説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】プロセスカートリッジに装着された帯電ロールクリーナの交換によるコストや廃棄物の増加を防ぐと共に、保管中の帯電ロールクリーナの接触による帯電ロールのニップ跡の発生を防止する。
【解決手段】画像形成装置本体11に対してプロセスカートリッジ52が着脱可能に配設されている。プロセスカートリッジ52内には、感光体ドラム12と帯電ロール12が含まれており、帯電ロール14の周面の一部が長手方向に露出している。プロセスカートリッジ52には、帯電ロール14の表面をクリーニングするクリーニングロール100は含まれず、クリーニングロール100のシャフト101が画像形成装置本体11内の軸受部材104の案内溝106に支持されている。プロセスカートリッジ52の装着時には、帯電ロール14のシャフト15が案内溝106に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の表面を帯電させる帯電ロールをクリーニングするクリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に係り、特に帯電ロールを備えたプロセスカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能としたクリーニング装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用したものが多用されてきたが、コロナ放電現象を利用した帯電装置では、オゾンや窒素酸化物が発生する場合がある。これに対して、導電性の帯電ロールなどを感光体に直接接触させて感光体の帯電を行う接触帯電方式はオゾンや窒素酸化物の発生が大幅に少なく、電源効率も良いことから、最近では主流となっている。
【0003】
このような接触帯電方式の帯電ロールを用いた画像形成装置では、例えば、帯電ロールに接触回転して帯電ロールのクリーニングを行う帯電ロールクリーナが配設されている。また、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジが設けられており、このプロセスカートリッジ内に感光体と帯電ロールと帯電ロールクリーナとを含む構成が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2000−162853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この帯電ロールクリーナの寿命は、プロセスカートリッジ内の他の部材の寿命よりも長いため、プロセスカートリッジの交換時期となっても帯電ローラクリーナの機能は十分に発揮できる状態にある。しかしながら、帯電ローラクリーナをプロセスカートリッジ内に収めてしまうと、十分機能できる帯電ローラクリーナもプロセスカートリッジと一緒に交換することになってしまい、コストや廃棄物の増加につながる。さらに、プロセスカートリッジの構成の複雑化にもつながる。
【0005】
また、帯電ローラに接触回転して帯電ローラの清掃を行う帯電ローラクリーナをプロセスカートリッジ内に含んだとき、画像形成装置本体に装着する前のスペアとしてのプロセスカートリッジにおいても帯電ローラと帯電ローラクリーナが常に接触することになり、帯電ローラにニップ跡が残り、画像ムラが生じることがある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、プロセスカートリッジに装着された帯電ローラクリーナの交換によるコストや廃棄物の増加を防ぐと共に、保管中の帯電ローラクリーナの接触による帯電ロールのニップ跡の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転駆動される像担持体と、前記像担持体の表面に接触して回転し、又は近接対向して前記像担持体を帯電させる帯電ロールと、を備えたプロセスカートリッジの前記帯電ロールをクリーニングするクリーニング装置であって、前記クリーニング装置は画像形成装置本体内に設けられ、前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに、前記帯電ロールの表面に接触する帯電ロールクリーナを有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、像担持体と帯電ロールとを備えたプロセスカートリッジが画像形成装置本体に着脱可能に装着される。画像形成装置本体内には、帯電ロールの表面をクリーニングする帯電ロールクリーナが設けられており、プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されると、帯電ロールクリーナが帯電ロールの表面に接触する。これにより、プロセスカートリッジを画像形成装置本体から離脱したときに、プロセスカートリッジと一緒に帯電ロールクリーナを交換する必要がなくなり、コストや廃棄物の増加が防止されると共に、プロセスカートリッジの簡略化・小型化が可能となる。また、帯電ロールクリーナがプロセスカートリッジに含まれないことから、プロセスカートリッジの保管中に帯電ロールと帯電ロールクリーナが接触せず、帯電ロールのニップ跡の発生が抑制され、画像ムラの発生が防止される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、前記帯電ロールおよび前記帯電ロールクリーナはそれぞれシャフトを有し、前記帯電ロールのシャフトと、前記帯電ロールクリーナのシャフトとの位置決めが可能な位置決め機構を有することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着したときに、位置決め機構によって、帯電ロールのシャフトと帯電ロールクリーナのシャフトとが位置決めされる。これによって、帯電ロールと帯電ロールクリーナとの位置関係がばらつくことが抑制され、両者のニップ部が不均一となることがなく安定して帯電ロールをクリーニングすることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のクリーニング装置において、前記位置決め機構は、前記帯電ロールのシャフトを前記帯電ロールクリーナのシャフトに向かって案内する案内溝であることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、案内溝に帯電ロールのシャフトを挿入することによって、帯電ロールのシャフトが帯電ロールクリーナのシャフトに向かって案内される。このため、帯電ロールのシャフトと帯電ロールクリーナのシャフトとを容易に位置決めすることが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーナとの当接圧力を一定に保つ荷重調整機構を有することを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、荷重調整機構によって帯電ロールと帯電ロールクリーナとの当接圧力が一定に保たれる。これにより、帯電ロールクリーナの帯電ロールへの接触が安定し、帯電ロールクリーナのクリーニング性能を安定化させることが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーナとのニップ量を一定に保つニップ量保持機構を有することを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明では、ニップ量保持機構によって帯電ロールと帯電ロールクリーナとのニップ量が一定に保たれる。これにより、帯電ロールクリーナの帯電ロールへの接触が安定し、帯電ロールクリーナのクリーニング性能を安定化させることが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のクリーニング装置において、前記位置決め機構は、前記帯電ロールクリーナのシャフトを受ける軸受部材を支持する弾性部材を有することを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明では、帯電ロールと帯電ロールクリーナとの間に必要以上の当接圧力がかかった時に、軸受部材を支持する弾性部材によって余分な荷重が吸収される構成であり、常に一定の接触圧力を保持できる。また、帯電ロールクリーナのシャフトを軸受部材で受けるときに、軸受部材を支持する弾性部材によって帯電ロールクリーナのシャフトの接触による衝撃が吸収される。このため、帯電ロールクリーナや帯電ロールの損傷などの発生が防止される。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のクリーニング装置において、前記ニップ量保持機構は、前記帯電ロールのシャフトと前記帯電ロールクリーナのシャフトとの距離を一定に保つ間隔保持部材であることを特徴としている。
【0020】
請求項7に記載の発明では、帯電ロールのシャフトと帯電ロールクリーナのシャフトとの距離が間隔保持部材によって一定に保たれるので、帯電ロールと帯電ロールクリーナとのニップ量が一定に維持される。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置本体に装着した後、前記画像形成装置本体に配設された可動部の動きに応じて、前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーナとを接触させる接触機構を有することを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載の発明では、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着した後、接触機構に設けられた可動部の動きに応じて帯電ロールと帯電ロールクリーナとを接触させることが可能となる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のクリーニング装置において、前記接触機構は、前記帯電ロールクリーナを保持する保持部材を前記帯電ロール側へ移動させる移動手段と、前記可動部の動きを前記移動手段の移動動作に変換する昇降手段と、で構成されていることを特徴としている。
【0024】
請求項9に記載の発明では、可動部の動きが昇降手段によって移動手段の移動動作に変換され、移動手段によって帯電ロールクリーナを保持する保持部材が帯電ロール側へ移動する。これによって、保持部材がプロセスカートリッジに寄っていき、帯電ロールと帯電ロールクリーナとが接触する。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のクリーニング装置において、前記可動部は、前記画像形成装置本体のカバーの開閉に連動して回転することを特徴としている。
【0026】
請求項10に記載の発明では、画像形成装置本体のカバーを開閉することで、カバーの開閉に連動して可動部が回転する。可動部の回転によって保持部材が移動し、帯電ロールクリーナと帯電ロールとが接触する。カバーを開閉する動作に可動部の回転が連動するため、操作性が良い。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のクリーニング装置において、前記帯電ロールクリーナは、表面にスポンジ部材を用いることを特徴としている。
【0028】
請求項11に記載の発明では、帯電ロールクリーナは、表面にスポンジ部材を用いており、帯電ロールのニップ跡の発生が抑制される。
【0029】
請求項12に記載の発明に係る画像形成装置は、回転駆動される像担持体と、前記像担持体の表面に接触して回転し、又は近接対向して前記像担持体を帯電させる帯電ロールと、を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジと、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のクリーニング装置と、を備えることを特徴としている。
【0030】
請求項12に記載の発明では、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジに像担持体と帯電ロールが設けられており、画像形成装置本体にクリーニング装置の帯電ロールクリーナが設けられている。これによって、プロセスカートリッジを画像形成装置本体から離脱したときに、プロセスカートリッジと一緒に帯電ロールクリーナを交換する必要がなくなり、コストや廃棄物の増加が防止されると共に、プロセスカートリッジの簡略化・小型化が可能となる。また、帯電ロールクリーナがプロセスカートリッジに含まれないことから、プロセスカートリッジの保管中に帯電ロールと帯電ロールクリーナが接触せず、帯電ロールのニップ跡の発生が抑制され、画像ムラの発生が防止される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、プロセスカートリッジと一緒に帯電ロールクリーナを交換する必要がなくなり、コストや廃棄物の増加を防止できると共に、プロセスカートリッジの簡略化・小型化を実現することができる。また、帯電ロールクリーナがプロセスカートリッジに含まれないことから、プロセスカートリッジの保管中に帯電ロールと帯電ロールクリーナが接触せず、帯電ロールのニップ跡の発生を防止でき、画像ムラの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1には、第1実施形態に係る4サイクル方式のフルカラーの画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10の内部には、中央よりもやや右上部に、感光体ドラム12が回転可能に配設されている。この感光体ドラム12としては、例えば、表面にOPC等よりなる感光体層が被覆された直径が約47mmの導電性円筒体からなるものが用いられ、図示しないモータにより、矢印方向に沿って約150mm/secのプロセススピードで回転駆動される。
【0034】
感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12の略真下に配置された帯電ロール14によって所定の電位に帯電された後、帯電ロール14の下方に配置された露光装置16によって、レーザービームLBによる画像露光が施され、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0035】
この感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器18Y、18M、18C、18Kが周方向に沿って配置された回転式現像器18によって現像され、所定の色のトナー像となる。
【0036】
このとき、感光体ドラム12の表面には、形成する画像の色に応じて、帯電・露光・現像の各工程が、所定回数だけ繰り返される。現像工程では回転式現像器18が回転し、対応する色の現像器18Y、18M、18C、18Kが、感光体ドラム12と対向する現像位置に移動する。
【0037】
例えば、フルカラーの画像を形成する場合、感光体ドラム12の表面には、帯電・露光・現像の各工程が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応して4回繰り返され、感光体ドラム12の表面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が順次形成される。トナー像が形成されるにあたって、感光体ドラム12が回転する回数は、画像のサイズに応じて異なるが、例えば、A4サイズであれば、感光体ドラム12が3回転することによって、1つの画像が形成される。つまり、感光体ドラム12の表面には、感光体ドラム12が3回転するごとに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したトナー像が形成される。
【0038】
感光体ドラム12上に順次形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、感光体ドラム12の外周に中間転写ベルト20が巻き付けられた一次転写位置において、中間転写ベルト20上に互いに重ね合わせた状態で一次転写ロール22によって転写される。
【0039】
この中間転写ベルト20上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像は、所定のタイミングで給紙される記録用紙24上に、二次転写ロール26によって一括して転写される。
【0040】
一方、記録用紙24は、画像形成装置10の下部に配置された給紙カセット28から、ピックアップロール30によって送り出されるとともに、フィードロール32及びリタードロール34によって1枚ずつ捌かれた状態で給紙され、レジストロール36によって中間転写ベルト20上に転写されたトナー像と同期した状態で、中間転写ベルト20の二次転写位置へと搬送される。
【0041】
中間転写ベルト20は、感光体ドラム12における回動方向の上流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップインロール38と、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール22と、ラップ位置の下流側にて中間転写ベルト20のラップ位置を特定するラップアウトロール40と、二次転写ロール26に中間転写ベルト20を介して当接するバックアップロール42と、中間転写ベルト20のクリーニング装置44に対向する第1のクリーニングバックアップロール46と、第2のクリーニングバックアップロール48と、によって所定の張力で張架されており、所定のプロセススピード(約150mm/sec)で循環移動するように、例えば、感光体ドラム12の回転に伴って従動される。
【0042】
ここで、中間転写ベルト20は、画像形成装置10の小型化を図るため、中間転写ベルト20が張架される断面形状が、偏平な細長い略台形状となるように構成されている。
【0043】
一方、中間転写ベルト20のクリーニング装置44は、第1のクリーニングバックアップロール46によって張架された中間転写ベルト20の表面に当接するように配置されたスクレーパ58と、第2のクリーニングバックアップロール48によって張架された中間転写ベルト20の表面に圧接するように配置されたクリーニングブラシ60とを備え、これらのスクレーパ58やクリーニングブラシ60によって除去された残留トナーや紙粉などは、クリーニング装置44の内部に回収されるようになっている。
【0044】
なお、クリーニング装置44は、揺動軸62を中心にして、図中反時計周り方向に揺動可能に配置されており、最終色のトナー像の二次転写が終了するまでは、中間転写ベルト20の表面から離間した位置に退避するとともに、最終色のトナー像の二次転写が終了すると、中間転写ベルト20の表面に当接するように構成されている。
【0045】
さらに、中間転写ベルト20からトナー像が転写された記録用紙24は、定着装置64へと搬送され、この定着装置64によって加熱及び加圧されてトナー像が記録用紙24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録用紙24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出トレイ68上にそのまま排出される。
【0046】
一方、両面プリントの場合には、定着装置64により第一面(表面)にトナー像が定着された記録用紙24を、排出ロール66によって排出トレイ68上にそのまま排出せずに、排出ロール66によって記録用紙24の後端部を狭持した状態で、排出ロール66を逆転させるとともに、記録用紙24の搬送径路を両面用の用紙搬送路70に切り替え、この両面用の用紙搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録用紙24の表裏を反転した状態で、再度、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送して、記録用紙24の第二面(裏面)にトナー像を転写する。そして、記録用紙24の第二面(裏面)のトナー像を定着装置64によって定着させ、記録用紙24を排出トレイ68上に排出する。
【0047】
さらに、画像形成装置10には、オプションによって、画像形成装置10の側面に手差しトレイ74が開閉自在に装着可能となっている。この手差しトレイ74上に載置された任意のサイズ及び種類の記録用紙24は、給紙ロール76によって給紙され、搬送ロール73及びレジストロール36を介して、中間転写ベルト20の二次転写位置へ搬送されることにより、任意のサイズ及び種類の記録用紙24にも画像を形成することが可能となっている。
【0048】
なお、トナー像の転写工程が終了した後の感光体ドラム12の表面は、感光体ドラム12が1回転する毎に、感光体ドラム12の斜め下方に配置されたクリーニング装置78のクリーニングブレード80によって、残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成工程に備えるようになっている。
【0049】
この画像形成装置10では、感光体ドラム12の下方部には、感光体ドラム12と接触するように帯電ロール14が配置されており、帯電ロール14の感光体ドラム12と反対側の下方部には、帯電ロール14の表面をクリーニングするクリーニング装置90が設けられている。このクリーニング装置90には、帯電ロール14の表面に接触する帯電ロールクリーナとしてのクリーニングロール100が設けられている。このクリーニングロール100は、帯電ロール14の回転に従動して回転するように構成されている。
【0050】
また、図2に示すように、画像形成装置10には、画像形成装置本体11に対して着脱可能なプロセスカートリッジ52が設けられている。プロセスカートリッジ52内には、感光体ドラム12と、帯電ロール14と、中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20を張架する複数のロール22、38、40、42、46、48と、中間転写ベルト20用のクリーニング装置44と、感光体ドラム12用のクリーニング装置78とが一体的に配設されている。また、プロセスカートリッジ52には、クリーニングロール100は含まれておらず、画像形成装置本体11にクリーニングロール100が装着されている。
【0051】
このような画像形成装置10では、画像形成装置本体11の上部カバー54を開き、プロセスカートリッジ52の上部に設けられた把手(図示省略)を手で持ち上げることにより、プロセスカートリッジ52を画像形成装置本体11から取り外して交換することができる。また、プロセスカートリッジ52を画像形成装置本体11に装着する際には、プロセスカートリッジ52を画像形成装置本体11の上部方向から挿入する構成となっている。
【0052】
図3には、画像形成装置本体11に装着されるクリーニング装置90の構成が示されている。図4には、画像形成装置本体11にプロセスカートリッジ52を装着したときの帯電ロール14とクリーニング装置90の構成が示されている。
【0053】
図4に示すように、プロセスカートリッジ52には、帯電ロール14の周面の一部が長手方向に露出する露出部52Aが形成されている。また、クリーニング装置90に設けられたクリーニングロール100は、画像形成装置本体11内で、画像形成装置本体11に装着されたプロセスカートリッジ52の露出部52Aと対向する位置に配設されている。
【0054】
図3に示すように、クリーニングロール100は、シャフト101の周囲にスポンジ層100Aが形成されたものである。シャフト101は、軸受部材104に形成された略U字状の開口からなる案内溝106に回転可能に支持されている。案内溝106の上部には、案内溝106の幅が徐々に拡大されたテーパー面106Aが形成されている。
【0055】
また、軸受部材104の下部と対向する位置に支持板108が配設されており、支持板108の両端部に上方に突出した突出部110が形成されている。突出部110には、軸受部材104に固着された支軸112が回動可能に支持されており、軸受部材104が支軸112を中心に図中の左右方向に揺動可能となっている。支持板108の下部には、画像形成装置本体11に固定された基台114との間に複数のコイルスプリング116が設けられている。例えば、コイルスプリング116は支持板108の4隅に4つ設けられている。
【0056】
また、軸受部材104の回動方向の両側には、画像形成装置本体11のフレーム119との間にコイルスプリング118がそれぞれ設けられている。このコイルスプリング118の弾性復元力によって、軸受部材104が回動したときに元の位置に復帰するような構成となっている。
【0057】
図4に示すように、帯電ロール14は、シャフト15の周囲に帯電層14Aが形成されたものであり、シャフト15がプロセスカートリッジ52のフレーム(図示省略)に回転可能に支持されている。
【0058】
ここで、クリーニングロール100の詳細について説明する。
【0059】
クリーニングロール100のシャフト101の材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用されており、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われてもよく、もちろんそのまま使用してもよい。また、クリーニングロール100は、スポンジ層100Aを介して帯電ロール14と適度なニップ圧力で接触するため、ニップ時に撓みのない強度を持った材質またはシャフト長に対して十分剛性をもったシャフト径が選択される。
【0060】
スポンジ層100Aは、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部(以下、セルという。)が存在し、弾性を有している。このスポンジ層100Aは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR、EPDM、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル、等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたものより選択される。これにより、多数のセルを有するスポンジ層100Aを安価に製造できる。スポンジ層100Aは、帯電ロール14との従動摺擦により外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、帯電ロール14の表面にスポンジ層100Aの擦れによるキズをつけないために、また、長期にわたり千切れや破損が生じないようにするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好ましく用いられる。
【0061】
ポリウレタンとして特に限定するものではなく、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルやアクリルポリールなどのポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートの反応を伴っていれば良く、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど鎖延長剤が混合されていることが好ましい。また、水やアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物などの発泡剤を用いて発泡させるのが一般的である。さらに必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えればよい。
【0062】
クリーニングロール100のセル数は40〜80個/25mmであることが好ましく、45〜75個/25mmであることがより好ましい。このようなセル数に設定することで、セルの中にトナーや外添剤などの異物を取り込みやすく、かつ取り込んだ外添剤などの異物を帯電ロール14、感光体ドラム12へ転移しやすくなる(この現象については後述する)。セル数が80個/25mmより多いとセル径が小さい為に外添剤の取り込み性が低下し、逆にセル数が40個/25mmより少ないとセル径が大きくなりすぎ、取り込んだ外添剤を帯電ロール14へ転移させる適度な大きさまで固めることが困難となる。
【0063】
また、クリーニングロール100の径はφ7mmからφ14mm、より好ましくはφ8mmからφ13mmで、スポンジ層100Aの肉厚が2mmから4mmであることが好ましい。直径が14mm以上であるとクリーニングロール100の周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が減り、またクリーニング回数が減るので、クリーニング性能に対する長期安定性には優れるものの小型化の観点から不利である。直径が7mm以下であると画像形成装置を小型化できるので優位であるが、周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が増え、またクリーニング回数が増えるので、長期安定性に対し不利となる。
【0064】
次に、帯電ロール14の詳細について説明する。
【0065】
帯電ロール14は、導電性のシャフト15上に帯電層14Aとして導電性弾性層、表面層が順次形成されたものである。
【0066】
帯電ロール14の径はφ7mmからφ15mm、より好ましくはφ8mmからφ14mmに設定されている。直径が15mm以上であると周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が減り、また放電回数が減るので、汚れや帯電性能に対する長期安定性には優れるものの小型化の観点から不利である。直径が7mm以下であると画像形成装置10を小型化できるので優位であるが、周面1箇所あたりの外添剤に接触する回数が増え、また放電回数が増えるので、長期安定性に対し不利となる。
【0067】
この帯電ロール14であるが、所定の帯電性能を有するものであれば以下の構成に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0068】
シャフト15の材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用され、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われている。
【0069】
帯電ロール14の帯電層14Aを構成する上記導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電材等の導電材、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカおよび炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性のシャフト15の周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。また、上記弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0070】
上記導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0071】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。
【0072】
帯電層14Aを構成する上記表面層は、トナー等の異物による汚染の防止のためなどに形成しているものであり、表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。このうち外添剤汚れの観点から、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好ましく用いられる。
【0073】
また上記表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整することができる。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが望ましい。また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。
【0074】
また、上記表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が用いられている。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが好ましい。また、表面層の中に微粒子を添加してもよい。これにより、表面層が疎水性となって帯電ロール14への異物の付着が防止されるように作用する。また、アルミナやシリカのような絶縁性の粒子を添加して、帯電ロール14の表面に凹凸を付与し、感光体ドラム12との摺擦時の負担を小さくして帯電ロール14と感光体ドラム12相互の耐磨耗性を向上させることも可能である。
【0075】
次に、上記構成の画像形成装置10の作用について説明する。
【0076】
図4に示すように、画像形成装置本体11にプロセスカートリッジ52を装着する際には、画像形成装置本体11に設けられた軸受部材104の案内溝106に沿って帯電ロール14のシャフト15を挿入する。案内溝106の上方には、案内溝106の幅が拡大されたテーパー面106Aが形成されており、シャフト15をテーパー面106Aに摺動させて挿入することができる。その際、軸受部材104が支軸112を中心に図中の左右方向に揺動可能であるので、シャフト15の挿入方向に向けて案内溝106が揺動する。このため、シャフト15を容易に挿入することができる。また、軸受部材104が揺動してもコイルスプリング118の弾性復元力によって軸受部材104が元の位置に復帰する。
【0077】
シャフト15を案内溝106に挿入すると、帯電ロール14の帯電層14Aとクリーニングロール100のスポンジ層100Aが接触する。その際、クリーニングロール100が帯電ロール14に所定の圧力で接触し、ニップ部が形成される。
【0078】
このような画像形成装置10では、クリーニングロール100が画像形成装置本体11に設けられているので、プロセスカートリッジ52と一緒にクリーニングロール100を交換することがなくなり、コストや廃棄物の増加を防止できると共に、プロセスカートリッジ52の簡略化・小型化が可能となる。また、クリーニングロール100がプロセスカートリッジ52に含まれないことから、プロセスカートリッジ52の保管中に帯電ロール14とクリーニングロール100が接触せず、帯電ロール14のニップ跡の発生を防止できる。これにより、画像ムラの発生を抑制できる。
【0079】
また、案内溝106に沿って帯電ロール14のシャフト15を挿入することで、シャフト15とクリーニングロール100のシャフト101とが位置決めされる。これにより、プロセスカートリッジ52を画像形成装置本体11に装着したときに、帯電ロール14とクリーニングロール100との位置関係がばらつくことを抑制でき、両者のニップ部が不均一となることを抑制できる。このため、公差のバラツキがあっても安定して帯電ロール14をクリーニングすることができる。
【0080】
また、軸受部材104の下部の支持板108がコイルスプリング116で支持されているので、帯電ロール14のシャフト15が挿入されるときの接触による衝撃が吸収される。また、帯電ロール14の自重とコイルスプリング116によって帯電ロール14とクリーニングロール100との当接圧力が調整されるので、公差のバラツキが吸収され、帯電ロール14とクリーニングロール100との当接圧力がほぼ一定に保たれる(定荷重方式)。このため、一定の圧力で帯電ロール14を安定してクリーニングすることができる。
【0081】
一方、図5に示すように、軸受部材104と支持板108との間に複数のコイルスプリング120を設けても良い。例えば、軸受部材104の底面の4隅にコイルスプリング120を設けることができる。これにより、帯電ロール14のシャフト15を案内溝106に挿入する際に軸受部材104が揺動しても、コイルスプリング120の弾性復元力によって軸受部材104が元の位置に復帰しやすくなる。
【0082】
また、図6及び図7に示すように、帯電ロール14のシャフト15の両端部に、帯電ロール14とほぼ同じ直径の間隔保持ロール130を設けると共に、クリーニングロール100のシャフト101の両端部に、クリーニングロール100の直径よりやや小さい(例えば直径が2mm小さい)間隔保持ロール132を設けることができる。プロセスカートリッジ52を画像形成装置本体11に装着したとき、すなわち、帯電ロール14のシャフト15を軸受部材104の案内溝106に挿入したとき、帯電ロール14の間隔保持ロール130が間隔保持ロール132に接触することで、帯電ロール14とクリーニングロール100とのニップ量が一定に保たれる(定変位方式)。これにより、クリーニングロール100による帯電ロール14のクリーニング性能を安定させることができる。また、公差のばらつきは、軸受部材104の支持板108を支持するコイルスプリング116で吸収することができる。
【0083】
なお、図6及び図7の構成に代えて、帯電ロール14の直径より間隔保持ロール130の直径を小さくしたり(例えば2mm小さくする)、また、間隔保持ロール130と間隔保持ロール132の直径を帯電ロール14とクリーニングロール100の直径より小さくしても良い(例えば両者を1mm小さくする)。これにより、クリーニングロール100と帯電ロール14とのニップ量が一定に維持される(定変位方式)。
【0084】
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0085】
図8に示すように、この画像形成装置では、画像形成装置本体156に対して着脱可能なプロセスカートリッジ150が設けられている。このプロセスカートリッジ150の筐体151内には、感光体ドラム12と、この感光体ドラム12に接触する帯電ロール14が設けられている。筐体151には、帯電ロール14の周面の一部が長手方向に露出する露出部151Aが形成されている。さらに、筐体151内には、感光体ドラム12の表面をクリーニングするクリーニング装置152が設けられ、クリーニング装置152のクリーニングブレード154が感光体ドラム12の表面に当接している。
【0086】
このプロセスカートリッジ150には、帯電ロール14の表面をクリーニングするクリーニングロール100は設けられておらず、画像形成装置本体156にクリーニングロール100が設けられている。このクリーニングロール100は、画像形成装置本体156に装着されたプロセスカートリッジ150の露出部151Aと対向する位置に設けられており、露出部151Aから露出した帯電ロール14の周面とクリーニングロール100とが接触するように構成されている。
【0087】
図9に示すように、画像形成装置本体156には、保持部材としての本体側ユニット160が設けられており、本体側ユニット160にクリーニングロール100が支持されている。本体側ユニット160の上部にプロセスカートリッジ150が着脱可能に配置されている。プロセスカートリッジ150は、画像形成装置本体156の開閉カバー158を開いて、図中の左方向から図示しないガイド部に沿って画像形成装置本体156内にスライドさせて装着する構成となっている。
【0088】
本体側ユニット160の下部には、画像形成装置本体156内で図示しないレールに沿って左右方向(図9中の矢印A方向)にスライド可能な移動手段としてのスライド部材162が配設されている。スライド部材162の上方に延設されたプレート部162Aの下部には、ギア部(ラック)164、166がスライド方向に並列に形成されている。
【0089】
開閉カバー158側のギア部164には、画像形成装置本体156に回転可能に支持されたギア168が噛み合っており、ギア168に可動部としてのハンドル170が固着されている。奥側のギア部166には、画像形成装置本体156に回転可能に支持されたギア172が噛み合っている。ギア172の回転軸には昇降手段としてのアーム174が固着されており、アーム174がギア172の回転と一体となって回転する。アーム174の先端には、L字状に折り曲げられた突出部174Aが形成されており、突出部174Aは、本体側ユニット160に左右方向に形成された長孔176に挿入され、長孔176内を移動可能となっている。
【0090】
また、スライド部材162の下方に延設されたプレート部162Bの上部には、ギア部(ラック)178が形成されている。ギア部178には、画像形成装置本体156に回転可能に支持されたギア180が噛み合っている。ギア180の回転軸には昇降手段としてのアーム182が固着されており、アーム182がギア180の回転と一体となって回動する。アーム182の先端には、L字状に折り曲げられた突出部182Aが形成されており、突出部182Aが本体側ユニット160に左右方向に形成された長孔184に挿入され、長孔184内を移動可能となっている。
【0091】
また、スライド部材162の奥側(ハンドル170と反対側)の端部には磁石186が設けられており、この磁石186と対向する画像形成装置本体156には磁石187が設けられている。スライド部材162が奥側(ハンドル170と反対側)に移動したときに磁石186と磁石187が吸着することで、スライド部材162の移動が規制される。
【0092】
このような画像形成装置では、開閉カバー158を開放し、画像形成装置本体156のガイド部(図示省略)に沿ってプロセスカートリッジ150を装着した後、ハンドル170を上方(矢印B方向)に回動させる。すると、ハンドル170と繋がったギア168が矢印C方向に回転し、それによってギア168と噛み合ったギア部164を備えたスライド部材162が矢印A方向に移動する。スライド部材162が矢印A方向に移動すると、ギア部166と噛み合ったギア172が矢印D方向に回転すると共に、ギア部178と噛み合ったギア180が矢印E方向に回転する。そして、図10に示すように、ギア172の矢印D方向の回転と共にアーム174が回動し、ギア180の矢印E方向の回転と共にアーム182が回動し、アーム174の突出部174Aが長孔176を移動すると共に、アーム182の突出部182Aが長孔184を移動して本体側ユニット160を押し上げる。これによって、本体側ユニット160がプロセスカートリッジ150へと近接し、クリーニングロール100が帯電ロール14に接触する。その後、開閉カバー158を閉止することで、プロセスカートリッジ150の画像形成装置本体156への装着が完了する。
【0093】
逆に、プロセスカートリッジ150と本体側ユニット160を離間させる際には、開閉カバー158を開放した後、上がっているハンドル170を降ろせばよい。これにより、ギア168が矢印Cと逆方向に回転し、スライド部材162が図中の左方向(矢印Aと逆方向)に移動し、ギア172、180が図10と逆方向に回転する。ギア172、180の回転により2本のアーム174、182が回動し、本体側ユニット160を押し下げる。これによって、プロセスカートリッジ150の帯電ロール14と本体側ユニット160のクリーニングロール100とが離間され、プロセスカートリッジ150の交換を容易に行うことができる。
【0094】
なお、本実施形態では、ハンドル170の回転動作によってスライド部材162を移動させたが、回転動作に限定するものではなく、可動部の動きに応じてスライド部材162を移動させる構成であれば、適宜に設定可能である。
【0095】
次に、本発明の第3実施形態の画像形成装置について説明する。なお、第1及び第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0096】
図11に示すように、この画像形成装置では、ギア168に連結されたハンドル190の先端に直角方向にピン191が設けられている。また、画像形成装置本体156の開閉カバー192の内側には、上下方向に突片194が設けられており、突片194の上下方向にスライド孔196が形成されている。ハンドル190の先端のピン191はスライド孔196にスライド可能に係止されており、開閉カバー192の開閉に伴ってピン191がスライド孔196をスライドする構成となっている。また、画像形成装置本体156の上方部には、開閉カバー192を閉止したときに開閉カバー192をロックするストッパ198が設けられている。
【0097】
このような画像形成装置では、画像形成装置本体156にプロセスカートリッジ150を装着した後、開閉カバー192を矢印F方向に閉止する。これにより、ハンドル190の先端のピン191がスライド孔196を上方に移動して、ハンドル190が上方に回動し、ハンドル190の回動と共にギア168が矢印C方向に回転する。ギア168の回転により、スライド部材162が矢印A方向に移動し、ギア172が矢印D方向に回転すると共に、ギア180が矢印E方向に回転する。これによって、図12に示すように、アーム174、182が起立して本体側ユニット160を押し上げ、プロセスカートリッジ150の帯電ロール14にクリーニングロール100が接触する。
【0098】
一方、開閉カバー192を開放すると、ハンドル190の先端のピン191がスライド孔196を下方に移動して、ハンドル190が下方に回動し、ハンドル190の回動と共にギア168が矢印Cと逆方向に回転する。ギア168の回転により、スライド部材162が矢印Aと逆方向に移動し、ギア172、180が図12と逆方向に回転する。これによって、図11に示すように、アーム174、182が回動して本体側ユニット160を押し下げ、プロセスカートリッジ150の帯電ロール14からクリーニングロール100が離間される。この状態でプロセスカートリッジ150を容易に交換することができる。
【0099】
このような画像形成装置では、開閉カバー192の開閉動作に応じて、本体側ユニット160が下方又は上方に移動するので、帯電ロール14とクリーニングロール100の接触又は離間を簡単な操作によって行うことができる。
【0100】
なお、図9及び図10に示す画像形成装置では、本体側ユニット160をプロセスカートリッジ150側に移動させる構成であったが、この構成に限定するものではない。例えば、カムなどの移動手段を用いてプロセスカートリッジ150を本体側ユニット160に移動させ、プロセスカートリッジ150の帯電ロール14を本体側ユニット160のクリーニングロール100に接触させる構成とすることもできる。
【0101】
なお、図1に示す画像形成装置10は、回転式現像装置を用いて感光体ドラムへのトナー像の形成を4サイクル繰り返して行う構成であったが、この構成に限定するものではない。例えば、中間転写ベルトの移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ユニットを並設する構成であっても、本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジを画像形成装置本体から離脱させた状態を示す構成図である。
【図3】画像形成装置本体のクリーニングロールと案内溝付近を示す構成図である。
【図4】画像形成装置本体の案内溝にプロセスカートリッジの帯電ロールのシャフトを挿入した状態を示す構成図である。
【図5】図4に示すクリーニングロールと帯電ロール付近の変形例を示す構成図である。
【図6】図4に示すクリーニングロールと帯電ロール付近の他の変形例を示す構成図である。
【図7】図6に示すクリーニングロールと帯電ロール付近の斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジを示す構成図である。
【図9】図8に示すプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着する動作を示す構成図であって、帯電ロールとクリーニングロールが離間した状態を示す構成図である。
【図10】図8に示すプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着する動作を示す構成図であって、帯電ロールとクリーニングロールが接触した状態を示す構成図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着する動作を示す構成図であって、帯電ロールとクリーニングロールが離間した状態を示す構成図である。
【図12】図11に示すプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着する動作を示す構成図であって、帯電ロールとクリーニングロールが接触した状態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0103】
10 画像形成装置
11 画像形成装置本体
12 感光体ドラム(像担持体)
14 帯電ロール
15 シャフト
52 プロセスカートリッジ
52A 露出部
54 上部カバー
90 クリーニング装置
100 クリーニングロール(帯電ロールクリーナ)
101 シャフト
104 軸受部材
106 案内溝
106A テーパー面
108 支持板
110 突出部
112 支軸
116 コイルスプリング(荷重調整機構、弾性部材)
130 間隔保持ロール(ニップ量保持機構)
132 間隔保持ロール(ニップ量保持機構)
150 プロセスカートリッジ
151 筐体
156 画像形成装置本体
158 開閉カバー
160 本体側ユニット(保持部材)
162 スライド部材(移動手段)
168 ギア
170 ハンドル(可動部)
172 ギア
174 アーム(昇降手段)
176 長孔
180 ギア
182 アーム(昇降手段)
184 長孔
190 ハンドル(可動部)
191 ピン
192 開閉カバー
194 突片
196 スライド孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される像担持体と、
前記像担持体の表面に接触して回転し、又は近接対向して前記像担持体を帯電させる帯電ロールと、を備えたプロセスカートリッジの前記帯電ロールをクリーニングするクリーニング装置であって、
前記クリーニング装置は画像形成装置本体内に設けられ、
前記プロセスカートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに、前記帯電ロールの表面に接触する帯電ロールクリーナを有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記帯電ロールおよび前記帯電ロールクリーナはそれぞれシャフトを有し、前記帯電ロールのシャフトと、前記帯電ロールクリーナのシャフトとの位置決めが可能な位置決め機構を有することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記位置決め機構は、前記帯電ロールのシャフトを前記帯電ロールクリーナのシャフトに向かって案内する案内溝であることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーナとの当接圧力を一定に保つ荷重調整機構を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーナとのニップ量を一定に保つニップ量保持機構を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記位置決め機構は、前記帯電ロールクリーナのシャフトを受ける軸受部材を支持する弾性部材を有することを特徴とする請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記ニップ量保持機構は、前記帯電ロールのシャフトと前記帯電ロールクリーナのシャフトとの距離を一定に保つ間隔保持部材であることを特徴とする請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記プロセスカートリッジを前記画像形成装置本体に装着した後、前記画像形成装置本体に配設された可動部の動きに応じて、前記帯電ロールと前記帯電ロールクリーナとを接触させる接触機構を有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記接触機構は、前記帯電ロールクリーナを保持する保持部材を前記帯電ロール側へ移動させる移動手段と、前記可動部の動きを前記移動手段の移動動作に変換する昇降手段と、で構成されていることを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記可動部は、前記画像形成装置本体のカバーの開閉に連動して回転することを特徴とする請求項9に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記帯電ロールクリーナは、表面にスポンジ部材を用いることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
回転駆動される像担持体と、前記像担持体の表面に接触して回転し、又は近接対向して前記像担持体を帯電させる帯電ロールと、を備え、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジと、
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のクリーニング装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−20693(P2008−20693A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192653(P2006−192653)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】