説明

コネクタ

【課題】電子部品を確実に保持するとともに高いシールド性を確保することができるコネクタを提供する。
【解決手段】半導体装置を収容する電子部品収容部31を有するハウジング30の外周面を覆うシェル本体51と、半導体装置の電子部品収容部31からの抜けを防止する抜け阻止部54とを有するシェル50を、ハウジング30に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つのハウジングと複数のコンタクトピンと複数の端子と2つのグランド兼固定金具とを備えるコネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
ハウジングはプラグ挿入室と素子収納室とを有する。ハウジングはプリント基板の実装面に配置される。プラグ挿入室はハウジングの正面で開口している。素子収納室はプラグ挿入室の背後に位置し、ハウジングの背面で開口している。プラグ挿入室と素子収納室とは壁部で仕切られている。
【0004】
コンタクトピンの一部はいわゆるモールドイン成型法により、ハウジングの壁部に埋め込まれている。コンタクトピンはハウジングの左右方向へ等間隔に並べられている。コンタクトピンの一端部はプラグ挿入室に突出し、コンタクトピンの他端部は素子収納室に突出している。
【0005】
端子の一部はモールドイン成型法により、ハウジングの底部に埋め込まれている。端子はハウジングの左右方向へ等間隔に並べられている。端子の一端部は素子収容室に突出し、コンタクトピンの一端部と上下方向で対向する。端子の他端部はハウジングの外へ引き出されている。
【0006】
グランド兼固定金具の一部はモールドイン成型法により、ハウジングの側面部に埋め込まれている。2つのグランド兼固定金具の一端部はそれぞれ素子収納室に突出し、ハウジングの左右方向で対向する。2つのグランド兼固定金具の他端部はそれぞれハウジングの底面から下方へ突出している。グランド兼固定金具の他端部には爪部が形成されている。
【0007】
グランド兼固定金具の爪部をプリント基板のグランドラインに接続されている孔に挿入するとともに、端子の他端部及びグランド兼固体金具の他端部をそれぞれプリント基板のプリント配線に半田付けすることによって、コネクタはプリント基板に実装される。
【0008】
プリント基板に実装されたコネクタの素子収納室にコンデンサアレイを収納すると、コンタクトピンの一端部がコンデンサアレイの入力側外部電極に接触し、端子の一端部がコンデンサアレイの出力側外部電極に接触し、グランド兼固定金具の一端部がコンデンサアレイのグランド電極に接触する。したがって、コネクタを介してコンデンサアレイとプリント基板とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−20746号公報(段落0007〜0009、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のコネクタでは、コンデンサアレイ(電子部品)をコネクタの素子収納室に収納したとき、コンデンサアレイが複数のコンタクトピンの一端部と複数の端子の一端部とによって上下方向から挟まれるとともに、2つのグランド兼固定金具の一端部によって左右方向から挟まれる。このようにしてコンデンサアレイはコネクタに支持される。
【0011】
しかし、例えばデジタルカメラのような携帯型の電子装置に上述のコネクタを用いた場合、その電子装置を誤って床に落としたとき、そのときの衝撃により電子部品が素子収納室から抜けるおそれがある。
【0012】
また、上述のコネクタを高速伝送用コネクタとして使用した場合、コネクタに支持された電子部品から電磁波が外部へ漏れたり、電子部品が外部からのノイズの影響を受けたりする。
【0013】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は電子部品の抜けを防ぐとともに高いシールド性を確保することができるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、電子部品の底面が基板の実装面に対してほぼ直角になるように前記電子部品を収容する電子部品収容部を有し、前記実装面に配置されるハウジングと、前記ハウジングの外周面を覆うシェル本体と、このシェル本体に連なり、前記電子部品収容部に収容された前記電子部品の第1グランド電極部に接触する第1グランド接触部と、前記シェル本体に連なり、前記実装面に形成されたグランド用パッドに接続される第1グランド接続部と、前記シェル本体に連なり、前記電子部品の前記電子部品収容部の開口からの抜けを阻止する弾性変形可能な抜け阻止部とを有するシェルとを備えることを特徴とする。
【0015】
シェル本体に連なる抜け阻止部によって電子部品収容部の開口からの電子部品の抜けが阻止される。
【0016】
また、シェル本体がハウジングの外周面を覆い、シェル本体に連なる第1グランド接触部が電子部品の第1グランド電極部に接触し、シェル本体に連なる第1グランド接続部が基板の実装面に形成されたグランド用パッドに接続されるので、高いシールド性が確保される。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記抜け阻止部の抜け阻止機能をキャンセルして前記電子部品を前記電子部品収容部から引き抜く治具を受け容れるとともに、前記電子部品収容部に通じる治具挿入溝が、前記ハウジングに形成されている
ことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のコネクタにおいて、前記抜け阻止部は、 前記治具挿入溝の開口に張り出し、前記治具挿入溝に前記治具を挿入したとき、その治具によって前記治具挿入溝の開口から押し出される第1の張出し部と、前記電子部品収容部の開口に張り出し、前記第1の張出し部が前記溝の開口から押し出されたとき、その第1の張出し部の動きにつれて前記電子部品収容部の開口から押し出される第2の張出し部とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載のコネクタにおいて、前記シェルは、前記シェル本体に連なり、前記電子部品の前記第1グランド電極部が形成されている面と隣接する面に形成された第2グランド電極部に接触する第2グランド接触部を有することを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記シェルは、前記シェル本体に連なり、前記電子部品収容部に収容された前記電子部品を支持して前記電子部品を前記抜け阻止部側に向けて押圧する支持部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、電子部品の抜けを防ぐとともに高いシールド性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【図2】図2はこの発明の第1実施形態のコネクタの正面図である。
【図3】図3は図2に示すコネクタの平面図である。
【図4】図4は図2に示すコネクタの側面図である。
【図5】図5は図3のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図6は図3のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図7はハウジングを上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図8】図8はハウジングを上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図9】図9はシェルを上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図10】図10はシェルを上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図11】図11はコンタクトを上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図12】図12はコンタクトを上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図13】図13は図2に示すコネクタに挿入される電子部品を上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図14】図14は図2に示すコネクタに挿入される電子部品を上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図15】図15はこの発明の第2実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【図16】図16はこの発明の第2実施形態の正面図である。
【図17】図17は図16に示すコネクタの平面図である。
【図18】図18は図16に示すコネクタの背面図である。
【図19】図19は図16に示すコネクタの側面図である。
【図20】図20は図17のXX−XX線に沿う断面図である。
【図21】図21は図17のXXI−XXI線に沿う断面図である。
【図22】図22はハウジングを上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図23】図23はハウジングを上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図24】図24はシェルを上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図25】図25はシェルを上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図26】図26は第1コンタクトを上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図27】図27は第1コンタクトを上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図28】図28は第1コンタクトを上方、斜め後方から見たときの斜視図である。
【図29】図29は第1コンタクトを上方、斜め前方から見たときの斜視図である。
【図30】図30は図16に示すコネクタが実装されるプリント基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
この発明の第1実施形態のコネクタを図1〜図14に基づいて説明する。
【0025】
図1〜図4に示すように、このコネクタはハウジング30とシェル50とコンタクト70とを備え、プリント基板(基板)95に実装され(図2、図4参照)、いわゆるリードレス型の電子部品90(例えばジャイロセンサー等のIC)をプリント基板95に接続する。
【0026】
図5、図6、図7、図8に示すように、ハウジング30は電子部品収容部31を有する。ハウジング30はプリント基板95の実装面95dに配置される。ハウジング30は絶縁材料(例えば合成樹脂)で形成されている。電子部品収容部31は電子部品90の底面90d(図13参照)がプリント基板95の実装面95dに対してほぼ直角になるように電子部品90を収容する(図5、図2参照)。
【0027】
更に、図13、図14に示すように、電子部品90の上面には第1グランド電極部90aが形成されている。電子部品90の長手方向の一端面には第2グランド電極部90bが形成されている。底面90dの一側部には4つの信号電極部90cが等間隔に形成されて、底面90dの他側部には4つのダミー電極部90c´が形成されている。
【0028】
なお、電子部品90の底面90dとは、電子部品90をコネクタを介さずにプリント基板95に直接実装した場合に、プリント基板95の実装面95dと対向する面である。
【0029】
ハウジング30の前部(図5に向かってハウジング30の左側部分)には4つのコンタクト収容部32が形成されている(図5参照)。4つのコンタクト収容部32はコネクタの左右方向W(図2参照)へ等間隔に並ぶ。コンタクト収容部32はコネクタの高さ方向Hへ延びている。コンタクト収容部32は電子部品収容部31に通じている。コンタクト収容部32の配列方向からコンタクト70を挟むように、ハウジング30には複数の圧入溝33が形成されている。各圧入溝33はコンタクト収容部32に通じている。
【0030】
ハウジング30の後部には2つのばね部収容部36が形成されている(図5参照)。2つのばね部収容部36はコネクタの左右方向W(図2参照)へ並ぶ。ばね部収容部36は高さ方向Hへ延びている。ばね部収容部36は電子部品収容部31に通じている。
【0031】
ハウジング30の上面から電子部品収容部31の内周面にかけて2つの凹部37が形成されている(図8参照)。2つの凹部37は左右方向Wへ並ぶ。ハウジング30の上面の2つの凹部37の間(図7参照)の平坦な部分はマウンタ装置の吸着部99(図3参照)が吸着するエリアである。
【0032】
ハウジング30の後部には2つの治具挿入溝38が形成されている。2つの治具挿入溝38は左右方向Wへ並ぶ。治具挿入溝38は高さ方向Hへ延びている。治具挿入溝38は電子部品収容部31に通じている。2つの治具挿入溝38は2つのばね部収容部36の間に位置している(図7参照)。
【0033】
図7に示すように、ハウジング30の左右方向Wの両側部には切欠39が形成されている。また、ハウジング30の上面の四隅に圧入孔40が形成されている。
【0034】
図9、図10に示すように、シェル50は、1つのシェル本体51と2つの第1グランド接触部52と3つの第1グランド接続部53と1つの抜け阻止部54と1つの第2グランド接触部55と1つの副抜け阻止部56と2つの支持部57とを有する。シェル50は導電性及び弾性を有する金属板に打抜き加工及び曲げ加工を施すことによって形成されている。
【0035】
シェル本体51はほぼ角筒状であり、正面部51aと背面部51bと左側面部51cと右側面部51dとを有し、これらでハウジング30の外周面が覆われる。
【0036】
第1グランド接触部52はばね部52aと接触部分52bとを有する(図5参照)。ばね部52aはほぼJ字形に折り曲げられ、その上端はシェル本体51の背面部51bの上端に連なる。ばね部52aはコネクタの前後方向F(図5参照)へ撓むことができる。第1グランド接触部52の大部分はばね部収容部36内に収容される。接触部分52bはほぼC字形に折り曲げられ、ばね部52aの下端に連なる。接触部分52bの大部分は電子部品収容部31内に突出している。接触部分52bは電子部品収容部31の下部に位置する。
【0037】
第1グランド接続部53は背面部51b、左側面部51c及び右側面部51dの下端から外側へ突出し、プリント基板95の実装面95dに平行に延びている。第1グランド接続部53はプリント基板95のグランド用パッド95a(図2、図4参照)に半田付けされる。
【0038】
抜け阻止部54は背面部51bの上端に連なる。抜け阻止部54は1つのばね部54aと1つの収容部張出し部(第2の張出し部)54bと2つの溝張出し部(第1の張出し部)54cとを有する。ばね部54aは高さ方向Hへ延びている。収容部張出し部54bはばね部54aに連なり、ほぼU字形に折り曲げられている。収容部張出し部54bの先端部はばね部54aが弾性変形していないとき、電子部品収容部31の開口に張り出している(図3、図6参照)。2つの溝張出し部54cは収容部張出し部54bの両側から左右方向W(図2参照)へ突出している。溝張出し部54cは治具挿入溝38の開口に張り出している(図6参照)。
【0039】
第2グランド接触部55は左側面部51cに連なる。第2グランド接触部55はばね部55aと接触部分55bとを有する。ばね部55aは高さ方向Hへ延びている。接触部分55bはばね部55aに連なり、ほぼU字形に折り曲げられている(図2参照)。接触部分55bはハウジング30の左側の切欠39(図8参照)に収容されるとともに、接触部分55bの先端部は電子部品収容部31内に突出する(図2、図3参照)。
【0040】
副抜け阻止部56は右側面部51dに連なる。副抜け阻止部56はばね部56aと引掛け部56bとを有する。ばね部56aは高さ方向Hへ延びている。引掛け部56bはばね部56aに連なり、ほぼC字形に折り曲げられている(図10参照)。引掛け部56bはハウジング30の右側の切欠39に収容されるとともに、引掛け部56bの先端部は電子部品収容部31内に突出する(図2、図3参照)。
【0041】
2つの支持部57は正面部51aの上端に連なり、ほぼL字形に折り曲げられて、ハウジング30の凹部37に収容されている。支持部57の先端部は、凹部37から電子部品収容部31へ突出し(図6参照)、電子部品収容部31に電子部品90を挿入したとき前後方向Fへ撓む。支持部57の先端部は電子部品90の底面90dの中央部に接触し、その電子部品90の上面をハウジング30の電子部品収容部31の内面に押し付ける。
【0042】
背面部51bには2つの圧入部58が連なり、左側面部51cと右側面部51dとにはそれぞれ1つの圧入部58が連なる。4つの圧入部58をハウジング30の圧入孔40に圧入することによってシェル50がハウジング30に固定される。
【0043】
図5、図11、図12に示すように、コンタクト70は圧入部70aとばね部70bと接触部70cと接続部70dとを有する。圧入部70aはハウジング30の圧入溝33に圧入される。圧入部70aが圧入溝33に圧入されることにより、コンタクト70がハウジング30に固定されるとともに、コンタクト70がハウジング30のコンタクト収容部32内に収容される(図5参照)。ばね部70bはほぼJ字形に折り曲げられ、圧入部70aに連なる。ばね部70bは前後方向Fへ撓むことができる。接触部70cはばね部70bに連なり、ハウジング30の電子部品収容部31内に突出する。接触部70cは接触部分52bよりも僅かに下方に位置する。接触部70cと第1グランド接触部52の接触部分52bとで電子部品収容部31内の電子部品90を挟持する。接続部70dは圧入部70aに連なり、ハウジング30の下面から外側へ突出し、プリント基板95の実装面95dに平行に延びている。接続部70dはプリント基板95の信号用パッド95c(図2参照)に半田付けされる。
【0044】
コネクタをプリント基板95に実装するには、シェル50の第1グランド接続部53をプリント基板95のグランド用パッド95aに、コンタクト70の接続部70dをプリント基板95の信号用パッド95cにそれぞれ半田付けすればよい(図2、図4参照)。
【0045】
プリント基板95に実装されたコネクタの電子部品収容部31に電子部品90を挿入することによって、電子部品90はコネクタを介してプリント基板95に電気的に接続される。
【0046】
更に、図5、図6、図13、図14を参照して、電子部品90を電子部品収容部31に挿入するとき、抜け阻止部54の収容部張出し部54bと第2グランド接触部55の接触部分55bと副抜け阻止部56の引掛け部56bとが電子部品90によって電子部品収容部31から押し出される。電子部品90の電子部品収容部31への挿入が完了すると、収容部張出し部54b及び引掛け部56bは電子部品90に接触しなくなり、これらはばね部54a及びばね部56aのばね力によってもとの位置に戻り、収容部張出し部54bと引掛け部56bとが電子部品収容部31の開口に張り出す。したがって、コネクタに衝撃等が加わって電子部品90が電子部品収容部31から抜けようとしても収容部張出し部54bや引掛け部56bの先端に電子部品90の端面が当接して、電子部品90が電子部品収容部31から抜けない。
【0047】
また、電子部品90の電子部品収容部31への挿入が完了すると、シェル50の第1グランド接触部52の接触部分52bが電子部品90の第1グランド電極部90aに、シェル50の第2グランド接触部55の接触部分55bが電子部品90の第2グランド電極部90bに、コンタクト70の接触部70cが電子部品90の信号電極部90cに、それぞればね部52a,55a,70bのばね力によって接触する。その結果、シェル50が電子部品90の第1グランド電極部90a、第2グランド電極部90bに導通するとともに、コンタクト70が電子部品90の信号電極部90cに導通する。
【0048】
電子部品90の電子部品収容部31への挿入が完了すると、更に、シェル50の支持部57の先端部が電子部品90の底面90dに接触し、電子部品90が支持部57によって支持され、電子部品90の底面90dがプリント基板95の実装面95dに対し、ほぼ直角に配置され、電子部品90の配置姿勢が安定する。また、支持部57によって抜け阻止部54側に向けて電子部品90を押圧するので、収容部張出し部54bと電子部品90との係止が確実に行われ、電子部品90が電子部品収容部31から抜け出すことへの強化アップが図れる。
【0049】
図3、図6を参照して、電子部品収容部31に収容された電子部品90を電子部品収容部31からの取り出しについて説明する。まず、治具97(図3では2つの治具97が図示されているが、電子部品90の引き抜き作業には1つの治具97があればよい)を抜け阻止部54の溝張出し部54cに押し当て、そのまま治具97を後方へ移動させて溝張出し部54cを治具挿入溝38の開口から退ける。溝張出し部54cが治具挿入溝38の開口から退けられるとき、収容部張出し部54bも電子部品収容部31の開口から退けられる。
【0050】
次に、治具97を治具挿入溝38に挿入していき、治具97の爪部97aを電子部品90の端面に引っ掛け、副抜け阻止部56を指等で押圧して電子部品90との係止を解除する。
【0051】
最後に、治具97を治具挿入溝38から引き抜けば、治具97とともに電子部品90が電子部品収容部31から引き抜かれる。
【0052】
この実施形態によれば、抜け阻止部54の収容部張出し部54bと副抜け阻止部56の引掛け部56bとが電子部品収容部31の開口に張り出しているので、例えばコネクタを搭載したデジタルカメラ(図示せず)に衝撃が加わったとき、収容部張出し部54b及び引掛け部56bによって電子部品90の電子部品収容部31の開口からの飛び出しが阻止される。
【0053】
また、シェル50の第1グランド接触部52が電子部品90の第1グランド電極部90aに、シェル50の第2グランド接触部55が第2グランド電極部90bにそれぞれ接触し、シェル50の第1グランド接続部53がプリント基板95のグランド用パッド95aに接続されているので、コネクタの外部からのノイズが電子部品90に影響を与えたり、電子部品90で発生した電磁波がコネクタの外部に漏れたりするのを防止することができる。
【0054】
また、シェル50に1つの第1グランド接触部52と1つの第2グランド接触部55と3つの第1グランド接続部53とを設け、2つの第1グランド接触部52と1つの第2グランド接触部55とをそれぞれ電子部品90の第1グランド電極部90aと第2グランド電極部90bとに接触させるとともに、3つの第1グランド接続部53をプリント基板95のグランド用パッド95aにそれぞれ接続させるので、高いシールド性が得られる。
【0055】
シェル50が電子部品90を支持する支持部57を有するので、電子部品収容部31に電子部品90を挿入したとき支持部57の先端部が前後方向Fへ撓み、電子部品90をハウジング30の電子部品収容部31の内面に押し付けるので、電子部品収容部31内での電子部品90の姿勢が安定する。また、例えばコネクタを搭載したデジタルカメラに手振れが生じたとき、支持部57が振れを抑え、電子部品90の共振を回避することができる。
【0056】
更に、治具97を治具挿入溝38に挿入するには、治具97によって抜け阻止部54の溝張出し部54cを治具挿入溝38の開口から退ける操作が必要であるので、誤って治具97を治具挿入溝38に挿入し、電子部品90を電子部品収容部31から引き抜いてしまうような誤操作を防止することができる。
【0057】
次に、この発明の第2実施形態のコネクタを図15〜図30に基づいて説明する。
【0058】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0059】
図15に示すように、コネクタはハウジング230とシェル250と第1コンタクト270と第2コンタクト280とを備え、プリント基板(基板)295(図30参照)に実装され、リードレス型の電子部品290をプリント基板295に接続する。
【0060】
図15、図16に示すように、電子部品290の長手方向の両端面には第1グランド電極部290aが形成されている。長方形の底面290dの一方の長辺に沿って3つの信号電極部290cと1つの第2グランド電極部290bとが等間隔に形成されている。底面290dの他方の長辺に沿って4つの信号電極部290cが等間隔に形成されている。
【0061】
図30に示すように、プリント基板295には2つの第1グランド用パッド295aが形成されている。2つの第1グランド用パッド295aの間には7つの信号用パッド295cが2列に配置されている。一方の信号用パッド295cの列に第2グランド用パッド295bが並ぶように形成されている。
【0062】
第1実施形態ではハウジング30にコンタクト70が一列に並べられているが、第2実施形態では第1コンタクト270の列と第2コンタクト280の列とがあり、図20、図21、図22、図23に示すように、ハウジング230には4つのコンタクト収容部232と4つの第2コンタクト収容部234とがそれぞれ等間隔に形成されている。コンタクト収容部232をコネクタの左右方向W(図18参照)から挟むように、ハウジング230には複数の圧入溝233が形成されている。同様に、コンタクト収容部234を左右方向Wから挟むように、ハウジング230には複数の圧入溝235が形成されている。また、ハウジング230の上面には2つの圧入孔40が形成されている。
【0063】
第1実施形態ではシェル50はハウジング30の外周面の4つの面を覆っているが、第2実施形態では図17、図18、図19に示すように、シェル250はハウジング230の背面と左側面と右側面との3つの面を覆う。図24、図25に示すように、シェル250のシェル本体251は背面部251bと左側面部251cと右側面部251dとを有する。
【0064】
第1実施形態では第1グランド接触部52は1つだが、第2実施形態では左側面部251cと右側面部251dとにそれぞれ第1グランド接触部252が形成されている。第1グランド接触部252はばね部252aと接触部分252bとを有する。ばね部252aは高さ方向Hへ延びている。接触部分252bはばね部252aに連なる。接触部分252bは電子部品290の第1グランド電極部290aに接触する(図16参照)。接触部分252bはハウジング230の切欠239に収容されるとともに、電子部品収容部31に突出する。
【0065】
左側面部251cと右側面部251dとの下端からそれぞれ第1グランド接続部253が外側へ突出し、プリント基板295の実装面295dに平行に延びている。第1グランド接続部253はプリント基板295の第1グランド用パッド295a(図30参照)に半田付けされる。
【0066】
図26、図27に示すように、コンタクト270は圧入部270aとばね部270bと接触部270cと接続部270dとを有する。圧入部270aはハウジング230の圧入溝233に圧入される(図20参照)。圧入部270aが圧入溝233に圧入されることにより、コンタクト270がハウジング230に固定されるとともに、コンタクト270がハウジング230のコンタクト収容部232内に収容される(図20参照)。ばね部270bはほぼJ字形に折り曲げられ、圧入部270aに連なる。接触部270cはばね部270bに連なり、ハウジング230の電子部品収容部31内に突出する。接続部270dは圧入部270aに連なり、ハウジング230の下面から外側へ突出し、プリント基板295の実装面295dに平行に延びている。4つの第1コンタクト270のうちの3つの第1コンタクト270の接続部270dはプリント基板295の一方の列の信号用パッド295c(図30において下側の列の信号用パッド295c)に半田付けされる。残りの第1コンタクト270の接続部270dはプリント基板295の第2グランド用パッド295bに半田付けされる。第2グランド用パッド295bに半田付けされた第1コンタクト270は図17、図20に示すように、グランドコンタクト270(G)となる。
【0067】
図28、図29に示すように、コンタクト280は圧入部280aとばね部280bと接触部280cと接続部280dとを有する。圧入部280aはハウジング230の圧入溝235に圧入される(図20参照)。圧入部280aが圧入溝235に圧入されることにより、コンタクト280がハウジング230に固定されるとともに、コンタクト280がハウジング230のコンタクト収容部234内に収容される(図20参照)。ばね部280bはほぼL字形に折り曲げられ、圧入部280aに連なる。接触部280cはばね部280bに連なり、ハウジング230の電子部品収容部31内に突出する。接続部280dは圧入部280aに連なり、ハウジング230の下面から外側へ突出し、プリント基板295の実装面295dに平行に延びている。接続部280dはプリント基板295の他方の列の信号用パッド295c(図30において上側の列の信号用パッド295c)に半田付けされる。
【0068】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0069】
なお、上述の実施形態の抜け阻止部54はばね部54aと収容部張出し部54bと溝張出し部54cとを有するものであるが、抜け阻止部54の構成は上述の実施形態のものに限られない。
【0070】
なお、上述の実施形態では、ハウジング30,230に治具挿入溝38が形成されているが、形状の異なる治具を用いる場合や治具を用いない場合等、治具挿入溝38をハウジング30に設ける必要がない場合もある。
【符号の説明】
【0071】
30,230 ハウジング
31 電子部品収容部
38 治具挿入溝
50,250 シェル
51,251 シェル本体
52,252 第1グランド接触部
53,253 第1グランド接続部
54 抜け阻止部
54b 収容部張出し部(第2の張出し部)
54c 溝張出し部(第1の張出し部)
55 第2グランド接触部
90,290 電子部品
90a,290a 第1グランド電極部
90b,290b 第2グランド電極部
90d,290d 底面
95,295 プリント基板(基板)
95a グランド用パッド
295a 第1グランド用パッド
95d,295d 実装面
97 治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の底面が基板の実装面に対してほぼ直角になるように前記電子部品を収容する電子部品収容部を有し、前記実装面に配置されるハウジングと、
前記ハウジングの外周面を覆うシェル本体と、このシェル本体に連なり、前記電子部品収容部に収容された前記電子部品の第1グランド電極部に接触する第1グランド接触部と、前記シェル本体に連なり、前記実装面に形成されたグランド用パッドに接続される第1グランド接続部と、前記シェル本体に連なり、前記電子部品の前記電子部品収容部の開口からの抜けを阻止する弾性変形可能な抜け阻止部とを有するシェルと
を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記抜け阻止部の抜け阻止機能をキャンセルして前記電子部品を前記電子部品収容部から引き抜く治具を受け容れるとともに、前記電子部品収容部に通じる治具挿入溝が、前記ハウジングに形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記抜け阻止部は、
前記治具挿入溝の開口に張り出し、前記治具挿入溝に前記治具を挿入したとき、その治具によって前記治具挿入溝の開口から押し出される第1の張出し部と、
前記電子部品収容部の開口に張り出し、前記第1の張出し部が前記溝の開口から押し出されたとき、その第1の張出し部の動きにつれて前記電子部品収容部の開口から押し出される第2の張出し部とを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シェルは、前記シェル本体に連なり、前記電子部品の前記第1グランド電極部が形成されている面と隣接する面に形成された第2グランド電極部に接触する第2グランド接触部を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項5】
前記シェルは、前記シェル本体に連なり、前記電子部品収容部に収容された前記電子部品を支持して前記電子部品を前記抜け阻止部側に向けて押圧する支持部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−210644(P2011−210644A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78835(P2010−78835)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】