説明

カード用コネクタ

【課題】絶縁ハウジングの曲がり変形が防止できるかード用コネクタを提供する。
【解決手段】本発明のカード用コネクタは、収容部が形成される絶縁ハウジングと、前記絶縁ハウジングに取付けられ、カードを収容するための収容空間が形成されるシェルと、複数のコンタクトと、回路基板に実装するための位置決め部材と、を有する端子モジュールとを含む回路基板に実装されたカード用コネクタにおいて、前記端子モジュールが前記絶縁ハウジングの収容部に分離可能的に収容され、且つ端子モジュールのコンタクトが直ちに回路基板に半田付けられる。絶縁ハウジングと回路基板との半田付け操作が省略するので、絶縁ハウジングの曲がり変形が防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関し、特に構造が簡単であるカード用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、従来技術のカード用コネクタは、絶縁ハウジングと、インサート成形により絶縁ハウジングと一体的に形成されるコンタクトと、コンタクトを収容するための収容空間と、カード用コネクタと回路基板とを接続するための保持板とを備え、使用する際に、カードが前記収容空間に挿入して、カードの導電パッドがコンタクトに電気的に接続することにより、カードと回路基板の導電部材との間に電気的な接続を達成できる。
【特許文献1】米国特許第5470260号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来のカード用コネクタのコンタクトはインサート成形により絶縁ハウジングと一体的に形成されるので、コンタクトが回路基板の導電パッドに半田付けにより接続する際に、半田付け操作により生じる高温によって絶縁ハウジングは曲がり変形し易くなり、さらにカード用コネクタの性能が低下し、カードと回路基板との間の信号伝送に悪影響がある。そこで、上述した欠点を鑑みて、新型のカード用コネクタを開発することが必要である。
【0004】
本発明は、絶縁ハウジングの曲がり変形が防止できるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明のカード用コネクタは、収容部が形成される絶縁ハウジングと、前記絶縁ハウジングに取付けられ、カードを収容するための収容空間が形成されるシェルと、複数のコンタクトと回路基板に実装するための位置決め部材とを有する端子モジュールと、を含む回路基板に実装されたカード用コネクタにおいて、前記端子モジュールが前記絶縁ハウジングの収容部に分離可能に収容され、且つ端子モジュールのコンタクトが直ちに回路基板に半田付けされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
従来の技術に比べると、本発明は以下の長所がある。前記端子モジュールが前記絶縁ハウジングの収容部に分離可能に収容されるので、端子モジュールのコンタクトが回路基板に半田付けられた後に、絶縁ハウジングが前記端子モジュールの上方を覆うように、端子モジュールを前記収容部に係合且つ収容させ、絶縁ハウジングと回路基板との半田付け操作が省略可能となるので、絶縁ハウジングの曲がり変形が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図4に基づいて、本発明のカード用コネクタ100について説明する。本発明のカード用コネクタ100は、絶縁ハウジング1と、コンタクト30を有する端子モジュール3と、絶縁ハウジング1と端子モジュール3を覆っているシェル2とを有する。
【0008】
図3を参照すると、絶縁ハウジング1に主体部10と、主体部10の両側からそれぞれ上向きに延出するように形成される両側部12と、主体部10の後端から上向きに延出するように形成される後側部13とを備え、主体部10の後端に端子モジュール3に対応した収容部14が形成され、両側部12に外表面にそれぞれ突出した複数の突起15が形成され、且つ、両側部12と後側部13の頂面には凹部16がそれぞれ窪んで形成される。
【0009】
シェル2は、平板状の基部20と、基部20の側部から下向きに延出するように形成される両側壁21と、基部20の後縁部から下向きに延出するように形成される後壁22とを備え、また、両側壁21に絶縁ハウジング1の突起15に対応した複数の係合口23と、両側壁21の縁端部から延出するように形成される位置決め部24が形成され、基部20の両側縁部と後縁部とから絶縁ハウジング1の凹部16にそれぞれ対応した係止片25が形成される。
【0010】
図3及び図4を参照すると、端子モジュール3は、本体部31と、本体部31に装着される複数のコンタクト30と、本体部31の一側に装着されたスイッチ部材4とを有する。前記コンタクト30は、インサート形成により本体部31に一体的に形成され、第1導電端子組301と第2導電端子組302とを含む。本体部31は、貫通するように形成された複数の収容孔310と、本体部31から下向きに延出するように形成された複数の位置決め柱32と、本体部31の一側から延出するように形成された翼部33とが設けられ、前記複数の開口310は、前後方向に沿って前後二列で配置されている。
【0011】
前記コンタクト30は、カードに電気的に接続するためのコンタクト部303と、回路基板に半田付けられる半田部304と、コンタクト部303及び半田部304とを連接するための連接部305とを含み、その中、前記第1導電端子組301の連接部305が一側で折り曲げられ、第2導電端子組302の連接部305より長くなっている。第1導電端子組301のコンタクト部303が前列の収容孔310に挿入され、第2導電端子組302のコンタクト部303が後列の収容孔310に挿入されている。第1導電端子組301と第2導電端子組302との半田部304が本体部31の後端を延出するように突出している。
【0012】
前記翼部33は、真空吸引操作をするための平面であり、前記スイッチ部材4を収容するための受入部36を有する。受入部36は受入溝361と、受入溝361の両側から翼部33を突出するように延出する係合アーム362と、係合アーム362の外表面に設けられる凸部363とを有する。前記スイッチ部材4は、第1部材40と第2部材41とを有し、前記第1部材40は、前記翼部31の受入溝361に係合され、且つ帯状を呈する固定部401と、固定部401の一端から上向きに斜めに延出するように形成された弾性的な接触部402とが設けられる。第2部材41は基部420と、基部420の両側縁部から下向きに延出するようにそれぞれ形成される保持アーム421と、基部420の中央に形成される溝部423と、基部420の一端から上向きに延出するように形成される延出片422とを有し、各保持アーム421に前記受入部36の凸部363に係合するための係止口424がそれぞれ形成される。第2部材41は、係止口424が前記凸部363に係合されることにより前記係合アーム362に取付られる。前記接触部402が溝部423に挿入され、且つ、末端部403が前記第2部材41の基部420に下向きに窪んで形成された窪み部425に当接している。
【0013】
取付けた際に、端子モジュール3は位置決め柱32によって回路基板(図示せず)に実装され、コンタクト30の半田部304が回路基板の導電パッドに半田付けされることによって、コンタクト30と回路基板との電気的な接続を達成している。シェル2の係止片25が絶縁ハウジング1の凹部16に係止されるとともに、シェル2の係合口23が絶縁ハウジング1の突起15にそれぞれ対応し係合することによって、シェル2が絶縁ハウジング1に取り付けられ、シェル2と絶縁ハウジング1とによってカードを収容するための収容空間(参照記号なし)が形成される。次に、シェル2と絶縁ハウジング1とは、回路基板に実装された端子モジュール3に下向きに覆い、端子モジュール3を絶縁ハウジング1の収容部14内に完全に収容して、コンタクト3のコンタクト部303が前記収容空間に向かって突出している。前記シェル2の位置決め部24によって、シェル2と絶縁ハウジング1とが回路基板に固持される。
【0014】
使用する際に、カードが前記収容空間に挿入され、端子モジュール3のコンタクト30のコンタクト部303に接続することによって、回路基板の導電パッドに電気的に接続されている。また、カードが完全に収容空間に挿入された際に、スイッチ部材4の接触部402がカードに対して下向きに押圧されるので、その接触部402の末端部403と窪み部425との接触が解除され、カードが収容空間に完全に挿入されたか否かが検知されるというスイッチとしての効果が実現される。
【0015】
本発明のカード用コネクタは、絶縁ハウジング1と端子モジュール3とが分離可能的な分体であるので、端子モジュール3が回路基板に半田付けされた後に、組み立てられた絶縁ハウジング1とシェル2とが端子モジュール3の上方を覆い、端子モジュール3を収容部14に係合且つ収容させ、シェル2の位置決め部24により、カード用コネクタ100が回路基板に実装される。絶縁ハウジング1と回路基板との半田付け操作が省略可能となるので、絶縁ハウジング1の曲がり変形を防止することができる。
【0016】
以上、本発明について好ましい実施形態を参照し詳細に説明したが、実施形態はあくまでも例示的なものであり、これらに限定されるものではない。また上記説明における本発明に基づきなし得る細部の修正或は変更などは、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るカード用コネクタの組立斜視図である。
【図2】図1に示すカード用コネクタの他の角度から見た組立斜視図である。
【図3】本発明に係るカード用コネクタの分解斜視図である。
【図4】本発明に係るカード用コネクタの端子モジュールの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 絶縁ハウジング
2 シェル
3 端子モジュール
4 スイッチ部材
10 主体部
12 両側部
13 後側部
14 収容部
15 突起
16 凹部
20 基部
21 両側壁
22 後壁
23 係合口
24 位置決め部
25 係止片
31 本体部
32 位置決め柱
33 翼部
36 受入部
40 第1部材
41 第2部材
100 カード用コネクタ
301 第1導電端子
302 第2導電端子
303 コンタクト部
304 半田部
305 連接部
310 開口
361 受入溝
362 係合アーム
363 凸部
401 固定部
402 接触部
403 末端部
420 基部
421 保持アーム
422 延出片
423 溝部
424 係止口
425 窪み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部が形成される絶縁ハウジングと、
前記絶縁ハウジングに取付けられ、カードを収容するための収容空間が形成されるシェルと、
複数のコンタクトと回路基板に実装するための位置決め部材とを有する端子モジュールと、
を含む回路基板に実装されたカード用コネクタにおいて、
前記端子モジュールが前記絶縁ハウジングの収容部に分離可能に収容され、且つ端子モジュールのコンタクトが直ちに回路基板に半田付けされることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記端子モジュールは本体部を有し、前記コンタクトはインサート形成により本体部に一体的に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記端子モジュールのコンタクトは、前後方向に沿って前後二列をとして配置されている第1端子組と第2端子組とを含み、各コンタクトは前記収容空間へ突出するコンタクト部と、回路基板に半田付ける半田部と、前記コンタクト部及び半田部を連接するための連接部とを有することを特徴とする、請求項2に記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記端子モジュールは、前記本体部の一側から延出するように形成された翼部が設けられ、カードが前記収容空間に完全に挿入されたか否かを検知するためのスイッチ部材が前記翼部に装着され、該端子モジュールが前記位置決め部材によって回路基板に位置決めされることを特徴とする、請求項3に記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記絶縁ハウジングに複数の凹部が形成され、前記シェルには前記凹部にそれぞれ対応した係止片が形成され、前記係止片が凹部に係止されることにより前記シェルが前記絶縁ハウジングに係合されることを特徴とする、請求項4に記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記シェルの両側には、位置決め部がそれぞれ形成され、該位置決め部により、前記シェルと前記ハウジングが回路基板に実装されることを特徴とする、請求項5に記載のカード用コネクタ。
【請求項7】
前記端子モジュールのコンタクトが回路基板に半田付けられた後に、組み立てられた前記絶縁ハウジングとシェルとが前記端子モジュールの上方を覆い、端子モジュールを前記絶縁ハウジングの収容部に係合させることを特徴とする、請求項1乃至請求項6の中のいずれかの一項に記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−130545(P2008−130545A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232765(P2007−232765)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】