説明

グルコース代謝障害の処置のための医薬品

本発明は、X症候群ならびに1型および2型糖尿病のようなグルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置、特に、(非自己免疫性)糖尿病2型の処置のための医薬品としての使用のための式(I)
【化1】


[式中、RはC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシもしくはアロイルオキシであり;Rは水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;RはC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシ、アロイルオキシもしくはアリールアシルオキシであり;Rは水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;またはRおよびRは共にO−L−O基を形成し、Lは(CRであり、RおよびRは相互に独立して、水素もしくはC1−5−アルキルであり、およびnは1〜3の整数であり;R10は水素もしくはN−C1−4−アシル,N−C1−5−アルキル−x−C−アルキルであり、xは1〜5の整数である]の化合物に関する。本発明はまた、これらの化合物を含有する食物および薬学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための医薬品としての使用のための式I
【化1】


の化合物に関する。本発明はまた、(強化された)食物、飲料、(強化された)飼料、食品添加物、飲料添加物、飼料添加物、臨床栄養物、栄養補助食品、機能性食物、機能性飼料およびニュートラシューティカルズのような食物組成物ならびにそのような化合物を含有する薬学的組成物、ヒトを含む哺乳動物におけるグルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害を処置する方法および式Iの化合物自体に関する。本発明のもう1つの目的は、グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための組成物の製造のためのそのような化合物の使用である。
【0002】
「処置」という表現はまた、これによって、同時処置、制御および防止を包含する。
【0003】
「障害」という表現はまた、疾患を包含する。
【0004】
グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係するそのような疾患は、糖尿病、特に、1型および2型糖尿病、さらに特に、(非自己免疫性)非インスリン依存性糖尿病(NIDDM;いわゆる2型糖尿病)である。そのようなもう1つの疾患はX症候群である。
【0005】
糖尿病は、複数の原因因子から誘導される代謝疾患の複合体を定義し、通常、タンパク質および脂肪代謝障害に関連するグルコース代謝障害によって特徴付けられる。これは、非処置のまま放置すれば合併症をもたらす空腹時および食後血清グルコースの上昇を生じる。4つの異なる形態の糖尿病(1)1型糖尿病、(2)2型糖尿病、(3)妊娠中の初期に開始し、認識されるいわゆる妊娠糖尿病、および(4)主に遺伝子欠損に基づく他のいくつかの形態が公知である。
【0006】
「糖尿病」という用語は、血中グルコースレベルの増加、肥満関連病状、耐糖能異常、インスリン耐性の増加、高脂血症、異常脂質血症、コレステロールの増加(高コレステロール血症(hypercholesterinemia)、高トリグリセリド血症(hypertriglycerinemia))、高インスリン血症、高血圧症、および微量アルブミン尿のような代謝異常を含むが、これらに限定されない。耐糖能異常および空腹時グルコース障害は、前糖尿病と称される2つの徴候である。この段階は、いわゆるインスリン耐性、「X症候群」または「メタボリックシンドローム」と呼ばれる代謝疾患のグループの1つと関連する。2型糖尿病は、しばしば、高トリグリセリド血症または異常脂質血症のようなX症候群由来の他の徴候と関連するため、本発明に従う化合物はまた、X症候群の処置または防止にも有用である。
【0007】
糖尿病の2つの主な形態は1型および2型糖尿病であり、そのうち2型糖尿病は最も一般的な形態である。1型および2型糖尿病は、高血糖、高コレステロール血症および高脂血症と関連する。1および2型糖尿病におけるインスリン非感受性および絶対的なインスリン欠損症は、肝臓、筋肉および脂肪組織によるグルコース利用の減少、および血中グルコースレベルの増加をもたらす。制御されていない高血糖は、眼、心臓、血管、腎臓および神経のような多様な器官の機能不全ならびに減退と関連し、従って、腎症、神経障害、網膜症、下肢および足部の潰瘍形成、脂肪性肝疾患、高血圧症、循環器系疾患、ならびに脳血管疾患(脳卒中)を含む小血管ならびに大血管疾患、いわゆる糖尿病合併症の危険性の増加による死亡率の増加および早期の死亡をもたらす。最近の証拠により、厳格な血糖コントロールが1型および2型糖尿病の両方におけるこれらの合併症の防止における主な要因であることが示された。従って、薬物または治療レジメンによる至適な血糖コントロールは、糖尿病の処置のための重要なアプローチである。
【0008】
1型糖尿病(自己免疫性糖尿病もしくはインスリン依存性糖尿病(IDDM))は、通常、小児期または思春期に開始し、インスリン分泌の完全な欠損をもたらすインスリン産生β細胞をもたらす自己免疫破壊によって特徴付けられる糖尿病の形態である。それは、膵島のβ細胞に対する異常な免疫応答により発達する。原因は複雑であり、遺伝的性質に関与し得る。時々、それは、おたふく風邪、風疹、サイトメガロウイルス、麻疹、インフルエンザ、脳炎もしくはエプスタイン・バール(Epstein−Barr)ウイルスのようなウイルス感染または化学物質のような環境因子の後に生じる。
【0009】
2型糖尿病(非自己免疫性糖尿病もしくは非インスリン依存性糖尿病(NIDDM))は、疾患の初期段階ではインスリンの適切な産生が利用可能であるが、特に、末梢組織におけるグルコースのインスリン仲介による利用および代謝において、インスリン感受性において欠損が存在する主に成人において生じる糖尿病の形態である。2型糖尿病は、特に、遺伝的素因を有するものにおけるほとんど身体を動かさない生活スタイル、高カロリー摂取および過剰体重の結果として通常発達する多因子性障害である。従って、2型糖尿病は、しばしば、1型糖尿病において見られるようなインスリンの欠乏ではなく、インスリン耐性および肥満と関連する。2型糖尿病に関連する多様な組織における変化は、臨床徴候が検出される前であっても存在する。
【0010】
2型糖尿病の治療は、はじめに、食事および生活スタイルの変化に関与する。これらの方策が、適切な血糖コントロールを維持することができない場合、患者は、経口血糖降下剤および/または外因性インスリンで処置される。2型糖尿病の処置のための現在の経口薬理学的薬剤の例として、インスリン分泌を強化するもの(スルホニル尿素系薬剤)、肝臓におけるインスリンの作用を改善するもの(ビグアナイド系薬剤)、インスリン抵抗性改善剤(チアゾリジンジオン類)および消化管におけるグルコースの取り込みを阻害するために作用する薬剤(α−グルコシダーゼインヒビター類)が挙げられる。しかし、現在市販されている薬剤は、一般的に、膵細胞機能の進行的消失から生じる高血糖における進行的悪化により、長期間において適切な血糖コントロールを維持することができない。標的血糖レベルを維持できる患者の割合は経時的に顕著に減少し、付加的/代替的薬理学的薬剤の投与が必要とされる。さらに、薬物は、好ましくない副作用をもたらすおそれがあり、高い1次および2次失敗率に関連する。
【0011】
従って、糖尿病2型およびX症候群のようなグルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の防止、制御および/または処置、ならびに上記のようなそれ/それらに関連する身体合併症の防止のために最小の副作用を伴う化合物が必要とされている。多くの患者は、高用量の薬物に関連する副作用および薬剤耐性を最小限にし、付加的な臨床便益を得ることができる代替的治療に興味がある。さらに、肥満のヒト、2型糖尿病の家族歴を伴うヒト、および妊娠糖尿病の既往歴を伴う女性のような2型糖尿病を発達する高い危険性にあるヒトは、早期の防止方策を必要とする。2型糖尿病は、インスリンの産生を担う膵細胞および循環器系に有意な損傷が生じるまで通常認識されない進行性かつ慢性の疾患である。従って、また、危険性のあるヒト、特に、糖尿病を発達する高い危険性のある高齢者、しかしまた、肥満の小児における糖尿病の発達を防止するために使用され得る栄養補助食品の開発に対する興味も増加している。
【0012】
今回、本発明者らは、式I
【化2】


[式中、Rは、C1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシまたはアロイルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
はC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシ、アロイルオキシもしくはアリールアシルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
またはRおよびRは共にO−L−O基を形成し、Lは(CRであり、RおよびRは相互に独立して、水素もしくはC1−5−アルキルであり、およびnは1〜3の整数であり;
10は水素もしくはN−C1−4−アシル,N−C1−5−アルキル−x−C−アルキルであって、xは1〜5の整数であり、但し、好ましくは、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでないことを条件とする]の化合物が、糖尿病2型およびX症候群、特に、(非自己免疫性)2型糖尿病および非自己免疫性β細胞機能不全のようなヒトを含む哺乳動物におけるグルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の防止、制御および/または処置に対して有効であり得ることを見出した。
【0013】
これらの化合物の治療効果として、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されない。従って、本発明は、以下を目的とする上記で規定されるような式Iの化合物の使用に関する。
●血糖レベルを管理するのを助けること、即ち、血糖レベルの均衡を保つことによって、身体を助けること;特に、糖尿病を伴うヒトにおいて均衡を保たれた血中グルコースレベルを保持することを助けること;細胞によるグルコース取り込みを増強し、糖レベルを減少し、従って、耐糖能を改善または回復することによって援助すること;血中グルコースレベルを降下させること;血糖応答を最適化すること;耐糖能を正常化すること;即ち、式Iの化合物は、α−グルコシダーゼインヒビター、高血糖処置および/または制御剤ならびに血中グルコース制御剤であり得る;
●甘味への欲求を減少すること;
●膵β細胞機能を維持または改善し、従って、健康な膵機能を促進すること;即ち、式Iの化合物は、膵β細胞機能改善薬であり得る;
●例えば、脂肪、肝臓および骨格筋のような末梢組織においてインスリン感受性を回復/増強することを助けることによって、インスリン耐性/感受性を処置または制御すること;即ち、式Iの化合物は、インスリン抵抗性改善薬であり得る;
●インスリン耐性を低下させること;
●糖尿病2型、特に、NIDDM、および異常脂質血症を遅延、防止または制御し、従って、また、上記のもののような糖尿病に伴う障害/合併症を防止すること;即ち、式Iの化合物は、糖尿病2型防止剤である;
●脂肪細胞を活性化し、従って、インスリン感受性を増加すること;
●脂肪分解性内臓脂肪貯蔵部から皮下脂肪貯蔵部への脂肪の分配、従って、循環器系疾患のような肥満関連病状の危険性を減少すること;
●遊離脂肪酸(FFA)の循環を減少し、従って、肥満のヒトのインスリン感受性を改善すること;
●内皮機能を維持すること;
●血液中トリグリセリドレベルを降下させること;血中脂質レベルを調整/調節することによって、健康/正常な血中脂質バランスおよび健康/正常な血中脂質プロファイルを維持し、従って、血中脂質プロファイルを最適化すること;コレステロールおよび血中脂質を代謝することによって、血中脂質レベルの上昇および高い血中コレステロールレベルを処置すること;高脂血症患者におけるコレステロールレベルを減少することを助けること;異常脂質血症を改善すること;即ち、式Iの化合物は、血中脂質降下剤であり得る。
【0014】
本発明の化合物は、特に、1および2型両方の糖尿病の処置および制御ならびに前糖尿病、耐糖能異常(IGT)、または肥満を伴う個体のようなこの疾患を発達する高い危険性にあるそれらの個体における2型糖尿病の防止を目的とする。
【0015】
従って、本発明は、グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための医薬品としての使用のための式I
【化3】


[式中、Rは、C1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシまたはアロイルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
はC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシ、アロイルオキシもしくはアリールアシルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
またはRおよびRは共にO−L−O基を形成し、Lは(CRであり、RおよびRは相互に独立して、水素もしくはC1−5−アルキルであり、およびnは1〜3の整数であり;
10は、水素もしくはN−C1−4−アシル,N−C1−5−アルキル−x−C−アルキルであって、xは1〜5の整数であり;
但し、好ましくは、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでないことを条件とする]の化合物に関する。
【0016】
式I[式中、
●Rはメトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、もしくはベンゾイルオキシであり、特に、Rはメトキシもしくはベンゾイルオキシであり;および/または
●Rは水素、メトキシ、イソプロピルオキシもしくはイソプレニルオキシであり、特に、Rは水素もしくはメトキシであり;および/または
●Rはメトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシもしくはシンナモイルオキシであり、特に、Rはメトキシもしくはシンナモイルオキシであり;および/または
●Rは水素、メトキシ、イソプロピルオキシもしくはイソプレニルオキシであり、特に、Rは水素もしくはメトキシであり;
または
●RおよびRは共にO(−CH−O基を形成し、mは1もしくは2であり;および/または
●R10は水素、N−アセチル,N−イソプロピル−2−アミノエチル、N−イソプレニル−2−アミノエチルもしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであり、特に、R10は水素もしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである]の化合物はそのような使用に特に好適であり、
但し、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでないことを条件とする(図2に示されるような式I−5の化合物)。
【0017】
本発明の特に好適な実施態様では、以下からなる群から選択される化合物
●式I[式中、RおよびRは、両方ともメトキシ(OCH)であり、RおよびRは共にO−CH−O基を形成し、R10はN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである]の化合物(=式I−1の化合物);
●式I[式中、RはOCH、R=R=R10=水素であり、およびR=シンナモイルオキシである]の化合物(=式I−2の化合物);ならびに
●式I[式中、R=ベンゾイルオキシであり、R=R10=水素であり、およびR=R=OCHである]の化合物(=式I−3の化合物);
●式I[式中、R=OCHであり、R=R=R10=水素であり、およびR=(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシである]の化合物(=式I−4の化合物);
またはそれらの混合物が使用される。式I−1、I−2およびI−3の化合物がさらにより好適である。化合物I−1〜I−3の式を図1に示し、化合物I−4の式を図2に示す。
【0018】
興味深いことに、式I−6〜I−10(図3)の化合物は、実施例で開示される試験において活性ではない。
【0019】
「式Iの化合物」という用語はまた、植物材料または抽出物の全重量に基づいて、好ましくは、少なくとも30重量%の量(即ち、30〜100重量%の量)、より好ましくは、少なくとも50重量%の量(即ち、50〜100重量%の量)、さらにより好ましくは、少なくとも70重量%の量(即ち、70〜100重量%の量)、最も好ましくは、少なくとも90重量%の量(即ち、90〜100重量%の量)の式Iのそのような化合物を含有する植物の任意の材料または抽出物を包含する。本発明に関して使用される「植物の材料」および「植物材料」という用語は、植物の任意の部分を意味する。
【0020】
式I−1の化合物は、パパベル・シュード・オリエンタレ(Papaver pseudo orientale)およびケシ植物(但し、それらに限定されない)のような植物から単離することができる。
【0021】
従って、これらの植物の任意の材料もしくは抽出物、または植物材料もしくは抽出物の全重量に基づいて、好ましくは、少なくとも30重量%の量、より好ましくは、少なくとも50重量%の量、さらにより好ましくは、少なくとも70重量%の量、最も好ましくは、少なくとも90重量%の量で式I−1の化合物を含有する他の任意の植物材料もしくは抽出物もまた、この表現に包含される。
【0022】
「式I−1の化合物」は、式I−1の「天然の」(単離された)および「合成の」(製造された)化合物の両方を意味する。
【0023】
式I−2の化合物は、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)(リコリス)(但し、それに限定されない)のような植物から単離することができる。
【0024】
従って、これらの植物の任意の材料もしくは抽出物、または植物材料もしくは抽出物の全重量に基づいて、好ましくは、少なくとも30重量%の量、より好ましくは、少なくとも50重量%の量、さらにより好ましくは、少なくとも70重量%の量、最も好ましくは、少なくとも90重量%の量で式I−2の化合物を含有する他の任意の植物材料もしくは抽出物もまた、この表現に包含される。
【0025】
「式I−2の化合物」は、式I−2の「天然の」(単離された)および「合成の」(製造された)化合物の両方を意味する。
【0026】
式I−3の化合物は、カンゾウ(リコリス)およびケシ植物(但し、これらに限定されない)のような植物から単離することができる。
【0027】
従って、これらの植物の任意の材料もしくは抽出物、または植物材料もしくは抽出物の全重量に基づいて、好ましくは、少なくとも30重量%の量、より好ましくは、少なくとも50重量%の量、さらにより好ましくは、少なくとも70重量%の量、最も好ましくは、少なくとも90重量%の量で式I−3の化合物を含有する他の任意の植物材料もしくは抽出物もまた、この表現に包含される。
【0028】
「式I−3の化合物」は、式I−3の「天然の」(単離された)および「合成の」(製造された)化合物の両方を意味する。
【0029】
式I−4の化合物は、カンゾウ(リコリス)(但し、それに限定されない)のような植物から単離することができる。
【0030】
従って、これらの植物の任意の材料もしくは抽出物、または植物材料もしくは抽出物の全重量に基づいて、好ましくは、少なくとも30重量%の量、より好ましくは、少なくとも50重量%の量、さらにより好ましくは、少なくとも70重量%の量、最も好ましくは、少なくとも90重量%の量で式I−4の化合物を含有する他の任意の植物材料もしくは抽出物もまた、この表現に包含される。
【0031】
「式I−4の化合物」は、式I−4の「天然の」(単離された)および「合成の」(製造された)化合物の両方を意味する。
【0032】
式I−1、I−2、I−3およびI−4の(純粋な)化合物の他に、植物材料および植物抽出物、特に、植物材料/抽出物の全重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは、少なくとも50重量%、より好ましくは、少なくとも70重量%、最も好ましくは、少なくとも90重量%のこれらの化合物を含有するものが好適である。
【0033】
本発明はさらに、グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための組成物の製造について上記で規定される式Iの化合物の使用に関する。
【0034】
本発明の好適な実施態様では、この組成物は、血中グルコース制御剤、インスリン抵抗性改善薬、血中脂質降下剤、膵β細胞機能改善薬、2型糖尿病防止剤および/またはX症候群防止剤として使用される。
【0035】
本発明はまた、少なくとも式I
【化4】


[式中、Rは、C1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシまたはアロイルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
はC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシ、アロイルオキシもしくはアリールアシルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
またはRおよびRは共にO−L−O基を形成し、Lは(CRであり、RおよびRは相互に独立して、水素もしくはC1−5−アルキルであり、およびnは1〜3の整数であり;
10は水素もしくはN−C1−4−アシル,N−C1−5−アルキル−x−C−アルキルであって、xは1〜5の整数であり;但し、好ましくは、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでないことを条件とする](即ち、好ましくは、式Iの化合物は、図2において示されるような式I−5の化合物ではない)
の化合物を含有する食物組成物に関する。
【0036】
は、好ましくは、メトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、もしくはベンゾイルオキシであり、より好ましくは、Rはメトキシもしくはベンゾイルオキシである。
【0037】
は、好ましくは、水素、メトキシ、イソプロピルオキシもしくはイソプレニルオキシであり、より好ましくは、Rは水素もしくはメトキシである。
【0038】
は、好ましくは、メトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシもしくはシンナモイルオキシであり、より好ましくは、Rはメトキシもしくはシンナモイルオキシである。
【0039】
は、好ましくは、水素、メトキシ、イソプロピルオキシもしくはイソプレニルオキシであり、より好ましくは、Rは水素もしくはメトキシである。
【0040】
式I[式中、RおよびRは共にO(−CH−O基を形成し、mは1もしくは2であり、特に、式中、RおよびRは共にO−CH−O基を形成する]の化合物を含有する食物組成物もまた好適である。
【0041】
10は、好ましくは、水素、N−アセチル,N−イソプロピル−2−アミノエチル、N−イソプレニル−2−アミノエチルもしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであり、より好ましくは、R10は水素もしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである。
【0042】
本発明の好適な実施態様では、食物組成物は、少なくとも、式I−1〜I−4の化合物、特に、上記に規定されるような式I−1〜I−3の化合物からなる群から選択される化合物を含有する。
【0043】
「食物組成物」という用語は、臨床栄養物もまた、および栄養補助食品もまた含む任意のタイプの(強化された)食物、(強化された)(動物)飼料および飲料ならびに対応する添加物:食品添加物、飲料添加物、飼料添加物を含んでなる。機能性食物/飼料、即ち、ビタミン、さらなる特定の健康的便益を提供するための他の微量栄養素または製剤で増強されている食物/飼料、ならびにニュートラシューティカル、即ち、栄養価を有する丸剤または他の医薬製品もまた包含される。
【0044】
本発明に従う食物組成物は、(ゴム、タンパク質、加工澱粉のような)保護ハイドロコロイド、結合剤、フィルム形成剤、カプセル化剤/材料、壁/殻材料、マトリックス化合物、コーティング剤、乳化剤、界面活性剤、可溶化剤(オイル、脂肪、蝋、レシチンなど)、吸着剤、キャリア、充填剤、共同化合物(co−compounds)、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動剤、味マスキング剤、加重剤、ゼリー化剤(jellyfying agents)、ゲル形成剤、抗酸化剤および抗微生物剤をさらに含んでなり得る。
【0045】
〜R10の規定および上記の選好を伴う少なくとも1つの式Iの化合物ならびに従来の薬学的キャリアを含有する薬学的組成物。
【0046】
式Iの化合物が、式I−1〜I−4の化合物、特に、上記で規定されるような式I−1〜I−3の化合物からなる群から選択される、薬学的組成物が特に好適である。
【0047】
薬学的に許容可能なキャリアならびにR〜R10の規定および上記の選好を伴う少なくとも1つの式Iの化合物の他に、本発明に従う薬学的組成物は、従来の薬学的添加物および助剤、水、任意の起源のゼラチン、植物ゴム、リグニンスルホン酸塩、タルク、糖、澱粉、アラビアゴム、植物油、ポリアルキレングリコールを含むがそれらに限定されない賦形剤または希釈剤、風味付け剤、保存剤、安定剤、乳化剤、緩衝液、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などをさらに含有し得る。キャリア材料は、経口/非経口/注入投与に適切な有機または無機の不活なキャリア材料であり得る。
【0048】
本発明に従う食物および薬学的組成物は、ヒト身体を含む動物身体に、特に、経口投与に慣例である任意の形態、例えば、食物もしくは飼料、食物もしくは飼料プレミックス、強化された食物もしくは飼料、錠剤、丸剤、顆粒、ドラジェ、カプセル、ならびに粉末および錠剤のような発泡性処方(のための添加物/補充物)のような固体形態、または例えば、飲料、ペーストおよび油状懸濁液としての溶液、乳液もしくは懸濁液のような液体形態で投与するのに適切である任意のガレノス(galenic)形態であってもよい。ペーストは、ハードまたはソフトシェルカプセルに充填してもよく、それによって、カプセルは、例えば、(魚、ブタ、家禽、ウシ)ゼラチン、植物タンパク質もしくはリグニンスルホン酸塩のマトリックスを特徴とする。他の適用形態についての例には、経皮、非経口または注入可能な投与のための形態がある。食物および薬学的組成物は、制御された(遅延型)放出処方の形態であってもよい。
【0049】
強化された食物の例には、シリアルバー、ケーキおよびクッキーのようなベーカリー品目がある。
【0050】
飲料は、非アルコールおよびアルコール飲料、ならびに飲料水および液体食物に添加されるべき液体調製物を包含する。非アルコール飲料は、例えば、ソフトドリンク、スポーツドリンク、果汁、レモネード、茶および乳汁に基づく飲料である。液体食物は、例えば、スープおよび乳製品である。
【0051】
従って、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物ならびに植物材料または抽出物の全量に基づいて、好ましくは、少なくとも30重量%の量、より好ましくは、少なくとも50重量%の量、さらにより好ましくは、少なくとも70重量%の量、最も好ましくは、少なくとも90重量%の量でそれらを含有する植物材料および植物抽出物(の混合物)およびそれらを含有する食物/薬学的組成物は、ヒトを含む哺乳動物の処置に適切である。
【0052】
従って、本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるグルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための方法に関し、前記方法は、上記で規定される有効量の式Iの化合物を、それを必要とするヒトを含む哺乳動物に投与することを含んでなる。
【0053】
本発明に関する哺乳動物として、ヒトが挙げられる。好適な「哺乳動物」は、ヒト、ならびにネコ、イヌおよびウマ、特に、イヌのようなペットである。
【0054】
本発明に関して、「処置」はまた、同時処置ならびに制御およびまたは防止を包含する。本発明に関して、「障害」という用語はまた、疾患を包含する。
【0055】
ヒトについて、本発明の目的のためのR〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物の適切な1日用量は、体重1kgあたり0.01mg〜1日あたり体重1kgあたり50mgの範囲内であり得る。体重1kgあたり0.1〜25mgの1日用量がより好適であり、および体重1kgあたり0.3〜15mgの1日用量が特に好適である。従って、式Iのそのような化合物を含有する植物材料または植物抽出物の量を算出することができる。
【0056】
ヒトについての固体用量単位の製剤では、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物は、0.25mg〜1000mg、好ましくは、用量単位あたり2mg〜200mgの量で適切に存在する。
【0057】
食物組成物、特に、ヒトのための食物および飲料では、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物は、食物または飲料の全重量に基づいて、0.5mg/kg〜100g/kg、好ましくは、5mg/kg〜10g/kg、より好ましくは50mg/kg〜2g/kgの量で適切に存在し得る。
【0058】
本発明の好適な実施態様における食物および飲料では、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物の量は、1回分あたり0.7〜4000mgであり得る。
【0059】
イヌについて、本発明の目的のためのR〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物の適切な1日用量は、体重1kgあたり0.04mg〜1日あたり体重1kgあたり500mgの範囲内であり得る。体重1kgあたり0.4mg〜100mgの1日用量がより好適であり、および体重1kgあたり1mg〜50mgの1日用量が特に好適である。
【0060】
本発明はまた、上記において規定される式Iの化合物、特に、式I
【化5】


[式中、Rはメトキシもしくはベンゾイルオキシであり、
は水素もしくはメトキシであり、
はメトキシもしくはシンナモイルオキシもしくは(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシであり、
は水素もしくはメトキシであり、
またはRおよびRは共にO(−CH−O基を形成し、mは1もしくは2であり、ならびに
10は水素もしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであり;但し、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでない]の化合物、特に、式I[式中、RおよびRは両方ともOCHであり、RおよびRは共にO−CH−O基を形成し、R10はN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである]の化合物(=式I−1の化合物)、ならびに医薬品としてのそれらの使用に関する。
【0061】
これより、本発明を、以下の実施例によってさらに例示する。
【0062】
[実施例]
以下の略称を使用する:
BW=体重
DMEM=ダルベッコの改変イーグル培地
DMSO=ジメチルスルホキシド
FBS=ウシ胎児血清
2−DG=2−デオキシグルコース
3[H]−2−DG=トリチウム化2−デオキシグルコース
HBS=ハンクス緩衝塩類溶液
oil Red O=Solvent Red 27(CAS番号1320−06−5)
PBS=リン酸緩衝溶液
OD=光学密度
SEM=平均の標準誤差
FFA=遊離脂肪酸
GUA=脂肪細胞のグルコース取り込み
【0063】
[実施例1:脂肪細胞のグルコース取り込みに対する式I−1の化合物の効果]
C3H10T1/2細胞(ATCC CCL−226)を、10%FBS培地を補充したDMEMにおいて、コンフルエンスに達するまで5日間増殖させ、インスリン、デキサメタゾンおよび3−イソブチル−1−メチルキサンチンの混合物で誘導して、脂肪細胞に分化させた。誘導の開始の9日後、細胞を、表1に示されるような異なる濃度で、式I−1の化合物で48時間、処置した。放射性2−デオキシグルコース(HBS中10μM2−DG+0.5μCi/mlの3[H]−2−DG)を使用し、インスリンの非存在下でグルコース取り込みを測定して、グルコース取り込みを決定した。用量依存的様式における式I−1の化合物での48時間処置によって、基礎グルコース取り込みを増加させた(表1)。陽性対照として、既知のPPARγアゴニストのシグリタゾンを、表1に示される濃度で使用した。
【0064】
[実施例2:脂肪細胞のグルコース取り込みに対する式I−3の化合物の効果]
C3H10T1/2細胞の増殖、誘導および処置は、式I−1の化合物の代わりに式I−3の化合物を異なる濃度で使用したことを除いて、正確に実施例1に記載のとおりであった。表1に示されるように、基礎グルコース取り込みの増加を検出することができた。
【0065】
【表1】

【0066】
対照:化合物処置細胞と同じ濃度のDMSOで48時間処置され100%と設定されたC3H10T1/2細胞
【0067】
[実施例3:脂肪細胞の分化に対する式I−1の化合物の効果]
C3H10T1/2細胞を、実施例1に記載のようにコンフルエンスに達するまで増殖させ、次いで、インスリン単独(陰性対照)でかまたは48時間ごとの新鮮培地および化合物による再供給を伴うインスリンおよび異なる濃度の式I−1の化合物の混合物(表2を参照のこと)で10日間処置した。10日間の処置後、次のとおりに細胞をoil Red Oで染色した:細胞を2×PBSで洗浄し、10%ホルマリンにおいて室温で1時間、固定化した。ホルマリンの除去後、200μlのoil Red O染色溶液(0.5%w/v oil Red Oストック溶液および水の3:2混合物)を各ウェルに適用した。細胞を20分間、室温でインキュベートし、2×PBSで2回洗浄し、oil Red O抽出のために300μlのイソプロパノール/ウェルと共に10分間、インキュベートした。540nmでの吸光度(平均OD)を測定することによって、oil Red Oの定量化を決定した。インスリンおよび式I−1の化合物によるC3H10T1/2細胞の同時処置は、より多量のoil Red O染色によって表されるように、インスリン単独より細胞の脂肪細胞へのより高い分化を生じた(表2)。
【0068】
【表2】

【0069】
[実施例4:脂肪細胞の分化に対する式I−2の化合物の効果]
式I−1の化合物の代わりに式I−2の化合物を使用したことを除いて、実施例4に記載のとおりにC3H10T1/2細胞を増殖させ、処置した。oil Red Oアッセイを使用する脂肪細胞分化の測定を、実施例4に記載のとおりに実施した。インスリンおよび式I−2の化合物によるC3H10T1/2細胞の同時処置は、インスリン単独より細胞の脂肪細胞へのより高い分化を生じた(表3)。
【0070】
[実施例5:脂肪細胞の分化に対する式I−3の化合物の効果]
式I−1の化合物の代わりに式I−3の化合物を使用したことを除いて、実施例4に記載のとおりにC3H10T1/2細胞を増殖させ、処置した。
【0071】
oil Red Oアッセイを使用する脂肪細胞分化の測定を、実施例4に記載のとおりに実施した。インスリンおよび式I−3の化合物によるC3H10T1/2細胞の同時処置は、インスリン単独より細胞の脂肪細胞へのより高い分化を生じた(表3)。
【0072】
【表3】

【0073】
[実施例6:耐糖能に対する式I−1の化合物の効果]
耐糖能に対する式I−1の化合物の効力を、C57BLKS/J db/dbマウス(n=10/群)、重度の高血糖を伴う後期2型糖尿病のモデルでの14日間の研究において試験した。
【0074】
雄性db/dbマウスを、Jackson Laboratory(Bar Harbor、メイン州、米国)から入手した。8週齢の成獣マウスを実験に使用した。マウスを、床敷を伴うプラスチックケージに個々に収容し、標準的なげっ歯類用食物および水道水を自由に摂取させた。飼育室を、温度(24℃)、湿度(55%)、および照明(12時間の明暗サイクル)について、管理した。動物を無作為に2つの群に分け、式I−1の化合物を、群のうちの一方に、14日間、200mg/kg BW/日の用量で経口的投与した。14日間の処置後、グルコースの濃度を、給餌動物、即ち、食物を制限しなかった動物由来の血液において決定した。10日間の処置の期間後、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施した。OGTTのために、マウスを1晩絶食させ、次いで、1gグルコース/kg BW溶液を経口的に投与した。血中グルコースレベルの決定のために、グルコースチャレンジの前および15、30、45、60、90、120、150、180分後に血液サンプルを採取し、次いで、曲線下面積(AUC)を決定した。血中グルコースを、グルコース分析装置(Glu−cotrend Premium,Roche Diagnostics,Rotkreuz、スイス)によって測定した。血中グルコースレベルおよびOGTT測定のためのAUCを表4に示す。給餌動物(上記を参照のこと)のグルコースおよび遊離脂肪酸(FFA)レベルは、式I−1の化合物での14日間の処置後に低下した。式I−1の化合物での10日間の処置後、絶食動物、即ち、1晩の絶食を伴う動物(上記を参照のこと)のグルコースレベルは、非処置の対照群と比較して減少した。OGTT試験中、式I−1の化合物で処置した動物における血中グルコースレベルは、対照群と比較した場合、すべての時間ポイントにおいてより低かった。従って、式I−1の化合物は、10日目に、OGTT(1gグルコース/kg体重)のグルコースAUCを有意に減少した。
【0075】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】式I−1〜I−3の化合物を表す。
【図2】式I−4およびI−5の化合物を表す。
【図3】式I−6〜I−10の化合物を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の式I
【化1】


[式中、RはC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシもしくはアロイルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
はC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシ、アロイルオキシもしくはアリールアシルオキシであり;
は水素またはC1−6−アルキルオキシであるか;
またはRおよびRは共にO−L−O基を形成し、Lは(CRであり、RおよびRは相互に独立して、水素もしくはC1−5−アルキルであり、およびnは1〜3の整数であり;
10は水素もしくはN−C1−4−アシル,N−C1−5−アルキル−x−C−アルキルであり、xは1〜5の整数である]
の化合物を含有する食物組成物であって、
但し、好ましくは、組成物は、式I[式中、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rがメトキシである]の化合物を含有しないことを条件とする食物組成物。
【請求項2】
はメトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、もしくはベンゾイルオキシであり、好ましくは、Rはメトキシもしくはベンゾイルオキシであり;および/または
は水素、メトキシ、イソプロピルオキシもしくはイソプレニルオキシであり、好ましくは、Rは水素もしくはメトキシであり;および/または
はメトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシもしくはシンナモイルオキシであり、好ましくは、Rはメトキシもしくはシンナモイルオキシであり;および/または
は水素、メトキシ、イソプロピルオキシもしくはイソプレニルオキシであり、好ましくは、Rは水素もしくはメトキシであり;または
およびRは共にO(−CH−O基を形成し、mは1もしくは2であり、好ましくは、RおよびRは共にO−CH−O基を形成し;および/または
10は水素、N−アセチル,N−イソプロピル−2−アミノエチル、N−イソプレニル−2−アミノエチルもしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであり、好ましくは、R10は水素もしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであり、但し、好ましくは、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでないことを条件とする、
請求項1に記載の食物組成物。
【請求項3】
式Iの化合物は、式I−1〜I−3の化合物からなる群から選択され、ここで、式I−1の化合物は、式中、R=R=OCHであり、RおよびRは共にO−CH−O基を形成し、R10=N−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであるものであり;式I−2の化合物は、式中、R=OCH、R=R=R10=H、およびR=シンナモイルオキシであるものであり;式I−3の化合物は、式中、R=ベンゾイルオキシ、R=R10=H、およびR=R=OCHであるものであり;ならびに式I−4の化合物は、式中、R=OCH、R=R=R10=H、およびR=(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシであるものである、請求項1に記載の食物組成物。
【請求項4】
前記食物組成物は、(強化された)食物、飲料、(強化された)飼料もしくは対応する添加物、機能性食物、機能性飼料、ニュートラシューティカル、臨床栄養物または栄養補助食品である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の食物組成物。
【請求項5】
グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための組成物の製造のための請求項1〜3のいずれか一項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項6】
前記組成物は、血中グルコース制御剤、インスリン抵抗性改善薬、血中脂質降下剤、膵β細胞機能改善薬、2型糖尿病防止剤および/またはX症候群防止剤として使用される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する前記障害は、糖尿病またはX症候群、特に、非自己免疫性2型糖尿病である、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
式I
【化2】


[式中、Rはメトキシもしくはベンゾイルオキシであり、
は水素もしくはメトキシであり、
はメトキシもしくは(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシもしくはシンナモイルオキシであり、
は水素もしくはメトキシであり、
またはRおよびRは共にO(−CH−O基を形成し、mは1もしくは2であり、ならびに
10は水素もしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであり、但し、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでないことを条件とする]
の化合物。
【請求項9】
およびRは、両方ともOCHであり、RおよびRは共にO−CH−O基を形成し、R10はN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである、請求項8に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
グルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための医薬品としての使用のための式I
【化3】


[式中、RはC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシもしくはアロイルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
はC1−6−アルキルオキシ、C1−6−アシルオキシ、アロイルオキシもしくはアリールアシルオキシであり;
は水素もしくはC1−6−アルキルオキシであり;
またはRおよびRは共にO−L−O基を形成し、Lは(CRであり、RおよびRは相互に独立して、水素もしくはC1−5−アルキルであり、およびnは1〜3の整数であり;
10は水素もしくはN−C1−4−アシル,N−C1−5−アルキル−x−C−アルキルであり、xは1〜5の整数であり;但し、好ましくは、RおよびR10が水素であり、RおよびRがメトキシである場合、Rはメトキシでないことを条件とする]
の化合物。
【請求項11】
はメトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、またはベンゾイルオキシであり、特に、Rはメトキシまたはベンゾイルオキシである、請求項10に記載の式Iの化合物。
【請求項12】
は水素、メトキシ、イソプロピルオキシまたはイソプレニルオキシであり、特に、Rは水素またはメトキシである、請求項10または11に記載の式Iの化合物。
【請求項13】
はメトキシ、イソプロピルオキシ、イソプレニルオキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、(3,4,5−トリメトキシ)−ベンゾイルオキシまたはシンナモイルオキシであり、特に、Rはメトキシまたはシンナモイルオキシである、請求項10〜12のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項14】
は水素、メトキシ、イソプロピルオキシまたはイソプレニルオキシであり、特に、Rは水素またはメトキシである、請求項10〜13のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項15】
およびRは共にO(−CH−O基を形成し、mは1または2である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項16】
10は水素、N−アセチル,N−イソプロピル−2−アミノエチル、N−イソプレニル−2−アミノエチルまたはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであり、特に、R10は水素またはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである、請求項10〜15のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項17】
それは化合物I−1〜I−3の群から選択され、ここで、式I−1の化合物は、式中、R=R=OCHであり、RおよびRが共にO−CH−O基を形成し、R10=N−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであるものであり;
式I−2の化合物は、式中、R=OCHであり、R=R=R10=Hであり、およびR=シンナモイルオキシであるものであり;
式I−3の化合物は、式中、R=ベンゾイルオキシであり、R==R10=Hであり、およびR=R=OCHであるものであり;ならびに
式I−4の化合物は、式中、R=OCHであり、R=R=R10=Hであり、およびR=(3,4,5−トリメトキシ)ベンゾイルオキシであるものである、
請求項10に記載の式Iの化合物。
【請求項18】
血中グルコース制御剤、インスリン抵抗性改善薬、血中脂質降下剤、膵β細胞機能改善薬、(非自己免疫性)2型糖尿病防止剤および/またはX症候群防止剤としての請求項10に記載の使用のための請求項1〜17のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項19】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの式Iの化合物および従来の薬学的キャリアを含有する薬学的組成物。
【請求項20】
式Iの化合物は、式I−1〜I−4の化合物、特に、請求項3に記載の式I−1〜I−3の化合物からなる群から選択される、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
ヒトを含む哺乳動物におけるグルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する障害の処置のための方法であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有効量の式Iの化合物を、それを必要とするヒトを含む哺乳動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項22】
ヒトを含む哺乳動物におけるグルコース代謝障害およびインスリン作用障害に関係する前記障害は(非自己免疫性)2型糖尿病である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記哺乳動物はヒト、ネコ、イヌまたはウマである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
医薬品としての使用のための請求項3に記載の式I−1、I−2、I−3およびI−4の化合物。
【請求項25】
医薬品としての使用のための請求項8に記載の式Iの化合物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−543901(P2008−543901A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517419(P2008−517419)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006038
【国際公開番号】WO2006/136423
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】