナ−サブスタンスP(サブスタンスP3−11);サブスタンスPテトラペプチド(サブスタンスP8−11);サブスタンスPトリペプチド(サブスタンスP9−11);サブスタンスP,遊離酸;サブスタンスPメチルエステル;及び[Tyr,Nle11]サブスタンスPが挙げられる。
【0155】
タキキニンペプチドとしては、限定されないが、[Ala,β−Ala]ニューロキニンA4−10;エレドイシン;ロクスタタキキニンI(Lom−TK−I)(トノサマバッタ,Locusta migratoria);ロクスタタキキニンII(Lom−TK−II)(トノサマバッタ,Locusta migratoria);ニューロキニンA4−10;ニューロキニンA(ニューロメジンL,サブスタンスK);ニューロキニンA,タラ及びマス;ビオチニル−ニューロキニンA(ビオチニル−ニューロメジンL,ビオチニル−サブスタンスK);[Tyr]−ニューロキニンA;[Tyr]−サブスタンスK;FR64349;[Lys,Gly−(R)−γ−ラクタム−Leu]−ニューロキニンA3−10;GR83074;GR87389;GR94800;[β−Ala]−ニューロキニンA4−10;[Nle10]−ニューロキニンA4−10;[Trp,β−Ala]−ニューロキニンA4−10;ニューロキニンB(ニューロメジンK);ビオチニル−ニューロキニンB(ビオチニル−ニューロメジンK);[MePhe]−ニューロキニンB;[Pro]−ニューロキニンB;[Tyr]−ニューロキニンB;ニューロメジンB,ブタ;ビオチニル−ニューロメジンB,ブタ;ニューロメジンB−30,ブタ;ニューロメジンB−32,ブタ;ニューロメジンB受容体アンタゴニスト;ニューロメジンC,ブタ;ニューロメジンN,ブタ;ニューロメジン(U−8),ブタ;ニューロメジン(U−25),ブタ;ニューロメジンU,ラット;神経ペプチド−γ(γ−プレプロタキキニン72−92);PG−KII;フィロリトリン;[Leu]−フィロリトリン(ソバージュネコメガエル,Phyllomedusa sauvagei);フィサラエミン;フィサラエミン1−11;シリオリニンII,アミド,サメ;センクチド,選択的ニューロキニンB受容体ペプチド;[Ser]−ニューロメジンC;β−プレプロタキキニン69−91,ヒト;β−プレプロタキキニン111−129,ヒト;タキプレシンI;キセノプシン;及びキセノプシン25(キセニン25),ヒトが挙げられる。
【0156】
チロトロピン放出ホルモン(TRH)ペプチドとしては、限定されないが、ビオチニル−チロトロピン放出ホルモン;[Glu]−TRH;His−Pro−ジケトピペラジン;[3−Me−His]−TRH;pGlu−Gln−Pro−アミド;pGlu−His;[Phe]−TRH;プレプロTRH53−74;プレプロTRH83−106;プレプロTRH160−169(Ps4,TRH増強ペプチド);プレプロTRH178−199;チロトロピン放出ホルモン(TRH);TRH,遊離酸;TRH−SH Pro;及びTRH前駆体ペプチドが挙げられる。
【0157】
トキシンペプチドとしては、限定されないが、ω−アガトキシンTK;アゲレニン,(クモ,Agelena opulenta);アパミン(ミツバチ,Apis mellifera);カルシクルジン(CaC)(グリーンマンバ,Dedroaspis angusticeps);カルシセプチン(ブラックマンバ,Dendroaspis polylepis polylepis);チャリブドトキシン(ChTX)(サソリ,Leiurus quinquestriatus var.hebraeus);クロロトキシン;コノトキシンGI(アンボイナガイ,Conus geographus);コノトキシンGS(アンボイナガイ,Conus geographus);コノトキシンMI(ヤキイモガイ,Marine Conus magus);α−コノトキシンEI,フトベッコウイモガイ(Conus ermineus);α−コノトキシンSIA;α−コノトキシンImI;α−コノトキシンSI(ニシキミナシガイ,Conus striatus);ミクロコノトキシンGIIIB(アンボイナガイ,Conus geographus);ω−コノトキシンGVIA(アンボイナガイ,Conus geographus);ω−コノトキシンMVIIA(ヤキイモガイ,Conus magus);ω−コノトキシンMVIIC(ヤキイモガイ,Conus magus);ω−コノトキシンSVIB(ニシキミナシガイ,Conus striatus);内毒素阻害剤;ジオグラフトキシンI(GTX−I)(μ−コノトキシンGIIIA);イベリオトキシン(IbTX)(サソリ,Buthus tamulus);カリオトキシン1−37;カリオトキシン(サソリ,Androct−onus mauretanicus mauretanicus);肥満細胞脱顆粒ペプチド(MCD−ペプチド,ペプチド401);マルガトキシン(MgTX)(サソリ,Centruriodes Margaritatus);ニューロトキシンNSTX−3(パプアニューギニア産クモ,Nephilia maculata);PLTX−II(クモ,Plectreurys tristes);スキラトキシン(レイウロトキシンI);及びイソギンチャク毒素(ShK);ジフテリアトキシン;リシンA;緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素Aが挙げられる。
【0158】
イムノトキシンは標的細胞の表面に担持された分子又は分子群に対する(ポリクローナル又はモノクローナル)抗体により除去したい細胞に毒素を特異的に標的送達するホーミングシステムとして作用する抗体に共有結合した毒素から構成される。限定されないが、上記のもの等の毒素をこのために使用することができる。本特許出願明細書に記載する発明はこのようなイムノトキシンを結腸に送達するために使用することができる。場合により、選択細胞群に毒素を標的送達するように同様に作用する小分子を抗体に代用してもよい。
【0159】
血管作動性腸管ペプチド(VIP/PHI)としては、限定されないが、VIP,ヒト,ブタ,ラット,ヒツジ;VIP−Gly−Lys−Arg−NH2;ビオチニル−PHI(ビオチニル−PHI−27),ブタ;[Glp16]VIP16−28,ブタ;PHI(PHI−27),ブタ;PHI(PHI−27),ラット;PHM−27(PHI),ヒト;プレプロVIP81−122,ヒト;プレプロVIP/PHM111−122;プレプロVIP/PHM156−170;ビオチニル−PHM−27(ビオチニル−PHI),ヒト;血管作動性腸管収縮剤(エンドセリン−β);血管作動性腸管オクタコサペプチド,ニワトリ;血管作動性腸管ペプチド,モルモット;ビオチニル−VIP,ヒト,ブタ,ラット;血管作動性腸管ペプチド1−12,ヒト,ブタ,ラット;血管作動性腸管ペプチド10−28,ヒト,ブタ,ラット;血管作動性腸管ペプチド11−28,ヒト,ブタ,ラット,ヒツジ;血管作動性腸管ペプチド(タラ,Gadus morhua);血管作動性腸管ペプチド6−28;血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト([Ac−Tyr,D−Phe]−GHRF1−29アミド);血管作動性腸管ペプチド受容体アンタゴニスト(4−Cl−D−Phe,Leu17]−VIP);及び血管作動性腸管ペプチド受容体結合阻害剤,L−8−Kが挙げられる。
【0160】
バソプレッシン(ADH)ペプチドとしては、限定されないが、バソプレッシン;[Asu1,6,Arg]−バソプレッシン;バソトシン;[Asu1,6,Arg]−バソトシン;[Lys]−バソプレッシン;プレッシン酸;[Arg]−デアミノバソプレッシンデグリシンアミド;[Arg]−バソプレッシン(AVP);[Arg]−バソプレッシンデグリシンアミド;ビオチニル−[Arg]−バソプレッシン(ビオチニル−AVP);[D−Arg]−バソプレッシン;デアミノ−[Arg]−バソプレッシン;デアミノ−[D−Arg]−バソプレッシン(DDAVP);[デアミノ−[D−3−(3’−ピリジル−Ala)]−[Arg]−バソプレッシン;[1−(β−メルカプト−β,β−シクロペンタメチレンプロピオン酸),2−(O−メチル)チロシン]−[Arg]−バソプレッシン;バソプレッシン代謝産物神経ペプチド[pGlu,Cys];バソプレッシン代謝産物神経ペプチド[pGlu,Cys];[Lys]−デアミノバソプレッシンデグリシンアミド;[Lys]−バソプレッシン;[Mpr,Val,DArg]−バソプレッシン;[Phe,Ile,Orn]−バソプレッシン([Phe,Orn]−バソトシン);[Arg]−バソトシン;及び[d(CH2)5,Tyr(Me),Orn]−バソトシンが挙げられる。
【0161】
ウイルス関連ペプチドとしては、限定されないが、ヒトCMVプロテアーゼ蛍光基質;HCVコア蛋白質59−68;HCV NS4A蛋白質18−40(JT株);HCV NS4A蛋白質21−34(JT株);B型肝炎ウイルス受容体結合フラグメント;B型肝炎ウイルスプレS領域120−145;[Ala127]−B型肝炎ウイルスプレS領域120−131;ヘルペスウイルス阻害剤2;HIVエンベロープ蛋白質フラグメント254−274;HIV gagフラグメント129−135;HIV基質;P18ペプチド;ペプチドT;[3,5ジヨード−Tyr]ペプチドT;R15K HIV−1阻害ペプチド;T20;T21;V3デカペプチドP18−110;及びウイルス複製阻害ペプチドが挙げられる。
【0162】
Wntファミリーの蛋白質とそのフラグメント。
【0163】
以上、各種ポリペプチドのある種の類似体、フラグメント及び/又は類似体フラグメントについて記載したが、当然のことながら、特定ポリペプチドの活性の全部又は一部を保持する又はアンタゴニストとして作用することによりその作用を妨げる他の類似体、フラグメント及び/又は類似体フラグメントも本発明の態様で有用な場合もある。当業者に自明の通り、種々の方法により類似体を得ることができる。例えば、構造(例えば抗体の抗原結合領域や基質分子上の結合部位)との相互作用性結合能をさほど低下させずに所定のアミノ酸をポリペプチドの他のアミノ酸に置換することができる。ポリペプチド薬剤の相互作用の能力と性質はその生物学的機能活性を決定するので、ポリペプチドに同様の性質を維持しながら又は天然産物の作用を妨害ないし阻止するアンタゴニスト活性をこの類似体に付与しながら、アミノ酸配列に所定のアミノ酸配列置換を行うことができる。更に、ペプチドミメティックスであるか否か、天然であるか合成であるかを問わずに、小分子を上記蛋白質又はペブチドに置換してもよく、それらの受容体と結合することにより同様の活性が得られる。逆に、非限定的な例としてそれらのコグネイト受容体との相互作用を阻止する等の各種メカニズムにより、このような小分子は上記蛋白質及びペブチドの活性を阻害ないし妨害することもできる。更に、上記蛋白質の多くはシグナル伝達経路の開始剤として作用する。本発明の1態様はこれらのシグナル伝達経路の活性化剤又は阻害剤としての化学分子(ペブチド、ペブチドミメティックス、又は任意化学種の他の任意天然もしくは合成分子)の使用である。このストラテジーの例としては、ノッチシグナル伝達経路を阻害するためのγ−セクレターゼの使用や、Wnt−β−カテニン経路を阻害するためのβ−カテニンとTcf転写因子の相互作用の阻害剤の使用が挙げられ、どちらの経路も結腸直腸癌に関与している。
【0164】
g)オリゴヌクレオチド剤
活性物質は遺伝子治療や結腸癌等の癌の治療を含む予防、緩和又は治療目的に有用なオリゴリボヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド及びその誘導体等のオリゴヌクレオチドの形態でもよい。
【0165】
オリゴヌクレオチドはヌクレオチドと通称される反復単位のポリマーである。未修飾の(天然に存在する)ヌクレオチドは、(1)窒素含有複素環塩基と、(2)前記複素環とその窒素原子の1個により結合している5−ペントフラノシル糖と、(3)前記糖の5’又は3’炭素原子の1個にエステル化されたリン酸の3成分から成る。第1のヌクレオチドのリン酸は、オリゴヌクレオチド鎖に組込まれると、3’−5’リン酸結合により第2の隣接ヌクレオチドの隣接糖にもエステル化される。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に更にリン酸が共有結合しているヌクレオシドである。オリゴヌクレオチドを形成する際に、リン酸基は隣接ヌクレオシドと相互に共有結合し、線状ポリマー化合物を形成する。この線状ポリマー構造の夫々の末端を更に連結し、環状構造を形成することができるが、本発明の関連では、開環線状構造が一般に好ましい。
【0166】
オリゴヌクレオチドは特定核酸との特異的ハイブリド形成を行うために十分な種類と数のヌクレオチド配列を含むことができる。遺伝子のセンス鎖の一部と特異的にハイブリド形成するこのようなオリゴヌクレオチドを一般に「アンチセンス」と言う。本発明の関連では、「ハイブリド形成」とは相補的ヌクレオチド間の水素結合を意味し、ワトソン・クリック型、フーグスティーン型又は逆フーグスティーン型水素結合のいずれでもよい。例えば、アデニンとチミンは水素結合の形成により対合する相補的ヌクレオ塩基である。本明細書で使用する「相補的」とは、2個のヌクレオチドが正しく対合できることを意味する。例えば、オリゴヌクレオチドの所定位置のヌクレオチドがDNA又はRNA分子の同一位置のヌクレオチドと水素結合可能な場合に、オリゴヌクレオチドとDNA又はRNAとはこの位置で相互に相補的であるとみなす。オリゴヌクレオチドとDNA又はRNAは各分子の十分な数の対応位置が相互に水素結合することができるヌクレオチドにより占有されている場合に相互に相補的である。
【0167】
「オリゴヌクレオチド」なる用語はリボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)又はそのミメティックスのオリゴマー又はポリマーを意味する。この用語は天然ヌクレオ塩基、糖及び糖(主鎖)間の共有結合から構成されるオリゴヌクレオチドと、同様に機能する非天然部分をもつオリゴヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチドは1本鎖でも2本鎖でもよい。一般に、本発明の組成物に配合されるオリゴヌクレオチドは約8〜約100ヌクレオチド長、より好ましくは約10〜約50ヌクレオチド長、最も好ましくは約10〜約25ヌクレオチド長とすることができる。
【0168】
本発明の組成物に配合されるオリゴヌクレオチドとしてはアンチセンス化合物と他の生物活性オリゴヌクレオチドが挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドと所定の望ましい修飾についてはDe Mesmaekerら(Acc.Chem.Res.,1995,28,366)に記載されている。
【0169】
本発明で使用するアンチセンス化合物としては、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスペプチド核酸(PNA)、短鎖干渉性RNA、ショートヘアピンRNA、リボザイム及び外部ガイド配列(EGS)が挙げられる。メッセンジャーRNA(mRNA)のアンチセンス調節において、アンチセンス化合物とそのmRNA標的とのハイブリド形成はmRNAの正常な役割に干渉し、細胞におけるその機能の調節を生じる。干渉すべきmRNAの機能としては、蛋白質翻訳部位へのRNAの転位、RNAから蛋白質の実際の翻訳、1個以上のmRNA種を生じるためのRNAのスプライシング、mRNAの回転率又は分解、及び場合によりRNAが関与し得る独立した触媒活性等の全生体機能が挙げられる。mRNA機能に対するこのような干渉の総合効果が蛋白質の発現の調節であり、ここで「調節」とは蛋白質の発現の増加(刺激)又は減少(阻害)を意味する。本発明の関連では、阻害が遺伝子発現の好ましい調節形態である。
【0170】
アンチセンス化合物は種々の方法でその効果を発揮することができる。このような方法の1例は真核生物のRNase Hや原核生物のRNase P等の内在ヌクレアーゼをアンチセンスにより標的核酸に誘導する方法である(Chiangら,J.Biol.Chem.,1991,266,18162;Forsterら,Science,1990,249,783)。
【0171】
RNase Pを動員する配列は外部ガイド配列(External Guide Sequences)、従って、略称で「EGS」と呼ばれる(Guerrier−Takadaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1997,94,8468)。別の方法は内在ヌクレアーゼの動員に依存するのではなく、アンチセンス配列をもつオリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ活性をもつ合成部分を共有結合する方法である。ヌクレアーゼ活性をもつ合成部分としては限定されないが、酵素RNA、ランタニドイオン錯体等が挙げられる(Haseloffら,Nature,1988,334,585;Bakerら,J.Am.Chem.Soc,1997,119,8749)。
【0172】
本明細書で使用する「アンチセンス化合物」なる用語は高度に特異的なエンドリボヌクレアーゼ反応を触媒するリボザイム、合成RNA分子及びその誘導体も意味する(一般に米国特許第5,543,508号(発明者Haseloffら)及び米国特許第5,545,729号(発明者Goodchildら)参照)。
【0173】
更に、「アンチセンス化合物」なる用語はRNA干渉メカニズムにより遺伝子発現の調節をもたらすRNA(又はこのようなRNAをコードするDNA)も意味する。このような分子としては限定されないが、その末端のいずれかに他の化学分子(天然又は修飾デオキシリボヌクレオチドを含む)を付加した50塩基対未満、一般には21又は29ヌクレオチド長の2本鎖RNAから構成される短鎖干渉性RNAと、RNA干渉により作用するショートヘアピンRNA(又はそのインビトロもしくはインビボ産生を行う任意種類のプラスミド及びウイルスを含むDNA分子)が挙げられる。この用語は更に細胞にRNA干渉を生じる1本鎖又は2本鎖の任意DNA又はRNA分子も意味する。
【0174】
本発明の組成物に配合されるアンチセンス化合物は、(1)約8〜約100ヌクレオチド長、より好ましくは約10〜約30ヌクレオチド長とすることができ、(2)1本鎖でも2本鎖でもよく、(3)ヒトを含む哺乳動物に由来する遺伝子の発現に必要な核酸配列に標的送達され、(4)標的遺伝子を発現する細胞と接触すると、その発現を調節する。標的遺伝子によりコードされる遺伝子産物の生物学的活性により、その発現の調節は特定の予防、緩和及び/又は治療効果を提供する望ましい結果を生じる。
【0175】
当分野で自明の通り、オリゴヌクレオチド又は他のアンチセンス化合物のヌクレオ塩基配列は特異的にハイブリド形成すべきその標的核酸配列に対して100%相補的である必要はない。特異的結合が所望される条件下、即ちインビボアッセイ又は治療処置の場合には生理的条件下又はインビトロアッセイの場合にはアッセイ条件下において、オリゴヌクレオチドと非標的配列の非特異的結合を避けるために十分な程度の相補性が存在するときにアンチセンス化合物はその非標的核酸と特異的にハイブリド形成可能である。
【0176】
他の生物活性オリゴヌクレオチドとしてはアプタマーと分子デコイが挙げられる。本明細書で使用するこの用語は(1)予防、緩和又は治療を必要とする動物に予防、緩和又は治療効果を提供し、(2)非アンチセンスメカニズム、即ち核酸とのハイブリド形成以外の何らかの方法により作用するオリゴヌクレオチド(ペプチド核酸又はPNAを含む)のいずれもを意味する。
【0177】
アプタマーなる名称はペプチド、蛋白質及び小分子(例えば薬剤や色素)等の非核酸リガンドに適合し、従って、有意な特異性で結合する核酸分子を表すものとしてEllingtonら(Nature,1990,346,818)により命名された。これらの特異的なリガンド結合特性により、アプタマーとして分類することができる核酸とオリゴヌクレオチドはリガンドを固定化したカラムを使用するアフィニティークロマトグラフィーにより容易に精製又は単離することができる。アプタマーは比較的短い核酸から数百ヌクレオチドの核酸とすることができる。例えば、チバクロンブルーやリアクティブブルー4等の色素と良好な選択性で結合する155ヌクレオチド長のRNAアプタマーが報告されている(Ellingtonら,Nature,1990,346,818)。本来はRNA分子をアプタマーと称したが、本発明で使用するこの用語は小分子リガンドに対して特異的結合を示すいずれもの核酸又はオリゴヌクレオチドを意味し、限定されないが、DNA、RNA、DNA誘導体及びコンジュゲート、RNA誘導体及びコンジュゲート、修飾オリゴヌクレオチド、キメラオリゴヌクレオチド並びにギャップマーが挙げられる(例えば参照により本明細書に組み込む米国特許第5,523,3B9号(発明者Eckerら、発行日1996年6月4日)参照)。
【0178】
分子デコイは蛋白質等の因子が結合する核酸上の部位に似た短い2本鎖核酸(それ自体に「折り畳み返される」ように設計された1本鎖核酸も含む)である。このようなデコイは前記因子を競合的に阻害すると予想され、即ち、因子分子は過剰のデコイと結合するので、デコイに対応する細胞部位に結合した因子濃度は増加し、その結果として治療、緩和又は予防効果が得られる。デコイ分子の同定及び作製方法は例えば米国特許第5,716,780号(発明者Edwardsら)に記載されている。
【0179】
別の型の生物活性オリゴヌクレオチドは内在核酸の遺伝子変換を誘導することが可能なRNA−DNAハイブリッド分子である(Cole−Straussら,Science,1996,273,1386)。
【0180】
好ましい修飾オリゴヌクレオチド主鎖としては、例えば正常な3’−5’結合をもつホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート(3’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む)、ホスフィネート、ホスホロアミデート(3’−アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデートを含む)、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル並びにボラノホスフェートが挙げられ、更にこれらの2’−5’結合類似体や、ヌクレオシド単位の隣接対の結合が3’−5’から5’−3’又は2’−5’から5’−2’となった逆極性のものも挙げられる。各種塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
【0181】
上記生物活性オリゴヌクレオチドのいずれかを本発明の薬剤送達システムに配合し、予防又は治療目的に使用することができる。オリゴヌクレオチドは例えばリポプレックス等のカチオン性脂質やポリプレックス等のカチオン性ポリマーとの錯形成により安定化することができる。
【0182】
h)診断剤
医用画像処理は体内臓器又はプロセスの非侵襲的又は非外科的可視化である。代表的な診断法としては、X線、磁気共鳴画像法(MRI)、放射性核種又は核医学及び超音波が挙げられる。
【0183】
放射性核種は粒子線又は電磁波としてエネルギー放出により過剰なエネルギー(親)を放出して安定(娘)になることにより崩壊する核種である。蛍光透視法は、テレビカメラにより撮像されるγ線又はX線を検出し、PCTA等の造影剤を使用することにより運動中の臓器のリアルタイム画像を提供する蛍光スクリーンである。CAT(コンピューター体軸断層撮影法:Computed axial tomography)は組織放射線密度の小差を利用して画像を形成する。結腸はバリウム浣腸の低GI系列を使用して撮像し、大腸結腸及び直腸の放射線検査を実施することが多い。
【0184】
テクネチウムが一般的な放射性ラベルである。他の放射性標識化合物としてはヨウ素放射性ラベル(例えば硫酸ヨーベングアン131I、ナトリウム123ヨウ素、ナトリウム131ヨウ素)及びインジウムラベル(例えば111In放射性ラベル、塩化インジウム及びインジウムサツモマブペンデチド)が挙げられる。造影剤としてはフェルモキシド及び樹木状ガドリニウム等の鉄含有造影剤が挙げられる。
【0185】
本発明は、画像処理技術のいずれかにより構造、病変部、規定細胞表面をもつ細胞又は細胞内分子の可視化を可能又は容易にする物質を結腸に送達するために使用することができ、このような技術としては限定されないが、放射線撮影法、放射線断層撮影法、磁気共鳴撮影法(MRI)、超音波、ポジトロン断層撮影法(PETスキャン)、又は任意波長の放射線磁気波を使用する他の任意形態の画像処理技術が挙げられる。例えば、結腸癌細胞の細胞表面構造を認識する小分子又は抗体を99テクネチウム等の放射性核種で標識し、腫瘍細胞及び微小転移を含む各種寸法の転移を検出するために使用することがてきる。
【0186】
II.ペクチンビーズの作製方法
ペクチンビーズは、活性物質をペクチン溶液に混合し、例えば酢酸亜鉛溶液形態の二価亜鉛等の二価カチオンでペクチンアニオン性部分をゲル化させる等の当業者に公知の方法を使用して、作製することができる。
【0187】
ゲル化は、一般に、活性物質(1態様ではβラクタマーゼL1)とペクチンの溶液、懸濁液又は分散液とを撹拌し、必要に応じて溶液のpHを調整し、この溶液を酢酸亜鉛溶液に撹拌下に滴下することにより実施される。活性物質が他の金属イオンにより悪影響を受けないある態様において、亜鉛以外の二価又は三価金属イオンを使用することができる。
【0188】
ペクチン溶液を酢酸亜鉛溶液に滴下するのに適した技術は当業者に知られており、Nisco Engineering AG社の製品であるマルチノズルシステムや、ペクチン溶液から液滴を形成するための他の該当技術が挙げられる。
【0189】
ペクチン液滴は封入収率とその後の放出効率が最良になるように予め決定された時間にわたってゲル化工程に付すのが理想的である。
【0190】
ペクチン溶液の濃度は約4から約10%(w/v)、好ましくは約4から約7%とすると有利であり、酢酸亜鉛等の金属カチオン溶液は約2から約20%(w/v)、好ましくは約5から約15%とすると有利である。ペクチン溶液は約5%(w/v)、酢酸亜鉛溶液は約12%(w/v)とするとより好ましい。
【0191】
ペクチンビーズを室温でpH約6の酢酸亜鉛等の金属カチオン溶液中にて少なくとも約12分間から約20時間まで、好ましくは約20分間から約2時間低速で撹拌すると有利である。
【0192】
その後、ビーズを再び採取し、理想的には洗浄溶液の導電率が平坦域に達するまで蒸留水で洗浄する。洗浄は洗浄溶液中に回収される残留酢酸亜鉛量を最小にするように少なくとも2回又は連続工程で実施することが好ましい。
【0193】
次に洗浄されたビーズを採取し、加熱式保温器又は流動層技術等の当業者に公知の方法を使用して乾燥工程に付すことができる。
【0194】
ビーズは一般に約20〜約40℃の温度で約30分間から約24時間、好ましくは約35℃で一晩乾燥する。ビーズの重量が平坦域に達するまで乾燥を行うことが好ましい。
【0195】
適切な内径の針を使用して粒子の直径を微調整し、酢酸亜鉛溶液に加えるペクチン液滴を形成することができる。ビーズは直径約600から1500μmとすると好ましい。
【0196】
活性物質がβラクタマーゼL1であるとき、酵素活性として測定した封入収率は一般に50から100%である。
【0197】
III.ペクチンビーズを含む薬剤送達システムの形成
ペクチンビーズを採取し、適当な賦形剤を添加し、各種経口薬剤送達システムに製剤化することができる。例えば、ビーズに固体賦形剤を添加し、錠剤化又はカプセル化することができる。
【0198】
ペクチンビーズに、ペクチンビーズを分解しない液体/ゲル状賦形剤を添加し、混合物/分散液をゲルキャップ等のカプセルに封入することもできる。
【0199】
錠剤又はカプセル剤は所望により、分解せずに胃を通過し易くする腸溶性被覆を施すことができる。胃内のpHは1〜3程度であるが、小腸と直腸で上昇し、7に近い値となる(Hovgaard L.ら(1996)Current Applications of Polysaccharides in Colon Targeting,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,13,185)。酸性pHで不溶性であるが、中性又はアルカリ性pHで可溶性のpH依存性ポリマーを被覆することにより、錠剤、ゼラチンカプセル、スフェロイド等の形態の薬剤送達システムはこれらのpH変動を受けずに結腸に達することができる(Kingetら,前出)。この目的に最も一般に使用されているポリマーはメタクリル酸誘導体であるオイドラギット(登録商標)L及びSであり(Ashford M.ら(1993),An in vivo investigation of the suitability of pH−dependent polymers for colonic targeting,International Journal of Pharmaceutics,95,193及び95,241;並びにDavid A.ら(1997)Acrylic polymers for colon−specific drug delivery,S.T.P.Pharma Sciences,7,546)、更に最近ではオイドラギット(登録商標)FSも使用されている。
【0200】
この薬剤送達システムは、化合物を投与する対象である疾患の十分な程度の治療又は予防を提供するのに適した有効量が投与される。これらの化合物の有効量は一般に相当の副作用を誘発するために必要な閾値濃度を下回る。化合物は疾患を多少なりとも治療し、所定の副作用を回避する治療ウィンドウ内で投与することができる。本明細書に記載する化合物の有効用量は結腸で所望の効果を提供するために十分であるが、体内の他の箇所に望ましくない副作用を生じるには不十分である(即ち十分高いレベルでない)ことが理想的である。
【0201】
有効用量は、非常に低濃度において、最小の副作用で最大の効果の発生が認められることが最も好ましく、有効用量は活性物質の標的直腸送達により最適化される。上記有効用量は一般に単回投与量又は24時間の間に1回以上投与した場合の投与量に相当する。
【0202】
IV.本明細書に記載する薬剤送達システムを使用した治療方法
本明細書に記載する薬剤送達システムは直腸送達が適切である型の病態及び疾患を治療するために使用することができる。1態様において、これらの疾患は抗生物質と結腸の接触(例えば下痢)、共生細菌叢の変動及び抗生物質に対する細菌耐性の発生に起因する疾患である。本態様において、この薬剤送達システムは抗生物質を不活性化する物質を含み、活性成分は1又は数種の抗生物質を既に投与されている患者、現在投与中の患者又は将来投与される患者に治療有効用量を投与することができる。
【0203】
金属依存性酵素が抗生物質を不活性化する酵素以外のものである場合には、このような酵素はこのような酵素により治療される特定疾患を治療するために投与することができる。
【0204】
別の態様において、薬剤送達システムは結腸癌患者に投与される。本態様において、薬剤送達システムは1種以上の抗腫瘍剤を含み、これらのシステムは結腸癌患者に治療有効用量を投与される。あるいは、癌は体内の別の場所に存在するものでもよく、薬剤送達システムは抗腫瘍剤が胃を通って分解しないようにし、筋肉内又は静脈内投与する必要をなくすために使用することができる。
【0205】
別の態様において、薬剤送達システムはクローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、下痢又は便秘等の結腸疾患患者に投与される。本態様において、薬剤送達システムはこれらの疾患を治療又は予防する物質を含み、これらのシステムはこのような疾患の患者に治療有効用量を投与することができる。
【0206】
更に別の態様において、薬剤送達システムは活性物質が消化されずに胃を通過するように、ペプチドもしくは蛋白質系活性物質(例えばインスリン、抗体等)又はオリゴヌクレオチド系治療薬(例えばアンチセンス又はRNA干渉療法)を投与するために使用される。本態様において、薬剤送達システムはこれらの蛋白質/ペプチド/オリゴヌクレオチド系薬剤を含み、これらのシステムは皮下又は静脈内注射によりこれらの薬剤を投与する必要なしに、これらの薬剤による治療を必要とする患者に治療有効用量を投与することができる。
【0207】
別の態様において、薬剤送達システムは診断剤を結腸に投与するために使用される。本態様において、薬剤送達システムは造影剤等の診断剤を含み、これらのシステムは結腸疾患診断用の診断アッセイを受ける患者に診断有効用量を投与される。
【0208】
本発明は以下の非限定的な実施例を参照することにより更に理解されよう。
【実施例1】
【0209】
βラクタマーゼL1の高感度で定量的な特異的アッセイの開発
ニトロセフィンの加水分解はペニシリナーゼ活性を定量するために使用される周知技術である。しかし、通常フォーマットは単一試験管で実施され、多数のサンプルの分析には適していない。本実施例は96ウェルマイクロプレートフォーマットにおけるこのアッセイの開発と定量目的の適応について記載する。
【0210】
ニトロセフィン乾燥粉末を10mMの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解することによりニトロセフィンのストック溶液を得た。このストック溶液を−20℃で保存し、使用直前に0.1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)を加えた50mMリン酸緩衝液(Hepes緩衝液)pH7.0で100倍に希釈した。緩衝液選択を表Iに記載する。
【0211】
被分析溶液20μlをニトロセフィン希釈液180μlに加えた。Multiskan Ascent(Thermo Labsystems)プレートリーダーを使用して30秒毎に492nmの吸光度を測定することによりニトロセフィン加水分解の反応状況を37℃で追跡した。
【0212】
Excel Adds In Cellula(Prism Technologies,Cambridge UK)を使用して傾き(吸光度の差/秒)を計算した。
【0213】
βラクタマーゼL1(Eurogentec,Belgium,μBCAアッセイによる測定値約10mg/mL)を各可溶化緩衝液で500倍、1000倍、2000倍及び4000倍に希釈し、ニトロセフィン100μMを加えた緩衝液180μlに酵素含有溶液20μlを加えることにより反応を開始した。
【0214】
10mM Hepes,145mM NaCl緩衝液pH7.4中でβラクタマーゼL1の活性を試験した。金属依存性酵素の活性によるEDTAの干渉と、キャリヤー蛋白質(ウシ血清アルブミン,略称BSA)の必要性を試験した。表2に示すように、(ビーズの含有量を定量するためにインビトロ可溶化するために使用可能な)EDTAは使用すべきでない。BSA又は他のキャリヤー蛋白質を加えると有益である。
【0215】
【表3】

【0216】
表1に示すように、EDTAは酵素活性アッセイを妨害し、BSAは酵素活性の回収を増進する。
【実施例2】
【0217】
当初のペクチン混合物におけるβラクタマーゼL1の不安定性と金属対イオンの効果
βラクタマーゼL1(Eurogentec,Belgium,μBCAアッセイによる測定値約10mg/mL)0.3mlを6%ペクチン(低メトキシル化アミド化ペクチン(Unipectine),Texturant Systems,cat# OG175C)の水溶液10gと混合した。ペクチン溶液のpHは調整しなかった。
【0218】
塩化カルシウム(6%)40mlを入れたビーカーに蠕動ポンプと内径0.8mmの針を使用して室温で撹拌(200rpm)下にペクチン/βラクタマーゼL1混合物を2分間かけて滴下した。
【0219】
遊離カルシウムイオンと結合カルシウムイオンを平衡化させるように更に保温後、ビーズを濾過により回収し、精製水200mlで3回洗浄し、過剰のカルシウムイオンを除去した。この段階のビーズを「ゲル化ビーズ」と言う。
【0220】
ビーズを37℃で2時間オーブン乾燥し、乾燥ビーズを得た。
【0221】
針の先端で2×5滴と2×15滴をサンプル採取し、初期βラクタマーゼL1活性を測定した。蛋白質を含まないビーズも陰性対照として作製した。
【0222】
実施例1に記載したようにZnイオン(0.1mM ZnCl)の存在下と不在下でβラクタマーゼL1酵素活性(ニトロセフィン加水分解)を定量した。
【0223】
表3に示すように、βラクタマーゼL1/ペクチン混合物に酵素活性は検出されなかったが、Zn2+を含む緩衝液中で定量したビーズでは有意活性が回収された。
【0224】
【表4】

【実施例3】
【0225】
ペクチンをゲル化させるために使用した金属イオンの最適化と、ペクチン溶液に及ぼすpHの影響
ペクチン溶液パラメーターと亜鉛イオンの影響を調べるために、4種類の処方を比較する実験を実施した。実験計画は要因計画法,Design Expert 6.0.10,Stat−Ease,Minneapolisに従って行った。2つのパラメーターを試験した。
(a)ペクチン溶液のpH:4.0及び7.0。
(b)ゲル化浴中の金属カチオン:Ca2+(CaCl)又はZn2+(酢酸亜鉛、略称ZnAc)。
【0226】
実施例2に記載したようにビーズを作製した。但し、pH上昇と共にペクチンの溶解度が低下するので、ペクチン溶液の濃度は6%から4%に下げた。
【0227】
実施例1に記載したようにβラクタマーゼL1の酵素活性を定量することにより封入収率を測定した。
【0228】
1%ペクチナーゼ(セルロース高分解糸状菌,Aspergillus Aculeatusに由来するペクチナーゼ,Pectinex SP−L Ultra(SIGMA,France))の存在下又は不在下で10mM Hepes,145mM NaCl,0.1mg/ml BSA(pH7.4)20mlにビーズ5個を4℃で一晩可溶化させた。
【0229】
ビーズ5個に含まれる量と同一量のβラクタマーゼL1を10mM Hepes,145mM NaCl,0.1mg/ml BSA(pH7.4)20mlで希釈することにより陽性対照も作製した。表4に示すように、βラクタマーゼL1はペクチン溶液がpH4.0の場合にはペクチンゲル化に使用したカチオンに関係なく不活性化された(カルシウム中残留活性4.3%、亜鉛中3.8%)が、ペクチン溶液をpH7.0まで緩衝後はほぼ完全な活性が維持された(カルシウム中86.7%、亜鉛中64.0%)。
【0230】
【表5】

【実施例4】
【0231】
直腸特異的送達用にβラクタマーゼL1を処方するための必須パラメーターの決定と、これらのパラメーターの最適化
5つのパラメーターを使用した。
(a)ペクチン溶液の濃度(低メトキシル化アミド化ペクチン(Unipectine),Texturant Systems,cat# OG175C):4%及び5%(w/v)
(b)ゲル化用カチオン:Ca2+又はZn2+
(c)ポリエチレンイミン(PEI)溶液(PEI,高分子量,無水(SIGMA−ALDRICH,France))によるゲル化ビーズの二次被覆
(d)PEI溶液のpH:7及び11(当初の非pH調整溶液)
(e)1%ペクチナーゼの存在下と不在下で封入酵素活性を定量するためのビーズの可溶化。
【0232】
表5は実験計画を要約する。
【0233】
【表6】

【0234】
これらの16種類の実験を2回ずつ実施した(結果数32)。
【0235】
実験番号13を繰返した(結果数34)。
【0236】
4%と5%のペクチン溶液のpHは7.0に調整した。しかし、5%ペクチン溶液のpHは不安定であり、実験の終了までにpH5.4まで低下することが分かった。従って、5%ペクチン溶液は比較のためにpH8.5にも調整した。
【0237】
最終的に、要因計画法を使用して48個の結果を分析した。
【0238】
ビーズは実験のタイミングをよくするようにカチオン浴でのゲル化時間を20分間から10分間に短縮した以外は実施例2に記載したように作製した。
【0239】
酵素活性(実施例1に記載したようなニトロセフィン加水分解)を測定する前に1%ペクチナーゼの存在下と不在下で10mM Hepes,145mM NaCl,0.1mg/ml BSA(pH7.4)20mlにサンプル(ビーズ5個)を4℃で一晩可溶化させた。
【0240】
表6は得られた実験結果を要約する。
【0241】
【表7】


【0242】
単純な単変量統計解析(封入収率低下選別)の結果、以下のパラメーターを使用してβラクタマーゼL1の最適処方が得られることが明白に判明した。
(a)ペクチン濃度5%(pH5.4で最大溶解度)
(b)ペクチン溶液を少なくともpH5.4まで中和する
(c)亜鉛イオンを使用すべきである
(d)他の型のポリマーで二次被覆を更に評価することができる
(e)βラクタマーゼL1処方量の定量にはペクチナーゼを使用すべき
である。
【実施例5】
【0243】
亜鉛イオン濃度と乾燥時間の増加による擬似腸内環境(SIM)におけるβラクタマーゼL1含有ビーズの安定性の改善
実施例4に記載したようにβラクタマーゼL1を含有するビーズを作製した。酢酸亜鉛濃度を増加しながら試験した(6、8、10及び12%)。更に、PEI被覆の有無を比較した。
【0244】
ビーズの乾燥時間も2時間から一晩まで増加した。
【0245】
水洗溶液の導電率を測定することにより、ゲル化に使用した過剰の金属イオンを除去するための洗浄効率もモニターした。
【0246】
図1に示すように、ビーズを3回水洗後に効果的な洗浄が得られた。
【0247】
表7に示すように、酢酸亜鉛濃度の増加に伴い、SIM(擬似腸内環境:Simulated Intestinal Medium,米国薬局方26)におけるβラクタマーゼL1含有ビーズの安定性は増加したが、PEI二次被覆によりその安定性は低下した。
【0248】
【表8】

【実施例6】
【0249】
擬似腸内環境(SIM)におけるビーズの安定性に及ぼす亜鉛濃度と乾燥時間の影響
上記のようにβラクタマーゼL1を含有するビーズを作製し、6又は12%酢酸亜鉛溶液でゲル化させた(実施例5参照)。
【0250】
2、4及び16時間35℃(工業化目的には37℃よりも好ましい温度)でビーズを乾燥することにより乾燥時間の影響も試験した。12%亜鉛溶液でゲル化させ、4時間以上乾燥したビーズのみが5時間37℃で保温後にSIMにおいて安定であった。37℃で5時間のSIMにおけるビーズの安定性を測定し、結果を表8に示す。
【0251】
【表9】

【0252】
洗浄と擬似結腸環境(SCM)で更に保温後、使用直前に10mM Hepes,145mM NaCl(ストック溶液)、1%ペクチナーゼ、0.1mg/ml BSAを加え、1M NaOHでpH6.0に調整し、初期βラクタマーゼ活性(ニトロセフィン加水分解)の63%を回収した。
【実施例7】
【0253】
βラクタマーゼL1活性の回収に及ぼすゲル化時間、洗浄工程及び乾燥時間の影響
Nisco Engeneering AG社の製品であるマルチノズルシステムを使用してビーズの各バッチを作製した。これらのビーズを各種ゲル化時間、洗浄工程及び時間、並びに乾燥工程型及び時間で処理した。
【0254】
ゲル化時間を20時間未満とし、ビーズから残留酢酸亜鉛を除去するように洗浄した場合に最良の封入効率と酵素活性が得られることが明らかである。結果を図2に示す。
【実施例8】
【0255】
βラクタマーゼL1の高感度で定量的な特異的アッセイの開発
CENTAの加水分解はβラクタマーゼ活性を定量するために使用される周知技術である。しかし、通常フォーマットは単一試験管で実施され、多数のサンプルの分析には適していない。本実施例は96ウェルマイクロプレートフォーマットにおけるこのアッセイの開発と定量目的の適応について記載する。
【0256】
CENTA乾燥粉末を25mMの濃度で水に可溶化することによりCENTAのストック溶液を得、25μlアリコートとして−20℃で保存した。50μm ZnClを加えた30mM Hepes緩衝液(pH7.5)10mlからなるアッセイ緩衝液でCENTAストック溶液22μlを希釈し、CENTA濃度110μMとすることによりアッセイ混液を調製した。アッセイのために、被験酵素を含有する20μlをアッセイ混液180μlに加え、従って、終濃度100μMのCENTAをアッセイで使用した。Multiskan Ascent(Thermo Electron Corporation)プレートリーダーを使用して9秒毎に405nmの吸光度を測定することによりCENTA加水分解の反応状況を37℃で追跡した。Ascent Software for Multiskan Ascent version 2.6を使用して傾き(吸光度の差/秒)を計算した。
【0257】
βラクタマーゼL1(Eurogentec,Belgium,μBCAアッセイによる測定値約10mg/mL)をアッセイ緩衝液で0.2、0.5、1.0及び2.0μg/mlまで希釈し、酵素含有溶液20μlをアッセイ混液180μlに加えることにより反応を開始した。下図に示すように、この範囲の酵素濃度に関して3回の独立したアッセイでアッセイは直線性であった。標準偏差は10%未満であった。
【実施例9】
【0258】
被覆なしのビーズと、HPMCプレ被覆の存在下又は不在下でオイドラギットを被覆したビーズからのβラクタマーゼL1の放出
βラクタマーゼL1を含有するペクチンビーズのバッチを以下の条件下で製造した。精製組換えβラクタマーゼL1(Eurogentec,Belgium)300mg/lを含有する5%ペクチン溶液を内径0.5mmの針で酢酸Zn・2HOの12%浴に滴下することによりビーズを形成した。ビーズを酢酸Zn浴で90分間ゲル化させ、採取し、水導電率が安定な平坦域に達するまで、即ち洗浄が最適になるまで水洗し、最後に35℃で減圧乾燥した。得られた乾燥ビーズは直径0.8〜1.25mm、平均重量0.6mgであり、ビーズ1mg当たり約5〜6μgのβラクタマーゼL1を含有していた。ビーズを被覆せずにおくか、又はGPC 1.1をトップスプレーで使用し、表9に示す下記処方に従って被覆した。
【0259】
【表10】

【0260】
オイドラギット被覆と同一装置を使用してHPMCによるビーズのプレ被覆を実施した。
【0261】
オイドラギットを被覆したビーズの走査型電子顕微鏡写真(SEM)を図4に示す。横断面によりオイドラギット被覆の相対厚みを示す。
【0262】
βラクタマーゼL1の放出を評価するために、0.1M NaClとセルロース高分解糸状菌(Aspergillus aculeatus)に由来するペクチナーゼ(Sigma Aldrich)100PG/mlを加えた50mM Hepes緩衝液(pH7.4)中で37℃にて静かに混合しながら被覆付きビーズと被覆なしのビーズを保温した。各時点で混液を抽出し、実施例1に記載したニトロセフィンアッセイを使用してβラクタマーゼ活性を定量した。
【0263】
被覆付きビーズと被覆なしのビーズを使用して放出速度を測定し、結果を図5に示す。
【実施例10】
【0264】
放出されたL1のインビトロ抗生物質加水分解効率
被覆付きビーズが結腸に到達したときに実際に抗生物質を加水分解できるか否かを調べるために、擬似胃内環境(0.1N HCl)で1時間、擬似腸内環境(50mM Na/Kリン酸緩衝液,pH6.8に0.1M NaClを添加)で37℃にて3時間、最後にセルロース高分解糸状菌(Aspergillus aculeatus)に由来するペクチナーゼ(Sigma Aldrich)100PG/mlとアモキシシリン2mg/mlを添加した擬似結腸環境(50mM Hepes緩衝液,pH7.4,0.1M NaCl)で指定時間順次保温した。各時点で混液を抽出し、HPLCとUV吸収により残留アモキシシリン量を測定した。操作はBio−Diss III装置(Varian)を使用して実施した。被覆なしのビーズはペクチナーゼとアモキシシリンを添加した擬似結腸環境のみで保温した。
【0265】
結果を図6に示す。
【実施例11】
【0266】
アモキシシリンを投与した子豚における細菌耐性の出現に及ぼすβラクタマーゼL1含有ビーズの影響
6〜7週齢子豚を無投与状態においた又はアモキシシリン20mg/kg/日を7日間経口投与した。5% HPMCをプレ被覆し、40%オイドラギットL30D−55を被覆したβラクタマーゼL15含有ペクチンビーズ(バッチ100)320mgを充填したゼラチンカプセルを1日用量の抗生物質と共に投与群の動物の半数に投与し、残りの半数には同様に被覆したプラセボペクチンビーズを投与した。投与開始の3日前と7日間投与中の毎日採便し、アモキシシリン0又は100μg/mlを添加したMacConkey寒天培地でアモキシシリン耐性腸内細菌の合計含量を分析した。図7に示すように、未投与動物の便はアモキシシリン耐性細菌の比率が最少(<5%)であったが、アモキシシリンを投与した動物ではこの比率が迅速に増加し、7日後に50〜80%の値に達した。これに対して、βラクタマーゼ含有ビーズをアモキシシリンと共に投与した動物は抗生物質耐性細菌の一時的な限られた増加しか示さなかった。この実験から明らかなように、オイドラギットを被覆したβラクタマーゼL15含有ペクチンビーズを同時投与すると、動物にアモキシシリンを投与することにより誘導した抗生物質耐性細菌の出現に対して子豚を保護することができた。
【0267】
本明細書に開示する全特許及び刊行物はその内容全体を参照により本明細書に組み込む。以上の本発明の詳細な記載から本発明の変更及び変形も当業者に明白に理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予防、治療又は診断用物質を含有するペクチンビーズを含み、前記ペクチンは金属カチオンにて架橋されており、前記ビーズはオイドラギット(Eudragit)(登録商標)ポリマー等の腸溶性被覆用のメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーにより被覆されている、予防、治療又は診断用物質の経口投与結腸送達のための薬剤送達システム。
【請求項2】
前記物質が抗癌薬である、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
前記物質が抗炎症薬である、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
前記物質が蛋白質又はペプチドである、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
前記物質が核酸である又は核酸を含む、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
前記物質がウイルス、細菌又は真菌である、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
前記物質が診断剤である、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
前記物質が免疫調節剤である、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
前記物質が結腸内にて受容体活性を阻害又は調節する、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
前記物質が結腸内にて受容体活性を調節する可能性のある他の治療剤を不活性化する、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項11】
前記物質が結腸内にて抗生物質を不活性化することができる、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項12】
抗生物質を不活性化する前記物質がβ−ラクタマーゼである、請求項11に記載の薬剤送達システム。
【請求項13】
抗生物質を不活性化する前記物質がステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)に由来するβ−ラクタマーゼL1である、請求項11に記載の薬剤送達システム。
【請求項14】
抗生物質を不活性化する前記物質がエリスロマイシンエステラーゼである、請求項11に記載の薬剤送達システム。
【請求項15】
抗生物質を不活性化する前記物質がキノロン系抗生物質を不活性化する酵素である、請求項11に記載の薬剤送達システム。
【請求項16】
抗生物質を不活性化する前記物質がフルオロキノロン系抗生物質を不活性化する酵素である、請求項11に記載の薬剤送達システム。
【請求項17】
抗生物質を不活性化する前記物質が糖ペプチド系抗生物質を不活性化する酵素である、請求項11に記載の薬剤送達システム。
【請求項18】
オイドラギット(登録商標)ポリマー等の前記メタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーが、活性成分のpH依存性膨潤を可能にするポリマーである酸性基又はアルカリ性基をもつオイドラギット(登録商標)L、S、FS及びEポリマー等の酸性基又はアルカリ性基を有するメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーから構成される群から選択される、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項19】
オイドラギット(登録商標)ポリマー等の前記メタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーが、pH依存性膨潤により活性成分の時間制御型放出を可能にするポリマーであるアルカリ性基を有するオイドラギット(登録商標)RL及びRSポリマー並びに中性基を有するオイドラギット(登録商標)NEポリマー等の、アルカリ性基又は中性基を有するメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーから構成される群から選択される、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項20】
前記活性成分の保護及び適切な送達を確保するために請求項18及び19に記載の類のオイドラギット(登録商標)ポリマーの混合物を使用する請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項21】
前記金属カチオンが亜鉛カチオンである、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項22】
錠剤、ピル、カプセル又はゲルキャップの形態である、請求項1から21のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項23】
抗生物質の投与前、投与中又は投与後に請求項11から21のいずれか一項に記載の組成物を患者に投与することを含む、患者の結腸における抗生物質を不活性化する方法。
【請求項24】
金属依存性酵素を封入するペクチンビーズを含み、前記酵素が依存する金属カチオンもペクチンを架橋させるために使用され、前記ペクチンビーズはオイドラギット(登録商標)ポリマー等の腸溶性被覆用のメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーにより被覆されている、金属依存性酵素の送達のための薬剤送達システム。
【請求項25】
金属依存性酵素がステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)に由来するβ−ラクタマーゼL1である、請求項23に記載の薬剤送達システム。
【請求項26】
オイドラギット(登録商標)ポリマー等の前記メタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーが、活性成分のpH依存性膨潤を可能にするポリマーである酸性基又はアルカリ性基を有するオイドラギット(登録商標)L、S、FS及びEポリマー等の酸性基又はアルカリ性基を有するメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーから構成される群から選択される、請求項23に記載の薬剤送達システム。
【請求項27】
オイドラギット(登録商標)ポリマー等の前記メタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーが、pH依存性膨潤により活性成分の時間制御型放出を可能にするポリマーであるアルカリ性基を有するオイドラギット(登録商標)RL及びRSポリマー及び中性基を有するオイドラギット(登録商標)NEポリマー等の、アルカリ性基又は中性基をもつメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーから構成される群から選択される、請求項23に記載の薬剤送達システム。
【請求項28】
前記活性成分の保護と適切な送達を確保するために、請求項25及び26に記載の類のオイドラギット(登録商標)ポリマー等のメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーの混合物を使用する、請求項23に記載の薬剤送達システム。
【請求項29】
a)結腸の疾患を治療することが可能な活性物質、及び
b)ペクチンビーズを含む薬剤送達システム
を含み、前記ペクチンは亜鉛イオンにより架橋されており、前記ビーズはオイドラギット(登録商標)ポリマー等の腸溶性被覆用のメタクリル酸−アクリル酸アルキルコポリマーにより被覆されている、活性成分の結腸放出のための経口薬剤送達。
【請求項30】
前記疾患がクローン病又は潰瘍性大腸炎であり、前記活性物質が5−アミノサリチル酸(5−ASA)を含有する薬剤であるアミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫調節剤、シクロスポリンA、TNFα、チアゾリジンジオン及びグリタゾンから構成される群から選択される、請求項29に記載の薬剤送達システム。
【請求項31】
前記免疫調節剤がサイトカイン、リンホカイン及びインターロイキンから構成される群から選択される、請求項30に記載の薬剤送達システム。
【請求項32】
クローン病又は潰瘍性大腸炎の治療を必要とする患者に有効量の請求項30及び31のいずれかに記載の薬剤送達システムを投与する段階を含む、クローン病又は潰瘍性大腸炎の治療方法。
【請求項33】
前記疾患が結腸癌であり、前記活性物質が増殖抑制剤、DNA修飾又は修復用物質、DNA合成阻害剤、DNA/RNA転写調節剤、RNAプロセシング阻害剤、蛋白質発現、合成及び安定性に作用する物質、蛋白質局在に又はその生理的作用を発揮する能力に作用する物質、蛋白質−蛋白質又は蛋白質−核酸の相互作用に干渉する物質、RNA干渉により作用する物質、任意化学種の受容体結合分子(小分子及び抗体を含む)、標的毒素、酵素活性化剤、酵素阻害剤、遺伝子調節剤、HSP−90阻害剤、微小管もしくは他の細胞骨格成分又は細胞接着及び運動に干渉する分子、光治療用物質並びに治療補助剤から構成される群から選択される、請求項29に記載の薬剤送達システム。
【請求項34】
結腸癌の治療を必要とする患者に有効量の請求項33に記載の薬剤送達システムを投与する段階を含む、結腸癌の治療方法。
【請求項35】
前記疾患が過敏性腸症候群又は便秘であり、前記活性物質が刺激性下剤、浸透圧性下剤、便軟化剤、膨張剤、ゼルノーム(テガセロド)及び抗コリン薬から構成される群から選択される、請求項29に記載の薬剤送達システム。
【請求項36】
過敏性腸症候群又は便秘の治療を必要とする患者に有効量の請求項35に記載の薬剤送達システムを投与する段階を含む、過敏性腸症候群又は便秘の治療方法。
【請求項37】
前記システムが診断剤として使用され、前記封入される物質が診断剤である、請求項29に記載の薬剤送達システム。
【請求項38】
前記診断剤が放射性標識化合物、放射線不透過性化合物及び気体から構成される群から選択される、請求項37に記載の薬剤送達システム。
【請求項39】
a)結腸における疾患の診断を必要とする患者に有効量の請求項36又は37に記載の薬剤送達システムを投与する段階、及び
b)診断剤を検出する段階
を含む、結腸における疾患の診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−510196(P2010−510196A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536747(P2009−536747)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062475
【国際公開番号】WO2008/059062
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509128982)
【Fターム(参考)】