説明

ガスコンロ

【課題】 全一次空気式バーナを用いて熱効率を向上させると共に、火力調整範囲を広くして使い勝手を良くする。
【解決手段】 火力設定に応じて、1列燃焼、2列燃焼、3列燃焼に切り替えるとともに、1列燃焼の時に燃焼させる下段炎口部13cの混合気の一次空気比λを、上段炎口部13a、中段炎口部13bの混合気の一次空気比λよりも小さくして、1列燃焼時でのターンダウン比を大きくとることにより、ガスコンロ全体としての火力調整範囲を広げた。
また、1列燃焼時に燃焼するバーナを最下段に配置することで、保炎性を向上させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルコンロ、ビルトインコンロ等の調理用ガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、省エネの関心が高まり、調理用コンロにおいても熱効率を向上させることが望まれている。調理用コンロの熱効率を向上させる方法の1つとして、コンロバーナと調理容器との距離を縮めることにより、火炎と鍋底との接触面積を大きくして伝熱面積を大きくする方法が知られている(特許文献1)。ところが、コンロバーナと鍋底との距離を縮めていくと、燃焼空間が狭くなって燃焼用空気が取り込みにくくなり、不完全燃焼を起こしてしまう。
そこで、本願発明者らは、送風ファンにより燃焼用空気を強制的に供給することにより狭い燃焼空間で完全燃焼させることを考えた。この場合、燃焼用一次空気を強制的に供給して全一次燃焼する全一次空気式バーナを用いると、火炎が短くなりバーナと鍋底とをかなり近づけることができ高い熱効率が得られる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−161449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、全一次空気式バーナを用いた場合には、ターンダウン比(TDR:最大燃焼能力に対して最小燃焼能力が何分の一まで絞れるかを表わす比で、分母の値が大きいほどTDRは大という)を大きくとることができない。一般に、全一次空気式バーナでは、弱火の発熱量を強火の発熱量に対して60%程度までしか絞ることができない。このため、種々の調理に適した火力が得られず、使い勝手が悪い。
そこで、全一次空気式バーナを複数に分割して、燃焼させるバーナ数を切り替えるようにすれば、火力調整範囲をある程度大きくできるものの、弱火から強火までの広範囲で任意の火力が得られるようにしようとすると、バーナの分割数がかなり増えてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、全一次空気式バーナを用いても火力調整範囲が広く使い勝手の良い高効率ガスコンロの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
強制的に燃焼用一次空気が供給されるとともに、ガスの供給路が独立して設けられる複数の燃焼エリアを備えた全一次空気式バーナと、
上記複数の燃焼エリアを同時に燃焼させる同時燃焼モードと、上記複数の燃焼エリアのうちの特定の燃焼エリアのみを燃焼させる単独燃焼モードとに切り替え可能で、かつ、上記各燃焼モードにおけるガス供給量を調整するガス量制御手段とを備えたガスコンロであって、
上記単独燃焼モード時に上記特定の燃焼エリアに供給される混合ガスの一次空気比(供給される一次空気量の理論空気量に対する比)を、同時燃焼モード時に燃焼する他の燃焼エリアに供給される混合ガスの空気比よりも小さくしたことを要旨とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
上記特定の燃焼エリアには理論空気量より少ない一次空気を供給する一方、上記他の燃焼エリアには理論空気量より多い一次空気を供給し、上記特定の燃焼エリアにおいては上記他の燃焼エリアから噴出する空気を二次空気として取入れてブンゼン燃焼させることを要旨とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、
上記複数の燃焼エリアをバーナ本体の外周面に上下方向に区分して配置し、上記単独燃焼モード時に燃焼する特定の燃焼エリアを最下段に配置したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、炒め料理のような強火力が必要な時には複数の燃焼エリアを同時に燃焼させ、煮込み料理のような弱火力が必要なときは特定の燃焼エリアのみを燃焼させる。全一次空気式バーナではターンダウン比が小さく火力を絞ることが難しいが、燃焼エリアの切り替えと合わせて、弱火力時に燃焼する特定の燃焼エリアの一次空気比を他の燃焼エリアより小さく設定しているため、特定の燃焼エリアの火力を大きく絞ることができる。つまり、一次空気比が高いほどターンダウン比が小さくなるが、弱火力時に燃焼する燃焼エリアの一次空気比を小さくしておくことで、その燃焼エリアでのターンダウン比を大きくして最小火力を低くすることができる。
従って、バーナ全体としては、燃焼エリアの区分数を多くすることなく広い火力調整範囲を得ることができる。
この結果、バーナと調理容器底面との間を縮めて狭い燃焼空間での燃焼が可能となり高い熱効率が得られるとともに、広い火力調整範囲により使い勝手も向上する。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、特定の燃焼エリアの一次空気比を1.0未満にして、燃焼用空気の不足分を他の燃焼エリアから噴出する空気を二次空気として取り入れてターンダウン比の大きなブンゼン燃焼するため、単独燃焼モードとなる弱火調理時にはガス供給量を大きく絞り込むことができ、広い火力調整範囲の設定が容易である。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、複数の燃焼エリアをバーナ本体の外周面に上下方向に区分して配置し、弱火調理時に燃焼する燃焼エリアを最下段に配置したため、最下段の火炎の保炎性がよい。つまり、弱火調理時に燃焼する燃焼エリアを最上段に配置すると、下段の燃焼エリアから噴出する空気によりあおられて吹き消えやすくガス供給量を余り絞りこむことができないが、最下段に配置することで保炎性が良くなり絞り性能が向上する。
また、最下段に配置することで弱火調理時の火炎が調理容器底面から離れるため、調理容器への加熱効率が落ちて実質的なとろ火が得られ、火力調整範囲が弱火側に広くなり、使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ガスコンロの一例であるテーブルコンロ1の概略構成図である。
トッププレート2に形成された開口3には、中央にコンロバーナ10が配置され、その回りにリング状の汁受皿4および五徳5が配置される。五徳5および汁受皿4は、断熱材で形成された載置台6の上に載置される。
この載置台6は、内側下段と外側上段とにリング状の載置面6a,6bを備え、内側下段載置面6aに汁受皿4が、外側上段載置面6bに五徳5が載置される。載置台6は、コンロバーナ10の周囲を略密閉して取り囲んで調理容器底面との間の燃焼空間に外気が流入しないようにする機能も有する。
五徳5は、載置台6に載置される五徳リング5aと、五徳リング5a上面に立設され調理容器底面を支える五徳爪5bとからなる。
【0013】
コンロバーナ10は、燃焼に必要な空気の殆どを一次空気として吸入する全一次空気式バーナで、混合気室を形成した筒状のバーナ本体11と、バーナ本体11に上から装着され外周面に複数の炎口13を形成したバーナヘッド12とを備える。
このバーナヘッド12は、その燃焼エリアが、上段炎口部13a、中段炎口部13b、下段炎口部13cとに上下3段に区画される。
バーナ本体11は、同軸三重管構造により混合気室が3つに区画され、その先端部を外側に向けて開口することで外周側通路となる第1混合気室21がバーナヘッド12の下段炎口部13cに、その内側の中間通路となる第2混合気室22がバーナヘッド12の中段炎口部13bに、中心通路となる第3混合気室23がバーナヘッド12の上段炎口部13aに連通する。
【0014】
バーナ本体11の下端には、三重管構造の混合気供給管30が接続される。そして、この混合気供給管30の上流側端には、送風ファン40により燃焼用一次空気が送られる給気管50が接続される。
混合気供給管30は、同軸三重管構造で、外側から順に、第1混合管路31、第2混合管路32、第3混合管路33を備え、第1混合管路31には第1電磁弁61により燃料ガス供給が制御される第1ガスノズル71、第2混合管路32には第2電磁弁62により燃料ガス供給が制御される第2ガスノズル72、第3混合管路33には第3電磁弁63により燃料ガスが制御される第3ガスノズル73がそれぞれ設けられる。
各ガスノズル71,72,73へのガス供給量は、燃焼用空気の流量に対応した送風ファン40の風圧により自動調整されるように均圧弁80がガス供給路に設けられる。
【0015】
この均圧弁80は、内部をガス圧室81と空気圧室82とに仕切るダイヤフラム83と、そのダイヤフラム83に連結され、ガス圧室81内のガス流路の開度を調整する弁体84とからなり、空気圧室82は、導圧管51により給気管50に接続される。ガス圧室82は、弁体84の上流側にガス供給元管90が、弁体84の下流側にガス供給主管91が接続される。
ガス供給主管91は、下流側で3流路に分岐し、各分岐管に電磁弁61,62,63が夫々設けられる。ガス供給元管90には、上流側から順に、ガス流路を開閉する元電磁弁91および燃料ガスの供給圧を一定に制御するガスガバナ92が設けられる。
均圧弁80においては、弁体84が受けるガス入口からの一次圧と、ダイヤフラム83が受けるガス出口からの二次圧とを加えた図1でいう左向きの力と、弁体84が受けるガス出口からの二次圧と、ダイヤフラム83が受ける空気圧とを加えた右向きとの力によりダイヤフラム83が動作し、両者のバランスによってガス流路の開度が決定する。ここで、ガス一次圧はガスガバナ92によって定圧となるため、ガス流路は空気室82への空気圧が変化すると、それに応じて開度が変化する。すなわち、空気圧が高くなると、ダイヤフラム83が弁体84の開弁方向へ動作してガス流路の開度を大きくし、空気圧が低くなると、ダイヤフラム83が弁体84の閉弁方向へ動作してガス流路の開度を小さくする。
従って、送風ファン40の回転数を制御することで燃料ガス供給量が自動調整され、コンロバーナへ常に一定の一次空気比λ(供給される一次空気量の理論空気量に対する比)の混合気が供給されることとなる。本実施例では、各ガスノズル71,72,73の開口を調整することで、各混合管路31、32、33の一次空気比が、(第1混合管路31:λ=1.1)、(第2混合管路32:λ=1.3)、(第3混合管路33:λ=1.3)に設定される。
【0016】
元電磁弁93、電磁弁61,62,63、送風ファン40は、コントローラ100により駆動制御される。コントローラ100は、使用者が点火・消火操作や火力調整を行う操作リモコン110および図示しない点火器をも接続する。
この操作リモコン110は、点消火ボタン111、火力調整ボタン112、および火力表示器113を備える。点消火ボタン111は、押操作するたびに点火/消火状態を切り替えるためのボタンである。火力調整ボタン112は、アップボタン112aとダウンボタン112bとからなるアップダウン式で、10段階での火力が選択可能となっており、この設定された火力は火力表示器113に数値表示される。
【0017】
次に、火力調整について説明する。
図2は、火力調整ボタン112により設定される火力設定値に対する送風ファン40の回転数(rpm)、燃焼モード、ガス供給量(Kcal/h)の関係を表わす。
火力設定値は、その値が大きいほど火力が強く、火力設定値7〜10の間は、第1〜第3電磁弁61,62,63が開弁し、コンロバーナ10の3段に区画された炎口部13の全てから混合気が噴出し燃焼する(以下、3列燃焼と呼ぶ)。
同様に、火力設定値4〜6の間は、第1電磁弁61、第2電磁弁62がともに開弁、第3電磁弁63が閉弁し、コンロバーナ10の中段炎口部13b、下段炎口部13cから混合気を噴出し、上段炎口部13aからは空気が噴出する。従って中段炎口部13b、下段炎口部13cのみにより燃焼する(以下、2列燃焼と呼ぶ)。
火力設定値1〜3の間は、第1電磁弁61が開弁、第2電磁弁62と第3電磁弁63がともに閉弁し、コンロバーナ10の下段炎口部13cからのみ混合気を噴出し、上段炎口部13a、中段炎口部13bからは空気が噴出する(以下、1列燃焼と呼ぶ)。
【0018】
ここで、バーナ10の燃焼エリアを切り替える理由および一次空気比の設定について説明する。
ガスコンロにおいて熱効率を向上させるためには、コンロバーナ10と調理容器底面とを接近させて狭い燃焼空間において燃焼させるとよいが、自然燃焼では燃焼用空気が不足するため、送風ファン40により強制的に燃焼用空気を供給する必要が有る。この場合、一次空気と二次空気との両方を供給するブンゼン燃焼では、バーナ火炎が二次空気を取り込むため長くなってしまい、広い燃焼空間が必要となり熱効率の向上には不向きとなる。そこで、本実施例では、バーナ本体11の周囲を載置台6で囲んで下方から外気が入らないようにし、燃焼用空気を燃料ガスに予混合して一次空気のみで燃焼する全一次燃焼方式をとっている。
全一次燃焼方式では、火炎が短くなり狭い空間で良好に燃焼できるが、燃焼範囲が狭くターンダウン比(TDR)を大きくすることができない。特に、酸欠等の燃焼余裕をもたせるために一次空気比λを大きくしてλ=1.3に設定するとTDR=60%程度までしか得られない。
また、全一次燃焼の場合、λ=1.3より大きくすると混合気の噴出速度が速くなって火炎がリフトしやすく、λ=1.1より小さくすると燃焼速度が最大となり火炎がバックしたりバーナが赤熱したりするため、λ=1.1〜1.3の範囲で燃焼可能となる。
また、同じ全一次燃焼であっても、一次空気比λが小さいほどターンダウン比を大きくすることができる。例えば、λ=1.1の場合には、ターンダウン比を40%程度までとることができる。
【0019】
そこで、本実施例では、火力調整範囲を広くするためにコンロバーナ10の燃焼エリアを区分して、同時に燃焼する燃焼エリア数を切り替えるとともに、弱火設定時のガス供給量を更に小さくするために、1列燃焼時には一次空気比を下げてターンダウン比を大きくする。
つまり、上段炎口部13aおよび中段炎口部13bから噴出する混合気の一次空気比λを1.3に設定し、1列燃焼時に燃焼する下段炎口部13cから噴出する混合気の一次空気比λを1.1に設定する。
この場合、図2に示すように、1列燃焼時においては、ファン回転数を3400rpmから2300rpmまで下げることでガス供給量を700Kcal/hから300Kcal/hにまで絞ることができる。
この1列燃焼時においては、下段炎口部13cにλ=1.1の混合気が供給され酸欠に対する燃焼余裕度が少ないが、仮に酸素不足が生じても上段炎口部13a、中段炎口部13bから噴出する空気を二次空気として取り込むことができるため良好に燃焼することができる。
従って、ガスコンロ全体の火力調整範囲は、300Kcal/h〜2800Kcal/hの広い範囲で調整できる。
仮に、全ての燃焼エリアをλ=1.3で燃焼させた場合には、1列燃焼時の最小火力が420Kcal/h(700*0.6)となり、火力調整範囲が狭くなり、とろ火が得られない。
【0020】
次に、コントローラ100の実行する火力調整制御について図3のフローチャートの基づいて説明する。
点消火ボタン111が押されて点火指令を受けると本ルーチンが起動し、まず元電磁弁91を開弁する(S1)。続いて、操作リモコン110により設定された火力設定値を読み込む(S2)。次に、読み込まれた火力設定値に応じた回転数になるように送風ファン40の回転数を制御する(S3)。例えば、図2に示す表から、火力設定値が8であれば、ファン回転数を3100rpmになるようファンモータを通電制御する。
続いて、火力設定値に応じて第1電磁弁61、第2電磁弁62、第3電磁弁63の開閉を制御し燃焼エリア(燃焼列)を切り替える(S4〜S7)。
火力設定値が1〜3の範囲であれば、第1電磁弁61のみを開弁してバーナ10の下段炎口部13cのみにて燃焼させ(1列燃焼)、火力設定値が4〜6の範囲であれば、第1電磁弁61と第2電磁弁62とを開弁してバーナ10の下段炎口部13cと中段炎口部13bとで燃焼させる(2列燃焼)。また、火力設定値が7〜10の範囲であれば、第1電磁弁61、第2電磁弁62、第3電磁弁63を開弁して下段炎口部13c、中段炎口部13b、上段炎口部13aで燃焼させる(3列燃焼)。
こうした、火力設定値に基づくファン回転数制御および燃焼エリアの切り替え制御は消火操作が行われるまで繰り返し実行され、消火操作を検出すると、全ての電磁弁93,61,62,63を閉弁して本ルーチンを終了する。
尚、点火時には図示しない点火器により所定時間のあいだ連続放電点火を行う。
【0021】
以上説明した本実施例のガスコンロによれば、調理容器とコンロバーナ10との距離を縮めて上下が密閉された狭い空間内での全一次燃焼により熱効率を向上させることができ、しかも、燃焼列の切り替えと、一列燃焼時に燃焼する下段炎口部13cから噴出する混合気の一次空気比λを、他の炎口部から噴出する混合気の一次空気比λよりも小さくすることで、火力調整範囲を広くすることができる。
この結果、高い熱効率による経済性と、広い火力調整範囲による使い勝手の良さとを両立することができる。
また、均圧弁80を用いてファン風量にあわせてガス供給量を調整しているため、比例制御弁等によりガス供給量を制御しなくても、簡単に空気比λを常に一定に制御でき低コスト化を図ることができる。
また、一列燃焼するときの燃焼エリアを下段に配置したため、火炎の保炎性能が良好となる。つまり、一列燃焼するときの燃焼エリアを上段にした場合には、下段の燃焼エリアから噴出する空気により上段火炎があおられて吹き消えやすいが、そうした不具合も防止されている。
【0022】
以上本実施例のガスコンロ1について説明したが、本発明はこうした実施例になんら限定されるものではなく様々な形態で実施できるものである。
例えば、ターンダウン比をもっと大きく取りたい場合には、1列燃焼時における空気比λを1.0よりも小さく設定することができる。
例えば、下段炎口部13cの一次空気比λ=0.7にした場合、ターンダウン比を20%まで大きくすることが可能であるため、ファン風量の最小値を下げることで下段炎口部13cの火力を140Kcal/h(700*0.2)にまで絞ることができる。
この場合、燃焼用空気の不足分は、中段炎口部13b、上段炎口部13aから噴出する空気を二次空気として取入れてブンゼン燃焼することとなる。ただし、コンロバーナ全体からみれば、バーナ本体の周囲に二次空気を供給しているわけでなく、バーナ本体の周囲を密閉して外気の流入を防止した全一次空気式バーナであることにはかわりない。
また、燃焼エリアの分割数も3段に限らず、2段や4段以上であってもよい。また、一次空気比λの設定も任意に設定できるものである。
ただし、一次空気比λが0.9〜1.1の間においては、燃焼速度と混合気の噴出速度との関係から火炎がバックしやすいため、この範囲を除く値に設定することが好ましい。
勿論ガスコンロも、テーブルコンロに限らず、ビルトインコンロ等にも本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ガスコンロの概略説明図である。
【図2】火力設定値に対するファン回転数、燃焼モード、ガス供給量の関係を表わす説明図である。
【図3】火力調整制御ルーチンを表わすフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
10…コンロバーナ、13a…上段炎口部、13b…中段炎口部、13c…下段炎口部、40…送風ファン、61,62,63…電磁弁、112…火力調整ボタン、80…均圧弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強制的に燃焼用一次空気が供給されるとともに、ガスの供給路が独立して設けられる複数の燃焼エリアを備えた全一次空気式バーナと、
上記複数の燃焼エリアを同時に燃焼させる同時燃焼モードと、上記複数の燃焼エリアのうちの特定の燃焼エリアのみを燃焼させる単独燃焼モードとに切り替え可能で、かつ、上記各燃焼モードにおけるガス供給量を調整するガス量制御手段とを備えたガスコンロであって、
上記単独燃焼モード時に上記特定の燃焼エリアに供給される混合ガスの一次空気比(供給される一次空気量の理論空気量に対する比)を、同時燃焼モード時に燃焼する他の燃焼エリアに供給される混合ガスの空気比よりも小さくしたことを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
上記特定の燃焼エリアには理論空気量より少ない一次空気を供給する一方、上記他の燃焼エリアには理論空気量より多い一次空気を供給し、上記特定の燃焼エリアにおいては上記他の燃焼エリアから噴出する空気を二次空気として取入れてブンゼン燃焼させることを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
上記複数の燃焼エリアをバーナ本体の外周面に上下方向に区分して配置し、上記単独燃焼モード時に燃焼する特定の燃焼エリアを最下段に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のガスコンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−258304(P2006−258304A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72306(P2005−72306)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000112015)パロマ工業株式会社 (298)
【Fターム(参考)】