説明

カーテンエアバッグ装置

【課題】 カーテンエアバッグに膨張ガスを高速充填することができ、膨張展開したカーテンエアバッグ自体が窓の外側にはみ出してしまうのを防止することができるカーテンエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】 カーテンエアバッグ2を複数の縦長の膨張室13〜25から構成し、フロントピラー7とセンターピラー8との間、及びセンターピラー8とリアピラー9との間におけるカーテンエアバッグ2の横断面形状をアーチ型に構成する。アーチ型を構成するため、車両の側部の横方向において、膨張室13、18、19、25では、車内側基布パネルの長さ寸法を窓側基布パネルの長さ寸法よりも短く構成する。また膨張室14〜17、20〜24では、車内側基布パネルの長さ寸法を窓側基布パネルの長さ寸法よりも長く構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の側面に沿って膨張展開するカーテンエアバッグを備えたカーテンエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年においては、車両に対する側突事故やロールオーバ等の事故において、乗員の頭部を保護する目的で、車室の側面に沿って膨張展開するカーテンエアバッグを設けた車両が、数多く使用されている。車両に対する側突事故やロールオーバ等の事故の発生が検知されると、あるいはこれらの事故の発生が予測されると、カーテンエアバッグ装置のインフレータから噴射された膨張ガスがカーテンエアバッグ内に流入して、カーテンエアバッグを膨張展開させる。
【0003】
このとき、カーテンエアバッグの膨張展開に伴って、ルーフサイドガーニッシュの下端部側(ルーフサイドガーニッシュの扉部側)を車内側上方に押し開き、押し開かれた開口を通ってカーテンエアバッグは、下方へ向ってカーテン状に展開する。膨張展開したカーテンエアバッグによって、乗員の頭部を保護することができる。
【0004】
一般に、乗員の頭部などを保護するために用いられるカーテンエアバッグ装置は、乗員の頭部をカーテンエアバッグで受け止めたときに、カーテンエアバッグの内圧は適当な内圧状態になっており、そして、ある時間の間では内部のガスが抜けきらずに維持できるものが、衝突やロールオーバ等に対して、より好ましい保護性能を発揮する、とされている。
【0005】
また、カーテンエアバッグ装置としては、車両に対する側突事故やロールオーバ等の事故が発生したときに、車両内に乗車していた乗員が車両の窓から放り出されないように保護する機能も要求されている。そのため、窓枠の内側においてカーテンエアバッグが安定的に展開することが求められており、カーテンエアバッグが膨張展開したときには、乗員の頭部をキャッチングしている位置が窓の外側に対して所定量以上突出しないことが必要になっている。
【0006】
乗員の頭部がカーテンエアバッグに当接したときに、窓枠の内側で膨張展開したカーテンエアバッグ自体も一緒になって窓の外側にはみ出てしまうと、乗員の頭部をキャッチングしている位置は、窓の外側に対して所定量以上よりも更に突出した位置になってしまう。
【0007】
カーテンエアバッグ装置としては、エアバッグ装置(例えば、特許文献1参照)や自動車用の乗員の保護装置(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。特許文献1に記載されたエアバッグ装置を、本願発明における従来例1として説明する。図3には、特許文献1のエアバッグ装置におけるエアバッグが膨張展開した状態を側面図で示している。
【0008】
図3に示すように、エアバッグ40は、展開した状態で車内側に突出した側面視「く」の字状に湾曲するバッグ42と、バッグ42の車両ボディを向く側に配置され、バッグ42の上端および下端を互いに結合する結合部材41とを有する構成になっている。バッグ42の縦方向における中間部43は、乗員の方へ突出している。
【0009】
そして、乗員側に突出した中間部43と結合部材41との間に空間44が画定される。エアバ
ッグ40が膨張展開すると、乗員の頭部45は初め中間部43に接触し、次にバッグ42を車両ボディの方へ押圧する。中間部43から上方および下方へと延びるバッグ42の上部および下部が、結合部材41と協動して、三角形の空間を画定することができる構成となっている。
このように構成することによって、大容量のインフレータを採用することなく、乗員の頭部を即座に保護することができるとしている。
【0010】
特許文献2に記載された乗員の保護装置を、本願発明における従来例2として説明する。図4には、特許文献2のエアバッグが膨張展開してテンションストラップに張力がかかった状態を示している。
【0011】
図4に示すように、保護装置は、カーテンを構成する膨張展開可能なエアバッグ50と、エアバッグ50の膨張展開時に、第1車体ポイント52と第2車体ポイント53との間で引っ張られて、膨張展開したエアバッグ50の外側方向裏面を支持するテンションストラップ51とを有する構成になっている。
【0012】
このように構成することによって、ロールオーバ時にテンションストラップ51によってエアバッグ50が窓から車外に出てしまうのを防止している。そして、乗員が車外に投げ出されないように、エアバッグを確実でかつ簡単に車両に取付けることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−137413号公報
【特許文献2】特開2004−67086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1におけるエアバッグ40は、上下方向の長さを長くした複数の膨張室が、それぞれ「く」の字状になるように、結合部材41によって強制的に折り曲げられた状態で膨張展開する構成になっている。そのためには、「く」の字状の表面積となる大きな面積を有する基布パネルを、エアバッグ40を構成する基布パネルとして用いておかなければならない。そして、エアバッグ装置を製造する製造コストが上昇してしまうことになる。
【0015】
また、大きな面積を有する基布パネルを用いているため、折畳んだエアバッグ40をルーフサイドガーニッシュ内に収納するためには、ルーフサイドガーニッシュ内の収容容積を大きく構成しておかなければならない。そして、収容容積を大きくしたルーフサイドガーニッシュを装着できる車種も限られてしまうことになる。しかも、大容量のエアバッグ40を膨張展開させるためには、大型のインフレータが必要になり、大型のインフレータを配設するための設置スペースを、設置スペースが少ない車内において確保しなければならない。
【0016】
更に、乗員保護においても、乗員の体格等によって乗員の頭部位置とエアバッグ40の中間部43とが必ずしも合うものとは限らないし、「く」の字状に折り曲げられた中間部43が常に同じ上下方向の位置で折り曲げられる保証もない。そのため、乗員保護の点でも不安定な構成になってしまう。また、クリアランスの狭いヘッドライニングとセンターピラーとの間での膨張展開がスムーズに行われない可能性がある。
【0017】
特許文献2の乗員の保護装置では、ロールオーバ時にエアバッグ50が窓から車外に出てしまうのを防止するため、テンションストラップ51を設けているが、エアバッグ50を支えるようにテンションストラップ51を引き回しておく構造が複雑になっている。しかも、テ
ンションストラップ51でエアバッグ50を支えるために、テンションストラップ51を引き回すための制御としては、高度の制御を必要としている。
【0018】
本願発明は、上述した従来例における問題点を解決することができ、カーテンエアバッグを構成する基布パネルとしては、従来のカーテンエアバッグと同様の面積を有する基布パネルを用いることができ、しかも、カーテンエアバッグに対して膨張ガスを高速充填することができ、膨張展開したカーテンエアバッグ自体が窓の外側にはみ出してしまうのを防止できるカーテンエアバッグ装置の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願発明の課題は、特許請求の範囲に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明のカーテンエアバッグ装置では、車室の側面に配される窓部に沿って膨張展開可能なカーテンエアバッグと、前記カーテンエアバッグに膨張用ガスを供給するインフレータと、を備え、膨張展開した前記カーテンエアバッグが前記窓部の縦枠と重なるように展開するカーテンエアバッグ装置において、
前記カーテンエアバッグは、車両の側部の横方向に沿ってそれぞれ縦方向に形成された複数の膨張室を有し、前記窓部の窓枠間に配される複数の前記膨張室のうち少なくとも一つの膨張室は、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも長く構成されてなることを最も主要な特徴としている。
【0020】
また、本願発明では、前記窓部の窓枠間に配される前記各膨張室は、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも長く構成されてなることを主要な特徴としている。
【0021】
更に、本願発明では、センターピラーの周囲に配される前記各膨張室は、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも短く構成されてなることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本願発明では、カーテンエアバッグの膨張展開時において、車両の側部の横方向における車体ピラー間でのカーテンエアバッグ形状が、車内側が凸状に湾曲した形状に膨張展開することができる。即ち、車両の側部の横方向における窓枠間でのカーテンエアバッグ形状としては、車内側に凸状に湾曲した形状に膨張展開することができる。
【0023】
そして、車両の側部の横方向において、カーテンエアバッグを車内側に凸状に湾曲した形状に膨張展開させる構成として、車両の側部の横方向に沿って縦方向に形成された複数の膨張室のうちで、窓枠間に配される各膨張室のうち少なくとも一つの膨張室の構成として、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも長く構成されている。
【0024】
この構成によって、カーテンエアバッグが膨張展開を行うと、車内側基布パネルが窓側基布パネルよりも大きく膨れ、結果として、車両の側部の横方向における窓枠間でのカーテンエアバッグ形状としては、車内側に凸状に湾曲した形状に膨張展開することができる。
【0025】
このように、車両のドアガラスに面したカーテンエアバッグの領域において、車内側に凸状に湾曲した形状を呈するように構成することができるので、乗員の身体の一部が車両内側面よりも離れた車内側にあるときから、膨張展開したカーテンエアバッグに乗員の身体の一部が当接できる。そして、乗員の身体の一部が膨張展開したカーテンエアバッグに
当接することで、乗員の拘束を開始することができる。
【0026】
車内側に凸状に湾曲した形状をより確実に形成するためには、窓枠間に配される各膨張室の構成として、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも長く構成しておくことができる。
【0027】
凸状に車内側へ湾曲したカーテンエアバッグに乗員の身体が当たると、窓枠に対応したカーテンエアバッグの部位は、窓枠方向に押されて窓枠に支持されることになる。そして、窓枠に支持されたカーテンエアバッグで、乗員の移動を抑えることができるので、好適に乗員の身体の一部が車外方向に移動してしまうのを抑制することができる。
【0028】
しかも、カーテンエアバッグの膨張展開時には、車両の側部の横方向において、カーテンエアバッグは車内側に湾曲することになるので、より早く乗員を保護することが可能となる。また、乗員を早く保護しながら、カーテンエアバッグが車体外側に突出するのを少なくすることができるので、乗員の保護をより安定的に行うことができる。
【0029】
本願発明では、センターピラーの周囲に配される各膨張室の構成として、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも短く構成しておくことができる。
【0030】
このように構成しておくことにより、窓枠に対応したカーテンエアバッグの部位が、窓枠に支持されている構成にすることができる。即ち、カーテンエアバッグの水平方向における断面形状としては、例えば、センターピラーとフロントピラーとの間で両端が支持されたアーチ型形状に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】膨張展開したカーテンエアバッグ装置の側面図である。(実施例)
【図2】図1のII―II断面図である。(実施例)
【図3】エアバッグが膨張展開した状態を示す縦断面図である。(従来例1)
【図4】エアバッグが膨張展開してテンションストラップに張力がかかった状態を示す側面図である。(従来例2)
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わるカーテンエアバッグ装置としては、以下において図1及び図2を用いて説明を行うが、本願発明に係わるカーテンエアバッグ装置としては、図1及び図2に記載された実施例の構成に限定されるものではなく、本願発明としての効果を奏することができる構成であれば、多様な変更が可能である。
【実施例】
【0033】
図1に示すように、カーテンエアバッグ装置1は、カーテンエアバッグ2を収納した図示せぬルーフサイドガーニッシュと、膨張ガスを発生するインフレータ30と、インフレータ30をカーテンエアバッグ2に接続するガス導入部12とを備えた構成になっている。カーテンエアバッグ2は、折畳まれて取付部11を介してルーフサイド部4に取付けておくことができる。
【0034】
車両に対する側面衝突事故やロールオーバ等の事故の発生が検知されると、あるいはこれらの事故の発生が予測されると、カーテンエアバッグ装置1のインフレータ30から噴射された膨張ガスがカーテンエアバッグ2内に流入して、カーテンエアバッグ2が膨張展開す
る。
【0035】
そして、カーテンエアバッグ2の膨張展開に伴って、図示せぬルーフサイドガーニッシュの下端部側(ルーフサイドガーニッシュの扉部側)を車内側上方に押し開き、押し開かれた開口を通ってカーテンエアバッグ2は、下方へ向ってカーテン状に展開する。
【0036】
カーテンエアバッグ2を袋状に構成する一対の基布パネルは、表面にゴムコーティング、シリコーン系樹脂のコーティング等が施されており、通気性を低下させ、あるいは不通気状態となるように構成されている。基布パネルの構成材料としては、ナイロン66糸、ナイロン6糸、ポリエステル糸の織布を利用することができる。そして、一対の基布パネルを縫着により内部が区画された袋体として構成することができる。
【0037】
カーテンエアバッグ2の膨張展開に伴って、図示せぬカバー部材の下端部側を車室内側の上方に押し開き、押し開かれた開口を通ってカーテンエアバッグ2は、下方へ向ってカーテン状に展開する。膨張展開したカーテンエアバッグ2によって、前席側の窓部5と後席側の窓部6とを覆い、乗員の頭部を保護することができる。前席側の窓部5は、車両の側部の横方向に縦枠5a、5bを有し、上方側に上縁部、下方側に下縁部を有する構成になっている。また、同様に、後席側の窓部6は、車両の側部の横方向に縦枠6a、6bを有し、上方側に上縁部、下方側に下縁部を有する構成になっている。
【0038】
カーテンエアバッグ2が膨張展開した状態におけるカーテンエアバッグ2の側面図としては、車室内での膨張展開状態を図1に示し、図1のII−II断面図を図2に示している。図1に示すように、カーテンエアバッグ2が膨張展開したときには、カーテンエアバッグ2の下縁部2a、2bは、それぞれ窓部5の下縁部と窓部5の下縁部よりも下方側に延長されて窓枠に係合する。また、膨張展開したカーテンエアバッグ2は、フロントピラー7、センターピラー8、リアピラー9に係合することができる。
【0039】
即ち、窓部5を覆ったカーテンエアバッグ2の周囲を、それぞれ窓部5の下縁部側とフロントピラー7とセンターピラー8と取付部11とによって支持しておくことができる。あるいは、窓部の周囲を囲む窓枠によって支持しておくことができる。同様に、窓部6を覆ったカーテンエアバッグ2の周囲を、それぞれ窓部5の下縁部側とセンターピラー8とリアピラー9と取付部11とによって、あるいは、窓部の周囲を囲む窓枠と取付部11とによって支持しておくことができる。
膨張展開したカーテンエアバッグ2の先端部の位置を支持するため、カーテンエアバッグ2の先端部とフロントピラー7との間には、ストラップ27が配されている。
【0040】
カーテンエアバッグ2は、縦方向に形成した複数の膨張室13、14〜17、18、19、20〜24、25が、車両の側部の横方向に沿って配された構成になっている。各膨張室13、14〜17、18、19、20〜24、25の上端側には、ガス導入部に連通した連通路29a、28aが形成されている。また、各膨張室13、14〜17、18、19、20〜24、25の下端側には、各膨張室の下端側を連通させる連通路28b、29bが形成されている。
このように、連通路28a、29a及び連通路28b、29bを形成しておくことにより、インフレータ30からのガスによって各膨張室13、14〜17、18、19、20〜24、25を均等に膨張展開させることができる。
【0041】
図2に示すように、膨張室13は、車内側基布パネル13aと窓側基布パネル13bと車内側基布パネル13a及び窓側基布パネル13b間に接続した所定幅、所定長さを有するテザー13cとによって、縦方向に筒状となった膨張部として画成されている。
【0042】
そして、車両側部の横方向における膨張室13の車内側基布パネル13aの長さ寸法は、窓
側基布パネル13bの長さ寸法よりも短く構成されている。このように構成されているので、膨張室13が膨張展開することによって、膨張室13は窓側が凸状に湾曲した形状になることができる。
【0043】
各膨張室14〜17は、各車内側基布パネル14a〜17aと各窓側基布パネル14b〜17bと車内側基布パネル14a〜17a 及び窓側基布パネル14b〜17b 間にそれぞれ接続続したそれぞれ所定幅、所定長さを有するテザー13c〜17cとによって、縦方向に筒状となった膨張部として画成されている。
【0044】
そして、車両側部の横方向における各車内側基布パネル14a〜17aの長さ寸法は、各窓側基布パネル14b〜17b の長さ寸法よりもそれぞれ長く構成されている。このように構成されているので、各膨張室14〜17が膨張展開することによって、各膨張室14〜17は車内側が凸状に湾曲した形状になることができ、膨張室14〜17が連続したカーテンエアバッグ2の領域も、全体として車内側が凸状に湾曲した形状になることができる。
【0045】
各膨張室18、19は、それぞれ車内側基布パネル18a、19aと窓側基布パネル18b、19bと車内側基布パネル18a、19a及び窓側基布パネル18b、19b間に接続したそれぞれ所定幅、所定長さを有するテザー17c、18c、19cとによって、縦方向に筒状となった膨張部として画成されている。
【0046】
そして、車両側部の横方向における各車内側基布パネル18a、19a の長さ寸法は、各窓側基布パネル18b、19b の長さ寸法よりも短く構成されている。このように構成されているので、各膨張室18、19が膨張展開することによって、各膨張室18、19は窓側が凸状に湾曲した形状になることができる。
【0047】
各膨張室20〜24は、各車内側基布パネル20a〜24aと窓側基布パネル20b〜24bと車内側基布パネル20a〜24a 及び窓側基布パネル20b〜24b 間にそれぞれ接続続したそれぞれ所定幅、所定長さを有するテザー19c、20c〜24cとによって、縦方向に筒状となった膨張部として画成されている。
【0048】
そして、車両側部の横方向における各車内側基布パネル20a〜24aの長さ寸法は、各窓側基布パネル20b〜24b の長さ寸法よりもそれぞれ長く構成されている。このように構成されているので、各膨張室20〜24が膨張展開することによって、各膨張室20〜24は車内側が凸状に湾曲した形状になることができ、各膨張室20〜24が連続したカーテンエアバッグ2の領域も、全体として車内側が凸状に湾曲した形状になることができる。
【0049】
膨張室25は、車内側基布パネル25aと窓側基布パネル25bと車内側基布パネル25a及び窓側基布パネル25b間に接続した所定幅、所定長さを有するテザー24cとによって、縦方向に筒状となった膨張部として画成されている。
【0050】
そして、車両側部の横方向における膨張室25の車内側基布パネル25aの長さ寸法は、窓側基布パネル25bの長さ寸法よりも短く構成されている。このように構成されているので、膨張室25が膨張展開することによって、膨張室25は窓側が凸状に湾曲した形状になることができる。
【0051】
このように各膨張室を構成しておくことにより、図2に示すようにフロントピラー7とセンターピラー8との間、及びセンターピラー8とリアピラー9との間で、膨張展開してカーテンエアバッグ2を車内側が凸状に湾曲した形状に構成しておくことができる。即ち、図2に示すように横断面視でアーチ型にカーテンエアバッグ2を湾曲させることができる。
【0052】
また、カーテンエアバッグ2では、車両側部の横方向において車内側基布パネルの長さ寸法を長く構成した膨張室と窓側基布パネルの長さ寸法を長く構成した膨張室とを混在させて構成しておくことができるので、車両側部の横方向における車内側基布パネルの全長と窓側基布パネルの全長とを同じ長さとした一対の基布パネルを用いてカーテンエアバッグ2を構成することができる。
【0053】
そのため、本願発明におけるカーテンエアバッグを構成するのに、広い面積を有する基布パネルを用いることなく、通常の長さ寸法を有する基布パネルを用いて製作することができる。そして、カーテンエアバッグ2を膨張展開させるのに大型のインフレータを必要としないですむ。しかも、カーテンエアバッグ2を折畳んだ状態も通常のカーテンエアバッグを折畳んだときに比べて大型化することがないので、カーテンエアバッグを搭載する車種を特定することなく、通常のカーテンエアバッグと同様に簡便に装着することができる。
【0054】
上述した説明では、膨張室13、25は窓側が凸状に湾曲した形状になるように構成されており、各膨張室14〜17及び各膨張室20〜24は車内側が凸状に湾曲した形状になるように構成さている構成例について説明した。しかし、膨張室13、25の構成としては、車両側部の横方向における各車内側基布パネル13a、25aにおける長さ寸法と、各窓側基布パネル13a、25bにおける長さ寸法を同じ長さ寸法として構成しておくこともできる。
【0055】
また、窓部5及び窓部6の領域においてカーテンエアバッグ2を車内側が凸状に湾曲した形状に構成することができれば、カーテンエアバッグ2が膨張展開したときに、各膨張室14〜17及び各膨張室20〜24が、全て車内側が凸状に湾曲した形状に構成されていなくても、膨張室14〜17の内で少なくとも一つの膨張室、及び膨張室20〜24の内で少なくとも一つの膨張室を、共に車内側が凸状に湾曲した形状に構成しておくこともできる。
更に、膨張室として車両の側部の横方向に13個形成した構成でカーテンエアバッグ2を構成した構成例を示しているが、膨張室の個数としては13個に限定されるものではなく、適宜の個数でカーテンエアバッグを構成することができる。
【0056】
カーテンエアバッグ2の膨張展開時に、横断面視でアーチ型にカーテンエアバッグ2を湾曲させることができるので、乗員の身体の一部と窓部5、6を覆っているカーテンエアバッグ2の部位との距離を短く構成することができる。窓部5、6を覆っているカーテンエアバッグ2の部位は、乗員の身体の一部により近い位置にまで膨張展開させることができるので、乗員の身体の一部に対する拘束を速やかに開始することができる。
【0057】
また、窓枠に重なるカーテンエアバッグ2の箇所やセンターピラー8に重なるカーテンエアバッグ2の箇所、即ち、膨張室18、19の箇所は、乗員の身体の一部がカーテンエアバッグ2に接触することによって、窓枠やセンターピラー8方向に押されることになる。しかし、カーテンエアバッグ2は、横断面視でアーチ型に湾曲しているので、車両の側部の横方向におけるカーテンエアバッグ2の保持力を強く構成することができ、乗員の身体の一部が車外方向に移動する移動量を大幅に抑制することができる。
【0058】
また、カーテンエアバッグ2の上端側は、取付部11によって固定保持されており、カーテンエアバッグ2の下縁部2a、2bは、各窓部5、6の下縁部によって支持されているので、カーテンエアバッグ2が各窓部5、6から車外に突出してしまうのを防止しておくことができる。
【0059】
このように、本願発明におけるカーテンエアバッグ装置1では、車両に対する側面衝突事故やロールオーバ等の事故が発生したとしても、乗員が車外に放り出されてしまう事態
を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本願発明の技術思想を他のエアバッグの構成においても適用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・カーテンエアバッグ装置、2・・・カーテンエアバッグ、2a、2b・・・下縁部、8・・・センターピラー、13・・・膨張室、13a・・・車内側基布パネル、13b・・・窓側基布パネル、13c・・・テザー、14〜17・・・膨張室、14a〜17a・・・車内側基布パネル、14b〜17b・・・窓側基布パネル、18、19・・・膨張室、18b、19b・・・窓側基布パネル、20〜24・・・膨張室、20a〜24a・・・車内側基布パネル、20b〜24b・・・窓側基布パネル、25・・・膨張室、25a・・・車内側基布パネル、25b・・・窓側基布パネル、28a、28b・・・連通路、29a、29b・・・連通路、40・・・エアバッグ、41・・・結合部材、42・・・バッグ、43・・・中間部、44・・・空間、50・・・エアバッグ、51・・・テンションストラップ、52・・・第1車体ポイント、53・・・第2車体ポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の側面に配される窓部に沿って膨張展開可能なカーテンエアバッグと、前記カーテンエアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと、を備え、膨張展開した前記カーテンエアバッグが前記窓部の縦枠と重なるように展開するカーテンエアバッグ装置において、
前記カーテンエアバッグは、車両の側部の横方向に沿ってそれぞれ縦方向に形成された複数の膨張室を有し、
前記窓部の窓枠間に配される複数の前記膨張室のうち少なくとも一つの膨張室は、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも長く構成されてなることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
【請求項2】
前記窓部の窓枠間に配される前記各膨張室は、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも長く構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ装置。
【請求項3】
センターピラーの周囲に配される前記各膨張室は、車両の側部の横方向における車内側基布パネルの長さ寸法が、同じく車両の側部の横方向における窓側基布パネルの長さ寸法よりも短く構成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーテンエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−71718(P2012−71718A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218658(P2010−218658)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】