説明

グルタチオン産生促進剤

【課題】細胞に対して優れたグルタチオン産生促進作用を有する新規なグルタチオン産生促進剤を提供する。
【解決手段】抽出溶媒として炭素数1〜4の低級一価アルコールを含有する溶媒(例えば、該低級一価アルコールと水との混合溶媒)を用いて、未発芽のセロリ種子から抽出したセロリ種子抽出物を有効成分として含有するグルタチオン産生促進剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタチオン産生促進剤に関するものであり、より詳細にはセロリ種子抽出物を含有するグルタチオン産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、細胞内の主要なシステイン残基を有する化合物である。また、あらゆる細胞に存在する抗酸化物質であり、生体内にある抗酸化物質のうち最も高濃度に存在することが知られている。
【0003】
かかるグルタチオンは、抗酸化作用のみならず、皮膚の免疫力低下抑制効果や抗アレルギー作用など、皮膚に対して複数の作用があることが知られている。しかしながら、グルタチオンは加齢によってその発現が低下することが知られており、このことが皮膚における酸化防御機能を低下させ、種々の皮膚老化現象を引き起こすと考えられている。
【0004】
そのため、生体内細胞におけるグルタチオンの産生を促進することができれば、皮膚の抗酸化機能を強化し、外部環境や体内で生じる種々の酸化ストレスからの防御能獲得に繋がるものと考えられ、従来、グルタチオン産生促進剤が提案されている。例えば、下記特許文献1には、クチナシ属植物の抽出物を含有するものが、また、下記特許文献2には、ブッチャーブルーム抽出物を始めとした種々の天然物の抽出物を含有するものが、グルタチオン産生促進剤として開示されている。しかしながら、従来、セロリ種子の抽出物にグルタチオン産生促進作用があることは知られていなかった。
【0005】
ところで、セロリの抽出物については、従来、化粧料等の皮膚外用剤に配合することが知られている。
【0006】
例えば、下記特許文献3には、活性酸素消去能や抗酸化作用を有するものとして、セロリの抽出物が開示されている。しかしながら、同文献には、セロリ種子の抽出物を用いる点については開示されていない。また、活性酸素消去能等の評価は、抽出物を活性酸素種に直接作用させてその消去能力(捕捉能力)を評価するものであり、細胞に対するグルタチオン産生促進作用については開示されていない。
【0007】
下記特許文献4には、抗酸化力を有する植物抽出物としてセロリの抽出物が開示され、セロリ種子を用いる点も開示されている。しかしながら、この文献でも、抗酸化力の評価はPOV(過酸化物価)を測定するものであって、直接的な抗酸化作用を評価するものであり、グルタチオン産生促進作用については開示されていない。同様に、下記特許文献5にも抗酸化効果を有する生薬の一例としてセロリシードが記載されているが、セロリシード自体の抗酸化効果を示したデータはなく、グルタチオン産生促進作用についても開示されていない。
【0008】
一方、下記特許文献6には、発芽植物の抽出物を含有する化粧品製剤が開示されており、発芽植物の一例としてセロリが開示されている。また、同文献には、発芽植物の抽出物を、細胞内でのGSH(グルタチオン)濃度を増加させるために使用することも開示されている。しかしながら、この文献では、セロリを含む多数の発芽植物の用途として、GSH濃度の増加を含む化粧品製剤としての種々広範な用途が列挙されているにすぎず、セロリについての具体的なデータは示されていない。また、この文献は、発芽植物には特有の活性物質が含まれることを根拠に、発芽種子の抽出物を用いることを必須要件としたものであり、セロリ種子自体のグルタチオン産生促進作用については何ら開示も示唆もされていない。すなわち、種子は発芽に伴い貯蔵物質が代謝されることから、発芽種子と未発芽の種子自体とでは抽出物の組成も当然に異なり、よって、発芽植物を対象とする特許文献6は本発明を何ら示唆するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−347934号公報
【特許文献2】特開2009−132662号公報
【特許文献3】特開平6−024937号公報
【特許文献4】特開2001−139484号公報
【特許文献5】特開2003−095915号公報
【特許文献6】特表2004−532269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、細胞に対して優れたグルタチオン産生促進作用を有する新規なグルタチオン産生促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討していく中で、セロリ種子を特定の溶媒で抽出した抽出物に顕著なグルタチオン産生促進作用があることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、炭素数1〜4の低級一価アルコールを含有する溶媒で未発芽のセロリ種子より抽出されたセロリ種子抽出物を有効成分として含有するグルタチオン産生促進剤に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、細胞に対して優れたグルタチオン産生促進作用を発揮するグルタチオン産生促進剤を提供することができる。従って、このグルタチオン産生促進剤を種々の組成物に配合することにより、グルタチオン産生促進作用に優れた組成物を提供することができ、特に皮膚外用剤に配合して使用するのに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0015】
本発明で原料として用いられる植物は、セリ科に属するセロリ(学名:Apium graveolens var. dulce)であり、本発明ではその種子の抽出物を用いる。抽出に供するセロリ種子としては未発芽のものが用いられる。発芽種子では、仮にグルタチオン産生促進作用があったとしても、抽出物の組成を一定するために発芽状態を均一にする必要があり煩雑である。
【0016】
セロリ種子抽出物を有効成分とするグルタチオン産生促進剤を製造する場合、有効成分の抽出には、低級一価アルコール含有溶媒が用いられる。後記の実施例で示すように、セロリ種子抽出物でも、水抽出物やブチレングリコール抽出物ではグルタチオン産生促進作用は得られず、低級一価アルコール含有溶媒で抽出することによってはじめて優れたグルタチオン産生促進作用が得られる。
【0017】
該低級一価アルコール含有溶媒としては、低級一価アルコールを含有するものであれば、低級一価アルコール単独でも、低級一価アルコールと他の溶媒との混合溶媒でもよい。低級一価アルコールと併用する溶媒としては、水、多価アルコール(例えば、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなど)、エーテル類(例えば、エチルエーテル、プロピルエーテルなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、エチルメチルケトンなど)、炭化水素(例えば、n−ヘキサン、ベンゼンなど)、ハロゲン溶剤(例えば、クロロホルム、塩化メチレンなど)などが挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。低級一価アルコールとこれらの他の溶媒を併用する場合、低級一価アルコールの含有率が30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜95質量%である。
【0018】
上記低級一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4の低級一価アルコールが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても二種以上組みあわせて用いてもよい。これらの中でも、メタノール、エタノールが好ましく、特に好ましくはエタノールである。
【0019】
特に、好ましい抽出溶媒は、炭素数1〜4の低級一価アルコールと水との混合溶媒である。このような水との混合溶媒であると、セロリ種子からの抽出時の収率が高く、また凍結乾燥を含めた抽出物の製造時間を短くすることができるので、生産性が高く、更に、細胞に対する毒性という点でも低いものが得られる。低級一価アルコールと水との比率は、アルコールの含有率で30〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜90質量%、更に好ましくは50〜85質量%、より一層好ましくは60〜85質量%である。このような比率に設定することにより、グルタチオン産生促進作用を高めることができる。
【0020】
抽出方法としては特殊なものは不要であり、常法に従い、室温ないし還流加熱下に、任意の装置を用いて抽出することができる。詳細には、抽出効率の点から、セロリ種子は予めすり潰すなどして破砕しておくことが好ましい。このようにして破砕したセロリ種子を、抽出溶媒として上記アルコール含有溶媒を満たした処理槽に投入して該アルコール含有溶媒に浸漬し、室温ないし還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。
【0021】
得られた抽出液は、そのまま使用してもよいが、常法に従って希釈したり、濃縮したり、乾燥したりして、希釈液や濃縮液、乾燥物とした上で使用してもよい。また、グルタチオン産生促進作用を損なわない範囲で、脱色、脱臭、脱塩等の精製処理やカラムクロマトグラフィー等による分画処理を実施してもよい。
【0022】
このようにして得られるセロリ種子の抽出物は、優れたグルタチオン産生促進作用を有するので、グルタチオン産生促進剤の有効成分として使用することができる。その場合、セロリ種子抽出物は、そのままでもグルタチオン産生促進剤として使用することができるが、常法に従って製剤化して提供することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができ、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状などの任意の剤形に製剤化することができる。
【0023】
セロリ種子抽出物を有効成分とするグルタチオン産生促進剤は、化粧料、医薬品、食品、入浴料などの種々の組成物に配合することにより、グルタチオン産生促進作用を有する組成物、すなわちグルタチオン産生促進用組成物を得ることができる。得られたグルタチオン産生促進用組成物は、細胞に対してグルタチオンの産生を促進することにより、細胞の抗酸化作用を高めて皮膚の老化防止効果を発揮したり、皮膚の免疫力低下抑制効果や抗アレルギー作用を発揮することができ、また、グルタチオンによるメラニン産生抑制作用やフェオメラニン/ユーメラニン比率の上昇によるメラニン淡色化作用等による美白効果を発揮させることもできる。
【0024】
セロリ種子抽出物を有効成分とするグルタチオン産生促進剤の上記組成物への配合量は、組成物の種類や目的、抽出物の生理活性等によって適宜調整することができ、特に限定されないが、好適な配合量は、組成物の全量に対し、抽出物の固形分換算で約0.001〜10質量%である。
【0025】
セロリ種子抽出物を有効成分とするグルタチオン産生促進剤は、皮膚に適用した場合の安全性に優れているため、化粧料を始めとする各種皮膚外用剤に配合するのが特に好適である。皮膚外用剤には、上記グルタチオン産生促進剤のみを配合してもよいし、その他の有効素材を組み合わせて配合してもよい。皮膚外用剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、化粧水、美容液(エッセンス)、乳液、ジェル、クリーム、パック、入浴剤、ファンデーション等の化粧料の他、軟膏剤、パップ剤、プラスター剤などの医薬品、更には医薬部外品であってもよい。
【0026】
上記グルタチオン産生促進剤を配合する皮膚外用剤には、グルタチオン産生促進作用の妨げにならない限り、皮膚外用剤の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の助剤を配合することができ、本発明のグルタチオン産生促進剤のみが主剤となるものに限られるわけではない。例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素、脂肪酸類、アルコール類、多価アルコール類、エステル類、アミン・アミド・金属石鹸類、ガム質・水溶性高分子化合物、界面活性剤、酸化防止剤、ビタミン類、香料、色材類、防腐殺菌剤、アミノ酸類、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、消炎剤、抗ヒスタミン剤、生薬類、美白剤、保湿剤など、種々の皮膚用薬品類などを配合することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1:セロリ種子・50%エタノール抽出物]
未発芽のセロリ種子の粗粉砕物50gに、抽出溶媒として50質量%エタノール水溶液(エタノール/水=50/50(質量比))を加え、還流抽出器で90℃付近にて2時間抽出し、濾過した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して当該抽出物(固形物)7.7gを得た。
【0029】
[実施例2:セロリ種子・80%エタノール抽出物]
未発芽のセロリ種子の粗粉砕物50gに、抽出溶媒として80質量%エタノール水溶液(エタノール/水=80/20(質量比))を加え、還流抽出器で90℃付近にて2時間抽出し、濾過した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して当該抽出物(固形物)5.6gを得た。
【0030】
[実施例3:セロリ種子・99%エタノール抽出物]
未発芽のセロリ種子の粗粉砕物50gに、抽出溶媒として99質量%エタノール水溶液(エタノール/水=99/1(質量比))を加え、還流抽出器で90℃付近にて2時間抽出し、濾過した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して当該抽出物2.1gを得た。この場合、実施例1,2に比べて、凍結乾燥に時間がかかり、また得られた抽出物はペースト状であって、収率も低かった。
【0031】
[比較例1:セロリ種子・水抽出物]
未発芽のセロリ種子の粗粉砕物50gに、抽出溶媒として精製水を加え、還流抽出器で90℃付近にて2時間抽出し、濾過した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して当該抽出物(固形物)7.3gを得た。
【0032】
[比較例2:セロリ種子・50%BG抽出物]
未発芽のセロリ種子の粗粉砕物50gに、抽出溶媒として50質量%ブチレングリコール水溶液(1,3−ブチレングリコール/水=50/50(質量比))を加え、還流抽出器で90℃付近にて2時間抽出し、濾過した。得られた抽出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して当該抽出物1.6gを得た。この場合、実施例1,2に比べて、凍結乾燥に時間がかかり、収率も低かった。
【0033】
[試験例1:グルタチオン産生促進作用の評価]
上記実施例1〜3及び比較例1,2の各セロリ種子抽出物を試料として用いて、グルタチオン産生促進作用を評価した。評価方法は以下の通りである。
【0034】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を5%ウシ胎児血清含有DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地「ニッスイ」(2))により前培養し、適宜培地交換を行った。前培養後、細胞を回収し、直径35mmディッシュ当たり1.5×10cellsになるように播種し、37℃、5%COにて24時間培養した。その後、目的濃度に調製した試料を細胞に添加し、37℃、5%COにて20時間培養した後、Alamar Blue法により細胞数を算出した。
【0035】
Alamar Blue反応後、リン酸緩衝化生理食塩水PBS(−)にて洗浄し、5%トリクロロ酢酸を加えることによりグルタチオンを溶解させた。この溶解液を回収して、0.01N塩酸飽和ジエチルエーテルによりエーテル抽出を行った後、十分にエーテルを揮発させたものをグルタチオン抽出液とした。
【0036】
グルタチオン量の定量は、0.7mMの5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)と、5.0U/mLのグルタチオンレダクターゼと、0.25mMのβ−NADPHを含有するリン酸緩衝液からなる反応溶液を、グルタチオン抽出液に混合して、415nmにおける吸光度を測定することによって行い、コントロールに対する増加率によって各試料のグルタチオン産生促進能を評価した。
【0037】
細胞に添加する各試料の濃度は、50μg/mLと25μg/mLの2濃度に設定した。各濃度における試験はN=3で行い、評価にはそれらの平均値を求めた。グルタチオン産生能の評価は、10個の細胞当たりのグルタチオン量を算出し、コントロールを100としたときの相対値により行った。また、細胞生存率は、各試験終了後の細胞数(Alamar Blue法で算出した細胞数)について、コントロールを100としたときの相対値を求めたものである。なお、コントロール(cont.)は、試料として精製水を用いたものであり、また、ポジティブコントロールと(P.cont.)して、ハイドロキノンを3.3μg/mL用いたものも試料とした。
【0038】
結果は、表1に示す通りであり、比較例1に係るセロリ種子の水抽出物と比較例2に係るブチレングリコール抽出物では、グルタチオン産生促進作用は認められなかったが、実施例に係るエタノール抽出物であると、ハイドロキノンに対して同等以上の優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。特に、実施例2に示す80%エタノール抽出物において高いグルタチオン産生促進作用が認められた。
【0039】
【表1】

【0040】
[試験例2:メラニン産生抑制作用の評価]
上記実施例1〜3及び比較例1,2の各セロリ種子抽出物を試料として用いて、グルタチオンによるメラニン産生抑制作用を評価した。評価方法は以下の通りである。
【0041】
マウス由来B16メラノーマ細胞を5%ウシ胎児血清含有DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地「ニッスイ」(2))を用いて、直径35mmディッシュ当たり1.0×10cellsになるように播種し、37℃、5%COにて24時間培養した。その後、目的濃度に調製した試料および0.5mMテオフィリンを細胞に添加し、6日間培養した後、Alamar Blue法により細胞数を算出した。
【0042】
Alamar Blue反応後、リン酸緩衝化生理食塩水PBS(−)にて細胞を洗浄し、1N−NaOHに細胞を溶解させた。細胞溶解液の405nmにおける吸光度を測定し、次式によりメラニン生成抑制率を算出した。なお、各試料につきN=3で試験を行い、評価にはそれらの平均値を求めた。
メラニン生成抑制率(%)={(A−B)/A}×100
(式中、A:コントロールの吸光度、B:試料添加時の吸光度)
【0043】
細胞生存率は、各試験終了後の細胞数(Alamar Blue法で算出した細胞数)について、コントロールを100としたときの相対値を求めたものである。なお、コントロール(cont.)は、試料として精製水を用いたものであり、また、ポジティブコントロールと(P.cont.)して、β−アルブチンを用いたものも試料とした。
【0044】
結果は、表2に示す通りであり、実施例に係るセロリ種子のエタノール抽出物であると、アルブチンに匹敵する優れたメラニン抑制作用を有していた。
【0045】
【表2】

【0046】
以下に、本発明に係るセロリ種子抽出物からなるグルタチオン産生促進剤を配合した組成物の処方例を示す。以下においてセロリ種子エキス(乾燥固形物)とは、実施例1、2又は3で得られた抽出物(乾燥固形物)である。
【0047】
(処方例1:ローション)
(配合成分) (重量%)
(1)グリセリン 5.0
(2)ジプロピレングリコール 4.0
(3)キサンタンガム 0.02
(4)ソルビット 1.0
(5)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(6)ハマメリス抽出液 0.2
(7)セロリ種子エキス(乾燥固形物) 0.002
(8)エタノール 10.0
(9)精製水 残余
(製法)
(9)に(1)〜(8)を加えて室温にて溶解する。可溶化した後、ろ過して製品とする。
【0048】
(処方例2:エッセンス)
(配合成分) (重量%)
(1)POEオレイルアルコールエーテル(60EO) 1.0
(2)オリーブ油 0.2
(3)フェノキシエタノール 0.5
(4)エタノール 7.0
(5)ソルビトール 8.0
(6)1,3−ブチレングリコール 5.0
(7)ヒアルロン酸 0.1
(8)トリメチルグリシン 1.0
(9)ローヤルゼリーエキス 1.0
(10)酵母エキス 0.1
(11)アカブドウ葉エキス 0.1
(12)セロリ種子エキス(乾燥固形物) 0.005
(13)精製水 残余
(製法)
(13)に(5)〜(12)を加えて室温にて溶解する。(4)に(1)〜(3)を順次溶解後、前述の水相に可溶化する。その後、ろ過し製品とする。
【0049】
(処方例3:乳液)
(配合成分) (重量%)
(1)スクワラン 5.0
(2)ワセリン 2.0
(3)ミツロウ 0.5
(4)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8
(5)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20EO) 1.2
(6)1,2−ペンタンジオール 5.0
(7)ジプロピレングリコール 5.0
(8)カルボキシビニルポリマー 0.2
(9)エタノール 5.0
(10)水酸化カリウム 0.1
(11)リン酸L−アスコルビルマグネシウム 1.0
(12)ローズマリー抽出液 0.5
(13)セロリ種子エキス(乾燥固形物) 0.005
(14)精製水 残余
(製法)
(14)に(7)と(9)を加えて加熱混合した後、(8)を加えて70℃とする。別に(1)〜(6)を混合し加熱溶解して70℃とする。この油相部を前述の水相部に加えて予備乳化を行った後、(10)を加えて中和する。これをホモミキサーにより均一に乳化した後、熱交換器により冷却する。40℃まで温度が下がった時点で(11)〜(13)を添加し製品とする。
【0050】
(処方例4:エモリエントジェル)
(配合成分) (重量%)
(1)ジプロピレングリコール 10.0
(2)カルボキシビニルポリマー 0.4
(3)キサンタンガム 0.2
(4)ソルビット 1.0
(5)グリセリン 10.0
(6)水素添加大豆リン脂質 0.5
(7)マカデミアンナッツ油 3.0
(8)スクワラン 5.0
(9)ホホバ油 3.0
(10)水酸化カリウム 0.1
(11)ダイズ抽出液 0.5
(12)セロリ種子エキス(乾燥固形物) 0.01
(13)精製水 残余
(製法)
(13)に(1)〜(5)を加え、70℃で溶解する。別に(6)〜(9)を混合し加熱溶解して70℃とする。この油相部を前述の水相部に加えて混合した後、(10)を添加し中和する。その後冷却し、40℃まで温度が下がった時点で(11)〜(12)を加え製品とする。
【0051】
(処方例5:洗顔料)
(配合成分) (重量%)
(1)ミリスチン酸 15.0
(2)パルミチン酸 8.0
(3)ステアリン酸 5.0
(4)グリセリン 16.0
(5)水酸化カリウム 5.0
(6)EO(10)ラウリルエーテル 5.0
(7)セタノール 3.0
(8)パラヒドロキシ安息香酸メチル 0.1
(9)パパイン 0.1
(10)エイジツ抽出液 0.5
(11)セロリ種子エキス(乾燥固形物) 0.002
(12)精製水 残余
(製法)
(4)に(1)〜(3)を加え、70℃で溶解する。これに(5)を溶解した(12)を徐々に加え、中和する。その後、(6)〜(8)を添加し冷却する。40℃まで温度が下がった時点で(9)〜(11)を加え製品とする。
【0052】
(処方例6:W/O型エモリエントクリーム)
(配合成分) (重量%)
(1)マイクロクリスタリンワックス 9.0
(2)パラフィン 2.0
(3)ミツロウ 3.0
(4)ワセリン 5.0
(5)還元ラノリン 8.0
(6)スクワラン 34.0
(7)ヘキサデシルアジピン酸エステル 10.0
(8)セラミド 0.05
(9)親油型モノオレイン酸グリセリン 3.5
(10)POEソルビタンモノラウリン酸エステル(20EO) 1.0
(11)パラヒドロキシ安息香酸メチル 0.1
(12)オウバク抽出液 0.2
(13)カミツレ抽出液 0.2
(14)アルニカエキス 0.2
(15)セロリ種子エキス(乾燥固形物) 0.002
(16)アスタキサンチン 0.001
(17)ジプロピレングリコール 2.0
(18)精製水 残余
(製法)
(18)に(17)を加え、加熱して70℃にする。別に(1)〜(11)を混合し、加熱溶解して70℃とする。この油相部に前述の水相部を加えて、ホモミキサーで均一に乳化した後、熱交換器により冷却する。40℃まで温度が下がった時点で(12)〜(16)を添加し製品とする。
【0053】
(処方例7:育毛剤)
(配合成分) (重量%)
(1)ヒノキチオール 0.01
(2)ビタミンE 0.01
(3)ビタミンB6 0.01
(4)ジプロピレングリコール 2.0
(5)エタノール 60.0
(6)プラセンタエキス 0.5
(7)海藻エキス 0.5
(8)セロリ種子エキス(乾燥固形物) 0.005
(9)精製水 残余
(製法)
(1)〜(5)と(6)〜(9)を別々に室温にて溶解する。その後、これらを混合し、ろ過して製品とする。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のグルタチオン産生促進剤は、化粧料や医薬品、医薬部外品、食品、入浴料などの各種組成物に配合して用いることができ、特に皮膚外用剤に配合して用いることが好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1〜4の低級一価アルコールを含有する溶媒で未発芽のセロリ種子より抽出されたセロリ種子抽出物を有効成分として含有するグルタチオン産生促進剤。
【請求項2】
前記溶媒が前記低級一価アルコールと水との混合溶媒であることを特徴とする請求項1記載のグルタチオン産生促進剤。

【公開番号】特開2012−51837(P2012−51837A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195641(P2010−195641)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(397030400)株式会社アンズコーポレーション (11)
【Fターム(参考)】