説明

ケーブルコネクタ用の防護具

【課題】迅速かつ容易に取付けと解体を行うことができ、さらに繰り返し再利用できる中継コネクタ用の防護具を提供する。
【解決手段】
信号設備中継コネクタC1、C2用の防護具10であって、開閉自在に構成された第一と第二の剛性の本体部14a、14bの内部にコネクタC1、C2を収容する。第一と第二の本体部14a、14bの端部側の内面側に設けた溝部24a、24b内にシール部材26a、26bを取付けて、第一と第二の本体部14a、14bを閉鎖したとき、コネクタC1、C2をシール部材26a、26bによって挟持する。さらに、第一と第二の本体部14a、14bに備えられる止め金具30a、30bにより、防護具10の閉鎖状態を固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のケーブルを接続させるコネクタ用の防護具に関し、特に、鉄道などに使用される信号設備ケーブルコネクタ用の防護具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、信号機は、進行・停止などの信号を示すために、支柱の上方に2個以上の灯器を備えている。従来、信号機に故障等が生じた場合には、各灯器ごとに配線を行っていたが、誤配線のおそれが懸念されていた。また、一般に、信号機の配線作業は夜間に行われるため、迅速、容易に作業を行えることが望まれていた。このため、近年、各灯器ごとに配線を行うのではなく、信号機の配線を一本のケーブルにまとめて、信号機とケーブルを一つのユニットとして直接交換させることが行われている。この場合、信号機から延びるケーブルの端部と、信号機の点滅操作を制御する制御器から延びるケーブルの端部に夫々信号設備ケーブルコネクタ(以下、コネクタと記載する)を設けて、これらコネクタを互いに接続させることで、信号機の配線を一度に行えるようにしている。
【0003】
上記コネクタは、信号設備に用いられるため、コネクタの接続状態が容易に解除されないように保持されるとともに、外部環境から及ぼされる負荷、例えば、現場での機械器具や人体等による負荷によって破損されないように保護されることが必要になる。このため、従来技術では、コネクタの接続部を保護部材で覆ってから、この保護部材を塑性変形させたり(特許文献1参照)、又はコネクタの接続部をアーマーキャストで覆った後、アーマーキャストを自然硬化させて、コネクタの接続部を密着固定させていた。しかしながら、このような手段を講じる場合、保護部材の取付けや解体に時間と手間がかかり、複数の部品や工具の管理を必要とし、さらには特定の技能を要する場合があり、特に夜間作業に不向きであった。さらに、このように保護部材を変形させてコネクタの接続部を保護する場合には、一度使われた保護部材の再利用は出来ないといった問題があった。
【特許文献1】特許第2666949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、複数の部品や工具の管理を要することなく、迅速かつ容易に取付けと解体を行うことができ、さらに繰り返し再利用できるケーブルコネクタ用の防護具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載したケーブルコネクタ用防護具の発明においては、信号設備ケーブルコネクタ用の防護具であって、開閉自在に構成され、内面側に前記コネクタを収容する第一と第二の剛性の本体部を有し、前記第一と第二の本体部を閉鎖したとき、前記コネクタをシール部材によって挟持するように、前記第一と第二の本体部の端部側の内面側に溝部を設けるとともにこの内部に前記シール部材を取付け、さらに、前記防護具の閉鎖状態を固定するように、前記第一と第二の本体部に止め金具が備えられていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載した発明においては、請求項1に記載された発明において、前記第一と第二の本体部に設けられる止め金具付近に、肉盛り部を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載した発明においては、請求項1又は2に記載された発明において、前記第一と第二の本体部に前記止め金具を少なくとも二つ備え、さらに、前記二つの止め金具を前記本体部の周方向に、互いに反対側に備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載した発明においては、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、前記第一と第二の本体部に、固定錠を取付けるための穴を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載した発明においては、請求項1〜4のいずれかに記載された発明において、前記第一と第二の本体部は、アルミ鋳物により形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、複数の部品や工具の管理を要することなく、夜間作業においても迅速かつ容易に取付けと解体を行うことができ、さらに繰り返し再利用できる信号設備ケーブルコネクタ用の防護具を提供できる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、防護具本体の外部に露出した止め金具を保護することができる。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加え、少なくとも二つの止め金具を異なる位置に備えることにより、一方の止め金具が損傷するおそれが生じても、他方の止め金具により本体の閉鎖状態を保つことができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の効果に加え、固定錠、例えば南京錠を用いることによって、本体の閉鎖状態を二重にロックして、第三者が容易に防護具を開けられないようにできる。
【0014】
請求項5に記載した発明によれば、請求項1〜4のいずれかに記載の効果に加え、アルミ鋳物から防護具の本体を形成することで、本体に必要な強度を備えるとともに軽量化を達成し、さらに材料の再利用を確保できる。
【0015】
本発明に係る信号設備ケーブルコネクタ用の防護具は、基本的には上記のように構成されるが、利用されるコネクタの具体的な種類によって本発明は限定されない。例えば、信号機に用いられる灯器の数や種類、さらにはこの具体的な配線の形態によって、本発明の防護具は限定されない。さらに、信号機には、灯器の光源に電球を用いた電球式のものと、LED(発光ダイオード)を用いたLED式のものが公知であるが、本発明は、双方の場合に対応させることが可能である。また、本発明に係る防護具は、この内部にコネクタを収容して、外部環境からコネクタの接続を保護するが、必要に応じて、防護具の内部で、コネクタが軸方向及び/または周方向に移動することを防ぐように、防護具の内部形状を定めていてもよい。また、本発明に係る防護具は、この内部にコネクタ以外の部材を取付けるようにしてもよい。例えば、接続時にコネクタの間に保安器を挿入する場合には、これら部品を防護具の内部に取付けるようにしてもよい。さらに、本発明では、防護具の閉鎖状態を保つように止め金具や固定錠等を利用するが、これらの数や取付位置、さらに具体的な構造等は、様々に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、添付した図を参照して説明する。
添付した図1では、信号機と制御器から延びるケーブルU1、U2同士をつなぐ信号設備ケーブルコネクタC1、C2とともに、これらコネクタC1、C2を保護する防護具10を示している。これらコネクタC1、C2は、配線作業を迅速、容易にするため、互いに接続されるだけで(例えば、雄のピンと雌のソケットを接続させるように)信号機と制御器のケーブルU1、U2を一度に配線できるように構成されている。但し、信号設備に用いられるため、コネクタC1、C2の接続状態は容易に解除されないように保持されるとともに、外部環境から及ぼされる負荷によって破損されないように保護されることが必要になる。本発明に係る実施形態では、コネクタC1、C2を保護するため、長手方向軸X−Xに沿って延びるように略円筒形状の本体12を有し、この本体12の内部にコネクタC1、C2を挟み込めるように防護具10を構成する。添付した図2は、図1に示した防護具10を単体で示している。これら図に示すように、防護具10は、所定の長さにわたってコネクタC1、C2の外周を覆うように構成されている。本体12は所望の強度を備えるように(例えば、踏まれてもいいように)剛性の材料から形成されるが、好ましくは金属材料から形成される。具体例を示すと、本体12はアルミ鋳物により形成されて、所望の強度を備えるとともに、軽量化を達成できるようにする。さらに、アルミ鋳物を利用することで、原材料の再利用を可能にして、環境問題にも対応できるようにする。但し、鉄や他の金属材料を利用して、本体10を形成することは可能である。
【0017】
図示した実施形態では、本体12は、円筒形状の長手方向軸X−Xに沿って二つに分かれるように、第一、第二本体部部14a、14bから構成されており、図1や2に示す閉鎖状態(第一と第二の本体部14a、14bを組付けた状態)と、図3や4に示す開放状態(第一と第二の本体部14a、14bの組付けを解除した状態)の間で、防護具10を開閉自在に構成している。通常、第一と第二の本体部14a、14bは同様に構成されるが、以下、説明を容易にするため、第一と第二の本体部14a、14bに備えられる共通の部品や部位は、符合aとbを用いて夫々区別する。図3を参照すると、第一、第二本体部14a、14bは略半円筒形状を有し、一方の縁部側で互いにヒンジ状に接続されて、防護具10を開閉自在にしている。このヒンジ状の接続は様々に構成できるが、例えば、第一、第二本体部部14a、14bの縁部側に、対に当接するように凸状に突出した接続部16a、16bを設けて、これら接続部16a、16bに同軸上に並ぶように穴を機械加工して、これら穴の中に接続ピン18を取付ける。接続ピン18は長手方向軸X−Xに沿って延び、この接続ピン18を中心として、第一、第二本体部14a、14bが互いにヒンジ状に移動できるようにする。尚、図示した実施形態では、ヒンジ状の接続部16a、16b、18は第一、第二本体部14a、14bの側部上に二組設けられているが、この数や大きさや取付位置、さらにはこの構成に修正や変形を加えることは可能である。
【0018】
図1及び3に示すように、本発明の実施形態では、防護具10の内部にコネクタC1、C2を収容できるように、本体12の内面側にコネクタ取付用の座を設けている。具体的には、第一、第二本体部14a、14bの内面側に夫々、凹状部20a、20bを備えており、第一、第二本体部14a、14bを閉鎖状態で組付けた際、内部に中空室S(図1参照)を構成できるようにしている。中空室Sの形状は、この内部に取付けられるコネクタC1、C2の外部形状に合わせて定められている。図示した実施形態では、中空室Sは左右対称に構成されて、コネクタC1、C2の取付方向を問わず、内部にコネクタC1、C2を収容できるようにしている。さらに、凹状部20a、20bの端部側により内径の小さな(又は肉厚の)領域22a、22bを設けて、この領域22a、22bに環状の溝部24a、24bを設けるとともに、この中に可撓性又は弾力性のシール部材26a、26bを取付けている。このシール部材26a、26bは、具体的には、コネクタC1、C2の外部形状に合わせて半分に切断されたOリングの対からなる。そして、図1に示すように、防護具10を閉鎖させて、コネクタC1、C2を挟持させるとき、各Oリング26a、26bの内面がコネクタC1、C2の外面に対して押圧されて、防護具10とコネクタC1、C2の間が隙間なくシールされるようにしている。このOリング26a、26bの内径の大きさは、対応するコネクタC1、C2の領域の外径と等しいか、幾分小さいように定められている。
【0019】
このようにシール部材26a、26bを用いて防護具10の端部側の領域22a、22bでコネクタC1、C2を挟持させることにより、防護具10の本体12とコネクタC1、C2が直接当接して、アルミ鋳物とコネクタC1、C2のがたつきによる接触で両者が磨耗することを防ぐようにしている。また、弾力性のシール部材26a、26bを用いてコネクタC1、C2を圧着させることで、コネクタC1、C2に位置外れが生じることを防いでいる。さらに、シール部材26a、26bを用いることで、外部環境から泥や塵等の異物が防護具10内に侵入することを防ぐようにしている。尚、図示した構成は例示的に示したものであって、コネクタC1、C2の挟持領域22a、22bの位置や大きさ、形状、さらに使用されるシール部材26a、26bの位置や個数等は、実施形態に応じて様々に修正や変形を加えることができる。また、図示した実施形態では、防護具10の端部側の領域22a、22bの外面側をテーパ付けているが、他、防護具10の設置作業を容易にするように、本体12の外面に様々な加工を施すことは可能である。また、コネクタC1、C2は、通常、防水機能を完備しているため、コネクタC1、C2と防護具10の間にはさらなる防水機能を備える必要はないことを理解されたい。
【0020】
通常、防護具10は、コネクタC1、C2の接続部1箇所を防護するタイプ(保安器なしタイプ)と、コネクタC1、C2の中間に保安器Dが挿入され接続部2箇所を防護するタイプ(保安器ありタイプ)の2種類に大別される。後者の場合には、図1及び3に示すように、第一、第二本体部14a、14bの内部、特に円筒形の筒の中央部に保安器Dを保持するためのガイド部28a、28bを設けることが好ましい。このガイド部28a、28bは、保安器Dの外部形状に従って、保安器Dを位置決めするのに適切なように形成される。図1及び3に示す実施形態では、第一、第二本体部14a、14bの凹状部20a、20bの内面から内側に向って凸状に隆起するようにガイド部28a、28bを形成している。このガイド部28は、保安器Dを直接支持するように構成されていてもよく、または、シール部材や緩衝部材等を介して、保安器Dを支持するように構成されていてもよい。また、コネクタC1、C2の中間に保安器Dを挿入させるタイプでは、接続領域が比較的長く延びるため、防護具10の中央に上述のような肉厚のガイド部28a、28bを設けることで、防護具10の強度を高める効果がある。尚、上記保安器なしタイプの防護具10については、添付した図6及び7に例示されている。この際、図6は図2に示した防護具10の閉鎖状態に対応し、図7は図3に示した防護具10の開放状態に対応している。図6及び7に示した防護具10は、保安器Dを保持するためのガイド部28a、28bの有無を除いて、特に図1〜4に示した防護具10と同様に構成されるため、図6及び7に示した防護具10に関するさらなる説明は省略する。
【0021】
上述したように、本発明の実施形態では、防護具10の閉鎖状態(図1、2、6参照)と開放状態(図3、4、7参照)の間を任意に選択できるように、第一、第二本体部14a、14bをヒンジ状に接続させているが、第一、第二本体部14a、14bを互いに組み付けた後、この閉鎖状態を固定するための手段を備える。図示した実施形態では、この固定手段として、第一、第二本体部14a、14bの外面上に止め金具30a、30bを設けている。この止め金具30a、30bは様々に構成することができるが、例えば、図4に示すように、第一、第二本体部14a、14bのいずれか一方に設けた係止雌部32a、32bと、第一、第二本体部14a、14bのいずれか他方に設けた係止雄部34b、34aの対から構成する。具体的には、係止雌部32a、32bは係止用の金具部として、細長いアーム部36a、36bの端部上に取付けられ、また、このアーム部36a、36bの反対側の端部を第一、第二本体部14a、14bのいずれか一方にヒンジ状に取付ける。このアーム部36a、36bは、第一、第二本体部14a、14bの外面上で円周状に延びるように弧状に構成されている。係止雄部34a、34bはフック部として構成されて、第一、第二本体部14a、14bのいずれか他方に固定されて、このフック部34a、34bに対して係止用の金具部32b、32aを引っ掛けて、フック状に係止できるようにしている。添付した図5は、上記止め金具30の固定状態を拡大して示している。また、添付した図8は、上記止め金具30を単体で示している。尚、これら図では、第一、第二本体部の区別a、bをせずに、部品番号を示している。
【0022】
この止め金具30a、30bの操作について簡単に説明すると、内部にコネクタC1、C2を収容するように第一、第二本体部14a、14bを互いに組み付けて、防護具10を開放状態(図3、4、7参照)から閉鎖状態(図1、2、6参照)まで移行させた後、アーム部36a、36bをヒンジ状の接続部38a、38bを中心として回転させて、係止用の金具部32a、32bをフック部34b、34a、に向わせて、フック部34b、34a上に金具部32a、32bを引っ掛ける(図5参照)。この際、フック部34b、34aから金具部32a、32bが容易に外れないように様々な手段を講じていてもよい。例えば、アーム部36a、36bを金属の剛性材料から細長く形成する。そして、フック部34b、34a上に金具部32a、32bを引っ掛ける際、アーム部36a、36bをこの湾曲形状を反らすように外側に向って強制させて、金具部32a、32bをフック部34b、34a上に引っ掛けた直後、アーム部36a、36b自身の弾性力によって再度内側に向って湾曲するように付勢させる。さらに、操作部48a、48bを用いて、フック部34b、34a上から金具部32a、32bが外れないように機構的に固定させて、外力が加えられない限り、金具部32a、32bがフック部34b、34a上できつく固定されたまま保たれるようにしてもよい。このように止め金具30a、30bを構成することで、本発明に係る実施形態では、防護具10の内部にコネクタC1、C2を取付けて、第一、第二本体部14a、14bを閉鎖状態で組付けた後、防護具10の閉鎖状態を固定することができる。従って、本発明に係る実施形態では、コネクタC1、C2に対して保護部10を取付ける際、複数の部品や工具の管理を要することなく、迅速かつ容易に取付けと解体を行うことができるため、夜間に信号機の配線作業を行うのに非常に好適なものになっている。さらに、本発明に係る実施形態では、上記手順を逆に行うことで、止め金具30a、30bの解除を迅速かつ容易に行うことができるため、防護具10を繰り返し再利用することができ、コスト面でも非常に優れたものになっている。
【0023】
さらに、図示した実施形態では、上記止め金具30a、30bは本体12の外面上に露出されるため、止め金具30a、30bが外部環境によって損傷を被るおそれを防ぐように手段を講じている。例えば、図示した実施形態では、本体12の外面上に円周方向に延びるように溝部40a、40bを設けて、本体12の外面上にアーム部36a、36bを位置決めすることを容易にしている。また、使用時には、この溝部40a、40b内にアーム部36a、36bを収容させることで、外部環境からアーム部36a、36bを保護できるようにしている。この溝部40a、40bの幅と深さは、アーム部36a、36bを内部に収容するのに適切なように定められる。また、図示した実施形態では、アーム部36a、36bのヒンジ状の取付部38a、38bの両側に、本体12の外面上から外側に隆起するようにガード部42a、42bを設けている。アルミ鋳物により本体12を形成する場合には、このガード部42a、42bはアルミ鋳物の肉盛り部でもよい。図8に示すように、好ましくは、この肉盛り部42a、42bの大きさは、アーム部36a、36bのヒンジ状の取付部38a、38bを外部環境から保護するのに適切なように定められる。このように、本発明に係る好適な実施形態では、止め金具30a、30bを外部環境から保護する手段を備えて、例えば、信号設備の設置上、ケーブルU1、U2を何らかの理由で移動させるとき、防護具10が追随して移動しても外部に露出した止め金具30a、30bに折損等が生じないようにしている。
【0024】
また、本発明に係る好適な実施形態では、上記止め金具30a、30bを少なくとも二つ以上備えて、不測の事態により、仮に一つの止め金具30a、30bが損傷する自体が生じても、防護具10の閉鎖状態が保たれるようにする。さらに、本発明に係る好適な実施形態では、特に図9に示すように、防護具10に二組の止め金具30a、30bを備える際、各止め金具30a、30bを本体部14a、14bの周方向に、互いに反対側に備えている。例えば、一方の止め金具30aを第一本体部14a上にヒンジ状に固定するとともに、第二本体部14bに対して解除自在なようにフック状に固定されるようにする。また、他方の止め金具30bを第二本体部14b上にヒンジ状に固定するとともに、第一本体部14aに対して解除自在なようにフック状に固定されるようにする。このように、図示した実施形態では、二組の止め金具30a、30bを本体部14a、14b上に周方向に、互いに反対側に備えて、外部環境から及ぼされる負荷によって、仮に一方の止め金具30aが損傷するおそれが生じても、反対側に設けられた止め金具30bが損傷しないようにしている。尚、図示した実施形態は例示的に示したものであって、これら止め金具30a、30bの位置、個数及び取付方向に修正や変形を加えることは可能である。
【0025】
さらに、本発明に係る好適な実施形態では、防護具10の固定状態をより確実に維持させるため、本体12の外面上に固定錠、例えば南京錠等で鎖錠するための穴50a、50bを設ける。例えば、第一、第二本体部14a、14bの側部上に凸状の膨出部52a、52bを設けるとともに、これら膨出部52a、52bに夫々穴50a、50bを機械加工して、図2に示すように、第一、第二本体部14a、14bを閉鎖させたときに、各穴50a、50bが同軸上に並ぶようにする。そして、上記止め金具30a、30bによって第一、第二本体部14a、14bを閉鎖状態で固定させた後、各穴50a、50bを通るように南京錠等の固定錠を取付けて、第一、第二本体部14a、14bの固定状態をロックさせる。尚、添付した図には、固定錠は示されていない。このため、使用時には、防護具10の内部にコネクタC1、C2を収容して、本体12を開放状態から閉鎖状態まで移行させた後、上記止め金具30a、30bを用いて閉鎖状態を固定させることに加えて、上記南京錠等によってこの固定状態をさらに鎖錠するように2重に固定させる。従って、防護具10の閉鎖状態をより確実に保つことができ、第三者が容易に防護具10を開けることができないようにする。尚、添付した図には、南京錠等の固定錠で鎖錠するための穴50a、50bが一組みだけ示されているが、この数、位置や形状等に修正や変形を加えることは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】内部にコネクタを取付けた状態で示した、本発明の実施形態に係る防護具の断面図である。
【図2】図2に示した防護具の閉鎖状態の斜視図である。
【図3】図2に示した防護具の開放状態の斜視図である。
【図4】図3に示した防護具の背面側の斜視図である。
【図5】図2に示した止め金具の要部拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る防護具の閉鎖状態の斜視図である。
【図7】図6に示した防護具の開放状態の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る止め金具の側面図である。
【図9】図2のIX−IX線から見た、一組の止め金具の取付状態を示した図である。
【符号の説明】
【0027】
C1、C2 コネクタ
D 保安器
10 防護具
12 本体
14a、14b 第一、第二本体部部
20a、20b 凹状部
26a、26b シール部材(Oリング)
30a、30b 止め金具
40a、40b 溝部
42a、42b ガード部(肉盛り)
50a、50b 南京錠用の穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号設備ケーブルコネクタ用の防護具であって、開閉自在に構成され、内面側に前記コネクタを収容する第一と第二の剛性の本体部を有し、前記第一と第二の本体部を閉鎖したとき、前記コネクタをシール部材によって挟持するように、前記第一と第二の本体部の端部側の内面側に溝部を設けるとともにこの内部に前記シール部材を取付け、さらに、前記防護具の閉鎖状態を固定するように、前記第一と第二の本体部に止め金具が備えられていることを特徴とするケーブルコネクタ用防護具。
【請求項2】
前記第一と第二の本体部に設けられる止め金具付近に、肉盛り部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のケーブルコネクタ用防護具。
【請求項3】
前記第一と第二の本体部に前記止め金具を少なくとも二つ備え、さらに、前記二つの止め金具を前記本体部の周方向に、互いに反対側に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブルコネクタ用防護具。
【請求項4】
前記第一と第二の本体部に、固定錠を取付けるための穴を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のケーブルコネクタ用防護具。
【請求項5】
前記第一と第二の本体部は、アルミ鋳物により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のケーブルコネクタ用防護具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−196300(P2006−196300A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6406(P2005−6406)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000144348)株式会社三工社 (48)
【Fターム(参考)】