説明

グリシントランスポーターを阻害する化合物およびその使用

式(I):


[式中:Rは、n個のR基で置換されるフェニル、およびn個のR基で置換されるピリジルから選択され;n=0、1または2;各Rは、独立して、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;Rは、水素およびC1−2アルキルから選択され;Rは、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択され;または、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で所望により置換されていてもよい飽和5または6員の複素環を形成し;各Xは、独立して、C1−4アルキル、およびハロC1−4アルキルからなる群より選択され;R12は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルおよびメチルチオからなる群より選択され;R13は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルから選択され;R14は、水素、トリフルオロメチルおよびクロロから選択され;R15は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルから選択され;R16は、水素、メチル、フルオロおよびクロロから選択され;R12、R13、R14、R15およびR16は、全て同時に水素とは限らない]
で示される化合物ならびにその塩および溶媒和物が提供される。精神病、認知症または注意力欠陥障害などの障害を治療するための医薬としての調製方法および化合物の使用がまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリシントランスポーター阻害化合物、神経学的および神経精神病学的障害、特に精神病、認知症または注意力欠陥障害を治療するための医薬の製造におけるそれらの使用に関する。さらに、本発明は、これらの化合物の製造方法およびその医薬処方を包含する。
【背景技術】
【0002】
分子クローニングは、GlyT1およびGlyT2と称される、2種類のグリシントランスポーターの哺乳動物の脳における存在を明らかにした。GlyT1は、主に前脳において見出され、その分布は、グリシン作用性経路およびNMDA受容体の分布に対応する(Smithら、Neuron,8,1992:927−935)。分子クローニングは、さらに、GlyT−la、GlyT−1bおよびGlyT−1cと称されるGlyT1の3つの変種の存在を明らかにし(Kimら、Molecular Pharmacology,45,1994:608−617)、その各々は、脳および末梢組織において特有の分布を示す。該変種は、異なるスプライシングおよびエクソンの利用によって現れ、N末端領域が異なる。対照的に、GlyT2は、主に脳幹および脊髄において見出され、その分布は、ストリキニーネ感受性グリシン受容体の分布に密接に対応する(Liuら、J.Biological Chemistry,268,1993:22802−22808、JurskyおよびNelson,J.Neurochemistry,64,1995:1026−1033)。GlyT2によって媒介されるグリシントランスポーターの別の識別特性は、GlyT1によって媒介されるグリシントランスポーターの場合のようにサルコシンによって阻害されないことである。これらのデータは、グリシンのシナプスレベルを調節することによって、GlyT1およびGlyT2が選択的に、各々、NMDA受容体およびストリキニーネ感受性グリシン受容体の活性に影響を及ぼすという見解と一致する。
【0003】
NMDA受容体は、記憶および学習に非常に関与し(RisonおよびStaunton,Neurosci.Biobehav.Rev.,19 533−552(1995)、Danyszら、Behavioral Pharmacol.,6 455−474(1995))、さらに、NMDA介在性神経伝達機能の減少は、統合失調症の症状の基礎となるか、または該症状に寄与するようである(OlneyおよびFarber,Archives General Psychiatry,52,998−1007(1996))。したがって、GlyT1を阻害し、それにより、NMDA受容体のグリシン活性化を増加する薬剤は、新規な抗精神病薬および抗認知症薬として用いることができ、また、認識プロセスに障害のある他の疾患、例えば、注意力欠陥障害および器質脳症候群を治療するために用いることができる。逆に言えば、NMDA受容体の過剰な活性化は、多数の病態、特に、卒中および、おそらく神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、AIDS認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、または神経細胞死が起こる他の病態、例えば、卒中または頭部外傷に関連する神経細胞死に関係している。CoyleおよびPuttfarcken,Science,262,689−695(1993)、LiptonおよびRosenberg,New Engl.J. of Medicine,330,613−622(1993)およびChoi,Neuron,1,623−634(1988)を参照のこと。したがって、GlyT1の活性を増加する薬理学的物質は、NMDA受容体のグリシン活性化の減少をもたらし、該活性をこれらの疾患および関連する病態の治療に用いることができる。同様に、NMDA受容体のグリシン部位を直接阻害する薬剤は、これらの疾患および関連する病態の治療に用いることができる。
【0004】
グリシントランスポーター阻害薬は、例えば、国際出願公開WO03/055478(SmithKline Beecham)に開示されるように、当該分野にてすでに知られている。
【特許文献1】国際公開第03/055478号パンフレット
【非特許文献1】Smithら、Neuron,8,1992:927−935
【非特許文献2】Kimら、Molecular Pharmacology,45,1994:608−617
【非特許文献3】Liuら、J.Biological Chemistry,268,1993:22802−22808
【非特許文献4】JurskyおよびNelson,J.Neurochemistry,64,1995:1026−1033
【非特許文献5】RisonおよびStaunton,Neurosci.Biobehav.Rev.,19 533−552(1995)
【非特許文献6】Danyszら、Behavioral Pharmacol.,6 455−474(1995)
【非特許文献7】OlneyおよびFarber,Archives General Psychiatry,52,998−1007(1996)
【非特許文献8】CoyleおよびPuttfarcken,Science,262,689−695(1993)
【非特許文献9】LiptonおよびRosenberg,New Engl.J. of Medicine,330,613−622(1993)
【非特許文献10】Choi,Neuron,1,623−634(1988)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GlyT1トランスポーターを阻害する新規クラスの化合物が見出された。該化合物は、統合失調症を含む、ある種の神経学的および神経精神病学的障害の治療に用いることができる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、第1の態様において、式(I):
【化1】

[式中:
は、n個のR基で置換されるフェニル、およびn個のR基で置換されるピリジルから選択され;
n=0、1または2;
各Rは、独立して、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
は、水素およびC1−2アルキルから選択され;
は、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択され;
または、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で所望により置換されていてもよい飽和5または6員の複素環を形成し;
各Xは、独立して、C1−4アルキル、およびハロC1−4アルキルからなる群より選択され;
12は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルおよびメチルチオからなる群より選択され;
13は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルから選択され;
14は、水素、トリフルオロメチルおよびクロロから選択され;
15は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルから選択され;
16は、水素、メチル、フルオロおよびクロロから選択され;
12、R13、R14、R15およびR16は、全て同時に水素とは限らない]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書に用いられるように、「アルキル」なる語は、全異性体における直鎖また分岐アルキル基をいう。C1−4アルキルの例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。
【0008】
本明細書に用いられるように、「アルコキシ」なる語は、−O−アルキル基をいい、ここで、アルキルは上記と同義である。
【0009】
本明細書に用いられるように、「ハロゲン」およびその略語「ハロ」なる語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素をいう。
【0010】
本明細書に用いられるように、「ハロアルキル」なる語は、いくつかのフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子(それらの混合物を含む)で置換される上記のアルキル基をいう。ハロアルキル基は、例えば、1個、2個または3個のハロゲン原子を含有していてもよい。例えば、ハロアルキル基は、ハロゲン原子で置換される全ての水素原子を有していてもよい。ハロアルキルの例として、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる。
【0011】
本明細書に用いられるように、「塩」なる語は、無機または有機酸または塩基から調製される本発明に記載の化合物のいずれかの塩、第四級アンモニウム塩および内部形成塩をいう。生理学上許容される塩は、親化合物に比べてより大きな水溶解度のため、医薬用途に特に適当である。かかる塩は、明らかに、生理学上許容されるアニオンまたはカチオンを有するにちがいない。適当には、本発明の化合物の生理学上許容される塩には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの無機酸と、ならびに酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファー硫酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィン酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えば、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1.3−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの有機酸と形成される酸付加塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属および有機塩基、例えば、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(meglumaine)(N−メチルグルカミン)、リジンおよびプロカインと形成される塩基付加塩;ならびに内部形成塩が含まれる。生理学上許容されないアニオンまたはカチオンを有する塩は、生理学上許容される塩の調製および/または非治療的状況、例えば、インビトロでの使用のための有用な中間体として、本発明の範囲内にある。
【0012】
本明細書に用いられるように、「溶媒和物」なる語は、溶質(本発明の場合には、式(I)の化合物またはその塩)と溶媒によって形成される可変の化学量の複合体をいう。本発明のためのかかる溶媒は、溶質の生物活性を妨げないものでありうる。適当な溶媒の例として、限定するものではないが、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が挙げられる。一の実施態様において、用いられる溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適当な医薬上許容される溶媒の例として、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。一の実施態様において、用いられる溶媒は水である。
【0013】
一の実施態様において、Rは、n個のR基で置換されるフェニルである。
【0014】
一の実施態様において、nは、0または1である。
【0015】
一の実施態様において、各Rは、独立して、ハロ、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル、ハロC1−2アルコキシおよびシアノからなる群より選択される。さらなる実施態様において、各Rは、独立して、ハロ、メトキシおよびシアノからなる群より選択される。ハロ基の例は、フルオロおよびクロロ、特に、フルオロである。
【0016】
一の実施態様において、Rは、水素およびメチルから選択される。
【0017】
一の実施態様において、Rは、エチル、n−プロピルおよびiプロピルから選択される。一の実施態様において、Rはiプロピルである。
【0018】
一の実施態様において、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で所望により置換されていてもよい飽和5または6員の複素環を形成する。一の実施態様において、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で所望により置換されていてもよい飽和5員の炭素環を形成する。さらなる実施態様において、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で所望により置換されていてもよい飽和5員の炭素環を形成する。
【0019】
一の実施態様において、各Xは、独立して、C1−2アルキル、およびハロC1−2アルキルからなる群より選択される。例えば、各Xは、独立して、メチルおよびエチルから選択される。
【0020】
一の実施態様において、R12は、水素、フルオロ、ブロモ、クロロおよびメチルから選択される。
【0021】
一の実施態様において、R12は、水素およびクロロから選択される。例えば、R12はクロロである。
【0022】
一の実施態様において、R13は、水素およびトリフルオロメチルから選択される。例えば、R13はトリフルオロメチルである。
【0023】
一の実施態様において、R14は水素である。
【0024】
一の実施態様において、R15は、水素およびトリフルオロメチルから選択される。
【0025】
一の実施態様において、R16は水素である。
【0026】
一の実施態様において、同時に:R12はクロロであり、R13はトリフルオロメチルであり、R14は水素であり、R15は水素であり、R16は水素である。
【0027】
一の実施態様において、本発明は、式(Ia):
【化2】

[式中:
n=0、1または2;
各Rは、独立して、ハロ、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル、ハロC1−2アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
は、水素およびC1−2アルキルから選択され;
は、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択され;
または、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で所望により置換されていてもよい飽和5または6員の複素環を形成し;
各Xは、独立して、C1−2アルキル、およびハロC1−2アルキルから選択され;
12は、水素、フルオロ、クロロ、メチルおよびメチルチオからなる群より選択され;
13は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルからなる群より選択され;
14は、水素およびクロロから選択され;
15は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルからなる群より選択され;
16は、水素およびメチルから選択され;
12、R13、R14、R15およびR16は、全て同時に水素とは限らない]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0028】
一の実施態様において、式(Ib):
【化3】

[式中:
は、n個のR基で置換されるフェニル、およびn個のR基で置換されるピリジルから選択され;
n=0、1または2;
各Rは、独立して、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
は、水素およびC1−2アルキルから選択され;
は、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択され;
または、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で所望により置換されていてもよい飽和5または6員の複素環を形成し;
各Xは、独立して、C1−4アルキル、およびハロC1−4アルキルからなる群より選択され;
12は、水素、フルオロ、クロロおよびメチルからなる群より選択され;
13は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルからなる群より選択され;
14は、水素およびクロロから選択され;
15は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルからなる群より選択され;
16は、水素およびメチルから選択され;
12、R13、R14、R15およびR16は、全て同時に水素とは限らない]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0029】
1つのパラメータに関して記載される本発明の一の実施態様の特徴は、別の実施態様の特徴と組み合わせることができることを理解すべきである。したがって、本明細書の開示には、記載されるいずれかの一の実施態様の特徴といずれかの他の実施態様の特徴との組み合わせが含まれる。式(I)の化合物の全ての実施態様および特徴は、式(Ia)および式(Ib)の化合物に適用される。
【0030】
本発明の化合物の例として、以下に示される実施例1〜15、ならびにその塩および溶媒和物;または以下に示される実施例1〜16、ならびにその塩および溶媒和物、すなわち、
2−クロロ−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−エチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2,4−ジメチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[メチル(1−メチルエチル)アミノ]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[(1−メチルエチル)アミノ]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(2−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(2−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−シアノフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−シアノフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
4−クロロ−2−メチル−6−(メチルチオ)−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]ベンズアミド
またはその塩もしくは溶媒和物が挙げられる。
【0031】
さらなる実施例には、
2−クロロ−N−{(1S)−2−[(2R,5S)−2,5−ジメチル−1−ピロリジニル]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−1−ピペリジニル]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1R)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1R)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−フルオロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
3−クロロ−2−フルオロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2,2−ジメチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[2−(1−メチルエチル)−1−ピロリジニル]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2,3−ジクロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2,3,5−トリクロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2−クロロ−N−[2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−(2−ピリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−(3−ピリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2,6−ジメチル−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2−ブロモ−6−メチル−N−[1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]ベンズアミド
またはその塩もしくは溶媒和物が含まれる。
【0032】
式(I)の化合物は、複数の形態にて結晶を形成する能力を有しうる。これは多形として知られる特徴であり、かかる多形型(「多形体」)が式(I)の範囲内にあることは理解される。多形性は、一般に、温度または圧力あるいはその両方の変化に対する応答として発生しうるものであり、結晶化工程の変化からも発生しうる。多形体は、X線回折パターン、溶解度および融点などの当該分野にて知られている種々の物理特性により識別されうる。
【0033】
不斉炭素原子を含有するので、本明細書に記載の化合物は、立体異性体で存在する:
【化4】

【0034】
個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。同様に、式(I)の化合物は、式で示される形態以外の互変異性型で存在することもあり、それらもまた本発明の範囲内に含まれる。
【0035】
一の実施態様において、光学的に純粋なエナンチオマーが提供される。「光学的に純粋なエナンチオマー」なる語は、化合物が重量あたり所望の異性体を約90%以上含むこと、好ましくは重量あたり所望の異性体を約95%以上、最も好ましくは重量あたり所望の異性体を約99%以上含むことを意味し、該重量パーセントは、化合物の異性体(群)の総重量に基づく。ある場合には、特定の構造の一のエナンチオマーは、同一の構造の他のエナンチオマーよりも有意に高い活性を有していてもよい。キラルに純粋な化合物、またはキラルに豊富化された化合物は、キラル選択的合成によってか、またはエナンチオマーの分離によって調製されうる。エナンチオマーの分離は、最終生成物にて行うことができるし、あるいは適当な中間体にて行うこともできる。
【0036】
本発明の化合物は、標準的な化学反応を含む、種々の方法によって生成されうる。いずれかの前記の変数は、特に明記しない限り、前記の意味を継続して有するものである。例示的な一般合成法を以下に示し、次いで、本発明の特定の化合物を実施例において調製する。
【0037】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームにより一部示されるように、有機合成の分野にて既知の方法により調製されうる。下記の全スキームにおいて、感受性基もしくは反応基に対する保護基が、必要に応じて、化学の一般的原則にしたがって利用されることは十分に理解されるとも考えられる。保護基は、有機合成の標準的な方法にしたがって操作される(T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts(1991) Protecting Groups in Organic Synthesis,John WileyおよびSons)。これらの保護基は、当業者に自明な方法を用いて、化合物を合成する都合のよい段階で除去される。方法ならびに反応条件の選択およびその実施の順序は、式(I)の化合物の調製と一致するであろう。当業者であれば、立体中心が式(I)の化合物中に存在するかどうかが分かるであろう。したがって、本発明は、両方の可能性のある立体異性体を含み、ラセミ化合物だけでなくエナンチオマーも同様に含む。立体化学が特定の位置で可変しうるものとして表されている場合、立体異性体の混合物が得られる場合があり、この混合物は必要ならば分離される。立体異性体は、高速液体クロマトグラフィーまたは他の適当な手段により分離されうる。化合物が単一のエナンチオマーとして望まれる場合、立体特異的合成により、または最終生成物もしくはいずれか都合のよい中間体を分割することにより得られうる。最終生成物、中間体または出発物質の分割は、当該分野にて既知のいずれか適当な方法により行われうる。例えば、E.L.Eliel,S.H.WilenおよびL.N.Mander(Wiley−Interscience,1994)によるStereochemistry of Organic Compoundsを参照のこと。
【0038】
前述の式(I)の化合物の調製のための典型的な反応経路を、以下のスキームにおいて示す。出発物質および試薬は当業者に既知であり、および/または当該分野にて既知の方法を用いて調製されうる。
【0039】
式(I)の化合物は、既知の方法により;例えば、限定するものではないが、以下のスキーム1に記載の合成経路により合成されうる。
【化5】

[式中:R、R、R、R12、R13、R14、R15、およびR16は、式(I)の化合物と同義である]
【0040】
がフェニルおよびn=0である(すなわち、Rは非置換フェニルである)化合物について、工程(i)で調製可能なエポキシド化合物は、ラセミ体または光学的に純粋な形態で(例えば、(S)型異性体で)商業的に入手可能である。Rが、エポキシド化合物が商業的に入手できないような基である場合、オキシラン/エポキシドは、適当なケトンから工程(i)で示される反応によって調製されうる。該工程は、鏡像異性的に選択的な方法で行われうる。
【0041】
工程(i)は、例えば、アセトニトリルなどの適当な溶媒中で、例えば、[ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼンを用いて(J.S.LodayaおよびG.F.Koser,J.Org.Chem.,1988,53,210)、または酢酸もしくはメタノール中臭素を用いて、α位における脱離基をカルボニル基に導入するための適当な試薬(群)でケトンを逐次反応させ;次いで、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中で、所望により適当なエナンチオ選択的キラル触媒、例えば、(S)−(−)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジンなどのキラルオキサアザボロリジンの存在下において、適当な還元剤、例えば、ボラン−N−エチル−N−イソプロピルアニリン複合体などのボラン還元剤でカルボニル基を還元し(B.T.Cho,W.K.YangおよびO.K.Choi,JCS Perkin 1,2001,1204)、次いで、ジエチルエーテルなどの適当な溶媒で、塩基、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはアセトン中炭酸カリウムとの反応によりオキシランへ環化することによって行われる。
【0042】
工程(ii)は、適当な溶媒、例えば、エタノール中でのエポキシド/オキシランと式(IV):
【化6】

[式中:RおよびRは、式(I)と同義である]
で示される化合物との逐次反応、次いで、アルコールの適当な脱離基への変換、例えば、トリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下における、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン中での塩化メタンスルホニルなどの試薬との反応、次いで、アミンへの変換、例えば、適当な溶媒系中での水性アンモニアとの反応により達成されうる。溶媒系は、テトラヒドロフランなどの、単相系であってもよく;溶媒系は、ジエチルエーテルおよび水性アンモニアの混合物などの、二相系であってもよい。
【0043】
アシル化工程(iii)は、式(II)の化合物と式(III):
【化7】

[式中:R12、R13、R14、R15、およびR16は式(I)と同義であって、Lは適当な脱離基を表す]
で示される化合物との反応により達成されうる。脱離基の例として、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが挙げられる。Lはハロゲンであってもよく、工程(iii)におけるアシル化は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下において、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で行われうる。Lがヒドロキシを表す場合、反応は、好ましくは、カップリング試薬、例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジイミド 塩酸塩(EDC)、ポリマー担持EDC、ポリマー担持DCC、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)などのジイミド試薬の存在下および所望により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)の存在下において、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で起こる。
【0044】
スキームの範囲内には、R基を別のR基に、R基についても同様に変換することは範囲である。
【0045】
式(I)の化合物はまた、以下のスキーム2記載の合成経路によって合成されうる。
【化8】

[式中:R、R、R、R12、R13、R14、R15、およびR16は、式(I)の化合物と同義である]
スキーム2に示される経路は、特に、RがHである、化合物に適当である。
【0046】
アシル化工程(i)は、式(III):
【化9】

[式中:R12、R13、R14、R15、およびR16は式(I)と同義であって、Lは適当な脱離基である]
で示される化合物との反応により達成されうる。脱離基の例として、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが挙げられる。Lはハロゲンであってもよく、工程(iii)のアシル化は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下において、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で行われうる。Lがヒドロキシを表す場合、反応は、好ましくは、カップリング試薬、例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジイミド 塩酸塩(EDC)、ポリマー担持EDC。ポリマー担持DCC、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)などのジイミド試薬の存在下および所望により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)の存在下において、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で起こる。
【0047】
工程(ii)は、例えば、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの適当な不活性溶媒中の適当な試薬、例えば、水素化ジイソブチルアンモニウムとの反応より行われる。
【0048】
工程(iii)は、適当な還元剤、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウム、および酢酸などの適当な酸の存在下、適当な溶媒、例えば、ジクロロメタン中の式(IV):
【化10】

[式中:RおよびRは、式(I)と同義である]
で示される化合物との反応により達成されうる。
【0049】
あるいは、第2の態様において、本発明は、式(I)の化合物の調製方法であって、式(II):
【化11】

[式中:R、RおよびRは、式(I)と同義である]
で示される化合物を式(III):
【化12】

[式中:R12、R13、R14、R15、およびR16は、式(I)と同義であって、Lは適当な脱離基である]
で示される化合物と反応させ、その後、所望により、
・いずれかの保護基を除去してもよく、および/または
・式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換してもよく、および/または
・塩もしくは溶媒和物を形成してもよい工程を含む、方法を提供する。
【0050】
適当な脱離基Lには、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが含まれる。
【0051】
式(I)の化合物は、標準的技法を用いて式(I)のさらなる化合物に変換されうる。例えば、限定するよりむしろ説明するために、可能な変換反応には、塩化アセチルなどの適当なアシル化剤とのアシル化、ヨウ化メチルなどの適当なアルキル化剤を用いるアルキル化、ならびにメタンスルホン酸無水物などのスルホニル化剤を用いるスルホニル化およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下において、ケトンおよびアルデヒドを用いる還元的アミン化によるN−アルキル化が含まれる。
【0052】
医薬上許容される塩は、適当な酸または酸誘導体との反応により従来のように調製されうる。
【0053】
さらなる態様において、本発明は、式(II):
【化13】

[式中:R、RおよびRは、式(I)と同義である]
で示される化合物を提供する。
【0054】
式(II)の化合物は、本発明の化合物の合成における中間体として有用である。
【0055】
本発明の化合物は、GlyT1トランスポーターを阻害する。化合物は、GlyT2トランスポーターよりGlyT1トランスポーターを選択的に阻害する。かかる化合物は、ある種の神経学的および神経精神病学的障害の治療に適当であろう。本明細書に用いられるように、「治療」および「治療すること」なる語は、確立された症状の軽減および/または治療ならびに予防をいう。
【0056】
GlyT1トランスポーターについての本発明の化合物のアフィニティーは、以下のいずれかのアッセイによって決定されうる:
【0057】
1)グリシン(1型)トランスポーターを発現しているHEK293細胞を5%CO中37℃にて、細胞培地[2mMのL−グルタミン、0.8mg/mLのG418および10%熱不活化ウシ胎仔血清を含有するDMEM/NUT mix F12]中で増殖させた。T175フラスコ中、70−80%集密度になるまで増殖させた細胞を採取し、アッセイバッファー[140mMのNaCl、5.4mMのKCl、1.8mMのCaCl、0.8mMのMgSO、20mMのHEPES、5mMのグルコースおよび5mMのアラニン、pH7.4]中に1.32x10細胞/mLで再懸濁した。化合物を、各化合物を有する2.5mMの最大濃度からDMSOで順次、2.5倍希釈し、11のデータ点の用量−反応を得た。各濃度の100nLの化合物を、アッセイプレートに加えた。等容量のLeadseeker(登録商標)WGA SPAビーズ(アッセイバッファー中で懸濁された12.5mg/ml)を細胞懸濁液(1.32x10)に加え、5μLの細胞/ビーズ懸濁液を、100nLの試験化合物を含有する384ウェル白色ソリッドボトムプレートの各ウェルに移した(3,300細胞/ウェル)。基質(5μL)を各ウェル[2.5μMグリシンを含有するアッセイバッファー中の[H]−グリシンストックの1:100希釈液)に加えた。最終DMSO濃度は、1v/v%であった。データを、Perkin Elmer Viewluxを用いて収集した。pIC50値を、ActivityBaseを用いて決定した。
【0058】
2)グリシン(1型)トランスポーターを発現しているHEK293細胞を5%CO中37℃にて、2mMのL−グルタミン、0.8mg/mLのG418および10%熱不活化ウシ胎仔血清を含有する細胞培地(DMEM/NUT mix F12)中で増殖させた。T175フラスコ中、70−80%集密度になるまで増殖させた細胞を採取し、アッセイバッファー[NaCl(140mM)、KCl(5.4mM)、CaCl(1.8mM)、MgSO(0.8mM)、HEPES(20mM)、グルコース(5mM)およびアラニン(5mM)、pH7.4]中に4x10細胞/mLで再懸濁した。等容量のLeadseeker(登録商標)WGA SPAビーズ(アッセイバッファー中で懸濁された12.5mg/ml)を細胞懸濁液に加えた。化合物を、DMSOで10mMストックとして調製される。2.5mMの最大濃度からDMSOで化合物を順次、2.5倍希釈した。各濃度の100nLの化合物を、ハミングバード・ディスペンサー(hummingbird dispenser)を用いてアッセイプレート(384ウェル白色ソリッドボトムプレート)に加えた。次いで、5μLの細胞/ビーズ混合液を、マルチドロップ・ディスペンサー(multidrop dispenser)を用いて化合物の上に加えた。次いで、基質(5μL)を各ウェル(2.5μMグリシンを含有するアッセイバッファー中のH3−グリシンの1:100希釈液)に加えた。データを、5分の暴露としてPerkin Elmer Viewluxを用いて収集した。pIC50データ値を、ActivityBaseを用いて決定した。
【0059】
3)グリシン(1型)トランスポーターを発現しているHEK293細胞を5%CO中37℃にて、細胞培地[2mMのL−グルタミン、0.8mg/mLのG418および10%熱不活化ウシ胎仔血清を含有するDMEM/NUT mix F12]中で増殖させた。T175フラスコ中、70−80%集密度になるまで増殖させた細胞を採取し、凍結させた。アッセイについて、細胞を解凍し、アッセイバッファー[140mMのNaCl、5.4mMのKCl、1.8mMのCaCl、0.8mMのMgSO、20mMのHEPES、5mMのグルコースおよび5mMのアラニン、pH7.4]中に1.32x10細胞/mlで再懸濁した。化合物を、各化合物を有する2.5mMの最大濃度からDMSOで順次、4倍希釈し、11のデータ点の用量−反応を得た。各濃度の100nLの化合物を、アッセイプレートに加えた。等容量のLeadseeker(登録商標)WGA SPAビーズ(アッセイバッファー中で懸濁された12.5mg/ml)を細胞懸濁液(1.32x10)に加え、5uLの細胞/ビーズ懸濁液を、100nLの試験化合物を含有するLV384ウェル白色ソリッドボトムプレートの各ウェルに移した(3300細胞/ウェル)。基質(5uL)を各ウェル[2.5uMグリシンを含有するアッセイバッファー中の[3H]−グリシンストックの1:100希釈液)に加えた。最終DMSO濃度は、1v/v%であった。データを、Perkin Elmer Viewluxを用いて収集した。pIC50値をActivity Baseを用いて決定した。
【0060】
化合物は、その遊離塩基形態または塩の形態、例えば、塩酸塩またはギ酸塩でアッセイされうる。上記のアッセイは、一般に、±3標準偏差=±0.5で補正したデータを得ると考えられている。
【0061】
GlyT1トランスポーターにて5.0以上のpIC50を有する化合物は、GlyT1トランスポーターにて活性があると考えられている。以下の実施例化合物は、1種または複数の上記アッセイにおいて、GlyT1トランスポーターにて5.0以上のpIC50を有することが見出された。
【0062】
本発明のさらなる態様において、療法に用いるための式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0063】
本発明の別の態様において、GlyT1によって媒介される障害の治療に用いるための、前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0064】
医薬として本発明の化合物を用いるために、正常に標準的薬務にしたがって医薬組成物中に処方されるであろう。本発明はまた、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物、および担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0065】
さらなる態様において、本発明は、医薬組成物を調製する方法であって、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物および担体、希釈剤または賦形剤を混合することを含む方法を提供する。
【0066】
本明細書に用いられるように、「GlyT1によって媒介される障害」なる語は、GlyT1トランスポーターの活性を変化させる医薬の投与によって治療されうる障害をいう。前述するように、GlyT1トランスポーターの作用は、NMDA受容体周辺のグリシンの局所濃度に影響を及ぼす。ある量のグリシンが、NMDA受容体の効率的機能に必要とされるので、局所濃度に対する変化は、NMDA介在性神経伝達に影響を及ぼしうる。前述するように、NMDA介在性神経伝達における変化は、認知症、うつ病および精神病、例えば、統合失調症、ならびに学習および記憶障害、例えば、注意力欠陥障害および自閉症などのある種の精神神経疾患に関与している。したがって、GlyT1トランスポーター活性の変化は、かかる障害に影響を及ぼすことが期待される。
【0067】
本発明の文脈内で、本明細書中で用いられる語は、アメリカ精神病医学会(the American Psychiatric Association)によって出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM−IV)および/または国際疾患分類(the International Classification of Diseases)第10版(ICD−10)において分類される。本明細書中に挙げられた障害の種々のサブタイプは、本発明の一部として意図される。以下に列挙した疾患の後ろの括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
【0068】
特に、式(I)の化合物は、妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、未分化型(Undifferentiated Type)(295.90)および残遺型(295.60)サブタイプを含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);双極型および抑うつ型サブタイプを含む統合失調性感情障害(295.70);恋愛(Erotomanic)型、誇大(Gradiose)型、嫉妬(Jealous)型、迫害(Persecutory)型、身体(Somatic)型、混合(Mixed)型および不特定(Unspecified)型サブタイプを含む妄想障害(297.1);短期精神障害(298.8);共通の精神障害(297.3);妄想および幻覚を伴うサブタイプを含む一般的健康状態に起因する精神障害;妄想(293.81)および幻覚(293.82)を伴うサブタイプを含む物質誘導性精神障害;ならびに特定不能の精神障害(298.9)の治療に有用でありうる。
【0069】
式(I)の化合物はまた、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽躁エピソードを含む気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能の抑うつ障害(311)を含む抑うつ障害;I型双極性障害、II型双極性障害(軽躁エピソードを伴う再発性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病性特徴、大うつ病様エピソード、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを含む一般的健康状態に起因する気分障害(293.83)を含む他の気分障害、物質誘導性気分障害(うつ病性特徴、躁病性特徴および混合性特徴を伴うサブタイプを含む)および特定不能の気分障害(296.90)の治療に有用でありうる。
【0070】
式(I)の化合物はまた、パニック発作、広場恐怖症、パニック障害、パニック障害の既往歴のない広場恐怖症(300.22)、動物型、自然環境型、血液注入傷害(Blood−Injection−Injury)型、状況型および他の型のサブタイプを含む特定恐症(300.29)、社会恐怖症(300.23)、強迫障害(300.3)、外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般的健康状態に起因する不安障害(293.84)、物質誘導性不安障害、および特定不能の不安障害(300.00)を含む不安障害の治療に有用でありうる。
【0071】
式(I)の化合物はまた、物質依存および物質濫用などの物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘導性せん妄、物質誘導性持続性認知症、物質誘導性持続性健忘障害、物質誘導性精神障害、物質誘導性気分障害、物質誘導性不安障害、物質誘導性性的機能不全、物質誘導性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘導性障害;アルコール依存(303.90)、アルコール濫用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘導性持続性認知症、アルコール誘導性持続性健忘障害、アルコール誘導性精神障害、アルコール誘導性気分障害、アルコール誘導性不安障害、アルコール誘導性性的機能不全、アルコール誘導性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9)などのアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン濫用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神障害、アンフェタミン誘導性気分障害、アンフェタミン誘導性不安障害、アンフェタミン誘導性性的機能不全、アンフェタミン誘導性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導性不安障害、カフェイン誘導性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)などのカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻濫用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘導性精神障害、大麻誘導性不安障害および特定不能の大麻関連障害(292.9)などの大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン濫用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘導性精神障害、コカイン誘導性気分障害、コカイン誘導性不安障害、コカイン誘導性性的機能不全、コカイン誘導性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9)などのコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤濫用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘導性精神障害、幻覚剤誘導性気分障害、幻覚剤誘導性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)などの幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤濫用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘導性持続性認知症、吸入剤誘導性精神障害、吸入剤誘導性気分障害、吸入剤誘導性不安障害および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)などの吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9)などのニコチン関連障害;オピオイド依存(304.00)、オピオイド濫用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘導性精神障害、オピオイド誘導性気分障害、オピオイド誘導性性的機能不全、オピオイド誘導性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9)などのオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン濫用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘導性精神障害、フェンシクリジン誘導性気分障害、フェンシクリジン誘導性不安障害および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤濫用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性精神障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性気分障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性不安障害、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性性的機能不全、鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤誘導性睡眠障害および特定不能の鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害(292.9)などの鎮静剤、催眠剤または不安緩解剤関連障害;多物質依存(304.80)などの多物質関連障害;およびアナボリックステロイド、硝酸塩吸入剤および亜酸化窒素などの他の(または未知の)物質関連障害を含む物質関連障害の治療に有用でありうる。
【0072】
式(I)の化合物はまた、睡眠異常(Dyssomnias)などの原発性睡眠障害、例えば、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の睡眠異常(307.47);睡眠時異常行動などの原発性睡眠障害、例えば、悪夢障害(307.47)、睡眠恐怖障害(307.46)、夢中歩行障害(307.46)および特定不能の睡眠時異常行動(307.47);別の精神障害に関連した睡眠障害、例えば、別の精神障害に関連した不眠症(307.42)および別の精神障害に関連した過眠症(307.44);一般的健康状態に起因する睡眠障害;および不眠型、過眠型、睡眠時異常行動型および混合型サブタイプを含む物質誘導性睡眠障害を含む睡眠障害の治療に有用でありうる。
【0073】
式(I)の化合物はまた、摂食障害、例えば、制限型および過食/瀉下型サブタイプを含む神経性無食欲症(307.1);瀉下型および非瀉下型サブタイプを含む神経性食欲昂進症(307.51);肥満;強迫性摂食障害;および特定不能の摂食障害(307.50)の治療に有用でありうる。
【0074】
式(I)の化合物はまた、自閉障害(299.00);混合型の注意欠陥/多動性障害(314.01)、主に不注意型の注意欠陥/多動性障害(314.00)、多動−衝動型の注意欠陥/多動性障害(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)サブタイプを含む注意欠陥/多動性障害;多動障害;破壊的行動障害、例えば、幼児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および不特定発症型(312.89)サブタイプを含む行為障害、反抗的行動障害(313.81)および特定不能の破壊的行動障害;およびトゥーレット障害(307.23)などのチック障害の治療に有用でありうる。
【0075】
式(I)の化合物はまた、妄想性人格障害(301.0)、統合失調症的人格障害(301.20)、統合失調症型人格障害(301,22)、非社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)サブタイプを含む人格障害の治療に有用でありうる。
【0076】
式(I)の化合物はまた、認識機能障害の治療に有用でありうる。本発明の文脈内で、認識機能障害なる語には、例えば、注意、順応、学習障害、記憶を含む認識機能の障害(すなわち、記憶障害、健忘症、健忘障害、一過性全健忘症症候群および加齢による記憶障害)および言語機能の障害;卒中、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズ関連認知症または多重梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下関連認知症、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側索硬化症などの他の変性障害に関連する認知症などの他の認知症状態の結果としての認識機能障害;せん妄または鬱のような認識力低下を引き起こしうる他の急性または亜急性状態(偽認知症状態)、外傷、頭部外傷、加齢に関連する認識低下、卒中、神経変性、薬物誘導性状態、神経毒性剤の結果としての認識機能障害、軽度認識機能障害、加齢による認識機能障害、自閉症に関連する認識機能障害、ダウン症候群、精神病に関連する認識低下、および電気ショック療法後の認識機能障害;およびパーキンソン病、神経遮断薬誘導性パーキンソンニズムおよび遅発性ジスキネジーなどの運動障害の治療が含まれる。
【0077】
本発明の化合物はまた、統合失調症、双極性障害、うつ病、他の精神障害および認識機能障害に付随する精神病状態などの他の疾患に関連するかまたはその結果として認識機能障害の治療に有用でありうる。
【0078】
式(I)の化合物はまた、性的欲求障害、例えば、性的欲求低下障害(302.71)および性的嫌悪障害(302.79);性的刺激障害、例えば、女性性的刺激障害(302.72)および男性勃起障害(302.72);オルガスム障害、例えば、女性オルガスム障害(302.73)、男性オルガスム障害(302.74)および早漏(302.75);性的疼痛障害、例えば、性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51);特定不能の性的機能不全(302.70);性的倒錯、例えば、露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、摩擦症(302.89)、ペドフィリア(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および特定不能の性的倒錯(302.9);性的自己同一性障害、例えば、子供の性的自己同一性障害(302.6)および青年または成人における性的自己同一性障害(302.85);および特定不能の性的障害(302.9)を含む性的機能不全の治療に有用でありうる。
【0079】
式(I)の化合物はまた、抗けいれん薬として有用でありうる。したがって、式(I)の化合物は、哺乳動物におけるけいれん、特にヒトにおけるてんかんの治療に有用である。「てんかん」は、以下の発作:単純部分発作、複雑部分発作、欠神発作を含む続発性全身発作、ミオクローヌス発作、間代発作、強直発作、強直間代発作および無緊張発作を含むことが意図される。本発明はまた、けいれんの治療方法であって、前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の有効量をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。てんかんの治療は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の非毒性抗けいれん性有効量の投与によって行われうる。
【0080】
式(I)の化合物はまた、神経因性疼痛、例えば、糖尿病性神経障害、坐骨神経痛、非特異的腰痛、多発性硬化症による疼痛、線維筋痛、HIV関連神経障害、ヘルペス後神経痛および三叉神経痛などの神経痛ならびに身体外傷、切断術、癌、毒素または慢性炎症性疾患がもたらす疼痛の治療に有用でありうる。
【0081】
他の障害には、良性健忘症、幼児期学習障害および閉鎖性頭部外傷、パーキンソン病、運動異常障害、認識機能障害、嘔吐、運動障害、記憶喪失、概日リズム障害、攻撃性および眩暈が含まれる。
【0082】
本発明の別の態様において、GlyT1によって媒介される障害に罹患しているかまたは罹患しやすい、ヒトを含む、哺乳動物の治療方法であって、前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0083】
本発明の別の態様において、GlyT1によって媒介される障害の治療のための医薬の調製における前述の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用が提供される。
【0084】
一の実施態様において、前述の使用または方法によって治療されるGlyT1によって媒介される障害は、精神病(統合失調症を含む)、認知症または注意力欠陥障害である。一の実施態様において、障害は統合失調症である。
【0085】
本明細書に用いられるように、「有効量」なる語は、例えば、研究者または臨床医によって探求されている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発するであろう薬剤または医薬品の量を意味する。
【0086】
式(I)の化合物ならびにその塩および溶媒和物はまた、定型および非定型抗精神病薬などの、他の活性成分との組み合わせに適当であり、精神異常の治療の改善を提供しうる。
【0087】
したがって、本発明はまた、
i)本発明の化合物および抗精神病薬を含む組み合わせ生成物;
ii)i)記載の組み合わせ生成物および少なくとも1種の担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物;
iii)哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡によって引き起こされる疾患または病態を治療するのに用いるための上記i)記載の組み合わせ生成物の使用;
iv)哺乳動物のグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡によって引き起こされる疾患または病態を治療するのに用いるための上記i)記載の組み合わせ生成物;
v)本発明の化合物を含む第1の剤形および同時治療投与のための抗精神病薬を各々含む1種または複数のさらなる剤形を含む精神病性障害の治療に用いるためのキット・オブ・パーツ(kit−of−parts);
vi)医薬として用いるための上記i)記載の組み合わせ生成物;
vii)哺乳動物のグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡によって引き起こされる疾患または病態の治療方法であって、上記i)記載の組み合わせ生成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0088】
本発明の組み合わせ療法は、併用投与されうる。併用投与によれば、個々の医薬組成物またはデバイスの形態における各成分の同一または重複投与を意味する。2種または複数の治療薬の治療的投与の該投与計画は、一般に、補助治療的投与として当業者および本明細書によって言及される;アドオン(add−on)治療的投与としても知られている。患者が、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1種の抗精神病薬を個々の投与を受けるが、同一または重複の治療的投与を受ける、あらゆる治療計画は、本発明の範囲内にある。本明細書に記載の補助治療的投与の一の実施態様において、患者は、典型的には、一定期間に1種または複数の成分の治療的投与で安定にし、次いで、別の成分の投与を受ける。本発明の範囲内では、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1種の抗精神病薬の投与を受けている患者に対する併用治療的処置として投与されうるが、本発明の範囲はまた、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与を受けている患者に対する少なくとも1種の抗精神病薬の補助治療的投与を含む。
【0089】
本発明の併用療法はまた、同時に投与してもよい。同時投与によれば、同時に投与される、両方の成分を含むかまたは含有する単一の医薬組成物またはデバイスの形態において、あるいは各々が成分の1つを含む別々の組成物またはデバイスとして、個々の成分を一緒に投与する投与計画を意味する。同時組み合わせのための別々の個々の成分のかかる組み合わせは、キット・オブ・パーツの形態で提供されてもよい。
【0090】
したがって、さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の抗精神病薬の治療的投与を受けている患者に対し式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の補助治療的投与による精神障害の治療方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の抗精神病薬の治療的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助治療的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。本発明は、さらに、少なくとも1種の抗精神病薬の治療的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助治療的投与のために有用な式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0091】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者に対して少なくとも1種の抗精神病薬の補助治療的投与による精神障害の治療方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助治療的投与のための医薬の製造における、少なくとも1種の抗精神病薬の使用を提供する。本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者における精神障害の治療のための補助治療的投与のための少なくとも1種の抗精神病薬を提供する。
【0092】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の抗精神病薬と組み合わせて式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の同時治療的投与による精神障害の治療方法を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における同時治療的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1種の抗精神病薬の組み合わせの使用を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における少なくとも1種の抗精神病薬との同時治療的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における少なくとも1種の抗精神病薬との同時治療的投与に有用な式(I)の化合物またはその塩を提供する。本発明は、さらに、精神障害の治療における式(I)の化合物またはその塩との同時治療的投与のための医薬の製造における、少なくとも1種の抗精神病薬の使用を提供する。
【0093】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物の同時治療的投与による精神障害の治療方法、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物、精神障害の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物の使用、ならびに精神障害の治療において有用な式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物を提供する。
【0094】
本発明に有用な抗精神病薬の例として、限定するものではないが、ハロペリドール、ピモジド、およびドロペリドールなどのブチロフェノン類;クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、フルフェナジン、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジン、およびアセトフェナジンなどのフェノチアジン類;チオチキセンおよびクロルプロチキセンなどのチオキサンテン類;チエノベンゾジアゼピン類;ベンズイソキサゾール類;ジベンゾチアゼピン類;イミダゾリジノン類;ベンズイソチアゾリルピペラジン類;ラモトリジンなどのトリアジン類;モリンドンなどのジヒドロインドロン類;アリピプラゾール;および抗精神病活性を有するその誘導体が挙げられる。
【0095】
選択される抗精神病薬の商標名および供給元の例は、以下のとおりである:
クロザピン(商標名CLOZARIL(登録商標)で、Mylan,ZenithGoldline,UDL,Novartisから入手可能);オランザピン(商標名ZYPREX(登録商標)で、Lillyから入手可能);ジプラシドン(商標名GEODON(登録商標)で、Pfizerから入手可能);リスペリドン(商標名RISPERDAL(登録商標)で、Janssenから入手可能);フマル酸クエチアピン(商標名SEROQUEL(登録商標)で、AstraZenecaから入手可能);ハロペリドール(商標名HALDOL(登録商標)で、Ortho−McNeilから入手可能);クロルプロマジン(商標名THORAZINE(登録商標)で、SmithKline Beecham(GSK)から入手可能);フルフェナジン(商標名PROLIXIN(登録商標)で、Apothecon,Copley,Schering,Teva,およびAmerican Pharmaceutical Partners,Pasadenaから入手可能);チオチキセン(商標名NAVANE(登録商標)で、Pfizerから入手可能);トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン 二塩酸塩、商標名STELAZINE(登録商標)で、Smith Klein Beckmanから入手可能);ペルフェナジン(商標名TRILAFON(登録商標)で、Scheringから入手可能);チオリダジン(商標名MELLARIL(登録商標)で、Novartis,Roxane,HiTech,Teva,およびAlpharmaから入手可能);モリンドン(商標名MOBAN(登録商標)で、Endoから入手可能);およびロキサピン(商標名LOXITANE(登録商標)で、Watsonから入手可能)。さらに、ベンペリドール(Glianimon(登録商標))、ペラジン(Taxilan(登録商標))またはメルペロン(Eunerpan(登録商標))を用いてもよい。他の抗精神病薬には、プロマジン(商標名SPARINE(登録商標)で入手可能)、トリフルロプロマジン(商標名VESPRIN(登録商標)で入手可能)、クロルプロチキセン(商標名TARACTAN(登録商標)で入手可能)、ドロペリドール(商標名INAPSINE(登録商標)で入手可能)、アセトフェナジン(商標名TINDAL(登録商標)で入手可能)、プロクロルペラジン(商標名COMPAZINE(登録商標)で入手可能)、メトトリメプラジン(商標名NOZINAN(登録商標)で入手可能)、ピポチアジン(商標名PIPOTRIL(登録商標)で入手可能)、ジプラシドン、およびホペリドンが含まれる。
【0096】
有利には、本発明に記載の化合物が、1種または複数の他の治療薬、例えば、5HT3アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬、ドーパミン作動性抗うつ薬、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニストおよび/または抗けいれん薬、ならびに向知性薬などの抗うつ薬と併用して用いられうることは、当業者に明らかであろう。
【0097】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当な5HT3アンタゴニストには、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが含まれる。
【0098】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なセロトニンアゴニストには、スマトリプタン、ラウオルシン、ヨヒンビン、メトクロプラミドが含まれる。
【0099】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なSSRIには、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、インダルピン、セルトラリン、ジメルジンが含まれる。
【0100】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なSNRIには、ベンラファキシンおよびレボキセチンが含まれる。
【0101】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当な三環系抗うつ薬には、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンが含まれる。
【0102】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なドーパミン作動性抗うつ薬には、ブプロピオンおよびアミネプチンが含まれる。
【0103】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当な抗けいれん薬には、例えば、ジバルプロエクス、カルバマゼピンおよびジアゼパムが含まれる。
【0104】
本発明の医薬組成物は、通常、経口、舌下、バッカル、非経口(例えば、皮下、筋内または静脈内)、直腸、局所および鼻腔内投与ならびに吸入または吹き込みによる投与(口または鼻のいずれかを介する)に適当な形態に適している。特定の患者にとって最も適当な手段は、治療されている病態の特性および重篤度ならびに活性化合物の特性に依存するであろう。一の実施態様において、経口投与が提供される。
【0105】
経口投与に適当な処方は、各々が所定量の活性化合物を含有する個々の単位、例えば、錠剤、カプセル、カシェまたはロゼンジとして;粉末または顆粒として;水性または非水性液体中溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして提供されうる。
【0106】
舌下またはバッカル投与に適当な処方には、活性化合物、および典型的には、風味付けした基剤、例えば、砂糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴムを含むロゼンジ、ならびに不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはシュークロースおよびアラビアゴム中に活性化合物を含むトローチが含まれる。
【0107】
非経口投与に適当な処方は、典型的には、所定濃度の活性化合物を含有する滅菌水性溶液を含み;該溶液は、対象であるレシピエントの血液と等張でありうる。かかる溶液は、静脈内投与されるかあるいは皮下または筋内注射によって投与されてもよい。
【0108】
直腸投与に適当な処方は、活性成分および坐剤基剤、例えば、ココアバターを形成する1種または複数の固形担体含む単位投与量の坐剤として提供されうる。
【0109】
局所または鼻腔内用途に適当な処方には、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エーロゾルおよび油が含まれる。かかる処方に適当な担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびその組み合わせが含まれる。
【0110】
本発明の処方は、いずれかの適当な方法によって、典型的には、活性化合物(群)を液体または微粉固形担体あるいはその両方と、必要な割合で一様によく混合し、次いで、必要に応じ、得られた混合物を所望の形状に成形することによって調製されうる。
【0111】
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または顆粒および1種または複数の任意の成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤または表面活性分散剤を含むよく混ざった混合物を圧縮することによって、または粉末状の活性成分および不活性液体希釈剤のよく混ざった混合物を成形することによって調製されうる。
【0112】
非経口投与用の水性溶液は、典型的には、活性化合物を十分な水で溶解して、所望の濃度を得、次いで、得られた溶液を滅菌および等張にすることによって調製される。
【0113】
正確な投与量が、患者の年齢および状態ならびに投与頻度および経路に依存し、かかりつけ医の最終的な判断によるものであることは明らかであろう。該化合物は、単回投与または分割投与量で投与されてもよく、1回または複数回、例えば、1日に1〜4回投与されてもよい。
【実施例】
【0114】
さらに、本発明は、限定するものではない、以下の実施例によって説明される。
【0115】
反応が、先に、全面的に記載される反応と同様の方法で行われているように記載される場合、一般的反応条件は、基本的には同一であった。用いられる後処理条件は、当該分野にて標準タイプであったが、一の反応から別の反応に適合させていてもよい。
【0116】
略語:
THF テトラヒドロフラン
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
BACH−EI ボラン−N−エチル−N−イソプロピルアニリン複合体
BOC ベンジルオキシカルボニル
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’
,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
EDC N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジ
イミド 塩酸塩
HOAt 3H−(1,2,3)−トリアゾロ(4,5−b)ピリジン−3
−オール
NMP N−メチルピロリジノン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
rt 室温
0.88アンモニア 比重0.88濃水性アンモニア
【0117】
分析的LC/MSクロマトグラフィー条件
条件A:
カラム: Waters Atlantis 50mmx4.6mm,粒径3um
移動相: A:0.05%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.05%ギ酸
勾配: 5分の実行時間:3%B〜97%B 4分
流速: 3ml/分
UV波長域: 220−330nm
温度: 30℃
【0118】
条件B*:
カラム: Phenomenex C18(2) Luna,30mmx4.6mm
移動相: A:水
B:アセトニトリル
勾配: 3.5分の実行時間:20%B〜100%B 2.5分
流速: 2ml/分
UV波長域: 214−254nm
温度: 40℃
【0119】
条件C**:
カラム: Waters Atlantis 20mmx4.6mm、粒径3um
移動相: A:0.1%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
勾配: 5.5分の実行時間:3%B〜97%B 5.3分
流速: 1ml/分
UV波長域: 210−350nm
温度: 常温
【0120】
条件Bは、以下の記載例および実施例において*で示される分析に用い、条件Cは、以下の記載例および実施例において**で示される分析に用いた。条件Aは、他の全ての分析に用いた。
【0121】
記載例1:[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)エチル]アミン
【化14】

(S)−スチレン・オキシド(0.50mL、4.4mmol、1当量)を、ピペリジン(0.69mL、7.0mmol、1.6当量)のエタノール(15mL)中攪拌溶液に加え、得られた混合物を、3時間加熱還流した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗物質を、高真空下で2時間完全乾燥し、結晶生成物を得た。
【0122】
粗生成物を、ジエチルエーテル(20mL)で再溶解し、トリエチルアミン(1.8mL、13.2mmol、3当量)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(0.4mL、5.3mmol、1.2当量)を滴下した。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、その間に、白色沈殿が形成され、攪拌が困難になった。トリエチルアミン(1.2mL、8.8mmol、2当量)を加え、反応混合物を室温に加温した。水性0.88アンモニア(11mL、650mmol、50当量)を加え、得られた二相性混合物を、窒素雰囲気下、室温で16時間攪拌した。
【0123】
水層を分離し、ジエチルエーテルで3回抽出した。合した有機層を飽和水性NaHCO溶液および水で洗浄し、(NaSO)乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色油として粗生成物を得た。
生成物をクーゲルロール(Kugelrohr)蒸留(200−210℃、0.2mmHg)により精製し、淡黄色油として標記化合物を得た(0.58g、64%)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値205(MH)。C1320 理論値204。保持時間2.53分。*
【0124】
記載例2:[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]アミン
【化15】

標記化合物(1.50g;81%)を、D1に記載の方法と同様の方法で、(S)−スチレン・オキシドおよびピロリジンから調製した。H NMR(CDCl)δ:1.80(6H,br s),2.38(2H,d),2.49(2H,m),2.66(2H,m),2.80(1H,t),4.10(1H,m),7.2−7.42(5H,m)。
【0125】
記載例3:[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]アミン
【化16】

標記化合物(0.54g;50%)を、D1に記載の方法と同様の方法で、(S)−スチレン・オキシドおよび2メチルピロリジンから調製した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値205(MH)。C1320 理論値204。保持時間0.36分。*
【0126】
記載例4:[(1S)−2−(2−エチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]アミン
【化17】

標記化合物(0.133g;60%)を、生成物をジクロロメタン−メタノール−水性アンモニア混合液で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製することを除き、D1に記載の方法と同様の方法で、(S)−スチレン・オキシドおよび2−エチルピロリジンから調製した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値219(MH)。C1422 理論値218。保持時間0.39分。
【0127】
記載例5:[(1S)−2−(2,4−ジメチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]アミン
【化18】

標記化合物(0.100g;50%)を、生成物をジクロロメタン−メタノール−水性アンモニア混合液で溶出しながらシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製することを除き、D1に記載の方法と同様の方法で、(S)−スチレン・オキシドおよび2,4−ジメチルピロリジンから調製した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値219(MH)。C1422 理論値218。保持時間0.37分。
【0128】
記載例6:[(2S)−2−アミノ−2−フェニルエチル]メチル(1−メチルエチル)アミン
【化19】

標記化合物(0.514g;61%)を、D1に記載の方法と同様の方法で、(S)−スチレン・オキシドおよびイソプロピルメチルアミンから調製した。
【0129】
記載例7:(2S)−({[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)(フェニル)エタン酸メチル
【化20】

(S)−2−フェニルグリシン メチルエステル 塩酸塩(0.201g;1.0mmol)および塩化2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンゾイル(0.243g、1mmol)(実施例1に記載の製法によって2−クロロ−3−トリフルオロメチル安息香酸および塩化チオニルから調製)を、アルゴン雰囲気下、室温でトリエチルアミン(0.4ml;3mmol)の存在下において、ジクロロメタン(5ml)中で16時間攪拌した。次いで、有機溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、(MgSO)乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣を、酢酸エチル/ペンタン混合液で溶出しながら、シリカゲル(20g)上のクロマトグラフィーに付して、白色固体として標記化合物を得た(0.330g;収率89%)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値372(MH)。C171335ClFNO 理論値371。保持時間2.99分。
【0130】
記載例8:2−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化21】

(2S)−({[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)(フェニル)エタン酸メチル(記載例7)(0.050g;0.135mmol)のジクロロメタン(2ml)中溶液を、アルゴン雰囲気下、−78℃に冷却した。水素化ジイソブチルアンモニウムのトルエン中溶液(0.266mlの1.5M溶液;0.18mmol)を加え、得られた溶液を−78℃で3時間攪拌した。次いで、メタノール(0.5ml)を加え、反応溶液を室温まで加温した。反応溶液を、ジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、(MgSO)乾燥し、減圧下で蒸発させ、黄色ゴムとして標記化合物を得た(0.037g)。
【0131】
記載例9:(S)−(1−フェニル−2−ピロリジン−1−イル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび(S)−2−フェニル−アジリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化22】

(S)−N−BOC−2−フェニルグリシノール(1g、4.2mmol、1当量)を、アセトニトリル(10mL)で溶解し、塩化メタンスルホニル(0.34mL、4.4mmol、1.05当量)およびトリエチルアミン(0.88mL、6.3mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を、窒素下、室温で1時間攪拌した。追加のトリエチルアミン(0.88mL、6.3mmol、1.5当量)を、次いで、ピロリジン(0.33g、4.6mmol、1.1当量)を加え、反応混合物を、3時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン(20mL)で再溶解した。有機物を、水性水酸化ナトリウム(1.0M;20mL)、水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、(MgSO)乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色油として粗生成物を得た。
生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して精製し、それぞれアミンおよびアジリジンの5:2混合物を得た(265mg)。
【0132】
記載例10:(2S)−2−(4−フルオロフェニル)オキシラン
【化23】

4−フルオロアセトフェノン(1.0g、7.2mmol)のアセトニトリル(15ml)中攪拌溶液を、[ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼン(1.96g、5.0mmol)で処理し、18時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲル(50g)上のクロマトグラフィーに付した。ペンタン中0−30%酢酸エチルで溶出し、白色固体として2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソエチル 4−メチルベンゼンスルホン酸塩を得た(1.2g、79%)。δ:(400MHz,CDCl) 2.45(3H,s),5.21(2H,s),7.15(2H,m),7.35(2H,d,J=8.8Hz),7.84(2H,d,J=8.8Hz),7.89(2H,m) ppm。LC/MS:m/z(ES+)309(MH、C1513SF 理論値308)。保持時間3.09分。
【0133】
テトラヒドロフラン中2M BACH−EI(2.0ml、4.0mmol)およびトルエン中1M (S)−(−)−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジン(0.40ml、0.40mmol)の乾THF(5ml)中溶液を、アルゴン下で室温にて攪拌し、1時間かけて加えられた2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソエチル 4−メチルベンゼンスルホン酸塩(1.2g、3.9mmol)の乾THF(2ml)中溶液で処理した。さらに30分後、反応が終わるまでアルゴン下で水を滴下し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチルで溶解し、2M塩酸で2回洗浄し、乾燥し、蒸発させ、無色ゴムとして(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシエチル 4−メチルベンゼンスルホン酸塩を得た(1.14g、定量的)。これを、ジエチルエーテル(20ml)で溶解し、2M水酸化ナトリウム溶液(3ml)で処理し、一晩攪拌した。有機層を乾燥し、溶媒を減圧下で慎重に除去し、油として(2S)−2−(4−フルオロフェニル)オキシランを得た(470mg、68%)。δ:(400MHz,CDCl) 2.77(1H,dd,J=5.4および2.6Hz),3.14(1H,dd,J=5.4および4.0Hz),3.85(1H,dd,J=4.0および2.6Hz),7.04(2H,m),7.25(2H,m) ppm。
【0134】
記載例11:(1S)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタンアミン
【化24】

(2S)−2−(4−フルオロフェニル)オキシラン(100mg、0.72mmol)(D9)および2−メチルピロリジン(147ul、1.44mmol)のエタノール(3ml)中溶液を、18時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。酢酸エチルで溶出し、無色油として(1S)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタノールを得た(116mg、68%)。
【0135】
(1S)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタノール(116mg、0.49mmol)のDCM(3ml)中溶液を、0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(45ul、0.59mmol)およびトリエチルアミン(140ul、1.0mmol)で処理した。室温で2時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥し、蒸発させ、粗生成物を得、THF(2ml)で溶解し、比重0.88水性アンモニア溶液(0.5ml)で処理した。室温で一晩攪拌した後、THFを減圧下で除去し、残渣をDCMで溶解した。これを飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥し、蒸発させ、粗(1S)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタンアミンを得た。さらに精製することなく用いた。
【0136】
記載例12:(1S)−1−(2−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタンアミン
【化25】

D10およびD11と同様の方法で調製した。
【0137】
記載例13:(1S)−1−(3−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタンアミン
【化26】

D10およびD11と同様の方法で調製した。
【0138】
記載例14:(1S)−1−[2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタンアミン
【化27】

D10およびD11と同様の方法で調製した。
【0139】
記載例15:(1S)−1−[3−(メチルオキシ)フェニル]−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタンアミン
【化28】

D10およびD11と同様の方法で調製した。
【0140】
記載例16:(1S)−1−[4−(メチルオキシ)フェニル]−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エタンアミン
【化29】

D10およびD11と同様の方法で調製した。
【0141】
記載例17:3−[(1S)−1−アミノ−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]ベンゾニトリル
【化30】

D10およびD11と同様の方法で調製した。
【0142】
記載例18:4−[(1S)−1−アミノ−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]ベンゾニトリル
【化31】

D10およびD11と同様の方法で調製した。
【0143】
実施例1.2−クロロ−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化32】

2−クロロ−3−トリフルオロメチル−安息香酸(112mg、0.5mmol、1当量)を塩化チオニル(2mL)で懸濁し、混合物を窒素雰囲気下で1.5時間加熱還流した。反応混合物を、減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(1mL)で再溶解した。塩化アシルの溶液を、窒素雰囲気下、0℃で[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)エチル]アミン(102mg、0.5mmol、1当量)およびトリエチルアミン(0.10mL、0.75mmol、1.5当量)のジクロロメタン(2mL)中攪拌溶液に滴下した。反応混合物を、室温に加温し、16時間攪拌した。反応混合物を、水性クエン酸(10%;20mL)に注ぎ、次いで、水層をジクロロメタン(3x20mL)で抽出した。合した有機層を、飽和水性炭酸水素ナトリウム(30mL)、水(30mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、(MgSO)乾燥し、減圧下で濃縮し、橙色ゴムとして粗生成物を得た。
【0144】
粗生成物を、ジイソプロピルエーテルから再結晶し、灰白色固体として標記化合物を得た(100mg、49%)。H NMR(DMSO)δ:1.40−1.65(6H,m),2.30−2.80(6H,m),5.25(1H,m),7.28−7.50(4H,m),7.70(2H,s),7.99(1H,d),9.09(1H,d)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値411(MH)。C212235ClFO 理論値410。保持時間4.07分。*
【0145】
実施例2.2−クロロ−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化33】

記載例9からの反応混合物(265mg)を、ジクロロメタン(2mL)で溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を、次いで、2滴の水を加えた。反応混合物を、4時間攪拌し、次いで、トルエン(5mL)を加えた。反応混合物を、減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン(5mL)で再溶解し、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)および水(5mL)で洗浄した。有機層を、(MgSO)乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色ゴムとして粗アミンを得た。
【0146】
次いで、該アミンを実施例1に記載の製法を介してアミド化した。生成物を、ジクロロメタン/メタノール/水性アンモニア混合液で溶出しながら、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付して精製し、次いで、ジイソプロピルエーテル/石油エーテル40−60でトリチュレートし、標記化合物を得た(13mg)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値397(MH)。C202035ClFO 理論値396。保持時間3.92分。*
【0147】
実施例3.2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化34】

標記化合物(0.102g;42%)を、実施例1に記載の方法と同様の方法で、[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]アミンおよび2−クロロ−3−トリフルオロメチル−安息香酸から調製した。H NMR(CDCl)δ:1.01(3H,s),1.30−3.35(9H,m),4.99(0.5H,br s),5.28(0.5H,br s),7.1−7.5(7H,m),7.79(2H,m)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値411(MH)。C212235ClFO 理論値410。保持時間3.98および4.11分(異性体比1:1)。*
【0148】
実施例4.2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−エチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化35】

標記化合物を、実施例1に記載の方法と同様の方法で、[(1S)−2−(2−エチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]アミンおよび2−クロロ−3−トリフルオロメチル−安息香酸から調製した。H NMR(MeOD)δ:1.08(3H,t),1.51−1.62(1H,m),1.71−1.82(1H,m),1.99−2.12(2H,m),2.13−2.26(1H,m),2.30−2.40(1H,m),3.37−3.53(2H,m),3.59−3.68(1H,m),3.80−3.92(2H,m),5.53(1H,t),7.39−7.70(7H,m),7.90(1H,d)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値425(MH)。C222435ClFO 理論値424。保持時間2.11分。
【0149】
実施例5.2−クロロ−N−[(1S)−2−(2,4−ジメチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化36】

標記化合物を、実施例1に記載の方法と同様の方法で、[(1S)−2−(2,4−ジメチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]アミンおよび2−クロロ−3−トリフルオロメチル−安息香酸から調製した。H NMR(CDCl)δ:1.18(3H,2xd),1.40−1.58(4H,m),2.38−2.48(1H,m),2.52−2.70(1H,m),3.50−3.73(3H,m),3.80−3.98(1H,m),5.52(1H,m),7.39−7.90(8H,m)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値425(MH)。C222435ClFO 理論値424。保持時間2.14分。
【0150】
実施例6.2−クロロ−N−{(1S)−2−[メチル(1−メチルエチル)アミノ]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化37】

標記化合物を、実施例1に記載の方法と同様の方法で、[(2S)−2−アミノ−2−フェニルエチル]メチル(1−メチルエチル)アミンおよび2−クロロ−3−トリフルオロメチル−安息香酸から調製した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値399(MH)。C202235ClFO 理論値398。保持時間4.05分。*
【0151】
実施例7.2−クロロ−N−{(1S)−2−[(1−メチルエチル)アミノ]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化38】

2−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド(記載例8)(0.037g;0.11mmol)、イソプロピルアミン(0.009ml;0.11mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.025g;0.12mmol)および酢酸(0.007ml;0.12mmol)のジクロロメタン(2ml)中混合物を、アルゴン下、室温で16時間攪拌した。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を滴下し、有機層をMgSOで乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を、ジクロロメタン/メタノール/アンモニア混合液で溶出しながら、シリカゲル(10g)上のクロマトグラフィーに付して、白色固体として標記化合物を得た(0.003g)。H NMR(CDCl)δ:1.20(6H,2xd),3.02(1H,dd),3.12(1H,m),3.49(1H,m),5.57(1H,m),7.32−7.45(6H,m),7.70−7.79(2H,m),8.30(1H,br s),9.89(1H,br s)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値385(MH)。C192035ClFO 理論値384。保持時間2.07分。
【0152】
実施例8:2−クロロ−N−[(1S)−1−(2−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化39】

粗アミン(D12)(0.41mmol)のDCM(3ml)中溶液を、トリエチルアミン(140ul、1.0mmol)および塩化2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンゾイル(99mg、0.41mmol)で処理し、室温で3時間攪拌した。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥し、蒸発させ、粗生成物を得た。ペンタン中20−100%酢酸エチルで溶出しながら、シリカゲル(10g)上のクロマトグラフィーに付して、ジアステレオ異性体の混合物として2−クロロ−N−[(1S)−1−(2−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを得た(70mg、40%)。δ:(400MHz,CDCl)1.0−1.05(3H,d),1.3−3.3(9H,重なり合ったm),5.29および5.45(1H,m),7.0−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)429(MH,C2121OF4Cl 理論値428)。保持時間2.23分。
【0153】
実施例9:2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化40】

実施例8に記載の方法と同様の方法で、ジアステレオ異性体としてD13から調製した。δ:(400MHz,CDCl)1.0−1.05(3H,重なり合ったd),1.3−3.3(9H,重なり合ったm),4.93および5.20(1H,m),7.0−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)429(MH,C2121OF4Cl 理論値428),保持時間2.19分。
【0154】
実施例10:2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化41】

実施例8に記載の方法と同様の方法で、ジアステレオ異性体の混合物としてD11から調製した。δ:(400MHz,CDCl)1.0−1.05(3H,重なり合ったd),1.3−3.3(9H,重なり合ったm),4.92および5.20(1H,m),7.0−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)429(MH,C2121OF4Cl 理論値428),保持時間2.31分。
【0155】
実施例11:2−クロロ−N−[(1S)−1−(2−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化42】

実施例8に記載の方法と同様の方法で、ジアステレオ異性体の混合物としてD14から調製した。δ:(400MHz,CDCl)1.0および1.05(3H,d),1.3−3.3(9H,重なり合ったm),3.88(3H,s),5.41および5.47(1H,重なり合ったm),6.9−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)441(MH,C2224Cl 理論値440),保持時間2.27分。
【0156】
実施例12:2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化43】

実施例8に記載の方法と同様の方法で、ジアステレオ異性体の混合物としてD15から調製した。δ:(400MHz,CDCl)1.0−1.05(3H,重なり合ったd),1.3−3.25(9H,重なり合ったm),3.82(3H,s),4.95および5.20(1H,m),6.8−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)441(MH,C2224Cl 理論値440),保持時間2.19分。
【0157】
実施例13:2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化44】

実施例8に記載の方法と同様の方法で、ジアステレオ異性体の混合物としてD16から調製した。δ:(400MHz,CDCl)1.0−1.05(3H,重なり合ったd),1.3−3.25(9H,重なり合ったm),3.80(3H,s),4.93および5.20(1H,m),6.88(2H,m),7.1−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)441(MH,C2224Cl 理論値440),保持時間2.19分。
【0158】
実施例14:2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−シアノフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化45】

実施例8に記載の方法と同様の方法で、ジアステレオ異性体の混合物としてD17から調製した。δ:(400MHz,CDCl)1.0−1.05(3H,重なり合ったd),1.3−3.25(9H,重なり合ったm),4.93および5.20(1H,m),7.3−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)436(MH,C2221OFCl 理論値435),保持時間2.15分。
【0159】
実施例15:2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−シアノフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
【化46】

実施例8に記載の方法と同様の方法で、ジアステレオ異性体の混合物としてD18から調製した。δ:(400MHz,CDCl)1.0−1.05(3H,重なり合ったd),1.3−3.25(9H,重なり合ったm),4.93および5.20(1H,m),7.3−7.8(8H,重なり合ったm) ppm。LC/MS:m/z(ES+)436(MH,C2221OFCl 理論値435),保持時間2.0分。
【0160】
実施例16:4−クロロ−2−メチル−6−(メチルチオ)−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]ベンズアミド
【化47】

実施例16の化合物を、配列の部分としてロビンズ・ブロック(Robbins block)で合成した。
【0161】
配列法は、以下のとおりであった:
【表1】

【0162】
用いられた酸は、商業的に得られた、4−クロロ−2−メチル−6−(メチルチオ)安息香酸であった。用いられたアミンは、記載例D2のアミンであった。
【0163】
合成:
1.Pol−EDC(約68mg;0.96mmol)を、3.8樹脂ローダーを用いてロビンス・ブロックに加えた。
2.800ulの0.125M HOAt溶液を、ヒドラ(Hydra)を用いてロビンス・ブロックの各ウェルに加えた。
3.250ulのNMP中酸溶液を、ヒドラを用いて適当なウェルに加えた。
4.最終的に、250ulのアミン溶液(THF:NMP;1:1)を、適当なウェルおよび先端密封カバーで密封されたロビンス・ブロックに加え、60時間振盪した。
5.Pol−イソシアネート樹脂(約69mg;1.5mmol/g充填)およびPol−CO3(約69mg;2.85mmol/g充填)を、出発物質を除去するために加え、一晩混合した。
生成物を、SCXブロックに通し、SCXブロックを、DCMで2回およびMeOHで2回洗浄した。次いで、生成物を、バイアル中にて0.5M NH3/MeOHでSCXブロックから溶出した。溶媒をGenevacで除去した。
【0164】
収量は、10.1mg、26umolであった。LCMSデータ:M+1;389.16;保持時間2.43;純度94%。
【0165】
以下の実施例は、類似の出発物質を用いて、本明細書に開示される方法と同様の方法を用いて製造された。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0166】
上記の実施例の化合物は、親遊離塩基をDCMまたはDCM/メタノール混合液で溶解し、エーテル中1M塩化水素を加え、次いで、蒸発させ、真空中で乾燥することによりその対応する塩酸塩に変換されたかまたは変換可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
は、n個のR基で置換されるフェニル、およびn個のR基で置換されるピリジルから選択され;
n=0、1または2;
各Rは、独立して、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
は、水素およびC1−2アルキルから選択され;
は、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択され;
または、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で置換されていてもよい飽和5または6員の複素環を形成し;
各Xは、独立して、C1−4アルキル、およびハロC1−4アルキルからなる群より選択され;
12は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルおよびメチルチオからなる群より選択され;
13は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルから選択され;
14は、水素、トリフルオロメチルおよびクロロから選択され;
15は、水素、クロロおよびトリフルオロメチルから選択され;
16は、水素、メチル、フルオロおよびクロロから選択され;
12、R13、R14、R15およびR16は、全て同時に水素とは限らない]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
が、n個のR基で置換されるフェニルであり、ここで、各Rは、独立して、ハロ、C1−2アルキル、C1−2アルコキシ、ハロC1−2アルキル、ハロC1−2アルコキシおよびシアノからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、水素およびメチルから選択され、Rが、エチル、n−プロピルおよびiプロピルからなる群より選択される、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、1個または複数のX基で置換されていてもよい飽和5または6員の複素環を形成し、ここで、Xは、独立して、C1−2アルキル、およびハロC1−2アルキルからなる群より選択される、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項5】
同時に、R12がクロロであり、R13がトリフルオロメチルであり、R14が水素であり、R15が水素であり、R16が水素である、請求項1−4のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
2−クロロ−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−エチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2,4−ジメチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[メチル(1−メチルエチル)アミノ]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[(1−メチルエチル)アミノ]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(2−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−フルオロフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(2−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−メトキシフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(3−シアノフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−1−(4−シアノフェニル)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
4−クロロ−2−メチル−6−(メチルチオ)−N−[(1S)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[(2R,5S)−2,5−ジメチル−1−ピロリジニル]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[(2R,6S)−2,6−ジメチル−1−ピペリジニル]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1R)−1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1R)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−フルオロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
3−クロロ−2−フルオロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[(1S)−2−(2,2−ジメチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−{(1S)−2−[2−(1−メチルエチル)−1−ピロリジニル]−1−フェニルエチル}−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2,3−ジクロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2,3,5−トリクロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2,4−ジクロロ−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2−クロロ−N−[2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−(2−ピリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2−クロロ−N−[2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−(3−ピリジニル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド
2,6−ジメチル−N−[(1S)−2−(2−メチル−1−ピロリジニル)−1−フェニルエチル]ベンズアミド
2−ブロモ−6−メチル−N−[1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]ベンズアミドのいずれかまたはその塩もしくは溶媒和物である、請求項1−5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
療法に用いるための請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
GlyT1によって媒介される障害の治療に用いるための請求項7記載の化合物。
【請求項8】
障害が、統合失調症、認知症または注意力欠陥障害を含む、精神病である、請求項8記載の化合物。
【請求項9】
GlyT1によって媒介される障害に罹患しているかまたは罹患しやすいヒトを含む、哺乳動物を治療する方法であって、有効量の請求項1−7のいずれか記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項10】
障害が、統合失調症、認知症または注意力欠陥障害を含む、精神病である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
GlyT1によって媒介される障害の治療のための医薬の調製における請求項1−7のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項12】
障害が、統合失調症、認知症または注意力欠陥障害を含む、精神病である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
請求項1−7のいずれか記載の化合物、および少なくとも1種の担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
5HT3アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬、ドーパミン作動性抗うつ薬、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニスト、抗けいれん薬、非定型抗精神病薬および向知性薬から選択される、1種または複数の他の治療薬をさらに含む、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1記載の化合物の調製方法であって、式(II):
【化2】

[式中:R、RおよびRは、請求項1の式(I)と同義である]
で示される化合物を式(III):
【化3】

[式中:R12、R13、R14、R15、およびR16は、請求項1と同義であって、Lは適当な脱離基である]
で示される化合物と反応させ、その後、
・いずれかの保護基を除去してもよく、および/または
・式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換してもよく、および/または
・塩もしくは溶媒和物を形成してもよい工程を含む、方法。
【請求項16】
式(II):
【化4】

[式中:R、RおよびRは、請求項1の式(I)と同義である]
で示される化合物。

【公表番号】特表2009−535301(P2009−535301A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503581(P2009−503581)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053275
【国際公開番号】WO2007/113309
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】