説明

コラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体、それらの製造方法、それらからなる化粧品、食品製剤

【課題】副作用が弱く、優れたコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体、それらの製造方法、それからなる食品製剤、化粧品の提供。
【解決手段】コラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体は、キサントンとパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つが結合してなる。また、その製造方法は、マンゴスチンの粉砕物及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなる。さらに、マンゴスチンの粉砕物に液化二酸化炭素を添加して抽出する工程からなる。化粧品と食品製剤は、キサントン誘導体に菊の花エキス含有植物油と松の葉エキス含有植物油を含有する組成物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コラーゲンは、細胞マトリックスを構成するたんぱく質であり、皮膚、骨、軟骨、血管や種々の組織内の膜組織に存在している。その種類は10以上にのぼり、また、その働きは、実質組織の骨格の構築、骨構築、炎症から組織を防御、癌の浸潤の抑制や転移の防御など多様である。
【0002】
線維芽細胞がコラーゲンを産生させ、その産生には線維芽細胞の増殖刺激、成長因子が関与し、転写因子の活性化により遺伝子レベルでコラーゲン生成が誘導される(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
生体はコラーゲンを分解する酵素、コラゲナーゼやマトリックスメタロプロテアーゼにより、分解され、ペプチドまたはアミノ酸となり、その働きが消失する。このコラゲナーゼは炎症や癌細胞により誘導され、活性化される。
【0004】
また、関節炎によっても、軟骨部位や筋肉周囲で生じた炎症組織や好中球などの炎症細胞によりコラゲナーゼが産生されて、コラーゲンを分解し、消失させ、組織の構築が乱れる(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
コラーゲンを増加させる方法として線維芽細胞のコラーゲン産生を高める方法及びコラゲナーゼの活性の阻害又は誘導の抑制などがあり、両者の方法を併用することは、好ましく、両者の作用を有する原料や有効成分の抽出方法の研究と開発が行われている。
【0006】
コラーゲンを増加させる方法、薬剤、食品、化粧品は、癌細胞の転移、癌の転移に関わる血管新生の抑制、癌細胞の増殖抑制、関節炎の抑制、炎症の改善、骨粗鬆症の抑制、セルライトの抑制や改善、シワやタルミの改善や予防などに効果を発揮することから、コラーゲンを増加させる方法が研究されている。
【0007】
植物やハーブにはコラーゲンを増加させる有効成分が含有されており、これらの有効成分の単離や精製が進められている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0008】
化学合成されたコラゲナーゼ阻害物質としては、フェンブヘン、インドメタシンやイプフロアェンなどの抗炎症剤が知られているものの、それぞれに空咳や消化管障害などの副作用が報告されており、より副作用の少ない成分や製剤が望まれている(例えば、非特許文献4参照。)。
【0009】
コラーゲンを増加させる発明としては、ミモザ由来のフェノール化合物を含有する組成物があり、オジギソウより得られる生物学的に活性なフェノール化合物含有抽出物またはその活性画分を有効量含んでなる前記組成物がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
コラゲナーゼを阻害する物質の発明としてマグノロール、ホオノキオールのうち少なくとも一種を有効成分とするコラゲナーゼ活性抑制剤があり、ここでは、ホオノキの葉、樹皮(厚朴)、幹材、根皮などの部位及びこれらに含まれる成分を利用している(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
また、ハーブや植物由来のテルペン類として、真皮表皮接合部中のコラーゲンを増加させる為の化粧剤としての化粧学上許容されるサポニン又はサポゲノールの少なくとも1種の使用についての発明がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0012】
しかし、いずれの発明もコラーゲン産生の亢進又はコラゲナーゼの阻害のいずれかに起因し、その効果は限定されており、産業としての利用には制限がある。
【特許文献1】特許第3626727号
【特許文献2】特許第2886523号
【特許文献3】特表2002−516837
【非特許文献1】Booth Bら、Biochim Biophys Acta、607、145−160、1980。
【非特許文献2】Peel Nら、Baillieres Clin Rheumatol、6、351−372、1992。
【非特許文献3】Niizawa Aら、Clin.Exp.Rheumatol、21、57−62、2003。
【非特許文献4】Crossley R、Am. J. Med、75、84−90、1983。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記したように化学合成されたコラゲナーゼ阻害作用を呈する抗炎症剤や物質には、空咳や消化管障害などの副作用が生じるという問題がある。
【0014】
一方、天然由来の物質についてその安全性は高いものの、その効果が軽度であるという問題がある。そこで、副作用が弱く、抗炎症効果の優れたコラーゲン増加作用を呈する天然物由来物質が望まれている。
【0015】
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、優れたコラーゲン増加作用を呈するキサントン誘導体を提供することである。
【0016】
マンゴスチンの粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体のうち、Xがパルミチン酸であるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体を提供することである。
【0017】
マンゴスチンの粉砕物にパラ−クマル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体のうち、Xがパラ−クマル酸であるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体を提供することである。
【0018】
マンゴスチンの粉砕物にシナピン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体のうち、Xがシナピン酸であるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体を提供することである。
【0019】
マンゴスチンの粉砕物にキサントンカルボン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体のうち、Xがキサントンカルボン酸であるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体を提供することである。
【0020】
マンゴスチンの粉砕物及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法を提供することである。
【0021】
マンゴスチンの粉砕物に液化二酸化炭素を添加して抽出する工程からなるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法を提供することである。
【0022】
コラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品を提供することである。
【0023】
コラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コラーゲン増加作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0025】
【化1】

【0026】
Xは、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つ。
【0027】
請求項2に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがパルミチン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(2)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0028】
【化2】

【0029】
請求項3に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物にパラ−クマル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがパラ−クマル酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(3)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0030】
【化3】

【0031】
請求項4に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物にシナピン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがエイコサペンタエン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(4)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0032】
【化4】

【0033】
請求項5に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物にキサントンカルボン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがキサントンカルボン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(5)で示されるキサントン誘導体に関するものである。
【0034】
【化5】

【0035】
請求項6に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる請求項1に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体に関するものである。
【0036】
請求項7に記載の発明は、マンゴスチンの粉砕物に液化二酸化炭素を添加して抽出する工程からなる請求項1に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法に関するものである。
【0037】
請求項8に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品に関するものである。
【0038】
請求項9に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤に関するものである。
【0039】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
【0040】
請求項1に記載のキサントン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたコラーゲン増加作用が発揮される。
【0041】
請求項2に記載のマンゴスチンの粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたコラーゲン増加作用が発揮される。
【0042】
請求項3に記載のマンゴスチンの粉砕物にパラ−クマル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたコラーゲン増加作用が発揮される。
【0043】
請求項4に記載のマンゴスチンの粉砕物にシナピン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたコラーゲン増加作用が発揮される。
【0044】
請求項5に記載のマンゴスチンの粉砕物にキサントンカルボン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるキサントン誘導体によれば、副作用が弱く、優れたコラーゲン増加作用が発揮される。
【0045】
請求項6に記載のマンゴスチンの粉砕物及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られるキサントン誘導体の製造方法によれば、効率良くキサントン誘導体が製造される。
【0046】
請求項7に記載のマンゴスチンの粉砕物に液化二酸化炭素を添加して抽出する工程からなるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法によれば、効率良くキサントン誘導体が製造される。
【0047】
請求項8に記載のキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品によれば、副作用が弱く、優れたシワやタルミ改善作用が発揮される。
【0048】
請求項9に記載のキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤によれば、副作用が弱く、優れたシワやタルミ改善作用が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0050】
まず、コラーゲン増加作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体について説明する。
【0051】
【化6】

【0052】
Xは、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つ。
【0053】
そもそも、キサントンとは植物や微生物により生合成されるポリフェノールであり、オトギリソウ科の植物に含まれるという特徴を有し、オトギリソウ科の植物のうち、マンゴスチンやセイヨウオトギリソウにはキサントンが豊富である。
【0054】
ここでいうキサントン誘導体とは、前記の式(1)で示されるように、キサントンの骨格に、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0055】
そもそもキサントンの母核は、xanthen−9−oneで示され、炭素13個、水素8個、酸素2個よりなる。
【0056】
ここでいうキサントン誘導体は、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基に置換基としてパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸という有機酸、フェニルプロパノイド系有機酸や脂肪酸がエステル結合している。
【0057】
前記のキサントン誘導体は、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、標的となる脂肪組織や脂肪細胞内に入りやすく、かつ、キサントン誘導体の構造が安定化され、かつ、キサントンそのものに比してコラーゲン増加作用に優れている。
【0058】
ここでいうキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、コラーゲン増加作用が持続されることから好ましい。
【0059】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてキサントンとそれぞれのパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸に分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0060】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、線維芽細胞や間質組織に働きやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0061】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパラ−クマル酸の場合、パラ−クマル酸の水酸基を有するベンゼン核が血流拡張作用を示し、局所まで浸透しやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0062】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがシナピン酸の場合、シナピン酸のメトキシ基を有するベンゼン核が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0063】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがキサントンカルボン酸の場合、キサントンカルボン酸のキサントン残基が抗炎症作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0064】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがトランス桂皮酸の場合、トランス桂皮酸の不飽和脂肪酸残基が細胞膜の安定化作用を呈することから、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0065】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがカフェ酸の場合、カフェ酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いてコラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0066】
植物から抽出する場合、オトギリソウ科の植物、特に、マンゴスチンの果実、果肉、果皮、葉、茎、花や根、セイヨウオトギリソウ、フクギ、クロシア・ロゼア、ヒペリカム・トリカラー、ヒペリカム・カリシナム、テリハボク、ヒペリカム・カルシナム、ヒペリカム・ヒドコート、ヒペリカム・アンドロサエムムなどの葉、樹皮、花、果実や根は、好ましい。
【0067】
ことに、食品産業上、マンゴスチンの果皮は加工時に除去され、廃棄物として廃棄されており、利用されていない。この果皮を原料として抽出、又は、精製することは廃棄物を有効に利用し、廃棄物の量を軽減することから好ましい。
【0068】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0069】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0070】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0071】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0072】
また、緑茶の葉や茎、蓮の種子、果実や実、根、葉や茎などの植物体、コタラヒム、エルカンプーレ、ギョウジャニンニク、タマネギ、ニンニク、大豆、ギジギシ、カンゾウ、ツリフネソウ、ハナイカダ、大麦若葉、葛の花、トウガラシ、カキ、梨、栗、タラ、ワサビ、ワラビ、稲、小麦、トウモロコシ、ダイコン、菜の花、サクラ、マツ、アオキ、アカネ、アカメガシワ、アケビ、アマチャズル、アマドコロ、アロエ、イカリソウ、イタドリ、イノコズチ、イブキジャコウソウ、ウコギ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、エビスグサ、オウレン、オオバコ、オケラ、オクラ、オトギリソウ、オナモミ、オミナエシ、カキドオシ、カラスウリ、カラスビシャク、カワラケツメイ、カワラナデシコ、カンアオイ、キクイモ、キキョウ、キササゲ、キハダ、キランソウ、キンミズヒキ、クガイソウ、クサボケ、クズ、クチナシ、コウホネ、コブシ、サイカチ、サボンソウ、サルトリイバラバッケツ、サンシュユ、ジャノヒゲ、シラン、スイカズラ、セリ、センブリ、タムシバ、タラノキ、タンポポ、チガヤ、ツリガネニンジン、ツワブキ、トチノキ、トチバニンジン、ナンテン、ノイバラ、ハコベ、ハトムギ、ハハコグサ、ヒキオコシ、ヒシ、ヒトツバ、ビワ、フキ、フクジュソウ、フジ、マタタビ、メハジキ、ヤマノイモ、ユキノシタ、ヨモギ、リンドウ、レンギョウ、ロウバイ、ワレモコウなどの葉、茎、花、実又は根は、入手しやすいことから好ましい。
【0073】
前記のキサントン誘導体は前記のオトギリソウ科植物、コタラヒム、エルカンプーレなどから前記の有機溶媒又は植物油で抽出されることは、好ましい。つまり、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用される。
【0074】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0075】
さらに、前記のキサントン誘導体を前記のオトギリソウ科植物、コタラヒム、エルカンプーレやその他の植物、発酵させた発酵物や化学合成した反応物から液化二酸化炭素を用いた超臨界抽出により得ることは、目的とするキサントン誘導体が効率良く得られることから、好ましい。
【0076】
前記のキサントン誘導体を化学合成反応により得る場合には、マグネシウム、アルミニウムなどの金属触媒とともに、加温されることは好ましい。これらの原料は、反応槽に入れられ、溶媒とともに、反応が行われる。この反応物は、生成されたキサントン誘導体は前記の酸性水溶液で抽出され、溶媒を除去されて粗生成物として得ることは、精製に要するコストを削減できることから、好ましい。
【0077】
前記のキサントン誘導体を微生物や酵母を用いた発酵により得ることは食用として安全性が確認されており、食経験も豊富であることから好ましく、この場合、用いる微生物としては納豆菌、乳酸菌、紅麹、枯草菌があり、酵母としてはビール酵母や酒精酵母があり、特に、納豆菌はエステル交換作用に優れていることから好ましい。
【0078】
前記の発酵は植物から抽出する場合、オトギリソウ科の植物、特に、マンゴスチンの果実、果肉、果皮、葉、茎、花や根、セイヨウオトギリソウ、フクギ、クロシア・ロゼア、ヒペリカム・トリカラー、ヒペリカム・カリシナム、テリハボク、ヒペリカム・カルシナム、ヒペリカム・ヒドコート、ヒペリカム・アンドロサエムムやコタラヒム、エルカンプーレなどの葉、樹皮、花、果実や根に加えて、大豆などの発酵ベースに微生物又は酵母を添加して発酵タンクを用いて実施される。
【0079】
この発酵後、微生物又は酵母と発酵液の混合物から目的とする前記のキサントン誘導体を得ることができる。この場合、前記の植物油や溶媒で抽出することは好ましい。
【0080】
また、目的とするキサントン誘導体の精製と分離には、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。分離する場合、前記の有機溶媒や植物油が用いられ、さらに、松の葉エキス含有植物油を粗精製の段階で用いることにより、松の葉エキスによるコラーゲン増加作用と防腐作用が発揮され、目的とする誘導体が安定に維持されることから好ましい。
【0081】
前記の反応物や組成物から、目的とするキサントン誘導体を精製することは純度の高い物質として摂取した場合にその摂取量を減少させることができる点から好ましい。高度に精製される場合、分離用担体又は樹脂が利用され、精製される。分離用担体又は樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。
【0082】
また、0.1〜300マイクロmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
【0083】
例えば、逆相担体又は樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。
【0084】
また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体又は樹脂として利用される。
【0085】
アフィニティ担体又は樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体又は樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
【0086】
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体又は樹脂、分配性担体又は樹脂、分子篩用担体又は樹脂及びイオン交換担体又は樹脂が好ましい。
【0087】
さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体又は樹脂及び分配性担体又は樹脂はより好ましい。
【0088】
分離用溶媒として前記の有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体又は樹脂が用いられる。また、医薬品製造又は食品製造に利用される担体又は樹脂は好ましい。
【0089】
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2又はXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
【0090】
得られた抽出物は、分離前に分離用担体又は樹脂を膨潤化させるための溶媒に懸濁される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜60℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
【0091】
分離用溶媒には、水、又は、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
【0092】
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸又はそれらの混合液が好ましい。ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコールと水の混合液が好ましい。
【0093】
分離された分画を採取後、乾燥又は真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするキサントン誘導体を粉末又は濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
【0094】
前記のキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチック加工、環境防止素材などに利用される。
【0095】
医薬品としては、コラーゲン増加作用と間質組織の増強作用や抗炎症作用を目的として利用され、抗炎症剤、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、シワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドローム、抗がん剤や生活習慣病の予防や改善などに利用される。
【0096】
また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、シワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗がん剤などとして利用される。
【0097】
前記の食品製剤としては、シワ予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。
【0098】
また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても皮膚の再生、シワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や癌の予防の目的などとして利用される。
【0099】
前記の化粧品としては、コラーゲン増加作用に起因するシワやタルミの改善と予防を目的としてシワやタルミを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、コラーゲンの減少により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品や美容オイルとして利用される。
【0100】
また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0101】
前記の医薬品、食品、化粧品は、コラーゲン減少に付随した皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。
【0102】
また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用してコラーゲン増加と皮膚のシワ防止を目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0103】
また、前記のキサントン誘導体を添加したプラスチックを利用してコラーゲン増加を目的とした衛生用品、容器やトイレ、バスなどで利用する日用品などに利用される。
【0104】
次に、マンゴスチンの粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるキサントン誘導体のうち、Xがパルミチン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(2)で示されるキサントン誘導体について説明する。
【0105】
【化7】

【0106】
ここでいうキサントン誘導体とは、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基にパルミチン酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0107】
前記のキサントン誘導体はコラーゲン増加作用を呈し、皮膚、全身臓器や間質組織のコラーゲンを増加させ、シワやタルミを改善又は予防する。
【0108】
前記のキサントン誘導体はパルミチン酸の脂肪酸側鎖を有することから間質組織内に浸透しやすく、コラーゲン生成を促進する。加えて、臓器内でコラーゲンにより細菌の増殖や癌組織の浸潤や転移を抑制する。
【0109】
前記のキサントン誘導体において、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる線維芽細胞や間質組織に働きやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0110】
前記のキサントン誘導体はマンゴスチンの粉砕物にパルチミン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0111】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0112】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0113】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0114】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0115】
原材料であるマンゴスチンは粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0116】
ここで用いられるパルミチン酸は、ヤシ油、植物油、なたね油、綿実油、とうもろこし油、ベニバナ油、ゴマ油、コメ油、ヒマワリ油、オリーブ油などから得られ、リョーショク、日清製油や不二製油株式会社などのヤシや大豆などの植物より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。
【0117】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0118】
清浄なステンレス製寸胴などに前記のマンゴスチンの粉砕物、パルミチン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0119】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、パルミチン酸は0.02〜2重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.001〜0.1重量が好ましい。
【0120】
前記の加温の温度として、15〜48℃が好ましく、18〜39℃がより好ましい。
【0121】
前記の加温の時間として、2〜48時間が好ましく、6〜28時間がより好ましい。
【0122】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり40〜140回の速度が好ましい。
【0123】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0124】
生成されたキサントン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用される。
【0125】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0126】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有するコラーゲン増加作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0127】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0128】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0129】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、添加する植物油は2〜10重量が好ましい。
【0130】
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0131】
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0132】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
【0133】
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0134】
得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0135】
医薬品としては、コラーゲン増加作用を介した抗炎症剤、局所のシワ除去薬、抗セルライト剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドローム、抗がん剤、生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としてもシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0136】
前記の食品製剤としては、シワやタルミの改善や予防を目的としたサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としてシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0137】
前記の化粧品としては、コラーゲン減少に起因するシワやタルミの改善や予防、医薬部外品やシワ防止用のマッサージオイルとして利用される。また、コラーゲン減少と脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0138】
前記の医薬品、食品、化粧品は、コラーゲン増加による抗炎症作用やメタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、コラーゲン増加による抗炎症作用を目的としたアトピー用の下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0139】
また、前記のキサントン誘導体を混入したプラスチックを利用してコラーゲン増加による抗炎症作用を目的とした容器やトイレ、バス用品などに利用される。
【0140】
次に、マンゴスチンの粉砕物にパラ−クマル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるキサントン誘導体のうち、Xがパラ−クマル酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(3)で示されるキサントン誘導体について説明する。
【0141】
【化8】

【0142】
ここでいうキサントン誘導体とは、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基にパラ−クマル酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0143】
前記のキサントン誘導体はコラーゲン増加作用を呈し、皮膚、全身臓器や間質組織のコラーゲンを増加させ、シワやタルミを改善又は予防する。
【0144】
前記のキサントン誘導体はパラ−クマル酸のベンゼン側鎖を有することから、間質組織内に浸透しやすく、コラーゲン生成を促進する。加えて、臓器内でコラーゲンにより細菌の増殖や癌組織の浸潤や転移を抑制する。
【0145】
前記のキサントン誘導体において、パラ−クマル酸の水酸性ベンゼン基が血管の血流を改善し、標的となる線維芽細胞や間質組織に到達する作用を有し、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0146】
前記のキサントン誘導体はマンゴスチンの粉砕物にパラ−クマル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0147】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0148】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0149】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0150】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0151】
原材料であるマンゴスチンは粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0152】
ここで用いられるパラ−クマル酸は、コーヒー、生コーヒー、ココア、プロポリスなどから得られ、アピ株式会社製のパラ−クマル酸は、精製され、不純物の少ないことから好ましい。
【0153】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0154】
清浄なステンレス製寸胴などに前記のマンゴスチンの粉砕物、パラ−クマル酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0155】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、パラ−クマル酸は0.03〜3重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.001〜0.2重量が好ましい。
【0156】
前記の加温の温度として、14〜50℃が好ましく、25〜39℃がより好ましい。
【0157】
前記の加温の時間として、2〜48時間が好ましく、6〜24時間がより好ましい。
【0158】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり50〜140回の速度が好ましい。
【0159】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0160】
生成されたキサントン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用される。
【0161】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0162】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有するコラーゲン増加作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0163】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0164】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0165】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、添加する植物油は2〜10重量が好ましい。
【0166】
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0167】
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0168】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
【0169】
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0170】
得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0171】
医薬品としては、コラーゲン増加作用を介した抗炎症剤、局所のシワ除去薬、抗セルライト剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドローム、抗がん剤、生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としてもシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0172】
前記の食品製剤としては、シワやタルミの改善や予防を目的としたサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としてシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0173】
前記の化粧品としては、コラーゲン減少に起因するシワやタルミの改善や予防、医薬部外品やシワ防止用のマッサージオイルとして利用される。また、コラーゲン減少と脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0174】
前記の医薬品、食品、化粧品は、コラーゲン増加による抗炎症作用やメタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、コラーゲン増加による抗炎症作用を目的としたアトピー用の下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0175】
また、前記のキサントン誘導体を混入したプラスチックを利用してコラーゲン増加による抗炎症作用を目的とした容器やトイレ、バス用品などに利用される。
【0176】
次に、マンゴスチンの粉砕物にシナピン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるキサントン誘導体のうち、Xがシナピン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(4)で示されるキサントン誘導体について説明する。
【0177】
【化9】

【0178】
ここでいうキサントン誘導体とは、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基にシナピン酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0179】
前記のキサントン誘導体はコラーゲン増加作用を呈し、皮膚、全身臓器や間質組織のコラーゲンを増加させ、シワやタルミを改善又は予防する。
【0180】
前記のキサントン誘導体はシナピン酸のメソキシベンゼン側鎖を有することから、間質組織内に浸透しやすく、コラーゲン生成を促進する。加えて、臓器内でコラーゲンにより細菌の増殖や癌組織の浸潤や転移を抑制する。
【0181】
前記のキサントン誘導体はシナピン酸のメトキシ基を有するベンゼン核が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0182】
前記のキサントン誘導体はマンゴスチンの粉砕物にシナピン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0183】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0184】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0185】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0186】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0187】
原材料であるマンゴスチンは粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0188】
ここで用いられるシナピン酸は、プロポリス、桂皮、チョウジなどから得られ、安理ジャパン製のシナピン酸は、精製され、不純物の少ないことから好ましい。
【0189】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0190】
清浄なステンレス製寸胴などに前記のマンゴスチンの粉砕物、シナピン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0191】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、シナピン酸は0.04〜4重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.003〜0.3重量が好ましい。
【0192】
前記の加温の温度として、14〜45℃が好ましく、25〜37℃がより好ましい。
【0193】
前記の加温の時間として、2〜48時間が好ましく、6〜24時間がより好ましい。
【0194】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり40〜140回の速度が好ましい。
【0195】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0196】
生成されたキサントン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用される。
【0197】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0198】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有するコラーゲン増加作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0199】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0200】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0201】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、添加する植物油は2〜10重量が好ましい。
【0202】
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0203】
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0204】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
【0205】
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0206】
得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0207】
医薬品としては、コラーゲン増加作用を介した抗炎症剤、局所のシワ除去薬、抗セルライト剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドローム、抗がん剤、生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としてもシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0208】
前記の食品製剤としては、シワやタルミの改善や予防を目的としたサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としてシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0209】
前記の化粧品としては、コラーゲン減少に起因するシワやタルミの改善や予防、医薬部外品やシワ防止用のマッサージオイルとして利用される。また、コラーゲン減少と脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0210】
前記の医薬品、食品、化粧品は、コラーゲン増加による抗炎症作用やメタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、コラーゲン増加による抗炎症作用を目的としたアトピー用の下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0211】
また、前記のキサントン誘導体を混入したプラスチックを利用してコラーゲン増加による抗炎症作用を目的とした容器やトイレ、バス用品などに利用される。
【0212】
次に、マンゴスチンの粉砕物にキサントンカルボン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるキサントン誘導体のうち、Xがキサントンカルボン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(5)で示されるキサントン誘導体について説明する。
【0213】
【化10】

【0214】
ここでいうキサントン誘導体とは、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基にキサントンカルボン酸のカルボキシル酸がエステル結合した誘導体である。
【0215】
ここでいうキサントンカルボン酸は、キサントンの2位にカルボキシル基が結合している。
【0216】
前記のキサントン誘導体はコラーゲン増加作用を呈し、皮膚、全身臓器や間質組織のコラーゲンを増加させ、シワやタルミを改善又は予防する。
【0217】
前記のキサントン誘導体はキサントンカルボン酸のキサントン側鎖を有することから、線維芽細胞に対して働き、コラーゲン生成を促進する。加えて、臓器内でコラーゲンにより細菌の増殖や癌組織の浸潤や転移を抑制する。
【0218】
前記のキサントン誘導体はキサントンカルボン酸のキサントン基が抗炎症作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0219】
前記のキサントン誘導体はマンゴスチンの粉砕物にキサントンカルボン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0220】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0221】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0222】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0223】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0224】
原材料であるマンゴスチンは粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0225】
ここで用いられるキサントンカルボン酸は、マンゴスチン、セイヨウオトギリソウなどから得られ、安理ジャパン製のキサントンカルボン酸は、精製され、不純物の少ないことから好ましい。
【0226】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0227】
清浄なステンレス製寸胴などに前記のマンゴスチンの粉砕物、キサントンカルボン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0228】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、キサントンカルボン酸は0.03〜5重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.001〜0.3重量が好ましい。
【0229】
前記の加温の温度として、14〜60℃が好ましく、25〜45℃がより好ましい。
【0230】
前記の加温の時間として、2〜48時間が好ましく、6〜24時間がより好ましい。
【0231】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり40〜140回の速度が好ましい。
【0232】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0233】
生成されたキサントン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用される。
【0234】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0235】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有するコラーゲン増加作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0236】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0237】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0238】
添加するマンゴスチンの粉砕物1重量に対し、添加する植物油は2〜10重量が好ましい。
【0239】
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0240】
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0241】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
【0242】
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0243】
得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0244】
医薬品としては、コラーゲン増加作用を介した抗炎症剤、局所のシワ除去薬、抗セルライト剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドローム、抗がん剤、生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としてもシワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0245】
前記の食品製剤としては、シワやタルミの改善や予防を目的としたサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としてシワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0246】
前記の化粧品としては、コラーゲン減少に起因するシワやタルミの改善や予防、医薬部外品やシワ防止用のマッサージオイルとして利用される。また、コラーゲン減少と脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0247】
前記の医薬品、食品、化粧品は、コラーゲン増加による抗炎症作用やメタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、コラーゲン増加による抗炎症作用を目的としたアトピー用の下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0248】
また、前記のキサントン誘導体を混入したプラスチックを利用してコラーゲン増加による抗炎症作用を目的とした容器やトイレ、バス用品などに利用される。
【0249】
次に、マンゴスチンの粉砕物及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法について説明する。
【0250】
目的とするキサントン誘導体とは、キサントンの骨格に、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0251】
さらに、ここでいうキサントン誘導体は、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基に置換基としてパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸という有機酸、フェニルプロパノイド系有機酸や脂肪酸がエステル結合している。
【0252】
前記のキサントン誘導体は、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、標的となる脂肪組織や脂肪細胞内に入りやすく、かつ、キサントン誘導体の構造が安定化され、かつ、キサントンそのものに比してコラーゲン増加作用に優れている。
【0253】
ここでいうキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、コラーゲン増加作用が持続されることから好ましい。
【0254】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてキサントンとそれぞれのパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸に分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0255】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、線維芽細胞や間質組織に働きやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0256】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパラ−クマル酸の場合、パラ−クマル酸の水酸基を有するベンゼン核が血流拡張作用を示し、局所まで浸透しやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0257】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがシナピン酸の場合、シナピン酸のメトキシ基を有するベンゼン核が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0258】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがキサントンカルボン酸の場合、キサントンカルボン酸のキサントン残基が抗炎症作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0259】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがトランス桂皮酸の場合、トランス桂皮酸の不飽和脂肪酸残基が細胞膜の安定化作用を呈することから、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0260】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがカフェ酸の場合、カフェ酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いてコラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0261】
ここで述べる製造方法に用いる材料は、マンゴスチンの粉砕物、大豆、納豆菌及び植物油である。
【0262】
ここでいうマンゴスチンとは学名Garcinia mangostanaで示され、ツバキ目オトギリソウ科フクギ属またはガルシニア属の樹木であり、東南アジア、南米、アフリカなどの熱帯地方で生育し、1年に数回、果実を結実する。
【0263】
ここで用いるマンゴスチンは、東南アジア、南米、アフリカのいずれの地方産のものでも良い。
【0264】
マンゴスチン用いる部位は、果実全体、果肉、果皮、樹皮、根のいずれでも良い。このうち、果実全体、果肉、果皮は、食経験や民間薬としての利用経験が古く、安全性も確立されていることから、好ましい。
【0265】
前記の植物体の果実全体、果肉、果皮は、新鮮な状態または乾燥したもののいずれでも用いられるが、乾燥された果実からは目的とするキサントン誘導体を得やすことから好ましい。
【0266】
マンゴスチンは粉砕される。粉砕は、粉砕機として株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0267】
また、ここでいう大豆は、日本産、中国産、アメリカ産、ブラジル産のいずれの産地のものでも、用いられる、また、遺伝子組み換え体も、用いることはできる。この大豆も前述の粉砕機により粉砕することは、発酵を効率的に実施できる点から好ましい。
【0268】
ここでいう納豆菌とは、納豆や食品の加工用に用いられる枯草菌の一種である。納豆素本舗製の納豆菌は発酵に適していることから、好ましい。
【0269】
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、マンゴスチンの粉砕物1重量に対して、大豆は0.6〜5重量が好ましく、納豆菌は0.001〜0.03重量が好ましい。また、前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
【0270】
また、この発酵は、30〜50℃に加温され、発酵は24〜72時間行われる。発酵後に、抽出を効率良く実施するために、水道水で希釈される。
【0271】
前記の発酵により生成されたキサントン誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に利用される油が用いられる。
【0272】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0273】
前記の菊の花エキス含有植物油は、菊の花の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有するコラーゲン増加作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0274】
菊の花エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0275】
農薬を使用せずに栽培された菊の花が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0276】
前記の松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有するコラーゲン増加作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0277】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0278】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0279】
前記の発酵物1重量に対して松の葉エキス含有植物油の添加量は、0.03〜3重量である。この場合、攪拌による抽出が好ましく、攪拌温度は20〜50℃が好ましく、攪拌時間は1〜6時間が好ましい。
【0280】
前記の攪拌後、上層に分離した松の葉エキス含有植物油を採取し、水分を除去することは好ましい。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2などの乾燥機が用いられる。
【0281】
分離されたキサントン誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼなどの消化酵素により分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0282】
前記の反応物から、目的とするキサントン誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0283】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、有機溶媒を除去して目的とするキサントン誘導体を得ることは好ましい。
【0284】
分離用溶媒としてはメタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。
【0285】
このようにして得られたキサントン誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0286】
得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチック加工、環境防止素材などに利用される。
【0287】
医薬品としては、コラーゲン増加作用と間質組織の増強作用や抗炎症作用を目的として利用され、抗炎症剤、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、シワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドローム、抗がん剤や生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、シワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗がん剤などとして利用される。
【0288】
前記の食品製剤としては、シワ予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても皮膚の再生、シワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や癌の予防の目的などとして利用される。
【0289】
前記の化粧品としては、コラーゲン増加作用に起因するシワやタルミの改善と予防を目的としてシワやタルミを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。
【0290】
また、コラーゲンの減少により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品や美容オイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0291】
前記の医薬品、食品、化粧品は、コラーゲン減少に付随した皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用してコラーゲン増加と皮膚のシワ防止を目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0292】
また、前記のキサントン誘導体を添加したプラスチックを利用してコラーゲン増加を目的とした衛生用品、容器やトイレ、バスなどで利用する日用品などに利用される。
【0293】
次に、マンゴスチンの粉砕物に液化二酸化炭素を添加して抽出する工程からなるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法について説明する。
【0294】
目的とするキサントン誘導体とは、キサントンの骨格に、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0295】
さらに、ここでいうキサントン誘導体は、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基に置換基としてパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸という有機酸、フェニルプロパノイド系有機酸や脂肪酸がエステル結合している。
【0296】
前記のキサントン誘導体は、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、標的となる脂肪組織や脂肪細胞内に入りやすく、かつ、キサントン誘導体の構造が安定化され、かつ、キサントンそのものに比してコラーゲン増加作用に優れている。
【0297】
ここでいうキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、コラーゲン増加作用が持続されることから好ましい。
【0298】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてキサントンとそれぞれのパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸に分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0299】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、線維芽細胞や間質組織に働きやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0300】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパラ−クマル酸の場合、パラ−クマル酸の水酸基を有するベンゼン核が血流拡張作用を示し、局所まで浸透しやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0301】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがシナピン酸の場合、シナピン酸のメトキシ基を有するベンゼン核が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0302】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがキサントンカルボン酸の場合、キサントンカルボン酸のキサントン残基が抗炎症作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0303】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがトランス桂皮酸の場合、トランス桂皮酸の不飽和脂肪酸残基が細胞膜の安定化作用を呈することから、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0304】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがカフェ酸の場合、カフェ酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いてコラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0305】
液化二酸化炭素による超臨界抽出とは、超臨界流体抽出装置を用い、超臨界流体を臨界温度以上及び臨界圧力以上の条件下で超臨界状態にした超臨界流体と原料とを接触させることにより、原料から所定の成分を抽出する製造方法である。
【0306】
超臨界流体として液化二酸化炭素が用いられる。
【0307】
製造工程としては、31.2℃の臨界温度以上及び72.8気圧の臨界圧力を下限とする。
【0308】
超臨界状態により液体となった二酸化炭素により、原料であるマンゴスチンの粉砕物を抽出する。
【0309】
この場合、二酸化炭素は、臨界温度が常温に近いうえに極性がエタノールより低いという抽出対象化合物に適合する物理的、化学的性質を有している。
【0310】
二酸化炭素はこのように抽出工程での物性が優れているばかりでなく無味・無臭で超臨界抽出製品の味にも影響を及ぼさないことから本実施形態に用いる超臨界流体としては二酸化炭素が最も好ましい。
【0311】
超臨界流体抽出における操作には、超臨界流体が臨界点近傍において、わずかな温度差、圧力差に対して密度と溶解性が大きく変化する性質を利用するため処理の温度及び圧力には適切な上下幅が必要である。
【0312】
液化二酸化炭素を用いる場合の操作温度は30〜90℃が好ましく、32〜50℃がより好ましい。
【0313】
また、工程の圧力は、71〜510気圧が好ましく、73〜400気圧がより好ましい。
【0314】
液化二酸化炭素の流量は、マンゴスチンの粉砕物1kgに対して、1〜10kg/時間が好ましく、3〜7kg/時間がより好ましい。
【0315】
処理時間は、マンゴスチンの原料により調整が必要であるものの、3〜12時間が好ましい。
【0316】
上記の抽出条件で抽出された目的とするキサントン誘導体の性状は、抽出の経過時間によっても変化し、液状、粉末または塊状の固体として得られることもある。
【0317】
補助用媒体としてエタノールを用いるときは、エタノールを含んだ液状となる。
【0318】
必要に応じて、得られた超臨界抽出物に乳糖やデキストリン等の賦形剤を添加して粉末化しても良い。
【0319】
得られたキサントン誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチック加工、環境防止素材などに利用される。
【0320】
医薬品としては、コラーゲン増加作用と間質組織の増強作用や抗炎症作用を目的として利用され、抗炎症剤、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、シワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドローム、抗がん剤や生活習慣病の予防や改善などに利用される。
【0321】
また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、シワ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、抗がん剤などとして利用される。
【0322】
前記の食品製剤としては、シワ予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても皮膚の再生、シワ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や癌の予防の目的などとして利用される。
【0323】
前記の化粧品としては、コラーゲン増加作用に起因するシワやタルミの改善と予防を目的としてシワやタルミを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。
【0324】
また、コラーゲンの減少により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品や美容オイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0325】
前記の医薬品、食品、化粧品は、コラーゲン減少に付随した皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のキサントン誘導体を添加した繊維を利用してコラーゲン増加と皮膚のシワ防止を目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0326】
また、前記のキサントン誘導体を添加したプラスチックを利用してコラーゲン増加を目的とした衛生用品、容器やトイレ、バスなどで利用する日用品などに利用される。
【0327】
次に、前記のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品について説明する。
【0328】
ここでいうキサントン誘導体とは、キサントンの骨格に、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0329】
さらに、ここでいうキサントン誘導体は、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基に置換基としてパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸という有機酸、フェニルプロパノイド系有機酸や脂肪酸がエステル結合している。
【0330】
前記のキサントン誘導体は、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、標的となる脂肪組織や脂肪細胞内に入りやすく、かつ、キサントン誘導体の構造が安定化され、かつ、キサントンそのものに比してコラーゲン増加作用に優れている。
【0331】
ここでいうキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、コラーゲン増加作用が持続されることから好ましい。
【0332】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてキサントンとそれぞれのパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸に分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0333】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、線維芽細胞や間質組織に働きやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0334】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパラ−クマル酸の場合、パラ−クマル酸の水酸基を有するベンゼン核が血流拡張作用を示し、局所まで浸透しやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0335】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがシナピン酸の場合、シナピン酸のメトキシ基を有するベンゼン核が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0336】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがキサントンカルボン酸の場合、キサントンカルボン酸のキサントン残基が抗炎症作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0337】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがトランス桂皮酸の場合、トランス桂皮酸の不飽和脂肪酸残基が細胞膜の安定化作用を呈することから、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0338】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがカフェ酸の場合、カフェ酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いてコラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0339】
ここでいう菊の花エキス含有植物油は菊の花の粉砕物に植物油を添加して抽出して得られる油であり、コラーゲン増加作用に優れている。
【0340】
ここで用いる植物油としては、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が利用される。
【0341】
また、柿の葉エキス、クコシエキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0342】
株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油は品質が高く、不純物が少ないことから、好ましい。
【0343】
松の葉エキス含有植物油は、日本、中国、アジア産の松の葉を粉砕機により粉砕され、植物油により抽出して得られる。
【0344】
松の葉の粉砕された原料を、ヤクルト薬品工業株式会社製のオノズカR−10、Y−NC、アマノエンザイム株式会社製のセルラーゼ A「アマノ」3、セルラーゼ T「アマノ」4などのセルラーゼにより処理することは、抽出効率が向上することから好ましい。
【0345】
前記のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に対し、添加される菊の花エキス含有植物油は0.05〜0.8重量であり、松の葉エキス含有植物油は0.05〜0.8重量であり、これにより組成物が得られる。
【0346】
キサントン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.05重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0347】
キサントン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.8重量を上回る場合、キサントン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0348】
キサントン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.05重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0349】
キサントン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.8重量を上回る場合、キサントン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0350】
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は30〜45℃であり、加温時間は6〜40時間である。
【0351】
加温温度が30℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が45℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が6時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。
【0352】
加温時間が40時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
【0353】
この組成物は、前記のキサントン誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
【0354】
また、このように構成することにより、キサントン誘導体が菊の花エキス含有植物油の抗酸化力により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。特に、不飽和脂肪酸の二重結合が酸化から守られて構造を維持する。
【0355】
さらに、化粧品として前記の組成物が他の原料とともに加工される。その後、常法に従って油分、界面活性化剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、増粘剤、保湿剤、副素材等とともに用いることができる。
【0356】
化粧水、クリーム、軟膏、ローション、乳液、パック、オイル、石鹸、洗顔料、香料、オーディコロン、浴用剤、シャンプー、リンス等の形態とすることができる。化粧品製剤の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状又は粉末状として用いることができる。
【0357】
化粧品として皮膚に1日数回に分けて塗布される。1日の塗布量は0.01〜10gが好ましく、0.05〜3gがより好ましく、0.1〜2gがさらに好ましい。1日の塗布量が、0.01gを下回る場合、シワやタルミの治療または防止効果が発揮されないおそれがある。1日の塗布量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。
【0358】
ここでいう化粧品とは、人間に用いる化粧品である基礎化粧品、美白化粧品、毛髪洗浄剤、トリートメント剤、染め毛剤、育毛剤、養毛剤、ボディウォッシュ、医薬部外品である。その他に、動物に用いる皮膚改善剤又はペット用シャンプー、ボディウォッシュである。
【0359】
この化粧品はコラーゲン増加作用を呈することにより優れたシワやタルミ改善効果および予防作用を発揮する。すなわち、間質組織や皮下組織のコラーゲンの減少に起因したシワやタルミに対してコラーゲンを増加させることによりシワやタルミを改善する。
【0360】
また、傷や炎症を発症している皮膚に対しても、コラーゲンを増加させることにより、炎症を防ぎ、傷を修復する作用を示す。
【0361】
さらに、この化粧品は化学物質やアレルゲンによるアトピーや化学物質過敏症に対しても、コラーゲンにより炎症を防御し、治癒を早期にすることにより、改善又は予防的な働きを呈する。
【0362】
次に、前記のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤について説明する。
【0363】
ここでいうキサントン誘導体とは、キサントンの骨格に、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つがエステル結合した誘導体である。
【0364】
さらに、ここでいうキサントン誘導体は、3,6,8−トリヒドロキシ−2−メソキシ−1,7−ビス(3−メチルブット−2−エニル)ザンセン−9−ワンで示され、そのうち、3位の水酸基に置換基としてパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸という有機酸、フェニルプロパノイド系有機酸や脂肪酸がエステル結合している。
【0365】
前記のキサントン誘導体は、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、標的となる脂肪組織や脂肪細胞内に入りやすく、かつ、キサントン誘導体の構造が安定化され、かつ、キサントンそのものに比してコラーゲン増加作用に優れている。
【0366】
ここでいうキサントン誘導体が構造的に安定であり、皮膚細胞、脂肪組織、間質組織、線維芽細胞内や細胞膜に浸潤しやすく、コラーゲン増加作用が持続されることから好ましい。
【0367】
前記のキサントン誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてキサントンとそれぞれのパルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸に分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のキサントン誘導体も安全性が高い。
【0368】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、線維芽細胞や間質組織に働きやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0369】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがパラ−クマル酸の場合、パラ−クマル酸の水酸基を有するベンゼン核が血流拡張作用を示し、局所まで浸透しやすく、コラーゲン増加作用が増強されることから好ましい。
【0370】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがシナピン酸の場合、シナピン酸のメトキシ基を有するベンゼン核が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0371】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがキサントンカルボン酸の場合、キサントンカルボン酸のキサントン残基が抗炎症作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0372】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがトランス桂皮酸の場合、トランス桂皮酸の不飽和脂肪酸残基が細胞膜の安定化作用を呈することから、コラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0373】
前記のキサントン誘導体のうち、Xがカフェ酸の場合、カフェ酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いてコラーゲン増加作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0374】
前記のキサントン誘導体は、菊の花エキス含有植物油と松の葉エキス含有植物油を含有され、組成物とされて食品製剤になる。
【0375】
ここでいう菊の花エキス含有植物油とは、菊の花から植物油により抽出されたエキスである。
【0376】
株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油は品質が高く、不純物が少ないことから、好ましい。
【0377】
ここでいう松の葉エキス含有植物油は、日本、中国、アジア産の松の葉を粉砕機により粉砕され、植物油により抽出して得られる。
【0378】
松の葉の粉砕された原料を、ヤクルト薬品工業株式会社製のオノズカR−10、Y−NC、アマノエンザイム株式会社製のセルラーゼ A「アマノ」3、セルラーゼ T「アマノ」4などのセルラーゼにより処理することは、抽出効率が向上することから好ましい。
【0379】
前記のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に対し、添加される菊の花エキス含有植物油は0.01〜0.5重量であり、松の葉エキス含有植物油は0.01〜0.5重量であり、これにより組成物が得られる。
【0380】
キサントン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.01重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0381】
キサントン誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.5重量を上回る場合、キサントン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0382】
キサントン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.01重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0383】
キサントン誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.5重量を上回る場合、キサントン誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0384】
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は30〜45℃であり、加温時間は6〜40時間である。
【0385】
加温温度が30℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が45℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が6時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。加温時間が40時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
【0386】
この組成物は、前記のキサントン誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
【0387】
また、このように構成することにより、キサントン誘導体が菊の花エキス含有植物油の抗酸化力により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。特に、不飽和脂肪酸の二重結合が酸化から守られて構造を維持する。
【0388】
さらに、前記の組成物が他の原料とともに加工され、食品製剤になる。この場合、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状等の形状の食品製剤にすることができる。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
【0389】
前記の食品製剤は、1日数回に分けて経口摂取される。1日の摂取量は0.2〜10gが好ましく、0.3〜6gがより好ましく、0.5〜4gがさらに好ましい。1日の摂取量が、0.2gを下回る場合、十分なコラーゲン増加作用が発揮されないおそれがある。1日の摂取量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。上記の他に、飴、せんべい、クッキー、飲料等の形態で使用することができる。
【0390】
ここでいう食品製剤とは、人間が食する保健機能食品、健康補助食品、一般食品、病院で用いる病院用食品、または、動物用の飼料又はペット用サプリメント、ペットフードである。
【0391】
この食品製剤は、脂肪分解促進、肥満の防止、脂肪やコレステロール蓄積による心疾患、肝臓機能改善、疲労回復、筋肉増強、ダイエット、滋養強壮の目的などで使用される。
【0392】
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は例であり、形態を変化させて実施することができる。
【0393】
まず、発酵により得られるキサントン誘導体について説明する。
【実施例1】
【0394】
タイで栽培されたマンゴスチンの果皮を原料として用いた。まず、マンゴスチンの果皮を水洗後、乾燥させた。これを粉砕機(中山技術研究所製DM−6)にて粉砕した。
【0395】
このマンゴスチン粉砕物1kgを清浄な培養用タンクに入れ、水道水3Lを添加した。これに、中国産大豆を水洗後、90分間、39℃に加温して、粉砕し、大豆粉砕物1.5kgを得た。
【0396】
さらに、納豆素本舗製の納豆菌10gを添加した。37℃の温度で、攪拌しながら、40時間発酵した。
【0397】
発酵が終了したタンクに、水道水3Lを添加した。これを発酵物とした。
【0398】
前記の発酵物に、理研ビタミン製のヤシ油の1kgを添加して3時間攪拌し、混合した。
【0399】
これを静置して上層に分離したヤシ油により分離される油溶性部分を液体として採取した。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2に供し、油状物質として、目的とするキサントン誘導体を得た。これを実施例1の検体とした。
【0400】
以下に、パルミチン酸を結合させたキサントン誘導体の調製について記載する。
【実施例2】
【0401】
タイ産のマンゴスチンの果皮2kgを水道水により十分に洗浄し、乾燥機により乾燥させた。また、このマンゴスチン1kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕してマンゴスチンの粉砕物とした。
【0402】
清浄な寸胴にマンゴスチンの粉砕物1kgを入れ、水道水を9L添加した。これに、リョーショクより入手したパルミチン酸230gを添加して攪拌した。
【0403】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを10g添加し、33℃に加温して、65回/分の速度で9時間攪拌し、これを加温液とした。
【0404】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油2kgを添加し、油部分を採取した。
【0405】
この油部分を真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してカプリル酸を結合させたキサントン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例2の検体とした。
【0406】
以下に、パラ−クマル酸を結合させたキサントン誘導体の調製について記載する。
【実施例3】
【0407】
タイ産マンゴスチンより果皮2kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥させた。これを原料のマンゴスチンとした。
【0408】
このマンゴスチン2kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕してマンゴスチンの粉砕物とした。
【0409】
清浄な寸胴にマンゴスチンの粉砕物1kgを入れ、水道水を10L添加した。これに、安理ジャパンより入手したパラ−クマル酸220gを添加して攪拌した。
【0410】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを10g添加し、30℃に加温して、70回/分の速度で11時間攪拌し、これを加温液とした。
【0411】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0412】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してパルミチン酸を結合させたキサントン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例3の検体とした。
【0413】
以下に、アジピン酸を結合させたキサントン誘導体の調製について記載する。
【実施例4】
【0414】
タイ産のマンゴスチンより果皮を採取した。このマンゴスチンの果皮3kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機により乾燥させた。これを原料のマンゴスチンの果皮とした。このマンゴスチンの果皮2.2kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕してマンゴスチン果皮の粉砕物とした。
【0415】
清浄な寸胴にマンゴスチン果皮の粉砕物1.9kgを入れ、水道水を19L添加した。これに、安理ジャパン製のアジピン酸300gを添加して攪拌した。
【0416】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを20g添加し、33℃に加温して、60回/分の速度で10時間攪拌し、これを加温液とした。
【0417】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、味の素製の大豆油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0418】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してエイコサペンタエン酸を結合させたキサントン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例4の検体とした。
【0419】
以下に、キサントンカルボン酸を結合させたキサントン誘導体の調製について記載する。
【実施例5】
【0420】
タイで栽培されたマンゴスチン2.9kgを購入し、果皮を採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥させた。これを原料のマンゴスチンの果皮とした。
【0421】
このマンゴスチン果皮2.5kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕してマンゴスチン果皮の粉砕物とした。
【0422】
清浄な寸胴にマンゴスチン果皮の粉砕物1.1kgを入れ、水道水を10L添加した。これに、安理ジャパン製のキサントンカルボン酸350gを添加して攪拌した。
【0423】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを11g添加し、25℃に加温して、73回/分の速度で15時間攪拌し、これを加温液とした。
【0424】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0425】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してドコサヘキサエン酸を結合させたキサントン誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例5の検体とした。
【0426】
以下に、キサントン誘導体の精製物について説明する。
【実施例6】
【0427】
実施例3で得られたキサントン誘導体100gをエタノール500mLに懸濁し、三菱化学製ダイヤイオンの900gを充填したカラムに供した。これを5%エタノール含有水1000mLで洗浄した。さらに20%エタノール含有水2000mLで洗浄後、70%エタノール含有水800mLで溶出し、次いで90%エタノール含有水の分画を採取した。
【0428】
この分画を減圧乾燥機に供してエタノールと水を留去した後、日本エフディ製の凍結乾燥機によりキサントン誘導体の油状の精製物15gを得た。これを実施例6の検体とした。
【0429】
以下に、キサントン誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
【0430】
上記のように得られた実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6で得られたそれぞれのキサントン誘導体を精製エタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析し、さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。
【0431】
その結果、実施例1の検体からは、キサントン誘導体としてキサントンに、キサントンカルボン酸、パルミチン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸、ステアリン酸、パラ−クマル酸、アジピン酸、メチルステアリン酸が結合したキサントン誘導体が同定された。
【0432】
また、実施例2の検体からは、キサントンに、パルミチン酸が結合したキサントン誘導体が同定された。キサントン骨格の水酸基とパルミチン酸のカルボン酸がエステル結合していた。
【0433】
また、実施例3及び実施例6の検体からは、キサントンに、パラ−クマル酸が結合したキサントン誘導体が同定された。パラ−クマル酸のカルボン酸がキサントン骨格の水酸基とエステル結合していた。
【0434】
また、実施例4の検体からは、キサントンに、アジピン酸が結合したキサントン誘導体が同定された。アジピン酸のカルボン酸がキサントン骨格の水酸基とエステル結合していた。
【0435】
また、実施例5の検体からは、キサントンに、キサントンカルボン酸が結合したキサントン誘導体が同定された。
【0436】
以下に、ヒト皮膚由来線維芽細胞を用いた実験について説明する。これはヒト皮膚由来の線維芽細胞を用いることにより、そのコラーゲン増加作用を評価する試験方法である。
(試験例2)
【0437】
正常ヒト成人皮膚繊維芽細胞(Fibrocell NHDF(AD)、クラボウ株式会社製)を専用培養液にて培養し、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6で得られた検体をジメチルスルホキシド(和光純薬製)に溶解し、それぞれの0.1mgを添加し、37℃で、48時間培養した。
【0438】
溶媒対照としてジメチルスルホキシドを用いた。なお、陽性対照としてフィブロブラスト成長因子(FGF、コスモバイオ製)を精製水に溶解して0.1mgを添加した。細胞数を計数し、さらに、コラーゲン量を抗体法(コンドレックス社製)により観察した。
【0439】
その結果、細胞数について、溶媒対照の値に対して、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6の各検体0.1mgの値は、それぞれ176%、167%、170%、283%、264%及び344%であり、いずれの検体も線維芽細胞の増殖性を示した。
【0440】
陽性対照のFGFの0.1mgの添加では、溶媒対照の値に対して、159%であったことから、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6の各検体は、FGFよりも強い線維芽細胞の増殖性を示すことが判明した。
【0441】
コラーゲン産生量について、溶媒対照の値に対して、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6の各検体0.1mgの値は、それぞれ201%、218%、206%、320%、317%及び355%であり、いずれの検体もコラーゲンの増加作用を示した。
【0442】
陽性対照のFGFの0.1mgの添加では、溶媒対照の値に対して、187%であったことから、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6の検体は、FGFよりも強いコラーゲン増加作用を示すことが判明した。
【実施例7】
【0443】
以下に、コラーゲン増加作用を呈する化粧品について説明する。
【0444】
前記の実施例1で得られたキサントン誘導体100gに、東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油20g、東洋発酵製の松の葉エキス含有植物油20gを添加した。これを混合して組成物を調製した。
【0445】
さらに、この組成物に、グルコン酸ナトリウム0.2g、アマノエンザイム製リパーゼF−AP15 0.1g、モノステアリン酸ポリエチレングリコール1gを添加し、混合後、21℃で、24時間加温した。
【0446】
冷却後、親油型モノステアリン酸グリセリン1g、馬油エステル2g及びオレイン酸3gを加熱し、溶解した。さらに、プロピレングリコール2g、α−トコフェロール0.1g及び精製水70gを添加した。これらを溶解した後、冷却して乳液を得た。これを実施例7の検体とした。
【0447】
以下に、化粧品のシワ改善作用の試験について説明する。
(試験例3)
【0448】
実施例7で得られた乳液を使用して、49〜78才の女性6例を対象に、シワに対する改善試験を行なった。すなわち、前記の実施例7の乳液を1日当たり1gずつ、7日間、顔面部に塗布させた。
【0449】
使用前及び使用7日後に、皮表角層水分量測定装置(IBS社製、SKICON200)を用いて角質水分量、弾力計(クトメーター)を用いて肌弾性及び単位面積当たりのシワの長さを計測した。
【0450】
その結果、使用前に比し、皮表角層水分量は、使用後には、240%に増加した。また、弾力計による弾力は、使用前に比して使用後では、280%に増加した。さらに、シワの長さは、使用前に比し、75%になり、シワの減少が認められた。
【0451】
一方、使用感においても特に、違和感や不都合な点は認められなかった。この結果、実施例7で得られた乳液には水分増加作用及びシワの改善作用が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0452】
本発明であるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体は、全身及び内臓のコラーゲン減少を防止及び改善した副作用の弱い、優れた働きを示し、癌、動脈硬化、シワやタルミ、肥満又はその予備軍のQOLを改善するものである。
【0453】
また、本発明であるコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体からなる食品製剤は、コラーゲン減少に伴うがんの転移や浸潤を改善又は予防し、国民生活の質的向上および医療費の削減に寄与するものである。
【0454】
さらに、コラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体からなる化粧品は、シワやタルミの予防と改善作用に優れ、国民のQOLを向上させるものである。
【0455】
マンゴスチンの果皮は、廃棄物として処理されている。本発明は、これらの廃棄物を有効に利用する点から廃棄物を減少させ、結果として廃棄物による土壌や海洋の富栄養による環境破壊を予防でき、かつ、農業資源の有効活用と産業の発展に寄与するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲン増加作用を有する下記の式(1)で示されるキサントン誘導体。
【化1】

Xは、パルミチン酸、パラ−クマル酸、シナピン酸、キサントンカルボン酸、トランス桂皮酸、カフェ酸から選択されるいずれか一つ。
【請求項2】
マンゴスチンの粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがパルミチン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(2)で示されるキサントン誘導体。
【化2】

【請求項3】
マンゴスチンの粉砕物にパラ−クマル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがパラ−クマル酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(3)で示されるキサントン誘導体。
【化3】

【請求項4】
マンゴスチンの粉砕物にシナピン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがシナピン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(4)で示されるキサントン誘導体。
【化4】

【請求項5】
マンゴスチンの粉砕物にキサントンカルボン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のキサントン誘導体のうちXがキサントンカルボン酸であるコラーゲン増加作用を有する下記の式(5)で示されるキサントン誘導体。
【化5】

【請求項6】
マンゴスチンの粉砕物及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる工程からなる請求項1に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法。
【請求項7】
マンゴスチンの粉砕物に液化二酸化炭素を添加して抽出する工程からなる請求項1に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6又は請求項7に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品。
【請求項9】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6又は請求項7に記載のコラーゲン増加作用を有するキサントン誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤。


【公開番号】特開2009−13105(P2009−13105A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175755(P2007−175755)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(504447198)
【Fターム(参考)】