説明

カラーフィルタの製造方法

【課題】第1層が形成されてできた凹凸の影響によるリンス不足に起因する現像残渣の発生を防止し、各色パターンが良好な矩形状に構成され、平坦性の高いカラーフィルタを作製する。
【解決手段】(a)第1の着色層形成工程と(b)第1の着色層上にフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と(c)第1の着色層上の領域のうち第1の着色層とは異なる第2の着色層を形成する領域のみにおけるフォトレジスト層を除去することにより、第1の着色層上に画像を形成する画像形成工程と(d)画像形成工程によって形成された画像様に、第2の着色層を形成する領域における第1の着色層をドライエッチング法により除去するエッチング工程と(e)フォトレジスト層除去工程と(f)着色光硬化性組成物を前記第1の着色層が除去された前記領域に露光、現像により付与して第2の着色層を形成する第2の着色層形成工程と、を設けて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライエッチング法とフォトリソ法とを利用したカラーフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタを作製する方法としては、染色法、印刷法、電着法及び顔料分散法が知られている。
【0003】
このうち、顔料分散法は、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色感放射線性組成物を用いてフォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法であり、顔料を使用しているために光や熱等に安定であるという利点を有している。また、フォトリソ法によってパターニングするため、位置精度が高く、大画面、高精細カラーディスプレイ用カラーフィルタを作製するのに好適な方法として広く利用されてきた。
【0004】
顔料分散法によりカラーフィルタを作製する場合、ガラス基板上に感放射線性組成物をスピンコータやロールコーター等により塗布し乾燥させて塗膜を形成し、該塗膜をパターン露光・現像することによって着色された画素が形成され、この操作を各色ごとに繰り返し行なうことでカラーフィルタを得ることができる。
【0005】
上記の顔料分散法としては、アルカリ可溶性樹脂に光重合性モノマーと光重合開始剤とを併用したネガ型感光性組成物を用いたものがある(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0006】
近年、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては更なる高精細化が望まれており、染料を使用する技術が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、染料含有の硬化性組成物は、例えば、耐光性、耐熱性、溶解性、塗布均一性など様々な性能につき、一般的に顔料に比べて劣るという問題があった。また更に、特に固体撮像素子用カラーフィルタ作製用途の場合には1.5μm以下の膜厚が要求されるため、硬化性組成物中に多量の色素を添加しなければならず、これにより基板との密着が不充分となったり、十分な硬化が得られなかったり、露光部でも染料が抜けてしまうなどと、パターン形成性が著しく困難であるといった問題も生じていた。
【0007】
また、液晶表示装置や固体撮像素子においては、画素サイズの縮小化が進んでおり、これに伴なってカラーフィルタも縮小する必要性が生じている。特に、固体撮像素子の微細化は顕著であり、2.0μmサイズを下回る高解像技術が必要とされているが、これまでのフォトリソ法では解像力の点で限界に達しつつある。
【0008】
従来のフォトリソ法により解像力と薄膜化を両立するには、露光、現像による溶解性のデイスクリをつけつつ、着色剤濃度を高めなければならず、技術的なハードルが非常に高い。
【0009】
前記フォトリソ法を利用したカラーフィルタの製造法に対し、より薄膜でかつ微細パターンの形成に有効な方法として、ドライエッチング法が古くから知られている。
ドライエッチング法は、色素の蒸着薄膜に対してパターン形成する方法として従来から採用されており(例えば、特許文献6参照)、薄膜形成に関してはフォトリソ系に比べて、分光特性を同程度としながら膜厚が1/2以下の薄膜の形成が可能である。
【0010】
また、フォトリソ法とドライエッチング法を組みわせたパターン形成法に関する提案もある(例えば、特許文献7参照)。
【特許文献1】特開平2−181704号公報
【特許文献2】特開平2−199403号公報
【特許文献3】特開平5−273411号公報
【特許文献4】特開平7−140654号公報
【特許文献5】特開平6−75375号公報
【特許文献6】特開昭55−146406号公報
【特許文献7】特開2001−249218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ドライエッチング法を利用したカラーフィルタの作製においては、第2層目の着色層を形成しエッチングしようとする際に、第1層の上に塗布された第2層形成用の着色材料と、第1層が除去された領域で第2層以外の層を形成するための領域に塗布された第2層形成用の着色材料とを同時に除去するのは困難であるという問題がある。
他方、第1層上に塗布された第2層目の着色材料と、第1層が除去された領域に塗布された第2層目の着色材料とを別々に除去しようとすると、工程数の増加やコストアップなどの問題がある。
【0012】
一方、全ての着色層がドライエッチングにより形成される必要はなく、比較的容易に薄膜化が可能であり、かつフォトリソ法による加工性に優れる層を形成する場合には、従来のフォトリソ法を利用してカラーフィルタを作製することができる。
【0013】
他方、従来のフォトリソ法によるカラーフィルタの作製は、パターンの矩形化と共に現像時に溶解除去されずに基板上に残存する残渣の問題がある。この残渣は、主に被溶解部の現像液に対する溶解性不足もさることながら、第2層、第3層を順次形成する場合、第2層以降の形成は、少なくとも第1層が形成されて凹凸が存在する基板の同一面側において行なうため、凹凸の影響を受けてリンス不足が発生し、残渣となる場合がある。
【0014】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、既設の層など支持体上の凹凸の影響によるリンス不足に起因する現像残渣の発生を防止でき、各色パターンが良好な矩形に形成された平坦性の高いカラーフィルタを作製することが可能なカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (a)支持体上に、第1の着色層を形成する第1の着色層形成工程と、(b)形成された前記第1の着色層上にフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、(c)前記支持体上の前記第1の着色層上の領域のうち前記第1の着色層とは異なる第2の着色層を形成する領域のみの前記フォトレジスト層を除去することにより、前記第1の着色層上に画像を形成する画像形成工程と、(d)前記画像形成工程によって形成された画像様に、前記領域における前記第1の着色層をドライエッチング法により除去するエッチング工程と、(e)前記エッチング工程後に残存する前記フォトレジスト層を除去するフォトレジスト層除去工程と、(f)着色光硬化性組成物を前記第1の着色層が除去された前記領域に露光、現像により(フォトリソ法により)付与して第2の着色層を形成する第2の着色層形成工程と、を有するカラーフィルタの製造方法である。
【0016】
前記<1>に記載のカラーフィルタの製造方法によれば、複数色(n色)の着色パターンを形成するために設けられる着色層のうち、支持体上に最初に設けられる1色目の第1層〔即ち、n色(例えば3色)のうち最後にパターン形状が完成する第n層(例えば3色の場合は第3層)〕に対して、所望色の着色層〔即ち、n色(例えば3色)のうち前記第1層を除く残りのn−1色のうちの1色の層(例えば3色の場合は第1層又は第2層)〕を形成しようとする領域のみが形成されるようにドライエッチング法により画像様にパターン化し、形成された領域の全体に1色目と異色の着色層をフォトリソ法で形成することにより、各色毎のフォトリソ法での現像処理の際に、支持体上の凹凸がなくなって凹凸により発生する残渣、例えば第3層を形成しようとする領域に現像残渣が発生して2色目の色(第2層)が残ってしまうのを抑制できるので、色相が良好で、パターン形状が良好な矩形である着色画素(以下、単に画素ともいう)を有する平坦性に優れたカラーフィルタを作製することができる。
【0017】
例えば3色からなるカラーフィルタを作製する場合、支持体上に最初に設けられた1色目の第1層に対して、まず2色目の第2層を形成しようとする領域のみが形成されるようにドライエッチングを施して画像様に第1層除去領域を形成し、この第1層除去領域に1色目と異色の2色目である第2層をフォトリソ法で形成した後、続いて同じ第1層に対して再び、3色目の第3層を形成しようとする領域のみが形成されるようにドライエッチング法を施して画像様に第1層除去領域を形成し、1色目及び2色目とは異色の3色目である第3層をフォトリソ法で形成する。このように、本発明においては、1色目の第1層に対してドライエッチングを施す場合、3色のうち第1層を除く他の2色が形成される領域を双方同時に形成せず、形成しようとする着色層ごとにドライエッチングを行なう。
【0018】
<2> 前記(b)〜(f)をこの順に行なう工程群を少なくとも2群含むことを特徴とする前記<1>に記載のカラーフィルタの製造方法である。
前記<2>に記載のカラーフィルタの製造方法によれば、1色目の第1の着色層を形成した後に第2の着色層を形成後、(b)〜(f)の工程をさらに繰り返して行なうので、第1及び第2の着色層以外の第n(n≧3)の着色層を形成して3色以上の着色画素で構成されたカラーフィルタを作製することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、既設の層など支持体上の凹凸の影響によるリンス不足に起因する現像残渣の発生を防止でき、各色パターンが良好な矩形に形成された平坦性の高いカラーフィルタを作製することが可能なカラーフィルタの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、(a)第1の着色層形成工程と(b)フォトレジスト層形成工程と(c)画像形成工程と(d)ドライエッチング法によるエッチング工程と(e)フォトレジスト層除去工程と(f)着色熱硬化性組成物を付与し、露光、現像するフォトリソ法による第2の着色層形成工程とを設けて構成されたものである。(a)〜(f)の各工程の詳細については後述する。
【0021】
本発明においては、支持体上に形成するパターンのうち、最も薄膜化が要求されるパターン又は加工が困難なパターンを形成するための層を第1層目に選択し、この第1層をドライエッチングして第2の着色層を形成する領域を画像様に形成し、その後はエッチングによらず、第2の着色層(着色画素)を形成するための第2層に対してフォトリソ法を行なって第2の着色層を画像様に形成することで、第2の着色層を現像する際の支持体表面を平坦化された状態にでき、支持体上の凹凸が影響してリンス不足で残渣が発生するのを回避することができる。さらに、第3の着色層を形成する場合は、前記同様に、ドライエッチング法を用いて第3の着色層を形成する領域を画像様に形成し、その後は第3の着色層(着色画素)を形成するための第3層に対してフォトリソ法を行なって第3の着色層を画像様に形成することで、第3の着色層を現像する際の支持体表面を平坦化された状態にでき、支持体上の凹凸が影響してリンス不足で残渣が発生するのを回避することができる。
以上のように、本発明では、ドライエッチング法で画像様に形成された凹状の領域にフォトリソ法を採用して着色パターンを形成する工程を設けたものであり、この工程を所望の回数繰り返すことにより、3色以上の多色のカラーフィルタを作製することができる。
【0022】
以下、各工程について詳述する。
[着色層形成工程]
本発明のカラーフィルタの製造方法において、(a)第1の着色層形成工程では、支持体上に第1の着色層を形成する。本工程で形成される第1の着色層は、n色(例えば3色)で構成されるカラーフィルタの第n番目の着色パターン(例えばRGB3色のカラーフィルタの場合は第3番目にできあがる着色画素パターン)を形成する層である。
【0023】
<支持体>
支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの支持体には、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0024】
<着色層>
第1の着色層は、着色剤を含有する硬化性組成物によって形成されることが好ましい。前記硬化性組成物としては、着色光硬化性組成物と非感光性の着色熱硬化性組成物を挙げることができる。
前記着色層は、カラーフィルタの着色画素の少なくとも1種を構成することができる。また、本発明における第1の着色層は、分光特性の観点から、非感光性の着色熱硬化性組成物を用いて形成されることが優位であり好ましい。
【0025】
(非感光性の着色熱硬化性組成物)
本発明においては、非感光性の着色熱硬化性組成物を用いて第1の着色層を形成することが好ましい。本発明における非感光性の着色熱硬化性組成物は、着色剤と、熱硬化性化合物とを含み、全固形分中の前記着色剤濃度が50質量%以上100質量%未満であることが好ましい。
【0026】
−着色剤−
着色剤としては、特に限定はなく、従来公知の種々の染料や顔料を1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0027】
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を挙げることができる。また、無機顔料又は有機顔料のいずれにおいても、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、平均粒子径がなるべく小さい顔料の使用が好ましい。ハンドリング性をも考慮すると、前記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
【0028】
前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができる。具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0029】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント・イエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199;
C.I.ピグメント・オレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメント・レッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメント・バイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメント・ブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメント・グリーン7,36,37;
C.I.ピグメント・ブラウン25,28;
C.I.ピグメント・ブラック1,7;
及び、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0030】
上記のうち、好ましい顔料としては下記のものを挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0031】
C.I.ピグメント・イエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185;
C.I.ピグメント・オレンジ36,71;
C.I.ピグメント・レッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264;
C.I.ピグメント・バイオレット19,23,32;
C.I.ピグメント・ブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメント・ブラック1
【0032】
これら有機顔料は、単独又は2種以上を組合せて用いることができる。2種以上を組合せて用いることにより、着色層の色純度を上げることができる。前記組合せの具体例を以下に示す。例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独又はそれらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント・イエロー139との混合が好ましい。また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:75が好ましい。この範囲内とすることで光透過率を抑えることができ色純度を上げることができる。さらに好ましい質量比としては、100:10〜100:50である。
【0033】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7、36、37とC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。
【0034】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:30が好ましい。
【0035】
本発明において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解して光硬化性着色樹脂組成物を得ることができる。
【0036】
着色剤として使用可能な染料としては、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に開示されている色素が使用できる。
【0037】
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0038】
また、水又はアルカリ現像を行なうレジスト系の場合、現像により除去しようとする部分のバインダー及び/又は染料を完全に除去するという観点では、酸性染料及び/又はその誘導体が好適に使用できる場合がある。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又は、これらの誘導体等も有用に使用することができる。
【0039】
前記酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有するものであれば、特に限定されないが、有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩基性化合物との塩形成性、吸光度、組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等の必要とされる性能の全てを考慮して選択される。
以下に前記酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
例えば、acid alizarin violet N;acid black 1,2,24,48;acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40,45,62,70,74,80,83,86,87,90,92,103,112,113,120,129,138,147,158,171,182,192,243,324:1;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green 1,3,5,9,16,25,27,50;acid orange 6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95;acid red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274;acid violet 6B,7,9,17,19;acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116,184,243;Food Yellow 3;及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、酸性染料としては、acid black 24;acid blue 23,25,29,62,80,86,87,92,138,158,182,243,324:1;acid orange 8,51,56,63,74;acid red 1,4,8,34,37,42,52,57,80,97,114,143,145,151,183,217;acid violet 7;acid yellow 17,25,29,34,42,72,76,99,111,112,114,116,184,243;acidgreen 25、等の染料及びこれらの染料の誘導体が好ましい。
また、前記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44、38;C.I.Solvent orange 45;Rhodamine B、Rhodamine 110等の酸性染料及びこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
【0042】
−熱硬化性化合物−
熱硬化性化合物としては、加熱により膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、熱硬化性官能基を有する化合物を用いることができる。前記熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基を有するものが好ましい。
【0043】
更に好ましい熱硬化性化合物としては、(a)エポキシ化合物、(b)メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、前記熱硬化性化合物としては、多官能エポキシ化合物が特に好ましい。
【0044】
前記(a)エポキシ化合物としては、エポキシ基を有し、かつ架橋性を有するものであればいずれであってもよく、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、N,N−ジグリシジルアニリン等の2価のグリシジル基含有低分子化合物;同様に、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールフェノールトリグリシジルエーテル、TrisP−PAトリグリシジルエーテル等に代表される3価のグリシジル基含有低分子化合物;同様に、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラメチロールビスフェノールAテトラグリシジルエーテル等に代表される4価のグリシジル基含有低分子化合物;同様に、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル等の多価グリシジル基含有低分子化合物;ポリグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等に代表されるグリシジル基含有高分子化合物、等が挙げられる。
【0045】
また、市販されているものとしては、脂環式エポキシ化合物:「CEL−2021」等、脂環式固形エポキシ樹脂:「EHPE−3150」等、エポキシ化ポリブタジエン:「PB3600」等、可とう性脂環エポキシ化合物:等「CEL−2081」、ラクトン変性エポキシ樹脂:「PCL−G」等が挙げられる(何れもダイセル化学工業(株)製)。また、他には「セロキサイド2000」、「エポリードGT−3000」、「GT−4000」(何れもダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中では、脂環式固形エポキシ樹脂が最も硬化性に優れており、さらには「EHPE−3150」が最も硬化性に優れている。これらの化合物は単独で使用してもよいし、2種以上組合せてもよく、以降に示す他種のものとの組合せも可能である。
【0046】
前記(b)に含まれるメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基が各化合物に置換している数としては、メラミン化合物の場合2〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は2〜4であるが、好ましくはメラミン化合物の場合5〜6、グリコールウリル化合物、グアナミン化合物、ウレア化合物の場合は3〜4である。
以下、前記(b)のメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物を総じて、(b)における(メチロール基、アルコキシメチル基又はアシロキシメチル基含有)化合物という。
【0047】
前記(b)におけるメチロール基含有化合物は、(b)におけるアルコキシメチル基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒存在下、加熱することにより得られる。前記(b)におけるアシロキシメチル基含有化合物は、(b)におけるメチロール基含有化合物を塩基性触媒存在下、アシルクロリドと混合攪拌することにより得られる。
【0048】
以下、前記置換基を有する(b)における化合物の具体例を挙げる。
前記メラミン化合物として、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサキス(メトキシエチル)メラミン、ヘキサキス(アシロキシメチル)メラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0049】
前記グアナミン化合物として、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラキス(メトキシメチル)グアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラキス(メトキシエチル)グアナミン、テトラキス(アシロキシメチル)グアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜3個のメチロール基をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物などが挙げられる。
【0050】
前記グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜3個をアシロキシメチル化した化合物又はその混合物、などが挙げられる。
【0051】
前記ウレア化合物として、例えば、テトラメチロールウレア、テトラキス(メトキシメチル)ウレア、テトラメチロールウレアの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラキス(メトキシエチル)ウレア、などが挙げられる。
これら(b)における化合物は、単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。
【0052】
前記(c)における化合物、即ち、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物は、前記(b)における化合物の場合と同様、上塗りフォトレジストとのインターミキシングを抑制すると共に、膜強度を更に高めるものである。以下、これら化合物を総じて、(c)における(メチロール基、アルコキシメチル基又はアシロキシメチル基含有)化合物ということがある。
【0053】
前記(c)における化合物に含まれるメチロール基、アシロキシメチル基又はアルコキシメチル基の数としては、一分子当り最低2個必要であり、熱硬化及び保存安定性の観点から、骨格となるフェノール化合物の2位,4位が全て置換されている化合物が好ましい。また、骨格となるナフトール化合物、ヒドロキシアントラセン化合物も、OH基のオルト位及びパラ位が全て置換されている化合物が好ましい。前記フェノール化合物の3位又は5位は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
前記ナフトール化合物においても、OH基のオルト位以外は、未置換であっても置換基を有していてもよい。
【0054】
前記(c)におけるメチロール基含有化合物は、フェノール性OH基の2位又は4位が水素原子である化合物を原料に用い、これを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の、塩基性触媒の存在下でホルマリンと反応させることにより得られる。
前記(c)におけるアルコキシメチル基含有化合物は、(c)におけるメチロール基含有化合物をアルコール中で塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸等の酸触媒の存在下で加熱することにより得られる。
前記(c)におけるアシロキシメチル基含有化合物は、(c)におけるメチロール基含有化合物を塩基性触媒の存在下アシルクロリドと反応させることにより得られる。
【0055】
(c)における骨格化合物としては、フェノール性OH基のオルト位又はパラ位が未置換の、フェノール化合物、ナフトール、ヒドロキシアントラセン化合物等が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾールの各異性体、2,3−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ビスフェノールAなどのビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、等が使用される。
【0056】
前記(c)の具体例としては、フェノール化合物として、例えば、トリメチロールフェノール、トリス(メトキシメチル)フェノール、トリメチロールフェノールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、トリメチロール−3−クレゾール、トリス(メトキシメチル)−3−クレゾール、トリメチロール−3−クレゾールの1〜2個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、2,6−ジメチロール−4−クレゾール等のジメチロールクレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、テトラキス(メトキシメチル)ビスフェノールA、テトラメチロールビスフェノールAの1〜3個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、テトラメチロール−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、テトラキス(メトキシメチル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、TrisP−PAのヘキサメチロール体、TrisP−PAのヘキサキス(メトキシメチル)体、TrisP−PAのヘキサメチロール体の1〜5個のメチロール基をメトキシメチル化した化合物、ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレンジオール、等が挙げられる。
【0057】
また、ヒドロキシアントラセン化合物として、例えば、1,6−ジヒドロキシメチル−2,7−ジヒドロキシアントラセン等が挙げられ、アシロキシメチル基含有化合物として、例えば、前記メチロール基含有化合物のメチロール基を、一部又は全部アシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0058】
これらの化合物の中で好ましいものとしては、トリメチロールフェノール、ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、テトラメチロールビスフェノールA、TrisP−PA(本州化学工業(株)製)のヘキサメチロール体又はそれらのメチロール基がアルコキシメチル基及びメチロール基とアルコキシメチル基の両方で置換されたフェノール化合物が挙げられる。
これら(c)における化合物は、単独で使用してもよく、組合せて使用してもよい。
【0059】
熱硬化性化合物の着色熱硬化性組成物中における総含有量としては、素材により異なるが、該硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜50質量%が好ましく、0.2〜40質量%がより好ましく、1〜35質量%が特に好ましい。
【0060】
−各種添加物−
本発明における着色熱硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、バインダー、硬化剤、硬化触媒、溶剤、充填剤、前記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、分散剤、等を配合することができる。
【0061】
〜バインダー〜
バインダーは、顔料分散液調製時に添加する場合が多く、アルカリ可溶性を必要とせず、有機溶剤に可溶であればよい。
【0062】
前記バインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶であるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0063】
上記のほか、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。
また、親水性を有するモノマーを共重合してもよく、この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級又は3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐又は直鎖のブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0064】
これら各種バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0065】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、例えばベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸、ベンジルメタアクリレート/ベンジルメタアクリルアミドのような各共重合体、KSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
これらのバインダー中に前記着色剤を高濃度に分散させることで、下層等との密着性を付与でき、これらはスピンコート、スリットコート時の塗布面状にも寄与している。
【0066】
前記バインダーとしては、質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がより好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
【0067】
バインダーの着色熱硬化性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、0.1〜50質量%未満が好ましく、0.2〜40質量%がより好ましく、1〜35質量%が特に好ましい。
【0068】
〜硬化剤〜
熱硬化性化合物として、エポキシ樹脂を使用する場合、硬化剤を添加することが好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤は種類が非常に多く、性質、樹脂と硬化剤の混合物との可使時間、粘度、硬化温度、硬化時間、発熱などが使用する硬化剤の種類によって非常に異なるため、硬化剤の使用目的、使用条件、作業条件などによって適当な硬化剤を選ばねばならない。前記硬化剤に関しては垣内弘編「エポキシ樹脂(昇晃堂)」第5章に詳しく解説されている。前記硬化剤の例を挙げると以下のようになる。
【0069】
触媒的に作用するものとしては、第3アミン類、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、エポキシ樹脂の官能基と化学量論的に反応するものの例として、ポリアミン、酸無水物等;また、常温硬化のものの例として、ジエチレントリアミン、ポリアミド樹脂;中温硬化のものの例として、ジエチルアミノプロピルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;高温硬化のものの例として、無水フタル酸、メタフェニレンジアミン等がある。また、化学構造別にみると、アミン類では、脂肪族ポリアミンとしてはジエチレントリアミン;芳香族ポリアミンとしてはメタフェニレンジアミン;第二及び第三アミンとしてはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;酸無水物としては無水フタル酸、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、三フッ化ホウ素−モノエチルアミンコンプレックス;合成樹脂初期縮合物としてはフェノール樹脂、その他ジシアンジアミド等が挙げられる。
【0070】
これら硬化剤は、加熱によりエポキシ基と反応し、重合することによって架橋密度が上がり硬化するものである。薄膜化のためには、バインダー、硬化剤とも極力少量の方が好ましく、特に硬化剤に関しては熱硬化性化合物に対して35質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下とすることが好ましい。
【0071】
〜硬化触媒〜
本発明において高い着色剤濃度を実現するためには、前記硬化剤との反応による硬化の他、主としてエポキシ基同士の反応による硬化が有効である。このため、硬化剤は用いず、硬化触媒を使用することもできる。
【0072】
前記硬化触媒の添加量としては、エポキシ当量が150〜200程度のエポキシ樹脂に対して、質量基準で1/10〜1/1000程度、好ましくは1/20〜1/500程度さらに好ましくは1/30〜1/250程度の僅かな量で硬化させることが可能である。
【0073】
前記硬化触媒の具体例としては、市販されているものもあり、例えば、ジャパンエナジー(株)のイミダゾールシランシリーズ「IS−1000」、「IS−1000D」、「IM−1000」、「SP−1000」、「IA−1000A」、「IA−100P」、「IA−100F」、「IA−100AD」、「IA−100FD」、「IM−100F」、「IS−3000」、「IS−4000」などの他、四国化成(株)製の「1B2PZ」、「SFZ」等が有用である。
【0074】
〜溶剤〜
本発明における着色熱硬化性組成物は、各種溶剤に溶解して調製された溶液として用いることができる。溶剤は、各成分の溶解性や着色熱硬化性組成物の塗布性を満足するものであれば、基本的には特に限定されない。
【0075】
溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、
【0076】
3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、並びに、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、
【0077】
ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、等を挙げることができる。
【0078】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がさらに好適である。
【0079】
〜分散剤〜
分散剤は、顔料の分散性を向上させるために添加することができる。前記分散剤としては、公知のものを適宜選定して用いることができ、例えば、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、高分子分散剤等が挙げられる。
【0080】
さらに、特開平10−254133号公報に記載の、主鎖部に特定の酸アミド基含有モノマー及び四級アンモニウム塩モノマー残基を有するグラフト共重合体は、顔料を微分散する優れた作用を有することから、前記分散剤として用いることができる。前記グラフト共重合体を用いることによって、エネルギーや時間の消費を低減しながら顔料を微細に分散させることができ、かつ分散された顔料が、時間経過しても凝集したり沈降したりすることがなく、長期にわたる分散安定性を維持することができる。
【0081】
前記分散剤は、一種単独で用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いてもよい。
前記分散剤の着色熱硬化性組成物中における添加量は、通常は顔料100質量部に対して、0.1〜50質量部程度が好ましい。
【0082】
〜その他の添加剤〜
非感光性の着色硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加剤を更に添加することができる。各種添加物の具体例としては、後記の着色光硬化性組成物において説明する各種添加剤を挙げることができる。
【0083】
《着色熱硬化性組成物の調製方法》
着色熱硬化性組成物の調製方法について説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0084】
着色熱硬化性組成物には、顔料粒子を微粒子化し、かつその粒子サイズ分布をシャープにした顔料を用いる方法が好適である。具体的には、平均粒子径が0.01μm程度であり、かつ粒子径が0.01±0.005μmの範囲にある顔料粒子を75質量%以上含んで構成される顔料を用いる方法が好ましい。
顔料の粒子サイズ分布を上述の範囲に調整するためには、顔料の分散方法が特に重要となる。そのような分散方法としては、例えば、ニーダーや二本ロールなどのロールミルを用いて高粘度状態で分散する乾式分散(混練分散処理)と三本ロールやビーズミル等を用いて比較的低粘度状態で分散する湿式分散(微分散処理)とを組み合わせた分散方法が挙げられる。また、前記分散方法においては、2種以上の顔料を共分散したり、混練分散処理時には、溶剤を使用しないか若しくは使用量をできるだけ少なくしたり、各種分散剤を用いるのも好ましい。更に、ソルベントショックを和らげるために樹脂成分を前記混練分散処理時と微分散処理時とに分けて添加(2分割使用)したりすることが好ましく、また、混練分散処理から微分散処理に移行する際に顔料粒子が再凝集するのを防止するために溶解性に優れた樹脂成分を用いるのが好ましい。更に、微分散処理時に使用するビーズミルのビーズに高硬度のセラミックスを使用したり、粒径の小さいビーズを使用したりする手段も有効である。尚、前記樹脂成分としては、例えば、上述のアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。
【0085】
本発明においては、特に、2種以上の顔料を用い、更に2種以上の顔料を50000mPa・s以上の高粘度状態で分散した後に、更に1000mPa・s以下の低粘度状態で分散して得られた着色剤を用いることが好ましい。
一般に、これら顔料は合成後、種々の方法で乾燥を経て供給される。通常は水媒体から乾燥させて粉末体として供給されるが、水が乾燥するには大きな蒸発潜熱を必要とするため、乾燥して粉末とさせるには大きな熱エネルギーを与える。そのため、顔料は一次粒子が集合した凝集体(二次粒子)を形成しているのが普通である。
【0086】
本発明における着色熱硬化性組成物の調製方法において着色剤が顔料の場合は、まず着色剤(顔料)に上述のバインダーを混練分散処理後の粘度が50,000mPa・s以上(好ましくは50,000〜100,000mPa・s)の比較的高粘度になるように混練分散処理を施すのが好ましい。ここで、混練分散処理は、高粘度分散であってもよいし、乾式分散であってもよい。
【0087】
次いで、必要に応じて混練分散処理後の分散物に上述のバインダーを追加添加し、微分散処理後の粘度が1000mPa・s以下(好ましくは100mPa・s以下)の比較的低粘度になるように微分散処理を施すことが好ましい。尚、微分散処理は、低粘度分散であってもよいし、湿式分散であってもよい。
【0088】
前記混練分散処理においては、溶剤の比率が被分散物に対して0〜20質量%であることが好ましい。このように、溶剤をあまり使用せずに分散を行なうと、顔料粒子の表面をビヒクルの樹脂成分を主体とした構成成分との濡れを促進させることができ、顔料粒子表面が形成する界面を、顔料粒子と空気との固体/気体界面から、顔料粒子とビヒクル溶液との固体/溶液界面に変換することができる。顔料粒子の表面が形成する界面を空気から溶液に変換し混合攪拌すると、顔料を一次粒子に近い微小な状態にまで分散することができる。
【0089】
このように、顔料を高度に分散させるためには、顔料粒子表面が形成する界面を空気から溶液に変換することが有効である。かかる変換には強い剪断力や圧縮力が必要である。このため、前記混練分散処理においては、強い剪断力や圧縮力を発揮できる混練機を用い、被混練物として高粘度のものを用いるのが好ましい。
【0090】
また、前記微分散処理時においては、ガラスやセラミックの微粒状の分散用メディアと共に混合攪拌することが好ましい。さらに、微分散処理時における溶剤の比率は、被分散物の20〜90質量%であることが好ましい。前記微分散処理時においては、顔料粒子を微小な状態にまで均一に安定させて分布させることが必要であることから、凝集している顔料粒子に衝撃力と剪断力とを付与できる分散機とを用い、被分散物として低粘度のものを用いるのが好ましい。
【0091】
着色剤が染料の場合は、上記のような分散工程を必要とせず、しかるべき溶剤にバインダーとともに溶解させるだけでよい。
【0092】
このようにして得られた顔料の分散物又は染料の溶液にエポキシ樹脂のような熱硬化性化合物と硬化触媒や硬化剤とを添加、あるいは既にバインダーが熱硬化性化合物である場合には、硬化触媒や硬化剤を添加して熱硬化機能を付与し、必要に応じて溶剤を添加することで本発明における着色熱硬化性組成物を調製することができる。
【0093】
本発明における第1の着色層は、上記の着色熱硬化性組成物を支持体に塗布し、乾燥して第1の着色層を形成する工程により形成することができる。
具体的には、例えば、溶剤を含む着色熱硬化性組成物を、直接又は他の層を介して支持体上に回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して形成することができる。
前記第1の着色層の厚さとしては、0.005μm〜0.9μmが好ましく、0.01μm〜0.65μmが好ましく、0.02μm〜0.6μmで作製されることが更に好ましい。
【0094】
本発明における第1の着色層形成工程は、加熱工程(ポストベーク工程であってもよい)を更に含むことが好ましい。具体的には、第1の着色層は、着色熱硬化性組成物を支持体に塗布して塗布膜を形成した後、加熱工程により該塗布膜を熱硬化させて形成することができる。
前記加熱工程は、塗布後の乾燥と同時であってもよく、また、塗布乾燥後に別途熱硬化の工程を設けてもよい。加熱工程は、オーブン、ホットプレートなど公知の加熱手段を用い、好ましくは130℃〜300℃、更に好ましくは150℃〜280℃、特に好ましくは170℃〜260℃の条件下で、好ましくは10秒〜3時間、更に好ましくは30秒〜2時間、特に好ましくは60秒〜60分の範囲で行なうことができる。但し、製造を考慮すると硬化に要する時間は短時間であるほど好ましい。
【0095】
(着色光硬化性組成物)
着色光硬化性組成物は、着色剤及び光硬化性成分を少なくとも含むものである。このうち、「光硬化性成分」としては、フォトリソ法に通常用いられる光硬化性組成物であり、バインダー樹脂(例えばアルカリ可溶性樹脂)、感光性重合成分(例えば、光重合成モノマー)、及び光重合開始剤等を少なくとも含む組成物を用いることができる。
【0096】
−着色剤−
着色剤としては、上記の着色熱硬化性組成物において挙げた着色剤と同じものを好適に用いることができる。
【0097】
着色剤の着色光硬化性組成物の全固形分中における含有率は、特に限定されるものではないが、好ましくは30〜60質量%である。含有率を30%以上とすることで、カラーフィルタとして適度な色度を得ることができる。また、60%以下とすることで光硬化を充分に進めることができ、膜としての強度低下を抑制することができる。更にアルカリ現像の際の現像ラチチュードが狭くなることを抑制することができる。
【0098】
本発明においては、顔料の分散性を向上させる目的で、従来公知の顔料分散剤や界面活性剤を添加することができ、多くの種類の化合物から選択することができる。
例えば、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745、エフカ社製)、ソルスパース5000(ゼネカ(株)製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ(株)製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)が挙げられる。
【0099】
−光硬化性成分−
光硬化性成分は、フォトリソ法に通常用いられる光硬化性組成物であり、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂など)、感光性重合成分(光重合性モノマーなど)、光重合開始剤等を用いて構成される組成物を用いることができる。
【0100】
〜アルカリ可溶性樹脂〜
前記バインダー樹脂としては、公知の樹脂成分を適宜選択して用いることができるが、中でもアルカリ可溶性樹脂が好ましい。以下、アルカリ可溶性樹脂を中心に説明する。
【0101】
アルカリ可溶性樹脂としては、塗布膜の露光強度に対する現像後の線幅の変化率を7.5×10−5μm・m/J以下にする点で、分子中にポリアルキレンオキサイド鎖及び/又はヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を有するアクリル系樹脂が好ましい。
【0102】
前記アクリル系樹脂は、ポリスチレン換算質量平均分子量が5,000〜50,000のものが好ましく、6,000〜30,000のものが更に好ましく、8,000〜20,000のものが最も好ましい。
また、前記ポリアルキレンオキサイド鎖の含有量は、モル比で0.5〜18モル%であるものが好ましく、0.8〜15モル%がさらに好ましく、1〜10モル%が最も好ましい。
ポリアルキレンオキサイド鎖のうち、ポリエチレンオキサイド鎖が好ましく、その付加モル数n((EO))は、2〜25が好ましく、更に2〜15が好ましく、5〜12が最も好ましい。
前記ヒドロキシエチルメタクリレートの含有量はモル比で10〜30モル%であるものが好ましく、更に15〜25モル%であるものが好ましい。
【0103】
分子中にポリアルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系樹脂としては、例えば下記アルカリ可溶性樹脂Aが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂Aは、少なくとも(i)無水マレイン酸(MAA)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MA)、メタクリル酸イソブチル(IBMA)、及びフマル酸(FA)から選ばれる少なくとも一種の酸成分モノマー、(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、並びに(iii)ベンジル(メタ)アクリレートからなる共重合体である。
【0104】
前記アルカリ可溶性樹脂Aにおける、(i)酸成分モノマー、(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート(Acr(EO):CH(OCOCOC(CH)=CHR;Rは、水素原子又はメチル基を表す(以下同様))、及び(iii)ベンジル(メタ)アクリレート(BzMA)の各モノマー成分のモル比は、好ましくは15〜30/1〜20/50〜84、より好ましくは17〜25/2〜15/60〜80である。また、アルカリ可溶性樹脂AのGPCによるポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは6,000〜30,000である。
【0105】
(i)酸成分モノマーのモル比が前記範囲の下限値以上であることにより、アルカリ可溶性が向上する。また、前記範囲の上限値以下であることにより、溶剤への溶解性が向上する。
(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート(Acr(EO):CH(OCOCOC(CH)=CHR)の組成質量比が前記範囲の下限値以上であることにより、着色光硬化性組成物塗布液の基板上への液の広がり方が充分になり、本発明を有効に達成することができる傾向がある。また、前記範囲の上限値以下であることにより、着色剤の分散性が向上する傾向がある点で好ましい。
(iii)ベンジル(メタ)アクリレート(BzMA)の組成質量比が前記範囲の下限値以上であることにより、着色剤の分散安定性や組成物中への溶解性が向上する傾向がある点で好ましい。また、前記範囲の上限値以下であることにより、塗布膜のアルカリ現像適性が向上するので好ましい。
【0106】
前記(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート(Acr(EO):CH(OCOCOC(CH)=CHR)のポリオキシエチレン(EO)の繰り返し数「n」は、2〜25が好ましく、より好ましくは2〜15であり、特に好ましくは5〜12である。この繰り返し数「n」が前記範囲の下限値以上であると、アルカリ現像液で現像した後に現像残渣が発生を抑制し易くなり、また逆に前記範囲の上限値以下であると、組成物の塗布液としての流動性が向上し、塗布ムラの発生を抑制し、塗布膜厚の均一性や、省液性も向上する傾向があり、好ましい。
【0107】
分子中にヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を有するアクリル系樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂Aの(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、をヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に代えたものが挙げられる。
分子中にポリアルキレンオキサイド鎖及びヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を有するアクリル系樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂Aに更にヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を共重合させたものが挙げられる。
【0108】
アルカリ可溶性樹脂の光硬化性組成物中における含有量は、0.5〜15質量%が好ましく、1.0〜12質量%がさらに好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂の含有量が、0.5質量%以上であると現像の進行が早くなり製造コストの低下につながる。また、15質量%以下であると良好なパターンプロファイルが得られるようになる。
【0109】
〜感光性重合成分〜
感光性重合成分としては、重合性モノマーが一般的である。重合性モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を示す化合物が好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
【0110】
重合性モノマーも分子中にポリアルキレンオキサイド鎖を有するものが、塗布膜の露光強度に対する現像後の線幅の変化率を7.5×10−5μm・m/J以下にするために好ましい。このような重合性モノマーとしては、次に示すものが挙げられる。
【0111】
【化1】

【0112】
【化2】

【0113】
前記重合性モノマーの光硬化性組成物中における含有量は、固形分に対して0.1〜90質量が好ましく、1.0〜80質量%がさらに好ましく、2.0〜70質量%が特に好ましい。
【0114】
〜光重合開始剤〜
光重合開始剤は、前記重合性モノマー(及び場合により前記アルカリ可溶性樹脂)を重合可能なものであれば特に限定されないが、重合特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で、ハロメチル−s−トリアジン系化合物、オキシム系化合物、及びα−アミノケトン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0115】
前記ハロメチル−s−トリアジン系化合物としては、例えば、特公昭59−1281号公報に記載のビニル−ハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭53−133428号公報に記載の2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物及び4−(p−アミノフェニル)−2,6−ビス−ハロメチル−s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0116】
上記以外には、みどり化学社製のTAZシリーズ(例えば、TAZ−107、TAZ−110、TAZ−104、TAZ−109、TAZ−140、TAZ−204、TAZ−113、TAZ−123等)などが挙げられる。
【0117】
前記オキシム系化合物としては、特に限定されないが、例えば、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン=2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−(4−メチルスルファニルフェニル)−1,2−ブタンジオン=2−(O−アセチルオキシム)、1−(4−メチルスルファニル−フェニル)−1−ブタノン=O−アセチルオキシム、ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニル−フェニル)−酢酸エチルエステル−O−アセタート、ヒドロキシイミノ−(4−メチルスルファニル−フェニル)−酢酸エチルエステル−O−ベンゾアート等が挙げられる。
【0118】
前記α−アミノケトン系化合物としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアシリーズ(例えば、イルガキュア907、イルガキュア369等)、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
【0119】
上記の光重合開始剤には、増感剤や光安定剤を併用することができる。
その具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、2−エトキシキサントン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニル−p−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(又はミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾアントロン等や特公昭51−48516号公報記載のベンゾチアゾール系化合物等や、チヌビン1130、同400等が挙げられる。
【0120】
本発明においては、以上の光重合開始剤以外に、他の公知の光重合開始剤を使用することができる。
具体的には、米国特許第2,367,660号明細書に開示されているビシナールポリケトルアルドニル化合物、米国特許第2,367,661号及び第2,367,670号明細書に開示されているα−カルボニル化合物、米国特許第2,448,828号明細書に開示されているアシロインエーテル、米国特許第2,722,512号明細書に開示されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3,046,127号及び第2,951,758号明細書に開示されている多核キノン化合物、米国特許第3,549,367号明細書に開示されているトリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組合せ、特公昭51−48516号公報に開示されているベンゾチアゾール系化合物/トリハロメチール−s−トリアジン系化合物等を挙げることができる。
前記他の光重合開始剤としては、ハロメチルオキサジアゾール化合物、ハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも一つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、前記以外のオキシム系化合物等が挙げられる。
【0121】
ハロメチルオキサジアゾール化合物である活性ハロゲン化合物の例としては、特公昭57−6096号公報に記載の2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物等や、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
【0122】
また、前記他の光重合開始剤として、PANCHIM社製のTシリーズも有効に使用することができ、例えば、T−OMS、T−BMP、T−R、T−B等が挙げられる。
さらに、前記他の光重合開始剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアシリーズも有効に使用することができ、例えば、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア500、イルガキュア1000、イルガキュア149、イルガキュア819、イルガキュア261、ダロキュアシリーズ、ダロキュア1173等が挙げられる。
【0123】
その他、前記他の光重合開始剤として、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、ベンゾインイソプロピルエーテル等も有用である。
【0124】
光重合開始剤の着色光硬化性組成物中における含有量は、前記重合性モノマーの固形分に対し、0.01質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が、0.01質量%以上であると重合が進み易くなり、50質量%以下であると、重合率は小さくなるが分子量が大きくなり、膜強度を強くすることができる。
【0125】
着色光硬化性組成物中には以上の他に、さらに熱重合防止剤を加えることが好ましい。例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。
【0126】
〜溶剤〜
着色光硬化性組成物には、必要に応じて溶剤を用いることができる。溶剤は、組成物の溶解性、塗布性を満足すれば基本的に特に限定されないが、特に染料、バインダー(アルカリ可溶性樹脂)の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ぶことが好ましい。
具体的には、上記の着色熱硬化性組成物において説明した溶剤と同じものを好適に用いることができる。
【0127】
〜その他の添加物〜
着色光硬化性組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば充填剤、前記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。
【0128】
これらの添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフロロアルキルアクリレート等の結着樹脂以外の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0129】
また、現像により除去しようとする部分のアルカリ溶解性を促進し、光硬化性組成物について現像性の更なる向上を図る場合には、光硬化性組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。具体的には、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0130】
本発明における第1の着色層形成工程は、上記の着色光硬化性組成物を用いる場合、着色光硬化性組成物を支持体上に直接又は他の層を介して塗布し、その後乾燥して塗布膜を形成する工程(塗膜形成工程)と、該塗布膜を露光する工程(露光工程)と、露光された前記塗布膜をアルカリ現像液で現像処理する工程(現像工程)と、現像処理された露光処理された前記塗布膜に加熱処理を施す工程(ポストベーク工程)と、を含むことができる。
【0131】
前記塗膜形成工程においては、着色光硬化性組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スリット塗布等の塗布方法により塗布・乾燥して感放射線性組成物層(塗膜層)を形成することができる。
【0132】
前記露光工程においては、前記塗膜形成工程において形成された塗布膜に、放射線を照射して露光することで前記塗布膜を光硬化させることができる。例えばマスク等を介して特定のパターンを露光する。露光の際に使用される放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0133】
前記ポストベーク工程においては、露光後の塗布膜を十分に硬化させるために、加熱処理を施すことができる。前記加熱処理における加熱温度は、100〜300℃が好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。また、加熱時間は、10分〜1時間程度が好ましく、5分〜30分程度がさらに好ましい。
【0134】
[フォトレジスト層形成工程]
本発明のカラーフィルタの製造方法において、(b)フォトレジスト層形成工程では、支持体上に形成された第1の着色層上にフォトレジスト層を形成する。
【0135】
上述のように、支持体上に第1の着色層が形成(場合により硬化)された後、この第1の着色層上にフォトレジスト層(感光性樹脂層)が形成される。具体的には、前記着色層上にポジ又はネガ型の感光性樹脂組成物を塗布し、これを乾燥させてフォトレジスト層が形成される。本発明のフォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を行なうことが好ましい。
【0136】
前記ポジ型の感光性樹脂組成物としては、紫外線(g線、i線)、エキシマー・レーザー等を含む遠紫外線、電子線、イオンビーム及びX線等の放射線に感応するポジ型フォトレジスト用に好適なポジ型レジスト組成物が使用できる。前記放射線のうち、前記感光性樹脂層を露光するものとしては、本発明の目的からはg線、i線が好ましく、中でもi線が好ましい。
【0137】
具体的には、前記ポジ型の感光性樹脂組成物は、キノンジアジド化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有する組成物が好ましい。キノンジアジド化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型の感光性樹脂組成物は、500nm以下の波長の光照射によりキノンジアジド基が分解してカルボキシル基を生じ、結果としてアルカリ不溶状態からアルカリ可溶性になることを利用してポジ型フォトレジストとして用いられている。このポジ型フォトレジストは解像力が著しく優れているので、ICやLSI等の集積回路の作製に用いられている。前記キノンジアジド化合物としては、ナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。
【0138】
近年、集積回路については集積度の向上に伴って配線の幅が微細化され、このためエッチングも従来のウェットエッチングに代えてドライエッチングが主流になっている。このドライエッチングではレジストの形状がそのまま被エッチング層の形状に反映されるので、レジストの形状が悪いとエッチング不要の部分までエッチングされてしまい、集積回路の不良や歩留り悪化の原因となる。このため、現像残さ(スカム)等の少ないプロファイルの良好なレジストが従来以上に要求されている。また、ドライエッチングでは支持体の温度が上昇し、レジストパターンが熱変形を起こして寸法精度が低下することがある。このため、レジストの耐熱性が従来以上に要求されている。このような観点で現在使用されているポジ型フォトレジストを観ると、プロファイル、スカム、解像度及び耐熱性等の諸性能について満足するものが、数多く市販されており、例えば、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)社製のFH−6000シリーズ、例えば「FH−6400L」、「FH−6800L」など、同社製FHi−3000シリーズ、例えば「FHi−3200」、「FHi−3950」等、同社製FHi−600シリーズ例えば「FHi−644」、「FHi−645」、同社製Fi−SPシリーズ例えば、「Fi−SP2」等が挙げられる。但し、これに限らずパターン形成に好ましいマスク形状のものができるのであれば、市販の有無に関わらずポジ型の感光性樹脂組成物として使用可能である。
【0139】
前記ネガ型の感光性樹脂組成物としては、紫外線(g線、i線)、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線等の輻射線に感応するネガ型フォトレジスト組成物が挙げられる。更に詳しくは、解像力及び感度に優れ、かつ現像残りによる微小欠陥が実質上発生しないネガ型フォトレジスト組成物が好ましい。本発明によるネガ型フォトレジストは、着色層上に、スピン塗布法又はローラー塗布法で例えば0.5μm〜3μmの厚みに塗布される。その後、加熱、乾燥し、露光マスクを介して回路パターン等を紫外線照射などにより焼き付け、更に必要に応じ露光後加熱工程(PEB)を経てから現像すればネガ画像が得られる。更にこの画像をマスクとしてエッチングする事により熱硬化性樹脂層にパターン状の加工を施すことができる。代表的な応用分野はICなどの半導体製造工程、液晶、サーマルヘッドなどの回路基板の製造、更にその他のフォトフアプリケーション工程である。またこの画像と支持基板とのインクへの親和性の差を利用して平版印刷版に適用することもできる。半導体基板の加工の高集積度化に伴いフォトレジストの高解像力化が求められている。
【0140】
前記ネガ型の感光性樹脂層は、光重合開始剤とエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含むことが好ましい。このような感光性樹脂層の形成に用いられるネガ型の感光性樹脂組成物については次のような先行技術が知られている。例えば、特公昭54−23574号公報は有機ハロゲン化物からなる光酸発生剤と組合せて、ノボラック樹脂を光硬化させる技術を開示している。また、西独公開特許2057473号公報には、ジアゾ化合物からなる光酸発生剤とメチロール化メラミンなどからなる光硬化性組成物との結合剤としてノボラックなどのフェノール樹脂を適用できることが記載されている。更に特開昭60−263143号公報は光酸発生剤とメラミン樹脂などの酸硬化性アミノブラスト樹脂、それに一般的なノボラック樹脂とからなる組成物を開示しており、水性現像可能で熱安定性の高いネガ画像が得られるとしている。また、特開昭62−164045号公報はかかる組成物の光酸発生剤として、遠紫外域に光吸収を有する有機ハロゲン化物が有利に使えることを述べている。同様に、特開平2−52348号公報は類似の系の光酸発生剤として、特定領域のpKa値を持つ有機ハロゲン化物が有利であることを述べている。更に、特開平2−154266号公報は同様な光硬化性組成物の光酸発生剤としてオキスムスルフォン酸エステル類が有効であることを示している。また別な例としては、特開平2−146044号公報が、特定のトリクロロトリアジン基を有する光酸発生剤とアルコキシ化メラミンにm−クレゾールを30%以上含有するノボラック樹脂を組み合わせた組成物が、高エネルギー線露光用に有用であることを述べている。更に、欧州特許397460A号公報には、同様な組成物に於いて分岐度の高いノボラック樹脂を用いることが示されている。これらネガ型の感光性樹脂組成物は、市販されており、例えば、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)社製のSCシリーズ、例えば、「SC−60」、「SC−450」等、同社製のHRシリーズ、例えば、「HR−100」、「HR−200」、同社製のHNRシリーズ、例えば、「HNR−80」、「HNR−120」などが挙げられる。但し、これらに限らずパターン形成に好ましいマスク形状のものができるのであれば、市販の有無に関わらず使用可能である。
【0141】
前記感光性樹脂組成物の塗布方法については、既述の塗布方法を好適に用いることができる。
前記感光性樹脂層の具体的な厚さとしては、0.01μm〜3μmが好ましく、0.1μm〜2.5μmが好ましく、0.15μm〜2μmで作製されることが更に好ましい。
【0142】
[画像形成工程]
本発明のカラーフィルタの製造方法において、(c)画像形成工程では、前記第1の着色層上の領域のうち前記第1の着色層(既に形成された着色層)とは異なる第2の着色層を形成する支持体上の領域のみのフォトレジスト層を除去することにより、前記第1の着色層上に画像を形成する。
本工程では、フォトレジスト層に対して、支持体上の第1の着色層の領域のうち第2の着色層を形成する領域のみに対応する画像様に露光を行ない、現像することによりエッチング用マスク(パターン画像)を形成することができる。
【0143】
本発明においては、第1の着色層の次に形成しようとする第2の着色層が形成される支持体上の領域のみのフォトレジスト層が除去された画像が、第1の着色層上に形成される。これにより、前記画像様に第1の着色層の表面(支持体と対向する側とは反対側の面)が露出することになる。一方、第1の着色層の表面のうち、第2の着色層を支持体上に形成する領域以外の領域はフォトレジスト層で被覆された状態となっている。
【0144】
前記フォトレジスト層の露光は、所定(画像様)のマスクパターンを介して、ポジ型又はネガ型の感光性樹脂組成物に、g線、h線、i線等、好ましくはi線で露光を施すことによって行なうことができる。
【0145】
前記現像液としては、着色剤を含む着色層には影響を与えず、ポジレジストの露光部及びネガレジストの未硬化部を溶解するものであればいずれも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
【0146】
前記アルカリ性の水溶液としては、アルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解してなる水溶液が好適である。アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等が挙げられる。
なお、アルカリ性水溶液である現像液を使用した場合は、一般に現像後に水で洗浄が行なわれる。
【0147】
[エッチング工程]
本発明のカラーフィルタの製造方法において、(d)エッチング工程では、前記画像形成工程によって形成された画像様に、第2の着色層を形成する領域における第1の着色層をドライエッチング法により除去する。
【0148】
上記のように、前記画像形成工程によって、第1の着色層のうち、第2の着色層が支持体上に形成される領域に対応する領域のみが露出された状態となる。この状態でエッチングガスを用いた例えばプラズマエッチング処理で異方性エッチングを行なうことにより、前記画像形成工程で形成された画像様に第1の着色層を除去することができる。これにより、支持体が露出する支持体露出部が形成される。
【0149】
本発明においては、オーバーエッチ率をエンドポイントディテクターで管理することが好ましい。これにより、支持体表面がパッシベーション膜であるSiである場合、又は、支持体が可視光に透明な硬化性樹脂の場合のいずれであっても、エッチング処理による支持体の削れ量を抑制することができる。
【0150】
本発明におけるドライエッチング処理に用いられるガスとしては公知のものを用いることができる。中でも、O、CF等が好適なものとして挙げられる。ドライエッチング法の代表的な例としては、特開昭59−126506号、特開昭59−46628号、同58−9108号、同58−2809号、同57−148706号、同61−41102号などの公報に記載されているような方法が知られている。
【0151】
[フォトレジスト除去工程]
本発明のカラーフィルタの製造方法において、(e)フォトレジスト層除去工程では、前記エッチング工程後に残存するフォトレジスト層を除去する。
【0152】
エッチング処理終了後、エッチング用マスクとして機能させたフォトレジスト層(露光後の感光性樹脂層)は専用の剥離液や溶剤によって除去される。これにより、除去により、画像様にエッチングされた第1の着色層が露出する。
剥離液や溶剤については、公知のものを適宜選択して用いることが可能である。
【0153】
[第2の着色層形成工程]
本発明のカラーフィルタの製造方法において、(f)第2の着色層形成工程では、着色光硬化性組成物を第1の着色層が除去された前記領域に露光、現像により付与して第2の着色層を形成する。
【0154】
本工程では、着色光硬化性組成物を少なくとも第1の着色層が除去された支持体露出部(すなわち第2の着色層を形成する支持体上の領域)にフォトリソ法により付与することにより、第1の着色層とは異なる第2の着色層が形成される。ここで、第2の着色層は、第1の着色層に含有される着色剤とは異なる(例えば色相の異なる)着色剤を少なくとも含有することが好ましい。
【0155】
上記のように、本発明のカラーフィルタの製造方法では、少なくとも2色目以降の着色層は、既設の第1(1色目)の着色層に予めドライエッチングを施して形成された凹部に着色剤含有の光硬化性組成物をフォトリソ法により埋め込むようにして形成される。
【0156】
本工程で用いる着色光硬化性組成物については、前記第1の着色層形成工程で挙げた着色光硬化性組成物を好適に用いることができる。
【0157】
第2の着色層の形成は、第1の着色層にドライエッチングにより形成された凹部が覆われるようにして着色光硬化性組成物を塗布し、塗布形成された塗布膜に対して露光、現像を行なうフォトリソ法により行ない、さらに場合により既述のポストベーク工程を設けて硬化処理することにより、第1の着色層とは異なる第2の着色層が形成される。このとき、着色光硬化性組成物としては、第1の着色層に含有される着色剤と異なる(例えば色相の異なる)着色剤を含有するものであることが好ましい。
着色光硬化性組成物を塗布する方法については、既述の塗布方法及び塗布条件を適用することができる。
【0158】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記した(b)フォトレジスト層形成工程と(c)画像形成工程と(d)エッチング工程と(e)フォトレジスト層除去工程と(f)第2の着色層形成工程とをこの順で行なう工程群を、少なくとも2群含んでいることが好ましい。
前記(a)〜(f)の工程を終了した後に、前記(b)〜(f)の工程群をさらに1回実施することにより、既に形成された2種(例えば2色)の着色層とは異なる着色層をさらに1種(例えば前記2色以外の他の色)形成することができる。したがって、本発明においては前記工程群を2群含むことで、少なくとも3種(例えば3色)の着色層からなるカラーフィルタを製造できることになる。
【0159】
本発明において、第2の着色層が、支持体上の第1の着色層が除去された領域に形成される場合、第3の着色層が形成される領域については、形成された第1の着色層のうち未だ第3の着色層形成用の凹部が設けられていないままの状態である。このようにすることで、第2の着色層を形成する過程では支持体表面に凹凸のない状態で第2の着色層を露光、現像により形成することができ、第2の着色層を現像するにあたり支持体表面に存在する凹凸による残渣の発生を抑制することができる。また、第3の着色層が更に形成される場合には、第3の着色層を形成しようとする領域における第1の着色層をドライエッチングにより除去した後、この領域にフォトリソ法にて、前記第2の着色層の場合と同様に第3の着色層を形成することができる。このようにすることで、第3の着色層を形成する際に、支持体上の第1及び第2の着色層が存在する等でできる凹凸の影響による残渣の発生が抑制される。
【0160】
本発明においては、ダイシングライン、スクライブライン、PAD部を露出させる露出工程を更に設けることができる。前記露出工程は、カラーフィルタ層や保護すべき領域をフォトレジスト層で被覆し、アッシング又はエッチングにて露出させるものである。その後は、有機溶剤などでフォトレジスト層を溶解除去することができる。
前記露出工程は、前記各層を形成した後に実施する態様、又は最終層が形成された後に実施する態様のいずれであってもよい。
【0161】
以下に、本発明のカラーフィルタの製造方法の1態様を図面を参照して説明する。
(a)第1の着色層形成工程
図1に示すように、支持体1を用意し、この支持体1の表面に所望の色成分に対応させて調製された着色熱硬化性組成物を所望の膜厚で塗布し、ポストベーク処理を行ない、第1の着色層2(例えば青色(B)の着色層)を形成する。
【0162】
(b)フォトレジスト層形成工程
次に、図2に示すように、第1の着色層2上にポジ又はネガ型フォトレジスト組成物を塗布し、プリベーク処理を実施して所望の膜厚を有するフォトレジスト層3を形成する。
【0163】
(c)画像形成工程
続いて、支持体1上に形成された第1の着色層の上方に、第1の着色層の第2の着色層を形成しようとする領域に対応する位置のみに開口部がパターン状に配されたフォトマスクを配置し、このフォトマスクを通してフォトレジスト層3側から露光処理を実施し、図3に示すように潜像領域4を形成する。図4は、図3をフォトレジスト層3側からみた平面図である。
【0164】
その後、図5に示すように、フォトレジスト層3の除去すべき潜像領域4を現像処理により除去する。支持体上には、フォトレジスト層3が除去されて着色層露出部5が形成されており、この着色層露出部5は第1の着色層を除去すべき領域に対応するものである。すなわち、第2の着色層を形成しようとする領域のみフォトレジスト層が除去され、第1の着色層(及び必要に応じて第3の着色層以降の層)が形成される第1の着色層上のフォトレジスト層3が残存する。
【0165】
(d)エッチング工程
次に、図6に示すように、フォトレジスト層6をマスクとしてエッチング処理を施し、第1の着色層2を除去して第2の着色層を形成する領域(以下、支持体露出部7と称する。)を形成する。
【0166】
(e)フォトレジスト層除去工程
エッチング処理を実施した後、フォトレジスト層6を剥離液などを用いて溶解除去する。フォトレジスト層除去工程を行なうことにより、図7に示すように、第2の着色層を形成しようとする支持体露出部7のみにおいて、第1の着色層2が除去されて凹部8が形成された形状となる。図8は、図7を第1の着色層2側からみた平面図である。
【0167】
(f)第2の着色層形成工程
次に、図9に示すように、支持体1上の第1の着色層及びこの着色層に形成された凹部8を覆うようにして、第2の着色層の色成分に対応させて調製された着色光硬化性組成物を、凹部8(支持体露出部7)が埋め込まれる膜厚で塗布し、プリベーク処理を行ない、第2の着色層9を形成する。その後、第2の着色層9の上方に所望の開口パターンを有するフォトマスクを配置し、このフォトマスクを通して第2の着色層9側から露光処理を実施し、さらに現像処理、ポストベーク処理を行ない、図10に示すように第2の着色層からなる着色画素10(例えば赤色(R)画素)を形成する。
【0168】
(b)フォトレジスト層形成工程
上記の(a)〜(f)の操作を終えた後、図には示さないが、支持体1上の第1及び第2の着色層の上にポジ又はネガ型フォトレジストを塗布し、プリベーク処理して、再びフォトレジスト層(以下、フォトレジスト層11という)を形成する。
【0169】
(c)画像形成工程
続いて、形成されたフォトレジスト層11の上方に、第1の着色層2の第3の着色層を形成しようとする領域に対応する位置のみに開口部がパターン状に配されたフォトマスクを配置し、このフォトマスクを通して前記(c)と同様に、フォトレジスト層11側から露光処理を実施し、潜像領域を形成する。そして、図11に示すように、フォトレジスト層11の除去すべき潜像領域を現像処理により除去し、第1の着色層2の上に、フォトレジスト層11が除去されて着色層露出部12が形成される。この着色層露出部12は、第3の着色層を形成するために、第1の着色層を除去すべき領域に対応するものである。すなわち、第3の着色層を形成しようとする領域のフォトレジスト層のみが除去され、第1及び第2の着色層(及び場合により第4の着色層以降の層)が形成される第1の着色層2上のフォトレジスト層11は残存する。
【0170】
(d)エッチング工程
次に、図12に示すように、フォトレジスト層11をマスクとしてエッチング処理を施し、第1の着色層2を除去して第3の着色層を形成する領域(以下、支持体露出部13と称する。)を形成する。このとき、エッチング処理は、支持体表面が露出するように第1の着色層を除去する。
【0171】
(e)フォトレジスト層除去工程
エッチング処理を実施した後、フォトレジスト層11を剥離液などで溶解除去する。本工程を行なうことにより、図13に示すように、第3の着色層を形成しようとする支持体露出部13のみにおいて、第1の着色層2が除去されて凹部14が形成された形状となる。図14は、図13を第1及び第2の着色層が形成されている側からみた平面図である。
【0172】
(f)第3の着色層形成工程
次に、図15に示すように、支持体1上の第1及び第2の着色層とこれらの着色層間に形成された凹部14を覆うようにして、第3の着色層の色成分に対応させて調製された着色光硬化性組成物を、凹部14(支持体露出部13)が埋め込まれる膜厚で塗布し、プリベーク処理を行ない、第3の着色層15を形成する。その後、第3の着色層15の上方に所望の開口パターンを有するフォトマスクを配置し、このフォトマスクを通して第3の着色層15側から露光処理を実施し、さらに現像処理、ポストベーク処理を行ない、図16に示すように第3の着色層からなる着色画素16(例えば緑色(G)画素)を形成する。
このとき、図16に示すように、1色目として形成された第1の着色層(青色の着色層)2は、所望のパターン状に存在しており、カラーフィルタを構成する着色画素の1色(着色画素17)として形成されている(例えば青色(B)画素)。
【0173】
以上のように、(a)〜(f)の後に更に(b)〜(f)を行なうことにより、3色(例えばRGB)のカラーフィルタを作製することができる。
【実施例】
【0174】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
また、以下の各工程において、市販の処理液を用いた処理を行なう場合、特記しない限りメーカー指定の方法にしたがって各処理を行なった。
【0175】
(実施例1)
[第1の工程]
シリコン基板上にスピンコーターにて、緑色の熱硬化性組成物「SG−5000L」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を膜厚0.8μmの塗布膜となるように塗布した後、ホットプレートを使用し、塗布膜の温度又は雰囲気温度が220℃となる温度で5分間加熱し、塗布膜の硬化を行ない、緑色層を形成した。
ここで、「SG−5000L」で形成された緑色層の厚みは0.65μmであった。
【0176】
次に、「SG−5000L」で形成された緑色層上に、ポジ型フォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をMark8(東京エレクトロン社製)にて塗布し、プリベークを実施して、膜厚0.8μmのフォトレジスト層を形成した。
【0177】
続いて、緑色層上に形成されたフォトレジスト層の上方から、緑色層の赤色(R)の着色画素(Rフィルタアレイ)を形成しようとするパターン領域におけるフォトレジスト層を、i線ステッパー(キャノン(株)製)を用いて350mJ/cmにて露光し、フォトレジスト層の温度又は雰囲気温度が110℃となる温度で1分間、加熱処理を行なった。その後、現像液「FHD−5」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)で1分間の現像処理を行ない、さらに120℃で2分間のポストベーク処理を実施し、Rフィルタアレイを形成しようとするパターン領域のフォトレジストを除去した。このときのパターンサイズは、1.5μmとした。
【0178】
続いて、ドライエッチング装置M−621(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、RFパワー:800W、チャンバー圧力:4Pa、基板温度:50℃、ガス種及び流量をAr:800mL、CF:200mL、O:50mLの条件にて、オーバーエッチング率を10%として、ドライエッチング処理を施した。
【0179】
その後、フォトレジスト剥離液「MS230C」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用して120秒間、剥離処理を実施し、フォトレジストを除去した。
【0180】
このとき、Rフィルタアレイを形成しようとするパターン領域以外は、「SG−5000L」で形成された緑色層がそのまま残存する状態となっており、Rフィルタアレイを形成しようとするパターン領域ではシリコン基板が露出した状態となっている。
【0181】
[第2の工程]
第1の工程を終えたシリコン基板上の緑色層及びパターン領域の上に、これらを覆うようにしてスピンコーターにて、赤色の光硬化性組成物「SR−5000L」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を、Rフィルタアレイを形成しようとするパターン領域に膜厚0.8μmの塗布膜が形成されるように、塗布した後、ホットプレートを使用して塗布膜を100℃で2分間、プリベーク処理を実施した。その後、i線ステッパーFPA3000i5+(キャノン(株)製)を用いて200mJ/cmにて露光し、現像液「CD−2060」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いて1分間、現像処理した。その後さらに、220℃で5分間のポストベーク処理を実施して、Rフィルタアレイを形成しようとする所望のパターン領域にRフィルタを形成した。
このとき、第1層として形成した「SG−5000L」上の残渣の発生は見られなかった。また、Rフィルタの厚みは、0.65μmであった。
【0182】
引き続いて、Rフィルタが形成されたシリコン基板のRフィルタ形成面側に、ポジ型フォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を塗布し、プリベークを実施し、膜厚0.8μmのフォトレジスト層を形成した。
【0183】
重ね合わせを実施するためのアライメント処理を実施した後、緑色層の青色(B)の着色画素(Bフィルタアレイ)を形成しようとするパターン領域におけるフォトレジスト層を、i線ステッパーを用いて350mJ/cmにて露光し、フォトレジスト層の温度又は雰囲気温度が110℃となる温度で1分間加熱処理した。その後、現像液「FHD−5」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いて1分間、現像処理し、さらに120℃で2分間のポストベーク処理を実施し、Bフィルタアレイを形成しようとするパターン領域のフォトレジストを除去した。このときのパターンサイズは、1.5μmとした。
【0184】
続いて、ドライエッチング装置M−621(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、RFパワー:800W、チャンバー圧力:4Pa、基板温度:50℃、ガス種及び流量をAr:800mL,CF4:200mL,O2:50mLの条件にて、オーバーエッチング率を10%として、ドライエッチング処理を施し、第1層である緑色層を除去した。
【0185】
その後、フォトレジスト剥離液「MS230C」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用して120秒間、剥離処理を実施し、フォトレジスト層を除去した。このとき、「SG−5000L」で形成された緑色層は、Bフィルタアレイを形成しようとするパターン領域以外はそのまま残存する状態となっており、Bフィルタアレイを形成しようとするパターン領域ではシリコン基板が露出した状態となっている。
【0186】
[第3の工程]
上記の第1の工程、第2の工程を終えたシリコン基板上の緑色層及びRパターン並びにパターン領域の上に、これらを覆うようにしてスピンコーターにて、青色の光硬化性組成物「SB−5000L」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を、Bフィルタアレイを形成しようとするパターン領域に膜厚0.8μmの塗布膜が形成されるように、塗布した後、ホットプレートを使用し、塗布膜の温度又は雰囲気温度が100℃となる温度で2分間、プリベーク処理を実施した。その後、i線ステッパーFPA3000i5+(キャノン(株)製)を用いて400mJ/cmにて露光し、現像液「CD−2060」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いて1分間、現像処理した。その後さらに、220℃で5分間のポストベーク処理を実施して、Bフィルタアレイを形成しようとするパターン領域にBフィルタを形成した。
このとき、第1層として形成した「SG−5000L」上の残渣の発生は見られなかった。また、Bフィルタの厚みは、0.65μmであった。
なお、緑色層は、Rフィルタ及びBフィルタの形成によりパターン化され、Bフィルタの形成と同様にGフィルタも所望のパターンに形成されている。
【0187】
(比較例1)
[第1の工程]
実施例1と同様にして、緑色の熱硬化性組成物「SG−5000L」を用いて緑色層を形成した。次に、「SG−5000L」で形成された緑色層上に、ポジ型フォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をMark8(東京エレクトロン社製)にて塗布し、プリベークを実施し、膜厚0.8μmのフォトレジスト層を形成した。
【0188】
次に、緑色層の、緑色(G)の着色画素(Gフィルタアレイ)を形成しようとするパターン領域以外を、i線ステッパー(キャノン(株)製)を用いて350mJ/cmにて露光し、緑色層の温度又は雰囲気温度が110℃となる温度で1分間、加熱処理を実施した。その後、現像液「FHD−5」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いて1分間、現像処理した後、120℃で2分間のポストベーク処理を実施して、赤色(R)の着色画素(Rフィルタアレイ)及び青色(B)の着色画素(Bフィルタアレイ)を形成しようとする領域のフォトレジストを除去した。このときのパターンサイズは、1.5μmとした。
【0189】
続いて、ドライエッチング装置M−621(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、RFパワー:800W、チャンバー圧力:4Pa、基板温度:50℃、ガス種及び流量をAr:800mL、CF:200mL、O:50mLの条件にて、オーバーエッチング率を10%として、ドライエッチング処理を実施した。
【0190】
その後、フォトレジスト剥離液「MS230C」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用して120秒間、剥離処理を実施し、フォトレジスト層を除去した。このとき、Gフィルタアレイを形成しようとする領域には、「SG−5000L」で形成された緑色層が残存したままの状態にあり、Rフィルタアレイ及びBフィルタアレイを形成しようとする各パターン領域ではシリコン基板が露出した状態となっている。
【0191】
[第2の工程]
第1の工程を終えたシリコン基板上の緑色層及びシリコン基板の露出部の上に、これらを覆うようにしてスピンコーターにて、赤色の光硬化性組成物「SR−5000L」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を、Rフィルタアレイを形成しようとするパターン領域に膜厚0.8μmの塗布膜が形成されるように、塗布した後、ホットプレートを使用し、塗布膜の温度又は雰囲気温度が100℃となる温度で2分間、プリベーク処理を実施した。その後、i線ステッパーFPA3000i5+(キャノン(株)製)を用いて200mJ/cmにて露光を実施した後、現像液「CD−2060」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いて1分間、現像処理した。更に、220℃で5分間のポストベーク処理を実施して、Rフィルタアレイを形成しようとする所望のパターン領域にRフィルタを形成した。
このとき、第1層として「SG−5000L」で形成した緑色層上には残渣の発生は見られなかったが、3色目のフィルタとして、Bフィルタアレイを形成しようとするパターン領域には若干の残渣が確認された。そのため、更なる除去処理が必要とされ、あるいはこのままBフィルタを形成した場合には、各色パターンを良好な矩形に形成することができず、均一厚で平坦性の高いカラーフィルタは得らない。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】支持体上に着色層が形成されているところを示す断面図である。
【図2】支持体上の着色層の上にさらにフォトレジスト層が形成されているところを示す断面図である。
【図3】露光後のフォトレジスト層に潜像領域が形成された状態を示す断面図である。
【図4】図3をフォトレジスト層側から示す平面図である。
【図5】現像処理後のフォトレジスト層に着色層露出部が形成されているところを示す断面図である。
【図6】エッチング処理後の層構造を示す断面図である。
【図7】フォトレジスト層除去後の層構造を示す断面図である。
【図8】図7を第1の着色層側から示す平面図である。
【図9】第2の着色層が形成されているところを示す断面図である。
【図10】第2の着色層からなる着色画素が第1の着色層間に形成された層構造を示す断面図である。
【図11】現像処理後のフォトレジスト層に第3の着色層を形成する着色層露出部が形成されているところを示す断面図である。
【図12】エッチング処理後の層構造を示す断面図である。
【図13】フォトレジスト層除去後の層構造を示す断面図である。
【図14】図13を第1及び第2の着色層が形成されている側から示す平面図である。
【図15】第3の着色層が形成されているところを示す断面図である。
【図16】第3の着色層からなる着色画素が第1及び第2の着色層間に形成された層構造を示す断面図である。
【図17】図16を着色画素が形成されている側から示す平面図である。
【符号の説明】
【0193】
1…支持体
2…第1の着色層
3,6,11…フォトレジスト層
4…未硬化の潜像領域
5,12…着色層露出部
8,13…支持体露出部
9…第2の着色層
10,16,…着色画素
15…第3の着色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)支持体上に、第1の着色層を形成する第1の着色層形成工程と、
(b)前記第1の着色層上にフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、
(c)前記支持体上の、前記第1の着色層上の領域のうち前記第1の着色層とは異なる第2の着色層を形成する領域のみの前記フォトレジスト層を除去することにより、前記第1の着色層上に画像を形成する画像形成工程と、
(d)前記画像形成工程によって形成された画像様に、前記領域における前記第1の着色層をドライエッチング法により除去するエッチング工程と、
(e)前記エッチング工程後に残存する前記フォトレジスト層を除去するフォトレジスト層除去工程と、
(f)着色光硬化性組成物を前記第1の着色層が除去された前記領域に露光、現像により付与して第2の着色層を形成する第2の着色層形成工程と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記(b)〜(f)をこの順に行なう工程群を少なくとも2群含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−129430(P2008−129430A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315853(P2006−315853)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】