説明

オートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機

【課題】主に産業廃棄物として扱われている、建設発生土および下水道・河川・港湾等の浚渫汚泥類を本装置で滅菌処理することにより無害化し、遠赤外線を発する電気ヒーター内臓のセラミック製回転ドラム等により、被対象処理物を迅速・均一に乾燥させ、安全・安心な再資源原料として提供する。
【解決手段】高圧蒸気滅菌が可能なオートクレーブ処理であり、高加圧水蒸気を用いて、被対象処理物に付着する細菌、結核菌、芽胞、真菌、ウイルスを物理的に滅菌処理すると同時に、乾燥機内にある電気プレートヒーターを内蔵したセラミック製の部材は、内部に遠赤外線による加熱を行うので、バーナ燃焼時のような廃棄ガスを排出しないためクリーンであり、重油または灯油類の熱源より省エネルギーであり、更に加熱時間の短縮が可能であり、被対象処理物の均一加熱乾燥を実現した乾燥機となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートクレーブ機能付きの遠赤外線加熱乾燥機の技術に関するものであり、より詳しくは、熱源は電気式で高圧蒸気滅菌が可能なオートクレーブであり、高加圧水蒸気を用いて、被対象処理物に付着する細菌、結核菌、芽胞、真菌、ウイルスを物理的に滅菌処理すると同時に、乾燥機内にある電気式プレートヒーターを内蔵したセラミック製のドラム部材等は、回転ドラム内部に遠赤外線による加熱を行うので、他で採用されているバーナ燃焼時のような廃棄ガスを排出しないためクリーンであり、重油または灯油類の熱源より省エネルギーであり、更に被対象処理物に対して均一加熱乾燥を実現するので加熱時間の短縮が可能となる乾燥機に関する。
【0002】
本発明は、プロペラファンを用いた温風送風方式の乾燥機ではなく、また、被対象処理物を火力バーナ等により直接燃焼させる、いわゆる焼却炉の構造ではない。
【背景技術】
【0003】
従来、小型の乾燥機(温風ドライヤー)から、大型では焼成炉に至るまで、被対象処理物を乾燥させるために多くの実用技術があった。
例えば小型なものには、家庭内の家電の多くに採用される電気式乾燥機や、他にも衣類等を乾燥させるため灯油や都市ガス、プロパンガス等を燃料に使用するガス式乾燥機などがあり、大型なものには、高熱源を要する乾燥または燃焼システムがあり、焼成炉に代表される蒸気・熱媒油を熱源とした熱媒式や、こちらも電気式、ガス化式などの技術が確立されている。
【0004】
また、被対象処理物を炉心管内に収容して加熱しながら搬送する焼成炉の代表方式には、ロータリーキルン(回転式連続焼成炉)がある。こちらは、電気加熱方式と、ガス燃焼加熱方式とがあるが、機能する特定温度域は、例えば800℃から1300℃以上と高温での処理となる。
【0005】
本発明における乾燥機内の形状では、ここでは家庭用ヘアードライヤーのようなプロペラファン式の温風送風構造のものではなく、家庭用衣類乾燥機でも、業務用の焼成炉でも、一般的に円柱横型あるいは縦型で回転するものが多く採用されている機構のものであり、本発明と同様に、被対象処理物を回転させてより空気に触れやすくするために攪拌羽のある方式も確立されている。
【0006】
特許文献1には、茶滓などの含水有機物を効率よく乾燥させる乾燥機であるが、被対象処理物をペレット状にしないと乾燥処理が出来ないものがある。
特許文献2には、蒸気特定温度域が、例えば1050℃に達しないと炉心が作動を開始しない、従来から存在する焼成炉がある。
【0007】
特許文献3には、オートクレーブ装置の中で行う作業員が減圧症にならないため、容器本体内部を定圧保持するための減圧プロセスに関するものがある。
特許文献4には、オートクレーブ使用後に、底部側に水分量の残留を低減させやすく、かつ腐食防止作用のある配管系を工夫したものがある。
【0008】
特許文献5には、回収した浚渫汚泥中の有機物をガス化させて水素エネルギーとして回収利用しているものもある。
参考までに、汚泥系被対象処理物における再資源化方法と、その用途例の一例を追記する。
1)焼成処理・・・<粒状> 建設汚泥を利用目的に応じて形成したものを、1000℃ 程度の温度で焼成固化する処理技術。焼成材は、高強度・軽量性・保水性などの特長 を有する。
【0009】
用途には、ドレーン材、骨材、緑化基盤園芸用土、ブロックなどがある。
2)溶融処理・・・<粒状、塊状> 焼成処理よりも高温で固形分を溶融状態にした後に 冷却し、固形物にする技術。
【0010】
用途には、砕石代替品、砂代替品、石材代替品などがある。
3)脱水処理・・・<脱水、ケーキ> 含水比の高い土から水を絞り出す技術。機械力を 利用した機械式脱水処理と重力などを利用した自然式脱水処理に大別される。
【0011】
用途には、盛土材、埋戻し材などがある。
4)乾燥処理・・・<土、粉体> 土から水を蒸発させることにより含水比を低下させ、 強度を高める技術。天日乾燥などの自然乾燥や熱風などによる機械式乾燥がある。
【0012】
用途には、盛土材などがある。
5)安定処理・・・<改良土> 軟弱な土にセメントや石灰等の固化材を添加混合し、施 工性を改善すると同時に強度の発現・増加を図る化学的処理技術。固化材の添加量に よって強度の制御が可能である。
【0013】
用途には、盛土材、埋戻し材などがある。
特許文献6には、本発明の考え方に類似し、遠赤外線加熱を利用した流体加熱装置およびそれを用いた流体処理装置である。
【0014】
しかし、従来の技術には、本発明の主対象となる「産業廃棄物の中の建設発生土および建設・浚渫汚泥類(下水道・河川・港湾等の浚渫汚泥)の無害化や、その他採石および窯業廃土、陶磁器くず、石炭灰、廃プラスチック、廃ゴム、木くずを含む建設廃材、ガラスカレット、粒状金属類等も、同様に高加圧蒸気滅菌処理」に適応できる装置ではなく、それぞれ一長一短があり、特殊な専門用途向けのものが多くあり、装置も実用価格面においてあまり一般的ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−007025(乾燥機)
【特許文献2】特開2008−107011(焼成炉)
【特許文献3】特開2007−326048(オートクレーブの減圧方法およびオー トクレーブ)
【特許文献4】特開2009−241027(オートクレーブ)
【特許文献5】特開2006−116514(下水汚泥をバイオマス源とした水素エネルギー回収システム及び水素エネルギー回収方法)
【特許文献6】特開2008−020097(流体加熱装置およびそれを用いた流体 処理装置)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、主に産業廃棄物として扱われている、建設発生土および下水道・河川・港湾等の浚渫汚泥類を本装置で滅菌処理することにより無害化し、遠赤外線を発する電気ヒーター内臓のセラミック製回転ドラム等により、被対象処理物を迅速・均一に乾燥させ、安全・安心な再資源原料として提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下、本発明において、上記目的を達成するために採用した構成について説明する。
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の回転ドラム形状は、図1に示すとおり、円柱横型ドラム10aまたは、円柱縦型10b、円形傾斜型ドラム10cであってもよく、円錐形を合わせたいわゆる建設現場で使用されるポットミキサー型10dであってもよい。
【0018】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の構造は、図1および図2並びに図3に示すとおり、表面温度が400℃まで加熱する電気式プレートヒーターが内臓されているセラミック製ドラム10および攪拌羽20、二重構造になっている回転軸30、電磁石開閉扉40が主たる内部部材として構成されている機能を備えることを特徴とする。
【0019】
また、図2に示すとおり、セラミック製回転軸の先端には、飽和水蒸気の供給が可能な高加圧水蒸気が拡散噴射するオートクレーブ蒸気噴射弁31と、通常の加圧脱水に限らず、真空脱水または遠心脱水も可能な吸引減圧制御機能を備えた減圧真空ポンプ装置となる吸引減圧弁32と、回転ドラム内の湿度を検知し、70%以上から作動を開始する送風機能を備えた送風排気弁33の機能を備えることを特徴とする。
【0020】
次に各部材の特徴を解説する。
オートクレーブ蒸気噴射弁31は、蒸気噴射弁先端のノズルより飽和水蒸気を供給し、その所定温度を100℃から200℃に設定することが可能であり、所定圧力は100kPaG以上1.5MPaGまでの設定が可能である。
【0021】
吸引減圧弁32は、定圧保持と減圧とを段階的に減圧制御する機構であり、被対象処理物の乾燥状態を含水率センサーで検知することにより、電気プレートヒーターの適切な加熱と連動することが可能となることから、被対象処理物の乾燥後は、10質量%以下の含水率となる。
【0022】
送風排気弁33は、従来のオートクレーブでは昇温・昇圧後にドレン水が底部に滞留し易かったが、電気プレートヒーターの遠赤外線加熱により、回転ドラム内の水分を効率良く水蒸気に置き換えることができる。
【0023】
更に共通して、この時に使用される回転ドラムを除く、攪拌羽および回転軸、電磁石開閉扉は、必ずしもセラミック製でなければならないことにはならず、場合によっては、各弁の開閉プレートおよび各配管素材と同様の、腐食に強く耐熱性もあるステンレス鋼製または、アルミニウム合金製、鋼合金製などの金属製であってもよい。加えて、個々の配管は断熱材や絶縁材等で保護されてあってもよい。
【0024】
他にも、本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の利用範囲には、建設発生土や下水道・河川・港湾等の浚渫汚泥の無害化だけではなく、採石および窯業廃土、陶磁器くず、石炭灰、廃プラスチック、廃ゴム、木くずを含む建設廃材、ガラスカレット、粒状金属類等も、同様に高加圧蒸気滅菌処理装置として利用が可能である。
【0025】
本発明のオートクレーブにより物理的に消毒滅菌する対象病原微生物には、以下の項目に掲げられる微生物群を想定している。
細菌・・・ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、O−157、サルモネラ菌、菌病原性大腸菌、など。
1)結核菌・・・好気性桿菌、ヒト型結核菌、ウシ型結核菌、ネズミ型結核菌、など。
2)芽胞・・・炭疽菌、セレウス菌(食中毒の一種)、枯草菌、納豆菌、破傷風菌、など 。
3)真菌(カビ)・・・白癬菌(水虫)、たむし、カンジタ症、アスペルギルス症、など 。
4)ウイルス・・・インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、エイズウイルス、など 。
【0026】
ところで、本発明で取扱いを想定している被対象処理物は、本発明のオートクレーブ機能により、高加圧蒸気滅菌されているので生態系への安全性については検証されているが、過大な土壌汚染塊または重度の水質汚染により特定有害物質が明らかに含有している被対象処理物や、試薬を含む毒物・劇物・危険物または農薬が大量に含有している被対象処理物の場合には、かならずしも消毒滅菌洗浄されているものとは限らない。
【0027】
特定の有害物質が明らかな場合には、別の除去方法によらなければならない。
そのため、図4に示すとおり、その後の二酸化チタン(光触媒)コーティングを塗膜した専用の送風冷却乾燥機50では、滅菌処理後の骨材が通過中には、送風冷却処理51の処理過程後、追加の処理工程として紫外線灯消毒器での消毒処理52を実施してもよい。(UV−TiO2)
この作業工程を加えることにより、被対象処理物に相当量に含有または付着する汚染物質を、紫外線の作用で微生物のDNA中にチミンダマーを生成させて死滅させるため、被対象処理物の表面や乾燥中の気体に対して無害化することが可能となる。これを紫外線−二酸化チタン作用プロセスと呼ぶ。
【0028】
この時、被対象処理物は、通常ベルトコンベアー等で搬送されるが、できれば振動を連続的に与えた振動ベルトコンベアー60であった方が、より紫外線の照射が均一かつ満遍なく行うことができる。
【0029】
図4において、振動ベルトコンベアーで搬送されながら、送風冷却され、紫外線照射により消毒された被対象処理物は、その後、通常利用されている振動ふるい機またはトロンメル70等により粒度をふるい分けされ、各粒度に応じてヤード80に、81および82の粒度に分級されて保管される。
【0030】
その他、回転ドラムを含む、特記事項について追記する。
本発明で採用する回転ドラム10は、ドラムの回転速度を任意に制御可能な制御システムにより運転される。また、回転ドラムの駆動は、ドラムの外周にモーターによる駆動装置11を備える。
【0031】
本発明で採用する攪拌羽20は、通常は電気プレートヒーターが内蔵された羽を使用するが、場合によっては、ステンレス鋼製または鋼合金製であってもよい。
本発明で採用する回転軸30は、各種配管弁を設置した筒状のものと、外側を包む二重構造となるが、場合によっては、ステンレス鋼製または鋼合金製であってもよい。
【0032】
本発明で採用する電磁石開閉扉40は、被対象処理物を投入する扉であるが、ドラム内部の減圧、排気による内部圧力の差に耐えうるよう、通常のゴムパッキンで密着させる手動バッチ式ではなく、電磁石式の開閉扉を採用することにより、真空状態にも耐えうる回転ドラム内部の気密性を高めている。
【0033】
また、電磁石開閉扉40も、通常は電気プレートヒーターが内蔵された羽を使用するが、場合によっては、ステンレス鋼製または鋼合金製であってもよい。
【発明の効果】
【0034】
技術的な効果としては、
被対象処理物を高加圧蒸気によるオートクレーブ滅菌処理を行うことにより、蒸気温度を高めて細菌類のタンパク質を破壊し死滅させ、被対象処理物を無害化することが可能である。
【0035】
この時の水蒸気設定温度は、100〜200℃の範囲で加熱が可能であるが、通常は121℃以上に達して水蒸気が噴射し、時間にして15〜30分間以上は継続高加圧処理を行う。
【0036】
通例では、以下の3つの条件のいずれかで行われる。
1)115℃(0.7kgf/cm)30分間
2)121℃(1.1kgf/cm)20分間
3)126℃(1.4kgf/cm)15分間
本発明の回転ドラム等を構成する素材を、電気プレートヒーターを内蔵したセラミック製にすることにより、従来の多くのボイラー式の火力バーナより安全で、かつ排気は水蒸気であるためクリーンであり、真空密閉も可能な機密性を有しているため、重油や灯油等の燃料方式よりも省エネルギーであり、遠赤外線効果により加熱時間の短縮が可能であり、被対象処理物の均一加熱を実現することが可能である。
【0037】
この時の加熱温度設定は、80〜400℃の範囲で加熱設定が可能であるが、通常は被対象処理物の組成および投入量に応じて150〜350℃の範囲で継続加熱されていればよい。
【0038】
被対象処理物が、本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の終了後、通常は送風冷却装置に送られて冷却されるが、顧客のニーズにより、紫外線灯消毒器での滅菌処理工程を追加する場合がある。この時の紫外線灯は、消毒効果の高い253.7nm(ナノメートル)内外の紫外線波長帯であり、85μW/cm以上の紫外線(UVC領域)を連続して20分間以上照射されていれば問題はないが、被対象処理物が重なり合わさらないよう、被対象処理物を搬送移動するベルトコンベアーは、できれば振動機能の付いたものが望ましい。
【0039】
次に、社会的な効果としては、
従来の被対象処理物となる建設発生土や建設・浚渫汚泥類は、遠心分離機等で水分を分離し粒度を分級している。その後の通常では、見た目の判断で有害か否かを判断していた。しかしこれでは再利用先での埋戻しや埋立てでも、環境を悪化させているかどうかは判らなかった。
【0040】
本発明は、確実に無害化された安全・安心なリサイクル土として利用普及を目指すものであり、現在の産業廃棄物最終処分場での埋立率の削減を図ると共に、本発明の取組みにより地域社会の循環型社会の形成に貢献することが出来る。
【0041】
また、次亜鉛素酸ナトリウム水溶液や塩素系洗剤、界面活性剤、エタノール等の溶剤による洗浄ではないので排水処理の工程はなく、また、火力によるバーナ燃焼による乾燥ではないので煙突からの排煙装置はなく、電気プレートヒーターによる最短工程で最大の効果を発揮するため、地球温暖化防止に関わる温室効果ガス(CO2)の排出削減にも貢献することが出来る。
【0042】
更に、自社の独占特許とはせず本発明を広く世界に公表し、同業他社或いは異業種、海外からの事業参入であったとすれば、新産業または新事業の創出となり、本発明の技術をより簡単に、より解かりやすく技術指導を行うことにより、世界各地のゴミ処理問題の解決に寄与することを目指している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1の、10aは円形横型回転ドラムの側面を示す図であり、10bは円形縦型回転ドラムの側面を示す図、10cは円形傾斜型回転ドラムの側面を示す図、更に10dは、円錐合わせ型(ポットミキサータイプ)の側面を示す図である。
【図2】図2(a)は、円形型回転ドラムの正面図であり、10は回転ドラム本体、20は攪拌羽、30は回転軸、31はオートクレーブ蒸気噴射弁、32は吸引減圧弁、33は送風排気弁を示すものである。更に(b)は、円形型回転ドラムの断面図であり、10は回転ドラム本体、11は回転ドラム駆動装置、20は攪拌羽、30は回転軸を示すものである。この時の攪拌羽については、0枚から8枚までの取り付けを想定している。回転ドラム本体および、攪拌羽、回転軸、電磁石開閉扉の部材は、全てセラミック製であるが、遠赤外線効果により被対象処理物の乾燥を促進させるため、部材の中に電気プレートヒーターが内蔵されている。但し、製造コストの関係上、必ずしも全てをセラミック製とは出来ない場合には、回転ドラム本体を除く、攪拌羽、回転軸、電磁石開閉扉の部材については、金属疲労を最小限に抑えられるステンレス鋼製または鋼合金製であってもよい。
【図3】図3(a)および(b)は、円錐合わせ型(ポットミキサータイプ)の側面を示す図であるが、(a)は被対象処理物を回転攪拌中の、作動中のドラム角度を示す図であり、(b)は、攪拌後の被対象処理物を取り出す際のドラム角度を示す図となる。更に(c)は、円錐合わせ型(ポットミキサータイプ)の断面図であり、10は回転ドラム本体、20は攪拌羽、30は回転軸を示す図である。
【図4】図4は、被対象処理物を高圧蒸気によるオートクレーブ滅菌処理後、振動ベルトコンベアー60で、内部壁面を二酸化チタン(光触媒)でコーティングされた送風冷却乾燥機50に搬送し、被対象処理物90を冷却させている工程を示す図である。本発明により製造されたリサイクル土を購入するユーザーからの要望により、追加消毒の要望があった場合には、送風装置51の通過後、紫外線照射灯52により連続して20分間以上の物理的消毒処理を行い、その後に被対象処理物の粒度調整を行う。粒度調整については、通常従来から行われている振動ふるい機またはトロンメル70等で分級し、その後も通常とおりの保管ヤード80に粒度に応じて投入ストックされる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本発明の実施形態について、いくつかの具体的な例を挙げて説明する。
「実施例1」
実施例1では、被対象処理物となる産業廃棄物の、建設発生土および、下水道・河川・港湾等から浚渫された汚泥類を、電気プレートヒーター内臓のセラミック製回転ドラムで攪拌しながらオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)することにより、被対象処理物を無害化し、安全・安心なリサイクル土として利用可能な製品事例について説明する。
【0045】
実施例1で無害化まではしていない従来のリサイクル土は、一般的には振動ふるい機またはトロンメル等により粒度調整を行い、汚染具合については、見た目の判断だけで再利用されていたものであり、その多くは埋め戻し材や、埋立処分をされていた。
【0046】
従来のリサイクル土では不安が残ったが、本発明では、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)処理がなされていることにより被対象処理物の安全性を高め、確実に無害化された製品として販売が可能になる。
【0047】
「実施例2」
実施例2では、被対象処理物となる産業廃棄物の汎用性について説明する。
実施例1では、建設発生土および、下水道・河川・港湾等から浚渫された汚泥類を被対象処理物としていたが、
実施例2では、本発明のオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)方式の採用により、採石および窯業廃土、陶磁器くず、石炭灰、廃プラスチック、廃ゴム、木くずを含む建設廃材、ガラスカレット、粒状金属類等の安定型産業廃棄物も、同様に高加圧蒸気滅菌処理装置として利用が可能である。
【0048】
「実施例3」
実施例3では、電気プレートヒーターを内蔵したセラミック製の遠赤外線加熱の理論について説明する。
【0049】
本発明では、実施例1および実施例2に掲げるオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)方式により、被対象処理物を確実に滅菌することができるが、回転ドラム内で高圧水蒸気処理を行うため、被対象処理物を乾燥させる必要がある。
【0050】
そこで被対象処理物を乾燥させる方法として、回転ドラムおよび、攪拌羽、回転軸、電磁石開閉扉の部材をセラミック製とし、そのセラミック部材の中に電気プレートヒーターを内蔵することにより、高圧蒸気滅菌処理から乾燥処理までを、一貫して同一回転ドラムの内部で行う工程に特徴がある。
【0051】
また、乾燥機能の熱源を電気プレートヒーターとすることにより、遠赤外線加熱では熱風を送らないため回転ドラム内で塵を巻き上げることはなく、クリーンな環境中で処理が行うことが可能である。
【0052】
更に、火力バーナ燃焼とは違い、遠赤外線加熱は直接被対象処理物に作用する熱運動であることから、煙突もなく空気等への熱損失が小さく、運転のためのランニングコストも抑えられる。
【0053】
加えて、遠赤外線加熱は均一加熱が可能であるため、結果的に加熱時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の主たる被対象処理物は、建設発生土および、建設汚泥、下水道・河川・港湾等の浚渫汚泥を無害化する技術であるが、国土交通省の建設副産物実態調査では、平成17年度の建設発生土は数量ベースで年間1億9518万立方メートルであり90%以上が何らかの方法で再資源化されているが、建設汚泥および浚渫汚泥類は年間750万トンのうち68%程度しか再資源化されていないと報告されている。
【0055】
仮に前記の市場規模をベースにして産業上の利用可能性を考えると、建設発生土および建設汚泥・浚渫汚泥類は、これまでの無害化されているかどうかの判断は目視だけの極めて危険な方法で再利用されており、確実に無害なリサイクル土とは言い切れないのが実情である。
【0056】
本発明は建設発生土や建設・浚渫汚泥類の無害化だけではなく、産業廃棄物を完全に無害化滅菌処理を行う技術として、幅広く技術提供が可能な利用範囲と利用可能性を兼ね備えた発明である。
【符号の説明】
【0057】
10・・・回転ドラム本体
11・・・回転ドラム駆動装置
20・・・攪拌羽
30・・・回転軸
40・・・電磁石開閉扉
10a・・・円柱横型回転ドラムの形状
10b・・・円柱縦型回転ドラムの形状
10c・・・円柱傾斜型回転ドラムの形状
10d・・・円錐合わせ型回転ドラムの形状
31・・・オートクレーブ蒸気噴射弁
32・・・吸引減圧弁
33・・・送風排気弁
50・・・送風冷却装置
51・・・送風装置
52・・・紫外線照射灯
60・・・振動ベルトコンベアー
70・・・振動ふるい機またはトロンメル等
80・・・保管ヤード
81および82・・・オートクレーブにより無害化され粒度調整されたリサイクル土
90・・・被対象処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の主たる部材は、
回転ドラム10および、攪拌羽20、回転軸30、電磁石開閉扉40であるが、
これらの部材は電気プレートヒーターを内臓したセラミック製であり、所定温度を維持・加熱するための、サーモスタット温度センサーおよびシーケンス制御機能をもつ電気プレートヒーターである
ことを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の回転ドラムは、
ドラムの回転速度を任意に設定制御可能な装置と、ドラムの外周にモーターによる駆動装置を備える
ことを特徴とする乾燥機。
【請求項3】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の攪拌羽は、
被対象処理物の強度や処理質量に応じて、羽の枚数、羽の取付け勾配、羽の形状が変えられるものであり、また、被対象処理物によっては、セラミック製の攪拌羽からステンレス鋼製、鋼合金製などに変えられる
ことを特徴とする乾燥機。
【請求項4】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の回転軸は、
内側のステンレス鋼製等の筒状部材には、オートクレーブ蒸気噴射弁と、吸引減圧弁、送風排気弁とが内蔵されており、その外側をセラミック製の筒状で覆われている
ことを特徴とする乾燥機。
【請求項5】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の電磁石開閉扉は、
オートクレーブ高加圧滅菌処理を効率良く行うため、回転ドラム内部の作業時の定圧保持と、真空減圧を含む減圧時の気圧を制御するため、電磁石により回転ドラム本体と扉とを開閉する
ことを特徴とする乾燥機。
【請求項6】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機の機能には、
高加圧蒸気によるオートクレーブ滅菌処理と、電気プレートヒーター内臓セラミック製部材による遠赤外線乾燥処理機能とを併せ持つ
ことを特徴とする乾燥機。
【請求項7】
本発明のオートクレーブ機能付き遠赤外線加熱乾燥機に任意で付帯する送風冷却装置には、
内壁に二酸化チタン(光触媒)コーティングが塗膜してあり、従来のプロペラファン等の送風冷却装置に加え、紫外線照射灯により消毒処理を行うことができる
ことを特徴とする乾燥機付帯システム。
【請求項8】
本発明のオートクレーブ滅菌処理および、遠赤外線加熱乾燥により、
建設発生土および、下水道・河川・港湾等の浚渫汚泥類または、安定型産業廃棄物の無害化を行う
ことを特徴とするリサイクル原料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−149847(P2012−149847A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10082(P2011−10082)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511018435)有限会社大武開発 (1)
【Fターム(参考)】