説明

ケーブル位置情報管理システム、装置、方法およびプログラム

【課題】マンホール内に敷設されたケーブル類の移動量、またはマンホール内を流れる水の水位、周囲の温度、ガス濃度をマンホールの蓋を開けずに取得することができること。
【解決手段】特有の情報を保持する複数の無線タグをその表面に付着したケーブルと、電波を遮蔽する物質からなり、少なくとも1つの穿った穴を有する電波遮断板と、無線アンテナを有し、前記無線タグが有する情報を読み取る無線アンテナ付リーダと、無線タグの情報を受信する手段と、その受信した内容を記憶する手段と、取得した無線タグの情報を通信ネットワークを介して通知する手段と、を備えた携帯端末と、通信ネットワークを介して携帯端末より通知される無線タグの情報内容を取得する手段と、前記受信した無線タグの情報を記憶する手段と、前記無線タグの情報によりケーブルの位置情報を取得しケーブルの位置情報を保存する手段と、を備えたサーバとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内に敷設されている電力ケーブルなどケーブル類の本来設置されている位置からの移動量を測定するケーブル位置情報管理システム、装置、方法およびプログラムに関し、特に一本のケーブルに複数の無線タグを付着させ、さらにケーブルに沿う箇所に穴を穿った電波を遮断する物質から成る電波遮断板をその無線タグを覆うように配置し、その穿った穴から受信される無線タグからの電波より無線タグを特定し、本来受信されるはずの無線タグ情報または前回受信された無線タグの情報により本来の設置された位置からの移動量を算出することを可能にするケーブル位置情報管理システム、装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール内に敷設しているケーブルは、車両の通行などにより移動するが、その移動量を測定する際には、その都度マンホールの蓋を開けて調査を行っている。また、マンホールの蓋を開けないとマンホール内の状態は不明であるため、作業を行うに際し、それが必要かどうかに拘わらず必要とされる排水用のポンプや排気用のファンなどの機材の予約を行うことも必要であった。
【0003】
また、これまでのマンホール内のケーブルの測定装置として、特許文献1においてマンホール内に交錯するようにして多数引き回されたケーブル類等の円形長尺部材の引き回し経路を三次元的に測定するための円形長尺部材の経路測定装置に関する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2000−131050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来行っている、マンホールの蓋を開けて作業を行う方法では、特にマンホールが車道に設置されている場合は、交通規制を長時間行う必要があった。また、夜間作業を行うにしても現場作業員が必要であり作業員の確保と工数が必要であった。蓋を開けて必要が無いと判明した機材も予定を急に変更するのは難しいため当日の他の作業に使い回すこともできなかった。
【0005】
また、上記特許文献1で提案されている技術では、敷設したケーブルの移動量の測定などは行っていない。
【0006】
本発明は、上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、ケーブルの位置情報や移動量などを管理するに際して、マンホールの蓋を開けずに行うケーブル位置情報管理システム、装置、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係わるケーブル位置情報管理システムは、無線タグを用いてケーブルの位置情報を特定するシステムであって、特有の情報を保持する複数の無線タグをその表面に付着したケーブルと、前記ケーブルを覆って設置され、電波を遮蔽する物質からなり、少なくとも1つの穿った穴を有する電波遮断板と、無線のアンテナを有し、前記無線タグが有する情報を読み取る無線アンテナ付リーダと、前記の無線アンテナ付リーダからの前記無線タグの情報を受信する無線タグ情報受信手段と、その受信した内容を無線タグ情報データベースに記憶する無線タグ情報記憶手段と、取得した無線タグの情報を通信ネットワークを介して通知する無線タグ情報通知手段と、を備えた携帯端末と、通信ネットワークを介して前記携帯端末より通知される前記無線タグの情報内容を取得する無線タグ情報取得手段と、前記受信した無線タグの情報をサーバ内無線タグ情報データベースに記憶するサーバ内無線タグ情報記憶手段と、前記無線タグの情報によりケーブルの位置情報を取得しケーブルの位置情報を保持するケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得手段と、を備えたサーバと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、マンホールの蓋を開けること無くマンホール内などに敷設されているケーブルに付着させた無線タグの特有な情報を取得し、通信ネットワークを介してサーバなどに取得した情報を通知することができるので、敷設したケーブルの調査に要する時間および工数を削減することができる。
【0009】
好ましくは、前記ケーブル位置情報データベースより過去からの移動量を算出するケーブル移動量算出手段とを備えるように構成する。
【0010】
本発明によれば、ケーブルの移動量を過去のデータと比較して求めることができるので、移動量の大きさをチェックする必要がある場合に調査する時間および工数を削減して行うことができる。
【0011】
さらに好ましくは、前記ケーブル移動量算出手段は、前記算出したケーブルの移動量が予め定めた値より大きい場合は異常と検出し、予め定めた宛先に通知するように構成するもの良い。
【0012】
本発明によれば、取得したケーブルの移動量が予め定めた閾値を超過した場合は異常が発生したと自動的に判定して、予め定めた宛先に異常が発生したことを通知することができるので、異常発生時の対応を素早く行うことが可能となる。
【0013】
また、前記ケーブルは複数存在し、前記ケーブル移動量算出手段は、隣接したケーブルの移動量と比較して予め定めた閾値を越えている場合は異常と判定し通知を行う機能を有するように構成するのも好ましい。
【0014】
本発明によれば、複数のケーブルがマンホール内などに敷設されている場合に、隣接するケーブルの状態が予め定めた閾値を超過した場合は異常が発生したと自動的に判定して通知を行うことができるので、さまざまな異常事態を検出することが可能となり、それらの異常事態に迅速に対応することが可能となる。
【0015】
さらに、前記無線タグは、水位、温度、ガス濃度を測定するセンサ機能を有するセンサ部を備え、前記無線タグ情報受信手段は、無線アンテナ付リーダを用いて前記センサ部が測定した水位、温度、ガス濃度を取得し、前記無線タグ情報記憶手段は、前記取得した水位、温度、ガス濃度を無線タグ情報データベースに記憶する機能を有し、前記無線タグ情報通知手段は、前記記憶した水位、温度、ガス濃度を通信ネットワークを介して通知する機能を有し、前記無線タグ情報取得手段は、通知される水位、温度、ガス濃度を取得し、サーバ内無線タグ情報記憶手段は取得した水位、温度、ガス濃度をサーバ内無線タグ情報データベースに保存する機能を有するように構成するのも好ましい。
【0016】
本発明によれば、マンホール内の水位、温度、ガス濃度などをマンホールの蓋を開けることなく取得しデータベースに保存することができるので、作業を行う必要が無く調査だけが目的の場合はマンホールの蓋を開けるのに必要な交通整理などに要する時間を少なくすることができる。また、情報を自動的に取得するため情報の保存も容易となり工数を削減することができる。
【0017】
好ましくは、前記サーバは、前記取得した水位、温度、ガス濃度により、作業に必要となる機器を特定する作業機材特定手段と、を備えるように構成する。
【0018】
本発明によれば、取得したマンホール内の水位、温度、ガス濃度により作業に必要となる機材を特定することができるので、作業機材を効率良く使用することが可能となる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係わるケーブル位置情報管理装置は、無線タグを用いてケーブルの位置情報を特定する装置であって、ケーブルに付着する無線タグからの情報を受信する無線タグ情報受信手段と、前記受信した無線タグの情報を無線タグ情報データベースに保存する無線タグ情報記憶手段と、前記記憶した無線タグ情報よりケーブルの位置情報を取得しケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報算出手段と、前記保存された過去の位置情報と比較してケーブルの移動量を算出するケーブル移動量算出手段と、を備えたことを特徴とする
【0020】
さらに、前記ケーブル移動量算出手段は、前記算出したケーブルの移動量が予め定めた値より大きい場合は異常と検出し、予め定めた宛先に通知するように構成するのも好ましい。
【0021】
さらに好ましくは、前記ケーブルは複数存在し、前記ケーブル移動量算出手段は、隣接したケーブルの移動量と比較して予め定めた閾値を越えている場合は異常と判定し通知を行う機能を有すると、を備えるように構成する。
【0022】
また、前記無線タグ情報受信手段は、前記無線タグより通知される測定された、水位、温度、ガス濃度を取得し、前記取得した水位、温度、ガス濃度を無線タグ情報データベースに保存する機能を有するように構成するのも好ましい。
【0023】
さらに、前記取得した水位、温度、ガス濃度により、作業に必要となる機器を特定する作業機材特定手段と、を備えるように構成するのも好ましい。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明に係わるケーブル位置情報管理方法は、無線タグより情報を受信し通信ネットワークを介してサーバに通知する携帯端末と、通信ネットワークよりスケジュールを管理するスケジュール管理サーバと、携帯端末が通信可能に接続され、特有の情報を保持する複数の無線タグをその表面に付着したケーブルと、前記ケーブルを覆って設置され、電波を遮蔽する物質からなり、少なくとも1つの穿った穴を有する電波遮断板と、無線のアンテナを有し、前記無線タグが有する情報を読み取る無線アンテナ付リーダとを用いたケーブル位置情報管理方法であって、前記携帯端末に、無線アンテナ付リーダからの前記無線タグの情報を受信する無線タグ情報受信ステップと、その受信した内容を無線タグ情報データベースに記憶する無線タグ情報記憶ステップと、取得した無線タグの情報を通信ネットワークを介して通知する無線タグ情報通知ステップとを含み、前記サーバに、通信ネットワークを介して前記携帯端末より通知される前記無線タグの情報内容を取得する無線タグ情報取得ステップと、前記受信した無線タグの情報をサーバ内無線タグ情報データベースに記憶するサーバ内無線タグ情報記憶ステップと、前記無線タグの情報によりケーブルの位置情報を取得しケーブルの位置情報を保存するケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得ステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明に係わるケーブル位置情報管理方法は、無線タグより受信する情報を用いてケーブルの位置情報を特定する方法であって、ケーブルに付着する無線タグからの情報を受信する無線タグ情報受信ステップと、前記受信した無線タグの情報を無線タグ情報データベースに保存する無線タグ情報記憶ステップと、前記記憶した無線タグ情報よりケーブルの位置情報を取得しケーブルの位置情報を保存するケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得ステップと、前記保存された過去の位置情報と比較してケーブルの移動量を算出するケーブル移動量算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0026】
上記目的を達成するため、本発明に係わるケーブル位置情報管理プログラムは、無線タグより情報を受信しケーブルの位置情報を特定する携帯端末上で動作するプログラムであって、ケーブルに付着する無線タグからの情報を受信する無線タグ情報受信処理と、前記受信した無線タグの情報を無線タグ情報データベースに保存する無線タグ情報記憶処理と、前記記憶した無線タグ情報よりケーブルの位置情報を取得しケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得処理と、前記保存された過去の位置情報と比較してケーブルの移動量を算出するケーブル移動量算出処理と、を携帯端末上で動作させることを特徴とする。
【0027】
好ましくは、前記プログラムにおいて、前記ケーブル移動量算出処理は、前記算出したケーブルの移動量が予め定めた値より大きい場合は異常と検出し、予め定めた宛先に通知するように構成する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、マンホールの蓋にアンテナ付リーダをかざすだけでマンホール内に敷設されている電力ケーブルなどのケーブル類の移動量および無線タグにセンサ部が備えられている場合は、マンホール内の水位、温度、ガス濃度などの情報を取得することができるので、交通規制は短時間で済ませることができ、水抜き作業やガス排出作業に必要な機材も判明するので、作業を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明の第1の実施の形態に係わる全体の接続構成を示す。本ケーブル位置情報管理システム1は、通信ネットワーク4を介して、ケーブル8の位置情報の管理を行うケーブル位置情報管理サーバ2と本システムを利用する作業者が携帯する携帯端末5とが通信可能に接続されている。携帯端末5にはケーブル8もしくは赤外線、無線、ブルートゥースなどにて制御されるアンテナ付きの無線タグリーダであるアンテナ付リーダ6が接続されている。また図1に示す本実施の形態では、ケーブル8はマンホールの下部に敷設されており、その上部にホール72を穿った電波遮蔽板73が設置されている。ケーブル8には無線タグ9が付着しており、ホール72の面に向くように置かれている。
【0030】
図1に示す実施の形態において、作業者が携帯端末5を用いてアンテナ付リーダ6をマンホールの蓋71の上部にかざすとアンテナ付リーダとホール72の直線状に位置する無線タグ9のどれかが磁気的(電磁誘導)に反応し、その反応した無線タグ9が有する特有な情報をアンテナ付リーダ6は取得することができる。取得した反応を示した無線タグ9の特有な情報はアンテナ付リーダ6から有線の接続ケーブルもしくは無線にて携帯端末5に通知され、携帯端末5は取得した無線タグ9の情報を内部に記憶し、もしくは記憶することなく無線タグ9の情報を通信ネットワーク4を介してある通信プロトコルに従ってケーブル位置情報管理サーバ2に通知する。ケーブル位置情報管理サーバ2は取得した無線タグ9の特有な情報を内部に保存する。
【0031】
前記直線状からずれた位置に存在する他の無線タグ9は、電波遮蔽板73により遮蔽され電磁誘導を行うことが無い。ケーブル8上に付着する無線タグ9の中でもホール72とアンテナ付リーダ6の直線上に存在する無線タグ9のみが反応する。故に、無線タグ9を例えばある一定間隔に付着させ、各々の無線タグ9には識別可能な特有の情報を記録しておき、反応する時にその特有な情報を通知するようにし、作業ごとに反応を示した無線タグ9の情報を記録しておくことでケーブル8の移動量を算出することができることになる。また、その作業ごとの情報は携帯端末5およびケーブル位置情報管理サーバ2の少なくともいずれか一方が保存しておくことで後から参照することが可能になる。
【0032】
図2は、ケーブル8がマンホールの側面に上下に敷設された場合の設置例である。図2の(1)は、マンホールの中の断面図であり、図2の(2)は上部から見た上面図である。本設置の場合は、上部からのケーブル8の無線タグ9の情報を真上から読み取れるように、タグをずらして設置している。図2の(2)から分かるように、電波遮蔽板73は3枚が無線タグ9の位置する上部に上下に設置され、それぞれ無線タグ9に対して垂直な方向にホール72が開けられている。
【0033】
下の2段のケーブル8には無線タグ9を垂直な上部より見ることが可能であるようにケーブル8の上にさらに板を載せ、さらにその上に無線タグ9を載せることで対応している。また、図25に示すようにアンテナ付リーダ6をかざす場所が垂直ではなく斜めである場合は、アンテナ付リーダ6に垂直に向くようにケーブル8に対して無線タグ9を斜め方向に付着させ、電波遮蔽板73も同様にアンテナ付リーダ6と垂直になる位置に設置することも可能である。
【0034】
図3に、本発明の第1の実施の形態に係わるケーブル位置情報管理システム1の機能ブロック図を示す。図3において、ケーブル位置情報管理システム1は、通信ネットワーク4を介してケーブル位置情報管理サーバ2、携帯端末5が相互に通信可能に構成されている。ここで、ケーブル位置情報管理システム1は、ケーブル8の管理を行う電力会社、ケーブルの管理サービスを行い運営を行っている会社、またはサービス事業者などにより管理、運営される。
【0035】
ケーブル位置情報管理サーバ2は、通信ネットワーク4を介してデータの送受信を行うための送受信部12、送受信部12から受け取ったデータの処理、およびその他のさまざまな処理を行う中央演算処理部13、データを記憶するための記憶部14、および、中央演算処理部13との間でデータの入出力を行う入力部15と表示部16から構成されている。入力部15と表示部16はマンマシンインタフェースの機能を有する部分である。送受信部12は通信プロトコルの機能を有する部分である。
【0036】
本実施の形態におけるケーブル位置情報管理サーバ2は、入力部15および表示部16を備えているが、本システムへの入出力は図示していないシリアル回線もしくは通信ネットワーク4を経由して外部から行われることも可能である。
【0037】
さらに、中央演算処理部13は、送受信部12との間でデータの受け渡しを行う送受信処理手段(機能)131、入力部15あるいは表示部16とデータの受け渡しを行う入出力処理手段(機能)132、入出力処理手段(機能)132または送受信処理手段131を介して受信した利用者情報、宛先情報、閾値情報などの情報を登録する情報登録手段(機能)133、携帯端末5から受信される無線タグ情報を受信し取得する無線タグ情報取得手段(機能)134、取得した無線タグ情報を記憶部14に記憶するサーバ内無線タグ情報記憶手段(機能)135、取得した無線タグ9の情報によりケーブル8の位置情報を取得するケーブル位置情報取得手段(機能)136、取得したケーブル8の位置情報によりケーブル8の移動量を算出するケーブル移動量算出手段(機能)137、センサ機能を有する無線タグ9から情報により作業を行う際に必要となる機材を特定する作業機材特定手段(機能)138から構成される。
【0038】
また、記憶部14は、本ケーブル位置情報管理システム1の利用者である利用者の情報を保存する利用者情報データベース(DB)141、ケーブル8の移動量が予め定めていた閾値を超過した場合などに通知する宛先などを保存する宛先情報データベース(DB)142、取得した無線タグ9の情報を保存するサーバ内無線タグ情報データベース(DB)143、取得したケーブル8の位置情報を保存するケーブル位置情報データベース(DB)144、前述の予め定めた危険な移動量などを特定する閾値情報データベース(DB)145、ケーブル8に付随するマンホール内の水位、温度、ガス濃度などの情報を保存するケーブル環境データベース(DB)146、前述のマンホール内の水位、温度、ガス濃度などの情報により作業に必要な機材を特定する作業機材特定ファイル147から構成されている。ケーブル環境情報DB146に保存される内容は、サーバ内無線タグ情報DB143内に存在していても良いが本実施の形態では別のデータベースとして取り扱っている。
【0039】
携帯端末5は、マンホール内のケーブル8の位置情報を測定するのに作業者が携帯する端末である。通信ネットワーク4を介して、データの送受信を行うための送受信部52、送受信部52からのデータの処理を行う中央演算処理部53、データを記憶するための記憶部54、中央演算処理部53との間でデータの入出力を行う入力部55と表示部56、通信ネットワーク4と通信を行うための無線のアンテナ57、無線タグ9からの情報を受信するアンテナ付リーダとのインタフェース機能を有する無線タグリーダIF58から構成されている。
【0040】
さらに、中央演算処理部53は、送受信部52との間でデータの受け渡しを行う送受信処理手段(機能)531、入力部55あるいは表示部56とデータの受け渡しを行う入出力処理手段(機能)532、入出力処理手段(機能)532を介して無線タグ9の情報を受信する無線タグ情報受信手段(機能)533、受信した無線タグ9の情報を無線タグ情報データベース(DB)543に記憶する無線タグ情報記憶手段(機能)534、受信した無線タグ9の情報をケーブル位置情報管理サーバ2に通知する無線タグ情報通知手段(機能)535から構成される。
【0041】
また、記憶部54は、アンテナ付リーダ6より無線タグリーダIF58を介して取得した無線タグ9の情報を保存する無線タグ情報デーベース(DB)543から構成されている。上記無線タグ情報DB543の内容は、ケーブル位置情報管理サーバ2内のサーバ内無線タグ情報DB143と同じものであっても良いし、サブセットであっても良い。
【0042】
無線タグ9は、無線を用いて通信を行う無線通信部91、無線タグ9の特有情報やセンサ部93が取得した各種情報を記憶する記憶部92、マンホール内の水位、温度、ガス濃度などの情報を取得するセンサ部93から構成されている。
【0043】
また、図26に携帯端末5の画面例を示す。携帯端末5のディスプレイ部261内の上部から、マンホールの情報表示画面であることおよびマンホールの名称を示す部分262、マンホールの場所を示す部分263、ケーブルの移動量を表示する部分264、マンホール内の水位を示す部分265、マンホール内のガス濃度を示す部分266が表示されている。
【0044】
通信ネットワーク4は、利用者が独自に敷設した専用の通信網または、通信事業者から借り受けた回線をある定めた通信プロトコルを用いてスケジュール管理サーバ2、携帯端末5を接続する通信網である。例えば、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、FTTH(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)、広域LAN(Local Area Network)などの回線を使用することが可能である。また、通信ネットワーク4は、無線LANのネットワークおよび無線LANの基地局などを含んでいるものとする。
【0045】
図4は、ケーブル8の移動量を算出する原理を説明するケーブル8の側面図である。図4は、予め定めた間隔などでケーブル8の伸長方向のケーブル8の表面上に無線タグ9を付着させているケーブル8の上部に、電波を遮蔽する性質を有する板に1つの穴であるホール72をケーブル8の伸長方向の上部に無線タグ9の間隔程度の大きさに穿った電波遮蔽板73で覆っている状況を示している。
【0046】
ケーブル8がケーブル8の伸長方向に移動するとホール72から観察することが可能な無線タグ9のIDが変化する。図4では、この状態では無線タグIDが「4」の情報を受信することができるが、ケーブル8がdir1方向に移動した場合は、無線タグIDが「5」以上の無線タグ9の情報を受信し、dir2方向に移動する場合は無線タグIDが「3」以下の無線タグ9の情報を受信することになる。また無線タグIDが「5」の情報を受信した場合は、ケーブル8が距離dis1の距離分移動したということが判明することになる。
【0047】
図5は、本ケーブル位置情報管理システム1を管理するシステムの管理者などの利用者の各種情報を保存する利用者情報DB151のデータ構成例を示す。利用者情報DB151には、利用者を示す利用者IDごとに「利用者名」、利用者の「住所」、利用者の携帯電話を含む「電話番号」、利用者の「電子メールアドレス」、本ケーブル位置情報管理システム1へのパスワードなどが保存されている
【0048】
図6は宛先情報DB142のデータ構成例を示す。ケーブル8の移動量が予め定めておいた閾値を越えた場合などに通知する通知先と、通知方法として電話、電子メール、FAX、および前記通知方法に従って電話番号、電子メールアドレス、FAX番号などの通知宛先が保存されている。本データは情報登録手段133にて追加・変更・削除が可能である。
【0049】
図7は、受信した無線タグ9の情報をそのまま保存するサーバ内無線タグ情報DB143のデータ構成例である。本実施の形態では、ケーブル8を識別するケーブルIDごとにそのケーブル8が通っているマンホールのマンホールIDを関連付けて、調査を行った日とその日に検出された無線タグ9の情報を保存するものである。このようにケーブル8のIDとマンホールのIDで調査を行う場所に存在するケーブル8の特定を行うものである。
【0050】
図8は、ケーブル8の位置情報を保存するケーブル位置情報DB144のデータの構成例を示す。ケーブル8の位置情報は、ケーブルIDとマンホールIDごとにその本来の位置にて検出される無線タグのIDと、調査した日ごとに実際に検出された無線タグ9のIDが保存される。
【0051】
図9は、ケーブル8の移動量の閾値情報を保存する閾値情報DB145のデータ構成例である。ケーブルIDおよびマンホールIDにより特定されるケーブル8の本来の位置を示す検出される無線タグ9のIDと、そのケーブル8において安全な移動量の範囲を閾値として保存している。
【0052】
図10は、マンホール内のケーブル8に付着する無線タグ9がセンサ機能を有し、そのセンサによって検出したマンホール内の水の水位、温度、ガスの濃度を保存するケーブル環境DB146のデータ構成例である。ケーブルIDとマンホールIDで特定されるマンホール内のケーブル8の調査した日付、その時に検出された無線タグ9のID、マンホール内の水の水位、温度、ガス濃度などが保存される。
【0053】
図11は、作業を行うに際して、無線タグ9から得られた情報を用いてそのマンホール内で必要となる機材を特定するのに使用される作業機材特定ファイル147のデータ構成例である。水位、温度、ガス濃度という項目についてさまざまな閾値が存在し、本実施の形態においては、例えば水位が50cmを越えた場合は排水ポンプと長靴が必要であるということを意味している。
【0054】
第1の実施の形態におけるケーブル位置情報管理システム1は以上のように構成され、以下にその動作をフローチャートなどを用いて説明する。
【0055】
[1. 情報の登録]
図12は、ケーブル位置情報管理システム1にて使用する情報を登録する「情報登録ルーチン」の動作の処理手順を示すフローチャートである。本動作は情報登録手段133が行う動作であり、以下図12を用いて処理を説明する。利用者の情報・宛先情報・閾値情報、作業機材特定ファイルなどの情報の登録は、ケーブル位置情報管理サーバ2の入力部15および表示部16に接続されているキーボードや画面を用いて直接登録を行う。
【0056】
図示していないシリアル回線などを用いてパソコンを端末として使用して接続するか、社内のLAN(Local Area Network)や通信ネットワーク4を介して外部からネットワーク越しに接続してログインして設定を行ったりすることも可能である。ネットワークを経由して情報の設定を行う場合は、セキュリティを強化してIDおよびパスワードの送信およびデータの送受信情報を暗号化を行うことが望ましい。以下、電力のケーブル位置情報管理サーバ2に直接つながっているキーボードを用いて登録を行う場合の処理手順について図12を用いて説明する。
【0057】
まず、キーボードを操作して本ケーブル位置情報管理システム1(実際はケーブル位置情報管理サーバ2に接続される)に対してログイン要求を行う(S121b)。ケーブル位置情報管理サーバ2はログイン要求を受信し(S121a)、システムへログインするためのIDとパスワードの要求を行う(S122a)。ID/パスワードの要求は表示部16を介してモニタ画面などに表示され(S122b)、操作者が入力したID/パスワードの内容がケーブル位置情報管理サーバ2に通知され(S123b)、ケーブル位置情報管理サーバ2は情報を受信する(S123a)。
【0058】
ケーブル位置情報管理サーバ2は、利用者情報DB141内の利用者IDとパスワード情報を取得し、受信したID/パスワードと合致しているかを判定する(S124a)。ID/パスワードが合致しない場合は、ステップS122aに戻り再度上記処理を繰り返す。ID/パスワードが合致するとケーブル位置情報管理サーバ2は、作業の選択画面などを送信する(S125a)。本画面にて各種情報の登録を選択することができる。
【0059】
操作者のモニタ画面には受信した選択画面が表示され(S124b)、操作者が選択した内容として利用者情報、宛先情報、閾値情報、作業機材特定ファイルなどの情報の登録作業を選択したことが通知される(S125b)。要求を受信した(S126a)情報登録手段133は、前述の利用者情報、宛先情報、閾値情報、作成機材特定ファイルに関連する情報などの入力画面を作成し、表示部16を通して操作者が扱っている画面に表示させる(S127a)。
【0060】
操作者は画面(S126b)を見ながら利用者情報、宛先情報、閾値情報、作業機材特定ファイルに関連する情報などをキーボードで入力する。入力された情報は入力部15を介して情報登録手段133に通知される(S127b)。情報登録手段133は、入力された(S128a)利用者情報、宛先情報、閾値情報、作業機材特定ファイルに関連する情報などを、それぞれ、利用者情報DB141、宛先情報DB142、閾値情報DB145、作業機材特定ファイル147に登録する(S129a)。次に情報登録手段133は、入力を継続するか終了するかを選択する画面を作成して画面に表示する(S12Aa)。
【0061】
画面に表示された画面を見て(S128b)、操作者が選択した内容が入力部15より情報登録手段133に通知される(S129b、S12Ba)。受信した内容を判定(S12Ca)して、終了が選択された場合は本ルーチンを終了する。継続が選択された場合(S12Caのnoのルート)は、ステップS127aに戻り、処理終了が選択されるまで上記動作を繰り返す。
【0062】
なお、本実施の形態においてはステップS12Aaにて入力を終了するか継続するかを判定するような構成になっているが、継続して行わなければならないような登録内容の時は上記のS12Aa〜12Caに記載のステップの動作は行わず直ちにステップS127aに戻って継続して入力情報を打ち込む画面を送信する動作を行う。また、入力する情報の登録が済んだ場合は、別の画面に遷移するなどその他の手順が行われても良い。
【0063】
[2. 無線タグ情報の取得]
図13は、作業者が携帯端末5を用いてマンホール内に敷設されているケーブル8の情報を得るためにアンテナ付リーダをマンホールの方向にかざしてケーブル8に付着している無線タグ9の情報を得た後に通信ネットワーク4を介して通知される無線タグ9の情報を取得する時に動作する「無線タグ情報取得ルーチン」の動作の処理手順を示すフローチャートである。本動作は、無線タグ情報取得手段134が行う動作であり、以下図13を用いて処理を説明する。
【0064】
携帯端末5は無線を用いて受信した無線タグ9の情報をケーブル位置情報管理システム1のサーバであるケーブル位置情報管理サーバ2に通知する(S131b)。無線タグ情報を受信したケーブル位置情報管理サーバ2は、まず、「ケーブルID」、「マンホールID」、「無線タグ情報」をパラメータとして「サーバ内無線タグ情報記憶ルーチン」を起動する(S132a)ことで受信した無線タグ情報を記憶部14内のサーバ内無線タグ情報DB143に保存する。
【0065】
次に、「ケーブルID」、「マンホールID」、「無線タグ情報」をパラメータとして「ケーブル位置情報取得ルーチン」を起動(S133a)することで取得した無線タグ情報と本来見ることが可能な無線タグ情報を比較することで位置情報を取得する。本実施形態の場合は取得する無線タグ9の情報を位置情報として取り扱っている。
【0066】
また本実施の形態では、無線タグ9の情報としてそれぞれの無線タグ9の位置情報などをデータとして保持することでその情報より位置情報を取得することが可能である。次に、「ケーブルID」、「マンホールID」、「無線タグ情報」をパラメータとして「ケーブル移動量算出ルーチン」を起動(S134a)してケーブルIDおよびマンホールIDに対応するケーブル8の移動量を算出する。
【0067】
次に、無線タグ9の情報として、マンホール内の水位、温度、ガス濃度などが取得されているか判定し(S135a)、取得されている場合は、ケーブルIDおよびマンホールIDに対応するケーブル環境DB146の該当欄に水位、温度、ガス濃度を登録し(S136a)、「ケーブルID」、「マンホールID」、「無線タグ情報」をパラメータとして「作業機材特定ルーチン」を起動(S137a)することで作業に必要な機材を特定する。無線タグ9の情報を得た時には以上のような手順で処理が行われる。
【0068】
[3. 無線タグ情報の保存]
図14は、受信した無線タグ9の情報をサーバ内無線タグ情報DB143に保存する「サーバ内無線タグ情報記憶ルーチン」の動作の処理手順を示すフローチャートである。本動作は、サーバ内無線タグ情報記憶手段135が行う動作であり、以下図14を用いて処理を説明する。まずサーバ内無線タグ情報DB143にアクセスする(S141)。
【0069】
次にケーブルIDとマンホールIDより対応するエリアにアクセスする(S142)。次に受信した無線タグ9の情報を対応するエリアに保存する(S143)。入力に関してエラーが発生していないかを判定(S144)して、エラーが発生していた場合はエラー通知を行い(S145)処理を終了する。エラーがない場合はそのまま処理を終了する。
【0070】
無線タグ9がセンサ部93を有し、マンホール内の水位、温度、ガス濃度などが通知される場合は、本実施の形態においては、ケーブル環境DB146の対応するエリアに取得したマンホール内の水位、温度、ガス濃度などを保存する処理も本ルーチンにて行われても良い。
【0071】
[4. ケーブルの位置情報の取得]
図15は、携帯端末5から受信した無線タグ情報によりケーブル8の位置情報を取得する「ケーブル位置情報取得ルーチン」が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。本動作は、ケーブル位置情報取得手段136が行う動作であり、以下図15を用いて処理を説明する。まず、サーバ内無線タグ情報DB143にアクセスし、ケーブルID、マンホールIDに対応する現在の無線タグIDを取得する(S151)。次に、ケーブル位置情報DB144のケーブルID、マンホールIDに対応する現在位置の欄に取得した無線タグIDを保存し(S152)処理を終了する。
【0072】
[5. ケーブルの移動量の算出]
図16は、取得した無線タグ情報と過去の情報によりケーブル8が移動した距離を算出する「ケーブル移動量算出ルーチン」が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。本動作は、ケーブル移動量算出手段137が行う動作であり、以下図16を用いて処理を説明する。
【0073】
まず、ケーブル位置情報DB144よりケーブルID、マンホールIDに対応する本来その位置にあるべき無線タグIDを取得する(S161)。次に、現在の無線タグIDと本来その位置にあるべき無線タグ情報との差分を算出し、ケーブル位置情報DB144のケーブルID、マンホールIDに対応する「移動量」の項目に本来の位置からのずれを保存する(S162)。次に閾値情報DB145に予め指定されている値を満足するかを判定する(S163)。
【0074】
満足する場合は、今回算出した本来の位置からの「移動量」を出力し(S166)、処理を終了する。満足しない場合は、危険な状態に陥っているかもしれないので宛先情報DB142より予め定めていた通知する宛先を取得し(S164)、本来の位置からの「移動量」と閾値を越えてしまったことを、電話、メール、FAXなどで通知(S165)して処理を終了する。
【0075】
電話またはFAXで通知する場合は、CTI(Computer Telephony Integration)技術と、PBX(Private Branch eXchange)およびIVR(Interactive Voice Response)を用いて、予め登録している電話番号に自動的に発信し、相手先が応答した時に予め録音していた音声を流すか、またはFAX用のファイルを送信することで通知することが可能である。また、VoIP(Voice Over IP)技術を用いて同様に行うことも可能である。メールで通知する場合は、予め登録しているメールアドレスを宛先として、予め用意している内容もしくは、予め用意している内容に伝えたい事項として例えば、取得したケーブルの移動量などを追記するなどしてメールサーバに対して送信要求を行うことで可能である。
【0076】
[6. 作業用の機材の特定]
図17は、無線タグ9がセンサの機能を有する時に無線タグ9より通知されるマンホール内の水位、温度、ガス濃度などにより作業に必要となる作業機材を特定する「作業機材特定ルーチン」が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。本動作は、作業機材特定手段138が行う動作であり、以下図17を用いて処理を説明する。
【0077】
まず、ケーブルID、マンホールIDに対応するケーブル環境DB146を参照し、水位、温度、ガス濃度を取得する(S171)。次に、作業機材特定ファイル147より、水位、温度、ガス濃度の閾値と必要な作業機器を取得する(S172)。次に取得された環境項目より処理を分岐する(S173)。項目が「水位」であった場合、温度であった場合、ガス濃度であった場合、共にまず予め登録されている閾値内に入っているかを判定する(S174、S176、S178)。閾値の範囲内であれば何もせずに処理を終了する。閾値の範囲外であれば、必要な作業機材を作業機材特定ファイル14より抽出し出力する(S175、S177、S179)。上記に示した手順にて作業に必要な機材を抽出する。
本発明による第1の実施の形態は以上のように構成され動作する。
【0078】
本発明によれば、マンホールに敷設されているケーブル8の移動量およびマンホール内の温度やガス濃度などをマンホールの蓋を開けることなく取得することができるので、マンホールの蓋を開けることによる交通規制を行う必要がなく、工数も削減でき社会生活に与える影響を小さくすることができる。また調査は簡単にできるので作業上必要となる機材も直ぐに判明するため効率よく作業用機材を取り扱うことができる。
【0079】
次に第2の実施の形態について以下に説明する。図18は、第2の実施の形態であるケーブル位置情報管理装置である携帯端末5の機能ブロック図を示している。本実施の形態では、第1の実施の形態のように、外部にケーブル8の位置情報の管理を行うケーブル位置情報管理サーバ2を設置することなく携帯端末5がケーブル位置情報管理装置として機能するように構成したものである。
【0080】
図18において図3の携帯端末5と比較して、中央演算処理部53内にケーブル位置情報算出手段536、ケーブル移動量算出手段537、作業機材特定手段538が追加され、また無線タグ情報通知手段535が削除され、記憶部54内に宛先情報DB542、ケーブル位置情報DB544、閾値情報DB545、ケーブル環境DB546、作業機材特定ファイル547が追加されているところが異なる部分である。
【0081】
中央演算処理部53内の追加された手段および記憶部54内に追加されたDBは第1の実施の形態で行った説明と同様な内容である。
本発明による第2の実施の形態は以上のように構成され動作する。
【0082】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態とは異なり、中央でサーバを用いて管理を行うのではなく、各端末装置にケーブル8の位置情報を管理する機能の全てを持たせることができるので、無線で通信ネットワーク4に接続するための電波が届かない作業場所でも作業を行うことができる。また、ケーブル位置情報管理サーバ2が何らかの理由で使用できない場合でもケーブル位置情報管理装置である携帯端末5だけで作業を行うことが可能となる。
【0083】
なお第1の実施の形態の携帯端末5が第2の実施の形態のケーブル位置情報管理装置の機能を有していても良い。無線による通信ができる場合は、中央のケーブル位置情報管理サーバ2が管理を行い、通信ができない場合は携帯端末5が管理を行い、その後同期処理などを行いデータベースの内容を同じにすることが可能である。
【0084】
次に第3の実施の形態について以下に説明する。図19は、マンホール内に複数のケーブル8が敷設されている場合のマンホール内の構造を示す。ケーブル8はマンホールの底面に複数並べられて敷設され、その上部にケーブル8に対応してホール72が開けられた電波遮蔽板73が覆っている。アンテナ付リーダ6をかざすことで複数の穿ったホール72から無線タグ9の情報を取得することができる。無線タグ9は少なくともそのマンホール内では唯一の情報を有するように構成することでそれぞれのケーブル8の位置と移動量を測定することが可能である。
【0085】
図20は、ケーブル位置情報管理サーバ2の機能ブロック図を示している。本実施の形態では、第1の実施の形態と比較して中央処理演算部13内に隣接ケーブルによる異常検出手段139が追加され、記憶部14内に隣接ケーブル異常検出ファイル148が追加されていることが異なる。
【0086】
図21は、第3の実施の形態におけるケーブル位置情報DB144のデータ構成例である。本実施の形態では、複数のケーブル8の移動量により異常を検出するために、マンホールIDごとに調査した日付に対してそのマンホールに敷設されている複数のケーブル8の「本来位置」、「現状位置」、「移動量」がそれぞれ保存されている。
【0087】
図22は、隣接ケーブル異常検出ファイル148のデータ構成例である。本ファイルは、隣接しているケーブル8のそれぞれの移動量などの状態により異常を発見するためのファイルであり、項目とその閾値が登録されている。本実施の形態としては、項目としては、隣接にケーブル間の距離が閾値である10cm以下であったり、30cm以上であった場合や、隣接しているケーブル間でそのねじれている方向が異なったりしていた場合などに異常と判断するようにしている。
【0088】
第3の実施の形態におけるケーブル位置情報管理システム1は以上のように構成され、以下、第1の実施の形態と異なる部分のみ、その動作をフローチャートなどを用いて説明する。
【0089】
[7. 隣接ケーブルの状態による異常検出]
図23は、ケーブル移動量算出ルーチンの第3の実施の形態における例であり、第1の実施の形態と比較して、フローチャートの最後との部分にて「隣接ケーブルによる異常検出ルーチン」を起動するステップS231の部分が追加されているのが異なっている。
【0090】
図24は、隣接するケーブル8において異常を検出する「隣接ケーブルによる異常検出ルーチン」の動作の処置手順を示すフローチャートである。本動作は隣接ケーブルによる異常検出手段139が行う動作であり、以下図24を用いて処理を説明する。まず、一つのケーブル8について隣接ケーブル異常検出ファイルに記載の項目に合致する情報を有するか判定し(S241)、合致すれば(S242のyesのルート)合致した項目をバッファに出力し(S243)、合致しない(S242のnoのルート)場合は何も行わずに、次に隣接ケーブル異常検出ファイルの項目の処理がすべて終了したかを判定する(S244)処理に進む。
【0091】
全ての項目の処理が終了していなければ次の項目を指定(S245)してステップS241に戻り上記処理を全ての項目の処理が終了するまで繰り返す。全ての項目の処理が終了していれば(S244のyesのルート)、合致した項目を全てのケーブル分出力(S246)して処理を終了する。上記ステップS241〜S246の動作をマンホール内の全てのケーブルについて行う。
本発明による第3の実施の形態は以上のように構成され動作する。
【0092】
本実施の形態によれば、マンホール内に複数のケーブル8が敷設されていた場合、それぞれの移動量などの状態により各ケーブル8の異常状態を判定することができるので、異常が発生する以前に対応を行うことができる。
【0093】
なお本実施の形態において、マンホール内に敷設されるケーブルについて述べているが、土中に埋設されるケーブルにおいても無線タグの情報が無線にて収集可能であれば対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるケーブル位置情報管理システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わるケーブルの設置例である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わるケーブル位置情報管理システムを構成するケーブル位置情報管理サーバ、携帯端末、無線タグの機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わるケーブルの移動量の測定原理を示す図である。
【図5】図2の利用者情報DBのデータ構成例である。
【図6】図2の宛先情報DBのデータ構成例である。
【図7】図2のサーバ内無線タグ情報DBのデータ構成例である。
【図8】図2のケーブル位置情報DBのデータ構成例である。
【図9】図2の閾値情報DBのデータ構成例である。
【図10】図2のケーブル環境DBのデータ構成例である。
【図11】図2の作業機材特定ファイルのデータ構成例である。
【図12】図2の情報登録手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図2の無線タグ情報取得手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】図2のサーバ内無線タグ情報記憶手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】図2のケーブル位置情報取得手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図2のケーブル移動量算出手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図2の作業機材特定手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係わるケーブル位置情報管理装置の機能ブロック図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係わるケーブル位置情報管理システムの複数ケーブル敷設時の移動量の測定方法を示す図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係わるケーブル位置情報管理システムを構成するケーブル位置情報管理サーバの機能ブロック図である。
【図21】図20のケーブル位置情報DBのデータ構成例である。
【図22】図20の隣接ケーブル異常検出ファイルの構成例である。
【図23】図20のケーブル移動量算出手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】図20の隣接ケーブルによる異常検出手段が行う動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第1ないし3のいずれか一に記載の実施の形態に係わるケーブルの設置例である。
【図26】本発明の第1ないし3のいずれか一に記載の実施の形態にかかわる携帯端末の画面例である。
【符号の説明】
【0095】
1 ケーブル位置情報管理システム
4 通信ネットワーク
5 携帯端末
6 アンテナ付リーダ
8 ケーブル
9 無線タグ
12、52 送受信部
13、53 中央演算処理部
14、54 記憶部
15、55 入力部
16、56 表示部
57 アンテナ
58 無線タグリーダIF
71 マンホールの蓋
72 ホール
73 電波遮断板
131 送受信処理手段
132 入出力処理手段
133 情報登録手段
134 無線タグ情報取得手段
135 サーバ内無線タグ情報記憶手段
136 ケーブル位置情報取得手段
137 ケーブル移動量算出手段
138 作業機材特定手段
139 隣接ケーブルによる異常検出手段
141 利用者情報(データベース)DB
142 宛先情報(データベース)DB
143 サーバ内無線タグ情報(データベース)DB
144 ケーブル位置情報(データベース)DB
145 閾値情報(データベース)DB
146 ケーブル環境(データベース)DB
147 位置情報特定ファイル
148 隣接ケーブル異常検出ファイル
531 送受信処理手段
532 入出力処理手段
533 無線タグ情報受信手段
534 無線タグ情報記憶手段
535 無線タグ情報通知手段
536 ケーブル位置情報算出手段
537 ケーブル移動量算出手段
538 作業機材特定手段
542 宛先情報(データベース)DB
543 無線タグ情報(データベース)DB
544 ケーブル位置情報(データベース)DB
545 閾値情報(データベース)DB
546 ケーブル環境(データベース)DB
547 位置情報特定ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを用いてケーブルの位置情報を特定するシステムであって、
特有の情報を保持する複数の無線タグをその表面に付着したケーブルと、
前記ケーブルを覆って設置され、電波を遮蔽する物質からなり、少なくとも1つの穿った穴を有する電波遮断板と、
無線のアンテナを有し、前記無線タグが有する情報を読み取る無線アンテナ付リーダと、
前記の無線アンテナ付リーダからの前記無線タグの情報を受信する無線タグ情報受信手段と、その受信した内容を無線タグ情報データベースに記憶する無線タグ情報記憶手段と、取得した無線タグの情報を通信ネットワークを介して通知する無線タグ情報通知手段と、を備えた携帯端末と、
通信ネットワークを介して前記携帯端末より通知される前記無線タグの情報内容を取得する無線タグ情報取得手段と、前記受信した無線タグの情報をサーバ内無線タグ情報データベースに記憶するサーバ内無線タグ情報記憶手段と、前記無線タグの情報によりケーブルの位置情報を取得しケーブルの位置情報を保持するケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得手段と、を備えたサーバと、
を備えたことを特徴とするケーブル位置情報管理システム。
【請求項2】
前記ケーブル位置情報データベースより過去からの移動量を算出するケーブル移動量算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のケーブル位置情報管理システム。
【請求項3】
前記ケーブル移動量算出手段は、前記算出したケーブルの移動量が予め定めた値より大きい場合は異常と検出し、予め定めた宛先に通知することを特徴とする請求項2に記載のケーブル位置情報特定システム。
【請求項4】
前記ケーブルは複数存在し、
前記ケーブル移動量算出手段は、隣接したケーブルの移動量と比較して予め定めた閾値を越えている場合は異常と判定し通知を行う機能を有することを特徴とする請求項2または3に記載のケーブル位置情報管理システム。
【請求項5】
前記無線タグは、水位、温度、ガス濃度を測定するセンサ機能を有するセンサ部を備え、
前記無線タグ情報受信手段は、無線アンテナ付リーダを用いて前記センサ部が測定した水位、温度、ガス濃度を取得し、
前記無線タグ情報記憶手段は、前記取得した水位、温度、ガス濃度を無線タグ情報データベースに記憶する機能を有し、
前記無線タグ情報通知手段は、前記記憶した水位、温度、ガス濃度を通信ネットワークを介して通知する機能を有し、
前記無線タグ情報取得手段は、通知される水位、温度、ガス濃度を取得し、サーバ内無線タグ情報記憶手段は取得した水位、温度、ガス濃度をサーバ内無線タグ情報データベースに保存する機能を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載のケーブル位置情報管理システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記取得した水位、温度、ガス濃度により、作業に必要となる機器を特定する作業機材特定手段と、
を備えた特徴とする請求項5に記載のケーブル位置特定システム。
【請求項7】
無線タグを用いてケーブルの位置情報を特定する装置であって、
ケーブルに付着する無線タグからの情報を受信する無線タグ情報受信手段と、
前記受信した無線タグの情報を無線タグ情報データベースに保存する無線タグ情報記憶手段と、
前記記憶した無線タグ情報よりケーブルの位置情報を取得しケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報算出手段と、
前記保存された過去の位置情報と比較してケーブルの移動量を算出するケーブル移動量算出手段と、
を備えたことを特徴とするケーブル位置情報管理装置。
【請求項8】
前記ケーブル移動量算出手段は、前記算出したケーブルの移動量が予め定めた値より大きい場合は異常と検出し、予め定めた宛先に通知することを特徴とする請求項7に記載のケーブル位置情報管理装置。
【請求項9】
前記ケーブルは複数存在し、
前記ケーブル移動量算出手段は、隣接したケーブルの移動量と比較して予め定めた閾値を越えている場合は異常と判定し通知を行う機能を有することを特徴とする請求項8に記載のケーブル位置情報管理装置。
【請求項10】
前記無線タグ情報受信手段は、前記無線タグより通知される測定された、水位、温度、ガス濃度を取得し、前記取得した水位、温度、ガス濃度を無線タグ情報データベースに保存する機能を有することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一に記載のケーブル位置情報管理装置。
【請求項11】
前記取得した水位、温度、ガス濃度により、作業に必要となる機器を特定する作業機材特定手段と、
を備えた特徴とする請求項10に記載のケーブル位置情報管理装置。
【請求項12】
無線タグより情報を受信し通信ネットワークを介してサーバに通知する携帯端末と、通信ネットワークよりスケジュールを管理するスケジュール管理サーバと、携帯端末が通信可能に接続され、特有の情報を保持する複数の無線タグをその表面に付着したケーブルと、前記ケーブルを覆って設置され、電波を遮蔽する物質からなり、少なくとも1つの穿った穴を有する電波遮断板と、無線のアンテナを有し、前記無線タグが有する情報を読み取る無線アンテナ付リーダとを用いたケーブル位置情報管理方法であって、
前記携帯端末に、無線アンテナ付リーダからの前記無線タグの情報を受信する無線タグ情報受信ステップと、その受信した内容を無線タグ情報データベースに記憶する無線タグ情報記憶ステップと、取得した無線タグの情報を通信ネットワークを介して通知する無線タグ情報通知ステップとを含み、
前記サーバに、通信ネットワークを介して前記携帯端末より通知される前記無線タグの情報内容を取得する無線タグ情報取得ステップと、前記受信した無線タグの情報をサーバ内無線タグ情報データベースに記憶するサーバ内無線タグ情報記憶ステップと、前記無線タグの情報によりケーブルの位置情報を取得しケーブルの位置情報を保存するケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得ステップと、
を含むことを特徴とするケーブル位置情報管理方法。
【請求項13】
無線タグより受信する情報を用いてケーブルの位置情報を特定する方法であって、
ケーブルに付着する無線タグからの情報を受信する無線タグ情報受信ステップと、
前記受信した無線タグの情報を無線タグ情報データベースに保存する無線タグ情報記憶ステップと、
前記記憶した無線タグ情報よりケーブルの位置情報を取得しケーブルの位置情報を保存するケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得ステップと、
前記保存された過去の位置情報と比較してケーブルの移動量を算出するケーブル移動量算出ステップと、
を含むことを特徴とするケーブル位置情報管理方法。
【請求項14】
無線タグより情報を受信しケーブルの位置情報を特定する携帯端末上で動作するプログラムであって、
ケーブルに付着する無線タグからの情報を受信する無線タグ情報受信処理と、
前記受信した無線タグの情報を無線タグ情報データベースに保存する無線タグ情報記憶処理と、
前記記憶した無線タグ情報よりケーブルの位置情報を取得しケーブル位置情報データベースに保存するケーブル位置情報取得処理と、
前記保存された過去の位置情報と比較してケーブルの移動量を算出するケーブル移動量算出処理と、
を携帯端末上で動作させることを特徴とするケーブル位置情報管理プログラム。
【請求項15】
前記ケーブル移動量算出処理は、前記算出したケーブルの移動量が予め定めた値より大きい場合は異常と検出し、予め定めた宛先に通知することを特徴とする請求項14に記載のケーブル位置情報管理プログラム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図1】
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【図2】
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【図19】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−170865(P2007−170865A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365445(P2005−365445)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】