クローラ式作業車両
【課題】作業時にキャビンの外側端部よりも内側に収納可能、かつ収納時および使用時ともにキャビンのリヤガラス開閉を阻害しない位置にフラッシャランプを備え、安全性および作業性を向上させたクローラ式トラクタを提供する。
【解決手段】キャビン4のリヤガラス13を開閉しても、このリヤガラス13に接触することなく、キャビン4外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビン4の左右リヤフレーム100下部に固設した左右ステー101上に設けた左右摺動部材102上に、収納位置Bと、使用位置Aとの間で回動自在な左右フラッシャランプ105を備える。そして、フラッシャランプ105は、摺動部材104と、ステー101との間に設けたデテント機構103により、収納位置Bと、使用位置Aとで固定する。
【解決手段】キャビン4のリヤガラス13を開閉しても、このリヤガラス13に接触することなく、キャビン4外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビン4の左右リヤフレーム100下部に固設した左右ステー101上に設けた左右摺動部材102上に、収納位置Bと、使用位置Aとの間で回動自在な左右フラッシャランプ105を備える。そして、フラッシャランプ105は、摺動部材104と、ステー101との間に設けたデテント機構103により、収納位置Bと、使用位置Aとで固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両に関し、より詳細には、キャビンのリヤガラスを開閉しても、このリヤガラスに接触することなく、キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えることに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトラクタ(作業車両)には、例えば、エンジンフレームにエンジンが載置され、該エンジンはボンネットによって覆われており、該ボンネットの後部にはダッシュボードが配置される。また、該ダッシュボード上に操作パネルや操向ハンドルが配置され、その後方に座席が配置され、これらダッシュボードや座席等の運転部はキャビンによって覆われる。そして、該キャビンの前面にフロントガラス、側面にドアガラス、後面にリアガラスが取り付けられ、リアピラーの下部側面には方向指示器であるフラッシャランプが設けられる(特許文献1)ものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−175860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなトラクタ(作業車両)では、フラッシャランプがキャビンの外側端部よりも外方に固定して設けられているため、このフラッシャランプがキャビンの外側端部よりも内側に収納できず、作業中にフラッシャランプが枝などの障害物に接触して破損するなどの問題があった。また、このフラッシャランプを可倒式にしてキャビンの外側端部よりも内側に収納可能にしたとしても、キャビン後部のリヤガラスを開けたときにリヤガラスが収納したフラッシャランプに接触してしまい、リヤガラスの開閉を阻害するという問題もあった。
そこで、この発明の目的は、作業時にキャビンの外側端部よりも内側に収納可能、かつ収納時および使用時ともにキャビンのリヤガラス開閉を阻害しない位置にフラッシャランプを備え、安全性および作業性を向上させたクローラ式トラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両において、前記キャビンのリヤガラスを開閉しても該リヤガラスに接触することなく、前記キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、前記キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、前記収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクローラ式作業車両において、前記フラッシャランプは、前記摺動部材と、前記ステーとの間に設けたデテント機構により、前記収納位置と、前記使用位置とで固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両において、キャビンのリヤガラスを開閉しても該リヤガラスに接触することなく、キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えるので、作業時にはキャビンの外側端部よりも内側に収納させて枝など障害物への接触による破損を防ぎ、さらには収納時および使用時ともにキャビンのリヤガラス開閉の阻害を防止することができる。従って、安全性および作業性を向上させたクローラ式トラクタを提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、フラッシャランプは、摺動部材と、ステーとの間に設けたデテント機構により、収納位置と、使用位置とで固定するので、別途モータなどを設ける必要がなく、簡単な構成で手動操作によりフラッシャランプを回動させて定位置に固定することができる。従って、コストダウンを図ったクローラ式トラクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は本発明の一実施例に係るクローラ式トラクタの左側面図、図2は同トラクタの平面図、図3は駆動部の断面側面図、図4は駆動部の断面平面図である。
【0010】
まず、クローラ式トラクタ1の概略構成について説明する。図1に示すように、車両1前部には、エンジン3を覆い、前端にヘッドライト12を備えるボンネット2と、このボンネット2の後方には、ダッシュボード17後部のステアリングコラム16上に車両1の操行を司るステアリングハンドル9や運転席8などがそれぞれ配置されてなる車両1の操縦部を有するキャビン4が左右機体フレーム11上に配設される。そして、運転席8の左右には、車両1の走行や不図示の作業機の上げ下げなどを操作するための図示しない主変速レバー、副変速レバーおよびPTO操作レバーなどの各種レバーが配設される。
【0011】
さらに、キャビン4は、運転席8全体を覆うように屋根5や、フロントガラス14、リヤガラス13、サイドガラスドア15などから形成される。また、運転席8の両側部であって、キャビン4の外側には、左右燃料タンク6および左右フラッシャランプ105などが配設される。さらに、運転席8への昇降用のステップ10がキャビン4の下方に設けられるとともに、車両1の後方には、作業に応じて取り外し可能な前記作業機が取付けられ、この作業機によりプラウや、ロータリーなどの作業を行うものである。また、車両1の下部には車両1を走行させる左右一対のクローラ式走行装置80が配設される。
【0012】
クローラ式走行装置80は、進行方向に延設された左右クローラフレーム81および、このクローラフレーム81間を連結する2本のサイドフレーム79からなり、クローラフレーム81の前端に左右フロントアクスルケース82が固設され、この左右フロントアクスルケース82に支持された左右車軸89に左右駆動スプロケット60が支持される。また、クローラフレーム81の後端には、左右従動アイドラ85が回転自在に支持され、これら駆動スプロケット60と、従動アイドラ85との外周間をクローラベルト88が巻装されるとともに、駆動スプロケット60と、従動アイドラ85との前後間には、それぞれ4つのイコライザ転輪86が回転自在に支持される。
【0013】
以下、図3〜4を用いて、まず、クローラ式トラクタ1の走行および伝動系統について説明する。エンジン3の出力軸に、前後進切換機構21、主変速ギヤ変速機構22および副変速用ギヤ変速機構23、走行伝動軸24、差動機構25を介してクローラ式走行装置80の左右車軸89を連結させて車両1の走行を行うとともに、前後進切換機構21の前後進出力軸26にPTOクラッチ27、PTO変速用ギヤ変速機構28を介し、後ミッションケース30a後方に突出させるPTO出力軸29を連結させ、機体後方に装設させる作業機に動力が伝えられる。
【0014】
また、後ミッションケース30aとエンジン3との間の伝動ケース30bに、前後進切換機構21および主変速用ギヤ変速機構22を内設させ、前後進切換機構21の入力軸31をダンパ32を介して、エンジン3の出力軸に連結させるとともに、前後進切換機構21の前後進出力軸26に主変速用ギヤ変速機構22の主変速軸33が連結される。
【0015】
さらに、後ミッションケース30aの前部に副変速用ギヤ変速機構23および後ミッションケース30aの後部にPTO変速用ギヤ変速機構28を内設させ、主変速軸33に副変速用ギヤ変速機構23の副変速軸34を連結させ、副変速軸34後端に1対のベベルギヤ35を介して走行ブレーキ装置36のブレーキ軸37を連結させ、副変速軸34前端には中間軸38を介して走行伝動軸24の後端が連結される。
【0016】
次に、前ミッションケース30cには、左右遊星ギヤ機構39を備える差動機構25を内設させ、走行伝動軸24の前端にデフ入力軸40、ベベルギヤ41、遊星ギヤ入力軸42を介して左右遊星ギヤ機構39を連結させ、走行伝動軸24からの走行変速出力を左右遊星ギヤ機構39および遊星ギヤ出力軸43を介して左右車軸89に伝え、左右クローラ式走行装置80を略同一速度で同一方向に駆動して車両1を前進または後進走行させる構成とされる。
【0017】
また、機体を旋回させる旋回用の油圧変速機構(HST)の旋回用HSTポンプ44および旋回用HSTモータ45を分割配置させるもので、例えば、伝動ケース30bの右外側に旋回用HSTポンプ44を並設させ、主変速軸33前端に3つ1組の伝達ギヤ46を介して旋回用HSTポンプ44のポンプ軸を連結させて、主変速後の動力をポンプ軸に入力させるとともに、前ミッションケース30cの前面に旋回用HSTモータ45を固設させ、この旋回用HSTモータ45のモータ軸を左右逆転ベベルギヤ49および左右ギヤ軸50を介して左右遊星ギヤ機構39に連結させ、旋回用HSTポンプ44および旋回用HSTモータ45により変速する操向出力を、左右遊星ギヤ機構39を介して左右車軸89に伝えて、左右クローラ式走行装置80を略一定速度で駆動するとともに、主変速の変速段の走行速度に左右クローラ式走行装置80の回転差を比例させ、主変速の変速段を切換えても同じ旋回半径で左方向あるいは右方向に機体を旋回させる構成とされる。
【0018】
さらに、車両1のキャビン4内には、不図示のエアコンなどを備えることができる。この場合、エンジン3に前記エアコン駆動による負荷がかるため、このエンジン3の回転数を電子制御する不図示のコントローラが設けられる。このコントローラによって前記エアコンのそれぞれ図示しないコンデンサを冷却する冷却ファンの回転数を、エンジン3の回転数に比例する構成にし、前記コントローラは、エンジン3のアイドリング回転数を、前記エアコン停止時よりもエアコン作動時に上昇させ、前記コントローラが、不図示のコンプレッサの吐出冷媒圧力を検出する図示しない圧力センサにより検出された冷媒圧力の高さに比例するように、エンジン3のアイドルアップ時の回転数の高さを設定する構成にしてもよい。
【0019】
次に、本願発明であるフラッシャランプについて、その具体的構成を説明する。図5は、トラクタの正面図、図6は、キャビン左側に有する使用位置でのフラッシャランプ付近の背面図、図7は使用位置のフラッシャランプ付近の側面図、図8は回動部の側面断面図、図9はデテント機構の平面模式図、図10はデテント機構の拡大斜視図、図11はフラッシャランプの回動を示す平面模式図、図12はストッパーを設けたデテント機構の平面模式図である。
【0020】
図5〜7に示すように、キャビン4後部の左右燃料タンク6上方であって、キャビン4を支える左右リヤフレーム100下部の外側部に、側面視略コ字の金属からなる左右ステー101の一端部が固設される。この左右ステー101の外側端部は、左右燃料タンク6の外側端部の位置に略等しい位置に設けられる。
【0021】
次いで、左右ステー101の外側端部近傍の上方には、左右回動部102および後述する左右デテント機構103を介して側面視略コ字の金属からなる左右摺動部材104が設けられる。この摺動部材104の機体左右長さは、摺動部材104の外側端部が、クローラベルト88の機体左右幅の略中央近傍に位置する程度の長さとされる。
【0022】
そして、摺動部材104上の外側端部近傍上には、機体走行時の方向指示やハザードなどに点滅させたり、常時点灯させてもよい左右フラッシャランプ105が左右フラッシャランプステー106を介して固設される。このフラッシャランプ105の形状、材質は限定されないが、例えば、正面、背面視円形の機体前後方向に短い円筒内にランプ107が格納され、円筒前端面および後端面に透明または半透明などランプ107の点滅光を透過可能とする蓋108が嵌合される。
【0023】
また、ランプ107の図示しない配線類は、フラッシャランプステー106の内部から摺動部材104内側部あるいはステー101内側部に沿ってキャビン4内に接続される。なお、このフラッシャランプ105は、機体走行時などの使用位置Aと、作業時などの収納位置Bとの間を必要時に作業者の操作で摺動部材104により回動されるが、使用位置Aにおいては、機体前方および後方からフラッシャランプ105の点灯を確実に確認できる位置であり、また、収納位置Bにおいては、作業時に左右燃料タンク6を含むキャビン4の外側端部よりも内側に収納させて、枝など障害物への接触による破損を防ぐとともに、フラッシャランプ105の収納時および使用時ともにキャビン4のリヤガラス13開閉の阻害を防止できる位置に有する構成とされる。
【0024】
次に回動部102は、摺動部材104上部の下面104aに、上端部109aを固設した回動軸109が、ステー101に貫設された外筒110内に嵌入され、図8に示すように、回動軸109の下端部109bが外筒110内に取付られた支持部材111内で支持される。そして、支持部材111上であって、外筒110と回動軸109との間の、回動軸109下部外周面に圧縮バネなどの弾性部材112が設けられ、回動軸109が、弾性部材112の付勢力により下方へ引っ張られる構成とされる。なお、回動軸109の内部は、空洞の有無を問わない。
【0025】
また、外筒110上端部には、図9〜10に示すように、機体の前後方向および左右方向それぞれ略90度間隔で4箇所に、例えば略V字のデテント溝a,b,c,dが設けられ、これらデテント溝a,b,c,dと略等しい高さに位置する回動軸109の側部を、水平方向に貫通し、溶接などで固設された、摺動部材104に接触しない適宜長さ、かつ円柱形状などを有する金属製などのデテントピンeが、回動軸109の回動により機体の前後方向のデテント溝c,dもしくは左右方向のデテント溝a,bのどちらかに嵌合される。なお、デテント溝a,b,c,dやデテントピンeの形状およびデテントピンeの材質は、上記に限定されるものではない。また、デテントピンeは、回動軸109の側部に貫通させず、デテント溝a,b,c,dに嵌合可能な短い2本のデテントピンを同位置の両側端部に溶接などで固設してもよい。
【0026】
ここで、図11に示すように、フラッシャランプ105を機体走行時などの使用位置Aから、作業時などの収納位置Bに回動させる際は、作業者が手でフラッシャランプ105を使用位置Aから平面視反時計回りに略90度回転させる。このとき、弾性部材112によりデテントピンeがデテント溝a,b内の下方に引っ張られるように嵌合して使用位置Aで固定されていたフラッシャランプ105が、回動軸109の回転により収納位置Bに回動される。
【0027】
その結果、デテントピンeは、弾性部材112の付勢力に抗してデテント溝a,bから離れて外筒110上を移動し、デテント溝c,dに嵌合される。そして、弾性部材112の付勢力によりデテントピンeがデテント溝c,d内の下方に引っ張られるように嵌合して、使用位置Bでフラッシャランプ105が固定される。
【0028】
また、フラッシャランプ105を収納位置Bから使用位置Aに回動させる際には、上記とは逆に、作業者が手でフラッシャランプ105を使用位置Bから平面視時計回りに略90度回転させる。そして、フラッシャランプ105の収納位置Bであるデテント溝c,dに嵌合されていたデテントピンeが、弾性部材112の付勢力に抗してデテント溝c,dから離れて外筒110上を移動し、デテント溝a,bに嵌合される。その結果、弾性部材112の付勢力によりデテントピンeがデテント溝a,b内の下方に引っ張られるように嵌合して、使用位置Aでフラッシャランプ105が固定される。
【0029】
以上のような構成により、フラッシャランプ105を作業時にはキャビン4の外側端部よりも内側に収納させて枝など障害物への接触による破損を防ぎ、さらには収納時および使用時ともにキャビン4のリヤガラス13開閉の阻害を防止することができるとともに、別途モータなどを設ける必要がなく、簡単な構成で作業者の手動操作によりフラッシャランプ105を回動させて使用位置Aもしくは収納位置Bに固定することができる。
【0030】
なお、デテント機構103における弾性部材112の付勢力を調節することもできる。この場合、支持部材111を適宜緩めることにより、弾性部材112の長さ(機体上下方向)が長くなり、機体上方への付勢力を強くし、デテント溝a,b,c,d内の下方にデテントピンeを強く嵌合させて、フラッシャランプ105の回動操作感を増すことができる。また、支持部材111を適宜締めることにより、弾性部材112の長さが短くなり、機体上方への付勢力を弱くして、デテント溝a,b,c,d内へのデテントピンeの嵌合力を上述よりも弱くし、フラッシャランプ105の回動操作力を小さくすることができる。このように、作業者の好みに応じてフラッシャランプ105の回動操作力を調節することができる。
【0031】
さらに、フラッシャランプ105を使用位置Aと収納位置Bとの間以外に回動させないようなストッパー113を設けることもできる。この場合、例えば、図12に示すように、デテント溝aと、デテント溝cとの間に、デテントピンeがデテント溝a(フラッシャランプ105が使用位置Aに位置)から平面視時計回り方向への回動を阻止する金属棒などからなるストッパー113aが、その端部を回動軸109に接触させず、他端部を摺動部材104内側に溶接や不図示の留め具などで設けるとともに、デテント溝bと、デテント溝dとの間に、デテントピンeがデテント溝d(フラッシャランプ105が収納位置Bに位置)から平面視反時計回り方向への回動を阻止する前記同様な金属棒などからなるストッパー113bが、その端部を回動軸109に接触させず、他端部を摺動部材104内側にそれぞれ設けられる。このような構成にすることで、フラッシャランプ105が使用位置Aと収納位置Bとの間以外の不要な方向への回動を防ぐことができ、フラッシャランプの回動操作性が向上する。
【0032】
以上詳述したように、この例のクローラ式トラクタ1は、機体上部に配置し、運転席8を内設するキャビン4を備え、キャビン4のリヤガラス13を開閉しても、このリヤガラス13に接触することなく、キャビン4外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビン4の左右リヤフレーム100下部に固設した左右ステー101上に設けた左右摺動部材102上に、収納位置Bと、使用位置Aとの間で回動自在な左右フラッシャランプ105を備えるものである。加えて、フラッシャランプ105は、摺動部材104と、ステー101との間に設けたデテント機構103により、収納位置Bと、使用位置Aとで固定する。
【0033】
また、上述の例では、作業車両の一例としてクローラ式トラクタ(農作業車両)について説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、ホイール式トラクタや、農作業車両としてコンバインなど、また、建設作業車両として、バックホー,ブルトーザなど、フラッシャランプおよびキャビンを備えたあらゆる作業車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一例としての、クローラ式トラクタを示す左側面図である。
【図2】クローラ式トラクタの平面図である。
【図3】駆動部の断面側面図である。
【図4】駆動部の断面平面図である。
【図5】クローラ式トラクタの正面図である。
【図6】キャビン左側に有する使用位置でのフラッシャランプ付近の背面図である。
【図7】使用位置のフラッシャランプ付近の側面図である
【図8】回動部の側面断面図である。
【図9】デテント機構の平面模式図である。
【図10】デテント機構の拡大斜視図である。
【図11】フラッシャランプの回動を示す平面模式図である。
【図12】ストッパーを設けたデテント機構の平面模式図である。
【符号の説明】
【0035】
4 キャビン
13 リアガラス
100 左右リヤフレーム
101 左右ステー
102 回動部
103 デテント機構
104 摺動部材
104a 下面
105 フラッシャランプ
106 フラッシャランプステー
107 ランプ
108 蓋
109 回動軸
109a 上端部
109b 下端部
110 外筒
111 支持部材
112 弾性部材
113,113a,113b ストッパー
A 使用位置
B 収納位置
a,b,c,d デテント溝
e デテントピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両に関し、より詳細には、キャビンのリヤガラスを開閉しても、このリヤガラスに接触することなく、キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えることに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトラクタ(作業車両)には、例えば、エンジンフレームにエンジンが載置され、該エンジンはボンネットによって覆われており、該ボンネットの後部にはダッシュボードが配置される。また、該ダッシュボード上に操作パネルや操向ハンドルが配置され、その後方に座席が配置され、これらダッシュボードや座席等の運転部はキャビンによって覆われる。そして、該キャビンの前面にフロントガラス、側面にドアガラス、後面にリアガラスが取り付けられ、リアピラーの下部側面には方向指示器であるフラッシャランプが設けられる(特許文献1)ものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−175860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなトラクタ(作業車両)では、フラッシャランプがキャビンの外側端部よりも外方に固定して設けられているため、このフラッシャランプがキャビンの外側端部よりも内側に収納できず、作業中にフラッシャランプが枝などの障害物に接触して破損するなどの問題があった。また、このフラッシャランプを可倒式にしてキャビンの外側端部よりも内側に収納可能にしたとしても、キャビン後部のリヤガラスを開けたときにリヤガラスが収納したフラッシャランプに接触してしまい、リヤガラスの開閉を阻害するという問題もあった。
そこで、この発明の目的は、作業時にキャビンの外側端部よりも内側に収納可能、かつ収納時および使用時ともにキャビンのリヤガラス開閉を阻害しない位置にフラッシャランプを備え、安全性および作業性を向上させたクローラ式トラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両において、前記キャビンのリヤガラスを開閉しても該リヤガラスに接触することなく、前記キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、前記キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、前記収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクローラ式作業車両において、前記フラッシャランプは、前記摺動部材と、前記ステーとの間に設けたデテント機構により、前記収納位置と、前記使用位置とで固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両において、キャビンのリヤガラスを開閉しても該リヤガラスに接触することなく、キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えるので、作業時にはキャビンの外側端部よりも内側に収納させて枝など障害物への接触による破損を防ぎ、さらには収納時および使用時ともにキャビンのリヤガラス開閉の阻害を防止することができる。従って、安全性および作業性を向上させたクローラ式トラクタを提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、フラッシャランプは、摺動部材と、ステーとの間に設けたデテント機構により、収納位置と、使用位置とで固定するので、別途モータなどを設ける必要がなく、簡単な構成で手動操作によりフラッシャランプを回動させて定位置に固定することができる。従って、コストダウンを図ったクローラ式トラクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は本発明の一実施例に係るクローラ式トラクタの左側面図、図2は同トラクタの平面図、図3は駆動部の断面側面図、図4は駆動部の断面平面図である。
【0010】
まず、クローラ式トラクタ1の概略構成について説明する。図1に示すように、車両1前部には、エンジン3を覆い、前端にヘッドライト12を備えるボンネット2と、このボンネット2の後方には、ダッシュボード17後部のステアリングコラム16上に車両1の操行を司るステアリングハンドル9や運転席8などがそれぞれ配置されてなる車両1の操縦部を有するキャビン4が左右機体フレーム11上に配設される。そして、運転席8の左右には、車両1の走行や不図示の作業機の上げ下げなどを操作するための図示しない主変速レバー、副変速レバーおよびPTO操作レバーなどの各種レバーが配設される。
【0011】
さらに、キャビン4は、運転席8全体を覆うように屋根5や、フロントガラス14、リヤガラス13、サイドガラスドア15などから形成される。また、運転席8の両側部であって、キャビン4の外側には、左右燃料タンク6および左右フラッシャランプ105などが配設される。さらに、運転席8への昇降用のステップ10がキャビン4の下方に設けられるとともに、車両1の後方には、作業に応じて取り外し可能な前記作業機が取付けられ、この作業機によりプラウや、ロータリーなどの作業を行うものである。また、車両1の下部には車両1を走行させる左右一対のクローラ式走行装置80が配設される。
【0012】
クローラ式走行装置80は、進行方向に延設された左右クローラフレーム81および、このクローラフレーム81間を連結する2本のサイドフレーム79からなり、クローラフレーム81の前端に左右フロントアクスルケース82が固設され、この左右フロントアクスルケース82に支持された左右車軸89に左右駆動スプロケット60が支持される。また、クローラフレーム81の後端には、左右従動アイドラ85が回転自在に支持され、これら駆動スプロケット60と、従動アイドラ85との外周間をクローラベルト88が巻装されるとともに、駆動スプロケット60と、従動アイドラ85との前後間には、それぞれ4つのイコライザ転輪86が回転自在に支持される。
【0013】
以下、図3〜4を用いて、まず、クローラ式トラクタ1の走行および伝動系統について説明する。エンジン3の出力軸に、前後進切換機構21、主変速ギヤ変速機構22および副変速用ギヤ変速機構23、走行伝動軸24、差動機構25を介してクローラ式走行装置80の左右車軸89を連結させて車両1の走行を行うとともに、前後進切換機構21の前後進出力軸26にPTOクラッチ27、PTO変速用ギヤ変速機構28を介し、後ミッションケース30a後方に突出させるPTO出力軸29を連結させ、機体後方に装設させる作業機に動力が伝えられる。
【0014】
また、後ミッションケース30aとエンジン3との間の伝動ケース30bに、前後進切換機構21および主変速用ギヤ変速機構22を内設させ、前後進切換機構21の入力軸31をダンパ32を介して、エンジン3の出力軸に連結させるとともに、前後進切換機構21の前後進出力軸26に主変速用ギヤ変速機構22の主変速軸33が連結される。
【0015】
さらに、後ミッションケース30aの前部に副変速用ギヤ変速機構23および後ミッションケース30aの後部にPTO変速用ギヤ変速機構28を内設させ、主変速軸33に副変速用ギヤ変速機構23の副変速軸34を連結させ、副変速軸34後端に1対のベベルギヤ35を介して走行ブレーキ装置36のブレーキ軸37を連結させ、副変速軸34前端には中間軸38を介して走行伝動軸24の後端が連結される。
【0016】
次に、前ミッションケース30cには、左右遊星ギヤ機構39を備える差動機構25を内設させ、走行伝動軸24の前端にデフ入力軸40、ベベルギヤ41、遊星ギヤ入力軸42を介して左右遊星ギヤ機構39を連結させ、走行伝動軸24からの走行変速出力を左右遊星ギヤ機構39および遊星ギヤ出力軸43を介して左右車軸89に伝え、左右クローラ式走行装置80を略同一速度で同一方向に駆動して車両1を前進または後進走行させる構成とされる。
【0017】
また、機体を旋回させる旋回用の油圧変速機構(HST)の旋回用HSTポンプ44および旋回用HSTモータ45を分割配置させるもので、例えば、伝動ケース30bの右外側に旋回用HSTポンプ44を並設させ、主変速軸33前端に3つ1組の伝達ギヤ46を介して旋回用HSTポンプ44のポンプ軸を連結させて、主変速後の動力をポンプ軸に入力させるとともに、前ミッションケース30cの前面に旋回用HSTモータ45を固設させ、この旋回用HSTモータ45のモータ軸を左右逆転ベベルギヤ49および左右ギヤ軸50を介して左右遊星ギヤ機構39に連結させ、旋回用HSTポンプ44および旋回用HSTモータ45により変速する操向出力を、左右遊星ギヤ機構39を介して左右車軸89に伝えて、左右クローラ式走行装置80を略一定速度で駆動するとともに、主変速の変速段の走行速度に左右クローラ式走行装置80の回転差を比例させ、主変速の変速段を切換えても同じ旋回半径で左方向あるいは右方向に機体を旋回させる構成とされる。
【0018】
さらに、車両1のキャビン4内には、不図示のエアコンなどを備えることができる。この場合、エンジン3に前記エアコン駆動による負荷がかるため、このエンジン3の回転数を電子制御する不図示のコントローラが設けられる。このコントローラによって前記エアコンのそれぞれ図示しないコンデンサを冷却する冷却ファンの回転数を、エンジン3の回転数に比例する構成にし、前記コントローラは、エンジン3のアイドリング回転数を、前記エアコン停止時よりもエアコン作動時に上昇させ、前記コントローラが、不図示のコンプレッサの吐出冷媒圧力を検出する図示しない圧力センサにより検出された冷媒圧力の高さに比例するように、エンジン3のアイドルアップ時の回転数の高さを設定する構成にしてもよい。
【0019】
次に、本願発明であるフラッシャランプについて、その具体的構成を説明する。図5は、トラクタの正面図、図6は、キャビン左側に有する使用位置でのフラッシャランプ付近の背面図、図7は使用位置のフラッシャランプ付近の側面図、図8は回動部の側面断面図、図9はデテント機構の平面模式図、図10はデテント機構の拡大斜視図、図11はフラッシャランプの回動を示す平面模式図、図12はストッパーを設けたデテント機構の平面模式図である。
【0020】
図5〜7に示すように、キャビン4後部の左右燃料タンク6上方であって、キャビン4を支える左右リヤフレーム100下部の外側部に、側面視略コ字の金属からなる左右ステー101の一端部が固設される。この左右ステー101の外側端部は、左右燃料タンク6の外側端部の位置に略等しい位置に設けられる。
【0021】
次いで、左右ステー101の外側端部近傍の上方には、左右回動部102および後述する左右デテント機構103を介して側面視略コ字の金属からなる左右摺動部材104が設けられる。この摺動部材104の機体左右長さは、摺動部材104の外側端部が、クローラベルト88の機体左右幅の略中央近傍に位置する程度の長さとされる。
【0022】
そして、摺動部材104上の外側端部近傍上には、機体走行時の方向指示やハザードなどに点滅させたり、常時点灯させてもよい左右フラッシャランプ105が左右フラッシャランプステー106を介して固設される。このフラッシャランプ105の形状、材質は限定されないが、例えば、正面、背面視円形の機体前後方向に短い円筒内にランプ107が格納され、円筒前端面および後端面に透明または半透明などランプ107の点滅光を透過可能とする蓋108が嵌合される。
【0023】
また、ランプ107の図示しない配線類は、フラッシャランプステー106の内部から摺動部材104内側部あるいはステー101内側部に沿ってキャビン4内に接続される。なお、このフラッシャランプ105は、機体走行時などの使用位置Aと、作業時などの収納位置Bとの間を必要時に作業者の操作で摺動部材104により回動されるが、使用位置Aにおいては、機体前方および後方からフラッシャランプ105の点灯を確実に確認できる位置であり、また、収納位置Bにおいては、作業時に左右燃料タンク6を含むキャビン4の外側端部よりも内側に収納させて、枝など障害物への接触による破損を防ぐとともに、フラッシャランプ105の収納時および使用時ともにキャビン4のリヤガラス13開閉の阻害を防止できる位置に有する構成とされる。
【0024】
次に回動部102は、摺動部材104上部の下面104aに、上端部109aを固設した回動軸109が、ステー101に貫設された外筒110内に嵌入され、図8に示すように、回動軸109の下端部109bが外筒110内に取付られた支持部材111内で支持される。そして、支持部材111上であって、外筒110と回動軸109との間の、回動軸109下部外周面に圧縮バネなどの弾性部材112が設けられ、回動軸109が、弾性部材112の付勢力により下方へ引っ張られる構成とされる。なお、回動軸109の内部は、空洞の有無を問わない。
【0025】
また、外筒110上端部には、図9〜10に示すように、機体の前後方向および左右方向それぞれ略90度間隔で4箇所に、例えば略V字のデテント溝a,b,c,dが設けられ、これらデテント溝a,b,c,dと略等しい高さに位置する回動軸109の側部を、水平方向に貫通し、溶接などで固設された、摺動部材104に接触しない適宜長さ、かつ円柱形状などを有する金属製などのデテントピンeが、回動軸109の回動により機体の前後方向のデテント溝c,dもしくは左右方向のデテント溝a,bのどちらかに嵌合される。なお、デテント溝a,b,c,dやデテントピンeの形状およびデテントピンeの材質は、上記に限定されるものではない。また、デテントピンeは、回動軸109の側部に貫通させず、デテント溝a,b,c,dに嵌合可能な短い2本のデテントピンを同位置の両側端部に溶接などで固設してもよい。
【0026】
ここで、図11に示すように、フラッシャランプ105を機体走行時などの使用位置Aから、作業時などの収納位置Bに回動させる際は、作業者が手でフラッシャランプ105を使用位置Aから平面視反時計回りに略90度回転させる。このとき、弾性部材112によりデテントピンeがデテント溝a,b内の下方に引っ張られるように嵌合して使用位置Aで固定されていたフラッシャランプ105が、回動軸109の回転により収納位置Bに回動される。
【0027】
その結果、デテントピンeは、弾性部材112の付勢力に抗してデテント溝a,bから離れて外筒110上を移動し、デテント溝c,dに嵌合される。そして、弾性部材112の付勢力によりデテントピンeがデテント溝c,d内の下方に引っ張られるように嵌合して、使用位置Bでフラッシャランプ105が固定される。
【0028】
また、フラッシャランプ105を収納位置Bから使用位置Aに回動させる際には、上記とは逆に、作業者が手でフラッシャランプ105を使用位置Bから平面視時計回りに略90度回転させる。そして、フラッシャランプ105の収納位置Bであるデテント溝c,dに嵌合されていたデテントピンeが、弾性部材112の付勢力に抗してデテント溝c,dから離れて外筒110上を移動し、デテント溝a,bに嵌合される。その結果、弾性部材112の付勢力によりデテントピンeがデテント溝a,b内の下方に引っ張られるように嵌合して、使用位置Aでフラッシャランプ105が固定される。
【0029】
以上のような構成により、フラッシャランプ105を作業時にはキャビン4の外側端部よりも内側に収納させて枝など障害物への接触による破損を防ぎ、さらには収納時および使用時ともにキャビン4のリヤガラス13開閉の阻害を防止することができるとともに、別途モータなどを設ける必要がなく、簡単な構成で作業者の手動操作によりフラッシャランプ105を回動させて使用位置Aもしくは収納位置Bに固定することができる。
【0030】
なお、デテント機構103における弾性部材112の付勢力を調節することもできる。この場合、支持部材111を適宜緩めることにより、弾性部材112の長さ(機体上下方向)が長くなり、機体上方への付勢力を強くし、デテント溝a,b,c,d内の下方にデテントピンeを強く嵌合させて、フラッシャランプ105の回動操作感を増すことができる。また、支持部材111を適宜締めることにより、弾性部材112の長さが短くなり、機体上方への付勢力を弱くして、デテント溝a,b,c,d内へのデテントピンeの嵌合力を上述よりも弱くし、フラッシャランプ105の回動操作力を小さくすることができる。このように、作業者の好みに応じてフラッシャランプ105の回動操作力を調節することができる。
【0031】
さらに、フラッシャランプ105を使用位置Aと収納位置Bとの間以外に回動させないようなストッパー113を設けることもできる。この場合、例えば、図12に示すように、デテント溝aと、デテント溝cとの間に、デテントピンeがデテント溝a(フラッシャランプ105が使用位置Aに位置)から平面視時計回り方向への回動を阻止する金属棒などからなるストッパー113aが、その端部を回動軸109に接触させず、他端部を摺動部材104内側に溶接や不図示の留め具などで設けるとともに、デテント溝bと、デテント溝dとの間に、デテントピンeがデテント溝d(フラッシャランプ105が収納位置Bに位置)から平面視反時計回り方向への回動を阻止する前記同様な金属棒などからなるストッパー113bが、その端部を回動軸109に接触させず、他端部を摺動部材104内側にそれぞれ設けられる。このような構成にすることで、フラッシャランプ105が使用位置Aと収納位置Bとの間以外の不要な方向への回動を防ぐことができ、フラッシャランプの回動操作性が向上する。
【0032】
以上詳述したように、この例のクローラ式トラクタ1は、機体上部に配置し、運転席8を内設するキャビン4を備え、キャビン4のリヤガラス13を開閉しても、このリヤガラス13に接触することなく、キャビン4外側端部よりも内側に収納できる位置であって、キャビン4の左右リヤフレーム100下部に固設した左右ステー101上に設けた左右摺動部材102上に、収納位置Bと、使用位置Aとの間で回動自在な左右フラッシャランプ105を備えるものである。加えて、フラッシャランプ105は、摺動部材104と、ステー101との間に設けたデテント機構103により、収納位置Bと、使用位置Aとで固定する。
【0033】
また、上述の例では、作業車両の一例としてクローラ式トラクタ(農作業車両)について説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、ホイール式トラクタや、農作業車両としてコンバインなど、また、建設作業車両として、バックホー,ブルトーザなど、フラッシャランプおよびキャビンを備えたあらゆる作業車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一例としての、クローラ式トラクタを示す左側面図である。
【図2】クローラ式トラクタの平面図である。
【図3】駆動部の断面側面図である。
【図4】駆動部の断面平面図である。
【図5】クローラ式トラクタの正面図である。
【図6】キャビン左側に有する使用位置でのフラッシャランプ付近の背面図である。
【図7】使用位置のフラッシャランプ付近の側面図である
【図8】回動部の側面断面図である。
【図9】デテント機構の平面模式図である。
【図10】デテント機構の拡大斜視図である。
【図11】フラッシャランプの回動を示す平面模式図である。
【図12】ストッパーを設けたデテント機構の平面模式図である。
【符号の説明】
【0035】
4 キャビン
13 リアガラス
100 左右リヤフレーム
101 左右ステー
102 回動部
103 デテント機構
104 摺動部材
104a 下面
105 フラッシャランプ
106 フラッシャランプステー
107 ランプ
108 蓋
109 回動軸
109a 上端部
109b 下端部
110 外筒
111 支持部材
112 弾性部材
113,113a,113b ストッパー
A 使用位置
B 収納位置
a,b,c,d デテント溝
e デテントピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両において、
前記キャビンのリヤガラスを開閉しても該リヤガラスに接触することなく、前記キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、前記キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、前記収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えることを特徴とする、クローラ式作業車両。
【請求項2】
前記フラッシャランプは、前記摺動部材と、前記ステーとの間に設けたデテント機構により、前記収納位置と、前記使用位置とで固定することを特徴とする、請求項1に記載のクローラ式作業車両。
【請求項1】
機体上部に配置し、運転席を内設するキャビンを備えるクローラ式作業車両において、
前記キャビンのリヤガラスを開閉しても該リヤガラスに接触することなく、前記キャビン外側端部よりも内側に収納できる位置であって、前記キャビンの左右リヤフレーム下部に固設した左右ステー上に設けた左右摺動部材上に、前記収納位置と、使用位置との間で回動自在な左右フラッシャランプを備えることを特徴とする、クローラ式作業車両。
【請求項2】
前記フラッシャランプは、前記摺動部材と、前記ステーとの間に設けたデテント機構により、前記収納位置と、前記使用位置とで固定することを特徴とする、請求項1に記載のクローラ式作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−189219(P2008−189219A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27621(P2007−27621)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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