説明

オレフィン重合体およびその製造方法

【課題】分子量分布が狭く、分子量が特定の範囲にあるオレフィン重合体、末端に官能基が導入されたオレフィン重合体、ポリマー連鎖中でモノマー組成が連続して変化するセグメントを含むテーパードポリマー、異なるセグメントが結合したオレフィン重合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】炭素原子数2〜20のオレフィンの重合体であって、数平均分子量が500以上であり、Mw/Mnが1.5以下である。オレフィン重合体の製造方法は、例えば下記一般式(I)で表される遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のオレフィンを重合して製造する。LMX・・・(I)(式中、Mは周期表第3〜11族の遷移金属原子、mは1〜5、nはMの価数を満たす数、Lは中心金属Mに配位する配位子であって、中心金属と直接結合を持たないヘテロ原子を有する配位子であり、Xはハロゲン原子、炭化水素基等。)


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの重合体であって、数平均分子量が500以上で、Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が1.5以下、融点が70℃以上、13C−NMRで測定したラセミダイアド(r)が0.85以上であり、炭素原子数2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンがプロピレンまたはブテンであることを特徴とするオレフィン重合体。
【請求項2】
オレフィン重合体が、数平均分子量が110,000以上である請求項1のオレフィン重合体。
【請求項3】
主鎖の末端に官能基を有する請求項1または2記載のオレフィン重合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合体を含んでなることを特徴とする成形体。
【請求項5】
下記一般式(I)、(II−a)、(II−b)、及び(III)で表わされる遷移金属化合物から選ばれたオレフィン重合触媒の存在下に、プロピレンまたはブテンを重合して請求項1または2記載のオレフィン重合体を製造することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法;
一般式(I)で表わされる遷移金属化合物;
Xの1つをn−プロピル基に置換したカチオン錯体について密度汎関数法によって求めたβ−アゴスティック構造において、中心金属Mと直接結合を持たない最近接のヘテロ原子とβ位の水素との距離が3.0Å以下かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下である遷移金属化合物;
mMXn …(I)
(式中、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、
mは1〜5の整数を示し、
nはMの価数を満たす数であり、
Lは中心金属Mに配位する配位子であって、中心金属Mに直接結合を持たないヘテロ原子を有する配位子であり、
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
一般式(II−a)または(II−b)で表わされる遷移金属化合物;
Xの1つをn−プロピル基に置換したカチオン錯体について密度汎関数法によって求めたβ−アゴスティック構造において、中心金属Mと直接結合を持たない最近接のヘテロ原子とβ位の水素との距離が3.0Å以下かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下である遷移金属化合物;
【化1】

(式中、M1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、
mは、1〜5の整数を示し、
Qは窒素原子または置換基R2を有する炭素原子を示し、
Aは酸素原子、イオウ原子、セレン原子または置換基R5を有する窒素原子を示し、
1は1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を示し、
2〜R5は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2以上のときはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士は互いに同一でも異なっていてもよく、いずれか1つの配位子に含まれるR2〜R5のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR2〜R5のうち1個の基とが連結されていてもよく、 nはM1の価数を満たす数であり、
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【化2】

(式中、M1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、
mは、1〜5の整数を示し、
Yは窒素原子またはリン原子を示し、
Uは置換基R6を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Qは置換基R7を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Sは置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Tは置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
1は少なくとも1個のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を少なくとも1個有する炭化水素基を示し、
6〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2以上のときはR1同士、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士は互いに同一でも異なっていてもよく、いずれか1つの配位子に含まれるR6〜R9のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR6〜R9のうち1個の基とが連結されていてもよく、
nはM1の価数を満たす数であり、
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
一般式(III)で表わされる遷移金属化合物:
【化3】

(式中、M1は周期表第4〜5族から選ばれる遷移金属原子を示し、
mは1または2を示し、
10は芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基であって、フェニル基の場合には、窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有しているか、または3位、4位および5位の少なくとも1箇所にフッ素原子を除くヘテロ原子、1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基、フッ素原子を除くヘテロ原子を含有する基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有しており、フェニル基以外の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基の場合には、ヘテロ原子、ヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有しており、
11〜R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含肴基またはイオウ含有基を示し、
15はハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基または炭化水素置換シリル基を示し、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよく、またnが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよい。)。
【請求項6】
上記一般式(II−a)または(II−b)で表わされる遷移金属化合物が、R1が芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基であって、フェニル基の場合には、窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にハロゲン原子もしくはハロゲン含有基から選ばれる1種以上の置換基を有するフェニル基、または3位、4位および5位の少なくとも1箇所に1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、塩素含有基、臭素含有基およびヨウ素含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂環族炭化水素基である遷移金属化合物である請求項5記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項7】
上記一般式(II−a)または(II−b)で表わされる遷移金属化合物が、R1が窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にハロゲン原子もしくはハロゲン含有基から選ばれる1種以上の置換基を有するフェニル基、または3位、4位および5位の少なくとも1箇所に、1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、塩素含有基、臭素含有基およびヨウ素含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂肪族炭化水素基およびハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂環族炭化水素基から選ばれる炭素原子数1〜30のハロゲン含有炭化水素基である遷移金属化合物である請求項5記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項8】
一般式(III)で表わされる遷移金属化合物が、R10が窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にハロゲン原子もしくはハロゲン含有基から選ばれる1種以上の置換基を有するフェニル基、または3位、4位および5位の少なくとも1箇所に1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、塩素含有基、臭素含有基およびヨウ素含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂肪族炭化水素基およびハロゲン原子、ハロゲン含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する脂環族炭化水素基から選ばれる炭素原子数1〜30のハロゲン含有炭化水素基である遷移金属化合物である請求項5記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載の方法で遷移金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下にプロピレンまたはブテンを重合して重合体を製造し、次いで該重合体と官能基含有化合物とを接触させて末端に官能基を有するオレフィン重合体を製造することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
【請求項10】
オレフィンのリビング重合を進行させる重合触媒の存在下にプロピレンまたはブテンを重合し、系内で生成した触媒と生成ポリマー鎖の結合を連鎖移動反応によって切断することで得られる触媒を用いてさらにプロピレンまたはブテンの重合を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項11】
前記の連鎖移動反応を、水素、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、有機カドミウム化合物および有機鉛化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて進行させる請求の範囲第10項に記載のオレフィン重合体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−72411(P2012−72411A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259265(P2011−259265)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2001−561078(P2001−561078)の分割
【原出願日】平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】