説明

コネクタ

【課題】 両ハウジングが未嵌合の状態において、検知部材の検知位置への移動を防止する。
【解決手段】 検知部材30の待機位置から検知位置への移動を規制する規制部34を、検知部材30のうちロックアーム12に対して弾性撓み方向への相対変位を規制された領域(ロック解除操作部31)に設けたので、ロックアーム12が非撓み位置に保持されている限り、検知部材30に検知位置方向の押圧力が作用しても、規制部34は第1ハウジング10の後端面10R(外面)に突き当たる状態に保たれ、検知部材30の検知位置への移動が確実に防止される。両ハウジング10,40が正規嵌合すると、ロックアーム12が非撓み位置に到達する前に、当接部15,45同士が弾性的に当接して衝突音が発生し、これにより、両ハウジング10,40が正規嵌合されたことが判る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合検知機能を備えたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
嵌合検知機能を備えたコネクタとして、特許文献1に記載されているものがある。これは、第1ハウジングに検知部材を相対移動可能に取り付け、第1ハウジングと第2ハウジングが半嵌合の状態では検知部材が待機位置から検知位置への移動を規制され、両ハウジングが正規嵌合状態に至ると、検知部材が待機位置から検知位置への移動を許容されるようにしたものがある。このコネクタによれば、検知部材を待機位置から検知位置へ移動させることができるか否かによって、両ハウジングの嵌合状態を検知することができる。
【特許文献1】特開2004−063090公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記コネクタでは、両ハウジングが未嵌合の状態で検知部材を待機位置に保持する手段として、検知部材に形成されている撓み係止片の係止部をロックアームの係止突起に突き当てる構造がとられているが、撓み係止片は、係止部を係止突起から解離させる方向へ弾性撓み可能であるため、検知部材に対して強い押込力が作用した場合には、撓み係止片が弾性撓みして係止部が係止突起から解離し、検知部材が検知位置へ移動してしまうことが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、両ハウジングが未嵌合の状態で検知部材の検知位置への移動を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、第1ハウジングに、非撓み位置からロック解除位置へ弾性撓み可能なロックアームが設けられているとともに、待機位置と検知位置との間での移動を可能とされた検知部材が取り付けられ、前記第1ハウジングと第2ハウジングが半嵌合の状態では、前記ロックアームがロック解除位置へ弾性撓みするとともに、前記検知部材が待機位置から検知位置への移動を規制され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合した状態では、前記ロックアームが弾性復帰して前記第2ハウジングに係止することで前記両ハウジングが嵌合状態にロックされるとともに、前記検知部材の待機位置から検知位置への移動が許容されるようになっているコネクタにおいて、前記ロックアームと前記第2ハウジングには、前記両ハウジングが正規嵌合して前記ロックアームが弾性復帰したときに、互いに当接することで前記ロックアームを前記非撓み位置よりも手前のロック位置に留め置く当接部が設けられ、前記検知部材が、前記ロックアームに対して一体的に変位し得るように取り付けられ、前記第1ハウジングの外面には、凹部が形成され、前記検知部材のうち前記ロックアームに対して弾性撓み方向への相対変位を規制された領域には、前記検知部材が待機位置にある状態で前記第1ハウジングの外面よりも外方に配される規制部が設けられ、前記ロックアームがロック位置にあるときには、前記規制部が前記凹部内に進入しつつ前記検知部材の待機位置から検知位置への移動が許容され、前記ロックアームが非撓み位置にあるときには、前記規制部が前記第1ハウジングの外面に突き当たることで、前記検知部材の検知位置への移動が規制される構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記検知部材と前記ロックアームには、前記両ハウジングが未嵌合の状態において互いに係止することで前記検知部材の待機位置から検知位置への移動を規制可能な係止手段が設けられ、前記検知部材と前記第2ハウジングには、前記両ハウジングが正規嵌合した状態において、互いに係合することで前記係止手段による係止を解除する解除手段が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、正規嵌合されている前記両ハウジングを離脱させる際には、前記検知部材を、検知位置から待機位置へ戻した状態で前記ロックアームをロック解除位置へ変位させるようになっており、前記検知部材には、前記検知部材が待機位置にある状態で前記ロックアームの外縁よりも外方へ突出するロック解除操作部が設けられ、前記ロック解除操作部を押し操作することで前記ロックアームがロック解除方向へ変位するようなっているところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記検知部材が検知位置にある状態では、前記検知部材が前記第1ハウジングの外面に対して面一となる位置又は外面よりも内側の位置に配される構成としたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
検知部材の待機位置から検知位置への移動を規制する規制部は、検知部材のうちロックアームに対して弾性撓み方向への相対変位を規制された領域に設けられているので、ロックアームが非撓み位置に保持されている限り、検知部材に対して検知位置方向への押圧力が作用しても、規制部は第1ハウジングの外面に突き当たる状態に保たれ、検知部材の検知位置への移動が確実に防止される。
また、両ハウジングが正規嵌合すると、ロックアームが非撓み位置に到達する前、即ちロックアームに蓄積されている弾性復元力が消失する前に、当接部同士が弾性的に当接して、衝突音が発生する。したがって、この当接部同士の衝突音の発生の有無に基づいて、両ハウジングが正規嵌合されたか否かを判断することができる。
【0009】
<請求項2の発明>
両ハウジングが未嵌合のときに、ロックアームがロック位置へ変位させられて規制部が凹部と対応する状態になっても、係止手段の係止作用により検知部材を待機位置に保持しておくことができる。
【0010】
<請求項3の発明>
検知部材に設けたロック解除操作部を押し操作することでロックアームをロック解除方向へ変位させるのであるが、このロック解除操作部は、検知部材が待機位置にある状態でロックアームの外縁よりも外方へ突出する形態とされているのでロック解除操作部の大きさとロックアームからの突出寸法はロックアームの大きさの制約を受けずに済む。したがって、ロックアームが小型化されても、ロック解除操作部における操作可能領域を大きく確保し、ロック解除操作性の向上を図ることができる。
【0011】
<請求項4の発明>
両ハウジングが嵌合した状態では検知部材が検知位置に保持されるのであるが、検知位置では検知部材は第1ハウジングの外面から外方へ突出することがないので、両ハウジングの嵌合状態においてコネクタ全体としての小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図16を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、第1ハウジング10と第2ハウジング40を嵌合・離脱させるとともに、両ハウジング10,40が正規嵌合したか否かを検知する機能を備えたものである。
第1コネクタは、合成樹脂製であり、全体として方形のブロック状をなす。第1ハウジング10内には後方から複数の第1端子金具(図示せず)が挿入され、各第1端子金具に固着した電線11が第1ハウジング10の後端面10Rから後方外部へ導出されている。第1ハウジング10の上面には、ロックアーム12が一体に形成されている。ロックアーム12は、その前端において脚部13を介して第1ハウジング10の上面に連なるとともに、第1ハウジング10の上面に沿って後方へ片持ち状に延出した形態であって、前端の脚部13を支点として上下方向に傾動しつつ弾性撓みし得るようになっている。ロックアーム12は、弾性撓みしていない自由状態では第1ハウジング10の上面とほぼ平行な姿勢をとるが、このときロックアーム12は非撓み位置にあるという。また、ロックアーム12が、非撓み位置よりも少し下方へ弾性撓みした位置をロック位置といい、このロック位置よりも更に下方へ弾性撓みして後述するようにロック突起14とロック部44との係止が解除される位置をロック解除位置という。
【0013】
ロックアーム12の上面には、その前後方向におけるほぼ中央位置から上方へ突出するロック突起14が形成されている。このロック突起14の上面と、ロックアーム12の上面におけるロック突起14よりも少し後方の局所領域は、当接部15となっている。ロックアーム12の左右両外側面には、後述するガイドリブ17よりも前方であって、脚部13よりも後方の位置から外側方へ突出する一対の前止まり部16(本発明の構成要件である係止手段)が形成されている。
【0014】
また、ロックアーム12の延出端部、即ち後端部(自由端部)には、その左右両側縁から外側方へ突出する一対のガイドリブ17が形成されている。このガイドリブ17は、ロックアーム12の上面よりも高い位置に配置されている。また、ロックアーム12の後端縁は第1ハウジング10の後端面10Rよりも前方に位置するが、ガイドリブ17はロックアーム12の後端よりも更に方向へ突出しており、ガイドリブ17の後端は前後方向において第1ハウジング10とほぼ同じ位置に配置されている。また、両ガイドリブ17の上面には、ロックアーム12の後端よりも更に後方の位置から上方へ突出する抜止め部18が形成されている。
【0015】
さらに、第1ハウジング10には、その上面後端部からロックアーム12の後端部を左右から挟むように位置する一対の側壁19が形成され、この両側壁19の上端縁同士が水平板状をなす保護部20によって連結されている。ロックアーム12とガイドリブ17は、保護部20の下面と第1ハウジング10の上面との間の撓み空間内において上下方向に弾性撓みするようになっている。また、左右両側壁19には、その内面後端部を切欠した形態であって第1ハウジング10の後端面10Rに開口する凹部21が形成されている。この凹部21は、保護部20よりも後方の領域に配されている。尚、側壁19における凹部21の形成領域は、外側方へ突出した形態となっている。
【0016】
ロックアーム12には検知部材30が取り付けられている。検知部材30は、合成樹脂製であり、ロック解除操作部31(本発明の構成要件である検知部材のうちロックアームに対して弾性撓み方向への相対変位を規制された領域)と、左右一対の弾性係止片35とを一体に形成したものである。ロック解除操作部31は、全体として概ね扁平な方形ブロック状をなし、その下面には、前後方向に延びる左右一対のガイド溝32が形成されている。また、この両ガイド溝32には、下向きに突出する抜止め突起33が形成されている。ロック解除操作部31には、その左右両外側面から外側方へ突出する一対の規制部34が形成されている。規制部34の上面はロック解除操作部31の上面よりも低い位置にあり、規制部34の下面はロック解除操作部31の下面よりも高い位置にあり、規制部34の前面はロック解除操作部31の前面よりも後方に位置し、規制部34の後面はロック解除操作部31の後面とほぼ面一となっている。
【0017】
弾性係止片35は、ロック解除操作部31の下面における左右両端部(ガイド溝32よりも外側方の位置)から前方へ片持ち状に延出する形態で、検知部材30に一体に形成されている。弾性係止片35の後端部(基端部)の一部はガイド溝32の下面側の開口領域に臨んでおり、この弾性係止片35の後端部がロックアーム12のガイドリブ17の下面と対向するようになっている。弾性係止片35には、その前端部(自由端部)から下方へ突出する形態の係止突起36(本発明の構成要件である解除手段)が形成されている。同じく、弾性係止片35における係止突起36よりも後方の位置(弾性係止片35の前後方向中央よりも少し前方の位置)には、下方へ突出する前止まり突起37(本発明の構成要件である係止手段)が形成されている。尚、幅方向(左右方向)において、係止突起36と抜止め突起33は、互いにずれた位置に配されている。また、弾性係止片35の厚さ寸法(上下寸法)及び幅寸法(左右寸法)は、ロックアーム12の厚さ寸法及び幅寸法よりも小さいため、弾性係止片35とロックアーム12が同じ量だけ弾性撓みしたときの弾性復元力については、弾性係止片35の弾性復元力がロックアーム12の弾性復元力よりも弱くなっている。
【0018】
かかる検知部材30は、ロックアーム12に対して前方から組み付けられている。組付けに際しては、ガイド溝32をガイドリブ17に嵌合させるようにする。組付けの過程では、前止まり突起37が前止まり部16と干渉することにより、弾性係止片35がその後端部を支点としてロックアーム12に対して相対的に傾動するように上方へ弾性変位する。そして、抜止め突起33が抜止め部18に対して前方から係止する状態(即ち、検知部材30が待機位置にある状態)に至ると、前止まり突起37が前止まり部16を通過して弾性係止片35が弾性復帰し、前止まり突起37が前止まり部16に対して後方から係止した状態となる。また、ガイドリブ17とガイド溝32とが嵌合し、弾性係止片35の後端部がガイド溝32の開口部においてガイドリブ17の下面と対向することにより、検知部材30は、ロックアーム12に対して前後方向への相対変位を許容され、且つ上下左右への相対変位を規制された状態に保持(案内)されている。
【0019】
検知部材30が待機位置にある状態では、抜止め突起33と抜止め部18との係止及び前止まり突起37と前止まり部16との係止により、検知部材30が、ロックアーム12に対して前後方向への相対変位を規制された状態に保持される。この待機位置にある状態では、ロック解除操作部31の上面がほぼ全体に亘って保護部20よりも後方に位置し、ロック解除操作部31に対して上から指を押し付けることができるようになっている。また、ロック解除操作部31と規制部34の後端縁部は、第1ハウジング10の後端面10R(本発明の構成要件である外面)よりも更に後方(外方)に位置している。また、ロック解除操作部31の略後半部分は、ロックアーム12の後端縁(外縁)よりも後方(外方)へ突出する形態となっている。かかる検知部材30は、ガイドリブ17とガイド溝32との嵌合によって案内されつつ、ロックアーム12に対し待機位置とそれよりも前方の検知位置との間で前後方向(両ハウジング10,40の嵌合・離脱方向と平行な方向)へスライドし得るようになっている。
【0020】
また、検知部材30が待機位置にあり、ロックアーム12が弾性撓みしていない非撓み位置にある状態(即ち、両ハウジング10,40が未嵌合又は離脱した状態)では、図13に示すように、規制部34が第1ハウジング10の後端面10Rにおける凹部21よりも上方領域と対応する位置に配される。同じく、検知部材30が待機位置にあり、ロックアーム12がロック位置にある状態では、図15に示すように、規制部34が凹部21と対応する高さ、即ち検知部材30が検知位置側へ移動したときに規制部34が凹部21内に進入し得る高さに配される。さらに、検知部材30が待機位置にあり、ロックアーム12がロック解除位置にある状態では、図14に示すように、規制部34が第1ハウジング10の後端面10Rにおける凹部21よりも下方領域と対応する位置に配される。
【0021】
第2ハウジング40は、前方へ開口する横長方形のフード部41と、フード部41の後端面を塞ぐ後面壁42とからなり、この第2ハウジング40には複数の第2端子金具43が取り付けられている。第2端子金具43は、細長くL字形に屈曲された形態であり、水平部43Hと水平部43Hの後端から下方へ延出する垂直部43Vとからなる。かかる第2端子金具43は、その水平部43Hを後方から後面壁42に貫通させ、水平部43Hの前端部をフード部41内に収容させた状態で第2ハウジング40に固定されている。尚、第2端子金具43の垂直部43Vは、第2ハウジング40の外部後方に位置している。
【0022】
第2ハウジング40には、そのフード部41の上面壁における前端縁から下方へ突出するロック部44が形成されている。このロック部44の下面と、フード部41の上面壁の下面におけるロック部44よりも少し後方の局所領域は、当接部45となっている。同じく第2ハウジング40には、フード部41内において後面壁42から前方へ片持ち状に細長く突出する左右一対の解除部46が形成され、解除部46の先端部上面には解除突起47(本発明の構成要件である解除手段)が形成されている。さらに、第2ハウジング40には、フード部41の上面壁から下方へ突出するとともに前後方向に亘って細長く延びる形態の補強リブ48が左右一対形成されており、この補強リブ48の内側面に、上記解除部46及び解除突起47が連なっている。つまり、解除部46と解除突起47は、補強リブ48を介すことにより、フード部41の上面壁に対して相対変位を規制された状態に保持されている。
【0023】
次に、本実施形態の作用を説明する。
第1ハウジング10において検知部材30が前止まり突起37と前止まり部16との係止によって待機位置に保持されている状態であって、両ハウジング10,40が未嵌合の状態では、ロックアーム12が非撓み位置にあり、規制部34が凹部21よりも上方に位置する。したがって、検知部材30に対して後方から強い押込力が作用しても、検知部材30が検知位置側への移動を開始した直後に、規制部34が第1ハウジング10の後端面10Rに突き当たり、それ以上の検知部材30の移動が規制される。
【0024】
また、両ハウジング10,40を嵌合する際には、図13に示すように検知部材30を待機位置に保持させた状態で、第1ハウジング10をフード部41内に嵌入させる。嵌合の過程では、ロック突起14がロック部44と干渉し、この状態から更に嵌合が進むと、図に示すように、ロック突起14がロック部44の下に潜り込みつつロックアーム12がロック位置を通過して更に下方のロック解除位置へ弾性変位する。このとき、検知部材30は、ロックアーム12と一体となって下方へ変位し、前止まり突起37と前止まり部16は係止したままであるため、検知部材30は待機位置から検知位置へ移動することはできない。また、規制部34が凹部21よりも下方へ変位するので、前止まり突起37と前止まり部16の係止が解除されたとしても、規制部34が第1ハウジング10の後端面10R(側壁19の後端縁)に当接することにより、検知部材30の検知位置への変位は規制される。
【0025】
更に、両ハウジング10,40の嵌合が進むと、図14に示すように、ロック突起14とロック部44との干渉によってロックアーム12が下方へ弾性撓みした状態のままで、弾性係止片35の前端の係止突起36が第2ハウジング40の解除突起47の上面に当接し、弾性係止片35の前端部は下方への変位を規制される。このときの係止突起36の高さは、ロックアーム12が弾性撓みしていない状態(非撓み位置にある状態)のときよりも上方となる。
【0026】
そして、この直後、両ハウジング10,40が正規の嵌合状態に至り、ロック突起14がロック部44を通過すると、ロックアーム12が上方へ弾性復帰する。このとき、ロックアーム12が非撓み位置(自由状態)に至る前、即ちロックアーム12に蓄えられている弾性復元力が消失する前に、ロックアーム12の当接部15が第2ハウジング40の当接部45に対して下から弾性的に勢い良く衝突し、この当接部15,45同士の衝突によって、衝突音が発生する。また、当接部15,45同士の当接により、それ以上のロックアーム12の上方への弾性復帰が規制され、図15に示すように、ロックアーム12がロック位置に保持されるとともに、ロック突起14がロック部44に係止することにより、両ハウジング10,40が離脱を規制された状態にロックされる。また、ロックアーム12と一体的にロック解除操作部31がロック位置へ上方変位するのに伴ない、規制部34が凹部21と対応する高さに変位し、検知部材30の前方(検知位置)への変位が許容される。
【0027】
一方、検知部材30の弾性係止片35については、弾性係止片35の前端部が解除突起47に乗り上がった状態のままで、弾性係止片35の後端部、即ちロック解除操作部31がロックアーム12と一体となって上方へ復動変位するのであるが、弾性係止片35の前端は、両ハウジング10,40の嵌合前の状態(ロックアーム12が非撓み位置にある状態)よりも高い位置にあるので、弾性係止片35は、両ハウジング10,40の嵌合前の状態に比べて前方を高くした斜め姿勢をとるように弾性変形することになる。この弾性係止片35の弾性変形に伴ない、弾性係止片35の下面の前止まり突起37が前止まり部16に対して相対的に上方へ変位し、前止まり突起37と前止まり部16との係止代が小さくなるとともに、前止まり突起37が前止まり部16の後端側のテーパ面と対応する高さに位置する。つまり、前止まり突起37と前止まりとの係止による検知部材30の前方変位規制(検知位置側への相対移動)が解除される。
【0028】
この後は、ロック解除操作部31に指を宛がって、検知部材30を前方へ押す。すると、前止まり部16のテーパ面の傾斜により前止まり突起37が前止まり部16に乗り上がりつつ、検知部材30がガイド溝32とガイドリブ17の嵌合によりガイドされつつ前方へ変位する。この間、係止突起36は解除突起47の上面を摺動する。そして、検知部材30が検知位置に達すると、図16に示すように、係止突起36が解除突起47を通過し、弾性係止片35が下方へ弾性復帰するとともに、係止突起36が解除突起47に係止し、この係止作用により検知部材30が検知位置に保持される。また、規制部34が凹部21内に進入し、ロック解除操作部31と規制部34の後面、即ち検知部材30の後端面が、前後方向において第1ハウジング10(側壁19)の後端面10Rよりも前方に位置する。
【0029】
検知部材30が検知位置にある状態では、ロック解除操作部31の上面のうち略前半領域が保護部20の下に隠れるため、上からロック解除操作部31を押してロック解除操作(ロックアーム12をロック解除方向へ弾性撓みさせてロック突起14をロック部44から解離させる操作)することが困難となっている。また、ロック解除操作部31の後端縁部を指で押すことができたとしても、ロック解除操作部31が僅かに下方へ変位したところで、規制部34が凹部21の内面に対して上から当接することにより、それ以上の下方への押し操作(ロックアーム12を下方へ弾性撓みさせる操作)を規制され、ロック突起14とロック部44との係止状態、即ちロック状態が保たれる。
【0030】
このロック状態から両ハウジング10,40を離脱させる際には、まず、ロック解除操作部31を指で摘んで検知部材30を検知位置から待機位置へ引き戻し、図15に示す状態とする。このとき、解除突起47のテーパ面により係止突起36は円滑に解除突起47から解離することができる。この状態では、規制部34が凹部21に対して後方へ外れた位置にあるので、検知部材30及びロックアーム12の下方への変位が許容されている。検知部材30を待機位置へ移動させた後は、ロック解除操作部31を上から指で押すことより、ロックアーム12を下方のロック解除位置へ弾性変位させ、ロック突起14をロック部44から解離させてロック解除状態とする。あとは、ロック解除状態を保ったままで、両ハウジング10,40を引き離せばよい。両ハウジング10,40を離脱させる過程で、係止突起36と解除突起47が解離し、弾性係止片35が自由状態に復帰し、前止まり突起37と前止まり部16との係止により、検知部材30が待機位置に保持(検知位置への移動を規制)される。
【0031】
また、両ハウジング10,40が図14に示す半嵌合の状態では、規制部34が第1ハウジング10(側壁19)の後端面10Rにおける凹部21よりも下方の領域と対向する高さに位置しているので、検知部材30を後方から押しても、押し込みを開始した直後に規制部34が側壁19に突き当たるので、それ以上の検知部材30の前方変位が規制される。したがって、両ハウジング10,40が半嵌合の状態では、検知部材30を検知位置へ移動させることはできない。つまり、検知部材30を待機位置から検知位置へ移動させることができるか否かにより、両ハウジング10,40の嵌合状態(半嵌合状態の正規嵌合状態のいずれであるか)を検知することができるのである。
【0032】
上述のように本実施形態においては、検知部材30の待機位置から検知位置への移動を規制する規制部34は、検知部材30のうちロックアーム12に対して弾性撓み方向への相対変位を規制された領域であるロック解除操作部31に設けられている。したがって、両ハウジング10,40が未嵌合の状態では、ロックアーム12が非撓み位置に保持されている限り、検知部材30に対して検知位置方向への押圧力が作用しても、規制部34は第1ハウジング10の後端面10R(外面)に突き当たる状態に保たれ、検知部材30の検知位置への移動が確実に防止される。
【0033】
また、両ハウジング10,40が正規嵌合すると、ロック解除位置へ弾性撓みしていたロックアーム12が弾性復帰の過程で非撓み位置に到達する前、即ちロックアーム12に蓄積されている弾性復元力が消失する前に、当接部15,45同士が弾性的に当接して、衝突音が発生する。したがって、この当接部15,45同士の衝突音の発生の有無に基づいて、両ハウジング10,40が正規嵌合されたか否かを判断することができる。
【0034】
また、検知部材30とロックアーム12には、両ハウジング10,40が未嵌合の状態において互いに係止することで検知部材30の待機位置から検知位置への移動を規制可能な係止手段(前止まり部16、前止まり突起37)が設けられているので、両ハウジング10,40が未嵌合のときに、ロックアーム12がロック位置へ変位させられて規制部34が凹部21と対応する状態になったとしても、係止手段(前止まり部16、前止まり突起37)の係止作用によって検知部材30を待機位置に保持しておくことができる。
【0035】
また、検知部材30に設けたロック解除操作部31を押し操作することでロックアーム12をロック解除方向へ変位させるようになっているのであるが、このロック解除操作部31は、検知部材30が待機位置にある状態でロックアーム12の後端縁(外縁)よりも後方(外方)へ突出する形態とされているのでロック解除操作部31の大きさとロックアーム12からの突出寸法はロックアーム12の大きさの制約を受けずに済む。したがって、ロックアーム12が小型化されても、ロック解除操作部31の操作面積を大きく確保し、ロック解除操作性の向上を図ることができる。
【0036】
また、検知部材30が待機位置にある状態では、ロック解除操作部31が、第1ハウジング10の後端面10R(外面)よりも後方(外方)へ突出する形態とされているが、この点に着目し、ロック解除操作部31には、両ハウジング10,40が半嵌合の状態において第1ハウジング10の後端面10Rに当接することで検知部材30の検知位置側への変位を規制する規制部34を形成している。つまり、両ハウジング10,40が半嵌合の状態のときに検知部材30の検知位置側への変位を規制する手段として第1ハウジング10の後端面10Rを利用している。したがって、第1ハウジング10に検知部材30の検知位置側への変位を規制する専用の手段を設ける必要がなく、その分、第1ハウジング10の形状を簡素化することが実現されている。
【0037】
また、両ハウジング10,40が嵌合した状態では検知部材30が検知位置に保持されるのであるが、検知位置では検知部材30は第1ハウジング10の外面から外方へ突出することがないので、両ハウジング10,40の嵌合状態においてコネクタ全体としての小型化を図ることができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では検知部材の待機位置と検知位置との間での移動方向を、両ハウジングの嵌合方向と平行な方向としたが、本発明によれば、検知部材の移動方向は両ハウジングの嵌合方向と交差する方向としてもよい。
(2)上記実施形態では検知部材が検知位置にある状態でロック解除操作部が第1ハウジングの外面から外方へ突出しない形態としたが、本発明によれば、検知部材が検知位置にある状態でロック解除操作部が第1ハウジングの外面よりも外方へ突出する形態としてもよい。
(3)上記実施形態では検知部材が待機位置にある状態では、検知部材の後端面が第1ハウジングの後端面(外面)よりも後方に突出する形態としたが、本発明によれば、検知部材が待機位置にある状態で、検知部材の後端面が第1ハウジングの後端面(外面)に対して面一となる位置に配される形態、または、検知部材が第1ハウジングの後端面(外面)よりも前方(内側)に配される形態としてもよい。
(4)上記実施形態では検知部材を待機位置に保持する係止手段が、両ハウジングが半嵌合の状態(嵌合の途中)で保持を解除するようにしたが、本発明によれば、検知部材を待機位置に保持する係止手段が、両ハウジングが正規嵌合すると同時に(嵌合が完了したときに)保持を解除するようにしてもよい。
(5)上記実施形態ではロックアームがロック解除位置にあるときに規制部が凹部への進入を規制されるようにしたが、本発明によれば、ロックアームがロック解除位置にあるときに規制部が凹部へ進入し得るようにしてもよい。
(6)上記実施形態ではロックアームのロック突起と第2ハウジングのロック部の双方を当接部として機能させるようにしたが、本発明によれば、ロック突起とロック部のうちいずれか一方のみを当接部として機能させるようにしてもよい。
(7)上記実施形態では両ハウジングを正規嵌合状態にロックするためのロック手段(ロック突起とロック部)を当接部として機能させるようにしたが、本発明によれば、ロック手段とは別に専用の当接部を設けてもよい。
(8)上記実施形態では検知部材が待機位置にある状態でロック解除操作部がロックアームの外縁よりも外方へ突出する形態としたが、本発明によれば、検知部材が待機位置にある状態でロック解除操作部がロックアームの外縁から外方へ突出しない形態としてもよい。
【0039】
(9)上記実施形態では両ハウジングが未嵌合の状態において互いに係止することで検知部材の待機位置から検知位置への移動を規制可能な係止手段を設けたが、本発明によれば、このような係止手段を設けない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態1の第1ハウジングの斜視図
【図2】第1ハウジングの平面図
【図3】第1ハウジングの背面図
【図4】第1ハウジングから検知部材を外した状態をあらわす斜視図
【図5】第1ハウジングから検知部材を外した状態をあらわす斜視図
【図6】検知部材の正面図
【図7】検知部材の底面図
【図8】第2ハウジングの斜視図
【図9】第2ハウジングの正面図
【図10】第2ハウジングの断面図
【図11】第1ハウジングの断面図
【図12】第1ハウジングの断面図
【図13】第1ハウジングの第2ハウジングの嵌合過程をあらわす断面図
【図14】第1ハウジングと第2ハウジングの嵌合過程をあらわす断面図
【図15】第1ハウジングと第2ハウジングが正規嵌合した状態をあらわす断面図
【図16】第1ハウジングと第2ハウジングが正規嵌合して検知部材が検知位置へ移動した状態をあらわす断面図
【符号の説明】
【0041】
10…第1ハウジング
10R…後端面(第1ハウジングの外面)
12…ロックアーム
14…ロック突起
15…当接部
16…前止まり部(係止手段)
21…凹部
30…検知部材
31…ロック解除操作部
34…規制部
36…係止突起(解除手段)
37…前止まり突起(係止手段)
40…第2ハウジング
45…当接部
46…解除突起(解除手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングに、非撓み位置からロック解除位置へ弾性撓み可能なロックアームが設けられているとともに、待機位置と検知位置との間での移動を可能とされた検知部材が取り付けられ、
前記第1ハウジングと第2ハウジングが半嵌合の状態では、前記ロックアームがロック解除位置へ弾性撓みするとともに、前記検知部材が待機位置から検知位置への移動を規制され、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合した状態では、前記ロックアームが弾性復帰して前記第2ハウジングに係止することで前記両ハウジングが嵌合状態にロックされるとともに、前記検知部材の待機位置から検知位置への移動が許容されるようになっているコネクタにおいて、
前記ロックアームと前記第2ハウジングには、前記両ハウジングが正規嵌合して前記ロックアームが弾性復帰したときに、互いに当接することで前記ロックアームを前記非撓み位置よりも手前のロック位置に留め置く当接部が設けられ、
前記検知部材が、前記ロックアームに対して一体的に変位し得るように取り付けられ、
前記第1ハウジングの外面には、凹部が形成され、
前記検知部材のうち前記ロックアームに対して弾性撓み方向への相対変位を規制された領域には、前記検知部材が待機位置にある状態で前記第1ハウジングの外面よりも外方に配される規制部が設けられ、
前記ロックアームがロック位置にあるときには、前記規制部が前記凹部内に進入しつつ前記検知部材の待機位置から検知位置への移動が許容され、
前記ロックアームが非撓み位置にあるときには、前記規制部が前記第1ハウジングの外面に突き当たることで、前記検知部材の検知位置への移動が規制される構成としたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記検知部材と前記ロックアームには、前記両ハウジングが未嵌合の状態において互いに係止することで前記検知部材の待機位置から検知位置への移動を規制可能な係止手段が設けられ、
前記検知部材と前記第2ハウジングには、前記両ハウジングが正規嵌合した状態において、互いに係合することで前記係止手段による係止を解除する解除手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
正規嵌合されている前記両ハウジングを離脱させる際には、前記検知部材を、検知位置から待機位置へ戻した状態で前記ロックアームをロック解除位置へ変位させるようになっており、
前記検知部材には、前記検知部材が待機位置にある状態で前記ロックアームの外縁よりも外方へ突出するロック解除操作部が設けられ、前記ロック解除操作部を押し操作することで前記ロックアームがロック解除方向へ変位するようなっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記検知部材が検知位置にある状態では、前記検知部材が前記第1ハウジングの外面に対して面一となる位置又は外面よりも内側の位置に配される構成としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−221921(P2006−221921A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33277(P2005−33277)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】