説明

グリース組成物

本発明は、工業用潤滑剤にとって通常の粘度(ISO VG 2〜ISO VG 1500)を有する油をベースとする基油混合物、イオン液体、例えばポリ尿素化合物をベースとする増粘剤及び通常の添加剤を有し、120℃〜260℃の通常の使用温度で、特に180℃〜260℃の高い使用温度の範囲内の使用温度でも、−60℃までの低温でも使用可能な、グリース組成物に関する。本発明はこの種のグリース組成物の製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用潤滑剤にとって通常の粘度(ISO VG 2〜ISO VG 1500)を有する油をベースとする基油混合物、イオン液体、例えばポリ尿素化合物をベースとする増粘剤及び通常の添加物を有する、120℃〜260℃の通常の使用温度で、特に180℃〜260℃の範囲内の使用温度でも、−60℃までの低温でも使用可能なグリース組成物に関する。本発明はこの種のグリース組成物の製造方法にも関する。
【0002】
新規の潤滑剤の開発は、潤滑剤組成物の新たでかつより高い要求がなされる技術の一般的な更なる発展を伴わなければならない。この要求を、鉱油及び/又は合成油をベースとする公知の潤滑剤組成物はもはや満たしていない。
【0003】
潤滑剤は、車両工業、コンベヤ工業、機械工学、事務所分野並びに工業的装置及び機械、さらには生活機器及び娯楽電子機器において使用される。
【0004】
転がり軸受及び滑り軸受において潤滑剤は、互いに滑るか又は転がる部材の間に、互いに隔てかつ荷重を伝達する潤滑膜を構築するために利用される。従って、前記金属表面同士は接触せずかつそれにより摩耗が生じないことが達成される。この潤滑剤は従って高い要求を満たさなければならない。これには、極端な運転条件、例えば極めて高い又は極めて低い回転数、高い回転数又は外部加熱による高い温度、極めて低い温度、例えば寒冷環境で運転するか又は航空又は宇宙飛行における使用の際に生じる軸受の場合が属する。同様に、近代的な潤滑剤は、摩耗又は潤滑剤の消耗による室内汚染を回避するために、いわゆるクリーンルーム環境下で使用可能であるのか好ましい。更に、近代的な潤滑剤の適用の場合に、前記潤滑剤が蒸発し、それにより「皮膜化」され、つまり前記潤滑剤が短い適用の後に固体になり、潤滑作用をもはや示さないことが回避されるのが好ましい。潤滑剤には、前記適用の場合には、軸受の摺動面がわずかな摩擦により攻撃されないこと、前記軸受面は騒音が少なく走行すること、並びに最注油なしでの長い運転時間を要求されることの特別な要求も課せられる同様に潤滑剤は、力の作用、例えば遠心力、重力及び振動に耐えなければならない。
【0005】
高温領域でのグリース潤滑された転がり軸受の長い機能時間のための重要な特性パラメータは、DIN51825による高い使用温度の他に前記潤滑剤の騒音挙動である。グリースは、回転に関与する場合(転がり、摩耗)、転がり軸受中で振動が生じ、前記振動は「潤滑剤騒音」として、中域300〜1800Hz及び高域1800〜10000Hzの周波数帯域にあり、それに対して軸受騒音は低域50〜300Hzの周波数帯域にある。この潤滑剤騒音は、騒音ピークによって重なり合い、前記騒音は転動体による硬質粒子の転がりの際に衝撃パルスの形でベアリングリングに生じる。騒音挙動の評価はSKF−Bequiet法により行い、この方法は騒音ピークの統計的評価及び騒音クラスBQ1〜BQ4に分類に基づく。騒音クラスの値が高くなると共に騒音挙動は悪化しかつ前記転がり軸受の寿命は低下する(H. Werries, E. Paland, テーマ"Geraeuscharme Schmierfette"のFVA研究、ハノーバー大学1994)。100%の騒音クラスBQ1は極めて良好な騒音挙動を示し、もっぱら騒音クラスBQ4の低いパーセント値は極めて悪い騒音挙動を示す。
【0006】
グリースの騒音挙動が改善されれば、潤滑剤による強要される軸受の振動が減少する。これは、軸受のわずかな負荷と同義であり、軸受の長い機能期間を生じさせる。
【0007】
潤滑技術におけるイオン液体(以後、IL(=Ionic Liquid)とする)の使用は数年来集中的に調査されている、それというのもカチオン又はアニオンの変性により広い使用範囲が提供できるためである。イオン液体はいわゆる、有利に室温で液状であるか又は定義によって融点<100℃を有する溶融塩である。イオン液体を生じる公知のカチオン/アニオン組合せは、例えばジアルキルイミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム及びホスホニウム等と、有機アニオン、例えばスルホナート、イミド、メチド等、並びに無機アニオン、例えばハロゲン化物及びホスファート等との組合せであり、その際、低い融点を達成することができる他のカチオン及びアニオンの組合せも考えられる。イオン液体はその化学構造に依存して極端に低い蒸気圧を有し、不燃性でありかつ頻繁に260℃を超えるまで熱安定性であり、更に潤滑性である。
【0008】
WO 2006/077082は、端面シールを使用する回転するシャフトをシールする方法、並びに回転するシャフトのシールのための端面シール用の遮断液体の成分としてのイオン液体の使用を記載している。この遮断液体は、回転するシャフトを付加的にシールするために利用されるとしている。この公知の遮断液体は、水又は油であり、前記遮断液体の挙動は、高い気密性の要求を有する機器の環境との相互作用に関してイオン液体の使用により改善されるとしている。
【0009】
DE 10 2004 033 021 A1は作動液体としてのイオン液体の使用を記載し、その際、液状の圧力伝達媒体の圧縮率は低下され、それにより油圧システムのエネルギー伝達効率は改善されるとしている。
【0010】
DE 10 2005 007 100 A1からは、運転液体としてイオン液体を使用する加工装置又は作業装置が公知である。このイオン液体は、運転液体としての使用の範囲内でも、潤滑液体、遮断液体、シール液体、圧力伝達液体等として使用される。
【0011】
液状の潤滑剤の使用は、一般に高価なシールの使用を必要とする。グリースはそれ自体シール作用を有する。高価なシールの使用を行わず、簡単なカバー又はシールリングを用いて作業することができる。
【0012】
本発明の目的は、上記の要求に応じ、特に高温及び低温条件でも使用可能であり、わずかな蒸気圧を有するか又は蒸気圧を有しないため、使用時に蒸発せず、並びに良好な騒音挙動を示し、前記転がり軸受の長い運転時間を生じかつ主に摩耗現象を生じないグリース組成物を提供することであった。更に、前記グリース組成物は適用に合った油分離(Oelabscheidung)を生じるのが好ましい。
【0013】
この目的は、本発明の場合に、工業用潤滑材料のために通常の粘度(ISO VG 2〜ISO VG 1500)を有する油をベースとする基油混合物、イオン液体又は複数のイオン液体からなる混合物、例えばポリ尿素化合物をベースとする増粘剤並びに通常の添加物からなる混合物からなり、120℃〜260℃の使用温度でも、−60℃までの低温でも使用可能であるグリース組成物により達成される。
【0014】
この基油混合物は、合成油、鉱物油及び/又は天然油であってもよい。これらの油は、使用に依存して単独で又は組み合わせて適用することができる。
【0015】
前記合成油は、単一成分として又は任意の混合物の形での、脂肪族又は芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸と、単独で又は混合物で存在するC7〜C22−アルコールとのエステル、ポリフェニルエーテル又はアルキル化されたジフェニルエーテル、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット又はジペンタエリトリットと脂肪族C7〜C22−カルボン酸とのエステル、C7〜C12−アルコールを有するC18−ダイマー酸エステル、複合エステルから選択される。更に、前記合成油は、ポリ−α−オレフィン、アルキル化されたナフタレン、アルキル化されたベンゼン、ポリグリコール、シリコーン油、ペルフルオロポリエーテルから選択することができる。
【0016】
前記鉱物油は、パラフィンベース、ナフテンベースの芳香族水素化分解油;Gas to Liquid(GTL)液体から選択することができる。GTLは、Gas to Liquid法と称され、天然ガスから燃料を製造する方法である。天然ガスを蒸気リフォーミングにより合成ガスに変換し、これをフィッシャートロプッシュ合成(Fischer-Tropsch-Synthese)により、触媒を用いて燃料に変換する。前記触媒及びプロセス条件は、燃料の種類を調節し、ガソリン、灯油、ディーゼル又は油が製造される。同様の方法で、Coal-to-Liquid法(CTL)により、原料として石炭を使用することができ、Biomass-to-Liquid(BTL)法では、原料としてバイオマスを使用することができる。
【0017】
天然油として、公知の方法で例えば水素化により精製された動物又は植物由来のトリグリセリドを使用することができる。特に有利なトリグリセリド油は、高いオレイン酸割合を有する遺伝的に変性されたトリグリセリド油である。一般にここで使用される、高いオレイン酸含有量を有する遺伝的に変性された植物油は、サフラワー油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、ダイズ油、アマニ油、落花生油、レスクエレラ油、メドウフォーム油及びパーム油である。
【0018】
イオン液体の場合に、すでに前記したように、カチオン及びアニオンの適当な選択により、潤滑剤組成物のそれぞれの所望の特性、潤滑剤の寿命の延長及び潤滑作用の向上、温度適正の改善のための粘度調節、使用分野の拡張のための電気伝導率の調節が達成される。イオン液体のために適したカチオンは、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン又はピロリジニウムカチオンであり、前記のカチオンは、フッ素を含有し、かつビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミド、ペルフルオロアルキルスルホナート、トリス(ペルフルオロアルキル)メチド、ビス(ペルフルオロアリール)イミド、ペルフルオロアリールペルフルオロアルキルスルホニルイミド及びトリス(ペルフルオロアルキル)トリフルオロホスファートから選択されたアニオン、又はハロゲン不含のアルキルスルファートアニオンと組み合わせることができる。
【0019】
特に、高度にフッ素化されたアニオンを有するイオン液体が有利である、それというのもこのイオン液体は一般に高い熱安定性を有するためである。水を吸収するための能力も、このようなアニオンにより、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニオンの使用の場合に、明らかに減少させることができる。
【0020】
このようなイオン液体の例は次のものである:
ブチルメチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(MBPイミド)、
メチルプロピルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(MPPイミド)、
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム−トリス(ペルフルオロエチル)トリフルオロホスファート(HMIMPFET)、
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(HMIMイミド)、
ヘキシルメチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(HMP)、
テトラブチルホスホニウム−トリス(ペルフルオロエチル)トリフルオロホスファート(BuPPFET)、
N−ヘキシルピリジニウム−ビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド(Hpyimid)、
ブチルメチルピロリジニウム−トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスファート(MBPPFET)、
トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(HPDイミド)、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート(EMIMエチルスルファート)、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIMイミド)、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMMIMイミド)、
N−エチル−3−メチルピリジニウム−ノナフルオロブタンスルホナート(EMPyflat)。
【0021】
前記増粘剤は、ジイソシアナート、有利に2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアナトジフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルジフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルフェニルメタン(これらは単独でも又は組み合わせても使用できる)と、一般式R′2N−Rのアミン、又は一般式R′2N−R−N−R′2のジアミン(式中、Rは、アリール基、2〜22個の炭素原子を有するアルキル基又はアルキレン基であり、R′は、同じ又は異なり、水素、アルキル基、アルキレン基又はアリール基である)、又はアミンとジアミンの混合物との反応生成物であるか、又は金属セッケン、金属スルホナート、金属錯体セッケン、ベントナイト、ケイ酸塩粉末、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリイミドから選択される。
【0022】
更に、本発明によるグリース組成物は、腐食、酸化に対する通常の添加物及びキレート化合物、ラジカル補足剤、UV安定剤、反応層形成剤として存在する金属の影響に対する保護のための添加物、並びに無機又は有機固体潤滑剤、例えばポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、黒鉛、金属酸化物、窒化ホウ素、二硫化モリブデン及びホスファートを含有する。特に、リン及び硫黄含有化合物の形の添加物、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛、ホウ酸エステルは耐摩耗性添加剤/極圧添加剤として使用され、芳香族アミノ、フェノール、硫黄化合物は酸化防止剤として使用され、金属塩、エステル、窒素含有化合物、複素環式化合物は腐食防止剤として使用され、グリセリン−モノエステル又はジエステルは摩擦保護剤として使用され、及びポリイソブチレン、ポリメタクリラートは粘度改善剤として使用される。
【0023】
本発明によるグリース組成物は、基油混合物5〜95質量%、イオン液体1〜30質量%、増粘剤3〜50質量%、添加物0.1〜10質量%を含有する。
【0024】
前記グリース組成物の場合、基油の粘度は1.98〜1650mm2/sの範囲内であり、イオン液体の粘度は1.98〜1650mm2/sの範囲内である。
【0025】
更に、前記グリース組成物はDIN ISO 2176による滴点>180℃を有し、DIN51825による−60℃までの使用温度のために適している。
【0026】
前記グリース組成物は120℃〜260℃までの高い使用温度のため及びDIN51825による−60℃の低い使用温度のための適用のために適している。同様に、前記組成物は180℃を超える高い使用温度で及びDIN51825による−60℃までの低い使用温度のために使用することができる。
【0027】
意外にも、前記の成分の組み合わせにより、前記イオン液体の蒸発がほとんどないために、潤滑剤の粘度上昇の延長及びそれによる皮膜化/硬化の延長により、より長い寿命を有する潤滑剤組成物が生じた。更に、イオン液体の使用により、引火性が低減され、酸化による又は熱による影響に対して安定であり、広範囲で液体の形で使用可能であり、わずかな蒸気圧を有しかつ粘度を適切に調節することができるグリース組成物を得ることができる。
【0028】
高温にさらされかつ長い運転時間が達成される転がり軸受中でしばしば尿素グリースを使用する場合、前記グリースはこの種の適用に合わせることが必要である、それというのも尿素グリースは高温で硬化する傾向があるためである。これは、100mm以上の内輪の直径を有するローラベアリング又はボールベアリングが十分に油を供給されないことにより生じることがある。同様に前記硬化は、再注油のための導管を不通にし、それにより新たなグリースの供給ができなくなり、前記の硬化したグリースはもはや新たなグリースと混じらなくなることを引き起こす。高温の場合により高い油分離及びより低い硬化傾向を有する尿素グリースを適用できることが望まれている。この種の改善された生成物は、例えば段ボール工業、木材加工工業におけるローラベアリング中で及び貨物自動車のホイールベアリングにおいて使用することができる。
【0029】
金属セッケングリース、特にリチウムセッケングリース及びリチウム錯体セッケングリースの場合、それに対して高温でむしろ大きすぎる油放出を示すので、シールの使用にもかかわらず油の損失が生じ、これは軸受の寿命を制限する。
【0030】
イオン液体の添加により、上記の欠点の改善が達成されることが見出された。次の実施例は、増粘剤として尿素を含有するグリース組成物が、少なくとも100mmの直径を有する内輪を有するローラベアリング又はボールベアリングの潤滑のために使用することができ、尿素ベースの公知のグリース組成物の欠点が回避されることを示す。この種のグリース組成物は少なくとも100mmの直径を有する内輪を有するローラベアリング又はボールベアリングの再注油のために使用することもできる。
【0031】
本発明によるグリース組成物の特に有利な実施態様として、次に記載する組成物を挙げる。
【0032】
請求項1によるグリース組成物は、基油としてのポリ−α−オレフィン79質量%、増粘剤としてのリチウム単純セッケン17質量%、添加物4質量%及びイオン液体としてのブチルメチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1〜30質量%からなる。
【0033】
ポリ−α−オレフィン73.5質量%、尿素増粘剤4.5質量%及びリチウム錯体セッケン増粘剤15質量%、添加物3質量%及び固体潤滑剤4質量%からなるグリース組成物は、その中に更にイオン液体1〜5質量%が混入されていて、その際、前記イオン液体はトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド又はN−エチル−3−メチルピリジニウム−ノナフルオロブタンスルホナートから選択される。
【0034】
エステル混合物85質量%、尿素増粘剤7.5質量%、添加物混合物5質量%及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2.5〜10質量%からなるグリース組成物も、本発明による適用の際に有利である。
【0035】
合成エステル84質量%、尿素増粘剤14質量%、添加物2質量%及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート1〜3質量%からなるグリース組成物も、本発明の場合に使用可能である。
【0036】
合成エステルとポリ−α−オレフィンとの混合物76質量%、尿素増粘剤15質量%、添加物9質量%及びさらにブチルメチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1〜10質量%からなるグリース組成物を適用することができる。
【0037】
本発明による潤滑剤組成物は、二尿素及び/又はポリ尿素で増粘された基油をイオン液体と混合し、引き続き高圧ホモジナイザー及び/又は三本ロール機で均質化することにより得られるか、又は基油をイオン液体と混合し、この混合物中でのポリ尿素化合物又は二尿素化合物の合成によりin situで増粘し、引き続き高圧ホモジナイザー及び/又は三本ロール機で均質化することにより得られる。
【0038】
本発明を次の実施例により具体的に詳説する。
【0039】
実施例
この実施例において他に記載がない限り、%表示は重量%に関する。イオン液体の添加により、残りの基油のパーセント割合は、他に記載がない限り相応して低下する。
【0040】
実施例1
グリース組成物の製造のために、基油としてトリメリト/ピロメリト酸エステルからなる混合物77質量%、イオン液体としてのMPBイミド10質量%、増粘剤としてポリ尿素又は二尿素8質量%及び添加物として腐食防止剤、酸化防止剤及び摩耗防止剤5質量%を混合する。このイオン液体は、基油中で前記増粘剤のin situ製造の後で混合され、高圧ホモジナイザー、三本ロール機又は他の適当な方法を用いて均質化する。
【0041】
まず、こうして得られたグリース組成物を用いてDIN ISO 2137による騒音試験を実施し、この結果を表1中に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
高い使用温度は、DIN51825により、FAG FE−9転がり軸受試験装置、180℃でのFAG FE 9試験、6000rpm、1500N、設置A:
L10=73h
L50=222h
β=1.7
で、本発明によるグリース組成物が、転がり軸受用グリースのための騒音試験の要求及びDIN基準を満たすだけでなく、この値を大きく上回る結果を示した。
【0044】
実施例2
グリース組成物の製造のために、基油としてのポリ−α−オレフィンからなる混合物79質量%、増粘剤としてのリチウム単純セッケン17質量%、添加物4質量%からなるグリースに、さらにイオン液体としてMPBイミド10〜30質量%を添加する。このイオン液体は、冷間で、リチウムセッケングリースのin situ製造の後にベース油に添加し、撹拌し、均質化にロール処理した。
【0045】
【表2】

【0046】
表2は、他の試験パラメータを維持しながら、イオン液体の添加により油分離の明らかな減少を示す。
【0047】
この分離された油(FTMS標準)は基油として同定され、つまり、イオン液体は析出されない。
【0048】
実施例2によるリチウムセッケングリースのための上記の基本配合により、少量のイオン液体を有する更に他の試験を実施し、この結果を表3に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
イオン液体1〜5質量%を使用する場合でも、同様に、試験時間を30時間に延長した場合でさえ、減少された油分離を示す。
【0051】
実施例3
この実施例中で、合成炭化水素、合成エステル、芳香族ジイソシアナート、脂肪族モノアミンからなる転がり軸受用グリースに基づき標準グリースを製造し、これにMBPイミド10%を添加して、ROF転がり軸受用グリース試験装置中で試験する。この試験を用いて調査されたグリース組成物の寿命を測定し、かつグリースの高い使用温度を転がり軸受中で高い回転数でかつ標準的に低い軸方向及び半径方向の荷重で測定する。試験軸受として、深溝ボールベアリング6204−2Z−C3/VM104を使用し、前記ボールベアリングはアキシャル荷重で100N及びラジアル荷重で200Nの負荷、180001/minの回転数、160℃の温度にさらし、並びに1.5cm3の充填量で負荷した。イオン液体なしの前記グリース組成物は、186時間のL50値を有するが、前記グリース組成物は717時間のL50値を有することを示す。これは、イオン液体を有するグリース組成物の寿命の明らかな改善を示す。
【0052】
実施例4
この実施例中では、DIN51350によるVKA溶接力を測定する。このために、合成エステル、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)、芳香族ジイソシアナート及び脂肪族及び芳香族アミンからなる混合物からなる転がり軸受用グリースを使用した。次のグリース組成物を、次にVKA−溶接力試験にかけた。
【0053】
グリース組成物、これはNLGI2−3のグリースである:
グリース1: ペルフルオロポリエーテルを有する標準
グリース2: 2.5%EMIMイミドを有するペルフルオロポリエーテルなしの標準
グリース3: 5%EMIMイミドを有するペルフルオロポリエーテルなしの標準
グリース4: 7.5%EMIMイミドを有するペルフルオロポリエーテルなしの標準
グリース5: 10%EMIMイミドを有するペルフルオロポリエーテルなしの標準
【表4】

【0054】
VKA値の比較は、2.5%より多くのイオン液体を添加する場合に改善されたVKA値が達成されることを示す。
【0055】
【表5】

【0056】
さらに、10%のイオン液体の添加の際に同様に良好な騒音値と共に同様に改善されたVKA値を示す。
【0057】
このグリースをFE9転がり軸受用グリース試験にもさらし、その際、試験されたグリースの寿命を測定しかつ転がり軸受中でのグリースの高い使用温度を中程度の回転数及び中程度の軸方向荷重で測定した。軸受として、FAG特殊ベアリング529689H109(これは、鋼製保持器を備えた傾斜ボールベアリング7206Bに相当)を使用し、JP2保持器を用いて、6000 1/minの回転数、1500Nのアキシャル荷重、200℃の温度、2cm3の充填量で使用した。試験したグリース及びL10値及びL50値の結果は表6に示されている。
【0058】
【表6】

【0059】
前記表は、イオン液体の添加により、前記グリースは、イオン液体なしのペルフルオロポリエーテルを有するグリース1について測定された値との比較から明らかなように長い運転時間を有することを示す。
【0060】
他のグリース組成物をFAG FE 9試験にかけ、PFPEなしのこのグリースはHDPイミド10%を添加した(グリース8)。次の運転時間が得られたL10:66h、L50:101h及びβ:4.4。この結果は、本発明によるグリース組成物が、200℃までの使用温度についてDIN規格による転がり軸受用グリース用の要求を満たすことを示す。
【0061】
実施例5
この実施例中では、DIN51350によるVKA溶接力を測定する。このために、標準組成として合成エステル、芳香族ジイソシアナート及び脂肪族アミンからなる転がり軸受用グリースを使用した。次のグリース組成物を、次にVKA−溶接力試験にかけた。
【0062】
グリース組成物、これはNLGI2−3のグリースである:
グリース1: イオン液体なしの標準
グリース2: 5%EMIMイミドを添加した標準、(油代用物)
グリース3: 10%EMIMイミドを添加した標準、(油代用物)
【表7】

【0063】
表7は、溶接力が改善され、グリース中にイオン液体の使用と共に改善されたVKA値が得られることを示す。
【0064】
【表8】

【0065】
同様に良好な騒音値での改善されたVKA値(10%イオン液体の使用):
さらに、イオン液体の添加により温度負荷でのグリースの硬化が抑制できるかどうかを試験した。
【0066】
160℃の温度負荷で、いわゆる「アルミニウムシャーレ試験」を使用した。このために、まずまだ負荷されていないグリースの粘度を測定する。直径約50mm、高さ約15mmのアルミニウムシャーレ中に、前記シャーレの3/4の高さまで、試験すべきグリースをできる限り均一でかつ平坦に塗り付ける。引き続き、前記シャーレをそれに合うカバーで閉鎖する。この閉鎖したシャーレを、引き続き炉板に置き、前記炉中で高めた温度で負荷する。1週間のリズムで前記グリースの粘度を測定する。この見かけの動粘度は300s-1;25℃で測定する。次のグリース組成物をこのテストにかけた。
【0067】
グリース1:イオン液体なしの標準配合
グリース5: 1%EMIMエチルスルファートを添加
グリース6: 3%EMIMエチルスルファートを添加
グリース7: 5%EMIMエチルスルファートを添加
【表9】

【0068】
見かけの動粘度の値はmPasで示されている。
【0069】
1%EMIMエチルスルファートの添加により、前記グリースはより柔軟になり、3%では前記グリースはきわめて不均質(測定不能)で、5%では完全に「崩壊する」(測定不能)。
【0070】
1%EMIMエチルスルファートの添加により前記材料は熱負荷でも柔軟なままであることが明らかに認識される。1%より多くのイオン液体の添加の場合、熱負荷の際の改善は確認できない。
【0071】
実施例6
この実施例において、イオン液体を添加する場合のホイールベアリンググリースの改善を調査する。特に貨物自動車用のホイールベアリングは、熱的にも荷重に関しても高い要求が課せられている。前記車両は、例えば山道の下り走行の際に常にブレーキをかけなければならない場合、特に高い熱的負荷が生じる。この負荷のシミュレーションのために、周期的温度切り替えを特徴とするFE8転がり軸受試験を実施する。
【0072】
この試験のための基本グリースとして、ポリ−α−オレフィン、芳香族ジイソシアナート、脂肪族及び芳香族アミンからなる混合物及びリチウム錯体セッケン(標準)からなる組成物を使用した。
【0073】
次のグリース組成物を使用した:
グリース1: 標準配合
グリース2: 標準+5%HDPイミド
これらのグリース組成物を次の表10に示す試験にかけた。
【0074】
【表10】

【0075】
5%HDPイミドが添加されたグリースには、より高い油分離を示した。
【0076】
硬化の試験のために、前記したカバーを有するアルミニウムシャーレ試験を実施した。
【0077】
この粘度測定は160℃で実施し、この値はmPasで示されている。
【0078】
【表11】

【0079】
すべての試料について、見かけの粘度を測定することができ、標準グリースは外観においてイオン液体を有するグリースよりも乾燥しているように見える。
【0080】
イオン液体のこのサンプルは粘度低下を示し、硬質となるイオン液体なしのサンプルよりも軟質である。
【0081】
これは、例えばFE8転がり軸受試験において運転時間の延長を引き起こす。この試験の場合に、軸受中での摩擦トルク及び温度推移並びにDIN51819による転がり軸受用部材の摩耗が測定される。周期的に切り替えられる温度は、通常の運転に相応する130℃と山道の下り走行に相応する170℃との間で切り替えた。
【0082】
グリース1で表されるイオン液体なしの組成物の場合には、高い摩耗及び215時間の短い運転時間を示し、すでに170℃の2回目の温度期間でテスト走行を中止しなければならず、前記材料は、ファンを指導させなければならないほどの固有熱を生じた。
【0083】
グリース2として表されるグリース組成物+5%HDPイミドを用いた試験は、わずかな摩耗及び377時間の高い運転時間を示し、170℃の温度で5サイクルを走行することができた。この試験装置は意図的に停止されたが、さらなる運転も可能であった。前記材料は、低い固有熱を生じ、これは特別に加熱しなければならなかった。
【0084】
次のグリース組成物を用いてさらなる試験を実施し、この結果は表12及び13に示されている。
【0085】
グリース1: イオン液体なしの標準配合(実施例6)
グリース3: 標準+1%HDPイミド
グリース4: 標準+2%HDPイミド
グリース5: 標準+3%HDPイミド
グリース6: 標準+1%N−エチル−3−メチルピリジニウム−ノナフルオロブタンスルホナート
グリース7: 標準+2%N−エチル−3−メチルピリジニウム−ノナフルオロブタンスルホナート
グリース8: 標準+3%N−エチル−3−メチルピリジニウム−ノナフルオロブタンスルホナート
【表12】

【0086】
イオン液体を有るサンプルは高い油分離を示す。使用したイオン液体の種類及び量によっても、前記油分離の高さを調節することができる。
【0087】
粘度測定、160℃で負荷;値はmPasで示す:
【表13】

【0088】
この実施例は、イオン液体により貨物自動車用ホイールベアリンググリースの性能を明らかに向上できることを示す。
【0089】
上記の実施例は、工業用潤滑剤をベースとする油にイオン液体を添加することの有利な作用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 工業用潤滑剤にとって通常の粘度を有する油をベースとする基油5〜95質量%、前記基油は、単独成分として又は任意の混合物の形で、芳香族又は脂肪族のジカルボン酸、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸と、単独で又は混合物で存在するC7〜C22−アルコールとのエステル、ポリフェニルエーテル又はアルキル化されたジフェニルエーテル、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット又はジペンタエリトリットと脂肪族C7〜C22−カルボン酸とのエステル、C7〜C22−アルコールとのC18−ダイマー酸エステル、複合エステルからなるか、又はポリ−α−オレフィン、アルキル化されたナフタレン、アルキル化されたベンゼン、ポリグリコール、シリコーン油、ペルフルオロポリエーテルから選択され、
(b) イオン液体又は複数のイオン液体からなる混合物1〜30質量%、前記イオン液体はカチオンとしてホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン又はピロリジニウムカチオンを含有し、
及び前記アニオンはフッ素を含有し、かつビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミド、ペルフルオロアルキルスルホナート、トリス(ペルフルオロアルキル)メチド、ビス(ペルフルオロアルキル)イミド、ビス(ペルフルオロアリール)イミド、ペルフルオロアリールペルフルオロアルキル−スルホニルイミド及びトリ(ペルフルオロアルキル)トリフルオロホスファートかららなるグループから選択されるか、又は前記アニオンはハロゲン不含のアルキルスルファートからなり、
(c) 単独で又は組み合わせて使用できるジイソシアナート、有利に2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアナトジフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルジフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルフェニルメタンと、一般式R′2N−Rのアミン、又は一般式R′2N−R−N−R′2のジアミン(式中、Rは、アリール基、2〜22個の炭素原子を有するアルキル基又はアルキレン基であり、R′は、同じ又は異なり、水素、アルキル基、アルキレン基又はアリール基である)、又はアミンとジアミンの混合物との反応生成物であるか、
又は
金属セッケン、金属スルホナート、金属錯体セッケン、ベントナイト、ケイ酸塩粉末、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリイミド
からなるグループから選択される増粘剤3〜50質量%
及び
(d) 腐食防止剤、酸化防止剤、摩耗防止剤、摩擦を低下させる剤、金属の影響に対する保護剤、UV安定剤、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、黒鉛、金属酸化物、窒化ホウ素、二硫化モリブデン及びリン酸塩から選択される無機又は有機の固体潤滑剤からなるグループから単独で又は組み合わせた形で選択される通常の添加物0.1〜10質量%
からなる混合物からなる、グリース組成物。
【請求項2】
前記イオン液体は、
ブチル−メチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
メチルプロピルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム−トリス(ペルフルオロエチル)トリフルオロホスファート、
1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
ヘキシルメチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
テトラブチルホスホニウム−トリス(ペルフルオロエチル)トリフルオロホスファート、
N−ヘキシルピリジニウム−ビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド、
ブチルメチルピロリジニウム−トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスファート、
トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、
N−エチル−3−メチルピリジニウム−ノナフルオロブタンスルホナート
からなるグループから選択される、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項3】
基油としてのポリ−α−オレフィン79質量%、増粘剤としてのリチウム単純セッケン17質量%、添加物4質量%及びさらにイオン液体としてのブチル−メチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1〜30質量%からなる、請求項1又は2記載のグリース組成物。
【請求項4】
ポリ−α−オレフィン73.5質量%、尿素増粘剤4.5質量%、リチウム錯体セッケン増粘剤15質量%、添加物3質量%、固体潤滑剤4質量%及びイオン液体1〜5質量%からなり、前記イオン液体はトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド又はN−エチル−3−メチルピロリジニウム−ノナフルオロブタンスルホナートである、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項5】
エステル混合物85質量%、尿素増粘剤7.5質量%、添加物5質量%及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2.5〜10質量%からなる、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項6】
合成エステル84質量%、尿素増粘剤14質量%、添加物2質量%及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチルスルファート1〜3質量%からなる、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項7】
合成エステルとポリアルファオレフィンとの混合物76質量%、尿素増粘剤15質量%、添加物9質量%及びブチルメチルピロリジニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1〜10質量%からなる、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項8】
基油の粘度は、1.98〜1650mm2/sの範囲内にあり、イオン液体の粘度は1.98〜1650mm2/sの範囲内にある、請求項1から7までのいずれか1項記載のグリース組成物。
【請求項9】
DIN ISO 2176による滴点が>180℃より大きく、DIN51825により−60℃までの使用温度のために適している、請求項1から7までのいずれか1項記載のグリース組成物。
【請求項10】
増粘剤で増粘された基油をイオン液体と混合し、引き続き高圧ホモジナイザー及び/又は三本ロール機で均質化することによりグリース組成物が得られるか、又は基油をイオン液体と混合し、前記混合物中で増粘剤の合成により増粘し、引き続き高圧ホモジナイザー、三本ロール機及び/又は他の適当な方法で均質化することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のグリース組成物の製造方法。
【請求項11】
120℃〜260℃の高い使用温度及びDIN51825により−60℃までの低い使用温度に適用するための、請求項1から10までのいずれか1項記載のグリース組成物。
【請求項12】
180℃〜260℃の高い使用温度及びDIN51825により−60℃までの低い使用温度に適用するための、請求項1から11までのいずれか1項記載のグリース組成物。
【請求項13】
尿素を増粘剤として含有し、かつ少なくとも100mmの直径を有する内輪を有するローラベアリング又はボールベアリングの潤滑のために使用する、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項14】
尿素を含有し、かつ少なくとも100mmの直径を有する内輪を有するローラベアリング又はボールベアリングの再注油のために使用する、請求項1記載のグリース組成物。

【公表番号】特表2010−530446(P2010−530446A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512542(P2010−512542)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004035
【国際公開番号】WO2008/154997
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509350664)クリューバー リュブリケーション ミュンヘン コマンディートゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Klueber Lubrication Muenchen KG
【住所又は居所原語表記】Geisenhausenerstrasse 7, D−81379 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】