説明

カーボンナノチューブの電気化学堆積方法

本発明は、電気化学セルを用いる、カーボンナノチューブ(「CNT」)の基板上への電気化学堆積に関する。CNTの錯体およびアニオン性ポリマーの分散体を中和し、これにより、セルの陽極プレート上に堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2008年2月29日に出願の米国仮特許出願第61/032,505号明細書からの優先権を主張すると共に、同仮特許出願の利益を主張し、同仮特許出願は、本参照によりすべての目的についてその全体が本明細書の一部として援用される。
【0002】
本発明は、カーボンナノチューブ(「CNT」)の基板上への電気化学堆積に関する。
【背景技術】
【0003】
カーボンナノチューブは、固有の有用な電気特性を有することが周知であると共に、これらは、電界放出デバイス(「FED」)の陰極の構成に頻繁に用いられる。しかしながら、これらの材料の採用には、その高い費用による制約がある。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0063464号明細書には、電気化学的方法によるカーボンナノチューブの堆積が記載されている。しかしながら、良好な均一性および低材料消耗性を有すると共に、比較的低い入力電圧から比較的高い放出電流が一定して得られる電子電界エミッタをもたらすカーボンナノチューブの電析方法に対する必要性が未だ存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、それ故、伝導性基板などの基板上に、良好な均一性および低材料消耗性をもって均一なCNT膜を形成する方法を提供することを第1の目的とする。他の目的は、電子電界エミッタとして用いられたときに、比較的低い入力電圧から比較的高い放出電流を一定してもたらすCNT膜を形成する方法を提供することである。さらに目的は、この方法から、電子的用途における使用のために容易にパターン化され得るCNT膜を提供することである。このようにパターン化されたCNT膜は、例えば、電界放出デバイスに備え付けられる陰極構体に用いられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、それ故、(a)陰極、陽極プレート、陰極を電源に接続する第1の電導路および電源を陽極プレートに接続する第2の電導路を備える電気化学セルを提供する工程;(b)陰極と陽極との間に配置された水系電解質として、カーボンナノチューブおよび第1のアニオン性ポリマーから形成された錯体の分散体を提供する工程;(c)電気化学セルに電圧を印加して錯体に陽極を堆積させる工程;ならびに、(d)陽極プレートを電気化学セルから取り出すと共にプレートを空気中で焼成する工程による、カーボンナノチューブの堆積方法を提供する。
【0007】
他の実施形態において、本発明は、(a)陰極、陽極プレート、陰極を電源に接続する第1の電導路および電源を陽極プレートに接続する第2の電導路を備える電気化学セルを提供する工程;(b)陰極と陽極との間に配置された水系電解質を提供する工程であって、電解質は、ホウ酸および/またはホウ酸化合物、ならびに、カーボンナノチューブおよび第1のアニオン性ポリマーから形成された錯体の分散体を含む工程;ならびに、(c)電気化学セルに電圧を印加して錯体を陽極に堆積させる工程による、基板への電子放射材料の堆積方法を提供する。
【0008】
さらなる実施形態において、本発明は、基板、ならびに、基板に配置された、(a)ホウ酸および/またはホウ酸化合物および(b)カーボンナノチューブおよび第1のアニオン性ポリマーから形成された錯体を備える膜を提供する。代替的に、この実施形態においては、さらに、基板に凝析剤残渣が配置されていてもよい。
【0009】
さらに他の実施形態において、本発明は、(a)電子放射材料を基板に堆積させて電子電界エミッタを調製する工程;(b)電子電界エミッタを陽極プレートとして電気化学セルに設置する工程であって、電気化学セルが、陰極、陰極を電源に接続する第1の電導路、および、電源を陽極プレートに接続する第2の電導路をさらに備えている工程;(c)陰極とホウ酸および/またはホウ酸化合物を含む陽極プレートとの間に配置された電解質を提供する工程;ならびに(d)電気化学セルに電圧を印加する工程による、基板への電子放射材料の堆積方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の方法の一実施形態における堆積のメカニズムの概略図である。
【図2】実施例において用いられている電気化学セルの構成を示す図である。
【図3】実施例1の結果のプロットを示す図である。
【図4】実施例2の結果のプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
CNT膜は、本発明の方法により、電気化学的手段によるCNTの基板上への堆積によって形成され、このような目的のために、本明細書における方法は、電気化学セルを使用する。このセルは、陰極、陽極プレート、陰極を電源に接続する第1の電導路、および電源を陽極プレートに接続する第2の電導路を含む。水性電解質がセルに提供されて、陽極プレートと陰極との間に配置される。CNTおよび第1のアニオン性ポリマー、ならびに、任意により凝析剤から形成される錯体の分散体が電解質中に含まれる。
【0012】
本明細書において用いられるところ、CNTは、一般に、長さ寸法対幅狭寸法の比、すなわちアスペクト比が少なくとも5である約0.5〜2nmの直径である。普通、アスペクト比は10〜2000である。CNTは主に炭素原子から構成されるが、しかしながら、例えば金属といった他の元素がドープされていてもよい。本発明の炭素−ベースのナノチューブは、多層ナノチューブ(MWNT)または単層ナノチューブ(SWNT)のいずれかであることができる。MWNTは、例えば、各々が異なる直径を有する数本の同心状のナノチューブを含む。それ故、最も細い直径のチューブがより大径のチューブにより囲まれており、次いで、これが他のより大径のナノチューブにより囲まれている。SWNTは、他方で、1本のナノチューブのみを含む。
【0013】
CNTは多様な方法により製造され得、さらには市販されている。CNTの合成方法としては、グラファイトのレーザ蒸発[A.Thessら、Science、273、483ページ(1996年)]、アーク放電[C.Journetら、Nature、388、756ページ(1997年)]およびHiPCo(高圧一酸化炭素)プロセス[P.Nikolaevら、Chem.Phys.Lett.313、91〜97ページ(1999年)]が挙げられる。化学蒸着(CVD)もまたカーボンナノチューブの製造に用いられることが可能である[J.Kongら、Chem.Phys.Lett.292、567〜574ページ(1998年);J.Kongら、Nature、395、878〜879ページ(1998年);A.Cassellら、J.Phys.Chem.103、6484〜6492ページ(1999年);H.Daiら、J.Phys.Chem.103、11246〜11255ページ(1999年)]。さらに、CNTは、溶液中および固体基板上の両方での触媒プロセスで成長され得る[Yan Liら、 Chem.Mater.;2001年;13(3);1008〜1014ページ);(N.FranklinおよびH.Dai、Adv.Mater.12、890(2000年);A.Cassellら、J.Am.Chem.Soc.121、7975〜7976ページ(1999年)]。
【0014】
CNTの使用に対する主な障害は、チューブ径、カイラル角、および種々の調製方法から得たナノチューブサンプルにおける凝集状態の多様性である。高度に分極性であり、滑らかな側面を有するフラーレンチューブは、大きなファンデルワールス結合エネルギーを有する平行な束またはロープを容易に形成するために凝集が特に問題である。この束化はチューブの電子構造を乱し、チューブをサイズあるいはタイプで分離する試み、または、これらを個別の巨大分子種として用いるための試みのほとんどすべてを混乱させる。
【0015】
従って、束ねられたナノチューブをアニオン性ポリマーの水溶液に接触させる工程による、束ねられたカーボンナノチューブの集合を分散させるための方法が本発明により提供されている。アニオン性ポリマーおよびCNTを含有する錯体がこれにより形成されるが、錯体中のアニオン性ポリマーとCNTとの会合は、緩い会合であり、基本的にファンデルワールス結合または他の非共有結合的手段のいくつかにより形成されており、特定の官能基化基の相互作用を介しては形成されていない。従って、CNTの構造的完全性は保持されるが、電解質が存在する場合、アニオン性ポリマーと一緒に形成する錯体は電解質中の分散体中に懸濁されることになる。
【0016】
それ故、多様なアニオン性ポリマーが、ポリマー/CNT錯体の形成を促進することで水溶液中にCNTを分散させる目的のための分散剤として用いられ得るが、このような目的のために用いられる好ましいポリマーは核酸であり、特に、安定化された核酸分子の溶液である。核酸は、ナノチューブと核酸分子との間の非共有結合的相互作用に基づくナノチューブ−核酸錯体の形成によりCNTを分散させるためにきわめて有効である。本発明の方法は、従って、ナノチューブを核酸分子などのアニオン性ポリマーの溶液と接触させることによる束ねられたCNTの分散方法を含む。
【0017】
錯体を形成すると共に、これによりCNTを分散させるための核酸分子の使用の以下の考察においては、以下の用語および略語が用いられている。
「cDNA」は、相補DNAを意味し、
「PNA」は、ペプチド核酸を意味し、
「SEM」は、走査電子顕微鏡検査を意味し、
「ssDNA」は、単鎖DNAを意味し、
「tRNA」は、転移RNAを意味し、
「CNT」は、カーボンナノチューブを意味し、
「MWNT」は、多層ナノチューブを意味し、
「SWNT」は、単層ナノチューブを意味し、
「TEM」は、透過電子顕微鏡法を意味し、
「核酸分子」は、単鎖または二本鎖であり、任意により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を含有する、RNA、DNA、またはペプチド核酸(PNA)のポリマーとして定義される。DNAのポリマーの形態である核酸分子は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つ以上のセグメントから構成されていてもよい。
【0018】
英字「A」、「G」、「T」、「C」は、核酸の文脈において言及される場合、それぞれ、プリン塩基アデニン(C555)およびグアニン(C555O)およびピリミジン塩基チミン(C5622)およびシトシン(C453O)を意味することとする。
【0019】
「ペプチド核酸」という用語は、ペプチドリンカーにより一緒に結合された核酸ポリマーの延伸部を有する材料を指す。
【0020】
「安定化された核酸分子の溶液」とは、可溶化されたリラックス型二次立体配置での核酸分子の溶液を指す。
【0021】
「ナノチューブ−核酸錯体」は、少なくとも1つの核酸分子と緩く会合したカーボンナノチューブを含む組成物を意味する。典型的には、核酸とナノチューブとの間の会合は、ファンデルワールス結合または他の非共有結合的手段のいくつかによる。
【0022】
「攪拌手段」という用語は、ナノチューブおよび核酸の分散を促進させるデバイスを指す。典型的な攪拌手段は超音波処理である。
【0023】
「変性剤」という用語は、DNAおよび他の核酸分子の変性化に有効な物質を指す。
【0024】
ここで用いられる標準的な組換DNAおよび分子生物学的技術は、当該技術分野において周知であり、たとえば、Sambrook、FritschおよびManiatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY)(1989年)(以降本明細書において「Maniatis」);Silhavy、BennanおよびEnquist、Experiments with Gene Fusions、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY)(1984年);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Assoc. and Wiley−Interscience発行(1987年)により説明されている。
【0025】
本発明の方法において用いられる核酸分子は、いずれのタイプのものであっても、いずれの好適な供給源に由来するものであってもよく、これらに限定されないが、DNA、RNAおよびペプチド核酸が挙げられる。本明細書において用いられる核酸分子は、合成手段により生成されてもよく、または、当該技術分野において公知である(たとえば、前述のSambrookを参照のこと)プロトコルにより自然から単離されてもよい。これらの核酸分子は単鎖または二本鎖のいずれかであり得、ならびに、任意により、多様な反応性基、リガンドまたは薬剤でいずれかの点で官能基化されていてもよい。しかしながら、核酸の官能基化は分散の目的のためのCNTとの会合のためには必要とされず、分散のために本明細書において用いられる核酸のほとんどは官能基に欠いており、従って、本明細書においては「未官能基化」として称される。
【0026】
ペプチド核酸(PNA)は、核酸およびペプチドの両方の2つの官能基を有するために、分散体のために本明細書において特に有用である。PNAの合成方法および使用方法は、例えば、Antsypovitch、Peptide nucleic acids: Structure、Russian Chemical Reviews(2002年)、71(1)、71〜83ページに記載されるように当該技術分野において周知である。
【0027】
本明細書において用いられるような核酸分子は塩基のいかなる組成を有していてもよく、束ねられたCNTを分散させる核酸分子の能力を損なうことなく同一の塩基の延伸部(例えばポリAまたはポリT)から構成されていてもよい。好ましくは、核酸分子は、約2000塩基未満であり、ここで、1000塩基未満が好ましく、および約5塩基〜約1000塩基が最も好ましい。一般に、CNTを分散させる核酸の能力は、配列または塩基組成とは独立しているように思われるが、しかしながら、配列におけるG−CおよびT−A塩基対相互作用が小さいほど分散効率が高いこと、ならびに、RNAおよびその誘導体が分散において特に有効であり、それ故、本明細書において好ましいことを示唆するいくつかの証拠がある。本明細書における使用に好適である核酸分子としては、特に限定されないが、一般式:
1.n=1〜2000であるAn;
2.n=1〜2000であるTn;
3.n=1〜2000であるCn;
4.n=1〜2000であるGn;
5.n=1〜2000であり、かつ、Rが、AまたはGのいずれかであり得るRn;
6.n=1〜2000であり、かつ、Yが、CまたはTのいずれかであり得るYn;
7.n=1〜2000であり、かつ、Mが、AまたはCのいずれかであり得るMn;
8.n=1〜2000であり、かつ、Kが、GまたはTのいずれかであり得るKn;
9.n=1〜2000であり、かつ、Sが、CまたはGのいずれかであり得るSn;
10.n=1〜2000であり、かつ、Wが、AまたはTのいずれかであり得るWn;
11.n=1〜2000であり、かつ、Hが、AまたはCまたはTのいずれかであり得るHn;
12.n=1〜2000であり、かつ、Bが、CまたはGまたはTのいずれかであり得るBn;
13.n=1〜2000であり、かつ、Vが、AまたはCまたはGのいずれかであり得るVn;
14.n=1〜2000であり、かつ、Dが、AまたはGまたはTのいずれかであり得るDn;ならびに
15.n=1〜2000であり、かつ、Nが、AまたはCまたはTまたはGのいずれかであり得るNn
で表されるものが挙げられる。
【0028】
上記に列挙した組み合わせに追加して、これらの配列のいずれかは、1つ以上のデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドにより置き換えられていてもよく(すなわちRNAまたはRNA/DNAハイブリッド)、または1つ以上の糖質−リン酸結合がペプチド結合により置き換えられていてもよい(すなわちPNAまたはPNA/RNA/DNAハイブリッド)。
【0029】
本明細書において用いられるところ、核酸分子は、好適な溶液中に安定化され得る。核酸分子はリラックス型二次立体配置であることが好ましく、相互に緩く会合されているのみであり、個別のストランドによるCNTとの最大の接触が許容されている。核酸の安定化された溶液は普通であって当該技術分野において周知であり(前述のSambrookを参照のこと)、典型的には、ナトリウムおよびカリウム塩、ならびにトリス(トリス(2−アミノエチル)アミン)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)、ならびに、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸などの塩および緩衝剤が挙げられる。安定化された核酸溶液に好ましい溶剤は、水和性であるものであって、ここで、水が最も好ましい。分散プロセスは、核酸変性物質の溶液への任意による添加で向上され得る。通常の変性剤としては、これらに限定されないが、ホルムアミド、尿素およびグアニジンが挙げられる。好適な変性剤の非限定的な列挙は、前述のSambrookに見出され得る。
【0030】
本明細書に記載の方法の一実施形態に係る分散体を調製するために、1つ以上の核酸分子などのアニオン性ポリマーが、束ねられたカーボンナノチューブの集合に接触させられ得る。必須ではないが、接触はある種の攪拌手段の存在下になされることが好ましい。典型的には、この攪拌手段は超音波処理を採用するが、核酸およびCNTの高せん断混合(すなわち均質化)をもたらすデバイス、またはこれらの組み合わせのいずれかをも含み得る。攪拌に際して、CNTは、分散されて、水素結合または他の非共有結合的手段のいくつかによりCNTと緩く会合された少なくとも1つの核酸分子を含むナノチューブ−核酸錯体を形成することとなる。
【0031】
CNTを核酸と接触させるプロセスの最中の温度が、分散効率に影響を与え得る。室温以上での混合はより長い分散時間をもたらすと見られる一方で、室温未満の温度(23℃)での混合はより急速な分散時間をもたらすと見られ、約4℃の温度が好ましい。核酸分子との接触によるCNTの分散はまた、各々が参照によりすべての目的についてその全体が本明細書の一部として援用される米国特許出願公開第2004/0132072号明細書および米国特許出願公開第2004/0146904号明細書に記載されている。
【0032】
上述の核酸分子に追加して、1種以上の他のアニオン性ポリマーが、CNTの水性分散体を調製する目的のために用いられ得る。CNTの分散体の調製に使用するのに好適な他のアニオン性ポリマーの例としては、特に限定されないが、そのいずれかがNa+、K+、NH4+またはCr+などのカチオンで中和されていてもよいイオン化ポリ(アクリル酸)(「PAA」)またはイオン化エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー(「EAA」または「EMAA」);スチレン/スチレンスルホン酸ナトリウムコポリマー(PSS)またはスチレン/スチレンメタクリル酸ナトリウムコポリマーなどのスチレンアイオノマー;ならびに、テトラフルオロエチレン/パーフルオロビニルエーテルコポリマー中のスルホン酸基がナトリウムで中和されていてもよいNafion(商標)コポリマー(DuPont製)などのイオン化テトラフルオロエチレン/スルホン酸コポリマーが挙げられる。核酸分子に関して上記に示されているとおり、超音波処理または他の混合手段を適用して、上で検討した1種以上のアニオン性ポリマーの水溶液におけるCNTの分散を促進させ得る。
【0033】
一実施形態においては、セル中に含まれる電解質溶液に分散された、CNTおよびアニオン性ポリマーの分子から形成された錯体のセルの陽極プレート上への堆積は、任意の凝析剤のその中での存在により促進されることとなる。この凝析剤は、錯体におけるアニオン性ポリマーの陰電荷を中和する。アニオン性ポリマー/CNT錯体の集合は、主に、一方の負に荷電された錯体の他方からの反発(または錯体を囲う正に荷電された二重層の反発)により分散状態に維持されているため、凝析剤によるこれらの陰電荷の中和(または二重層の圧縮)は、錯体の集合を電解質溶液中に分散状態に維持させることができる力を除去することとなる。錯体を中和する凝析剤の作用が陽極プレートに近接して生じるに伴って、これらの錯体(もはや分散されてはいない)は、溶液相から固体相へ転移する程度を変化させながら、次第に凝集および集塊(凝集体(floccules)および凝集体(flocs)の形成と同様に)して、次いで、陽極プレートの表面上に集まって堆積することとなる。CNT錯体に追加して、プレート上に堆積された材料は凝析剤残渣を含み得る。
【0034】
第1および第2のアニオン性ポリマーが電解液中に存在する場合、これらは、例えば、CNTと一緒に錯体を形成する第1のポリマー、および、錯体を形成しないか、または、第1のポリマーよりも弱くCNTに結合している第2のポリマーであり得る。第1および第2のポリマーは、陽極の表面に同時に堆積されてもよく、また、第1のポリマーが、例えば、第2のポリマーのマトリックスに堆積されてもよい。導電性粒子または官能基化粒子などのさらなる材料がセル陽極プレートの有用性および性能を増大させるために必要とされる場合、電界放出デバイスにおける構成部品は電解液中に存在しているため、これらの材料は、アニオン性ポリマー/CNT錯体と同時に陽極プレートに堆積されてもよい。図2は、陽極プレートへのこのような堆積によって形成される膜のタイプの典型的な例を示し、この膜は、その表面全体にわたって、均一に堆積され、十分に接着された材料の良好な均一性を有する。
【0035】
アニオン性ポリマー/CNT錯体を中和する目的のための本明細書における使用のために好適な凝固剤としては、鉄、コバルト、ルテニウムまたはオスミウムなどの第VIII/VIIIA族金属を含む金属から形成される三価カチオンなどの無機凝析剤が挙げられる。三価カチオンは、二価カチオンよりも最高で10倍も錯体の中和において有効である可能性があるため、凝析剤を提供する簡便な方法はトリス(2,2’−ビピリジル)ジクロロ−ルテニウム(II)などの二価カチオンを電解質溶液に供給することであり、ここで、2+カチオンは陽極プレートへの電子の損失により3+原子価に酸化される。このメカニズムの概略的な代表例が図1に示されている。例えば、金属カチオンが凝析剤として用いられる場合、凝析剤残渣は、それ故、アニオン性ポリマー/CNT錯体との相互作用によって酸化されたカチオンであろう。
【0036】
しかしながら、代替的な実施形態においては、陽極プレートが銀またはニッケルなどの金属から形成されている場合には、凝析剤は用いられない。このような場合においては、プレート上の金属が電解質溶液中に溶解して、アニオン性ポリマー/CNT錯体の電荷が、プレートが形成されている固体金属から溶液中に溶解した金属原子から形成されたカチオンによって中和されてしまう。
【0037】
さらなる代替的な実施形態においては、電解液は、1種または複数種のアニオン性ポリマーおよび任意の凝析剤に追加して、ホウ酸および/またはホウ酸化合物を含有していてもよい。電解液における使用に好適なホウ酸化合物としては、例えば、構造式
B−(−R3)(−R4)(−R5)によって表されるものが挙げられ、式中、R3、R4およびR5は、同一であっても異なっていてもよく、ならびに、各々は、独立して、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基またはハロゲン原子を表し;ならびに、R4およびR5がアルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基またはアラルキルオキシ基である場合、R4およびR5は、相互に組み合わされてホウ素原子と一緒に環構造を形成していてもよい。
【0038】
3、R4またはR5によって表されるアルキルオキシ基は置換基を有していてもよく、具体的には、アルキルオキシ基は、1〜10個の炭素原子を有する置換または非置換、直鎖または分岐アルキルオキシ基であることが好ましい。その例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、3−メトキシプロポキシ、4−クロロブトキシおよび2−ジエチルアミノエトキシが挙げられる。
【0039】
3、R4またはR5によって表されるアルケニルオキシ基は置換基を有していてもよく、具体的には、アルケニルオキシ基は、3〜12個の炭素原子を有する置換または非置換、直鎖または分岐アルケニルオキシ基であることが好ましい。その例としては、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基、ヘプテニルオキシ基、オクテニルオキシ基、ドデセニルオキシ基およびプレニルオキシ基が挙げられる。
【0040】
3、R4またはR5によって表されるアリールオキシ基は置換基を有していてもよく、具体的には、アリールオキシ基は、置換または非置換アリールオキシ基である。その例としては、フェノキシ、トリルオキシ、キシリルオキシ、4−エチルフェノキシ、4−ブチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ、4−ジエチルアミノフェノキシ、2−メチルフェノキシ、2−メトキシフェノキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシおよび4−メチルナフトキシが挙げられる。
【0041】
3、R4またはR5によって表されるアラルキルオキシ基は置換基を有していてもよく、具体的には、アラルキルオキシ基は置換または非置換アラルキルオキシ基である。その例としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基、1−ナフチルメチルオキシ基、2−ナフチルメチルオキシ基および4−メトキシベンジルオキシ基が挙げられる。
【0042】
本明細書における使用に好適なホウ酸化合物の特定の例としては、ホウ酸ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリ−n−プロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリ−n−ブチル、ホウ酸トリイソブチル、ホウ酸トリ−n−オクチル、ホウ酸ブチルジエチル、ホウ酸エチルジ(2−フェネチル)、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸ジエチル−4−メトキシフェニル、ホウ酸ジエチルシクロヘキシル、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、ジエトキシクロロボラン、n−ブトキシジクロロボラン、およびトリスホウ酸(エチレンジアミン四酢酸)が挙げられる。
【0043】
4とR5とを相互に組み合わせることにより形成される環の中にホウ素原子および2個の酸素原子を含有する環構造を有する化合物の特定の例としては、2−メトキシ−1,3,2−ジオキサボリナン、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサボロラン、2−ブトキシ−1,3、2−ジオキサボリナン、2フェノキシ−1,3,2−ジオキサボリナン、2−フェノキシ−4,4,6−トリメチル1、3,2−ジオキサボリナン、2−ナフトキシ−1,3,2−ジオキサボリナン、2−メトキシ−1,3,2−ベンゾジオキサボロールおよび2−エトキシ−1,3,2−ベンゾジオキサボリンが挙げられる。
【0044】
この実施形態において、ホウ酸および/またはホウ酸化合物は、約0.1重量%以上、または約0.5重量%以上、かつ、さらには約10重量%以下、または約5重量%以下の範囲内の濃度で電解液中に用いられ得る。
【0045】
ホウ酸および/またはホウ酸化合物が電解液中に存在している本明細書に記載の方法のこの実施形態において、セル陽極プレートに堆積される材料は、それ故、CNT錯体に追加して、任意の凝析剤の残渣および/またはいくらかのホウ酸および/またはホウ酸化合物を含んでいてもよい。このような場合において、本発明のさらなる実施形態は、基板と、基板に配置されているか堆積されている、カーボンナノチューブおよび1種または複数種のアニオン性ポリマー、凝析剤残渣および/またはホウ酸および/またはホウ酸化合物から形成される錯体とから構成される膜を含む。
【0046】
電解セルにおける陽極として用いられるプレートは最終的には電界放出デバイスの陰極構体において用いられることとなるため、既にセル中に用いられているプレートにはCNTが堆積され得る導電手段が設けられていることが望ましい。このような目的のための使用に好適なプレートの一例は、インジウム錫酸化物(「ITO」)などの導電性材料でコートされているソーダ石灰ガラスプレートなどのガラスプレートである。代替的に、しかしながら、このような目的のために用いられるプレートは、先ず、導電性材料が、以下に記載のものなどの厚膜ペースト法によって堆積されている基板にあることが可能である。
【0047】
本明細書に記載の方法は、堆積された材料が所定のパターンで堆積されている膜の製造に用いられ得る。これは、従来のフォトイメージング技術を用いてセル陽極として用いられるプレートの表面をパターン化することにより達成され得る。それ故、マスクを介してフォトレジストが活性化され、次いで現像されて、セル陽極の表面に環状のウェルのアレイなどのパターンが形成され得る。アニオン性ポリマー/CNT錯体は凝集して溶液中で沈降するため、これらは、環状のウェル中にのみ堆積され、および、フォトレジストが除去され得る。これにより、電界放出デバイスへの設置のためのパターン化されたCNT膜が、膜のための基板として機能する陽極プレートを伴って提供される。
【0048】
本明細書に記載の方法は、一般に、約5ボルト未満、または約2〜約5ボルト未満、または約2ボルト〜約3ボルトなどのより低い電位で電気化学セルを操作することにより実施される。堆積される膜の厚さは、堆積時間の長さに、かなり直接的に関連している。約1〜約10分間の範囲内、または約1〜約2分間の範囲内の堆積時間が用いられ得る。セルの陰極と相対的に、セル陽極プレートでは陽電位が維持される。
【0049】
セルにおける陽極プレート上へのCNT錯体材料の堆積の完了後、プレートは、セルから取り外され、すすがれ、乾燥され、電界放出デバイス中に、その陰極構体の一部として用いられて電子放出もたらすためにこのような条件で設置され得る。しかしながら、代わりに、このプレートを電界放出デバイスへの設置の前に、ベークおよび/または焼成して堆積されたポリマーを溶融させると共に、この溶融したポリマーをこのまま接着剤として利用してCNTをプレートの表面により強固に固着させて、優れた耐摩耗性を備えるCNT含有膜をもたらしてもよい。この焼成は、約250℃〜約650℃、または約350℃〜約550℃、または約450℃〜約525℃の範囲内の温度で、約5〜約30分間、または約10〜約25分間、または約10〜約20分間の範囲内の時間をかけて、窒素などの不活性ガスまたは空気中で実施され得る。
【0050】
セルにおける陽極プレート上へのCNT錯体材料の堆積の完了後、プレートは、電界放出デバイス中に、その陰極構体の一部として用いられて電子放出をもたらすために設置され得る。電圧がCNTに印加されると、デバイスの陽極は電子による衝撃を受ける。電界放出デバイスの陽極は、導電性層でコートされた電極である。陰極が上述の厚膜ペースト堆積物の画素のアレイを含有している、ディスプレイデバイスに電界放出デバイスが用いられている場合、FEDの陽極は、入射する電子を光に変換する蛍光体を含み得る。FEDの陽極の基板はまた、もたらされる光線が透過可能であるよう、透明であるよう選択されることとなる。陰極構体および陽極がスペーサにより分離されて、真空の空隙が陽極と陰極との間に存在する、シールされたユニットが陰極構体およびFEDの陽極から構成される。この真空の間隙は、陰極から放出される電子がガス分子とほとんど衝突せずに陽極に移動し得るよう、部分真空下にある。多くの場合、この真空の間隙は、10-5Torr未満の圧力に真空引きされる。
【0051】
このような電界放出デバイスは、例えば真空電子素子、フラットパネルコンピュータおよびテレビディスプレイ、LCDディスプレイ用バックライト、エミッションゲート増幅器およびクライストロンといった多様な電子的用途、ならびに、照明デバイスにおいて有用である。例えば、電界放出電子源、すなわち、電界放出材料またはフィールドエミッタを用いる陰極、およびフィールドエミッタにより放出された電子の照射で発光することができる蛍光体を有するフラットパネルディスプレイが提案されている。このようなディスプレイは、従来の陰極線管の利点、ならびに、他のフラットパネルディスプレイの深度、重量および電力消費利点を視覚的ディスプレイにもたらす可能性を有している。フラットパネルディスプレイは平面であることも曲面であることも可能である。米国特許第4,857,799号明細書および米国特許第5,015,912号明細書は、タングステン、モリブデンまたはケイ素から構成されるマイクロチップ陰極を用いるマトリックスアドレス指定フラットパネルディスプレイを開示する。国際公開第94−15352号パンフレット、国際公開第94−15350号パンフレットおよび国際公開第94−28571号パンフレットは、陰極が比較的平坦な放出面を有するフラットパネルディスプレイを開示する。これらのデバイスは、米国特許出願公開第2002/0074932号明細書にも記載されており、これは、この参照によりすべての目的についてその全体が本明細書の一部として援用される。
【0052】
本発明の代替的な実施形態において、電界放出デバイスは、電子電界エミッタを従来の手段によって調製することによって形成され得る。このような電子電界エミッタは、その上に電子放射材料が堆積された基板の形態となり、FEDにおいて用いられる陰極構体として好適であるか、または、この陰極構体のさらなる調製に好適であろう。電子電界エミッタを調製する従来の手段は、例えば、厚膜ペーストをスクリーン印刷することにより電子放射材料を基板に堆積させる工程を含むであろう。電子電界エミッタが調製された後、これは、次いで、本明細書の他の箇所に記載されているとおり、電解セルにおける陽極プレートとして設置される。水系電解質がセルに供されており、これは、セル陰極と予め調製された電子電界エミッタであるセル陽極プレートとの間でセルに配置されている。電解質の中には、ホウ酸および/またはホウ酸化合物が上述のとおり含有されている。次いで、電圧がセルに印加されると共に、次いで、セル陽極プレート(予め調製された電子電界エミッタ)がセルから取り出される。
【0053】
この実施形態においてセル陽極プレートとして用いられる電子電界エミッタの調製においては、例えば、電子放射材料を含有する厚膜ペーストの基板に堆積物があり得る。厚膜ペースト中に含有される電子放射材料は、上述のCNTなどのいずれかの針状の放射材料、炭素繊維などの他の形状の炭素、半導体、金属またはこれらの混合物であり得る。針状の放射材料として有用である炭素繊維は、微小な金属粒子上での炭素含有ガスの触媒分解により成長され得、これはまた針状の炭素としても有用であり、針状の炭素の他の例は、ポリアクリロニトリルベースの(PANベースの)炭素繊維およびピッチベースの炭素繊維である。本明細書において用いられるところ、「針状の」とは、10以上のアスペクト比を有する粒子を意味する。典型的には、ガラスフリット、金属粉末あるいは金属塗料またはこれらの混合物が、陰極構体として用いられる電子電界エミッタまたは陰極構体の調製において用いられる電子電界エミッタにおける基板に電子放射材料を取り付けるために用いられる。
【0054】
電子放射材料の基板への従来の取り付けにおいては、種々のスクリーン印刷−タイププロセスが用いられることが可能である。取り付け手段は、電解放出陰極が配置される装置の製造条件下、ならびに、例えば、典型的には真空条件および約450℃以下の温度といったその使用時の周囲条件下に耐えると共に、これらの条件下でその一体性を維持しなければならない。電子放射材料およびガラスフリット、金属粉末または金属塗料またはこれらの混合物から構成されるペーストを基板に所望のパターンでスクリーン印刷し、次いで、乾燥された、パターン化されたペーストを焼成させる方法が好ましい。例えばより高い解像度が要求されるものといったより広く多様な用途のために、好ましいプロセスは、光開始剤および光硬化性モノマーをさらに含むペーストをスクリーン印刷する工程、乾燥させたペーストをフォトパターニングする工程およびパターン化したペーストを焼成する工程を含む。
【0055】
基板は、ペースト組成物が接着するであろう材料のいずれかであることが可能である。ペーストが非導電性であると共に非導電性基板が用いられる場合、陰極として機能すると共に、電圧を電子放射材料に印加する手段を提供する電気導体の膜が必要とされることとなる。ケイ素、ガラス、金属またはアルミナなどの耐火材料をこの基板とすることが可能である。ディスプレイ用途については、好ましい基板はガラスであり、ソーダ石灰ガラスが特に好ましい。ガラス上での最適な導電率のために、500〜550℃で、空気もしくは窒素などの不活性ガス中であるが、好ましくは空気中で、銀ペーストをガラスに予め焼成することが可能であり、または、基板は、ITO層でコートされてもよい。次いで、このようにして形成された電導層に、エミッタペーストを重ね印刷することが可能である。
【0056】
従来のスクリーン印刷に用いられるペーストは、典型的には、電子放射材料、有機媒体、溶剤、界面活性剤、および、低融点ガラスフリット、金属粉末あるいは金属塗料のいずれかまたはこれらの混合物を含有する。媒体および溶剤の役割は、スクリーン印刷などの典型的なパターン化プロセスのために適切なレオロジーを有するペースト中に、粒状の構成成分、すなわち固形分を懸濁させると共に分散させることである。このような目的のための使用については多くの有機媒体が知られており、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂および種々の分子量のアルキド樹脂が挙げられる。ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジブチルカルビトール、ジブチルフタレートおよびテルピネオールが有用な溶剤の例である。これらのおよび他の溶剤は、所望の粘度および揮発度要件を達成するために配合される。
【0057】
焼成温度で十分に軟化して基板および電子放射材料に粘着するガラスフリットもまた用いられる。鉛ガラスフリットまたはビスマスガラスフリットを、ホウケイ酸カルシウムまたはホウケイ酸亜鉛などの低溶融点を有する他のガラスと同様に用いることが可能である。高い導電性を有するスクリーン印刷可能な組成物が所望される場合、このペーストはまた、例えば、銀または金といった金属を含有し得る。このペーストは、典型的には、ペーストの総重量を基準にして約40重量%〜約80重量%の固形分を含有する。これらの固形分は、電子放射材料、ならびに、ガラスフリットおよび/または金属成分を含む。組成における変動を用いて、粘度および印刷される材料の最終的な厚さを調節することが可能である。
【0058】
スクリーン印刷したペーストがフォトパターン化されるべきである場合、ペーストはまた、光開始剤、現像可能なバインダーおよび例えば、少なくとも1つの重合性エチレン基を有する少なくとも1種の付加重合性エチレン性不飽和化合物から構成される光硬化性モノマーを含有し得る。典型的には、CNT、銀およびガラスフリットなどの電子放射材料から調製されたペーストは、ペーストの総重量を基準として、約0.01〜6.0重量%ナノチューブ、約40〜75重量%銀微粒子の形態の銀および約3〜15重量%ガラスフリットを含有するであろう。
【0059】
エミッタペーストは、典型的には、電子放射材料、有機媒体、界面活性剤、溶剤および低融点ガラスフリット、金属粉末あるいは金属塗料のいずれかまたはこれらの混合物の混合物を3−ロールミルにかけることにより調製される。ペースト混合物は、例えば、165〜400−メッシュステンレス鋼スクリーンを用いてスクリーン印刷されることが可能である。ペーストは、連続的な膜としてまたは所望のパターンの形態で堆積されることが可能である。
【0060】
印刷の後、従来のとおり調製された電子電界エミッタは、すべての残存フォトレジスト材料を除去する工程、プレートを乾燥させる工程、次いで、これを陽極プレートとして電気化学セルに設置する工程によりさらに処理される。このセルは、上述のセルと同様に構成され、その中の陰極は、ステンレス鋼であるか、または、いずれかの非酸化性コンダクタであり得る。陰極と陽極との間に配置されている電解質はホウ酸および/またはホウ酸化合物を含有している。本明細書に記載の方法のこの実施形態は、一般に、約10ボルト未満、または約2〜約6ボルトの範囲内、または約3ボルト〜約5ボルトの範囲内の電位でのセルの操作により実施される。このセルは、約1〜約10分間の範囲内、または、約2〜約6分間の範囲内、または、約3〜約5分間の範囲内の時間で操作され得る。
【0061】
セルの操作の完了の後、プレートは、セルから取り出され、すすがれ、乾燥され、および、電界放出デバイスの中に、陰極構体の一部として用いられて上述のものなどのデバイスにおいて電子放出をもたらすためにこのような条件で設置され得る。しかしながら、代替的には、電界放出デバイス中への設置の前に、このプレートは、先ず、ベークおよび/または焼成されて堆積されたポリマーが溶融されると共に、これらがそのまま接着剤として利用されて、CNTがプレートの表面により強固に固着され、優れた耐摩耗性を有するCNT含有膜がもたらされてもよい。焼成工程は、約250℃〜約650℃、または約350℃〜約550℃、または約450℃〜約525℃の範囲内の温度で、約5〜約30分間、または約10〜約25分間、または約10〜約20分間の範囲内の時間、窒素または空気中で実施され得る。雰囲気中に酸素が含まれていなければ、より高い焼成温度を、それに耐えることが可能である基板で用いることが可能である。しかしながら、ペースト中の有機構成成分は350〜450℃で効果的に揮発して、電子放射材料およびガラスおよび/または金属コンダクタの複合体の層を残す。
【0062】
本明細書に記載の方法のこの実施形態において、(上記のとおり)ホウ酸および/またはホウ酸化合物が電解液中に存在する場合、セル陽極プレートに堆積される材料は、それ故、CNT錯体に追加して、いくらかのホウ酸および/またはホウ酸化合物を含んでいてもよい。このような場合には、本発明のさらなる実施形態は、基板と、基板に配置または堆積された、ホウ酸および/またはホウ酸化合物と、カーボンナノチューブおよび1種または複数種のアニオン性ポリマーから形成された錯体とから構成された膜を含む。
【0063】
この実施形態において、ホウ酸および/またはホウ酸化合物は、電解液中において、約0.1重量%以上、または約0.5重量%以上、かつ、さらには約10重量%以下、または約5重量%以下の範囲内の濃度で用いられ得る。
【0064】
本明細書におけるプロセスにおいて用いられる材料は、当該技術分野において公知であるプロセスによって形成され得るか、または、Alfa Aesar(Ward Hill,Massachusetts)、City Chemical(West Haven,Connecticut)、Fisher Scientific(Fairlawn,New Jersey)、Sigma−Aldrich(St.Louis,Missouri)またはStanford Materials(Aliso Viejo,California)などの供給者から市販されている。
【0065】
本発明の有利な特性および効果が、以下に記載のとおり、一連の実施例において見られ得る(実施例1〜5)。これらの実施例が基づく実施形態は単に代表的であり、本発明を例示するためのこれらの実施形態の選択は、これらの実施例において記載されていない材料、条件、仕様、成分、反応体、技術およびプロトコルが本発明の実施に好適ではないことを示すものではなく、またはこれらの実施例において説明されていない主題が、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲から除外されていることを示すものではない。
【実施例】
【0066】
150mgのレーザ−切断したCNT(CNI(Houston,Texas)製)を、15mLの1×TBE[トリスホウ酸(エチレンジアミン四酢酸)]緩衝剤(Sigma Aldrich製)中に30mgイースト菌RNA(Sigma Aldrich製)と混合した。この混合物を、プローブ超音波処理器で20Wの出力レベルで30分超音波処理した。得られた分散体(「CNT分散体」)を、以下の表(表1)に従って他の2種の成分と混合して、100mLの堆積溶液を形成した。堆積溶液中に用いられているRu2+(bipy)3は、トリス(2,2’−ビピリジル)ジクロロ−ルテニウム(II)であり、Sigma Aldrichから入手される。EMMAは、DuPontからSurlyn(商標)アイオノマーとして入手されるエチレン/メタクリル酸アイオノマーである。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例1
インジウム錫酸化物(ITO)でコートしたフォトレジスト(PR)パターン化ガラス基板(2インチ×2インチ)(セル陽極として用いた)を調製した。PR層は、20μm直径を有する開口した環状のウェルアレイを画定する。開口した環状のウェルは、CNT堆積のためのITO表面を露出させる。電析の前に、PRコートITOプレートを0.01%Triton X−100の溶液中に30秒浸漬し、取り出し、および、N2ガスを吹き付けることにより乾燥させた。この工程は、疎水性PR層をより良好な濡れ性のために薄い親水性層でコートするためである。
【0069】
この処理の後、2インチ×2インチステンレス鋼プレート(セル陰極として用いた)およびPR−コートITOプレート(セル陽極として用いた)を、15mLの堆積溶液を含有する矩形のセルに平行に挿入した。図2は、ステンレス鋼陰極およびPR−コート陽極が平行に挿入されている堆積溶液を含有する矩形のセルを示す。この電気化学セルは1番とされ、陰極のためのスロットが2番とされ、および、陽極のためのスロットが3番とされる。
【0070】
2.5VのDC電位(Princeton Applied Research, Model 263A、Oak Ridge,Tennesseeから得た)を2つの電極間に印加した。2分間の後、堆積を止め、およびITOプレートをセルから取り出し、DI水ですすぎ、および、空気中で乾燥させた。PR層を、アセトンまたはNMP:H2O溶液などの有機溶剤により揮散させた。次いで、セル陽極をDI H2Oですすぐと共に、N2ガス流下で乾燥させた。
【0071】
対照サンプルを、同一のレーザ切断した、上述の分散体を形成したカーボンナノチューブ粉末を用いて形成した。ナノチューブ粉末をペーストに組み込むと共に、2インチ×2インチPRパターン化ITO基板にスクリーン印刷した。UV露光下で画像化した後、印刷した基板を、65秒かけてNMP:H2O溶液中ですすいだ。
【0072】
対照および電気化学的に堆積させた基板の両方を、空気中で、10−ゾーンベルト炉(Lindberg、810厚膜コンベヤ、Watertown WI)中で、400℃ピークで21分間焼成した。次いで、基板を、接着剤をパターン化した表面と接触させることにより活性化した。次いで、活性化した基板を、ダイオードデバイスに、陽極としての2インチ×2インチITOコート蛍光ガラス基板の間に、620μmスペーサと共に陰極として組み込んだ。このように形成したダイオードを、1×10-5Torr未満の基底圧に排気した真空チャンバ中に入れた。
【0073】
60Hzで60usのパルス幅を有する負電圧パルスを、IRCO高電圧電源(ModelF5k−10−02N、IRCO,Columbia Maryland)を用いて各ダイオードに印加した。パルスは、パルス生成器(Stanford Research Systems,Inc.、モデルDG535、Sunnyvale CA)から供給した。得られた放出電流を、Keithley2000マルチメータ(Keithley Instruments,Cleveland,Ohio)を用いて印加電圧に応じて計測した。20μA以上を達成するために必要な電界を記録した。対照サンプルについては、この電界は、一般に4.5V/μm以上であると見出された。電気化学的に堆積させたサンプルについては、この電界は、一般におよそ2.5V/μmであった。図3は、電気化学的堆積(ECD)技術で形成されたサンプルからの平均放出電界(四角)およびスクリーン印刷(非ECD)技術で形成されたサンプルからの平均放出電界(丸)を示す。より低い動作電界が好ましい。
【0074】
実施例2
レーザアブレーションプロセスで形成したカーボンナノチューブ粉末を厚膜ペーストに組み込むと共に、インジウム錫酸化物(ITO)でコートした2インチ×2インチフォトレジスト(PR)パターン化ガラス基板にスクリーン印刷した。PR層は、20μm直径を有する開口した環状のウェルアレイを画定する。開口したウェルがITO表面を露出させ、その上にCNT含有ペーストをスクリーン印刷することが可能である。印刷した表面をUV露光下で画像化した後、基板をNMP:H2O溶液中で65秒すすいでパターン化構造を露出させた。
【0075】
2インチ×2インチステンレス鋼プレート(セル陰極として用いた)およびITOへの2インチ×2インチスクリーン印刷基板(セル陽極として用いた)を、15mLの電解液(1×TBEまたは0.1Mホウ酸、シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich))を含有する矩形のセル(図2に示されているとおり)に平行に挿入した。3VのDC電位(Princeton Applied Research,Model 263A)を2つの電極間に印加した。4分間の後、処理を停止すると共に、ITOプレートをセルから取り出し、空気中で乾燥させた。
【0076】
次いで、基板(セル陽極)を、空気中で、400℃ピークで21分間、10−ゾーンベルト炉(Lindberg、810厚膜コンベヤ、Watertown WI)中で焼成した。次いで、基板を、接着剤をカーボンナノチューブペーストを含有するパターン化した表面と接触させることにより活性化した。次いで、基板を、620μmスペーサによってITOコート蛍光ガラス陽極から離間させて、ダイオードデバイスに陰極として組み込んだ。このように形成したダイオードを、1×10-5Torr未満の基底圧に排気した真空チャンバ中に入れた。
【0077】
60Hzで60usのパルス幅を有する負電圧パルスを、IRCO高電圧電源(ModelF5k−10−02N、IRCO,Columbia,Maryland)を用いて各ダイオードに印加した。パルスは、パルス生成器(Stanford Research Systems,Inc.、モデルDG535、Sunnyvale CA)から供給した。得られた放出電流を、Keithley2000マルチメータ(Keithley Instruments,Cleveland,Ohio)を用いて印加電圧に応じて計測した。20μA以上を達成するために必要な電界を記録した。
【0078】
電気化学処理に供さなかった対照サンプルについて、この電界は、一般に5V/μm超では見出されなかった。電気化学的に処理したサンプルについて、必要とされた電界は、一般におよそ2.5V/μm〜3.0V/μmであった。図4は、電気化学セル中で処理したスクリーン印刷サンプルからの放出曲線(中実線)または電気化学セルで処理しなかったスクリーン印刷サンプルからの放出曲線(点線)を示す。いずれかの所与の電流に対してより低い操作電界が好ましい。
【0079】
本発明の一定のデバイスの特徴が、種々のこのような特徴を一緒に組み合わせる1つ以上の特定の実施形態の文脈に、本明細書において記載されている。しかしながら、本発明の範囲は、いずれかの特定の実施形態中の一定の特徴のみの記載によっては限定されず、本発明はまた、(1)記載の実施形態のいずれかの特徴のすべてより小数のサブコンビネーションであって、サブコンビネーションの形成のために省略された特徴の欠如を特徴とし得るサブコンビネーション;(2)いずれかの記載の実施形態の組み合わせ中に個別に包含される特徴の各々;ならびに(3)2つ以上の記載の実施形態の選択された特徴のみをグループ化することにより形成される特徴と、任意により、本明細書において他の箇所に開示されている他の特徴との他の組み合わせを含む。
【0080】
本明細書においては、本明細書の主題の実施形態が、一定の特徴または要素を包含し、含有し、有し、これらを含んでなり、またはこれらから構成されるとして記述または説明されている用法の文脈によって、明確にそうでないと記載されていない、または反対に示されていない限りにおいて、明らかに記述または説明されているものに追加する特徴または要素の1つ以上が実施形態において存在していてもよい。本明細書の主題の代替的実施形態は、しかしながら、基本的に、一定の特徴または要素から構成されるとして記述または説明され得、この実施形態においては、作動の原理、または実施形態の特色的な特徴を実質的に変更するであろう特徴または要素はそこには存在しない。本明細書の主題のさらなる代替的実施形態は、一定の特徴または要素から構成されるとして記述または説明され得、この実施形態またはそのわずかな変形においては、特定的に記述または説明された特徴または要素のみが存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)陰極、陽極プレート、前記陰極を電源に接続する第1の電導路、および、前記電源を前記陽極プレートに接続する第2の電導路を備える電気化学セルを提供する工程;
(b)前記陰極と前記陽極との間に配置された水系電解質として、カーボンナノチューブおよび第1のアニオン性ポリマーから形成された錯体の分散体を提供する工程;
(c)前記電気化学セルに電圧を印加して前記錯体を前記陽極に堆積させる工程;ならびに
(d)前記陽極プレートを前記電気化学セルから取り出すと共に前記プレートを空気中で焼成する工程
を含むカーボンナノチューブの堆積方法。
【請求項2】
前記水性電解質が、凝析剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凝析剤残渣が、前記錯体と一緒に前記陽極上に堆積される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のポリマーが核酸分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のポリマーがRNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電解質が第2のアニオン性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のイオン性ポリマーが、スチレンアイオノマーまたはイオン化エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記陽極上に堆積される前記錯体が、前記第2のアニオン性ポリマーのマトリックス中に堆積される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のポリマーが核酸分子を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記陽極プレートを前記セルから取り出すと共に、これを電界放出デバイスに設置する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)陰極、陽極プレート、前記陰極を電源に接続する第1の電導路、および、前記電源を前記陽極プレートに接続する第2の電導路を備える電気化学セルを提供する工程;
(b)前記陰極と前記陽極との間に配置された水系電解質を提供する工程であって、前記電解質は、ホウ酸および/またはホウ酸化合物、ならびに、カーボンナノチューブおよび第1のアニオン性ポリマーから形成された錯体の分散体を含む工程;ならびに
(c)前記電気化学セルに電圧を印加して前記錯体を前記陽極に堆積させる工程
を含むカーボンナノチューブの堆積方法。
【請求項12】
ホウ酸および/またはホウ酸化合物が、前記錯体と一緒に前記陽極に堆積される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水系電解質が凝析剤をさらに含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
凝析剤残渣が、前記錯体と一緒に前記陽極に堆積される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のポリマーが核酸分子を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のポリマーがRNAを含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記電解質が、第2のアニオン性ポリマーをさらに含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のイオン性ポリマーが、スチレンアイオノマーまたはイオン化エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーを含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のポリマーが核酸分子を含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記陽極プレートを前記セルから取り出すと共に、これを電界放出デバイスに設置する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
基板と、前記基板に配置された、(a)ホウ酸および/またはホウ酸化合物と、(b)カーボンナノチューブおよび第1のアニオン性ポリマーから形成された錯体とを備える膜。
【請求項22】
前記基板に凝析剤残渣がさらに配置されている、請求項21に記載の膜。
【請求項23】
前記第1のポリマーが核酸分子を含んでいる、請求項21に記載の膜。
【請求項24】
前記第1のポリマーがRNAを含んでいる、請求項21に記載の膜。
【請求項25】
前記基板に第2のアニオン性ポリマーがさらに配置されている、請求項21に記載の膜。
【請求項26】
前記第2のイオン性ポリマーが、スチレンアイオノマーまたはイオン化エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーを含んでいる、請求項25に記載の膜。
【請求項27】
前記基板に配置されている前記錯体が、前記第2のアニオン性ポリマーのマトリックス中に配置されている、請求項25に記載の膜。
【請求項28】
前記第1のポリマーが核酸分子を含んでいる、請求項25に記載の膜。
【請求項29】
請求項21に記載の膜を備える電界放出デバイス用の陰極構体。
【請求項30】
請求項29に記載の陰極構体を備える電界放出デバイス。
【請求項31】
(a)電子放射材料を基板に堆積させて電子電界エミッタを調製する工程;
(b)前記電子電界エミッタを前記陽極プレートとして電気化学セルに設置する工程であって、前記電気化学セルが、陰極、前記陰極を電源に接続する第1の電導路、および、前記電源を前記陽極プレートに接続する第2の電導路をさらに備えている工程;
(c)前記陰極とホウ酸および/またはホウ酸化合物を含む前記陽極プレートとの間に配置された電解質を提供する工程;ならびに
(d)前記電気化学セルに電圧を印加する工程
を含む、電子放射材料の基板への堆積方法。
【請求項32】
ホウ酸および/またはホウ酸化合物が、前記電解質中に、約0.1重量%以上、かつ、さらには約10重量%以下の範囲内の濃度で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記電子放射材料が前記基板にスクリーン印刷されている、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記陽極プレートを前記電気化学セルから取り出すと共に、前記プレートを空気中で焼成する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記焼成プレートを電界放出デバイスの前記陰極構体に設置する工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−518095(P2011−518095A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548890(P2010−548890)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/035408
【国際公開番号】WO2009/111290
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】