説明

コネクタ装置

【課題】平板状配線部材の他の配線基板への取付けに用いられるにあたり、全体の低背化と複数のコンタクトについての狭ピッチ化とを、それらに起因する不都合を確実に回避できるもとで効果的に図ることができるコネクタ装置を提供する。
【解決手段】固定アーム部22,可動アーム部23及び連結部24を有して絶縁ハウジング12内に配されたコンタクト20と、平板状配線部材の接続端子部15が絶縁ハウジング12内に差し込まれたもとで、コンタクト20に、接続端子部15を可動アーム部23により押圧して、接続端子部15に設けられた接触接続端子を固定アーム部22に設けられた突出接点部25に押圧接触させるアクチュエータ40とを備え、コンタクト20の固定アーム部22に、絶縁ハウジング12内に差し込まれた接続端子部15における接触接続端子を含む配線パターン部以外の部分に当接する突起部26が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)等の平板状配線部材に設けられた接続端子部を、他の配線基板等とされる他の電気部品に電気的に接続された状態とするためのコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器に実装される、比較的小型なフレキシブル印刷配線基板あるいはフレキシブルフラットケーブル等の平板状配線部材は、各種の電気部品が装着される主印刷配線基板への取付けが、当該主印刷配線基板に電気的接続がなされて固着されたコネクタ装置が用いられて行われるものとされることが多い。斯かるコネクタ装置は、フレキシブル印刷配線基板あるいはフレキシブルフラットケーブル等の平板状配線部材に設けられた接続端子部に接触する導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、当該平板状配線部材に設けられた接続端子部を、主印刷配線基板に設けられた印刷配線部に電気的に接続する。
【0003】
従来提案されているフレキシブル印刷配線基板あるいはフレキシブルフラットケーブル等の平板状配線部材の主印刷配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置は、例えば、平板状配線部材の接続端子部が差し込まれる配線部材差込み部が設けられた絶縁ハウジングを有したものとされる。そして、斯かるコネクタ装置には、絶縁ハウジング内に配列配置されて設けられ、平板状配線部材の接続端子部が配線部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれるとき、その接続端子部に配された複数の接触接続端子に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられ、複数のコンタクトの夫々に係合して、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における可動部を変位させる、複数のコンタクトに共通のアクチュエータとが備えられる。
【0004】
複数のコンタクトの各々は、導電性の弾性板状材料によって形成され、絶縁ハウジングに固定される部分である固定部とそれに連結部を介して連結される可動部とを有するものとされる。そして、固定部は、主印刷配線基板に設けられた印刷配線部に電気的に接続され、また、可動部は、アクチュエータの回動動作に応じて変位せしめられる。
【0005】
このようなコネクタ装置にあっては、絶縁ハウジング内に配線部材差込み部を通じて平板状配線部材の接続端子部が差し込まれたもとで、アクチュエータが所定の方向に回動せしめられると、アクチュエータが複数のコンタクトの夫々における可動部を変位させて、当該可動部に、絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材の接続端子部を押圧する状態をとらせ、それにより、複数のコンタクトを平板状配線部材の接続端子部に配された複数の接触接続端子に夫々押圧接触させる。また、複数のコンタクトが平板状配線部材の接続端子部に配された複数の接触接続端子に夫々押圧接触するもとで、アクチュエータが上述の所定の方向とは逆の方向に回動せしめられると、アクチュエータが複数のコンタクトの夫々における可動部を変位させて、当該可動部に、絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材の接続端子部を押圧しない状態をとらせ、それにより、複数のコンタクトを平板状配線部材の接続端子部に配された複数の接触接続端子に夫々押圧接触する状態から解放する(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に示されるようなコネクタ装置においては、例えば、複数のコンタクトの夫々が、全体が「H」字状を成す板状部材とされる。斯かる「H」字状を成す板状部材における、連結部によって相互連結された一対のアーム部のうちの一方が固定部を構成する固定アーム部とされるとともに他方が可動部を構成する可動アーム部とされる。平板状配線部材の接続端子部が配線部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれるときには、平板状配線部材の接続端子部が、複数のコンタクトの夫々における固定アーム部と可動アーム部との間に配される。そして、アクチュエータが回動せしめられて、複数のコンタクトの夫々における可動アーム部を変位させ、当該可動アーム部に、平板状配線部材の接続端子部を押圧するとともに固定アーム部とで挟持する状態をとらせ、それにより、複数のコンタクトを平板状配線部材の接続端子部に配された複数の接触接続端子に夫々押圧接触させる。
【0007】
そして、特許文献1に示されるコネクタ装置にあっては、全体の小型化を図るべく、複数のコンタクトについてのピッチの狭小化を可能とする試みがなされている。斯かる試みのもとでは、複数のコンタクトが各々の形状を互いに異にするコンタクト(14)とコンタクト(142)とが交互に配列配置されて構成されている。
【0008】
そして、平板状配線部材(FPC40)の接続端子部が配線部材差込み部(嵌合口18)を通じて絶縁ハウジング(ハウジング12)内に差し込まれるとき、各コンタクト(14)の可動アーム部と固定アーム部とにおける平板状配線部材(FPC40)の接続端子部を挟持する突出部が設けられた部分(接触部22)、即ち、各コンタクト(14)における平板状配線部材(FPC40)の接続端子部に配された接触接続端子に押圧接触する突出部を含む部分と、各コンタクト(142)の可動アーム部と固定アーム部とにおける平板状配線部材(FPC40)の接続端子部を挟持する突出部が設けられた部分(接触部22)、即ち、各コンタクト(142)における平板状配線部材(FPC40)の接続端子部に配された接触接続端子に押圧接触する突出部を含む部分とが、絶縁ハウジング(ハウジング12)に対する平板状配線部材(FPC40)の接続端子部の差込方向において、互いに異なる位置をとり、隣合わないものとされている。
【0009】
また、各コンタクト(14)の固定アーム部における主印刷配線基板に設けられた印刷配線部に電気的に接続される接続端子部(接続部24)と、各コンタクト(142)の固定アーム部における主印刷配線基板に設けられた印刷配線部に電気的に接続される接続端子部(接続部24)とが、絶縁ハウジング(ハウジング12)に対する平板状配線部材(FPC40)の接続端子部の差込方向において、互いに異なる位置をとり、隣合わないものとされている。
【0010】
このように、各コンタクト(14)における平板状配線部材(FPC40)の接続端子部に配された接触接続端子に夫々押圧接触する突出部が設けられた部分と、各コンタクト(142)における平板状配線部材(FPC40)の接続端子部に配された複数の接触接続端子に夫々押圧接触する突出部が設けられた部分とが、隣合わない位置に配されるとともに、各コンタクト(14)の固定アーム部における主印刷配線基板に設けられた印刷配線部に電気的に接続される接続端子部(接続部24)と、各コンタクト(142)の固定アーム部における主印刷配線基板に設けられた印刷配線部に電気的に接続される接続端子部(接続部24)とが、隣合わない位置に配されることにより、交互に配列配置される複数のコンタクト(14)及びコンタクト(142)は、ピッチの狭小化が可能なものとされている。
【0011】
【特許文献1】特開2004−71160号公報(第5〜8頁、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
フレキシブル印刷配線基板あるいはフレキシブルフラットケーブル等の平板状配線部材の主印刷配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置については、今後、主印刷配線基板に装着されたもとでの主印刷配線基板上における突出高を更に小とすること、即ち、全体の更なる低背化と、配列配置される複数のコンタクトについての更なる狭ピッチ化とが望まれることになるが、上述された従来のコンタクト装置は、このような更なる低背化と複数のコンタクトについての更なる狭ピッチ化にあたって次のような不都合を伴う。
【0013】
先ず、全体の更なる低背化にあたっては、全体が「H」字状を成す板状部材とされる各コンタクトにおける固定部を構成する固定アーム部と可動部を構成する可動アーム部の夫々に設けられた、絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材の接続端子部を挟持する突出部の突出長が低減せしめられることになる。そのため、各コンタクトにおける固定アーム部及び可動アーム部の突出部以外の部分と絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材の接続端子部との間のクリアランスが減少して、固定アーム部もしくは可動アーム部の突出部以外の部分が平板状配線部材の接続端子部における接触接続端子を含む配線パターン部に不所望に接触し、例えば、複数の配線パターン間の短絡を生じさせることになる虞が大となってしまう。
【0014】
また、平板状配線部材の接続端子部が絶縁ハウジング内に差し込まれるときには、絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材の接続端子部に配された接触接続端子とそれに対応する各コンタクトにおける固定アーム部もしくは可動アーム部との間に、微細な位置ズレが生じ得ることがある。複数のコンタクトについての更なる狭ピッチ化が図られると、それに伴って、平板状配線部材の接続端子部に配される複数の接触接続端子についての狭ピッチ化も図られることになり、上述のような平板状配線部材の接続端子部に配された接触接続端子とそれに対応する各コンタクトにおける固定アーム部もしくは可動アーム部との間の微細な位置ズレに起因して、固定アーム部もしくは可動アーム部の突出部以外の部分が、当該固定アーム部もしくは可動アーム部に対応する接触接続端子に隣接する接触接続端子に、あるいは、当該固定アーム部もしくは可動アーム部に対応する接触接続端子とそれに隣接する接触接続端子との両者に、不所望に押圧接触してしまうことになる虞も大とされる。
【0015】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板あるいはフレキシブルフラットケーブル等の平板状配線部材の他の配線基板への取付けに用いられる、配線部材差込み部が設けられた絶縁ハウジングと、その絶縁ハウジング内に配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられて複数のコンタクトに係合し、平板状配線部材が配線部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれたもとで回動操作されるとき、複数のコンタクトを平板状配線部材に設けられた複数の接触接続端子に夫々押圧接触させるアクチュエータとを備えたコネクタ装置であって、全体の低背化と複数のコンタクトについての狭ピッチ化とを、それらに起因してもたらされる不都合を確実に回避できるもとで、効果的に図ることができることになるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項6までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、配線部材差込み部が設けられた絶縁ハウジングと、各々が固定アーム部,可動アーム部及び固定アーム部と可動アーム部とを相互連結する連結部を有して形成されて絶縁ハウジング内に配列配置され、各々の固定アーム部及び可動アーム部が配線部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材を挟む位置に配された複数のコンタクトと、絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられ、複数のコンタクトの夫々に係合して、平板状配線部材が配線部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれたもとで、複数のコンタクトの各々に、差し込まれた平板状配線部材を可動アーム部により押圧して、その平板状配線部材に設けられた接触接続端子を、固定アーム部における連結部から離隔した部位に設けられた突出接点部に押圧接触させる状態をとらせるアクチュエータとを備えて成り、複数のコンタクトの各々もしくは一部のものが、固定アーム部における連結部の近傍の部位に、配線部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材における接触接続端子を含む配線パターン部以外の部分に当接する突起部が設けられたことを特徴とするものとされる。
【0017】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、複数のコンタクトの各々もしくは一部のものの固定アーム部における連結部の近傍の部位に設けられた突起部が、複数のコンタクトの配列方向に沿って配列配置されていることを特徴とするものとされる。
【0018】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、複数のコンタクトが第1のグループと第2のグループとを含み、第1のグループに属するコンタクトの夫々における固定アーム部に設けられた突出接点部と、第2のグループに属するコンタクトの夫々における固定アーム部に設けられた突出接点部とが、平板状配線部材の配線部材差込み部を通じた絶縁ハウジング内への差込方向における位置を互いに異ならせていることを特徴とするものとされる。
【0019】
上述のように構成される本発明に係るコネクタ装置にあっては、平板状配線部材が配線部材差込み部を通じて絶縁ハウジング内に差し込まれて、複数のコンタクトの各々の固定アーム部及び可動アーム部により挟まれる状態におかれたもとで、アクチュエータを絶縁ハウジングに対して回動させる回動操作が行われると、アクチュエータが、それが係合する複数のコンタクトの各々に、絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材を可動アーム部により押圧して、その平板状配線部材に設けられた接触接続端子を固定アーム部に設けられた接点部に押圧接触させる状態をとらせる。このとき、複数のコンタクトの各々もしくは一部のものの固定アーム部における連結部の近傍の部位に設けられた突起部が、絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材における接触接続端子を含む配線パターン部以外の部分に当接して、それにより、固定アーム部における突出接点部以外の部分と平板状配線部材との間に所定のクリアランスが形成されるようになす。
【0020】
その結果、アクチュエータにより各コンタクトの可動アーム部が平板状配線部材を押圧する状態におかれるとき、複数のコンタクトの各々もしくは一部のものの固定アーム部における連結部の近傍の部位に設けられた突起部により、固定アーム部における連結部から離隔した部位に設けられた突出接点部以外の部分と平板状配線部材との間に所定のクリアランスが形成されるもとで、平板状配線部材に設けられた接触接続端子が、固定アーム部に設けられた突出接点部に確実に押圧接触する状態におかれる。
【0021】
そして、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合には、複数のコンタクトの各々もしくは一部のものの固定アーム部に設けられた突起部が、複数のコンタクトの配列方向に沿って配列配置されることにより、複数の突起部の、絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材における接触接続端子を含む配線パターン部以外の部分への当接が、より確実に行われる。
【0022】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合には、第1のグループに属するコンタクトの夫々における固定アーム部に設けられた突出接点部と、第2のグループに属するコンタクトの夫々における固定アーム部に設けられた突出接点部とが、平板状配線部材の配線部材差込み部を通じた絶縁ハウジング内への差込方向における位置を互いに異ならせている。それにより、例えば、第1のグループに属するコンタクトと第2のグループに属するコンタクトとが交互に配されるとき、第1のグループに属するコンタクトの夫々における固定アーム部に設けられて、平板状配線部材における接触接続端子が押圧接触する突出接点部と、第2のグループに属するコンタクトの夫々における固定アーム部に設けられて、平板状配線部材における接触接続端子が押圧接触する突出接点部とが、隣合わない位置に配されることになり、複数のコンタクトについてのピッチをより一層小とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、全体のより一層の低背化を図るべく、各コンタクトにおける固定アーム部における連結部から離隔した部位に設けられて、平板状配線部材における接触接続端子が押圧接触する突出接点部が、その突出長が低減せしめられたものとされても、複数のコンタクトの各々もしくは一部のものの固定アーム部における連結部の近傍の部位に設けられた突起部によって、各コンタクトにおける固定アーム部における突出接点部を除く部分と絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材との間に所定のクリアランスが形成されるので、各コンタクトにおける固定アーム部の突出接点部を除く部分が平板状配線部材における接触接続端子を含む配線パターン部に不所望に接触し、例えば、複数の配線パターン間の短絡を生じるさせる事態を、確実に回避することができる。
【0024】
それに加えて、本発明に係るコネクタ装置にあっては、複数のコンタクトについてのより一層の狭ピッチ化が図られても、複数のコンタクトの各々もしくは一部のものの固定アーム部における連結部の近傍の部位に設けられた突起部によって、各コンタクトにおける固定アーム部における突出接点部以外の部分と絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材との間に所定のクリアランスが形成されるので、平板状配線部材の絶縁ハウジング内への差込み時に生じた、平板状配線部材における接触接続端子とそれに対応する各コンタクトにおける固定アーム部との間の微細な位置ズレに起因して、固定アーム部における突出接点部を除く部分が、当該固定アーム部に対応する接触接続端子に隣接する接触接続端子に、あるいは、当該固定アーム部に対応する接触接続端子とそれに隣接する接触接続端子との両者に、不所望に押圧接触してしまうことになる事態を、確実に回避することができる。
【0025】
これよりして、本発明に係るコネクタ装置によれば、全体の低背化と複数のコンタクトについての狭ピッチ化とを、それらに起因してもたらされる不都合を確実に回避できるもとで、効果的に図ることができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【0027】
図1は、本発明に係るコネクタ装置の一例を、それに差し込まれる平板状配線部材とされるフレキシブル印刷配線基板の部分と共に示す。
【0028】
図1において、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、配線基板11に固着されている。そして、コネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成された絶縁ハウジング12を備えており、絶縁ハウジング12には、配線部材差込み部13が設けられている。この絶縁ハウジング12には、例えば、平板状配線部材を成すフレキシブル印刷配線基板14における接続端子部15が、配線部材差込み部13を通じて、その内部に差し込まれる。
【0029】
図2に示されるように、配線部材差込み部13を通じて絶縁ハウジング12内に差し込まれるフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における、絶縁ハウジング12内に差し込まれたとき配線基板11に対向することになる面(以下、下面という)には、複数の接触接続端子16と複数の接触接続端子17とを含んだ配線パターン部が設けられている。複数の接触接続端子16は、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15の端縁部分18に沿って、所定のピッチをもって配列配置されており、また、複数の接触接続端子17は、複数の接触接続端子16の近傍において、複数の接触接続端子16の配列方向と同方向に所定のピッチをもって配列配置されている。
【0030】
配列配置された複数の接触接続端子16と同じく配列配置された複数の接触接続端子17とは、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面上において、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15の絶縁ハウジング12に対する差込み及び抜出し方向(図1及び図2において矢印Sにより示される方向であって、以下、S方向という。)における位置を異にしており、配列配置された複数の接触接続端子16は、配列配置された複数の接触接続端子17に比して、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15の端縁部分18に近い位置をとるものとされている。そして、複数の接触接続端子17の夫々は、複数の接触接続端子16のうちの隣り合う2個の間に対応する位置をとるものとされていて、全体的には、接触接続端子16と接触接続端子17とが、S方向の位置を異にして、交互に配されていると言い得る状態におかれている。
【0031】
このようなもとで、各接触接続端子16は、複数の接触接続端子16の配列方向における幅が、隣接する他の接触接続端子16との間の間隔より大とされており、また、各接触接続端子17は、各接触接続端子16に連結された配線パターンに挟まれて配されることにより、複数の接触接続端子17の配列方向における幅についての制約を受けて、その幅が、隣接する他の接触接続端子17との間の間隔より若干小とされている。フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15にあっては、上述のようにされることにより、複数の接触接続端子16及び17についての狭ピッチ化が図られている。
【0032】
図1に示されるように、コネクタ装置10の絶縁ハウジング12内には、複数のコンタクト20及び21が交互に配列配置されている。これらの交互に配列配置された複数のコンタクト20及び21は、各々が、S方向に沿う方向に伸びるものとされ、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が配線部材差込み部13を通じて絶縁ハウジング12内に差し込まれるとき、差し込まれたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に配列配置された複数の接触接続端子16及び17に夫々対応する位置をとるものとされる。
【0033】
複数のコンタクト20の夫々は、図1における III−III 線断面をあらわす図3に示されるように、弾性を有した導電性材料で形成された、全体が「H」字状を成す板状部材とされている。そして、各コンタクト20は、固定アーム部22と可動アーム部23とが連結部24によって相互連結されていて、それにより、全体として「H」字状に形成されている。固定アーム部22は、その一方の端部22aが、コネクタ装置10が固着された配線基板11に設けられた配線部(図示が省略されている)に接続されている。固定アーム部22が、その端部22aを絶縁ハウジング12に設けられた配線部材差込み部13の位置に置いているのに対して、可動アーム部23は、その配線部材差込み部13側の一方の端部23aを、配線部材差込み部13から離隔した絶縁ハウジング12内の位置に置いている。
【0034】
そして、固定アーム部22には、連結部24から離隔した、可動アーム部23の端部23aに対向する部位に、突出接点部25が設けられており、また、連結部24の近傍の部位に突起部26が設けられている。突出接点部25の突出長と突起部26の突出長とは、コネクタ装置10の全体の低背化を図るべく、図3に示されるとおりに極めて小とされるとともに、略同等とされる。
【0035】
また、複数のコンタクト21の夫々も、図1におけるIV−IV線断面をあらわす図4に示されるように、弾性を有した導電性材料で形成された、全体が「H」字状を成す板状部材とされている。そして、各コンタクト21は、固定アーム部27と可動アーム部28とが連結部29によって相互連結されていて、それにより、全体として「H」字状に形成されている。固定アーム部27は、その一方の端部27aが、コネクタ装置10が固着された配線基板11に設けられた配線部(図示が省略されている)に接続されており、その端部27aとは反対側の他方の端部27bを、絶縁ハウジング12に設けられた配線部材差込み部13に臨む位置に置いている。また、可動アーム部28は、その配線部材差込み部13側の一方の端部28aを、配線部材差込み部13に臨む位置に置いていて、その端部28aに固定アーム部27の端部27bが対向するものとなっている。
【0036】
そして、固定アーム部27には、連結部29から離隔した、配線部材差込み部13に臨む位置に置かれる端部27bに含まれる部位に、突出接点部30が設けられており、また、連結部29の近傍の部位に突起部31が設けられている。突出接点部30の突出長と突起部31の突出長とは、コネクタ装置10の全体の低背化を図るべく、図4に示されるとおりに極めて小とされるとともに、略同等とされる。
【0037】
このようにして、交互に配列配置された複数のコンタクト20及び21のうちの複数のコンタクト20が、各々が固定アーム部22に設けられた突出接点部25を配線部材差込み部13から離隔した絶縁ハウジング12内の位置に置くものとされた、第1のグループを形成しており、また、交互に配列配置された複数のコンタクト20及び21のうちの複数のコンタクト21が、各々が固定アーム部27に設けられた突出接点部30を配線部材差込み部13に臨む位置に置くものとされた、第2のグループを形成している。これらの複数のコンタクト20及び21は、隣り合う二つの間の間隔が、前述のフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた複数の接触接続端子16及び17のピッチに対応した小なるものとされて、全体的に、それらについての狭ピッチ化が図られたものとされる。
【0038】
そして、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が配線部材差込み部13を通じて絶縁ハウジング12内に差し込まれるときには、複数の接触接続端子16及び17を含む配線パターン部が設けられた下面を有するフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が、絶縁ハウジング12内に交互に配列配置された複数のコンタクト20及び21の夫々における固定アーム部22もしくは27と可動アーム部23もしくは28との間に配される。その際、複数のコンタクト20及び21は、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた複数の接触接続端子16及び17に夫々対応するものとなる。
【0039】
また、コネクタ装置10には、絶縁ハウジング12に対して回動可能とされたアクチュエータ40が備えられている。アクチュエータ40は、絶縁ハウジング12における複数のコンタクト20及び21の配列方向に伸びる細長い形状をしている。
【0040】
アクチュエータ40は、図1,図3及び図4に示されるような、絶縁ハウジング12に対して起き上がった位置(コネクタ装置10が固着された配線基板11に対して起き上がった位置)となる第1の静止位置と、後述される図5,図6及び図7に示されるような、絶縁ハウジング12に対して伏した位置(コネクタ装置10が固着された配線基板11に対して伏した位置)となる第2の静止位置とをとる。そして、アクチュエータ40に回動操作が加えられるとき、アクチュエータ40が、第1の静止位置から第2の静止位置への回動移行、あるいは、第2の静止位置から第1の静止位置への回動移行を行うものとされる。
【0041】
アクチュエータ40には、図3に示されるような、複数のコンタクト20に係合するカム部41が設けられている。カム部41は、図3に示されるように、断面形状が楕円状とされており、従って、対向端面部間の差渡し寸法が極大となる極大寸法部を有していて、アクチュエータ40の回動位置の変化に伴って極大寸法部を変位させるものとされている。そして、カム部41は、複数のコンタクト20の夫々における固定アーム部22上に入り込んだ絶縁ハウジング12の一部12Aと当該コンタクト20における可動アーム部23とに挟まれて、その可動アーム部23に係合するものとされている。
【0042】
さらに、アクチュエータ40には、図4に示されるような、複数のコンタクト21に係合するカム部42も設けられている。カム部42も、図4に示されるように、断面形状が楕円状とされており、従って、断面における長軸方向に伸びる極大寸法部を有していて、アクチュエータ40の回動位置の変化に伴って極大寸法部を変位させるものとされている。そして、カム部42は、複数のコンタクト21の夫々における固定アーム部27と可動アーム部28とに挟まれて、それらの固定アーム部27及び可動アーム部28の両者に係合するものとされている。
【0043】
このようなもとで、図5に示されるように、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が、絶縁ハウジング12内に配線部材差込み部13を通じてS方向に沿って差し込まれる。そして、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が絶縁ハウジング12内に差し込まれた後、アクチュエータ40が、それに対する回動操作により回動せしめられて、図5に示されるように、第1の静止位置から第2の静止位置に移行すると、複数のコンタクト20及び21が、絶縁ハウジング12内に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた複数の接触接続端子16及び17に夫々押圧接触するものとされる。
【0044】
斯かる際においては、先ず、アクチュエータ40が第1の静止位置をとるもとにおいて、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が、絶縁ハウジング12内に配線部材差込み部13を通じて、例えば、端縁部分18が、複数のコンタクト20の夫々における連結部24の近傍に達するとともに、複数のコンタクト21の夫々における連結部29に当接するまで、差し込まれる。絶縁ハウジング12内に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15は、絶縁ハウジング12内に交互に配列配置された複数のコンタクト20及び21に対して、複数のコンタクト20の夫々の固定アーム部22と可動アーム部23とに挟まれるとともに、複数のコンタクト21の夫々の固定アーム部27と可動アーム部28とに挟まれる位置におかれる。
【0045】
続いて、第1の静止位置をとるアクチュエータ40が、回動操作により、第1の静止位置から第2の静止位置に移行すべく回動せしめられる。斯かるアクチュエータ40の第1の静止位置から第2の静止位置に移行する回動に伴って、アクチュエータ40に設けられたカム部41及び42の夫々が、その極大寸法部を変位させるものとされる。
【0046】
このとき、カム部41は、図5におけるVI−VI線断面をあらわす図6に示されるように、アクチュエータ40の回動に伴って極大寸法部の方向を変化させつつ、複数のコンタクト20の夫々の可動アーム部23に係合し、その可動アーム部23を変位させる。そして、カム部41は、可動アーム部23に極大寸法部をもって作用するとき、その可動アーム部23に、端部23aによってフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15を当該コンタクト20の固定アーム部22側に向けて押圧する状態をとらせる。
【0047】
また、カム部42は、図5における VII−VII 線断面をあらわす図7に示されるように、アクチュエータ40の回動に伴って極大寸法部の方向を変化させつつ、複数のコンタクト21の夫々の可動アーム部28に係合し、その可動アーム部28を変位させる。そして、カム部42は、可動アーム部28に極大寸法部をもって作用するとき、その可動アーム部28に、端部28aによってフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15を当該コンタクト21の固定アーム部27側に向けて押圧する状態をとらせる。
【0048】
それにより、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた接触接続端子16が、それに対応するコンタクト20の固定アーム部22に設けられた突出接点25に押圧接触する状態におかれるとともに、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた接触接続端子17が、それに対応するコンタクト21の固定アーム部27に設けられた突出接点30に押圧接触する状態におかれる。その結果、絶縁ハウジング12内に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた複数の接触接続端子16及び17が、絶縁ハウジング12内に配列配置された複数のコンタクト20及び21に夫々接触接続され、複数のコンタクト20及び21を介して、配線基板11に設けられた配線部に連結されることになる。
【0049】
また、このとき、その端縁部分18が、複数のコンタクト20の夫々における連結部24の近傍に達するとともに、複数のコンタクト21の夫々における連結部29に当接するまで、絶縁ハウジング12内に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が、その下面における、複数の接触接続端子16及び17を含んだ配線パターン部が設けられていない、端縁部分18の近傍の部分を、複数のコンタクト20の夫々における固定アーム部22における連結部24の近傍の部位に設けられた突起部26、及び、複数のコンタクト21の夫々における固定アーム部27における連結部29の近傍の部位に設けられた突起部31に、押圧接触させる状態におかれる。それにより、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた複数の接触接続端子16及び17を含んだ配線パターン部と、複数のコンタクト20の夫々の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分及び複数のコンタクト21の夫々の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分との間に、極めて小なものではあるがクリアランスが確実に形成される。
【0050】
このように、複数のコンタクト20の夫々における固定アーム部22に設けられた突起部26及び複数のコンタクト21の夫々における固定アーム部27に設けられた突起部31は、絶縁ハウジング12内に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に設けられた複数の接触接続端子16及び17を含んだ配線パターン部に、複数のコンタクト20の夫々の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分及び複数のコンタクト21の夫々の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分が、不所望に接触してしまう事態の発生を回避する役割を果たしている。
【0051】
図8は、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が、絶縁ハウジング12内に、複数の接触接続端子16及び17の複数のコンタクト20及び21に対する位置ズレを生じることなく、適正に差し込まれた場合における、各接触接続端子16と各コンタクト20の固定アーム部22との位置関係及び各接触接続端子17と各コンタクト21の固定アーム部27との位置関係を示す。斯かるもとでは、各接触接続端子16と各コンタクト20の固定アーム部22とが適正に相互対応する位置におかれて、接触接続端子16が固定アーム部22に設けられた突出接点部25に押圧接触し、また、各接触接続端子17と各コンタクト21の固定アーム部27とが適正に相互対応する位置におかれて、接触接続端子17が固定アーム部27に設けられた突出接点部30に押圧接触する状態におかれる。
【0052】
それに対して、図9は、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15が、絶縁ハウジング12内に、複数の接触接続端子16及び17の複数のコンタクト20及び21に対する矢印Xにより示される方向の位置ズレを伴って差し込まれた場合における、各接触接続端子16と各コンタクト20の固定アーム部22との位置関係及び各接触接続端子17と各コンタクト21の固定アーム部27との位置関係を示す。斯かるもとでは、各接触接続端子16と各コンタクト20の固定アーム部22とが、また、各接触接続端子17と各コンタクト21の固定アーム部27とが、夫々適正に相互対応する位置におかれず、例えば、接触接続端子16におけるハッチングが付された部分とコンタクト21の固定アーム部27とが相互対応する位置におかれ、また、接触接続端子17におけるハッチングが付された部分とコンタクト20の固定アーム部22とが相互対応する位置におかれる。
【0053】
従って、仮に、コンタクト20の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分及びコンタクト21の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分が接触接続端子16及び17に接触する状態にあるとすると、接触接続端子16におけるハッチングが付された部分にコンタクト21の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分が不所望に接触してしまい、また、接触接続端子17におけるハッチングが付された部分にコンタクト20の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分が不所望に接触してしまうという不都合が生じる。
【0054】
しかしながら、実際には、コネクタ装置10にあっては、各コンタクト20における固定アーム部22に設けられた突起部26及び各コンタクト21における固定アーム部27に設けられた突起部31が、接触接続端子16及び17を含んだ配線パターン部に、コンタクト20の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分、及び、コンタクト21の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分が不所望に接触してしまう事態の発生を回避する役割を果たすので、たとえ、図9に示される位置ズレ状態が生じたとしても、接触接続端子16におけるハッチングが付された部分にコンタクト21の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分が不所望に接触してしまい、また、接触接続端子17におけるハッチングが付された部分にコンタクト20の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分が不所望に接触してしまう、という不都合は回避される。
【0055】
上述のように、コネクタ装置10によれば、複数のコンタクト20の夫々における固定アーム部22における連結部24の近傍の部位に突起部26が設けられ、また、複数のコンタクト21の夫々における固定アーム部27における連結部29の近傍の部位に突起部31が設けられることにより、各コンタクト20の固定アーム部22に設けられた突出接点部25及び突起部26及び各コンタクト21の固定アーム部27に設けられた突出接点部30及び突起部31の夫々の突出長が極めて小とされて全体の低背化が図られ、また、接触接続端子16及び17についての狭ピッチ化が図られたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15に応じて、配列配置された複数のコンタクト20及び21についての狭ピッチ化が図られたもとにあっても、各コンタクト20の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分もしくは各コンタクト21の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分が、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に配された接触接続端子16及び17を含む配線パターン部に不所望に接触し、例えば、複数の配線パターン間の短絡を生じるさせる事態を、確実に回避することができる。
【0056】
それに加えて、コネクタ装置10によれば、複数のコンタクト20及び21についてのより一層の狭ピッチ化が図られても、各コンタクト20の固定アーム部22に設けられた突起部26及び各コンタクト21の固定アーム部27に設けられた突起部31によって、各コンタクト20の固定アーム部22における突出接点部25を除く部分及び各コンタクト21の固定アーム部27における突出接点部30を除く部分と絶縁ハウジング12内に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15における下面に配された接触接続端子16及び17を含む配線パターン部との間に所定のクリアランスが形成されるので、フレキシブル印刷配線基板14の接続端子部15の絶縁ハウジング12内への差込み時に生じた、接触接続端子16及び17とそれに対応するコンタクト20における固定アーム部22及びコンタクト21における固定アーム部27との間の微細な位置ズレに起因して、コンタクト20における固定アーム部22における突出接点部25を除く部分もしくはコンタクト21における固定アーム部27における突出接点部30を除く部分が、それに対応する接触接続端子16もしくは17に隣接する接触接続端子17もしくは16に、あるいは、それに対応する接触接続端子16もしくは17とそれに隣接する接触接続端子17もしくは16との両者に、不所望に押圧接触してしまうことになる事態を、確実に回避することができる。
【0057】
上述のような、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10においては、複数のコンタクト20の夫々の固定アーム部22に突起部26が設けられ、また、複数のコンタクト21の夫々の固定アーム部27に突起部31が設けられているが、本発明に係るコネクタ装置は、複数のコンタクト20に対応する複数のコンタクトのうちの一部のものの固定アーム部に突起部が設けられ、また、複数のコンタクト21に対応する複数のコンタクトのうちの一部のものの固定アーム部に突起部が設けられるものとされてもよい。
【0058】
また、上述の本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10においては、絶縁ハウジング12内において複数のコンタクト20と複数のコンタクト21とが交互に配列配置されているが、複数のコンタクト20及び複数のコンタクト21は、交互に配されなくてはならないというものではない。
【0059】
さらに、上述の本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10においては、複数のコンタクト20の夫々と複数のコンタクト21の夫々とが、寸法及び形状を互いに異にするものとされているが、本発明に係るコネクタ装置は、複数のコンタクト20及び複数のコンタクト21に相当する複数のコンタクトの全てを略同じ寸法及び形状を有するものとして、構成され得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板の他の配線基板への取付けに用いられる、複数のコンタクトとそれらに係合し、回動操作されるとき複数のコンタクトの夫々における可動部を変位させるアクチュエータとを備えたコネクタ装置であって、全体の低背化と複数のコンタクトについての狭ピッチ化とを、それらに起因してもたらされる不都合を確実に回避できるもとで、効果的に図ることができることになるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の一例を、それが固着された配線基板の部分及びそれに差し込まれるフレキシブル印刷配線基板の接続端子部と共に示す斜視図である。
【図2】図1に示されるフレキシブル印刷配線基板の接続端子部に設けられる接触接続端子を含む配線パターン部を示す平面図である。
【図3】図1における III−III 線断面をあらわす断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面をあらわす断面図である。
【図5】本発明に係るコネクタ装置の一例における絶縁ハウジング内にフレキシブル印刷配線基板の接続端子部が差し込まれた状態を示す斜視図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面をあらわす断面図である。
【図7】図5における VII−VII 線断面をあらわす断面図である。
【図8】本発明に係るコネクタ装置の一例における絶縁ハウジング内にフレキシブル印刷配線基板の接続端子部が差し込まれたもとにおける、複数の接触接続端子と複数のコンタクトの固定アーム部との位置関係を示す平面図である。
【図9】本発明に係るコネクタ装置の一例における絶縁ハウジング内にフレキシブル印刷配線基板の接続端子部が差し込まれたもとにおける、複数の接触接続端子と複数のコンタクトの固定アーム部との位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0062】
10・・・コネクタ装置, 11・・・配線基板, 12・・・絶縁ハウジング, 13・・・配線部材差込み部, 14・・・フレキシブル印刷配線基板, 15・・・接続端子部, 16,17・・・接触接続端子, 18・・・端縁部分, 20,21・・・コンタクト, 22,27・・・固定アーム部, 23,28・・・可動アーム部, 24,29・・・連結部, 25,30・・・突出接点部, 26,31・・・突起部, 40・・・アクチュエータ, 41,42・・・カム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部材差込み部が設けられた絶縁ハウジングと、
各々が固定アーム部,可動アーム部及び該固定アーム部と可動アーム部とを相互連結する連結部を有して形成されて上記絶縁ハウジング内に配列配置され、各々の固定アーム部及び可動アーム部が上記配線部材差込み部を通じて上記絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材を挟む位置に配された複数のコンタクトと、
上記絶縁ハウジングに対して回動可能に設けられ、上記複数のコンタクトの夫々に係合して、平板状配線部材が上記配線部材差込み部を通じて上記絶縁ハウジング内に差し込まれたもとで、上記複数のコンタクトの各々に、差し込まれた上記平板状配線部材を上記可動アーム部により押圧して、該平板状配線部材に設けられた接触接続端子を、上記固定アーム部における上記連結部から離隔した部位に設けられた突出接点部に押圧接触させる状態をとらせるアクチュエータと、
を備えて成り、
上記複数のコンタクトの各々もしくは一部のものが、上記固定アーム部における上記連結部の近傍の部位に、上記配線部材差込み部を通じて上記絶縁ハウジング内に差し込まれた上記平板状配線部材における上記接触接続端子を含む配線パターン部以外の部分に当接する突起部が設けられたものとされることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記複数のコンタクトの各々もしくは一部のものの上記固定アーム部における上記連結部の近傍の部位に設けられた上記突起部が、上記複数のコンタクトの配列方向に沿って配列配置されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記複数のコンタクトが第1のグループと第2のグループとを含み、上記第1のグループに属するコンタクトの夫々における上記固定アーム部に設けられた突出接点部と、上記第2のグループに属するコンタクトの夫々における上記固定アーム部に設けられた突出接点部とが、平板状配線部材の上記配線部材差込み部を通じた上記絶縁ハウジング内への差込方向における位置を互いに異ならせていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記複数のコンタクトのうちの上記第1のグループに属するものと上記第2のグループに属するものとが交互に配されることを特徴とする請求項3記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記アクチュエータが、上記複数のコンタクトの各々の上記可動アーム部に係合して、該可動アーム部に、上記配線部材差込み部を通じて上記絶縁ハウジング内に差し込まれた平板状配線部材を押圧する状態をとらせるカム部を備えることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項6】
上記カム部が、上記アクチュエータの上記絶縁ハウジングに対する回動に伴って、上記複数のコンタクトの各々の上記可動アーム部に係合したもとで回動することを特徴とする請求項5記載のコネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−135085(P2010−135085A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307185(P2008−307185)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(394009278)株式会社アイペックス (148)
【Fターム(参考)】