説明

クライオスタット用の冷凍装置インターフェース

軸方向イメージング領域を画定する実質的に円筒状のクライオスタットであって、当該クライオスタットは、使用時に実質的に均質の磁場をイメージング領域内に提供する磁石を収容し、さらにこのクライオスタットの特定のエレメントを冷却するべく配置された冷凍装置を包含しており、当該冷凍装置は、使用時に冷凍装置の軸に沿って振動する磁性材料を包含する。このクライオスタットは、冷凍装置の軸が、円筒状のクライオスタットの軸上に中心を置く円の実質的に接線方向となるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温磁石アッセンブリに関する。より詳細に述べれば、システムの残りの部分に関して特に好適な冷凍装置の配置に関する。
【0002】
MRI磁石システムは、医療診断のために使用される。MRI磁石の必要条件は、安定した一様な磁場である。通常、極低温冷却された超電導磁石が使用される。安定性を達成するために、非常に低い温度で動作する超電導磁石システムの使用が一般的であり、通常、低い温度の極低温流体、通常は液体ヘリウムを用いた浸漬による超電導体の冷却によって温度が維持される。極低温流体、特にヘリウムは高価な流体であり、したがって使用される極低温液体の量を最小に抑えるべく磁石システムが設計され、かつ動作することが望ましい。
【0003】
本発明は、特に、冷凍装置インターフェースの構造および配置に関係する。インターフェースは、極低温冷却された超電導磁石に冷凍装置を接続する機能を提供し、1ないしは複数の熱シールドもしくは冷却剤容器またはその両方を冷却し、同時にサービス間における冷凍装置のより容易な取り外しおよび交換が可能となることを保証する。
【0004】
図1は、従来技術に従ったMRIシステムのための超電導磁石の収容に適したクライオスタット10を例示している。超電導磁石システム(図示せず)は、通常、磁場を生成するための超電導巻線のセット、当該超電導巻線を入れている極低温流体容器12、極低温流体容器12を完全に取り囲む1ないしは複数の熱シールド23(図1には図示せず)、および当該1ないしは複数の熱シールドならびに極低温流体容器12を完全に封入する真空ジャケット14を包含する。均質な磁場が、磁石のボア13内に位置する軸方向イメージング領域内に生成される。
【0005】
極低温流体容器12に掛かる熱負荷、したがって冷却剤、たとえば液体ヘリウム(図1には図示せず)の損失を下げるために冷凍装置16を使用して蒸発損により熱シールド23を低温まで冷却する方法が一般的に実践されている。また、冷凍装置16を使用して冷却剤容器12を直接冷却し、それによって冷却剤流体の消費を低減もしくは排除することも知られている。いずれの場合においても、冷凍装置と冷却される対象の間における良好な熱接触を達成する必要がある。低温で良好な熱接触を達成することは難しく、熱シールドにおいて加圧接触を使用すれば適切な熱接触を達成できるが、冷却剤容器12内の冷却剤を再凝縮させるために必要な非常に低い温度で所望の熱接触を達成することはさらに難しくなる。サービスのために冷凍装置16が取り外し可能である必要があることから、熱接触も取り外し可能である必要があり、しかも同等に有効な熱接触を伴って冷凍装置が交換できなければならない。
【0006】
冷却剤の凝縮は、冷凍装置と冷却される冷却剤の間の熱接触の良好な手段を提供する。したがって、冷却剤容器12が冷却されることになる場合には、図1に示されているとおり、冷凍装置16の容器冷却部18を冷却剤ガス容積内に配置すればよい。このことは、冷凍装置の容器冷却部18が冷却剤ガスによって取り囲まれることを意味する。冷凍装置の容器冷却部18とガスの間における接触は、非常に簡単に効率的に行われる。しかしながら、このような配置では、冷却剤ガス内の対流がより高い温度領域からより低い温度領域へ熱を伝導し、その結果としてシステムの冷部分に熱負荷を加えることのないように冷凍装置をほぼ垂直に保持しなければならないことが求められる。
【0007】
冷却剤容器12内の液体冷却剤が超電導磁石を適切に冷却するための特定のレベルに維持されること、および液体冷却剤を含んだまま磁石システムを運転サイトに運搬できるように、また超電導磁石がその動作温度に、あるいは少なくともその近傍にとどまるように適切な冷却剤のリザーバを提供することが望ましい。冷凍装置の容器冷却部が液体の表面より下にあると凝縮が働かないことから、冷却剤容器に関して凝縮部分が可能な限り高くなるように冷凍装置がマウントされることが望ましい。この種のインターフェースの具体化を図2に略図的に示す。
【0008】
図2は、垂直アクセスタレット20内に取り外し可能にインターフェースされる冷凍装置を示している。欧州特許出願第EP0260036号は、この種のインターフェースについて述べている。このアクセスタレット20は、部分的に、または全体を通常導体もしくは高温超電導体とすることのできる磁石の主電流接続22を含めた磁石システムへのサービスのためのアクセスも提供する。
【0009】
図2に示されているとおり、冷却剤容器12と真空ジャケット14の間に真空26が存在する。熱シールド23は、この真空の中にある。冷凍装置16は、インターフェース40内に配置される。例示の実施態様における冷凍装置は、2段式冷凍装置である。冷凍装置の第1段は第1段の管42内に収容され、第2段は第2段の管48内に収容される。第1段のコールドエンドは、接続フランジ46によって冷凍装置のインターフェースを介して熱シールド23と熱的に接続される。第2段のコールドエンド18は、冷却剤容器12の内側に露出される。
【0010】
磁石近傍の磁性材料は、磁石を取り囲む磁場によって磁化され、その磁化が磁石のボア13内に位置する軸方向イメージング領域内のイメージングフィールドBiの均質性および大きさに影響を与えることになる。固定された磁性材料の場合には、イメージングフィールドBiの擾乱を、シミングとして知られる、イメージング領域内に擾乱された磁場の効果を相殺する追加の磁場が作られるプロセスによって補償することができる。磁石の近傍内に移動する磁性材料が存在する場合には、シミングによる補償が不可能であり、イメージングフィールドBiが擾乱され、その結果としてMRIイメージの劣化がもたらされる。
【0011】
その種の時間的に変動する干渉を最小限に抑えることが明らかに望ましい。図1に示されているような磁石システムを遮蔽するための従来手段は、次のような構成を含む。磁石システム10の周囲のファラデー・ケージは、ケージの外側で発生した高周波干渉からシステムを遮蔽することができる。磁気的に柔らかいスチール・ケージが、ケージの外側で発生した低周波磁場干渉を低減することになる。
【0012】
特定タイプの冷凍装置16は、蓄冷器材料等の磁性材料を含み、それが冷凍装置の運転中に振動する。周知のシステムにおいては、図1に例示されているとおり、この振動が冷凍装置の軸24に沿っており、それが円筒状のクライオスタットの半径方向になる。それらの冷凍装置がMRIシステムの冷却に使用されるとき、それらが磁石の近傍に、かつ通常はクライオスタット10の真空ジャケット14上もしくは部分的にその内側となり、したがって前述の従来手段によって遮蔽することは不可能となる。本発明は、磁気イメージングフィールドBiの均質性に対するその種の冷凍装置の有害な影響の低減をねらいとする。図1に示されている等磁場線19は、等しい磁場強度の表面を表す。図1からわかるように、軸24に沿った磁性材料の動きは、多くの等磁場強度の表面を横切ることになる。
【0013】
冷凍装置16は機械的なデバイスであり、したがって摩損を受ける。冷凍装置は、適切な性能を維持するために定期的なサービスが必要であり、特定時間の経過後は交換しなければならない。冷凍装置の重量は20kgにも達し、インターフェース・タレット20から持ち上げて外に出さなければならない。従来技術に従った標準的な冷凍装置インターフェースは、図1に例示されているとおり、磁石システムのトップに向かって冷凍装置を嵌め込む。このことは、冷凍装置をそのインターフェースから取り外すために技術者がクライオスタットの本体の上に到達しなければならないことから、サービスのための冷凍装置の取り外しがやっかいなものとなることを意味する。MRI磁石の運転サイトは、システムのトップとシステムを収容する部屋の天井の間にクリアランスがあまりなく、そのため冷凍装置の取り外しならびに交換がやりにくいことがしばしばである。この操作が一人で、ツーリングを用いることなくできることが望ましい。したがって、インターフェースの位置がサービス操作を容易にするようなものであることが望ましい。
【0014】
MRI磁石システムは、液体ヘリウム等の極低温流体の消費を抑えるか、排除するために冷凍装置16を使用して冷却剤容器12上への熱負荷を低減する。冷凍装置は、サービスおよび交換を可能にするために磁石システムから取り外し可能でなければならず、通常は、スリーブとも呼ばれるソックス(20)内に挿入され、それが熱を伝導する態様で冷凍装置と磁石システムをインターフェースする。従来の実施形態では、システム10のトップに向かって冷凍装置のインターフェース20を設置し、冷凍装置の軸24を、円筒状の磁石システムの軸に向かって半径方向に指向させる。
【0015】
米国特許第5,782,095号は、冷却剤再凝縮超電導磁石システムについて述べており、それにおいては磁気干渉を最小化するために冷凍装置がほぼ水平に配置される。冷凍装置の軸24は、円筒状の磁石の軸と実質的に平行になる。しかしながら、ほとんどの極低温冷凍装置は、垂直もしくは略垂直の向きにおいてもっとも効率的に動作することがわかっている。
【0016】
本発明は、周知のシステムの欠点の少なくともいくつかを取り除き、もって付随する特許請求の範囲に規定された装置および/または方法を提供する。
【0017】
上記の、およびそのほかの本発明の目的、特徴、および利点については、以下の例示の手段としてのみ与えられている特定の実施態様の説明を添付図面とともに参照することによってより明らかなものとなろう。
【0018】
従来技術は、冷凍装置の軸が円筒状磁石システムの半径方向に沿って垂直方向を指すようにそれを保持する冷凍装置のインターフェースを提供する。したがって冷凍装置の磁性材料が半径方向24内を移動し、多くの等磁場線19を横断し、そのためイメージングフィールドBiに対する大きな擾乱効果を有する。
【0019】
本発明によれば、図3に例示したとおり、冷凍装置のインターフェースが磁石システム30の側方に移動されている。好ましい実施態様においては、冷凍装置16が垂直からわずかに、たとえば垂直から20°までの範囲内で傾けられ、その結果、軸24が、したがって磁性部品の動きが、円筒状のクライオスタット30の軸Aに垂直かつそれを中心とする円32の実質的に接線方向となる。
【0020】
図3に示されているとおりの磁石システムの側方における冷凍装置およびそのアクセスタレット34の配置は、通常は限られたアクセス空間内において技術者がシステムのトップに手を伸ばし、さらにはその上への這い登ることさえ余儀なくされていた状態がなくなるため、サービスのための冷凍装置16の取り外しを容易にする。
【0021】
さらに、図3に示されているとおりの磁石システムの側方における冷凍装置およびそのアクセスタレット34の配置は、可動磁性部品をイメージングフィールドBiからより遠くに移動し、その結果イメージングフィールドBiの均質性に対する、したがって最終的なイメージに対するそれらの影響が低減される。冷凍装置の軸24に沿った磁性材料の動きが、実質的に接線に沿った方向になるということは、イメージングフィールドBiからの可動磁性材料の距離が、冷凍装置のすべての動作ポジションについてほぼ一定になるため、可動磁性部品の干渉がさらに抑えられることを意味する。可動磁性材料が多くの等磁場線19を横断することがなくなり、干渉が有意に抑えられる。
【0022】
図3は、冷凍装置16およびインターフェース40の位置決めの概略図を示している。インターフェースの詳細は、図2に示されているものに似ている。インターフェースの上端は、外側の真空ジャケット14に取り付けられる。好ましい実施態様においては、ヘリウム移送パイプ36が、インターフェースのボトムの凝縮チャンバを冷却剤容器12の内側に接続する。図3から、磁性冷凍装置部品の動きの軸24が、円筒状のクライオスタット30の軸A上に中心を置く円32の実質的に接線方向となることが明らかである。このインターフェースは、垂直からわずかに、たとえば垂直から20°までの範囲内で傾けて、磁性部品の動きの軸24をさらに接線に沿わせることができる。冷凍装置の軸を真の接線の方向まで傾けることはできるが、その種の傾き角度を20°までとすることが望ましい。
【0023】
本発明によれば、冷凍装置の軸が、冷凍装置の長さにわたって実質的に、円筒状のクライオスタットの軸A上に中心を置く円の接線に沿うように配置される必要がある。冷凍装置の軸は、実質的にその円の平面内となり、かつ冷凍装置の軸は、円筒状のクライオスタットの軸に沿った略中間の平面内に位置する。この配置の利点は次のとおりである。本発明において記載されているような磁石を収容する円筒状クライオスタットは、通常、クライオスタットの両端近傍に遮蔽コイルを備え、その位置は主界磁コイルよりクライオスタットの外側表面に近い。これらの遮蔽コイルの近傍においては局所的磁場が比較的高く、磁場の勾配が比較的急である。本発明に従い、円筒状クライオスタットの軸に沿った略中間の平面内に冷凍装置を配置することによって、クライオスタットに関して冷凍装置が対称に、かつ遮蔽コイルから可能な限り遠くに配置されることが可能になる。このように磁場が最小であり磁場勾配がもっとも緩い領域内に冷凍装置を配置することによって、イメージング・プロセスに残存する冷凍装置の干渉が最小化されることになる。さらに最低可能磁場の領域内に冷凍装置を配置することによって、冷凍装置のコンポーネントに対する引力または斥力が低減される。これはまた、本発明によって規定されるとおりに配置されたときに冷凍装置の摩損の低減および、より効率的な動作をもたらす。好ましくは冷凍装置が、その軸を略垂直に、もしくはそれを垂直から20°までの範囲の少なくとも内側にして配置される。
【0024】
この種の冷凍装置の向きは、冷凍装置の効率的な動作に役立ち、冷凍装置の可動部品の摩損を回避する。このほかの、実質的な水平さえも含めた角度で冷凍装置を配置することも知られているが、それらの向きは冷凍装置の効率を下げ、摩損を増加させる。この冷凍装置の好ましい向き、すなわち円筒状クライオスタットに沿った略中間の、略垂直の姿勢は、冷凍装置のサービスならびに交換のための特に良好なアクセスを提供する。
【0025】
図4は、インターフェース40をさらに詳細に示している。このインターフェースの上側の薄い壁に囲まれた管42は、室温フランジ44と第1段の接続フランジ46の間を接続する。下側の薄い壁に囲まれた管48は、ベース50とともに、冷凍装置の第2段用のエンクロージャに、再凝縮器52周囲のガス循環のための適切な空間を提供し、その結果、効率的に再凝縮が生じることができる。ベース50をヘリウム容器に接続するパイプ36は、その下側エッジが再凝縮器のベースより下となるように取り付けられ、かつ液体がヘリウム容器内に流れるように下側に向かって角度が付けられている。パイプ36は充分に長く、かつ好ましくは柔軟であり、特定の実施態様においては、部分的に、あるいは完全に巻き込まれて柔軟性が増加され、移送の間におけるインターフェース40と冷却剤容器12の間の動きに適応する。管36は、液体が冷却剤容器12内に流れ込み、同時に蒸気が再凝縮器内へ戻ることを可能にする充分な大きさである。室温フランジ44、上側の管42ならびに下側の管48、接続フランジ46、ベース50、および冷却剤容器12に対する接続を伴う管36は結合されて、外側の真空ジャケット14と冷却剤容器シェル12の間に囲まれる真空に関して漏れ止めアッセンブリ40を構成する。結合は、ろう付けまたは溶接により行うのが適当である。
【0026】
薄い壁に囲まれた管42および管48は、低い熱伝導度を有するように好ましくはステンレス・スチールから作られる。第1段の接続フランジ46は、好ましくは伝導度の高い銅から作られ、良好な熱伝導度を有する。パイプ36は、ヘリウム容器に対する接続を容易にするために好ましくはステンレス・スチールから作られる。このほかの所望の特性を有する材料がこれらのコンポーネントに使用されることもある。
【0027】
薄い壁に囲まれた管42および管48は、冷凍装置16の外側の上側および下側の管に対して近接して設けられ、これらの管と冷凍装置の間に綴じ込まれるガスを介して、またこれらの管自体を介して第1段ならびに再凝縮器に伝達される熱の量が抑えられるように作ることが好ましい。薄い壁に囲まれた管48の下側部分を広げ、再凝縮のためのより好ましいガス循環を得るために再凝縮器に対してより大きなクリアランスを作ることも可能である。
【0028】
接続フランジ46は柔軟なリンク54によって熱シールド23に接続されており、当該リンクは、ボルト締めもしくは溶接またはそのほかの良好な熱接続によって接続フランジ46および遮蔽23と熱的に接続されるのが適当である。また熱シールド23は、インターフェース40の低温領域を高温の輻射から遮蔽するようにフランジ46に接続されている。
【0029】
凝縮器52は、凝縮のための表面積が増加するように好適に溝が刻まれている。これらの溝は、好適に垂直方向に走っており、その結果、凝縮の流れが高められる。
【0030】
高電流電気リンク56は、冷却剤容器12からインターフェースのベース50までを接続している。特定の磁石システム(たとえば英国特許公報第GB2386676号に述べられているシステム)に使用されているアクセスタレット構成においては、磁石電流の戻りパスがクライオスタットを通ることがあり、その場合には電流が柔軟な管36内を通ることが可能になり、望ましくない熱を発生する。電気リンク56は、この点において代替低抵抗電気パスを提供して管36の発熱を防止するべく提供される。
【0031】
図5は、インターフェースに対する冷凍装置のシーリングおよび接続フランジ46に対する接続をより詳細に示している。室温フランジ44は、リング66を含む。トップ・フランジ58は、真空気密な態様で外側真空ジャケット14に接続されており、リング66と緊密に嵌り込むステップ60を含む。Oリング64が、フランジ58およびリング66の滑らかに機械加工された面に対してリング66によって圧迫されており、漏れ止めシールを形成している。リング66は、多数のねじ68によってフランジ58に締め付けられている。冷凍装置16は、インターフェース40内に、ディスク・スプリング72等の引っ張り手段を有することのできる多数のねじ70によって保持されている。
【0032】
フランジ58と外側の真空ジャケット14の間の接続は、欧州特許第EP0260036号の中で明らかにされているとおり、冷凍装置のインターフェースと室温フランジ44の間における振動分離の手段を構成することもできる。
【0033】
冷凍装置と接続フランジ46の間における熱接続は、多くの方法で構成することができるが、図5にはその1つが示されている。高伝導度材料の、通常は銅のテーパ・エレメント74が、冷凍装置の第1の熱ステージ76に熱的に取り付けられており接続フランジ46内の対になるテーパと熱接触を構成し、このテーパ接触に作用する軸方向の力によって接触が達成されている。テーパの角度は、良好な熱接触を達成するために接触面の間に高い圧力を与えるように選択されるが、2つのテーパが互いにロックしてサービスのための冷凍装置の取り外しが不可能になるほど浅くはしない。このほかの取り外し可能な熱接続も可能であり、特に、欧州特許第EP0260036号の中で開示されているようなインジウム金属座金を用いた平坦面の間の加圧接触、あるいは表面の間の適切なグリスにより増加された平坦面またはテーパ付きの面の間の加圧接触、またはそのほかの柔らかい、変形して良好な熱接触をもたらす材料による加圧表面の拡大が挙げられる。
【0034】
図6は、薄い壁に囲まれた管48に径が広げられた拡張部78を有する、再凝縮のためのガス流を促進するインターフェースの再凝縮器端部を示している。薄い壁に囲まれた管48の上側部分の近接は、管48と冷凍装置の第2ステージ82の間に包含されるガス80を介した熱伝導を低減する。小さくなった管の直径は、再凝縮器に熱を伝達する管の断面を縮小する。しかしながら管48の内径には、サービスのために冷凍装置16が取り外しできるように凝縮器52の通過を可能にする充分な大きさが必要である。
【0035】
図7は、冷凍装置の凝縮器52を冷却剤容器12に接続する手段に関する別の変形を示している。この変形において凝縮器52は、冷却剤容器12内にある。短い垂直の管84が冷却剤容器12の側方にセットされる。この実施態様においては、薄い壁に囲まれた管48が柔軟な部分86を含み、真空ジャケット14に関する冷却剤容器12の可能性のある相対的な動きに適応する。
【0036】
非常に低い温度の冷却のために使用される冷凍装置は、磁性材料を含む。冷凍装置の運転中におけるそれらの磁性材料の動きは、MRIイメージを劣化させる。冷凍装置のインターフェースを、その高さを保持しつつシステムの側方に移動することは、冷凍装置を磁石のボア内に形成される軸方向イメージング領域から冷凍装置をより遠くに、しかも冷凍装置の軸をより接線に沿わせることを可能にし、その結果、MRIイメージに対する干渉が減少され、かつより容易な冷凍装置のサービスが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】従来技術に従った、インターフェース・スリーブ内に収容された冷凍装置を含むクライオスタットを示した説明図である。
【図2】図1に示されている冷凍装置ならびにそのインターフェースをさらに詳細に示した説明図である。
【図3】本発明の実施態様に従って修正された図1に類似のクライオスタットを示した説明図である。
【図4】図3に示されている冷凍装置ならびにそのインターフェースを詳細に示した説明図である。
【図5】冷凍装置の上側部分のスリーブへの機械的な組み立ての詳細を示した説明図である。
【図6】冷凍装置の下側部分のスリーブへの機械的な組み立ての詳細を示した説明図である。
【図7】本発明の別の実施態様に従った冷凍装置の下側部分のスリーブへの機械的な組み立ての別の詳細を示した説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 クライオスタット;磁石システム
12 極低温流体容器;冷却剤容器;冷却剤容器シェル
13 ボア
14 真空ジャケット
16 冷凍装置
18 容器冷却部;第2段のコールドエンド
19 等磁場線
20 アクセスタレット
22 主電流接続
23 熱シールド
24 冷凍装置の軸
26 真空
30 クライオスタット;磁石システム
32 円
34 アクセスタレット
36 ヘリウム移送パイプ
40 インターフェース
42 第1段の管
44 室温フランジ
46 第1段の接続フランジ
48 第2段の管
50 ベース
52 再凝縮器
54 リンク
56 高電流電気リンク
58 フランジ
64 Oリング
66 リング
68 ねじ
70 ねじ
72 ディスク・スプリング
74 テーパ・エレメント
76 第1の熱ステージ
80 ガス
82 第2ステージ
84 管
86 柔軟な部分
A クライオスタットの軸
Bi イメージングフィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向イメージング領域を画定する実質的に円筒状のクライオスタットであって、前記クライオスタットは、使用時に実質的に均質の磁場を前記イメージング領域内に提供する磁石を収容し、さらに、前記クライオスタットの特定の部材を冷却するために設けた冷凍装置を備え、前記冷凍装置は、運転中に前記冷凍装置の軸に沿って振動する磁性材料を備えるクライオスタットにおいて、
前記冷凍装置の軸は、前記冷凍装置の長さ内において、前記円筒状のクライオスタットの軸に垂直かつその軸上に中心を置く円の実質的に接線方向にあり、かつ前記円は、前記円筒状のクライオスタットの軸に沿った略中間に位置し、さらに前記冷凍装置は、前記クライオスタットの側方に配設されることを特徴とするクライオスタット。
【請求項2】
前記冷凍装置の軸が実質的に前記円の平面内にあることを特徴とする請求項1に記載のクライオスタット。
【請求項3】
前記冷凍装置の軸が垂直から20°までの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載のクライオスタット。
【請求項4】
前記冷凍装置の軸が実質的に垂直であることを特徴とする請求項3に記載のクライオスタット。
【請求項5】
実質的に添付図面の図3〜7に記述され、および/または例示されていることを特徴とするクライオスタット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−500712(P2008−500712A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513737(P2007−513737)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005155
【国際公開番号】WO2005/116516
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(505409214)シーメンス マグネット テクノロジー リミテッド (33)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】