説明

カバー部材

【課題】遮蔽性能を向上する。
【解決手段】カバー部材20は、乗員室に臨ませて設置されるインストルメントパネルとこのインストルメントパネルに対向して設置されるダッシュパネル12との間の隙間を塞いでいる。カバー部材は、本体部22のダッシュパネルに相対する端部に設けられ、ダッシュパネル12のフロアカーペット12aに当接する当接部24と、この当接部24を弾力的に支持する支持枠部とを備えている。本体部22および当接部24は、空隙を有する吸音層L1と、この吸音層L1より密に形成された圧縮層L2とを厚み方向に重ねて構成され、支持枠部は、厚み方向全体を吸音層L1より密になるよう圧縮して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インストルメントパネルと該インストルメントパネルの前側に設けられた仕切壁との間を塞ぐカバー部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両には、乗員室の前側に設けられるエンジンルームがダッシュパネル(仕切壁)で区切られ、このダッシュパネルに対向してインストルメントパネルが乗員室に臨ませて設置されている。ダッシュパネルとインストルメントパネルの間の空間には、送風ユニットおよびダクト等の空調装置や、エアバッグ装置等の各種の装置が設置されている。車両には、乗員室の底部に金属製のフロアパネルが設けられ、このフロアパネルからダッシュパネルの下部にかけて乗員室側にフロアカーペット等の敷物が貼り付けられている。また、車両は、ダッシュパネルとインストルメントパネルの下端部の間が開口するので、この開口部に配設した吸音構造体によって遮音が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示の吸音構造体は、合成樹脂からなる板状のフレーム体と、このフレーム体に設置されたシート状の吸音材とから構成される。吸音構造体は、フレーム体に形成されたリブによって剛性が担保され、不織布や発泡体等からなる柔軟な吸音材をフレーム体で支持している。また、吸音構造体は、ダッシュパネル側の端部に形成された延出部の係止突起を空調装置に挿入すると共に、インストルメントパネル側の端部に形成された延出部でインストルメントパネルの下端部にネジ止め固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−55461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記吸音構造体は、インストルメントパネル側の端部をインストルメントパネルの下端部にねじ等で取り付け、ダッシュパネル側の端部を空調装置で支持する構成であり、吸音構造体とダッシュパネルとの間に隙間が生じている。このため、空調装置によって調温された乗員室の空気が、吸音構造体とダッシュパネルとの間の隙間から逃げたり、ダッシュパネルとインストルメントパネルとの間の空間にある空気が乗員室に隙間を介して流入し、空調効率を悪化する問題が指摘されている。また、吸音構造体は、合成樹脂製のフレーム体によって剛性を維持する構成であるから、吸音材だけの場合と比べて部材の重量が嵩んでしまう不都合もある。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係るカバー部材に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、仕切壁とインストルメントパネルとの間を適切に塞ぐことができる軽量なカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明のカバー部材は、
乗員室に臨ませて設置されるインストルメントパネルとこのインストルメントパネルに対向して設置される仕切壁との間の隙間を塞ぐカバー部材において、
板状の本体部と、
前記本体部の前記仕切壁に相対する端部に設けられ、該仕切壁に当接する当接部と、
前記当接部に前記仕切壁との当接辺と交差する方向に延在するよう設けられ、該当接部を弾力的に支持する支持枠部とを備え、
前記本体部、当接部および支持枠部は、不織布または発泡体のシート材からなり、
前記本体部および当接部は、空隙を有する吸音層と、前記シート材を圧縮して該吸音層より密に形成された圧縮層とを厚み方向に重ねて構成され、
前記支持枠部は、前記シート材の厚み方向全体を前記吸音層より密になるよう圧縮して形成されることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、軽量な不織布または発泡体からなるシート材でカバー部材が構成されるが、当接部が支持枠部で弾力的に支持されているので、当接部の仕切壁に対する当接状態を適切に維持できる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記本体部における当接部との接続部位には、前記シート材の厚み方向全体を前記吸音層より密になるよう圧縮して形成されて、該当接部における前記仕切壁との当接辺に沿って延在する補助枠部が前記支持枠部に繋げて設けられることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、補助枠部によって本体部と当接部との接続部位が補強されているので、当接部の変形による仕切壁との間の遮蔽作用を好適に発現し得る。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記当接部は、前記本体部との接続部位および前記仕切壁との当接面の間に該当接面の撓曲を許容する空間を画成するように曲げて形成されることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、当接部が本体部に邪魔されず、弾性変形し易くなっている。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記本体部には、前記シート材の厚み方向全体を前記吸音層より密になるよう圧縮して形成された本体枠部が設けられることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、本体枠部によって本体部を補強できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るカバー部材によれば、軽量で、かつインストルメントパネルと仕切壁との間を適切に塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施例1に係るカバー部材を示す平面図である。
【図2】(a)は、図1のA−A線断面図であり、(b)は、図1のB−B線断面図である。
【図3】実施例1のカバー部材の当接部を上側から示す概略斜視図である。
【図4】実施例1のカバー部材の当接部を下側から示す概略斜視図である。
【図5】図1のC−C線断面図である。
【図6】実施例1のカバー部材の取り付け状態を示す概略図である。
【図7】実施例2のカバー部材の要部を上側から示す概略斜視図である。
【図8】(a)は、図7のD−D線断面図であり、(b)は、図7のE−E線断面図である。
【図9】実施例3のカバー部材の要部を上側から示す概略斜視図である。
【図10】実施例3のカバー部材の要部を下側から示す概略斜視図である。
【図11】(a)は、図9のF−F線断面図であり、(b)は、図9のG−G線断面図である。
【図12】変更例1のカバー部材を示す側断面図であって、(a)は一般部分で破断した状態を示し、(b)は支持枠部に沿って破断した状態を示す。
【図13】変更例2のカバー部材の要部を上側から示す概略斜視図である。
【図14】図13のH−H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係るカバー部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。実施例では、カバー部材について車両への取り付け姿勢で方向を指称し、仕切壁側が前側となり、インストルメントパネル側が後側となる。
【実施例1】
【0014】
図6に示すように、カバー部材20は、乗員室14に臨ませて設置されるインストルメントパネル10の下端部とこのインストルメントパネル10の前側に設置されるダッシュパネル(仕切壁)12との間を塞ぐように取り付けられるものである。図1に示すように、実施例1のカバー部材20は、板状の本体部22と、この本体部22のダッシュパネル12側の端部に設けられた当接部24と、この当接部24に少なくとも設けられる補強部分である枠部26とから基本的に構成される。実施例1では、枠部として、当接部24に設けられる支持枠部26に加えて、補助枠部28および本体枠部30が本体部22に設けられている。
【0015】
前記カバー部材20は、1枚のシート材で本体部22、当接部24および枠部26,28,30を賦形することで、これらの部分が一体的に形成される。シート材は、不織布または発泡体に代表される内部の空隙によって吸音および断熱作用を示す材料が用いられ、熱によって各部22,24,26,28,30を賦形するので熱可塑性樹脂からなる不織布または発泡体が好適である。なお、実施例1では、シート材としてポリプロピレン等の熱可塑性樹脂繊維からなる不織布が採用されている。また、シート材は、5〜30mmの厚みのものが用いられる。
【0016】
前記カバー部材20は、枠部26,28,30や後述する差込部32を除く本体部22および当接部24の一般部分が、空隙を有する吸音層L1と空隙を潰した圧縮層L2とを厚み方向に有する2層で基本的に構成されている(図2(a)参照)。これに対し、カバー部材20は、枠部26,28,30および差込部32が、圧縮層L2からなる1層で基本的に構成されている(図2(b)参照)。吸音層L1は、シート材をなす不織布または発泡体に由来する空隙(不織布であれば繊維の間、発泡体であればセル)が維持されている状態であって、不織布等の本来の状態のままあるいはこれに近い状態になっている。圧縮層L2は、不織布等からなるシート材を圧縮することで、空隙を潰して吸音層L1より密になるよう形成されている。
【0017】
実施例1では、カバー部材20の一般部分が、ダッシュパネル12とインストルメントパネル10との間の内部空間16に面する領域が、乗員室14側に面する領域と比べて繊維が疎(密集度:低)になるよう構成されている(図2(a)参照)。このように、実施例1のカバー部材20の一般部分は、内部空間16側(実施例1では上側)に吸音層L1が設けられると共に乗員室14側(実施例1では下側)に圧縮層L2が設けられ、1枚のシート材からなる壁の厚み方向において密度(繊維の密集度)に差が設けてある。圧縮層L2は、シート材における乗員室14側となる側の繊維を溶融して互いに融着することで、カバー部材20における所要の形状を保持した状態で固化し、当該領域の繊維を潰して密な状態としている。一方、吸音層L1は、シート材における内部空間16側となる側の繊維を成形に際して溶融せず、加工前のシート材の繊維状態を保つように構成され、繊維が潰れた圧縮層L2と比べて繊維がほぐれた状態にある内部空間16側の繊維の密集度が疎となっている。ここで、図2では、カバー部材20について吸音層L1と圧縮層L2とを明確に区分して表示しているが、厚み方向において一方(実施例1では乗員室14側)から他方(実施例1では内部空間16側)に向かうにつれて密度(繊維の密集度)が次第に小さくなるように形成してもよい。
【0018】
前記カバー部材20の枠部26,28,30および差込部32は、繊維を圧縮すると共に溶融して互いに融着することで、カバー部材20における所要の形状を保持した状態で固化し、繊維を厚み方向に潰して吸音層L1より繊維を密な状態としている。すなわち、カバー部材20は、枠部26,28,30および差込部32の厚みが一般部分より薄くなっており、一般部分と比べて枠部26,28,30が凹んだ状態に形成される(図2参照)。枠部26,28,30および差込部32を構成する圧縮層L2は、シート材の厚み方向全体を圧縮して形成されるので、シート材の一部だけを圧縮して形成する一般部分の圧縮層L2より厚くなっている。このように、圧縮層L2だけで構成される枠部26,28,30および差込部32は、一般部分と比べて剛性が高くなっている。実施例1のカバー部材20は、乗員室14側が凹むように枠部26,28,30が形成され、内部空間16側の面およびフロアカーペット12aに臨む当接部24の面が平坦になっている。カバー部材20は、一般部分がシート材の厚みの10〜70%程度圧縮された厚みになる。例えば実施例1のカバー部材20は、吸音層L1が8mm程度で、圧縮層L2が2mm程度で構成されて一般部分が10mmの厚みに設定され、枠部26,28,30が3〜4mmの厚さに設定されている。
【0019】
前記本体部22は、カバー部材20の大部分を構成する板状部分であって、空調装置の乗員の足下用のエアアウトレットが配設される開口部22aが、必要に応じて設けられる(図1参照)。また、実施例1の本体部22には、インストルメントパネル10側の端部に、インストルメントパネル10に対する取り付け用の取付孔22bが車幅方向に離間して複数開設されている。なお、本体部22には、開口部22aを囲んで圧縮層L2だけからなる補強用の本体枠部30が設けられている。
【0020】
前記当接部24は、本体部22のダッシュパネル12に相対する端部に形成され、カバー部材20を取り付けた際に、ダッシュパネル12の乗員室14側下部を構成するフロアカーペット12aに当接するようになっている(図6参照)。当接部24は、本体部22をなすシート材の端部を所要形状に形成することで本体部22と一体的に形成されている。当接部24は、本体部22との接続部位で少なくとも曲がって、フロアカーペット12aとの当接面が本体部22の延在面と交差する方向に延在するよう形成されている。また、当接部24は、本体部22との接続部位およびフロアカーペット12aとの当接面の間に該当接面の撓曲を許容する空間24aを画成するように曲げて形成され、実施例1の当接部24は、内部空間16側が凸で、乗員室14側が凹になる断面逆U字状に形成されている(図2〜4参照参照)。カバー部材20は、インストルメントパネル10側の端部をインストルメントパネル10に取り付けた際に、当接部24がフロアカーペット12aに干渉するように寸法設定され、干渉分を当接部24が撓むことで吸収するように構成される。また、当接部24は、フロアカーペット12aに当接する側の面が吸音層L1で構成されるのが好ましい。
【0021】
前記当接部24には、圧縮層L2のみからなる支持枠部(枠部)26が設けられている(図3または図4参照)。支持枠部26は、線条または一定幅を有する細長い面状に形成され、当接部24におけるフロアカーペット12aとの当接辺と交差する方向に延在するように設けられている。また、支持枠部26は、当接部24における本体部22との接続部位から当接部24の先端にかけて連続して設けられている。そして、当接部24には、フロアカーペット12aとの当接辺に沿う方向に離間して、複数の支持枠部26が設けられる。支持枠部26は、当接部24の厚み方向に弾性変形可能に構成されている。なお、支持枠部26は、フロアカーペット12aにおけるインストルメントパネル10と反対側に凹む部位に対応して設けるとよい。
【0022】
前記本体部22には、圧縮層L2のみからなる補助枠部28および本体枠部30が設けられている(図1参照)。補助枠部28および本体枠部30は、線条または一定幅を有する細長い面状に形成されている。補助枠部28は、本体部22における当接部24との接続部位に設けられ、当接部24の当接辺に沿って延在するよう形成される(図3または図4参照)。補助枠部28は、支持枠部26と交差する方向に延在し、支持枠部26の後端に繋がっている。
【0023】
前記本体枠部30は、本体部22の一方の端縁からこの一方の端縁に対向する他方の端縁に向けて延在する直線ライン30aと、本体部22の外周縁から内側に位置して外周縁に沿って延在するように設けられる周縁ライン30bとを有している(図1参照)。直線ライン30aは、一方の端縁から他方の端縁に亘って連続して設けるのがよく、直線ライン30aは、支持枠部26の後端に繋げて形成されている。また、実施例1の本体部22には、前後方向に延在する直線ライン30aと車幅方向に延在する直線ライン30aとが交差するように設けられ、本体枠部30が格子状に設けられている。周縁ライン30bは、補助枠部28の端部に繋がるように形成され、補助枠部28と本体枠部30の周縁ライン30bとによりカバー部材20の外周縁全周に亘って縁取りされる。
【0024】
差込部32は、フロアカーペット12aから離間して対向する縁部に、フロアカーペット12a側へ突出するように形成されている(図1参照)。差込部32は、カバー部材20の取り付けにあたって、エアコンユニット等の支持対象物18に設けられた孔部18aに差し込まれるようになっている(図5参照)。また、差込部32は、ほぼ圧縮層L2だけから構成されている。実施例1の差込部32は、下側に開口する溝が差し込み方向に延在する断面逆U字状を基本形状とし、該逆U字状の両端縁に鍔部が外方へ向けて延出形成されている。差込部32は、内部空間16側の端部から乗員室14側の端部までの上下幅が、一般部分の厚みと比べて大きくなるよう形成されている。実施例1のカバー部材30は、10mm程度に設定された一般部分の厚みに対し、差込部32の上下幅が15〜20mm程度に設定されている。
【0025】
次に実施例1のカバー部材20の製造方法について簡単に説明する。カバー部材20の成形に用いられる成形型は、カバー部材の上側に対応する成形面を有する上型と、カバー部材20の下側に対応する凹状の下成形面を有する下型とから構成されている。また、成形型は、上型が特に加熱されずにシート材(シート材を構成する繊維)の融点未満で用いられるのに対し、下成形面を前記融点以上に昇温可能な加熱手段(図示せず)が下型に設けられている。なお、加熱手段としてはヒータ等が採用される。すなわち、成形型において、不織布からなるシート材は、上型の上成形面に当接する面が繊維の融点未満の温度で保持されると共に、下型の下成形面に当接する面が繊維の融点より高い温度で加熱される。また、下型の下成形面は、カバー部材20の枠部26,28,30に対応する部位が凸状に形成されており、上成形面と下成形面の凸状部との間が、カバー部材20の一般部分を規定する上成形面と下成形面との間より狭くなっている。
【0026】
前記成形型を用いたカバー部材20の製造ステップについて説明する。上型と下型とが開かれた成形型に不織布からなるシート材をセットし、型閉めする。シート材は、成形面に合わせて賦形されるが、カバー部材20の上側となる一方の面が上型の上成形面から加熱されず、カバー部材20の下側となる他方の面が下型の下成形面を介して加熱される。シート材は、他方の面が下成形面から加熱されることで、下成形面側から熱が伝わる範囲にある領域の繊維が溶融して互いに融着する。これに対して、シート材は、一方の面が上成形面から加熱されず、繊維間の空気層によって断熱性がよいので、下成形面からの加熱の影響を一方の面側が受け難く、一方の面側にある繊維が溶融せず、加工前のシート材の繊維状態を維持している。すなわち、シート材においてカバー部材20の一般部分をなす部分は、成形型において下成形面側に緩やかに押し付けられて、加熱手段を有する下成形面側が成形前の状態より繊維の密集度が密になる一方、上成形面側の繊維の密集度が下成形面側より疎になっている。
【0027】
前記シート材においてカバー部材20の枠部26,28,30をなす部分は、下型の凸状部によって一般部分をなす部分より圧縮されて凹状の溝が他方の面側に形成されると共に、溝の底部分の厚みが薄くなるので、下成形面側から熱が溝の底部分における厚み方向全体に伝わる。これにより、シート材は、溝の底部分における厚み方向全体で繊維が溶融して互いに融着すると共に、溝の壁面において凸状部から熱の伝わる領域にある繊維が溶融して互いに融着する。そして、シート材は、成形型において上成形面と下成形面の凸状部との間で加圧されて、厚み方向全体に下型からの熱が伝わり、枠部26,28,30において成形前の状態より厚み方向全体の繊維の密集度が密になる。
【0028】
そして、成形型から取り出して冷却することで、下成形面側の溶融した繊維が溶融して互いに融着した状態で固化して圧縮層L2が形成され、上成形面側に加工前の空隙がある繊維状態を保った吸音層L1が形成されたカバー部材20が得られる。また、カバー部材20には、圧縮層L2と吸音層L1とを備える一般部分と併せて、厚み方向全体が圧縮層L2で形成された枠部26,28,30が乗員室14側に凹むように形成される。カバー部材20は、一枚のシート材を型成形することで、吸音層L1および圧縮層L2を同時に、かつ一体的に形成される。また、カバー部材20は、本体部22、当接部24、枠部26,28,30および差込部32についても、同時に、かつ一体的に成形される。このように、カバー部材20は、簡単に製造することができる。
【0029】
前記カバー部材20は、本体部22におけるインストルメントパネル10側の端部をインストルメントパネル10の下端部に合わせ、前記取付孔22bにプッシュリベット等の取り付け手段を嵌合することで取り付けられる。また、カバー部材20は、フロアカーペット12a側に設けた差込部32を孔部18aに挿入すると共に(図5参照)、当接部24がフロアカーペット12aに弾力的に当接することで、ダッシュパネル12とインストルメントパネル10の下端部との間を塞いでいる(図6参照)。ここで、カバー部材20は、吸音層L1がダッシュパネル12とインストルメントパネル10との間の内部空間16に面するよう上向きで、圧縮層L2が乗員室14側に面する下向きになるように取り付けられる。カバー部材20は、内部空間16に臨む吸音層L1で内部空間16側で発生するエンジン音等の騒音を吸収すると共に、吸音層L1に裏打ちされた圧縮層L2で騒音の乗員室14側への漏れを遮断することができる。すなわち、カバー部材20は、吸音と遮音との2つの組み合わせにより音の漏れを防ぐことができ、同じ厚さの合成樹脂板や不織布シートと比べて高い防音効果を有している。
【0030】
前記カバー部材20は、圧縮層L2において繊維が融着して、成形前のシート材より繊維が密になることで、圧縮層L2の剛性が成形前のシート材より向上し、成形型で賦形された本体部22や当接部24等の形状が圧縮層L2によって保持される。すなわち、カバー部材20は、合成樹脂のソリッド材と比べて柔軟・軽量な不織布からなるシート材を成形して構成されるが、吸音層L1によって不織布特有の吸音性能を担保しつつ、補強部材を別に組み合わせることなく、適切な形状を保つことができる。
【0031】
前記カバー部材20は、シート材の厚み方向の一部領域の繊維を融着して形成される圧縮層L2と比べて、シート材の厚み方向全体を融着して形成される枠部26,28,30の剛性が高いので、枠部26,28,30によって補強される。更に、カバー部材20は、枠部26,28,30に対応する凹み部分の立体形状によっても補強される。ここで、実施例1のカバー部材20では、一般部分の圧縮層L2側が凹むように枠部26,28,30が形成されるので、凹み部分の壁についても圧縮層L2で構成され、前述した立体形状による補強だけでなく、圧縮層L2自体の剛性によっても補強される。このように、カバー部材20は、枠部26,28,30によって補強されるので、車両走行時の振動や乗員との接触等によっても変形し難く、フロアカーペット12aとインストルメントパネル10の下端部との間を塞ぐ取り付け状態を保つことができる。
【0032】
前記カバー部材20は、フロアカーペット12aに対して当接部24が当接するようになっている。当接部24は、本体部22との接続部位から端縁に向けて延在する支持枠部26によって、フロアカーペット12aとの突き当て方向に弾性変形可能に支持される。カバー部材20は、インストルメントパネル10に取り付けた際に、当接部24がフロアカーペット12aに僅かに干渉するように設定され、当接部24の当接面が本体部22との接続部位側へ撓んだ状態に弾性変形している。このように、カバー部材20は、当接部24の変形によって、フロアカーペット12aの凹凸、ダッシュパネル12やインストルメントパネル10等の関連部材間の取り付けあるいは寸法誤差等に対して、当接部24が変形して追従することで、フロアカーペット12aとインストルメントパネル10の間の隙間をより確実に塞ぐことができる。また、カバー部材20は、車両走行時の振動等によるずれを当接部24が変形することで吸収することができ、フロアカーペット12aとインストルメントパネル10の間の隙間を塞いだ状態を維持することができる。
【0033】
前記当接部24は、吸音層L1より剛性が高い圧縮層L2からなる支持枠部26で弾力的に支持されているので、当接部24の内部空間に臨む柔軟な吸音層L1による防音作用を維持したまま、フロアカーペット12aとの当接状態を適切に保つことができる。当接部24は、剛性の高い支持枠部26によってへたり難くすることができ、経年変化による当接状態の変化を抑えることができる。このように、カバー部材20は、ダッシュパネル12とインストルメントパネル10との間をより隙間なく塞ぐことができるので、乗員室14からの調温空気が内部空間16側へ逃げ難くすることができ、乗員室14の空調効率を向上できる。更に、カバー部材20は、ダッシュパネル12とインストルメントパネル10との間をより隙間なく塞ぐことができるので、防音効果を向上できる。
【0034】
前記当接部24は、本体部22との接続部位と当接面との間に空間24aが画成される断面逆U字形状に形成されているので、フロアカーペット12aとの当接下に変形し易くなっている。つまり、当接部24は、当接面におけるフロアカーペット12aと反対側に空間24aがあるので、当接面の変形が当該空間24aによって許容される。すなわち、実施例1の当接部24によれば、フロアカーペット12aに対する追従性をより向上することができ、カバー部材20の遮蔽効果が増す。また、断面逆U字形状の当接部24は、凸部が内部空間16側となるようにフロアカーペット12aに当接するので、車両走行時等の振動によって当接部24が乗員室14側にずれることを防止することができる。
【0035】
前記カバー部材20は、本体部22における当接部24との接続部位に該当接部24の当接辺に沿って延在する補助枠部28を有しているので、当接部24と本体部22との接続部分での屈曲を抑制することができる。カバー部材20は、当接部24と本体部22との接続部分での変形を抑制することで、当接部24自体の変形を優先して発現させることができ、支持枠部26によって弾力的に支持された当接部24の弾性変形に由来する前述したフロアカーペット12aに対する適切な当接状態を享受し得る。
【0036】
前記カバー部材20は、本体部22に本体枠部30を設けてあるので、本体部22の剛性を向上することができる。しかも、カバー部材20は、補助枠部28に繋げて、本体部22の周縁に沿って本体枠部30の周縁ライン30bを設けることで、外周縁を補強することができる。
【0037】
前記カバー部材20は、当接部24の吸音層L1がフロアカーペット12aに当接するようになっている。このように、カバー部材20は、圧縮層L2と比べて柔軟な吸音層L1がフロアカーペット12aに当接するので、両部材20,12aの接触による音の発生を回避でき、吸音層L1自体が撓んでフロアカーペット12aの凹凸に一層追従し易くなる。また、カバー部材20は、当接部24の支持枠部26がフロアカーペット12aに当接する面と反対面が凹となるように形成され、当接部24のフロアカーペット12a側の面を平坦に形成しているので、フロアカーペット12aとの間に隙間がよりでき難い。
【実施例2】
【0038】
実施例1のカバー部材20は、乗員室14側が凹となるよう枠部26,28,30を形成したが、図7および図8に示す実施例2のカバー部材40のように、内部空間16側が凹になるように枠部26,28,30を形成してもよい。実施例2のカバー部材40は、内部空間16側が凹むように枠部26,28,30が形成され、乗員室14側の面が平坦になっている。実施例2のカバー部材40は、枠部26,28,30の凹む側が実施例1と反対の構成であるだけで、シート材の材質や各部の寸法関係等が実施例1と同様であるので、各部について実施例1と同じ符号を付し、実施例1と異なる部分について以下説明する。
【0039】
実施例2のカバー部材40の成形に用いられる成形型は、実施例1のカバー部材20の成形に用いる成形型と基本構成が同一であるが、上型の上成形面におけるカバー部材40の枠部26,28,30に対応する部位が凸状に形成されている点で異なっている。すなわち、実施例2の成形型は、下型の下成形面が平坦に形成され、上成形面の凸状部と下成形面との間が、カバー部材40の一般部分を規定する上成形面と下成形面との間より狭くなっている。
【0040】
実施例2のカバー部材40の一般部分は、前述した実施例2の成形型で実施例1と同様に成形される。シート材においてカバー部材40の枠部26,28,30をなす部分は、上型の凸状部によって一般部分をなす部分より圧縮されて凹状の溝が一方の面側に形成されると共に、溝の底部分の厚みが薄くなるので、下成形面側から熱が溝の底部分における厚み方向全体に伝わる。これにより、シート材は、溝の底部分における厚み方向全体で繊維が溶融して互いに融着すると一方、溝の壁面に下型面から熱が伝わり難いので当該壁面が賦形されるだけでシート材の当初繊維状態が維持される。そして、シート材は、成形型において上成形面の凸状部と下成形面との間で加圧されて、厚み方向全体に下型からの熱が伝わり、枠部26,28,30において成形前の状態より厚み方向全体の繊維の密集度が密になる。
【0041】
そして、成形型から取り出して冷却することで、下成形面側の溶融した繊維が溶融して互いに融着した状態で固化して圧縮層L2が形成され、上成形面側に加工前の空隙がある繊維状態を保った吸音層L1が形成されたカバー部材40が得られる。また、カバー部材40には、圧縮層L2と吸音層L1とを備える一般部分と併せて、厚み方向全体が圧縮層L2で形成された枠部26,28,30が内部空間16側に凹むように形成される。
【0042】
実施例2のカバー部材40は、前述した実施例1のカバー部材20の作用効果に加えて以下のような作用効果を奏する。実施例2のカバー部材40は、枠部26,28,30を内部空間16側に凹むように設けることで、乗員室14側の面を平坦等、枠部26,28,30の凹形状に影響されることない任意の意匠形状とすることができる。すなわち、実施例2のカバー部材40は、乗員室14の乗員から見難いが視認可能な乗員室14側の面に関して形状の自由度が高い利点を有している。また、実施例2は、加熱しない型面側に凸状部が設けられ、成形したカバー部材40が実施例1の型構造と比べて凸状部にくっつき難いので、成形型から脱型し易い。なお、実施例2のカバー部材40は、当接部24におけるフロアカーペット12aに当接する側が支持枠部26により凹んでいる。しかし、カバー部材40は、当接部24が吸音層L1でフロアカーペット12aに当接するので、支持枠部26による当接部24の弾性付勢下に吸音層L1が圧縮されて支持枠部26の凹みが潰される。従って、実施例2のカバー部材40は、内部空間16側に凹むように支持枠部26を設けたとしても、実施例1と遜色のない遮蔽性能が得られる。
【実施例3】
【0043】
図9〜11に示すように、実施例3のカバー部材50は、当接部24に設ける支持枠部26を乗員室14側に凹むように形成する一方、本体部22に設ける補助枠部28および本体枠部30を内部空間16側に凹むように形成している。実施例3のカバー部材50は、当接部24の内部空間16側およびフロアカーペット12aに臨む面が平坦に形成されると共に、本体部22の乗員室14側の面が平坦になっている。実施例3のカバー部材50は、補助枠部28および本体枠部30の凹む側が実施例1と異なる構成であるだけで、シート材の材質や各部の寸法関係等が実施例1と同様であるので、各部について実施例1と同じ符号を付し、実施例1と異なる部分について以下説明する。
【0044】
実施例3のカバー部材50の成形に用いられる成形型は、実施例1のカバー部材20の成形に用いる成形型と基本構成が同一であるが、下成形面における当接部24の支持枠部26に対応する部位が凸状に形成されると共に、上成形面における本体部22の補助枠部28および本体枠部30に対応する部位が凸状に形成されている点で異なっている。すなわち、実施例3の成形型は、下型の下成形面における本体部22に対応する部位が平坦に形成され、上型の上成形面における当接部24に対応する部位が平坦に形成されている。そして、実施例3の成形型は、上成形面と下成形面の凸状部との間が、当接部24の一般部分を規定する上成形面と下成形面との間より狭くなり、上成形面の凸状部と下成形面との間が、本体部22の一般部分を規定する上成形面と下成形面との間より狭くなっている。
【0045】
実施例3のカバー部材50の一般部分は、前述した実施例3の成形型で実施例1と同様に成形される。シート材において本体部22の補助枠部28および本体枠部30をなす部分は、上型の凸状部によって一般部分をなす部分より圧縮されて凹状の溝が一方の面側に形成されると共に、溝の底部分の厚みが薄くなるので、下成形面側から熱が溝の底部分における厚み方向全体に伝わる。また、シート材において当接部24の支持枠部26をなす部分は、下型の凸状部によって一般部分をなす部分より圧縮されて凹状の溝が他方の面側に形成されると共に、溝の底部分の厚みが薄くなるので、下成形面側から熱が溝の底部分における厚み方向全体に伝わる。これにより、シート材は、溝の底部分における厚み方向全体で繊維が溶融して互いに融着し、成形前の状態より厚み方向全体の繊維の密集度が密になる。
【0046】
そして、成形型から取り出して冷却することで、下成形面側の溶融した繊維が溶融して互いに融着した状態で固化して圧縮層L2が形成され、上成形面側に加工前の空隙がある繊維状態を保った吸音層L1が形成されたカバー部材50が得られる。また、カバー部材50には、圧縮層L2と吸音層L1とを備える一般部分と併せて、厚み方向全体が圧縮層L2で形成された支持枠部26が乗員室14側に凹むように形成されると共に、厚み方向全体が圧縮層L2で形成された補助枠部28および本体枠部30が内部空間16側に凹むように形成される。
【0047】
実施例3のカバー部材50は、前述した実施例1のカバー部材20の作用効果に加えて以下のような作用効果を奏する。実施例3のカバー部材50は、本体部22に設けられる補助枠部28および本体枠部30を内部空間16側に凹むように形成することで、本体部22における乗員室14側の面を平坦等、補助枠部28および本体枠部30の凹形状に影響されることない任意の意匠形状とすることができる。すなわち、実施例3のカバー部材50は、乗員室14の乗員から見難いが視認可能な本体部22の乗員室14側の面に関して形状の自由度が高い利点を有している。また、実施例3のカバー部材50は、実施例1と同様に、当接部24の支持枠部26がフロアカーペット12aに当接する面と反対面が凹となるように形成され、当接部24のフロアカーペット12a側の面を平坦に形成しているので、フロアカーペット12aとの間に隙間ができ難い。従って、実施例3のカバー部材50によれば、優れた遮蔽性能と意匠の高い自由度を併有している。
【0048】
(変更例)
前述した実施例に限定されず、以下のように変更してもよい。
(1)実施例では、当接部24の先端から本体部22との接続部位にかけて支持枠部26を設けたが、図12(b)に示すように、当接部24を弾力的に支持し得るのであれば支持枠部26を当接部24の一部だけに設ける構成も採用できる。図12(b)に示す変更例1のカバー部材60は、本体部22の延在方向と異なる方向(内部空間16側)へ延出する片部25aと、この片部25aに対向して設けられたフロアカーペット12aに臨む片部25bと、これらの片部25a,25bを繋ぐ湾曲部25cとから逆U字形状の当接部24が形成されている。変更例1の支持枠部26は、当接部24における本体部22との接続部位からフロアカーペット12aに臨む片部25bの途中にかけて設けられ、当接部24の先端部に支持枠部26が存在していない。このように、変更例のカバー部材60のように、当接部24において支持枠部26が延在する領域を変えることで、当接部24のフロアカーペット12aに対する当接力を調節できる。
(2)実施例では、当接部24の先端から本体部22との接続部位にかけて圧縮層L2を設けたが、図12(a)に示すように、圧縮層L2を当接部24の一部だけに設ける構成も採用できる。図12(a)に示す変更例1のカバー部材60は、当接部24における本体部22との接続部位からフロアカーペット12aに臨む前記片部25bの途中にかけて圧縮層L2が設けられ、当接部24の先端部に圧縮層L2が存在せず、該先端部が吸音層L1だけで構成されている。このように、変更例1のカバー部材60のように、当接部24の先端部に圧縮層L2および支持枠部26を形成せずに、先端部を吸音層L1で構成することで、吸音層L1の柔軟性を利用してフロアカーペット12aの凹凸への追従性を向上することができる。特に、実施例2で説明したフロアカーペット12aに臨む面が凹むように支持枠部26を形成する構成では、変更例のように構成することで当接部24の先端部が潰れて支持枠部26の凹みを埋めるので遮蔽性能の向上に寄与し得る。
【0049】
(3)図13および図14に示す変更例2のカバー部材70のように、枠部26,28,30の全部または一部に沿ってフレーム72を設ける構成も採用できる。フレーム72は、ポリプロピレン等の合成樹脂からなるソリッド体であって、枠部26,28,30を構成する圧縮層L2に接着されている。すなわち、変更例2のカバー部材50は、フレーム72を設けることで、枠部26,28,30による補強に加えて、剛性を更に向上することができる。なお、変更例2では、実施例2で説明したカバー部材40にフレーム72を適用した場合を挙げている。
【0050】
変更例2のカバー部材70の製造方法を簡単に説明すると、実施例2で説明した成形型を用いて得られたカバー部材50を下型にセットしたまま、上型を枠部28,30に対応して凹部が設けられた別の上型に変える。そして、別の上型を型閉めすることで、別の上型の凹部と枠部28,30との間に形成される空間にインジェクション成形等によってフレーム72を成形する。これにより、枠部28,30の凹んだ側にフレーム72が接着された変更例2のカバー部材70が得られる。このように製造することで、変更例2のカバー部材70は、枠部28,30の空隙が潰れた圧縮層L2で空間を画成してフレーム72を成形するから、圧縮層L2を介して樹脂原料が漏れることはなく、また吸音層L1に樹脂原料が染み込むことを回避できる。従って、変更例2のカバー部材50は、フレーム72を形成することによって吸音層L1の物性が損なわれることはなく、フレーム72を簡単に一体的に形成することができる。なお、フレーム72は、本体部22および当接部24等と別に成形して接着または溶着してもよい。
【0051】
(4)実施例および前記変更例では、当接部を断面U字状に形成したが、フロアカーペットに対する突き当て方向に撓曲可能な形状であれば、断面L字状や凹凸が並ぶ蛇腹状であってもよい。
(5)当接部において、支持枠部が一方の側に凹む構成だけでなく、内部空間側に凹む支持枠部と乗員室側に凹む支持枠部とが混在する構成であってもよい。同様に、本体部において、枠部が一方の側に凹む構成だけでなく、内部空間側に凹む枠部と乗員室側に凹む枠部とが混在する構成であってもよい。
(6)実施例および前記変更例では、本体部に本体枠部を碁盤目状に形成したが、これに限定されず、前後方向にだけ並行形成する構成や、円や多角形が連なる形状等であってもよい。
(7)実施例および前記変更例では、ダッシュパネルとインストルメントパネルとの間の内部空間側に吸音層を配置し、乗員室側に圧縮層を配置したが、内部空間側に圧縮層を配置してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 インストルメントパネル、12 ダッシュパネル(仕切壁)、14 乗員室、
22 本体部、24 当接部、24a 空間、26 支持枠部、28 補助枠部、
30 本体枠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員室に臨ませて設置されるインストルメントパネルとこのインストルメントパネルに対向して設置される仕切壁との間の隙間を塞ぐカバー部材において、
板状の本体部と、
前記本体部の前記仕切壁に相対する端部に設けられ、該仕切壁に当接する当接部と、
前記当接部に前記仕切壁との当接辺と交差する方向に延在するよう設けられ、該当接部を弾力的に支持する支持枠部とを備え、
前記本体部、当接部および支持枠部は、不織布または発泡体のシート材からなり、
前記本体部および当接部は、空隙を有する吸音層と、前記シート材を圧縮して該吸音層より密に形成された圧縮層とを厚み方向に重ねて構成され、
前記支持枠部は、前記シート材の厚み方向全体を前記吸音層より密になるよう圧縮して形成される
ことを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記本体部における当接部との接続部位には、前記シート材の厚み方向全体を前記吸音層より密になるよう圧縮して形成されて、該当接部における前記仕切壁との当接辺に沿って延在する補助枠部が前記支持枠部に繋げて設けられる請求項1記載のカバー部材。
【請求項3】
前記当接部は、前記本体部との接続部位および前記仕切壁との当接面の間に該当接面の撓曲を許容する空間を画成するように曲げて形成される請求項1または2記載のカバー部材。
【請求項4】
前記本体部には、前記シート材の厚み方向全体を前記吸音層より密になるよう圧縮して形成された本体枠部が設けられる請求項1〜3の何れか一項に記載のカバー部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−218870(P2011−218870A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87330(P2010−87330)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】