ガス処理装置
【課題】ガス流対向面の表面積を大とし、更なるガス処理能力の向上を図る。
【解決手段】各ハニカム構造体4に角穴4dを複数設ける。これにより、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4b1、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する角穴4dの下流側の面4b2では、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面4b1,4b2がガス流対向面となって、処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。
【解決手段】各ハニカム構造体4に角穴4dを複数設ける。これにより、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4b1、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する角穴4dの下流側の面4b2では、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面4b1,4b2がガス流対向面となって、処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象ガスに含まれる有害ガスを浄化するガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、排気ガス中で高電圧放電を行ってプラズマ状態を作ることで、排気ガスに含まれる有害ガスの浄化を行う技術が知られている。近年、この技術は、脱臭を目的として、工場の排気を浄化する浄化装置や室内の空気を浄化する空気清浄機に応用されつつある。
【0003】
熱的に非平衡な状態、つまり気体の温度やイオン温度に比べ、電子温度が非常に高い状態のプラズマ(非平衡プラズマ(以下、単にプラズマと言う))は、電子衝突でつくられるイオンやラジカルが常温では起こらない化学反応を促進させるので、有害ガスを効率的に除去あるいは分解することが可能な媒体として有害ガス処理において有用であると考えられている。実用化で肝心なことは、処理時のエネルギーの効率の向上と、プラズマで処理した後に完全に安全な生成物質へと変換されることである。
【0004】
一般に、大気圧でのプラズマは気体放電や電子ビームなどによって生成される。現在において、適用が考えられているものに、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、フロン、CO2 ,揮発性有機溶剤(VOC)などがある。中でもNOxは車の排ガスなどに含まれているので早急な実用化が必要となっている。
【0005】
NOx除去における放電プラズマ(気体放電によって生成されたプラズマ)内の現象は、電子衝突によって1次的に生成されたイオンやラジカルが最初の反応を起こし、その後の反応を通してN2 ,H2 O,NH4 NO3 などの各粒子に変換されて行くものと考えられている。
【0006】
また、有害ガスを例えばアセトアルデヒドやホルムアルデヒドとした場合、この有害ガスをプラズマを通すことによって、CO2 とH2 Oに変換される。この場合、副生成物として、オゾン(O3 )が発生する。
【0007】
図7に放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は処理対象ガス(有害ガスを含む空気)GSが流れるダクト(通風路)であり、ダクト1内には、処理対象ガスGSの通過方向に沿って放電電極2とアース電極3とが交互に配置され、これら電極2,3間にセルと呼ばれる多数の貫通孔4aを有するハニカム構造体4が配設されている。5は高電圧電源である。なお、ハニカム構造体4はセラミックス等の絶縁体で形成されており、特許文献2にもその使用例がある。
【0008】
放電電極2は、金属製メッシュ、極細ワイヤ、または針状体等で形成されている。各放電電極2は、導線6によって高電圧電源5の+極に接続されている。アース電極3は、金属性メッシュ等で形成されている。各アース電極3は、導線7によって高電圧電源5の−極に接続されている。
【0009】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1に流し、放電電極2とアース電極3との間に高電圧電源5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、各ハニカム構造体4の貫通孔4a内にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0010】
しかしながら、このような構成のガス処理装置では、次のような問題点を有する。
(1)多数のハニカム構造体4を有するが、ばらつきなく均一なプラズマを発生させる技術が確立されておらず、ハニカム構造体4の性能にばらつきが出てしまう。例えば、同じハニカム構造体4同士でもインピータンス値が異なることがあり、また1つのハニカム構造体4内でも例えばその上下でインピーダンス値が異なるというようなこともあり、全体として均一なプラズマが発生せず、ガス処理能力が不安定となる。また、貫通孔4aだけでのプラズマ発生なので、プラズマの発生量が少なく、ガス処理能力が低い。
【0011】
(2)ハニカム構造体4は吸湿すると低インピーダンスに、乾燥すると高インピーダンスになる特性を持っており、ハニカム構造体4が低インピーダンスになると、流れる電流が増大し放電電極2とアース電極3との間に印加される高電圧値が低下し、ハニカム構造体4が高インピーダンスになると、流れる電流が減少し放電電極2とアース電極3との間に印加される高電圧値が上昇する。このような高電圧値の変化に対し、所望のプラズマの発生量を確保し得る高電圧値を得ることのできる高電圧電源5は、その設計に要する工数も含めて非常に高価となる。
【0012】
(3)ハニカム構造体4のぞれぞれに対して放電電極2とアース電極3を設けているため、部品点数が多く、構造も複雑となり、高価となる。
(4)処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に沿ってハニカム構造体4がダクト1内に配置されているため、ハニカム構造体4のガス流と直交する方向の寸法が長く、これに対してガス流と平行な方向の寸法が短くなっている。このため、ガス流の流速が速いと、処理対象ガスGSがハニカム構造体4の内部でプラズマに晒される時間が短く、ガス処理能力が落ちる。
【0013】
(5)ハニカム構造体4でプラズマ放電が発生する際にはハニカム構造体4内の水分が消費されるので、更にプラズマ放電が活発に行われるにはダクト1内の処理対象ガスGS内の水分がハニカム構造体4内に供給される構造であることが望ましい。しかしながら、電極間に位置するハニカム構造体4の放電面では放電により直ぐに水分が消費されてしまうので、ハニカム構造体4の放電の起こらない面であるハニカム構造体4の側面から水分が供給されねばならないが、ハニカム構造体4の側面は処理対象ガスGSの流れ方向と平行であるので、この側面からは処理対象ガスGSの水分が吸入しずらく、結果としてハニカム構造体4に水分を補給し難く、ガス処理能力を高められない。
【0014】
そこで、本出願人は、上述した従来のガス処理装置の問題点を解決するものとして、図8に示すような構造のガス処理装置を提案した(特許文献3参照)。このガス処理装置では、ダクト1の入口から出口への処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔G(G1〜G3)を設けて、処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に多数の貫通孔(丸孔)4aを有する複数のハニカム構造体4(4−1〜4−4)を配置している。
【0015】
なお、8はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の一端に位置するハニカム構造体4−1の外側に配置された第1の電極、9はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の他端に位置するハニカム構造体4−4の外側に配置された第2の電極であり、第1の電極8と第2の電極9との間には高電圧電源(高電圧源)5からの高電圧が印加される。この高電圧の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1〜10−3)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0016】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSが各ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間10でプラズマに晒される時間を長くでき、ガス分解が行われる機会が多くなる。また、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4bでは、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面(以下、この面をガス流対向面と呼ぶ)4bより処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。これにより、処理能力が向上し、高速流におけるガス処理能力の低下を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−140562号公報
【特許文献2】特開2001−276561号公報
【特許文献3】特開2008−194669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、この特許文献3に示されたガス処理装置は、上述したような優れた効果を有してはいるが、ハニカム構造体4には処理対象ガスGSの水分をハニカム構造体4内に補給するガス流対向面4bが一面しかないので、これ以上ガス流対向面の表面積をかせぐことができず、更なるガス処理能力の向上が望めない。
【0019】
なお、ハニカム構造体4の貫通孔4aの内周面の下流側の面でも、処理対象ガスGSが流れ、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けるが、プラズマが発生するので、ハニカム構造体4内に水分を補給するガス流対向面とはならない。また、ハニカム構造体2の下流側の面(最下流の面)4cも、処理対象ガスGSの通過方向に面してはいるが、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けないので、ガス流対向面とはならない。
【0020】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ガス流対向面の表面積を大とし、更なるガス処理能力の向上を図ることができるガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このような目的を達成するために本発明は、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、ハニカム構造体に、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、プラズマが発生しないガス流対向面を複数設けたものである。
【0022】
また、本発明は、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち隣り合うハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、ハニカム構造体に、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、プラズマが発生しないガス流対向面を複数設けたものである。
【0023】
この発明によれば、ハニカム構造体のガス流対向面から処理対象ガス中の水分がハニカム構造体内に補給されるが、ガス流対向面を複数有するので、その分、ガス流対向面の表面積が増大し、ハニカム構造体内に補給される水分が多くなり、プラズマの発生が活性化され、ハニカム構造体のガス処理能力が更に高まる。
【0024】
本発明において、ガス流対向面の1つとして、ハニカム構造体の処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に形成された切欠穴の内周面とすることが考えられる。この場合、その切欠穴を矩形の切欠穴として考えた場合、その矩形の内周面の全周ではなく、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける面(下流側の面)がガス流対向面となる。なお、この切欠穴は、ハニカム構造体を貫通してもよいし、貫通させずに凹部としてもよい。
【0025】
また、本発明において、ハニカム構造体のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施すようにしてもよい。ガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部が角張っていると、この部分でプラズマが発生し易く、この部分でプラズマが発生するとガス流対向面から補給される水分の一部が消費されてしまう。ガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施すことで、この部分でのプラズマの発生が抑制され、ガス流対向面から補給される水分の消費が少なくなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ハニカム構造体に、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、プラズマが発生しないガス流対向面を複数設けたので、ガス流対向面の表面積を大とし、更なるガス処理能力の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。
【図2】このガス処理装置にハニカム構造体を処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向から見た図(平面図)である。
【図3】このガス処理装置のハニカム構造体に角穴ではなく溝状の段差を設けた例を示す図である。
【図4】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す図である。
【図5】このガス処理装置のハニカム構造体に角穴ではなく溝状の段差を設けた例を示す図である。
【図6】ハニカム構造体のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施した例を示す図である。
【図7】放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する図である。
【図8】特許文献3に示されたガス処理装置の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。同図において、図8と同一符号は図8を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0029】
この実施の形態では、各ハニカム構造体4に、大口径の角穴(貫通孔)4dを複数箇所(この例では、2箇所)設けている。図2に処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向からハニカム構造体4を見た図(平面図)を示す。この実施の形態において、角穴4dの口径L1は、この角穴4d内にプラズマが発生しないように、貫通孔4aの径よりも遙かに大径とされている。
【0030】
なお、各ハニカム構造体4の形状は等しくされており、角穴4dおよび貫通孔4aの数も等しくされている。すなわち、本実施の形態では、同一種類のハニカム構造体4−1〜4−4を使用している。また、第1の電極8および第2の電極9は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。
【0031】
また、この実施の形態において、ハニカム構造体4−1と4−2との間の間隔G1と、ハニカム構造体4−2と4−3との間の間隔G2と、ハニカム構造体4−3と4−4との間の間隔G3とは等しく、例えば0.5mm〜数mmとされている。これにより、ハニカム構造体4−1と4−2との間に空間(空気層)10−1が形成され、ハニカム構造体4−2と4−3との間に空間(空気層)10−2が形成され、ハニカム構造体4−3と4−4との間に空間(空気層)10−3が形成されている。
【0032】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1内に流し、第1の電極8と第2の電極9との間に高電圧電源(高電圧源)5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1〜10−3)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0033】
本実施の形態において、プラズマはハニカム構造体4の貫通孔4aだけではなく、ハニカム構造体4間の空間10にも発生する。このため、貫通孔4a内での有害ガスの分子分解効果に加え、ハニカム構造体4間の空間10での有害ガスの分子分解効果が加わり、さらにこの貫通孔4a内での分子分解効果とハニカム構造体4間の空間10での分子分解効果との相乗効果により、有害ガスの無害な物質への分解が促進され、ガス処理能力が高まる。また、ハニカム構造体4間の空間10には、対向する貫通孔4aの縁面から電界が広がって、均一なプラズマが大量に発生する。これにより、貫通孔4a内に発生するプラズマのばらつきによる影響が小さくなり、ガス処理能力が安定する。
【0034】
また、この実施の形態において、ハニカム構造体4間には空気層である空間10が設けられるので、この空間10により第1の電極8と第2の電極9との間のインピーダンスが安定し、ハニカム構造体の吸湿・乾燥によるインピーダンス変化に対して流れる電流の変化が小さくなる。これにより、第1の電極8と第2の電極9との間に加わる高電圧値の変化が小さくなり、高電圧電源5として、専用に設計された特殊な高電圧電源ではなく、市販されている安価な高電圧電源を使用することができるようになる。
【0035】
また、この実施の形態において、電極は第1の電極8と第2の電極9の2個の電極のみでよく、ハニカム構造体4毎に電極を配置する必要がない。これにより、部品点数が削減され、構造が簡単となり、組立工数も少なくて済み、コストダウンが図られる。
【0036】
また、この実施の形態では、各ハニカム構造体4が処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置されているので、処理対象ガスGSの通過方向に沿って配置される場合よりも、処理対象ガスGSが各ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間10でプラズマに晒される時間が長くなる。これにより、ガス分解が行われる機会が多くなり、ガス処理能力が向上し、高速流におけるガス処理能力の低下を防ぐことが可能となる。
【0037】
また、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4b1、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する角穴4dの下流側の面4b2では、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面4b1,4b2がガス流対向面となって、処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。
【0038】
このように、本実施の形態では、各ハニカム構造体4の最上流の面4b1だけではなく、各ハニカム構造体4の角穴4dの下流側の面4b2もガス流対向面として加わるので、その分、ガス流対向面の表面積が増大し、ハニカム構造体4内に補給される水分が多くなり、プラズマの発生が活性化され、ハニカム構造体4のガス処理能力が更に高まる。
【0039】
なお、ハニカム構造体4の貫通孔4aの内周面の下流側の面でも、処理対象ガスGSが流れ、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けるが、プラズマが発生するので、ハニカム構造体4内に水分を補給するガス流対向面とはならない。また、角穴4dの下流側の面4b2以外の内周面でも、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSが流れるが、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けないので、ハニカム構造体4内に水分を補給するガス流対向面とはならない。また、ハニカム構造体2の下流側の面(最下流の面)4cも、処理対象ガスGSの通過方向に面してはいるが、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けないので、ガス流対向面とはならない。
【0040】
図1では、ガス流対向面の表面積を増大させるために、各ハニカム構造体4に大口径の角穴(貫通孔)4dを設けるようにしたが、図3に示すように、溝状の段差4eを設けるようにしてもよい。この溝状の段差4eは、その段差4e内にプラズマが発生しないように、十分な幅W1と深さD1とを有するものとする。この場合、各ハニカム構造体4の最上流の面4b1だけではなく、各ハニカム構造体4の段差4eの下流側の面4b2もガス流対向面として加わり、ガス流対向面の表面積が増大する。この溝状の段差4eは、本発明でいう切欠穴の一種であり、この切欠穴をハニカム構造体4に貫通して設けたものが、図1に示した角穴4dである。
【0041】
〔実施の形態2〕
図4に図1に示したガス処理装置の変形例を実施の形態2として示す。この実施の形態2のガス処理装置では、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群4Aとし、この第1のハニカム構造体群4Aの両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を、第2の電極として電極11を配置している。
【0042】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群4Bとし、この第2のハニカム構造体群4Bの両端に位置するハニカム構造体4−3および4−3の外側に、第1の電極として電極11を、第2の電極として電極9を配置している。
【0043】
なお、この実施の形態において、電極11は第1のハニカム構造体群2Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群2Bの第1の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第1のハニカム構造体群2Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群2Bの第1の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。
【0044】
電極8,9および11は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。また、この実施の形態において、高電圧電源(高電圧源)5は、電圧値が異なる第1の高電圧電源5−1と第2の高電圧電源5−2とから構成され、電極8が高電圧電源5−1の+極に接続され、電極11が電圧電源5−1の−極および高電圧電源5−2の+極に接続され、電極9が高電圧電源5−2の−極に接続されている。その他の構成は図1に示した構成と同じである。
【0045】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1内に流し、電極8と11との間に高電圧電源5−1からの高電圧を、電極11と9との間に高電圧電源5−2からの高電圧を印加する。これにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1,10−2)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0046】
この実施の形態2でも、実施の形態1と同様、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4b1、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する角穴4dの下流側の面4b2では、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面4b1,4b2がガス流対向面となって、処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。
【0047】
また、この実施の形態2では、第1のハニカム構造体群2Aの第1の電極8と第2の電極11との間に第1の高電圧電源5−1からの高電圧を、第2のハニカム構造体群の第1の電極11と第2の電極9との間に第2の高電圧電源5−2からの高電圧を個別に印加しているので、空間10−1,10−2での電位を安定的に高電界状態に保ち、プラズマを安定して発生させることが可能となり、単一電源を用いる場合に比べてガス処理能力を向上させることが可能となる。また、高電圧電源5−1からの高電圧と高電圧電源5−2からの高電圧を異なる値とすることにより、第1のハニカム構造体群2Aと第2のハニカム構造体群2Bとでプラズマの発生量を変えて、分解可能な有害ガスの種類を異ならせたりすることが可能となる。
【0048】
この実施の形態2でも、実施の形態1と同様、図5に示すように、溝状の段差4eを設けるようにしてもよい。この場合、前述したように、各ハニカム構造体4の最上流の面4b1だけではなく、各ハニカム構造体4の段差4eの下流側の面4b2もガス流対向面として加わり、ガス流対向面の表面積が増大する。
【0049】
図6に、図3および図5に示した構成において、ハニカム構造体4のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施した例を示す。この例では、ハニカム構造体4のガス流対向面4b1とプラズマが発生する面4f1との境界部P1、ハニカム構造体4のガス流対向面4b2とプラズマが発生する面4f2との境界部P2に面取りを施している。なお、他の角部P3にも同様に面取りを施しているが、この角部P3への面取りは必ずしも施さなくてもよい。
【0050】
ガス流対向面4b1,4b2とプラズマが発生する面4f1,4f2との境界部P1,P2が角張っていると、この部分でプラズマが発生し易く、この部分でプラズマが発生するとガス流対向面4b1,4b2から補給される水分の一部が消費されてしまう。ガス流対向面4b1,4b2とプラズマが発生する面4f1,4f2との境界部P1,P2に面取りを施すことで、この部分でのプラズマの発生が抑制され、ガス流対向面4b1,4b2から補給される水分の消費が少なくなる。
【0051】
なお、同様にして、図1や図4に示した構成においても、ハニカム構造体4のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施してもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のガス処理装置は、燃料電池等に用いられる水素を効率的に生成する目的で、炭化水素類等から水素含有ガスを生成する、いわゆる改質にも適用することができる。例えばオクタン(ガソリンの平均分子量に比較的近い物質)C8H18の場合は、本ガス処理装置に供給すると下記(1)式で示される化学反応が促進され、その結果水素ガスを効率よく生成することができる。
C8H18+8H2O+4(O2+4N2)→8CO2+17H2+16N2・・・・(1)
【符号の説明】
【0053】
1…ダクト(通風路)、4(4−1〜4−4)…ハニカム構造体、4a…貫通孔(セル)、4b1,4b2…ガス流対向面、4d…角穴、4e…段差部、4f1,4f2…プラズマが発生する面、P1,P2…境界部、4A,4B…ハニカム構造体群、5(5−1,5−2)…高電圧電源、8,9,11…電極、10(10−1〜10−3)…空間、GS…処理対象ガス。
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象ガスに含まれる有害ガスを浄化するガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、排気ガス中で高電圧放電を行ってプラズマ状態を作ることで、排気ガスに含まれる有害ガスの浄化を行う技術が知られている。近年、この技術は、脱臭を目的として、工場の排気を浄化する浄化装置や室内の空気を浄化する空気清浄機に応用されつつある。
【0003】
熱的に非平衡な状態、つまり気体の温度やイオン温度に比べ、電子温度が非常に高い状態のプラズマ(非平衡プラズマ(以下、単にプラズマと言う))は、電子衝突でつくられるイオンやラジカルが常温では起こらない化学反応を促進させるので、有害ガスを効率的に除去あるいは分解することが可能な媒体として有害ガス処理において有用であると考えられている。実用化で肝心なことは、処理時のエネルギーの効率の向上と、プラズマで処理した後に完全に安全な生成物質へと変換されることである。
【0004】
一般に、大気圧でのプラズマは気体放電や電子ビームなどによって生成される。現在において、適用が考えられているものに、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、フロン、CO2 ,揮発性有機溶剤(VOC)などがある。中でもNOxは車の排ガスなどに含まれているので早急な実用化が必要となっている。
【0005】
NOx除去における放電プラズマ(気体放電によって生成されたプラズマ)内の現象は、電子衝突によって1次的に生成されたイオンやラジカルが最初の反応を起こし、その後の反応を通してN2 ,H2 O,NH4 NO3 などの各粒子に変換されて行くものと考えられている。
【0006】
また、有害ガスを例えばアセトアルデヒドやホルムアルデヒドとした場合、この有害ガスをプラズマを通すことによって、CO2 とH2 Oに変換される。この場合、副生成物として、オゾン(O3 )が発生する。
【0007】
図7に放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は処理対象ガス(有害ガスを含む空気)GSが流れるダクト(通風路)であり、ダクト1内には、処理対象ガスGSの通過方向に沿って放電電極2とアース電極3とが交互に配置され、これら電極2,3間にセルと呼ばれる多数の貫通孔4aを有するハニカム構造体4が配設されている。5は高電圧電源である。なお、ハニカム構造体4はセラミックス等の絶縁体で形成されており、特許文献2にもその使用例がある。
【0008】
放電電極2は、金属製メッシュ、極細ワイヤ、または針状体等で形成されている。各放電電極2は、導線6によって高電圧電源5の+極に接続されている。アース電極3は、金属性メッシュ等で形成されている。各アース電極3は、導線7によって高電圧電源5の−極に接続されている。
【0009】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1に流し、放電電極2とアース電極3との間に高電圧電源5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、各ハニカム構造体4の貫通孔4a内にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0010】
しかしながら、このような構成のガス処理装置では、次のような問題点を有する。
(1)多数のハニカム構造体4を有するが、ばらつきなく均一なプラズマを発生させる技術が確立されておらず、ハニカム構造体4の性能にばらつきが出てしまう。例えば、同じハニカム構造体4同士でもインピータンス値が異なることがあり、また1つのハニカム構造体4内でも例えばその上下でインピーダンス値が異なるというようなこともあり、全体として均一なプラズマが発生せず、ガス処理能力が不安定となる。また、貫通孔4aだけでのプラズマ発生なので、プラズマの発生量が少なく、ガス処理能力が低い。
【0011】
(2)ハニカム構造体4は吸湿すると低インピーダンスに、乾燥すると高インピーダンスになる特性を持っており、ハニカム構造体4が低インピーダンスになると、流れる電流が増大し放電電極2とアース電極3との間に印加される高電圧値が低下し、ハニカム構造体4が高インピーダンスになると、流れる電流が減少し放電電極2とアース電極3との間に印加される高電圧値が上昇する。このような高電圧値の変化に対し、所望のプラズマの発生量を確保し得る高電圧値を得ることのできる高電圧電源5は、その設計に要する工数も含めて非常に高価となる。
【0012】
(3)ハニカム構造体4のぞれぞれに対して放電電極2とアース電極3を設けているため、部品点数が多く、構造も複雑となり、高価となる。
(4)処理対象ガスGSの通過方向(ダクト1の入口から出口への方向)に沿ってハニカム構造体4がダクト1内に配置されているため、ハニカム構造体4のガス流と直交する方向の寸法が長く、これに対してガス流と平行な方向の寸法が短くなっている。このため、ガス流の流速が速いと、処理対象ガスGSがハニカム構造体4の内部でプラズマに晒される時間が短く、ガス処理能力が落ちる。
【0013】
(5)ハニカム構造体4でプラズマ放電が発生する際にはハニカム構造体4内の水分が消費されるので、更にプラズマ放電が活発に行われるにはダクト1内の処理対象ガスGS内の水分がハニカム構造体4内に供給される構造であることが望ましい。しかしながら、電極間に位置するハニカム構造体4の放電面では放電により直ぐに水分が消費されてしまうので、ハニカム構造体4の放電の起こらない面であるハニカム構造体4の側面から水分が供給されねばならないが、ハニカム構造体4の側面は処理対象ガスGSの流れ方向と平行であるので、この側面からは処理対象ガスGSの水分が吸入しずらく、結果としてハニカム構造体4に水分を補給し難く、ガス処理能力を高められない。
【0014】
そこで、本出願人は、上述した従来のガス処理装置の問題点を解決するものとして、図8に示すような構造のガス処理装置を提案した(特許文献3参照)。このガス処理装置では、ダクト1の入口から出口への処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔G(G1〜G3)を設けて、処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に多数の貫通孔(丸孔)4aを有する複数のハニカム構造体4(4−1〜4−4)を配置している。
【0015】
なお、8はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の一端に位置するハニカム構造体4−1の外側に配置された第1の電極、9はハニカム構造体4−1〜4−4のうち処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向の他端に位置するハニカム構造体4−4の外側に配置された第2の電極であり、第1の電極8と第2の電極9との間には高電圧電源(高電圧源)5からの高電圧が印加される。この高電圧の印加により、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1〜10−3)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0016】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSが各ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間10でプラズマに晒される時間を長くでき、ガス分解が行われる機会が多くなる。また、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4bでは、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面(以下、この面をガス流対向面と呼ぶ)4bより処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。これにより、処理能力が向上し、高速流におけるガス処理能力の低下を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−140562号公報
【特許文献2】特開2001−276561号公報
【特許文献3】特開2008−194669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、この特許文献3に示されたガス処理装置は、上述したような優れた効果を有してはいるが、ハニカム構造体4には処理対象ガスGSの水分をハニカム構造体4内に補給するガス流対向面4bが一面しかないので、これ以上ガス流対向面の表面積をかせぐことができず、更なるガス処理能力の向上が望めない。
【0019】
なお、ハニカム構造体4の貫通孔4aの内周面の下流側の面でも、処理対象ガスGSが流れ、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けるが、プラズマが発生するので、ハニカム構造体4内に水分を補給するガス流対向面とはならない。また、ハニカム構造体2の下流側の面(最下流の面)4cも、処理対象ガスGSの通過方向に面してはいるが、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けないので、ガス流対向面とはならない。
【0020】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ガス流対向面の表面積を大とし、更なるガス処理能力の向上を図ることができるガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このような目的を達成するために本発明は、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、複数のハニカム構造体のうち処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、ハニカム構造体に、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、プラズマが発生しないガス流対向面を複数設けたものである。
【0022】
また、本発明は、通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、複数のハニカム構造体のうち隣り合うハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加しハニカム構造体の貫通孔およびハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備えたガス処理装置において、ハニカム構造体に、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、プラズマが発生しないガス流対向面を複数設けたものである。
【0023】
この発明によれば、ハニカム構造体のガス流対向面から処理対象ガス中の水分がハニカム構造体内に補給されるが、ガス流対向面を複数有するので、その分、ガス流対向面の表面積が増大し、ハニカム構造体内に補給される水分が多くなり、プラズマの発生が活性化され、ハニカム構造体のガス処理能力が更に高まる。
【0024】
本発明において、ガス流対向面の1つとして、ハニカム構造体の処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に形成された切欠穴の内周面とすることが考えられる。この場合、その切欠穴を矩形の切欠穴として考えた場合、その矩形の内周面の全周ではなく、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける面(下流側の面)がガス流対向面となる。なお、この切欠穴は、ハニカム構造体を貫通してもよいし、貫通させずに凹部としてもよい。
【0025】
また、本発明において、ハニカム構造体のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施すようにしてもよい。ガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部が角張っていると、この部分でプラズマが発生し易く、この部分でプラズマが発生するとガス流対向面から補給される水分の一部が消費されてしまう。ガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施すことで、この部分でのプラズマの発生が抑制され、ガス流対向面から補給される水分の消費が少なくなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ハニカム構造体に、処理対象ガスの通過方向に面し、処理対象ガスの流れに接すると共に、処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、プラズマが発生しないガス流対向面を複数設けたので、ガス流対向面の表面積を大とし、更なるガス処理能力の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。
【図2】このガス処理装置にハニカム構造体を処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向から見た図(平面図)である。
【図3】このガス処理装置のハニカム構造体に角穴ではなく溝状の段差を設けた例を示す図である。
【図4】本発明に係るガス処理装置の他の実施の形態(実施の形態2)の要部を示す図である。
【図5】このガス処理装置のハニカム構造体に角穴ではなく溝状の段差を設けた例を示す図である。
【図6】ハニカム構造体のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施した例を示す図である。
【図7】放電プラズマを利用した従来のガス処理装置の要部を例示する図である。
【図8】特許文献3に示されたガス処理装置の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るガス処理装置の一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す図である。同図において、図8と同一符号は図8を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0029】
この実施の形態では、各ハニカム構造体4に、大口径の角穴(貫通孔)4dを複数箇所(この例では、2箇所)設けている。図2に処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向からハニカム構造体4を見た図(平面図)を示す。この実施の形態において、角穴4dの口径L1は、この角穴4d内にプラズマが発生しないように、貫通孔4aの径よりも遙かに大径とされている。
【0030】
なお、各ハニカム構造体4の形状は等しくされており、角穴4dおよび貫通孔4aの数も等しくされている。すなわち、本実施の形態では、同一種類のハニカム構造体4−1〜4−4を使用している。また、第1の電極8および第2の電極9は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。
【0031】
また、この実施の形態において、ハニカム構造体4−1と4−2との間の間隔G1と、ハニカム構造体4−2と4−3との間の間隔G2と、ハニカム構造体4−3と4−4との間の間隔G3とは等しく、例えば0.5mm〜数mmとされている。これにより、ハニカム構造体4−1と4−2との間に空間(空気層)10−1が形成され、ハニカム構造体4−2と4−3との間に空間(空気層)10−2が形成され、ハニカム構造体4−3と4−4との間に空間(空気層)10−3が形成されている。
【0032】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1内に流し、第1の電極8と第2の電極9との間に高電圧電源(高電圧源)5からの高電圧(数kV〜数10kV)を印加する。これにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1〜10−3)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0033】
本実施の形態において、プラズマはハニカム構造体4の貫通孔4aだけではなく、ハニカム構造体4間の空間10にも発生する。このため、貫通孔4a内での有害ガスの分子分解効果に加え、ハニカム構造体4間の空間10での有害ガスの分子分解効果が加わり、さらにこの貫通孔4a内での分子分解効果とハニカム構造体4間の空間10での分子分解効果との相乗効果により、有害ガスの無害な物質への分解が促進され、ガス処理能力が高まる。また、ハニカム構造体4間の空間10には、対向する貫通孔4aの縁面から電界が広がって、均一なプラズマが大量に発生する。これにより、貫通孔4a内に発生するプラズマのばらつきによる影響が小さくなり、ガス処理能力が安定する。
【0034】
また、この実施の形態において、ハニカム構造体4間には空気層である空間10が設けられるので、この空間10により第1の電極8と第2の電極9との間のインピーダンスが安定し、ハニカム構造体の吸湿・乾燥によるインピーダンス変化に対して流れる電流の変化が小さくなる。これにより、第1の電極8と第2の電極9との間に加わる高電圧値の変化が小さくなり、高電圧電源5として、専用に設計された特殊な高電圧電源ではなく、市販されている安価な高電圧電源を使用することができるようになる。
【0035】
また、この実施の形態において、電極は第1の電極8と第2の電極9の2個の電極のみでよく、ハニカム構造体4毎に電極を配置する必要がない。これにより、部品点数が削減され、構造が簡単となり、組立工数も少なくて済み、コストダウンが図られる。
【0036】
また、この実施の形態では、各ハニカム構造体4が処理対象ガスGSの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置されているので、処理対象ガスGSの通過方向に沿って配置される場合よりも、処理対象ガスGSが各ハニカム構造体4の貫通孔4aやハニカム構造体4間の空間10でプラズマに晒される時間が長くなる。これにより、ガス分解が行われる機会が多くなり、ガス処理能力が向上し、高速流におけるガス処理能力の低下を防ぐことが可能となる。
【0037】
また、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4b1、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する角穴4dの下流側の面4b2では、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面4b1,4b2がガス流対向面となって、処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。
【0038】
このように、本実施の形態では、各ハニカム構造体4の最上流の面4b1だけではなく、各ハニカム構造体4の角穴4dの下流側の面4b2もガス流対向面として加わるので、その分、ガス流対向面の表面積が増大し、ハニカム構造体4内に補給される水分が多くなり、プラズマの発生が活性化され、ハニカム構造体4のガス処理能力が更に高まる。
【0039】
なお、ハニカム構造体4の貫通孔4aの内周面の下流側の面でも、処理対象ガスGSが流れ、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けるが、プラズマが発生するので、ハニカム構造体4内に水分を補給するガス流対向面とはならない。また、角穴4dの下流側の面4b2以外の内周面でも、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSが流れるが、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けないので、ハニカム構造体4内に水分を補給するガス流対向面とはならない。また、ハニカム構造体2の下流側の面(最下流の面)4cも、処理対象ガスGSの通過方向に面してはいるが、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けないので、ガス流対向面とはならない。
【0040】
図1では、ガス流対向面の表面積を増大させるために、各ハニカム構造体4に大口径の角穴(貫通孔)4dを設けるようにしたが、図3に示すように、溝状の段差4eを設けるようにしてもよい。この溝状の段差4eは、その段差4e内にプラズマが発生しないように、十分な幅W1と深さD1とを有するものとする。この場合、各ハニカム構造体4の最上流の面4b1だけではなく、各ハニカム構造体4の段差4eの下流側の面4b2もガス流対向面として加わり、ガス流対向面の表面積が増大する。この溝状の段差4eは、本発明でいう切欠穴の一種であり、この切欠穴をハニカム構造体4に貫通して設けたものが、図1に示した角穴4dである。
【0041】
〔実施の形態2〕
図4に図1に示したガス処理装置の変形例を実施の形態2として示す。この実施の形態2のガス処理装置では、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−1と4−2を第1のハニカム構造体群4Aとし、この第1のハニカム構造体群4Aの両端に位置するハニカム構造体4−1および4−2の外側に、第1の電極として電極8を、第2の電極として電極11を配置している。
【0042】
同様にして、ダクト1内の複数のハニカム構造体4のうち隣り合うハニカム構造体4−3と4−4を第2のハニカム構造体群4Bとし、この第2のハニカム構造体群4Bの両端に位置するハニカム構造体4−3および4−3の外側に、第1の電極として電極11を、第2の電極として電極9を配置している。
【0043】
なお、この実施の形態において、電極11は第1のハニカム構造体群2Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群2Bの第1の電極とを兼ねた共通電極とされているが、第1のハニカム構造体群2Aの第2の電極と第2のハニカム構造体群2Bの第1の電極とを独立した電極とするようにしてもよい。
【0044】
電極8,9および11は、処理対象ガスGSが通過するように、金属製メッシュとされている。また、この実施の形態において、高電圧電源(高電圧源)5は、電圧値が異なる第1の高電圧電源5−1と第2の高電圧電源5−2とから構成され、電極8が高電圧電源5−1の+極に接続され、電極11が電圧電源5−1の−極および高電圧電源5−2の+極に接続され、電極9が高電圧電源5−2の−極に接続されている。その他の構成は図1に示した構成と同じである。
【0045】
このガス処理装置では、処理対象ガスGSをダクト1内に流し、電極8と11との間に高電圧電源5−1からの高電圧を、電極11と9との間に高電圧電源5−2からの高電圧を印加する。これにより、ハニカム構造体4の貫通孔4aおよびハニカム構造体4間の空間10(10−1,10−2)にプラズマが発生し、このプラズマ中に生成されるイオンやラジカルによって、処理対象ガスGSに含まれる有害ガスが無害な物質に分解される。
【0046】
この実施の形態2でも、実施の形態1と同様、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する上流側の面(最上流の面)4b1、各ハニカム構造体4の処理対象ガスGSの通過方向に面する角穴4dの下流側の面4b2では、プラズマが発生せず、処理対象ガスGSの流れに接すると共に、処理対象ガスGSの通過方向への流体圧を受けることから、この面4b1,4b2がガス流対向面となって、処理対象ガスGS中の水分がハニカム構造体4内に入り込み、ハニカム構造体4でのプラズマ発生を活性化させる。
【0047】
また、この実施の形態2では、第1のハニカム構造体群2Aの第1の電極8と第2の電極11との間に第1の高電圧電源5−1からの高電圧を、第2のハニカム構造体群の第1の電極11と第2の電極9との間に第2の高電圧電源5−2からの高電圧を個別に印加しているので、空間10−1,10−2での電位を安定的に高電界状態に保ち、プラズマを安定して発生させることが可能となり、単一電源を用いる場合に比べてガス処理能力を向上させることが可能となる。また、高電圧電源5−1からの高電圧と高電圧電源5−2からの高電圧を異なる値とすることにより、第1のハニカム構造体群2Aと第2のハニカム構造体群2Bとでプラズマの発生量を変えて、分解可能な有害ガスの種類を異ならせたりすることが可能となる。
【0048】
この実施の形態2でも、実施の形態1と同様、図5に示すように、溝状の段差4eを設けるようにしてもよい。この場合、前述したように、各ハニカム構造体4の最上流の面4b1だけではなく、各ハニカム構造体4の段差4eの下流側の面4b2もガス流対向面として加わり、ガス流対向面の表面積が増大する。
【0049】
図6に、図3および図5に示した構成において、ハニカム構造体4のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施した例を示す。この例では、ハニカム構造体4のガス流対向面4b1とプラズマが発生する面4f1との境界部P1、ハニカム構造体4のガス流対向面4b2とプラズマが発生する面4f2との境界部P2に面取りを施している。なお、他の角部P3にも同様に面取りを施しているが、この角部P3への面取りは必ずしも施さなくてもよい。
【0050】
ガス流対向面4b1,4b2とプラズマが発生する面4f1,4f2との境界部P1,P2が角張っていると、この部分でプラズマが発生し易く、この部分でプラズマが発生するとガス流対向面4b1,4b2から補給される水分の一部が消費されてしまう。ガス流対向面4b1,4b2とプラズマが発生する面4f1,4f2との境界部P1,P2に面取りを施すことで、この部分でのプラズマの発生が抑制され、ガス流対向面4b1,4b2から補給される水分の消費が少なくなる。
【0051】
なお、同様にして、図1や図4に示した構成においても、ハニカム構造体4のガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りを施してもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のガス処理装置は、燃料電池等に用いられる水素を効率的に生成する目的で、炭化水素類等から水素含有ガスを生成する、いわゆる改質にも適用することができる。例えばオクタン(ガソリンの平均分子量に比較的近い物質)C8H18の場合は、本ガス処理装置に供給すると下記(1)式で示される化学反応が促進され、その結果水素ガスを効率よく生成することができる。
C8H18+8H2O+4(O2+4N2)→8CO2+17H2+16N2・・・・(1)
【符号の説明】
【0053】
1…ダクト(通風路)、4(4−1〜4−4)…ハニカム構造体、4a…貫通孔(セル)、4b1,4b2…ガス流対向面、4d…角穴、4e…段差部、4f1,4f2…プラズマが発生する面、P1,P2…境界部、4A,4B…ハニカム構造体群、5(5−1,5−2)…高電圧電源、8,9,11…電極、10(10−1〜10−3)…空間、GS…処理対象ガス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備え、
前記ハニカム構造体は、
前記処理対象ガスの通過方向に面し、前記処理対象ガスの流れに接すると共に、前記処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、前記プラズマが発生しないガス流対向面を複数有する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち隣り合うハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、
前記各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備え、
前記ハニカム構造体は、
前記処理対象ガスの通過方向に面し、前記処理対象ガスの流れに接すると共に、前記処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、前記プラズマが発生しないガス流対向面を複数有する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたガス処理装置において、
前記ガス流対向面の少なくとも1つは、
前記ハニカム構造体の前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に形成された切欠穴の内周面である
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記ハニカム構造体の前記ガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りが施されている
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項1】
通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の一端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第1の電極と、
前記複数のハニカム構造体のうち前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向の他端に配置されるハニカム構造体の外側に配置される第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備え、
前記ハニカム構造体は、
前記処理対象ガスの通過方向に面し、前記処理対象ガスの流れに接すると共に、前記処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、前記プラズマが発生しないガス流対向面を複数有する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
通風路の入口から出口への処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に沿って間隔を設けて配置され、かつ前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有する複数のハニカム構造体と、
前記複数のハニカム構造体のうち隣り合うハニカム構造体を1群のハニカム構造体群とし、これらハニカム構造体群毎にその両端に位置するハニカム構造体の外側に配置された第1および第2の電極と、
前記各ハニカム構造体群の第1の電極と第2の電極との間に個別に高電圧を印加し前記ハニカム構造体の貫通孔および前記ハニカム構造体間の空間にプラズマを発生させる高電圧源とを備え、
前記ハニカム構造体は、
前記処理対象ガスの通過方向に面し、前記処理対象ガスの流れに接すると共に、前記処理対象ガスの通過方向への流体圧を受ける、前記プラズマが発生しないガス流対向面を複数有する
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたガス処理装置において、
前記ガス流対向面の少なくとも1つは、
前記ハニカム構造体の前記処理対象ガスの通過方向に対し直交する方向に形成された切欠穴の内周面である
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載されたガス処理装置において、
前記ハニカム構造体の前記ガス流対向面とプラズマが発生する面との境界部に面取りが施されている
ことを特徴とするガス処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−234262(P2010−234262A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84839(P2009−84839)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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