説明

キャブ支持構造

【課題】 油圧ショベル等の作業機械のキャブを支持する構造に関し、簡素な構成でキャブの振動を吸収減衰させて、キャブに搭乗するオペレータの乗り心地を向上させるようにする。
【解決手段】 作業機械40のキャブ45のフロア下面外周部に分散して配置され、作業機械のフレーム42aに載置されてキャブ45を弾性支持する複数の第1マウント30と、キャブ45のフロア下面中央部に配置され、作業機械のフレーム42aに載置されてキャブ45を弾性支持し、第1マウント30と減衰特性が異なる第2マウント50とをそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、油圧ショベル等の作業機械において、オペレータが搭乗するキャブを支持する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の作業機械では、キャブと機体との間に防振のためのマウントが設けられて、作業時や走行時に発生する振動を低減するようになっている。例えば、油圧ショベルの典型的なキャブの支持構造を図5に図示すると、上部旋回体の架台であるスイングフレーム2の左前部上面に形成された穴2aに防振マウント3を取り付けて、その防振マウント3上にキャブ1の床板(以下、キャブフロアと記す)1aを載置してキャブ1を支持させている。防振マウント3には振動を減衰し低減させる機能があり、そのような防振マウント3を介してキャブフロア1aを支持することで、作業時や走行時に発生する振動が、作業装置や下部走行体等の機体からキャブフロア1aに伝達されにくいようになっている。
【0003】
防振マウント3には、一般に、ビスカスマウント等の液体封入式防振マウントが用いられている。図6に示すように、ビスカスマウント30は、一端(図中、下端)が閉塞され他端(図中、上端)がスイングフレーム2に取り付けられる円筒状のマウント本体31と、マウント本体31の内部に上下方向に延設されるガイドシャフト32と、マウント本体31とガイドシャフト32とを弾性的に結合する弾性体33と、マウント本体31の閉塞側端部に形成された液体封入室34と、ストッパゴム35aとオリフィス35bとを有する減衰板35とを備えて構成されている。液体封入室34にはシリコンオイル等の減衰液が注入されており、また、液体封入室34は減衰板35を境界にして第1室34aと第2室34bとに区画され、両室34a,34bはオリフィス35bを介して連通している。
【0004】
そして、ビスカスマウント30に振動負荷が加えられると、マウント本体31とガイドシャフト32とは弾性体33を変形させながら相対変位し、その際に、減衰液がオリフィス35bを通って第1室34aと第2室34bとの間を移動し、オリフィス35b通過時の抵抗力によって振動が減衰される。つまり、弾性体33は、キャブ1の荷重を支持するとともに機体からキャブ1への振動伝達速度を遅延させる機能を有し、また、減衰板35は、減衰液中を移動することにより機体からキャブ1に伝達される振動そのものを吸収、低減させる減衰機能を有するものである。
【0005】
なお、このようなキャブを支持する構造に関して、例えば、特許文献1には、スイングフレームに立設した支柱の防振装置穴に防振マウントを挿入し、この防振マウントの上にキャブを取り付ける技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−253701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図5に示すように、防振マウント3は、一般に、キャブフロア1aの外周部の四隅に配置され、スイングフレーム2に取り付けられている。また、特許文献1記載の防振マウントは、キャブフロアの外周部の6箇所に配置され、スイングフレームに取り付けられている。このため、これらのような外周部に防振マウントを配置されたキャブフロア1aでは、起振力が作用すると、図7(a),(b)に示すように、防振マウントにより固定された外周部を反射端(支点を節)とする振動、いわゆる膜振動が発生する。一方、キャブフロア1aの中央部には、オペレータシート11が配設されている。したがって、この膜振動(特に、一次モード膜振動)の振幅が大きくなるキャブフロア1a中央部にオペレータが着座することになるので、オペレータの車酔いや、乗り心地の悪化を招くおそれがある。そのため、中央部を制振してオペレータの乗り心地を向上させることが望まれている。
【0007】
また、従来の防振マウントには、キャブ全体の重量を支持するだけの剛性が必要とされる。そのため、例えば防振マウントの弾性力を調整して、上記のような膜振動を抑制しようとしても、キャブ全体の重量を支持できる程度の剛性が必要であり、自由に弾性力を設定することができないという課題がある。このように、従来の防振マウントでは、総重量を支持する必要性から乗り心地を改善し難く、弾性力や剛性の選定に困難が付きまとう。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、簡素な構成でその振動を吸収減衰させて、オペレータの乗り心地を向上させるキャブ支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載のキャブ支持構造は、作業機械のキャブのフロア(キャブフロア)下面外周部に配置され、前記作業機械のフレームに載置されて前記キャブを弾性支持する複数の第1マウントと、前記キャブのフロア下面中央部に配置され、前記の作業機械のフレームに載置されて前記キャブを弾性支持し、前記第1マウントと減衰特性が異なる第2マウントとを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2記載のキャブ支持構造は、請求項1記載のキャブ支持構造において、前記の複数の第1マウントは、前記キャブの総重量を支えうる減衰特性を有することを特徴としている。
請求項3記載のキャブ支持構造は、請求項1又は2記載のキャブ支持構造において、前記第2マウントは、前記キャブの振動を吸収する空気室を有したエアマウントであることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載のキャブ支持構造は、請求項3記載のキャブ支持構造において、前記空気室内を加圧又は減圧する空気圧調整手段を備えたことを特徴としている。
請求項5記載のキャブ支持構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載のキャブ支持構造において、前記第2マウントは、前記第1マウントとはストロークが異なることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載のキャブ支持構造は、請求項1〜5の何れか1項に記載のキャブ支持構造において、前記キャブのフロア上面中央部にオペレータシートが配置され、前記第2マウントは、前記オペレータシートの直下又は直下近傍に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のキャブ支持構造によれば、キャブのフロア下面外周部に第1マウントを配設し、キャブのフロア下面中央部に第2マウントを配設し、且つ、第1マウントと第2マウントとは減衰特性が異なっているので、第1マウントの機能と第2マウントの機能とを分けることができる。すなわち、例えば、第1マウントに、キャブの重量を支持するのに適した減衰特性のものを用い、第2マウントに、キャブの下面の振動(膜振動)を抑制するのに適した減衰特性のものを用いることができるので、簡素な構成で、その振動を吸収減衰させて、キャブに搭乗するオペレータの乗り心地を向上させることができる。そして、中央部の第2マウントを比較的硬くして、キャブフロアの変形を抑制してキャブを安定させてハードな乗り心地にしたり、換言すれば、低周波(長周期)の振動を抑えるようにしたり、逆に、中央部の第2マウントを比較的柔らかくして、ソフトな乗り心地にしたり、換言すれば、高周波(短周期)の振動を抑えるようにしたりすることができる。
【0014】
請求項2記載のキャブ支持構造によれば、キャブの重量を支持する機能が第2マウントに求められなくなり、第2マウントには、キャブフロアの振動を抑制するのに適した減衰特性のものを用いやすくする。つまり、第2マウントは、オペレータの乗り心地を向上させる機能に特化でき、乗り心地をより向上させることができる。
請求項3記載のキャブ支持構造によれば、第2マウントはエアマウントであるので、第2マウントの減衰特性を容易に第1マウントの減衰特性と相違させることができ、且つ、キャブフロアの振動を抑制するのに適した減衰特性とすることが容易となる。
【0015】
請求項4記載のキャブ支持構造によれば、第2マウントの減衰特性を容易且つ任意に変更することができて、乗り心地をオペレータの好みに合わせることができる。
請求項5記載のキャブ支持構造によれば、第1マウントと第2マウントとのストロークが異なるので、第2マウントのストロークを任意に変更してキャブのフロアの振動の振幅を調整し、簡素な構成でキャブの振動を抑制し、オペレータの乗り心地を向上させることができる。例えば、キャブフロア中央部を完全に制振すると、外周部と中央部とで節になる振動モードになり、最大振幅の位置が中央部から移動することになるが、第2マウントのストロークを第1マウントのストロークと異なる長さにすれば、外周部のみが節で中央部は腹になる振動モードを保持して振動の最大振幅を減少させることができる。つまり、振動の最大振幅が小さくなるように、第2マウントのストロークを設定することができる。
【0016】
請求項6記載のキャブ支持構造によれば、第2マウントは、オペレータシートの直下又は直下近傍に配置されているので、オペレータに伝達される振動の吸収やオペレータの乗り心地の向上を効率良く行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3は本発明の一実施形態に係るキャブ支持構造を示すもので、図1はそのキャブ支持構造が適用された作業機械の全体像を示す斜視図、図2はそのキャブ支持構造の構成を分解した斜視図、図3はそのキャブ支持構造に用いるエアマウントの断面図である。なお、従来技術の説明で用いた前述の図6を適宜流用して説明する。
【0018】
図1に示すように、作業機械の代表的な例である油圧ショベル40は、下部走行体41と、下部走行体41上に回転自在に結合された上部旋回体42と、上部旋回体42の前部に設けられた作業装置43とから構成されている。上部旋回体42は、架台となるスイングフレーム(旋回フレーム)42aを有し、スイングフレーム42a上の後端部にはカウンタウェイト44が、カウンタウェイト44の前方には、エンジンや各種冷却装置等を内部に収めるエンジンルーム46が、そして、左前部には、オペレータが搭乗するキャブ45が備えられている。
【0019】
キャブ45は、図2に示すように、側面及び天上面をなすキャブ本体45bと、床面をなすキャブフロア45aとを備えて箱形状に構成されている。また、特に図示しないが、オペレータシートがキャブフロア45aの略中央部に配設されている。そして、キャブ45は、キャブフロア45aとスイングフレーム42aとの間に装着された防振マウント30,50を介してスイングフレーム42a上に弾性支持されるようになっている。なお、ここでは、キャブ45を分解して機体上方向へ持ち上げた状態を図示している。
【0020】
ここで、本実施形態では、キャブ45は5個の防振マウント30,50によって支持されている。つまり、従来と同様にキャブフロア45aの外周部の四隅に防振マウント30が分散してそれぞれ配置されることに加えて、新たに、キャブフロア45aの中央部、即ち、オペレータシートの直下又は略直下に、防振マウント50が配置されている。そして、外周部と中央部とでは、防振マウントの減衰特性は異なっている。つまり、外周部の四隅には図6に示したビスカスマウント30を用い、中央部には後述するエアマウント50を用いている。
【0021】
ビスカスマウント30は、従来技術で説明したものと同様のものであって、図6に示すように、一端が閉塞された円筒状(ケース状)のマウント本体31と、マウント本体31の内部に配置されたガイドシャフト32と、マウント本体31とガイドシャフト32とを結合する弾性体33と、マウント本体31の閉塞側(一端)に形成された液体封入室34と、オリフィス35bを有する減衰板35とを備えている。
【0022】
また、エアマウント50は、図3に示すように、ビスカスマウント30の上部に、空気バネ51が追加された周知の構造のものである。つまり、エアマウント50は、マウント本体31とガイドシャフト32と弾性体33と液体封入室34と減衰板35とに加え、さらに、弾性体33の上部に空気バネ51を備えている。空気バネ51は、ベローズ51bにより囲繞されて形成された空気室51aと、空気室51aに圧縮空気を給排するためのエア給排口51cとを備えて構成されている。エア給排口51cには、図示しないコンプレッサに一端を接続されたホース51dの他端が連結されている。また、そのホース51dの付け根部分には、エアの圧力を制御する制御弁51eが備えられている。そして、オペレータは、コンプレッサと制御弁51eとからなる空気圧調整手段を操作することにより、空気室51aの空気圧を調整して、エアマウント50の空気バネ51の弾性特性(バネ定数)や減衰特性を任意に変えることができるようになっている。したがって、エアマウント50は、空気バネ51の弾性特性及び減衰特性と減衰板35の減衰特性(減衰係数)により、キャブ45(キャブフロア45a)に伝わる振動を吸収できるようになっている。なお、コンプレッサは、エアマウント専用に新たに設けるようにしても良いし、オペレータシート用のコンプレッサを利用しても良い。
【0023】
また、防振マウント30,50の装着に関し詳述すると、図2に示すように、キャブフロア45aには、外周部の四隅と、中央部との計5箇所にそれぞれ、マウントを取り付けるためのキャブ側マウント穴45c,45dが開口されている。また、スイングフレーム42aにも、上記の四隅と中央部とに対応する位置に、防振マウント30,50を装着可能なブラケット部が形成され、ブラケット部にスイングフレーム側マウント穴42c,42dが開口される。
【0024】
なお、キャブ側マウント穴45c,45dとスイングフレーム側マウント穴42c,42dとは同軸であり、図2中に二点鎖線で示すような対応付けで組み立てられる。つまり、エアマウント50とビスカスマウント30とはどちらも、図3に示すように、スイングフレーム側マウント穴42c,42dの縁部にマウント本体31の屈曲部31aをひっかけて、これらのマウント穴42c,42dに嵌め込まれることによって取り付けられ、また、ガイドシャフト32の上部がキャブフロア45aから突出するようにキャブ側マウント穴45c,45dに貫入されて、ガイドシャフト32の上部をボルト32a及びナット60で締結されて取り付けられている。
【0025】
本発明の一実施形態にかかるキャブ支持構造は上述のように構成されているので、以下のような作用・効果がある。
油圧ショベルでは、作業時や走行時に振動が発生するが、キャブフロア45a外周部にビスカスマウント30を装着するとともに、キャブフロア45a中央部にエアマウント50を装着してキャブ45を弾性支持しているので、外周部のビスカスマウント30と中央部のエアマウント50との機能を分けることができ、特に、中央部のエアマウント50によりその振動を吸収減衰させて、オペレータの乗り心地を簡素な構成で向上させることができる。
【0026】
つまり、外周部のビスカスマウント30には、キャブ45の総重量を支持する機能を持たせて、十分な剛性を有するように弾性体33のバネ定数をある程度大きくし、一方、中央部のエアマウント50は重量を支持する機能は特に求められないので、空気室51aの圧力を調整し、空気バネ51のバネ定数を比較的小さくして、エアマウント50を柔らかくすることができて、キャブフロア45aに伝達される作業時や走行時の振動を和らげて、オペレータの乗り心地を向上させることができる。
【0027】
また、防振マウントとして、中央部にはエアマウント50を採用しているので、外周部のビスカスマウント30と減衰特性を容易に異ならせ、且つ、容易にキャブフロア45aの振動を抑制するのに適した減衰特性にすることができる。
さらに、エアマウント50の空気室51a内の圧力を加圧又は減圧する空気圧調整手段が設けられているので、エアマウント50の減衰特性をより容易且つ任意に変更することができて、乗り心地をオペレータの好みに合わせることができる。例えば、空気室51aを加圧してエアマウント50を硬くし、キャブフロア45aの変形を抑制してキャブ45を安定させながら、ゴツゴツとしたハードな乗り心地〔つまり、低周波(長周期)の振動を抑えた乗り心地〕にしたり、逆に、空気室51aを減圧してエアマウント50を柔らかくし、ソフトな乗り心地〔つまり、高周波(短周期)の振動を抑えた乗り心地〕にしたりして、オペレータは、好みに応じた乗り心地にすることができる。なお、ここでのエアマウント50の硬さ及び柔らかさは、エアマウント50自身における比較であって、ビスカスマウント30と比較したものではない。
【0028】
また、エアマウント50は、オペレータシートの直下又は直下近傍に配置されているので、オペレータに伝わる振動の吸収やオペレータの乗り心地の向上を効率良く行なうことができる。
また、エアマウント50は、空気バネ51のバネ定数と減衰板35の減衰特性(減衰係数)のバランスをとって、乗り心地をより向上させることができる。つまり例えば、減衰板35の減衰特性は、オリフィス35bの直径や長さを変えることで調整することができ、空気バネ51のバネ定数は、減衰板35の減衰特性に対応させて予めバランスよく調整することができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上記実施形態では、ビスカスマウント30とエアマウント50とは、減衰特性が異なるように設定したが、さらに、ビスカスマウント30とエアマウント50のストロークが異なるように設定しても良い。このようにすれば、エアマウント50のストロークを任意に変更して膜振動の振幅を調整し、簡素な構成でキャブ45の振動を抑制しながら、オペレータの乗り心地を向上させることができる。例えば、キャブフロア45aの膜振動の様子を図4に図示して説明すると、キャブフロア45aの中央部にマウントを配設すると、破線で示すような、中央部を節とした振動モードAが現れ、最大振幅の位置が中央部からずれることになる。しかし、エアマウント50のストロークをビスカスマウント30のストロークと異なる長さにすることで、例えば、エアマウント50のストロークを比較的大きくし、ビスカスマウント30のストロークを比較的短くして、実線で示すような、外周部のみを節とした振動モードBを保持したまま、膜振動の最大振幅dを抑制できる。つまり、エアマウント50のストロークを調整して、最大振幅dを小さくすることが可能になる。なお、ストロークとは、単位荷重当たりのストロークが好ましく、この場合、ストロークが異なることは弾性特性(バネ定数)が異なることとも表現できる。
【0030】
また、キャブフロア45aの下方には、特に図示しないが、多数の配管が配置されているので、この配管のレイアウト上、エアマウント50をキャブフロア45a下面における中央部に配設することは困難であるが、ストロークを変更することにより、エアマウント50を中央部に配設することが容易になる。つまり、最大振幅位置やマウント配置位置と配管との干渉を防止しながら、振動を低減するのに有効な場所にエアマウント50を配設しやすくなる。
【0031】
なお、上記実施形態では、防振マウントのガイドシャフト上部のボルトヘッドやナットがキャブフロアよりも突出するようになっているが、キャブフロアのマウントの配置場所を適宜窪ませてボルトヘッドやナットが突出しないようにし、窪みはカバー等で覆って、キャブフロアとカバーとが同一面となるようにしても良い。
また、上記実施形態では、ビスカスマウントがキャブの全荷重を支持するように、各マウントの減衰特性を決定したが、エアマウントにも、乗り心地の向上に影響を与えない範囲で荷重の一部を負担させるようにしても良い。
【0032】
また、上記実施形態では、エアマウントの空気室の空気圧調整手段として、コンプレッサと制御弁とを備えたが、空気室の空気圧を調整できれば、このような構成に限らない。
また、上記実施形態では、防振マウントは外周部においては四隅に配設したが、外周部に配設する防振マウントの配置位置や個数はこの限りでない。
また、上記実施形態では、防振マウントとして、外周部にビスカスマウントを用い、中央部にエアマウントを用いたが、装着する防振マウントの種類はこれに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な種類のマウントを適宜用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るキャブ支持構造が適用された作業機械の側面図である。
【図2】図1のキャブ支持構造の構成を分解した斜視図である。
【図3】図1のキャブ支持構造に用いるエアマウントの断面図である。
【図4】本発明のその他の実施形態に係る、キャブフロアに発生する膜振動を説明する図である。
【図5】一般的なキャブの支持構造の分解斜視図である。
【図6】一般的なビスカスマウントの断面図である。
【図7】一般的なキャブ支持構造に係る、キャブフロアに発生する膜振動を説明する図であって、(a)はその側面図,(b)はその正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 キャブ
1a キャブフロア(キャブのフロア)
2 スイングフレーム(旋回フレーム)
2a 防振マウント用の穴
3 防振マウント
11 オペレータシート
30 ビスカスマウント(防振マウント)
31 マウント本体
32 ガイドシャフト
32a ボルト
33 弾性体
34 液体封入室
34a 第1室
34b 第2室
35 減衰板
35a ストッパゴム
35b オリフィス
40 油圧ショベル
41 下部走行体
42 上部旋回体
42a スイングフレーム
42c,42d スイングフレーム側マウント穴
43 作業装置
44 カウンタウェイト
45 キャブ
45a キャブフロア
45b キャブ本体
45c,45d キャブ側マウント穴
46 エンジンルーム
50 エアマウント(防振マウント)
51 空気バネ
51a 空気室
51b ベローズ
51c エア給排口
51d ホース
51e 制御弁(空気圧調整手段)
60 ナット
A,B 振動モード
d 最大振幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のキャブのフロア下面外周部に分散して配置され、前記作業機械のフレームに載置されて前記キャブを弾性支持する複数の第1マウントと、
前記キャブのフロア下面中央部に配置され、前記の作業機械のフレームに載置されて前記キャブを弾性支持し、前記第1マウントと減衰特性が異なる第2マウントとを備えた
ことを特徴とする、キャブ支持構造。
【請求項2】
前記の複数の第1マウントは、前記キャブの総重量を支えうる減衰特性を有する
ことを特徴とする、請求項1記載のキャブ支持構造。
【請求項3】
前記第2マウントは、前記キャブの振動を吸収する空気室を有したエアマウントである
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のキャブ支持構造。
【請求項4】
前記空気室内を加圧又は減圧する空気圧調整手段を備えた
ことを特徴とする、請求項3記載のキャブ支持構造。
【請求項5】
前記第2マウントは、前記第1マウントとはストロークが異なる
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のキャブ支持構造。
【請求項6】
前記キャブのフロア上面中央部にオペレータシートが配置され、
前記第2マウントは、前記オペレータシートの直下又は直下近傍に配置されている
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のキャブ支持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−321295(P2006−321295A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144627(P2005−144627)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】