説明

カラー画像形成装置及び色ずれ補正方法

【課題】ダウンタイムを生じることなく色ずれ補正をするとともに、補正が必要な色のみ適時補正する。
【解決手段】光源と走査結像光学系とにより構成される光学部からの光束を感光体ドラム9A〜9D上に結像して潜像を形成し、形成された潜像を現像してトナー画像を形成し、現像されたトナー画像を転写ベルト11に転写して重ね合わせ、前記転写ベルト11上に色ずれ補正パターンを形成し、転写ベルト11上に形成された色ずれ補正パターンを検出し、その検出結果に基づいて色ずれを補正する際、前記色ずれ補正パターンを紙間(転写紙100,101間)Aで2色ずつ形成し、パターン形成頻度を各色毎に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラー画像を形成する際に色ずれ補正を行うカラーレーザプリンタ、カラーデジタル複写機、デジタル複合機等のカラー画像形成装置、及びこれらの画像形成装置に適用される色ずれ補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像記録装置においては、複数色の色材を用いて各色毎にトナー像を形成し、各色のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する。このようなカラー画像形成装置において複数色を重ね合わせる方式も種々提案され、実施されている。その中に、各色のトナー像をそれぞれ別のドラム状の感光体上に形成し、転写部材あるいは記録媒体に各色のトナー像を重ね合わせる所謂タンデム方式のカラー画像形成装置がある。このような複数色を重畳してフルカラーの画像を形成する場合、各色の画像を重ね合わせたときに、被転写部材における位置関係が一致せず、色ずれを生じる場合がある。
【0003】
これらの色ずれの要因は多様であり、例えば、光学部のレンズ、ミラー等の走査結像光学素子の位置ばらつき、温度あるいは湿度等の環境による光学素子の特性ばらつき、各色の感光体の回転ムラ、転写部材、記録媒体の移動ムラ等がその要因として挙げられる。そこで、このような形式の画像形成装置では、転写部材の画像形成領域外に、各色毎に色ずれ補正(検出用)のトナー画像パターンを形成し、転写部材近傍に設けられたトナー画像検出部で色ずれ量を検出し、検出したずれ量に応じて、光学部や感光ドラムの位置調整や光源の点灯消灯タイミング調整等を実施し、これらに起因する色ずれを補正している。
【0004】
しかし、このように各色毎に色ずれ補正用のトナー画像パターンを形成し、転写部材近傍に設けられたトナー画像検出部で色ずれ量を検出して補正を行う場合には、この補正に伴う時間が必要となる。そのため、画像形成装置が画像形成可能となるまでユーザを待たせてしまうというダウンタイム(プリント動作中断時間)が増加することになる。また、画像形成装置の起動直後や、装置内部の温度上昇など使用環境の変化や経時変化により、色ずれ調整の必要が生じ、特に高精度の色合わせを必要とする画像形成装置においては、色ずれ調整の頻度が多くなるため、とうしてもダウンタイムが増加せざるを得ない。
【0005】
そこで、このようなダウンタイムの増加を防止するための技術として例えば特許文献1あるいは2に記載された発明が知られている。このうち特許文献1に記載された発明は、搬送ベルトに沿って複数個配置された電子写真方式の画像形成部によって形成された画像を、前記搬送ベルトにより搬送される単一の記録媒体上に順次重ね合わせて転写することにより前記記録媒体上にカラー画像を得るカラー画像形成装置において、前記搬送ベルトに各々の前記画像形成部によってレジストマークを形成するレジストマーク形成手段と、前記搬送ベルトに近接して配置され前記レジストマークの通過を検知するレジストマーク検知手段と、前記レジストマークの通過を検知した結果に基づき色間のずれを補正する補正手段を備え、かつ、前記レジストマーク検知手段を作動することによって色間のずれを検知した過去の結果を記憶する記憶手段を有し、前記補正手段による色間のずれ補正動作の実行を前記記憶手段の記憶結果に基づいて行うことを特徴としている。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明は、光学部と感光ドラムを各々有する複数の画像形成部と、前記複数の画像形成部を順次通過し該複数の画像形成部で形成された画像が転写される無端状ベルトと、前記無端状ベルト上に形成された色ずれ補正パターンを検出する色ずれ補正パターン検出手段と、前記無端状ベルト上の記録紙間に色ずれ補正パターンを形成し、形成した色ずれ補正パターンを前記色ずれ補正パターン検出手段で検出し、検出結果にもとづいて色ずれ補正をするように制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
さらに、特許文献3には、基準色パターンと補正対象色パターンとを重畳して中間転写体上に複数のパッチからなる色ずれ補正パターンを形成し、この色ずれ補正パターンを光学的に読み取り、この読み取り結果に基づいて各色の位置ずれを補正する技術が開示されている。
【0008】
この発明では、記録紙間に色ずれ検出(補正)用のパターンを形成し、さらに、基準色と検出色1色のみの色ずれ補正パターンを形成しているので、各記録紙間の間隔を狭めるとこができ、ダウンタイムを生じることなく色ずれ補正をすることができるとしている。
【特許文献1】特開2000−305340号公報
【特許文献2】特開2004−198946号公報
【特許文献3】特開2005−031227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2記載の発明のように記録紙間の色ずれ検出用のパターン形成や色ずれ量検出は、画像形成動作中に常時実施する必要はなく、補正が必要な色のみ適時実施すれば良い。また、特許文献1記載の発明のように色間のずれを検知した過去の結果を記憶する記憶手段を有し、前記補正手段による色間のずれ補正動作の実行を前記記憶手段の記憶結果に基づいて実行すると、記憶手段に記憶された結果が更新されるまで、同じデータが使用されることになり、経時的なずれに対応することができなくなることがある。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ダウンタイムを生じることなく色ずれ補正をするとともに、補正が必要な色のみ適時補正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、第1の手段は、転写部材上に色ずれ補正パターンを形成するパターン形成手段と、前記転写部材上に形成された色ずれ補正パターンを検出する色ずれ検出手段と、 前記色ずれ検出手段の検出結果に基づいて色ずれを補正する色ずれ補正手段と、を有し、光学的走査により複数の感光体上に形成された単色の画像を重畳してカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、前記色ずれ補正パターンは記録媒体間で2色ずつ形成され、パターン形成頻度を各色毎に変更することを特徴とする。
【0012】
第2の手段は、第1の手段において、装置内の環境変化による影響が大きい色の前記色ずれ補正パターンの形成順序がより早く行われることを特徴とする。
【0013】
第3の手段は、第1の手段において、装置内の環境変化による影響が大きい色のパターンの形成頻度がより多く設定されていることを特徴とする。
【0014】
第4の手段は、第1の手段において、記録媒体間での色ずれ補正パターンが色ずれ補正基準色と他の1色とから形成されることを特徴とする。
【0015】
第5の手段は、第4の手段において、各色の光学レイアウトが色ずれ補正基準色から最も離れている色の色ずれパターンの形成がより早く行われることを特徴とする。
【0016】
第6の手段は、第4の手段において、各色の光学レイアウトが色ずれ補正基準色から最も離れている色の色ずれパターンのパターン形成回数がより多く設定されていることを特徴とする。
【0017】
第7の手段は、第1ないし第6のいずれかの手段において、前記感光体が並列に配置され、各感光体上に形成された顕像が重畳されるタンデム型の作像手段を備えていることを特徴とする。
【0018】
第8の手段は、光源と走査結像光学系とにより構成される光学部からの光束を感光体上に結像して潜像を形成し、前記感光体に形成された潜像を現像してトナー画像を形成し、前記現像されたトナー画像を転写部材に転写し重ね合わせ、前記転写部材上に色ずれ補正パターンを形成し、前記転写部材上に形成された色ずれ補正パターンを検出し、前記色ずれ検出手段の検出結果に基づいて色ずれを補正する際、前記色ずれ補正パターンを記録媒体間で2色ずつ形成し、パターン形成頻度を各色毎に変更して画像形成装置の色ずれを補正する補正方法と特徴とする。
【0019】
なお、後述の実施形態においては、転写材は中間転写ベルト11に、色ずれ補正パターンは符号Pに、パターン形成手段は制御部200、走査光学装置1、帯電ローラ、帯電部、露光部、現像部、及び転写部に、色ずれ検出手段は反射濃度センサ211及び中央制御装置200に、色ずれ補正手段は中央処理装置200のCPUに、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ダウンタイムを生じることなく色ずれ補正をするとともに、補正が必要な色のみ適時補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態に係るカラー画像形成装置の走査光学装置の光学部を同一平面上に展開して示す説明図、図2は図1の光学部の一部及び作像部を示す構成図である。
【0023】
これらの図において、走査光学装置1は、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の光源となる半導体レーザ10A,10B,10C,10Dと、これら各半導体レーザ10A,10B,10C,10Dからそれぞれ出射されたレーザ光による光束を偏向するためのポリゴンミラー24と、このポリゴンミラー24を高速で回転駆動するポリゴンモータ23と、前記ポリゴンミラー24より偏向された複数の光束を等角速度偏向から等速度偏向に変換する走査レンズ(fθレンズ)5A,5B,5C,5Dと、走査レンズ5A,5B,5C,5Dを透過したレーザ光を折り返す折り返しミラー6A,6B,6C,6D、7A,7B,7C,7D、8A,8B,8C,8Dと、前記ポリゴンミラー24によって走査されるレーザ光の光学特性を測定するために折り返しミラー16A,16B,16C,16Dを介して前記レーザ光をそれぞれ検知する複数の光学特性測定手段15A1〜15A4,15B1〜15B4,15C1〜15C4とを備えている。
【0024】
ポリゴンモータ23とポリゴンミラー24は偏向器4を構成し、前記fθレンズ5A,5B,5C,5Dと前記複数の光束を折り返しミラー6A〜6D,7A〜7D,8A〜8Dは結像光学系を構成し、前記各レーザ光は図2に示す被走査体にして像担持体である感光体ドラム9A,9B,9C,9D上をそれぞれ主走査方向に走査する。なお、図1における20A,20B,20C,20Dは、感光体ドラム9A,9B,9C,9D上を走査するレーザ光を折り返しミラー19A,19B,19C,19Dを介して取り込んで、同期検知を行う同期検知板である。
【0025】
これら4つの感光体ドラム9A,9B,9C,9Dは、例えば感光体ドラム9Aはシアン(C)に、感光体ドラム9Bはイエロー(Y)に、感光体ドラム9Cはマゼンタ(M)に、感光体ドラム9Dはブラック(Bk)にそれぞれ対応した画像を形成する。この色の順は任意に設定することができる。これら4つの感光体ドラム9A,9B,9C,9Dの各々の周囲には、図示していないが、電子写真プロセスにより画像形成を行うための、帯電ローラ、帯電ブラシあるいは帯電チャージャ等で構成された帯電部と、光書き込み装置から出射されたレーザビーム(レーザ光)の露光部と、C,Y,M,Bkの各色の現像装置で構成された現像部と、転写紙を搬送しながら画像を転写する転写搬送ベルト、及び転写ローラ、転写ブラシ等で構成された転写部を備えた転写搬送装置と、クリーニングブレード、クリーニングブラシ等で構成されたクリーニング部等が配置され、それぞれの感光体ドラム9A,9B,9C,9Dに各色の画像形成を行うことができるようになっている。これらの構成は公知の構成であるため、詳細は割愛する。
【0026】
各感光体ドラム9A,9B,9C,9Dの表面は、図示しない帯電装置によりそれぞれ所定の電位に帯電されている。したがって、各感光体ドラム9A,9B,9C,9Dの帯電面が露光されると、前記帯電面に各色(シアン、イエロー、マゼンダ、ブラック)に対応する潜像が形成され、その各潜像が各色に対応する図示しない現像装置により現像されて各色のトナー画像となる。前記各感光体ドラム9A,9B,9C,9D上に形成された各トナー画像は、転写ベルト11上に静電吸着されて図2において左方に搬送される記録媒体である転写紙に順次重ね合わされて転写される。転写(搬送)ベルト11はエンドレスベルトの形状をしており、駆動ローラ12a、従動ローラ12c、テンションローラ12b間に渡され、図示反時計方向に移動するように駆動される。
【0027】
偏向器4によって偏向され、走査レンズ5A,5B,5C,5Dによって結像された複数の走査線は、図2に示すように複数のミラー群6A,7A,8A,9A、6B,7B,8B,9B、6C,7C,8C,9C、6D,7D,8D,9Dによって反射され、被走査体である感光体ドラム9A,9B,9C,9D上をそれぞれ主走査方向に走査する。各感光体ドラム9A,9B,9C,9Dの表面は、図示しない帯電装置によりそれぞれ所定の電位に帯電されている。したがって、その各感光体ドラム9A,9B,9C,9Dの帯電面が露光されて、そこに各色(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)に対応する潜像が形成され、その各潜像が各色に対応する図示しない現像装置により現像されて各色のトナー画像となる。その感光体ドラム9A,9B,9C,9D上に形成された各トナー画像は、転写ベルト11上に吸着されて、図2で左方に搬送される記録媒体(転写紙100)に順次直接重ね合わされて転写される。符号20A,20B,20C,20Dは各色のレーザ光の書き出し位置を設定するための同期検知板であり、それぞれ折り返しミラー19A,19B,19C,19Dによって折り返された各感光体ドラム9A,9B,9C,9Dへの書き込み前のレーザ光が入射される。
【0028】
色ずれ補正用のトナー画像パターンも前記トナー画像と同様に、転写ベルト11上に形成される。本実施形態では、図3に示すように転写紙100と次に搬送される転写紙101との間の紙間A(紙間領域で距離Lの領域)に形成する。転写ベルト11の搬送に伴い、紙間(領域)Aが順次、各色感光体ドラム9A,9B,9C,9Dの位置を通過する。この通過するタイミングに併せて、色ずれ補正用のトナー画像パターンが形成される。2色間の色ずれ補正パターンを1つ形成するのに要する距離をdとすると、紙間ではL/d個の色ずれ補正パターンを作成できる。しかし、全色の色ずれ検出を検出しようとする場合には、最低でも3種類の組み合わせ、すなわち、ブラック−シアン、ブラック−マゼンタ、ブラック−イエローの組み合わせが必要であり、紙間Aで作成できる色ずれ補正パターンは3分の1になってしまう。したがって、紙間Aで2色ずつ色ずれ補正パターンを形成することにより、限られた転写紙間隔に多くのパターンを作成し、色ずれ補正精度を向上することができる。なお、本実施形態では、記録紙上に画像を形成するので、紙間であるが、フィルム状の媒体などを考慮すると、画像はシート状の記録媒体上に形成され、紙間は記録媒体間となる。
【0029】
ただし、色ずれ検出動作は、転写紙間隔で毎回実施する必要はなく、色ずれ量が許容レベルを超えない頻度で実施すれば良い。逆に、転写紙間隔で毎回実施してしまうと、トナー消費が早まったり、感光体やレーザ等の劣化が早まったりするなど、副作用の発生が懸念される。したがって、色ずれ検出動作は、色ずれ量が許容レベルの範囲内であるうちで、かつ、できる限り低頻度で実施するのが望ましい。そこで、各色のパターン形成タイミングを自動的あるいは任意に変更することできるようにする。これにより必要最小限の補正頻度とすることが可能となる。パターン形成タイミングは、後述の中央制御装置200においてプログラムされているタイミングで後述の基準色に対するずれ量と連続プリント枚数との関係から自動的に設定される。なお、任意に変更する場合には、ユーザ、オペレータが操作部230からの操作入力によって変更することになる。
【0030】
図2のように、複数の感光体位置を転写ベルトが順次通過するように直線的に配置されている場合の色ずれ量の変化を図4に示す。横軸は連続印刷枚数で、縦軸は基準色(Bk)に対する色ずれ変化量である。このとき、色ずれ補正の基準となるBk色の感光体は9Dである。また、9Dから近い順に、9B、9A、9Cが配置される。図4では連続印刷枚数の増加に伴い、各色の色ずれ量も増加する。これは、連続印刷による装置内の温度上昇などの環境変化に起因するところが大きい。また、基準色から、補正色の感光体の距離が離れるに連れて、色ずれ量が多くなっている。20ミクロンのずれ量が生じるタイミングを比較すると、基準色(K色)から一番遠いM色は連続プリント約100枚程度であるのに対し、C色は約150枚、基準色(K色)から一番近いY色は連続プリント約400枚となっている。色ずれ量の許容レベルを20ミクロン以内とすると、必要な色ずれ補正頻度は、M色は連続プリント100枚に1回以上、C色は150枚に1回以上、Y色は400枚に1回以上となる。
【0031】
このように、色ずれ補正パターンを転写紙間で2色ずつ形成し、各色のパターン形成タイミングを変更することができる構成とするにより、ダウンタイムを生じることなく、補正が必要な色のみ適時色ずれ補正が可能となり、また、トナー消費、感光体劣化、レーザ劣化を抑制できる。なお色ずれ補正の実施タイミングは、具体的には、例えば電源ON時、また光学系の温度上昇がある所定以上となった場合に実施される。
【0032】
また、各色のパターン形成タイミングを変更することができるので、前記環境変化によるずれ量の影響が多い色、ここでは感光体ドラムの基準色に対する位置関係が大きな要素になると考えられるが、前記影響が多い色の色ずれ補正をより早いタイミングで実行し、また、補正回数も多くする。同様に、実際に感光体ドラムの基準色に対する位置関係が離れている色ほど色ずれ補正をより早いタイミングで実行し、また、補正回数も多くする。言い換えれば、これらの場合、より早いタイミングで色ずれ補正パターンを形成し、より回数多く色ずれ補正パターンを形成して、補正を行うと言うことになる。
【0033】
図5は本実施形態における色ずれ補正(検出用)パターン(色ずれ検出パッチ群)を示す図、図6は色ずれ検出パッチ群におけるひとつのパッチを示す図である。なお、図5に示したものは主走査方向の色ずれ(位置ずれに同じ−以下同様)補正パターンであり、副走査方向の色ずれ補正用パターンとしては、これに対し垂直方向にパッチ群を補正パターンとすれば良い。すなわち、副走査方向(転写ベルト11の移動方向に直交する方向)に平行にラインが形成されるようにすれば良い。
【0034】
本実施形態における色ずれ検知における動作原理は以下の通りである。
本実施形態における色ずれ検出パッチ群におけるひとつのパッチは、図6に示すように、補正対象色である1色のカラー色トナー(C、M、Y−ハッチングで示す)を、ある所定のライン幅:aと、これに等しいライン間隔:b(=a)で複数本形成したパターンの上に、基準色であるBkトナー(網点で示す)の等ライン幅:a、等ライン間隔:bパターンを重ね合わせた構成とする。また、このパッチに対し、図5に示すように両者が完全に重なったパッチを基準パッチPAとし、これに対しセンサの読み取り方向の手前側に、ラインの形成方向と平行にある任意量だけその相対的な位置関係をずらした複数の連続的なパッチ群を作成し、また基準パッチPAに対しセンサの読み取り方向の後側にも、これと逆方向に任意量だけその相対的な位置関係をずらした複数の連続的なパッチ群を形成し、これらのパッチ群Pを色ずれ補正パターンPとする。このような補正パターンPを紙間Aに2色ずつ形成する。この2色とは基準色Bkに対して補正対象色1色(例えばY)、次の紙間Aは基準色Bkに対して他の補正対象色1色(例えばC)、その次の紙間Aは基準色Bkに対してさらに他の補正対象色1色(例えばM)という具合である。
【0035】
このような補正パターンPは図2における基準色Bk転写用の感光体ドラム9Dの下流側の転写ベルト11と対向した位置に設けられた検知センサによって読み取るが、検知センサとしては反射型濃度フォトセンサ211(図7参照)がコスト面で有利である。反射型センサとしては、正反射成分を検知するセンサ、拡散反射成分を検知するセンサがあるが、拡散反射成分を検知するセンサが精度の面で有利である。一方、正反射成分を検知するセンサは拡散反射成分を検知するセンサに比較して、位置ずれ制御精度という観点からは使用はできるものの制御性は落ちる。しかし、検知面地肌の反射率付近での感度が高いため、発光素子に対して拡散反射成分を検知するセンサと併用して、発光素子の光量調整として用いる。
【0036】
ここでは拡散反射成分を検知するセンサを用いて、前述の色ずれ補正パターンの拡散光出力にて読み取った場合を例に説明する。基準パッチPAでは、このパッチの地肌である転写ベルト11からの拡散光と、黒の複数のライン部からの拡散光の合成出力となる。ここで重要なことは転写ベルト11、黒トナーに対する拡散光出力を低く、カラートナーに対する拡散光出力を高くし、この差を大きくとることである。
【0037】
検出センサの読み取り方向の長さである各パッチ長(パッチ幅)パッチ間隔及び検出センサの転写体上のスポット径とは、
パッチ長+パッチ間隔>センサの転写体上のスポット径×2
との関係にしておく。
【0038】
この基準パッチPAに対し、ある任意量だけどちらかの色(これは基準色であるBkであっても、補正対象色であっても良い)をシフトさせた場合、補正対象色であるカラートナーからは、所定の拡散光出力が戻ってくるために、これを徐々に任意量だけシフトさせたパッチ群Pからの得られる拡散光出力値は、そのシフト量に応じて大きくなる。また、基準パッチPAに対し、逆側に任意量だけシフトさせたパッチを考えた場合でも、これと同等の出力値が得られるために、この検出値を、このあらかじめ設定された任意のシフト量に対しプロットすると図4に示すような出力結果が得られる。
【0039】
すなわち、これは転写ベルト18の地肌、黒トナー、カラートナーからの拡散光出力に対し、
黒トナーからの出力、転写ベルトからの出力<カラートナーからの出力
の関係が成立していることを利用している。
【0040】
また、このような色ずれ補正パターンにより色ずれを検知し、補正を行う場合には、黒トナーが上側にあることが望ましいため、転写ベルト11上における各色トナー像の作像順序の関係を考えると、黒トナーの作像ステーションが最下流であることが望ましい。
【0041】
なお、前記位置ずれ補正パターンPの形成、パターン検知及び検知したパターンに基づいた位置ずれ補正の制御は、図7に示した制御回路の中央処理装置200のCPUが実行する。図7は画像形成装置の制御回路の全体構成の概略を示すブロック図である。同図において、制御回路は、中央処理装置200、センサ出力処理装置210、ドライバ220、操作部230及びメモリ240から構成されて、センサ出力処理装置210、操作部230、メモリ240は中央処理装置200と相互に通信し、ドライバ220は中央処理装置200からの指示により、各部を駆動する。
【0042】
前記各部は、ポリゴンモータ221(図2における符号23に対応)、レーザダイオード(LD)222(図1、図2における符号10A〜10Dに対応)、メインモータ223、現像モータ224、現像バイアス225などからなり、ドライバ220の駆動出力により駆動される。センサ出力処理装置210は、反射濃度センサ211、同期検知センサ212(図1における符号20A〜20Dに対応)、レジストセンサ213などのセンサ類を制御し、検出出力をデジタルデータなどに変換するなどして中央処理装置200に送信する。反射濃度センサ211は、前記正反射成分を受光する第1の受光素子、拡散反射成分を受光する第2の受光素子などからなる色ずれ検出センサとして機能する。同期検知センサ212は光書き込み時の光書き込み開始位置を設定するためのもので、レジストセンサ213は、記録媒体(転写紙)に画像を転写する際に、転写紙の転写部への搬送タイミングを設定するものである。
【0043】
ドライバ220は、光走査するためのポリゴンミラー24を回転駆動するポリゴンモータ221(23)、光書き込みを行うためのレーザ光を出射するLD222(10A〜10D)、感光体ドラム9A〜9D、転写ベルト11などの駆動するメインモータ223、現像装置を駆動する現像モータ224及び現像バイアス225を制御する。
【0044】
メモリ240には、画像形成するための画像データが蓄積され、操作部230からコピー指示や位置ずれの検知指示、位置ずれの補正指示などが行われる。
【0045】
なお、中央処理装置200のCPUは、図示しないROMに記憶されたプログラムにしたがって図示しないRAMをワークエリアとして使用しながらROMに格納されたプログラムを実行し、所定の制御が行われる。また、これまでに述べた動作原理については前述の特許文献3に詳細に記載されている。
【0046】
なお、本実施形態においては、光束を偏向走査する偏向走査光学部を有する構成について説明したが、レーザダイオードアレイから出射された光束を結像する結像光学部を有する構成であっても良い。
【0047】
また、図5ないし図7に示した色ずれ補正パターンと画像形成装置の制御回路は本実施形態の一例を示すもので、異なるパターンや検出方法でも発明を実施できることは言うまでもない。当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【0048】
以上のように本実施形態によれば、
1)色ずれ補正パターンを紙間で2色ずつ形成し、各色のパターン形成タイミングを変更し、設定することができるので、補正が必要な色のみダウンタイムを生じることなく適時補正を行うことが可能になる。
2)装置内の環境変化による影響が大きい色の色ずれ補正パターン形成順序を早くし、あるいはパターン形成回数を多くして、色ずれ補正パターン形成を実施することにより、色ずれが大きい色を優先して補正することができる。
3)紙間での色ずれ補正パターンは色ずれ補正基準色と他の1色にて形成される画像形成装置にて、各色の光学レイアウトが色ずれ補正基準色から最も離れている色のパターン形成順序を早くして、あるいはパターン形成回数を多くして色ずれ補正パターン形成を実施することにより、色ずれが大きい色を優先して補正することができる。
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係るカラー画像形成装置の走査光学装置の光学部を同一平面上に展開して示す説明図である。
【図2】図1の光学部の一部及び作像部を示す構成図である。
【図3】転写紙と次に搬送される転写紙との間の紙間領域を示す説明図である。
【図4】複数の感光体位置を転写ベルトが順次通過するように直線的に配置されている場合の色ずれ量の変化を示す図である。
【図5】色ずれパターンの一例を示す図である。
【図6】色ずれ検出パッチ群におけるひとつのパッチを示す図である。
【図7】画像形成装置の制御回路の全体構成の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
1 走査光学装置
4 偏向器
5A,5B,5C,5D 走査レンズ(fθレンズ)
6A〜6D,7A〜7D,8A〜8D 折り返しミラー
9A,9B,9C,9D 感光体ドラム(9D 色ずれ補正基準色の感光体ドラム)
10A,10B,10C,10D 半導体レーザ
11 転写ベルト
15A1〜15A4,15B1〜15B4,15C1〜15C4 光学特性測定手段
23 ポリゴンモータ
24 ポリゴンミラー器
100,101 転写紙
200 中央処理装置(制御部)
210 センサ出力処理装置
211 反射濃度センサ
A 紙間(領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写部材上に色ずれ補正パターンを形成するパターン形成手段と、
前記転写部材上に形成された色ずれ補正パターンを検出する色ずれ検出手段と、
前記色ずれ検出手段の検出結果に基づいて色ずれを補正する色ずれ補正手段と、
を有し、光学的走査により複数の感光体上に形成された単色の画像を重畳してカラー画像を形成するカラー画像形成装置において、
前記色ずれ補正パターンは記録媒体間で2色ずつ形成され、パターン形成頻度を各色毎に変更することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載のカラー画像形成装置において、
装置内の環境変化による影響が大きい色の前記色ずれ補正パターンの形成順序がより早く行われることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載のカラー画像形成装置において、
装置内の環境変化による影響が大きい色のパターンの形成頻度がより多く設定されていることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載のカラー画像形成装置において、
記録媒体間での色ずれ補正パターンは色ずれ補正基準色と他の1色とから形成されることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載のカラー画像形成装置において、
各色の光学レイアウトが色ずれ補正基準色から最も離れている色の色ずれパターンの形成がより早く行われることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載のカラー画像形成装置において、
各色の光学レイアウトが色ずれ補正基準色から最も離れている色の色ずれパターンのパターン形成回数がより多く設定されていることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかの1項に記載のカラー画像形成装置において、
前記感光体が並列に配置され、各感光体上に形成された顕像が重畳されるタンデム型の作像手段を備えていることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項8】
光源と走査結像光学系とにより構成される光学部からの光束を感光体上に結像して潜像を形成し、
前記感光体に形成された潜像を現像してトナー画像を形成し、
前記現像されたトナー画像を転写部材に転写し重ね合わせ、
前記転写部材上に色ずれ補正パターンを形成し、
前記転写部材上に形成された色ずれ補正パターンを検出し、
前記色ずれ検出手段の検出結果に基づいて色ずれを補正する際、前記色ずれ補正パターンを記録媒体間で2色ずつ形成し、
パターン形成頻度を各色毎に変更すること
を特徴とする画像形成装置の色ずれ補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−96807(P2008−96807A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280126(P2006−280126)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】