説明

カード用コネクタ

【課題】簡素な構造でありながら、カードを確実に検知することができ、誤作動がなく、部品点数が増加することがなく、製作が容易で、製造コストが低く、信頼性を向上させることができるようにする。
【解決手段】端子部材を備えるカードを収容するハウジングと、ハウジングに取付けられ、カードの端子部材と接触する接続端子と、互いに接離してカードがハウジングに挿入されたことを検知する第1接点部材及び第2接点部材を備える検知スイッチとを有するカード用コネクタであって、第1接点部材及び第2接点部材の少なくとも一方は、ハウジングに固定される固定部と、ハウジングに対して変位可能であって、ハウジングと凹凸嵌合する可動部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant:個人用携帯情報端末)、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等の電子機器においては、SIM(Subscriber Identity Module)カード、MMC(Multi Media Card)(R)、SD(Secure Digital)(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(xD−Picture card)(R)、メモリスティック(R)、スマートメディア(R)、マイクロSD(R)カード等の各種メモリカードを利用するために、カード用コネクタを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図8は従来のカード用コネクタを示す斜視図である。
【0004】
図において、811はカード用コネクタの絶縁性ハウジングであり、図示されないメモリカードの先端が図における左下から右上に向けて挿入される。なお、絶縁性ハウジング811の上側には、金属板から成るシェルが取付けられるが、ここでは、内部の構成を示すためにシェルが省略されている。
【0005】
そして、前記絶縁性ハウジング811には、複数の端子851が取付けられ、該端子851がメモリカードのコンタクトパッドと接触する。また、821はカードイジェクト機構におけるスライダであり、突起部がメモリカードの一部と係合し、絶縁性ハウジング811の側壁811cに沿ってスライドする。なお、前記スライダ821は、コイルスプリング881によって、図における左下に向けて付勢されている。
【0006】
さらに、絶縁性ハウジング811の奥壁811aには、メモリカードの有無を検知するための検知スイッチが配設されている。該検知スイッチは、弾性を備える第1可動接点部材852と同じく弾性を備える第2可動接点部材853とを有し、図に示されるように、絶縁性ハウジング811内にメモリカードが挿入されていない状態では、第1可動接点部材852と第2可動接点部材853とが互いに離間してOFFになっている。そして、絶縁性ハウジング811内にメモリカードが挿入されると、該メモリカードの先端部によって押されることにより、第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853が変位して互いに接触し、検知スイッチがONとなる。これにより、メモリカードが挿入されたことが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−84624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のカード用コネクタにおいては、第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853は、細長い板材から成り、その基端が固定されるとともに、該基端から遠く離れた自由端が変位するようになっている。そのため、例えば、カード用コネクタが装着された携帯電話機等の電子機器が床に落下した場合のように、カード用コネクタが強い衝撃を受けると、第1可動接点部材852又は第2可動接点部材853の自由端が振動し、検知スイッチが誤作動してしまうことがある。
【0009】
例えば、振動によって第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853の自由端同士が絡合って接触し続け、メモリカードが挿入されていないにも拘(かか)わらず検知スイッチがONのままになったり、第1可動接点部材852又は第2可動接点部材853の先端が上方に変位してグランドラインに接続されているシェルに接触し、メモリカードが挿入されているにも拘わらず検知スイッチがOFFになったり、第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853の先端同士の絡合いが解消されず、初期状態である検知スイッチがOFFの状態に二度と復帰することができなくなったりすることがある。
【0010】
もっとも、第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853の長さを短くすれば、自由端の変位量が小さくなるので、このような問題をある程度防止することができる。しかし、検知スイッチの信頼性を維持するには、第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853の自由端におけるばねの接圧が必要となるので、ばね長を確保するために第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853の長さを長くしなければならない。また、第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853の自由端の変位量は、図に示される位置からメモリカードが最も奥まで押込まれた位置までであり、極めて大きい。そのため、自由端が大きく変位しても第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853が永久変形しないようにするには、第1可動接点部材852及び第2可動接点部材853の長さを長くして、その単位長さ当たりの変形量が大きくなり過ぎないようにする必要がある。
【0011】
本発明は、前記従来のカード用コネクタの問題点を解決して、互いに接離してカードを検知する検知スイッチとして機能する第1接点部材及び第2接点部材の少なくとも一方が可動部においてハウジングと凹凸嵌(かん)合するようにして、簡素な構造でありながら、カードを確実に検知することができ、誤作動がなく、部品点数が増加することがなく、製作が容易で、製造コストが低く、信頼性の高いカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明のカード用コネクタにおいては、端子部材を備えるカードを収容するハウジングと、該ハウジングに取付けられ、前記カードの端子部材と接触する接続端子と、互いに接離して前記カードがハウジングに挿入されたことを検知する第1接点部材及び第2接点部材を備える検知スイッチとを有するカード用コネクタであって、前記第1接点部材及び第2接点部材の少なくとも一方は、前記ハウジングに固定される固定部と、前記ハウジングに対して変位可能であって、前記ハウジングと凹凸嵌合する可動部とを備える。
【0013】
本発明の他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記固定部は前記ハウジングの壁部に固定され、前記可動部は、前記壁部の面に対して垂直な方向に変位可能であり、前記カードがハウジングに挿入されると、前記壁部に接近する方向に変位する。
【0014】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記可動部及び壁部の一方は嵌合凸部を備え、他方は前記嵌合凸部が嵌入する嵌合凹部を備える。
【0015】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記ハウジングに挿入されたカードを保持してスライドするスライド部材、及び、該スライド部材をカードの挿入方向と反対の方向に付勢する付勢部材を備え、前記カードをロック位置で保持してカードの端子部材が接続端子と接触している状態を維持し、前記ロック位置で保持されているカードを挿入方向に押込むプッシュ動作によってカードが挿入方向に移動してオーバーストローク位置まで到達すると、前記付勢部材の付勢力によって、前記カードをオーバーストローク位置から挿入方向と反対の方向に移動させて排出するカード案内機構を更に有し、前記可動部は、前記カードが少なくとも前記ロック位置とオーバーストローク位置との間にあるときは前記ハウジングと凹凸嵌合する。
【0016】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記ハウジングに取付けられ、少なくとも該ハウジングに挿入されたカードの一部を覆うカバー部材を更に有し、前記可動部は、前記ハウジングと凹凸嵌合することによって、少なくとも前記カバー部材に接近する方向に変位することが防止される。
【0017】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記第1接点部材は、前記固定部と可動部とを備え、該可動部は、基端が前記固定部に接続されたカンチレバー状の本体部と、該本体部の自由端に接続されるとともに、前記第2接点部材と接触可能な接触部及び前記ハウジングに挿入されたカードと当接するカード当接部とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カード用コネクタは、互いに接離してカードを検知する検知スイッチとして機能する第1接点部材及び第2接点部材の少なくとも一方が可動部においてハウジングと凹凸嵌合するようになっている。これにより、簡素な構造でありながら、カードを確実に検知することができ、誤作動がなく、部品点数の増加を防止し、製作を容易化して、製造コストを低減し、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタの斜視図であって、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取除いた状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の一連の動作を示す斜視図であって、(a)はオーバーストローク位置の状態、(b)はロック位置の状態、(c)はカード仮保持位置の状態を示し、添字の1はシェル及びカードを取除いた状態を示し、添字の2はシェルを取除いた状態を示している。
【図3】本発明の第1の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の一連の動作を示す要部拡大図であって、(a)はオーバーストローク位置の状態、(b)はロック位置の状態、(c)はカード仮保持位置の状態を示す図である。
【図4】本発明の第2及び第3の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図であって、(a)は本発明の第2の実施の形態を示し、(b)は本発明の第3の実施の形態を示し、添字の1は要部拡大図を示し、添字の2は全体図を示している。
【図5】本発明の第4及び第5の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図であって、(a)は本発明の第4の実施の形態を示し、(b)は本発明の第5の実施の形態を示し、添字の1は要部拡大図を示し、添字の2は全体図を示している。
【図6】本発明の第6及び第7の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図であって、(a)は本発明の第6の実施の形態を示し、(b)は本発明の第7の実施の形態を示し、添字の1は要部拡大図を示し、添字の2は全体図を示している。
【図7】本発明の第8及び第9の実施の形態における第1接点部材及び第2接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図であって、(a)は本発明の第8の実施の形態を示し、(b)は本発明の第9の実施の形態を示し、添字の1は要部拡大図を示し、添字の2は全体図を示している。
【図8】従来のカード用コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタの斜視図である。なお、図において、(a)はシェルを取付けた状態を示す図、(b)はシェルを取除いた状態を示す図である。
【0022】
図において、1は本実施の形態におけるカード用コネクタであり、図示されない電子機器に取付けられる。そして、前記カード用コネクタ1の内部には後述されるカード101が挿入され、前記カード用コネクタ1を介して、前記電子機器にカード101が装着される。なお、前記電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
【0023】
また、前記カード101は、例えば、SIMカード、MMC(R)、SD(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)、T−Flash(Trans−Flash)メモリカード、マイクロSD(R)カード等のICカードであり、いかなる種類のカードであってもよいが、本実施の形態においては、マイクロSD(R)カードであるものとして説明する。
【0024】
なお、本実施の形態において、カード用コネクタ1の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ1又はその部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ1又はその部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0025】
ここで、前記カード用コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されたハウジング11と、金属等の導電性材料から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって一体的に成形され、ハウジング11の上側に取付けられたカバー部材としてのシェル61とを有する。該シェル61は、ハウジング11及び該ハウジング11に収容されたカード101の少なくとも一部の上方を覆うようになっている。そして、前記カード用コネクタ1は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、前記電子機器に取付けられ、前方(図における右下方)からカード101が挿入される。
【0026】
なお、図1(b)は、説明のためにシェル61を除去した状態のハウジング11の斜視図である。
【0027】
図に示されるように、ハウジング11は、カード101の挿入方向に関して手前側となる前縁側(図における左上側)が略U字状又は略コ字状に切取られた形状を備える壁部としての底壁部11b、及び、該底壁部11bの奥部において奥側(図における右下側)の縁に沿って延在し、底壁部11bから立設する壁部としての奥壁部11aを有する。ここで、底壁部11bは、上面に接続端子としての端子51が取付けられた端子保持部11eを備える。該端子保持部11eの上面には、前後方向(図における左上と右下とを結ぶ方向)に延在するように形成された端子装填(てん)溝が複数形成され、各端子装填溝に端子51が挿入されて取付けられている。
【0028】
そして、該端子51は、その基部51aが前記端子装填溝内に取付けられ、その先端部51bが奥壁部11aに向けて斜め上方に延在して底壁部11bの上面より上方に突出している。前記端子51の先端部51bは、接触部として機能し、カード101の下面に配設された端子部材としてのコンタクトパッドに接触して電気的に接続される。また、前記端子51の根本部から延在するソルダーテール部51cは、底壁部11bの手前側の縁から前方に向けて突出し、前記電子機器における配線基板等に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部材に、はんだ付等によって電気的に接続される。
【0029】
さらに、前記底壁部11bにおける端子51の先端部51bの下方に対応する部分には、底壁部11bを厚さ方向に貫通する開口部11fが形成されている。なお、該開口部11fは、適宜省略することもできる。
【0030】
そして、ハウジング11は、底壁部11bの一方の側縁に沿って前後方向に延在する断面L字状の側壁としての側壁部11cを有する。該側壁部11cの内側にはカード案内機構収容部11dが形成され、該カード案内機構収容部11dにカード用コネクタ1内に挿入されたカード101を案内するためのカード案内機構のスライド部材21が前後方向にスライド可能に取付けられている。なお、スライド部材21は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されている。
【0031】
そして、前記スライド部材21は、その内側の側面から突出するように形成された第1係合部21a及び第2係合部21bを備える。該第1係合部21a及び第2係合部21bは、カード101の側面に形成された凹凸を含む係合部と係合する。そして、スライド部材21は、第1係合部21a及び第2係合部21bによってカード101を保持し、該カード101とともに前後方向に移動する。
【0032】
また、前記スライド部材21には、圧縮された状態で付勢力を発揮するコイルスプリングとしての付勢部材81の一端が係止されている。また、該付勢部材81の他端は、奥壁部11aに係止されている。これにより、前記スライド部材21は、付勢部材81によって、カード101の挿入方向と反対の方向、すなわち、カード101の排出方向に付勢される。
【0033】
そして、前記カード用コネクタ1は、該カード用コネクタ1内にカード101を挿入する際にも、カード用コネクタ1内からカード101を取出す際にも、カード101を押込む動作を必要とする、いわゆる、プッシュインプッシュアウトタイプ、又は、プッシュ/プッシュタイプと通称されるものである。このような動作は、押しボタンスイッチの分野におけるオルタネイト動作(位置保持型、プッシュオン・プッシュオフ型)と同様のものである。そして、前記スライド部材21の上面に形成されたカム溝23は、プッシュ/プッシュタイプの動作を行うためのハート状カムのカム機構におけるスライドカムとして機能する。
【0034】
そのため、前記カム溝23には固定カム部材としての細長いピン部材71の自由端が係合している。また、該ピン部材71の他端は、固定端として、ハウジング11のカード案内機構収容部11d内における奥壁部11a寄りの部分の上面に掛止され、ピボット結合されている。そして、前記ピン部材71とカム溝23とが協働することによって、カード101とともに移動するスライド部材21にプッシュ/プッシュの動作を行わせるようになっている。これにより、前記カード案内機構は、カード101を挿入方向に押込むプッシュ動作によってカード101が挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材81の付勢力によって、前記カード101を終端点から挿入方向と反対の方向に移動させて排出することができる。
【0035】
前記ピン部材71は、シェル61のピン押え部材65によって上から下方向に付勢されることによって保持されている。該ピン押え部材65は、シェル61の一部をハウジング11の底壁部11bの方向に押圧可能に折曲げ加工することによって形成されたばね性を備える板状の部材であり、ピン部材71は、前記ピン押え部材65とスライド部材21又はハウジング11との間に位置し、スライド部材21又はハウジング11から離脱しないように保持されている。
【0036】
また、前記シェル61は、概略矩(く)形の天板部62と、該天板部62の側縁の複数箇所から立設する複数の側板部64とを有する。該側板部64には、複数の掛止開口63が形成され、図1(a)に示されるように、シェル61をハウジング11の上側に取付けると、該ハウジング11の側壁部11cの外側面に形成された掛止突起13に前記掛止開口63が掛止され、これにより、シェル61がハウジング11に固定される。なお、前記シェル61は、その下端の一部が前記電子機器における配線基板等に形成されたグランドライン、グランド端子等に、はんだ付等によって電気的に接続されてもよい。これにより、前記シェル61の電磁シールド部材としての機能が良好となる。
【0037】
そして、ハウジング11の奥部には、カード101のコンタクトパッドと端子51とが接触していることを検知して、カード101がカード用コネクタ1に装填されていることを検知する検知スイッチとしてのカード検知スイッチが配設されている。該カード検知スイッチは、奥壁部11a及びその近傍に取付けられた第1接点部材52及び第2接点部材53を含んでいる。
【0038】
前記第1接点部材52は、奥壁部11aに取付けられた取付部52aと、基端が該取付部52aに接続され、横方向、すなわち、ハウジング11の幅方向に向けて延出するカンチレバー状の本体部52bと、該本体部52bの自由端に接続された接触部52c及びカード当接部52dとを有する。なお、前記取付部52aはハウジング11に対して固定される固定部であり、前記本体部52b、接触部52c及びカード当接部52dはハウジング11に対して変位可能な可動部である。また、前記接触部52cはカード当接部52dの下端に接続されている。そして、前記取付部52aは奥壁部11aの側面とほぼ平行となり、本体部52bは、カード101がカード用コネクタ1に挿入されていない状態においては、奥壁部11aの側面に対して傾斜し、接触部52c及びカード当接部52dは、カード101の挿入方向に関して手前側に向けて突出するように配設されている。そのため、カード101が挿入されると、該カード101の前端がカード当接部52dに当接する。
【0039】
一方、前記第2接点部材53は、底壁部11bにおける奥壁部11a寄りの部分に取付けられた取付部53a、基端が該取付部53aに接続され側壁部11cの方向に向けて延出するカンチレバー状の本体部53b、及び、該本体部53bの自由端に接続された接触部53cを有する。なお、前記取付部53aはハウジング11に対して固定される固定部であり、前記本体部53b及び接触部53cはハウジング11に対して変位可能な可動部である。そして、前記第2接点部材53は、第1接点部材52よりも下側に、かつ、奥壁部11aに近接して配設されている。
【0040】
そのため、カード101が挿入されていない状態においては、第1接点部材52と第2接点部材53とは非接触であり、カード検知スイッチは非導通状態、すなわち、オフ(OFF)になっている。
【0041】
しかし、カード101が挿入され、そのコンタクトパッドと端子51とが接触する位置に到達すると、カード101の前端によって第1接点部材52のカード当接部52dが奥壁部11aの方向に向けて押されて変位し、接触部52cが第2接点部材53の接触部53cに接触する。これにより、第1接点部材52と第2接点部材53とが接触し、カード検知スイッチは導通状態、すなわち、オン(ON)になる。
【0042】
なお、第1接点部材52及び第2接点部材53は、図1(a)に示されるように、シェル61をハウジング11の上側に取付けられた状態であっても、シェル61に接触しないように配設されている。
【0043】
本実施の形態においては、カード検知スイッチとして機能する前記第1接点部材52及び第2接点部材53の少なくとも一方が、その可動部においてハウジング11と凹凸嵌合するようになっている。これにより、前記可動部が本来の変位方向以外の方向に変位することが防止されるので、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったり、シェル61に接触したりしてしまうことがない。
【0044】
図に示される例においては、第1接点部材52の本体部52bには、接点部材側嵌合部として、本体部52bを板厚方向に貫通する嵌合孔(こう)55aが形成されている。また、奥壁部11aには、ハウジング側嵌合部として、カード101の挿入方向に関して手前側に向けて突出する嵌合突起15aが一体的に形成されている。そして、該嵌合突起15aが第1接点部材52の嵌合孔55aに嵌入するようになっている。つまり、第1接点部材52には嵌合凹部である嵌合孔55aが形成され、ハウジング11には嵌合凸部である嵌合突起15aが形成され、第1接点部材52がその可動部においてハウジング11と凹凸嵌合するようになっている。
【0045】
次に、前記構成のカード用コネクタ1の動作について説明する。ここでは、第1接点部材52とハウジング11との凹凸嵌合の動作について説明する。
【0046】
図2は本発明の第1の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の一連の動作を示す斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の一連の動作を示す要部拡大図である。なお、図2及び3において、(a)はオーバーストローク位置の状態、(b)はロック位置の状態、(c)はカード仮保持位置の状態を示し、図2において、添字の1はシェル及びカードを取除いた状態を示し、添字の2はシェルを取除いた状態を示している。
【0047】
まず、利用者が手指等によってカード101をカード用コネクタ1の前方から挿入する。なお、カード101は、前端がハウジング11の奥壁部11aの方を向き、コンタクトパッドの配設された面が底壁部11bと対向し、コンタクトパッドの配設されていない面がシェル61の天板部62と対向するような姿勢で挿入される。これにより、カード101は、係合部としての凸部及び凹部が形成された側面がハウジング11の側壁部11cに沿って進行する。
【0048】
続いて、利用者がカード101をプッシュして更に押込むと、カード101は、図2(c−1)に示されるように、カード仮保持位置を通過する。なお、該カード仮保持位置は、カード101がカード用コネクタ1から排出されるときに、スライド部材21が停止する位置であって、スライド部材21の第1係合部21a及び第2係合部21bとカード101の係合部との係合が緩いものとなり、カード101は、スライド部材21によって一応保持されてはいるものの、利用者が手指等によってカード101を引けば、強い引張力が付与されなくても、スライド部材21による保持が解除されて取出される状態となる位置である。
【0049】
そして、カード仮保持位置では、カード101のコンタクトパッドは端子51の先端部51bに接触しておらず、また、カード101の前端は第1接点部材52のカード当接部52dに当接していない。したがって、カード検知スイッチは初期状態としての非導通状態、すなわち、オフになっている。
【0050】
また、初期状態では、第1接点部材52の本体部52bが奥壁部11aの側面に対して傾斜して大きく離間しているので、図3(c)に示されるように、嵌合突起15aは嵌合孔55aに嵌入していない。そのため、第1接点部材52のハウジング11への取付作業を容易に行うことができ、カード用コネクタ1の組立時間を短縮することができ、製造コストを抑制することができる。これは、第1接点部材52のハウジング11への取付作業では、第1接点部材52を上方からハウジング11に対して移動させ、取付部52aを奥壁部11aに形成された溝内に上方から圧入するので、嵌合突起15aの突出量が小さく、初期状態で嵌合孔55aに嵌入しない程度であると、第1接点部材52をスムーズに移動させることができるからである。
【0051】
もっとも、初期状態であっても、嵌合突起15aが嵌合孔55aに嵌入しているようにしてもよい。これにより、カード101が挿入されていない状態でカード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52が本来の変位方向以外の方向に変位することが防止される。
【0052】
なお、前記嵌合孔55aを形成するために、第1接点部材52の本体部52bには下方に突出する突出部52eが一体的に形成されている。一方、ハウジング11の底壁部11bには、前記突出部52eを収容するために、凹部11gが形成されている。この突出部52eと凹部11gを形成することによって第1接点部材52の強度を保持しつつ、カードコネクタ1の低背化を図ることができる。なお、前記凹部11gは、適宜省略することもできる。
【0053】
続いて、利用者がカード101をプッシュして更に押込むと、カード101はスライド部材21とともに奥壁部11aに向けて移動し、図2(b−2)に示されるようなロック位置を通過する。この際、利用者の手指等が発揮する押圧力は、カード101の係合部から第1係合部21aを介してスライド部材21に伝達される。そして、該スライド部材21がコイルスプリングから成る付勢部材81を圧縮するので、スライド部材21及びカード101は、付勢部材81の反発力を受けるが、該反発力が利用者の手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記反発力に抗して移動する。
【0054】
前記カード仮保持位置からロック位置までの行程の途中で、カード101のコンタクトパッドは、端子51の先端部51bに接触する。また、カード101の挿入方向の前面が第1接点部材52のカード当接部52dに当接し、該カード当接部52dを奥壁部11aの方向に変位させる。これにより、第1接点部材52の接触部52cと第2接点部材53の接触部53cとが接触し、カード検知スイッチは導通状態、すなわち、オンになる。
【0055】
そして、ロック位置においては、カード101のコンタクトパッドが端子51の先端部51bに接触している状態、及び、第1接点部材52の接触部52cと第2接点部材53の接触部53cとが接触している状態が維持されている。
【0056】
また、ロック位置では、第1接点部材52の本体部52bが奥壁部11aの側面に接近しているので、図3(b)に示されるように、嵌合突起15aが嵌合孔55aに嵌入している。そのため、第1接点部材52の可動部が本来の変位方向(カード101の挿抜方向)以外の方向に変位することが防止されるので、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったり、シェル61に接触したりしてしまうことがない。
【0057】
なお、本実施の形態において、第2接点部材53の可動部は、ハウジング11と凹凸嵌合するようになっていない。これは、第2接点部材53の本体部53bの長さが比較的短いので、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第2接点部材53の可動部が本来の変位方向(底壁部11bに対して垂直な方向)以外の方向への変位量が小さいと考えられるからである。
【0058】
続いて、利用者がカード101をプッシュして更に押込むと、カード101はスライド部材21とともに奥壁部11aに向けて更に移動し、図2(a−2)に示されるように、最も前進した位置であるオーバーストローク位置に到達してオーバーストローク状態となる。
【0059】
そして、オーバーストローク位置においても、カード101のコンタクトパッドが端子51の先端部51bに接触している状態、及び、第1接点部材52の接触部52cと第2接点部材53の接触部53cとが接触している状態が維持されている。
【0060】
また、オーバーストローク位置では、第1接点部材52の本体部52bが奥壁部11aの側面に更に接近しているので、図3(a)に示されるように、嵌合突起15aが嵌合孔55aに嵌入している。そのため、第1接点部材52の可動部が本来の変位方向以外の方向に変位することが防止されるので、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったり、シェル61に接触したりしてしまうことがない。
【0061】
続いて、利用者がカード101をプッシュする動作を止め、該カード101に対する押圧力を解除すると、付勢部材81の反発力によって、スライド部材21及びカード101は奥壁部11aから離脱する向きに移動させられる。そして、スライド部材21及びカード101は、カード用コネクタ1内でカード101をロックした状態で保持するロック位置で停止する。これは、スライド部材21の上面に形成されたカム溝23と係合しているピン部材71の自由端が、カム溝23の一部に掛止されてスライド部材21の動きを停止させることによって、スライド部材21を前記ロック位置で停止させているからである。
【0062】
そして、カード101は、ロック位置に保持されることによって、カード用コネクタ1が実装された基板を備える電子機器の演算手段等との間でデータの送受信を行うことができる状態となる。なお、カード101がロック位置に保持されている場合、カード101のコンタクトパッドは、端子51の先端部51bと接触して導通している。また、図2(b−1)に示されるように、第1接点部材52の接触部52cと第2接点部材53の接触部53cとが接触している状態が維持され、カード検知スイッチはオンになっている。さらに、カード101が少なくともロック位置とオーバーストローク位置との間にあるときは、嵌合突起15aが嵌合孔55aに嵌入しているので、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったり、シェル61に接触したりすることが確実に防止される。
【0063】
次に、カード101をカード用コネクタ1から排出させる場合には、まず、利用者が手指等によってカード101をプッシュして押込むと、スライド部材21及びカード101は、ロック位置から奥壁部11aに向けて移動させられ、最も前進した位置であるオーバーストローク位置に到達してオーバーストローク状態となる。
【0064】
続いて、利用者がカード101をプッシュする動作を止め、該カード101に対する押込力を解除すると、付勢部材81の付勢力によって、オーバーストローク位置に位置しているスライド部材21及びカード101は、奥壁部11aから離脱する向きに移動させられ、挿入方向と反対の方向に移動させられる。そして、スライド部材21及びカード101は、付勢部材81の付勢力によって手前側に向けて移動し、ロック位置を通過し、カード101の挿入方向と反対の方向に向けて更に移動する。
【0065】
なお、カード101を排出させる場合の動作におけるその他の点については、カード101を挿入する場合の動作と反対であるので、説明を省略する。
【0066】
また、本実施の形態においては、カード検知スイッチが、カード101が挿入されると、第1接点部材52と第2接点部材53とが接触して導通状態、すなわち、オンになるタイプである場合についてのみ説明したが、前記カード検知スイッチは、カード101が挿入されると、第1接点部材52と第2接点部材53とが離間して非導通状態、すなわち、オフになるタイプであってもよい。つまり、前記カード検知スイッチは、カード101が挿入されると、その導通状態が初期状態から変化し、それによってカード101のハウジング11への挿入を検知するものであれば、いかなる種類のものであってもよい。
【0067】
さらに、本実施の形態においては、第1接点部材52及び第2接点部材53がハウジング11の奥側に配設され、カード101の前端によって第1接点部材52が変位させられるものである場合についてのみ説明したが、第1接点部材52及び第2接点部材53がハウジング11の側縁に配設され、カード101の側端によって第1接点部材52が変位させられるものであってもよい。
【0068】
このように、本実施の形態におけるカード用コネクタ1では、端子部材を備えるカード101を収容するハウジング11と、ハウジング11に取付けられ、カード101の端子部材と接触する端子51と、互いに接離してカード101がハウジング11に挿入されたことを検知する第1接点部材52及び第2接点部材53を備えるカード検知スイッチとを有する。そして、第1接点部材52及び第2接点部材53の少なくとも一方は、ハウジング11に固定される固定部と、ハウジング11に対して変位可能であって、ハウジング11と凹凸嵌合する可動部とを備える。これにより、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったりすることがなく、簡素な構造でありながら、カード101を確実に検出することができ、かつ、誤作動がない。また、部品点数の増加を防止することができ、製作を容易化することができ、製造コストを低減し、信頼性を向上させることができる。
【0069】
また、可動部は、カード101が少なくともロック位置とオーバーストローク位置との間にあるときはハウジング11と凹凸嵌合する。したがって、カード101がハウジング11に収容されているときは、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったりすることを確実に防止することができる。
【0070】
次に、本発明の第2及び第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0071】
図4は本発明の第2及び第3の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図である。図において、(a)は本発明の第2の実施の形態を示し、(b)は本発明の第3の実施の形態を示し、添字の1は要部拡大図を示し、添字の2は全体図を示している。
【0072】
図4(a)に示されるように、第2の実施の形態において、第1接点部材52の本体部52bには、接点部材側嵌合部である嵌合凹部として、本体部52bを板厚方向に貫通し、かつ、本体部52bの上端縁に開口するU字状の切欠き55bが形成されている。また、奥壁部11aには、ハウジング側嵌合部である嵌合凸部として、カード101の挿入方向に関して手前側に向けて突出する嵌合突起15bが、前記切欠き55bと対応する位置に、一体的に形成されている。そして、前記嵌合突起15bが第1接点部材52の切欠き55bに嵌入するようになっている。
【0073】
また、第2の実施の形態においては、嵌合孔55aを形成する必要がないので、第1接点部材52の本体部52bには突出部52eが存在しない。これにより、前記本体部52bは、その下端が直線状でスムーズな形状を備え、全体として簡素な形状となっている。したがって、第1接点部材52の製造コストを低減することができる。また、ハウジング11の底壁部11bにも、前記突出部52eを収容するための凹部11gを形成する必要がない。したがって、ハウジング11の底壁部11bの形状を簡素化することができ、ハウジング11の製造コストを低減することができる。
【0074】
なお、第2の実施の形態においては、切欠き55bの上端が開口しているので、嵌合突起15bが切欠き55bに嵌入しても、第1接点部材52の可動部が下方向(底壁部11bに接近する方向)に変位すること自体は、防止し得ない。しかし、第1接点部材52の可動部が上方向(シェル61に接近する方向)に変位することは防止されているので、第1接点部材52の可動部が上下方向に振動した場合でも、その振幅が抑制されるので、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合うことが、かなりの程度、防止される。また、第1接点部材52及び第2接点部材53がシェル61に接触したりしてしまうことは、確実に防止される。
【0075】
第2の実施の形態におけるその他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
また、図4(b)に示されるように、第3の実施の形態において、第1接点部材52の本体部52bには、接点部材側嵌合部である嵌合凹部として、本体部52bを板厚方向に貫通し、かつ、本体部52bの上端縁に開口する浅い矩形の切欠き55cが形成されている。また、奥壁部11aには、ハウジング側嵌合部である嵌合凸部として、カード101の挿入方向に関して手前側に向けて突出する嵌合突起15cが、前記切欠き55cと対応する位置に、一体的に形成されている。そして、前記嵌合突起15cが第1接点部材52の切欠き55cに嵌入するようになっている。
【0077】
第3の実施の形態が前記第2の実施の形態と相違する点は、切欠き55cの形状が浅い矩形である点、及び、嵌合突起15cの断面形状が、切欠き55cの形状に対応するように、矩形である点である。そして、その他の点の構成及び動作については、前記第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0078】
このように、本発明の第2及び第3の実施の形態において、可動部は、ハウジング11と凹凸嵌合することによって、少なくともシェル61に接近する方向に変位することが防止される。したがって、第1接点部材52又は第2接点部材53がシェル61に接触してしまうことが確実に防止される。
【0079】
次に、本発明の第4〜第7の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0080】
図5は本発明の第4及び第5の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図、図6は本発明の第6及び第7の実施の形態における第1接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図である。図5において、(a)は本発明の第4の実施の形態を示し、(b)は本発明の第5の実施の形態を示し、図6において、(a)は本発明の第6の実施の形態を示し、(b)は本発明の第7の実施の形態を示し、図5及び6において、添字の1は要部拡大図を示し、添字の2は全体図を示している。
【0081】
第4〜第7の実施の形態においては、第1接点部材52の本体部52bには、接点部材側嵌合部としての嵌合凸部が形成され、奥壁部11aには、ハウジング側嵌合部としての嵌合凹部が形成されている。
【0082】
図5(a)に示されるように、第4の実施の形態において、第1接点部材52の本体部52bの上端縁には、嵌合凸部としての嵌合突起56aが一体的に接続されている。該嵌合突起56aは、本体部52bの上端縁に接続された基端の近傍が折曲げられ、先端が本体部52bの表面に対してほぼ直交し、かつ、奥壁部11aを向くように形成されている。したがって、嵌合突起56aは、本体部52bの上端縁よりも上方に突出するように形成されている。
【0083】
また、奥壁部11aには、嵌合凹部としての嵌合孔16aが、前記嵌合突起56aと対応する位置に、奥壁部11aを板厚方向に貫通するように形成されている。なお、前記嵌合孔16aを形成するために、奥壁部11aには上方に突出する突出部11hが一体的に形成されている。そして、第1接点部材52の嵌合突起56aが、奥壁部11aの嵌合孔16aに嵌入するようになっている。
【0084】
これにより、第1接点部材52の可動部が本来の変位方向以外の方向に変位することが防止されるので、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったり、シェル61に接触したりしてしまうことがない。
【0085】
第4の実施の形態におけるその他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0086】
また、図5(b)に示されるように、第5の実施の形態において、第1接点部材52の本体部52bには上端縁から下方向に向う切込み52fが形成され、該切込み52fの下端部分、すなわち、本体部52bにおける上下方向中間付近で、嵌合凸部としての嵌合突起56bが本体部52bに一体的に接続されている。前記嵌合突起56bは、本体部52bに接続された基端の近傍が折曲げられ、先端が本体部52bの表面に対してほぼ直交し、かつ、奥壁部11aを向くように形成されている。したがって、嵌合突起56bは、本体部52bの上端縁よりも上方に突出しないように形成されている。
【0087】
また、奥壁部11aには、嵌合凹部としての嵌合孔16bが、前記嵌合突起56bと対応する位置に、奥壁部11aを板厚方向に貫通するように形成されている。なお、前記嵌合突起56bが本体部52bの上端縁よりも上方に突出しないので、上方に突出する突出部11hを形成しなくても、嵌合孔16bを形成することができる。したがって、突出部11hを形成する必要がないので、奥壁部11aの形状を簡素化することができ、ハウジング11の製造コストを低減することができる。また、奥壁部11aを低背化することができ、その結果、ハウジング11を低背化することができ、さらに、カード用コネクタ1全体を低背化することができる。
【0088】
第5の実施の形態におけるその他の点の構成及び動作については、前記第4の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0089】
また、図6(a)に示されるように、第6の実施の形態において、第1接点部材52の本体部52bには下端縁から上方向に向う切込み52gが形成され、該切込み52gの上端部分、すなわち、本体部52bにおける上下方向中間付近で、嵌合凸部としての嵌合突起56cが本体部52bに一体的に接続されている。前記嵌合突起56cは、本体部52bに接続された基端の近傍が折曲げられ、先端が本体部52bの表面に対してほぼ直交し、かつ、奥壁部11aを向くように形成されている。したがって、嵌合突起56cは、本体部52bの下端縁よりも下方に突出しないように形成されている。また、奥壁部11aには、嵌合凹部としての嵌合孔16cが、前記嵌合突起56cと対応する位置に、奥壁部11aを板厚方向に貫通するように形成されている。
【0090】
第6の実施の形態が前記第5の実施の形態と相違する点は、切込み52g及び嵌合突起56c並びに嵌合孔16cの位置が、切込み52f及び嵌合突起56b並びに嵌合孔16bの位置に対して、上下逆になっている点である。そして、その他の点の構成及び動作については、前記第5の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0091】
また、図6(b)に示されるように、第7の実施の形態において、第1接点部材52の本体部52bには下端縁から上方向に向う切込み52hが形成され、該切込み52hの自由端側部分で、嵌合凸部としての嵌合突起56dが本体部52bに一体的に接続されている。前記嵌合突起56dは、本体部52bに接続された基端の近傍が折曲げられ、先端が本体部52bの表面に対してほぼ直交し、かつ、奥壁部11aを向くように形成されている。したがって、嵌合突起56dは、本体部52bの下端縁よりも下方に突出しないように形成されている。また、奥壁部11aには、嵌合凹部としての嵌合孔16dが、前記嵌合突起56dと対応する位置に、奥壁部11aを板厚方向に貫通するように形成されている。
【0092】
第7の実施の形態が前記第6の実施の形態と相違する点は、切込み52h、嵌合突起56d及び嵌合孔16dの形状が、切込み52g、嵌合突起56c及び嵌合孔16cの形状と相違する点である。そして、その他の点の構成及び動作については、前記第6の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0093】
次に、本発明の第8及び第9の実施の形態について説明する。なお、第1〜第7の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第7の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0094】
図7は本発明の第8及び第9の実施の形態における第1接点部材及び第2接点部材とハウジングとの凹凸嵌合の構造を示す斜視図である。図において、(a)は本発明の第8の実施の形態を示し、(b)は本発明の第9の実施の形態を示し、添字の1は要部拡大図を示し、添字の2は全体図を示している。
【0095】
図7(a)に示されるように、第8の実施の形態においては、第1接点部材52及び第2接点部材53の両方が、その可動部においてハウジング11と凹凸嵌合するようになっている。これにより、第1接点部材52及び第2接点部材53の両方の可動部が本来の変位方向以外の方向に変位することが防止されるので、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったり、シェル61に接触したりしてしまうことが確実に防止される。
【0096】
図7(a)に示される例においては、第1接点部材52には前記第1の実施の形態と同様の嵌合孔55aが形成され、ハウジング11には前記第1の実施の形態と同様の嵌合突起15aが形成され、第1接点部材52がその可動部においてハウジング11と凹凸嵌合するようになっている。つまり、第1接点部材52がその可動部においてハウジング11と凹凸嵌合する構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0097】
また、第2接点部材53の本体部53bと接触部53cとの接続部分には、接点部材側嵌合部として、前記接続部分を板厚方向に貫通する嵌合孔57が形成されている。また、底壁部11bには、ハウジング側嵌合部として、底壁部11bの上面から上方向に向けて突出する嵌合突起17が一体的に形成されている。そして、該嵌合突起17が第2接点部材53aの嵌合孔57に嵌入するようになっている。つまり、第2接点部材53には嵌合凹部である嵌合孔57が形成され、ハウジング11には嵌合凸部である嵌合突起17が形成され、第2接点部材53がその可動部においてハウジング11と凹凸嵌合するようになっている。
【0098】
したがって、第2接点部材53の可動部が本来の変位方向(底壁部11bに対して垂直な方向)以外の方向に変位することが防止されるので、カード用コネクタ1が衝撃、振動等を受けた場合であっても、第1接点部材52及び第2接点部材53が互いに絡合ったり、シェル61に接触したりしてしまうことがない。
【0099】
第8の実施の形態におけるその他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
また、図7(b)に示されるように、第9の実施の形態において、前記第2接点部材53が有するカンチレバー状の本体部53bは、カード101がカード用コネクタ1に挿入されていない状態においては、奥壁部11aの側面に対して傾斜し、カード101の挿抜方向に変位するようになっている。なお、前記本体部53bが基端から自由端へ延在する方向は、図において左から右へ向う方向であり、第1接点部材52の本体部52bが基端から自由端へ延在する方向(図において右から左へ向う方向)と反対である。そして、第2接点部材53の接触部53cは、第1接点部材52の接触部52cと奥壁部11aとの間に位置し、第2接点部材53の取付部53aは奥壁部11aに固定される。
【0101】
なお、第9の実施の形態における第1接点部材52の接触部52cは、本体部52bとほぼ同じ幅の板部材であり、本体部52bの自由端近傍をわずかに曲げることによって形成されている。また、前記第1接点部材52は、カード当接部52dを有しておらず、接触部52cがカード当接部52dとしても機能する。
【0102】
カード101が挿入されていない状態においては、図7(b)に示されるように、第1接点部材52の接触部52cと第2接点部材53の接触部53cとは非接触である。しかし、カード101が挿入され、そのコンタクトパッドと端子51とが接触する位置に到達すると、カード101の前端によって第1接点部材52の接触部52cが奥壁部11aの方向に向けて押されて変位し、接触部52cの奥壁部11a側の面が第2接点部材53の接触部53cに接触する。そして、カード101が更に押込まれると、第2接点部材53の接触部53cも、第1接点部材52の接触部52cによって押されることにより、第1接点部材52の接触部52cと重なり合うようにして、奥壁部11aの方向に向けて押されて変位する。
【0103】
また、奥壁部11aの上端には、ハウジング側嵌合部である嵌合凸部として、カード101の挿入方向に関して手前側に向けて突出する嵌合突起18が、第1接点部材52の接触部52c及び第2接点部材53の接触部53cと対応する位置に、一体的に形成されている。そして、カード101の前端によって奥壁部11aの方向に向けて押されて変位した第1接点部材52の接触部52c及び第2接点部材53の接触部53cが、嵌合突起18の下方の空間に嵌入するようになっている。つまり、第1接点部材52の接触部52cの上端及び第2接点部材53の接触部53cの上端が嵌合凹部として機能し、また、ハウジング11には嵌合凸部である嵌合突起18が形成され、第1接点部材52及び第2接点部材53がその可動部においてハウジング11と凹凸嵌合するようになっている。
【0104】
第9の実施の形態におけるその他の点の構成及び動作については、前記第8の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、カード用コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 カード用コネクタ
11 ハウジング
11a 奧壁部
11b 底壁部
11c 側壁部
11d カード案内機構収容部
11e 端子保持部
11f 開口部
11g 凹部
11h、52e 突出部
13 掛止突起
15a、15b、15c、17、18、56a、56b、56c、56d 嵌合突起
16a、16b、16c、16d、55a、57 嵌合孔
21 スライド部材
21a 第1係合部
21b 第2係合部
23 カム溝
51、851 端子
51a 基部
51b 先端部
51c ソルダーテール部
52 第1接点部材
52a、53a 取付部
52b、53b 本体部
52c、53c 接触部
52d カード当接部
52f、52g、52h 切込み
53 第2接点部材
55b、55c 切欠き
61 シェル
62 天板部
63 掛止開口
64 側板部
65 ピン押え部材
71 ピン部材
81 付勢部材
101 カード
811 絶縁性ハウジング
811a 奥壁
811c 側壁
821 スライダ
852 第1可動接点部材
853 第2可動接点部材
881 コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)端子部材を備えるカードを収容するハウジングと、
(b)該ハウジングに取付けられ、前記カードの端子部材と接触する接続端子と、
(c)互いに接離して前記カードがハウジングに挿入されたことを検知する第1接点部材及び第2接点部材を備える検知スイッチとを有するカード用コネクタであって、
(d)前記第1接点部材及び第2接点部材の少なくとも一方は、前記ハウジングに固定される固定部と、前記ハウジングに対して変位可能であって、前記ハウジングと凹凸嵌合する可動部とを備えることを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記固定部は前記ハウジングの壁部に固定され、
前記可動部は、前記壁部の面に対して垂直な方向に変位可能であり、前記カードがハウジングに挿入されると、前記壁部に接近する方向に変位する請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記可動部及び壁部の一方は嵌合凸部を備え、他方は前記嵌合凸部が嵌入する嵌合凹部を備える請求項2に記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングに挿入されたカードを保持してスライドするスライド部材、及び、該スライド部材をカードの挿入方向と反対の方向に付勢する付勢部材を備え、前記カードをロック位置で保持してカードの端子部材が接続端子と接触している状態を維持し、前記ロック位置で保持されているカードを挿入方向に押込むプッシュ動作によってカードが挿入方向に移動してオーバーストローク位置まで到達すると、前記付勢部材の付勢力によって、前記カードをオーバーストローク位置から挿入方向と反対の方向に移動させて排出するカード案内機構を更に有し、
前記可動部は、前記カードが少なくとも前記ロック位置とオーバーストローク位置との間にあるときは前記ハウジングと凹凸嵌合する請求項1〜3のいずれか1項に記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングに取付けられ、少なくとも該ハウジングに挿入されたカードの一部を覆うカバー部材を更に有し、
前記可動部は、前記ハウジングと凹凸嵌合することによって、少なくとも前記カバー部材に接近する方向に変位することが防止される請求項1〜4のいずれか1項に記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記第1接点部材は、前記固定部と可動部とを備え、
該可動部は、基端が前記固定部に接続されたカンチレバー状の本体部と、該本体部の自由端に接続されるとともに、前記第2接点部材と接触可能な接触部及び前記ハウジングに挿入されたカードと当接するカード当接部とを備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−124001(P2011−124001A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278166(P2009−278166)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】