説明

グラスウールの加熱圧縮成形方法

【課題】従来のフェノール樹脂を加熱硬化させながら同時に圧縮成形を行う方法での、成形に長時間を要し、コスト高になることを避ける成形方法を提供する。
【解決手段】グラスウール原反フィーダー11から予備加熱ステーション2、次いで加熱圧縮成形ステーション3を経由して、トリミングステーション4まで該グラスウール1を裁断することなく移送、加工し、該トリミングステーション4で裁断することにより前記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルーム内の断熱防音用のインシュレータの製造におけるグラスウールの加熱圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラスウールの加熱圧縮成形方法に関する従来技術としては特許文献1に開示されているようなものがある。
【特許文献1】特許第2829776号公報
【0003】
しかし、特許文献1の(実施例)に「・・・繊維径7μ、繊維長30mm程度のガラス繊維に水性フェノール樹脂をスプレーガンで10重量%程度付着させプリプレグ状ガラス繊維フリースを得た。尚、得られたガラス繊維フリースの面密度は600g/m2、厚さ100m/m程度であった。次に、該ガラス繊維フリースの上面に目付50g/m2
のポリエステル不織布を重ね、上金型に刃先角度90゜の押し切り刃を備えた金型を用いて、金型温度200℃、成形圧力0.5kg/cm2、成形時間70秒の条件で圧縮成形を行った。得られた成形体の薄肉部の厚みは約0.5m/mであった。次いで、得られた成形体の同じ金型を用いて、約200kg/cmの打ち抜き圧力で打ち抜き処理した。・・・」とあるように、フェノール樹脂を加熱硬化させながら同時に圧縮成形を行うがために成形時間70秒という長時間を要し、特許文献1に示されるような方法ではコスト高を避けられないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、従来のフェノール樹脂を加熱硬化させながら同時に圧縮成形を行うというような方法では成形に長時間を要するのでコスト高になるのを避けることができないという点である。本発明は上記の点を解決するためになされた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を果たすため本発明は、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させたロール状のグラスウールの加熱圧縮成形方法であって、グラスウール原反フィーダーから予備加熱ステーション、次いで加熱圧縮成形ステーションを経由して、トリミングステーションまで該グラスウールを裁断することなく移送、加工し、該トリミングステーションで裁断することを最も主要な特徴とする。
【0006】
また、上記加熱圧縮成形ステーションとトリミングステーションが同一のステーションであることを第2の主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加熱圧縮成形ステーションの前に予備加熱ステーションを設けたことで該加熱圧縮成形ステーションにおける加熱圧縮時間が短くて済み、且つ、一旦該グラスウール原反フィーダーに該グラスウールをセットした後は予備加熱ステーションから加熱圧縮成形ステーションを経てトリミングステーションまでまったく人手を必要とせずに加工できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させたロール状のグラスウールの加熱圧縮成形方法において加熱圧縮時間を短縮するという目的を、グラスウール原反フィーダーから予備加熱ステーション、次いで加熱圧縮成形ステーションを経由して、トリミングステーションまで該グラスウールを裁断することなく移送、加工し、該トリミングステーションで裁断することによって実現した。
【実施例1】
【0009】
本発明の構成を発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1は、本発明の1実施例を示すグラスウールの加熱圧縮成形方法に関する工程図である。未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させたロール状のグラスウール1がグラスウール原反フィーダー11にセットされている。
【0010】
該グラスウール1は該グラスウール原反フィーダー11から予備加熱ステーション2まで移送され、予備加熱される。
【0011】
次に、該予備加熱ステーション2にて予備加熱された該グラスウール1は該予備加熱ステーション2から加熱圧縮成形ステーション3へと移送され、加熱圧縮成形される。
【0012】
次に、該加熱圧縮成形ステーション3にて加熱圧縮成形された該グラスウール1は該加熱圧縮成形ステーション3からトリミングステーション4へと移送され、トリミングされる。
【0013】
該トリミングステーション4にてトリミングされた該グラスウール1はインシュレータ5とバリ6とに分離されることになる。
【0014】
即ち、該グラスウール1は該グラスウール原反フィーダー11から該予備加熱ステーション2、次いで該加熱圧縮成形ステーション3を経て該トリミングステーション4まで裁断されることなく移送、加工され、該トリミングステーション4にて初めて裁断されることになる。
【0015】
実際の計測によると、各ステーション間の移送タクトは33秒であり、従来例の70秒の半分以下の時間で済んだ。
【0016】
また、本発明によれば一旦該グラスウール原反フィーダー11に該グラスウール1にセットした後は該予備加熱ステーション2から該加熱圧縮成形ステーション3を経て該トリミングステーション4までまったく人手を必要とすることがない。
【0017】
以上実施例に述べたように本発明によれば、加熱圧縮成形ステーションの前に予備加熱ステーションを設けたことで該加熱圧縮成形ステーションにおける加熱圧縮時間が短くて済み、且つ、一旦該グラスウール原反フィーダーに該グラスウールをセットした後は予備加熱ステーションから加熱圧縮成形ステーションを経てトリミングステーションまで、まったく人手を必要とせずに加工できるという効果がある。
【0018】
尚、上記実施例では加熱圧縮成形ステーションとトリミングステーションを別個のステーションとしたが、加熱圧縮成形ステーションとトリミングステーションとが同一のステーションであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、自動車のエンジンルーム内の断熱防音用のインシュレータの製造におけるグラスウールの加熱圧縮成形に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るグラスウールの加熱圧縮成形方法に関する工程図
【符号の説明】
【0021】
1 グラスウール
2 予備加熱ステーション
3 加熱圧縮成形ステーション
4 トリミングステーション
5 インシュレータ
6 バリ
11 グラスウール原反フィーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させたロール状のグラスウールの加熱圧縮成形方法であって、グラスウール原反フィーダーから予備加熱ステーション、次いで加熱圧縮成形ステーションを経由して、トリミングステーションまで該グラスウールを裁断することなく移送、加工し、該トリミングステーションで裁断することを特徴とするグラスウールの加熱圧縮成形方法
【請求項2】
請求項1における加熱圧縮成形ステーションとトリミングステーションが同一のステーションであることを特徴とする請求項1記載のグラスウールの加熱圧縮成形方法

【図1】
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【公開番号】特開2010−46970(P2010−46970A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214901(P2008−214901)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】