説明

コア安定化マイクロカプセル、それらの調製法及びそれらの使用

本発明は、金属酸化物シェル内に封入された少なくとも1種の活性剤をコアが含む、コア安定化マイクロカプセル、それらを調製するための方法、マイクロカプセルを含む比較、及びマイクロカプセルの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化されたコアを有するマイクロカプセル、それらの調製法及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の公表文献は、本発明の技術分野の状況を説明するのに関連があると考えられる:米国特許第5500223号、米国特許第6303149号、米国特許第6238650号、米国特許第6468509号、米国特許第6436375号、米国特許第6337089号、米国特許第5891476号、独国公開第102004017221号、国際公開第2008134908号、米国特許第6,270,836号、国際公開第2008/133482号、国際公開第2005097056号、S.A.F.Bon et al.,Pickering Stabilization as a Tool in the Fabrication of Complex Nanopatterned Silica Microcapsules,Langmir,23: 9527−9530,2007、C.A.Prestidge et al.Nanoparticle encapsulation of emulsion droplets,International Journal of Pharmaceutics 324:92−100,2006、International Journal of Pharmaceutics,vol.126(2000)219−222、J.Volkhard et al.J.Microencapsulation,18(2),149−152,2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、金属酸化物シェル内に封入されたコアを有するマイクロカプセルを調製する方法を提供し、前記方法は:
(a)水相中で、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含む油相を乳化することによって水中油型エマルジョンを調製する工程であって、前記油相及び水相のうちの少なくとも一方はゾル−ゲル前駆体を含む工程;
(b)前記エマルジョンをマイクロカプセル形成条件に暴露して、それにより前記マイクロカプセルを得る工程
を含む。
【0004】
本発明の一つの実施態様では、少なくとも1種の金属酸化物ナノ粒子を、工程(a)の乳化前、乳化中、又は乳化後に、前記水相に加える。
【0005】
更に、本発明は、本発明の方法によって得ることができるマイクロカプセルも提供する。
【0006】
その態様のうちの別の一つでは、本発明は、金属酸化物シェルによって封入されたコアを含むマイクロカプセルを提供し、ここで前記コアは、約300cP〜約1,000,000cP(様々な条件下で測定したとき、例えば本明細書で下記されているような条件下で測定したとき)の粘度を有し、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含み;前記金属酸化物シェルの厚さが0.1〜10ミクロンの範囲であり;また、前記シェルは、加水分解され、且つ重合されたゾル−ゲル前駆体から得られる。一つの実施態様では、前記コアは、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含む。他の実施態様では、本発明の前記マイクロカプセルの前記シェルは、(a)金属酸化物ナノ粒子、及び(b)加水分解され、且つ重合されたゾル−ゲル前駆体から得られる。
【0007】
本発明は、更に、本発明のマイクロカプセルを含む組成物を含む。
【0008】
更なる態様では、本発明は、本方法を必要としている対象における表面状態を治療するための方法を提供し、そして前記方法は、前記対象に本発明の組成物を局所投与することを含む。
【0009】
本発明は、更に、座瘡、感染、炎症、掻痒症、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、酒さ及びそれらの組合せから選択される疾患、障害又は状態を治療するための本発明のマイクロカプセルを含む組成物も提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、局所投与される組成物を調製するために、本発明のマイクロカプセルを使用することを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、金属酸化物シェルを有するマイクロカプセルを得るための方法に関する発見に基づいており、ここで前記マイクロカプセルのコアの中への相変化材料の組み込みにより、前記マイクロカプセルのコアにおいて封入された活性剤に予期外の安定性がもたらされる。
【0012】
いくつかの実施態様では、本発明は、いくつかの実施態様において金属酸化物ナノ粒子をゾル−ゲル前駆体と組み合わせて用いて、安定な水不溶性コア上に厚くて濃密なコーティングを得るための方法を提供し、ここで前記コア中に組み込まれる相変化材料の添加により、封入された活性剤に対して、そしてそれらを含む医薬組成物に対して、更なる安定性パラメータが提供される。
【0013】
従って、本発明の一つの態様では、金属酸化物シェル内に封入されたコアを含むマイクロカプセルを調製する方法が提供され、前記方法は:
(a)水相中で、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含む油相を乳化することによって水中油型エマルジョンを調製する工程であって、前記油相及び水相のうちの少なくとも一方はゾル−ゲル前駆体を含む工程;
(b)前記エマルジョンをマイクロカプセル形成条件に暴露して、それにより前記マイクロカプセルを得る工程
を含む。
【0014】
本発明では、「コア」とは、マイクロカプセルの金属酸化物シェルによって両方とも囲まれている、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含むマイクロカプセルの内部を指している。例えば担体、賦形剤、薬学的に許容可能なポリマー又は塩などを含む追加の化合物が、すべて製造されるマイクロカプセルの意図される使用に従って前記コア中に存在していてもよい点に留意するべきであり、そしてそのことは、前記マイクロカプセルを調製する当業者には明らかであろう。本発明の前記マイクロカプセルのコアは、前記少なくとも1種の活性剤及び少なくとも1種の相変化材料を含んでいてもよい。
【0015】
いくつかの実施態様では、室温での前記コアの粘度は、約300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、900cP、1000cP、2000cP、3000cP、4000cP、5000cP、6000cP、7000cP、8000cP、9000cP、10,000cP、20,000cP、30,000cP、40,000cP、50,000cP、60,000cP、70,000cP、80,000cP、90,000cP、100,000cP、200,000cP、300,000cP、400,000cP、500,000cP、600,000cP、700,000cP、800,000cP、900,000cP又は1,000,000cPであり得る(様々な条件下で測定したとき)。いくつかの実施態様では、室温での前記コアの粘度は、約300〜600cPである。他の実施態様では、室温での前記コアの粘度は、約400〜500cPである。更なる実施態様では、室温での前記コアの粘度は、約300〜10,000cPである。他の実施態様では、室温での前記コアの粘度は、約5,000〜1,000,000cPである。いくつかの更なる実施態様では、室温での前記コアの粘度は、約20,000〜1,000,000cPである。
【0016】
本発明の他の実施態様では、前記コアは、室温で、固体であってもよい。他の実施態様では、前記コアは、室温で、半固体相であってもよい。
【0017】
本発明の方法によって利用される油相は、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含む。前記少なくとも1種の活性剤は、前記少なくとも1種の活性剤を含む水不溶性液体の形態又は水不溶性液体中の分散液の形態であってもよい。
【0018】
油相は、液状水不溶性活性成分により構成されていてもよく;別の活性成分であるか又は担体として機能する第二の水不溶性液体に溶解及び/又は分散された第一の液体の水不溶性活性成分を含んでいてもよい。別の実施態様では、前記油相は、別の活性成分であるか又は担体として機能する水不溶性液体中に溶解及び/又は分散された固体活性成分を含んでいてもよい。
【0019】
用語「水不溶性液体」又は「水不溶性液体中分散液」は、室温(20〜25℃)における、約1%w/w未満、好ましくは0.5%w/w、及び最も好ましくは0.15%w/wの液体(その中に含まれ、溶解され且つ/又は分散された成分を含む)の水中での溶解度を指している。
【0020】
従って、固体又は液体の成分に関係なく、コア中に含まれる構成成分は、室温(20〜25℃)で、約1%w/w未満、好ましくは0.5%w/w、及び最も好ましくは0.15%w/wの溶解度を有する。水不溶性液体は、例えば、スクアラン油、ポリジメチルシロキサン、鉱油、ヒマシ油、アロマティック200、及びそれらの混合物であり得る。
【0021】
本発明において、「ゾル−ゲル前駆体」という用語は、現場重合(無機ゾルゲル重合法)によりガラス又はセラミック材料を得ることができるあらゆる金属又は半金属の有機金属モノマー又はそのプレポリマー(一緒に重合された幾つかのモノマーを意味している)を指している。好ましくは、ゾル−ゲル前駆体は、金属又は半金属の有機金属モノマー(例えば金属又は半金属アルコキシドモノマー)である。
【0022】
本発明では、「活性成分」という用語は、医薬又は化粧品で用いることができ、そして最終製品(化粧品、薬剤など)に少なくとも一つの所望の特性を付与するあらゆる分子又は物質を指している。いくつかの実施態様では、1種の活性剤を、本発明の方法によって得られる前記マイクロカプセル中に封入する。他の実施態様では、少なくとも2種の異なる活性剤を、本発明の方法によって得られる前記マイクロカプセル中に封入する。他の実施態様では、少なくとも2種の異なる活性剤を、本発明の方法によって独立に又は同時に得られる別々のマイクロカプセル中に封入する。
【0023】
本明細書で用いる「金属酸化物ナノ粒子」とは、本質的に金属酸化物から成るか、又は完全に金属酸化物から成る実質的に純粋な金属酸化物ナノ粒子を指している。いくつかの実施態様では、金属酸化物ナノ粒子は、有機材料、特にポリスチレンを含まない。
【0024】
用語「相変化材料」(PCM)は、その物質の状態(相)又は少なくともその粘度を、それが晒される温度に従って変えることができるあらゆる物質を包含していることを意味している。PCMは、典型的には、特定の温度で溶融させ、そして凝固させることができる高い融解熱を有し、また、大量のエネルギーを貯蔵及び放出できる。PCM材料が、固体から液体へと及びその逆に液体から固体へと変化する際に、熱が吸収又は放出される。PCMが、それらの相又は粘度(例えばそれらの溶融温度)を変える温度に達すると、PCMは、ほぼ一定の温度で大量の熱を吸収する。PCMは、すべての材料が液相に変換されるまで、有意に温度上昇せずに、熱を吸収し続ける。液体材料周辺の周囲温度が低下すると、PCMは凝固し、その貯蔵された潜熱を放出する。本発明のある実施態様に従って、本発明の方法によって使用される相変化材料は、有機物質であって、本発明の方法によって使用されるいかなる化合物に関しても非反応性であり、そして、室温で、前記PCMは、約300cP〜1,000,000cP(様々な条件下で測定したとき)の粘度を有するという事実によって特徴づけられる。いくつかの実施態様では、前記PCMの粘度は、室温で、300cP、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、900cP、1000cP、2000cP、3000cP、4000cP、5000cP、6000cP、7000cP、8000cP、9000cP、10,000cP、20,000cP、30,000cP、40,000cP、50,000cP、60,000cP、70,000cP、80,000cP、90,000cP、100,000cP、200,000cP、300,000cP、400,000cP、500,000cP、600,000cP、700,000cP、800,000cP、900,000cP又は1,000,000cPであり得る(様々な条件下で測定したとき)。
【0025】
一つの実施態様では、前記少なくとも1種の相変化材料は、天然又は合成パラフィン[例えばC2n+2(前記式中n=10〜100である)の分子式を有する]、C10〜C100アルカン、C10〜C100アルケン(少なくとも1つの二重結合を有する)、C10〜C100アルキン(少なくとも1つの三重結合を有する)、脂肪族アルコール[例えばCH(CHOH(式中、n=10〜100である)分子式を有する]、及び脂肪酸[例えばCH(CHCOOH(式中、n=10〜100である)の分子式を有する]、又はそれらの任意の組み合わせから選択する。
【0026】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の相変化材料は、少なくとも1種の天然又は合成パラフィンである。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の相変化材料は、C10〜C100脂肪族アルコール(他の実施態様ではC10、C20、C30、C40、C50、C60、C70、C80、C90〜C100脂肪族アルコール)である。更なる実施態様では、前記少なくとも1種の相変化材料は、C10〜C100脂肪族脂肪酸(他の実施態様ではC10、C20、C30、C40、C50、C60、C70、C80、C90〜C100脂肪族脂肪酸)である。
【0027】
一つの実施態様では、前記PCMは、約35℃〜約60℃、より好ましくは35℃〜約45℃の範囲の温度で、液化される(又は、少なくとも、実質的に若しくは部分的に液化、柔軟若しくは半固体とされ、本発明の方法によって処理され得る)。
【0028】
本発明の方法によって使用できる相変化材料の例としては:カルナウバワックス(融点82〜86℃)、純粋な蜜蝋(融点61〜65℃)、蜜蝋ホワイトピュア(融点61〜65℃)、蜜蝋ブリーチトテクニカル(Beeswax bleached technical)(融点61〜65℃)、漂白されたモンタンワックス(融点80〜86℃)、漂白され部分的に鹸化されたモンタンワックス(融点99〜105℃)、モンタン酸(融点81〜87℃)、合成炭化水素蝋(融点106〜114℃)、マイクロクリスタリンワックス(融点89〜95℃)、マイクロクリスタリンワックス(融点76〜82℃)、部分的に鹸化されたハードワックス(融点104〜109℃)、蜜蝋イエロー(融点61〜66℃)、ポリッシングワックス(融点78〜84℃)、カスターワックス(融点83〜89℃)、マイクロワックス(融点89〜95℃)、マイクロワックス(融点80〜86℃)、マイクロワックス(融点76〜82℃)、オゾケライト(融点72〜79℃)、マイクロクリスタリンワックス、プラスチック(融点76〜82℃)、マイクロクリスタリンワックス、ソフト(融点74〜80℃)、ワックスブレンド(融点62〜68℃)、ポリオレフィンワックス(融点65〜75℃)、ラノリン、セラック、ベイベリーワックス(融点45℃)、キャンデリアワックス(融点67〜79℃)、オーリキュリーワックス、米糠ワックス(融点77〜86℃)、ソイキャンドル(ワックス)、パラフィン(融点47〜64℃)、中国蝋、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
本発明の方法の一つの実施態様では、前記少なくとも1種の相変化材料は、液体状態である。よって、前記少なくとも1種のPCMを添加する前に、PCMが実質的に均一に液化されるまで、その温度を上げる。本発明の更なる実施態様では、本明細書で開示される全ての乳化及び封入のプロセス全体において、前記少なくとも1種の相変化材料が液体状態である温度下で、本発明の方法を実行する。その融解熱により、使用される活性剤、形成されるエマルジョン及び本発明のマイクロカプセルのために製造される金属酸化物シェルを実質的に損なわずに、本発明の方法を実行できるように、本発明の方法によって使用される前記少なくとも1種のPCMを選択することに留意すべきである。
【0030】
本発明の一つの実施態様では、少なくとも1種の金属酸化物ナノ粒子を、工程(a)の乳化前、乳化中、又は乳化後に、前記水相に加える。
【0031】
本発明の方法の更なる実施態様では、本方法は、得られたマイクロカプセルを室温まで冷却する工程を更に含む。前記得られたマイクロカプセルを冷却すると、前記少なくとも1種の活性剤及び少なくとも1種のPCMを含む前記コアの粘度は、約300cP〜1,000,000cP(様々な条件下で測定したとき)の値を有するように変化する点が注目される。本発明の方法によって使用されるこのようなPCMは、得られたマイクロカプセルのコアに蓄積され、本発明の封入法によって形成された金属酸化物シェルのいかなる部分にも組み込まれないことを理解すべきである。
【0032】
本発明の方法によって得られたこのようなマイクロカプセルは、前記マイクロカプセルの長期保存時に測定された漏出量を尺度とした場合、より高い安定性を示している点が更に注目される。
【0033】
本発明のいくつかの実施態様では、本発明の方法によって得られるマイクロカプセルは、室温で、少なくとも2週間安定である。本発明のいくつかの実施態様では、本発明の方法によって得られるマイクロカプセルは、室温で、少なくとも2か月安定である。本発明のいくつかの実施態様では、本発明の方法によって得られるマイクロカプセルは、室温で、約2週間〜2年間安定である。他の実施態様では、本発明の方法によって得られるマイクロカプセルは、室温で、約2か月〜約2年間安定である。この文脈において、本発明の方法によって得られる本発明のマイクロカプセルの安定性は、特定の温度及び室温の条件下で、一定時間、前記マイクロカプセル中に前記少なくとも1種の活性剤を実質的に保持する前記マイクロカプセルの能力(最大漏出量は約0〜5%の前記活性剤)によって測定されることに留意すべきである。
【0034】
本発明の方法の更なる実施態様では、前記少なくとも1種の活性剤及び少なくとも1種の相変化材料を封入している前記マイクロカプセルは、約300cP〜約1,000,000cPの粘度を有する。
【0035】
本発明のある実施態様によれば、前記コアは、医薬品、化粧品、又は農薬を含む。
【0036】
更に、本発明のある実施態様によれば、前記コアは、外皮用剤を含む。
【0037】
なお更に、本発明のある実施態様によれば、前記外皮用剤は、抗真菌剤、抗菌剤、消炎剤、鎮痒剤、乾癬治療剤、抗座瘡剤、抗酒さ剤、及びそれらの任意の組合せから選択する。
【0038】
いくつかの実施態様では、抗座瘡剤は、過酸化ベンゾイル、レチノイド、及びそれらの混合物から選択する。レチノイドは、例えばトレチノイン(オールトランスレチノイン酸、ATRA)、タザロテン、イソトレチノイン、アダパレン又はそれらの混合物であってもよい。
【0039】
本発明のある実施形態によれば、前記金属酸化物ナノ粒子は、シリカ、チタニア、ジルコニア、ZnO、及びそれらの混合物から選択する。
【0040】
本発明の別の実施態様によれば、前記金属酸化物ナノ粒子は、1〜100nmの範囲の粒径直径(d50)を有する。他の実施態様では、粒径直径(d50)は、1〜50nm、より好ましくは5〜30nmの範囲である。
【0041】
「1〜100ナノメートルの範囲内の粒径直径(d50)」という用語は、少なくとも50体積%が1〜100ナノメートルの範囲内の直径を有する粒子を含んでいることを意味している。
【0042】
特に明記しない限り、ナノ粒子サイズは、D90値、すなわち前記粒子の少なくとも90%(体積基準で測定)のサイズを使用して示す。而して、例えば、少なくとも約10nmの直径を有するナノ粒子に言及する時は、前記ナノ粒子のD90値が10ナノメートルであることを意味していることを理解すべきである。D90値はレーザー回折で測定し得る。
【0043】
別の実施態様によれば、本発明の方法は、少なくとも1種の金属酸化物塩を、工程(a)における乳化前、乳化中又は乳化後のいずれかで、前記水相に加える工程を更に含む。別の実施態様では、前記金属酸化物塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、及びそれらの混合物から選択する。別の実施態様では、金属酸化物ナノ粒子と金属酸化物塩の重量比は、99:1〜1:2、好ましくは50:1〜2:1、より好ましくは50:1〜10:1である。
【0044】
ある実施態様によれば、本発明の方法は、高分子剤、二価又は三価の金属塩、多価電解質、及びそれらの混合物から選択される結合又は架橋添加剤を、前記水相に、工程(a)の乳化前、乳化中、又は乳化後のいずれかで加える工程を更に含む。これらのタイプの結合又は架橋添加物を使用すると、調製されるマイクロカプセルは、より架橋された、そしてより強い金属酸化物シェルを有することが注目される。
【0045】
一つの実施態様では、前記高分子剤は、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及びそれらの混合物から選択する。
【0046】
別の実施態様では、前記二価又は三価の金属塩は、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム、及びそれらの混合物から選択する。
【0047】
理論に縛られずに、結合又は架橋添加剤は、以下に示してあるようなマイクロカプセルシェルの強化特性及び架橋特性を提供し得る:
硫酸アルミニウム−正に荷電したアルミニウム陽イオンが負に荷電した金属酸化物ナノ粒子に引きつけられ、それ自体、油滴−水界面上で吸着される金属酸化物ナノ粒子間の架橋剤として機能し得る。
アルミン酸ナトリウム−アルミン酸ナトリウムは金属酸化物ナノ粒子表面上のシラノール基と反応し、それ自体、油滴−水界面上で吸着される金属酸化物ナノ粒子間の架橋剤として機能し得る。
PVA(ポリビニルアルコール)は、水素結合を介して金属酸化物シェル上に吸着することができ、またホウ酸ナトリウムによって架橋され得る。
ホウ酸ナトリウム:ホウ酸ナトリウムは、PVAをマイクロカプセルの金属酸化物シェルと架橋させることができる。
アルギン酸ナトリウム:アルギン酸ナトリウムは、金属酸化物シェル(金属酸化物ナノ粒子の吸着から生成される)上に吸着することができ、塩化カルシウムの添加により架橋され得る。
PDAC7(ポリクオタニウム7)−PDAC7は、金属酸化物シェルを被覆するために使用し得る。正に荷電しているPDAC7は、負に荷電した金属酸化物シェル上に吸着することができ、それ自体、金属酸化物ナノ粒子間の「ギャップ」を減少させ、よってシェルを強化することができる。
CMC(カルボキシメチルセルロース)−CMCは、金属酸化物シェルを更に被覆するために使用し得る。それはPDAC7での被覆後に使用できる。
【0048】
一つの実施態様では、前記多価電解質は、ポリクオタニウム−7(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドアクリルアミドコポリマー)、ポリクオタニウム−1[ポリ[(ジメチルイミノ)−2−ブテン−1,4−ジイルクロリド]、α−[4−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニオ]−2−ブテニル]−ω−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニオ]−、ジクロリド]、ポリクオタニウム−10[セルロース2−ヒドロキシエチル2−(2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロポキシ)エチル−2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテル、クロリド]、キトサン、ポリリジン、及びそれらの混合物から選択する。
【0049】
一つの実施態様によれば、前記油相及び水相のうちの少なくとも1つは、少なくとも1種の界面活性剤を含む。一つの実施態様では、前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性活性剤及びそれらの混合物から選択する。一つの実施態様では、少なくとも1種の界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。更なる実施態様では、前記少なくとも1種のカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)である。
【0050】
別の実施態様では、前記油相は、疎水性界面活性剤、疎水性ポリマー界面活性剤、又はそれらの混合物を含み得る。一つの実施態様では、疎水性界面活性剤又は疎水性ポリマー界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。親水性界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物であり得る。
【0051】
いくつかの実施態様では、水相中のカチオン性界面活性剤の濃度は、0.1〜5%(w/w)であり得、他の実施態様では1〜5%(w/w)であり得る。界面活性剤の濃度は、油相及び水相のパーセンテージによっても左右されることが理解される。いくつかの実施態様では、界面活性剤の濃度は、油相の重量の5〜10%(w/w)であり得る。
【0052】
本発明の別の実施態様によれば、前記油相はゾル−ゲル前駆体を含む。
【0053】
本発明の更なる実施態様によれば、前記ゾル−ゲル前駆体は、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、金属エステルモノマー、半金属エステルモノマー、及び化学式M(R)n(P)m(前記式中、Mは金属又は半金属元素、Rは加水分解性置換基、nは2から6の整数、Pは非重合性置換基、及びmは0から6の整数)のモノマー、上記いずれかが部分的に加水分解され且つ部分的に縮合されたポリマー、並びに上記いずれかの混合物から選択される。一つの実施態様では、前記金属又は半金属元素は、Si、Ti、Zr、Al、及びZnから選択する。
【0054】
別の実施態様では、前記ゾル−ゲル前駆体は、シリコンアルコキシドモノマー、シリコンエステルモノマー、式Si(R)n(P)m(前記式中、Rは加水分解性置換基、nは2〜4の整数、Pは非重合性置換基、及びmは0〜4の整数である)のモノマー、上記いずれかが部分的に加水分解され且つ部分的に縮合されたポリマー、及び上記いずれかの混合物から選択する。一つの実施態様では、前記シリコンアルコキシドモノマーは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びそれらの混合物から選択する。更なる実施態様では、前記化学式Si(R)n(P)mのモノマーは、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びそれらの混合物から選択される。なお更なる実施態様では、前記ゾル−ゲル前駆体は、先に記載したようなモノマー(例えば金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー)である。
【0055】
本発明の一つの実施態様によれば、前記水相のpHは2〜9の範囲である。別の実施態様では、前記水相のpHは、2〜7の範囲、より更に好ましくは3〜5の範囲である。
【0056】
本発明のある実施態様によれば、前記マイクロカプセル形成条件は、遠心分離、濾過、蒸発、水性媒体への再懸濁、及び透析のうちの少なくとも一つから選択された処理によりマイクロカプセルを単離する工程を含む。
【0057】
本発明の別の実施態様では、前記マイクロカプセル形成条件は、形成されるエマルジョンのpHを、約2〜約9の範囲に、好ましくは3〜5の範囲のpHに変える工程を含む。
【0058】
本発明の別の実施態様によれば、前記マイクロカプセル形成条件は、前記エマルジョンの撹拌を含む。いくつかの実施態様では、前記撹拌は、例えば、機械的撹拌機により200〜500回転/分で行ってもよい。
【0059】
本発明の別の実施態様によれば、前記マイクロカプセル形成条件は、懸濁液中のマイクロカプセルを乾燥させることを含む。
【0060】
別の実施態様によれば、本発明の方法で得られた生成物は、前記形成されたマイクロカプセルの懸濁液である。
【0061】
本発明の更なる実施態様によれば、本発明の方法で得た生成物は、前記マイクロカプセルの粉末である。
【0062】
本発明の別の態様では、本発明の方法によって得ることができるマイクロカプセルを提供する。
【0063】
更に、本発明の別の態様では、金属酸化物シェルによって封入されたコアを含むマイクロカプセルを提供し、ここで前記コアは、約300cP〜約1,000,000cP(様々な条件下で測定したとき)の粘度を有し;前記金属酸化物シェルの厚さは0.1〜10ミクロンの範囲であり;また、前記シェルは、(a)金属酸化物ナノ粒子、及び(b)加水分解され、且つ重合されたゾル−ゲル前駆体から得られる。
【0064】
いくつかの実施態様では、前記コアの粘度は、室温で、350cP、400cP、450cP、500cP、550cP、600cP、650cP、700cP、750cP、800cP、900cP、1000cP、2000cP、3000cP、4000cP、5000cP、6000cP、7000cP、8000cP、9000cP、10,000cP、20,000cP、30,000cP、40,000cP、50,000cP、60,000cP、70,000cP、80,000cP、90,000cP、100,000cP、200,000cP、300,000cP、400,000cP、500,000cP、600,000cP、700,000cP、800,000cP、900,000cP又は1,000,000cP(様々な条件下で測定したとき)であり得る。
【0065】
粘度値測定は、計測器、使用するスピンドル、速度及び測定温度に左右されることに注意されたい。特に言及しない限り、本発明における粘度測定は、スモールサンプルアダプタ、スピンドル#21を具備したBrookfield LVDV−II+Pro粘度計を使用して、6回転/分及び30℃の温度で、行った。
【0066】
いくつかの実施態様では、本発明のマイクロカプセルは、室温で、約2週間〜約2年間、安定であることができる(すなわち、前記封入された少なくとも1種の活性剤の少なくとも約0〜5%が維持されている)。他の実施態様では、本発明のマイクロカプセルは、室温で、約数か月〜約2年間安定であることができる。他の実施態様では、本発明のマイクロカプセルは、室温で、少なくとも2週間安定であることができる。更なる実施態様では、本発明のマイクロカプセルは、室温で、少なくとも2か月安定であることができる。
【0067】
更に、本発明の別の実施態様によれば、金属酸化物シェルは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1、1.5、2若しくは5ミクロン又はそれを超え、好ましくは10ミクロンまでの幅(厚み)を有する。コア、シェルなどの構成成分は、本発明で記載してあるようなものであり得る。
【0068】
金属酸化物層の幅は、例えば透過型電子顕微鏡又は共焦点顕微鏡によりマイクロカプセルの円形断面領域において最小幅が少なくとも例えば0.1ミクロンであるように決定することができる(幅は、マイクロカプセルの外面(すなわち金属酸化物表面)からコア−金属酸化物界面までの最小距離として決定される)。
【0069】
本発明の別の態様では、本発明のマイクロカプセルを含む組成物を提供する。
【0070】
更に、本発明の別の態様では、本発明の組成物を対象に局所投与することを含む、本方法を必要としている対象における表面状態を治療する方法を提供し、ここでコア材料は、外皮用剤を含む。
【0071】
本明細書で使用する「治療する」又は「治療」という用語は、皮膚又は粘膜などのような患者の体表面に関わる状態、疾患又は障害のあらゆる治療を含み、また、疾患又は障害を抑制すること(すなわち、その進展を阻止する)か、疾患又は障害を緩和すること(すなわち、疾患又は障害を退行させる)か、又は疾患により生じた状態(すなわち、疾患の症状)を緩和することを含む。特定の疾患又は障害の治療に使用できる外皮用剤の濃度は、The Merck index an encyclopedia of chemical drugs and biologicals,Rahway,NJ;Merck & Co;1989に記載されているような濃度でよく、その全てを参照により本明細書に組み込む。
【0072】
個々のニーズは変動し得るが、組成物の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技能の範囲内である。一般に、当業者によって調整し得る医薬組成物の有効量を提供するのに必要な投与量は、レシピエントの年齢、健康、体調、体重、疾患又は障害のタイプ及び程度、治療頻度、併用療法(もしあれば)の性質、並びに所望する効果の性質及び範囲に応じて変動する。
【0073】
本発明の化合物を含む医薬組成物に言及する際には、本発明のマイクロカプセルと、薬学的に許容可能な助剤、及び任意に他の治療薬との混合物を含むことを理解すべきである。助剤は、組成物の他の成分と適合性であり、且つレシピエントに有害ではないという意味で、「許容可能な」ものでなければならない。
【0074】
医薬組成物としては、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、口腔及び舌下を含む)、経膣又は非経口(皮下、筋内、静脈内及び髄腔内を含む)投与又はインプラントを介する投与に適するものが挙げられる。前記組成物は、製薬技術分野で公知の方法で調製し得る。前記方法は、本発明で使用される関連化合物、又はそれと任意の助剤との組み合わせを導入する工程を含む。
【0075】
補助成分(単数又は複数)とも呼ばれる助剤(単数又は複数)としては、従来技術で使用されている助剤、例えば担体、充填剤、バインダー、希釈剤、崩壊剤、潤滑油、着色剤、香料、抗酸化剤、及び湿潤剤が挙げられる。
【0076】
経口投与に適する医薬品組成物は、個別の用量単位として、例えばピル、錠剤、糖衣錠若しくはカプセル、又は粉又若しくは顆粒として、又は溶液若しくは懸濁液として、提供し得る。前記組成物は、ボーラス剤又はペースト剤としても提供し得る。組成物は、直腸投与のために坐薬又は浣腸へと更に加工できる。
【0077】
本発明は、包装材料と組み合わせた本明細書で先に記載してあるような医薬組成物を更に含み、先に記載したように使用するための前記組成物の使用に関する説明書を含む。
【0078】
非経口投与用に、適当な組成物としては、水性及び非水性の無菌注射が挙げられる。前記組成物は、単回用量又は複数回用量の容器、例えば密閉されたバイアル及びアンプルで提供してもよく、また、使用の直前に、無菌の液状担体、例えば水を添加することのみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵し得る。
【0079】
経皮投与用には、例えばゲル、パッチ又はスプレーを企図できる。例えば鼻吸入による肺への投与に適する組成物又は製剤としては、計量投与加圧エアゾール、ネブライザ又は注入器によって発生させ得る細塵又は霧が挙げられる。
【0080】
前記組成物の正確な投与量及び投与計画は、達成されるべき治療的又は栄養的な効果に必然的に左右され、依って、特定の処方、投与経路、組成物が投与される個々の対象の年齢及び状態によって変えることができる。
【0081】
本発明のある実施態様によれば、前記表面は皮膚又は粘膜である。
【0082】
本発明の別の実施態様によれば、前記表面状態は、座瘡、感染、炎症、掻痒症、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、酒さ及びそれらの組合せから選択される皮膚の疾患又は障害である。
【0083】
加えて、本発明の別の態様では、本発明で記載したようなマイクロカプセルを含む組成物を提供し、ここでコアは、座瘡、感染、炎症、掻痒症、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、酒さ、及びそれらの組合せから選択される疾患又は障害を治療するための外皮用剤を含む。
【0084】
更に、別の態様では、本発明のマイクロカプセルの使用を提供し、ここで前記コアは、局所投与用組成物の調製のための外皮用剤を含む。
【0085】
本発明のある実施態様によれば、前記局所投与は、座瘡、乾癬、脂漏症、接触皮膚炎、感染、酒さ、炎症、及びそれらの組合せから選択される疾患又は障害を治療するためである。
【0086】
本発明の別の態様では、本発明のマイクロカプセルを含む害虫駆除用の組成物を提供し、ここで前記コアは農薬を含む。本発明の一つの実施態様では、前記農薬は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、及びそれらの混合物から選択される。本発明の更に別の実施態様によれば、前記組成物は、農作物保護又は非農作物害虫駆除の際に使用するものである。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下の実施例は、本発明の態様を実施する際に本発明者が使用する技術の代表的なものである。これらの技術は、本発明を実施するための好ましい実施態様の例示であり、当業者は、本開示を考慮して、本発明の趣旨及び意図された範囲を逸脱せずに、多くの変更を行い得ることを認識することが理解されるべきである。
【0088】
特記しない限り「%」は重量(w/w)%を指している。
「BPO(75%)」は、25%w/wの水を有する75%w/wのBPO(過酸化ベンゾイル)を指している。
「Ludox TM 50(50%)」は、シリカナノ粒子(約20〜30nmの平均粒径直径)の水分散液(水中で50%w/w)を指している。Ludox TM 50は、Sigma−Aldrich社(イスラエル)から入手した。
「Ludox AM−30」は、アルミン酸ナトリウムで安定化し、水中に分散させたコロイド状シリカ(水中で30%w/w)を指している。
Ludox AM−30は、Sigma−Aldrich社(イスラエル)から入手した。
「CTAC(29%)」は、29%w/wの塩化セチルトリメチルアンモニウム水溶液を指している。
「PVA(10%)」は、10%w/wのポリビニルアルコール水溶液を指している。
「ケイ酸ナトリウム(25%)」は、25%w/wのケイ酸ナトリウム水溶液を指している。
「GMIS」は、グリセリルモノイソステアレートを指している。GMISは、Scher Chemicals(米国)から入手した。
「硫酸アルミニウム溶液(50%)」又は「硫酸アルミニウム(50%)」は、50%w/wの硫酸アルミニウム18水和物の水溶液を指している。
「PDAC7(5%)」は、5%w/wのポリクオタニウム7(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー)の水溶液を指している。
「CMC(10%)」は、10%w/wのカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩水溶液を指している。
「アルミン酸ナトリウム(50%)」は、50%w/wのアルミン酸ナトリウム水溶液を指している。
「ホウ酸ナトリウム(5%)」は、5%w/wのホウ酸ナトリウム水溶液を指している。
「アルギン酸ナトリウム(5%)」は、5%w/wのアルギン酸ナトリウム水溶液を指している。
「蜜蝋」は、純粋な蜜蝋(融点61〜65℃)、蜜蝋ホワイトピュア(融点61〜65℃)、蜜蝋ブリーチトテクニカル(Beeswax bleached technical)(融点61〜65℃)を指している。
「PVP K30(40%)」は、40%w/wのPVP K30(ポリビニルピロリドンK−30)水溶液を指している。
【0089】
実施例1:ATRA封入法(E−ATRA)
コア−シェル工程
1.水相(相A):2.53gのCTAC(30.7%)及び386.27gのWFIを、磁気撹拌機で撹拌して均一にした。
2.蜜蝋成分:30.0gの蜜蝋を、液体となるまで、70℃に加熱した。
3.油相:90.0gのTEOS及び97.01gのスクアランを、磁気撹拌機で撹拌して、溶かした。30.0gのATRAを溶液に加え、同じ磁気撹拌機を使用して、更に10分間撹拌し、次いで、Dynomillで5000回転/分で10分間破砕した。破砕した油相を、水浴を使用して、磁気攪拌しながら、55℃に加熱した。
4.水相を、水浴を使用して、磁気攪拌しながら、55℃に加熱した。
5.1Lのビーカーにおいて、91.37gの破砕油相と5.83gの密蝋を、水浴を使用して、磁気撹拌しながら、55℃で5分間混合した(相B)。
6.相C:14.0gのケイ酸ナトリウム溶液(25%)と30.0gの5N HCl。
7.相Bを、4000回転/分で高剪断混合しながら、混合した(Polytron 6100)。
8.相Aを、相Bに加え、次いで、4000回転/分で、1分間、高剪断で混合し、その後、高剪断速度を3000回転/分に低下させて、混合した。
9.相Cを、pH7.0±0.2になるまで加えた。
10.5NのHClを、pH3.0±0.2になるまで、エマルジョンに加えた。
11.エマルジョンを、3000回転/分で、更に2分間、高剪断で混合した。
12.エマルジョンを、50℃で、80回転/分で17時間撹拌し、次いで、コア−シェル懸濁液が得られるまで、25℃に冷却した。
コーティング工程(任意)
13.150.0gのコア−シェル懸濁液を、2500回転/分の高剪断下に配置した。
14.5%の5N NaOHを、pH5.0+0.2まで加えた。
15.1.2gのPDAC−7(3%)を加え、そしてその混合物を1分間撹拌した。
16.1.2gのケイ酸ナトリウム(25%)を加え、次いで、pHを、5NのHCl溶液で5.0+0.2に調整し、そしてその混合物を1分間撹拌した(第一サイクル)。
17.コーティングサイクル(工程15〜16)を、少なくとも10回繰り返した。
【0090】
得られたマイクロカプセルのコアの粘度は、475〜565cPと測定された(スモールサンプルアダプタ、スピンドル#21を具備したBrookfield LVDV−II + Pro粘度計を使用して、6回転/分、30℃の温度で測定した)。
【0091】
実施例2−BPO(過酸化ベンゾイル)の封入(DC−246中に分散させたBPO)
a)油相の調製:67.68gのBPO(75%)と、132.04gのDC246(シクロヘキサシロキサン、Dow Cornig社製(米国))と、分散剤としての10.06gのSpan65と、45.6gのTEOS(テトラエトキシシラン)との混合物を、最初に、4000回転/分の高剪断により2分間、その後マイクロフルイダイザーにより15分間破砕した。
b)水相の調製:6.06gのMyrj45(ポリオキシエチレン(8)ステアレート)と、2.68gのCTAC(29%)と、64.54gのPVA(10%)と、328.13gの水とを含む水相を調製した。
【0092】
油相(a)を、2分間、6000回転/分の剪断下、水相(b)に加えた。次いで、49.93gのLudox TM 50(50%)及び5mlのケイ酸ナトリウム(25%)を加え、そしてpHを3に調整した。その混合物を、反応器に移し、20時間撹拌した。
【0093】
実施例3−BPOの封入(DC−350中に分散させたBPO)
a)油相の調製:67.49gのBPO(75%)と、130.92gのDC−350(ポリジメチルシロキサン、Dow corning社(米国)から入手)と、分散剤としての10.16gのセチルアルコールと、45.42gのTEOSとの混合物を、最初に、4000回転/分の高剪断により2分間、その後マイクロフルイダイザーにより15分間破砕した。
b)水相の調製:5.69gのMyrj45(ポリオキシエチレン(8)ステアレート)と、2.25gのCTAC(29%)と、65.05gのPVA(10%)と、327.24gの水とを含む水相を調製した。
【0094】
その2つの相を50℃で予熱し、次いで、油相(a)を、2分間、5000回転/分の剪断下で水相(b)に加えた。その後、50.09gのLudox TM 50(50%)を加えると、溶液が粘稠になった。次いで、5mlのケイ酸ナトリウム(25%)を水で100.09gまで希釈し、できた溶液を、1分間、5000回転/分の剪断下、その粘稠な混合物に加えた。pHを3に調整し、次いで、その混合物を反応器に移し、20時間撹拌した。
【0095】
実施例4−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:68.64gのBPO(75%)と、129.58gのスクアラン(Lake Oil社(スペイン)から入手)と、分散剤としての5.08gのGMISと、89.85gのTEOSとの混合物を、最初に、10000回転/分の高剪断下で2分間、次いでマイクロフルイダイザーにより15分間破砕した。
b)水相の調製:1.18gのCTAC(29%)と、65.10gのPVA(10%)と、329.93gの水とを含む水相を調製した。
【0096】
油相(a)を、30秒間、5000回転/分の剪断下、水相(b)に加えた。次いで、49.64gのLudox TM 50(50%)を加え、更に30秒間剪断を続けた。次いで、20.72gの硫酸アルミニウム溶液(50%)を加えると、得られたpHは3であった。その混合物を、40℃で予熱した反応器に移し、そしてその混合物を118回転/分で4時間撹拌した。その後、温度を室温まで下げ、そして撹拌を20時間続けた。
【0097】
実施例5−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:80.63gのBPO(75%)と、108.15gのスクアラン(Lake Oil社(スペイン)から入手)と、分散剤としての5.71gのGMISと、27.97gのTEOSとの混合物を、最初に、10000回転/分の高剪断下で1分間、その後マイクロフルイダイザーにより15分間破砕した。
b)水相の調製:1.02gのCTAC(29%)と、60.27gのPVA(10%)と、290.09gの水とを含む水相を調製した。
【0098】
油相(a)を、30秒間、5000回転/分の剪断下、水相(b)に加えた。次いで、30.58gのLudox TM 50(50%)を加え、更に30秒間剪断を続けた。次いで、20.09gの硫酸アルミニウム溶液(50%)を30秒間の剪断下で加えると、得られたpHは3.2であった。その混合物を、40℃で予熱した反応器に移し、そしてその混合物を100回転/分で4時間撹拌した。その後、温度を室温まで下げ、そして撹拌を20時間続けた。
【0099】
実施例6−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:53.19gのBPO(75%)と、75.21gのスクアランと、分散剤としての5.12gのGMISと、80.68gのTEOSとの混合物を、まず10000回転/分の高剪断下で1分間、その後マイクロフルイダイザーにより15分間破砕した。
b)水相の調製:4.16gのCTAC(29%)、6.5gのPVA(10%)及び280.45gの水を含む水相を調製した。
【0100】
油相(a)を、30秒間、5000回転/分の剪断下で、水相(b)に加えた。次いで、90.11gのLudox TM 50(50%)を加え、更に30秒間、剪断を続けた。そして、15.19gの水に溶解させた9.96gの硫酸アルミニウムを加え、できた混合物を、6100回転/分で1分間破砕した。次いで、その混合物を38.8℃で予熱した反応器に移し、118回転/分で4時間撹拌した。その後、温度を室温まで下げ、そして撹拌を20時間続けた。
【0101】
実施例7−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:106.35gのBPO(75%)と、88.09gのスクアランと、分散剤としての4.91gのGMISと、41.05gのTEOSとの混合物を、最初に10000回転/分の高剪断下で1分間破砕した。濃い混合物が得られ、それはマイクロフルイダイザーにより破砕することができなかった。
b)水相の調製:1.31gのCTAC(29%)と、6.3gのPVA(10%)と、283.1gの水とを含む水相を調製した。
【0102】
油相(a)を、30秒間、5000回転/分の剪断下で、水相(b)に加えた。その後、60.66gのLudox TM 50(50%)を加え、更に30秒間剪断を続けた。その後、50.18gの硫酸アルミニウム(50%)を加え、生成した混合物を6000回転/分で1分間破砕した。次いで、混合物を41.8℃で予熱した反応器に移し、100回転/分で4時間撹拌した。次いで、温度を室温まで下げ、撹拌を20時間続けた。
【0103】
実施例8−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:106.24gのBPO(75%)と、61.12gのスクアランと、分散剤としての5.65gのセチルアルコールと、60.49gのTEOSとの混合物を、最初に10000回転/分の高剪断下で1.5分間破砕した。濃い混合物が得られ、それはマイクロフルイダイザーにより破砕することができなかった。
b)水相の調製:1.09gのCTAC(29%)と、61.52gのPVA(10%)と、269.45gの水とを含む水相を調製した。
【0104】
油相(a)を、30秒間、5000回転/分の剪断下で、水相(b)に加えた。次いで、59.87gのLudox TM 50(50%)を加え、更に1分間剪断を続けた。次いで、21.87gの硫酸アルミニウム(50%)を加え、できた混合物を6000回転/分で1分間破砕した。次いで、その混合物を40℃で予熱した反応器に移し、4時間撹拌した。そして、温度を室温まで下げ、撹拌を20時間続けた。
【0105】
実施例9−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:105.28gのBPO(75%)と、130.13gのスクアランと、5.48gのSpan20と、32.51gのTEOSとの混合物を、最初に10000回転/分の高剪断下で1分間破砕した。濃い混合物が得られ、それはマイクロフルイダイザーにより破砕することができなかった。
b)水相の調製:4.31gのCTAC(29%)と、6.5gのPVA(10%)と、279.8gの水とを含む水相を調製した。
【0106】
油相(a)を、4000回転/分の剪断下で水相(b)に加え、次いで、90.41gのLudox TM 50(50%)を加えて、剪断を1分間続けた。次いで、20.88gの硫酸アルミニウム(50%)を加え、できた混合物を5000回転/分で1分間破砕した。次いで、混合物を39.2℃で予熱した反応器に移し、103回転/分で4時間撹拌した。そして、温度を室温まで下げ、撹拌を60時間続けた。
【0107】
実施例10−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:80.25gのBPO(75%)と、107.04gのスクアランと、5.01gのセチルアルコールと、30.40gのTEOSとの混合物を、最初に、10000回転/分の高剪断下で1分間破砕した。濃い混合物が得られ、それはマイクロフルイダイザーにより破砕することができなかった。
b)水相の調製:4.33gのCTAC(29%)と、6.16gのPVA(10%)と、279.59gの水とを含む水相を調製した。
【0108】
油相(a)を4000回転/分の剪断下で水相(b)に加え、その後59.43gのLudox TM 50(50%)を加え、次いで、できた混合物が非常に濃かったため、前記混合物を8000回転/分で1分間均質化した。次いで、49.45gの硫酸アルミニウム(50%)を加え、できた混合物を8000回転/分で30秒間破砕した。次いで、混合物を41.2℃で予熱した反応器に移し、103回転/分で4時間撹拌した。そして、温度を室温まで下げ、撹拌を20時間続けた。
【0109】
実施例11−BPOの封入(スクアラン中に分散させたBPO)
a)油相の調製:80.2gのBPO(75%)と、93.5gのスクアラン(Lake Oil社(スペイン)から入手)と、5.38gのSpan20と、42.07gのTEOSとの混合物を、最初に10000回転/分の高剪断下で1分間破砕し、その後マイクロフルイダイザーで15分間破砕した。
b)水相の調製:4.05gのCTAC(29%)と、61.51gのPVA(10%)と、257.74gの水とを含む水相を調製した。
【0110】
油相(a)を4000回転/分の剪断下で水相(b)に加え、その後61.42gのLudox TM 50(50%)を加え、その後5000回転/分で1分間剪断した。次いで、21.1gの硫酸アルミニウム(50%)を加え、できた混合物を5000回転/分で1分間破砕した。次いで、混合物を41.2℃で予熱した反応器に移し、103回転/分で4時間撹拌した。そして、温度を室温まで下げ、撹拌を20時間続けた。
【0111】
実施例12:封入されたATRAと封入されたBPOとの製剤(E−ATRA 0.1%/E−BPO 6%)
成分:
(a)E−ATRA懸濁液:0.1%のATRAに相当(実施例1の手順で調製した。)
(b)E−BPO懸濁液:6%のBPOに相当(実施例2〜11のうちのいずれか一つの手順で調製した。)
(c)カルボマー(Carbomer)980:1.2%(Lubrizol社から入手したカルボポール980 NF)
(d)カルボマー 1342:0.3%(Lubrizol社から入手したペムレン(Pemulen)TR−2 NF)
(e)水酸化ナトリウム(Merck社から入手した水酸化ナトリウムペレットエキストラピュアPh Eur、BP、JP、NF、FCC、E 524)
(f)水
製剤調製
カルボマー980及びカルボマー1342を、水中に分散させ、塊りの無い均一な懸濁液とした。E−ATRA懸濁液を、そのカルボマー懸濁液に加えた。E−BPO懸濁液を、そのカルボマー懸濁液に加えた。水酸化ナトリウムを加え、pH値を5.0±0.1にした。水を加えて全体として製剤重量を100%とした。最後に、製剤を均一になるまで混合した。
【0112】
実施例13:封入されたATRAと封入されたBPOとの製剤(E−ATRA 0.1%/E−BPO 6%)
成分:
(a)E−ATRA懸濁液:0.1%のATRAに相当(実施例1の手順で調製した。)
(b)E−BPO懸濁液:6%のBPOに相当(実施例2〜11のうちのいずれか一つの手順で調製した。)
(c)カルボマー 980:1.0%(Lubrizol社から入手したカルボポール980 NF)
(d)ヒドロキシエチルセルロース:0.7%(Hercules社から入手したナトロゾール(Natrosol)(登録商標)250 HHX PHARMヒドロキシエチルセルロース)。
(e)水酸化ナトリウム(Merck社から入手した水酸化ナトリウムペレットエキストラピュアPh Eur、BP、JP、NF、FCC、E 524)
(f)水
製剤調製
カルボマー980及びヒドロキシエチルセルロースを、水中に分散させ、塊りの無い均一な懸濁液とした。その懸濁液中にE−ATRA懸濁液を加えた。その懸濁液中にE−BPO懸濁液を加えた。水酸化ナトリウムを加え、pH値を5.0±0.1にした。水を加えて全体として製剤重量を100%とした。最後に、製剤を均一になるまで混合した。
【0113】
実施例14:封入されたATRAと封入されたBPOとの製剤(E−ATRA 0.1%/E−BPO 6%)
成分:
(a)E−ATRA懸濁液:0.1%のATRAに相当(実施例1の手順で調製した。)
(b)E−BPO懸濁液:6%のBPOに相当(実施例2〜11のうちのいずれか一つの手順で調製した。)
(c)ヒドロキシエチルセルロース:1.25%(Hercules社から入手したナトロゾール(登録商標)250 HHX PHARMヒドロキシエチルセルロース)。
(d)ヒドロキシプロピルセルロース:0.5%(Hercules社から入手したナトロゾール(登録商標)250 HHX PHARMヒドロキシエチルセルロース)。
(e)グリセリン:15%(Oleochemicals社から入手したグリセリン99.5%USP)
(f)塩酸(Merck社から入手した発煙塩酸37%エキストラピュアPh Eur、BP、JP、NF)
(g)水
製剤調製
E−ATRA懸濁液を水と混合した。E−BPO懸濁液を、E−ATRA懸濁液に加えた。ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを、別の容器において、グリセリンで湿潤させた。その湿潤したペーストを、E−ATRA及びE−BPO懸濁液に加えた。塩酸を加えて、pHレベルを3.5±0.1とした。残りの水を加えて製剤を100%とした。最後に、製剤を均一になるまで混合した。
【0114】
実施例15:封入されたATRAと封入されたBPOとの製剤(E−ATRA 0.1%/E−BPO 6%)
成分:
(h)E−ATRA懸濁液:0.1%のATRAに相当(実施例1の手順で調製した。)
(i)E−BPO懸濁液:6%のBPOに相当(実施例2〜11のうちのいずれか一つの手順で調製した。)
(j)ヒドロキシエチルセルロース:1.25%(Hercules社から入手したナトロゾール(登録商標)250 HHX PHARMヒドロキシエチルセルロース)。
(k)ヒドロキシプロピルセルロース:0.3%(クルーセル(Klucel)(登録商標))。
(l)グリセリン:5%(Oleochemicalsから入手したグリセリン99.5%USP)
(m)塩酸(Merck社から入手した発煙塩酸37%エキストラピュアPh Eur、BP、JP、NF)
(n)水
製剤調製:
E−ATRA懸濁液を水と混合した。E−BPO懸濁液を、E−ATRA懸濁液に加えた。ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースを、別の容器において、グリセリンで湿潤させた。その湿潤したペーストを、E−ATRA及びE−BPO懸濁液に加えた。塩酸を加え、pHレベルを3.5±0.1にした。残りの水を加えて製剤を100%とした。最後に、製剤を均一になるまで混合した。
【0115】
実施例16:封入されたATRAと封入されたBPOとの製剤(E−ATRA 0.1%/E−BPO 6%)の安定性
以下の安定性データは、USP32、2009年版、p.3779−トレチノインクリームによるトレチノイン分析を使用して行った実施例12〜15の製剤に関する測定から得られた。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物シェル内に封入されたコアを有するマイクロカプセルを調製する方法であって:
(a)水相中で、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含む油相の乳化によって水中油型エマルジョンを調製する工程であって、前記油相及び水相のうちの少なくとも一方はゾル−ゲル前駆体を含む工程;
(b)前記エマルジョンをマイクロカプセル形成条件に暴露して、それにより前記マイクロカプセルを得る工程
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の活性剤が、医薬品又は化粧品である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の活性剤が、外皮用剤である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記外皮用剤を、抗真菌剤、抗菌剤、消炎剤、鎮痒剤、乾癬治療剤、抗座瘡剤、抗酒さ剤、及びそれらの任意の組合せから選択する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗座瘡剤を、過酸化ベンゾイル、レチノイド、及びそれらの混合物から選択する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種の金属酸化物ナノ粒子を、工程(a)の水中油型エマルジョンの調製前、調製中、又は調製後に、前記水相に加える請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種の金属酸化物ナノ粒子を、シリカ、チタニア、ジルコニア、ZnOのナノ粒子、及びそれらの混合物から選択する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の金属酸化物ナノ粒子が、1〜100ナノメートルの範囲の粒径直径(d50)を有する請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の金属酸化物ナノ粒子と油相との重量比が、1:99〜3:2の範囲である請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ゾル−ゲル前駆体から製造された前記金属酸化物と前記金属酸化物ナノ粒子とのモル比が、1:99〜1:1の範囲である請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の相変化材料を、天然又は合成パラフィン、脂肪族アルコール、脂肪酸、又はそれらの任意の組み合わせから選択する請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の相変化材料が、前記エマルジョンにおいて液体状態である請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の相変化材料が液体状態である温度下で行う請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
得られたマイクロカプセルを、室温まで冷却する工程を更に含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(a)の乳化前、乳化中、又は乳化後に、金属酸化物塩を前記水相に加える工程を更に含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記金属酸化物塩を、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム、及びそれらの任意の混合物から選択する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
高分子剤、二価又は三価の金属塩、多価電解質、及びそれらの混合物から選択される結合又は架橋添加剤を、前記水相に、工程(a)の乳化前、乳化中、又は乳化後に加える工程を更に含む請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記高分子剤を、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及びそれらの混合物から選択する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二価又は三価の金属塩を、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム、及びそれらの混合物から選択する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記多価電解質を、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−1、ポリクオタニウム−10、キトサン、ポリリジン、及びそれらの混合物から選択する請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記油相が、ゾル−ゲル前駆体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ゾル−ゲル前駆体を、金属アルコキシドモノマー、半金属アルコキシドモノマー、金属エステルモノマー、半金属エステルモノマー、及び化学式M(R)(P)(前記式中、Mは金属又は半金属元素、Rは加水分解性置換基、nは2〜6の整数、Pは非重合性置換基、及びmは0〜6の整数である)のモノマー、上記のうちのいずれかが部分的に加水分解され且つ部分的に縮合されたポリマー、並びに上記のうちのいずれかの混合物から選択する請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記金属又は半金属元素を、Si,Ti,Zr,Al,及びZnから選択する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ゾル−ゲル前駆体を、シリコンアルコキシドモノマー、シリコンエステルモノマー、式Si(R)(P)(前記式中、Rは加水分解性置換基、nは2〜4の整数、Pは非重合性置換基、及びmは0〜4の整数である)のモノマー、上記のうちのいずれかが部分的に加水分解され且つ部分的に縮合されたポリマー、及び上記のうちのいずれかの混合物から選択する請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記シリコンアルコキシドモノマーを、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びそれらの混合物から選択する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化学式Si(R)(P)のモノマーを、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びそれらの混合物から選択する請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記水相のpHが、約2〜約9の範囲である請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記水相のpHが、約2〜約7の範囲である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記マイクロカプセル形成条件が、遠心分離、濾過、蒸発、水性媒体への再懸濁、及び透析のうちの少なくとも一つから選択された手順によって前記マイクロカプセルを単離する工程を含む請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記マイクロカプセル形成条件が、前記エマルジョンのpHレベルを、約2〜約9の範囲に変える工程含む請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記マイクロカプセル形成条件が、前記エマルジョンの撹拌を含む請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記マイクロカプセル形成条件が、懸濁液において、得られたマイクロカプセルを乾燥させる工程を含む請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記マイクロカプセルが、室温で、約2週間〜2年間安定である請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを封入している前記マイクロカプセルが、約300cP〜約1,000,000cPの粘度を有する請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるマイクロカプセル。
【請求項36】
金属酸化物シェルによって封入されたコアを含むマイクロカプセルであって、前記コアが、約300cP〜約1,000,000cPの粘度を有し、且つ、少なくとも1種の活性剤と少なくとも1種の相変化材料とを含み;前記金属酸化物シェルの厚さが、0.1〜10ミクロンの範囲にあり;そして、前記シェルが、(a)金属酸化物ナノ粒子、及び(b)加水分解され、且つ重合されたゾル−ゲル前駆体から得られる、マイクロカプセル。
【請求項37】
前記少なくとも1種の相変化材料を、天然又は合成パラフィン、脂肪族アルコール、脂肪酸、又はそれらの任意の組み合わせから選択する請求項36に記載のマイクロカプセル。
【請求項38】
前記少なくとも1種の活性剤を、医薬品、化粧品及び農薬から選択する請求項36又は37に記載のマイクロカプセル。
【請求項39】
前記コアが、外皮用剤を含む請求項36又は37に記載のマイクロカプセル。
【請求項40】
前記外皮用剤を、抗真菌剤、抗菌剤、消炎剤、鎮痒剤、乾癬治療剤、抗座瘡剤、抗酒さ剤、及びそれらの任意の組合せから選択する請求項39に記載のマイクロカプセル。
【請求項41】
前記抗座瘡剤を、過酸化ベンゾイル、レチノイド、及びそれらの混合物から選択する請求項40に記載のマイクロカプセル。
【請求項42】
室温で、約2週間〜2年間安定であることができる請求項35〜41のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
【請求項43】
請求項35〜42のいずれか一項に記載のマイクロカプセルを含む組成物。
【請求項44】
請求項43に記載の組成物を、対象に対して局所投与することを含む、前記方法を必要としている前記対象における表面状態を治療するための方法。
【請求項45】
前記表面が、皮膚又は粘膜である請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記表面状態が、座瘡、感染、炎症、掻痒症、乾癬、脂漏症、接触性皮膚炎、酒さ、及びそれらの組み合わせから選択される皮膚病、障害又は状態である請求項44に記載の方法。
【請求項47】
座瘡、感染、炎症、掻痒症、乾癬、脂漏症、接触性皮膚炎、酒さ、及びそれらの組み合わせから選択される疾患、障害又は状態を治療するための請求項43に記載の組成物。
【請求項48】
局所投与する組成物を調製するための請求項35〜42に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項49】
前記組成物が、座瘡、乾癬、脂漏症、接触性皮膚炎、感染、酒さ、炎症、及びそれらの組み合わせから選択される疾患、障害又は状態を治療するためのものである請求項48に記載の使用。

【公表番号】特表2013−516404(P2013−516404A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546557(P2012−546557)
【出願日】平成22年12月30日(2010.12.30)
【国際出願番号】PCT/IL2010/001092
【国際公開番号】WO2011/080741
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512080295)ソル − ゲル テクノロジーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】