説明

グルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル及びそれを含有する組成物

【課題】長期にわたって皮膚外用剤、繊維処理剤などの組成物中に安定に存在させることができるマイクロカプセル及びそれを含有する組成物の提供。
【解決手段】N−ラウロイル−D−グルコサミン、N−ミリストイル−D−グルコサミン、N−テトラデセノイル−D−グルコサミン、N−パルミトイル−D−グルコサミン、N−ヘキサデセノイル−D−グルコサミン、N−ステアロイル−D−グルコサミン、N−イソステアロイル−D−グルコサミン、N−オレオイル−D−グルコサミン、N−リノレオイル−D−グルコサミン、N−リノレノイル−D−グルコサミン、N−エイコセノイル−D−グルコサミン、Nエイコサジエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサペンタエノイル−D−グルコサミンなど特定のグルコサミン脂肪酸アミド化合物を高分子が主体となる膜物質によりマイクロカプセル化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコサミン脂肪酸アミド化合物をマイクロカプセル化することで、長期にわたって皮膚外用剤、繊維処理剤などの組成物中に安定に存在させることができるグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル及びそれを含有する化粧料、医薬品、医薬部外品等の皮膚外用剤、繊維処理剤等に好適な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、皮膚の美しさを損なう要因として、老化によるしみ・しわ、乾燥等による荒れ肌、といった現象があり、従来これらを改善する薬剤、および化粧料が多く知られている。
このような薬剤としては、レチノイン酸が広く知られ、また、乳酸、グリコ−ル酸をはじめとするα−ヒドロキシ酸、サリチル酸に代表されるβ−ヒドロキシ酸などが上皮剥離作用を有する物質としてしみ・しわの改善に用いられている。
【0003】
しかしながら、根本的に美しい肌を得るためには、上記成分等を含む対策だけでは不充分であり、たとえ、しわ・しみが完全に取り除けたとしても50歳と20歳の肌は同じには見えないものである。これは、美しい肌の重要な要因が他にも存在するためであり、これを改善し、根本的に美しい肌を目指した画期的な方法が望まれているのが現状である。
【0004】
一方、グルコサミン脂肪酸アミド化合物の中には、不安定な物質もあり、製剤中に安定配合することが困難な場合がある。例えば、レチノイン酸の糖アミド誘導体(例えば、特許文献1〜3参照)も知られているが、糖の結合部位がアノメリック位のため合成が煩雑となることや、構造中に芳香族環をもつことなどより、製剤化が困難と考えられるものであった。
また、レチノイン酸類又はその誘導体において、cis型立体異性体を0.5質量%以上含有することにより製剤への配合性が向上することが知られているが(例えば、特許文献4参照)、製剤化する皮膚外用剤によっては、長期保存時に安定性を向上させる必要があるなどの課題がある。また、N−アセチルグルコサミンをハードカプセルに加工して使用する例もあるが、これを化粧水や乳液などに配合して使用することは困難であるという課題がある。
【特許文献1】特開平9−12538号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特表平9−509680号公報(請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】米国特許4565863号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2002−293746号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、長期にわたって皮膚外用剤、繊維処理剤などの組成物中に安定に存在させることができるグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル及びそれを含有する皮膚外用剤、繊維処理剤等に好適な組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、グルコサミン脂肪酸アミド化合物を高分子によりマイクロカプセル化することで、製剤中に安定配合が可能になり、加水分解が防止でき、更に、濃い濃度のグルコサミン脂肪酸アミド化合物を狙ったところに放出することが可能となることを見い出した。そして、得られたグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセルは、化粧料、医薬品、医薬部外品等の皮膚外用剤及び繊維処理剤等に好適に使用可能になり、本発明を完成させるに至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 下記一般式(I)で示されるグルコサミン脂肪酸アミド化合物を高分子が主体となる膜物質により、マイクロカプセル化することを特徴とするグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
【化1】

(2) 上記一般式(I)において、R1〜R5は、共に水素原子であり、R6は炭素数11〜36である上記(1)記載のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
(3) 上記一般式(I)において、R1〜R5は水素原子または炭素数2〜36の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した脂肪酸残基、又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の水酸基を有していても良いアルキル基であり、R6はレチノイン酸である上記(1)又は(2)記載のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
(4) マイクロカプセルには、抗酸化剤を含有する上記(1)〜(3)の何れか一つに記載のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
(5) 上記(1)〜(4)の何れか一つに記載されるグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセルを含有することを特徴とする組成物。
(6) 組成物が皮膚外用剤又は繊維処理剤である上記(5)記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセルは、グルコサミン脂肪酸アミド化合物が製剤中で加水分解されず使用時に効果を発揮することができる。従って、乳液、化粧液、化粧水、美容液、クリーム、ジェル製剤等の化粧料、医薬品、医薬部外品等の皮膚外用剤、または、繊維処理剤などの組成物中へも安定に含有することができ、グルコサミン脂肪酸アミド化合物が有する優れた細胞賦活化やしわ改善効果等を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル(以下、単に「マイクロカプセル」という)は、下記一般式(I)で示されるグルコサミン脂肪酸アミド化合物を高分子が主体となる膜物質により、マイクロカプセル化することを特徴とするものである。
【化2】

【0010】
本発明のマイクロカプセルは、芯物質としてグルコサミン脂肪酸アミド化合物と、高分子を主体とした壁膜から構成されるものであり、また、本発明の組成物は、上記マイクロカプセルを安定に皮膚外用剤、繊維処理剤などの組成物に含有せしめたものである。
【0011】
本発明において、上記一般式(I)で表わされるグルコサミン脂肪酸アミド化合物としては、例えば、N−ラウロイル−D−グルコサミン、N−ミリストイル−D−グルコサミン、N−テトラデセノイル−D−グルコサミン、N−パルミトイル−D−グルコサミン、N−ヘキサデセノイル−D−グルコサミン、N−ステアロイル−D−グルコサミン、N−イソステアロイル−D−グルコサミン、N−オレオイル−D−グルコサミン、N−リノレオイル−D−グルコサミン、N−リノレノイル−D−グルコサミン、N−エイコセノイル−D−グルコサミン、Nエイコサジエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサペンタエノイル−D−グルコサミン、N−アラキドノイル−D−グルコサミン、N−ドコサノイル−D−グルコサミン、N−ドコセノイル−D−グルコサミン、N−ドコサジエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサテトラエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサヘキサエノイル−D−グルコサミン、N−テトラコセノイル−D−グルコサミン、N−テトラコサジエノイル−D−グルコサミン、N−テトラコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサコセノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサコサジエノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−オクタコセノイル−D−グルコサミン、N−ドトリアコンテノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサトリアコンテノイル−D−グルコサミン、1,3,4,6−O−アセチル−N−ドデカノイル−D−グルコサミン、N−ラウロイル−6−O−ラウロイル−D−グルコサミン、N−ドデカノイル−N−メチル−D−グルコサミン、N−ドデカノイル−N−メチル−1,3,4,6−O−メチル−D−グルコサミン、N−2−ヒドロキシエチル−N−リノレノイル−D−グルコサミン、1,3,4,6−O−2−ヒドロキシエチル−N−2−ヒドロキシエチル−N−オレオイル−D−グルコサミン、N−ヘキサデカノイル−N−2−ヒドロキシエチル−3,4,6−O−2−ヒドロキシエチル−D−グルコサミン、N−ドデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−テトラデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−ヘキサデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−オクタデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−モノオキシエチレンドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−ジオキシエチレンドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−トリオキシエチレンテトラデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−テトラオキシエチレンヘキサデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(2)ドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(2)ヘキサデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(5)オクタデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(10)ドコシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−モノオキシエチレンドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−トリオキシエチレンドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−テトラオキシエチレンヘキサデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(2)ドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(2)ヘキサデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(5)オクタデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(10)ドコシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−レチノイル−D−グルコサミン、1,3,4,6−テトラアセチル−N−レチノイル−D−グルコサミンなどが挙げられる。
【0012】
これらのうちR1〜R5は、共に水素原子であり、R6は置換基を有してもよく炭素数11〜36であることが本発明の更なる効果の向上の点で更に好ましく、例えば、N−ラウロイル−D−グルコサミン、N−ミリストイル−D−グルコサミン、N−テトラデセノイル−D−グルコサミン、N−パルミトイル−D−グルコサミン、N−ヘキサデセノイル−D−グルコサミン、N−ステアロイル−D−グルコサミン、N−イソステアロイル−D−グルコサミン、N−オレオイル−D−グルコサミン、N−リノレオイル−D−グルコサミン、N−リノレノイル−D−グルコサミン、N−エイコセノイル−D−グルコサミン、N−エイコサジエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサペンタエノイル−D−グルコサミン、N−アラキドノイル−D−グルコサミン、N−ドコサノイル−D−グルコサミン、N−ドコセノイル−D−グルコサミン、N−ドコサジエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサテトラエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサヘキサエノイル−D−グルコサミン、N−テトラコセノイル−D−グルコサミン、N−テトラコサジエノイル−D−グルコサミン、N−テトラコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサコセノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサコサジエノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−オクタコセノイル−D−グルコサミン、N−ドデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−テトラデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−ヘキサデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−オクタデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−モノオキシエチレンドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−ジオキシエチレンドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−トリオキシエチレンテトラデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−テトラオキシエチレンヘキサデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(2)ドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(2)ヘキサデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(5)オクタデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(10)ドコシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−モノオキシエチレンドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−トリオキシエチレンドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−テトラオキシエチレンヘキサデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(2)ドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(2)ヘキサデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(5)オクタデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(10)ドコシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−レチノイル−D−グルコサミンが望ましい。
【0013】
特に好ましいのは、N−ラウロイル−D−グルコサミン、N−ミリストイル−D−グルコサミン、N−パルミトイル−D−グルコサミン、N−ステアロイル−D−グルコサミン、N−イソステアロイル−D−グルコサミン、N−テトラデセノイル−D−グルコサミン、N−ヘキサデセノイル−D−グルコサミン、N−オレオイル−D−グルコサミン、N−リノレオイル−D−グルコサミン、N−リノレノイル−D−グルコサミン、N−エイコセノイル−D−グルコサミン、N−エイコサジエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−エイコサペンタエノイル−D−グルコサミン、N−アラキドノイル−D−グルコサミン、N−ドコサノイル−D−グルコサミン、N−ドコセノイル−D−グルコサミン、N−ドコサジエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサトリエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサテトラエノイル−D−グルコサミン、N−ドコサヘキサエノイル−D−グルコサミン、N−ドデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−テトラデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−ヘキサデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−オクタデシルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−モノオキシエチレンドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−ジオキシエチレンドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−トリオキシエチレンテトラデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−テトラオキシエチレンヘキサデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(2)ドデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(2)ヘキサデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(5)オクタデシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−POE(10)ドコシルエ−テルオキシカルボニル−D−グルコサミン、N−モノオキシエチレンドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−トリオキシエチレンドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−テトラオキシエチレンヘキサデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(2)ドデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(2)ヘキサデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(5)オクタデシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−POE(10)ドコシルエ−テルオキシアセチル−D−グルコサミン、N−レチノイル−D−グルコサミンである。
なお、本発明の上記一般式(I)で表わされるグルコサミン脂肪酸アミド化合物において、特に、上記一般式(I)において、脂肪酸部分にEO(エチレンオキサイド)鎖を付加したグルコサミン脂肪酸アミド化合物は、皮膚外用剤組成物又は繊維処理剤組成物中に含有するのに更に充分なレベルの溶解性が確保でき、製剤化の自由度が更に向上するものとなる。
【0014】
本発明に用いられるグルコサミン脂肪酸アミド化合物は、常法によって得ることができ、例えば,J.Am.Chem.Soc.、78、2825(1956)に記載された条件により合成することが可能である。
また、本発明において、上記一般式(I)で表わされる各種のグルコサミン脂肪酸アミド化合物は、1種(各単独)または2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
なお、上記一般式(I)に含まれないグルコサミン脂肪酸アミド化合物では、本発明の効果を発揮できないものとなる。
【0015】
前記グルコサミン脂肪酸アミド化合物がマイクロカプセル全量中に含有される量としては、0.01〜60質量%(以下、単に「%」という)が好ましく、0.1〜50%がより好ましい。
このグルコサミン脂肪酸アミド化合物の含有量が、0.01%未満であると、該グルコサミン脂肪酸アミド化合物の薬効等が発揮され難くなることがあり、一方、60%を超えると、該グルコサミン脂肪酸アミド化合物のマイクロカプセル化が困難になる。なお、前記好ましい数値範囲(0.01〜60%)内にあるとそのようなことがなく、前記より好ましい数値範囲(0.1〜50%)内にあると、配合調製時のバランス水の自由度が更に高くなる点で有利である。
【0016】
本発明の上記各種グルコサミン脂肪酸アミド化合物をマイクロカプセルの芯物質として用いる場合、そのまま使用しても、疎水性物質などに溶解して使用しても構わない。
疎水性物質としては、例えば、液状油、固体油等いずれでも良く、エステル油、パラフィン油、ワックス類、グリセライド類、動植物油類等が挙げられる。これらの代表例としては、オクタン酸セチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、乳酸ラウリル、乳酸セチル、α−オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、イソステアリルアルコール、イソステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、ミリスチン酸ヘキシルデシル、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋、トリイソステアリン、オリーブ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、パーム核油、パーム油、ラノリン、硬化ひまし油、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0017】
本発明のマイクロカプセルには、上記各種グルコサミン脂肪酸アミド化合物と共に、該グルコサミン脂肪酸アミド化合物の安定性を更に発揮せしめる点、マイクロカプセルの安定性の点から抗酸化剤を含有せしめることが望ましい。
マイクロカプセルに含有せしめる抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸のアルカリ金属塩、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、没食子酸のエステル類、エリソルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、トコトリエノール等が挙げられ、好ましくは、更なる使用時の安全性の点から、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸パルミテート、トコフェロール、トコトリエノールなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
マイクロカプセルに含有せしめる抗酸化剤の量としては、マイクロカプセル全量中に、0.001〜10%が好ましく、更に好ましくは、0.005〜7%が望ましい。
この抗酸化剤の含有量が0.001%未満であると、抗酸化剤として充分な効果は得られず、一方、10%を超えてより多く含有せしめても効果は変わらず、組成の自由度が減る場合がある。
【0018】
一方、本発明のマイクロカプセルにおける壁膜となる成分としては、高分子を主体とし、通常、この他に糖類、水溶性ビタミン、アミノ酸、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、アルコール類、キレート剤、安定化剤等が適宜常用量使用することができる。
用いることができる高分子としては、例えば、天然高分子、合成高分子など目的に応じて適宜選択することができるが、天然高分子では、寒天、カラギーナン、ファーセレラン、ペクチン、スクレログルカン、カードラン、ゼラチン、アルブミン、ガラクタン、クインスシード、マンナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールなどが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、コスト、成形性、芯物質の安定保護の点から、寒天、ゼラチン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギーナン、ペクチンが好ましい。
【0019】
また、合成高分子では、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ナイロン、ウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、コスト、成形性、芯物質の安定保護の点から、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メラミン樹脂が好ましい。
【0020】
これらの高分子の前記マイクロカプセルにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜50%が好ましく、0.5〜40%がより好ましい。
この高分子の含有量が、0.1%未満であると、良好なマイクロカプセルが得られなくなることがあり、一方、50%を超えると、マイクロカプセル強度が強くなり使用時に壊れなくなることがある。
【0021】
本発明におけるマイクロカプセルの粒子径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、1〜3000μmが好ましく、10〜2500μmがより好ましい。
このマイクロカプセルの粒子径が1μm未満であると、マイクロカプセルの調製が困難になり、マイクロカプセルを破壊しグルコサミン脂肪酸アミド化合物を放出させることが難しくなり、一方、3000μmを越えると、製剤中に均一に分散させることが困難になり、外観も悪くなることがあり、好ましくない。
【0022】
また、前記マイクロカプセル中の水分量としては、50〜97%が好ましい。
このマイクロカプセル中の水分量が50%未満であると、マイクロカプセル強度が高くなり、使用時にマイクロカプセルを破壊することができなくなり、グルコサミン脂肪酸アミド化合物の効果を充分に発揮させることが困難になる。一方、97%を越えると、マイクロカプセル中のグルコサミン脂肪酸アミド化合物の含有量が少なくなるため、効果が発揮できるグルコサミン脂肪酸アミド化合物を必要量含有するには、マイクロカプセルを多量に含有しなければならず、更に、マイクロカプセル強度が弱くなり、製品製造時に破壊するなどして安定性が悪くなる。
【0023】
更に、マイクロカプセルの強度としては、50gf以上300gf以下で破壊されることが好ましく、更に好ましくは、70gf以上250gf以下で破壊されるのが特に望ましい。
この強度が50gf未満であると、マイクロカプセルを製剤に含有せしめる際に破壊されて、グルコサミン脂肪酸アミド化合物が加水分解される恐れがある。一方、強度が300gfを超えてより大きいと、使用時にマイクロカプセルが破壊されず、グルコサミン脂肪酸アミド化合物の効果が十分得られない場合がある。
【0024】
本発明において、前記マイクロカプセルの調製法としては、本発明の効果を発揮でき、上記粒子径、強度等の好ましい各範囲となるように調製できれば、特に限定されるものでなく、公知のマイクロカプセル化方法等を好適に採用することができる。
本発明の場合、グルコサミン脂肪酸アミド化合物をそのまま、もしくは疎水性物質に分散または溶解した油相を相分離法、オリフィス法、液中硬化法、スプレークーリング法、in-situ重合法等によってマイクロカプセル化することができ、特に好ましくは、コスト、製造性の点から、下記で詳述する相分離法、オリフィス法、スプレークーリング法、in-situ重合法により調製することが望ましい。
【0025】
相分離法とは、芯物質となるグルコサミン脂肪酸アミド化合物をそのまま、もしくは疎水性物質に分散または溶解した油相を、膜材となる天然高分子を溶解した水相に分散、後天然高分子をpH変化などにより相分離させ芯物質に吸着させマイクロカプセル化する方法である。
オリフィス法とは、芯物質となるグルコサミン脂肪酸アミド化合物をそのまま、もしくは疎水性物質に分散または溶解した油相を二重ノズルの内側に、また膜材となる天然高分子を溶解した水相を外側に流し、振動やエアーなどによって粒径を調整し、油脂などの分散媒に滴下して膜材を冷却固化させマイクロカプセル化する方法である。
【0026】
スプレークーリング法とは、高分子を溶解した水相に芯物質となるグルコサミン脂肪酸アミド化合物を分散した後、その分散液を回転円盤式ノズルや二流体加圧ノズル等により液体窒素などで十分冷却されたなかに噴霧し、水相を冷却固化させマイクロカプセル化する方法である。
in-situ重合法とは、界面活性剤や高分子を溶解した水相に芯物質となるグルコサミン脂肪酸アミド化合物を分散した後、膜材となるメラミン樹脂プレポリマーやメタクリル酸メチルなどのモノマーを滴下し、芯物質の周りで重合させることにより、マイクロカプセル化する方法である。
【0027】
本発明のグルコサミン脂肪酸アミド化合物を内包するマイクロカプセルは、従来グルコサミン脂肪酸アミド化合物が用いられてきた用途と同様の用途に使用されるが、特に本発明のマイクロカプセルは、乳液、化粧液、化粧水、美容液、クリーム、ジェル製剤等の化粧料、医薬品、医薬部外品等の皮膚外用剤、繊維処理剤などの組成物に好適に適用できるものである。
【0028】
また、本発明のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセルは、繊維処理剤、皮膚外用剤(特に、皮膚賦活外用組成物)等の組成物に好適に含有せしめることができるが、この場合の含有量は、組成物全量中、0.0001〜10%が好ましく、更に好ましくは、0.001〜5%が望ましい。
この含有量が0.0001%未満では、本発明の効果が十分に発揮され難く、一方、10%を超えて含有しても、顕著な効果の向上は認められないものとなる。
【0029】
本発明の組成物を皮膚外用剤や繊維処理剤として用いる場合には、経皮吸収促進剤やスキンケア効果を有する科学的活性物質を含有することができる。本発明に用いることができる経皮吸収促進剤としては、通常、皮膚外用剤に含有されるもので有れば、特に限定されるものではない。
具体的に用いることができる経皮吸収促進剤としては、例えば、皮膚への親和性が高いエステル油類としてパルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジオクチル、乳酸オクチルドデシルなど、積極的に細胞間脂質構造に作用する二重結合を持つ脂肪酸またはそのエステルとして、オレイン酸、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸プロピレングリコールなど、ケラチンタンパクに作用するタンパク変性作用のある尿素およびその誘導体、グリコール酸及びその塩、乳酸およびその塩、サリチル酸など、有効成分の皮膚への分配率を変化させる物質としてアルコール類(エタノール、イソプロパノール)、多価アルコール(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール)など、皮膚上での成分の滞留性を向上させる高分子経皮吸収促進剤として、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール/ポリジメチルシロキサン共重合体、クレアチニンなどが挙げられる。これらの経皮吸収促進剤は単独又は二種以上混合して使用することができる。
好ましい経皮吸収促進剤としては、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸及びその誘導体、尿素及びその誘導体、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、クレアチニンである。
これら経皮吸収促進剤の含有量は、その経皮吸収促進剤種によって、また、製剤のタイプにより異なるものであるが、皮膚外用剤全量に対して好ましくは、0.01〜15%、更に好ましくは0.1〜10%とすることが望ましい。この経皮吸収促進剤の含有が0.01%未満では、本発明の更なる効果が期待できず、また、15%を越えて含有しても、本発明の更なる効果に差がないが、皮膚化粧料の安定性を阻害することがある。
【0030】
また、本発明に用いることができるスキンケア効果を有する化学的活性物質としては、従来公知の各種のもの、例えば薬効物質や生理活性物質が含有される。この様な薬効的及び/又は生理活性物質には、美白、しわ改善、抗酸化、血行促進、皮脂コントロール、ニキビ予防、荒れ肌防止、抗炎症などの効果を発現するものが包含される。以下それらの具体例を示す。
【0031】
(美白物質)
美白物質としては、例えば、エラグ酸、アルブチン、ハイドロキノン及びその誘導体、コウジ酸、L−アスコルビン酸及びその誘導体、胎盤抽出物、ルシノールなどがあり、特に好ましくは、エラグ酸、アルブチン、コウジ酸、及び水溶性プレセンタエキスが挙げられる。
(しわ改善物質)
しわ改善物質としては、例えば、パントテン酸、パントテン酸誘導体及びその塩、コエンザイムA、酸化型コエンザイムA及びその塩、ビタミンA、ビタミンA誘導体及びその塩、海藻抽出物、ヒアルロン酸およびその塩、NMF成分、アミノ酸及びアミノ酸誘導体、αヒドロキシ酸などが挙げられる。
【0032】
(抗酸化物質)
抗酸化物質としては、例えば、植物エキス、ポリフェノール、タンニン酸、カテキン類、ビタミンE、ビタミンE誘導体及びその塩などが挙げられる。特に好ましくは、パントテン酸、パントテン酸誘導体及びその塩、コエンザイムA、酸化型コエンザイムA、レチノール、褐藻植物エキス、プロリン、アルギニン、メチオニン、アラニン、トリメチルグリシン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ローズマリーエキス、米エキス、米糠抽出物、米糠油、トコトリエノール、大豆エキス、大豆発酵エキス、シャクヤクエキスなどが挙げられる。
(血行促進剤)
血行促進剤としては、通常化粧品、医薬部外品、医薬品などに用いられている剤をそのまま用いることができる。例えば、ニコチン酸アミド、ニコチン酸メチル、酢酸トコフェロール、ヒドロキシシトロネラール、シトロネラール、アルニカエキス、サルビアエキス、メリッサエキス、マロニエエキス、コレウスエキス、センブリエキス、ショウブコンエキスなどが挙げられる。
【0033】
(皮脂コントロール物質)
皮脂コントロール物質としては、例えば、油溶性甘草エキス、クマセバエキス、シタンエキス、ウスベニアオイエキス、センブリエキス、イヌエンジュエキスなどが挙げられる。
(抗炎症物質及び肌荒れ防止物質)
抗炎症物質及び肌荒れ防止物質としては、例えば、アラントイン、グリチルレチン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、尿素、塩化リゾチーム、グアイアズレン、γ−オリザノールなどが挙げられる。
(ニキビ予防・改善薬)
ニキビ予防・改善薬としては、例えば、サリチル酸、ピロクトンオラミン、感光素、油溶性甘草エキス、クマセバエキス、シタンエキス、ウスベニアオイエキスなどが挙げられる。
【0034】
これらのスキンケア効果を有する化学的活性物質の含有量は、選択する成分によって異なるが、目安として乳化、可溶化系の外用剤で有れば、外用剤全量中好ましくは0.001〜20%、更に好ましくは、0.05〜10%が望ましい。
この化学的活性物質の含有量が0.001%未満では、スキンケア効果の発現が不十分であり、また、20%を越えてより多く含有しても効果に差はない。
なお、肌トラブルは様々な原因が複合的に作用しており、皮膚状態を改善するためには、様々な成分を組み合わせることも効果的である。従って、上記各成分は、上記に規定した目的以外でも自由に組み合わせることができ、活性物質については単独でも二種以上を組み合わせても良い。
【0035】
このように構成される本発明のマイクロカプセルは、細胞賦活化やしわ改善効果などの効果を有し、その機能を利用して、乳液、化粧液、化粧水、美容液、クリーム、ジェル製剤等の化粧料、医薬品、医薬部外品等に好適な皮膚外用剤や繊維処理剤などの組成物に好適に用いることができる。
【実施例】
【0036】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、下記実施例等に限定されるものではない。
【0037】
まず、グルコサミン脂肪酸アミド化合物を含有するマイクロカプセルを含有した皮膚外用剤、繊維処理剤の組成及び評価方法について、以下に説明する。
(1)皮膚外用剤及び繊維処理剤の組成例
乳液、化粧水、クリーム、UVクリーム、ジェル製剤、繊維処理剤等の具体的な組成を以下に示すが、これら組成に限定されるものではなく、また、これらの製造方法は特に制限されず、一般的な調製法によって得られる。なお、配合単位は質量%であり、全量100%である。
【0038】
<化粧水>
脱アシル型ジェランガム 0.03
塩化カルシウム 0.01
ジプロピレングリコール 4.0
濃グリセリン 4.0
エタノール 3.0
トリメチルグリシン 0.1
アルブチン 0.5
ローズ水 0.1
安息香酸ナトリウム 0.2
マイクロカプセル 1.0
精製水 バランス
【0039】
<UVクリーム>
パルミチン酸セチル 1.0
オクタメチルシクロテトラシロキサン 10.0
メチルポリシロキサン 10.0
シリコーン架橋体 3.0
アクリルシリコーン 7.0
酸化チタン 10.0
酸化亜鉛 5.0
香料 適量
ジプロピレングリコール 10.0
塩化ナトリウム 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
マイクロカプセル 5.3
トコフェロール 0.1
精製水 バランス
【0040】
<乳液>
ベントナイト 0.8
モノステアリン酸ヘキサグリセリル 1.2
モノラウリン酸ジグリセリル 0.5
セスキオレイン酸ソルビタン 3.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
カンゾウフラボノイド 0.05
ミリスチン酸イソプロピル 2.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
植物性スクワラン 6.0
ホホバ油 1.5
ローズヒップ油 0.5
ステアリルアルコール 2.0
濃グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 2.0
カルボキシビニルポリマー 0.12
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
酸化型コエンザイムA 0.2
トリイソプロパノールアミン 0.1
エタノール 2.0
マイクロカプセル 12.0
精製水 バランス
【0041】
<ジェル>
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60EO) 0.5
油溶性甘草エキス 0.1
エタノール 7.0
濃グリセリン 1.5
ジプロピレングリコール 3.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
透明溶解性キサンタンガム 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
トリイソプロパノールアミン 0.18
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリウム 0.05
香料 適量
マイクロカプセル 0.5
クレアチニン 0.1
精製水 バランス
【0042】
<クリーム>
モノステアリン酸デカグリセリル 2.0
トリステアリン酸デカグリセリル 0.1
オレイン酸ジグリセリル 0.5
グリチルレチン酸ステアリル 0.2
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100EO) 1.0
クレアチニン 0.2
パルミチン酸セチル 2.0
イソステアリン酸イソセチル 1.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
植物性スクワラン 7.0
ホホバ油 2.0
アルモンド油 2.0
レシチン 0.5
セトステアリルアルコール 5.0
濃グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
ジプロピレングリコール 3.0
L−プロリン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
透明溶解性キサンタンガム 0.1
キサンタンガム 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
酢酸トコフェロール 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.1
トリイソプロパノールアミン 0.1
クエン酸 微量
クエン酸ナトリウム 微量
香料 適量
マイクロカプセル 1.5
精製水 バランス
【0043】
<繊維処理剤>
N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル,N−ヒドロキシエチルアンモニウムサルフェート 16.5
ポリオキシエチレン変性シリコーン(CF1188) 4.0
ポリオキシエチレンイソドデシルアルコール 2.0
塩化カルシウム 0.5
イソチアゾロン液 微量
塩酸 微量
香料 適量
マイクロカプセル 10.0
精製水 バランス
【0044】
(2)マイクロカプセルの平均粒子径の測定方法
位相差顕微鏡により500μm以下のマイクロカプセルの粒子径を、500μmより大きなマイクロカプセルは篩いにより測定した。
(3)マイクロカプセルの強度測定方法
島津製作所社製の島津微小圧縮試験機(MCTM−500)により、マイクロカプセルが破壊される荷重(gf)を測定した。
【0045】
(4)皮膚外用剤中のグルコサミン脂肪酸アミド化合物の安定性の評価方法
各皮膚外用剤に必要量のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセルを配合し、50℃、1ヶ月後において皮膚外用剤への着色及び臭気について下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:グルコサミン脂肪酸アミド化合物の分解が無く製剤の変色、異臭がしない
○:グルコサミン脂肪酸アミド化合物の分解がややあるが製剤の変色、異臭がない
×:グルコサミン脂肪酸アミド化合物の分解により、製剤の変色、異臭がする
【0046】
(実施例1)
下記表1に示すように、水溶性高分子として1.0質量部の寒天(局方寒天PS−7)を89.0質量部の精製水に溶解した後に、10.0質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミンを混合した。その後、N−イソステアロイル−D−グルコサミンを含有する水溶性高分子水溶液を前記調製法(液中硬化法)に従い、食用油脂中に滴下し平均粒子径200μmのマイクロカプセルを形成した。
次いで、食用油脂の温度をゲル化する温度領域に設定して、該化合物のゲル化領域で含水粒子の水相を固化させた後、含水粒子に付着した食用油脂を完全に洗浄除去し、下記表1に示すように、化粧水にマイクロカプセルを1.0質量部配合した。その結果、N−イソステアロイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0047】
(実施例2)
下記表1に示すように、2.0質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミン、12.0質量部のホホバ油、0.5質量部のトコフェロールを混合した芯物質にメタクリル酸メチル7.0質量部及び過酸化ベンゾイル0.02質量部を溶解させた後、ラウリル硫酸ナトリウム1重量%水溶液78.5質量部に70℃で分散させてプロペラ撹拌によって芯物質の粒径コントロールを行い、マイクロカプセル調製用分散液を得た。
この分散液に窒素を導入しながら70℃で4時間重合を行って、in−situ重合法によりマイクロカプセル化を行い、マイクロカプセル分散液を得た後、この分散液を洗浄して下記表1に示す組成のマイクロカプセル(平均粒子径5μm)を調製し、繊維処理剤に10.0質量部配合した。その結果、N−イソステアロイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0048】
(実施例3)
下記表1に示すように、水溶性高分子として5.0質量部のゼラチン(200〜250ブルーム、牛骨アルカリ処理)、1.2質量部のペクチン(CPケルコ社製LMペクチン102AS)を40℃の68.7質量部精製水に溶解した。この水溶液に攪拌下で芯物質となる5.0質量部のN−レチノイル−D−グルコサミン、20.0質量部のスクワラン、0.1質量部のトコフェロールを混合した油相を分散し、芯物質の平均粒子径を300μmに調整した。
次いで、5%酢酸水溶液を加えてpH4.3に調整した後、20℃に冷却することにより、N−レチノイル−D−グルコサミンを含有するマイクロカプセル(平均粒子径300μm)を調製し、下記表1に示すように乳液に12.0質量部配合した。その結果、N−レチノイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0049】
(実施例4)
下記表1に示すように、水溶性高分子として1.5質量部のカラギーナン(カラギニンCSK−2)、0.7質量部のアスコルビン酸ナトリウムを81.5質量部の精製水に溶解した後に、12.0質量部のN−ラウロイル−D−グルコサミンと12.0質量部のイソステアリン酸イソプロピルを混合し上記調製法(オリフィス法)に従い食用油脂中に滴下し平均粒子径1000μmのマイクロカプセルを形成した。
次いで、食用油脂の温度をゲル化する温度領域に設定して、該化合物のゲル化領域で含水粒子の水相を固化させた後、含水粒子に付着した食用油脂を完全に除去し、下記表1に示すようにジェルに0.5質量部配合した。その結果、N−ラウロイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0050】
(実施例5)
下記表1に示すように、水溶性高分子として0.5質量部の脱アシル型ジェランガム(ケルコゲル)を96.5質量部の精製水に溶解した後に、15.0質量部のN−オレオイル−D−グルコサミンを混合した。
次いで、N−オレオイル−D−グルコサミンを含有する水溶性高分子水溶液を上記調製法(スプレークーリング法)に従い、ゲル化領域の温度雰囲気に設定した塔中に、ゲル化しない回転円盤式ノズルを用いて含水粒子が500μmの平均粒子径となるように噴霧し、水相を固化させた後、マイクロカプセルを捕集し、下記表1に示すようにUVクリームに1.0質量部配合した。その結果、N−オレオイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0051】
(実施例6)
下記表1に示すように、水溶性高分子として3.0質量部のゼラチン(100〜130ブルーム、牛骨アルカリ処理)を87.0質量部の精製水に溶解した後に、5.0質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミン及び2.0質量部のN−レチノイル−グルコサミンを混合した。
その後、N−イソステアロイル−D−グルコサミン、N−レチノイル−グルコサミンを含有する水溶性高分子水溶液を前記調製法(液中硬化法)に従い食用油脂中に滴下し平均粒子径200μmのマイクロカプセルを形成した。
次いで、食用油脂の温度をゲル化する温度領域に設定して、該化合物のゲル化領域で含水粒子の水相を固化させた後、含水粒子に付着した食用油脂を完全に洗浄除去し、下記表1に示すようにクリームに1.2質量部配合した。その結果、N−イソステアロイル−D−グルコサミン、N−レチノイル−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0052】
(実施例7)
下記表2に示すように、水溶性高分子として1.0質量部の寒天(局方寒天PS−7)を88.5質量部の精製水に溶解した後に、10.0質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミンと0.5質量部のトコフェロールを混合し、上記調製法(スプレークーリング法)に従い、ゲル化領域の温度雰囲気に設定した塔中に、回転円盤式ノズルを用いて含水粒子が700μmの平均粒子径となるように噴霧し、水相を固化させた後、マイクロカプセルを捕集し、下記表2に示すように、化粧水に0.5質量部配合した。その結果、N−イソステアロイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0053】
(実施例8)
2.0質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミン、3.0質量部のN−オレオイル−D−グルコサミン、15.0質量部のミリスチン酸ヘキシルデシルを混合した芯物質をポリビニルアルコール(重合度5000)2重量%水溶液70.8質量部に70℃で分散させ、プロペラ撹拌によって芯物質の粒径コントロールを行ったマイクロカプセル調製用分散液を得た。これとは別に、メラミン2.0質量部と36%ホルムアルデヒド水溶液6.7質量部とを混合したものを60℃で10分間縮重合させて水溶性のプレポリマーを調製しておき、これを上記分散液に添加し、クエン酸によりpHを3.5に調整した後、70℃で4時間重合させて、in−situ重合法によりマイクロカプセル化を行い、マイクロカプセル分散液を得た後、この分散液を洗浄して下記表1に示す組成のマイクロカプセル(平均粒子径10μm)を調製し、繊維処理剤に配合した。その結果、N−イソステアロイル−D−グルコサミン、N−オレオイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0054】
(実施例9)
下記表2に示すように、水溶性高分子として0.3質量部のカラギーナン(カラギニンCSK−2)を75.7質量部の精製水に溶解した後に、20.0質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミン、4.0質量部のN−レチノイル−D−グルコサミンを混合し、上記調製法(スプレークーリング法)に従い、ゲル化領域の温度雰囲気に設定した塔中に、ゲル化しない回転円盤式ノズルを用いて含水粒子が300μmの平均粒子径となるように噴霧し、水相を固化させた後、マイクロカプセルを捕集し、下記表2に示すようにジェルに0.5質量部配合した。その結果、N−ラウロイル−D−グルコサミン、N−レチノイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0055】
(実施例10)
下記表2に示すように、水溶性高分子として5.0質量部のゼラチン(200〜250ブルーム、牛骨アルカリ処理)、1.2質量部のペクチン(CPケルコ社LMペクチン102AS)を40℃の58.8質量部精製水に溶解した。
この水溶液に攪拌下で芯物質となる10.0質量部のN−オレオイル−D−グルコサミン、5.0質量部のN−ラウロイル−D−グルコサミンを20.0質量部のホホバ油に混合した油相を分散し、芯物質の平均粒子径を650μmに調製した。次いで、5%酢酸水を加えてpH4.3に調整した後、20℃に冷却することにより、N−オレオイル−D−グルコサミン、N−ラウロイル−D−グルコサミンを含有するマイクロカプセル(平均粒子径を650μm)を調製し、下記表2に示すように乳液に1.0質量部配合した。その結果、N−オレオイル−D−グルコサミン、N−ラウロイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0056】
(実施例11)
下記表2に示すように、3.0質量部のN−ラウロイル−D−グルコサミン、2.5質量部の1,3,4,6−テトラアセチル−N−レチノイル−D−グルコサミン、10.5質量部のイソステアリン酸イソプロピル、0.1質量部のトコフェロールを混合した芯物質をポリビニルアルコール(重合度5000)2重量%水溶液71.3質量部に70℃で分散させ、プロペラ撹拌によって芯物質の粒径コントロールを行ったマイクロカプセル調製用分散液を得た。これとは別に、メラミン3.0質量部と36%ホルムアルデヒド水溶液9.6質量部とを混合したものを60℃で10分間縮重合させて水溶性のプレポリマーを調製しておき、これを上記分散液に添加し、クエン酸によりpHを3.5に調整した後、70℃で4時間重合させて、in−situ重合法によりマイクロカプセル化を行い、マイクロカプセル分散液を得た後、この分散液を洗浄して下記表2に示す組成のマイクロカプセル(平均粒子径3μm)を調製し、繊維処理剤に配合した。その結果、N−ラウロイル−D−グルコサミン、1,3,4,6−テトラアセチル−N−レチノイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0057】
(実施例12)
下記表2に示すように、水溶性高分子として0.7質量部の寒天(局方寒天PS−7)及び0.1質量部のアスコルビン酸を54.2質量部の精製水に溶解した後に、40.0質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミン、5.0質量部の1,3,4,6−テトラアセチル−N−レチノイル−D−グルコサミンを混合し上記調製法(オリフィス法)に従い食用油脂中に滴下し平均粒子径800μmのマイクロカプセルを形成した。
次いで、食用油脂の温度をゲル化する温度領域に設定して、該化合物のゲル化領域で含水粒子の水相を固化させた後、含水粒子に付着した食用油脂を完全に除去し、下記表2に示す様にUVクリームに1.0質量部配合した。その結果、N−ラウロイル−D−グルコサミン、1,3,4,6−テトラアセチル−N−レチノイル−D−グルコサミンの分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず良好であることがわかった。
【0058】
(比較例1)
下記表3に示すように、マイクロカプセルの代わりに、0.1質量部のN−イソステアロイル−D−グルコサミンを化粧水に配合し製剤の評価を行った。その結果、N−イソステアロイル−D−グルコサミンの分解により、製剤の変色、異臭が発生した。
【0059】
(比較例2)
下記表3に示すように、マイクロカプセルの代わりに、0.2質量部のN−オレオイル−D−グルコサミンを、繊維処理剤に配合し製剤の評価を行った。その結果、N−オレオイル−D−グルコサミンの分解により、製剤の変色、異臭が発生した。
【0060】
(比較例3)
下記表3に示すたように、マイクロカプセルの代わりに、0.6質量部のN−レチノイル−D−グルコサミンを乳液に配合し製剤の評価を行った。その結果、その結果、N−レチノイル−D−グルコサミンの分解により、製剤の変色、異臭が発生した。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
上記表1〜表3(実施例1〜12及び比較例1〜3)の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜12のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセルを用いた皮膚外用剤(化粧水、乳液、ジェル、UVクリーム、クリーム)、繊維処理剤は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、グルコサミン脂肪酸アミド化合物の分解は無く、製剤の変色や異臭は見られず安定性に優れ、極めて良好であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるグルコサミン脂肪酸アミド化合物を高分子が主体となる膜物質により、マイクロカプセル化することを特徴とするグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
【化1】

【請求項2】
上記一般式(I)において、R1〜R5は、共に水素原子であり、R6は炭素数11〜36である請求項1記載のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
【請求項3】
上記一般式(I)において、R1〜R5は水素原子または炭素数2〜36の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した脂肪酸残基、又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の水酸基を有していても良いアルキル基であり、R6はレチノイン酸である請求項1又は2記載のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
【請求項4】
マイクロカプセルには、抗酸化剤を含有する請求項1〜3の何れか一つに記載のグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセル。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一つに記載されるグルコサミン脂肪酸アミド化合物内包マイクロカプセルを含有することを特徴とする組成物。
【請求項6】
組成物が皮膚外用剤又は繊維処理剤である請求項5記載の組成物。

【公開番号】特開2006−8565(P2006−8565A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186590(P2004−186590)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】