説明

グリシントランスポーターGlyT1に活性を有する化合物およびその使用

本発明は、式(I):


[式中、R、R、R、R、R、Rおよびnは、明細書の記載と同意義である]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物、神経障害および神経精神障害、特に、精神病、認知症または注意欠陥障害の医薬の製造におけるそれらの使用に関する。本発明はまた、これらの化合物の製造方法およびそれらの医薬処方物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリシントランスポーター阻害化合物、神経障害および神経精神障害、特に、精神病、認知症または注意欠陥障害を治療するための医薬の製造におけるその使用に関する。本発明は、また、これらの化合物およびその医薬処方を調製する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
分子クローニングにより、哺乳動物の脳にはGlyT1およびGlyT2と呼ばれる2種類のグリシントランスポーターが存在することが明らかになっている。GlyT1は主に前脳中に見られ、その分布は、グルタミン酸作動性経路およびNMDA受容体の分布と一致している(Smith, et al., Neuron, 8, 1992: 927-935(非特許文献1))。さらに、分子クローニングにより、脳および末梢組織中でそれぞれ独特の分布を示すGlyT−1a、GlyT−1bおよびGlyT−1cと呼ばれるGlyT1の3つの変種が存在することが明らかになっている(Kim et al., Molecular Pharmacology, 45, 1994: 608-617(非特許文献2))。これらの変種は、差示的なスプライシングおよびエキソン使用により生じ、それらのN末端領域が異なる。一方、GlyT2は主に脳幹および脊髄中に見られ、その分布は、ストリキニーネ感受性グリシン受容体の分布とぴったりと一致している(Liu et al., J. Biological Chemistry, 268, 1993: 22802-22808(非特許文献3);Jursky and Nelson, J. Neurochemistry, 64, 1995 : 1026-1033(非特許文献4))。GlyT2によって介在されるグリシン輸送の別の際立った特徴は、それが、GlyT1によって介在されるグリシン輸送の場合のように、サルコシンによって阻害されないということである。これらのデータは、シナプスにおけるグリシンのレベルを調節することにより、GlyT1およびGlyT2がそれぞれNMDA受容体およびストリキニーネ感受性グリシン受容体の活性に選択的に影響を及ぼすという見解と一致する。
【0003】
NMDA受容体は、記憶および学習に非常に関与しており(Rison and Staunton, Neurosci. Biobehav. Rev., 19 533-552 (1995)(非特許文献5);Danysz et al, Behavioral Pharmacol., 6 455-474 (1995)(非特許文献6));さらにまた、NMDA介在神経伝達の機能の低下が統合失調症の症状の根底にあるか、またはその一因となっていると考えられる(Olney and Farber, Archives General Psychiatry, 52, 998-1007 (1996)(非特許文献7))。かくして、GlyT1を阻害し、それによりNMDA受容体のグリシン活性化を増大させる作用物質は、新規な抗精神病薬および抗認知症薬として、ならびに注意欠陥障害および器質性脳症候群のような認知過程が損なわれる他の疾患を治療するために用いることができる。逆に、NMDA受容体の過剰な活性化は、多くの病態、特に、脳卒中に関連する神経細胞死、およびおそらくは神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、AIDS認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、または脳卒中もしくは頭部外傷のような神経細胞死が生じる他の病状に関与している。Coyle & Puttfarcken, Science, 262, 689-695 (1993)(非特許文献8);Lipton and Rosenberg, New Engl. J. of Medicine, 330, 613-622 (1993)(非特許文献9);Choi, Neuron, 1, 623-634 (1988)(非特許文献10)。かくして、GlyT1の活性を増大させる薬理作用のある物質は、NMDA受容体のグリシン活性化の低下をもたらし、この活性は、これらの病態および関連のある病態を治療するために用いることができる。同様に、NMDA受容体のグリシン部位を直接遮断する薬物は、これらの病態および関連する病態を治療するために用いることができる。
【0004】
グリシン輸送阻害剤は、例えば、国際特許出願公開WO03/055478(SmithKline Beecham)(特許文献1)に記載されているように、当該技術分野ではすでに知られている。
【特許文献1】WO03/055478
【非特許文献1】Smith, et al., Neuron, 8, 1992: 927-935
【非特許文献2】Kim et al., Molecular Pharmacology, 45, 1994: 608-617
【非特許文献3】Liu et al., J. Biological Chemistry, 268, 1993: 22802-22808
【非特許文献4】Jursky and Nelson, J. Neurochemistry, 64, 1995 : 1026-1033
【非特許文献5】Rison and Staunton, Neurosci. Biobehav. Rev., 19 533-552 (1995)
【非特許文献6】Danysz et al, Behavioral Pharmacol., 6 455-474 (1995)
【非特許文献7】Olney and Farber, Archives General Psychiatry, 52, 998-1007 (1996)
【非特許文献8】Coyle & Puttfarcken, Science, 262, 689-695 (1993)
【非特許文献9】Lipton and Rosenberg, New Engl. J. of Medicine, 330, 613-622 (1993)
【非特許文献10】Choi, Neuron, 1, 623-634 (1988)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、GlyT2トランスポーターよりもGlyT1トランスポーターを選択的に阻害する化合物を含む、GlyT1トランスポーターを阻害することができるさらなる化合物を同定することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この度、一連の新規な化合物がGlyT1トランスポーターを阻害し、かくして、統合失調症を含むある種の神経障害および神経精神障害の治療に有用であることが見出された。
【0007】
かくして、第1の態様では、式(I):
【化1】

[式中:
は:
【化2】


および(iii)2個までのZ基により置換されていてもよいチエニル基から選択される基であり、該チエニル基は、1〜5個のZ基により置換されていてもよいフェニル基により置換されていてもよく;
ここに、
Zは、水素、ハロゲン、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキルチオ、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルスルホキシ、C1−4アルキルスルホニルおよびシアノから各々独立して選択され;
式(i)および(ii)に示されるC1−4アルキル基は、1個またはそれ以上のハロゲンにより置換されていてもよく;
は、ハロゲン、シアノ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C(O)NR10、(ここに、RおよびR10は、各々独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびR10は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4−、5−、6−または7員の飽和炭素環を形成し、該4−、5−、6−または7員の飽和環は、さらに、O、NおよびS(O)(ここに、mは0、1、または2である)から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい)、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオおよびハロC1−4アルキルチオからなる群から選択され;
nは0、1または2であり;
およびRは、水素および1個またはそれ以上のYにより置換されていてもよいC1−4アルキルから独立して選択されるか;あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基により置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和の4−、5−、6−または7員の炭素環を形成し;
Yは、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシC3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群から選択され;
Y’は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシ、C3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群から選択されるか、あるいはY’は、4−、5または6員環上の2個の原子間の−CH−または−CH−CH−架橋を形成し;
およびRは、独立して、1個またはそれ以上のX基により置換されていてもよいC1−4アルキルであるか;あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1個またはそれ以上のX’基により置換されていてもよい、飽和5または6員の炭素環を形成し、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員の飽和炭素環を形成する場合、該環は、さらに、O、NおよびS(O)(ここに、mは0、1または2である)から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい;
Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択され;
X’は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択される]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0008】
本明細書では、「アルキル」なる用語は全ての異性体形態の直鎖状または分枝状アルキル基をいう。C1−4アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。
【0009】
本明細書では、「シクロアルキル」なる用語は非芳香環状飽和炭化水素環をいう。C3−6シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0010】
本明細書では、「アルコキシ」なる用語は−O−アルキル基をいう(ここで、アルキルは上記で定義したとおりである)。
【0011】
本明細書では、「アルキルチオ」なる用語は−S−アルキル基をいう(ここで、アルキルは上記で定義したとおりである)。
【0012】
本明細書では、「C5−10アリール」なる用語は5員もしくは6員単環式芳香族基または8員〜10員二環式芳香族基をいう。C5−10アリールの例としては、フェニル、インデニル、アズレニルおよびナフチルが挙げられる。
【0013】
本明細書では、「ハロゲン」およびその略語「ハロ」なる用語はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
【0014】
本明細書では、「ハロアルキル」なる用語は、いくつものフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている(これらの原子の混在を含む)上記で定義したアルキル基をいう。ハロアルキル基は、例えば、ハロゲン原子を1、2または3個含有していてよい。例えば、ハロアルキル基は、全ての水素原子がハロゲン原子に置き換わったものであってよい。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる。
【0015】
本明細書では、「塩」なる用語は、無機または有機の酸または塩基から調製される本発明の化合物の塩、4級アンモニウム塩および内部形成塩をいう。塩は、親化合物と比べて水溶性が高いために医薬用途に特に適している。かかる塩は、明らかに、医薬上許容される陰イオンまたは陽イオンを有していなければならない。適当には、本発明の化合物の塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸のような無機酸で形成された酸付加塩、および酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、(1S)−(−)−10−カンファースルホン酸、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸(例えば、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,3−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸)のような有機酸で形成された酸付加塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属、およびN,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リジンおよびプロカインのような有機塩基で形成された塩基付加塩;ならびに内部形成塩が挙げられる。医薬上許容されない陰イオンまたは陽イオンを有する塩は、塩の製造のための、および/または非治療的な状況(例えば、インビトロでの状況)で用いるための有用な中間体として本発明の範囲内にある。塩は、いずれもの適当な化学量論を有していてもよい。例えば、塩は、1:1または2:1の化学量論を有していてもよい。非整数の化学量論比もまた起こり得る。
【0016】
本明細書では、「溶媒和物」なる用語は、溶質(本発明では、式(I)で示される化合物またはその塩)および溶媒によって形成される様々な化学量論の複合体をいう。本発明の目的のかかる溶媒は、溶質の生物学的活性を妨害してはならない。適当な溶媒の例としては、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一の具体例において、使用される溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適当な医薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。一の具体例において、使用される溶媒は水である。
【0017】
一の具体例において、Rは、5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル(ここに、該フェニルは、1〜5個のZ基により置換されていてもよい);2−メチルチオ−3−ピリジル(ここに、該ピリジルは、1〜3個のZ基により置換されていてもよい);およびフェニル基により置換されたチエニル(ここに、該チエニル基は、1または2個のZ基により置換されていてもよく、該フェニル基は、1〜5個のZ基により置換されていてもよい)から選択される。一の具体例において、Rは、3−フェニル−2−チエニル、5−フェニル−2−チエニルおよび2−フェニル−3−チエニル(ここに、フェニルは、各々、1〜5個のZ基により置換されていてもよい)から選択される。
【0018】
一の具体例において、Rは、5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル、2−メチルチオ−3−ピリジル、5−フェニル−2−チエニル、3−(3−メチルオキシ)フェニル−2−チエニルおよび2−フェニル−3−チエニルからなる群から選択される。
【0019】
一の具体例において、Zは、各々、水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群から選択される。
【0020】
さらなる具体例において、Zは、水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群から選択される。さらなる具体例において、Zは、水素、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロC1−4アルコキシからなる群から選択される。さらなる具体例において、Zは、水素、メチルおよびメトキシから選択される。
【0021】
一の具体例において、すべて、または1、2もしくは3個を除くすべてのZ基は、水素である。一の具体例において、すべて、または1もしくは2個を除くすべてのZ基は水素である。例えば、1個以外のZ基が水素である。
【0022】
一の具体例において、Rは、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、およびハロC1−4アルコキシからなる群から選択される。一の具体例において、Rは、メトキシ、フルオロ、クロロ、メチルおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される。
例えば、nは0、1または2であり得る。例えば、nは0であり得る。
【0023】
一の具体例において、RおよびRは、両方同時に、1個またはそれ以上のY基に置換されている同じC1−4アルキル、同じC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基により置換されていてもよい飽和5または6員の炭素環を形成してもよい。
【0024】
一の具体例において、RおよびRは、両方、C1−4アルキル、例えばメチルまたはエチル、例えばメチルである。
Yは、例えば、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択されてもよい。一の具体例において、Yは、C1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択される。
Y’は、例えば、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択されてもよい。一の具体例において、Y’は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択される。
【0025】
一の具体例において、RおよびRは、水素、Y基により置換されていてもよい、C1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)から独立して選択されるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基により置換されていてもよい飽和または部分的に不飽和の(例えば、飽和)4−、5−、6−または7員の炭素環を形成する。
【0026】
さらなる具体例において、RおよびRは、Y基により置換されていてもよいメチルおよびエチルから選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基により置換されていてもよい飽和4−、5または6員の炭素環を形成する。例えば、RおよびRは、両方、非置換メチルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和5または6員の炭素環を形成し、例えば、RおよびRは、両方、非置換メチルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和6員の炭素環を形成する。
【0027】
Yは、例えば、C1−4アルコキシ、ヒドロキシおよびC3−5シクロアルキルからなる群から選択され得る。
Y’は、例えば、ハロゲンおよびC1−4アルキルからなる群から選択されるか、あるいはY’は、5または6員環の2個の原子間の−CH−架橋を形成してもよい。さらなる具体例において、Y’は、ハロゲンおよびC1−4アルキルからなる群から選択される。
【0028】
一の具体例において、RおよびRは、両方同時に、1個またはそれ以上のX基により置換されている同じC1−4アルキル、同じC1−4アルキルであるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、O、NおよびS(O)(ここに、mは0、1、または2である)から選択される付加的なヘテロ原子をさらに含んでいてもよい、飽和5または6員の炭素環を形成する。
【0029】
さらなる具体例において、RおよびRは、両方ともメチルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5または6員の炭素環、例えば5員の炭素環を形成する。
Xは、例えばハロゲン、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択される。
【0030】
一の具体例において、RおよびRは、1個またはそれ以上のX基により置換されていてもよいメチルおよびエチルから独立して選択されるか;あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5または6員の炭素環を形成し、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員の飽和炭素環を形成する場合、環は、さらに酸素ヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0031】
例えば、一の具体例において、RおよびRは、メチルおよびエチルから独立して選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5員炭素環を形成する。例えば、さらなる具体例において、RおよびRは、両方ともメチルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5員炭素環を形成する。
【0032】
Xは、例えば、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシからなる群から選択され得る。
X’は、例えば、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシからなる群から選択され得る。
【0033】
一の具体例において、R/RおよびR/R基の対の少なくとも1つは、それぞれが結合している窒素または炭素原子と環状基を形成する。例えば、環状基は5員環であってもよい。
【0034】
したがって、一の具体例において、本発明は、式(Ia):
【化3】

[式中:
は、5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル(ここに、該フェニルは、1〜5個のZ基により置換されていてもよい);2−メチルチオ−3−ピリジル(ここに、該ピリジルは、1〜3個のZ基により置換されていてもよい);およびフェニル基に置換されたチエニル(ここに、該チエニル基は、1または2個のZ基により置換されていてもよく、該フェニル基は、1〜5個のZ基により置換されていてもよい)から選択され;
ここに、Zは、水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群から各々独立して選択され;
およびRは、水素、Y基により置換されていてもよいC1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)から独立して選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基により置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和(例えば、飽和)4−、5−、6−または7員の炭素環を形成し;
Yは、C1−4アルコキシ、ヒドロキシおよびC3−5シクロアルキルからなる群から選択され;
Y’は、ハロゲンおよびC1−4アルキルからなる群から選択され;
およびRは、1個またはそれ以上のX基により置換されていてもよいメチルおよびエチルから独立して選択されるか;あるいは、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5または6員の炭素環を形成し、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員の飽和炭素環を形成する場合、該環は、さらに、酸素ヘテロ原子を含んでいてもよく;
Xは、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシからなる群から選択される]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0035】
式(I)で示される化合物の全ての実施態様および特徴は、式(Ia)で示される化合物に適用される。
【0036】
本発明の化合物の例としては、以下に示される実施例1〜6ならびにその塩および溶媒和物が挙げられる。
【0037】
式(I)で示される化合物は、2種類以上の形態で結晶化する能力を有することがある。これは、多形として知られる特徴であり、このような多形性形態(「多形体」)が式(I)の範囲内にあることが理解される。多形は、一般に、温度もしくは圧力または双方の変化に対する反応として起こることがあり、結晶化過程の変動に起因することもある。多形体は、X線回折図形、溶解性および融点のような当該技術分野で知られている様々な物理的特徴によって区別することができる。
【0038】
本明細書に記載した化合物のあるものは、立体異性体の形態で存在し得る(すなわち、それらは1個またはそれ以上の不斉炭素原子を含むか、またはシス−トランス異性を示し得る)。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオ異性体)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。同様に、式(I)で示される化合物は、この式で示される形態以外の互変異性体の形態で存在することができ、これらもまた本発明の範囲内に含まれると解される。
【0039】
上記したように、式(I)で示される化合物の個々のエナンチオマーを調製することができる。一の具体例では、光学的に純粋なエナンチオマーが提供される。「光学的に純粋なエナンチオマー」なる用語は、化合物が、約90重量%を超えて所望の異性体を含み、例えば約95重量%を超えて所望の異性体を含み、例えば約99重量%を超えて所望の異性体を含むことを意味している(この重量パーセントは化合物の異性体の全重量をもとにしている)。場合によっては、特定構造の一のエナンチオマーは、同一構造の他のエナンチオマーよりも有意に高い活性を有することがある。キラルに純粋な化合物またはキラルに富んでいる化合物は、キラル選択的合成により、または、エナンチオマーの分離により製造することができる。エナンチオマーの分離は、最終生成物に対して行うことができ、別法としては、適当な中間体に対して行うことができる。
【0040】
本発明の化合物は、標準的な化学を含む様々な方法により製造することができる。先に定義したあらゆる可変要素は、他に示されない限り引き続き先に定義した意味を有する。以下に例示的な一般的合成方法を記載し、次に、実施例において本発明の特定の化合物を製造する。
【0041】
一般式(I)で示される化合物は、一部が以下の合成スキームによって記載されているような有機合成の技術分野で知られている方法により調製することができる。以下に記載するスキームの全てにおいて化学の一般的原理に従って必要に応じて感受性基または反応性基に対する保護基を使用することが十分に理解されることも認識される。保護基は標準的な有機合成方法に従って操作される(T. W. Greene and P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons)。これらの基は、化合物の合成の好都合な段階で当業者にとって容易に明らかな方法を用いて除去する。プロセスの選択、ならびに反応条件およびそれらを行う順序は、式(I)で示される化合物の製造と整合するものとする。当業者は、式(I)で示される化合物に立体中心が存在するか否かを理解するであろう。したがって、本発明は、両方の起こり得る立体異性体を含み、ラセミ化合物だけではなく個々のエナンチオマーも含む。立体化学が特定の位置で可変的であると示されている場合、立体異性体の混合物を得ることができ、この混合物は示される場合には分離されている。立体異性体は、高速液体クロマトグラフィーまたは他の適当な手段により分離することができる。化合物が単一のエナンチオマーとして望まれる場合には、立体特異的合成により、または最終化合物もしくはいずれかの好都合な中間体の分割により得ることができる。最終生成物、中間体または出発物質の分割は、当該技術分野で知られているいずれかの適当な方法により行うことができる。例えば、Stereochemistry of Organic Compounds by E. L. Eliel, S. H. Wilen, and L. N. Mander (Wiley-Interscience, 1994)を参照されたい。
【0042】
上記にて定義した式(I)で示される化合物の製造のための典型的な反応経路を以下のスキームに示す。出発物質および試薬は、当業者に知られているか、および/または当該技術分野で知られている方法を用いて製造することができる。
【0043】
式(I)で示される化合物は、公知の方法により(例えば、限定されないが下記スキームに概略記載される合成経路により)合成することができる。
【0044】
【化4】

[式中、n、R、R、R、R、RおよびRは、式(I)で示される化合物に関する記載と同意義である]
【0045】
工程(i)は、ケトンをアミンまたはアミン塩と、無機シアニド、例えばシアン化カリウムの存在下、水のような溶媒中で反応させることにより、あるいは、ケトンをアミンおよびトリメチルシリルシアニドと、溶媒の非存在下、または酢酸のような溶媒中で反応させることにより行われる。
【0046】
工程(ii)は、適当な有機金属試薬、例えばフェニルリチウムを用いて、適当な不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で反応させ、ついで、還元剤、例えばホウ酸水素ナトリウムで、適当な溶媒、例えばメタノール中で還元する連続反応により行うことができる。
【0047】
アシル化工程(iii)は、式(III):
【化5】

[式中、Rは式(I)の記載と同意義であり、Lは脱離基である]
で示される化合物との反応により行うことができる。脱離基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが挙げられる。Lはハロゲンであってもよく、工程(iii)におけるアシル化は、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で行うことができる。Lがヒドロキシである場合、反応は、好ましくは、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、カップリング試薬、例えばジイミド試薬、例えばN,Nジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、ポリマー支持EDC、ポリマー支持DCCまたはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)の存在下で行うことができる。
【0048】
スキームにおいて、R基を別のR基への変換は、本発明の範囲であり、R、R、R、RおよびR基に関しても同様である。
【0049】
したがって、第2の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物の製造方法であって、下記工程:
式(II):
【化6】

[式中、n、R、R、R、RおよびRは式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物を、式(III):
【化7】

[式中、Rは式(I)の記載と同意義であり、L適当な脱離基を意味する]
で示される化合物と反応させ、その後任意に:
・いずれかの保護基を除去すること、および/または
・式(I)で示される化合物を他の式(I)で示される化合物に変換すること、および/または
・塩または溶媒和物を形成すること、
を含む方法を提供する。
【0050】
適当な脱離基Lは、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeを含む。
【0051】
式(I)で示される化合物は、標準的な技術を用いて、さらに式(I)で示される化合物に変換することができる。例えば、限定するよりはむしろ説明する目的として、可能な変換反応は、適当なアシル化剤、例えば塩化アセチルでのアシル化、適当なアルキル化剤、例えばヨウ化メチルを用いるアルキル化、およびスルホニル化剤、例えば無水メタンスルホン酸を用いるスルホニル化、およびケトンまたはアルデヒドを、還元剤、例えばトリアセトキシボロヒドリドナトリウムの存在下で用いる還元アミノ化反応によるN−アルキル化を含む。
【0052】
塩は、慣用的に、適当な酸または酸誘導体と反応さえせることにより調製することができる。
【0053】
本発明の化合物は、本明細書に記載のアッセイにより、GlyT1トランスポーターを阻害する。該化合物は、GlyT2トランスポーターよりもGlyT1を選択的に阻害することができる。
【0054】
かかる化合物は、ある種の神経障害および神経精神障害の治療に適している。本明細書では、「治療」および「治療すること」なる用語は、確立された症状の軽減および/または治癒ならびに予防をいう。
【0055】
GlyT1トランスポーターに対する本発明の化合物の親和性は、以下のアッセイによって決定することができる:
【0056】
グリシン(タイプ1)トランスポーターを発現するHEK293細胞を細胞培養培地[2mM L−グルタミン、0.8mg/mL G418および10%熱不活化ウシ胎仔血清を含有するDMEM/NUT mix F12]中にて37℃および5%COで増殖させた。T175フラスコ中にて集密度70〜80%に増殖した細胞を回収し、アッセイバッファー[140mM NaCl、5.4mM KCl、1.8mM CaCl、0.8mM MgSO、20mM HEPES、5mMグルコースおよび5mMアラニン、pH7.4]に1.32×10細胞/mLで再懸濁させた。化合物をDMSOで最高濃度2.5mMから2.5倍に段階希釈し、各化合物から11データポイントの容量−応答を得た。各濃度の化合物100nLをアッセイプレートに加えた。該細胞懸濁液(1.32×10)に等容量のLeadseekerTM WGA SPAビーズ(アッセイバッファーに懸濁した12.5mg/ml)を加え、この細胞/ビーズ懸濁液5μLを、試験化合物100nLを含有する384ウェル白色固体底プレートの各ウェルに移した(3300細胞/ウェル)。各ウェルに基質(5μL)を加えた[2.5μMグリシンを含有するアッセイバッファーによる[H]−グリシンストックの1:100希釈]。最終DMSO濃度は、1%v/vであった。Perkin Elmer Viewluxを用いてデータを集めた。ActivityBaseを用いてpIC50値を決定した。
【0057】
以下のアッセイを用いることもできる:
グリシン(タイプ1)トランスポーターを発現するHEK293細胞を、2mM L−グルタミン、0.8mg/mL G418および10%熱不活化ウシ胎仔血清(Gibco BRL)を含有する細胞培養培地(DMEM/NUT mix F12)中にて5%CO中、37℃で増殖させる。T175フラスコ中にて集密度70〜80%に増殖した細胞を回収し、アッセイバッファー[NaCl(140mM)、KCl(5.4mM)、CaCl(1.8mM)、MgSO(0.8mM)、HEPES(20mM)、グルコース(5mM)およびアラニン(5mM)、pH7.4]に4×10細胞/mlで再懸濁させる。該細胞懸濁液に等容量のLeadseekerTM SPAビーズ(アッセイバッファーに懸濁した12.5mg/ml)を添加する。化合物をDMSO中10mMのストックとして調製する。化合物の2.5倍段階希釈を最高濃度2.5mMからDMSOで調製する。ハミングバードディスペンサーを用いてアッセイプレート(384ウェル白色固体底プレート)に各濃度の化合物100nLを加える。ついで、マルチドロップディスペンサーを用いて化合物の上に細胞/ビーズ混合物5uLを加える。ついで、各ウェルに基質(5uL)を加える(2.5uMグリシンを含有するアッセイバッファーによるH3−グリシンの1:100希釈)。5分間曝露して、PerkinElmer Viewluxを用いてデータを集める。Activity Baseを用いてpIC50データ値を決定する。
【0058】
化合物は、それらの遊離塩基形態または塩形態(例えば、塩酸塩またはギ酸塩)でアッセイすることができる。上記アッセイは、一般に、±3標準偏差=±0.5に修正されるデータを提供すると考えられる。
【0059】
5.0またはそれ以上のGlyT1トランスポーターでのpIC50を有する化合物はGlyT1トランスポーターで活性があるとみなされる。以下の実施例化合物は、5.0またはそれ以上のGlyT1トランスポーターでのpIC50を有することが見出された。
【0060】
したがって、本発明のさらなる態様では、治療に用いるための式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0061】
本発明の別の態様では、GlyT1によって介在される障害の治療に用いるための上記式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0062】
本明細書では、「GlyT1によって介在される障害」なる用語は、GlyT1トランスポーターの活性を変更する薬物の投与により治療され得る障害をいう。上記のように、GlyT1トランスポーターの作用は、NMDA受容体周囲のグリシンの局部濃度に影響を及ぼす。NMDA受容体が効率よく機能するためにはある量のグリシンが必要とされるので、この局所濃度に対するいかなる変化もNMDA介在神経伝達に影響を及ぼす可能性がある。上記したように、NMDA介在神経伝達の変化は、ある種の神経精神障害、例えば、認知症、うつ病および精神病(例えば、統合失調症)、および学習および記憶障害、例えば、注意欠陥障害および自閉症に関係している。かくして、GlyT1トランスポーターの活性の変更はかかる障害に影響を及ぼすと考えられる。
【0063】
本明細書で言及するGlyT1により介在される障害としては、統合失調症のような精神病、認知症、ならびに注意欠陥障害および器質脳症候群のような他の形態の認知障害を含む神経障害および神経精神障害が挙げられる。他の神経精神障害としては、薬物(フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激薬およびコカイン)誘発性精神病、情動障害に関連する精神病、短期反応精神病、統合失調感情性精神病、および精神病NOS、統合失調質もしくは統合失調型人格障害のような「統合失調症スペクトル」障害、または精神病に関連する疾病(例えば、大うつ病、躁うつ性(双極性)障害、アルツハイマー病および外傷後ストレス症候群)、ならびに自閉症、うつ病、良性の健忘症、小児学習障害および閉鎖性頭部損傷のようなNMDA受容体関連障害が挙げられる。
【0064】
本発明の範囲内では、本明細書で用いる用語は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition, published by the American Psychiatric Association(DSM−IV)および/またはInternational Classification of Diseases, 10th Edition(ICD−10)において分類されている。本明細書に記載する障害の様々な亜型は、本発明の部分として企図されるものである。以下に列挙する疾患の後の括弧内の番号は、DSM−IVにおける分類番号を意味する。
【0065】
詳しくは、式(I)で示される化合物は、亜型である、妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能型(295.90)および残遺型(295.60)を含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);亜型である双極型およびうつ病型を含む統合失調感情障害(295.70);亜型である色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型、および特定不能型を含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想を伴う亜型および幻覚を伴う亜型を含む一般身体疾患を示す精神病性障害;妄想を伴う亜型(293.81)および幻覚を伴う亜型(293.82)を含む物質誘発性精神病性障害;および特定不能の精神病性障害(298.9)の治療に有用であると考えられる。
【0066】
式(I)で示される化合物はまた、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソード、および軽躁病エピソードを含む気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;双極性I型障害、双極性II型障害(軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;一般身体疾患による気分障害(293.83)(うつ病性の特徴を伴う亜型、大うつ病様エピソードを伴う亜型、躁病性の特徴を伴う亜型および混合性の特徴を伴う亜型を含む)、物質誘発性気分障害(うつ病性の特徴を伴う亜型、躁病性の特徴を伴う亜型および混合性の特徴を伴う亜型を含む)および特定不能の気分障害(296.90)を含む他の気分障害の治療にも有用であると考えられる。
【0067】
式(I)で示される化合物はまた、パニック発作、広場恐怖、パニック障害、パニック障害の既往歴のない広場恐怖(300.22)、動物型、自然環境型、血液・注射・外傷型、状況型およびその他の型の亜型を含む特定の恐怖症(300.29)、社会恐怖(300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害および特定不能の不安障害(300.00)を含む不安障害の治療にも有用であると考えられる。
【0068】
式(I)で示される化合物はまた、物質依存および物質乱用のような物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘性障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能不全、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)のような物質誘発性障害;アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘性障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能不全、アルコール誘発性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9)のようなアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)のようなアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)のようなカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害および特定不能の大麻関連障害(292.9)のような大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能不全、コカイン誘発性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9)のようなコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)のような幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害、および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)のような吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9)などのニコチンに関連する障害;オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能不全、オピオイド誘発性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9)のようなオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)のようなフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤または抗不安薬依存(304.10)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬離脱せん妄、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性認知症、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬持続性健忘性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性性機能不全、鎮静剤、催眠剤または抗不安薬誘発性睡眠障害および特定不能の鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害(292.9)のような鎮静剤、催眠剤または抗不安薬関連障害;多物質依存(304.80)のような多物質関連障害;ならびに、タンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤、および亜酸化窒素のような他の(または不明の)物質関連障害を含めた、物質関連障害の治療にも有用であると考えられる。
【0069】
式(I)で示される化合物はまた、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)、および特定不能の睡眠異常(307.47)のような睡眠異常のような原発性睡眠障害;悪夢障害(307.47)、睡眠驚愕障害(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)のような睡眠時随伴症のような原発性睡眠障害;他の精神障害に関連した不眠症(307.42)および他の精神疾患に関連した過眠症(307.44)のような他の精神疾患に関連した睡眠疾患;一般身体疾患による睡眠障害、亜型である不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型および混合型を含む物質誘発性睡眠障害を含めた睡眠障害の治療にも有用であると考えられる。
【0070】
式(I)で示される化合物はまた、亜型である制限型およびむちゃ食い/排出型を含む神経性無食欲症(307.1);亜型である排出型および非排出型を含む神経性大食症(307.51);肥満;強迫性摂食障害;および特定不能の摂食障害(307.50)のような摂食障害の治療にも有用であると考えられる。
【0071】
式(I)で示される化合物はまた、自閉性障害(299.00);亜型である注意欠陥/多動性障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動性障害不注意優勢型(314.00)、注意欠陥/多動性障害多動性−衝動性優勢型(314.01)および特定不能の注意欠陥/多動性障害(314.9)を含む注意欠陥/多動性障害;多動性障害;亜型である小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および発症年齢特定不能(312.89)を含む行為障害、反抗挑戦性障害(313.81)および特定不能の破壊的行動障害のような破壊的行動障害;ならびにトウレット障害(307.23)のようなチック障害の治療にも有用であると考えられる。
【0072】
式(I)で示される化合物はまた、亜型である妄想性人格障害(301.0)、統合失調質人格障害(301.20)、統合失調型人格障害(301.22)、反社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301.83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301.81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)を含む人格障害の治療にも有用であると考えられる。
【0073】
式(I)で示される化合物はまた、統合失調症、双極性障害、うつ病、認知障害に関連する他の精神障害および精神病性症状のような他の疾患における認知障害の治療を含めた、認知の向上にも有用であると考えられる。本発明の範囲内では、認知障害なる用語は、例えば、注意、見当識を含む認知機能の障害、学習障害、記憶(すなわち、記憶障害、健忘症、健忘性障害、一過性全健忘症候群および加齢に伴った記憶障害)および言語機能の障害;脳卒中の結果としての認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズ関連認知症、または多発梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下症関連認知症、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側策硬化症のような他の変性障害に関連する認知症のような他の認知症状態;せん妄またはうつ病(仮性痴呆症状態)心的外傷、頭部外傷、年齢関連認知低下、脳卒中、神経変性、薬物誘発性状態、神経毒性物質、軽度認知障害、年齢関連認知障害、自閉症関連認知障害、ダウン症候群、精神病に関連する失認、および電気ショック療法後関連認知障害のような認知低下を引き起こす可能性のある他の急性または亜急性病態;ならびにパーキンソン病、神経遮断薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジーのような運動障害性障害の治療を含む。
【0074】
式(I)で示される化合物はまた、性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)のような性的欲求の障害、女性の性的興奮の障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)のような性的興奮の障害;女性オルガズム障害(302.73)、男性オルガズム障害(302.74)および早漏(302.75)のようなオルガズム障害、性交疼痛症(302.76)および膣痙攣(306.51)のような性交疼痛障害、特定不能の性機能不全(302.70)を含む性機能不全;露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯的フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および特定不能の性嗜好異常(302.9)のような性嗜好異常;小児の性同一性障害(302.6)および青年期または成人の性同一性障害(302.85)のような性同一性障害;ならびに特定不能の性障害(302.9)のの治療にも有用であると考えられる。
【0075】
本発明はまた、精神障害、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症性障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知障害、性機能不全、パーキンソン病、運動障害性障害、うつ病、双極性障害、認知障害、肥満、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、めまい、認知症、概日リズム障害および胃運動障害の治療に使用するための、上記式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0076】
本発明の別の態様では、上記で定義した式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む、GlyT1によって介在される障害に罹患しているかまたは罹患しやすいヒトを含む哺乳動物を治療する方法が提供される。
【0077】
本発明はまた、精神障害、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症性障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知障害、性機能不全、パーキンソン病、運動障害性障害、うつ病、双極性障害、認知障害、肥満、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、めまい、認知症、概日リズム障害および胃運動障害を治療する方法であって、該治療を必要とする哺乳動物に上記式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0078】
式(I)で示される化合物はまた、抗痙攣薬としても有用であると考えられる。かくして、式(I)で示される化合物は、哺乳動物における痙攣、および特にヒトにおける癲癇の治療に有用である。「癲癇」は、以下の発作を含むことを企図される:単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般発作、欠神発作、ミオクローヌス性発作、間代性発作、強直性発作、強直性間代性発作および脱力発作を含む全般発作。本発明はまた、痙攣を治療する方法であって、該治療を必要とする哺乳動物に上記式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む方法を提供する。癲癇の治療は、式(III)で示される化合物もしくはその塩、または上記で定義した組成物の非毒性抗痙攣有効量の投与により行うことができる。
【0079】
式(I)で示される化合物はまた、神経因性疼痛(例えば、糖尿病性ニューロパチー、坐骨神経痛、非特異的腰痛、多発性硬化症疼痛、線維筋痛症、HIV関連ニューロパチー、ヘルペス後神経痛および三叉神経痛のような神経痛における)および身体外傷、切断、癌、トキシンまたは慢性炎症性疾患によりもたらされる疼痛の治療において有用であると考えられる。
【0080】
本発明の別の態様では、GlyT1によって介在される障害の治療のための薬物の調製における、上記で定義した式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用が提供される。
【0081】
本発明は、精神障害、統合失調症、気分障害、不安障害、物質関連障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症性障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知障害、性機能不全、パーキンソン病、運動障害性障害、うつ病、双極性障害、認知障害、肥満、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、めまい、認知症、概日リズム障害および胃運動障害を治療するための薬物の製造における、上記式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用も提供する。
【0082】
一の具体例において、上記した使用または方法により治療されるGlyT1により介在される障害は、統合失調症、認知症および注意欠陥障害を含む精神病、特に統合失調症である。
【0083】
本明細書では、「有効量」なる用語は、例えば研究者または臨床医が求める組織、系、動物またはヒトの生物学的反応または医学的反応を誘発するであろう薬物または薬剤の量を意味する。
【0084】
本発明に従って用いる化合物は、未加工の物質として投与することができるが、該有効成分は医薬組成物の形態で提供されてもよい。
【0085】
したがって、本発明のさらなる態様では、上記式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0086】
これらの医薬組成物は、例えば統合失調症のようなGlyT1阻害薬が指摘される臨床的病状の治療に用いることができる。担体は、受容者にとって医薬上許容できなければならず、組成物中の他の成分と適合しなければならず、すなわち、他の成分に対して有害な影響を及ぼしてはならない。担体は、固体でも液体でもよく、単位投与製剤として、式(I)で示される少なくとも1つの化合物またはその塩もしくは溶媒和物とともに処方されてもよい。所望により、他の医薬的に活性な成分もまた、本発明の医薬組成物に配合されてもよい。
【0087】
有利には、本発明の化合物を、1つまたはそれ以上の他の治療薬、例えば、5HT3アンタゴニスト、セロトニン作動薬、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗鬱薬、ドーパミン作動性抗鬱薬、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1作動薬、M1作動薬および/または抗痙攣薬のような様々な抗鬱薬、ならびに非定型抗精神病薬および向知性薬と組み合わせて用いてもよいことは当業者であれば理解するであろう。
【0088】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な5HT3アンタゴニストとしては、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが挙げられる。
【0089】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なセロトニン作動薬としては、スマトリプタン、ラウオルチン(rauwolscine)、ヨヒンビン、メトクロプラミドが挙げられる。
【0090】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なSSRIとしては、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、インダルピン、セルトラリン(sertraline)、ジメルジンが挙げられる。
【0091】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なSNRIとしては、ベンラファキシンおよびレボキセチンが挙げられる。
【0092】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な三環系抗鬱薬としては、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンが挙げられる。
【0093】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当なドーパミン作動性抗鬱薬としては、ブピロピオンおよびアミネプチンが挙げられる。
【0094】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な抗痙攣薬としては、例えば、ジバルプロエクス、カルバマゼピンおよびジアゼパムが挙げられる。
【0095】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適当な非定型抗精神病薬としては、例えば、リスペリドン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾールおよびクロザピンが挙げられる。
【0096】
組合せまたは組成物の化合物は、同時に(同一の医薬処方または異なる医薬処方のいずれかにおいて)、別々に、または逐次に投与することができることが理解されよう。
【0097】
式(I)で示される化合物ならびにその塩および溶媒和物はまた、精神障害の治療の改善をもたらすための、他の定型および非定型抗精神病薬との組合せに適している。
【0098】
本発明の併用療法は、付加的に投与され得る。付加的投与とは、別々の医薬組成物または装置の形態での各成分の同時期または重複投与を意味する。この2つまたはそれ以上の治療薬の治療目的投与方針は、当業者によりおよび本明細書で一般に付加的治療目的投与と称される;それはアドオン式治療目的投与としても知られている。患者が式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの神経遮断薬の別々であるが同時期のまたは重複する治療目的投与を受けるありとあらゆる治療方針が本発明の範囲内である。本明細書に記載した付加的治療目的投与の一の具体例では、患者は、典型的には、ある期間、1つまたはそれ以上の成分の治療目的投与により安定化され、ついで、別の成分の投与を受ける。本発明の範囲内では、少なくとも1つの神経遮断薬の投与を受けている患者に式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を付加的治療目的治療として投与され得るがが、本発明の範囲はまた、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与を受けている患者への少なくとも1つの神経遮断薬の付加的治療目的投与も含む。
【0099】
本発明の併用療法はまた、同時に投与してもよい。同時投与とは、個々の成分が両成分を含むか含有する単一の医薬組成物の形態または装置の形態で一緒に投与されるか、またはそれぞれが1つの成分を含む別々の組成物もしくは装置として同時に投与される治療方針を意味する。このような、同時併用のための別々の個々の成分の組合せは、複数部品からなるキットの形態で提供することができる。
【0100】
したがって、さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの神経遮断薬の治療目的投与を受けている患者への式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の付加的治療目的投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの神経遮断薬の治療目的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための付加的治療目的投与のための薬物の製造における式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。本発明はまた、少なくとも1つの神経遮断薬の治療目的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための付加的治療目的投与に用いるための式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0101】
さらなる態様では、本発明は、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療目的投与を受けている患者への少なくとも1つの神経遮断薬の付加的治療目的投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらなる態様では、本発明は、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療目的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための付加的治療目的投与のための薬物の製造における少なくとも1つの神経遮断薬の使用を提供する。本発明はまた、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の治療目的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための付加的治療目的投与のための少なくとも1つの神経遮断薬をさらに提供する。
【0102】
さらなる一態様では、本発明は、少なくとも1つの神経遮断薬と組み合わせた式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の同時治療目的投与による精神病性障害の治療方法を提供する。本発明はまた、精神病性障害の治療における同時治療目的投与のための薬物の製造における式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの神経遮断薬の組合せの使用を提供する。本発明はまた、精神病性障害の治療における少なくとも1つの神経遮断薬との同時治療目的投与のための薬物の製造における式(I)で示される化合物またはその塩の使用を提供する。本発明はまた、精神病性障害の治療における少なくとも1つの神経遮断薬との同時治療目的投与に用いるための式(I)で示される化合物またはその塩を提供する。本発明はまた、精神病性障害の治療における式(I)で示される化合物またはその塩との同時治療目的投与のための薬物の製造における少なくとも1つの神経遮断薬の使用を提供する。
【0103】
さらなる態様では、本発明は、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定薬または抗躁病薬を含む医薬組成物の同時治療目的投与による精神病性障害の治療方法、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定薬または抗躁病薬を含む医薬組成物、精神病性障害の治療のための薬物の製造における式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定薬または抗躁病薬を含む医薬組成物の使用、ならびに精神病性障害の治療に用いるための式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定薬または抗躁病薬を含む医薬組成物を提供する。
【0104】
さらなる態様では、本発明は、式(I)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を含む第1投与剤形およびそれぞれが神経遮断薬を含む1つまたはそれ以上のさらなる投与剤形を含む、精神病性障害の治療において用いるための同時治療目的投与のための複数部品からなるキットを提供する。
【0105】
本発明において有用な神経遮断薬/抗精神病薬の例としては、ハロペリドール、ピモジドおよびドロペリドールのようなブチロフェノン系;クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、フルフェナジン、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジンおよびアセトフェナジンのようなフェノチアジン系;チオチキセンおよびクロルプロチキセンのようなチオキサンテン系;チエノベンゾジアゼピン系;ジベンゾジアゼピン系;ベンゾイソオキサゾール系;ジベンゾチアゼピン系;イミダゾリジノン系;ベンゾイソチアゾリル−ピペラジン系;ラモトリジンのようなトリアジン;ロキサピンのようなジベンゾオキサゼピン系;モリンドンのようなジヒドロインドロン系;アリピプラゾール;ならびに抗精神病活性を有するこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
選択された神経遮断薬の商品名および供給業者の例は以下の通りである:クロザピン(Mylan、Zenith Goldline、UDL、Novartisから商品名CLOZARIL(登録商標)で入手可能);オランザピン(Lillyから商品名ZYPREX(登録商標)で入手可能);ジプラシドン(Pfizerから商品名GEODON(登録商標)で入手可能);リスペリドン(Janssenから商品名RISPERDAL(登録商標)で入手可能);フマル酸クエチアピン(AstraZenecaから商品名SEROQUEL(登録商標)で入手可能);ハロペリドール(Ortho-McNeilから商品名HALDOL(登録商標)で入手可能);クロルプロマジン(SmithKline Beecham(GSK)から商品名THORAZINE(登録商標)で入手可能);フルフェナジン(Apothecon、Copley、Schering、TevaおよびAmerican Pharmaceutical Partners、Pasadenaから商品名PROLIXIN(登録商標)で入手可能);チオチキセン(Pfizerから商品名NAVANE(登録商標)で入手可能);トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン・二塩酸塩、Smith Klein Beckmanから商品名STELAZINE(登録商標)で入手可能);ペルフェナジン(Scheringから商品名TRILAFON(登録商標)で入手可能);チオリダジン(Novartis、Roxane、HiTech、TevaおよびAlpharmaから商品名MELLARIL(登録商標)で入手可能);モリンドン(Endoから商品名MOBAN(登録商標)で入手可能);およびロキサピン(Watsonから商品名LOXITANE(登録商標)で入手可能)。さらにまた、ベンペリドール(Glianimon(登録商標))、ペラジン(Taxilan(登録商標))またはメルペロン(Eunerpan(登録商標))を用いることができる。他の神経遮断薬としては、プロマジン(商品名SPARINE(登録商標)で入手可能)、トリフルルプロマジン(商品名VESPRIN(登録商標)商品名で入手可能)、クロルプロチキセン(TARACTAN(登録商標)で入手可能)、ドロペリドール(商品名INAPSINE(登録商標)で入手可能)、アセトフェナジン(商品名TINDAL(登録商標)で入手可能)、プロクロルペラジン(商品名COMPAZINE(登録商標)で入手可能)、メトトリメプラジン(商品名NOZINAN(登録商標)で入手可能)、ピポチアジン(商品名PIPOTRIL(登録商標)で入手可能)、ジプラシドンおよびホペリドンが挙げられる。
【0107】
一の具体例において、本発明で用いるための神経遮断薬は、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、ハロペリドール、クロザピン、ジプラシドンおよびオサネタントから選択される。
【0108】
本発明の化合物に関して可能な処方としては、経口投与、舌下投与、バッカル投与、非経口(例えば、皮下、筋肉内または静脈内)投与、直腸投与、局所投与および鼻腔内投与に適するもの、ならびに吸入または通気(口または鼻のいずれかによる)による投与に適する形態のものが挙げられる。特定の患者に最も適する投与手段は、治療される病状の性質および重篤度、ならびに活性化合物の性質による。一の具体例において、経口投与が提供される。
【0109】
経口投与に適する処方は、錠剤、カプセル剤、カシェ剤またはロゼンジ剤のような各々が所定の量の活性化合物を含む個々の単位として;散剤または顆粒剤として;水性または非水性液体での液剤または懸濁剤として;または水中油型または油中水型乳剤として提供することができる。例えば、本発明の化合物は、制御放出プロフィールを有する処方として調製することができる。これは、上記医薬剤形のいずれかであり得る。例えば、それは、必要に応じて適当なゲル化剤(例えば、メチルセルロースまたは疎水性コロイド状シリカ)を用いる、非水性油状ビヒクル(例えば、Miglyol)におけるゲル処方であり得る。
【0110】
舌下投与またはバッカル投与に適する処方としては、活性化合物および典型的には糖およびアカシアまたはトラガカントのような矯味矯臭された基剤を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはシュークロースおよびアカシアのような不活性基剤中に活性化合物を含む香錠が挙げられる。
【0111】
非経口投与に適する処方は、典型的には、所定の濃度の活性化合物を含む滅菌水溶液を含む;この溶液は、意図する受容者の血液と等張であり得る。かかる溶液は、静脈内投与されるが、皮下注射または筋肉注射により投与することもできる。
【0112】
直腸投与に適する処方は、活性成分および坐剤基剤を形成する1つまたはそれ以上の固体の担体(例えば、カカオ脂)を含む単位投与坐剤として提供され得る。
【0113】
局所適用または鼻腔内適用に適する処方としては、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、パスタ剤、ゲル剤、噴霧剤、エアゾール剤および油剤が挙げられる。かかる処方に適する担体としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコールおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0114】
本発明の化合物の処方は、例えば、本発明の化合物の曝露プロフィールを改良するように構成されてもよい。
【0115】
経皮投与に適する組成物としては、軟膏剤、ゲル剤およびパッチ剤が挙げられる。
【0116】
一の具体例において、該組成物は、錠剤、カプセル剤またはアンプル剤のような単位投与剤形である。
【0117】
本発明の処方は、いずれかの適当な方法により、典型的には、活性化合物を液体もしくは微粉化した固体担体またはその両方と必要な比率で均一にかつよく混合し、ついで、必要に応じて、得られた混合物を望ましい形状に形作ることにより調製することができる。
【0118】
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または顆粒、および1つまたはそれ以上の任意成分(例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤または界面活性分散剤)を含むよく混ざった混合物を圧縮することにより、または粉末化した活性成分および不活性液体希釈剤のよく混ざった混合物を成形することにより、調製することができる。
【0119】
非経口投与のための水溶液は、典型的には、活性化合物を十分な水に溶解して望ましい濃度にし、ついで、得られた溶液を滅菌および等張にすることにより調製する。
【0120】
正確な投与量は、患者の年齢および状態ならびに投与の回数および経路によって決まり、主治医の最終判断によることが理解されよう。化合物は、1回投与または分割投与で投与することができ、1日1回またはそれ以上、例えば、1日1〜4回投与することができる。
【0121】
統合失調症を含む、GlyT1阻害物質によって介在される神経障害および神経精神障害の治療のための、ヒト(体重約70kg)への経口投与、舌下投与、非経口投与、バッカル投与、直腸投与、鼻腔内投与または局所投与のために、本発明により使用するための活性成分の提案されている投与量は、例えば1日1〜4回投与することができる単位投与量あたりの活性成分が、約1〜約1000mg、例えば約5〜約500mg、例えば約10〜約100mgであり得る。
【0122】
本明細書にて引用した特許および特許出願を包含するがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が十分に開示されているかの如く具体的かつ個別的に出典明示により本明細書の一部とすることが明示されているかのように出典明示により本明細書の一部とする。
【0123】
以下の非限定的実施例により本発明をさらに説明する。
【0124】
実施例
略語:
THF テトラヒドロフラン
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0125】
分析LC/MSクロマトグラフィー証券:
カラム: Waters Atlantis 50mm×4.6mm、3um粒度
移動相: A:0.05%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.05%ギ酸
勾配: 5分のランタイム:4分にわたって3%B〜97%B
流速: 3ml/分
UV波長範囲:220〜330nm
温度: 30℃
【0126】
質量指向自動精製システムクロマトグラフィー条件:
カラム: Waters Atlantis 19mm×100mmまたは30mm×100mm、5um粒径
移動相: A:0.1%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
勾配: 分析保持時間に依存して10分間勾配させながら実行時間13.5分
流速: 20または40ml/分
【0127】
一般:
実施例のセクションの全体にわたって、キラル化合物に関して以下の用語が適用される。2つのエナンチオマーの混合物が製造された場合、化合物は(±)と記載する。単一のエナンチオマー(すなわち、エナンチオマーの一方がキラルに豊富な混合物)が製造された場合、「キラル」と称する。絶対立体化学は、出願時には確認されていなかった。製造されたいくつかの物質の個々のエナンチオマーは旋光度によって同定され、かかる物質は(+)または(−)エナンチオマーであると同定される。旋光度情報も入手できない場合、生成物の個々のエナンチオマーは、アミン中間体のキラルHPLC特徴付けによって個別に同定可能である。
【0128】
反応が先に完全に記載されている反応と同様に行われたことが記載されている場合、用いられた一般的な反応条件は実質的に同一であった。用いた後処理条件は、当該技術分野で標準的なタイプのものであったが、反応ごとに適応可能であった。
【0129】
記載例1: 1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル
【化8】

ジメチルアミン塩酸塩(8.15g;0.1mol)の冷却した(氷浴)シクロペンタノン(8.4g;0.1mol)中懸濁液にシアン化カリウム(6.5g;0.1mol)の水(50ml)中溶液を10分間にわたって滴下した。室温にて18時間強く撹拌した後、粗反応混合物をジエチルエーテルで3回(3×200ml)抽出し、合わせた抽出物を水で2回(2×50ml)洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させて、淡黄色油として標記生成物(12.5g)を得、それをさらなる精製は行わずに使用した。H NMR(CDCl)δ:1.7−2.0(6H,m)、2.15−2.3(2H,m)、3.3(6H,s)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値112(MH−HCN)。C14として計算値138。
【0130】
別法:
ジメチルアミン塩酸塩(26.32g;0.323mol)およびシクロペンタノン(27.15g;0.323mol)の撹拌した氷冷混合物にシアン化カリウム(21.02g;0.323mol)の水(170ml)中溶液を10分間にわたって滴下した。該混合物を室温にて一夜撹拌した。ついで、該混合物をジエチルエーテル(2×200ml)中に抽出し、合わせた有機物をブライン(200ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中にて蒸発させて、無色の液体として標記生成物(43g、96.5%)を得た。
【0131】
記載例2: (±){1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミン
【化9】

1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリルD1(4g;28.9mmol)のアルゴン下で−70℃のTHF(30ml)中溶液にフェニルリチウムのジブチルエーテル中溶液(1.8M溶液17.7ml;32mmol)を滴下した。該反応混合物を3時間にわたって室温に加温し、0℃に再冷却し、メタノール(30ml)を添加し、ついで、水素化ホウ素ナトリウム(3.3g;87mmol)を注意深く添加した。室温にて18時間撹拌した後、該反応混合物を0℃に冷却し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液を添加した。有機相を蒸発させ、得られたスラリーをDCMで3回(3×150ml)抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、蒸発させて、黄色油状物として粗生成物(6.8g)を得た。該粗生成物の半分をシリカゲルクロマトグラフィー処理してDCM−メタノール(9/1)およびDCM−メタノール中2Mアンモニア混合物(95/5〜9/1〜8/2)で溶離し、無色の油状物として標記生成物(2.3g)を得た。この油状物をジエチルエーテル(20ml)に溶解し、0℃でジエチルエーテル中塩化水素を添加した。20分後、該懸濁液を濾過して、白色固体として標記生成物の二塩酸塩(2.8g)を得た。H NMR(DMSO)δ:1.25(2H,bs)、1.36(2H,bs)、1.66−2.13(4H,m)、2.64(3H,s)、2.79(3H,s)、4.92(1H,bs)、7.32(3H,m)、7.54(2H,m)、8.95(3H,bs)、10.82(1H,bs)。
【0132】
別法:
1−(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリルD1(43g;311mmol)のアルゴン下で−70℃のTHF(1L)中溶液にフェニルリチウムのジブチルエーテル中溶液(1.8M溶液346ml;622mmol)を10分間にわたって滴下した。該反応混合物を−70℃で2時間撹拌し、ついで、室温に加温し、一夜撹拌した。該反応混合物を氷冷し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液を添加した。該混合物を30分間撹拌し、分取し、水性層をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機物を乾燥させ(NaSO)、減圧濃縮して油を得た。
該油をメタノール(1.2L)に溶解し、氷冷した。水素化ホウ素ナトリウム(20g)を4つに分けて5分間にわたって添加し、該混合物を氷冷しながら30分間撹拌した。ついで、冷却を外し、撹拌を室温にて1.5時間続けた。ついで、該反応混合物を氷冷し、水を加えた。得られた混合物を減圧下で蒸発させ、2NのHClと酢酸エチル間で分配させた。有機物を2NのHClで抽出した。合した酸抽出物を酢酸エチルで洗浄し、NaOHで塩基性化し、DCM中に抽出した。合したDCM抽出物を乾燥させ(NaSO)、減圧下で蒸発させて、淡緑色液体として該生成物(64.66g、95.4%)を得た。
【0133】
記載例3: {1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミン、エナンチオマー1およびエナンチオマー2
【化10】

方法1
下記条件を用いて半分取キラルHPLCによりラセミ{1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンD2(0.6g;2.75mmol)を分取して標記生成物のエナンチオマー1(0.27g)[キラルHPLC:98%ee;H NMR(CDCl)δ:0.42(1H,m)、1.32(3H,m)、1.49(1H,m)、1.63(1H,m)、1.76(1H,m)、1.95(3H,m)、2.29(6H,s)、4.39(1H,s)、7.28(3H,m)、7.50(2H,d);マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値219(MH);C1422の計算値218];およびエナンチオマー2(0.28g)[キラルHPLC:98%ee;H NMR(CDCl)δ:0.42(1H,m)、1.32(3H,m)、1.49(1H,m)、1.63(1H,m)、1.76(1H,m)、1.95(3H,m)、2.29(6H,s)、4.39(1H,s)、7.28(3H,m)、7.50(2H,d);マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値219(MH);C1422として計算値218]を得た。
【0134】
半分取HPLC条件:
カラム: Chiralpak AD−H 5μm、250×21mm
移動相: A:n−ヘキサン;B:エタノール+0.1%イソプロピルアミン
勾配: 定組成5%B
流速: 7ml/分
UV波長領域: 225nm
溶出時間: 30分
【0135】
分析用クロマトグラフィー条件:
カラム: Chiralpak AD−H 5um、250×4.6mm
移動相: A:n−ヘキサン;B:エタノール+0.1%イソプロピルアミン
勾配: 定組成5%B
流速: 1ml/分
UV波長領域: 200〜400nm
分析時間: 10分
保持時間: 5.9分(エナンチオマー1);7.6分(エナンチオマー2)
【0136】
方法2
塩形成:
ラセミ{1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンD2(16.9g;77.5mmol)の50℃のイソプロパノール(170ml)中溶液に(R)−メトキシフェニル酢酸(12.84g;77.5mmol)のイソプロパノール(75ml)中溶液を滴下した。20分後、該混合物を室温に冷却し、さらに4時間撹拌した。沈殿した固体を濾過により回収した(13.42g)。
【0137】
キラル遊離塩基の再生:
ついで、該固体を1M NaOH(50ml)およびDCM(167ml)で処理した。相を分取し、水性相をDCM(4×167ml)で洗浄した。合わせた有機相を1M NaOH(2×35ml)で洗浄し、ついで、ブライン(100ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、無色の油として標記化合物のエナンチオマー2(7.6g)を得た。キラルHPLC:>96%ee;H NMR(CDCl)δ:0.42(1H,m)、1.32(3H,m)、1.49(1H,m)、1.63(1H,m)、1.76(1H,m)、1.95(3H,m)、2.29(6H,s)、4.39(1H,s)、7.28(3H,m)、7.50(2H,d);マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値219(MH)。C1422として計算値218。
【0138】
記載例4: 2−メチル−2−(1−ピペリジニル)プロパンニトリル
【化11】

D1において記載した方法と同様に、水(10ml)中でピペリジン塩酸塩(2.43g、20mmol)、アセトン(1.16g、20mmol)およびシアン化カリウム(1.30g、20mmol)から標記化合物(2.33g、77%)を製造した。1H NMR(CDCl3)δ:1.46(2H,m)、1.50(6H,s)、1.63(4H,m)、2.59(4H,m)。
【0139】
記載例5: (±)2−メチル−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)−1−プロパンアミン
【化12】

D2において記載した方法と同様に、THF(15ml)中で2−メチル−2−(1−ピペリジニル)プロパンニトリルD4(1.30g、8.6mmol)およびジブチルエーテル中フェニルリチウム(1.8M溶液5.2ml;9.4mmol)から、ついで、メタノール(20ml)中での水素化ホウ素ナトリウム(0.975g、25.7mmol)との反応により標記化合物(1.16g、56%)を製造した。1H NMR(CDCl3)δ:0.76(3H,s)、0.91(3H,s)、1.44(2H,m)、1.54−1.65(4H,m)、1.95(2H,m)、2.57(4H,m)、4.19(1H,s)、7.20−7.31(3H,m)、7.40(2H,m)。
【0140】
ヘテロサイクリックカルボン酸は、市販されているか、または文献公知の方法により合成して入手した。
【0141】
実施例1:N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](フェニル)メチル]−2−(メチルチオ)−3−ピリジンカルボキサミド(キラル)
【化13】

{1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンD3エナンチオマー2(50mg;0.23mmol)、2−(メチルチオ)−3−ピリジンカルボン酸(42mg;0.25mmol)、PS−DCC(230mg、1.3mmol/g充填、0.30mmol)およびHOBt(46mg;0.3mmol)のDCM/DMF(10:1;3ml)中混合物を、20℃で20時間振盪した。反応混合物を濾過し、樹脂をDCMで洗浄した。合した有機物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、ついで減圧下で約5mlまで蒸発させた。ついで、有機物を、SCXカートリッジ(2g)に加え、石油エーテル中50〜100%酢酸エチル、ついで、メタノールおよび酢酸エチル中1Mアンモニアで溶出して、標題生成物を得た。H NMR(CDCl)δ:0.9−1.0(1H,m),1.3−1.4(1H,m),1.4−1.6(2H,m),1.65−1.75(1H,m),1.75−1.90(2H,m),1.90−2.05(1H,m),2.28(6H,s),2.60(3H,s),5.15(1H,d,J=6Hz),7.03−7.06(1H,m),7.22−7.27(1H,m),7.29−7.33(2H,m),7.45−7.47(2H,m),7.85−7.88(1H,m),7.94(1H,brs),8.49−8.51(1H,m)。生成物をDCMに溶解し、エーテル中1MのHClで処理して、乾燥した。エーテルでトリチュレートし、ついで、乾燥して、塩酸塩に変換した(94mg;100%)。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値370(MH)。C2127OSとして計算値369。保持時間1.80分。
【0142】
実施例2:(±)N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](フェニル)メチル]−5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾールカルボキサミド
【化14】

{1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンD2(50mg;0.230mmol)および5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾールカルボン酸(70mg;0.345mmol)から、E1に記載の方法と同様の方法、さらに質量指向自動精製により精製して、標題生成物(29mg;31%)を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値404(MH)。C2529として計算値403。保持時間1.96分。
【0143】
実施例3:(±)N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](フェニル)メチル]−3−[3−(メチルオキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボキサミド
【化15】

{1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンD2(50mg;0.230mmol)および3−[3−(メチルオキシ)フェニル]−2−チオフェンカルボン酸(81mg;0.345mmol)から、E1に記載の方法と同様の方法を用いて、標題生成物(46mg;46%)を調製した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値435(MH)。C2630Sとして計算値434。保持時間2.00分。
【0144】
実施例4:(±)N−[2−メチル−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)プロピル]−2−(メチルチオ)−3−ピリジンカルボキサミド
【化16】

2−(メチルチオ)−3−ピリジンカルボン酸(39mg;0.230mmol)のDMF(2ml)中溶液に、DIPEA(84mg;0.648mmol)、ついで、HATU(82mg;0.216mmol)を、室温、アルゴン雰囲気下で撹拌しながら加えた。20分後、(±)2−メチル−1−フェニル−2−(1−ピペリジニル)−1−プロパンアミンD5(50mg;0.216mmol)のDMF中溶液を加え、混合物を20℃で1時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチルおよび水間で分配し、有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を、石油エーテル中0〜100%酢酸エチルで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標題化合物を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値384(MH)。C2229OSとして計算値383。保持時間1.74分。生成物をDCM中に溶解し、エーテル中1MのHClで処理して、乾燥した。エーテルでトリチュレートし、ついで、乾燥して対応する塩酸塩を得た(107mg;100%)。
【0145】
実施例5:N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](フェニル)メチル]−5−フェニル−2−チオフェンカルボキサミド
【化17】

{1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンD2(50mg;0.230mmol)および5−フェニル−2−チオフェンカルボン酸(71mg;0.345mmol)から、E1に記載の方法と類似の方法を用いて標題化合物(76mg;82%)を調製した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値405(MH)。C2528OSとして計算値404。保持時間2.14分。
【0146】
実施例6:N−[[1−(ジメチルアミノ)シクロペンチル](フェニル)メチル]−2−フェニル−3−チオフェンカルボキサミド
【化18】

{1−[アミノ(フェニル)メチル]シクロペンチル}ジメチルアミンD2(50mg;0.230mmol)および2−フェニル−3−チオフェンカルボン酸(70mg;0.345mmol)から、E1に記載の方法と類似の方法を用いて、標題化合物(54mg;58%)を調製した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):測定値405(MH)。C2528OSとして計算値404。保持時間2.08分。
【0147】
上記実施例の化合物は、親遊離塩基をDCMまたはDCM/メタノール混合物中に溶解し、エーテル中1Mの塩化水素を加え、ついで、蒸発させ、減圧下で乾燥することにより、対応する塩酸塩に変換することができた。質量指向自動精製により精製された化合物をギ酸塩として単離し、SCXカラムにより遊離塩基変換し、上記したようにエーテル中1Mの塩化水素と反応さえることにより対応する塩酸塩に変換することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
は:
【化2】


および(iii)2個までのZ基により置換されていてもよいチエニル基から選択される基であり、該チエニル基は、1〜5個のZ基により置換されていてもよいフェニル基により置換されていてもよく;
ここに、
Zは、水素、ハロゲン、C3−7シクロアルキル、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、ハロC1−4アルキルチオ、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルスルホキシ、C1−4アルキルスルホニルおよびシアノから各々独立して選択され;
式(i)および(ii)に示されるC1−4アルキル基は、1個またはそれ以上のハロゲンにより置換されていてもよく;
は、ハロゲン、シアノ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C(O)NR10、(ここに、RおよびR10は、各々独立して、水素またはC1−4アルキルであるか、あるいはRおよびR10は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4−、5−、6−または7員の飽和炭素環を形成し、該4−、5−、6−または7員の飽和環は、さらに、O、NおよびS(O)(ここに、mは0、1、または2である)から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい)、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオおよびハロC1−4アルキルチオからなる群から選択され;
nは0、1または2であり;
およびRは、水素および1個またはそれ以上のYにより置換されていてもよいC1−4アルキルから独立して選択されるか;あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基により置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和の4−、5−、6−または7員の炭素環を形成し;
Yは、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシC3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群から選択され;
Y’は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロC1−4アルコキシ、C3−5シクロアルキルおよびC5−10アリールからなる群から選択されるか、あるいはY’は、4−、5または6員環上の2個の原子間の−CH−または−CH−CH−架橋を形成し;
およびRは、独立して、1個またはそれ以上のX基により置換されていてもよいC1−4アルキルであるか;あるいはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1個またはそれ以上のX’基により置換されていてもよい、飽和5または6員の炭素環を形成し、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員の飽和炭素環を形成する場合、該環は、さらに、O、NおよびS(O)(ここに、mは0、1または2である)から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい;
Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択され;
X’は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシおよびC5−10アリールからなる群から選択される]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式(Ia):
【化3】

[式中:
は、5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル(ここに、該フェニルは、1〜5個のZ基により置換されていてもよい);2−メチルチオ−3−ピリジル(ここに、該ピリジルは、1〜3個のZ基により置換されていてもよい);およびフェニル基に置換されたチエニル(ここに、該チエニル基は、1または2個のZ基により置換されていてもよく、該フェニル基は、1〜5個のZ基により置換されていてもよい)から選択され;
ここに、Zは、水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルからなる群から各々独立して選択され;
およびRは、水素、Y基により置換されていてもよいC1−4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)から独立して選択されるか、あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Y’基により置換されていてもよい、飽和または部分的に不飽和(例えば、飽和)4−、5−、6−または7員の炭素環を形成し;
Yは、C1−4アルコキシ、ヒドロキシおよびC3−5シクロアルキルからなる群から選択され;
Y’は、ハロゲンおよびC1−4アルキルからなる群から選択され;
およびRは、1個またはそれ以上のX基により置換されていてもよいメチルおよびエチルから独立して選択されるか;あるいは、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、飽和5または6員の炭素環を形成し、RおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員の飽和炭素環を形成する場合、該環は、さらに、酸素ヘテロ原子を含んでいてもよく;
Xは、ヒドロキシおよびC1−4アルコキシからなる群から選択される]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
実施例1〜6のいずれかの請求項1または請求項2記載の化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項記載の化合物の製造方法であって、下記工程:
式(II):
【化4】

[式中、R、R、R、RおよびRは、請求項1〜3いずれか1項に記載の式(I)の記載と同意義である]
で示される化合物を、式(III):
【化5】

[式中、Rは、請求項1〜3いずれか1項に記載の式(I)の記載と同意義であり、Lは適当な脱離基である]
で示される化合物とを反応させ、その後任意に:
・いずれかの保護基を除去すること、および/または
・式(I)で示される化合物を他の式(I)で示される化合物に変換すること、および/または
・塩または溶媒和物を形成すること、
を含む方法。
【請求項5】
治療において用いるための請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
GlyT1により介在される障害の治療において用いるための請求項5記載の化合物。
【請求項7】
障害が、統合失調症、認知症または注意欠陥障害を含む精神疾患である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
GlyT1により介在される障害を患っているか、それに感受性であるヒトを含む哺乳動物の治療方法であって、有効量の請求項5記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項9】
障害が、統合失調症、認知症または注意欠陥障害を含む精神疾患である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
GlyT1により介在される障害の治療用の医薬の調製における、請求項1〜3いずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項11】
障害が、統合失調症、認知症または注意欠陥障害を含む精神疾患である、請求項10記載の使用。
【請求項12】
請求項5記載の化合物および少なくとも1つの医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
さらに、5HT3アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環式抗鬱剤、ドーパミン作動性抗鬱剤、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニストから選択される抗鬱剤;抗痙攣剤;非定型抗精神病剤および向知性薬から選択される、1種またはそれ以上の治療剤を含む、請求項12記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2010−515662(P2010−515662A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549869(P2008−549869)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050157
【国際公開番号】WO2007/080159
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】