説明

カプセル封入されたシリコーン化合物を含有する組成物

【課題】ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための化粧用組成物の提供。
【解決手段】少なくとも1の化合物X、少なくとも1の化合物Yおよび少なくとも1の触媒を生理学的に許容される媒体中に含み、化合物XまたはYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物XおよびYは触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、化合物XおよびYの少なくとも1の化合物はカプセル封入された形で上記組成物中に存在し、上記触媒は該カプセル封入された化合物XまたはYの少なくとも1と一緒にされている組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切ならば触媒または過酸化物の存在下で、互いに反応することができる少なくとも1の化合物Xおよび少なくとも1の化合物Yを含む化粧用組成物に関し、上記化合物の少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物の少なくとも1はカプセル封入された形である。
【0002】
本発明に従って考慮される組成物は、ケラチン性物質、特に皮膚、唇および外皮、のケアおよび/またはメイクアップのために特に意図される。
【背景技術】
【0003】
一般に、化粧用組成物は、審美的効果を付与することが意図され、この審美的効果は一般に、メイクアップおよび/またはケア製品の膜を係る基体、例えば顔、唇、まつげおよび爪、の上に形成することにより得られる。
【0004】
明らかな理由のために、これらの膜の快適さ、持続性および/または非移り性の質の最適化は、化粧分野では常に関心事である。
【0005】
シリコーン化合物を含むいくつかの系が、適切ならば触媒または過酸化物の存在下での、これらの化合物の簡単な接触により、ポリマー性シリコーン膜を製造することができることが知られている。すなわち、例えば下記で定義されるような、化合物Xおよび化合物Yとして知られる化合物は、大気圧下および環境温度でインシチューで重合しかつ有利には生物学的適合性で、べとつかず(non-tacky)、わずかにオパール色であり、または剥皮性(peelable)ですらある膜を形成することができることがわかる。そのような系は、特に、国際公開WO01/96450および英国特許GB2407496に部分的に記載されている。しかし、これらの化合物の高い反応性を考慮すると、膜の早すぎる形成を防ぐために、それらを別々に包装することが必須である。
【0006】
その結果、ケアおよび/またはメイクアップ分野でのこれらの系の使用は、適切ならば触媒または過酸化物の存在下で行なわれる、その系を形成する上記2の化合物の混合が、係る基体との接触で単に生じ、または基体へのその施与の直前に即座に製造されるに過ぎないことを保証するために、複動式生成物のものに類似した包装または施与すらのやり方を課す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2つの化合物を別々に、または適切ならば2つの化合物および触媒または過酸化物を別々に包装するというこの要求が、調合者および使用者の両方にとって、ない方が望ましいであろうところの制約を意味することは明らかである。
【0008】
本発明は、この制約を克服することを特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明者らは、そのような系を、その2つの成分の反応性を害することなく、単一の組成物として調製することができることを見出した。
【0010】
特に、本発明は、その局面の1によれば、ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのために意図される化粧用組成物に関し、該組成物が、少なくとも1の化合物Xおよび少なくとも1の化合物Yおよび所望により少なくとも1の触媒または過酸化物を生理学的に許容される媒体中に含み、化合物XまたはYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物XおよびYは、触媒の存在下でのヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、または縮合反応によって互いに反応することができ、または過酸化物の存在下での架橋反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび、存在するときの触媒または過酸化物の少なくとも1の化合物が、カプセル封入された形で上記組成物中に存在し、化合物XおよびYが触媒の存在下でのヒドロシリル化反応によって互いに反応することができるとき、上記触媒は、カプセル封入された化合物XまたはYの少なくとも1と一緒にされている。
【0011】
本発明の意味において、上記2つの化合物XおよびYは1つの同じカプセル中に触媒との組み合わせでは存在しないと理解される。これは、なせならば、それらの反応性に関して、それらの反応生成物のみがそのとき組成物内に存在するであろうからである。しかし、本発明の文脈においておよび組成物の定義から明らかなように、2つの化合物XおよびYは、互いに別々に置かれ得る。
【0012】
本発明の1の好ましい変形によれば、2つの化合物XおよびYは両方とも、別々にカプセル封入された形で存在する。
【0013】
特に、カプセル封入された形が、コア/シェル型のナノカプセルであり、上記カプセルの親油性のコアが、少なくとも1の化合物Xから、または少なくとも1の化合物Yから、または上記組成物中に存在する化合物Xおよび化合物Yの相互作用のために必要ならば少なくとも1の触媒または過酸化物を含む油から完全にまたは部分的に形成され、上記触媒は、化合物Xまたは化合物Yと共にカプセル封入されている。
【0014】
1の有利な実施態様によれば、ナノカプセルのシェルが、ポリカプロラクトンから選択される少なくとも1のポリマーを含む。
【0015】
本発明の別の局面によれば、本発明は、カプセル封入された形の少なくとも1の化合物X、カプセル封入された形の少なくとも1の化合物Yおよび/または化合物Xと化合物Yとの相互作用に必要ならばカプセル封入された形の少なくとも1の触媒または過酸化物を、ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための組成物を製造するために使用する方法に関し、上記組成物は、生理学的に許容される媒体を含み、かつ上記ケラチン性物質への施与および乾燥の後に、触媒の存在下でのヒドロシリル化型の反応、または縮合反応、または過酸化物の存在下での架橋反応による化合物Xおよび化合物Yの反応から誘導されるポリマー性の膜を形成することが意図され、上記化合物XまたはYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンである。
【0016】
1の有利な実施態様によれば、触媒が存在するとき、触媒は、化合物X、Yおよび触媒が共通のカプセル中に一緒にカプセル封入されていないという条件で、化合物Xまたは化合物Yの一方を含むものと同じカプセル中に含まれる。
【0017】
すなわち、1実施態様によれば、触媒は、それに特異的であろうカプセル中には、すなわち、化合物Xおよび/またはYと別個の形では、カプセル封入されない。
【0018】
本発明はさらに、ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための美容コーティング方法を目的とし、該方法は、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって、または縮合反応によって、または過酸化物の存在下で架橋反応によって互いに反応することができる化合物XおよびYの混合物をケラチン性物質へ施与することを少なくとも含み、化合物XまたはYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記混合物が、生理学的に許容される媒体中に少なくとも1のそのような化合物X、少なくとも1のそのような化合物Yおよび所望により少なくとも1の触媒または過酸化物を含む化粧用組成物に由来し、化合物X、Yおよび存在するならば触媒または過酸化物の少なくとも1の化合物が、カプセル封入された形で上記組成物中に存在する。
【0019】
1実施態様によれば、組成物は、先に定義されたものであり得る。
【0020】
化合物XおよびYの混合物は、上記ケラチン性物質への施与の前に即座に、または上記組成物の上記ケラチン性物質への施与のときに得られ得る。
【0021】
本発明の意味において、こうして形成された混合物は、化合物Xおよび/またはYを、まだ反応していない形で、および排他的ではなく、ヒドロシリル化による、重縮合によるおよび/または過酸化物の存在下での架橋によるそれらの反応生成物の形で含むと理解されるべきである。
【0022】
すなわち、本発明に従う反応生成物の形成は、処置されるべきケラチン性物質の表面上で直接行なわれ得、または化合物XおよびYの、それらの相互作用に好ましい条件での即座の混合による施与の直前に開始され得、反応生成物の形成は、後者の場合には、ケラチン性物質の表面上で仕上げられる。
【0023】
明らかな理由のためにおよび化合物Xおよび/またはYの大きい反応性を考慮して、実際に必要なことは、それらの施与が、例えば特にその広がりに関して、それ(またはそれら)を含む組成物の操作性に好ましい条件で行われるべきであるということである。したがって、本発明に従う方法は、化合物XおよびYを含み、かつ、したがってXの全ておよび/またはYの全ての反応から生じる予期される最終の膜の形で固まらない組成物を使用する。
【0024】
下記に示される実施例から明らかになるように、本発明者らは、先に定義された組成物が、経時的に安定であることが分かり、かつポリマー性のシリコーン膜を形成するために有効なままであることを見出した。これらの組成物が基体、例えばケラチン性物質、上に膜の形で広げられるとき、カプセル封入された形は、乾燥すると壊れ、次いで化合物XおよびYが、適切な場合には触媒の存在下で、接触し、互いに反応して、剥皮性で、べとつかず、かつわずかにオパール色である膜を形成する。有利には、本発明に従う組成物は、係る基体へ膜の形で施与された組成物が乾いたときにのみ生じるところの化合物XおよびYの反応を遅らせることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
カプセル封入された形
化粧および薬剤分野では、活性剤を、特に、組成物内での増加された安定性を保証するという関係から、カプセル封入された形で配合することが通常である。
【0026】
特に、本発明の文脈内で考慮されるのは、コア/シェル型の特定の形である。これは、マイクロカプセルまたはナノカプセルとしても知られ、シェルはポリマー性であり、コアは親油性であり特に少なくとも1の油を含む。適切ならば触媒と組み合わされる化合物XまたはYは、この親油性コア内にカプセル封入される。
【0027】
この型のマイクロカプセルまたはナノカプセルを作るための多数の技術が現在、利用できる。
【0028】
最も慣用の方法は、乳化技術に基づき、そして、カプセル封入されるべき親油性活性剤の存在下で対応するモノマーを架橋することによりポリマー性シェルを同時合成することを含む。例えば、フランス国特許FR1583243は、サイズが0.1ミクロン〜数ミクロンであり化学架橋剤を使用する、油の小滴を含むマイクロカプセルを製造する方法を記載している。この技術はまた、国際公開WO02/09862に示されている。出願WO93/08908は、そのシェルがタンパク質の架橋に由来するところのナノカプセルを製造するためにこの同じ技術を使用している。出願WO02/051536自体は、モノマーの架橋によって得られる、70nm〜5μmのサイズを有する粒子の懸濁物を記載しており、この架橋は、懸濁物をUV照射に暴露することにより開始される。
【0029】
これらの技術は、化合物XおよびYのカプセル封入された形(適切な場合には触媒とともにカプセル封入される)を製造するために適用され得る。
【0030】
しかし、1の好ましい態様によれば、本発明にしたがって考慮されるカプセル封入された形はナノカプセルであり、化合物XまたはY、適切な場合には触媒または過酸化物、およびナノカプセルの外皮を形成しなければならないポリマーを溶媒に溶解することから成る溶媒置換として知られる技術によって特に得られる。ナノカプセルの形成は、この溶液に、攪拌しながら、上記ポリマー、化合物XまたはY、触媒および過酸化物を溶解することができないが、他方で、第一の溶媒と混和性である補助溶媒を添加することにより開始される。この技術は、EP274961およびEP1552820に特に示されている。
【0031】
1の好ましい変形によれば、使用される技術は特に、プレエマルジョンの形成を含む、EP1552820に記載されたものである。
【0032】
特に、この方法は下記を含む。
a)100℃以下の沸点を有する有機溶媒、
上記溶媒に可溶のポリマー、
少なくとも1の化合物XもしくはYまたは化合物Xと化合物Yとの相互作用に必要ならば一緒に存在する触媒もしくは過酸化物を含む油、および
非イオン性界面活性剤、
を少なくとも含む単相の液体有機相の形成、
b)少なくとも1の非イオン性界面活性剤および適切である場合にはイオン性界面活性剤を含む水性相の調製、
c)プレエマルジョンが得られるように、有機相(a)を水性相(b)中に分散させること、および
d)1μm以下の平均サイズを有し、その親油性コア中に少なくとも1の化合物XまたはYまたは化合物Xと化合物Yとの相互作用のために必要な触媒または過酸化物を含むナノカプセルの分散物の形成を得るために、(c)で得られたプレエマルジョンを均質化に付すこと。
【0033】
類似の方法はまた、その親油性コア中に、化合物Xと化合物Yとの相互作用のために必要な少なくとも1の触媒とともにカプセル封入された少なくとも1の化合物XまたはYを含むナノカプセルの分散物の形成を可能にする。
【0034】
粒子は、有機相および適切な場合には水のいくらかの蒸発の後に水性分散物の形で回収され、そしてこの形で本発明に従う化粧用組成物の製造に使用され得る。
【0035】
本発明に従って使用されるナノカプセルのシェルは、ポリマー性である。
【0036】
特に、本発明にしたがって使用されるナノカプセルのシェルは、ポリマー性であって架橋されておらず、水不溶性であり、かつナノカプセルのコアに不溶である。
【0037】
一般に、天然または合成起源の、水と混和しない溶媒中に可溶の全てのポリマー、特に大気圧下での水の沸点(100℃)より下の融点を有するものが適し得る。
【0038】
これらのポリマーは生物分解性であり得、例えばポリエステルであり得、または生物分解性でなくてもよい。
【0039】
本発明に適するポリマーの例として下記が特に挙げられ得る。
〜C12、特にC〜Cのアルキルシアノアクリレートポリマー、ここで、アルキル基は、エチル、n−ブチル、ヘキシル、イソブチルおよびイソヘキシル基から特に選択され得る、
ポリ(L−ラクチド)、ポリ(DL−ラクチド)、ポリグリコシドおよび対応するコポリマー、例えばDL−ラクチド/グリコリドコポリマー、グリコリド/カプロラクトンコポリマーなど、によって形成されるポリマー
ポリカプロラクトン、例えば40〜70℃の融点を有し、2,000〜100,000の分子量を有するポリカプロラクトン、例えばSolvayによって市販されているCAPA6806(80000のMW)、CAPA6100(10000のMW)、CAPA6506(50000のMW)、CAPA6250(25000のMW)、CAPA2803(8000のMW)、CAPA2403D(4000のMW)、
3−ヒドロキシ酪酸のポリマー、
塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、例えばRhone PoulencによってPHODOPAS AX 8515の商品名で販売されているもの、
メタクリル酸およびエステルコポリマー、特にメタクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマー、例えばRohm PharmaによってEUDRAGIT L 100の商品名で販売されているもの、
ポリビニルアセトフタレート、
セルロースアセトフタレート、
ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、
ポリエチレンビニルアセテート、
ポリアクリロニトリル、
ポリアクリルアミド、
ポリエチレングリコール、
ポリ(ヒドロキシ(C〜C)アルキルメタクリレート)、特にポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、
セルロースの誘導体、例えばセルロースおよび少なくとも1のC〜Cカルボン酸のエステル、特に2種のカルボン酸の混合セルロースエステル、
ポリスチレンおよびスチレン/無水マレイン酸コポリマー、スチレン/アクリル酸コポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック三元ポリマー、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック三元ポリマー、
スチレンアルキルアルコールオリゴマー、
エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸三元ポリマー、
ポリアミド、
ポリエチレン、
ポリプロピレン、
ポリジメチルシロキサンを包含するオルガノポリシロキサン、
ポリアルキレンアジペート、これは、アジピン酸およびアルカンジオールのホモポリマーおよびアジピン酸および1以上のアルカンジオールおよび/またはエーテルジオールおよび/またはトリオールから得られるポリ(エステル/エーテル)型の直鎖状または分岐状コポリマーの両方を包含し、上記ポリアルキレンアジペートを製造するために使用されるアルカンジオールはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオールおよびネオペンチルグリコールから選択される直鎖状または分岐状の鎖を有するC〜Cのアルカンジオールであり得、エーテルジオールは、ジ−、トリ−またはテトラ−(C〜Cアルキレン)グリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ジブチレングリコールまたはテトラブチレングリコールであり、例えば、Witcoによって販売されているFOMREZ(商品名)製品およびScientific Polymer Productsからのポリエチレンアジペートが特に挙げられ得、例えばEastman Chemical からのEASTAR BIO(商品名)(ポリテトラメチレンアジペート−コテレフタレート)およびBASFからのECOFLEX F BX 7011(商品名)(1,4−ブタンジオール/テレフタル酸/アジピン酸三元ポリマー)が挙げられ得る、
脂肪族ジカルボン酸と少なくとも2のアルカンジオールとのまたは少なくとも1のアルカンジオールおよび少なくとも1のヒドロキシアルキルアルカンジオールとの重縮合によって得られるポリエステルポリオール、ここで、脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸(1,6−ヘキサン二酸)であり得、そのようなポリマーはFR2836381に特に記載されている、
ポリシルセスキオキサンシリコーンポリマー、特に式(R−SiO3/2のポリアルキルシルセスキオキサン、ここでRは直鎖状、分岐状または環状の、飽和または不飽和の炭化水素に基づく基を表し、例えば−C2n+1型(nは1〜20の範囲の整数である)のもの、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびエイコシル基、またはアリール基、特にフェニルまたはトリル基、またはシクロアルキル、特にシクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基、アルケニル基、特にビニルまたはアリル基、アラルキル基、特に2−フェニルエチルまたはベンジル基であり、Rはまた、1以上のハロゲン原子、特にフッ素または塩素を含み得、好ましくはRはメチル、エチル、プロピルまたはフェニル基であり、xは単位の数であり、1〜10、特に1〜4であり得、例えばWackerからのBELSIL PMS MK(商品名)またはShin EtsuからのRESIN KR220(商品名)が挙げられ得る、
末端ヒドロキシル官能基を有するデンドリマー性ポリエステル、特にFR2790405に記載されたもの、
水分散性であるが、水と混和しない溶媒に可溶であるポリマー、例えば、スルホン酸および/またはカルボン酸官能基を有する、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリウレタンおよびビニルコポリマー、特にFR2787729に記載されたもの、
環境温度で水に不溶でありかつ環境温度で固体であり、先のポリマーの1の少なくとも1のブロックを有するブロックコポリマー、および
それらの混合物。
【0040】
1実施態様によれば、ナノカプセルのシェルは、下記から成る群から選択される少なくとも1のポリマーを含み得る。
〜C12アルキルシアノアクリレートポリマー、
ポリL−ラクチド、ポリDL−ラクチド、ポリグリコリドおよび対応するコポリマー、
ポリカプロラクトン、
3−ヒドロキシ酪酸のポリマー、
塩化ビニルおよび酢酸ビニルのコポリマー、
ポリビニルアセトフタレート、
セルロースアセトフタレート、
ポリビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー、
ポリエチレンビニルアセテート、
メタクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマー、
ポリアクリロニトリル、
ポリアクリロアミド、
ポリエチレングリコール、
ポリ(C〜Cヒドロキシアルキルメタクリレート)、
セルロース誘導体
ポリスチレンおよびそのコポリマー、
スチレンアルキルアルコールオリゴマー、
エチレン、酢酸ビニルおよび無水マレイン酸の三元ポリマー、
ポリアミド、
ポリエチレン、
ポリプロピレン、
オルガノポリシロキサン、
ポリ(アルキレンアジペート)、
ポリオールポリエステル、
ポリシルセスキオキサンシリコーンポリマー、
ヒドロキシル末端官能基を有するデンドリマー性ポリエステル、および
それらの混合物。
【0041】
これらのポリマーまたはコポリマーは、1000〜500,000の、特に1500〜100,000の重量平均分子量を有し得る。
【0042】
ナノカプセルのシェルのポリマーは特に下記から選択され得る。
ポリカプロラクトン、
ポリビニルアセトフタレート、
セルロースアセトフタレート、
メタクリル酸およびエステルコポリマー
セルロール誘導体、
ポリスチレンおよびそのコポリマー、
ポリアミド、
オルガノポリシロキサン、
ポリアルキレンアジペート、および
それらの混合物。
【0043】
下記は、本発明に特に適する。すなわち、ポリアルキレンアジペート、オルガノポリシロキサン、ポリカプロラクトン、セルロースアセトフタレート、セルロースアセトブチレート、セルロースエステル、ポリスチレン、およびその誘導体である。
ポリカプロラクトンが好ましい。
【0044】
もちろん、当業者は、当業者の知識に基づいて、選択されるポリマーの分子量を、十分な乳化と両立する混合物粘度を有するように、溶媒中のその濃度に関して調整することができる。
【0045】
親油性コアに関して、それは、化合物X、化合物Y、または化合物Xおよび化合物Yの相互作用に必要ならば、少なくとも1の油中に調製された触媒もしくは過酸化物を含み、または化合物Xおよび/またはYとともにカプセル封入された触媒を含み、ただし、化合物X、Yおよび触媒は、1つの同じカプセル中に一緒にされない
【0046】
本発明の意味において、用語「油」は、全ての天然、植物性または動物性、または合成の油性物質を意味し、それは、40℃で液体であり、1以上の認められた生物学的活性剤を有していてもいなくてもよく、そして水に不溶である(環境温度で2重量%未満)。
【0047】
1実施態様によれば、本発明に従うナノカプセルは、1μ未満の、好ましくは500nm以下の、例えば200〜500nmの、好ましくは350nm以下の、例えば200〜350nmの平均直径(または「サイズ」)を有する。
【0048】
この直径は、例えばBroohaven InstrumentからのBI90+(商品名)機またはMalvern Mastersizer 2000(2μmより大きいφのために適応される)を用いて、動的光散乱に基づく測定技術にしたがって特に制御され得る。
【0049】
本発明の1変形によれば、化合物Xまたは化合物Yのおよび/または触媒のカプセル封入された形は、ラメラ相でコーティングされ得る。
【0050】
表現「ラメラ相」(EKWALLに従う相D)は、平行に配置されかつ液体媒体(一般には水)によって分離されたいくつかの両親媒性二層構造体を含む、面対称を有する液晶相を意味すると理解される。
【0051】
この表現のより正確な定義は、Ekwall (1968), Adv. Liq. Cryst.(Brown G.H., Ed.), Chap. 1, 14に示されている。この相は、偏光顕微鏡下で特徴的なテクスチャを有する。このより正確な記載は、Roservear(1968), JSCC, 19, 581およびLachampt et Vila (1969), Revue Francaise des Corps Gras[French Review of Fatty Substances], No. 2, 87-111に見ることができる。
【0052】
ナノカプセルにいわゆる「ラメラ」コーティングを与えることがしばしば望ましいまたは必要である。これは、生物学的膜に類似した両親媒性分子の二層から各々形成された1以上の脂質シートに組織化された構造である。本発明に従うナノカプセルのポリマー性外皮は、したがって、コーティング剤を形成する両親媒性分子の二重層で各々構成された1以上のシートに組織化された構造を有するラメラコーティングによって囲まれ得る。このコーティングは、ナノカプセルのサイズを調整するというその役割のほかに、活性剤が組成物の別の脂質相の方へ漏れることに関するナノカプセルのシールを改善する。
【0053】
コーティング剤は、疎水性を有する界面活性剤であり、それは、上記方法において使用される有機相に可溶であり、水の存在下で上記脂質二層を形成することができる。
【0054】
出願人によって使用される、活性素をカプセル封入するための方法において、このコーティング剤は、ポリマーおよび脂質相を含む有機相中に溶解される。
【0055】
そのようなコーティング剤の例として、リン脂質、例えばEP−A−447318に記載されたレシチン;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのいくつかの重縮合物、例えばBASFによってPLURONICの商品名で販売されている製品、例えばPLURONIC L121、またはICIによってSYNPERONICの商品名で販売されている製品;またはラメラ構造を形成し得るシリコーン界面活性剤(少なくとも1のオキシエチレン化されたおよび/またはオキシプロピレン化された鎖を含むシリコーン)、例えば米国特許第5364633号および同第5411744号明細書に記載されたものおよび特許出願FR−A2742677で使用されたもの、例えばDowCorningによってDC5329、DC7439−146、DC2−5695およびQ4−3667の名称で販売されているもの;およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0056】
ラメラ相はまた、イオン性両親媒性脂質を含み得る。後者はアニオン性脂質およびカチオン性脂質から選択され得る。
【0057】
本発明での使用に適する両親媒性脂質として、下記が挙げられ得る。
中和されたアニオン性脂質、例えばAjinomotoによってAcylglutamate HS21の名称で販売されているN−ステアロイルL−グルタミン酸の二ナトリウム塩、
両性脂質、好ましくはリン脂質、および
カチオン性両親媒性脂質、これは、イオン性両親媒性脂質として使用され得、4級アンモニウム塩、脂肪アミンおよびそれらの塩によって形成される群から特に選択され得る。
【0058】
本発明に従うナノカプセルを製造するための操作法に関して、当業者は、先に挙げたEP1552820の開示を特に参照することができる。界面活性剤の選択は、したがって、上記方法の実行が当業者の知識を使用することを要求する。
【0059】
化合物XおよびY
シリコーン化合物は、ポリオルガノシロキサン化合物を意味する。すなわち、少なくとも2のオルガノシロキサン単位、例えば少なくとも5のオルガノシロキサン単位、特に少なくとも10のオルガノシロキサン単位を含む。特定の実施態様によれば、化合物XおよびYの少なくとも1、または化合物Xおよび化合物Yがシリコーン化合物である。化合物XおよびYはアミノ化されていてもよく、またはアミノ化されていなくてもよい。
【0060】
別の実施態様によれば、化合物XおよびYの少なくとも1がポリマーであり、その主鎖がオルガノシロキサン単位で主に形成されている。下記に挙げられるシリコーン化合物のうち、いくつかは、例えばそれらのシリコーンの割合に依存して、またはそれらが特定の添加物と混合されて使用されるかどうかに依存して、膜形成性および接着性の両方を示し得る。したがって、提案された用途に応じて上記化合物の膜形成性または接着性を調整することが可能であり、これは、いわゆる「室温加硫」反応性エラストマー性シリコーンの場合にはそうである。
【0061】
化合物XおよびYは、室温〜180℃の温度で互いに反応し得る。有利には、化合物XおよびYは、室温(20±5℃)および大気圧で、または有利には触媒の存在下で、ヒドロシリル化反応または縮合反応によって、または過酸化物の存在下で架橋反応によって、互いに反応することができる。
【0062】
極性基
特定の実施態様によれば、化合物XおよびYの少なくとも1、例えば化合物Xは、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成することができる少なくとも1の極性基を有する。
【0063】
極性基とは、その化学構造における炭素原子および水素原子、および少なくとも1のヘテロ原子(例えば、O、N、SおよびP)を有する基を意味し、その結果、上記基は、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成することができる。
【0064】
水素結合を形成し得る少なくとも1の基を有する化合物は、それらを含む組成物にケラチン性物質へのより良好な接着性を付与するので、特に有利である。
【0065】
化合物XおよびYの少なくとも1が有する極性基は、水素結合を形成することができ、陰性原子に結合した水素原子または、陰性原子、例えば酸素、窒素または硫黄原子、を含む。上記基が、陰性原子に結合した水素原子を有するとき、上記水素原子は、例えば別の分子(例えばケラチン)が有する別の陰性原子と相互作用して水素結合を形成し得る。上記基が陰性原子を有するとき、上記陰性原子は、例えば別の分子(例えばケラチン)が有する、陰性原子に結合した水素原子と相互作用して水素結合を形成し得る。
【0066】
有利には、これらの極性基は、下記の基から選択され得る。
カルボン酸−COOH、
アルコール、例えば−CHOHまたは−CH(R)OH(Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である)、
式−NRのアミノ(RおよびRは同じでも異なっていても良く、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し、またはRまたはRの一方が水素原子であり、他方が1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す)、
ピリジノ、
式−NH−COR’または−CO−NH−R’ のアミド(R’は水素原子または1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す)、
好ましくは下記式の基から選択される、ピロリジノ、
【化1】

[ここで、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基である]、
式−O−CO−NH−R’または−NH−CO−OR’ のカルバモイル(R’は上記で定義した通りである)、
チオカルバモイル、例えば−O−CS−NH−R’または−NH−CS−OR’(R’は上記で定義した通りである)、
ウレイル、例えば−NR’−CO−N(R’)(R’は同じでも異なっていてもよく、上記で定義した通りである)、
スルホンアミド、例えば−NR’−S(=O)−R’(R’は上記で定義した通りである)。
【0067】
好ましくは、これらの極性基は、各化合物XまたはYの重量に対して10重量%以下の量で、好ましくは5重量%以下の量で、例えば1〜3重量%の量で存在する。
【0068】
上記極性基は、化合物Xおよび/またはYの主鎖中に位置し、または主鎖からぶらさがり、または化合物Xおよび/またはYの主鎖の末端に位置することができる。
【0069】
1.ヒドロシリル化によって反応可能な化合物XおよびY
1実施態様によれば、本発明は、ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのために意図される化粧用組成物に関し、該組成物が、少なくとも1の化合物X、少なくとも1の化合物Yおよび少なくとも1の触媒を生理学的に許容される媒体中に含み、化合物XまたはYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物XおよびYは触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、化合物XおよびYの少なくとも1の化合物はカプセル封入された形で上記組成物中に存在し、上記触媒はカプセル封入された化合物XまたはYの少なくとも1と一緒にされている。
【0070】
この実施態様によれば、化合物XおよびYは、触媒の存在下でヒドロシリル化によって反応することができ、上記反応は、下記のように単純化された様式で図式的に表される。
【0071】
【化2】


ここで、Wは1以上の不飽和脂肪族基を含む炭素鎖および/またはシリコーン鎖を表す。
【0072】
この場合には、化合物Xが、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含むシリコーン化合物から選択され得る。例えば、化合物Xは、シリコーン主鎖を含むポリオルガノシロキサンであり得、その不飽和脂肪族基は、主鎖からのペンダントであり(側基)、または上記化合物の主鎖の末端に位置している(末端基)。これらの特定の化合物を以降、不飽和脂肪族基を有するポリオルガノシロキサンと呼ぶ。
【0073】
1実施態様によれば、化合物Xおよび/または化合物Yは、上記したように、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成し得る少なくとも1の極性基を有する。この極性基は、有利には、化合物Xによって有され、化合物Xは少なくとも2の不飽和脂肪族基を有する。
【0074】
1実施態様によれば、化合物Xは、各々ケイ素原子に結合した少なくとも2の不飽和脂肪族基、例えば2または3のビニルまたはアリル基、を含むポリオルガノシロキサンから選択される。
【0075】
有利な実施態様によれば、化合物Xは、下記式(I)のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択される。
【0076】
【化3】

【0077】
ここで、Rは、1〜30の炭素原子、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または環状の1価の炭化水素基を表し、例えば、例えば1〜10の炭素原子を含む短鎖アルキル基、特にメチル基あるいはフェニル基、好ましくはメチル基であり、
mは1または2であり、
R’は、2〜10、好ましくは3〜5の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素基を表し、例えばビニル基または基−R”−CH=CHR”’(R”はケイ素原子に結合された、1〜8の炭素原子を有する2価の脂肪族炭化水素鎖であり、R”’は水素原子または1〜4の炭素原子を有するアルキル基であり、好ましくは水素原子である)であり、基R’として、ビニル基およびアリル基およびそれらの混合物が挙げられ得、あるいは、R’は、5〜8の炭素原子を有する不飽和環式炭化水素基を表し、例えばシクロへキセニル基である。
【0078】
好ましくは、R’は不飽和脂肪族炭化水素基であり、好ましくはビニル基である。
【0079】
1実施態様によれば、Rは、1〜10の炭素原子を有するアルキル基あるいはフェニルを表し、好ましくはメチル基であり、R’はビニル基である。
【0080】
特定の実施態様によれば、上記ポリオルガノシロキサンはまた、下記式(II)の単位を含む。
【0081】
【化4】

ここで、Rは先に定義された基であり、nは1、2または3である。
【0082】
1変形によれば、化合物Xは、少なくとも2のエチレン性不飽和を含むシリコーン樹脂であり得、上記樹脂は、触媒の存在下でヒドロシリル化によって化合物Yと反応し得る。例えば、それら自体が−CH=CH不飽和反応性末端基を持っているMQまたはMTタイプの樹脂が挙げられ得る。
【0083】
これらの樹脂は、架橋されたオルガノシロキサンポリマーである。
【0084】
上記組のシリコーン樹脂は「MDTQ」の名称で知られ、上記樹脂は、それが含む種々のシロキサンモノマー単位に関して記載され、上記文字「MDTQ」の各々が単位の型を特徴付ける。
【0085】
文字Mは、式(CHSiO1/2のモノ官能性単位を表し、ケイ素原子が、上記単位を含むポリマーにおいて1個の酸素原子に結合されている。
文字Dは、2官能性単位(CHSiO2/2を意味し、ケイ素原子が2個の酸素原子に結合されている。
文字Tは式(CH)SiO3/2の3官能性単位を表す。
【0086】
上記で定義された単位M、D、Tにおいて、メチル基の少なくとも1は、メチル基以外の基R、例えば2〜10の炭素原子を有する炭化水素基(特にアルキル基)またはフェニル基、あるいはヒドロキシル基で置換され得る。
【0087】
最後に、文字Qは、4官能性単位SiO4/2を示し、それら自体がポリマーの残部に結合された4つの水素原子にケイ素原子が結合されている。上記樹脂の例として、MTシリコーン樹脂、例えばポリ(フェニル−ビニルシルセスキオキサン)、例えばゲレスト(Gelest)社によってSST−3PV1として市販されているもの、が挙げられ得る。
【0088】
好ましくは、化合物Xは、0.01〜1重量%の不飽和脂肪族基を有する。
【0089】
有利には、化合物Xは、ポリオルガノポリシロキサン、特に先に記載されたシロキサン単位(I)および所望により(II)を含むもの、から選択される。
【0090】
化合物Yは好ましくは、少なくとも2の遊離(free)Si−H基(ヒドロゲノシラン基)を有する。
【0091】
化合物Yは、有利には、下記式の少なくとも1のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択され得る。
【0092】
【化5】

ここで、Rは、1〜30の炭素原子を有する直鎖状または環状の1価の炭化水素基を表し、例えば1〜30の炭素原子、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基、またはフェニル基であり、pは1または2である。好ましくは、Rは炭化水素基、好ましくはメチル基である。
【0093】
アルキルヒドロゲノシロキサン単位を有するこれらのポリオルガノシロキサン化合物Yは、上記で定義された下記式(II)の単位をさらに含み得る。
【0094】
【化6】

【0095】
化合物Yは、上記で定義された単位M、D、T、Qから選択される少なくとも1の単位を含みかつ少なくとも1のSi−H基を含むシリコーン樹脂であり得、例えばゲレスト(Gelest)社によってSST−3MH1.1として市販されているポリ(メチル−ヒドリドシルセスキオキサン)である。
【0096】
好ましくは、これらのポリオルガノシロキサン化合物Yは、0.5〜2.5重量%のSi−H基を有する。
【0097】
有利には、上記式(I)、(II)、(III)において、基Rがメチル基を表す。
【0098】
好ましくは、これらのポリオルガノシロキサンYが式(CHSiO1/2の末端基を有する。
【0099】
有利には、ポリオルガノシロキサンYが、式−(HC)(H)SiO−の少なくとも2のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を有し、所望により−(HC)SiO−単位を含む。
【0100】
ヒドロゲノシラン基を有するこれらのポリオルガノシロキサン化合物Yは、例えば欧州特許出願公開EP0465744に記載されている。
【0101】
1変形によれば、化合物Xが、有機オリゴマーまたはポリマー(有機とは、その主鎖がシリコーン鎖でない化合物を意味し、好ましくはケイ素原子を含まない化合物を意味する)から、またはハイブリッド有機/シリコーンポリマーまたはオリゴマーから選択され、上記オリゴマーまたはポリマーは少なくとも2の不飽和反応性脂肪族基を有し、化合物Yが、上記で挙げられたヒドロゲノシラン基を有するポリオルガノシロキサンYから選択される。
【0102】
1実施態様によれば、少なくとも2の不飽和反応性脂肪族基を有する上記有機またはハイブリッド有機/シリコーン化合物Xが、上記の少なくとも1の極性基を有する。
【0103】
有機性の化合物Xは、そのとき、ビニル系、(メタ)アクリル系のポリマーまたはオリゴマー、ポリエステル、ポリウレタンおよび/またはポリウレア、ポリエーテル、パーフルオロポリエーテル、ポリオレフィン、例えばポリブテン、ポリイソブチレン、デンドリマーまたは有機多分岐(hyperbranched)ポリマー、あるいはそれらの混合物から選択され得る。
【0104】
特に、有機ポリマーまたは、ハイブリッドポリマーの有機部分は、下記ポリマーから選択され得る。
a)エチレン性不飽和を有するポリエステル:
これは、ポリマーの主鎖中にランダムに分布された少なくとも2のエチレン性二重結合を有するポリエステル型のポリマー群である。これらの不飽和ポリエステルは、下記の混合物、すなわち、
3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸またはセバシン酸;8〜50の炭素原子、好ましくは8〜20、より好ましくは8〜14の炭素原子を特に有する、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、特にテレフタル酸;および/またはエチレン性不飽和を有する脂肪酸の二量体、例えば欧州特許出願公開EP−A−959066(段落[0021])に記載されたオレイン酸またはリノール酸の二量体(ユニケマ社によってPripolの商品名でまたはヘンケル社によってEmpolの商品名で市販されている)、から誘導されるジカルボン酸、ここで、上記全ての二酸は、重合可能なエチレン性二重結合を有しない、
2〜50の炭素原子、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールまたはシクロヘキサンジメタノール;6〜50の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15の炭素原子を有する芳香族ジオール、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールB;および/または上記で定義された脂肪酸の二量体の還元によって得られるジオール二量体、および
少なくとも1の重合可能なエチレン性二重結合を有しかつ3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を有する1以上のジカルボン酸またはそれらの無水物、例えばマレイン酸、フマル酸またはイタコン酸
の混合物の重縮合によって得られる。
【0105】
b)(メタ)アクリレート側基および/または末端基を有するポリエステル:
これは、下記混合物、すなわち、
3〜50の炭素原子、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジカルボン酸、例えばアジピン酸またはセバシン酸;8〜50の炭素原子、好ましくは8〜20、より好ましくは8〜14の炭素原子を特に有する、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、特にテレフタル酸;および/またはエチレン性不飽和を有する脂肪酸の二量体、例えば欧州特許出願公開EP−A−959066(段落[0021])に記載されたオレイン酸またはリノール酸の二量体(ユニケマ社によってPripolの商品名でまたはヘンケル社によってEmpolの商品名で市販されている)、から誘導されるジカルボン酸、ここで、上記全ての二酸は、重合可能なエチレン性二重結合を有しない、
2〜50の炭素原子、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の炭素原子を特に有する、直鎖状または分岐状の脂肪族または脂環式ジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールまたはシクロヘキサンジメタノール;6〜50の炭素原子、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜15の炭素原子を有する芳香族ジオール、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールB、および
(メタ)アクリル酸と2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとの少なくとも1のエステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびグリセロールメタクリレート
の混合物の重縮合によって得られるポリエステル型のポリマー群である。
【0106】
これらのポリエステルは、エチレン性二重結合が主鎖中に位置しないで側基上にまたは主鎖の末端に位置している点で上記a)に記載されたものと異なる。これらのエチレン性二重結合は、ポリマー中に存在する(メタ)アクリレート基のものである。
【0107】
このようなポリエステルは、例えばUCB社によってEBECRYLの商品名で市販されている(EBECRYL450:分子量1600、1分子につき平均6のアクリレート官能基、EBECRYL652:分子量1500、1分子につき平均6のアクリレート官能基、EBECRYL800:分子量780、1分子につき平均4のアクリレート官能基、EBECRYL810:分子量1000、1分子につき平均4のアクリレート官能基、EBECRYL50000:分子量1500、1分子につき平均6のアクリレート官能基)。
【0108】
c)(メタ)アクリレート基を有するポリウレタンおよび/またはポリウレア:
これは、下記混合物、すなわち
4〜50、好ましくは4〜30の炭素原子を特に有する、脂肪族、脂環式および/または芳香族のジイソシアネート、トリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートまたは、3分子のジイソシアネートOCN−R−CNOの三量化によって得られる下記式のイソシアヌレート、
【化7】

[ここで、Rは、2〜30の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状の炭化水素基である]、
重合可能なエチレン性不飽和を有しないポリオール、特にジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコールまたはトリメチロールプロパン;および/またはポリアミン、特に脂肪族、脂環式および/または芳香族ジアミン、特に3〜50の炭素原子を有するもの、例えばエチレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミン、および
(メタ)アクリル酸と2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとの少なくとも1のエステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびグリセロールメタクリレート
の混合物の重縮合によって得られるものである。
【0109】
アクリレート基を有するこれらのポリウレタン/ポリウレアは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR368(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−トリアクリレート)またはCRAYNOR(商品名)435の名称で、またはUCB社によってEBECRYLの商品名で市販されている(EBECRYL210:分子量1500、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL230:分子量5000、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL270:分子量1500、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL8402:分子量1000、1分子につき2のアクリレート官能基、EBECRYL8804:分子量1300、1分子につき2のアクリレート官能基、、EBECRYL220:分子量1000、1分子につき6のアクリレート官能基、EBECRYL2220:分子量1200、1分子につき6のアクリレート官能基、EBECRYL1290:分子量1000、1分子につき6のアクリレート官能基、EBECRYL800:分子量800、1分子につき6のアクリレート官能基)。
【0110】
また、EBECRYL(商品名)2000、EBECRYL(商品名)2001およびEBECRYL(商品名)2002の名称で市販されている水溶性の脂肪族ジアクリレートポリウレタン、およびUCB社によってIRR(商品名)390、IRR(商品名)400、IRR(商品名)422およびIRR(商品名)424の名称で市販されている水性分散物中のジアクリレートポリウレタンも挙げられ得る。
【0111】
d)(メタ)アクリレート基を有するポリエーテル:
これは、C1〜4アルキレングリコールのホモポリマーまたはコポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの好ましくは10000未満の重量平均分子量を有するコポリマー、ポリエトキシル化またはポリプロポキシル化されたトリメチロールプロパン、のヒドロキシル末端基を(メタ)アクリル酸によってエステル化することによって得られるものである。
【0112】
適する分子量のジ(メタ)アクリレートポリオキシエチレンは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR259、SR344、SR610、SR210、SR603およびSR252の名称で、またはUCB社によってEBECRYL(商品名)11の名称で市販されている。ポリエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR454、SR498、SR502、SR9035、SR415の名称で、またはUCB社によってEBECRYL(商品名)160の名称で市販されている。ポリプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、例えば、CRAY VALLEY社によってSR492およびSR501の名称で市販されている。
【0113】
e)エポキシアクリレート:
これは、下記化合物の間の反応によって得られるものである。すなわち、
下記(i)〜(vi)から例えば選択される少なくとも1のジエポキシド:
(i)ビスフェノールAジグリシジルエーテル、
(ii)ビスフェノールAジグリシジルエーテルとエピクロロヒドリンとの間の反応によって得られるジエポキシ樹脂、
(iii)3〜50の炭素原子を有するジカルボン酸と化学量論的に過剰の(i)および/または(ii)との縮合によって得られる、α,ω−ジエポキシ末端基を有するエポキシエステル樹脂、
(iv)3〜50の炭素原子を有するジオールと化学量論的に過剰の(i)および/または(ii)との縮合によって得られる、α,ω−ジエポキシ末端基を有するエポキシエーテル樹脂、
(v)少なくとも2のエポキシド基を有する天然油または合成油、例えばエポキシ化された大豆油、エポキシ化された亜麻仁油およびエポキシ化されたベルノニア(vernonia)油、
(vi)末端基および/または側基がエポキシ化されているフェノール−ホルムアルデヒド重縮合物(Novolac(商品名)樹脂)、
および
カルボキシル基のα,βに少なくとも1のエチレン性二重結合を有する1以上のカルボン酸またはカルボキシルポリ酸、例えば(メタ)アクリル酸またはクロトン酸または、(メタ)アクリル酸と2〜20の炭素原子、好ましくは2〜6の炭素原子を有するジオールまたはポリオールとのエステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
の間の反応によって得られるものである。
【0114】
そのようなポリマーは、CRAY VALLEY社によってSR349、SR601、CD541、SR602、SR9036、SR348、CD540、SR480、CD9038の名称で、UCB社によってEBECRYL(商品名)600、EBECRYL609、EBECRYL150、EBECRYL860、EBECRYL3702の名称で、およびヘンケル社によってPHOTOMER(商品名)3005およびPHOTOMER3082の名称で市販されている。
【0115】
f)少なくとも2の官能基を有し、側および/または末端の炭化水素鎖にエチレン性二重結合を有する(C1〜50アルキル)ポリ(メタ)アクリレート、ここで、上記アルキルは、直鎖状、分岐状または環状である。
【0116】
そのようなコポリマーは、例えば、UCB社によって、IRR(商品名)375、OTA(商品名)480およびEBECRYL(商品名)2047の名称で市販されている。
【0117】
g)ポリオレフィン、例えばポリブテン、ポリイソブチレン
【0118】
h)ヒドロキシル側基および/または末端基を有するパーフルオロポリエーテルの、例えば(メタ)アクリル酸による、エステル化によって得られる、アクリレート基を有するパーフルオロポリエーテル
これらのα,ω−ジオールパーフルオロポリエーテルは、欧州特許出願公開EP−A−1057849に特に記載されており、AUSIMONT社によってFOMBLIN(商品名)ZDIOLの名称で市販されている。
【0119】
i)ヒドロキシルまたはアミノ末端基を有するデンドリマーおよび多分岐ポリマーを(メタ)アクリル酸によってエステル化またはアミド化することによってそれぞれ得られる、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミド末端基を有するデンドリマーおよび多分岐ポリマー
【0120】
デンドリマー(ギリシャ語のdendron=木に由来する)は、「樹木様」ポリマー分子、すなわち、高度に分岐したポリマー分子であり、1990年代初めにD.A.Tomaliaおよび彼のチームによって発明された(Donald A. Tomaliaら、Angewandte Chemie, Int. Engl. Ed.,Vol.29, No.2, 138-175頁)。デンドリマーは、1つの、一般には多価の、中心単位の周りに構築された構造である。分岐した鎖延長単位が、この中心単位の周りに完全に規定された構造にしたがって配置されており、こうして、十分規定された化学的および立体化学的構造を有する対称の単分散マクロ分子を与える。ポリアミドアミン型のデンドリマーは、例えば、DENDRITECH社によってSTARBURSTの商品名で市販されている。
【0121】
多分岐ポリマーは、多官能性モノマーから得られる重縮合物、一般にはポリエステル、ポリアミドまたはポリエチレンアミン型のものであり、それは、デンドリマーのものに類似した樹木様構造を有するが、後者よりも規則性がはるかに小さい(例えば、国際出願公開WO−A−93/17060およびWO96/12754を参照)。
【0122】
PERSTORP社は、BOLTORNの商品名で多分岐ポリエステルを市販している。多分岐ポリエチレンアミンは、DENDRITECH社からCOMBURSTの商品名で入手可能である。ヒドロキシル末端基を有する多分岐ポリ(エステルアミド)は、DSM社によってHYBRANEの商品名で市販されている。
【0123】
アクリル酸および/またはメタクリル酸によってエステル化されたまたはアミド化された、これらのデンドリマーおよび多分岐ポリマーは、上記a)〜h)に記載されたポリマーと、存在する非常に多くのエチレン性二重結合において異なる。この増加された、一般には5より大きい、官能性は、それらが「架橋節」として、すなわち多重架橋部位として作用することを可能にする点においてそれらを特に有用なものにする。
【0124】
したがって、これらのデンドリマーおよび多分岐ポリマーを上記ポリマーおよび/またはオリゴマーa)〜h)の1以上と関連して使用することが可能である。
【0125】
1a.追加の反応性化合物
1実施態様によれば、化合物Xおよび/またはYを含む組成物は、下記のような追加の反応性化合物をさらに含み得る。
表面に少なくとも2の不飽和脂肪族基を有する有機粒子または鉱物粒子、例えば、ビニル系の基を有するシリコーン化合物で表面処理されたシリカ、例えばシクロテトラメチルテトラビニルシロキサン処理されたシリカ、が挙げられ得る、および
シラザン化合物、例えばヘキサメチルジシラザン。
【0126】
1b.触媒
ヒドロシリル化反応は、化合物XまたはYの一方または他方とともに存在し得る、またはそれだけで存在し得る触媒の存在下で生じる。例えば、この触媒は、それが相互作用させなければならない2つの化合物XおよびYが同じ組成物中に、カプセル封入されていない形で存在するならば、カプセル封入された形でその組成物中に存在し得、逆に、化合物XおよびYの少なくとも1がカプセル封入された形でその組成物中に存在するならば、この触媒は、カプセル封入されていない形でそこに含まれ得る。触媒は好ましくは、白金またはスズに基づく。
【0127】
例えば、シリカゲルまたは粉末炭の担体上に担持された白金ベースの触媒、塩化白金、白金の塩および塩化白金酸の塩が挙げられ得る。
【0128】
塩化白金酸は好ましくは、6水和物の形または無水物の形で使用され、それらは、オルガノシリコーン媒体中に容易に分散可能である。
【0129】
また、白金複合体、例えば、塩化白金酸6水和物およびジビニルテトラメチルジシロキサンに基づくものも挙げられ得る。
【0130】
触媒は、それを含む組成物の総重量に対して0.0001〜20重量%の範囲の量で存在し得る。
【0131】
化合物Xおよび/またはYは、重合阻害剤または抑制剤、および特に触媒の阻害剤と組み合わされ得る。非限定的に、環状ポリメチルビニルシロキサン、および特にテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、アセチレン系アルコール、好ましくは揮発性のもの、例えばメチルイソブチノールが挙げられ得る。
【0132】
イオン性の塩、例えば酢酸ナトリウム、の存在は、上記化合物の重合速度に影響を及ぼし得る。
【0133】
触媒の存在下でのヒドロシリル化によって反応する化合物XおよびYの組み合わせの例として、ダウコーニング社によって提供される次の表示のもの、すなわちDC7−9800 Soft Skin Adhesive Parts A & B、ならびにダウコーニング社によって調製された下記混合物AおよびBの組み合わせが挙げられ得る。
【0134】
【表1】

【0135】
【表2】

【0136】
有利には、化合物XおよびYは、触媒の存在下でのヒドロシリル化によって反応し得るシリコーン化合物から選択される。特に化合物Xは、上記式(I)の単位を含むポリオルガノシロキサンから選択され、化合物Yは、上記式(III)のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むオルガノシロキサンから選択される。
【0137】
特定の実施態様によれば、化合物Xはビニル系末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、化合物Yはポリメチルヒドロゲノシロキサンである。
【0138】
1の特定の実施態様によれば、触媒が、先に定義されたような化合物Xと共にカプセル封入された形で使用され、特に、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含むポリオルガノシロキサンから選択される化合物Xと共にカプセル封入される。
【0139】
2.縮合によって反応し得る化合物XおよびY
1実施態様によれば、本発明は、ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのために意図された化粧用組成物に関し、該組成物が、少なくとも1の化合物X、少なくとも1の化合物Yおよび任意的に触媒を生理学的に許容される媒体中に含み、化合物XおよびYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物XおよびYは縮合反応によって互いに反応することができ、化合物XおよびYおよび存在するときの触媒の少なくとも1の化合物は上記組成物中にカプセル封入された形で存在する。
【0140】
この実施態様によれば、化合物XおよびYは縮合によって反応可能であり、それは、水の存在下(加水分解)でのアルコキシシラン基を有する2つの化合物の反応により、またはアルコキシシラン基を有する化合物とシラノール基を有する化合物との反応によるもしくはシラノール基を有する2つの化合物の反応によるいわゆる「直接の」縮合により反応可能である。
【0141】
縮合が水の存在下で行なわれるとき、水は特に、環境の湿気、皮膚、唇、まつげおよび/または爪の残留水、または外部源からの水、例えばケラチン性物質を(例えばアトマイザーにより、天然または人工の涙により)先に湿らしたことによる水であり得る。
【0142】
このような縮合反応ではしたがって、化合物XおよびYは、同じでも異なっていてもよく、主鎖が少なくとも2のアルコキシシラン基および/または少なくとも2のシラノール(Si−OH)側基または末端基を含むシリコーン化合物から選択され得る。
【0143】
1実施態様によれば、化合物Xおよび/または化合物Yは、上記したように、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成し得る少なくとも1の極性基を有する。
【0144】
有利な実施態様によれば、化合物Xおよび/またはYは、少なくとも2のアルコキシシラン基を含むポリオルガノシロキサンから選択される。「アルコキシシラン基」は、少なくとも1の−Si−OR部分(Rは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基である)を含む基を意味する。
【0145】
化合物XおよびYは、アルコキシシラン末端基を有するポリオルガノシロキサンから特に選択され、より特には、少なくとも2のアルコキシシラン末端基、好ましくはトリアルコキシシラン末端基、を有するものから選択される。
【0146】
これらの化合物Xおよび/またはYは、好ましくは、下記式の単位を含む。
【化8】

ここで、基Rは、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、フルオロアルキル基から選択される基を表し、sは0、1、2または3である。好ましくは、基Rは、互いに独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表す。アルキル基として、特に、メチル、プロピル、ブチル、ヘキシルおよびそれらの混合物が挙げられ得、好ましくはメチルまたはエチルである。フルオロアルキル基として、3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられ得る。
【0147】
特定の実施態様によれば、化合物XおよびYは、同じでも異なっていてもよく、下記式の単位を含むオポリオルガノシロキサンである。
【化9】

ここで、Rは上記した通りであり、好ましくはRはメチル基であり、fは、ポリマーが有利には、25℃で0.5〜3000Pa.sの範囲、好ましくは5〜150Pa.sの範囲の粘度を有するところの値である。例えばfは2〜5000、好ましくは3〜3000、より好ましくは5〜1000の範囲であり得る。
【0148】
これらのポリオルガノシロキサン化合物XおよびYは、ポリマー1分子につき少なくとも2のトリアルコキシシラン末端基を含む。上記基は、下記式を有する。
【化10】

ここで、基Rは、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル基を表し、好ましくはメチルまたはエチル基であり、Rはメチルまたはエチル基であり、xは0または1であり、好ましくはxは0であり、Zは、エチレン性不飽和を有せずかつ1〜18の炭素原子、好ましくは2〜18の炭素原子を有する2価の炭化水素基(アルキレン基)および下記式(IX)の2価の炭化水素基とシロキサン部分との組み合わせから選択される。
【化11】

ここで、Rは上記した通りであり、Gは、エチレン性不飽和を有せずかつ1〜18の炭素原子、好ましくは2〜18の炭素原子を有する2価の炭化水素基であり、cは1〜6の範囲の整数である。
【0149】
ZおよびGは特に、アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、アリーレン基、例えばフェニレン、から選択され得る。
好ましくは、Zは、アルキレン基、より好ましくはエチレンである。
【0150】
これらのポリマーは、1分子につき平均して少なくとも1.2のトリアルコキシシラン末端基または末端鎖、好ましくは1分子につき平均して少なくとも1.5のトリアルコキシシラン末端基を有し得る。1分子につき少なくとも1.2のトリアルコキシシラン末端基を有し得るこれらのポリマーのいくつかは、他の型の末端基、例えば式CH=CH−SiR−または式R−Si−の末端基(Rは先に定義されたとおりであり、各基Rは独立してRまたはビニル基から選択される)を含み得る。上記末端基の例として、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ビニルジメトキシシランおよびビニルメチルオキシフェニルシラン基が挙げられ得る。
【0151】
そのようなポリマーは、特に米国特許第3175993号明細書、同第4772675号明細書、同第4871827号明細書、同第4888380号明細書、同第4898910号明細書、同第4906719号明細書および同第4962174号明細書に記載されており、これらの中身は、引用することにより本出願に組み入れられる。
【0152】
化合物Xおよび/またはYとして、特に、下記式のポリマーから選択されるポリオルガノシロキサンが挙げられ得る。
【化12】

ここで、R、R、R、Z、xおよびfは上記した通りである。
【0153】
化合物Xおよび/またはYは、また、上記式(VII)のポリマーと下記式(VIII)のポリマーとの混合物を含み得る。
【化13】

ここで、R、R、R、Z、xおよびfは上記した通りである。
【0154】
アルコキシシラン基を有するポリオルガノシロキサン化合物Xおよび/またはYが上記混合物を含むとき、種々のポリオルガノシロキサンは、オルガノシリル末端鎖が、末端鎖数の40%未満、好ましくは25%未満であるような量で存在する。
【0155】
特に好ましいポリオルガノシロキサン化合物Xおよび/またはYは、上記式(VII)のものである。そのような化合物Xおよび/またはYは、例えば国際公開WO01/96450に記載されている。
【0156】
上記したように、化合物XおよびYは、同一でも異なっていてもよい。
【0157】
特に、化合物XおよびYは、メトキシシラン基を有するポリジメチルシロキサンの混合物を表し得る。
【0158】
1変形によれば、2の反応する化合物XまたはYの一方がシリコーン性であり、他方が有機性である。例えば、化合物Xが有機オリゴマーもしくはポリマーまたはハイブリッド有機/シリコーンオリゴマーもしくはポリマーから選択され、ここで、上記ポリマーまたはオリゴマーは少なくとも2のアルコキシシラン基を含み、Yがシリコーン化合物、例えば上記したポリオルガノシロキサン、から選択される。特に、上記有機オリゴマーまたはポリマーは、ビニル系、(メタ)アクリル系のオリゴマーまたはポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンおよび/またはポリウレア、ポリエーテル、ポリオレフィン、パーフルオロポリエーテル、デンドリマーおよび多分岐有機ポリマー、およびそれらの混合物から選択される。
【0159】
1実施態様によれば、有機のまたはハイブリッド有機/シリコーンの化合物Xは、上記したように、ケラチン性物質と少なくとも1の水素結合を形成し得る少なくとも1の極性基を有する。
【0160】
アルコキシシラン側基を有するビニル系または(メタ)アクリル系の有機ポリマーは、特に、少なくとも1のビニル系または(メタ)アクリル系の有機モノマーと(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシランなどとの共重合によって得られ得る。
【0161】
例えば、KUSABE, M., Pitture e Verniei −European Coating; 12-B, 43-49頁、2005に記載された(メタ)アクリル系ポリマー、および特に、KanekaからのMAXの名称を有するアルコキシシラン基を有するポリアクリレートまたはPROBSTER,M., Adhesion-Kleben & Dichten, 2004, 481(1-2), 12-14頁に記載されたもの、が挙げられ得る。
【0162】
重縮合または重付加から得られる有機ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンおよび/またはポリウレア、ポリエーテル、であって、アルコキシシラン側基および/または末端基を有するものは、例えば、上記に記載されたオリゴマー性プレポリマーと、少なくとも1のアルコキシシラン基を有する下記のシラン反応パートナー、すなわちアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、の1との反応によって得られ得る。
【0163】
アルコキシシラン基を有するポリエーテルおよびポリイソブチレンの例は、KUSABE,M., Pitture e Verniei − European Coating; 12-B, 43-49頁、2005に記載されている。アルコキシシラン末端基を有するポリウレタンの例としては、PROBSTER,M., Adhesion-Kleben & Dichten, 2004, 481(1-2), 12-14頁に記載されているものあるいはLANDON,S., Pitture e Verniei Vol. 73, No. 11, 18-24頁、1997に記載されているもの、またはHUANG, Mowo,Pitture e Verniei Vol. 5, 2000, 61-67頁に記載されているものが挙げられ得、特に、OSI-WITCO-GEからの、アルコキシシラン基を有するポリウレタンが挙げられ得る。
【0164】
ポリオルガノシロキサン化合物Xおよび/またはYとして、それ自体がアルコキシシランおよび/またはシラノール末端基を有するMQまたはMT型の樹脂、例えば、ゲレスト社によりSST−S7C41(3個のSi−OH基)の名称で提供されている、シラノール官能基を有するポリ(イソブチルシルセスキオキサン)樹脂、が挙げられ得る。
【0165】
2a.追加の反応性化合物
1実施態様によれば、化合物Xおよび/またはYは、少なくとも2のアルコキシシランまたはシラノール基を有する追加の反応性化合物とさらに組み合わされ得る。
例えば、表面にアルコキシシランおよび/またはシラノール基を有する1以上の有機粒子または鉱物粒子、例えば上記基で表面処理されたフィラーが挙げられ得る。
【0166】
2b.触媒
縮合反応は、化合物XまたはYの一方または他方とともに存在し得、またはそれだけで存在し得る金属ベースの触媒の存在下で生じ得る。例えば、上記触媒は、それが相互作用させるべき2つの化合物XおよびYが同じ組成物中に、カプセル封入されていない形で存在するならば、カプセル封入された形でその組成物中に存在し得、逆に、化合物XおよびYの少なくとも1がカプセル封入された形で上記組成物中に存在するならば、この触媒は、カプセル封入されていない形でそこに存在し得る。この種の反応での使用のための触媒は好ましくはチタンベースの触媒である。
【0167】
特に、下記式のテトラアルコキシチタンに基づく触媒が挙げられ得る。
【化14】

ここで、Rは三級アルキル基、例えばt−ブチル、t−アミルおよび2,4−ジメチル−3−ペンチル、から選択され、Rは1〜6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル基、を表し、yは3〜4の範囲の数であり、好ましくは3.4〜4の範囲の数である。
【0168】
触媒は、それを含む組成物の総重量に対して0.0001〜20重量%の範囲の含量で存在し得る。
【0169】
2c.希釈剤
Xおよび/またはYを含む、使用され得る組成物は、組成物の粘度を下げるための揮発性シリコーン油(または希釈剤)をさらに含み得る。上記油は、短鎖直鎖状シリコーン、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、環状シリコーン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0170】
このシリコーン油は、各組成物の重量に対して5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%であり得る。
【0171】
アルコキシシラン基を有しかつ縮合によって反応する化合物XおよびYの組み合わせの例として、ダウコーニング社によって製造された下記混合物A’およびB’の組み合わせが挙げられ得る。
【0172】
【表3】

【0173】
【表4】

【0174】
なお、同一の化合物XおよびYは、混合物A’中に一緒にされている((1)参照)。
【0175】
3.過酸化物の存在下での架橋
1実施態様によれば、本発明は、ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのために意図された化粧用組成物に関し、該組成物は、少なくとも1の化合物X、少なくとも1の化合物Yおよび過酸化物を生理学的に許容される媒体中に含み、化合物XおよびYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物XおよびYは過酸化物の存在下で架橋反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび過酸化物の少なくとも1の化合物はカプセル封入された形で上記組成物中に存在する。
【0176】
この反応は好ましくは、50℃以上の温度、好ましくは80℃以上、および120℃までの温度に加熱することにより行なわれる。
【0177】
化合物XおよびYは同じでも異なっていてもよく、この場合には、少なくとも2の−CH側基および/または−CH基を有する少なくとも2の側鎖を有する。
【0178】
化合物XおよびYは好ましくはシリコーン化合物であり、例えば、高分子量であり、6より大きい重合度を有し、かつケイ素原子に結合した少なくとも2の−CH側基および/または−CH基を有する少なくとも2の側鎖を有する不揮発性の直鎖状ポリジメチルシロキサンから選択され得る。例えば、ゲレスト社のカタログ「反応性シリコーン(Reactive Silicones)」、2004版、第6頁に記載されているポリマー、および特に、500,000〜900,000の範囲の分子量および特に2,000,000cStより上の粘度を有するビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンのコポリマー(ガムとも呼ばれる)が挙げられ得る。
【0179】
本発明で使用され得る過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイルおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0180】
1実施態様によれば、化合物XおよびYの間の、触媒の存在下でのヒドロシリル化反応、または縮合反応、または過酸化物の存在下での架橋反応は、熱の供給により、例えば系の温度を25℃〜180℃に上げることにより、促進される。
【0181】
一般に、化合物XおよびYが互いに反応するところの反応の型に関係なく、化合物XおよびYの合計に対するXのモル%、すなわちX/(X+Y)x100は、5〜95%、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜80%であり得る。
【0182】
同様に、化合物XおよびYの合計に対するYのモル%、すなわちY/(X+Y)x100は、5〜95%、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜80%であり得る。
【0183】
化合物Xは、150〜1,000,000、好ましくは200〜800,000、より好ましくは200〜250,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0184】
化合物Yは、200〜1,000,000、好ましくは300〜800,000、より好ましくは500〜250,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0185】
化合物Xは、それを含む組成物の総重量に対して0.1〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは5〜80重量%であり得る。
【0186】
化合物Yは、それを含む組成物の総重量に対して0.1〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、より好ましくは5〜80重量%であり得る。
【0187】
化合物Xの化合物Yに対する割合は、反応速度および、したがって、膜の形成速度を調整するように、または意図される用途にしたがって、形成される膜の特性(例えばその接着特性)を適合させるように変えられ得る。
【0188】
特に、化合物XおよびYは、0.05〜20の、好ましくは0.1〜10の範囲のモル比X/Yで存在し得る。
化合物XおよびYは、有利には、少なくとも1のフィラーと組み合わされ得る。すなわち、本発明に従うキットは例えば、組成物の少なくとも1中に、シリカまたは表面処理されたシリカから選択されるフィラーを含み得る。
【0189】
生理学的に許容される媒体
上記で特定されたように、本発明に従う組成物は、生理学的に許容される媒体を含む。
【0190】
表現「生理学的に許容される媒体」は、ケラチン性物質、例えば皮膚または唇、に本発明に従う組成物を施与するために特に適する媒体を意味すると理解される。生理学的に許容される媒体は一般に、組成物が施与されなければならない基体の性質に適合され、また、組成物が包装されることが意図されるところの形態に適合される。
【0191】
生理学的に許容される媒体は、主に水から成り得る、水性相を含み得る。
【0192】
また、水および水と混和性の溶媒(25℃での水中での混和性が50重量%より高い)の混合物を含み得、後者は、例えば1〜5の炭素原子を有する低級1価アルコール(1種または混合物)、例えばエタノール、イソプロパノール、2〜8の炭素原子を有するグリコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、C〜Cケトン、C〜Cアルデヒドおよびそれらの混合物を包含する。
【0193】
水性相(水および所望により、水と混和性の溶媒)は、組成物の総重量に対して5〜95重量%、好ましくは10〜85重量%、より好ましくは2〜80重量%の範囲の量で存在し得る。
【0194】
生理学的に許容される媒体はまた、1以上の揮発性または不揮発性の油を含む液体脂肪相、および/または1以上のワックスおよび/またはペースト状化合物を含む固体脂肪相を含み得る。
【0195】
本出願の意味において、表現「液体脂肪相」は、環境温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である脂肪相を意味すると理解され、環境温度で液体である1以上の非水性脂肪物質(油または有機溶媒としても知られる)で構成される。
【0196】
油は、揮発性油および/または不揮発性油、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0197】
油は、組成物の総重量に対して1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲の量で存在し得る。
【0198】
これらの油は、炭化水素ベース油、シリコーン油、フッ素化油またはそれらの混合物であり得る。
【0199】
表現「炭化水素ベース油」は、水素および炭素原子を主に含み、所望により酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含む油を意味すると理解される。炭化水素ベース油は、8〜16の炭素原子を有する炭化水素ベース油、特にC〜C16分岐アルカン、例えば石油起源のC〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン、イソヘキサデカンおよび例えばISOPARSまたはPERMETYLSの商品名で販売されている油、C〜C16分岐エステル、イソヘキシルネオペンタノエート、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0200】
炭化水素ベース油として、下記も挙げられ得る。
植物起源の炭化水素ベース油、例えば脂肪酸およびグリセロールのトリエステル、ここで、脂肪酸はC〜C24の鎖長を有し得、後者は、直鎖状または分岐状、飽和または不飽和であり得、これらの油は特に、小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シアバター油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、ヤシ油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、マロウ油、ゴマ油、パンプキン油、菜種油、ブラックカラント油、月見草油、アワ(millet)油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、紅花油、ククイノキ(candlenut)油、パッションフラワー油、ジャコウバラ(muskrose)油;あるいはカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社販売のものまたはDynamit Nobel社によってMIGLYOL810、812および818の名称で販売されているものである、
10〜40の炭素原子を有する合成エーテル、
非極性炭化水素ベース油、例えばスクアレン、直鎖状または分岐状の炭化水素、例えばパラフィン油、ワセリン油およびナフタレン油、水素化されたまたは部分的に水素化されたポリイソブテン、イソエイコサン、スクアラン、デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、特にINDOPOL L−14、ポリデセン、例えばPURESYN10、およびそれらの混合物、
合成エステル、例えば式RCOOR(Rは1〜40の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の脂肪酸の残基を表し、Rは1〜40の炭素原子を含む特に分岐状の炭化水素ベース鎖を表し、ただし、R+R≧10である)の油、例えばPurcellin油(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C12〜C15アルコールベンゾエート、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、アルコールまたはポリアルコールオクタノエート、デカノエートもしくはリシノレエート、例えばジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル;およびペンタエリスリトールエステル、
環境温度で液体である、12〜26の炭素原子を有する分岐状および/または不飽和の炭素ベース鎖を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ウンデシルペンタデカノール、
高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、および
それらの混合物。
【0201】
本発明で使用され得るシリコーン油として、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびそれらの混合物が特に挙げられ得る。
【0202】
シリコーン油はまた、下記であり得る。
ポリジメチルシロキサン(PDMs)
シリコーン鎖のペンダントおよび/または末端にあり、各々3〜40の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を有するポリジメチルシロキサン、
フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、および
それらの混合物。
【0203】
本発明に従う組成物はまた、ワックス、ペースト状の脂肪物質およびそれらの混合物から特に選択される、環境温度で固体である少なくとも1の脂肪物質を含み得る。これらの脂肪物質は、動物起源、植物起源、鉱物起源または合成であり得る。
【0204】
本発明に従う組成物はまた、化粧料に通常使用される成分、例えばビタミン、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、酸性化または塩基性化剤、保存剤、芳香剤、日焼け止め剤、界面活性剤、酸化防止剤、ファイバー、フィラー、染料、膜形成性ポリマー、ワックス、化粧用活性剤、例えば殺菌または発汗抑制活性剤、中和剤、皮膚軟化剤、保湿剤、およびそれらの混合物を含み得る。
【0205】
本発明に従う組成物は、組成物の総重量に対して特に0.1〜30重量%の範囲の量で、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%の量で存在する乳化界面活性剤を含み得る。
【0206】
これらの界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、両イオン性の界面活性剤から選択され得る。界面活性剤の(乳化)機能および特性の定義に関しては、「Encyclopedia of Chemical Technology, KIRK-OTHMER」, volume 22,p.333-432, 第3版、1979, WILEYを参照することができ、アニオン性および非イオン性界面活性剤に関しては、この文献の特に第347〜377頁を参照することができる。
【0207】
本発明の非イオン性界面活性剤は好ましくは下記から選択される。
1. シリコーン界面活性剤、
2.45℃以下の温度で液体である界面活性剤、これは、飽和または不飽和の、直鎖または分岐状の、特に不飽和または分岐状の、少なくとも1のC〜C22アルキル鎖を有する少なくとも1の脂肪酸の少なくとも1のポリオールのエステルから選択され、ここで、ポリオールは、1〜60のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール、ソルビタン、2〜30のエチレンオキシド単位を有し得るグリセロール、2〜15のグリセロール単位を有するポリグリセロールによって形成される群から選択される、
3.脂肪酸および糖エステルおよび脂肪アルコールおよび糖エーテル、
4.45℃に等しい温度で固体である界面活性剤、これは、グリセロール脂肪エステル、ソルビタン脂肪エステルおよびオキシエチレン化ソルビタン脂肪エステル、エトキシル化脂肪エーテルおよびエトシキル化脂肪エステルから選択される、
5.エチレンオキシド(A)およびプロピレンオキシド(B)のブロックコポリマー、およびこれらの界面活性剤の混合物。
【0208】
1.本発明にしたがって使用され得るシリコーン界面活性剤は、少なくとも1のオキシエチレン化された−OCHCH−および/またはオキシプロピレン化された−OCHCHCH−鎖を有するシリコーン化合物である。本発明にしたがって使用され得るシリコーン界面活性剤として、米国特許第5364633号明細書および同第5411744号明細書に記載されたものが挙げられ得る。
【0209】
好ましくは、本発明にしたがって使用されるシリコーン界面活性剤が下記式(II)の化合物である。
【化15】

ここで、R、R、Rは互いに独立して、C〜Cアルキル基または−(CH−(OCHCH−(OCHCHCH−OR基を表し、少なくとも1のR、RまたはRはアルキル基でなく、Rは水素、アルキル基またはアシル基であり、Aは0〜200の範囲の整数であり、Bは0〜50の範囲の整数であり、ただし、AおよびBは同時にゼロではなく、xは1〜6の範囲の整数であり、yは1〜30の範囲の整数であり、zは0〜5の範囲の整数である。
【0210】
本発明の1の好ましい実施態様によれば、式(II)の化合物において、アルキル基がメチル基であり、xが2〜6の範囲の整数であり、yが4〜30の範囲の整数である。
【0211】
式(II)のシリコーン界面活性剤の例として、式(III)の化合物が挙げられ得る。
【化16】

ここで、Aは20〜105の範囲の整数であり、Bは2〜10の範囲の整数であり、yは10〜20の範囲の整数である。
【0212】
また、式(II)のシリコーン界面活性剤の例として、式(IV)の化合物が挙げられ得る。
【化17】

ここで、A’およびyは10〜20の範囲の整数である。
【0213】
シリコーン界面活性剤として、ダウコーニング社によってDC5329、DC7439−146、DC2−5695およびQ4−3667の名称で販売されているものを特に使用することができる。化合物DC5329、DC7439−146、DC2−5695は、式(III)においてそれぞれ、Aが22、Bが2およびyが12であるもの、Aが103、Bが10およびyが12であるもの、およびAが27、Bが3およびyが12であるものである。
【0214】
化合物Q4−3667は、式(IV)においてAが15であり、yが13である化合物である。
【0215】
2.45℃以下の温度で液体である界面活性剤は、下記から特に選択され得る。
分子量400のポリエチレングリコールイソステアレート(CTFA名:PEG−8イソステアレート)、Unichema社によってPRISORINE3644の名称で販売されている、
ジグリセリルイソステアレート、Solvay社によって販売されている、
2のグリセロール単位を有するポリグリセロールラウレート(ポリグリセリル−2ラウレート)、Solvay社によってDIGLYCERIN-MONOLAURATEの名称で販売されている、
ソルビタンオレエート、ICI社によってSPAN80の名称で販売されている、
ソルビタンイソステアレート、Nikko社によってNIKKOL SI 10Rの名称で販売されている、および
α−ブチルグリコシドココエートまたはα−ブチルグリコシドカプレート、Ulice社によって販売されている。
【0216】
3.本発明に従うナノエマルジョン中の非イオン性両親媒性脂質として使用され得る脂肪酸および糖エステルは好ましくは、45℃以下の温度で固体であり、C〜C22脂肪酸およびスクロース、マルトース、グルコースもしくはフルクトースのエステルまたはエステルの混合物、ならびにC14〜C22脂肪酸およびメチルグルコースのエステルまたはエステルの混合物を含む群から特に選択され得る。
【0217】
本発明のナノエマルジョンに使用され得るエステルの脂肪単位を形成するC〜C22またはC14〜C22脂肪酸は、8〜22または14〜22の炭素原子をそれぞれ有する飽和または不飽和の直鎖状アルキル鎖を有する。エステルの脂肪単位は、ステアレート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート、カプレートおよびそれらの混合物から特に選択され得る。好ましくは、ステアレートが使用される。
【0218】
脂肪酸およびスクロース、マルトース、グルコースもしくはフルクトースのエステルまたはエステルの混合物の例として、スクロースモノステアレート、スクロースジステアレート、スクローストリステアレートおよびそれらの混合物、例えば、Croda社によってCRODESTA F50、F70、F110およびF160の名称で販売されている製品(それぞれ、5、7、11および16のHLB(親水親油バランス)を有する)が挙げられ得、脂肪酸およびメチルグルコースのエステルまたはエステルの混合物の例として、メチルグルコースおよびポリグリセロール−3のジステアレート(Goldschmidt社によってTEGO-CARE450の名称で販売されている)が挙げられ得る。また、グルコースまたはマルトースのモノエステル、例えばメチルo−ヘキサデカノイル−6−D−グルコシドおよびメチルo−ヘキサデカノイル−6−D−マルトシドが挙げられ得る。
【0219】
本発明に従うナノエマルジョン中の非イオン性両親媒性脂質として使用され得る脂肪アルコールおよび糖エーテルは、45℃以下の温度で固体であり、C〜C22脂肪アルコールおよびグルコース、マルトース、スクロースもしくはフルクトースのエーテルまたはエーテルの混合物、ならびにC14〜C22脂肪アルコールおよびメチルグルコースのエーテルまたはエーテルの混合物を含む群から特に選択され得る。これらは、特に、アルキルポリグルコシドである。
【0220】
本発明のナノエマルジョンに使用され得るエーテルの脂肪単位を形成するC〜C22またはC14〜C22脂肪アルコールは、8〜22または14〜22の炭素原子をそれぞれ有する飽和または不飽和の直鎖状アルキル鎖を有する。エーテルの脂肪単位は、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル、ヘキサデカノイル単位およびそれらの混合物、例えばセテアリル単位、から特に選択され得る。
【0221】
脂肪アルコールおよび糖エーテルの例として、アルキルポリグルコシド、例えばデシルグルコシドおよびラウリルグルコシド(例えば、Henkel社によってそれぞれPLANTAREN 2000およびPLANTAREN 1200の名称で販売されている)、所望によりセトステアリルアルコールとの混合物としてのセトステアリルグリコシド(例えば、Seppic社によってMONTANOV68の名称で、Goldschmidt社によってTEGO-CARE CG90の名称でおよびHenkel社によってEMULGADE KE3302の名称で販売されている)、および例えばアラキジルおよびベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形の、アラキジルグルコシド(Seppic社によってMONTANOV202の名称で販売されている)が挙げられ得る。
【0222】
この種の非イオン性界面活性剤として、スクロースモノステアレート、スクロースジステアレート、スクローストリステアレートおよびそれらの混合物、メチルグルコースおよびポリグリセロール−3のジステアレートおよびアルキルポリグルコシドが特に使用される。
【0223】
4.45℃に等しい温度で固体である非イオン性界面活性剤として使用され得るグリセロール脂肪エステルは、16〜22の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル鎖からなる少なくとも1の酸および1〜10のグリセロール単位から形成されるエステル含む群から特に選択され得る。1以上のこれらのグリセロール脂肪エステルを使用することができる。
【0224】
これらのエステルは、ステアレート、ベヘネート、アラキデート、パルミテートおよびそれらの混合物から特に選択され得る。好ましくは、ステアレートおよびパルミテートが使用される。
【0225】
本発明のナノエマルジョンで使用され得る界面活性剤の例として、デカグリセロール(10のグリセロール単位)モノステアレート、ジステアレート、トリステアレートおよびペンタステアレート(CTFA名:ポリグリセリル−10ステアレート、ポリグリセリル−10ジステアレート、ポリグリセリル−10トリステアレート、ポリグリセリル−10ペンタステアレート)、例えばNikko社によってそれぞれNIKKOL DECAGLYN 1-S、2-S、3-Sおよび5-Sの名称で販売されている製品、およびジグリセロールモノステアレート(CTFA名:ポリグリセリル−2ステアレート)、例えばNikko社によってNIKKOL DGMSの名称で販売されている製品、が挙げられ得る。
【0226】
45℃以下の温度で固体である非イオン性界面活性剤として使用され得るソルビタン脂肪エステルは、C16〜C22脂肪酸およびソルビタンエステルおよびC16〜C22脂肪酸およびオキシエチレン化ソルビタンエステルを含む群から特に選択される。それらは、それぞれ16〜22の炭素原子を有する少なくとも1の飽和直鎖状アルキル鎖から成る少なくとも1の脂肪酸およびソルビトールまたはエトキシル化ソルビトールから形成される。オキシエチレン化エステルは一般に、1〜100のエチレンオキシド単位、好ましくは2〜40のエチレンオキシド(EO)単位を含む。
【0227】
これらのエステルは、ステアレート、ベヘネート、アラキデート、パルミテートおよびそれらの混合物から特に選択され得る。好ましくは、ステアレートおよびパルミテートが使用される。
【0228】
本発明のナノエマルジョンで使用され得るソルビタン脂肪エステルおよびオキシエチレン化ソルビタン脂肪エステルの例として、ICI社によってSPAN 60の名称で販売されているソルビタンモノステアレート(CTFA名:ソルビタンステアレート)、ICI社によってSPAN 40の名称で販売されているソルビタンモノパルミテート(CTFA名:ソルビタンパルミテート)、ICI社によってTWEEN65の名称で販売されているソルビタン20EOトリステアレート(CTFA名:ポリソルベート65)が挙げられ得る。
【0229】
45℃以下の温度で固体であるエトキシル化脂肪エーテルは好ましくは、1〜100のエチレンオキシド単位および16〜22の炭素原子を有する少なくとも一の脂肪アルコール鎖から形成されるエーテルである。エーテルの脂肪鎖は、ベヘニル、アラキジル、ステアリルおよびセチル単位およびそれらの混合物、例えばセテアリル単位、から特に選択され得る。エトキシル化脂肪エーテルの例として、5、10、20および30のエチレンオキシド単位を含むベヘニルアルコールエーテル(CTFA名:ベヘネス−5、ベヘネス−10、ベヘネス−20、ベヘネス−30)、例えば、Nikko社によってNIKKOL BB5、BB10、BB20、BB30の名称で販売されている製品、および2のエチレンオキシド単位を含むステアリルアルコールエーテル(CTFA名:ステアレス−2)、例えばICI社によってBRIJ72の名称で販売されている製品、が挙げられ得る。
【0230】
45℃以下の温度で固体であるエトキシル化脂肪エステルは、1〜100のエチレンオキシド単位および16〜22の炭素原子を有する少なくとも一の脂肪酸鎖から形成されるエステルである。エステルの脂肪鎖は、ステアレート、ベヘネート、アラキデートおよびパルミテート単位およびそれらの混合物から特に選択され得る。エトキシル化脂肪エステルの例として、40のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸エステル、例えばICI社によってMYRJ 52(CTFA名:PEG−40ステアレート)の名称で販売されている製品、および8のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸エステル(CTFA名:PEG−8ベヘネート)、例えばGattefosse社によってCOMPRITOLHD5 ATOの名称で販売されている製品、が挙げられ得る。
【0231】
5.非イオン性界面活性剤として使用され得るエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドブロックコポリマーは、式(V)のブロックコポリマーおよびそれらの混合物から特に選択され得、より特には、2〜16の範囲のHLBを有する式(V)のブロックコポリマーから選択され得る。
【化18】

ここで、x、yおよびzは、x+zが2〜100の範囲であり、yが14〜60の範囲であるような整数である。
【0232】
これらのブロックコポリマーは、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物から特に選択され、これは、Uniqema社によってSYNPERONICの名称で販売されており、例えば式(V)(x=z=6、y=39)のSYNPERONIC PE/L81(INCI名:POLOXAMER 231)(HLB2)、式(V)(x=z=10、y=47)のSYNPERONIC PE/L92(INCI名:POLOXAMER 282)(HLB6)が挙げられる。
【0233】
非イオン性界面活性剤として、欧州特許出願公開EP−A−705593(引用することにより、本明細書に組み入れられる)に記載された非イオン性界面活性剤の混合物も挙げられ得る。
【0234】
上記非イオン性界面活性剤のうち、特に下記が使用され得る。
PEG400イソステアレートまたはPEG−8イソステアレート(8モルのエチレンオキシドを含む)、
ジグリセリルイソステアレート、
2のグリセロール単位を有するポリグリセロールモノラウレートおよび10のグリセロール単位を有するポリグリセロールステアレート、
ソルビタンオレエート、
ソルビタンイソステアレート、および
それらの混合物。
【0235】
本発明の組成物中に使用され得るアニオン性界面活性剤は、好ましくは下記から選択される。
ジセチルおよびジミリスチルホスフェートのアルカリ金属塩、
コレステロールスルフェートのアルカリ金属塩、
コレステロールホスフェートのアルカリ金属塩、
リポアミノ酸およびそれらの塩、例えばモノナトリウムおよびジナトリウムアシルグルタメート、例えばAjinomotoによってACYLGLUTAMATE HS21の名称で販売されているN−ステアロイル−L−グルタミン酸のジナトリウム塩、
ホスファチジン酸のナトリウム塩、
リン脂質、
特に式(VI)のアルキルスルホン酸誘導体、
【化19】

ここで、RはC16〜C22のアルキル基、特にC1633およびC1837基(混合物としてまたは個々に)を表し、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウムである、および
それらの混合物。
【0236】
本発明の組成物中に使用され得るカチオン性界面活性剤は、好ましくは、4級アンモニウム塩、脂肪アミンおよびそれらの塩によって形成される群から選択される。
【0237】
4級アンモニウム塩は、例えば下記一般式(VII)を有するものである。
【化20】

ここで、R〜Rは、同じでも異なっていてもよく、1〜30の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の脂肪族基を表し、または芳香族基、例えばアリールまたはアルキルアリール基を表す。脂肪族基は、ヘテロ原子、例えば、特に酸素、窒素、硫黄またはハロゲン、を含み得る。脂肪族基は例えば、約1〜30の炭素原子を有する、アルキル、アルコキシ、ポリオキシ(C〜C)アルキレン、アルキルアミド、(C12〜C22)アルキルアミド(C〜C)アルキル、(C12〜C22)アルキルアセテートまたはヒドロキシアルキル基から選択され、Xはハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C〜C)アルキルスルフェート、アルキルスルホネートまたはアルキルアリールスルホネートの群から選択されるアニオンである。
【0238】
式(VII)の4級アンモニウム塩のうち、好ましいのは、一方では、テトラアルキルアンモニウムクロライド、例えばジアルキルジメチルアンモニウムまたはアルキルトリメチルアンモニウムクロライド(ここで、アルキル基は約12〜22の炭素原子を有する)、特にベヘニルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライドナドであり、他方では、Van DykによりCERAPHYL 70の名称で販売されているステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロライドである。ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライドが最も好ましい4級アンモニウム塩である。
【0239】
イミダゾリニウムの4級アンモニウム塩、例えば下記式(VIII)のもの:
【化21】

ここで、Rは、8〜30の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキル基を表し、例えばタロー脂肪酸から誘導され、Rは水素原子、C〜Cアルキル基または8〜30の炭素原子を有するアルケニルもしくはアルキル基を表し、RはC〜Cアルキル基を表し、Rは水素原子、C〜Cアルキル基を表し、Xはハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネートまたはアルキルアリールスルホネートの群から選択されるアニオンである。好ましくは、RおよびRが、12〜21の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキル基の混合物を表し、例えばタロー脂肪酸から誘導され、Rがメチルを表し、Rが水素を表す。そのような製品は、例えばRewoによりREWOQUAT W 75の名称で販売されている。
【0240】
式(IX)の4級ジアンモニウム塩:
【化22】

ここで、Rは、16〜30の炭素原子を有する脂肪族基を表し、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じまたは異なり、水素または1〜4の炭素原子を有するアルキル基から選択され、Xはハライド、アセテート、ホスフェート、ナイトレートおよびメチルスルフェートの群から選択されるアニオンである。そのような4級ジアンモニウム塩は、特に、プロパンタロージアンモニウムジクロライドを含む。
【0241】
少なくとも1のエステル官能基を含む4級アンモニウム塩:
本発明にしたがって使用され得る、少なくとも1のエステル官能基を含む4級アンモニウム塩は、例えば、下記式(X)のものである。
【化23】

ここで、R15はC〜Cアルキル基およびC〜Cヒドロキシアルキルまたはジヒドロキシアルキル基から選択され、R16は基R19−C(=O)−、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のC〜C22炭化水素ベース基R20および水素原子から選択され、R18は基R21−C(=O)−、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のC〜C炭化水素ベース基R22および水素原子から選択され、R17、R19およびR21は、同じまたは異なり、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のC〜C21炭化水素ベース基から選択され、n、pおよびrは、同じまたは異なり、2〜6の範囲の整数であり、yは1〜10の範囲の整数であり、xおよびzは、同じまたは異なり、0〜10の範囲の整数であり、Xは有機または無機の、単純または複合のアニオンであり、ただし、x+y+zの和は1〜15であり、xが0に等しいとき、R16は基R20を表し、zが0に等しいとき、R18は基R22を表す。
【0242】
アルキル基R15は、直鎖状または分岐状であり得、特には直鎖状である。
好ましくは、R15がメチル、エチル、ヒドロキシエチルまたはジヒドロキシプロピル基を表し、特にはメチルまたはエチル基である。
有利には、x+y+zの和が1〜10である。
【0243】
16が炭化水素ベース基R20であるとき、それは長く、12〜22の炭素原子を有し得、または短く、1〜3の炭素原子を有し得る。
18が炭化水素ベース基R22であるとき、それは好ましくは1〜3の炭素原子を有する。
【0244】
有利には、R17、R19およびR21は、同じまたは異なり、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のC11〜C21炭化水素ベース基から選択され、特には、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のC11〜C21アルキルおよびアルケニル基から選択される。
【0245】
好ましくは、xおよびzが、同じまたは異なり、0または1である。
有利には、yが1である。
好ましくは、n、pおよびrが、同じまたは異なり、2または3であり、さらに特には2である。
【0246】
式(X)において、アニオンXは好ましくは、ハライド(クロライド、ブロマイドまたはアイオダイド)またはアルキルスルフェートであり、特にメチルスルフェートである。しかし、メタンスルホネート、ホスフェート、ナイトレート、トシレート、有機酸から誘導されるアニオン、例えばアセテートまたはラクテート、またはエステル官能基を有するアンモニウムと相容性の他の任意のアニオンを使用することが可能である。アニオンXはより特には、クロライドまたはメチルスルフェートである。
【0247】
式(X)のアンモニウム塩において、R15がメチルまたはエチル基であり、xおよびyが1であり、zが0または1であり、n、pおよびrが2であり、R16が基R19―C(=O)−、メチル、エチルまたはC14〜C22炭化水素ベース基および水素原子から選択され、R18が基R21−C(=O)−および水素原子から選択されるものが特に使用される。
【0248】
17、R19およびR21は、同じまたは異なり、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のC13〜C17炭化水素ベース基から選択され、好ましくは、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のC13〜C17アルキルおよびアルケニル基から選択される。
有利には、炭化水素ベース基が直鎖状である。
【0249】
式(X)の化合物として、例えば、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウムの塩(特に、クロライドまたはメチルスルフェート)およびそれらの混合物が挙げられ得る。アシル基は好ましくは、14〜18の炭素原子を有し、特には、植物油、例えばヤシ油またはヒマワリ油、に由来する。上記化合物がいくつかのアシル基を含むとき、後者は同じでも異なっていてもよい。これらの生成物は、例えば、植物起源または動物起源の脂肪酸または脂肪酸の混合物への、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミンまたはアルキルジイソプロパノールアミン、所望によりオキシアルキレン化されている、の直接エステル化により、あるいはそれらのメチルエステルのエステル交換により、得られ得る。このエステル化の後、アルキル化剤、例えばアルキル(好ましくはメチルまたはエチル)ハライド、ジアルキル(好ましくはメチルまたはエチル)スルフェート、メチルメタンスルホネート、メチルパラトルエンスルホネートおよびグリコールまたはグリセロールクロロヒドリンを使用する4級化が行われる。
【0250】
そのような化合物は、例えば、Henkel社によってDEHYQUARTの名称で、Stepan社によってSTEPANQUATの名称で、Ceca社によってNOXAMIUMの名称で、REWO-Witco社によってREWOQUATWE 18の名称で販売されている。
【0251】
本発明に従う組成物は、アンモニウム塩を含むとき、好ましくは、4級アンモニウムモノエステル、ジエステルおよびトリエステル塩の混合物を含み、ジエステル塩の重量が多い。
【0252】
アンモニウム塩の混合物として、例えば、15〜30重量%のアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェート、45〜60重量%のジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェートおよび15〜30重量%のトリアシルオキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェートを含む混合物を使用することができる。ここで、上記アシル基は、14〜18の炭素原子を有し、ヤシ油(所望により、部分的に水素化されている)に由来する。
【0253】
また、米国特許第4874554号明細書および同第4137180号明細書に記載された、少なくとも1のエステル官能基を含むアンモニウム塩を使用することもできる。
【0254】
界面活性剤として、極性部分を有するポリオレフィンに基づく乳化剤を使用することもできる。これは、例えば欧州特許出願公開EP−A−1172089に特に記載されている。
【0255】
本発明の組成物中に使用される、極性部分を有するポリオレフィンは、非極性ポリオレフィン部分および少なくとも一の極性部分で構成される。それは、ブロック構造または(comb)構造を有し得る。
【0256】
ポリオキシエチレン化された極性部分を有するポリオレフィン、例えばポリイソプレン/ポリオキシエチレンジブロックポリマー、ポリ(エチレン−コプロピレン)/ポリオキシエチレンポリマーおよびそれらの混合物から選択されるもの、を使用することができる。これらのポリマーは、Allgaier, Poppe, Willner, Richterによる発表(Macromolecules, 1997, vol.30,p.1582-1586)に記載されている。
【0257】
コハク酸または無水物極性部分を有するポリオレフィン、特に、米国特許第4234435号明細書、同第4708753号明細書、同第5129972号明細書、同第4931110号明細書、英国特許第2156799号明細書、米国特許第4877756号明細書および同第4919179号明細書に記載された、コハク酸または無水物のポリオレフィン誘導体から選択されるものを使用することができる。
【0258】
変性された(エステル化またはアミド化された)コハク酸末端を有するポリオレフィンを使用することができ、その製造法は、特に、米国特許第4708753号明細書に記載されている。好ましくは、エステル化されたコハク酸末端を有するポリオレフィンが使用される。
【0259】
コハク酸末端を有するポリオレフィンとして、エステル化された、特にジエタノールアミンによってエステル化された、コハク酸末端を有するポリイソブチレンおよびそれらの塩、特にジエタノールアミンの塩、が特に挙げられ得、例えばLubrizol社によってLUBRIZOL 2724、LUBRIZOL 2722およびLUBRIZOL 5603の商品名で販売されている製品が挙げられる。
【0260】
本発明で使用され得る、極性部分を有するポリオレフィンの別の例は、無水マレイン酸とポリイソブチレンとの反応生成物、例えばBASF社によってGLISSOPAL(GLISSOPAL 2300、1300および1000)の名称で販売されている製品である。
【0261】
特に好ましい、極性部分を有するポリオレフィンは、ポリイソブテニル無水コハク酸とジエチルエタノールアミンとの反応生成物であり、これは、2−(N,N−ジエチル)アミノエチルポリブテンスクシネートのジエチルエタノールアミン塩を形成する。この生成物は、例えば、Lubrizol社によってLUBRIZOL 5603の商品名で販売されている。この生成物のINCI名は、ヒドロキシエチルジエトニウムポリイソブテニルトリエチルアミノスクシネート(および)ジエチルエタノールアミンである。
【0262】
特に好ましい、極性部分を有する別のポリオレフィンは、トリエタノールアミンジエタノールアミノエチルポリイソブテニルスクシネートのエステルである。この生成物は、例えば、Chemron社によってCHEMCCINATE 2000の商品名で販売されている。
【0263】
極性部分を有するポリオレフィンとして、グリセリルポリイソブテニルスクシネートのエステル、特に、Chemron社によってCHEMCCINATE 1000 AFの商品名で販売されているものを使用することもできる。
【0264】
界面活性剤として、乳化性シリコーンエラストマー、例えばShin-Etsu社によってKSG-210、KSG-310、KSG-320、KSG-330、KSG-440、KSG-710、KSG-KSG-830、KSG-840の名称で販売されているもの、を使用することもできる。
【0265】
また、イソフタル酸またはスルホイソフタル酸のポリマー、および特に、Eastman Chemical社によってEASTMAN AQ POLYMER(AQ35S、AQ38S、AQ55S、AQ48 Ultra)の名称で販売されているフタレート/スルホイソフタレート/グリコールコポリマー(例えば、ジエチレングリコール/フタレート/イソフタレート/1,4−シクロヘキサンジメタノールコポリマー)を使用することができる。
【0266】
また、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(AMPS)の疎水性ポリマー、例えば、Clariant社によってARISTOFLEX LNCの名称で販売されている、AMPSおよびエトキシル化C12〜C14アルコールメタクリレートのコポリマー(GENAPOLLA-070およびAMPSから得られる、架橋されていないコポリマー)(CTFA名:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ラウレス−7メタクリレートコポリマー)およびClariant社によってARISTOFLEX HMSの名称で販売されている、AMPSおよびエトキシル化(25EO)ステアリルメタクリレートのコポリマー(GENAPOL T-250およびAMPSから得られる、トリメチロールプロパントリアクリレートによって架橋されたコポリマー)(CTFA名:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ステアレス−25メタクリレートクロスポリマー)を使用することができる。これらのポリマーは、欧州特許出願公開EP−A−1661550に特に記載されている。
【0267】
もちろん、当業者は、本発明に対応する組成物の有利な特性が、意図された添加によって損なわれない、または実質的に損なわれないように、こ(れら)の任意の添加化合物および/またはその量を確実に選択するであろう。
【0268】
本発明に従う組成物は、独立して、懸濁物、分散物、溶液、ゲル、エマルジョン、特に水中油型(O/W)、水中ワックスまたは油中水型(W/O)または複合型(W/O/Wまたはポリオール/O/WまたはO/W/O)エマルジョン、の形態で、クリーム、ペースト、フォーム、ベシクル(vesicle)、特にイオン性または非イオン性脂質、の分散物、2相または多相ローション、ペースト、特にソフトペースト、の形態であり得る。
【0269】
本発明に従うまたは本発明に従う方法のために使用される組成物は、顔、手、足のための、主要な解剖学上のヒダのための、またはボディーのための保護、治療またはケアのための組成物の形(例えばデイクリーム、ナイトクリーム、メイクアップリムーバークリーム、サンスクリーン組成物、保護またはケアのためのボディー乳液、日焼け後乳液、スキンケアローション、ゲルまたはムース、人工日焼け組成物);およびアフターシェイブ組成物の形であり得る。
【0270】
上記組成物はまた、使用される成分の性質に応じて、皮膚、唇、睫および/または爪のメイクアップのために使用され得る。
【0271】
特に、本発明に従う組成物は、独立して、ファンデーション、唇のための製品、特にリップスティック、コンシーラーまたはアイコントアー製品、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、ボディー用のメイクアップ製品または他に皮膚を着色するための製品の形であり得る。
【0272】
1実施態様によれば、上記組成物が、ボディーまたは顔の皮膚をコーティングするための組成物、特にボディーまたは顔の皮膚のメイクアップまたはケアのための組成物、例えばファンデーションまたはボディーメイクアップ組成物、である。
【0273】
当業者は、一方では使用される構成成分の性質、特に成分の支持体中での溶解性、を他方では各組成物のために意図される用途を考慮して、常識に基づいて、適切な生薬形態ならびにその製造法を選択することができる。
【0274】
本発明を下記実施例によってより詳細に説明する。特に断らない限り、示される量は、重量%として表される。
【実施例】
【0275】
以下に記載される組成物の例において、ダウコーニング社によって製造された下記混合物AおよびBの組合わせが化合物XおよびYとして使用される。
【0276】
【表5】

【0277】
【表6】

【0278】
実施例1:
本発明に従う化合物XまたはYのナノカプセルの製造:

【0279】
有機/水プレエマルジョンが、エマルジョンを製造するための当業者に公知の手段によって、例えばUltra Turrax T25撹拌機(11000rpmで5分間)を使用して、製造された。
【0280】
このプレエマルジョンは、次いで、OBL20型高圧ホモゲナイザー(Niro Soavi製)を使用して、600バールで2回均質化して、1μm未満のカプセルを得た。
【0281】
次いで、減圧下でロータリーエバポレーターを使用してジクロロメタンを蒸発させた。
【0282】
こうして、本発明に従う化合物XまたはYの1を表す混合物Yを15%含むナノカプセルの懸濁物が得られた。ナノカプセルのサイズの制御は、光散乱によるレーザー粒子サイズ分析機を使用して行われた。ナノカプセルの平均サイズは256nmであった。
【0283】
これらのカプセルは、+4℃、環境温度および45℃で2ヶ月間、完全に安定であった。
【0284】
実施例2
実施例1のナノカプセルに添加される化合物のナノカプセルの製造:

【0285】
実施例1に記載されたのと同じ手順に従った。260nmのナノカプセルの懸濁物が得られた。
【0286】
これらのカプセルは、+4℃、環境温度および45℃で2ヶ月間、完全に安定であった。
【0287】
実施例3
本発明に従う組成物の製造:
実施例1で得られた懸濁物の50gが、実施例2で得られた懸濁物の50gと混合された。
上記混合物は液体のままであり、時間にわたる変化は認められなかった。
【0288】
先の混合物の膜がガラスプレート上に形成されるとき、2つの反応性シリコーンの架橋が、水の蒸発の間に認められる。オパール色で接着性を有し、剥皮性である膜が形成される。
【0289】
実施例4:
乾燥皮膚のために意図された顔用のデイクリーム

【0290】
手順
油相A1および水性相Bが80℃の温度に別々に加熱された。
Mortiz Turbo Lab 2100ホモゲナイザーを使用して4000rpmで撹拌しながら、相Bが相A1の上に注入され、これらの撹拌および温度条件が30分間保持された。
【0291】
次いで、上記混合物が、Soavi OBL型の高圧ホモゲナイザーセットに500バールの圧力で3回、導入された。次いで、油相A2が上記エマルジョンに添加され、混合物全体が、TurboLab 2100を使用して3000rpmの速度で10分間、撹拌された。相CがこのエマルジョンA1+B+A2に添加され、混合物全体が、脱凝集型推進器(deflocculating type impeller)を備えたRayneriホモゲナイザーを使用して、2500rpmの速度で30分間、環境温度で撹拌された。次いで、相Dが減圧下で添加された。
【0292】
エマルジョンが得られ、これの皮膚への施与はカプセルの破壊を引き起こし、こうして放出されたカプセル封入された化合物が反応して皮膚上にポリマー膜を形成した。
【0293】
実施例5:
サン組成物
相A
ジグリコール/シクロヘキサンジメタノール/イソフタレート/ 2.00%
スルホイソフタレートコポリマー(Eastman ChemicalからのAQ38S)
グリセロール 5.00%
保存剤 1.20%
金属イオン封鎖剤 0.10%
脱塩水 34.70%
相B:
2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 10.00%
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2.00%
(Givaudanによって販売されているPARSOL 1789)
シクロメチコン 4.00%
液体ホホバワックス(Flora Tech) 4.00%
相C:
キサンタンガム 0.50%
脱塩水 100%とする量
相D:
実施例1のカプセルの水性懸濁物 10.00%
実施例2のカプセルの水性懸濁物 10.00%
【0294】
手順
相Aの構成成分が混合され、上記混合物が、ポリマーの完全な分散まで磁気撹拌されながら70℃で加熱され、次いで、溶液が環境温度に冷却された。さらに、相Bが調製された。
相Aが、急速に撹拌されながら相Bに導入された。エマルジョンが、600バールの圧力で2〜4回、均質化され、各回の間でエマルジョンを環境温度にした。
相CおよびDが次いで、脱凝集型推進器を備えたRayneriホモゲナイザーを使用して添加された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための化粧用組成物であって、該組成物が、少なくとも1の化合物X、少なくとも1の化合物Yおよび少なくとも1の触媒を生理学的に許容される媒体中に含み、化合物XまたはYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物XおよびYは触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応することができ、化合物XおよびYの少なくとも1の化合物はカプセル封入された形で上記組成物中に存在し、上記触媒は該カプセル封入された化合物XまたはYの少なくとも1と一緒にされているところの組成物。
【請求項2】
化合物XおよびYが両方とも、別々にカプセル封入された形で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
カプセル封入された形がコア/シェル型のナノカプセルであり、該カプセルの親油性のコアが、少なくとも1の化合物Xから、または少なくとも1の化合物Yから、または少なくとも1の触媒を含む油から完全にまたは部分的に形成され、上記触媒が、化合物Xまたは化合物Yと共にカプセル封入されている、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
シェルがポリマー性であって架橋されておらず、水不溶性でありかつ上記ナノカプセルのコアに不溶である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
ナノカプセルのシェルのポリマーが
ポリカプロラクトン、
ポリビニルアセトフタレート、
セルロースアセトフタレート、
メタクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー、
セルロースの誘導体、
ポリスチレンおよびそのコポリマー、
ポリアミド、
ポリオルガノシロキサン、
ポリ(アルキレンアジペート)、および
それらの混合物
から選択される、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
ナノカプセルのシェルが、ポリカプロラクトンから選択される少なくとも1のポリマーを含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
ナノカプセルが1μm未満の直径を有する、請求項3〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
ナノカプセルが200〜350nmの直径を有する、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
化合物Xが、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含むシリコーン化合物から選択される、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
化合物Xが、下記式のシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択される、請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物、
【化1】

ここで、Rは1〜30の炭素原子を有する直鎖状または環状の1価の炭化水素基を表し、mは1または2であり、R’は2〜10の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素基または5〜8の炭素原子を有する不飽和環式炭化水素基を表す。
【請求項11】
式(I)のポリオルガノシロキサンが、R’がビニル基または基−R”−CH=CHR”’(R”はケイ素原子に結合された、1〜8の炭素原子を有する2価の脂肪族炭化水素鎖であり、R”’は水素原子または、1〜4の炭素原子を有するアルキル基である)を表すところのものである、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
化合物Yが、少なくとも2の遊離Si−H基を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
化合物Yが、下記式を有する少なくとも1のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンから選択される、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物、
【化2】

ここで、Rは1〜30の炭素原子を有する直鎖状もしくは環状の1価の炭化水素基またはフェニル基を表し、pは1または2である。
【請求項14】
Yが、式−(HC)(H)Si−O−の少なくとも2のアルキルヒドロゲノシロキサン単位を含むポリオルガノシロキサンである、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
化合物Xが、ビニル系末端基を有するポリジメチルシロキサンであり、化合物Yがポリメチルヒドロゲノシロキサンである、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
触媒が、少なくとも2の不飽和脂肪族基を含むポリオルガノシロキサンから選択される化合物Xとともにカプセル封入されている、請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
液状脂肪相を含む、請求項1〜16のいずれか1項記載の組成物。
【請求項18】
ビタミン、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、酸性化または塩基性化剤、保存剤、芳香剤、日焼け止め剤、界面活性剤、酸化防止剤、繊維、フィラー、染料、膜形成性ポリマー、ワックス、殺菌または発汗抑制活性剤および他の美容活性剤、中和剤、皮膚軟化剤、保湿剤ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも1の化合物をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項記載の組成物。
【請求項19】
ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための美容コーティング方法であって、該方法が、触媒の存在下でヒドロシリル化反応によって互いに反応することができる化合物XおよびYの混合物をケラチン性物質へ施与することを少なくとも含み、上記混合物が、生理学的に許容される媒体中に少なくとも1のそのような化合物X、少なくとも1のそのような化合物Yおよび少なくとも1の触媒を含む化粧用組成物に由来し、化合物X、Yおよび触媒の少なくとも1の化合物が、カプセル封入された形で上記組成物中に存在するところの方法。
【請求項20】
組成物が、請求項1〜18のいずれか1項に定義されたものである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
カプセル封入された形の少なくとも1の化合物X、カプセル封入された形の少なくとも1の化合物Yおよび/またはカプセル封入された形の少なくとも1の触媒を、ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための組成物を製造するために使用する方法であって、上記組成物は、生理学的に許容される媒体を含み、かつ上記ケラチン性物質への施与および乾燥の後に、触媒の存在下でのヒドロシリル化型の反応による化合物Xおよび化合物Yの反応から誘導されるポリマー性の膜を形成することが意図され、上記化合物XまたはYの少なくとも1がポリオルガノシロキサンであるところの方法。
【請求項22】
組成物が、請求項1〜18のいずれか1項に定義されたものである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
ケラチン性物質のケアおよび/またはメイクアップのための化粧用組成物であって、該組成物は少なくとも1の化合物Xおよび少なくとも1の化合物Y、および任意的に触媒を、生理学的に許容される媒体中に含み、化合物XおよびYの少なくとも1はポリオルガノシロキサンであり、上記化合物XおよびYは縮合反応によって互いに反応することができ、化合物X、Yおよび存在するときの触媒の少なくとも1の化合物が、カプセル封入された形で上記組成物中に存在するところの組成物。

【公開番号】特開2008−179616(P2008−179616A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−329081(P2007−329081)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】